(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レンズ成形面同士を所定の間隔で対向させた2枚のレンズ母型の外周面に粘着テープを当接させ、2枚の前記レンズ母型を回転させながら前記粘着テープを巻き付けるテープ巻き付け装置であって、
所定の回転軸に固定され、かつ、前記回転軸の軸線周りに回転して前記粘着テープを繰り出すテープロールと、
前記回転軸に固定され、かつ、前記テープロールとともに前記回転軸の軸線周りに回転する板状部材と、
前記板状部材の一部に負荷を加えて、前記粘着テープのうち前記テープロールから繰り出される部分と前記レンズ母型に当接する部分との間における前記粘着テープの張力が所定の値となるように調整する張力調整機構と、を備え、
前記張力調整機構は、
前記板状部材の平面部の一部に押し付けるための当接部材と、
前記平面部に対して前記当接部材を押し付ける力を調整するシリンダ機構と、
前記当接部材を前記回転軸の放射方向に移動させて、前記平面部に当接する位置を調整するスライド機構と、を備えるテープ巻き付け装置。
レンズ成形面同士を所定の間隔で対向させた2枚のレンズ母型の外周面に粘着テープを当接させ、2枚の前記レンズ母型を回転させながら前記粘着テープを巻き付けるテープ巻き付け方法であって、
所定の回転軸に固定され、かつ、前記粘着テープが巻かれたテープロールを前記回転軸の軸線周りに回転させて前記粘着テープを繰り出すことと、
前記回転軸に固定された板状部材を前記テープロールとともに回転させることと、
前記板状部材の平面部の一部に当接部材を押し付けることにより負荷を加えて、前記粘着テープのうち前記テープロールから繰り出される部分と前記レンズ母型に当接する部分との間における前記粘着テープの張力が所定の値となるように、前記平面部に対して前記当接部材を押し付ける力と、前記当接部材を前記回転軸の放射方向に移動させて、前記平面部に当接する位置とを調整することと、を含むテープ巻き付け方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
粘着テープを2枚のレンズ母型に適切に巻き付けるためには、粘着テープに所定の張力を付与することが必要である。特許文献1に記載のテープ型組法では、抵抗付与部によりテープロールの最外面を一定の力で押し付け、テープロールに回転抵抗を与えることにより、テープロールの惰性回転を抑制して粘着テープを繰り出す際の張力を調整している。しかしながら、粘着テープを消費することによりテープロールの外径が小さくなるため、特許文献1のような最外面を押す構成では、繰り出される粘着テープの張力が変動しやすく、巻き付けに際して適切な粘着テープの張力を付与できない場合があることが分かった。
【0009】
そこで本実施形態では、テープロールの粘着テープの消費量にかかわらず、テープロールから繰り出される粘着テープに対して適切な張力を付与することができ、2枚のレンズ母型に対する粘着テープの巻き付けを長期にわたって安定して行うことが可能なテープ巻き付け装置について説明する。
【0010】
<テープ巻き付け装置及びテープ巻き付け方法>
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこれに限定されない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。
図1から
図3は、本実施形態に係るテープ巻き付け装置100の一例を示す図である。
図1は側面図、
図2は平面図、
図3は正面図である。
図1から
図3に示すように、テープ巻き付け装置100は、フレーム10と、テープ供給機構20と、レンズ母型駆動機構30と、張力調整機構40と、制御部50とを備える。
【0011】
フレーム10は、板状に形成され、テープ供給機構20、レンズ母型駆動機構30及び張力調整機構40を支持する。フレーム10は、設備の床面に設置されてもよいし、テーブル上に設置されてもよい。
【0012】
テープ供給機構20は、回転軸21と、軸受22と、テープロール23と、テープ案内部24と、テープ押圧部25(
図2及び
図3参照)と、を有する。回転軸21は、例えば円筒状又は円柱状に形成され、軸線AXの軸線周り方向に回転可能に設けられる。回転軸21は、所定の径R1(
図4参照)に形成される。回転軸21は、軸線AXの軸線方向にフレーム10を貫通して配置される。回転軸21は、フレーム10の第1面10a側に突出する第1突出部21aと、フレーム10の第2面10b側に突出する第2突出部21bとを有する。
【0013】
回転軸21の第1突出部21aには、テープロール23が固定部材によって取り外し可能に固定される。回転軸21の第2突出部21bにはネジ部が形成されており、このネジ部に固定用ナットをネジ結合させることにより、第2突出部21bに後述の板状部材26が固定される。軸受22は、例えば、ボールベアリングあるいはローラベアリング等が用いられ、フレーム10に設けられる。軸受22は、回転軸21を回転可能に支持する。
【0014】
テープロール23は、粘着テープ60が巻き付けられた状態で用意される。テープロール23は、巻き付けられた粘着テープ60を繰り出してレンズ母型駆動機構30に供給する。テープロール23は、芯部材23aと、テープ挟持板23b、23cとを有する。芯部材23aは、回転軸21の第1突出部21aに対して交換可能に装着される。芯部材23aは、回転軸21に装着された状態において、回転軸21と一体となって軸線AXの軸線周り方向に回転可能である。芯部材23aは、例えば粘着テープ60が未使用の状態で所定の径R2(
