特許第6851632号(P6851632)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6851632公開市場システム、公開市場の提供方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6851632
(24)【登録日】2021年3月12日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】公開市場システム、公開市場の提供方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/34 20120101AFI20210322BHJP
【FI】
   G06Q50/34
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-213056(P2018-213056)
(22)【出願日】2018年11月13日
(65)【公開番号】特開2020-80053(P2020-80053A)
(43)【公開日】2020年5月28日
【審査請求日】2020年11月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518275246
【氏名又は名称】ジャングルX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】直江 文忠
【審査官】 梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−250016(JP,A)
【文献】 特開2014−191817(JP,A)
【文献】 特開2019−139623(JP,A)
【文献】 愛敬 真生,文系でもわかるブロックチェーン,日経ソフトウエア 2017年9月号,日本,日経BP社,2017年 7月24日,第20巻 第10号,p.77-85
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
競技について予想販売者が予想する展開を示す予想情報を収集する情報収集部と、
予想購入者が保有するトークンの投入を受け付ける投入受付部と、
前記情報収集部が収集した前記予想情報及び前記予想情報に基づく最適予想情報を、前記トークンを投入した前記予想購入者に提示する情報提示部と、
一人以上の前記予想購入者から前記最適予想情報に対して投入された前記トークンを一人以上の前記予想販売者に配分する配分実行部と、
を備えることを特徴とする公開市場システム。
【請求項2】
前記最適予想情報は、収集した前記予想情報及び前記予想販売者の過去の実績を機械学習によって解析した結果である、
ことを特徴とする請求項1に記載の公開市場システム。
【請求項3】
前記情報提示部は、前記トークンの履歴情報に基づいて、前記予想情報の販売及び購入の実績を示す実績情報を前記予想購入者に提示する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の公開市場システム。
【請求項4】
前記配分実行部は、前記予想販売者の前記予想情報の販売実績又は当否実績に応じて、該予想販売者に前記トークンを配分する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の公開市場システム。
【請求項5】
前記配分実行部は、前記予想販売者の直近過去の前記予想情報の当否実績から算出される予想精度に基づいて、該予想販売者に前記トークンを配分する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の公開市場システム。
【請求項6】
制御部を備えるコンピュータにより実行されるための公開市場の提供方法であって、
前記制御部は、
競技について予想販売者が予想する展開を示す予想情報を収集する情報収集ステップと、
予想購入者が保有するトークンの投入を受け付ける投入受付ステップと、
前記情報収集ステップにおいて収集された前記予想情報及び前記予想情報に基づく最適予想情報を、前記トークンを投入した前記予想購入者に提示する情報提示ステップと、
一人以上の前記予想購入者から前記最適予想情報に対して投入された前記トークンを一人以上の前記予想販売者に配分する配分実行ステップと、
実行することを特徴とする公開市場の提供方法。
【請求項7】
コンピュータを、
競技について予想販売者が予想する展開を示す予想情報を収集する情報収集手段、
予想購入者が保有するトークンの投入を受け付ける投入受付手段、
前記情報収集手段が収集した前記予想情報及び前記予想情報に基づく最適予想情報を、前記トークンを投入した前記予想購入者に提示する情報提示手段、
一人以上の前記予想購入者から前記最適予想情報に対して投入された前記トークンを一人以上の前記予想販売者に配分する配分実行手段、
として機能させるプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、公開市場システム、公開市場の提供方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
