(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
空気中に飛散して微粒子化した前記機能剤を前記不織布の厚み方向に貫通させる前記吸引装置の吸引力は、微粒子化した前記機能剤の霧を吐出する前記吐出ノズルからの吐出圧力よりも大きい、請求項2に記載の機能性シートの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の製造方法は、機能性シートの製造方法であり、本実施形態では、該機能性シートは生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品などの肌当接面側に用いられる表面シート10である。
図1には、表面シート10の製造装置1が模式的に示されている。
図2には、
図1に示す製造装置1で製造された表面シート10の要部が拡大して示されており、
図3には、
図2に示す表面シート10の厚み方向の断面が模式的に示されている。
【0015】
表面シート10は、
図2及び
図3に示すように、着用者の肌側に配される上層10uと吸収性物品の有する吸収体側に配される下層10dとを有しており、上層10uと下層10dとは多数の接合部13において部分的に接合されている。また上層10uは、接合部13以外の部分において着用者の肌側に向けて突出した凸部14を形成しており、該凸部14は空洞になっている。表面シート10には、スキンケア剤15が該表面シート10の厚み方向に分散して付着されている。
【0016】
本実施形態の表面シート10では、該表面シート10を構成する上層10u及び下層10dは、同一の又は異なる繊維材料からなることが好ましい。また上層10u及び下層10dは実質的に非伸縮性であることが好ましい。この様な上層10u及び下層10dを用いることによって、所望する寸法の凹凸形状を形成するにあたり、後述する第1ロール4及び第2ロール5の凹凸形状にほぼ即した表面シート10を安定的に且つ再現性良く製造できる。実質的に非伸縮性であるとは、例えば伸長限界が105%以下であり、それを超える伸長では材料破壊を起こすか又は永久歪みが発生するものをいう。
【0017】
上層10u及び下層10dとしては、従来公知の吸収性物品における表面シートとして用いられる材料において、実質的に非伸縮性であるものであれば、特に制限無く使用することができる。例えばカード法により製造された不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布及びニードルパンチ不織布等の種々の不織布が挙げられる。また、開口手段によって液透過可能とされたフィルム等も使用することができる。上層10u及び下層10dに不織布を用いる場合、その構成繊維の繊度は1〜20dtex、特に1.5〜4dtexであることが、表面シート10の強度確保、肌触りの向上等の点から好ましい。上層10u及び下層10dには、何れも界面活性剤等を用いた親水化処理を施しておくことが好ましい。
【0018】
上層10uの坪量は、10〜100g/m
2、特に10〜30g/m
2であることが好ましい。一方、下層10dの坪量は、5〜50g/m
2、特に10〜30g/m
2であることが好ましい。上層10u及び下層10dを含めた表面シート10の全体の坪量は、15〜150g/m
2、特に20〜60g/m
2であることが好ましい。
【0019】
表面シート10の厚み方向に分散して付着した機能剤は、着用者の肌に対して保護、治癒等の効能を有するスキンケア剤を特に制限なく用いることができる。例えば、好ましいスキンケア剤として、特開2004−255166号公報に記載した下記式(I)で表されるジアミド誘導体或いは他の油性スキンケア剤等が挙げられる。
【0021】
上記の(I)で表されるジアミド誘導体は、国際公開公報WO00/61097号に記載されている発明のジアミド誘導体であり、角質層の水分保持能力およびバリヤ機能を改善する、という薬効を有している。高密度部に保持されていた当該ジアミド誘導体が、吸収性物品の着用中に着用者の肌に移行すると、油性スキンケア剤として機能し、肌のかぶれを抑制/改善することができる。
【0022】