図4参照)まで巻かれた状態となっている。
【0015】
粘着テープ60は、接着層が形成された接着面60a(
図3参照)が内側に配置されるように芯部材23aに巻かれている。なお、テープロール23は、不図示の逆回転規制機構を有してもよい。逆回転規制機構は、粘着テープ60を繰り出す方向とは反対向きの回転方向にテープロール23が回転することを規制する。
【0016】
テープ挟持板23b、23cは、それぞれ円板状の部材が用いられ、芯部材23aに対して軸線AXの軸線方向の両側に配置される。テープ挟持板23b、23cは、芯部材23a及び粘着テープ60を軸線AXの軸線方向に挟んで保持する。テープ挟持板23b、23cは、粘着テープ60の径R2よりも大きい径R3(
図4参照)を有する。なお、テープ挟持板23b、23cは、金属製あるいは樹脂製で形成され、透明または半透明の部材が用いられてもよい。
【0017】
テープ案内部24は、テープロール23から繰り出される粘着テープ60をテープ押圧部25に案内する。テープ案内部24は、案内ローラ24a、24b、24cを有する。各案内ローラ24a、24b、24c(
図3参照)は、それぞれ、フレーム10に支持され、軸線AXの軸線方向に平行な軸周りに回転可能に配置される。案内ローラ24a、24b、24cは、粘着テープ60のうち接着面60aとは反対側の非接着面60b(
図3参照)を支持する。テープ案内部24により、粘着テープ60は、テープロール23から繰り出される繰り出し部分61と、テープ押圧部25に支持されてレンズ母型に当接される巻き付け部分62との間が張り渡された状態で案内される。なお、案内ローラ24a、24b、24cの形状、個数、または配置は任意であり、本実施形態に示した形態に限定されない。
【0018】
テープガイド80は、粘着テープ60を押圧ローラ25aとレンズ母型70の外周面との間に差し込む際に、粘着テープ60を導くためのガイドであり、ガイド面には粘着テープ60の非接着面60bを真空吸着するための穴が設けられている。この穴は、不図示の吸引装置等に接続されている。
【0019】
テープ押圧部25は、
図2及び
図3に示すように、テープ案内部24によって案内された粘着テープ60の接着面60aを母型に押圧する。テープ押圧部25は、押圧ローラ25aと、支持部材25bとを有する。押圧ローラ25aは、上記した軸線AXの軸線方向に平行な軸周りに回転可能に支持される。支持部材25bは、ブラケット等を介してフレーム10に支持され、押圧ローラ25aを回転可能に支持する。なお、テープ押圧部25は、押圧ローラ25aをレンズ母型70に向けて移動させる駆動機構を有してもよい。このような駆動機構としては、例えばエアシリンダ機構等のアクチュエータを用いることができる。さらに、レンズ母型70およびレンズ母型駆動機構30を除くテープ巻き付け装置100全体は、水平方向(
図3中、X方向)および垂直方向(
図3中、Y方向)に移動する駆動機構を有してもよい。駆動機構としては、例えば、電動モータ等の駆動源が用いられてもよい。
【0020】
板状部材26は、回転軸21の第2突出部21bに固定される。したがって、板状部材26は、軸線AXの軸線方向において、軸受22を挟んでテープロール23とは反対側の位置に配置される。これにより、板状部材26と、後述する当接部材41とが当接して生じる微粉末等がテープロール23の方に飛散して粘着テープ60の接着面60aに付着するのを抑制することができる。
【0021】
また、板状部材26は、例えば金属や樹脂などの材料により、剛性を付与可能な材質で形成される。板状部材26は、回転軸21と一体となって軸線AXの軸線方向に回転する。板状部材26は、例えば円板状であり、中心が軸線AXに一致した状態で配置される。板状部材26は、回転軸21の径R1よりも大きい径R4(
図4参照)を有する。板状部材26の径R4は、例えば粘着テープ60の径R2とほぼ等しい値に設定することができる。なお、板状部材26の径R4は、粘着テープ60の径R2とは無関係に設定してもよい。
【0022】
板状部材26は、第1平面部26a及び第2平面部26bを有する。第1平面部26aは、フレーム10の第2面10bと対向して配置される。第2平面部26bは、第1平面部26aの裏面側である。板状部材26は、回転軸21の第2突出部21bの長手方向に対して垂直に配置される。これにより、第1平面部26a及び第2平面部26bのそれぞれは、軸線AXの軸線方向に対して垂直となる。
【0023】
レンズ母型駆動機構30は、粘着テープ60を巻き付ける対象であるレンズ母型70を支持し、かつ、レンズ母型70を回転させる。レンズ母型70は、2つのレンズ母型71及びレンズ母型72を有する。レンズ母型71は、レンズ形成面71aと、非形成面71bとを有する。同様に、レンズ母型72は、レンズ形成面72aと、非形成面72bとを有する。レンズ形成面71a、72aは、眼鏡レンズ等のレンズブランク(丸玉)の表面及び裏面を形成する面である。なお、レンズ母型71及びレンズ母型72は、外径がほぼ同一に形成されており、それぞれが所定の肉厚を有している。
【0024】