公の機関が開催し、賭け事が許可されている公営競技には、競馬、競輪、競艇、オートレースがある。これらの公営競技では、予想の販売を行う予想販売者が存在する。また、予想販売者がネットワークを介して予想情報を販売するシステムが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、予想の売買を仲介する公開市場システムが開示されている。このシステムでは、予想販売者(売り手)の予想の「実績」となる的中率、回収率、回収額、販売額等の実績のデータを計算し、それを予想販売者の予想情報と共に予想購入者(買い手)に提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−43916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、サーバ装置が算出した実績を提供するため、予想販売者が自己申告した実績に比べて信用性が高い情報を予想購入者に提供できる点が示されている。しかし、この場合、予想購入者は、サーバ装置が提供する情報を信用することしかできず、予想情報の取引における透明性及び中立性が低い。例えば、サーバ装置の管理者や悪意のあるユーザが実績に関する情報を改ざんした場合、予想購入者はそれを知る術がない。そのため、提供される情報の信用性が低い。
【0006】
特許文献1の公開市場システムは、競馬や競輪等の公営競技が予想の対象となっている。そのため、サッカー、野球等の一般的な競技に適用できず、汎用性が低い。例えば、公営競技では、レースの先着順で誰が何番になっているかの予想が中心である。公営競技では、試合の勝敗、何点が入るか、点数差、誰が点を入れるか(特定の選手の活躍)、どのようなチーム編成になるか等の展開は予想対象ではない。
【0007】
ところで、メジャーではない競技では、予想の数が少ない場合があり、従来の解析手法では、最適予想の精度を確保することは困難である。また、予想が大量販売される場合には、従来の解析手法では、リアルタイムに最適予想を導くことが困難である。最適予想では、計算された時点の予測の傾向を示すことが好ましく、高速性が要求される。このような課題を解決する方法について特許文献1には開示されていない。
【0008】
このように、特許文献1の公開市場システムでは、種々の観点において、ユーザの利便性が低い。
【0009】
そこで、本開示はこのような事情に鑑み、ユーザの利便性が高い公開市場システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本開示の第1の観点に係る公開市場システムは、競技について予想販売者が予想する展開を示す予想情報を収集する情報収集部と、予想購入者が保有するトークンの投入を受け付ける投入受付部と、情報収集部が収集した予想情報及び予想情報に基づく最適予想情報を、トークンを投入した予想購入者に提示する情報提示部と、一人以上の予想購入者から最適予想情報に対して投入されたトークンを一人以上の予想販売者に配分する配分実行部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するため、本開示の第2の観点に係る公開市場の提供方法は、競技について予想販売者が予想する展開を示す予想情報を収集する情報収集ステップと、予想購入者が保有するトークンの投入を受け付ける投入受付ステップと、情報収集ステップにおいて収集された予想情報及び予想情報に基づく最適予想情報を、トークンを投入した予想購入者に提示する情報提示ステップと、一人以上の予想販売者から最適予想情報に対して投入されたトークンを一人以上の予想販売者に配分する配分実行ステップと、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、上記目的を達成するため、本開示の第3の観点に係るプログラムは、競技について予想販売者が予想する展開を示す予想情報を収集する情報収集手段、予想購入者が保有するトークンの投入を受け付ける投入受付手段、情報収集手段が収集した予想情報及び予想情報に基づく最適予想情報を、トークンを投入した予想購入者に提示する情報提示手段、一人以上の予想購入者から最適予想情報に対して投入されたトークンを一人以上の予想販売者に配分する配分実行手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、ユーザの利便性が高い公開市場システム等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る公開市場システムの構成例を示す図である。
図2】実施形態に係るサーバ装置の構成例を示すブロック図である。
図3】分散台帳の内容を示す概念図である。
図4】実施形態に係るサーバ装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本開示の必須の構成要素であるとは限らない。
