(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
鋭意検討の結果、本発明者等は、有機UV遮蔽剤に基づくUV遮断効果をもたらすことができ、一方で、マットな外観及び優れた質感をもたらすことができる組成物を提供することが可能であることを発見した。
【0023】
したがって、本発明による組成物は、
(a)少なくとも1種の有機UV遮蔽剤と、
(b)少なくとも1種の無機疎水性吸油粉末と、
(c)少なくとも1種の有機疎水性吸油粉末と、
(d)100ml/100g以上、好ましくは150ml/100g以上、より好ましくは200ml/100g以上の吸油能を有する少なくとも1種の親水性吸油粉末と
を含む。
【0024】
本発明によれば、UV遮断効果をもたらすために、(a)有機UV遮蔽剤を使用することができるが、(a)有機UV遮蔽剤単独では、皮膚をてからせる特性を有する場合がある。
【0025】
本発明による組成物は、上記の特定の成分(b)から(d)の組合せを含むことから、組成物が(a)有機UV遮蔽剤を含むが、マットな外観及び優れた質感をもたらすことができる。
【0026】
本発明による組成物は、上記の慎重に選択された特定の成分(b)から(d)の組合せに起因して、上記の成分(b)から(d)の量が増加しても、きしむような感覚をもたらさない。
【0027】
本発明による組成物が(a)有機UV遮蔽剤以外の(e)油及び/又は(f)水を更に含む場合、良好な伸び、低い皮膜感、及び塗布後の潤い感を更に改善することができる。したがって、本発明による組成物は、エマルションの形態であることが好ましい。
【0028】
以下では、本発明による組成物を詳細に説明する。
【0029】
[有機UV遮蔽剤]
本発明による組成物は、少なくとも1種の(a)有機UV遮蔽剤を含む。2種以上の(a)有機UV遮蔽剤を使用する場合、それらは、同じであっても異なっていてもよく、好ましくは同じである。
【0030】
本発明に使用される(a)有機UV遮蔽剤は、UV-A及び/又はUV-B領域において活性であることができる。(a)有機UV遮蔽剤は、親水性及び/又は親油性であることができ、好ましくは親油性である。
【0031】
(a)有機UV遮蔽剤は、固体又は液体であることができる。「固体」及び「液体」という用語は、1atm下25℃での固体及び液体をそれぞれ意味する。
【0032】
(a)有機UV遮蔽剤は、アントラニル酸化合物;ジベンゾイルメタン化合物;ケイ皮酸化合物;サリチル酸化合物;カンフル化合物;ベンゾフェノン化合物;β,β-ジフェニルアクリレート化合物;トリアジン化合物;ベンゾトリアゾール化合物;ベンザルマロネート化合物;ベンゾイミダゾール化合物;イミダゾリン化合物;ビス-ベンゾアゾリル化合物;p-アミノ安息香酸(PABA)化合物;メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)化合物;ベンゾオキサゾール化合物;遮蔽性ポリマー及び遮蔽性シリコーン;α-アルキルスチレンに由来するダイマー;4,4-ジアリールブタジエン化合物;並びにそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0033】
(a)有機UV遮蔽剤の例としては、下記にそのINCI名で示すもの、及びそれらの混合物を挙げることができる。
- アントラニル酸化合物:Haarmann and Reimer社によって「Neo Heliopan MA」の商標で市販されているアントラニル酸メンチル。
- ジベンゾイルメタン化合物:特にHoffmann-La Roche社によって「Parsol 1789」の商標で市販されているブチルメトキシジベンゾイルメタン;及びイソプロピルジベンゾイルメタン。
- ケイ皮酸化合物:特にHoffmann-La Roche社によって「Parsol MCX」の商標で市販されているメトキシケイ皮酸エチルヘキシル;メトキシケイ皮酸イソプロピル;メトキシケイ皮酸イソプロポキシ;Haarmann and Reimer社によって「Neo Heliopan E 1000」の商標で市販されているメトキシケイ皮酸イソアミル;シノキセート(2-エトキシエチル-4-メトキシシンナメート);メトキシケイ皮酸DEA;メチルケイ皮酸ジイソプロピル;及びジメトキシケイ皮酸エチルヘキサン酸グリセリル。
- サリチル酸化合物:Rona/EM Industries社によって「Eusolex HMS」の商標で市販されているホモサレート(サリチル酸ホモメンチル);Haarmann and Reimer社によって「Neo Heliopan OS」の商標で市販されているサリチル酸エチルヘキシル;サリチル酸グリコール;サリチル酸ブチルオクチル;サリチル酸フェニル;Scher社によって「Dipsal」の商標で市販されているサリチル酸ジプロピレングリコール;及びHaarmann and Reimer社によって「Neo Heliopan TS」の商標で市販されているサリチル酸TEA。
- カンフル化合物、特にベンジリデンカンフル誘導体:Chimex社によって「Mexoryl SD」の商標で製造されている3-ベンジリデンカンフル;Merck社によって「Eusolex 6300」の商標で市販されている4-メチルベンジリデンカンフル;Chimex社によって「Mexoryl SL」の商標で製造されているベンジリデンカンフルスルホン酸;Chimex社によって「Mexoryl SO」の商標で製造されているカンフルベンザルコニウムメトスルフェート;Chimex社によって「Mexoryl SX」の商標で製造されているテレフタリリデンジカンフルスルホン酸;及びChimex社によって「Mexoryl SW」の商標で製造されているポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンフル。
- ベンゾフェノン化合物:BASF社によって「Uvinul 400」の商標で市販されているベンゾフェノン-1(2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン);BASF社によって「Uvinul D50」の商標で市販されているベンゾフェノン-2(テトラヒドロキシベンゾフェノン);BASF社によって「Uvinul M40」の商標で市販されているベンゾフェノン-3(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)又はオキシベンゾン;BASF社によって「Uvinul MS40」の商標で市販されているベンゾフェノン-4(ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸);ベンゾフェノン-5(ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム);Norquay社によって「Helisorb 11」の商標で市販されているベンゾフェノン-6(ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン);American Cyanamid社によって「Spectra-Sorb UV-24」の商標で市販されているベンゾフェノン-8;BASF社によって「Uvinul DS-49」の商標で市販されているベンゾフェノン-9(ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸二ナトリウム);ベンゾフェノン-12、及びn-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート(BASF社によるUVINUL A+)。
- β,β-ジフェニルアクリレート化合物:特にBASF社によって「Uvinul N539」の商標で市販されているオクトクリレン;及び特にBASF社によって「Uvinul N35」の商標で市販されているエトクリレン。
- トリアジン化合物:Sigma 3V社によって「Uvasorb HEB」の商標で市販されているジエチルヘキシルブタミドトリアゾン;2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、Ciba Geigy社によって「TINOSORB S」の商標で市販されているビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、及びBASF社によって「UVINUL T150」の商標で市販されているエチルヘキシルトリアゾン。
- ベンゾトリアゾール化合物、特にフェニルベンゾトリアゾール誘導体:分枝状及び直鎖状の2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノ、並びにUSP5240975に記載されているもの。
- ベンザルマロネート化合物:ジネオペンチル4'-メトキシベンザルマロネート、及びベンザルマロネート官能基を含むポリオルガノシロキサン、例えばHoffmann-LaRoche社によって「Parsol SLX」の商標で市販されているポリシリコーン-15。
