特許第6851667号(P6851667)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6851667ワーク搬送装置、ワーク搬送方法及び袋詰めシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6851667
(24)【登録日】2021年3月12日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】ワーク搬送装置、ワーク搬送方法及び袋詰めシステム
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/44 20060101AFI20210322BHJP
   B65B 35/32 20060101ALN20210322BHJP
   B65B 35/58 20060101ALN20210322BHJP
   B65G 47/248 20060101ALN20210322BHJP
【FI】
   B65G47/44
   !B65B35/32
   !B65B35/58
   !B65G47/248 J
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-190018(P2020-190018)
(22)【出願日】2020年11月16日
【審査請求日】2020年11月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520447754
【氏名又は名称】株式会社トランセンド
(74)【代理人】
【識別番号】100153811
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 高弘
(72)【発明者】
【氏名】大野 慶
(72)【発明者】
【氏名】阪本 英駿
【審査官】 福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−166403(JP,A)
【文献】 特開2004−277136(JP,A)
【文献】 特開2008−280154(JP,A)
【文献】 特開2010−280406(JP,A)
【文献】 特開昭55−89125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/44
B65G 47/248
B65B 35/00−35/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト上にワークを載せて搬送するコンベアと、
前記コンベアの搬送方向側に離れて配置され、前記コンベアから前記ワークが落下する際に、前記ワークの先端部が突き当てられる凹状角部を有するワーク反転壁と、
前記コンベアの下側において、前記ワーク反転壁に向かって空気を噴出する反転エアノズルと、を備えるワーク搬送装置。
【請求項2】
前記ワーク反転壁の前記凹状角部より下方は、前記コンベア側に凸部を形成し、前記搬送方向とは反対側に斜め下方に向かって伸びている、ことを特徴とする、請求項1に記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
前記ワーク反転壁に対向して配置され、下方に向かうにしたがって前記搬送方向側に延び、前記ワーク反転壁の端部から前記ワークを受けて落下させる落下ガイドと、
前記落下ガイドの表面を落下方向に沿って空気を噴出するガイドエアノズルと、を更に備える請求項1又は2に記載のワーク搬送装置。
【請求項4】
前記落下ガイドから落下した前記ワークの下端部を受け、前記ワークが落下する毎に前記落下ガイドから離れる方向に移動して、複数の前記ワークのそれぞれの前記下端部で起立させて並べて保持するフィクスチャーを更に備え、
前記ガイドエアノズルは、前記フィクスチャーに達する強さで空気を噴出する、ことを特徴とする請求項3に記載のワーク搬送装置。
【請求項5】
複数のワークが順に沿って落下させることにより、前記ワークを搬送する落下ガイドと、
前記落下ガイドから搬送された前記ワークの下端部を受け、前記ワークが落下する毎に前記落下ガイドから離れる方向に移動して、前記複数のワークのそれぞれの前記下端部で起立させて並べて保持するフィクスチャーと、
前記落下ガイドの表面に、落下方向に沿って、前記フィクスチャーに向かって空気を噴出するガイドエアノズルと、を備えるワーク搬送装置。
【請求項6】
前記フィクスチャーの上方に設けられ、前記ワークが前記フィクスチャーに収まったことを検知する落下完了センサーを更に備え、
