特許第6851805号(P6851805)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6851805
(24)【登録日】2021年3月12日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】車両用のバッテリシステム
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/20 20210101AFI20210322BHJP
【FI】
   H01M2/10 S
   H01M2/10 M
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-244830(P2016-244830)
(22)【出願日】2016年12月16日
(65)【公開番号】特開2018-98151(P2018-98151A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074354
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100104949
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康司
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏行
【審査官】 儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−103397(JP,A)
【文献】 特開2016−152138(JP,A)
【文献】 特開2010−097944(JP,A)
【文献】 特開2012−094472(JP,A)
【文献】 特開2013−251124(JP,A)
【文献】 特開2012−186904(JP,A)
【文献】 特開2013−251125(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/186878(WO,A1)
【文献】 特開2015−069943(JP,A)
【文献】 特開2000−115957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池と、
前記二次電池を定位置に配置する電池ホルダーと、
前記電池ホルダーを内蔵する外装ケースと、
前記外装ケース内に収納されるワイヤーハーネスであって、該ワイヤーハーネスは、複数のリード線と、粘着層を有する絶縁性の軟質シートと、を含んでおり、前記複数のリード線に前記絶縁性の軟質シートが渦巻き状に巻き付けられていることで、前記複数のリード線が相対変位可能な状態で1本に集合化されている、該ワイヤーハーネスと、
前記ワイヤーハーネスを保持する保持部であって、該保持部は、前記ワイヤーハーネスを収容する保持スペースと、前記保持スペース内に前記ワイヤーハーネスを案内するための開口部と、前記開口部の開口幅(W)を狭くして通過隙間を形成するストッパー爪と、を有し、前記通過隙間が、前記ストッパー爪により、前記ワイヤーハーネスに含まれるリード線の径よりも大きく、かつ前記ワイヤーハーネスの外形よりも小さくなるように構成されている、該保持部と、を備え、
前記ワイヤーハーネスの前記絶縁性の軟質シートが巻き付けられている部分は、前記通過隙間よりも大きく、前記保持スペースの横幅よりも小さい外形を有するとともに、両側から押圧されることで前記通過隙間を通過できる外形に変形する可撓性を有しており、前記ワイヤーハーネスが、外形が復元した状態で前記保持スペース内に配置されていることを特徴とする車両用のバッテリシステム。
【請求項2】
請求項1に記載される車両用のバッテリシステムであって、
前記絶縁性の軟質シートが、軟質プラスチックシートであることを特徴とする車両用のバッテリシステム。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれかに記載される車両用のバッテリシステムであって、
前記絶縁性の軟質シートは、3層以上の積層体となるように渦巻き状に巻き付けられていることを特徴とする車両用のバッテリシステム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載される車両用のバッテリシステムであって、
前記保持部が、前記電池ホルダーに設けられてなることを特徴とする車両用のバッテリ