【0016】
(実施形態)
図1に示すように、本実施形態に係る公開市場システム1は、サーバ装置100と、一台以上の第1の通信端末200と、一台以上の第2の通信端末300と、ブロックチェーン分散ネットワーク400とを備える。サーバ装置100と、第1の通信端末200と、第2の通信端末300とは、それぞれネットワークNWを介して通信可能に接続される。ネットワークNWは、例えばWAN(World Area Network)である。なお、ネットワークNWには、必要に応じて、仮想通貨、電子決済、特典、インターネット生放送等を取り扱う関連業者が使用する他のサーバ装置(不図示)が接続されてもよい。
【0017】
サーバ装置100は、ユーザ(予想販売者と予想購入者)に公開市場を提供するサービス提供事業者によって管理されるサーバ装置である。サーバ装置100は、ネットワークNWを介して、予想購入者からトークンの投入を受け受けて、予想販売者から収集した予想情報及びそれらに基づく最適予想情報を予想購入者に提供する。
【0018】
なお、本実施形態では、サーバ装置100が主体となって主な処理を実行する例を説明する。しかし、後述するように、サーバ装置100の機能は、ブロックチェーン分散ネットワーク400が果たしてもよい。すなわち、公開市場システム1が備えるサーバ装置100と第1の通信端末200と第2の通信端末300とのいずれか一つ以上がブロックチェーン分散ネットワーク400上で分散管理を行い、サーバ装置100の機能を実現してもよい。
【0019】
第1の通信端末200は、予想販売者によって使用される通信端末である。第2の通信端末300は、予想購入者によって使用される通信端末である。予想販売者と予想購入者は、競技におけるサポーター、観戦者等のファンである。
【0020】
予想販売者は、競技の展開を予想し、その予想を販売する。予想購入者は、トークンを用いて、競技の展開の予想に関する情報を購入する。販売される予想の対象となる競技は、ブックメーカーが賭けの対象としている競技、公開市場の運営者自身が開催するオリジナルの競技などである。競技は、運動競技に限られず、知力や運、操作能力を競うゲーム大会であってもよい。
【0021】
競技が障害物ドローンレースである場合、予想対象となる展開は、レースの順位、ベストタイム、特定の選手が特定の障害をクリアできるか、特定の障害物のクリアや一定区間の走破のベストタイム、誰がそれを達成するか、また特定の通過点での順位、競技中のアクシデント(故障、衝突)などである。なお、競技と展開は、ここで例示したものに限らない。
【0022】
第1の通信端末200と第2の通信端末300は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン、ヘッドマウントディスプレイ、VRゴーグル等の通信機能を有するである。なお、本実施形態では、予想販売者が使用する第1の通信端末200と予想購入者が使用する第2の通信端末300を区別している。しかし、これらは、予想販売と予想購入の両方を可能とする通信端末であってもよく、予想販売者と予想購入者の両方が使用可能な構成にされてもよい。
【0023】
ここで、各国(例えば、現在の日本国)の法制度によっては、直接の予想によるベッティングが制限されることがあるため、予想情報の販売は直接の予想によるベッティングが制限されるエリアの利用者が行い、予想情報の購入は直接の予想によるベッティングが制限されないエリアの利用者が行うようにしてもよい。
【0024】
分散台帳410は、ネットワークNWに接続されているブロックチェーン分散ネットワーク400内に存在する。分散台帳410は、ブロックチェーン技術を用いて管理される。
【0025】
<サーバ装置の構成>
以下、サーバ装置100の構成を詳細に説明する。図2に示すように、サーバ装置100は、他の装置と通信を行う通信部110と、各種データを記憶する記憶部120と、時刻を計時する計時部130と、管理者による入力を受け付ける入力部140と、装置全体の制御を行う制御部150とを備える。これらの構成要素は、バスラインBLによって相互に接続される。
【0026】
通信部110は、有線通信又は無線通信を行うためのNIC(Network Interface Card controller)を備える通信インターフェースである。通信部110は、ネットワークNWを介して、第1の通信端末200及び第2の通信端末300と通信を行う。
【0027】
記憶部120は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等から構成される。記憶部120は、各種制御処理を実行するためのプログラム、各種データ等を記憶する。なお、公開市場システム1は、記憶部120が記憶すべき記憶データを分散台帳410に記憶させ、第1の通信端末200や第2の通信端末300がそれに書き換えを加える構成であってもよい。
【0028】
計時部130は、クロック信号を生成するための発振回路及び可変PLL(Phase Locked Loop)、クロック信号のパルス数をカウントするカウンタ回路等から構成される。計時部130はカウントされるパルス数に基づいて時刻を計時する。
