(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
建造物における梁部材(1)の両側をそれぞれ作業側及び非作業側として、前記作業側に吊持される足場構成体(2)に関して、前記足場構成体の支柱(5a)の上端部から前記梁部材の上面を横断するように延設された支持アーム(10)と、該支持アームに搭載されて前記梁部材の非作業側の係止縁部(1b)に係脱自在に係止する係止装置(11)により構成された吊持機構(3)を設けて成る吊り足場において、
前記支持アーム(10)は、長手方向に所定間隔をあけて固定要素(15)を列設しており、
前記係止装置(11)は、前記支持アームの固定要素(15)に対して選択的に固定される固定手段(24)を備えた固定体(17)と、前記梁部材の係止縁部(1b)に係止させられる係止部(18a)を備えた係止体(18)により構成され、
前記固定体(17)と前記係止体(18)は、相互に連結手段(27)を介して、前記係止部(18a)を前記係止縁部に対して前進及び後退させる方向に向けて該係止体(18)を移動自在かつ固定自在とするように連結されており、
前記連結手段(27)は、前記固定体(17)に対して前記係止体(18)を梁部材の係止縁部に向けて前進移動させたとき、該係止体を次第に下方に向けて移動させる傾斜ガイド路(30)を備え、前記係止体(18)は、前記支持アーム(10)と前記固定体(17)の少なくとも一方に対して下方から当接することにより、該係止体が前記傾斜ガイド路に沿って後退移動することを阻止するロック手段(32)を設けて成ることを特徴とする吊り足場。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献が提案する吊持機構は、支持アームをねじ棒により形成し、爪金具を備えた筒部材から成る係止手段をねじ棒に摺動自在に外挿させ、ねじ棒の尾端から蝶ナットを螺着するように構成している。
【0007】
そこで、このような吊持機構によれば、ねじ棒から成る支持アームを梁部材の上面に横断姿勢として載置した状態で、ねじ棒に沿って係止手段を前進移動させることにより、該係止手段の爪金具を梁部材の係止縁部に係止させ、この状態で、前記係止手段が後退移動しないように蝶ナットを締着することにより、足場構成体を梁部材に吊持させることが可能である。
【0008】
従って、係止手段の爪金具を梁部材の係止縁部に係止させた状態で、該係止手段を後退移動しないように固定するためには、ねじ棒の尾端から蝶ナットを係止手段に至るまでの長い距離を螺進させなければならず、作業が煩雑であると共に、作業完了までに長時間を要するという問題がある。
【0009】
ところで、特許文献が提案する技術の場合、蝶ナットが弛まない限り、吊持機構が梁部材から脱落することはない。しかしながら、万一、蝶ナットが弛むと、係止手段がねじ棒に沿って摺動し、爪金具を梁部材の係止縁部から後退移動して係止状態を解除し、足場構成体が梁部材から落下するおそれがある。
【0010】
このような問題を解決するためには、例えば、支持アームに所定間隔をあけて挿通孔を列設し、係止手段に設けた固定ピンを前記挿通孔に挿通させるように構成すれば良く、これより係止手段を支持アームに対して確実に固定することが可能になる。
【0011】
しかしながら、この場合、係止手段の固定位置が挿通孔の位置に限定されるため、現場毎に梁部材の幅寸法が異なる現状において、常に必ず係止手段を梁部材の係止縁部に係止させることができないという新たな問題を生じることになる。
【0012】
このため、本発明は、上記問題を解決した吊持機構を設けた吊り足場の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで、本発明が手段として構成したところは、建造物における梁部材の両側をそれぞれ作業側及び非作業側として、前記作業側に吊持される足場構成体に関して、前記足場構成体の支柱の上端部から前記梁部材の上面を横断するように延設された支持アームと、該支持アームに搭載されて前記梁部材の非作業側の係止縁部に係脱自在に係止する係止装置により構成された吊持機構を設けて成る吊り足場において、前記支持アームは、長手方向に所定間隔をあけて固定要素を列設しており、前記係止装置は、前記支持アームの固定要素に対して選択的に固定される固定手段を備えた固定体と、前記梁部材の係止縁部に係止させられる係止部を備えた係止体により構成され、前記固定体と前記係止体は、相互に連結手段を介して、前記係止部を前記係止縁部に対して前進及び後退させる方向に向けて係止体を移動自在かつ固定自在とするように連結されて成る点にある。