システム。
【請求項5】
請求項4に記載される車両用のバッテリシステムであって、
前記保持部を有する前記電池ホルダーが、ガラス繊維補強プラスチックの成形体であることを特徴とする車両用のバッテリシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニッケル水素電池やリチウムイオン二次電池などの二次電池を内蔵するバッテリシステムであって、車両に搭載されて鉛バッテリと並列に接続されて電装品に電力を供給し、あるいは多数の二次電池を直列に接続して出力電圧を高くして走行モータに電力を供給する車両用のバッテリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されるバッテリシステムは、外装ケースに複数の二次電池と回路基板を収納している。外装ケースは、複数の回路基板や複数の二次電池を収納し、これ等の部品をワイヤーハーネスで接続している。車両に搭載されるバッテリシステムは、振動を受ける環境で使用されるので、複数の二次電池を定位置に配置するために、各二次電池を電池ホルダーで定位置に配置している。また、振動でワイヤーハーネスが移動しないように、保持部を設けて、ワイヤーハーネスを定位置に配置する構造は開発されている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−270121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワイヤーハーネスの保持部は、対向する2列の凸条の間をハーネスを案内する保持スペースとしてここにワイヤーハーネスを配置し、あるいは長手方向に延びる溝形の凹部をハーネスの保持スペースとしてここにワイヤーハーネスを配置できる。しかしながら、この構造の保持部では、振動や衝撃でワイヤーハーネスが保持スペースから外れる欠点がある。この欠点は、保持スペースの開口部に、ワイヤーハーネスを挿通でき、挿通された状態では外れないようにストッパー爪を設けて、開口幅を狭くしている通過隙間を設けて解消できる。この保持部は、ワイヤーハーネスを通過隙間に通過させて保持スペースに案内するので、両端を接続する状態で、ワイヤーハーネスの途中を簡単に保持部にセットして配線できる特徴がある。
【0005】
以上の保持部は、ワイヤーハーネスの途中を通過隙間に通過させて保持スペースに案内するので、組み立て工程においては、ワイヤーハーネスの両端を接続する状態で、簡単にワイヤーハーネスを定位置に配線できる特徴がある。ただ、通過隙間の開口幅を、ワイヤーハーネスをスムーズに通過できる幅とすると、保持スペースに案内されたワイヤーハーネスが外れて、他の部品と接触し、車両の振動などで擦れて断線し、あるいは表面の被覆が破損して導電部に接触する等の弊害が発生する。この弊害は、ワイヤーハーネスを熱収縮チューブなどで被覆して、被覆部の外形を通過隙間よりも僅かに大きくして解消できるが、この方法ではワイヤーハーネスを熱収縮チューブに挿入した後、これを加熱して熱収縮させるので、組み立て工程に著しく手間がかかる。また、熱収縮チューブでは被覆部の厚さの調整が難しいので、被覆部の外形を、通過隙間を通過できるが、通過してワイヤーハーネスが外れない外形に設定することが難しく、さらに、熱収縮チューブでは充分な耐摩耗性を実現できず、保持スペース内での長期間の振動による損傷を防止できない。
すなわち、ワイヤーハーネスの途中を通過隙間にスムーズに挿入して組み立て工程を簡素化することと、振動を受ける車両に搭載されて、長期間に渡ってワイヤーハーネスの損傷を防止しながら定位置に配置することは互いに相反する特性であって、両方を同時に満足するのが極めて難しい。
【0006】
本発明は、以上の相反する特性を満足するという極めて難しい問題を解決するためになされたものであり、本発明の主な目的は、ワイヤーハーネスの途中をスムーズに保持スペースに案内できるとともに、ワイヤーハーネスの損傷や断線を防止しながら、長期間に渡って定位置に配置できるという、車両用として理想的なバッテリシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両用のバッテリシステムは、二次電池とワイヤーハーネスを外装ケースに収納している。外装ケースは、二次電池を定位置に配置する電池ホルダーを内蔵している。さらに外装ケース内には、複数本のリード線を1本に集合してなるワイヤーハーネスを定位置に配置する保持部を設けている。