上記のジアミド誘導体を使用する場合、使用するジアミド誘導体は1種のみであってもよいし、2種以上の複数種であってもよい。
【0023】
また、本発明で使用し得る他の油性スキンケア剤としては、例えば化粧品の分野においてエモリエント剤として用いられているもの等を用いることができる。
【0024】
上記他の油性スキンケア剤の具体例としては、流動パラフィン、シリコーンオイル、動植物油(オリーブ油、ホオバ油、ベニバナ油、スクワランおよびスクワレン等)、モノグリセライド、ジグリセライド、トリグリセライド、脂肪族エーテル(ミリスチル−1,3−ジメチルブチルエーテル、パルミチル−1,3−ジメチルブチルエーテル、ステアリル−1,3−ジメチルブチルエーテル、パルミチル−1,3−メチルプロピルエーテル、ステアリル−1,3−メチルプロピルエーテル等)、イソステアリル−コレステロールエステル、パラフィンワックス、C12〜C22脂肪酸、C12〜C44脂肪酸エーテル、C12〜C22脂肪アルコール、ワセリン、脂肪酸ソルビタンエステル(モノエステル、ジエステル、およびトリエステルのいずれでもよい。)、ポリオキシエチレン脂肪酸ソルビタンエステル(モノエステル、ジエステル、およびトリエステルのいずれでもよい。)、金属石験(ステアリン酸マグネシウム等)、ショ糖脂肪酸エステル、シクロデキストリン脂肪酸エステル、シリコーン、シリコーン系レジン、特許文献1又は特許文献2に記載されている発明で使用されるエモリエント剤やエモリエント剤と固定化剤を含むローション組成物等が挙げられる。
【0025】
上記各種のスキンケア剤は、一種を単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。
【0026】
次に、本発明の機能性シートの製造方法を、前述した一実施形態の表面シート10の製造方法を例にとり
図1〜
図3を参照して説明する。本実施形態の表面シート10の製造方法を説明するに当たり、先に本実施形態の製造装置1を説明する。
本発明の製造装置は、不織布に機能剤を付着させて機能性シートを製造する機能性シートの製造装置である。好適に、本実施形態の製造装置1は、
図1〜
図3に示すように、表面に凹凸が形成された不織布である立体シート10bの厚み方向に、スキンケア剤を分散させて、吸収性物品の有する液透過性の表面シート10を製造する製造装置1である。
【0027】
また本発明の製造装置は、機能剤に超音波を発振して微粒子化した該機能剤の霧を発生させて、空気中に霧状に微粒子化した該機能剤を飛散させる超音波発生装置と、空気中に飛散した微粒子化した機能剤の分散方向を方向付けして不織布の厚み方向に通し、微粒子化した該機能剤を搬送される不織布の厚み方向に分散させて付着させる制御装置とを備えている。好適に、本実施形態では、製造装置1は、
図1に示すように、超音波発生装置2及び吸引装置3を備えている。超音波発生装置2は、機能剤であるスキンケア剤に超音波を発振して微粒子化した該スキンケア剤の霧を発生させて、空気中に霧状に微粒子化した該スキンケア剤を飛散させる装置である。吸引装置3は、空気中に飛散した微粒子化したスキンケア剤の分散方向を方向付けして搬送される不織布である立体シート10bの厚み方向に通し、微粒子化した該スキンケア剤を該立体シート10bの厚み方向に分散させて付着させる装置である。
【0028】
本実施形態では、製造装置1は、
図1に示すように、超音波発生装置2及び吸引装置3の上流側に、表面シート10の上層10uを形成する帯状の第1シート11に凹凸賦形を施す第1ロール4及び第2ロール5と、第1ロール4とで凹凸賦形された第1シート11と下層10dを形成する帯状の第2シート12とを接合して立体シート10bを形成するアンビルロール6とを備えている。
【0029】
製造装置1では、第1シート11は、
図1に示すように、第1ロール4及び第2ロール5よりもシート搬送方向の上流側に配された第1原反11bから繰り出される。第2シート12は、第1ロール4とアンビルロール6との間よりもシート搬送方向の上流側に配された第2原反12bから繰り出される。
【0030】
製造装置1では、第1ロール4は、
図1に示すように、周面が凹凸形状となっており、該周面で第1シート11を密着可能になっている。第2ロール5は、