【0014】
本発明の好ましい実施形態は、前記固定体を前記支持アームに摺動自在に搭載しており、記支持アームを横断する挿通孔により前記固定要素を構成すると共に、該挿通孔に挿脱自在に挿通される固定ピンにより前記固定手段を構成している。
【0015】
好ましくは、前記連結手段は、前記固定体に対して前記係止体を梁部材の係止縁部に向けて前進移動させたとき、該係止体を次第に下方に向けて移動させる傾斜ガイド路を備えており、前記係止体は、前記支持アームと前記固定体の少なくとも一方に対して下方から当接することにより、該係止体が前記傾斜ガイド路に沿って後退移動することを阻止するロック手段を設けている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1又は請求項2に記載の本発明によれば、係止装置11は、支持アーム10に間隔をあけて列設した固定要素15に選択的に固定される固定手段24を備えた固定体17と、梁部材1の係止縁部1bに係止させられる係止部18aを備えた係止体18により構成しているので、前記固定手段24を固定要素15に固定した状態で、係止装置11を支持アーム10に対して移動不能かつ脱落不能に固定することが可能になる。係止装置11は、固定体17を支持アーム10に沿って所定位置まで移動した後、該固定体17に設けられた固定手段24を固定要素15に固定するだけで直ちに移動不能に固定されるので、従来のねじ棒と蝶ナットによる構成に比して、作業の迅速性と容易性が格段に向上する。
【0017】
この際、係止体18を固定体17に対して、連結手段27により、梁部材1の係止縁部1bに向けて進退移動自在かつ固定自在に構成しているので、前記固定要素15の間隔ピッチPに起因して、係止部18aと係止縁部1bが相互に係止せず、隙間Sを生じる場合であっても、係止体18だけを移動させることにより、係止部18aを係止縁部1bに対して好適に係止させることができる利点がある。
【0018】
更に本発明によれば、連結手段27は、係止体18を係止縁部1bに向けて前進方向に移動させたとき、次第に下方に向けて移動させる傾斜ガイド路30を設けており、係止体18には、前記傾斜ガイド路30に沿って該係止体18を後退方向に移動させようとしたとき、支持アーム10又は固定体17に下方から当接し、該後退方向の移動を阻止するロック手段32を設けているので、万一、連結手段27による係止体18の固定状態が失われた場合でも、係止部18aが係止縁部1bから離反することを確実に防止し、安全な係止状態を実現できる効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0021】
図1は、本発明の1実施形態に係る吊り足場を示している。吊り足場は、建造物における梁部材1の両側をそれぞれ作業側X1と非作業側X2として、ゴンドラ形態に形成された足場構成体2を作業側X1に臨ませると共に、吊持機構3により梁部材1に吊持するように構成されている。
【0022】
(足場構成体)
図示実施形態の場合、足場構成体2は、足場板4aの周囲に足場枠4bを設けた作業床4と、前記作業床4の梁部材1に臨む側部に配置された左右一対の支柱5a、5aを横桟5ba、5cにより連結した第1枠体5と、前記第1枠体5の反対側に位置する作業床4の側部に配置された左右一対の枠柱6a、6aを横桟6bにより連結した第2枠体6により、ゴンドラ形態を成すように形成されている。
【0023】
前記第1枠体5及び第2枠体6は、それぞれの支柱5a及び枠柱6aの下端部を作業床4に回動自在に枢着すると共に、相互に対向する支柱5aと枠柱6aの長手方向中間部を複数のリンク桟7により枢結しており、更に、相互に対向する支柱5aと枠柱6aの上端部を屈折自在なリンクアーム8により枢結している。
【0024】
これにより、足場構成体2は、
図7に示すように、ゴンドラ形態から、第1枠体5に向けて作業床4と第2枠体6を重ね合わせた折畳み形態とすることが可能である。尚、作業床4は、第1枠体5に臨む足場枠4bから上方に起立する幅木9を設けており、後述するように幅木9を足場枠4bに対して折畳み自在に構成している。
