(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記固定ブラケットまたは前記軸受け部材に調節部が設けられて、前記調節部が、前記基台における前記操作対象部材との対向側とは逆側の背部に現れており、前記調節部を動かすことで、前記規制支持部材と前記基台との固定位置を、前記面に沿う方向へ調節可能である請求項5記載の応答力発生装置。
前記固定ブラケットと前記軸受け部材との間に、弾性挿通部材が設けられており、前記操作対象部材を前記基台に対して前記一方向へ動かすのに要する力が、前記弾性挿通部材の弾性係数で決められている請求項2ないし6のいずれかに記載の応答力発生装置。
前記基台に対して前記操作対象部材を前記対向方向に移動させるのに要する力が、前記基台に対して前記操作対象部材を前記一方向へ移動させるのに要する力よりも小さい請求項7記載の応答力発生装置。
前記固定ブラケットと前記軸受け部材は、前記一方向に間隔を空けて配置されており、前記軸部材の前記軸受け部材での支持スパンが、前記応答力付与機構と前記軸部材との前記面に沿う方向での距離よりも長い請求項2ないし8のいずれかに記載の応答力発生装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されているように、アクチュエータで生成される触感フィードバックが、タッチスクリーンにZ方向にのみ作用する構造は、触感フィードバックの付与手段として必ずしも適切ではない。例えば、車載用表示装置の場合は、車体の振動方向が、表示画面に直交するZ方向に大きく影響する傾向がある。そのため、タッチスクリーンに対して触感フィードバックをZ方向にのみ与えたときに、操作者に応答力を効率よく感じさせることができないことがある。
【0008】
また、特許文献1に記載された二重剛性サスペンションシステムは、タッチスクリーンが押圧操作されたときにタッチスクリーンが動く方向と、触感フィードバックによってタッチスクリーンに与えられる応答力の作用方向が共にZ方向である。そのため、例えば、操作者に触感フィードバックを強く感じさせるために、タッチスクリーンを弾性支持している第1の部材と第2の部材の剛性を高めると、操作者が押圧操作したときに、タッチスクリーンを適度な力でZ方向へ動かすことができなくなる。すなわち、操作者がタッチスクリーンをZ方向へ押したときに操作者の指に感じる操作反力と、タッチスクリーン与えられる触感フィードバックの強度を、それぞれ個別に最適となるように設定することができない。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、応答力付与機構から操作対象部材に対して、応答力を効率よく与えることができ、さらに、操作対象部材を押圧操作したときの操作反力と、応答力の強度とを、個別に最適となるように設定することが可能な応答力発生装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、基台と、少なくとも一部が操作部とされた操作対象部材と、前記
操作対象部材が前記基台に向けて押されたことを検知する操作検知部と、
前記操作検知部の検知動作に基づいて前記操作対象部材に応答力を与える応答力付与機構と、を有する応答力発生装置において、
前記基台と前記操作対象部材との間に位置する固定部と、前記基台上で前記固定部を支持する連結機構と、前記連結機構に含まれる弾性支持部と、前記固定部と前記操作対象部材
とを連結する移動方向規制部と、が設けられ、
前記
連結機構によって、前記操作対象部材
と前記移動方向規制部および前記固定部の移動方向が、
前記基台と前記操作対象部材との対向方向へ
規制され、前記移動方向規制部によって、
前記基台に対する前記操作対象部材の移動方向が、前記対向方向と交差する面に沿う一方向に規制されており、
前記応答力付与機構から前記操作対象部材に対して、前記一方向への応答力が与えられることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の応答力発生装置は、前記移動方向規制部が、軸部材と、前記軸部材が摺動自在に挿通される軸受け部材とを有し、
前記軸部材を固定する固定ブラケットと前記軸受け部材の一方が、前記操作対象部材に固定され、他方
が前記固定部に固定されているものとして構成できる。
【0012】
本発明の応答力発生装置は、例えば、前記弾性支持部に、前記固定ブラケットまたは前記軸受け部材と、前記基台との間に挟まれる弾性介装部材が設けられている。
【0013】