レンズ母型駆動機構30は、吸着部31、32と、回転部材33、34と、駆動部35とを有する。吸着部31は、レンズ母型71の非形成面71bのほぼ中央部分に吸着する。吸着部32は、レンズ母型72の非形成面72bのほぼ中央部分に吸着する。吸着部31及び吸着部32は、吸着口同士が対向した状態で配置される。これにより、吸着部31がレンズ母型71の非形成面71bに吸着し、吸着部32がレンズ母型72の非形成面72bに吸着した場合、レンズ母型71のレンズ形成面71aとレンズ母型72のレンズ形成面72aとが対向した状態で配置される。
【0025】
回転部材33は、吸着部31に連結される。回転部材33は、駆動部35により、上記した軸線AXに平行な回転軸の軸線周りに回転可能である。回転部材33が回転することにより、吸着部31が回転部材33と一体となって回転する。回転部材34は、吸着部32に連結される。回転部材34は、不図示の回転駆動伝達系により駆動部35の駆動力が伝達され、上記した軸線AXに平行な軸線周りに回転可能である。回転部材34が回転することにより、吸着部32が回転部材34と一体となって回転する。回転部材33、34は、同一の軸線周りに回転し、同一の回転数(回転速度)によって同期して回転する。したがって、駆動部35による回転部材33、34の回転により、レンズ母型71、72は、同期して回転する。
【0026】
レンズ母型駆動機構30は、吸着部31、32がレンズ母型71、72に吸着した状態で回転部材33、34を回転させることで、レンズ母型70を軸線周りに回転させる。なお、レンズ母型駆動機構30は、回転部材33、34で別の駆動源が用いられてもよい。この場合、回転部材33、34の回転数(回転速度)で回転させることにより、レンズ母型71とレンズ母型72とを同期して回転させることが可能である。
【0027】
回転部材33、34は、回転軸の軸線方向に移動可能に設けられる。回転部材33、34を回転軸の軸線方向に移動させることにより、レンズ母型71のレンズ形成面71aとレンズ母型72のレンズ形成面72aとの間隔を調整することが可能となっている。回転部材33、34の軸線方向への移動(すなわち、レンズ形成面71aとレンズ形成面72aとの間隔の調整)は、電動モータ、油圧シリンダ装置またはエアシリンダ装置などの駆動源を用いてもよいし、作業者が手作業で設定してもよい。
【0028】
張力調整機構40は、粘着テープ60のうち繰り出し部分61と巻き付け部分62との間の張力が所定の値となるように調整する。繰り出し部分61と巻き付け部分62との間の張力が調整されることにより、粘着テープ60のたるみ等が解消され、レンズ母型70に対して粘着テープ60を適切に巻き付けることが可能となる。
図4は、テープ巻き付け装置100の一部の構成を示す斜視図である。
図4は、張力調整機構40側から板状部材26を見た場合の一例を示す図である。
【0029】
図4に示すように、張力調整機構40は、当接部材41と、シリンダ機構42と、スライド機構43とを有する。当接部材41は、例えばポリアセタール等の樹脂材料を用いて例えば円柱状に形成される。なお、当接部材41を形成する材料としては、上記に限定されず、他の樹脂、または金属、木材、などの材料を用いて形成されてもよい。当接部材41は、板状部材26の第2平面部26bに対向して配置される。当接部材41は、軸線AXに平行な軸線方向に移動することで、板状部材26に押し付け可能に設けられる。
【0030】
当接部材41は、軸線AXに平行な軸線方向に移動することにより、板状部材26の第2平面部26bに対して垂直に当接する。当接部材41は、板状部材26の第2平面部26bに当接される当接面41aを有する。当接面41aは、軸線AXに垂直な平面に形成され、第2平面部26bに平行に配置される。したがって、当接部材41の当接面41aと第2平面部26bとは、面同士で当接するようになっている。
【0031】
また、当接部材41の当接面41aの周縁部は、丸みを持たせて形成される(
図5参照)。この形状により、当接部材41を板状部材26の第2平面部26bに当接させる際、当接面41aの角部が第2平面部26bに引っ掛かって、板状部材26に対して過度の抵抗を与えることを抑制できる。また、当接面41aの形状は任意に設定可能である。例えば、当接面41aとして曲面であってもよいし、球面であってもよい。また、当接部材41は、シリンダ機構42に取り外し可能な状態で固定されており、他の当接部材41に交換可能である。また、当接面41aの形状が異なる複数種類の当接部材41を用意しておき、いずれかを選択してシリンダ機構42に取り付けてもよい。
【0032】
シリンダ機構42は、シリンダ42aと、可動部材42bとを有する。シリンダ機構42としては、例えば、油圧シリンダ機構またはエアシリンダ機構等が用いられる。シリンダ42aは、空気あるいは油等の流体の供給量を調整することにより、可動部材42bを軸線AXに平行な軸線方向に往復移動させる。可動部材42bは、シリンダ42aによって往復移動することにより、当接部材41を軸線AXに平行な軸線方向に移動させ、当接部材41の当接面41aを板状部材26の第2平面部26bに対して押し付けることが可能である。
【0033】
