【課題を解決するための手段】
【0009】
具体的には、本発明は、以下の技術案を提供する。
一態様によれば、本発明は、医療画像シーケンスに基づくプラーク安定性指標の高速計算システムであって、
主に画像を収集して、動的画像シーケンスを生成するための画像収集モジュールと、
画像収集モジュールにより生成された画像シーケンスを受信して、画像処理モジュールに伝送するための画像受信モジュールと、
受信した画像シーケンスを処理する画像処理モジュールであって、内腔輪郭の分割及びレジストレーションを含み、内腔輪郭の分割には、正常内腔及び狭窄内腔の高速分割を含み、内腔のレジストレーションとは、具体的には、異なる時刻で、同一血管セグメントの特徴空間のレジストレーションによって変位場関数を生成することである画像処理モジュールと、
2次元血管内腔に対して、上記変位場関数を用いて、有限要素計算を行う有限要素計算モジュールであって、ある時刻での血管内腔を初期状態として選定して、当該モジュールの計算によって、内腔径シーケンス又は面積が経時的に変化する関数、内腔輪郭線形ひずみを含む、経時的に変化するパラメータ、及びクラウドマップを取得する有限要素計算モジュールと、
を含む医療画像シーケンスに基づくプラーク安定性指標の高速計算システムを提供する。
【0010】
好ましくは、該システムは、画像処理モジュール及び有限要素計算モジュールによる分析結果及びプラーク安定性の評価指標を表示するための結果可視化モジュールを含む。
【0011】
好ましくは、前記画像処理モジュールは、更に、
内腔輪郭を高速で分割し、正常内腔セグメント及び狭窄内腔セグメントの位置する領域の輪郭を格付けし、階層的モデリングを行い、格付け化した血管分割モデルを得る画像分割モジュールと、
複数の時刻での血管輪郭に対してレジストレーションを行い、複数の時刻で格付け化された血管分割モデルに対して輪郭特徴又は画像全体のレジストレーションを行い、レジストレーション中に生じた変位場関数を得る画像レジストレーションモジュールと、をサブモジュールとして含む。
【0012】
好ましくは、大量のサンプルデータの有限要素計算結果に基づいて、腔内画像と組み合わせて、プラークの形態学的指標によって、プラーク安定性の相関性を評価して、プラークの安定性程度を有限要素結果のパラメータの範囲に対応付け、最後に、結果可視化モジュールに血管狭窄セグメントの安定性情報を直接表示する。
【0013】
好ましくは、前記システムにおける画像受信モジュール、画像処理モジュール、有限要素計算モジュール及び結果可視化モジュールが一体に集積されており、画像シーケンスの自動処理、関心領域の半自動分割や結果表示などの機能を実現する。
【0014】
好ましくは、該システムでは、体内画像処理には、リアルタイムデータ伝送、高速画像処理技術及び簡素化された有限要素計算方法が利用され、それによって、高効率・高操作性のプラーク安定性評価が実現される。
【0015】
さらに、別の態様によれば、本発明は、下記のステップ1〜ステップ7を含む、医療画像シーケンスに基づくプラーク安定性指標の高速計算方法をさらに提供し、
ステップ1では、関心血管の開始位置と終了位置を特定して、一級セグメントとして定義し、好ましくは、解剖マーク(分岐部位)を関心血管の開始位置と終了位置とし、ここで、冠状動脈を血管の例とするが、それに制限されず、動的周期的変形を持つ血管であれば、適用でき、
ステップ2では、医療画像シーケンスを取得し、変形周期内の前記関心血管のいくつかの特徴時刻を特定し、前記医療画像シーケンスには、複数の周期の血管の完全な画像が含まれ、好ましくは、上記特徴時刻については、血管の変形法則と組み合わせること、又は追加データ情報、たとえば心電図などを利用することで、変形周期内の複数の特徴時刻を特定でき、
ステップ3では、ステップ2における異なる特徴時刻に対応するフレーム画像における、異なる形態の同一血管に対して内腔輪郭分割を行って、狭窄セグメントの関心血管での開始・終了位置を特定して、二級セグメントと定義し、ここで、冠状動脈造影画像を医療画像シーケンスの例とするが、それに制限されず、血管の動的周期的変形を持つ医療画像シーケンスであれば、適用でき、
ステップ4では、前記一級セグメント、二級セグメントのそれぞれに対して、境界輪郭線と組み合わせて、密閉した2次元血管内腔幾何学的モデルを作成して、一級セグメント、二級セグメントの2つの関心領域として決定し、