図1に示すように、第1ロール4に対して対向配置されており、周面が第1ロール4と噛み合う凹凸形状となっている。周面が凹凸形状になっている第1ロール4及び第2ロール5に関しては、例えば、本出願人の先願の特開2004−174234号公報に記載のもの等を用いることができる。
【0031】
製造装置1では、アンビルロール6は、
図1に示すように、第1ロール4と第2ロール5との噛み合わせ部のシート搬送方向の下流側に配されている。アンビルロール6は、第1ロール4が第1シート11を周面に引き続き密着させた状態下に、第2原反12bから繰り出されている第2シート12を重ね合わせ、その重ね合わせたものを第1ロール4との間で挟圧する。このとき、第1ロール4とアンビルロール6の両方又はアンビルロール6のみを所定温度に加熱しておく。これによって、第1ロール4における凸部上に位置する第1シート11が第2シート12と熱融着によって接合される。第1シート11が第2シート12と熱融着によって接合されることで立体シート10bが形成される。
【0032】
尚、製造装置1では、第1シート11と第2シート12とを熱融着によって接合しているが、熱融着による接合に代えて、接着剤による接着や超音波接合によって第1シート11と第2シート12とを接合してもよい。
【0033】
超音波発生装置2及び吸引装置3は、
図1に示すように、第1ロール4とアンビルロール6との間よりもシート搬送方向の下流側に配されており、立体シート10bの搬送経路を挟んで配されている。好適に、本実施形態では、超音波発生装置2の後述する吐出ノズル20と吸引装置3の後述する吸引部30とが立体シート10bの搬送経路を挟んで互いに対向して配されている。すなわち、製造装置1を用いて表面シート10を製造する場合、立体シート10bは、超音波発生装置2と吸引装置3との間を通過するように搬送される。
【0034】
第1ロール4とアンビルロール6との間から、超音波発生装置2の吐出ノズル20と吸引装置3の吸引部30との間に搬送される立体シート10bの搬送速度(立体シート10bの加工速度)としては、好ましくは10m/min以上、より好ましくは50m/min以上、好ましくは450m/min以下、より好ましくは400m/min以下、好ましくは10m/min以上450m/min以下、より好ましくは50m/min以上400m/min以下である。
【0035】
製造装置1では、
図1に示すように、超音波発生装置2を用いて機能剤であるスキンケア剤15に超音波を発振して微粒子化したスキンケア剤15の霧を発生させて、吐出ノズル20と立体シート10bとの間の空気中に霧状に微粒子化したスキンケア剤15を飛散させる。
【0036】
また製造装置1では、超音波発生装置2は、
図1に示すように、搬送される不織布である立体シート10bから間隔を空けて配された吐出ノズル20を有し、該吐出ノズル20から微粒子化した機能剤であるスキンケア剤15の霧を吐出する。吐出ノズル20と搬送される立体シート10bとの間隔としては、吐出ノズル20が吐出した微粒子化したスキンケア剤15の霧を平面方向に拡散させる観点から、吸引部30と搬送される立体シート10bとの間隔よりも大きくなっていることが好ましい。
【0037】
超音波発生装置2としては、一般的に用いられる超音波発生装置を用いることができる。製造装置1では、超音波発生装置2は、
図1に示すように、前述した吐出ノズル20を備えており、該吐出ノズル20は、所定の周波数で振動する超音波発振子(図示せず)と、該超音波発振子を駆動する駆動源(図示せず)と、微粒子化するスキンケア剤を溜めておく液溜まり部(図示せず)を有している。吐出ノズル20では、駆動源から超音波発振子に駆動信号を発信することでキャビテーションを発生しない範囲の高い周波数で該超音波発振子を超音波振動させ、該超音波振動を液溜まり部(図示せず)のスキンケア剤15に向けて放射する。これにより、液溜まり部(図示せず)のスキンケア剤に噴水状態の液柱が生じる。そして、この液柱にはキャピラリ波(毛細表面波)と呼ばれる細かな波が発生しており、その波頭から分裂した液滴が霧となって空気中に飛散する。このようにして、微粒子化したスキンケア剤15の霧(ミスト)が生成される。