【0025】
(吊持機構)
前記吊持機構3は、前記足場構成体2における第1枠体5の支柱5aの上端部から前記梁部材1の上面を横断するように延設された支持アーム10と、該支持アーム10に搭載された係止装置11により構成されている。
【0026】
梁部材1は、一般的に鉄骨により形成され、典型的にはH形鋼により形成されており、上面の両側の縁部のうち、前記作業側X1に臨む縁部を固定縁部1aとして利用し、前記非作業側X2に臨む縁部を係止縁部1bとして利用することにより、吊持機構3を固定係止することができる。
【0027】
この際、梁部材1は、現場によりその幅寸法Wを相違するため、吊持機構3は、異なる幅寸法Wに対応して、係止装置11を梁部材1に固定可能とするように構成されている。
【0028】
図2及び
図3に示すように、前記支持アーム10は、断面H形とされたアーム体12の基端部に爪金具13を固設し、該爪金具13を支柱5aの上端部に設けられたブラケット14に枢軸14を介して回動自在に枢結している。従って、
図7に示すように、支持アーム10は、足場構成体2の折畳み時に、支柱5aに沿って重なり合うように折畳まれる。
【0029】
前記支持アーム10のアーム体12は、長手方向に所定間隔をあけて固定要素15を列設しており、図示実施形態の場合、アーム体12を横断する挿通孔15aにより固定要素15を構成している。尚、アーム体12の尾端部(自由端部)には、ボルト・ナットにより該アーム体12の側面に固定される板から成る抜止め手段16が設けられる。
【0030】
前記係止装置11は、前記アーム体12に摺動自在に搭載される固定体17と、該固定体17に連結され、前記梁部材1の係止縁部1bに係止させられる係止部18aを備えた係止体18により構成されている。
【0031】
従って、吊持機構3は、
図3に示すように、梁部材1の固定縁部1aを支持アーム10の爪金具13の爪部13aに当接させた状態において、前記係止装置11を支持アーム10に沿って摺動させ、所定位置に固定することにより、前記係止部18aにより梁部材1の係止縁部1bを係止固定するように構成されている。
【0032】
図4に示すように、前記固定体17は、アルミニウム等の押出成形材を裁断することにより形成されており、前記アーム体12に摺動自在に外挿されるように断面H形とされた挿入路19を備えたスライダー20と、前記スライダー20の側部に延設された横向き溝形の受部21と、前記スライダー20の下面から垂設された連結板部22を備えている。
【0033】
前記固定体17の受部21には、ほぼコ字形の保持ブラケット23が固着され、該保持ブラケット23には、前記挿入路19を横断して貫通する固定ピン24aから成る固定手段24が保持されている。固定ピン24aは、スプリング25により、前記挿入路19を貫通する方向に向けて弾発付勢されており、保持ブラケット23の外側に突出する頭部24bを摘まみ、スプリング25に抗して引出方向に移動することにより、固定ピン24aの先端部を挿入路19から脱出させることができるように構成されている。
【0034】
前記係止体18は、前記固定体17の連結板部22を摺動自在に挿入させる溝部26を形成しており、連結板部22と溝部26の相互には、係止体18を梁部材1の係止縁部1bに対して前進及び後退させる方向に向けて移動自在かつ固定自在とする連結手段27が設けられている。
【0035】
前記連結手段27は、前記溝部26を貫通して係止体18に設けられた第1ボルト28a及び第1ナット28b並びに第2ボルト29a及び第2ナット29bと、両ボルト28a、29aを案内状態で挿通させるように前記連結板部22に開設された長孔から成る傾斜ガイド路30により構成されており、傾斜ガイド路30は、
図4に矢印Fで示すように、梁部材1の係止縁部1bに向かう前進移動方向に関して、次第に下方に向けて傾斜するように形成されている。尚、図示実施形態の場合、第1ボルト28aは、蝶ボルトにより構成されている。
【0036】
前記係止体18の前進移動方向Fの端部には、ほぼL形の金属板から成る顎部材31が固設されており、該顎部材31の起立部により前記係止部18aが形成され、横向き舌片部により掛止め部18bが形成されている。
【0037】