また、シリンダ機構42は、シリンダ42aに供給する空気等の流体の供給量を調整することで、板状部材26の第2平面部26bに対して当接部材41を押し付ける力を調整可能である。なお、シリンダ機構42としてエアシリンダ機構が用いられる場合、例えば、工場等の建屋内にエアの供給源が設置された環境においては、エアの供給設備を別途設けることなく、容易にシリンダ機構42を駆動させることができる。なお、当接部材41の駆動源としては、シリンダ機構42に限定するものではなく、電動モータ等の駆動源が用いられてもよい。
【0034】
スライド機構43は、シリンダ機構42を軸線AXの放射方向に移動させる。スライド機構43は、不図示の駆動源により、シリンダ機構42を軸線AXの放射方向に移動させることにより、当接部材41を移動させる。当接部材41の移動により、板状部材26に対する当接部材41の当接位置を軸線AXの放射方向、つまり、板状部材26の径方向に変化させることが可能である。これにより、当接部材41を一定の力で板状部材26に押し付けながら、軸線AXから当接部材41の距離を変化させることにより、板状部材26に対する抵抗を変化させることが可能となる。ただし、このようなスライド機構43を設けるか否かは任意であり、スライド機構43はなくてもよい。
【0035】
張力調整機構40は、当接部材41の当接面41aを回転する板状部材26の第2平面部26bに一定の力で押し付けることにより、当接面41aと第2平面部26bとの間に板状部材26の回転方向とは逆方向の摩擦力を生じさせる。つまり、張力調整機構40は、当接面41aを第2平面部26bに押し付けることにより、板状部材26に負荷を加えることができる。
【0036】
張力調整機構40は、この負荷により、テープロール23の自由な回転を抑制し、粘着テープ60の繰り出しに抵抗を加えることにより、粘着テープ60の繰り出し部分61と巻き付け部分62との間に張力を付与する。したがって、張力調整機構40は、板状部材26に対する負荷の大きさを調整すること(すなわち当接部材41による板状部材26への押し付け力の調整)により、粘着テープ60の繰り出し部分61と巻き付け部分62との間の張力を所定の値に調整可能である。
【0037】
また、張力調整機構40は、回転軸21よりも径が大きい板状部材26に対して当接部材41を押し付けることにより、回転軸21に直接当接部材41を当接させる構成に比べて、小さな力で適切な負荷を与えることができ、さらに、押し付け力を変えることで高精度に負荷を調整すること可能となっている。このため、張力調整機構40は、粘着テープ60に与える張力を微調整することが可能である。例えば、粘着テープ60の消費によってテープロール23の外径が変化するが、当接部材41による板状部材26への押し付け力を調整することにより長期にわたって粘着テープ60の張力を一定に維持することが可能となる。
【0038】
図5は、当接部材41と板状部材26との位置関係を示す図である。
図5に示すように、張力調整機構40は、シリンダ機構42により、第2平面部26bに対する当接部材41の押し付け力を変更可能である。また、張力調整機構40は、スライド機構43により当接部材41の当接位置を板状部材26の径方向に変化させることにより、軸線AXと当接部材41との距離L1、L2等に応じて板状部材26に対する負荷を変化させることが可能である。張力調整機構40は、当接部材41の押し付け力及び当接位置のうち少なくとも一方を変更することで、板状部材26に対する負荷の大きさを変更可能であり、これにより粘着テープ60の繰り出し部分61と巻き付け部分62との間の張力を変更可能である。
【0039】
図1に戻り、制御部50は、テープ巻き付け装置100の各部の動作を統括的に制御する。制御部50は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置と、主記憶装置及び補助記憶装置などの記憶装置と、を有している。また、制御部50は、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置、及びディスプレイ等の出力装置を備える構成であってもよい。このような制御部50としては、例えば、デスクトップ型又はノート型のパーソナルコンピュータや、タブレット型携帯端末等を用いることができる。
【0040】
制御部50は、レンズ母型制御部51と、張力制御部52と、演算部53と、を有する。レンズ母型制御部51は、レンズ母型駆動機構30の動作を制御することで、2枚のレンズ母型71、72の位置及び回転を制御する。レンズ母型駆動機構30の動作を制御するための制御プログラム及びデータ等については、例えば、制御部50の記憶装置に予め記憶されている。
【0041】
張力制御部52は、張力調整機構40の動作を制御することにより、当接部材41の圧力及び当接位置を制御する。張力制御部52の動作を制御するための制御プログラム及びデータ等については、例えば、制御部50の記憶装置に予め記憶されている。例えば、粘着テープ60の繰り出し部分61と巻き付け部分62との間の張力を所定の目標値に調整する場合、当接部材41の圧力と当接位置との関係を示すデータテーブル等が記憶装置に記憶されており、張力制御部52は、張力が所定の目標値となるようにデータテーブルから当接部材41の圧力及び当接位置を選択して、張力調整機構40を制御する。このように、張力制御部52は、データテーブル等に基づき、張力の目標値に応じて当接部材41の押し付け力及び当接位置を調整するので、粘着テープ60の張力を容易かつ確実に設定することができる。
【0042】