前記複数のワークを保持する前記フィクスチャーは、前記落下完了センサーが検知すると、前記落下ガイド方向に移動して、前記複数のワークを前記落下ガイドとの間で挟んだ後に、前記落下ガイドから離れる方向に移動する、ことを特徴とする請求項4又は5に記載のワーク搬送装置。
【請求項7】
前記落下ガイドの上方に設けられ、前記ワークの落下開始を検知する落下開始センサーを更に備え、
前記ガイドエアノズルは、前記落下開始センサーが検知すると空気の噴出を開始し、前記落下完了センサーが検知すると、噴出を停止する、ことを特徴とする請求項6に記載のワーク搬送装置。
【請求項8】
前記ワークは、個体物が包装された包装体である、ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のワーク搬送装置。
【請求項9】
個体物を包装する個体物包装装置と、
前記個体物包装装置により包装されたワークを搬送する請求項1乃至8のいずれか一項に記載のワーク搬送装置と、
前記ワーク搬送装置により搬送された複数の前記ワークを一つの袋に包装するワーク袋詰め装置と、を備える袋詰めシステム。
【請求項10】
コンベアのベルト上にワークを載せて搬送する工程と、
前記コンベアの下側から、前記コンベアの搬送方向側に離れて配置されたワーク反転壁に向かって空気を噴出する工程と、を備え、
前記ワーク反転壁は、前記コンベアから前記ワークが落下する際に、前記ワークの先端部が突き当てられる凹状角部を有する、ワーク搬送方法。
【請求項11】
落下ガイドに沿って、複数のワークを順に落下させて搬送する工程と、
前記落下ガイドの表面に、落下方向に沿って空気を噴出する工程と、
前記落下ガイドから落下した前記ワークの下端部を受ける工程と、
前記下端部を受けたフィクスチャーが、落下した前記ワークを受ける毎に前記落下ガイドから離れる方向に移動して、前記複数のワークを保持する工程と、を備えるワーク搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク搬送装置、ワーク搬送方法及び袋詰めシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今では、単身世帯の増加等の影響により、世帯で一度に消費される食品や生活用品が少なくなる傾向にあり、このような需要に対応するために、少ない分量で個別に包装された商品が多く販売されるようになった。このような個別包装された商品は、便利である一方、その製造工程の自動化に関しては、単位量が少ないことや包装回数の増加により、より高精度で複雑化した工程制御が求められている。
【0003】
特許文献1は、反転用ストッパー40の反転用溝40aの内壁面に、製品Xが突き当たると、後端X2側から落下して、その後端X2側を搬送方向先端とする表裏反転装置を開示している(段落0047、図5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−212335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、挽いたコーヒー豆のフィルターバッグを内容物とする包装体等、内容物が内部で移動可能な状態で包装された包装体においては、内容物が包装体内で偏って存在したり、分散していたりする等により、複数の包装体において重心の位置が異なっている場合がある。特に製造工程においては、このような重心の位置の異なる複数の包装体を搬送し、更に整列させて包装する工程を有する場合があるが、このような工程を自動化するには複雑な設備を必要としていた。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みてされたものであり、搬送対象である複数のワークの重心位置がそれぞれ異なる場合であっても、より簡易かつ正確にワークを整列させて搬送することのできるワーク搬送装置、ワーク搬送方法及び袋詰めシステムを提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のワーク搬送装置は、ベルト上にワークを載せて搬送するコンベアと、前記コンベアの搬送方向側に離れて配置され、前記コンベアから前記ワークが落下する際に、前記ワークの先端部が突き当てられる凹状角部を有するワーク反転壁と、前記コンベアの下側において、前記ワーク反転壁に向かって空気を噴出する反転エアノズルと、を備えるワーク搬送装置である。
【0008】
また、本開示のワーク搬送装置においては、前記ワーク反転壁の前記凹状角部より下方は、前記コンベア側に凸部を形成し、前記搬送方向とは反対側に斜め下方に向かって伸びている、こととしてもよい。