- ベンゾイミダゾール化合物、特にフェニルベンゾイミダゾール誘導体:特にMerck社によって「Eusolex 232」の商標で市販されているフェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、及びHaarmann and Reimer社によって「Neo Heliopan AP」の商標で市販されているフェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム。
- イミダゾリン化合物:エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオネート。
- ビス-ベンゾアゾリル化合物:EP-669,323及び米国特許第2,463,264号に記載されている誘導体。
- パラ-アミノ安息香酸化合物:PABA(p-アミノ安息香酸)、エチルPABA、エチルジヒドロキシプロピルPABA、ジメチルPABAペンチル、特にISP社によって「Escalol 507」の商標で市販されているジメチルPABAエチルヘキシル、グリセリルPABA、及びBASF社によって「Uvinul P25」の商標で市販されているPEG-25 PABA。
- メチレンビス-(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)化合物、例えばFairmount Chemical社によって「Mixxim BB/200」の商標で固体形態で市販されている2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-フェノール]、BASF社によって「Tinosorb M」の商標で、又はFairmount Chemical社によって「Mixxim BB/100」の商標で水性分散体中の微粉化形態で市販されている2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、並びに米国特許第5,237,071号及び第5,166,355号、GB-2,303,549、DE-19,726,184及びEP-893,119に記載されている誘導体、並びに
下記に表すような、Rhodia Chimie社によって「Silatrizole」の商標で、又はL'Oreal社によって「Mexoryl XL」の商標で市販されているドロメトリゾールトリシロキサン。
【0035】
- ベンゾオキサゾール化合物:Sigma 3V社によってUvasorb K2Aの商標で市販されている2,4-ビス[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル-(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン。
- 遮蔽性ポリマー及び遮蔽性シリコーン:WO93/04665に記載されているシリコーン。
- α-アルキルスチレンに由来するダイマー:DE-19855649に記載されているダイマー。
- 4,4-ジアリールブタジエン化合物:1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン。
【0036】
(a)有機UV遮蔽剤は、以下からなる群から選択されることが好ましい:
ブチルメトキシジベンゾイルメタン、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、ホモサレート、サリチル酸エチルヘキシル、オクトクリレン、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、ベンゾフェノン-3、ベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5、n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、1,1'-(1,4-ピペラジンジイル)ビス[1-[2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]フェニル]-メタノン、4-メチルベンジリデンカンフル、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、エチルヘキシルトリアゾン、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ジイソブチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、2,4-ビス-(n-ブチル4'-アミノベンザルマロネート)-6-[(3-{1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリルオキシ]-ジシロキサニル}プロピル)アミノ]-s-トリアジン、2,4,6-トリス-(ジフェニル)-トリアジン、2,4,6-トリス-(ターフェニル)-トリアジン、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ドロメトリゾールトリシロキサン、ポリシリコーン-15、ジネオペンチル4'-メトキシベンザルマロネート、1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、2,4-ビス[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル-(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン、カンフルベンザルコニウムメトスルフェート、及びそれらの混合物。
【0037】
本発明による組成物は、(a)有機UV遮蔽剤を、組成物の総質量に対して3質量%から50質量%の範囲、好ましくは5質量%から40質量%の範囲、より好ましくは10質量%から30質量%の範囲、更に好ましくは10質量%から20質量%の範囲の量で含んでいてもよい。
【0038】
[無機疎水性吸油粉末]
本発明による組成物は、少なくとも1種の(b)無機疎水性吸油粉末を含む。2種以上の(b)無機疎水性吸油粉末を使用する場合、それらは、同じであっても異なっていてもよい。
【0039】
(b)無機疎水性吸油粉末は、油又は液体脂肪性物質、例として皮脂を(皮膚から)吸収(及び/又は吸着)することができる。
【0040】
(b)無機疎水性吸油粉末は、粒子の形態である。(b)無機疎水性吸油粉末の(一次)粒径は、0.01から100μm、好ましくは0.05から70μm、より好ましくは0.1から50μmであることができる。(一次)粒径は、例えば、SEM等によって得られる写真画像から抽出及び測定すること、粒径分析器、例えばレーザー回折粒径分析器を使用すること等によって測定することができる。粒径分析器、例えばレーザー回折粒径分析器を使用することが好ましい。この場合、(一次)粒径は、数平均(一次)粒径である。
【0041】
本発明の目的において、「疎水性」吸油粉末という用語は、前記粉末(又は粒子)が、凝集体を形成しないように油性相中に個々に分散することを意味する。
【0042】
この(b)無機疎水性吸油粉末は、本発明による組成物が脂肪相を形成しうる油性成分を含む場合、組成物の脂肪相中に存在することができる。
【0043】
(b)無機疎水性吸油粉末は、多孔質粒子、特に多孔質球状粒子であることが好ましい。
【0044】
(b)無機疎水性吸油粉末の吸油能は限定されない。(b)無機疎水性吸油粉末は、100ml/100g以上、好ましくは150ml/100g以上、より好ましくは200ml/100g以上、更に好ましくは250ml/100g以上、特に好ましくは300ml/100g以上の吸油能を有することが好ましい。
【0045】
(b)無機疎水性吸油粉末は、100ml/100gから2000ml/100g、好ましくは100ml/100gから1500ml/100g、より好ましくは100ml/100gから1000ml/100gの範囲の吸油能を有することができる。更に、(b)無機疎水性吸油粉末は、150ml/100gから2000ml/100g、好ましくは150ml/100gから1500ml/100g、より好ましくは150ml/100gから1000ml/100gの範囲の吸油能を有することができる。更に、(b)無機疎水性吸油粉末は、200ml/100gから2000ml/100g、好ましくは200ml/100gから1500ml/100g、より好ましくは200ml/100gから1200ml/100gの範囲の吸油能を有することができる。
【0046】
(b)無機疎水性吸油粉末によって吸収(及び/又は吸着)される油の量は、下記の方法に従って湿潤点を測定することによって特徴付けることができる。Wpと記される湿潤点で測定される吸油能は、均質なペーストを得るために粒子100gに添加する必要がある油の量に相当する。
【0047】
吸収(及び/又は吸着)される油の量は、規格ISO 787/5-1980に記載されている、粉末の油取込み量を決定するための方法に従って測定することができる。これは、湿潤点の測定による、粉末の利用可能表面上に吸収/吸着される油の量に相当する。
【0048】
約0.5gから約5gの間の量m(グラム単位)の(b)無機疎水性吸油粉末(この量は、(b)無機疎水性吸油粉末の密度によって決まるが、典型的には2g)をガラス板上に置き、次いで、イソノナン酸イソノニルを滴下添加する。
