(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6851676
(24)【登録日】2021年3月12日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】フィルタ保持装置
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20210322BHJP
C12M 1/12 20060101ALI20210322BHJP
B01D 35/30 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
C12M1/00 D
C12M1/12
B01D35/30
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-516819(P2018-516819)
(86)(22)【出願日】2016年9月12日
(65)【公表番号】特表2018-535658(P2018-535658A)
(43)【公表日】2018年12月6日
(86)【国際出願番号】EP2016071422
(87)【国際公開番号】WO2017055059
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2019年8月13日
(31)【優先権主張番号】62/235,597
(32)【優先日】2015年10月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597064713
【氏名又は名称】サイティバ・スウェーデン・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 研二
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(74)【代理人】
【識別番号】100115462
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 猛
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ファルド,エリック
(72)【発明者】
【氏名】スタンコウスキー,ラルフ
【審査官】
平林 由利子
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/158108(WO,A1)
【文献】
国際公開第2015/034416(WO,A1)
【文献】
特開平03−007575(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0036192(US,A1)
【文献】
特表2007−503999(JP,A)
【文献】
特表2013−502930(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0059383(US,A1)
【文献】
特表2008−501347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00− 3/10
B01D 24/00−35/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性バッグ(3;71)の内側に少なくとも1つのフィルタ(7;43a、43b;85)を設けるように構成されたフィルタ保持装置(1;41;75;81)であって、前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)は板状であり、前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)は、
前記可撓性バッグ(3;71)の内側表面に前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)を取り付けるための取り付け手段(19a〜19d、21a〜21d;79;83)であって、前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)によって保持された前記少なくとも1つのフィルタ(7;43a、43b;85)が、前記可撓性バッグ(3;71)の前記内側表面から離れた位置に設けられるようにする取り付け手段(19a〜19d、21a〜21d;79;83)と、
前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)の両端に設けられた少なくとも2つの流れデフレクタ領域(23a、23b;53a、53b)であって、前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)が可撓性バッグ(3;71)に設けられるときに、前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)が取り付けられる前記可撓性バッグ(3;71)の前記内側表面から離れた点を向いているように、前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)の残りの部分に対して角度付けされた前記流れデフレクタ領域(23a、23b;53a、53b)と、
を備え、