吐出ノズル20で生成されたスキンケア剤15の霧(ミスト)は、
図1に示すように、吐出ノズル20の先端に形成された吐出口20aから吐出され、吐出ノズル20と搬送される立体シート10bとの間の空気中に放出される。
【0038】
微粒子化したスキンケア剤15の霧(ミスト)の粒子径としては、吐出ノズル20と搬送される立体シート10bとの間の空気中に飛散させ、かつ立体シート10bの厚み方向に分散させて内部に付着させる観点から、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下である。微粒子化したスキンケア剤15の霧(ミスト)の粒子径の測定には、例えば、位相ドップラー式粒子測定装置(TSI社製2D−PDPA)を用いることができる。この装置は、ミストに向けてアルゴンレーザ光を照射し、回折現象や散乱現象によって生じた光を検出し、その光強度の角度依存性や時間的変動パターンを解析して粒子径分布を推定するものである。従って、測定可能な最小粒子径は、照射光であるアルゴンレーザの波長と同程度(0.5μm)となっている。
【0039】
また微粒子化したスキンケア剤15の霧(ミスト)を吐出する吐出ノズル20の吐出圧力としては、好ましくは5kPa以下、より好ましくは3kPa以下、更に好ましくは1kPa以下である。吐出ノズル20の吐出圧力の測定には、差圧計を用いることができる。
更に吐出ノズル20の吐出圧力を吐出風速に換算すると、好ましくは3m/sec以下、より好ましくは1m/sec以下、更に好ましくは0.5m/sec以下である。吐出ノズル20の吐出風速の測定には、レーザーを用いた位相ドップラー法を用いることができる。
【0040】
微粒子化したスキンケア剤15の霧(ミスト)の吐出量としては、立体シート10bに最適な量のスキンケア剤15を厚さ方向に分散させて内部に付着させる観点から、シート搬送速度を200m/min〜300m/minとした場合においては、好ましくは0.5ml/min以上、より好ましくは1ml/min以上、好ましくは10ml/min以下、より好ましくは9ml/min以下、好ましくは0.5ml/min以上10ml/min以下、より好ましくは1ml/min以上9l/min以下である。
【0041】
製造装置1では、
図1に示すように、超音波発生装置2を用いて霧状に微粒子化したスキンケア剤15を搬送される立体シート10bと吐出ノズル20との間で空気中に飛散させる領域がフード21によって囲われている。霧状に微粒子化したスキンケア剤15を空気中に飛散させる領域をフード21で囲うことで、風等の影響が低減し、霧状に分散した微粒子化したスキンケア剤を効率よく立体シート10bの厚み方向に分散させてその内部に付着させることができる。
【0042】
製造装置1では、制御装置である吸引装置3を用いて、
図1に示すように、空気中に飛散した微粒子化した機能剤であるスキンケア剤を吸引することで分散方向を方向付けして不織布である立体シート10bの厚み方向に貫通させ、微粒子化したスキンケア剤を立体シート10bの厚み方向に分散させてその内部に付着させる。
【0043】
製造装置1では、吸引装置3は、
図1に示すように、空気中に飛散された霧状のスキンケア剤15を吸引することで分散方向を方向付けする吸引部30と、吸引部30に連結され、該吸引部30に吸引力を与える吸引ファン(図示せず)とを備えている。吸引部30は、搬送される立体シート10bの搬送経路から間隔を空けて対向して配されている。吸引部30と搬送される立体シート10bの搬送経路との間隔としては、微粒子化したスキンケア剤15を立体シート10bの厚み方向に貫通させる観点から、吐出ノズル20と搬送される立体シート10bの搬送経路との間隔よりも小さくなっている。
【0044】
製造装置1では、空気中に噴霧された微粒子化したスキンケア剤15を立体シート10bの厚み方向に貫通させる吸引ファン(図示せず)の吸引部30での吸引力は、微粒子化したスキンケア剤の霧を吐出する吐出ノズル20の上述した吐出圧力よりも大きく設定している。吸引部30での吸引力を微粒子化したスキンケア剤15の霧を吐出する吐出ノズル20の上述した吐出圧力よりも大きく設定することで、立体シート10bの厚み方向に貫通させることができ、均一に微粒子化したスキンケア剤15を付着することができる。