【0009】
また、本開示のワーク搬送装置においては、前記ワーク反転壁に対向して配置され、下方に向かうにしたがって前記搬送方向側に延び、前記ワーク反転壁の端部から前記ワークを受けて落下させる落下ガイドと、前記落下ガイドの表面を落下方向に沿って空気を噴出するガイドエアノズルと、を更に備えることとしてもよい。
【0010】
また、本開示のワーク搬送装置においては、前記落下ガイドから落下した前記ワークの下端部を受け、前記ワークが落下する毎に前記落下ガイドから離れる方向に移動して、複数の前記ワークのそれぞれの前記下端部で起立させて並べて保持するフィクスチャーを更に備え、前記ガイドエアノズルは、前記フィクスチャーに達する強さで空気を噴出する、こととしてもよい。
【0011】
本開示のワーク搬送装置は、複数のワークが順に沿って落下させることにより、前記ワークを搬送する落下ガイドと、前記落下ガイドから搬送された前記ワークの下端部を受け、前記ワークが落下する毎に前記落下ガイドから離れる方向に移動して、前記複数のワークのそれぞれの前記下端部で起立させて並べて保持するフィクスチャーと、前記落下ガイドの表面に、落下方向に沿って、前記フィクスチャーに向かって空気を噴出するガイドエアノズルと、を備えるワーク搬送装置である。
【0012】
また、本開示のワーク搬送装置においては、前記フィクスチャーの上方に設けられ、前記ワークが前記フィクスチャーに収まったことを検知する落下完了センサーを更に備え、前記複数のワークを保持する前記フィクスチャーは、前記落下完了センサーが検知すると、前記落下ガイド方向に移動して、前記複数のワークを前記落下ガイドとの間で挟んだ後に、前記落下ガイドから離れる方向に移動する、こととしてもよい。
【0013】
また、本開示のワーク搬送装置においては、前記落下ガイドの上方に設けられ、前記ワークの落下開始を検知する落下開始センサーを更に備え、前記ガイドエアノズルは、前記落下開始センサーが検知すると空気の噴出を開始し、前記落下完了センサーが検知すると、噴出を停止する、こととしてもよい。
【0014】
また、本開示のワーク搬送装置においては、前記ワークは、個体物が包装された包装体である、こととしてもよい。
【0015】
本開示の袋詰めシステムは、個体物を包装する個体物包装装置と、前記個体物包装装置により包装されたワークを搬送する、上述のいずれかのワーク搬送装置と、前記ワーク搬送装置により搬送された複数のワークを一つの袋に包装するワーク袋詰め装置と、を備える袋詰めシステムである。
【0016】
本開示のワーク搬送方法は、コンベアのベルト上にワークを載せて搬送する工程と、前記コンベアの下側から、前記コンベアの搬送方向側に離れて配置されたワーク反転壁に向かって空気を噴出する工程と、を備え、前記ワーク反転壁は、前記コンベアから前記ワークが落下する際に、前記ワークの先端部が突き当てられる凹状角部を有するワーク搬送方法である。
【0017】
本開示のワーク搬送方法は、落下ガイドに沿って、複数のワークを順に落下させて搬送する工程と、前記落下ガイドの表面に、落下方向に沿って空気を噴出する工程と、前記落下ガイドから落下した前記ワークの下端部を受ける工程と、前記下端部を受けたフィクスチャーが、落下した前記ワークを受ける毎に前記落下ガイドから離れる方向に移動して、前記複数のワークを保持する工程と、を備えるワーク搬送方法である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係るワーク搬送装置の概略を示す側面図である。
図2】本実施形態に係るワーク搬送装置の概略を示す斜視図である。
図3】ワーク搬送装置の主要な構成部分を示す斜視図である。
図4】ワーク搬送装置の主要な構成部分を示す側面図である。
図5図4の一部拡大図であり、ワークがコンベアから落下ガイドに搬送されていく様子について説明するための図である。
図6】重心が偏った位置にあるワークが搬送される例について説明するための図である。
図7】反転エアノズルを有する場合における、重心が偏った位置にあるワークが搬送される例について説明するための図である。
図8図5と同じ視野における、ワークの搬送の別の例について示す図である。
図9】ガイドエアノズルを有する場合における、ワークが搬送される様子について説明するための図である。
図10】フィクスチャーの動作について説明するための図である。
図11】フィクスチャーの動作の詳細について説明するための図である。
図12】ガイドエアノズルを有する場合における、フィクスチャーにワークが収容される様子について説明するための図である。