前記少なくとも1つのフィルタ(7;43a、43b;85)が取り付けられるべき前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)の中間部の少なくとも一方の側には、離間手段(31;47a、47b)が設けられ、前記離間手段(31;47a、47b)は、前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)によって保持された前記少なくとも1つのフィルタ(7;43a、43b;85)を、前記可撓性バッグ(3;71)の前記内側表面から離れた位置に設けるように配置されている、フィルタ保持装置(1;41;75;81)。
【請求項2】
前記取り付け手段(19a〜19d、21a〜21d;79;83)が、前記可撓性バッグ(3;71)に供給された液体が前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)と、前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)が取り付けられる内側表面との間を流れることができるように前記可撓性バッグ(3;71)の前記内側表面に前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)を取り付けている、請求項1に記載のフィルタ保持装置(1;41;75;81)。
【請求項3】
前記離間手段(31;47a、47b)を取り囲み、フィルタ(7;43a、43b;85)の周囲にシールされて前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)によって保持されるように構成されたフィルタシール領域(9;49a、49b)であって、次に前記フィルタ(7;43a、43b;85)が、前記離間手段(31;47a、47b)を覆うようになる、フィルタシール領域(9;49a、49b)と、
−前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)の開口部(13)の周囲に配置されたポート(11;51)であって、濾液を回収するために管(15)に接続されるように構成されるポート(11;51)と、
を更に備える、
請求項1または2に記載のフィルタ保持装置(1;41;75;81)。
【請求項4】
前記取り付け手段(19a〜19d、21a〜21d;79;83)が、可撓性バッグ(3;71)の内側壁に前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)を取り付けるためのスタンドオフ(21a〜21d)またはスタンドオフ(21a〜21d)を受け入れるための開口部(19a〜19d)である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のフィルタ保持装置(1;41;75;81)。
【請求項5】
前記開口部(19a〜19d)またはスタンドオフ(21a〜21d)が、前記フィルタシール領域(9;49a、49b)の外側に設けられる、請求項3を引用する請求項4に記載のフィルタ保持装置(1;41;75;81)。
【請求項6】
−前記フィルタ保持装置(41)の一方の側に設けられた第1の離間手段(47a)、および前記フィルタ保持装置(41)の他方の側に設けられた第2の離間手段(47b)と、
−前記第1の離間手段(47a)を取り囲み、第1のフィルタ(43a)の周囲にシールされて前記フィルタ保持装置(41)によって保持されるように構成され、次に前記第1のフィルタ(43a)が、前記第1の離間手段(47a)を覆うようになっている第1のフィルタシール領域(49a)と;
−前記第2の離間手段(47b)を取り囲み、第2のフィルタ(43b)の周囲にシールされて前記フィルタ保持装置(41)によって保持されるように構成され、次に前記第2のフィルタ(43b)が、前記第2の離間手段(47b)を覆うようになっている第2のフィルタシール領域(49b)と
を含む、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のフィルタ保持装置(41)。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のフィルタ保持装置(1;41;75;81)を含む可撓性バッグ(3;71)であって、前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)が、その取り付け手段(19a〜19d、21a〜21d;79;83)によって前記可撓性バッグ(3;71)の内側表面に取り付けられ、それにより前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)によって保持された前記少なくとも1つのフィルタ(7;43a、43b;85)が、前記可撓性バッグ(3;71)の前記内側表面から離れた位置に設けられる、可撓性バッグ(3;71)。
【請求項8】
請求項7に記載の可撓性バッグ(3;71)を含む、バイオリアクタ。
【請求項9】