【0029】
入力部140は、管理者の入力を受け付けるインターフェースを有し、例えば、操作ボタン、キーボード等を備える。なお、入力部140は、音声認識によって管理者の入力を受け付ける構成であってもよい。この管理者は、サービス提供事業者ではなく、スポーツ関係者であってもよい。例えば、スポーツ関係者が試合の状況を見ながら、ユーザの予想に対応する結果を入力してもよい。
【0030】
制御部150は、CPU(Central Processing Unit)等から構成される。制御部150は、記憶部120に記憶されているプログラムを実行することにより、サーバ装置100の全体の動作を制御する。制御部150は、計時部130がカウントするパルス数に基づいたタイミングで各種制御を実行する。また、制御部150は、計時部130が計時する時刻に基づいて、ユーザからのトークンの投入及び予想情報の受付時刻を取得したり、経過時間や締め切り時間を管理したりする等の処理を実行する。
【0031】
以下、制御部150の機能的な構成を説明する。制御部150は、情報収集部151、投入受付部152、情報解析部153、情報提示部154、配分実行部155として機能する。なお、これらのうち、いずれか一つ以上の機能は、サーバ装置100ではなく、ブロックチェーン分散ネットワーク400が果たしてもよい。
【0032】
情報収集部151は、競技について予想販売者が予想する展開を示す予想情報を収集する。具体的には、情報収集部151は、通信部110を介して、第1の通信端末200から予想情報を受信する。予想情報は、記憶部120又は分散台帳410に記憶される。
【0033】
投入受付部152は、予想購入者によるトークンの購入と、予想購入者が保有するトークンの投入とを受け付ける。投入受付部152は、通信部110を介して、第2の通信端末300から投入の指示をスマートコントラクトで受け付ける。なお、トークンは、分割可能で交換可能なブロックチェーン上の仮想通貨(例えばイーサリウムのERC20トークン等)でもあってもよいし、単に通貨から変換可能なポイントであってもよい。
【0034】
ここでトークンには、複数の種類のトークンが使用されてもよい。トークンの種類に応じて、利用目的が異なるものであってもよいし、利用目的が同じであってもそれらの重み付けが異なるものであってもよい。
【0035】
トークンを投入する予想購入者は、個別の予想情報の購入と、最適予想情報の購入の2種類の購入が可能である。予想購入者がトークンを投入して、個別の予想情報を購入した場合、購入の時点でその予想情報の予想販売者に投入されたトークンが移動する。なお、購入の時点ではトークンが移動せず、トークンの移動予定が確定するだけで、事後的にトークンが移動してもよい。
【0036】
一方、予想購入者が最適予想情報を購入した場合、予想の結果が出てから、その予想情報の的中度合(最適予想情報への貢献度合い)、直近過去の実績ランキング等に基づいて、投入されたトークンが一人以上の予想販売者のそれぞれに配分される。すなわち、最適予想情報の購入において投入されたトークンは、予想の当否の結果が出るまでプールされる。
【0037】
なお、収集されたトークンは、すべて予想販売者に配分されてもよいし、一部が予想販売者に配分されてもよい。例えば、収集されたトークンの一部は、プラットフォームの月額利用料として事業者に配分されたり、スポーツ競技に関係するスポーツ関係者(選手、コーチ、監督、スポンサー等)に配分されたりしてもよく、残りのトークンが予想販売者に配分されてもよい。
【0038】
情報解析部153は、収集した予想情報及びそれらを予想した予想販売者の過去の実績を機械学習によって解析して、最適予想情報を生成する。最適予想情報は、収集したすべての予想情報の全体像を統計的に解析したものであってもよいし、予想精度が高い上位ランクの予想販売者の予想情報を抽出したものであってもよい。機械学習では、例えばスパースモデリング技術を使用することが好ましい。
【0039】
メジャーではない競技では、予想情報の数が少ない場合がある。スパースモデリング技術によれば、予想情報の数が少ない場合であっても、それらのデータから特徴を抽出して解析を行うことができる。そのため、最適予想の精度を確保しやすい。また、予想情報が大量販売される場合がある。スパースモデリング技術によれば、データが少量のうちから解析を行うため、徐々にデータが増えて大量になった場合であっても、リアルタイムに最適予想を導くことが可能である。
【0040】
情報提示部154は、情報収集部151が収集した予想情報及び予想情報に基づく最適予想情報を、それらに対してトークンを投入した予想購入者に提示する。また、情報提示部154は、予想情報の入力フォームや予想に関連する競技の情報等を予想販売者に提示する。情報提示部154による情報の提示は、通信部110を介して、第1の通信端末200や第2の通信端末300に情報を送信することによって行われる。
【0041】