演算部53は、上記各種制御における演算処理を行う。演算部53は、例えば、レンズ母型制御部51の回転量と、予め記憶していたテープロール23における粘着テープ60の初期長さに基づいて、粘着テープ60の残量を算出可能である。演算部53は、粘着テープ60の残量に応じて、繰り出し部分61と巻き付け部分62との間の張力を維持するように、当接部材41の押し付け力及び当接位置を算出可能である。例えば、予め実験やシミュレーションによって粘着テープ60の残量と当接部材41の押し付け力及び当接位置との関係式を求めておき、制御部50の記憶装置に記憶させておく。演算部53は、算出した粘着テープ60の残量と関係式とにより適正な張力を算出してもよい。
【0043】
また、例えば、予め実験やシミュレーションによって粘着テープ60の残量と当接部材41の押し付け力及び当接位置との関係をデータテーブルとして制御部50の記憶装置に記憶させておき、演算部53は、制御部50に記憶されたデータテーブルに基づいて、粘着テープ60の残量に応じた当接部材41の押し付け力及び当接位置を選択してもよい。なお、演算部53が用いるデータテーブルは、上記したように予め実験やシミュレーションによって形成されてもよいし、作業者が粘着テープ60の巻き付け作業を行った結果を蓄積して形成されてもよい。演算部53によって算出された(選択された)結果に基づいて、張力制御部52は、当接部材41の押し付け力及び当接位置を調整する。これにより、長期にわたって粘着テープ60の張力を一定に維持することができる。
【0044】
また、制御部50は、レンズ母型70に対する粘着テープ60の張力を巻き付け途中で変更することができる。例えば、レンズ母型70に対して粘着テープ60を複数回巻き付ける場合、最初の巻き付けについては張力を弱く設定して巻き付けを行い、一周巻き付けた以降の巻き付けについては当初の張力より強い張力を粘着テープ60に付与して巻き付けを行ってもよい。
【0045】
次に、上記のように構成されたテープ巻き付け装置100によるテープ巻き付け方法の一例を説明する。
図6は、テープ巻き付け方法の一例を示すフローチャートである。
図6のフローチャートを説明するに際して、適宜
図1から
図5を参照する場合がある。
図6に示すように、まず、2枚のレンズ母型71、72を配置する(ステップS01)。
【0046】
ステップS01では、まず、吸着部31にレンズ母型71の非形成面71bを吸着させ、吸着部32にレンズ母型72の非形成面72bを吸着させる。これにより、レンズ母型71のレンズ形成面71aとレンズ母型72のレンズ形成面72aとが対向配置される。その後、回転部材33、34を回転軸の軸線方向に交差する方向に移動させ、レンズ母型71とレンズ母型72との間の位置合わせを行う。これにより、2枚のレンズ母型71、72(レンズ母型70)の配置が完了する。
【0047】
次に、板状部材26の第2平面部26bに対して所定の押し付け力で当接部材41を当接させる(ステップS02)。ステップS02において、張力制御部52は、シリンダ機構42のシリンダ42aに空気を供給し、可動部材42bを板状部材26側に移動させる。可動部材42bの移動により、当接部材41が一体となって移動し、当接面41aが板状部材26の第2平面部26bに当接される。このとき、張力制御部52は、第2平面部26bに対して当接部材41を所定の押し付け力で押し付ける。
【0048】
次に、レンズ母型70の外周面に粘着テープ60を当接させる(ステップS03)。ステップS03では、まず、テープロール23から粘着テープ60が繰り出され、案内ローラ24a、24b、24cに支持され、テープガイド80によって粘着テープ60の非接着面60bが吸引固定され、かつテープの先端部分が所定位置で切断された初期状態が再現される。次いで、レンズ母型70およびレンズ母型駆動機構30を除くテープ巻き付け装置100全体が移動(
図3のX(+)方向、及びY(−)方向))して粘着テープ60の先端部をテープ押圧部25に配置し、レンズ母型70の外周部に当接させる。粘着テープ60の先端部分は押圧ローラ25aによりレンズ母型70の端面に押しつけられ接着された状態となる。
【0049】
次に、テープガイド80による粘着テープ60の真空吸着を解除し、レンズ母型70及びテープロール23を回転させる(ステップS04)。ステップS04において、レンズ母型制御部51は、レンズ母型駆動機構30を駆動させて回転部材33、34を回転させることにより、レンズ母型70を所定の回転速度で回転させる。粘着テープ60の端部(巻き付け部分62)がレンズ母型70の外周面に当接された状態でレンズ母型70が回転することにより、レンズ母型70の外周面に粘着テープ60が巻かれていく。
【0050】
このとき、テープ押圧部25が粘着テープ60をレンズ母型70に押し付けることにより、粘着テープ60は、レンズ母型70に押し付けられながら巻き付けられる。また、レンズ母型70の回転によって粘着テープ60が引っ張られ、テープロール23が回転して繰り出し部分61から粘着テープ60が順次繰り出される。
【0051】