a)揺動運動による攪拌のために適合され、前記可撓性バッグ(3;71)が、ロッカートレイ(17)に載置されるか、またはb)インペラ(73)による攪拌のために適合され、前記可撓性バッグ(71)が、少なくとも1つのインペラ(73)を含む、請求項8に記載のバイオリアクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性バッグの内側に少なくとも1つのフィルタを設けるように構成されたフィルタ保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオプロセス産業では、発酵および細胞培養のための製造プロセスにおいて、ステンレス鋼システムおよび配管が伝統的に使用されている。これらの装置は、蒸気滅菌して再使用するように設計されている。しかし、洗浄および滅菌は、費用のかかる労働集約的な操作である。さらに、必要な配管およびユーティリティを備えたこれらの伝統的なシステムの設置コストは、多くの場合非常に高額である。さらに、これらのシステムは、典型的には、特定のプロセス用に設計されており、新たな用途のために容易に再構成することができない。これらの制限は、過去10年間を通して、通常のステンレス鋼タンクに換えてプラスチック製の単回使用の使い捨てバッグと細管とを使用する新しいアプローチの採用につながった。
【0003】
特に、伝統的にステンレス鋼製のバイオリアクタは、多くの用途において、細胞培養に必要な通気および混合を提供するために揺動する使い捨てバッグに置き換えられている。これらの単回使用のバッグは、典型的には、無菌ユニットとして提供され、費用および時間のかかる洗浄および再滅菌のステップを排除する。バッグは、動作中に無菌環境を維持し、それによって汚染の危険性を最小限に抑えるように設計されている。
【0004】
有用な使い捨てバイオリアクタシステムの1つは、バイオリアクタバッグが載置される揺動テーブルを使用する。バイオリアクタバッグは、液体栄養培地および所望の細胞で部分的に満たされる。テーブルは、バッグを揺動させてバッグでの細胞の一定の動きをもたらし、また、乱流の空気−液体表面からの効率的なガス交換を提供する。バッグは、典型的には、空気、二酸化炭素、窒素または酸素を導入するための少なくとも1つのガス供給管と、呼吸ガスの除去を可能にする少なくとも1つの排気ガス管とを有する。栄養物は、他の管から加えることができる。
【0005】
培養中、細胞は、廃棄物、たとえば代謝産物、アンモニウムイオンおよび乳酸塩を生成し、これらは細胞に対して阻害効果を有する。この効果は、治療タンパク質またはウイルス抗原のようなバイオ医薬品の費用対効果の高い生産に必要とされる、高い細胞密度での培養において特に問題となる。阻害性代謝産物の濃度を低下させる1つの方法は、細胞を保持するが、代謝産物およびタンパク質をフィルタに通過させるフィルタを通した水流によって培養培地を流出させる灌流培養を用いることである。次に、発現されたタンパク質を濾液から回収し、新鮮な培養培地をバイオリアクタに連続的に供給して失われた液体を補うことができる。灌流フィルタを、典型的には、バイオリアクタの内部(または外側)に設置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2015/034416A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
使い捨てバイオリアクタに灌流フィルタを設ける1つの方法は、スクリーンを含み、濾液、多くの場合に廃棄物を回収するための管を取り付けるためのコネクタを有する装置に灌流フィルタを設け、フィルタおよびスクリーンを備えた装置をバイオリアクタ内に存在させることである。しかし、揺動するバイオリアクタには、これに関連するいくつかの欠点がある。1つの問題は、壊れ易いフィルタ膜が、スクリーンおよびフィルタが揺動運動によってバイオリアクタ壁に押し込まれたときにスクリーンによって損傷を受ける可能性があることである。別の問題は、フィルタの目詰まりおよび汚損に関連する。
【0008】
灌流フィルタを設けるための別の方法が、US9017997に記載されている。ここでは、灌流フィルタがバイオリアクタバッグの底部に取り付けられていることが記載されている。この問題は、バッグの底部に取り付けられたフィルタがおそらく目詰まりして、容易に汚損してしまうことである。
【0009】
本発明の目的は、可撓性バッグのためのフィルタ保持装置を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、可撓性バッグのための改善された灌流フィルタシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これは、可撓性バッグの内側に少なくとも1つのフィルタを設けるように構成されたフィルタ保持装置で達成され、前記フィルタ保持装置は、前記可撓性バッグの内側表面に前記フィルタ保持装置を取り付けるための取り付け手段を含み、それにより前記フィルタ保持装置によって保持された前記少なくとも1つのフィルタが、前記可撓性バッグの前記内側表面から離れた位置に設けられる。
【0012】
本発明の別の目的は、灌流フィルタを含むバイオリアクタを提供することである。
【0013】
これは、上述のフィルタ保持装置を含むバイオリアクタで達成され、前記フィルタ保持装置は、その取り付け手段によって前記可撓性バッグの内側表面に取り付けられ、それにより前記フィルタ保持装置によって保持された前記少なくとも1つのフィルタが、前記可撓性バッグの前記内側表面から離れた位置に設けられる。
【0014】
本発明の別の目的は、可撓性バッグにフィルタを設けるための方法を提供することである。
【0015】
これは、
−上述のフィルタ保持装置に少なくとも1つのフィルタを設けるステップと、