【0049】
4から5滴の精製アマニ油を添加した後、スパチュラを使用して、イソノナン酸イソノニルを(b)無機疎水性吸油粉末に組み込み、イソノナン酸イソノニル及び粉末の集合体が形成するまで、イソノナン酸イソノニルの添加を続ける。この時点で、イソノナン酸イソノニルを1滴ずつ添加し、次いで、混合物をスパチュラで摩砕する。堅く滑らかなペーストが得られたら、イソノナン酸イソノニルの添加を中止する。このペーストは、ひび割れること又は塊を形成することなく、ガラス板上に広げることができなければならない。次いで、使用したイソノナン酸イソノニルの体積Vs(mlで表される)を書き留める。
【0050】
油取込み量は、比Vs/mに相当する。
【0051】
(b)無機疎水性吸油粉末は、無機性である。
【0052】
(b)無機疎水性吸油粉末は、少なくとも1つの無機コアと、少なくとも1つの疎水性コーティングとを有してもよい。
【0053】
疎水性コーティングは、とりわけ脂肪酸、例えばステアリン酸;金属石鹸、例えばジミリスチン酸アルミニウム、水添タロウグルタミン酸のアルミニウム塩;アミノ酸;N-アシルアミノ酸又はそれらの塩;レシチン、イソプロピルトリイソステアリルチタネート、鉱物ワックス、及びそれらの混合物から選択することができる疎水性処理剤によって形成することができる。
【0054】
N-アシルアミノ酸は、8から22個の炭素原子を含有するアシル基、例として2-エチルヘキサノイル、カプロイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル又はココイル基を含むことができる。これらの化合物の塩は、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ジルコニウム、亜鉛、ナトリウム又はカリウム塩であることができる。アミノ酸は、例えば、リシン、グルタミン酸又はアラニンであることができる。
【0055】
先に挙げた化合物において記述された「アルキル」という用語は、とりわけ、1から30個の炭素原子を含有する、好ましくは5から16個の炭素原子を含有するアルキル基を示す。
【0056】
(b)無機疎水性吸油粉末は、疎水性シリカ、特に疎水性シリル化シリカの粉末、及びそれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0057】
疎水性シリカ、特にシリル化シリカは、シリカゲルの液体成分を空気で置き換えることによって(乾燥することによって)得られる多孔質材料であるシリカエアロゲルをベースとすることができる。
【0058】
それらは、一般に、液体媒体中でゾル-ゲル法によって合成され、次いで、通常は超臨界流体で抽出することによって乾燥され、最もよく使用される超臨界流体は、超臨界CO
2である。このタイプの乾燥は、孔及び材料の収縮を回避することを可能にする。ゾル-ゲル法及び様々な乾燥操作は、Brinker C.J.及びScherer G.W.、Sol-Gel Science、New York、Academic Press社、1990年に詳細に記載されている。
【0059】
疎水性シリカエアロゲル粒子は、
500から1500m
2/g、好ましくは600から1200m
2/g、より好ましくは600から800m
2/gの範囲の質量単位当たりの比表面積(SW)、及び/又は
体積平均径(D[0.5])として表して、1から1500μm、好ましくは1から1000μm、より好ましくは1から100μm、特に1から30μm、より好ましくは5から25μm、より好ましくは5から20μm、更に好ましくは5から15μmの範囲のサイズ
を示すことができる。
【0060】
一実施形態によれば、疎水性シリカエアロゲル粒子は、体積平均径(D[0.5])として表して、1から30μm、好ましくは5から25μm、より好ましくは5から20μm、更に好ましくは5から15μmの範囲のサイズを示すことができる。
【0061】
質量単位当たりの比表面積は、BET(Brunauer-Emmett-Teller)法として知られている窒素吸収法によって決定することができ、これは、The Journal of the American Chemical Society、第60巻、309頁、1938年2月に記載されており、国際規格ISO 5794/1(付属書D)に相当する。BET比表面積は、検討中の粒子の総比表面積に相当する。
【0062】
シリカエアロゲル粒子のサイズは、Malvern社製のMasterSizer 2000タイプの市販の粒径分析器を使用して、静的光散乱によって測定することができる。データは、Mie散乱理論に基づいて処理される。この理論は、等方性粒子について厳密であり、非球状粒子の場合、「有効な」粒径を決定することを可能にする。この理論は、特にVan de Hulst, H.C.著、「Light Scattering by Small Particles」、第9章及び第10章、Wiley社、New York、1957年の刊行物に記載されている。
【0063】
有利な実施形態によれば、疎水性シリカエアロゲル粒子は、600から800m
2/gの範囲の質量単位当たりの比表面積(SW)、及び体積平均径(D[0.5])として表して、5から20μm、好ましくは5から15μmの範囲のサイズを示すことができる。
【0064】
シリカエアロゲル粒子は、有利には、0.04g/cm
3から0.10g/cm
3、好ましくは0.05g/cm
3から0.08g/cm
3の範囲の充填密度(ρ)を示すことができる。
【0065】
本発明との関連で、充填密度として知られているこの密度は、以下のプロトコルに従って評価することができる:
粉末40gを目盛り付きメスシリンダーに注ぎ入れ、
次いで、メスシリンダーをStampf Volumeter社製のStav 2003装置上に置き、
続いて、メスシリンダーを一連の2500回の充填動作に供し(この操作は、2つの連続した試験間の体積の差が2%未満になるまで繰り返す)、
次いで、充填された粉末の最終体積Vfをメスシリンダーで直接測定する。充填密度は、比w/Vf、この例では40/Vfによって決定される(Vfはcm
3で表され、wはgで表される)。
【0066】
一実施形態によれば、疎水性シリカエアロゲル粒子は、5から60m
2/cm
3、好ましくは10から50m
2/cm
3、より好ましくは15から40m
2/cm
3の範囲の体積単位当たりの比表面積SVを示すことができる。
【0067】
体積単位当たりの比表面積は、関係式:S
V=S
W×ρ(式中、ρは、g/cm
3で表される充填密度であり、S
Wは、上記に規定の通り、m
2/gで表される質量単位当たりの比表面積である)によって示される。
【0068】
「疎水性シリカ」という用語は、OH基をシリル基Si-Rn、例えばトリメチルシリル基で官能化するように、その表面をシリル化剤、例えばハロゲン化シラン、例えばアルキルクロロシラン、シロキサン、特にジメチルシロキサン、例えばヘキサメチルジシロキサン、又はシラザンで処理した、任意のシリカを意味すると理解される。
【0069】
シリル化によって表面改質された疎水性シリカエアロゲル粒子の調製については、文献US7470725を参照することができる。
【0070】
特に、トリメチルシリル基で表面改質された疎水性シリカエアロゲル粒子が使用される。
【0071】
(b)無機疎水性吸油粉末の例には、下記のフィラーが含まれる。
【0072】
挙げることができるシリカ粉末には、ポリジメチルシロキサン被覆非晶質シリカマイクロスフェア、とりわけSA Sunsphere(登録商標)H33の名称で販売されているもの(油取込み量は243ml/100gに等しい)、鉱物ワックスで表面処理された沈降シリカ粉末、例えばポリエチレンワックスで処理された沈降シリカ、とりわけEvonik-Degussa社によってAcematt OR 412の名称で販売されているもの(油取込み量は398ml/100gに等しい)、及びDow Corning社によってVM-2270の名称で販売されているシリル化シリカ(油取込み量は1040ml/100gに等しい)が含まれる。
【0073】
(b)無機疎水性吸油粉末として、Dow Corning社によってVM-2270の名称で販売されているシリル化シリカを使用することがより好ましく、その粒子は、5から15μmの範囲の平均サイズ、及び600から800m
2/gの範囲の質量単位当たりの比表面積を示す。
【0074】
(b)無機疎水性吸油粉末は、組成物の総質量に対して0.01質量%から10質量%の範囲、好ましくは0.05質量%から5質量%の範囲、より好ましくは0.1質量%から1質量%の範囲、更に好ましくは0.1質量%から0.5質量%の範囲の量で、本発明による組成物中に存在してよい。
【0075】
[有機疎水性吸油粉末]
本発明による組成物は、少なくとも1種の(c)有機疎水性吸油粉末を含む。2種以上の(c)有機疎水性吸油粉末を使用する場合、それらは、同じであっても異なっていてもよい。
【0076】
(c)有機疎水性吸油粉末は、油又は液体脂肪性物質、例として皮脂を(皮膚から)吸収(及び/又は吸着)することができる。