保持部は、案内されたワイヤーハーネスを定位置に配置する保持スペースを有し、この保持スペースの開口部には、開口幅(W)を狭くするストッパー爪を設けて、ストッパー爪で保持スペースの横幅よりも狭い通過隙間を設けている。ワイヤーハーネスは、通過隙間を通過して保持スペースに案内される部分を、押圧して外形の変形する可撓性の保護層で被覆している。保護層は、複数本のリード線を集合してなるワイヤーハーネスの表面に、絶縁性の軟質シートを渦巻き状に巻き付けて、軟質シートを粘着層を介して複数層に付着している軟質シート積層体で、この軟質シート積層体の保護層は、両側から押圧される状態では、通過隙間を通過できる外形に変形する可撓性を有し、保持スペースに案内された状態では、ワイヤーハーネスを保持スペースに配置する。
【0008】
本発明の車両用のバッテリシステムは、軟質シートを軟質プラスチックシートとすることができる。また、保護層を、軟質シートの3層以上の積層体とすることができる。さらにまた、本発明の車両用のバッテリシステムは、保持部を電池ホルダーに設けることができ、この保持部を有する電池ホルダーを、ガラス繊維補強プラスチックの成形体とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
以上の車両用のバッテリシステムは、ワイヤーハーネスの途中をスムーズに通過隙間に通過して保持部に案内でき、さらに振動を受ける車両に搭載されて、長期間に渡ってワイヤーハーネスを定位置に配置して損傷や断線から保護する車両用として理想的な特性を実現する。
【0010】
以上の特徴は、通過隙間を通過して保持スペースに案内されるワイヤーハーネスを押圧して外形の変形する保護層で被覆して実現する。保護層は、粘着層を有する絶縁性の軟質シートを渦巻き状に巻き付けて形成される軟質シート積層体で、複数層の軟質シートが粘着層を介して付着されている。この保護層は、両側から押圧されて外形を変形するので、内部のリード線は相対位置が変化して軟質層の横幅を小さくして、通過隙間をスムーズに通過する。この状態でワイヤーハーネスの表面を保護する軟質シートには、表面が擦られても損傷しない耐摩耗性のあるテープ、例えば、軟質ビニルテープ等の耐摩耗性のある安価な軟質テープが使用できる。したがって、表面を保護層で被覆しているワイヤーハーネスは、両側を押圧してスムーズに通過隙間に通過でき、しかも保持スペースに案内される状態においては、振動環境で使用されて長期間に渡る優れた耐久性を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の車両用のバッテリシステムを上からみた分解斜視図である。
図2図1に示すバッテリシステムの蓋ケースを除いた平面図である。
図3図2の鎖線で示す部分の拡大斜視図である。
図4図3の拡大断面図である。
図5】ワイヤーハーネスの挿入状態を示す図3の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための車両用のバッテリシステムを例示するものであって、本発明は車両用のバッテリシステムを以下の構造や材質ものに特定しない。
【0013】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0014】
本発明の車両用のバッテリシステムは、車両に搭載している鉛バッテリと並列に接続して使用され、あるいは車両に搭載されて走行モータに電力を供給する。以下の実施例のバッテリシステムは、鉛バッテリと並列に接続して使用されるので、出力電圧を12Vとしている。走行モータに電力を供給するバッテリシステムは、例えば出力電圧を100V〜400Vとするために、多数の二次電池を直列に接続する。
【0015】
図1の上から見た分解斜視図と、図2の平面図と、図3の腰部拡大斜視図に示すバッテリシステムは、二次電池4と、二次電池の保護回路等を実現する電子部品を実装する回路基板5と、回路基板5と二次電池4とを収納している外装ケース6とを備える。
【0016】
二次電池4はニッケル水素電池である。ただし、二次電池4は、リチウムイオン二次電池等の現在使用されている二次電池や、これから開発される他の全ての二次電池であってもよい。図に示すバッテリシステムは、鉛バッテリと並列に接続して使用されるので、二次電池4をニッケル水素電池として、10個の二次電池4を電池ホルダー7で定位置に配置している。10個の二次電池4は直列に接続されて定格電圧を鉛バッテリの12Vとしている。