テープロール23の回転により、板状部材26がテープロール23とともに回転する(ステップS05)。板状部材26には、張力調整機構40によって当接部材41の当接面41aが予め設定されている力で第2平面部26bに押し付けられている。したがって、板状部材26の回転により、第2平面部26bには当接部材41との当接部分において回転方向とは逆方向の摩擦力が生じる。この摩擦力が負荷となって板状部材26の回転に抵抗が生じ、板状部材26と一体で回転するテープロール23の回転にも抵抗が生じる、その結果、粘着テープ60の自由な繰り出しが規制されて、繰り出し部分61と巻き付け部分62との間に張力が生じる。
【0052】
張力制御部52は、当接部材41の圧力を制御することにより、粘着テープ60の張力を所定の値に制御する(ステップS06)。ステップS06において、張力制御部52は、例えば、粘着テープ60の残量に応じて板状部材26に加える負荷を調整する。
図7及び
図8は、板状部材26に負荷を加える形態の一例を示す図である。
図7では、粘着テープ60の残量が多い場合について示している。
図8では、粘着テープ60の残量が少ない場合について示している。
【0053】
図7及び
図8に示すように、レンズ母型70に粘着テープ60を巻き付けるに従って、テープロール23の粘着テープ60の残量が減少する。
図7に示すように、粘着テープ60の残量が多い場合、粘着テープ60の繰り出し部分61の位置がテープロール23の径方向の外側に配置される。このため、レンズ母型70の回転により粘着テープ60が引っ張られた場合、テープロール23を強く回転させることになる。この状態でテープロール23の回転の規制が少ないと、テープロール23が惰性で回転する場合があり、繰り出された粘着テープ60の張力が小さくなって緩んだ状態となってしまう。
【0054】
そこで、張力制御部52は、板状部材26の第2平面部26bのうち径方向の外側部分(軸線AXから遠い部分)に当接部材41を所定の力で押し付ける。これにより、板状部材26の回転に与える負荷が大きくなり、テープロール23の惰性による回転が規制され、繰り出される粘着テープ60に張力を付与することができ、レンズ母型70に粘着テープ60を安定して巻き付けることができる。
【0055】
一方、
図8に示すように、粘着テープ60の残量が少ない場合、粘着テープ60の繰り出し部分61の位置がテープロール23の径方向の内側に配置される。このため、レンズ母型70の回転により粘着テープ60が引っ張られた場合、テープロール23を回転させる力が
図7の場合に比べて弱くなる。この状態でテープロール23の回転を強く規制すると、粘着テープ60に対して大きな張力を付与することになり、レンズ母型70に対して適切に粘着テープ60を巻き付けることができない場合がある。また、粘着テープ60に付与する張力が大きいと、粘着テープ60の破断を招く場合もある。
【0056】
そこで、張力制御部52は、
図8に示すように、例えば、当接部材41の押し付け力については変化させることなく、当接部材41の当接位置を第2平面部26bの径方向の内側に移動させる。これにより、板状部材26の回転に与える負荷が小さくなるため、テープロール23の回転の抵抗が小さくなる。その結果、繰り出される粘着テープ60に張力を過度に大きくなることを防止でき、粘着テープ60に付与する張力を長期にわたって一定またはほぼ一定に維持することが可能となり、レンズ母型70に対して粘着テープ60を安定して巻き付けることが可能となる。
【0057】
なお、上記したステップS06では、板状部材26の第2平面部26bに対する当接部材41の位置を変更することにより、板状部材26の回転に与える負荷を調整しているが、これに限定されない。例えば、当接部材41の位置を変更することなく、板状部材26への押し付け力を変更することにより、板状部材26の回転に与える負荷を調整してもよいし、当接部材41の位置を変更と押し付け力の変更との双方を用いて板状部材26の回転に与える負荷を調整してもよい。
【0058】
このようにレンズ母型70を回転させ、粘着テープ60がレンズ母型70の外周面に1周巻き付けられるとともに、テープロール23が回転して粘着テープ60が順次繰り出される。その後、レンズ母型70およびレンズ母型駆動機構30を除くテープ巻き付け装置100全体が再度移動(
図3のX(−)方向)する。ここでもテープロール23が回転して粘着テープ60が順次繰り出される。ただし、テープ押圧部25は押圧ローラ25aが粘着テープを挟んでレンズ母型70を押圧している状態を保っており、テープ押圧部25は装置本体からX(+)方向に移動することになる。次に、テープガイド80により粘着テープ60を真空吸着で再度固定し、巻き付け部
分62から一定距離離れた位置において、粘着テープ60をカッター(不図示)により切断する。さらにレンズ母型70を回転させ、切断後のレンズ母型側のテープ端を巻き付ける。最後に、テープ押圧部25はX(−)方向に移動し、かつ、レンズ母型70およびレンズ母型駆動機構30を除くテープ巻き付け装置100全体がY(+)方向に移動して元の位置に戻り、粘着テープ60の巻き付け動作を完了する(ステップS07)。レンズ母型70に粘着テープ60を巻き付けた後、粘着テープ60の一部を捲って隙間を形成し、この隙間からレンズ母型70の内部にレンズ材料を注入する。レンズ材料を注入した後、粘着テープ60を元の状態に戻して隙間を塞ぐ。レンズ材料は、2枚のレンズ母型71、72と粘着テープ60とで形成される空間に保持される。
【0059】