ここで、トークンの投入により、予想販売者の予想情報のみを購入した場合には、予想購入者は、その予想情報を閲覧可能となる。この場合、最適予想情報は、全部が閲覧不能に提示されてもよいし、一部のみが閲覧可能に提示されてもよいし、抽象化された状態で提示されてもよい。
【0042】
一方、トークンの投入により、最適予想情報のみを購入した場合には、予想購入者は、最適予想情報を閲覧可能となる。この場合、予想販売者の予想情報は、全部が閲覧不能に提示されてもよいし、一部のみが閲覧可能に提示されてもよいし、抽象化された状態で提示されてもよい。なお、最適予想情報は、購入後に内容が更新されてもよいし、購入時点の内容のままであってもよい。
【0043】
予想購入者は、トークンの投入により、予想情報と最適予想情報の両方を購入してもよい。この場合、その予想購入者は、それらの両方を閲覧することができる。
【0044】
情報提示部154は、トークンの履歴情報に基づいて、予想情報の販売及び購入の実績を示す実績情報を予想購入者に提示してもよい。トークンの履歴情報は、ブロックチェーン技術に基づく情報であってもよい。これにより、予想情報の売買実績の透明性及び中立性が実現される。
【0045】
配分実行部155は、一人以上の予想購入者から最適予想情報に対して投入されたトークンをそれぞれ各々の予想販売者に配分する。配分実行部155は、予想販売者の予想情報の販売実績又は当否実績に応じて、予想販売者にトークンを配分する。なお、トークンの配分実績をブロックチェーン技術に基づいて公開してもよい。これにより、トークンの配分方法の透明性及び中立性が実現される。
【0046】
配分実行部155は、予想販売者の直近過去の予想情報の当否実績から算出される予想精度に基づいて、その予想販売者にトークンを配分してもよい。例えば、所定数の上位ランキングに入っている予想販売者のみにトークンが配分されてもよいし、予想精度に比例する配当としてトークンが配分されてもよい。
【0047】
以上、サーバ装置100が主体となって主な処理を実行する例を説明した。ここで、以下、ブロックチェーン分散ネットワーク400上で分散管理を行う場合の分散台帳410について説明する。図3は、分散台帳の内容を示す概念図である。
【0048】
分散台帳は、エンティティとトランザクションとを含む。エンティティは複数のデータを示し、トランザクションはそれらのデータへの操作を示す情報である。エンティティの取得もトランザクションもすべてブロックチェーン上のスマートコントラクトとして実装される。なお、最適予想情報を生成するための情報解析部153は、ブロックチェーン分散ネットワーク400上ではなく、サーバ装置100に設けられることが好ましい。
【0049】
各エンティティは、基本的には、識別子とタイムスタンプのような最低限のデータで構成され、かつ識別子同士の関連性と、試合、戦術、予想、予想に対する結果等のデータがブロックチェーン上に保持される。識別子同士の関連性では、競技、リーグ、試合に参加したチームや選手等が階層構造で関連付けられる。
【0050】
なお、ブロックチェーン外では、選手名、チーム名、プロフィール、イベント名、開催場所等の運営者が設定する情報と、点数、勝敗、勝率等の数値データと、チームアイコン、選手の写真等の画像データとがスポーツデータとして保持される。これらは、例えば、管理者又は市場運営者がサーバ装置100に入力して、サーバ装置100に記憶される。
【0051】
ブロックチェーン上には、トークンの移動の対象となるエンティティと、各エンティティ間でのトークンの移動を伴うトランザクションが存在する。エンティティは、例えば、スポーツ、リーグ、チーム、選手等の階層データと、試合、戦術、予想及び予想に対する結果と、各ユーザのロール(特定のチームへの所属、チームにおける権限)と、ユーザの状態(例えばトークンの保有状況)とを含む。
【0052】
トランザクションには、例えば、ユーザ(予想販売者と予想購入者)やスポーツ関係者によるスポーツデータの閲覧と、ユーザによるトークン投入と、ユーザによる予想情報の購入及び予想情報の販売と、予想情報の購入販売に伴うトークン移動とがある。また、トランザクションには、主催者(市場運営者)による試合の管理、試合結果の登録(結果反映)、結果反映に基づく予想評価及びそれによるトークンの配分がある。
【0053】
<処理の流れ>
以下、図4を参照しながら、公開市場システム1の動作の一例を説明する。なお、この動作の前に、管理者又は市場運営者が、予定されている試合の一覧情報と、予想される展開を示す選択肢や予想情報の入力フォーム等の情報をサーバ装置100又は分散台帳410に登録しているものとする。また、以下の説明は、予想購入者が予めトークンを購入して保有していることを前提とする。
【0054】
また、この動作は、サーバ装置100が実行主体であってもよいし、ブロックチェーン分散ネットワーク400が実行主体であってもよい。両者を含む実行主体を公開市場システム1として、以下、動作内容を説明する。
【0055】