−前記フィルタ保持装置によって保持された前記少なくとも1つのフィルタが前記可撓性バッグの内側表面から離れた位置に設けられるように、前記可撓性バッグの前記内側表面に前記フィルタ保持装置を取り付けるステップと、
−濾液を回収するために前記フィルタ保持装置に設けられたポートに管を取り付けるステップと
を含む方法で達成される。
【0016】
これにより、フィルタは可撓性バッグの内側表面から離れた位置に設けられ、可撓性バッグに設けられた液体の流れが、フィルタと可撓性バッグとの間で許容される。これにより、TFFとも呼ばれるクロスフロー濾過効果が達成され、フィルタは、フィルタの目詰まりおよび汚損の問題が少ないためにより長い時間使用することができる。
【0017】
本発明の一実施形態では、前記フィルタ保持装置は、前記フィルタ保持装置の対向する側に設けられた2つの流れデフレクタ領域を含み、前記流れデフレクタ領域は、前記フィルタ保持装置の残りの部分に対して角度付けされており、それにより前記フィルタ保持装置が可撓性バッグに設けられるときに、前記フィルタ保持装置が取り付けられる前記可撓性バッグの前記表面から離れた点を向いている。これにより、フィルタと可撓性バッグの内側表面との間の流れが増大する。
【0018】
さらなる実施形態が、従属請求項に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】可撓性バッグに設けられた本発明の一実施形態によるフィルタ保持装置の断面側面図を概略的に示す図である。
【
図2】
図1に示すフィルタ保持装置を備えた可撓性バッグの上面図を概略的に示す図である。
【
図3A】本発明の一実施形態によるフィルタ保持装置の断面側面図を概略的に示す図である。
【
図3B】
図3Aに示すフィルタ保持装置の底面図を概略的に示す図である。
【
図4】2つのフィルタ/膜が同じフィルタ保持装置に取り付けられる、本発明の別の実施形態によるフィルタ保持装置を概略的に示す図である。
【
図5a】インペラを含む別のタイプの可撓性バッグの断面側面図を概略的に示す図である。本発明の一実施形態によるフィルタ保持装置は、可撓性バッグの側壁に取り付けられる。
【
図5b】
図5aに示す可撓性バッグの上面図を概略的に示す図である。
【
図6】可撓性バッグの内側表面にフィルタ保持装置を取り付ける代替的な方法を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の一実施形態によるフィルタ保持装置1の断面側面図を概略的に示す。フィルタ保持装置1は、可撓性バッグ3に設けられる。
【0021】
フィルタ保持装置1は、好適には、平坦なまたはある程度湾曲したプレートである。フィルタ保持装置1は、フィルタ保持装置の中間部5の一方の側にある種の離間手段を含む。この離間手段は、たとえば、リブまたはスクリーンもしくは他の種類の構造であり得る。離間手段は、フィルタ7が取り付けられるべきフィルタ保持装置の側に設けられる。この説明では、フィルタという用語が使用されるが、保持または拘束するために使用される膜またはバイオ処理分離装置であってもよい。リブの形態の離間手段が、
図3bに関連してさらに示され説明される。フィルタ保持装置1は、離間手段の周囲に設けられたフィルタシール領域9をさらに含む。フィルタシール領域9は、フィルタ7の周囲にシールされ、フィルタ保持装置によって保持されるように構成される。次にフィルタは、フィルタ保持装置のフィルタシール領域9にシールされたときに、離間手段を覆うようになっている。一実施形態では、フィルタは、フィルタが弛むことを防止するために、離間手段の1つまたは複数の領域にシールすることもできる。さらに、フィルタ保持装置は、フィルタ保持装置1の開口部13の周囲に配置されたポート11を含み、この開口部は、リブの間の空間と流体接続する。前記ポート11は、通常廃棄物である濾液を回収するために管15に接続されるように構成される。ポート11および開口部13は、本発明の一実施形態では、フィルタ保持装置1の中央に設けられ、フィルタシール領域9の内側の中心に位置する。しかし、ポートおよび開口部は、別の位置に設けることもできるが、依然としてフィルタシール領域9内に設ける必要がある。
【0022】
可撓性バッグは、ここではロッカートレイ17に載置されるものとして示されている。取り付け手段が、可撓性バッグの内側表面にフィルタ保持装置を取り付けるためにフィルタ保持装置に設けられ、それによりフィルタ保持装置によって保持された少なくとも1つのフィルタが、可撓性バッグの内側表面から離れた位置に設けられる。本発明のこの実施形態では、取り付け手段は、フィルタ保持装置の4つの開口部19a〜19d(19aおよび19bのみが見える)、および開口部に受け入れられる4つのスタンドオフ21a〜21dとして設けられる。スタンドオフ21a〜21dの各々は、適切な方法で、たとえばヒートシールまたは機械的保持によってフィルタ保持装置の各開口部19a〜19dに取り付けられる。さらにスタンドオフ21a〜21dは、たとえばヒートシールまたは機械的保持によって可撓性バッグ内側表面に取り付けられる。この実施形態では、スタンドオフ21a〜21dは、可撓性バッグ3の底部壁に取り付けられるように示されているが、