本発明の応答力発生装置は、弾性変形可能な板材で形成された規制支持部材が設けられ、前記規制支持部材に、
前記固定部と、前記固定部から前記面に沿う2方向に延びて前記対向方向へ撓む弾性腕部とが一体に形成されており、それぞれの前記弾性腕部が、前記基台に固定されているものが好ましい。
【0014】
この場合に、前記弾性腕部が前記面に沿う方向への位置を調節して、前記基台に固定可能とされていることが好ましい。
【0015】
本発明の応答力発生装置は、前記固定ブラケットまたは前記軸受け部材に調節部が設けられて、前記調節部が、前記基台における前記操作対象部材との対向側とは逆側の背部に現れており、前記調節部を動かすことで、前記規制支持部材と前記基台との固定位置を、前記面に沿う方向へ調節可能とするように構成できる。
【0016】
本発明の応答力発生装置は、前記固定ブラケットと前記軸受け部材との間に、弾性挿通部材が設けられており、前記操作対象部材を前記基台に対して前記一方向へ動かすのに要する力が、前記弾性挿通部材の弾性係数で決められているものとして構成できる。
【0017】
本発明の応答力発生装置は、前記基台に対して前記操作対象部材を前記対向方向に移動させるのに要する力が、前記基台に対して前記操作対象部材を前記一方向へ移動させるのに要する力よりも小さいことが好ましい。
【0018】
本発明の応答力発生装置は、前記固定ブラケットと前記軸受け部材が、前記一方向に間隔を空けて配置されており、前記軸部材の前記軸受け部材での支持スパンが、前記応答力付与機構と前記軸部材との前記面に沿う方向での距離よりも長いことが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の応答力発生装置は、操作対象部材が、基台に対して対向方向に交差する面に沿う一方向へのみ移動するように支持され、応答力付与機構から操作対象部材に対して前記一方向への応答力が与えられる。そのため、操作対象部材の操作部を操作する操作者に対して、前記面に双方向への応答力を確実に与えることができ、操作者が応答力を認識しやすくなる。
【0020】
また、押圧操作のときに操作者が感じる操作反力と、操作者に与えられる前記一方向の応答力の強度とを、それぞれ個別に最適となるように設定することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1ないし
図4に、本発明の実施形態の応答力発生装置1の全体構造が示されている。実施形態の応答力発生装置1は、車載用表示装置として使用される。応答力発生装置1は、Z1方向が前方でZ2方向が後方である。車載用表示装置として使用される場合には、Z1方向が車室内に向けられ、Z2方向が車両の進行方向の前方に向けられる。X1方向が左方向でX2方向が右方向、Y方向が上下方向である。
【0023】
応答力発生装置1は、基台2を有している。基台2は合成樹脂材料や軽金属材料で形成されている。基台2は、支持基台3と固定基台4を有している。固定基台4は、車室内の前方のダッシュボードまたはインストルメントパネルの内部または表面に固定される。支持基台3と固定基台4は、X1−X2方向と平行な回動軸(図示省略)を介して連結されており、支持基台3は、前記回動軸を支点として、固定基台4上で前後方向(Z1−Z2方向)へ回動自在である。
【0024】
さらに、支持基台3は、前方枠体3aと後方支持体3bとに分離可能である。
図2と
図4には、前方枠体3aと後方支持体3bとが分離されて示されている。
図1と
図3に示すように、応答力発生装置1が組み立てられている状態では、後方支持体3bの前方で、前方枠体3aが、X方向とY方向に位置決めされた状態で、ねじ止め手段または凹凸嵌合構造によって、互いに固定されている。
【0025】
図2と
図4に示すように、基台2の一部である前方枠体3aは、周囲の枠体構造部を除く中央部が支持空間部3cとなっており、この支持空間部3c内に操作対象部材5が配置される。操作対象部材5は、
図4に示すように、支持空間部3c内で後方(Z2方向)に向けられた表示基板6と、その表示基板6の前方側(Z1側)に固定された表示パネル7とを有している。表示パネル7は、カラー液晶表示パネルやエレクトロルミネッセンス表示パネルであり、表示パネル7のZ1側に向く前面が表示画面8となっている。
図1と
図2に示すように、前方枠体3aの枠内縁と、操作対象部材5の前面の周縁部との間には、わずかな隙間δが形成されている。
【0026】