前記係止体18の後退移動方向(前進移動方向Fの反対方向)の端部には、ロック手段32が設けられている。ロック手段32は、係止体18に固設された固定ナット33と、該固定ナット33の下側から上向きに螺挿された蝶ボルトから成るロックボルト34により構成されている。尚、ロックボルト34の頭部と固定ナット33の間には、圧縮スプリングから成る弛み止めスプリング35を介装することが好ましい。
【0038】
(吊持機構の作用)
前記係止装置11は、係止体18の溝部26に固定体17の連結板部22を挿入し、前記第1ボルト28a及び第2ボルト29aを該溝部26と傾斜ガイド路30に挿通させ、挿出端にそれぞれ第1ナット28b及び第2ナット29bを螺着することにより、固定体17に係止体18を連結した状態で使用される。
【0039】
そして、前記固定体17の挿入路19に支持アーム10のアーム体12を挿通した後、アーム体12の尾端部に抜止め手段16を固着し、支持アーム10と係止装置11を組立てることにより構成された前記吊持機構3により、
図1に示すように、足場構成体2を梁部材1に吊持する。
【0040】
係止装置11を支持アーム10の尾端近傍に位置させた状態で、上述のように支持アーム10の基端部における爪金具13の爪部13aを梁部材1の固定縁部1aに固定し、該支持アーム10を梁部材1の上面に横断状態で載置した後、係止装置11を梁部材1の係止縁部1bに係止する。
【0041】
図5(B)に示すように、固定ピン24aを前記挿入路19から退避させることにより、固定体17を支持アーム10のアーム体12に沿って摺動させることができる。そして、
図5(C)に示すように、固定ピン24aを挿入路19に貫通させてアーム体12の挿通孔15aに挿通することにより、固定体17を該アーム体12に固定することができる。そこで、
図5(A)に示すように、アーム体12に列設された挿通孔15aを選択することにより、係止部18aが係止縁部1bに最も近接した位置で、固定ピン24aを挿通孔15aに挿通させる。
【0042】
この状態で、固定体17は、固定ピン24aがスライダー20とアーム体12の両者を貫通しているので、アーム体12に対して移動不能かつ脱落不能に固定される。尚、必ずしも固定ピン24aを貫通させる構成でなくても良く、要するに、アーム体12の固定要素15に対して固定体17の固定手段24を固定する構成であれば良い。
【0043】
ところで、
図5(A)に示すように、挿通孔15aから成る固定要素15は、アーム体12の長手方向に所定間隔のピッチPで列設されているので、固定体17を所定の固定要素15に固定した状態において、係止部18aと係止縁部1bが相互に係止せず、隙間Sを生じる場合がある。
【0044】
そこで、
図6(A)に示すように、第1ボルト28a及び第2ボルト29aを弛めると、係止体18は、傾斜ガイド路30に沿って前進方向Fに向けて移動可能となるので、係止部18aが係止縁部1bに当接係止する位置まで係止体18を移動させ、移動の後、第1ボルト28a及び第2ボルト29aを締着することにより、係止体18を固定体17に固着する。
【0045】
この際、第1ボルト28aと第2ボルト29aの2本のボルトに関して、蝶ボルトから成る第1ボルト28aの1本により弛緩自在な締着ボルトを構成しても良い。この場合、第2ボルト29aは、傾斜ガイド路30に遊挿された支持手段を構成し、第1ボルト28aと協働して係止体18を傾斜ガイド路30に移動自在に支持する。これにより、第1ボルト28aだけを弛緩又は締着すれば良く、係止体18の移動と固着を迅速かつ容易に行わせることが可能となる。
【0046】
更に、係止部18aが係止縁部1bに当接した状態で前記締着ボルト28aにより係止体18を固定体17に固着した後、
図6(B)に示すように、ロック手段32を構成するロックボルト34を弛み止めスプリング35に抗して上向きに螺進させ、該ロックボルト34の先端をアーム体12の下面に当接させる。
【0047】
これにより、万一、前記締着ボルト28aが弛み、係止体18が図示矢印Rで示すように後退方向に移動しようとしても、該移動方向は傾斜ガイド路30に沿う斜め上向き方向とされているので、ロックボルト34により受止められ、後退移動が阻止される。従って、係止部18aが係止縁部1bから離反し、係止状態を解除することはない。
【0048】