図5に関して示されるように、別の壁に同様に取り付けられてもよい。別の可能性は、スタンドオフがフィルタ保持装置と共に成形されることである。開口部およびスタンドオフの数およびそれらの位置は、変更することができる。この図示された実施形態ではスタンドオフである取り付け手段の高さは、フィルタとバッグ表面との間に流体を流すためにフィルタとバッグ内側表面との間に適切な距離が確保されるように適合されるべきであり、それによって接線流とも呼ばれるフィルタ上のクロスフロー効果を生じさせる。フィルタ上のこの接線流またはクロスフローは、汚損および目詰まりを防止し、フィルタの寿命を延ばす。別の実施形態では、取り付け手段は、可撓性バッグの内側表面にフィルタ保持装置の2つの対向する側をシールする形態である。流体がフィルタとバッグ表面との間を通過するための通路またはチャネルを設けるために、フィルタ保持装置は、何らかの方法で屈曲または湾曲される必要がある。さらなる詳細は、
図6を参照されたい。
【0023】
図1に示す実施形態では、フィルタ保持装置1は、2つのデフレクタ領域23a、23bをさらに含む。これらのデフレクタ領域23a、23bは、フィルタ保持装置の対向する側に、フィルタシール領域9の外側に設けられる。デフレクタ領域23a、23bは、フィルタ保持装置の残りの部分に対して角度付けされており、フィルタ保持装置が可撓性バッグに装着されるときに、フィルタ保持装置が取り付けられる可撓性バッグの内側表面から離れた点を向いている。デフレクタ領域23a、23bは、可撓性バッグの流体の流れに影響を及ぼす。揺動トレイが、可撓性バッグの内側の流体が波のような動きで前後に動くように、特定のパターンで動かされる。デフレクタ領域23a、23bは、フィルタと、フィルタ保持装置が取り付けられるバッグ表面との間に、より多くの流体を導いて通過させるようにする。これにより、フィルタ上のクロスフロー効果が生じ、目詰まりおよび汚損を低減する。
【0024】
図2は、
図1に示すフィルタ保持装置1を備えた可撓性バッグ3の上面図を概略的に示す。ここでは、この実施形態ではフィルタ保持装置1の各角に1つずつ、4つのスタンドオフ21a〜21dが設けられることが分かる。
【0025】
図3aは、
図1および
図2に示すフィルタ保持装置1の断面側面図を概略的に示す。
【0026】
図3bは、
図3aに示すフィルタ保持装置1の底面図を概略的に示す。この図では、フィルタシール領域9は、ここではリブ31の形態で離間手段を囲むことが分かる。すべてのリブには、同じ番号が付けられている。リブの構成および数は、様々であり得る。リブの機能は、フィルタを保持し、フィルタ保持装置の他方の側からフィルタを離間させ、それにより流体がフィルタを通って濾過され、開口部13およびポート11を通して引き出すことができるようにすることである。
【0027】
図4は、本発明の別の実施形態によるフィルタ保持装置41を概略的に示しており、2つのフィルタ、第1のフィルタ43aおよび第2のフィルタ43bが同じフィルタ保持装置41に取り付けられる。この実施形態では、フィルタ保持装置の中間部45は、第1の離間手段、たとえば一方の側の第1の組のリブ47aと、第2の離間手段、たとえば前述の実施形態のように一方の側のリブのみの代わりに他方の側の第2の組のリブ47bとを含む。この実施形態では、2つのフィルタシール領域、第1のフィルタシール領域49aおよび第2のフィルタシール領域49bも設けられており、フィルタ保持プレートの各側に1つずつ設けられる。第1のフィルタシール領域49aは、第1の離間手段(この実施形態では第1の組のリブ47a)を取り囲み、第2のフィルタシール領域49bは、第2の離間手段(この実施形態では第2の組のリブ47b)を取り囲む。ポート51は、中間部45の中央または中央付近に設けられる。前記ポート51は、リブの間の開口部を濾液の出口に接続する。さらに、前述の実施形態と同様に、フィルタ保持装置41の各端部に1つのデフレクタ領域53a、53bが設けられる。これらのデフレクタ領域53a、53bは、フィルタ保持装置の残りの部分に対して角度付けされた前述の実施形態と同様であり、フィルタ保持装置が可撓性バッグに装着されるときにバッグの底部表面から離れた点を向いている(または必ずしも底部表面ではなく、フィルタ保持装置が取り付けられるバッグの内側表面から)。可撓性バッグにフィルタ保持装置を取り付けるための前述した同じ方法で、開口部およびスタンドオフの形態の取り付け手段が設けられる。
【0028】
共に
図1〜
図3および
図4に示すこれらのフィルタ保持装置は、可撓性バッグにさらに多くのフィルタを設ける必要がある場合には、互いの上に積み重ねることができる。
【0029】
図5aは、少なくとも1つのインペラ73を含む別のタイプの可撓性バッグ71の断面側面図を概略的に示す。したがって、このタイプの可撓性バッグは、揺動トレイに設けられない。代わりに、可撓性バッグの内容物は、1つまたは複数のインペラ73によって混合される。可撓性バッグ71は、通常、剛性のタンク74に設けられる。本発明の一実施形態によるフィルタ保持装置75が、可撓性バッグ71の側壁77の内側表面に取り付けられる。フィルタ保持装置75は、ここではスタンドオフの形態の取り付け手段79を含む。取り付け手段79は、前述の実施形態について上述したように、可撓性バッグ71の側壁77の内側表面に取り付けられる。前述の実施形態に関して、フィルタ保持装置75によって保持された少なくとも1つのフィルタは、ここでは、可撓性バッグ71の側壁77の内側表面から離れた位置に設けられる。これにより、可撓性バッグ71に供給された液体が、フィルタ保持装置75と、フィルタ保持装置75が取り付けられる可撓性バッグ71の側壁77の内側表面との間を流れることができる。これにより、上述したように、フィルタ上のクロスフロー効果または接線流効果が達成される。