表示画面8は、透明なタッチセンサを有する操作部となっている。タッチセンサは、透明基板に複数の透明電極が設けられて構成された静電容量式センサである。表示画面8に操作者の指が触れると、電極で検知される静電容量が変化し、このときの静電容量の分布の変化により、指が触れた座標位置が検知される。または、タッチセンサは、全面に透明電極が形成された透明基板に、同じく全面に透明電極が形成された透明フィルムが重ねられた抵抗式センサである。抵抗式センサは、透明フィルムのいずれかの箇所が押されると、透明フィルムに形成された透明電極と、透明基板に形成された透明電極とが短絡し、透明電極の縁部に設けられた電極部から短絡部までの抵抗値の変化が検知されて、指が触れた座標位置が判定される。
【0027】
図1と
図3に示すように、支持基台3が組立てられた状態では、
図2に示す後方支持体3bに形成された支持板部3dの前方(Z1方向)に、操作対象部材5が対向している。したがって、Z1−Z2方向が、操作対象部材5と基台2とが前後に対向する対向方向であり、X−Y平面と平行な平面が、対向方向と交差する(直交する)平面である。前記支持板部3dと、操作対象部材5に設けられた表示基板6は、前記平面と平行に配置されている。
【0028】
図2と
図4に示すように、基台2を構成している後方支持体3bの支持板部3dと、操作対象部材5の背部に設けられた表示基板6との間に、連結機構10が設けられている。連結機構10は、移動方向規制部20と、X1側で移動方向規制部20と支持板部3dとの間に位置する弾性支持部30aと、X2側で移動方向規制部20と支持板部3dとの間に位置する弾性支持部30bとを有している。
【0029】
図4、
図5、
図6および
図8にも示すように、移動方向規制部20は、軸部材21を有している。軸部材21は、対向方向(Z1−Z2方向)と直交するX−Y平面と平行な平面内での一方向であるX1−X2方向に延びている。軸部材21は、X1側に位置する軸受け部材22aとX2側に位置する軸受け部材22bに、X方向に摺動自在に挿通されている。軸部材21のX1側の端部は、固定ブラケット23aに保持されて固定されており、軸部材21のX2側の端部は、固定ブラケット23bに保持されて固定されている。
【0030】
図8の断面図に示すように、X2側の軸受け部材22bと固定ブラケット23bとの間に弾性挿通部材24bが介在し、軸部材21が弾性挿通部材24bの中心穴に挿通されている。同様に、X1側の軸受け部材22aと固定ブラケット23aとの間に弾性挿通部材24aが介在し、軸部材21が弾性挿通部材24aの中心穴に挿入されている。
【0031】
軸部材21にはX2側にワッシャ25が嵌着されており、ワッシャ25と、X2側の軸受け部材22bとの間には、軸部材21の外周側において、圧縮コイルばね26が圧縮された状態で介在している。圧縮コイルばね26によって、X2側の軸受け部材22bと弾性挿通部材24bが固定ブラケット23bに押し付けられている。
【0032】
図4と
図5および
図6に示すように、軸受け部材22aと22bのそれぞれは、操作対象部材5の背部に設けられた表示基板6に固定ねじ27によって固定される。X2側では、前記圧縮コイルばね26によって、軸受け部材22bと固定ブラケット23bとが互いに圧接されているが、X1側の軸受け部材22aを、弾性挿通部材24aに対して軸方向(X1方向)へ押し付けた状態で、2つの軸受け部材22a,22bを、表示基板6に固定する。これにより、軸部材21とその両端部の固定ブラケット23a,23bを、表示基板6との間で軸方向へのがたつきを生じることなく、表示基板6の背面に組み付けることができる。
【0033】
図4と
図6に示すように、軸部材21と、表示基板6との間に、Y方向に延びる引っ張りコイルばね28が、初期伸びを与えられた状態で掛けられている。この引っ張りコイルばね28の弾性力によって、軸部材21と操作対象部材5との間でのY方向のがたつきの発生も解消されている。
【0034】
操作対象部材5に対して、軸部材21をX1−X2方向へ相対的に移動させるときの抵抗力は、弾性挿通部材24a,24bの圧縮変形時の弾性係数で決められる。弾性挿通部材24a,24bは、やや剛性の高いゴム材料で形成されており、表示基板6に対して軸部材21をX1−X2方向へ移動させるためには、やや大きな力が必要である。
【0035】
図5と
図7に示すように、X2側に設けられた弾性支持部30bは、固定ブラケット23bと後方支持体3bの支持板部3dとの間に設けられた弾性介装部材31と、支持板部3dに開口する挿通穴32と、調節ビス33とを有している。
図7に示すように、調節ビス33は、X2側に位置する調節部33aと、調節部33aからZ1方向に延びる軸部の中間に形成された段差部33bと、段差部33bよりもZ1方向に延びる小径軸部33cと、小径軸部33cのZ1側の先部に形成された雄ねじ部33dを有している。また、調節部33aには、Z2方向に向けて解放された形状の治具操作部33eが形成されている。