まず、公開市場システム1は、競技について予想販売者が予想する展開を示す予想情報を収集する(ステップS101)。具体的には、公開市場システム1は、予想に必要な情報と予想情報を入力する入力フォームとを予想販売者が使用する第2の通信端末200に提示する。公開市場システム1は、第2の通信端末200から予想販売者が入力した予想情報を収集する。公開市場システム1は、収集した予想情報及びそれらの予想販売者の過去の実績を機械学習によって解析して最適予想情報を生成する。
【0056】
公開市場システム1は、予想購入者が保有するトークンの投入を受け付ける(ステップS102)。公開市場システム1は、第2の通信端末300から投入指示を受信することによってトークンの投入を受け付ける。
【0057】
トークンの投入とは、ブロックチェーン上のトークンの移動(スマートコントラクト)である。予想購入者は、予想情報又は最適予想情報を購入する場合にトークンを投入する。購入時には、予想情報の一覧と最適予想情報に関する情報が第2の通信端末300に提示される。この際、トークンの履歴情報に基づいて、予想情報の販売及び購入の実績を示す実績情報が提示されてもよい。
【0058】
なお、予想情報が購入された予想販売者には、予想情報を購入した予想購入者からトークンが移動する。最適予想情報の購入において投入されたトークンはプールされる。
【0059】
公開市場システム1は、予想情報及び/又は最適予想情報の情報の提示を行う(ステップS103)。具体的には、公開市場システム1は、収集された予想情報のうち、購入された予想情報をそのトークンを投入した予想購入者が使用する第2の通信端末300に提示する。また、公開市場システム1は、購入された予想情報に基づく最適予想情報を、そのトークンを投入した予想購入者が使用する第2の通信端末300に提示する。
【0060】
予想に対する結果が出た後に、公開市場システム1は、一人以上の予想販売者から最適予想情報に対して投入され、プールされているトークンを、一人以上の予想販売者に配分する(ステップS104)。トークンは、予想販売者の予想情報の販売実績又は当否実績に応じて配分されてもよいし、予想販売者の直近過去の予想情報の当否実績から算出される予想精度に基づいて配分されてもよい。
【0061】
<効果の説明>
本実施形態に係る公開市場システム1によれば、予想購入者には、予想販売者の実績情報が提示される。この実績情報はトークンの履歴情報(ブロックチェーン)に基づくものであるため、透明性及び中立性が高い。そのため、予想購入者に提供される情報の信用性は高い。
【0062】
本実施形態に係る公開市場システム1によれば、予想対象は、試合の勝敗、何点が入るか、点数差、誰が点を入れるか(特定の選手の活躍)、どのようなチーム編成になるか等の展開である。そのため、公開市場システム1は、公営競技に限られず、サッカー、野球等の一般的な競技にも適用可能であり、汎用性が高い。
【0063】
公開市場システム1が提供する最適予想情報は、収集された予想情報とそれを予想した予想販売者の過去の実績の特徴を機械学習したものであり、機械学習にはスパースモデリング技術が使用される。そのため、予想の数に依らず、高速に最適予想を導くことが可能であり、精度も高くすることができる。
【0064】
このように、公開市場システムでは、種々の観点において、ユーザの利便性が高い。
【0065】
以上で実施形態の説明を終了するが、上記実施形態は一例に過ぎない。そのため、公開市場システム1の具体的な構成、処理の内容等は上記実施形態で説明したものに限られない。
【0066】
また、本開示に係る公開市場システム1は、上記装置によらず、例えば、コンピュータがプログラムを実行することで、その機能を実現してもよい。公開市場システム1の機能を実現するためのプログラムは、USB(Universal Serial Bus)メモリ、CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、HDD(Hard Disc Drive)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータにダウンロードされてもよい。
【0067】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本開示には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲が含まれる。また、上記実施形態及び変形例で説明した装置の構成は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせ可能である。
【符号の説明】
【0068】
1…公開市場システム、100…サーバ装置、200…第1の通信端末、300…第2の通信端末、110…通信部、120…記憶部、130…計時部、140…入力部、150…制御部、151…情報収集部、152…投入受付部、153…情報解析部、154…情報提示部、155…配分実行部、400…ブロックチェーン分散ネットワーク、410…分散台帳

図1
図2
図3
図4