【0030】
図5bは、
図5aに示す可撓性バッグ71の上面図を概略的に示す。ここで、本発明によるフィルタ保持装置75は、可撓性バッグ71の側壁77の内側表面に追従するように湾曲され得ることが分かる。
【0031】
図6は、可撓性バッグの内側表面にフィルタ保持装置81を取り付ける代替的な方法を概略的に示す。フィルタ保持装置81の取り付け手段83は、フィルタ保持装置81の2つの対向する側の一部として設けられる。ここで、フィルタ保持装置の2つの対向する側が可撓性バッグの内側表面に取り付けられ、フィルタ保持装置がこれらの2つの対向する側の間に形成され、それによりフィルタ保持装置、したがって取り付けフィルタ85が、可撓性バッグの内側表面から離れた位置に設けられる。これにより、フィルタと可撓性バッグの内側表面との間に一方向、好適には可撓性バッグが揺動トレイに設けられる実施形態における揺動方向に流体の流れが許容される。
【0032】
フィルタが可撓性バッグに設けられる場合、以下のステップが本発明に従って行われる:
S1:上述のようにフィルタ保持装置に少なくとも1つのフィルタを設ける。フィルタは、フィルタ保持装置にシールすることができる。
【0033】
S3:フィルタ保持装置によって保持された少なくとも1つのフィルタが可撓性バッグの内側表面から離れた位置に設けられるように、可撓性バッグの内側表面にフィルタ保持装置を取り付ける。フィルタ保持装置は、可撓性バッグにフィルタ保持装置に設けられたスタンドオフなどの取り付け手段をシールすることによって取り付けることができる。スタンドオフは、上述のように可撓性バッグの底部壁または別の壁に取り付けることができる。
【0034】
S5:フィルタ保持装置に設けられたポートに管を取り付ける。この管を通して、濾液を回収して可撓性バッグから取り出すことができる。
[実施態様1]
可撓性バッグ(3;71)の内側に少なくとも1つのフィルタ(7;43a、43b;85)を設けるように構成されたフィルタ保持装置(1;41;75;81)であって、前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)は、前記可撓性バッグ(3;71)の内側表面に前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)を取り付けるための取り付け手段(19a〜19d、21a〜21d;79;83)を含み、それにより前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)によって保持された前記少なくとも1つのフィルタ(7;43a、43b;85)が、前記可撓性バッグ(3;71)の前記内側表面から離れた位置に設けられる、フィルタ保持装置(1;41;75;81)。
[実施態様2]
前記取り付け手段(19a〜19d、21a〜21d;79;83)が、前記可撓性バッグ(3;71)に供給された液体が前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)と、前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)が取り付けられる内側表面との間を流れることができるように前記可撓性バッグ(3;71)の前記内側表面に前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)を取り付けている、実施態様1に記載のフィルタ保持装置(1;41;75;81)。
[実施態様3]
前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)の対向する側に設けられた少なくとも2つの流れデフレクタ領域(23a、23b;53a、53b)を含み、前記流れデフレクタ領域(23a、23b;53a、53b)が、前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)の残りの部分に対して角度付けされており、それにより前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)が可撓性バッグ(3;71)に設けられるときに、前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)が取り付けられる前記可撓性バッグ(3;71)の前記表面から離れた点を向いている、実施態様1または2に記載のフィルタ保持装置(1;41;75;81)。
[実施態様4]
−離間手段(31;47a、47b)が、前記少なくとも1つのフィルタ(7;43a、43b;85)が取り付けられるべき前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)の少なくとも一方の側に設けられ、
−フィルタシール領域(9;49a、49b)が、前記離間手段(31;47a、47b)を取り囲み、フィルタ(7;43a、43b;85)の周囲にシールされて前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)によって保持されるように構成され、次に前記フィルタ(7;43a、43b;85)が、前記離間手段(31;47a、47b)を覆うようになっており、