【0036】
図7に示すように、弾性介装部材31は、その一部が後方支持体3bの支持板部3dと、固定ブラケット23bとの間に挟まれ、他の部分が挿通穴32の内部に嵌着されている。調節ビス33は、Z2側から挿通穴32の内部に挿入されるとともに、弾性介装部材31の中心穴に挿入されるが、弾性介装部材31の中心穴と調節ビス33の軸部との間に、調節隙間G1が形成されている。この調節隙間G1の範囲内で、後方支持体3bの支持板部3dに対して、調節ビス33および固定ブラケット23bをX−Y平面と平行な平面内でわずかに移動させることができる。
【0037】
X1側に設けられた弾性支持部30aも同様に、弾性介装部材31と挿通穴32および調節ビス33を有しており、その構造は、X2側に設けられた前記弾性支持部30bと同じである。
【0038】
図2と
図4と
図5および
図6に示すように、連結機構10には、X1側に規制支持部材40aが設けられ、X2側に規制支持部材40bが設けられている。規制支持部材40a,40bは、対向方向(Z1−Z2方向)と交差する(直交する)X−Y平面に沿う一方向であるX1−X2方向に間隔を空けて2か所に設けられている。
【0039】
規制支持部材40a,40bは、弾性変形可能な金属板(板ばね材料)で形成されている。X1側の規制支持部材40aには固定部41aが、X2側の規制支持部材40bには固定部41bが設けられている。規制支持部材40a,40bのそれぞれには、固定部41a,41bから2方向に延び出る弾性腕部42x,42yが一体に形成されている。弾性腕部42xと弾性腕部42yは、互いに直交する方向に延びている。弾性腕部42xはX方向に延び、弾性腕部42yはY方向に延びている。
【0040】
規制支持部材40aの固定部41aに固定ブラケット23aが、固定ねじ36によって固定されており、規制支持部材40bの固定部41bにも固定ブラケット23bが固定されている。
図2に示すように、固定部41a,41bの中央部分に雌ねじ穴43が形成されている。
【0041】
図7に示すように、X2側の弾性支持部30bと規制支持部材40bとの関係では、調節ビス33がZ2側から挿通穴32および弾性介装部材31の中心穴に挿入され、調節ビス33の段差部33bが、固定ブラケット23bに突き当てられる。この状態で、調節ビス33の小径軸部33cが固定ブラケット23bに形成された挿通穴29に挿入され、小径軸部33cの先部の雄ねじ部33dが、規制支持部材40bの固定部41bに形成された雌ねじ穴43に螺着される。調節ビス33を強く締め付けることで、固定ブラケット23bと調節ビス33および規制支持部材40bの固定部41bとが一体に固定される。これは、X1側に設けられた固定ブラケット23aと規制支持部材40aおよび調節ビス33との関係においても同じである。
【0042】
X1側に設けられた規制支持部材40aとX2側に設けられた規制支持部材40bは、それぞれの弾性腕部42xの先端部が、固定機構45によって、支持板部3dに固定され、それぞれの弾性腕部42yの先端部が、固定機構46によって、支持板部3dに固定されている。
図5に固定機構45と固定機構46を構成する部材が分解されて示され、
図7に、固定機構46の構造が拡大断面図で示されている。
図5に示すように、固定機構45は、支持基台3の支持板部3dに開口する取付け穴45bと、弾性腕部42xの先端部に形成された雌ねじ穴45cと、固定ねじ45aとで構成されている。固定機構46は、支持基台3の支持板部3dに開口する取付け穴46bと、弾性腕部42yの先端部に形成された雌ねじ穴46cと、固定ねじ46aとで構成されている。
【0043】
図7に示すように、固定機構46では、固定ねじ46aが、Z2側から、取付け穴46bに挿入され、固定ねじ46aの先部の雄ねじ部46dが、弾性腕部42yの雌ねじ穴46cに螺着されている。また、固定ねじ46aの軸部と取付け穴46bの内面との間に調節隙間G2が形成されている。固定機構45においても、固定ねじ45aが、Z2側から、取付け穴45bに挿入され、固定ねじ45aの先部の雄ねじ部が、弾性腕部42xの雌ねじ穴45cに螺着されている。固定ねじ45aの軸部と取付け穴45bの内面との間にも、固定機構46と同等の調節隙間G2が形成されている。また、X1側の規制支持部材40bにおいても、同様の構造の固定機構45と固定機構46が設けられている。
【0044】
