(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
二次電池用活物質粒子(B)の表面に有機高分子化合物からなる被覆層を有する電池用被覆活物質の製造方法であって、前記有機高分子化合物が、ポリウレタン樹脂(P1)及び/又はラジカル重合性単量体の重合体(P2)であって、重合体(P2)がビニルモノマー(b)をラジカル重合反応したものであり、超臨界二酸化炭素、亜臨界二酸化炭素又は液体二酸化炭素である圧縮性流体(F)中で二次電池用活物質粒子(B)を有機高分子化合物により被覆する工程を含むことを特徴とする二次電池用被覆活物質の製造方法。
前記の圧縮性流体(F)中で二次電池用活物質粒子(B)を有機高分子化合物により被覆する工程が、二次電池用活物質粒子(B)が存在する圧縮性流体(F)中で有機高分子化合物を得る重合反応を行う重合工程を含む請求項1又は2に記載の二次電池用被覆活物質の製造方法。
前記の圧縮性流体(F)中で二次電池用活物質粒子(B)を有機高分子化合物により被覆する工程が、有機高分子化合物の単量体と二次電池用活物質粒子(B)とを圧縮性流体(F)中で混合する混合工程を含む請求項1〜3のいずれかに記載の二次電池用被覆活物質の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明を詳述する。
本発明は、二次電池用活物質粒子(B)の表面に有機高分子化合物からなる被覆層を有する電池用被覆活物質の製造方法であって、圧縮性流体(F)中で二次電池用活物質粒子(B)を有機高分子化合物により被覆する工程を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明において、二次電池とは非水電解質を用いる二次電池を意味し、好ましくはリチウムイオン二次電池及びリチウムイオンキャパシタである。
【0010】
二次電池用活物質粒子(B)としては、二次電池に用いられる負極活物質(B1)及び正極活物質(B2)であれば制限なく使用することができる。
【0011】
負極活物質(B1)としては、黒鉛、アモルファス炭素、高分子化合物焼成体(例えばフェノール樹脂及びフラン樹脂等を焼成し炭素化したもの)、コークス類(例えばピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークス)、炭素繊維、導電性高分子(例えばポリアセチレン及びポリピロール)、スズ、シリコン、及び金属合金(例えばリチウム−スズ合金、リチウム−シリコン合金、リチウム−アルミニウム合金及びリチウム−アルミニウム−マンガン合金等)等が挙げられる。
【0012】
正極活物質(B2)にはリチウムイオン二次電池に用いられる正極活物質(B2−1)及びリチウムイオンキャパシタに用いられる正極活物質(B2−2)が含まれる。
リチウムイオン二次電池に用いられる正極活物質(B2−1)としては、リチウムと遷移金属との複合酸化物(例えばLiCoO
2、LiNiO
2、LiMnO
2及びLiMn
2O
4)、遷移金属酸化物(例えばMnO2及びV
2O
5)、遷移金属硫化物(例えばMoS
2及びTiS
2)、及び導電性高分子(例えばポリアニリン、ポリフッ化ビニリデン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン及びポリカルバゾール)等が挙げられ、リチウムイオンキャパシタに用いられる正極活物質(B2−2)としては活性炭、炭素繊維及び導電性高分子(例えばポリアセチレン及びポリピロール)等が挙げられる。
本発明の製造方法に用いる二次電池用活物質粒子(B)としては、正極活物質(B2)が好ましく、なかでもリチウムと遷移金属との複合酸化物であることが好ましい。
【0013】
本発明の二次電池用被覆活物質の製造方法で得られる二次電池用被覆活物質が有する被覆層は有機高分子化合物からなる。
有機高分子化合物として好ましいものとしては、ポリウレタン樹脂(P1)及びラジカル重合性単量体の重合体(P2)等が挙げられる。
ポリウレタン樹脂(P1)としては、活性水素基含有化合物とポリイソシアネートとを縮合重合して得られる高分子化合物があげられ、ラジカル重合性単量体の重合体(P2)[以下、重合体(P2)とも省略して記載することがある]としては、後述のビニルモノマー(b)をラジカル重合して得られる高分子化合物があげられる。
なかでも、有機高分子化合物としては、ラジカル重合性単量体の重合体(P2)であることが更に好ましい。
【0014】
ポリウレタン樹脂(P1)を得るために用いる活性水素基含有化合物としては、ジオール、3価以上のポリオール、ジカルボン酸、3価以上のポリカルボン酸、ポリアミン及びポリチオール等が挙げられる。
【0015】
ジオールとしては、以下のものが挙げられる。
[1]炭素数2〜30のアルキレングリコール;
例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール及び2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等。
[2]数平均分子量(以下Mnと略記する)=106〜10,000のアルキレンエーテルグリコール;
例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等);炭素数6〜24の脂環式ジオール(例えば1,4−シクロヘキサンジメタノール及び水素添加ビスフェノールA等。
[3]Mn=100〜10,000の前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下AOと略記する)付加物(付加モル数2〜100);
例えば1,4−シクロヘキサンジメタノールのエチレンオキサイド(以下EOと略記する)10モル付加物等。
[4]炭素数12〜30のビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS及びビスフェノールBP等)又は炭素数12〜24のポリフェノール(例えばカテコール、ハイドロキノン及びレゾルシン等)のAO[EO、プロピレンオキサイド(以下POと略記する)及びブチレンオキサイド(以下BOと略記する)等]付加物(付加モル数2〜100);
例えばビスフェノールA・EO2〜4モル付加物及びビスフェノールA・PO2〜4モル付加物等。
[5]重量平均分子量(以下Mwと略記する)=100〜5,000のポリラクトンジオール(例えばポリ−ε−カプロラクトンジオール等);
[6]Mw=1,000〜20,000のポリブタジエンジオール等。
【0016】
これらのジオールのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール及び炭素数12〜25のビスフェノール類のAO付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のAO付加物、及び炭素数12〜25のビスフェノール類のAO付加物と炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。
【0017】
ジオールのMn及びMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略記)を用いて以下の条件で測定することができる。
・装置:「Waters Alliance 2695」[Waters社製]
・カラム:「Guardcolumn Super H−L」(1本)、「TSKgel SuperH2000、TSKgel SuperH3000、TSKgel SuperH4000を各1本連結したもの」[いずれも東ソー(株)製]
・試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
・溶液注入量:10μl
・流量:0.6ml/分
・測定温度:40℃
・検出装置:屈折率検出器
・基準物質:標準ポリエチレングリコール
【0018】
3価以上のポリオールとしては、以下のものが挙げられる。
[1]3〜8価又はそれ以上の価数の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等);
[2]トリスフェノール類(トリスフェノールPA等);
ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等);
[3]上記トリスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物;
[4]上記ノボラック樹脂のアルキレンオキサイド付加物及びアクリルポリオール[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニルモノマーの共重合物等]等。
【0019】
ジカルボン酸としては、以下のものが挙げられる。