【0077】
(c)有機疎水性吸油粉末は、粒子の形態である。(c)有機疎水性吸油粉末の(一次)粒径は、0.01から100μm、好ましくは0.05から70μm、より好ましくは0.1から50μmであることができる。(一次)粒径は、例えば、SEM等によって得られる写真画像から抽出及び測定すること、粒径分析器、例えばレーザー回折粒径分析器を使用すること等によって測定することができる。粒径分析器、例えばレーザー回折粒径分析器を使用することが好ましい。この場合、(一次)粒径は、数平均(一次)粒径である。
【0078】
本発明の目的において、「疎水性」吸油粉末という用語は、前記粉末(又は粒子)が、凝集体を形成しないように油性相中に個々に分散することを意味する。
【0079】
この(c)有機疎水性吸油粉末は、本発明による組成物が脂肪相を形成しうる油性成分を含む場合、組成物の脂肪相中に存在することができる。
【0080】
(c)有機疎水性吸油粉末は、多孔質粒子、特に多孔質球状粒子であることが好ましい。
【0081】
本開示の別の態様によれば、(c)有機疎水性吸油粉末は、300m
2/g以上、例として500m
2/g以上、例えば600m
2/g以上、且つ1500m
2/g以下のBET比表面積を有することができる。
【0082】
(c)有機疎水性吸油粉末の吸油能は限定されない。(c)有機疎水性吸油粉末は、100ml/100g以上、好ましくは150ml/100g以上、より好ましくは200ml/100g以上、更に好ましくは250ml/100g以上、特に好ましくは300ml/100g以上の吸油能を有することが好ましい。
【0083】
(c)有機疎水性吸油粉末は、100ml/100gから2000ml/100g、好ましくは100ml/100gから1500ml/100g、より好ましくは100ml/100gから1000ml/100gの範囲の吸油能を有することができる。更に、(c)有機疎水性吸油粉末は、150ml/100gから2000ml/100g、好ましくは150ml/100gから1500ml/100g、より好ましくは150ml/100gから1000ml/100gの範囲の吸油能を有することができる。更に、(c)有機疎水性吸油粉末は、200ml/100gから2000ml/100g、好ましくは200ml/100gから1500ml/100g、より好ましくは200ml/100gから1000ml/100gの範囲の吸油能を有することができる。
【0084】
(c)有機疎水性吸油粉末によって吸収(及び/又は吸着)される油の量は、下記の方法に従って湿潤点を測定することによって特徴付けることができる。Wpと記される湿潤点で測定される吸油能は、均質なペーストを得るために粒子100gに添加する必要がある油の量に相当する。
【0085】
吸収(及び/又は吸着)される油の量は、規格ISO 787/5-1980に記載されている、粉末の油取込み量を決定するための方法に従って測定することができる。これは、湿潤点の測定による、粉末の利用可能表面上に吸収/吸着される油の量に相当する。
【0086】
約0.5gから約5gの間の量m(グラム単位)の(c)有機疎水性吸油粉末(この量は、(c)疎水性吸油粉末の密度によって決まるが、典型的には2g)をガラス板上に置き、次いで、イソノナン酸イソノニルを滴下添加する。
【0087】
4から5滴の精製アマニ油を添加した後、スパチュラを使用して、イソノナン酸イソノニルを(c)有機疎水性吸油粉末に組み込み、イソノナン酸イソノニル及び粉末の集合体が形成するまで、イソノナン酸イソノニルの添加を続ける。この時点で、イソノナン酸イソノニルを1滴ずつ添加し、次いで、混合物をスパチュラで摩砕する。堅く滑らかなペーストが得られたら、イソノナン酸イソノニルの添加を中止する。このペーストは、ひび割れること又は塊を形成することなく、ガラス板上に広げることができなければならない。次いで、使用したイソノナン酸イソノニルの体積Vs(mlで表される)を書き留める。
【0088】
油取込み量は、比Vs/mに相当する。
【0089】
(c)有機疎水性吸油粉末は、有機性である。
【0090】
(c)有機疎水性吸油粉末は、ポリアミド(特にナイロン-6)粉末、アクリルポリマー、とりわけポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル/ジメタクリル酸エチレングリコール、ポリメタクリル酸アリル/ジメタクリル酸エチレングリコール又はジメタクリル酸エチレングリコール/メタクリル酸ラウリルコポリマーの粉末;及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。上記の材料は、架橋されていてもよい。
【0091】
(c)有機疎水性吸油粉末は、アクリルポリマー、とりわけジメタクリル酸エチレングリコール/メタクリル酸ラウリルコポリマーの粉末から選択されることが好ましい場合がある。
【0092】
(c)有機疎水性吸油粉末は、適切な場合、少なくとも1種の疎水性処理剤で表面処理されていてもよい。
【0093】
この疎水性処理剤は、例えば、以下のものから選択することができる:
- シリコーン、例えばメチコン、ジメチコン、
- 脂肪酸、例えばステアリン酸、
- 金属石鹸、例えばジミリスチン酸アルミニウム、水添タロウグルタミン酸のアルミニウム塩、
- ペルフルオロアルキルホスフェート、ペルフルオロアルキルシラン、ペルフルオロアルキルシラザン、ヘキサフルオロプロピレンポリオキシド、ペルフルオロアルキルペルフルオロポリエーテル基を含むポリオルガノシロキサン、
- アミノ酸、N-アシル化アミノ酸及びそれらの塩、
- レシチン、イソプロピルトリイソステアリルチタネート、並びに
- それらの混合物。
【0094】
本明細書で使用する場合、上記に列挙した化合物において記述された「アルキル」という用語は、1から30個の原子、例えば5から16個の炭素原子を含む直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基を意味すると理解される。
【0095】
N-アシル化アミノ酸は、8から22個の炭素原子を含むアシル基、例えば、2-エチルヘキサノイル、カプロイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル及びココイル基等を含むことができる。これらの成分の塩は、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ジルコニウム、亜鉛、ナトリウム又はカリウム塩であることができる。アミノ酸は、例えば、リシン、グルタミン酸又はアラニンであることができる。
【0096】
(c)有機疎水性吸油粉末の例には、下記のフィラーが含まれる。
【0097】
挙げることができるアクリルポリマー粉末には、多孔質ポリメタクリル酸メチル(INCI名メタクリル酸メチルクロスポリマー)、例えばSensient社によってCovabead LH85の名称で販売されている球、Cardinal Health Technologies社によってMicrosponge 5640の名称で販売されている多孔質ポリメタクリル酸メチル/ジメタクリル酸エチレングリコール球(油取込み量は155ml/100gに等しい)、ジメタクリル酸エチレングリコール/メタクリル酸ラウリル架橋コポリマー粉末、とりわけAmcol Health & Beauty Solutions社からPolytrap(登録商標)6603の名称で販売されているもの(油取込み量は656ml/100gに等しい)、Akzo Nobel社によってExpancel 551DE40D42の名称で販売されているアクリロニトリル/メタクリル酸メチル/塩化ビニリデンコポリマー(油取込み量は1040ml/100gに等しい)が含まれる。
【0098】
挙げることができるポリアミド粉末には、ナイロン-6粉末、とりわけ宇部興産株式会社によってPomp610の名称で販売されている製品(油取込み量は202ml/100gに等しい)が含まれる。
【0099】
(c)有機疎水性吸油粉末は、組成物の総質量に対して0.01質量%から20質量%の範囲、好ましくは0.05質量%から10質量%の範囲、より好ましくは0.1質量%から1質量%の範囲、更に好ましくは0.5質量%から1質量%の範囲の量で、本発明による組成物中に存在してよい。
【0100】
[親水性吸油粉末]
本発明による組成物は、少なくとも1種の(d)100ml/100g以上の吸油能を有する親水性吸油粉末を含む。2種以上の(d)100ml/100g以上の吸油能を有する親水性吸油粉末を使用する場合、それらは、同じであっても異なっていてもよい。
【0101】
(d)親水性吸油粉末は、油又は液体脂肪性物質、例として皮脂を(皮膚から)吸収(及び/又は吸着)することができる。
【0102】
(d)親水性吸油粉末は、粒子の形態である。(d)親水性吸油粉末の(一次)粒径は、0.01から100μm、好ましくは0.05から70μm、より好ましくは0.1から50μmであることができる。(一次)粒径は、例えば、SEM等によって得られる写真画像から抽出及び測定すること、粒径分析器、例えばレーザー回折粒径分析器を使用すること等によって測定することができる。粒径分析器、例えばレーザー回折粒径分析器を使用することが好ましい。この場合、(一次)粒径は、数平均(一次)粒径である。