図7に示すように、固定ブラケット23a,23bを支持基台3に支持している弾性支持部30a,30bに調節隙間G1が形成され、支持基台3に調節支持部材40a,40bを固定するための固定機構45,46にも、調節隙間G2が形成されている。よって、支持基台3の支持板部3dに対する、固定ブラケット23a,23bおよび規制支持部材40a,40bの相対位置を、X−Y平面と平行な面に沿って調節することが可能である。
【0045】
図2と
図3に示すように、支持基台3と操作対象部材5との間では、図示上方においてX1側とX2側に離れた位置に補助弾性支持部50が設けられている。
図9には、補助弾性支持部50の断面図が示されている。
【0046】
図9に示すように、補助弾性支持部50では、操作対象部材5の表示基板6の背面にボス54が固定されている。ボス54には雌ねじ穴54aが形成されている。補助弾性支持部50は、前記ボス54と支持板部3dとの間に設けられた弾性介装部材51と、支持板部3dに開口する挿通穴52と、支持ビス53とを有している。支持ビス53は、X2側に位置する調節部53aと、調節部53aからZ1方向に延びる軸部の中間に形成された段差部53bと、段差部53bよりもZ1方向に延びる雄ねじ部53cを有している。また、調節部53aには、Z2方向に向けて解放された形状の治具操作部53eが形成されている。
【0047】
補助弾性支持部50では、支持ビス53がZ2側から挿通穴52および弾性介装部材51の中心穴に挿入され、支持ビス53の段差部53bが、ボス54に突き当てられる。この状態で、支持ビス53の段差部53bからZ1側に延びる雄ねじ部53cが、ボス54の雌ねじ穴54aに螺着される。支持ビス53を強く締め付けることで、操作対象部材5の表示基板6と支持ビス53とが一体に固定される。また、弾性介装部材51の中心穴と、支持ビス53の軸部との間に、調節隙間G3が形成される。
【0048】
図2と
図4と
図5に示すように、連結機構10では、固定ブラケット23a,23bと軸部材21とが軸受け部材22a,22bを介して操作対象部材5に支持されている。そして、
図7に示すように、弾性支持部30a,30bでは、固定ブラケット23a,23bと支持板部3dとの間に弾性介装部材31が介在している。また、固定ブラケット23a,23bは規制支持部材40a,40bによっても支持板部3dに支持されている。さらに、
図9に示すように、補助弾性支持部50では、ボス54と支持板部3dとの間に弾性介装部材51が介在している。
【0049】
このような支持構造により、操作対象部材5がZ2方向へ押されると、弾性介装部材31と弾性介装部材51の圧縮変形と、規制支持部材40a,40bの弾性腕部42x,42yの撓み変形により、操作対象部材5が、支持板部3dに接近するようにZ2方向へ移動することができる。このとき、弾性介装部材31,51の収縮変形による弾性反発力と弾性腕部42x,42yの撓み変形による弾性反力によって、操作対象部材5に対してZ1方向への操作反力が作用する。操作対象部材5を支持板部3dに接近させるのに必要な力は、弾性介装部材31,51の弾性係数と、弾性腕部42x,42yのばね定数とで決められる。
【0050】
また、操作対象部材5を支持基台3に対してX1−X2方向へ移動させるのに必要な力は、固定ブラケット23a,23bと軸受け部材22a,22bとの間に介在する弾性挿通部材24a,24bの弾性係数で決められる。操作対象部材5をZ2方向へ押して移動させるのに要する力は、支持基台3に対して操作対象部材5をX1−X2方向へ相対的に動かすのに要する力よりも小さいことが好ましい。
【0051】
図4と
図6に示すように、応答力発生装置1には応答力付与機構60が設けられている。応答力付与機構60は、機構本体部61と、応答力伝達板62とを有している。機構本体部61は、固定基台4の内部に収納されて固定されている。応答力伝達板62は、撓み変形可能であり、その上端部が固定ねじ63によって表示基板6に固定されている。
【0052】
応答力付与機構60の機構本体部61は、箱体の内部に、所定の質量を有する磁性材料製の可動部が設けられ、可動部が箱体内でばねによりX1−X2方向へ移動自在に支持されている。可動部にはコイルが巻かれ、箱体の内部に、可動部に対向する磁石が設けられている。コイルに通電されると可動部が磁化され、その磁化による極性と磁石の極性とによる吸引力および反発力で、可動部がX1−X2方向へ駆動される。可動部が駆動されるときの力、または前記力の反力が応答力伝達板62に伝達されて、操作対象部材5にX1−X2方向の応答力が与えられる。
【0053】