レンズ母型70にレンズ材料を注入した後、レンズ材料を重合(硬化)させる。レンズ材料に応じて紫外線硬化あるいは熱硬化により、レンズ材料を硬化させる。重合に伴う体積変動などに留意しながら、重合を完了させる。レンズ材料を重合させることにより、レンズブランクが形成される。レンズブランクを形成した後、レンズ母型70からレンズブランクを分離させる。レンズ母型70から分離されたレンズブランクは、レンズ形成面71a、72aに対応するレンズ面が形成される。
【0060】
以上のように、本実施形態に係るテープ巻き付け装置100は、回転軸21に固定され、かつ、軸線AXの軸線周りに回転して粘着テープ60を繰り出すテープロール23と、回転軸21に固定され、かつ、テープロール23とともに軸線AXの軸線周りに回転する板状部材26と、板状部材26の一部に負荷を加えて、粘着テープ60の繰り出し部分61と巻き付け部分62との間の張力が所定の値となるように調整する張力調整機構40と、を備える。この構成により、2枚のレンズ母型71、72に対する粘着テープ60の巻き付けにおいて、粘着テープ60の消費量にかかわらず、テープロール23から繰り出される粘着テープ60に対して適切な張力を付与することが可能となる。
【0061】
<レンズ製造方法>
次に、本実施形態に係るレンズ製造方法について説明する。
図9は、本実施形態に係るレンズ製造方法の一例を示すフローチャートである。本実施形態におけるレンズは、眼鏡レンズを示している。また、以下に説明するレンズ製造方法は、一例であって、これに限定されるものではない。なお、
図9では眼鏡レンズの製造方法の一例として、累進焦点レンズの製造方法について示している。
【0062】
図9に示すように、先ず、レンズブランクが形成される(ステップS11)。レンズブランクは、上記したように、
図6のステップS07の後、粘着テープ60が巻かれたレンズ母型70にレンズ材料を注入して硬化させ、レンズ母型70をレンズブランクから分離させることによりが形成される。なお、形成されるレンズブランクは、一般的に外面(凸面)が光学面として成形されているセミフィニッシュレンズである。
【0063】
また、眼鏡レンズの製造に際して、製品情報、フレーム情報、処方情報およびフィッティング情報などの必要な各種情報を取得する。この各種情報は、例えば、発注側コンピュータから管理サーバを介して工場サーバに送られる。工場サーバは、例えば、カーブジェネレーション加工(以下、CG加工と略記する)、研磨により形成する内面の面形状データを計算するとともに、各工程に必要なデータを各工程の専用端末コンピュータに送る。
【0064】
続いて、内面のCG加工のため、ステップS11で形成されたレンズブランク(あるいはセミフィニッシュレンズ、以下同様である)にブロッキングが行なわれる(ステップS12)。ブロッキングは、例えば、ヤトイと呼ばれるレンズの保持体をレンズブランクに接合させる工程である。レンズブランクがセミフィニッシュレンズである場合、ブロッキングは、例えば、光学面として完成しているセミフィニッシュレンズの外面(凸面)に対してあらかじめ保護フィルムを密着させておき、その上に専用の装置によってヤトイとセミフィニッシュレンズとを、接合剤を介して接合させる。接合剤としては、例えばアロイと呼ばれる低融点合金が一般的に使用される。
【0065】
続いて、ヤトイに接合されたレンズブランクは、CG加工機に取り付けられ、内面(凹面)が、計算された面形状へ切削加工される(ステップS13)。続いて、研磨装置によって内面(凹面)が研磨されることにより、所望の面形状に仕上げられる(ステップS14)。ステップS14の研磨加工が終了した中間レンズは、マーキングが行われる(ステップS15)。
【0066】
ステップS15のマーキングでは、中間レンズに対して、例えばレーザ加工などにより隠しマークが形成される。隠しマークは、眼鏡レンズの種類に応じた固有の識別マークである。隠しマークとしては、例えば、アライメント基準マーク、製品情報マーク、加入度マーク、屈折率マーク、累進帯長マーク、表面処理マーク、製造者マーク、及びインセット量マークなどがある。なお、アライメント基準マークは、例えば、レンズブランク(セミフィニッシュレンズ)の成形時に母型からの転写で形成されてもよい。
【0067】
続いて、中間レンズの染色のオーダーがあるものに対して中間レンズの染色が行われる(ステップS16)。なお、中間レンズの染色のオーダーがないものについては、ステップS16を行わずにステップS17を行う。続いて、中間レンズにハードコート膜や反射防止膜等の各種薄膜を形成する表面処理が行われる(ステップS17)。続いて、レイアウトマーク形成装置等によりレイアウトマークを形成する(ステップS18)。レイアウトマークは、例えば、水平基準線、左右表示マーク、度数測定位置マークなどであり、先に形成されているレイアウト基準マークを基準とした位置に印刷等により形成される。
【0068】
続いて、玉型加工のオーダーがある場合は、玉型加工機により玉型加工を行う(ステップS19)。これにより、眼鏡フレームの形状に対応した眼鏡レンズ(玉型レンズ)が製造される。玉型加工のオーダーがない場合は、玉型加工を行わずにステップS20を行う。続いて、玉型加工のオーダーがあるものは眼鏡レンズ(玉型レンズ)のレイアウトマークが除去された後、最終出荷検査が行われ(ステップS20)、出荷される(ステップS21)。玉型加工のオーダーがないものは、最終出荷検査(ステップS20)の後、丸玉でレイアウトマークが印刷された状態の眼鏡レンズ(丸玉レンズ)で出荷される(ステップS21)。