図13】フィクスチャーの移動及びガイドエアノズルから噴出されるエアの制御システムの構成について概略的に示す図である。
図14図13の制御コンピュータにおけるガイドエアノズルから噴出されるエア、及びフィクスチャーの移動の制御処理について示すフローチャートである。
図15】ワーク搬送装置を用いた一例である袋詰めシステムについて示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示のワーク搬送装置1及び袋詰めシステム90の構成及び機能について、図面を参照して説明する。説明において同様の要素には同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0020】
図1及び2は、それぞれ本実施形態に係るワーク搬送装置1の一例の概略を示す側面図及び斜視図である。ここで、ワーク搬送装置1は、ワーク5を搬送する装置であり、ワーク5は、個体物が包装された包装体とすることができる。ここで個体物は、コーヒー豆のフィルターバッグ等を内容物としてもよい。
【0021】
図1及び2に示されるように、ワーク搬送装置1は、フレーム22を有し、フレーム22には、コンベア11、ワーク反転壁12、落下ガイド13、フィクスチャー14、フィクスチャー搬送部15及び信号灯21等が固定されている。信号灯21は、正常動作中や異常停止中等の動作状況を示すことができる。ワーク搬送装置1は、フレーム22や信号灯21を有さない構成であってもよい。
【0022】
図3及び4は、ワーク搬送装置1の動作を説明するために、主要な構成部分を抽出して示す斜視図及び側面図である。これらの図に示されるように、ワーク搬送装置1は、図1及び2においても示したように、コンベア11、ワーク反転壁12、落下ガイド13、フィクスチャー14、及びフィクスチャー搬送部15を有している。また、更に、反転エアノズル31、ガイドエアノズル32、落下開始センサー16、及び落下完了センサー17を有していてもよい。
【0023】
コンベア11は、ベルト上にワーク5を載せて搬送する。ワーク反転壁12は、コンベア11の搬送方向111側に離れて配置される。落下ガイド13は、ワーク反転壁12に対向して配置され、下方に向かうにしたがって搬送方向111側に延び、ワーク反転壁12の端部からワーク5を受けて落下させる。フィクスチャー14は、落下ガイド13から落下したワーク5の下端部Bを受け、ワーク5が落下する毎に落下ガイド13から離れる方向に移動して、複数のワーク5のそれぞれの下端部Bで立たせたまま並べて保持する。フィクスチャー搬送部15は、フィクスチャー搬送モータ151とフィクスチャー搬送ベルト152とを有している。フィクスチャー14は、フィクスチャー搬送ベルト152上に固定され、フィクスチャー搬送モータ151の動作により、フィクスチャー搬送ベルト152と共に移動する。
【0024】
反転エアノズル31は、コンベア11の下側において、ワーク反転壁12に向かって空気を噴出する。ガイドエアノズル32は、落下ガイド13の表面を落下方向に沿って空気を噴出する。ガイドエアノズル32は、更に、フィクスチャー14に並べられたワーク5まで達する強さで空気を噴出するものとしてもよい。落下開始センサー16は、落下ガイド13の上方に設けられ、ワーク5の落下開始を検知する。落下完了センサー17は、フィクスチャー14の上方に設けられ、ワーク5がフィクスチャー14に収まったことを検知する。
【0025】
図5は、図4の一部拡大図であり、ワーク5がコンベア11から落下ガイド13に搬送されていく様子について説明するための図である。この図に示されるように、ワーク反転壁12は、コンベア11からワーク5が落下する際に、ワーク5の先端部Tが突き当てられる凹状角部121を有している。ワーク反転壁12の凹状角部121より下方は、コンベア11側に凸部122を形成し、搬送方向111とは反対側に斜め下方に向かって伸びていてもよい。
【0026】
ワーク5の搬送を順に説明すると、コンベア11上を搬送方向111に、先端部Tを前にして移動するワーク5(ステップS511)は、搬送方向111への速度を保持したまま、コンベア11の端部から落下し(ステップS512)、ワーク反転壁12の凹状角部121に先端部Tを突き当てると(ステップS513)、回転し(ステップS514)、下端部Bを下にして落下ガイド13に沿って搬送される(ステップS515)。これらの構成により、下端部Bを下にした搬送を実現することができる。
【0027】
