(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、浴室や台所などで使用される洗浄具として、泡立ち性をよくするために、合成樹脂等からなるネットを複数積層し、結合させたものが提案されている(特許文献1)。
しかし、上記のような洗浄具では、泡立ち性は良くなる一方、使用後、ネット内部のゴミを取り除くことが困難なうえ、内部までの水切れが容易にできず、雑菌の繁殖を招き易いので、衛生面で欠点があった。
【0003】
これに対し、特許文献2では、乾燥性を高めて雑菌の繁殖を抑えるために、布巾状のネットの一部にポケットを形成することで、使用時には、布巾状のネット全体を該ポケットに小さく丸めて収納し、使用後には、ポケットから出して元の布巾状に広げられる構成の洗浄具が提案されている。
しかし、この洗浄具は、ゴム手袋をはめたまま水仕事を行うことが多い主婦にとっては、布巾状のネットを小さなポケットに出し入れする作業が煩雑であった。
【0004】
一方、本発明者等は、先に、乾燥性が高く、泡立ち性や泡持ち性に極めて優れた洗浄用編布を提案している(特許文献3参照)。この洗浄用編布は、2層のネットを連結した構成であるが、薄く、手で掴みにくいことから、作業性に改善の余地があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような現状を考慮し、作業性や泡立ち性等に優れていながら、水切れ良好で、乾燥性が高く、しかも、ネットに付着したゴミや汚れの除去が極めて容易なネット洗浄具の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決するために検討を重ねた結果、
袋状体あるいは筒状体の編布に、少なくとも1つの綴じ部を設ければ、使用時には、容易に嵩増しができ、使用後には、その嵩増しした形状から元の状態に容易に広げられることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、袋状体または筒状体の編布からなるネット洗浄具であって、前記編布が、少なくとも1つの開口端から5〜25mmの範囲に、
常温で50%以上の伸度を持つ弾性糸からなる伸縮性を有する材料を含み、該開口端近傍部が
外側にカーリングし、かつ前記編布が、長軸方向両端部間の適宜位置に、前記袋状体または筒状体の綴じ部を少なくとも1つ有することを特徴とする。このとき、前記綴じ部の幅が、前記編布の長軸方向の長さの0.2〜10%であることが好ましい。
なお、本明細書において、袋状体の編布とは、長軸方向両端部の一方が開口し、他方が閉じられている形態(
図1参照)を指し、筒状体の編布とは、長軸方向両端部が開口している形態(
図5参照)を指す。図中、符号4,44,54は、開口している端部(以下、「開口端」)を示す。
【発明の効果】
【0009】
使用時には、
図1に示すような袋状体のネット洗浄具では、開口している側(以下、「開口部側」)を裏返して、綴じ部側へ、更には綴じ部を越えて、他方の閉じられている側(以下、「閉部側」)に重ねることで、編布同士の重ね部が増え、嵩高い形状に変形し、泡立ち性が飛躍的に向上するのみならず、洗剤使用量が少なくても、優れた洗浄力が得られる。そのうえ、変形後の嵩高い形状は、洗浄の際に手で掴みやすく、また、開口端から、手を入れて使用すれば、手指の動きとの追従性に優れるので、効率的な洗浄作業を行いやすい。
【0010】
図5に示すような筒状体のネット洗浄具では、一方の開口部側を裏返して、綴じ部側へ、更には綴じ部を越えて、他方の開口部側に重ねることで、編布同士の重ね部が増え、嵩高い形状に変形し、上記袋状体のネット洗浄具と同様の効果が得られる。
【0011】
使用後には、前記袋状体のネット洗浄具、筒状体のネット洗浄具共に、裏返した開口部側を、元の状態に戻し、広げることで、編布(ネット)に付着したゴミや汚れが落としやすく、また、水切れも良好で、全面的に早く乾燥し得るので、非常に清潔で、衛生的である。
したがって、本発明の袋状体または筒状体のネット洗浄具を、使用後に、浴室、洗面所、炊事場など湿度の高い場所に置いておいても、細菌、真菌などの繁殖の虞がない。しかも、前記したような開口部側の“裏返し”並びに“元の状態への戻し”は、ゴム手袋をはめたままでも、容易に行うことができる。
【0012】
さらに、前記袋状体のネット洗浄具、筒状体のネット洗浄具共に、編布の少なくとも1つの開口端近傍部に、伸縮性を有する材料を含ませれば、該開口端近傍部に自動的にカーリング(一般に“耳まくれ”とも呼ばれる現象)が生じる結果、