[1]アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデセニルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸等);
[2]アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸等);
[3]炭素数8以上の分岐アルキレンジカルボン酸[ダイマー酸、アルケニルコハク酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸等)、アルキルコハク酸(デシルコハク酸、ドデシルコハク酸、オクタデシルコハク酸等)];
[4]芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)等。
これらのジカルボン酸のうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。
【0020】
3価以上(3〜6価又はそれ以上)のポリカルボン酸としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)等が挙げられる。
なお、ジカルボン酸又は3価以上の価数のポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル及びイソプロピルエステル等)を用いてもよい。
【0021】
ポリアミンとしては、下記のものが挙げられる。
炭素数2〜18である以下の脂肪族ポリアミン類:
〔1〕脂肪族ポリアミン{炭素数2〜6のアルキレンジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、及びヘキサメチレンジアミン等)、ポリアルキレン(炭素数2〜6)ポリアミン〔ジエチレントリアミン等〕}。
〔2〕これらのアルキル(炭素数1〜4)又はヒドロキシアルキル(炭素数2〜4)置換体〔ジアルキル(炭素数1〜3)アミノプロピルアミン等〕。
〔3〕脂環又は複素環含有脂肪族ポリアミン〔3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等〕。
〔4〕炭素数8〜15の芳香環含有脂肪族アミン類(キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミン等)。
【0022】
炭素数4〜15の脂環式ポリアミン:
1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン及び4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)等。
【0023】
炭素数6〜20である以下の芳香族ポリアミン類:
〔1〕非置換芳香族ポリアミン〔1,2−、1,3−又は1,4−フェニレンジアミン等;核置換アルキル基(炭素数1〜4、例えばメチル基、エチル基、n−又はi−プロピル基及びブチル基等)を有する芳香族ポリアミン、例えば2,4−又は2,6−トリレンジアミン等〕、及びこれらの異性体の種々の割合の混合物。
〔2〕核置換電子吸引基(Cl、Br、I、F等のハロゲン;メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基;ニトロ基等)を有する芳香族ポリアミン〔メチレンビス−o−クロロアニリン等〕。
〔3〕2級アミノ基を有する芳香族ポリアミン〔上記(4)〜(6)の芳香族ポリアミンの−NH
2の一部又は全部が−NH−R’(R’はメチル及びエチル等の低級アルキル基)で置換したもの〕、例えば〔4,4’−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、及び1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼン等〕。
【0024】
炭素数4〜15の複素環式ポリアミン:
ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン等。
【0025】
ポリアミドポリアミン:
ジカルボン酸(ダイマー酸等)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン類(上記アルキレンジアミン、及びポリアルキレンポリアミン等)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミン等。
【0026】
ポリエーテルポリアミン:
ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコール等)のシアノエチル化物の水素化物等。
【0027】
ポリチオールとしては、エチレンジチオール、1,4−ブタンジチオール、及び1,6−ヘキサンジチオール等が挙げられる。
これらの活性水素基含有化合物は、1種のみ用いてもよいし、2種以上の混合物として用いてもよい。
【0028】
ポリウレタン樹脂(P1)を得るために用いるポリイソシアネートとしては、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ポリイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネート及びこれらのポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、及びオキサゾリドン基含有変性物等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0029】
上記炭素数6〜20の芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、及び2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等が挙げられる。
【0030】
上記炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、及びヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等が挙げられる。
【0031】
上記炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、及びメチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)等が挙げられる。
【0032】
上記炭素数2〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、m−又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、及びα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が挙げられる。
【0033】
また、上記ポリイソシアネートの変性物には、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及びオキサゾリドン基含有変性物等が挙げられる。具体的には、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI等のポリイソシアネートの変性物及びこれらの2種以上の混合物[例えば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との併用]が含まれる。
【0034】
これらのうちで好ましいものは炭素数6〜15の芳香族ポリイソシアネート、炭素数4〜12の脂肪族ポリイソシアネート、及び炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネートであり、とくに好ましいものはTDI、MDI、HDI、水添MDI、及びIPDIである。
【0035】
ポリウレタン樹脂(P1)により二次電池用活物質粒子(B)を被覆する工程は、二次電池用活物質粒子(B)が存在する圧縮性流体(F)中で活性水素基含有化合物とポリイソシアネートとを縮合重合してポリウレタン樹脂(P1)を得る重合反応を行う方法、及び活性水素基含有化合物とポリイソシアネートとを縮合重合反応して得られたポリウレタン樹脂(P1)と二次電池用活物質粒子(B)とを圧縮性流体(F)中で混合する方法等で行うことができる。
なかでも二次電池用活物質粒子(B)が存在する圧縮性流体(F)中で、活性水素基含有化合物とポリイソシアネートとを縮合重合反応してポリウレタン樹脂(P1)を得る重合反応を行う方法が好ましい。
【0036】
活性水素基含有化合物とポリイソシアネートとの縮合重合反応においては、イソシアネート基に対して不活性な溶媒を併用して行うことができる。