図6は、図5と同じ視野において、重心が偏った位置にあるワーク5が搬送される例について説明するための図である。図6の場合には、重心位置が先端部Tの側に偏っているワーク5を搬送する場合について示している。この図に示されるように、コンベア11上を搬送方向111に移動する、重心位置が先端部Tの側に偏ったワーク5(ステップS521)は、図5の場合と比較して、コンベア11の先端付近において下方向の加速度が早く発生する(ステップS522)。このためワーク5の落下速度が大きくなり、ワーク反転壁12の凹状角部121に届かずに、凹状角部121より低い位置でワーク反転壁12に接することとなる(ステップS523)。結果として、ワーク5は、回転することなく、先端部Tが下のまま落下ガイド13に沿って搬送される(ステップS524)。このように、重心位置に偏りがあるワーク5の搬送では、ワーク5の向きを均一化(整列)することが難しい場合がある。
【0028】
図7は、反転エアノズル31を有する場合における、重心が偏った位置にあるワーク5が搬送される例について説明するための図である。反転エアノズル31は、エアホース312を介して不図示のコンプレッサーに接続されており、コンプレッサーからエアの圧力が供給されることにより、反転エアノズル31からエアが噴出される。
【0029】
図7に示されるように、コンベア11上を搬送方向111に移動する、重心位置が先端部Tの側に偏ったワーク5(ステップS531)は、図6の場合と同様に、コンベア11の先端付近において下方向の加速度が早く発生する。しかしながら、先端部Tを下に向けて落ちようとするワーク5の下面に、反転エアノズル31からのエア311が当たり、ワーク5が押し上げられるため、早く生じた落下方向の速度は抑えられ、搬送方向111の速度が加えられる(ステップS532)。このため、図5の場合と同様に、凹状角部121より上の部分でワーク反転壁12に接触するため、凹状角部121に先端部Tが突き当たり(ステップS533)、回転した後(ステップS534)、下端部Bを下にして落下ガイド13に沿って搬送される(ステップS535)。このように重心位置が先端部Tの側に偏ったワーク5においても、下端部Bを下にした搬送を実現することができる。したがって、ワーク搬送装置1は、反転エアノズル31を有することにより、簡易かつ正確にワーク5を同じ向きに整列させて搬送することができる。
【0030】
ここで、図7においては、反転エアノズル31は、コンベア11の下側で、搬送方向111に平行にエアが噴出するように配置されているが、反転エアノズル31は、コンベア11から落下するワーク5の下面に対してエアを噴出する位置に配置されているものであればよく、搬送方向111より上方に傾けた方向、及び搬送方向111より下方に傾けた方向、並びに左右に傾けた方向でエアを噴出するものであってもよい。
【0031】
図8は、図5と同じ視野における、ワーク5の搬送の別の例について示す図である。図8に示されるようにコンベア11上を搬送方向111に移動するワーク5(ステップS541)は、コンベア11の端部から落下し(ステップS542)、ワーク反転壁12の凹状角部121に先端部Tを突き当てると(ステップS543)、回転しながら落下する(ステップS544)。この際に、例えば、凹状角部121に突き当たった際に、ワーク5が大きく跳ね返ってしまう等により、ワーク5が、ワーク反転壁12と落下ガイド13との間で橋渡し状態となり、落下ガイド13の下方に搬送されずに止まってしまうことがある(ステップS545)。この場合には、ワーク5を順に搬送することができなくなってしまう。
【0032】
図9は、ガイドエアノズル32を有する場合における、ワーク5が搬送される様子について説明するための図である。ガイドエアノズル32は、エアホース322を介して不図示のコンプレッサーに接続されており、コンプレッサーからエアの圧力が供給されることにより、ガイドエアノズル32からエアが噴出される。図9においては、ガイドエアノズル32は、コンベア11の下側で、落下ガイド13の上端から落下ガイド13の表面に沿って、下方向にエアが噴出するように配置されているが、ガイドエアノズル32は、落下ガイド13の表面に沿ってエアを噴出するものであれば、これ以外の配置であってもよい。
【0033】