【0017】
電池ホルダー7は、各二次電池4を水平面内に配置して、外装ケース6に充填している。電池ホルダー7は、互いに嵌合構造で定位置に連結してなる下ホルダー7Aと上ホルダー7Bとからなる。電池ホルダー7は、振動を受ける車両に搭載されて充分な強度を実現するために、ガラス繊維等の補強繊維を、ポリエステル系のエンジニアリングプラスチックであるポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)などの硬質プラスチックに埋設している繊維強化プラスチックの成形体である。電池ホルダー7は、振動や衝撃を受ける状態においても、重い二次電池を位置ずれしないように安定して定位置に配置する強度が要求される。この特性を満足するために、電池ホルダー7は、繊維強化プラスチック等の強靭な硬質プラスチックで成形される。電池ホルダー7は、二次電池を下ホルダー7Aと上ホルダー7Bで挟んで、定位置に配置する。
【0018】
下ホルダー7Aは、円筒電池を定位置にセットする5列の溝を上面に設けて、各列の溝には、二次電池4である2本の円筒電池を直線状に並べて定位置に配置している。各溝の底には、開口部が形成されており、この開口部を二次電池を冷却するための通気穴としている。なお、開口部に熱伝導部材を配置し、熱伝導部材を介して二次電池4を冷却する構成であってもよい。
【0019】
上ホルダー7Bは、下面に5列の溝を設けて、各列に2本の二次電池を直線状に並べて定位置に配置している。この上ホルダー7Bも二次電池を冷却するために複数の通気穴を設けている。さらに上ホルダー7Bは、上面に回路基板を固定するボスを設けている。ボスは回路基板の四隅に配置されて、回路基板の4隅を上ホルダー7Bにネジ止めして固定している。さらにまた、上ホルダー7Bは出力リード板9を固定するためのボスも設けて、ここに厚い金属板の出力リード板9を固定している。
【0020】
上ホルダー7Bは、ワイヤーハーネス1を定位置に配置する保持部を設けている。ワイヤーハーネス1は、外装ケース内に配線されて、回路基板5や出力リード板9に電力や電気信号を伝送する。ワイヤーハーネス1は、両端を接続端子10やコネクタ11を介して出力リード板9や回路基板5に連結し、途中を保持部2に案内して、外装ケース6内の定位置に移動しないように配置される。図の電池ホルダー7は、保持部2を一体的に成形して設けている。この構造は、保持部2を設けるために専用のパーツを外装ケース6内の定位置に固定する必要がなく、ワイヤーハーネス1を電池ホルダー7に設けた保持部2で定位置に配置できる。ただし、本発明のバッテリシステムは、保持部を専用のパーツとして設けて、電池ホルダーや外装ケースに固定して、外装ケース内に配置してワイヤーハーネスを保持することもできる。
【0021】
図3図5に示す保持部2は、案内されたワイヤーハーネス1を定位置に保持する保持スペース2Aを有し、この保持スペース2Aの開口部には、開口幅(W)を狭くするストッパー爪2Bを設けて、保持スペース2Aの開口部に、ワイヤーハーネス1の通過隙間2Cを設けている。保持スペース2Aに案内されるワイヤーハーネス1は、複数本のリード線を1本に集合したもので、通過隙間2Cを通過する部分を保護層3で被覆して、ワイヤーハーネス1の損傷や断線を防止している。
【0022】
通過隙間2Cに設けたストッパー爪2Bは、保持スペース2Aの開口幅(W)を、保持スペース2Aの内幅よりも狭い通過隙間2Cとしている。図3図5に示す保持部2は、対向して設けた対向壁2Dの間に保持スペース2Aを設けて、一方の対向壁2D(図4図5において左側の対向壁)の上端から他方の対向壁2D(図4図5において右側の対向壁2D向かって水平方向に延びるストッパー爪2Bを一体的に成形して設けて、保持スペース2Aの開口部に通過隙間2Cを設けている。この形状の上ホルダー7Bは、ストッパー爪2Bを設ける部分の下方に、二次電池を冷却する通気穴を設ける形状として、上下に分離する一対の金型で成形できる。
【0023】
ストッパー爪2Bは、対向壁2Dに対して直角方向に延びる形状に成形され、内面を水平方向に延びる形状として、保護層3で被覆されたワイヤーハーネス1を保持スペース2Aから外れないように配置する。通過隙間2Cの開口幅(W)は、保持スペース2Aの内幅の約1/2として、保護層3で被覆されたワイヤーハーネス1をスムーズに通過させながら、保持スペース2Aに案内されたワイヤーハーネス1を外れないように保持する。ただし、保持スペース2Aの内幅に対する通過隙間2Cの開口幅(W)は、たとえば、1/4以上であって3/4として、ワイヤーハーネス1を通過させながら、保持スペース2Aに案内されたワイヤーハーネス1を外れない構造とすることもできる。