溶媒を併用して行う場合の溶媒としては、ケトン溶剤(アセトン及びメチルエチルケトン等)、エーテル溶剤(ジエチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル及び環状エーテル(テトラヒドロフラン及びジオキサン等)等)、エステル溶剤(酢酸エステル、ピルビン酸エステル、2−ヒドロキシイソ酪酸エステル及び乳酸エステル等)、アミド溶剤(ジメチルホルムアミド等)、アルコール溶剤(メタノール、エタノール、イソプロパノール及びフッ素含有アルコール等)、芳香族炭化水素溶剤(トルエン及びキシレン等)及び脂肪族炭化水素溶剤(オクタン及びデカン等)及びこれらの混合物等が挙げられる
【0037】
活性水素基含有化合物とポリイソシアネートとの重合反応の温度はウレタン化反応に通常採用される温度と同じでよく、溶媒を使用する場合は通常20〜100℃、無溶媒の場合は通常20〜220℃である。
【0038】
反応を促進させるために必要により、ポリウレタン反応に通常使用される触媒[例えばアミン系触媒(トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等)、錫系触媒(ジブチルチンジラウレート等)]を使用することができる。
【0039】
また、必要により縮合重合の停止剤[例えば1価アルコール(エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等)、及び1価アミン(ジメチルアミン、ジブチルアミン等)等]を用いることもできる。
【0040】
二次電池用被覆活物質が有する被覆層がラジカル重合性単量体組成物の重合体(P2)からなる場合に用いるビニルモノマー(b)としては、下記(1)〜(10)及びこれらの混合物が挙げられる。
【0041】
(1)ビニル炭化水素:
(1−1)脂肪族ビニル炭化水素:
アルケン類(例えばエチレン、プロピレン及び前記以外のα−オレフィン等);アルカジエン類(例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエン等)。
(1−2)脂環式ビニル炭化水素:
モノ−もしくはジ−シクロアルケン及びアルカジエン類[例えば(ジ)シクロペンタジエン等];テルペン類(例えばピネン等)。
(1−3)芳香族ビニル炭化水素:
スチレン及びビニルナフタレン並びにそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体(例えばα−メチルスチレン及び2,4−ジメチルスチレン等)。
【0042】
(2)カルボキシル基含有ビニルモノマー及びその塩:
炭素数3〜30の不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸ならびにその無水物及びそのモノアルキル(炭素数1〜24)エステル[例えば(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル及び桂皮酸等のカルボキシル基含有ビニルモノマー並びにこれらの金属塩。
【0043】
(3)スルホン基含有ビニルモノマー、ビニル硫酸モノエステル化物及びこれらの塩:
炭素数2〜14のアルケンスルホン酸(例えばビニルスルホン酸等)及びその炭素数2〜24のアルキル誘導体(例えばα−メチルスチレンスルホン酸等);スルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレートもしくは(メタ)アクリルアミド(例えば、スルホプロピル(メタ)アクリレート、硫酸エステル基含有ビニルモノマー及びスルホン酸基含有ビニルモノマー等並びにこれらの塩等)。
【0044】
(4)燐酸基含有ビニルモノマー及びその塩:
(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数1〜24)燐酸モノエステル[例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート;(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数1〜24)ホスホン酸類(例えば2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸等);及びこれらの塩。
なお、上記(2)〜(4)の塩(有機酸の塩)としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩もしくは4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0045】
(5)ヒドロキシル基含有ビニルモノマー:
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル及び蔗糖アリルエーテル等。
【0046】
(6)含窒素ビニルモノマー:
(6−1)アミノ基含有ビニルモノマー:
アミノエチル(メタ)アクリレート等。
(6−2)アミド基含有ビニルモノマー:
(メタ)アクリルアミド及びN−メチル(メタ)アクリルアミド等。
(6−3)ニトリル基含有ビニルモノマー:
(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン及びシアノアクリレート等。
(6−4)4級アンモニウムカチオン基含有ビニルモノマー:
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド及びジアリルアミン等の3級アミン基含有ビニルモノマーの4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)等。
(6−5)ニトロ基含有ビニルモノマー:
ニトロスチレン等。
【0047】
(7)エポキシ基含有ビニルモノマー:
グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート及びp−ビニルフェニルフェニルオキサイド等。
【0048】
(8)ハロゲン元素含有ビニルモノマー:
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロルスチレン、ブロムスチレン、ジクロルスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン、及びクロロプレン等。
【0049】
(9)ビニルエステル、ビニル(チオ)エーテル、ビニルケトン、ビニルスルホン類:
(9−1)ビニルエステル:
例えば酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチルα−エトキシアクリレート、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類[ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等]等、ポリアルキレングリコール鎖を有するビニルモノマー[ポリエチレングリコール(分子量300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド10モル付加物(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールエチレンオキサイド30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等。
(9−2)ビニル(チオ)エーテル:
例えばビニルメチルエーテル等。
(9−3)ビニルケトン:
例えばビニルメチルケトン等。
【0050】
(10)その他のビニルモノマー:
テトラフルオロエチレン、フルオロアクリレート、イソシアナトエチル(メタ)アクリレート及びm−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等。
【0051】
重合体(P2)が、ビニルモノマー(b)をラジカル重合して得られる高分子化合物である場合、重合体(P2)により二次電池用活物質粒子(B)を被覆する工程は、二次電池用活物質粒子(B)が存在する圧縮性流体(F)中でビニルモノマー(b)を重合して重合体(P2)を得る重合反応を行う方法、及びビニルモノマー(b)を重合して得られたラジカル重合性単量体の重合体(P2)と二次電池用活物質粒子(B)とを圧縮性流体(F)中で混合する方法等で行うことができる。
なかでも二次電池用活物質粒子(B)が存在する圧縮性流体(F)中で、ビニルモノマー(b)を重合してラジカル重合性単量体の重合体(P2)を得る重合反応を行う方法が好ましい。
【0052】
ビニルモノマー(b)の重合反応は、ビニルモノマー(b)と重合開始剤とを混合して得られた混合物に熱(通常60〜200℃、好ましくは70〜120℃である。)及び/又は活性エネルギー線(紫外線及び電子線等)を与えることで行うことができる。
【0053】