【0103】
本発明の目的において、「親水性」吸油粉末という用語は、前記粉末(又は粒子)が、凝集体を形成しないように水性相中に個々に分散することを意味する。
【0104】
(d)親水性吸油粉末は、100ml/100g以上、好ましくは150ml/100g以上、より好ましくは200ml/100g以上、更に好ましくは250ml/100g以上の吸油能を有する。
【0105】
(d)親水性吸油粉末は、100ml/100gから2000ml/100g、好ましくは100ml/100gから1500ml/100g、より好ましくは100ml/100gから1000ml/100gの範囲の吸油能を有することができる。更に、(d)親水性吸油粉末は、150ml/100gから2000ml/100g、好ましくは150ml/100gから1500ml/100g、より好ましくは150ml/100gから1000ml/100gの範囲の吸油能を有することができる。更に、(d)親水性吸油粉末は、200ml/100gから1000ml/100g、好ましくは200ml/100gから800ml/100g、より好ましくは200ml/100gから500ml/100gの範囲の吸油能を有することができる。
【0106】
(d)親水性吸油粉末によって吸収(及び/又は吸着)される油の量は、下記の方法に従って湿潤点を測定することによって特徴付けることができる。Wpと記される湿潤点で測定される吸油能は、均質なペーストを得るために粒子100gに添加する必要がある油の量に相当する。
【0107】
吸収(及び/又は吸着)される油の量は、規格ISO 787/5-1980に記載されている、粉末の油取込み量を決定するための方法に従って測定することができる。これは、湿潤点の測定による、粉末の利用可能表面上に吸収/吸着される油の量に相当する。
【0108】
約0.5gから約5gの間の量m(グラム単位)の(d)親水性吸油粉末(この量は、(d)親水性吸油粉末の密度によって決まるが、典型的には2g)をガラス板上に置き、次いで、イソノナン酸イソノニルを滴下添加する。
【0109】
4から5滴の精製アマニ油を添加した後、スパチュラを使用して、イソノナン酸イソノニルを(d)親水性吸油粉末に組み込み、イソノナン酸イソノニル及び粉末の集合体が形成するまで、イソノナン酸イソノニルの添加を続ける。この時点で、イソノナン酸イソノニルを1滴ずつ添加し、次いで、混合物をスパチュラで摩砕する。堅く滑らかなペーストが得られたら、イソノナン酸イソノニルの添加を中止する。このペーストは、ひび割れること又は塊を形成することなく、ガラス板上に広げることができなければならない。次いで、使用したイソノナン酸イソノニルの体積Vs(mlで表される)を書き留める。
【0110】
油取込み量は、比Vs/mに相当する。
【0111】
(d)親水性吸油粉末は、有機性であっても無機性であってもよい。
【0112】
(d)100ml/100g以上の吸油能を有する親水性吸油粉末は、セルロース、シリカ、シリケート;パーライト;炭酸マグネシウム;水酸化マグネシウム;及びそれらの誘導体;並びにそれらの混合物から選択することができる。
【0113】
(d)親水性吸油粉末は、セルロース、シリカ、シリケート、パーライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、及びそれらの誘導体、並びにそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0114】
当業者は、以下の材料の中で、(d)100ml/100g以上、好ましくは150ml/100g以上、より好ましくは200ml/100g以上の吸油能を有する親水性吸油粉末を選択することができる。
【0115】
一実施形態によれば、セルロース誘導体は、セルロースエステル及びエーテルから選択することができる。
【0116】
「セルロースエステル」という用語は、上記及び下記の文章中では、部分的に又は完全にエステル化された無水グルコース環のα(1〜4)配列からなるポリマーを意味し、このエステル化は、前記無水グルコース環の遊離ヒドロキシル官能基の全て又は一部のみと、1から4個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状のカルボン酸又はカルボン酸誘導体(酸塩化物若しくは酸無水物)との反応によって得られる。好ましくは、セルロースエステルは、前記環の遊離ヒドロキシル官能基の一部と、1から4個の炭素原子を含有するカルボン酸との反応から得られる。有利には、セルロースエステルは、セルロースアセテート、プロピオネート、ブチレート、イソブチレート、アセトブチレート及びアセトプロピオネート、並びにそれらの混合物から選択される。
【0117】
「セルロースエーテル」という用語は、部分的にエーテル化された無水グルコース環のα(1〜4)配列からなるポリマーを意味し、前記環の遊離ヒドロキシル官能基の一部は、-OR基で置換されており、Rは、好ましくは、1から4個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状のアルキル基である。したがって、セルロースエーテルは、好ましくは、1から4個の炭素原子を含有するアルキル基を有するセルロースアルキルエーテル、例えばセルロースメチル、プロピル、イソプロピル、ブチル及びイソブチルエーテルから選択される。
【0118】
挙げることができるセルロース及びそれらの誘導体には、例えば、日本の大東化成工業株式会社によって市販されている以下の球状セルロース粒子が含まれる:4μmの粒径を有するCellulobeads USF(油取込み量は250ml/100gである)(多孔質セルロース)。
【0119】
挙げることができるシリカ粉末には、多孔質シリカマイクロスフェア、とりわけ旭硝子株式会社によってSunsphere(登録商標)H53及びSunsphere(登録商標)H33の名称で販売されているもの(油取込み量は370ml/100gに等しい);Kobo社によるMSS-500-3H;非晶質中空シリカ粒子、とりわけKobo社によってSilica Shellsの名称で販売されているもの(油取込み量は550ml/100gに等しい);富士シリシア化学株式会社によってSylysia 350の名称で販売されている多孔質シリカマイクロスフェア(油取込み量は310ml/100gに等しい);並びにOriental Silicas社によってFinesil X35の名称で販売されているシリカ粉末(油取込み量は380ml/100gに等しい)が含まれる。
【0120】
とりわけ挙げることができるシリケートは、協和化学工業株式会社によってKyowaad(登録商標)700PELの名称で販売されているケイ酸アルミニウム(油取込み量は195ml/100gに等しい)である。
【0121】
とりわけ挙げることができるパーライト粉末は、World Minerals社によってOptimat(登録商標)1430 OR及びOptimat(登録商標)2550 ORの名称で販売されている製品(油取込み量は240ml/100gに等しい)である。
【0122】
とりわけ挙げることができる炭酸マグネシウム粉末は、Buschle & Lepper社によってTipo Carbomagel(登録商標)の名称で販売されている製品(油取込み量は214ml/100gに等しい)である。
【0123】
とりわけ挙げることができる炭酸マグネシウム/水酸化マグネシウム粉末は、日鉄鉱業株式会社によってMg Tubeの名称で販売されているmMgCO
3-Mg(OH)
2-nH
2Oの製品(油取込み量は250〜310ml/100gに等しい)である。
【0124】
(d)100ml/100g以上の吸油能を有する親水性吸油粉末は、組成物の総質量に対して0.01質量%から20質量%の範囲、好ましくは0.05質量%から10質量%の範囲、より好ましくは0.1質量%から1質量%の範囲、更に好ましくは0.1質量%から0.5質量%の範囲の量で、本発明による組成物中に存在してよい。
【0125】
[油]
本発明による組成物は、(a)有機UV遮蔽剤以外の少なくとも1種の(e)油を含んでいてもよい。2種以上の(e)油を使用する場合、それらは、同じであっても異なっていてもよい。
【0126】
本明細書において、「油」は、大気圧(760mmHg)下室温(25℃)で、液体又はペースト(非固体)の形態である脂肪性化合物又は物質を意味する。油としては、化粧品において一般に使用されるものを、単独で又はそれらを組み合わせて使用することができる。これらの油は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0127】
(e)油は、非極性油、例えば炭化水素油、シリコーン油等;極性油、例えば植物若しくは動物油及びエステル油若しくはエーテル油;又はそれらの混合物であることができる。
【0128】
(e)油は、植物又は動物起源の油、合成油、シリコーン油、炭化水素油及び脂肪アルコールからなる群から選択することができる。
【0129】