【0024】
ストッパー爪2Bは、例えば横幅を広くして、保護層3で被覆されたワイヤーハーネス1を外れないように保持する。横幅の広いストッパー爪2Bは、保護層3を介してワイヤーハーネス1を長い部分で外れないように保持し、また、ストッパー爪2Bと保護層3やワイヤーハーネス1との擦れによる損傷を少なくする。ただ、ストッパー爪2Bが広すぎると、ワイヤーハーネス1を通過隙間2Cに挿通するのに手間がかかる。したがって、ストッパー爪2Bの横幅は、好ましくは3mmよりも広く、1cmよりも狭くする。ストッパー爪2Bの横幅は、ワイヤーハーネス1を安定して外れないように保持スペース2Aに配置でき、しかもワイヤーハーネス1をスムーズに通過隙間2Cに挿通できるように、ワイヤーハーネス1や保護層3の外径や材質を考慮して最適値に設定される。また、図3のストッパー爪2Bは、先端縁の外周を湾曲形状とし、さらに図4の断面図に示すように、先端部外周の上縁を湾曲面として、通過隙間2Cを通過する保護層3やワイヤーハーネス1の損傷を少なくしている。さらに、先端部外周の上縁を湾曲面とするストッパー爪2Bは、保護層3で被覆されたワイヤーハーネス1をスムーズに通過隙間2Cに通過できる特徴もある。
【0025】
以上のバッテリシステムは、電池ホルダー7と一体的に成形して保持部2を設けている。保持部2を構成する対向壁2Dとストッパー爪2Bは、上ホルダー7Bに一体成形して設けられる。保持部2を一体構造とする電池ホルダー7には、強い強度が要求されることから、硬い繊維強化プラスチック製で成形される。電池ホルダー7に一体成形される保持部2のストッパー爪2Bも繊維強化プラスチック等の硬質プラスチックで成形される。繊維強化プラスチック等の硬質プラスチックは、軟質プラスチックに比較して曲げ難く、また曲げると破損しやすい。このため、ワイヤーハーネス1を通過隙間2Cに通過させるとき、硬いストッパー爪2Bが変形すると損傷しやすいので、これを変形させることなくワイヤーハーネス1を通過隙間2Cに通過させることが大切である。
【0026】
保護層3で被覆されたワイヤーハーネス1の太さ、正確にはワイヤーハーネス1を被覆している保護層3の外形に対する通過隙間2Cの開口幅(W)を広くすることは、ストッパー爪2Bを変形することなく、保護層3で被覆されたワイヤーハーネス1を通過隙間2Cにスムーズに通過させることに有効である。ただ、このことは、保持スペース2Aに案内したワイヤーハーネス1がストッパー爪2Bを越えて外部に外れやすくする。また、ストッパー爪2Bを繊維強化プラスチック等の硬質プラスチックで成形しない構造においても、通過隙間2Cの開口幅を狭くして、ワイヤーハーネス1をスムーズに通過させながら、保持スペース2Aに案内された状態では振動環境においても、保持スペース2Aから外れることなく、リード線の損傷や断線を長期間に渡って防止することが大切である。
【0027】
保護層3は、単に複数本のリード線を結束して1本に結束する目的でワイヤーハーネス1の表面を被覆するのではない。保護層3は、複数本のリード線を集合してなるワイヤーハーネス1を、通過隙間2Cにスムーズに通過させながら、通過時におけるリード線の損傷や切断を防止し、さらにワイヤーハーネス1を保持スペース2Aに外れないように配置し、さらにまた、保持スペース2Aに案内されたワイヤーハーネス1のリード線が、車両の振動で損傷を受け、また切断される弊害を防止するために、ワイヤーハーネス1の通過隙間2Cの通過部分を被覆している。この特性を実現する保護層3は、通過隙間2Cにスムーズに通過できるように、柔らかくすると耐摩耗性が低下して、振動を受ける車両に搭載において長期間に渡ってワイヤーハーネス1を保持スペース2Aから外れないように配置できない。反対に保護層3を硬くすると、振動に対する耐摩耗性は向上しても、簡単に変形できなくなって通過隙間2Cをスムーズに通過できなくなる。すなわち、保護層3が、ワイヤーハーネス1の途中を通過隙間2Cにスムーズに挿入して組み立て工程を簡素化することと、振動を受ける車両にあって、長期間に渡ってワイヤーハーネス1を保持スペース2Aから外れないように配置することは互いに相反する特性であって、両方を同時に満足するのは極めて難しい。