ビニルモノマー(b)の重合反応には、溶媒を併用して行うことができる。溶媒を併用して行う場合の適当な溶媒としては、ケトン溶剤(アセトン及びメチルエチルケトン等)、エーテル溶剤(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル及び環状エーテル等)、エステル溶剤(酢酸エステル、ピルビン酸エステル、2−ヒドロキシイソ酪酸エステル及び乳酸エステル等)、アミド溶剤(ジメチルホルムアミド等)、アルコール溶剤(メタノール、エタノール、イソプロパノール及びフッ素含有アルコール等)、芳香族炭化水素溶剤(トルエン及びキシレン等)及び脂肪族炭化水素溶剤(オクタン及びデカン等)及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0054】
ラジカル重合性単量体のラジカル重合反応に用いる重合開始剤としては、圧縮性流体(F)に可溶であり、ビニルモノマー(b)の重合を行うことができれば特に制限はないが、光重合開始剤(D1)及び熱重合開始剤(D2)、酸化性開始剤(D3)及び還元性開始剤(D4)を好ましく用いることができる。
【0055】
光重合開始剤(D1)としては、アセトフェノン誘導体、アシルフォスフィンオキサイド誘導体、チタノセン誘導体等及びこれらの併用が挙げられる。
アセトフェノン誘導体としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノ−1−プロパノン、ジメチルベンジルケタール、メチルベンゾイルフォーメート及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等が挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド誘導体としては、2,4,6,−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
チタノセン誘導体としては、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6ージフルオロー3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム等が挙げられる。
【0056】
熱重合開始剤(D2)としては、アゾ系重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル及びアゾビスシアノ吉草酸等)及び有機過酸化物系重合開始剤[ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート及び2、2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン]等が挙げられる。
【0057】
酸化性開始剤(D3)としては、過硫酸カリウム及び過塩素酸ナトリウム等が挙げられ、還元性開始剤(D4)としては、リボフラビン及びアスコルビン酸等が挙げられる。
【0058】
ラジカル重合反応には、酸発生剤(D5)、塩基発生剤(D6)、酸性開始剤(D7)及び塩基性開始剤(D8)を併用してもよい。
酸発生剤(D5)としては、オニウム塩系熱酸発生剤、スルホニウム塩系光酸発生剤、ヨードニウム塩系光酸発生剤、ジアゾスルホン酸系光酸発生剤及びトリフェニルスルホニウム系光酸発生剤等が挙げられ、塩基発生剤(D6)としてはグアニジウム誘導体、イミダゾール誘導体、ピペリジン誘導体及びカーバメート誘導体等が挙げられる。
酸性開始剤(D7)としては、塩酸及びリンタングステン酸等が挙げられる。
塩基性開始剤(D8)としては、水酸化ナトリウム及びピリジン等が挙げられる。
【0059】
なかでも重合開始剤としては、熱重合開始剤(D2)が好ましい。
【0060】
重合開始剤の使用量は、ビニルモノマー(b)の合計重量に基づいて好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.05〜2重量%、更に好ましくは0.1〜1.5重量%である。
【0061】
本発明に用いられる圧縮性流体(F)としては、メタン、エチレン、窒素及び代替フロン等が挙げられ、安全性や取り扱いの容易さ等の点から、好ましくは二酸化炭素であり、更に好ましくは液体二酸化炭素、亜臨界二酸化炭素又は超臨界二酸化炭素である。なお、圧縮性流体とは、常温で常圧以上の圧力により圧縮されている流体のことを意味する。
【0062】
圧縮性流体(F)が二酸化炭素である場合、液体二酸化炭素とは、二酸化炭素の温度軸と圧力軸とで表す相図上において、二酸化炭素の三重点(温度=−57℃、圧力0.5MPa)と二酸化炭素の臨界点(温度=31℃、圧力=7.4MPa)を通る気液境界線、臨界温度の等温線、及び固液境界線に囲まれた部分の温度・圧力条件である二酸化炭素を表し、超臨界二酸化炭素とは、臨界温度以上の温度・圧力条件である二酸化炭素を表す(ただし、圧力は、2成分以上の混合ガスの場合、全圧を表す)。
媒体の溶解性、不活性性及び拡散性の観点から、例えば超臨界二酸化炭素、亜臨界二酸化炭素、又は液体二酸化炭素等が挙げられる。
【0063】
本発明の製造方法は、圧縮性流体(F)中で二次電池用活物質粒子(B)を有機高分子化合物により被覆する工程を含むことを特徴とするが、二次電池用活物質粒子(B)を被覆する操作と、被覆に用いる有機高分子化合物を得る操作はそれぞれに別に行ってもよく、同時に行ってもよい。
二次電池用活物質粒子(B)を被覆する操作と、被覆に用いる有機高分子化合物を得る操作とを同時に行う場合、圧縮性流体(F)中で二次電池用活物質粒子(B)を有機高分子化合物により被覆する工程が、二次電池用活物質粒子(B)が存在する圧縮性流体(F)中で有機高分子化合物を得る重合反応を行う工程を含むことで二次電池用活物質粒子(B)を有機高分子化合物により被覆することができる。
二次電池用活物質粒子(B)が有機高分子化合物により被覆されていることは、本発明の製造方法の記載の操作を行った後に得られた活物質粒子について走査型電子顕微鏡等で拡大観察することで確認できる。
【0064】
本発明の製造方法において、圧縮性流体(F)中で二次電池用活物質粒子(B)を有機高分子化合物により被覆する工程は、二次電池用活物質粒子(B)が存在する圧縮性流体(F)中で有機高分子化合物を得る重合反応を行う重合工程を含むことが好ましい。
【0065】
二次電池用活物質粒子(B)が存在する圧縮性流体(F)中で有機高分子化合物を得る重合反応を行う重合工程は、二次電池用活物質粒子(B)と有機高分子化合物の単量体と圧縮性流体(F)とを含む混合物(X)を公知の重合方法で重合することで行うことができる。
なお、前記の混合物(X)を重合する重合反応は、混合物(X)に含まれる有機高分子化合物の単量体の重合を行って有機高分子化合物を得る重合反応を意味し、有機高分子化合物がポリウレタン樹脂(P1)である場合の単量体としては、前記の活性水素基含有化合物及び前記のポリイソシアネートが挙げられ、重合体(P2)である場合の単量体としては前記のビニルモノマー(b)が挙げられる。
【0066】
有機高分子化合物がポリウレタン樹脂(P1)である場合に重合反応を行う方法としては、加熱下で重合を行う方法が挙げられる。
【0067】
有機高分子化合物が重合体(P2)である場合に重合反応を行う方法としては、熱重合方法、紫外線又は電子線等を照射する活性エネルギー線を照射する重合方法、マイクロ波等を利用した重合方法、酸化剤又は還元剤を利用した重合方法及び酸又は塩基を利用した重合方法等が利用でき、なかでも熱重合が好ましく、混合物(X)の温度を60〜200℃、好ましくは70〜120℃とする熱重合が好ましい。
【0068】
圧縮性流体(F)中で前記の単量体を重合する場合、用いる単量体の合計重量は、二次電池用活物質粒子(B)の重量に対して0.05〜10重量%であることが好ましく、0.5〜10重量%であることがより好ましく、0.8〜5重量%であることが更に好ましく、1〜3重量%であることが特に好ましい。
【0069】
圧縮性流体(F)中に含まれる前記の単量体の重合において、更に水及び/又は有機溶剤を用いてもよく、有機溶剤としては、前記の溶媒と同じものが挙げられる。
【0070】
ポリウレタン樹脂(P1)からなる被覆層で二次電池用活物質粒子(B)を被覆する場合、圧縮性流体(F)中で二次電池用活物質粒子(B)を被覆する工程は、以下の次の(方法A1)〜(方法A5)等で行うことが好ましい。これらの方法は、二次電池用活物質粒子(B)を被覆する操作と、被覆に用いる有機高分子化合物を得る操作とを同時に行う方法であり、覆物質と電池用活物質粒子との接着性が良好となる。
【0071】
(方法A1)活性水素基含有化合物を溶解した圧縮性流体(F)中で二次電池用活物質粒子(B)を撹拌混合する工程を行い、続いてポリイソシアネートを加えて得られる混合物(X)を縮合重合反応する工程を行い、更に圧縮性流体(F)を除去する工程を行う方法。
【0072】