なお、応答力付与機構60の機構本体部61の構造としては、モータの出力軸に質量が偏った回転子が固定されており、モータの回転に寄り、X1−X2方向への振動が発生するものであってもよい。
【0054】
図2に示すように、後方支持体3bの支持板部3dのZ1側に向く表面に、操作検知部65,65が設けられている。操作検知部65,65はフォースセンサであり、操作対象部材5がZ2方向に押されて動いたときに、フォースセンサが動作させられ、検知出力が得られる。なお、操作検知部として、フォースセンサなどを使用せず、表示画面8に設けられたタッチセンサで、接触している指の面積を検知し、その検知面積がしきい値よりも大きくなったときに、操作対象部材5がZ2方向へ向けて押圧操作されたことを検知してもよい。
【0055】
次に、支持基台3に操作対象部材5を位置決めして取り付ける作業を説明する。
連結機構10では、軸部材21を一対の軸受け部材22a,22bに挿通し、このときにワッシャ25と圧縮コイルばね26を取付ける。軸部材21の両端部に弾性挿通部材24a,24bを挿通させ、さらに軸部材21の両端部に固定ブラケット23a,23bを固定する。そして、固定ブラケット23a,23bと規制支持部材40a,40bとを固定ねじ36で固定する。X1側の軸受け部材22aを弾性挿通部材24aに対してX1方向へ押し付けた状態で、軸受け部材22a,22bを、固定ねじ27によって、操作対象部材5の表示基板6に固定する。また、軸部材21と表示基板6との間に引っ張りコイルばね28を装着する。
【0056】
支持基台3では、前方枠体3aを後方支持体3bから外した状態で、後方支持体3bの支持板部3dの前方に操作対象部材5を設置する。このとき、
図7に示すように、弾性支持部30a,30bでは、固定ブラケット23a,23bと支持板部3dとの間に弾性介装部材31を介在させる。そして調節ビス33を、後方支持体3bのZ2側から弾性介装部材31の中心穴および、固定ブラケット23a,23bに形成された挿通穴29の内部に挿入し、調節ビス33の先部の雄ねじ部33dを、規制支持部材40a,40bの固定部41a,41bに形成された雌ねじ穴43に螺着させる。このとき、固定ブラケット23a,23bと支持板部3dとの間で、弾性介装部材31を少しだけ圧縮させた状態としておく。
【0057】
図9に示すように、補助弾性支持部50では、操作対象部材5の表示基板6に固定されたボス54と支持板部3dとの間に弾性介装部材51を介装させ、Z2側から支持ビス53を弾性介装部材51の中心穴に挿入し、支持ビス53の段差部53bよりも先部の雄ねじ部53cをボス54に形成された雌ねじ穴54aに螺着させる。このときも、ボス54と支持板部3dとの間で、弾性介装部材51を少しだけ圧縮させた状態としておく。
【0058】
さらに、
図7に示すように、固定機構46において、支持板部3dに形成された取付け穴46bに、固定ねじ46bをZ2側から挿入し、固定ねじ46bの雄ねじ部を、規制支持部材40a,40bの弾性腕部42yの先部に形成された雌ねじ穴46cに螺着する。固定機構45においても、支持板部3dに形成された取付け穴45bに、固定ねじ45aをZ2側から挿入し、固定ねじ45aの雄ねじ部を、弾性腕部42xの先部に形成された雌ねじ穴45cに螺着する。
その後に、支持基台3の前方枠体3aを後方支持体3bの前方に組み合わせて固定する。
【0059】
X1側の固定機構45,46およびX2側の固定機構45,46において、固定ねじ45a,46aを完全に締め付けない状態にしておく。そして、
図3に示すように、弾性支持部30a,30bにおいて、支持基台3の背部に現れている調節ビス33の調節部33aに開口している治具操作部33eと、補助弾性支持部50において、支持ビス53の調節部53aに形成された治具操作部53eに治具を挿入し、
図7に示す調節隙間G1,G2と
図9に示す調節隙間G3の範囲内で、調節ビス33と支持ビス53の少なくとも一方を、X−Y平面と平行な平面内で移動させる。
【0060】
この調節で、
図1と
図2に示すように、前方枠体3aの枠内縁と、操作対象部材5の前面の周縁部との間の隙間δがX1側とX2側およびY側の上下において均一となるように設定することが可能となる。調節が完了したのちに、X1側とX2側に設けられた固定機構46の固定ねじ46aを締め付けて、
図7に示す弾性腕部42yの先部を支持板部3dの内面に固定する。同様にして、X1側とX2側に設けられた固定機構45の固定ねじ45aを締め付けて、弾性腕部42xの先部を支持板部3dの内面に固定する。
【0061】