植物油の例としては、例えば、アマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、コーン油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、アブラナ種子油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナッツ油、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0130】
動物油の例としては、例えば、スクワレン及びスクワランを挙げることができる。
【0131】
合成油の例としては、アルカン油、例えばイソドデカン及びイソヘキサデカン、エステル油、エーテル油、並びに人工トリグリセリドを挙げることができる。
【0132】
エステル油は、好ましくは、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC
1〜C
26脂肪族一酸又は多酸と、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC
1〜C
26脂肪族モノアルコール又はポリアルコールとの液体エステルであり、エステルの炭素原子の総数は、10以上である。
【0133】
好ましくは、モノアルコールのエステルの場合、本発明のエステルが由来するアルコール及び酸の中で少なくとも1つは分枝状である。
【0134】
一酸とモノアルコールとのモノエステルの中では、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル、及びネオペンタン酸イソステアリルを挙げることができる。
【0135】
C
4〜C
22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC
1〜C
22アルコールとのエステル、及びモノカルボン酸、ジカルボン酸、又はトリカルボン酸と非糖C
4〜C
26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ、又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルも使用することができる。
【0136】
とりわけ、セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコールを挙げることができる。
【0137】
エステル油としては、C
6〜C
30、好ましくはC
12〜C
22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを使用することができる。「糖」という用語は、アルデヒド又はケトン官能基の有無にかかわらず、いくつかのアルコール官能基を含有し、少なくとも4個の炭素原子を含む、酸素含有炭化水素系化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖、又は多糖であることができる。
【0138】
挙げることができる好適な糖の例には、スクロース(又はサッカロース)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース、及びラクトース、並びにそれらの誘導体、とりわけアルキル誘導体、例えばメチル誘導体、例としてメチルグルコースが含まれる。
【0139】
脂肪酸の糖エステルは、とりわけ、先に記載した糖と、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和のC
6〜C
30、好ましくはC
12〜C
22脂肪酸とのエステル又はエステルの混合物を含む群から選択することができる。それらが不飽和である場合、これらの化合物は、1から3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を有することができる。
【0140】
この変形形態によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、及びポリエステル、並びにそれらの混合物から選択することができる。
【0141】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル、及びアラキドン酸エステル、又はそれらの混合物、例えば、とりわけオレオパルミチン酸、オレオステアリン酸、及びパルミトステアリン酸の混合エステル、並びにテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルであってもよい。
【0142】
より特定すると、モノエステル及びジエステル、とりわけスクロース、グルコース、又はメチルグルコースのモノオレイン酸エステル又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、及びオレオステアリン酸エステルが使用される。
【0143】
挙げることができる例は、Amerchol社によってGlucate(登録商標)DOの名称で販売されている製品であり、これは、ジオレイン酸メチルグルコースである。
【0144】
好ましいエステル油の例としては、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、カプリル酸/カプリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0145】
人工トリグリセリドの例としては、例えば、カプリルカプリリルグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル、及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルを挙げることができる。
【0146】
シリコーン油の例としては、例えば、直鎖状オルガノポリシロキサン、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等;環状オルガノポリシロキサン、例えばシクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等;及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0147】
好ましくは、シリコーン油は、液体ポリジアルキルシロキサン、とりわけ液体ポリジメチルシロキサン(PDMS)、及び少なくとも1個のアリール基を含む液体ポリオルガノシロキサンから選択される。
【0148】
これらのシリコーン油はまた、有機変性されていてもよい。本発明に従って使用することができる有機変性シリコーンは、上記に定義したシリコーン油であり、それらの構造中に、炭化水素系基を介して結合している1個又は複数の有機官能基を含む。
【0149】
オルガノポリシロキサンは、Walter Noll著、Chemistry and Technology of Silicones(1968年)、Academic Press社においてより詳細に定義されている。それらは、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0150】
それらが揮発性である場合、シリコーンは、より特定すると、60℃から260℃の間の沸点を有するものから選択され、更に特定すると、以下のものから選択される:
(i)3から7個、好ましくは4から5個のケイ素原子を含む環状ポリジアルキルシロキサン。これらは、例えば、特にUnion Carbide社によってVolatile Silicone(登録商標)7207の名称で、又はRhodia社によってSilbione(登録商標)70045 V2の名称で販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Union Carbide社によってVolatile Silicone(登録商標)7158の名称で、Rhodia社によってSilbione(登録商標)70045 V5の名称で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、及びMomentive Performance Materials社によってSilsoft 1217の名称で販売されているドデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにそれらの混合物である。以下の式
【0156】
である)
のジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン等のタイプのシクロコポリマー、例えばUnion Carbide社によって販売されているSilicone Volatile(登録商標)FZ 3109も挙げることができる。環状ポリジアルキルシロキサンと有機ケイ素化合物との混合物、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン及びテトラトリメチルシリルペンタエリスリトール(50/50)の混合物、並びにオクタメチルシクロテトラシロキサン及びオキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンの混合物も挙げることができる;並びに