【0045】
また吸引ファン(図示せず)の吸引力としては、2kPa以上が好ましく、より好ましくは3kPa以上、好ましくは10kPa以下、より好ましくは8kPa以下、好ましくは2kPa以上10kPa以下、より好ましくは3kPa以上8kPa以下である。
更に吸引ファン(図示せず)の吸引力を吸引部30での吸引風速に換算すると、好ましくは1m/sec以上、より好ましくは2m/sec以上、好ましくは15m/sec以下、より好ましくは10m/sec以下、好ましくは1m/sec以上15m/sec以下、より好ましくは2m/sec以上10m/sec以下である。
【0046】
本実施形態の製造装置1によれば、超音波発生装置2でスキンケア剤15を微粒子化して吸引装置3で立体シート10bの厚み方向に通すことで、微粒子化したスキンケア剤15を立体シート10bの厚み方向に分散させてその内部に付着させることができるので、スキンケア剤15を立体シート10bの厚さ方向に分散してその内部に付着させた表面シート10を連続的に製造することができる。
【0047】
次に、上述した製造装置1を用いて表面シート10を製造する製造方法、即ち、本発明の機能性シートの製造方法の一実施形態について説明する。
本実施形態の表面シート10の製造方法は、
図1に示すように、立体シート10bにスキンケア剤15を付着させて吸収性物品の有する液透過性の表面シート10を製造する製造方法である。以下、本実施形態の表面シート10の製造方法について説明する。
【0048】
また本実施形態の表面シート10の製造方法は、
図1に示すように、超音波の発振により機能剤であるスキンケア剤15を微粒子化する超音波発生装置2と、微粒子化した該スキンケア剤15を方向付ける制御装置である吸引装置3とを用い、該超音波発生装置2を用いてスキンケア剤15に超音波を発振して微粒子化したスキンケア剤15の霧を発生させて、空気中に霧状に微粒子化したスキンケア剤15を飛散させ、空気中に飛散した微粒子化したスキンケア剤15を搬送される立体シート10bの厚み方向に吸引装置3を用いて通し、微粒子化したスキンケア剤15を該立体シート10bの厚み方向に分散させて付着させるようになっている。以下、本実施形態の表面シート10の製造方法について詳述する。
【0049】
先ず、本実施形態の製造方法では、
図1に示すように、上述した第1原反11bから第1ロール4と第2ロール5との噛み合わせ部に向けて、上層10uを構成する第1シート11を繰り出す。これとは別の第2原反12bから第1ロール4とアンビルロール6との間に向けて、下層10dを構成する第2シート12を繰り出す。
【0050】
図1に示すように、第1原反11bから繰り出された第1シート11を第1ロール4と第2ロール5との噛み合わせ部に噛み合わせて第1シート11の表面に凹凸賦形する。表面に凹凸賦形された第1シート11は、第1ロール4による吸引力によって第1ロール4の周面に密着し、その凹凸賦形された状態が保持される。
【0051】
次いで、本実施形態の製造方法では、第1シート11を第1ロール4の周面に引き続き密着させた状態下に、第2原反12bから繰り出されている第2シート12を重ね合わせ、その重ね合わせたものを第1ロール4とアンビルロール6との間で挟圧する。このとき、第1ロール4とアンビルロール6とは所定温度に加熱されているので、これによって、第1ロール4における凸部14上、つまり各歯車の歯の上に位置する第1シート11が第2シート12と熱融着によって接合される。第1シート11が第2シート12と熱融着によって接合されることで立体シート10bが形成される。
【0052】
次いで、本実施形態の製造方法では、立体シート10bを、超音波発生装置2の吐出ノズル20と吸引装置3の吸引部30との間に搬送する。
次いで、超音波発生装置2を用いてスキンケア剤15に超音波を発振して、吐出ノズル20から微粒子化したスキンケア剤15の霧を吐出させ、吐出ノズル20と搬送される立体シート10bとの間の空気中に霧状に微粒子化したスキンケア剤15を飛散させる。本実施形態の製造方法では、吐出ノズル20から微粒子化したスキンケア剤の霧を吐出させることで、搬送されてくる立体シート10bと吐出ノズル20との間の空気中に分散した状態で微粒子化したスキンケア剤を飛散させることができる。