なお、応答力付与機構60に設けられた応答力伝達板62は、前方(Z1方向)へ撓み変形可能であるため、操作対象部材5を支持基台3に取付けるときに、応答力伝達板62を前方に撓ませて、応答力伝達板62を固定ねじ63により、表示基板6に固定する。
【0062】
次に、応答力発生装置1の動作を説明する。
車載用表示装置として使用される応答力発生装置1では、操作対象部材5の操作部である表示画面8に表示された画像を参照しながら、表示画面8のいずれかの箇所に操作者の指を触れさせると、タッチセンサからの座標検知出力によって、指が画像のどの部分に触れたかが判別される。
【0063】
その指で、表示画面8を後方(Z2方向)に押すと、その押圧操作力は、軸受け部材22a,22bから軸部材21を経て固定ブラケット23a,23bに作用し、
図7の断面図に示す弾性支持部30a,30bにおいて、弾性介装部材31が圧縮変形させられる。
図9に示す補助弾性支持部50においても、表示基板6に固定されたボス54によって弾性介装部材31が圧縮変形させられ、操作対象部材5が支持板部3dに向けてZ2方向へ移動させられる。
【0064】
そして、操作対象部材5によって、
図2に示すように、支持基台3の支持板部3dに設けられた操作検知部(フォースセンサ)65が押され、表示画面8が押圧操作されたことが検知される。図示しない本体制御部では、タッチセンサの検知出力と操作検知部65の検知出力から、さらに表示画面8に表示されている画像の画像信号から、どのような操作が行われたかを判別し、意図した操作に基づく処理動作が開始される。
【0065】
このときに、表示画面8から操作者の指に与えられる操作反力は、弾性支持部30a,30bに設けられた弾性介装部材31の圧縮変形時の弾性係数、および補助弾性支持部50に設けられた弾性介装部材51の圧縮時の弾性係数、さらには規制支持部材40a,40bの弾性腕部42x,42yの撓み変形のばね定数で決められる。
【0066】
操作検知部65によって操作対象部材5がZ2方向へ押されたことが検知されると、本体制御部から応答力を発生するための動作指令が出され、応答力付与機構60の機構本体部61が駆動される。機構本体部61で発生するX1−X方向の応答力は、応答力伝達板62から操作対象部材5に与えられる。このときの応答力は、操作対象部材5をX1−X2方向へ一周期で往復動作させる単発の力であり、あるいはX1−X2方向へ複数周期で往復動作させる振動力である。
【0067】
移動方向規制部20では、操作対象部材5の表示基板6に固定された軸受け部材22a,22bが、X1−X2方向に延びる軸部材21に摺動自在に支持されているため、操作対象部材5の支持基台3に対する相対動作がX1−X2方向に規制される。そのため、応答力付与機構60から力が与えられたときに、操作対象部材は、X1−X2方向にのみ動作するようになる。
【0068】
また、移動方向規制部20では、固定ブラケット23a,23bが規制支持部材40a,40bに固定されており、規制支持部材40a,40bにおいて交差する方向(直交する方向)に延びる弾性腕部42x,42yが支持板部3dに固定されている。しかも、弾性腕部42x,42yはその板面が、応答力の作用方向であるX1−X2方向とほぼ平行に向けられて、弾性腕部42x,42yのX1−X2方向への剛性が高くなっている。そのため、固定ブラケット23a,23bは、押圧操作方向であるZ1−Z2方向へ動きやすいが、X−Y平面の面方向には動きにくくなっており、応答力付与機構60から応答力が作用したときに、操作対象部材5はX1−X2方向にのみ動作できるようになる。
【0069】
操作者の指で操作対象部材5の表示画面8がZ2方向へ押されたときに、表示画面8から指に作用する応答力が、押圧操作方向と交差する(直交する)X1−X2方向であるため、表示画面から指で応答力を感じやすくなる。特に応答力発生装置1が車載用表示装置として使用される場合には、車体振動によって表示画面が前後方向(Z1−Z2方向)へ常に揺れているために、X−Y平面と平行な面内の一方向へ応答力を作用させることで、操作者の指に応答力を効果的に感じさせることが可能になる。
【0070】
ここで、移動方向規制部20が存在しておらず、操作対象部材5が、支持板部3dに対し、弾性支持部30a,30bの弾性介装部材31と、補助弾性支持部50の弾性介装部材51のみで支持されていると仮定する。この場合には、弾性介装部材31と弾性介装部材51が、X−Y平面のあらゆる方向へ変形できるため、応答力付与機構60から操作対象部材5に対してX1−X2方向への応答力を与えたとしても、操作対象部材5がX1−X2方向以外の運動成分を有することになる。
【0071】