α)前記したような開口部側の“裏返し”により編布同士の重ね部を増やした際に、該重ね部に十分な空間が保たれ、より嵩高い形状が得られやすく、より一層優れた泡立ち性や洗浄力などを実現できる、
β)開口端から手を入れて使用する際に、カーリングが手首などにフィットしやすく、洗浄作業中、常に掴んでいなくとも手から外れることが無い、
などの作用効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、本発明のネット洗浄具の一実施形態を説明する。
図1(A)〜(C)に示すように、一実施形態に係るネット洗浄具10は、袋状体の編布からなり、この編布は、長軸方向両端部間の適宜位置に、袋状体の綴じ部3を少なくとも1つ有する(
図1では、綴じ部3が1つの場合を例示している)。
図中、符号2,4は、編布の長軸方向の両端部を示すと共に、符号2は、袋状体の閉じている端部(以下、「閉端」)を、符号4は、開口端を、それぞれ示す。また、綴じ部3を境目として、開口している側(
図1に向かって綴じ部3の左側)を、「開口部側O」、閉じている側(
図1に向かって綴じ部3の右側)を、「閉部側S」と称して、以下説明する。
【0015】
図2は、
図1に示したネット洗浄具10の開口部側Oを、裏返していく状態を説明する模式図であり、(A)は綴じ部3の手前まで裏返した状態、(B)は綴じ部3で止まるまで裏返し、閉部側Sに重なるようにした状態を示す。
【0016】
すなわち、一実施形態に係るネット洗浄具10では、使用時には、
図2(A),(B)に示すように、開口部側Oを裏返して、綴じ部3側へ、更には綴じ部3を越えて、閉部側Sに重ねることで、編布同士の重ね部が増え、嵩高い形状に変形し、泡立ち性が飛躍的に向上するのみならず、洗剤使用量が少なくても、優れた洗浄力が得られる。
しかも、変形後の嵩高い形状は、洗浄の際に手で掴みやすく、また、開口端4から、手を入れて使用すれば、手指の動きとの追従性に優れるので、効率的な洗浄作業を行いやすい。
【0017】
そして、使用後には、
図2(A),(B)に示すような開口部側Oを、
図1に示すような元の状態に戻し、広げることで、編布全体に付着したゴミや汚れが落としやすく、また、水切れも良好で、全面的に早く乾燥し得るので、非常に清潔で、衛生的である。
したがって、本発明のネット洗浄具を、使用後、浴室、洗面所、炊事場など湿度の高い場所に置いておいても、細菌、真菌などの繁殖の虞がない。
そのうえ、前記したような開口部側Oの“裏返し”並びに“元の状態への戻し”は、ゴム手袋をはめたままでも、容易に行うことができる。
【0018】
綴じ部3は、前記したような開口部側Oの“裏返し”により、編布同士の重ね部を増やして嵩高い形状に変形させる際の目安であり、ストッパーとなる。
すなわち、綴じ部3が存在しないと、編布が、そのまま全て裏返しになってしまうことがあり、嵩高い形状が得られにくい等の問題が生じる。
【0019】
図1,2では、綴じ部3は、編布の長軸方向の両端部間の中心近傍に1つ設けられている。
本発明では、綴じ部3は、上記のようなストッパーとしての作用が発現するのであれば、
図3に示すように、曲線状や波線(ジグザグ線)状、あるいは破線状に、複数設けることもできる。
図3は、綴じ部の他の例を説明する図である。
図3に示すような複数の綴じ部3,3′,3′′・・・を有するネット洗浄具10では、開口端4に一番近い綴じ部(
図3では、符号3)の向かって左側が、開口部側Оとなる。
このような綴じ部の幅は、耐久性や泡立ち性、泡持ち性などを考慮すると、編布の長軸方向の長さの0.2〜10%とす
る。0.2%未満では、綴じ部が、強度不足のため耐久性に劣るものとなり、破れることがある。一方、10%を超えると、編布の袋状体または筒状体の内部に十分な空間が形成されにくく、泡立ち性や泡持ち性が阻害されてしまう。
【0020】
本発明の編布は、丸編み機や横編み機など、従来公知の方法にて編成することができる。中でも、横編み機を用いて編成した場合は、編布を編みながら、綴じ部3や閉端2の形成ができるので好ましい。
綴じ部3や閉端2の形成は、上記のように編布を編み上げる際に横編み機で編成してもよいし、縫着、貼着、溶着(熱融着)、鈎着など公知の方法で設けることもできる。
【0021】
編布の編み方は、特に限定されず、メリヤス編み(平編み)、ゴム編み(あぜ編み)、片あぜ編み、パール編み(ガーター編み)等、従来公知の編み方を採用すればよい。
【0022】
このような編布に用いる糸材は、一般的なネット洗浄具に用いられているものを使用することができる。例えば、
ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリオレフィン、ポリウレタン等の合成繊維製のモノフィラメント糸、マルチフィラメント糸、あるいは、
ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン等の合成樹脂フィルム製の平糸(スリット糸)、その金属蒸着させたもの、
などが挙げられ、これらは単独でも、複数種を併用して用いてもよい。
中でも、フィラメント糸と、コシの強い平糸とを併用して編み込むと、平糸が編み込まれた状態から元の状態に戻ろうとするため、編み目が膨らみやすい作用が発現し、洗浄具用途としては、嵩高い形状が得られやすく、汚れに対する掻き取り性にも優れていて、好ましい。
【0023】
本発明の編布では、開口部側Oと閉部側Sとは、構成(編み方、厚み、形状など)、素材(糸材、色など)、物性などにおいて、同一でも異なっていてもよい。
例えば、開口部側Oの編み目を閉部側Sの編み目より大きくしたり、
図2(C)に示すように、裏返した開口部側Oがミトンのような形状になるようにしてもよい。
【0024】
また、本発明では、上記のような編布が、少なくとも1つの開口端近傍部に、伸縮性を有する材料を含
む。
図4に、ネット洗浄具10の開口端4の近傍部に、伸縮性を有する材料を含ませる一例を示す。
図4に示すように、編布の少なくとも1つの開口端近傍部に、伸縮性を有する材料を含ませれば、該近傍部に自動的にカーリング6が生じる。
上記近傍部としては、開口端4から5〜25mm程度の範囲とすればよい。
【0025】
伸縮性を有する材料としては、常温で50%以上の伸度を持つ弾性糸
からなる。常温における伸度が50%未満の場合、開口端近傍部におけるカーリングが生じないことがある。
さらに、本発明では、上記伸縮性を有する材料を含ませた領域の編み方として、例えば、メリヤス編み(天竺編み)などを採用してもよい。
【0026】
このように、編布の少なくとも1つの開口端近傍部に伸縮性を有する材料を含ませれば、該近傍部にカーリング6が自動的に生じる結果、開口部側Oを裏返して、編布同士の重ね部を増やした際に、それら編布間に十分な空間を保持し易くなるので、より嵩高い形状が得られ、より一層優れた泡立ち性や洗浄力などを実現できる。
加えて、開口端4から手を入れて使用する際に、カーリング6が手首などにフィットしやすくなり、洗浄作業中、常に掴んでいなくとも、手から抜け落ちることが無い。
【0027】
次に、本発明のネット洗浄具の他の実施形態を説明する。
図5に示すように、他の実施形態に係るネット洗浄具50は、筒状体の編布からなり、この編布は、長軸方向両端部間の適宜位置に、筒状体の綴じ部53を少なくとも1つ有する。
ネット洗浄具50では、筒状体の編布の長軸方向の端部44,54がいずれも開口していて、符号53が、筒状体の綴じ部を表している。
【0028】
筒状体のネット洗浄具50では、裏返す側は、綴じ部53の左側(図中、符号L)であっても、右側(符号R)であってもよいし、左右両側であってもよい。
従って、この実施形態に係るネット洗浄具50においても、このような“裏返し”並びに“元の状態への戻し”により、
図1〜4に示したネット洗浄具10と同様の作用効果を奏する。
【0029】
また、
図5に示すような筒状体のネット洗浄具50においても、
図1〜4に示したネット洗浄具10と同様に、少なくとも1つの開口端44,54の近傍部に、伸縮性を有する材料を含ませることができる。
図6(A)は、筒状体の編布の両方の開口端44,54の近傍部に、伸縮性を有する材料を含ませた例であり、符号56,66は、カーリングを示す。
図6(A)に示すように、開口端44,54の近傍部には、カーリング56,66が良好に生じ、前述の
図4に示したネット洗浄具10と同様の泡立ち性、洗浄力、洗浄作業性などにおいて優れた作用効果を奏する。
【0030】
さらに、
図5に示すような筒状体のネット洗浄具50では、裏返しを複数回行うことで、例えば、
図6(B),(C)に示すように、変形させて使用することもできる。
特に、
図6(C)に示すような、2つのドーナツ状体を重ねたような形状は、女性の手が握りやすいコンパクトな形状ゆえ、力も入りやすく、しつこい汚れを掻き落とすことができる。
【0031】
また、
図5に示すような筒状体のネット洗浄具50においても、綴じ部53の左側Lと、右側Rとは、構成(編み方、厚みなど)、素材(糸材、色など)、物性などにおいて、同一でも異なっていてもよい。
例えば、左側Lと右側Rとの構成、素材、物性のうちの少なくとも1つを違うものとすることで、洗浄したい部分に最適な方を、裏返す側とすることもできる。