図示実施形態の場合、ロックボルト34は、アーム体12の下面に当接することにより係止体18の後退移動を阻止するように構成しているが、該ロックボルト34を固定体17に当接させるように構成しても良い。例えば、図示構成において、固定ナット33を係止体18の側部に固設し、ロックボルト34の上端が固定体17の受部21の下面に当接するように構成しても良く、この場合でも、係止体18の後退移動を阻止するロック効果を得ることが可能である。
【0049】
上記の結果、吊持機構3は、梁部材1に対する確実な係止固定状態を可能とすることにより、足場構成体2に搭乗した状態で高所作業を行う作業者の安全を確保する。
【0050】
ところで、高所作業は、梁部材1の長手方向に沿って移動しながら行われるのが一般的であるため、所定の作業を終えた後、前記係止装置11を梁部材1の係止縁部1bから離反させた状態で、足場構成体2と共に吊持機構3を梁部材1の長手方向に移動し、再び係止装置11を梁部材1の係止縁部1bに係止させ、次の高所作業を行うことになる。
【0051】
この場合は、前記と逆の手順により、ロック手段32のロックボルト34をアーム体12の下面から後退させた後、前記締着ボルト28aを弛めることにより、係止体18を後退方向Rに移動させ、
図5(A)に示すように、係止部18aを係止縁部1bから離反させれば、支持アーム10を含む吊持機構3を梁部材1の上面に沿って移動させることが可能であり、移動後は、前記と同様の手順で再び係止部18aを係止縁部1bに係止させ、ロック手段32によるロックを行えば良い。
【0052】
このように吊持機構3を梁部材1に沿って移動させるときでも、固定体17の固定ピン24aは挿通孔15aに貫通したままの状態としておけば良く、係止装置11の全体を支持アーム10の上で大きく移動させる必要はない。特に、
図5(A)に示すように、挿通孔15aの間隔ピッチPを密に形成することにより、吊持機構3の移動中も、掛止め部18aを係止縁部1bの下側に臨ませた状態とすることができ、これにより、支持アーム10が梁部材1から上向きに離反移動することを阻止し、吊持機構3と共に足場構成体2が高所から落下することを防止できる利点がある。
【0053】
(その他の構成)
上述の通り、
図7に示すように、足場構成体2は、ゴンドラ形態から、第1枠体5に向けて作業床4と第2枠体6を重ね合わせるように折畳み可能であり、この際、吊持機構3の支持アーム10も支柱5aに沿って重ね合わせられるように折畳まれる。更に、作業床4の幅木9が足場枠4bの内側に折畳まれる。
【0054】
図8は、
図7におけるB部を拡大状態で示しており、第1枠体5の横桟5cには、折畳まれる支持アーム10を受ける位置に、ゴム等から成る緩衝材36を設けている。これにより、折畳み時に、支持アーム10が枢軸14を支点として下向きに回動して横桟5cに衝突する場合でも、緩衝材36により受止められ、該横桟5cと支持アーム10の両者を損傷から保護することができる。
【0055】
図9は、
図7のC部を拡大状態で示しており、
図9(A)は幅木を起立姿勢とした状態の断面を示し、
図9(B)は幅木を折畳み姿勢とした状態の断面を示し、(C)は折畳み機構の側面を示している。
【0056】
幅木9は、足場枠4bの内側に固設した断面コ字形の固定ブラケット37に対して、幅木9の内側に固設した回動ブラケット38を挿入すると共に、両ブラケット37、38を回動軸39により回動自在に枢結している。前記回動ブラケット38には、ほぼU形に折曲された板バネ40が圧縮状態で挿入され、該板バネ40の両側に外向きに突設したピン41、41を回動ブラケット38の両側から突出させている。
【0057】
幅木9を足場枠4bから起立姿勢としたとき、
図9(A)及び
図9(C)に示すように、固定ブラケット37の両側の上部に設けた係止孔42、42に前記ピン41、41が挿入係止され、幅木9を起立姿勢として保持する。
【0058】
幅木9を足場枠4bの内側に重なり合うように折畳み姿勢としたとき、
図9(B)に示すように、固定ブラケット37の両側の下部に設けた係止孔43、43に前記ピン41、41が挿入係止され、幅木9を折畳み姿勢として保持する。
【0059】
図9(C)に矢印で示すように、前記係止ピン41、41は、作業者が2本の指先で押し込むことにより、前記係止孔42、42又は係止孔43、43から離脱され、幅木9と共に回動ブラケット38を回動することにより、前記係止孔43、43又は係止孔42、42に臨まされると、板バネ40により自動的に当該係止孔に挿入係止するように構成されている。