すなわち、前記仮定の下で、応答力付与機構60にX1−X2方向の力を発生させると、この力により、操作対象部材5には、支持基台3よりも図示上方に支点を有するモーメント(
図6に示すモーメントα)が作用する。そのため、応答力付与機構60から操作対象部材5にX1−X2方向への応答力を作用させようとしても、前記モーメントαにより操作対象部材5が回動動作しようとし、操作対象部材5に与えるべき応答力が、X方向成分のみならずY方向成分も有することになり、操作者の指に強く切れの良い応答力を感じさせるのが困難になる。
【0072】
これに対し、実施形態の応答力発生装置1は、移動方向規制部20で規制されている操作対象部材5の移動方向と、応答力付与機構60から操作対象部材5に与えられる力の方向とが、共にX1−X2方向で一致しているため、応答力付与機構60で発生する運動エネルギーを、操作対象部材5に対してX1−X2方向に向けて集中して与えることができる。そのため、操作対象部材5に大きな加速度を与えることが可能になる。
【0073】
操作者の指で操作対象部材5の表示画面8を対向方向であるZ2方向に押したときに、表示画面8から指に作用する応答力が、押圧操作方向と交差する(直交する)X1−X2方向であるため、表示画面から指で応答力を感じやすくなる。しかも、表示画面8をX−Y平面と平行な面内の一方向へのみ動作させることで、指に大きな加速度を感じさせることが可能になる。
【0074】
また、
図6に示すように、軸受け部材22a,22bの間の軸部材21の支持スパンLと、応答力付与機構60での力発生部と軸部材21との、X−Y平面上での距離Hとでは、支持スパンLが距離Hよりも十分に長くなっている。操作対象部材5をX1−X2方向へ案内している軸部材21と、X1−X2方向への駆動力の発生部とが接近しているため、軸受け部材22a,22bと軸部材21との間に、いわゆるスティックスリップ運動が生じにくくなり、軸受け部材22a,22bと軸部材21との間の摩擦抵抗も小さくなる。そのため、操作対象部材5に対して、X1−X2方向の大きな加速度を効率よく与えることが可能になる。
【0075】
表示画面8を指で押したときの反力は、弾性支持部30a,30bに設けられた弾性介装部材31の弾性係数と、補助弾性支持部50に設けられた弾性介装部材51の弾性係数と、さらに規制支持部材40a,40bの弾性腕部42x,42yのばね定数で決められる。また、応答力付与機構60で操作対象部材5をX1−X2方向へ動かすときの抵抗力は、移動方向規制部20に設けられた弾性挿通部材24a,24bの弾性係数で決められる。
【0076】
操作者が指で表示画面8を押したときは比較的弱い力でも操作対象部材5がZ2方向へ移動できることが好ましく、応答力付与機構60から操作対象部材5に応答力が与えられたときに操作対象部材5から指に切れの良い強い力を与えるためには、操作対象部材5をX1−X2方向へ動かすときの弾性抵抗が大きい方がよい。よって、操作対象部材5をZ2方向へ動かすのに要する力よりも、操作対象部材5をX1−X2方向へ動かすのに要する力の方が大きいことが好ましい。
【0077】
この応答力発生装置1は、操作者が指で表示画面8を押したときの操作反力と、操作対象部材5をX1−X2方向へ動かすときの弾性抵抗を個別に最適となるように設定することが可能である。
【0078】
以下、本発明の変形例を説明する。
本発明は、移動方向規制部20の構造として、実施形態とは逆に、固定ブラケット23a,23bが操作対象部材5の表示基板6に固定されて、軸受け部材22a,22bが弾性介装部材31を介して支持板部3dに支持され、規制支持部材40a,40bの固定部41a,41bに軸受け部材22a,22bが固定されてもよい。この場合に、調節ビス33は軸受け部材22a,22bに固定される。
【0079】
また、移動方向規制部20の軸部材21の延びる方向は、X−Y平面と平行な面内であればどの向きでもよく、例えばY方向であってもよい。
【0080】
実施形態では、移動方向規制部20に設けられた軸部材21が一本であるが、軸部材21が二本に分割されて、それぞれの軸部材の軸中心が同一線上に位置していてもよい。この場合に、それぞれの軸部材に軸受け部材と固定ブラケットが個別に設けられる。
【0081】
また、応答力付与機構60は、機構本体部61が、操作対象部材5に直接に固定されていてもよい。
【0082】
なお、前記実施形態は、操作対象部材5が車載用表示装置であるが、操作対象部材はこれに限られるものではなく、例えば自動車の車室内に設けられたインストルメントパネルの一部が、静電容量式センサを備えた操作対象部材であってもよい。