−ポート(11;51)が、前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)の開口部(13)の周囲に配置され、前記ポート(11;51)が、濾液を回収するために管(15)に接続されるように構成される、
実施態様1乃至3のいずれか1項に記載のフィルタ保持装置(1;41;75;81)。
[実施態様5]
前記取り付け手段(19a〜19d、21a〜21d;79;83)が、可撓性バッグ(3;71)の内側壁に前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)を取り付けるためのスタンドオフ(21a〜21d)またはスタンドオフ(21a〜21d)を受け入れるための開口部(19a〜19d)である、実施態様1乃至4のいずれか1項に記載のフィルタ保持装置(1;41;75;81)。
[実施態様6]
前記開口部(19a〜19d)またはスタンドオフ(21a〜21d)が、前記フィルタシール領域(9;49a、49b)の外側に設けられる、実施態様4または5に記載のフィルタ保持装置(1;41;75;81)。
[実施態様7]
−前記フィルタ保持装置(41)の一方の側に設けられた第1の離間手段(47a)、および前記フィルタ保持装置(41)の他方の側に設けられた第2の離間手段(47b)と、
−前記第1の離間手段(47a)を取り囲み、第1のフィルタ(43a)の周囲にシールされて前記フィルタ保持装置(41)によって保持されるように構成され、次に前記第1のフィルタ(43a)が、前記第1の離間手段(47a)を覆うようになっている第1のフィルタシール領域(49a)と;
−前記第2の離間手段(47b)を取り囲み、第2のフィルタ(43b)の周囲にシールされて前記フィルタ保持装置(41)によって保持されるように構成され、次に前記第2のフィルタ(43b)が、前記第2の離間手段(47b)を覆うようになっている第2のフィルタシール領域(49b)と
を含む、実施態様1乃至6のいずれか1項に記載のフィルタ保持装置(41)。
[実施態様8]
実施態様1乃至7のいずれか1項に記載のフィルタ保持装置(1;41;75;81)を含む可撓性バッグ(3;71)であって、前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)が、その取り付け手段(19a〜19d、21a〜21d;79;83)によって前記可撓性バッグ(3;71)の内側表面に取り付けられ、それにより前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)によって保持された前記少なくとも1つのフィルタ(7;43a、43b;85)が、前記可撓性バッグ(3;71)の前記内側表面から離れた位置に設けられる、可撓性バッグ(3;71)。
[実施態様9]
可撓性バッグ(3;71)にフィルタ(7;43a、43b;85)を設けるための方法であって、
−実施態様1乃至7のいずれか1項に記載のフィルタ保持装置(1;41;75;81)に少なくとも1つのフィルタ(7;43a、43b;85)を設けるステップと、
−前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)によって保持された前記少なくとも1つのフィルタ(7;43a、43b;85)が前記可撓性バッグ(3;71)の内側表面から離れた位置に設けられるように、前記可撓性バッグ(3;71)の前記内側表面に前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)を取り付けるステップと、
−濾液を回収するために前記フィルタ保持装置(1;41;75;81)に設けられたポート(11;51)に管(15)を取り付けるステップと
を含む、方法。
[実施態様10]
実施態様8に記載の可撓性バッグ(3;71)を含む、バイオリアクタ。
[実施態様11]
揺動運動による攪拌のために適合され、前記可撓性バッグ(3;71)が、ロッカートレイ(17)に載置される、実施態様10に記載のバイオリアクタ。
[実施態様12]
インペラ(73)による攪拌のために適合され、前記可撓性バッグ(71)が、少なくとも1つのインペラ(73)を含む、実施態様10に記載のバイオリアクタ。
【符号の説明】
【0035】
1 フィルタ保持装置
3 可撓性バッグ
5 中間部
7 フィルタ
9 フィルタシール領域
11 ポート
13 開口部
15 管
17 ロッカートレイ
19a 開口部、取り付け手段
19b 開口部、取り付け手段
19c 開口部、取り付け手段
19d 開口部、取り付け手段
21a スタンドオフ、取り付け手段
21b スタンドオフ、取り付け手段
21c スタンドオフ、取り付け手段
21d スタンドオフ、取り付け手段
23a デフレクタ領域
23b デフレクタ領域
31 リブ
41 フィルタ保持装置
43a 第1のフィルタ
43b 第2のフィルタ
45 中間部
47a 第1の組のリブ
47b 第2の組のリブ
49a 第1のフィルタシール領域
49b 第2のフィルタシール領域
51 ポート
53a デフレクタ領域
53b デフレクタ領域
71 可撓性バッグ
73 インペラ
74 タンク
75 フィルタ保持装置
77 側壁
79 取り付け手段
81 フィルタ保持装置
83 取り付け手段
85 フィルタ