(方法A2)活性水素基含有化合物及び必要により用いる有機溶剤を溶解した圧縮性流体(F)中で二次電池用活物質粒子(B)を撹拌混合する工程を行い、その後圧縮性流体(F)中に溶解した活性水素基含有化合物を除去する工程を行い、続いてポリイソシアネートを加えてを加えて得られる混合物(X)を縮合重合反応する工程を行い、更に圧縮性流体(F)と必要により用いる有機溶剤とを除去する工程を行う方法。なお、本方法A2では、重合反応を行う前に圧縮性流体(F)中に溶解した活性水素基含有化合物を除去する工程を行うことで二次電池用活物質粒子(B)への被覆率を高めることができる。
【0073】
(方法A3)ポリイソシアネートを溶解した圧縮性流体(F)中で二次電池用活物質粒子(B)を撹拌混合する工程を行い、その後活性水素基含有化合物を加えてを加えて得られる混合物(X)を縮合重合反応する工程を行い、更に圧縮性流体(F)を除去する工程を行う方法。
【0074】
(方法A4)ポリイソシアネート及び必要により用いる有機溶剤を溶解した圧縮性流体(F)中で二次電池用活物質粒子(B)を撹拌混合する工程を行い、その後圧縮性流体(F)中に溶解したポリイソシアネートを除去する工程を行い、続いて活性水素基含有化合物を加えてを加えて得られる混合物(X)を縮合重合反応する工程を行い、更に圧縮性流体(F)と必要により用いる有機溶剤とを除去する工程を行う方法。なお、本方法A4では、重合反応を行う前に圧縮性流体(F)中に溶解したポリイソシアネートを除去する工程を行うことで二次電池用活物質粒子(B)への被覆率を高めることができる。
【0075】
(方法A5)活性水素基含有化合物、ポリイソシアネート及び必要により用いる有機溶媒を溶解した圧縮性流体(F)中に二次電池用活物質粒子(B)を所定の重合温度に温調しながら撹拌混合し、混合物(X)を得る工程と混合物(X)を縮合重合反応する工程を同時に行い、更に圧縮性流体(F)と必要により有機溶剤とを除去する工程を行う方法。
【0076】
これらのうち、二次電池用活物質粒子(B)と被覆層との接着性等の観点から、単量体と二次電池用活物質粒子(B)と圧縮性流体(F)とを混合する混合工程を有し、混合工程で得られる混合物(X)を重合する工程を含む(方法A1)〜(方法A4)が更に好ましい。
【0077】
ビニルモノマー(b)の重合体(P1)からなる被覆層で二次電池用活物質粒子(B)を被覆する場合、圧縮性流体(F)中で二次電池用活物質粒子(B)を被覆する工程は、有機高分子化合物を構成する単量体であるビニルモノマー(b)と二次電池用活物質粒子(B)と圧縮性流体(F)とを混合する混合工程を含む以下の次の(方法B1)〜(方法B5)等で行うことが好ましい。これらの方法は、二次電池用活物質粒子(B)を被覆する操作と、被覆に用いる有機高分子化合物を得る操作とを同時に行う方法であり、覆物質と電池用活物質粒子との接着性が良好となる。
【0078】
(方法B1)ビニルモノマー(b)及び必要により用いる有機溶剤を溶解した圧縮性流体(F)中で二次電池用活物質粒子(B)を撹拌混合する工程を行い、続いて重合開始剤(D)を加えて得られる混合物(X)を重合反応する工程を行い、更に圧縮性流体(F)と必要により有機溶剤とを除去する工程を行う方法。
【0079】
(方法B2)ビニルモノマー(b)及び必要により用いる有機溶剤を溶解した圧縮性流体(F)中で二次電池用活物質粒子(B)を撹拌混合する工程を行い、その後圧縮性流体(F)中に溶解したビニルモノマー(b)を除去する工程を行い、続いて重合開始剤(D)を加えて得られる混合物(X)を重合反応する工程を行い、更に圧縮性流体(F)と必要により有機溶剤とを除去する工程を行う方法。
【0080】
(方法B3)重合開始剤(D)を溶解した圧縮性流体(F)中で二次電池用活物質粒子(B)を撹拌混合する工程を行い、その後ビニルモノマー(b)を加えて更に撹拌混合して混合物(X)を得る工程を行い、続いて重合反応する工程を行い、更に圧縮性流体(F)を除去する工程を行う方法。
【0081】
(方法B4)重合開始剤(D)を溶解した圧縮性流体(F)中で二次電池用活物質粒子(B)を撹拌混合する工程を行い、その後圧縮性流体(F)中に溶解した重合開始剤を除去する工程を行い、続いてビニルモノマー(b)を加えて更に撹拌混合して混合物(X)を得る工程を行い、続いて重合反応する工程を行い、更に圧縮性流体(F)を除去する工程を行う方法。なお、(方法B4)では、重合反応前に圧縮性流体(F)中に溶解した開始剤を除去する工程を行うことで二次電池用活物質粒子(B)への被覆率を高めることができる。
【0082】
(方法B5)ビニルモノマー(b)、重合開始(D)剤及び必要により用いる有機溶媒を溶解した圧縮性流体(F)中に二次電池用活物質粒子(B)を撹拌混合して混合物(X)を得る工程を行い、続いて重合反応する工程を行い、更に圧縮性流体(F)と必要により有機溶剤とを除去する工程を行う方法。
【0083】
単量体と二次電池用活物質粒子(B)と圧縮性流体(F)とを混合する混合工程を含む前記の(方法A1)〜(方法A4)及び(方法B1)〜(方法B5)において、圧縮性流体(F)の圧力は2MPa以上であることが好ましく、より好ましくは3MPa以上、更に好ましくは4MPa以上である。この範囲であると被覆層と二次電池用活物質粒子(B)との接着性が更に良好となる。
圧縮性流体(F)の圧力を高くすることで被覆層と二次電池用活物質粒子(B)との接着性が良好になることから、有機高分子化合物を構成する単量体、二次電池用活物質粒子(B)及び圧縮性流体(F)を混合する工程を含むと、単量体又は重合開始剤が二次電池用活物質粒子(B)の表面から内部に浸透し、二次電池用活物質粒子(B)の内部(表面の内側)でも重合が起こるために接着性が良好になるものと推測される。
【0084】
前記の(方法A1)〜(方法A5)及び(方法B1)〜(方法B5)で行う撹拌混合する工程及び重合反応する工程において、圧縮性流体(F)の割合は、単量体と圧縮性流体(F)との合計重量に基づいて、好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
【0085】
前記の(方法A1)〜(方法A5)及び(方法B1)〜(方法B5)の撹拌混合する工程における二次電池用活物質粒子(B)と圧縮性流体(F)の体積比率は、混合物(X)が目的の温度、圧力であれば、いかなる比率であっても構わない。
前記の重合反応する工程において、混合物(X)に含まれる圧縮性流体(F)の体積比率[圧縮性流体(F)/混合物(X)]は、混合物(X)に対して0.25/1以上、より好ましくは0.5/1以上、特に好ましくは0.7/1以上である。
【0086】
本発明の製造方法において、被覆層は更に導電助剤を含む製造方法とすることができ、二次電池用活物質粒子(B)の表面に有機高分子化合物及び導電助剤からなる被覆層を有する電池用被覆活物質の製造方法とすることができる。
本発明が、有機高分子化合物及び導電助剤からなる被覆層を有する電池用被覆活物質の製造方法である場合、被覆層に含まれる導電助剤としては、カーボン(カーボンブラック、アセチレンブラック、ケチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック及びサーマルブラック等)及び金属粉末(アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、金、銅及びチタン等の粉末)、導電性金属酸化物(例えば酸化亜鉛及び酸化チタン)等が挙げられる。これらの導電助剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
また、これらの合金又は金属酸化物を用いてもよい。電気的安定性の観点から、好ましくはアルミニウム、ステンレス、カーボン、銀、金、銅、チタン及びこれらの混合物であり、更に好ましくは銀、金、アルミニウム、ステンレス及びカーボンであり、特に好ましくはカーボンである。またこれらの導電助剤としては、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料をめっき等でコーティングしたものでもよい
なお、有機高分子化合物は前記の有機高分子化合物と同じである。
【0087】
被覆層が導電助剤を含む場合、混合物(X)に更に導電助剤を加えて重合する方法、及び単量体と導電助剤とを混合してから重合して得られる有機高分子化合物を用いて被覆する方法等を用いることができ、混合物(X)に更に導電助剤を加えて重合する方法が好ましい。
被覆層が導電助剤を含む場合、導電助剤の比率は、二次電池活物質粒子(B)の重量に対する導電助剤の重量の割合が0.5〜15重量%であることが好ましく、0.5〜10重量%であることがより好ましく、0.8〜8重量%であることが更に好ましく、1〜5重量%であることが特に好ましい。
【0088】
本発明の製造方法において、必要により、本発明の効果を阻害しない範囲で分散剤及び樹脂組成物に添加される公知の添加剤(可塑剤、帯電防止剤、荷電制御剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、難燃剤、充填剤等)を用いても差し支えない。