この図に示されるように、コンベア11上を搬送方向111に移動するワーク5(ステップS551)は、コンベア11の端部から落下し(ステップS552)、ワーク反転壁12の凹状角部121に先端部Tを突き当てると(ステップS553)、回転しながら落下する(ステップS554)。この際に、例えば、凹状角部121に突き当たった際に、ワーク5が大きく跳ね返ってしまう等により、ワーク5が、ワーク反転壁12と落下ガイド13との間で橋渡し状態となる(ステップS555)。ここで、ガイドエアノズル32から噴出されたエア321は、落下ガイド13の表面に沿って流れ、ワーク5の落下ガイド13との接触部分(下端部B)を下方向に払うように作用する。これにより、ワーク5は落下ガイド13に沿って、下端部Bを下にして下方向に搬送される(ステップS556)。このように、ガイドエアノズル32から噴出されたエア321は、ワーク5がワーク反転壁12と落下ガイド13との間で留まるのを防ぎ、ワーク5を搬送させることができる。したがって、ワーク搬送装置1は、反転エアノズル31を有することにより、ワーク5を留まらせることなく、簡易かつ正確に同じ向きに整列させて搬送することができる。
【0034】
図10は、フィクスチャー14の動作について説明するための図である。ステップS11に示されるように、落下ガイド13から落下したワーク5は、下端部Bをフィクスチャー14の底面141で受け止められ、フィクスチャー14の壁面142に支えられた起立状態となる。フィクスチャー14は、落下ガイド13から順に搬送される複数のワーク5を、隣り合わせに起立させて整列させて保持するため、ステップS12に示されるように、ワーク5が落下する毎に落下ガイド13から離れる方向に移動して、複数のワーク5のそれぞれの下端部Bで起立させて並べて保持し、次のワーク5が搬送されて収められるスペースSを確保する。
【0035】
図11は、フィクスチャー14の動作の詳細について説明するための図である。落下ガイド13から落下したワーク5は、図10のステップS12に示されるように綺麗に整列されている状態となるとは限らず、図11のステップS21に示されるように、ずれてフィクスチャー14に収まることがある。また既にフィクスチャー14内で整列している複数のワーク5が、新しくフィクスチャー14に収まるワーク5との接触により、整列状態からずれてしまうこともある。このような状態のまま、フィクスチャー14を搬送方向111に移動させたとしても、新しくワーク5を収容するためのスペースSが確保されないことがある。そこで、フィクスチャー搬送部15は、次のワーク5を収容するためのスペースSを確保するための移動の前に、落下ガイド13の方向に移動して、複数のワーク5を落下ガイド13との間で挟んで起立させ(ステップS22)、その後、落下ガイド13から離れる方向に移動する(ステップS23)こととすることができる。このようにすることにより、複数のワーク5を整列して起立させることができると共に、次のワーク5を収容するためのスペースSを確保することができる。
【0036】
図12は、ガイドエアノズル32を有する場合における、フィクスチャー14にワーク5が収容される様子について説明するための図である。図11のように複数のワーク5を一度整列させてから、次のワーク5を受け入れる位置にフィクスチャー14を移動させた場合であっても、例えば、ワーク5が包装体である場合、包装体の内容物の偏りや包装体に気体が含まれる等のワーク5の性質により、ワーク5が壁面142側に傾かない姿勢となる場合がある(ステップS31)。この場合には、新たなワーク5を受け入れるスペースSが確保できていない状況となる。
【0037】
ガイドエアノズル32を有する場合には、ガイドエアノズル32から噴出されたエア321は、落下ガイド13の表面に沿って流れ、落下ガイド13の側に傾いた位置571にあるワーク5は、落下ガイド13とワーク5との間にスペースSを確保するように、ワーク5を壁面142側に傾けた位置572に移動させる(ステップS32)。この確保されたスペースSに新たなワークNが入ることにより、フィクスチャー14に収容されたすべてのワーク5を起立して整列させることができる。したがって、ワーク搬送装置1は、ガイドエアノズル32を有することにより、簡易かつ正確に同じ向きに整列させて搬送することができる。
【0038】
図13は、フィクスチャー14の移動及びガイドエアノズル32から噴出されるエアの制御システム6の構成について概略的に示す図である。図13に示されるように、落下開始センサー16、落下完了センサー17、制御コンピュータ61、ガイドエアノズル用バルブ62及びフィクスチャー搬送モータ151から構成されている。落下開始センサー16、落下完了センサー17、ガイドエアノズル用バルブ62及びフィクスチャー搬送モータ151は、制御コンピュータ61にそれぞれ通信接続された構成とすることができる。
【0039】
図12に示されるように、落下開始センサー16は、赤外線等のレーザー光163を発光する落下開始センサー発光部161と、レーザー光163を受光する落下開始センサー受光部162とを有している。また、落下完了センサー17は、赤外線等のレーザー光173を発光する落下完了センサー発光部171と、レーザー光173を受光する落下完了センサー受光部172とを有している。