(ii)2から9個のケイ素原子を含有し、25℃で5×10
-6m
2/s以下の粘度を有する直鎖状の揮発性ポリジアルキルシロキサン。例は、特にトーレ・シリコーン株式会社によってSH 200の名称で販売されているデカメチルテトラシロキサンである。このカテゴリーに属するシリコーンはまた、Cosmetics and Toiletries、第91巻、76年1月、27〜32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmeticsに公表された論文に記載されている。シリコーンの粘度は、ASTM規格445付属書Cに従って25℃で測定される。
【0157】
不揮発性ポリジアルキルシロキサンも使用することができる。これらの不揮発性シリコーンは、より特定すると、ポリジアルキルシロキサンから選択され、その中では、主として、トリメチルシリル末端基を含有するポリジメチルシロキサンを挙げることができる。
【0158】
これらのポリジアルキルシロキサンの中では、非限定的に、以下の市販製品を挙げることができる:
- Rhodia社によって販売されている47及び70047シリーズのSilbione(登録商標)油又はMirasil(登録商標)油、例として油70047 V 500000、
- Rhodia社によって販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油、
- Dow Corning社製の200シリーズの油、例えば60000mm
2/sの粘度を有するDC200、並びに
- General Electric社製のViscasil(登録商標)油及びGeneral Electric社製のSFシリーズのある種の油(SF 96、SF 18)。
【0159】
ジメチコノール(CTFA)の名称で知られているジメチルシラノール末端基を含有するポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社製の48シリーズの油も挙げることができる。
【0160】
アリール基を含有するシリコーンの中では、ポリジアリールシロキサン、とりわけポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサン、例えばフェニルシリコーン油を挙げることができる。
【0163】
[式中、
R
1からR
10は、互いに独立して、飽和又は不飽和の、直鎖状、環状又は分枝状のC
1〜C
30炭化水素系基、好ましくはC
1〜C
12炭化水素系基、より好ましくはC
1〜C
6炭化水素系基、特にメチル、エチル、プロピル、又はブチル基であり、
m、n、p、及びqは、互いに独立して、0以上900以下、好ましくは0以上500以下、より好ましくは0以上100以下の整数であり、
ただし、和n+m+qは、0以外であることを条件とする]
のフェニルシリコーンから選択することができる。
【0164】
挙げることができる例には、以下の名称で販売されている製品が含まれる:
- Rhodia社製の70641シリーズのSilbione(登録商標)油、
- Rhodia社製のRhodorsil(登録商標)70633及び763シリーズの油、
- Dow Corning社製の油Dow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid、
- Bayer社製のPKシリーズのシリコーン、例えば製品PK20、
- General Electric社製のSFシリーズのある種の油、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250、及びSF 1265。
【0165】
フェニルシリコーン油としては、フェニルトリメチコン(上記の式中、R
1からR
10は、メチルであり、p、q、及びn=0であり、m=1である)が好ましい。
【0166】
有機変性された液体シリコーンは、とりわけ、ポリエチレンオキシ及び/又はポリプロピレンオキシ基を含有してもよい。したがって、信越化学工業株式会社によって提案されているシリコーンKF-6017、並びにUnion Carbide社製の油Silwet(登録商標)L722及びL77を挙げることができる。
【0167】
炭化水素油は、以下のものから選択することができる:
- 直鎖状又は分枝状の、場合により環状のC
6〜C
16低級アルカン。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、及びイソパラフィン、例としてイソヘキサデカン、イソドデカン、及びイソデカンが含まれる;並びに
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば流動パラフィン、流動ワセリン、ポリデセン及び水添ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、並びにスクワラン。
【0168】
炭化水素油の好ましい例としては、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えばイソヘキサデカン、イソドデカン、スクワラン、鉱油(例えば、流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、ナフタレン等;水添ポリイソブテン、イソエイコサン、及びデセン/ブテンコポリマー;並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0169】
脂肪アルコールにおける「脂肪」という用語は、比較的多数の炭素原子を含むことを意味する。したがって、4個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは12個以上の炭素原子を有するアルコールは、脂肪アルコールの範囲内に包含される。脂肪アルコールは、飽和であっても不飽和であってもよい。脂肪アルコールは、直鎖状であっても分枝状であってもよい。
【0170】
脂肪アルコールは、構造R-OH[式中、Rは、4から40個の炭素原子、好ましくは6から30個の炭素原子、より好ましくは12から20個の炭素原子を含有する飽和及び不飽和の、直鎖状及び分枝状の基から選択される]を有してもよい。少なくとも1つの実施形態では、Rは、C
12〜C
20アルキル及びC
12〜C
20アルケニル基から選択することができる。Rは、少なくとも1個のヒドロキシル基で置換されていてもいなくてもよい。
【0171】
脂肪アルコールの例としては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0172】
脂肪アルコールは、飽和脂肪アルコールであることが好ましい。
【0173】
したがって、脂肪アルコールは、直鎖又は分枝状の、飽和又は不飽和のC
6〜C
30アルコール、好ましくは直鎖又は分枝状の、飽和C
6〜C
30アルコール、より好ましくは直鎖又は分枝状の、飽和C
12〜C
20アルコールから選択することができる。
【0174】
「飽和脂肪アルコール」という用語は、本明細書において、長い脂肪族飽和炭素鎖を有するアルコールを意味する。飽和脂肪アルコールは、任意の直鎖状又は分枝状の、飽和C
6〜C
30脂肪アルコールから選択されることが好ましい。直鎖状又は分枝状の、飽和C
6〜C
30脂肪アルコールの中では、好ましくは、直鎖状又は分枝状の、飽和C
12〜C
20脂肪アルコールを使用することができる。より好ましくは、任意の直鎖状又は分枝状の、飽和C
16〜C
20脂肪アルコールを使用することができる。更に好ましくは、分枝状のC
16〜C
20脂肪アルコールを使用することができる。
【0175】
飽和脂肪アルコールの例としては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びそれらの混合物を挙げることができる。一実施形態では、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、又はそれらの混合物(例えば、セテアリルアルコール)及びベヘニルアルコールを、飽和脂肪アルコールとして使用することができる。
【0176】
少なくとも1つの実施形態によれば、本発明による組成物中で使用される脂肪アルコールは、好ましくは、セチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びそれらの混合物から選択される。
【0177】
(e)油は、炭化水素油、エステル油、シリコーン油、及びそれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0178】
本発明による組成物中の(e)油の量は、組成物の総質量に対して0.01質量%から25質量%、好ましくは0.1質量%から20質量%、より好ましくは1質量%から15質量%、更に好ましくは5質量%から15質量%の範囲であることができる。
【0179】
(e)油は、本発明による組成物の脂肪相を形成することができる。
【0180】
本発明による組成物がO/Wエマルションの形態である場合、本発明による組成物中の(e)油は、O/Wエマルション中の分散脂肪相を形成することができる。