【0089】
分散剤は、前記の混合物(X)中で二次電池用活物質粒子(B)の分散制を向上させる目的等を目的として用いることができ、用いる分散剤としては特に限定はなく、界面活性剤及び高分子型分散剤等の公知のものを使用することができる。分散剤を用いる場合、その添加量は、分散安定性の観点から、二次電池用活物質粒子(B)の重量に対し0.01〜100重量%が好ましく、更に好ましくは0.02〜50重量%、特に好ましくは0.03〜30重量%である。分散剤の好ましい重量平均分子量の範囲は100〜10万であり、更に好ましくは200〜5万、特に好ましくは500〜3万である。この範囲内にすると、分散安定効果が向上する。
【0090】
本発明の製造方法において、二次電池用活物質粒子(B)と有機高分子化合物の単量体と圧縮性流体(F)とを混合する混合工程は、バッチ式混合方式及び連続式混合方式等で行うことが可能であるが、連続式混合方式であるラインブレンド(インライン混合)方法が、生産性の向上、品質の一定化及び製造スペースの縮小化等の面から好ましい。
【0091】
バッチ式混合方式に用いる装置の具体例として、撹拌機の付属した耐圧容器等の混合機が挙げられ、その中に二次電池用活物質粒子(B)と有機高分子化合物の単量体と圧縮性流体(F)とを入れ、圧縮性流体(F)が液状又は超臨界状態となる所定の圧力及び温度で混合することで混合することができる。装置に付属する撹拌機の構造等に何ら限定はないが、二酸化炭素等の圧縮性流体(F)が液状又は超臨界状態となる圧力及び温度に耐え得るものでなければならない。
バッチ式混合方式に用いる装置の出口には、内容物取り出し用のノズルを備えているのが好ましい。
【0092】
ラインブレンド方法に用いる装置の具体例として、静止型インライン混合機(スタティックミキサー、インラインミキサー、ラモンドスーパーミキサー及びスルザーミキサー等)、撹拌型インライン混合機(バイブミキサー及びターボミキサー等)等が挙げられる。装置のミキサー部分の長さ及び配管径、ミキシング装置(エレメント)数に何ら限定はないが、二酸化炭素が液状又は超臨界状態となる圧力及び温度となるように耐え得るものでなければならない。
ラインブレンド方法に用いる装置の出口には、耐圧容器と同様の、内容物取り出し用のノズルを備えているのが好ましい。
【0093】
このようなラインブレンド方法で本発明の製造方法を行う場合に用いる装置について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の二次電池用被覆活物質の製造方法を、ラインブレンド装置により行う場合に用いる実験装置のフローチャートである。
二次電池用活物質粒子(B)と有機高分子化合物の単量体と液状又は超臨界状態の二酸化炭素の混合方法としては、まず、圧縮性流体を、二酸化炭素ボンベB1から二酸化炭素ポンプP2を通じてラインブレンドを行う装置内(スタティックミキサーM1)に導入し、二酸化炭素が液状又は超臨界状態となる圧力及び温度となるよう調整し、次いで二次電池用活物質粒子(B)と有機高分子化合物の単量体とを含む分散体を溶解槽T1から溶液ポンプP1を通じて液状又は超臨界状態の二酸化炭素に導入するのが好ましい。
ラインブレンドを行う温度は、前記の耐圧容器を用いて混合する場合と同様である。また、装置内の滞留時間は、混合が充分行われるのであれば特に限定されないが、0.1〜1800秒が好ましい。
【0094】
二次電池用活物質粒子(B)を含む圧縮性流体(F)中で有機高分子化合物を得る重合反応を行う工程は、上記の方法で混合して得られた混合物(X)を所定の重合条件下に置くことで行うことができる。混合物(X)の重合は、バッチ式重合方式及び連続式重合方式等で行うことが可能であり、それぞれ前記の混合する工程で用いた装置と同じ装置を用いることができる。バッチ重合方法である場合には、混合物(X)の入った容器を所定の条件下に置くことで、連続式重合方法である場合には、ラインブレンド装置の前半部分で混合する工程を行ったラインブレンド装置の後半部分を所定の重合条件下に置くことで重合する工程を行うことができる。重合条件は、重合する単量体の種類に応じて調整することができるが、有機高分子化合物がポリウレタン樹脂(P1)又はラジカル重合性単量体組成物の重合体(P2)である場合には、それぞれ上記の重合条件下に置くことで行うことができる。
【0095】
本発明の製造方法において、重合反応後に圧縮性流体(F)の除去工程を行うことが好ましく、この除去工程は、重合反応容器内の二酸化炭素を減圧すること又は重合反応容器内の内容物と二酸化炭素を同時に取出すことで行うことが好ましく、内容物の凝集を緩和する観点及び内容物と共存する二酸化炭素の単位時間内における圧力変化量が多いこと等の観点から、重合反応容器内の二酸化炭素を減圧又は釜内の内容物と二酸化炭素を同時に取り出すことで行うことがさらに好ましい。
【0096】
図1に記載のラインブレンド装置で圧縮性流体(F)の除去工程を行う場合、耐圧受け槽T2に通じるバルブV1を開くことにより内容物の圧力を大気圧にまで減圧することで減圧膨張させ、圧縮性流体を気化させて除くことで、分散質が重合性単量体中に分散された分散液が得られる。
【0097】
本発明のリチウムイオン電池用電極の製造方法は、前記の二次電池用被覆活物質の製造方法により二次電池用被覆活物質を得る工程を含むこと以外に特に制限はなく、前記の製造方法で二次電池用被覆活物質を得た後、更に、前記の製造方法で得られた二次電池用被覆活物質、有機溶剤、必要により用いる導電材及び必要により用いる結着剤を混合した電極スラリーを集電体に塗布し、更に乾燥する方法等の公知の方法で行うことが出来る。
前記の二次電池用被覆活物質として、前記負極活物質(B1)を用いて得られた二次電池用被覆活物質を用いることでリチウムイオン電池用負極が得られ、前記正極活物質(B2−1)を用いて得られた二次電池用被覆活物質を用いることでリチウムイオン電池用正極が得られる。
二次電池用被覆活物質、有機溶剤、必要により用いる導電材及び必要により用いる結着剤の比率は、二次電池用被覆活物質の粒子径、電極の厚さ及びその形状等に応じて任意の比率にすることが出来る。
なかでも、チウムイオン電池用電極に含まれる前記の二次電池用被覆活物質の含有量は、電池容量の観点から、二次電池用被覆活物質及び結着剤の合計重量に基づいて、70〜98重量%が好ましく、結着剤の含有量は、二次電池用被覆活物質及び結着剤の合計重量に基づいて、0.5〜29重量%が好ましい。
導電材を用いる場合、その含有量は、電池出力の観点から、二次電池用被覆活物質及び結着剤の合計重量に基づいて、好ましくは0〜29重量%である。
【0098】
必要により用いる導電材としては、被覆層に含まれても良い導電助剤として例示したものと同じものを用いることができ、必要により用いる結着剤としてはリチウムイオン電池の電極用に用いられる公知の結着剤(デンプン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、スチレン−ブタジエンゴム、ポリエチレン及びポリプロピレン等の高分子化合物)を用いることができる。
【0099】
本発明の非水電解質二次電池の製造方法は、前記のリチウムイオン電池用電極の製造方法により電極を得る工程を含むこと以外に特に制限はなく、前記の製造方法によりリチウムイオン電池用正極又はリチウムイオン電池用負極を得た後、更に得られたリチウムイオン電池用正極又は得られたリチウムイオン電池用負極とセパレータとを収納した電池缶内に電解液を注入して電池缶を密封する方法により行うことが出来る。
本発明の非水電解質二次電池に用いる電解液は、リチウムイオン電池に用いられるものであれば制限無く使用することができ、電解質を非水溶媒に溶解することで得ることが出来る。
電解質としては、LiPF
6、LiBF
4、LiSbF
6、LiAsF
6及びLiClO
4等の無機酸のリチウム塩、LiN(CF
3SO
2)
2、LiN(C
2F
5SO
2)
2及びLiC(CF
3SO
2)
3等の有機酸のリチウム塩が挙げられる。これらの内、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から好ましいのはLiPF
6である。
【0100】
非水溶媒としては、非水系二次電池用の電解液として一般に用いられているもの等が使用でき、例えば、ラクトン化合物、環状又は鎖状炭酸エステル、鎖状カルボン酸エステル、環状又は鎖状エーテル、リン酸エステル、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホン、スルホラン等及びこれらの混合物を用いることができる。なかでも、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から好ましいのは環状又は鎖状炭酸エステルである。