【0040】
本実施形態においては、落下開始センサー16は、コンベア11の下側を搬送方向111に横切るレーザー光163を用いることとしたが、ワーク5がコンベア11から離れる直前又は直後の搬送のタイミングが検知できればよい。なお、レーザー光163の経路上にワーク反転壁12又は/及び落下ガイド13がある場合には、レーザー光163を通過させる孔123(図3参照)や溝を設けてレーザー光163を通過させる構成とすることができる。
【0041】
落下完了センサー発光部171は、フィクスチャー14の上方を搬送方向111に横切るレーザー光173を発光することとしたが、ワーク5がフィクスチャー14に収納される直前又は収納された瞬間のタイミングが検知できればよい。なお、レーザー光173の経路上にワーク反転壁12又は/及び落下ガイド13がある場合には、レーザー光173を通過させる溝124や孔131を設けてもよい(図3参照)。
【0042】
制御コンピュータ61は、主に半導体回路素子を用いた電子回路で構成された、いわゆる情報処理装置とすることができる。例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶部、フラッシュメモリやハードディスク等の不揮発性記憶部、及び通信ネットワークに接続するためのネットワークインタフェース等を有するものとすることができる。
【0043】
ガイドエアノズル用バルブ62は、エアホース322の途中等に配置され、制御コンピュータ61の指示によりコンプレッサ(不図示)とガイドエアノズル32との間の導通を制御する開閉弁とすることができる。フィクスチャー搬送モータ151は、制御コンピュータ61の指示により、順逆回転の動作を制御され、結果として、フィクスチャー搬送ベルト152を介してフィクスチャー14の搬送方向に関する前後の移動が制御される。
【0044】
図14は、図13の制御コンピュータ61におけるガイドエアノズル32から噴出されるエア、及びフィクスチャー14の移動の制御処理S40について示すフローチャートである。このフローチャートに示されるように、まず制御コンピュータ61は、落下開始センサー16が検知したかどうかを判定する(ステップS41)。検知していない場合には(ステップS41:No)、ステップS41の処理を繰り返す。検知している場合には(ステップS41:Yes)、ワーク5が、ワーク反転壁12及び落下ガイド13の経路に入ったと判断し、ガイドエアノズル用バルブ62を導通状態とし、ガイドエアノズル32からエアを噴出させる(ステップS42)。
【0045】
次に、落下完了センサー17が検知したかどうかを判定する(ステップS43)。検知していない場合には(ステップS43:No)、ステップS43の処理を繰り返す。検知している場合には(ステップS43:Yes)、ワーク5が、フィクスチャー14に入ったと判断し、ガイドエアノズル用バルブ62を遮断状態とし、ガイドエアノズル32からのエアを停止させる(ステップS44)。引き続き、制御コンピュータ61は、フィクスチャー搬送モータ151に指示し、フィクスチャー搬送ベルト152を介して、フィクスチャー14を移動させる(ステップS45)。このような制御を用いることによっても、ワーク搬送装置1は、複数のワーク5を、順次、起立整列させて搬送することができる。
【0046】
落下開始センサー16及び落下完了センサー17の検知は、それぞれ落下開始センサー受光部162及び落下完了センサー受光部172がレーザー光を検知している状態から検知されない状態に変化したタイミングを検知としてもよいし、受光部がレーザー光を検知していない状態から検知する状態に変化したタイミングを検知としてもよい。フィクスチャー14の移動は、図11のように、フィクスチャー14を搬送方向111とは反対方向に移動させ、落下ガイド13とフィクスチャー14の壁面142との間でワーク5を挟んでワーク5を起立して整列させた後、フィクスチャー14を次のワーク5を受け入れる位置に移動させることとしてもよい。所定数のワーク5の受け入れを完了したフィクスチャー14は、次の工程に移動させることとしてもよい。また、ガイドエアノズル32から噴出されるエアは、図13及び14のような制御を行わず、連続した噴出であってもよい。
【0047】
なお、本実施形態においては、フィクスチャ―14の搬送方向は、コンベア11の搬送方向111と同じであることとしたが、フィクスチャ―14の搬送方向は、コンベア11の搬送方向111と異なる方向であってもよい。この場合において、例えば、フィクスチャ―14の搬送方向が、コンベアの搬送方向111の逆方向とする構成においては、落下ガイド13は、ワーク反転壁12と一体で形成されていてもよい。