【0053】
製造装置1では、超音波発生装置2を用いて霧状に微粒子化したスキンケア剤を空気中に飛散させる領域は、フード21によって囲われている。その為、本実施形態の製造方法では、霧状に微粒子化したスキンケア剤を空気中に飛散させる領域をフードで囲うことで、風等の影響が低減し、空気中で霧状に分散した微粒子化したスキンケア剤を効率よく立体シート10bの厚み方向に分散させてその内部に付着させることができる。
【0054】
次いで、本実施形態の製造方法では、吸引装置3を用いて微粒子化したスキンケア剤15を立体シート10bの厚み方向に通し、微粒子化したスキンケア剤15を立体シート10bの厚み方向に分散させてその内部に付着させる。製造装置1では、吸引装置3の吸引部30が立体シート10bの搬送経路を挟んで超音波発生装置2の吐出ノズル20と対向して配されている。この状態で吸引装置3を駆動すると、
図1に示すように、吸引装置3の吸引力で微粒子化したスキンケア剤15が吸引され、分散方向に方向付けされる微粒子化したスキンケア剤15が搬送経路に沿って搬送される立体シート10bの厚み方向に貫通される。その為、本実施形態の製造方法によれば、立体シート10bの厚み方向に貫通する際に、微粒子化したスキンケア剤15は、立体シート10bの厚み方向に分散した状態でその内部に付着され、機能性シートである表面シート10が製造される。超音波発生装置2により微粒子化され空気中に飛散しているスキンケア剤15を吸引装置3で吸引することで、微粒子化したスキンケア剤を立体シート10bの厚み方向に貫通することが可能になり、微粒子化したスキンケア剤を該厚み方向に均一に分散してその内部に付着させることができる。
【0055】
また製造装置1では、
図1に示すように、空気中に飛散され分散した霧状のスキンケア剤15を吸引する吸引部30と、該吸引部30に連結された吸引ファン(図示せず)とを有している。そして、吸引ファン(図示せず)の吸引部30での吸引力は微粒子化したスキンケア剤15の霧を吐出する吐出ノズル20の上述した吐出圧力よりも大きい。その為、本実施形態の製造方法によれば、吸引部30での吸引力を吐出ノズル20の上述した吐出圧力よりも大きくすることで、立体シート10bの厚み方向に貫通させることができ、均一に微粒子化したスキンケア剤15を立体シート10bの内部に付着させることができる。
【0056】
また上述のようにして形成された表面シート10の下層10d側(着用者の肌側と反対側)に体液等を吸収する吸収体を配し、該吸収体を挟むように表面シート10の下層10d側に液不透過性の裏面シートをさらに配することで、着用者の肌側に向けて上層10uの凸部14が突出した吸収性物品が製造される。製造装置1を用いた表面シート10の製造方法を用いることで、表面シート10を有する吸収性物品を連続的に製造することができる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態の製造装置1を用いた表面シート10の製造方法によれば、超音波発生装置2を用いてスキンケア剤15を微粒子化し、吸引装置3を用いて微粒子化したスキンケア剤15を立体シート10bの厚み方向に通すことで微粒子化したスキンケア剤15を立体シート10bの厚み方向に分散させてその内部に付着させることができるので、スキンケア剤15を立体シート10bの厚さ方向に分散して付着させた表面シート10を連続的に製造することができる。
【0058】
本発明は、前記実施形態に制限されず適宜変更可能である。尚、後述する他の実施形態については、前述した実施形態と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、前述した実施形態についての説明が適宜適用される。
【0059】