【0181】
脂肪相は、(a)有機UV遮蔽剤を含んでいてもよい。
【0182】
本発明による組成物中の脂肪相の量は、組成物の総質量に対して10質量%から50質量%、好ましくは15質量%から40質量%、より好ましくは20質量%から30質量%の範囲であることができる。
【0183】
[水]
本発明による組成物は、(f)水を含んでいてもよい。
【0184】
本発明による組成物が(f)水を含む場合、(f)水は、本発明による組成物の水性相を形成することができる。
【0185】
本発明による組成物がO/Wエマルションの形態である場合、本発明による組成物中の(f)水は、O/Wエマルション中の連続水性相を形成することができる。
【0186】
(f)水の量は、組成物の総質量に対して20質量%から80質量%、好ましくは30質量%から70質量%、より好ましくは40質量%から60質量%、更に好ましくは40質量%から50質量%であることができる。
【0187】
[他の成分]
本発明による組成物はまた、少なくとも1種の任意選択又は追加の成分を含んでいてもよい。
【0188】
任意選択又は追加の成分の量は限定されないが、本発明による組成物の総質量に対して0.01質量%から30質量%、好ましくは0.1質量%から20質量%、より好ましくは1質量%から10質量%であることができる。
【0189】
任意選択又は追加の成分は、アニオン性、カチオン性、非イオン性、又は両性ポリマー;アニオン性、カチオン性、非イオン性、又は両性界面活性剤;無機UV遮蔽剤;ペプチド及びそれらの誘導体;タンパク質加水分解物;膨潤剤及び浸透剤;抜け毛防止剤;抗フケ剤;天然又は合成の油用増粘剤;懸濁化剤;金属イオン封鎖剤;乳白剤;染料;日焼け止め剤;ビタミン又はプロビタミン;香料;保存剤、安定剤;並びにそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0190】
本発明による組成物は、1種又は複数の化粧品として許容される有機溶媒を含んでいてもよく、これは、アルコール、特に一価アルコール、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、及びフェニルエチルアルコール;ジオール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、及びブチレングリコール;他のポリオール、例えばグリセロール、糖、及び糖アルコール;並びにエーテル、例えばエチレングリコールモノメチル、モノエチル、及びモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチル、及びモノブチルエーテル、並びにブチレングリコールモノメチル、モノエチル、及びモノブチルエーテルであってもよい。
【0191】
この場合、有機溶媒は、組成物の総質量に対して0.01質量%から30質量%、好ましくは0.1質量%から20質量%、より好ましくは1質量%から15質量%の濃度で存在してよい。
【0192】
[形態]
本発明による組成物の形態は特に限定されず、例えばW/Oエマルション、O/Wエマルション、水性ゲル、水溶液等の様々な形態を取ることができる。本発明による組成物は、エマルションの形態、より好ましくはO/Wエマルションの形態であることが好ましい。
【0193】
[美容方法]
本発明による組成物は、好ましくは、化粧用組成物として使用することができる。化粧用組成物は、皮膚用化粧品、毛髪用化粧品、メイクアップ化粧品、爪用化粧品、及び粘膜、例えば唇等に使用するための化粧品のいずれかであることができ、好ましくは、皮膚用化粧品である。
【0194】
特に、本発明による組成物は、ケラチン物質、例えば皮膚、頭皮、及び/又は唇、好ましくは皮膚への塗布を意図したものであることができる。したがって、本発明による組成物は、皮膚のための美容方法のために使用することができる。
【0195】
本発明による組成物は、少なくとも1種の(a)有機UV遮蔽剤を含むことから、紫外線光を吸収すること、及び/又は紫外線照射からとりわけヒトのケラチン物質を保護することを意図した組成物としても機能することができる。紫外線照射からケラチン物質を保護すると、抗老化、抗しわ、及び保湿効果が得られることが当技術分野で周知である。よって、本発明の組成物は更に、抗老化、抗しわ、及び/又は保湿効果を意図した組成物を構成することができる。
【0196】
本発明による皮膚等のケラチン物質のための美容方法又は美容的使用は、少なくとも、本発明による組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む。
【0197】
本発明による美容方法又は美容的使用は、本発明による組成物中の成分(b)から(d)のいずれか1つに起因して、抗皮脂効果又は抗てかり効果をもたらすことができる。
【0198】
本発明による組成物は、少なくとも1種の(a)有機UV遮蔽剤を含むことから、本発明による美容方法又は美容的使用はまた、本発明による組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、紫外線照射からケラチン物質を保護する方法、及び本発明による組成物を塗布する工程と、ケラチン物質を紫外線光にさらす工程とを含む、紫外線光を吸収する方法に関しうる。これらの方法は、非治療的方法と定義することができる。
【実施例】
【0199】
本発明を、実施例によって、より詳細に説明する。しかしながら、これらの実施例は、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。下記の実施例は、本発明の分野における非限定的な例示として提示される。
【0200】
(実施例1及び比較例1〜4)
表1に示す実施例1及び比較例1〜4による以下の組成物を、表1に示す成分を室温で混合することによって調製した。表1に示す成分の量の数値は全て、活性原料としての「質量%」に基づく。
【0201】
【表1A】
【0202】
【表1B】
【0203】
[評価]
実施例1及び比較例1〜4による組成物を、以下のように評価した。
【0204】
(マット効果)
実施例1及び比較例1〜4による組成物のそれぞれを、厚さ100μmの層としてコントラストカードに塗布し、室温で24時間乾燥した。
【0205】
人工皮脂/汗組成物0.4mlを、室温で、コントラストカード上の上記の層に噴霧した。人工皮脂/汗組成物の配合を下記の表2に示す。
【0206】
【表2】
【0207】
人工皮脂組成物を噴霧した後の上記の層における反射率を、光沢計(UNI GLOSS 60 plus、コニカミノルタ株式会社)で、60°光沢値として測定した。上記の層のそれぞれに噴霧された人工皮脂組成物の量は、互いに同じであった。60°光沢値が低いほど、良好な結果を示す。
【0208】
測定された反射率を、以下のように分類した。
良好(高いマット効果):0から20
不良(低いマット効果):20超から40
非常に不良(マット効果なし):40超から60
【0209】
結果を表1に示す。
【0210】
(伸び、低い皮膜感及び塗布後の潤い感覚)
8人の専門のパネリストが、実施例1及び比較例1〜4による組成物のそれぞれを同量使用した後に、「伸び」、「低い皮膜感」、及び「塗布後の潤い感覚」を評価した。
【0211】
各パネリストは、各組成物を手に取り、次いで、顔に塗布して、各組成物の使用後に「伸び」、「低い皮膜感」、及び「塗布後の潤い感覚」を評価し、0(非常に不良)から5(非常に良好)まで格付けし、これを次いで、格付けの平均に基づいて、以下の3つのカテゴリーに分類した。
良好:3.3から5.0
不良:1.6から3.3未満
非常に不良:0から1.6未満
【0212】
結果を表1に示す。
【0213】
実施例1による組成物は、有機UV遮蔽剤を無機疎水性吸油粉末、有機疎水性吸油粉末、及び100ml/100g以上の吸油能を有する親水性吸油粉末とともに含み、したがって、有機UV遮蔽剤に基づくUV遮断効果、並びにマットな外観及び優れた質感、例えば良好な伸び、低い皮膜感、及び塗布後の潤い感をもたらすことができる。
【0214】
他方で、比較例1による組成物は、100ml/100g以上の吸油能を有する親水性吸油粉末を欠き、したがって、十分なマットな外観及び優れた質感をもたらすことができない。
【0215】
比較例2による組成物は、無機疎水性吸油粉末を欠き、したがって、十分なマットな外観をもたらすことができない。
【0216】
比較例3による組成物は、有機疎水性吸油粉末を欠き、したがって、十分なマットな外観をもたらすことができない。加えて、これは、優れた伸びをもたらすことができない。
【0217】
比較例4による組成物は、無機疎水性吸油粉末、有機疎水性吸油粉末、及び親水性吸油粉末を欠き、したがって、十分なマットな外観をもたらすことができない。
【0218】
表1中の実施例1と比較例1〜4との比較から、UV遮断効果を有し、一方で、マットな外観及び優れた質感をもたらすことができる組成物を調製するために、(a)有機UV遮蔽剤と、(b)無機疎水性吸油粉末と、(c)有機疎水性吸油粉末と、(d)100ml/100g以上の吸油能を有する親水性吸油粉末との組合せが必要であることが明らかである。