環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート及びブチレンカーボネート等が挙げられる。 鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート及びジ−n−プロピルカーボネート等が挙げられる。
【0101】
セパレータとしては、リチウムイオン二次電池に一般に用いられているセパレータが使用でき、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン製フィルムの微多孔膜、多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンとの多層フィルム、ポリエステル繊維、アラミド繊維及びガラス繊維等からなる不織布並びにこれらの表面にシリカ、アルミナ及びチタニア等のセラミック微粒子を付着させたものが挙げられる。
【0102】
電池缶としては、ステンレススチール、鉄、アルミニウム及びニッケルメッキスチール等の金属材料を用いることができるが、電池用途に応じてプラスチック材料を用いることもできる。また電池缶は、用途に応じて円筒型、コイン型、角型又はその他任意の形状にすることができる。
【0103】
本発明の非水電解質二次電池としては、前記のリチウムイオン電池用正極、前記のリチウムイオン電池用負極、セパレータ及び電解液を含んでなるセルを単独で用いた電池であっても、セルを並列に接続したモノモーラ型であっても、セルを直列に複数積層したバイポーラ型であってもよい。
【実施例】
【0104】
以下実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定するものではない。
以下の記載において「部」は重量部を示す。
【0105】
<実施例1:二次電池用被覆負極活物質(C1)>
撹拌棒、排気用ノズル及び温度計を備えた反応用耐圧容器に、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルヴァレロニトリル)0.5部及びハードカーボン粒子100.0部を反応用耐圧容器の容積の80%まで仕込み、密閉して内部の空気を二酸化炭素で置換後、メタクリル酸メチル5.0部を投入した。二酸化炭素を供給して5MPaに加圧して液体二酸化炭素とした後、40℃に温調した。さらに、二酸化炭素を供給して8MPaに調整した。8MPa、40℃で1時間撹拌し、ハードカーボン粒子に重合開始剤及びメタクリル酸メチルを浸透させた後、80℃に昇温、2時間撹拌させ重合し、排気用ノズルより二酸化炭素を取出すことにより、メタクリル酸メチルの重合体(P1)が被覆した二次電池用被覆負極活物質(C1)を作製した。
【0106】
<実施例2:二次電池用被覆負極活物質(C2)>
撹拌棒、排気用ノズル及び温度計を備えた反応用耐圧容器に、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルヴァレロニトリル)0.5部及びハードカーボン粒子100.0部を反応用耐圧容器の容積の80%まで仕込み、密閉して内部の空気を二酸化炭素で置換後、二酸化炭素を供給して5MPaに加圧して液体二酸化炭素とした後、40℃に温調した。さらに、二酸化炭素を供給して8MPaに調整した。8MPa、40℃で1時間撹拌し、ハードカーボン粒子に重合開始剤を浸透させた。8MPaを維持するように二酸化炭素の供給と排気用ノズルからの二酸化炭素の排気を同時に行い、ハードカーボン粒子に浸透せずに二酸化炭素に溶解している余剰の重合開始剤を取り除いた。更にメタクリル酸メチル5.0部を反応用耐圧容器に投入し、その後1時間撹拌することでハードカーボン粒子にメタクリル酸メチルを浸透させ、80℃に昇温、2時間撹拌させ重合し、排気用ノズルより二酸化炭素を取出すことにより、メタクリル酸メチルの重合体(P1)が被覆した二次電池用被覆負極活物質(C2)を作製した。
【0107】
<実施例3:二次電池用被覆負極活物質(C3)>
撹拌棒、排気用ノズル及び温度計を備えた反応用耐圧容器に、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルヴァレロニトリル)0.5部及びシリコン粒子100.0部を反応用耐圧容器の容積の80%まで仕込み、密閉して内部の空気を二酸化炭素で置換後、二酸化炭素を供給して5MPaに加圧して液体二酸化炭素とした後、40℃に温調した。さらに、二酸化炭素を供給して8MPaに調整した。8MPa、40℃で1時間撹拌し、シリコン粒子に重合開始剤を浸透させた。8MPaを維持するように二酸化炭素の供給と排気用ノズルからの二酸化炭素の排気を同時に行い、シリコン粒子に浸透せずに二酸化炭素に溶解している余剰の重合開始剤を取り除いた。メタクリル酸メチル5部を反応用耐圧容器に投入し、1時間撹拌し、シリコン粒子にメタクリル酸メチルを浸透させ、80℃に昇温、2時間撹拌させ重合し、排気用ノズルより二酸化炭素を取出すことにより、メタクリル酸メチルの重合体(P1)が被覆した二次電池用被覆負極活物質(C3)を作製した。
【0108】
<実施例4:二次電池用被覆負極活物質(C4)>
撹拌棒、排気用ノズル及び温度計を備えた反応用耐圧容器に、イソホロンジイソシアネート1.3部、ポリエチレングリコール(数平均分子量=500)0.6部及びハードカーボン粒子100部を反応用耐圧容器の容積の80%まで仕込み、密閉して内部の空気を二酸化炭素で置換した後、二酸化炭素を供給して5MPaに加圧して液体二酸化炭素とした後、90℃に温調した。さらに、二酸化炭素を供給して12MPaに調整した。12MPa、90℃で5時間撹拌した後、排気用ノズルより二酸化炭素を取出すことにより、ウレタン樹脂(U1)が被覆した二次電池用被覆負極活物質(C4)を作製した。
【0109】
<実施例5:二次電池用被覆負極活物質(C5)>
撹拌棒、排気用ノズル及び温度計を備えた反応用耐圧容器に、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルヴァレロニトリル)0.5部及びハードカーボン粒子100.0部を、反応用耐圧容器の容積の80%まで仕込み、密閉して内部の空気を二酸化炭素で置換後、二酸化炭素を供給して5MPaに加圧して液体二酸化炭素とした後、40℃に温調した。さらに、二酸化炭素を供給して8MPaに調整した。8MPa、40℃で1時間撹拌し、ハードカーボン粒子に重合開始剤を浸透させた。8MPaを維持するように二酸化炭素の供給と排気用ノズルからの二酸化炭素の排気を同時に行い、ハードカーボン粒子に浸透せずに二酸化炭素に溶解している余剰の重合開始剤を取り除いた。二酸化炭素の供給を止め、排気用ノズルより二酸化炭素を取出した。前記ハードカーボン粒子90部、メタクリル酸メチル5部、導電助剤としてアセチレンブラック5部を反応用耐圧容器に投入し、密閉して空気を二酸化炭素で置換後、二酸化炭素を供給して5MPaに加圧し、80℃に温調した。さらに、二酸化炭素を供給して8MPaに調整した。80℃、2時間撹拌させ重合し、排気用ノズルより二酸化炭素を取り出すことにより、導電助剤アセチレンブラックを含んだメタクリル酸メチルの重合体(P1)が被覆した二次電池用被覆負極活物質(C5)を作製した。
【0110】
<実施例6:二次電池用被覆正極活物質(C6)>
撹拌棒、排気用ノズル及び温度計を備えた反応用耐圧容器に、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルヴァレロニトリル)0.5部、LiCoO
2粒子100.0部を、反応用耐圧容器の容積の80%まで仕込み、密閉して内部の空気を二酸化炭素で置換後、二酸化炭素を供給して5MPaに加圧し液体二酸化炭素とした後、40℃に温調した。さらに、二酸化炭素を供給して8MPaに調整した。8MPa、40℃で1時間撹拌し、LiCoO
2粒子に重合開始剤を浸透させた。8MPaを維持するように二酸化炭素の供給と排気用ノズルからの二酸化炭素の排気を同時に行い、LiCoO
2粒子に浸透せずに二酸化炭素に溶解している余剰の重合開始剤を取り除いた。二酸化炭素の供給を止め、排気用ノズルより二酸化炭素を取出した。前記LiCoO
2粒子100部、メタクリル酸メチル5部を反応用耐圧容器に投入し、密閉して空気を二酸化炭素で置換後に撹拌しながら二酸化炭素を供給して5MPaに加圧した後、40℃に温調した。さらに、二酸化炭素を供給して8MPaに調整した。8MPa、40℃で1時間撹拌し粒子に単量体を浸透させ、大気圧に減圧した。酢酸エチル80部を投入して80℃に昇温、2時間撹拌させ重合し、排気用ノズルより二酸化炭素を取り出した。80℃、−0.1MPaで、10時間乾燥して溶媒を除去し、メタクリル酸メチル(P1)の重合体が被覆した二次電池用被覆正極活物質(C6)を作製した。
【0111】
<比較例1:二次電池用被覆負極活物質(C’1)>
撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、メタクリル酸メチル30部、ジメチルホルムアミド70部、開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルヴァレロニトリル)0.5部を仕込み、密閉して内部の空気を窒素で置換後、80℃に昇温し、2時間撹拌して重合させ、メタクリル酸メチル重合体溶液を作製した。別の撹拌棒を備えた反応容器に、ハードカーボン粒子100部、上記で作製したメタクリル酸メチル重合体溶液15部を仕込み、攪拌混合した。その後、ジメチルホルムアミドを120℃、−0.1MPaで、10時間乾燥して溶媒を除去し、比較用である二次電池用被覆負極活物質(C’1)を作製した。
【0112】
<比較例2:二次電池用被覆正極活物質(C’2)>
撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、メタクリル酸メチル30部、ジメチルホルムアミド70部、開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルヴァレロニトリル)0.5部を仕込み、密閉して内部の空気を窒素で置換後、80℃に昇温し、2時間撹拌して重合させ、メタクリル酸メチル重合体溶液を作製した。別の撹拌棒を備えた反応容器に、LiCoO
2粒子100部、上記で作製したメタクリル酸メチル重合体溶液15部を仕込み、攪拌混合した。その後、ジメチルホルムアミドを120℃、−0.1MPaで、10時間乾燥して溶媒を除去し、比較用である二次電池用被覆正極活物質(C’2)を作製した。
【0113】
二次電池用被覆活物質(C1)〜(C6)及び比較用である二次電池用被覆活物質(C’1)、(C’2)を用いて、接着性試験を下記の評価方法で評価した。結果を表1に示す。
【0114】
<接着性試験>
本発明の製造方法で得られた二次電池用被覆活物質(C1)〜(C6)、比較用二次電池用被覆活物質(C’1)、(C’2)のそれぞれ1部を被覆樹脂の不溶性溶媒であるアセトン10部中に超音波分散機を用いて1分間分散処理し、続いて25℃で12時間静置した後にろ過して溶媒を除き、さらに80℃、−0.1MPaの条件で10時間減圧乾燥して本発明の製造方法で作成した被覆活物質を用いた試験試料(S1)〜(S6)、比較用試験試料(S’1)及び(S’2)を作製した。試験試料(S1)〜(S6)、比較用試験試料(S’1)及び(S’2)を熱重量−示差熱分析計「TG/DTA」[エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製 示差熱熱重量同時測定装置TG/DTA6200]を用いて加熱による重量減少量(以下、熱源量と記載する)を測定した。
更に、前記の試験試料(S1)〜(S6)、比較用試験試料(S’1)及び(S’2)のそれぞれ1部を被覆樹脂の可溶性溶媒であるジメチルホルムアミド10部に前記と同様の方法で再び分散し、25℃で12時間静置後にろ過して溶媒を除き、さらに120℃、−0.1MPaの条件で10時間減圧乾燥して試験試料(T1)〜(T6)、比較用試験試料(T’1)及び(T’2)を作製した。この操作により、活物質表面に付着している有機高分子化合物はジメチルホルムアミドにより溶解除去される。得られた試験試料(T1)〜(T6)、比較用試験試料(T’1)及び(T’2)を熱重量−示差熱分析計「TG/DTA」[エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製 示差熱熱重量同時測定装置TG/DTA6200]を用いて熱減量を測定した。
得られた熱源量の値を用いて、下記式から算出される被覆樹脂の残存率を用いて下記の基準で接着性を評価し、結果を表1に示した。前記の方法で測定される熱源量は、それぞれの溶剤で処理した後に活物質表面に接着残存する被覆樹脂が燃焼したことによる重量減少量である。従って、下記式から算出される残存率が大きいほど被覆に用いた有機高分子化合物が活物質の内部にまで浸透し、より強固に接着した被覆層を有していたことを意味する。
残存率=(ジメチルホルムアミド中に超音波分散処理した後の熱減量値)/(アセトン中に超音波分散処理した後の熱減量値)×100
【0115】
(接着性の評価基準)
○:試験試料の被覆物の可溶化溶媒で超音波分散処理後の熱減量値が、被覆物の不溶化溶媒で超音波分散処理後の熱減量値との変化率が50%以上。
△:試験試料の被覆物の可溶化溶媒で超音波分散処理後の熱減量値が、被覆物の不溶化溶媒で超音波分散処理後の熱減量値との変化率が5〜50%未満。
×:試験試料の被覆物の可溶化溶媒で超音波分散処理後の熱減量値が、被覆物の不溶化溶媒で超音波分散処理後の熱減量値との変化率が5%未満。
【0116】
【表1】
【0117】
二次電池用被覆活物質(C1)〜(C6)、比較用二次電池用被覆活物質(C’1)及び(C’2)を用いて、以下の方法で評価用リチウムイオン電池を作成し、充放電サイクル特性を評価し、表2に記載した。
【0118】
<実施例7〜12、比較例3、4:リチウムイオン電池用電極及び評価用二次電池の作製>
実施例1〜5又は比較例1で作製した二次電池用被覆負極活物質のそれぞれについて、被覆負極活物質100部、1−メチル−2−ピロリドン[東京化成工業(株)製]200部を添加し、攪拌機で混合して、負極活物質スラリーを得た。負極集電体として、銅箔(厚さ:20μm)を準備し、上記で調製した負極活物質スラリーを、活物質塗布量が10mg/cm
2となるように、当該負極集電体の一方の表面に塗布して、塗膜を形成させた。次いで、この塗膜を80℃にて60分間真空乾燥させた。その後、得られた負極をポンチを用いてφ16mmの円形に打ち抜いて、それぞれの被覆負極活物質を用いた試験用のリチウムイオン電池用電極(負極)を得た。
【0119】
次いで、対極となるリチウム金属箔(厚さ:500μm、φ17mm)を、宝泉製ステンレス製HSセル内に配置し、これにポリプロピレン製微多孔膜からなるセパレータ(厚さ:25μm、φ18mm)を載置し、更に上記のリチウムイオン電池用電極(負極)をそれぞれ載置して発電要素を作製した。次いで発電要素に1M LiPF
6/EC+DEC(1:1(体積比))の電解液200μLを注液し、さらにスペーサー、バネ、上蓋の順に重ね、上蓋を蝶ネジで固定して被覆負極活物質評価用のコインサイズ電池を得た。
【0120】
実施例6又は比較例4で作製した二次電池用被覆正極活物質のそれぞれについて、被覆正極活物質95部、アセチレンブラック5部を混合し後、1−メチル−2−ピロリドン[東京化成工業(株)製]70部を添加し、撹拌機で混合して、正極活物質スラリーを得た。正極集電体として、アルミニウム箔(厚さ:20μm)を準備した。そして、上記で調製した正極活物質スラリーを、活物質塗布量が10mg/cm
2となるように、当該正極集電体の一方の表面に塗布して、塗膜を形成させた。次いで、この塗膜を80℃にて60分間乾燥させた後、真空下6時間乾燥した。その後、得られた正極をポンチを用いてφ16mmの円形に打ち抜いて、それぞれの被覆正極活物質を用いた試験用であるリチウムイオン電池用電極(正極)を得た。
【0121】
次いで、対極となるリチウム金属箔(厚さ:0.5μm、φ17mm)を、宝泉製ステンレス製HSセル内に配置し、これにポリプロピレン製微多孔膜からなるセパレータ(厚さ:25μm、φ18mm)を載置し、更に上記の試験用であるリチウムイオン電池用電極(正極)をそれぞれ載置載置して発電要素を作製した。次いで発電要素に、上記の電解液200μLを注液し、さらにスペーサー、バネ、上蓋の順に重ね、上蓋を蝶ネジで固定して被覆正極活物質評価用のコインサイズ電池を得た。
【0122】
<評価用リチウムイオン電池の充放電サイクル特性の評価>
上記で作製した被覆負極活物質評価用のコインサイズ電池及び被覆正極活物質評価用のコインサイズ電池について、以下の方法で充放電サイクル特性を評価し、結果を表2に記載した。
充放電測定装置「バッテリーアナライザー1470型」[東陽テクニカ(株)製]を用いて、0.1Cの電流で電圧4.3Vまで充電し、10分間の休止後、0.1Cの電流で電池電圧を3.0Vまで放電した。更にこの充放電の操作を繰り返し、初回充電時の電池容量と50サイクル目充電時の電池容量をそれぞれ測定し、下記式から充放電サイクル特性を算出して表2に記載した。数値が大きい程、充放電サイクル特性が良好であることを示す。
充放電サイクル特性(%)=(50サイクル目充電時の電池容量/初回充電時の電池容量)×100
【0123】
【表2】
【0124】
表1に記載の通り、本発明の製造方法である実施例1〜6で得られた被覆活物質は活物質の内部まで有機高分子化合物が浸透しており、比較例に比べて接着性に優れた被覆層を有していることがわかる。また、表2に記載の通り、本発明の製造方法で得られた被覆活物質を用いた実施例7〜12はサイクル特性に優れている。これは、比較例に用いた活物質では被覆層が剥離する等の欠陥の発生があったのに対して、実施例7〜12は被覆層と活物質粒子との接着性が良好で剥離等の欠陥が発生しなかったためと考えられる。