例えば、製造装置1を用いた表面シート10の製造方法では、超音波発生装置2の吐出ノズル20を搬送される立体シート10bに向けて配し、該立体シート10bに向けて微粒子化したスキンケア剤の霧を吐出させたが、立体シート10bに向かう方向と異なる方向に吐出ノズル20を配し、立体シート10bに向かう方向と異なる方向に向けて微粒子化したスキンケア剤の霧を吐出させてもよい。例えば、吐出ノズル20を立体シート10b側とは反対側に向けて配し、立体シート10bとは反対側に向かって微粒子化したスキンケア剤の霧を吐出させてもよい。立体シート10bとは反対側に向かって微粒子化したスキンケア剤の霧を吐出させることで、より分散させたスキンケア剤の霧を飛散させることができる。
【0060】
また上述の製造装置1を用いた表面シート10の製造方法では、超音波発生装置2は、吐出ノズル20の有する液溜まり部(図示せず)のスキンケア剤15に向けて超音波振動を放射することで、微粒子化したスキンケア剤15を生成したが、液溜まり部(図示せず)以外、例えば、液溜まり部(図示せず)にスキンケア剤を供給する液溜まり部(図示せず)より上流側の貯蔵部等で微粒子化したスキンケア剤15の霧を生成し、これを低圧で搬送し吐出ノズル20から吐出させてもよい。
【0061】
また上述の製造装置1を用いた表面シート10の製造方法では、制御装置として吸引装置3を用い、搬送される立体シート10bを挟んで超音波発生装置2の吐出ノズル20と吸引装置3の吸引部30とを対向配置して吸引により微粒子化したスキンケア剤15の霧の分散方向を方向付けしたが、例えば、吐出ノズル20から吐出された微粒子化した霧状のスキンケア剤にエアーを吹き付けて分散方向を方向付けしてもよい。例えば、立体シート10bに対して超音波発生装置2の吐出ノズル20と吹付装置の吹付部とを同じ側に配し、吐出ノズル20から吐出される微粒子化したスキンケア剤15の霧に向けて吹付部からエアーを吹き付けて、微粒子化したスキンケア剤15を立体シート10bの厚み方向に通して付着させてもよい。
【0062】
また上述の製造装置1を用いた表面シート10の製造方法では、該製造方法により製造される機能性シートとして、上層10uと下層10dとが多数の接合部13において部分的に接合され上層10uに着用者の肌側に向けて突出した凸部14を有し、該凸部が空洞の表面シート10を用いたが、以下のような表面シート(機能性シート)の製造方法にも用いることができる。例えば、上層と下層とが多数の接合部において部分的に接合され上層に着用者の肌側に向けて突出した凸部を有する表面シートにおいて、該凸部が上層の構成繊維と同じ繊維又は下層の構成繊維と同じ繊維で満たされた中実構造のシートを製造する場合にも好適に用いることができる。
【0063】
本発明で製造する機能性シートは、吸収性物品の表面シートとして好ましく用いられる。吸収性物品は、主として尿、経血等の身体から排泄される体液を吸収保持するために用いられるものである。吸収性物品には、例えば使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、パンティライナー等が包含されるが、これらに限定されるものではなく、人体から排出される液の吸収に用いられる物品を広く包含する。
【実施例】
【0064】
以下、本発明を実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明は、斯かる実施例によって何ら限定されるものではない。
【0065】
〔実施例1〕
実施例1の製造方法に用いる製造装置としては、
図1に示す製造装置1と同様の基本構成を有する製造装置を用意した。そして、実施例1の製造装置1を用いて、表面シート10を製造した。
【0066】
表面シート10を構成する上層10u及び下層10dは、何れもスパンボンド不織布を用いた。いずれのスパンボンド不織布もその坪量は、18g/m
2であった。
表面シート10に塗布するスキンケア剤15としては、10%グリセリン水溶液を用いた。また、シートへのグリセリン水溶液の付着状態を観察するため、グリセリン水溶液に水溶性蛍光剤をまぜたものを使用した。
実施例1の製造装置1の備える超音波発生装置2及び吸引装置3との間に搬送する立体シート10bの搬送速度(加工速度)は、13.2m/minであった。
【0067】