【0028】
互いに相反する特性を実現するために、両側を押圧して外形が変形する可撓性のある保護層3は、複数本のリード線を1本に集合しているワイヤーハーネス1の表面に、粘着層3Bを有する絶縁性の軟質シート3Aを渦巻き状に巻き付けて形成される軟質シート積層体であり、複数の軟質シート3Aが粘着層3Bを介して付着している。以上の軟質シート積層体からなる保護層3は、軟質シートの積層面を接着剤で強固に接着し、結合して保護層全体を一体構造の筒状とするものではない。粘着層3Bを介して軟質シート3Aの積層面を粘着力で付着している軟質シート積層体は、図5の拡大断面図に示すように、両側から押圧される状態では外形が自由に変形して、内部にある複数本のリード線1Aの相対位置を、横幅が狭くなる位置に移動させて保護層3の外形を横幅が小さくなる形状に変形させるので、軟質シート3Aには、軟質シート3A自体が押し潰されて薄くなる柔らかい弾性シートを使用する必要はない。押し潰されて薄くなる柔らかい弾性シートは、たとえば軟質のウレタンフォームのように、密度を低くする必要があるので、耐摩耗性を実現できない。これに対して、両側から押圧して外形のみを変形させる可撓性のある軟質シート積層体の保護層3に使用する軟質シート3Aは、押圧して薄く押し潰される柔軟性が要求されず、また伸縮性もほとんど要求されず、単に渦巻き状に積層した状態で外形を変形させる可撓性のみが要求されることから、表面が擦られても損傷しない耐摩耗性のあるテープ、例えば、市販されているポリ塩化ビニル等の軟質プラスチック等の耐摩耗性のあるプラスチックテープの表面に粘着層3Bを設けている軟質テープを使用できる。したがって、保護層3は、両側を押圧してスムーズに通過隙間2Cに通過でき、しかも保持スペース2Aに案内される状態においては、振動環境で使用されて長期間に渡る優れた耐久性を実現する。
【0029】
外装ケース6は、底ケース6Aと蓋ケース(図示せず)とからなる。図1は蓋ケースを除いた分解斜視図である。外装ケース6は、底ケース6Aに蓋ケースを連結して内部を閉鎖構造としている。底ケース6Aは金属製で、蓋ケースはプラスチック製である。金属製の底ケース6Aは、表面プレート部の周囲に沿って周壁6Bを有し、この周壁6Bに勘合する周壁を蓋ケースに設けて、蓋ケースは底ケースに連結されて、電池ホルダーで定位置に配置される二次電池4と回路基板5とワイヤーハーネス1を内部に収納している。
【0030】
以上のバッテリシステムは、以下の工程で組み立てられる。
1.複数の二次電池4を定位置に配置している電池ホルダー7を底ケース6Aに固定し、回路基板5を底ケース6Aや電池ホルダー7に固定して定位置に配置し、さらに出力リード板9をネジ止めして下側の底ケース6Aの定位置に固定する。
2.ワイヤーハーネス1の先端部を接続端子10やコネクタ11で定位置に固定する。
3.複数本のリード線1Aを1本に集合してするワイヤーハーネス1の中間であって、通過隙間2Cから保持スペース2Aに挿通する部分に保護層3を設ける。保護層3は、ワイヤーハーネス1の表面に軟質シート3Aを渦巻き状に巻き付けて、軟質シート3Aを粘着層3Bを介して複数層に付着して軟質シート積層体として設ける。この保護層3は、両側から押圧して通過隙間2Cを通過できる外形に変形する可撓性を有し、保持スペース2Aに案内されて押圧状態を解除すると、その外形が復元して、ワイヤーハーネス1を保持スペース2Aから外れない外形とし、さらに、リード線1Aの表面を複数の軟質シート積層体で保護して、振動環境においてもリード線1Aの表面を損傷させることなく、また断線しない状態で保護する。
4.最後に、底ケース6Aに蓋ケース(図示せず)を連結して、外装ケース6を密閉する。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、外装ケースにワイヤーハーネスを内蔵する車両用のバッテリシステムに有効に使用できる。
【符号の説明】
【0032】
1…ワイヤーハーネス
1A…リード線
2…保持部
2A…保持スペース
2B…ストッパー爪
2C…通過隙間
2D…対向壁
3…保護層
3A…軟質シート
3B…粘着層
4…二次電池
5…回路基板
6…外装ケース
6A…底ケース
7…電池ホルダー
7A…下ホルダー
7B…上ホルダー
9…出力リード板
10…接続端子
11…コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5