ステップ5では、異なるフレームの画像中の異なる長さの血管に対して、中心線の長さを基準として正規化処理を行い、正規化した血管の長さに基づいてグリッド同型化離散を行って、2次元血管内腔の有限要素モデルを作成し、まず、一級セグメントに粗レジストレーションを行ってから、二級セグメントに更に精密レジストレーションを行って、次に、レジストレーション結果による変位場関数を取得し、
ステップ6では、ステップ5で取得した2次元血管内腔の有限要素モデルに前記変位場関数を追加して解を求め、周期的に経時的に変化する内腔幾何学的変形パラメータ、内腔輪郭のひずみパラメータ及びクラウドマップを取得し、
ステップ7では、ステップ6における周期的に経時的に変化する内腔幾何学的変形パラメータ、内腔輪郭のひずみパラメータに基づいて、プラーク安定性のサンプルデータと組み合わせて、相関分析を行って、プラーク安定性の結果を算出する。
【0016】
好ましくは、前記ステップ2では、前記特徴時刻の選び取りについて、、心電図の各ウェーブバンド間の境界点に基づいて特定する、又は
心電図などの補助作業を用いてキー時点を検出できない周期的に変形する動脈、たとえば、腎動脈の場合は、画像シーケンスにおける変形特徴に基づいて、いくつかのキー時点を選定し、周期の長さ及び各隣接する時点の時間間隔を取得し、それによって、特徴時刻を特定する。
【0017】
好ましくは、前記ステップ3は、さらに、
血管に内腔輪郭分割を行うと同時に、血管及び参照内腔の中心線、及び血管の縦方向に沿って且つ中心線に垂直な一連の直径シーケンスを生成するステップ301と、
径狭窄百分率のしきい値を設定し、関心血管の血管の中心線に沿う現在位置の径狭窄百分率DS%(x)を算出し、径狭窄百分率のしきい値要求を満たす血管セグメントの開始・終了位置を二級セグメントの開始・終了位置とするステップ302を含み、
ここで、DS%(x)の計算式は、以下のとおりであり、
式中、D
actは実際内腔径、D
refは参照内腔径、D
pro及びD
disは、それぞれ近端と遠端の内腔の直径、L
cenは中心線の全長、xは現在の断面位置から近端断面までの中心線の長さである。
【0018】
好ましくは、前記ステップ4は、
内腔輪郭、内腔中心線及び直径シーケンスを特徴として含む画像レジストレーションの特徴空間を作成することと、
前記正規化後、等量の直径シーケンスを生成することと、をさらに含む。
さらに好ましくは、該正規化には、バイリニア補間法、3次畳み込み補間法などの方法が使用され得る。
【0019】
好ましくは、前記ステップ5は、
予め設定された検索戦略に従って、上記特徴空間に特徴検索を行うことと、
予め設定された類似性測定基準に従って、血管の一級セグメント、二級セグメントの類似性しきい値を設定して、レジストレーションにおける定量的基準とすることと、をさらに含む。
【0020】
さらに好ましくは、前記検索戦略は、黄金分割法、勾配降下法などの検索アルゴリズムなどの方法であってもよい。
【0021】
さらに好ましくは、該類似性測定基準としては、グレースケール差の二乗和、最大相互情報量測度、特徴点のユークリッド距離などの方法を用いて計算できる。
【0022】
好ましくは、前記ステップ6は、さらに、ステップ601とステップ602を含み、
ステップ601では、ある時点の2次元内腔幾何学的モデルを初期構成として、構造化グリッド離散を行い、
さらに好ましくは、該初期構成は、血管の長さが最短である時刻を初期構成としても良い、グリッド離散後に、たとえばラプラスアルゴリズムを用いてグリッドに平滑化前処理を行っても良い、
ステップ602では、有限要素法を画像レジストレーション方法として、狭窄セグメント及び/又は正常セグメントの類似性しきい値を満たすと、完全な血管変形周期をトラバーサするまで、隣接する時刻の間の変位場関数を取得し、血管変形周期内のポイントクラウドの変位経路を形成する。
【0023】
好ましくは、前記ステップ7では、内腔輪郭のひずみパラメータには、最大主ひずみ、最小主ひずみ、平面外ひずみなどが含まれる。さらに好ましくは、極値、平均値、振幅など、動的周期的特徴を反映するパラメータを、二次結果のパラメータとする。
【0024】
好ましくは、前記ステップ7では、プラーク安定性は下記方式で計算される。
式中、Aは最小狭窄面積、
は最小狭窄での直径ひずみ平均値、
、
は、それぞれ、内腔輪郭ひずみの最大値及び平均値、C
i,i=1,2,3は、フィッティングパラメータ、A
0は最小狭窄での参照内腔面積である。