実施例1の製造装置1の備える超音波発生装置2の吐出ノズル20から吐出される微粒子化した10%グリセリン水溶液の吐出量は、3ml/minとした。超音波発生装置2の吐出ノズル20の吐出圧力は1kPa、該吐出ノズル20における吐出風速は、0.5m/secであった。超音波発生装置2の吐出ノズル20から吐出される微粒子化した10%グリセリン水溶液の粒子径は25μmであった。実施例1の製造装置1の備える吸引装置3の吸引部30の吸引力は4kPa、該吸引部30における吸引風速は、2.0m/secであった。
【0068】
上述のように調整した超音波発生装置2を稼働し、吐出ノズル20から微粒子化した10%グリセリン水溶液を吐出させ、吐出ノズル20と立体シート10bとの間に飛散させた。次いで、吸引装置3を稼働して立体シート10bを挟んで吐出ノズル20と反対側から、吐出ノズル20側で飛散する10%グリセリン水溶液を吸引部30で吸引した。吸引部30による吸引で、立体シート10bの厚み方向に微粒子化した10%グリセリン水溶液を貫通させ、微粒子化した10%グリセリン水溶液を立体シート10bの厚み方向に分散させて付着させた表面シートを製造した。
【0069】
〔実施例2〕
実施例2の製造方法としては、実施例1の製造装置1を用い、製造装置1の備える超音波発生装置2の吐出ノズル20から吐出される微粒子化した10%グリセリン水溶液の吐出量を5ml/minと変える以外は実施例1と同様の製造方法で実施例2の表面シートを製造した。
【0070】
〔実施例3〕
実施例3の製造方法としては、実施例1の製造装置1を用い、製造装置1の備える超音波発生装置2の吐出ノズル20から吐出される微粒子化した10%グリセリン水溶液の吐出量を10ml/minと変える以外は実施例1と同様の方法で実施例3の表面シートを製造した。
【0071】
〔実施例4〕
実施例4の製造方法としては、実施例1の製造装置1を用い、製造装置1の備える超音波発生装置2の吐出ノズル20から吐出される微粒子化した10%グリセリン水溶液の吐出量を15ml/minと変える以外は実施例1と同様の方法で実施例4の表面シートを製造した。
【0072】
〔比較例1〕
比較例1の製造方法としては、実施例1の製造装置1の備える超音波発生装置2及び吸引装置3に代えてスプレー装置を用いたこと以外は実施例1と同様の基本構成を有する製造装置を用意した。そして、立体シートの上層側から立体シートに向けて水溶性蛍光剤をまぜた10%グリセリン水溶液を噴射し、比較例1の表面シートを製造した。
スプレー装置としては、扶桑精機株式会社製の低圧スプレーノズルを用いた。スプレー装置から吐出される微粒子化した10%グリセリン水溶液の吐出量は、3ml/minとした。スプレー装置の吐出圧力は0.05MPaであり、吐出風速は、2.0m/secであった。尚、スプレー装置の吐出圧力は圧縮エアーの圧力値である。
【0073】
〔評価〕
実施例1〜4の製造装置を用いた製造方法により製造された表面シート10及び比較例1の製造装置を用いた製造方法により製造された表面シートについて、蛍光顕微鏡を用いて観察し、シートの厚み方向での10%グリセリン水溶液の付着状態に関して、下記評価基準に基づいて評価した。それらの結果を表1に示す。また、製造された実施例1の表面シート10の断面図、比較例1の表面シートの断面図、実施例2〜4の表面シートの断面図及び裏面図の写真も合わせて示す。
【0074】
・シートの厚み方向の付着状態の評価基準:「A 厚み方向に分散して付着している」、「B 厚み方向に僅かに分散して付着している」、「C 表面にのみ付着している」
【0075】
【表1】
【0076】
表1に示すように、実施例1〜4の製造方法により製造された表面シート10は、比較例1の製造方法により製造された表面シートに比べ、10%グリセリン水溶液が厚み方向にも分散して内部に付着していることが分かった。また、表1に示すように、実施例2〜4の製造方法により製造された表面シート10は、超音波発生装置2の吐出ノズル20から吐出される微粒子化した10%グリセリン水溶液の吐出量が増えるにつれて内部への付着量が増えることが分かった。
これらのことから、実施例1〜4の製造方法は、比較例1の製造方法に比べ、機能剤を不織布の厚さ方向に分散して付着させた機能性シートを連続的に製造することが期待できる。