【0048】
図15は、ワーク搬送装置1を用いた一例である袋詰めシステム90について示すブロック図である。この図に示されるように、袋詰めシステム90は、個体物包装装置91と、上述のワーク搬送装置1と、ワーク袋詰め装置92と、から構成されている。個体物包装装置91は、個体物を充填して包装体とする装置である。個体物は、包装体内で移動可能に包装されているものであってもよい。例えば、挽いたコーヒー豆が詰められた一杯分の抽出用のフィルターバッグ(個体物)を、樹脂等からなる袋に密封して包装する装置とすることができる。個体物包装装置91には既知の装置を用いることができる。
【0049】
なお、個体物は、これに限らず、包装体である場合には、内容物に、粒状物、粉状物、乾燥された茶葉、その他小さな個体の集合体等を含んでいてもよく、また、これらをフィルターバッグ等のバッグに入れたものを内容物としてもよい。また、内容物は、食品に限らず、金属や樹脂であってもよい。包装体である場合には、内容物が内部で移動可能な状態で包装されていてもよいし、移動可能でなくても複数の包装体の重心位置が互いに異なる状態で包装される可能性のあるものであってもよい。
【0050】
ワーク袋詰め装置92は、ワーク搬送装置1により搬送された複数のワークを一つの袋に包装する装置である。袋詰めサイズの最小化等の観点から、ワーク搬送装置1により、所定の数のワークが所定の方向に整列されて、ワーク袋詰め装置92に搬入されることとしてもよい。ワーク袋詰め装置92には既知の装置を用いることができる。上述のような袋詰めシステム90によれば、個別に包装された複数のワークは、簡易かつ正確に起立して整列させて搬送されるため、容易に袋詰めさせることができる。
【0051】
本実施形態においては、ワーク搬送装置1は、個体物包装装置91及びワーク袋詰め装置92を有する袋詰めシステム90を構成する一装置として用いられることとしたが、他の製造システムや搬送システムの一部のワーク搬送装置として用いられるものであってもよい。また、袋詰めシステム90は、図15を構成する装置の他に検査装置等の他の装置を含むものであってもよい。
【0052】
以上説明したように、上述の実施形態に係るワーク搬送装置及び袋詰めシステムは、より簡易かつ正確にワークを整列させて搬送することができる。
【0053】
なお、上述の実施形態においては、「ワーク」を包装体としたが、包装体に限らず、製造工程や搬送工程等において、順次搬送されるものであれば、いかなるものであってもよい。また、ワーク搬送装置1においては、反転エアノズル31及びガイドエアノズル32を、両方とも用いることなく、一方だけ用いるものであってもよい。
【0054】
なお、上述の実施形態の記載は一例であり、本発明の思想の範疇において、当業者が想到し得る変更及び修正が含まれる場合についても本発明の範囲に属する。例えば実施形態の構成要素に対して代替可能な構成への変更、構成要素の削除を行ったものについても、本発明の思想の範疇である限り、本発明の範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0055】
1 ワーク搬送装置
5 ワーク
11 コンベア
111 搬送方向
12 ワーク反転壁
121 凹状角部
122 凸部
13 落下ガイド
14 フィクスチャー
15 フィクスチャー搬送部
151 フィクスチャー搬送モータ
152 フィクスチャー搬送ベルト
16 落下開始センサー
17 落下完了センサー
31 反転エアノズル
32 ガイドエアノズル
90 袋詰めシステム
91 個体物包装装置
92 ワーク袋詰め装置
【要約】
【課題】より簡易かつ正確にワークを整列させて搬送することのできるワーク搬送装置を提供する。
【解決手段】ワーク搬送装置は、ベルト上にワークを載せて搬送するコンベア11と、コンベアの搬送方向側に離れて配置され、コンベアからワークが落下する際に、ワークの先端部が突き当てられる凹状角部121を有するワーク反転壁12と、コンベアの下側において、ワーク反転壁に向かって空気を噴出する反転エアノズル31と、ワーク反転壁に対向して配置され、下方に向かうにしたがって搬送方向側に延び、ワーク反転壁の端部からワークを受けて落下させる落下ガイド13と、落下ガイドの表面を落下方向に沿って空気を噴出するガイドエアノズル32と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15