【0069】
なお、本実施形態に係る眼鏡レンズの製造方法は、外面(凸面)および内面(凹面)の両方の光学面が成形により形成される単焦点レンズにも適用が可能である。この場合、形成されるレンズブランクはキャストフィニッシュレンズと呼ばれる。眼鏡レンズがキャストフィニッシュレンズから製造される単焦点レンズであっても、累進焦点レンズと同様に、注文を受けてから加工を行う特注レンズがあるが、その場合の生産工程は、
図9における内面(凹面)CG加工(ステップS13)および内面(凹面)研磨加工(ステップS14)は不要となる。さらに、眼鏡レンズが、販売店もしくは製造メーカで在庫しておく常備レンズの場合、
図9における内面(凹面)CG加工(ステップS13)、内面(凹面)研磨加工(ステップS14)に加えて、染色加工(ステップS16)、レイアウトマーク形成(ステップS18)および玉型加工(ステップS19)も不要となる。常備レンズの製造工程においては、マーキング加工が表面処理後に行われる場合もある。
【0070】
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上述した説明に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、上記した実施形態では、粘着テープ60の残量などに基づき、適正な張力を算出し、当接部材の押しつけ力、あるいは当接位置を自動制御する例を挙げて説明したが、当接部材の押しつけ力、あるいは当接位置を、予め行った実験結果などに基づき、手動で制御しても良い。
【0071】
例えば一般的な工業用粘着テープで使用されているテープロールの巻芯径(芯部材23aの外径)は76mmであるが、テープ全長が35mもしくは50mの場合、テープ使用開始時のテープロールの最大径(
図4のR2)は、85〜100mmである。このような場合、テープ使用開始時と終了時のテープロール径の差は大きくない。そのため、当接部材の押しつけ力、あるいは当接位置を、予め行った実験結果などに基づき、手動で一定値に調整することでテープの張力をほぼ一定に保つことが可能であり、複雑な制御は必要としない。
【0072】
上記した実施形態では、回転軸21に板状部材26を固定させて、この板状部材26に当接部材41を当接させることでテープロール23の回転に負荷を加える構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、テープ挟持板23bまたは23cを板状部材として用い、当接部材41を板状部材であるテープ挟持板23bまたは23cに当接させることによりでテープロール23の回転に負荷を加える構成であってもよい。
【0073】
また、上記した実施形態では、張力調整機構40が1つの当接部材41が板状部材26の第2平面部26bに当接させる構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、張力調整機構40が複数の当接部材41を備えてもよい。この場合、各当接部材41をそれぞれ駆動する複数のシリンダ機構42を備え、板状部材26の第2平面部26bに当接させる当接部材41の個数を変更することによって板状部材26の回転に与える負荷を調整してもよい。これにより、シリンダ機構42は、当接部材41の押圧力を調整する必要がなく、シリンダ機構42の制御が容易となる。また、複数の当接部材41を用いる場合、軸線AXを中心とした周回方向に等間隔に当接部材41が配置されてもよい。これにより、板状部材26に対して押圧力をバランスよく与えることができる。
【0074】
また、上記した実施形態では、板状部材26の第2平面部26bが平面状である構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、第2平面部26bが曲面状または球面状であってもよい。この場合、当接部材41の当接面41aは、第2平面部26bの形状に合わせて曲面または凹面に形成されてもよい。また、当接面41a及び第2平面部26bの一方または双方は鏡面に形成されてもよく、また、両者間の摩擦力を確保するため、当接面41a及び第2平面部26bの一方または双方は粗面に形成されてもよい。
【0075】
また、上記した実施形態では、張力調整機構40が当接部材41を第2平面部26bに押し付ける構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。例えば、張力調整機構40は、当接部材41に代えて、例えば、第2平面部26bの一部を吸引する吸引部を有いてもよい。この場合、吸引部による吸引力を変えることにより板状部材26の回転に与える負荷を調整する構成であってもよい。
【0076】
また、上記した実施形態では、板状部材26の第2平面部26bに当接部材41を押し付ける構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、板状部材26の第1平面部26aに当接部材41が押し付けられる構成であってもよいし、第1平面部26aと第2平面部26bとの双方に当接部材41が押し付けられる構成であってもよい。また、当接部材41に代えて、例えば、板状部材26の一部を挟むような挟持部材が用いられる構成であってもよい。
【0077】
また、上記した実施形態では、板状部材26が軸受22を挟んでテープロール23の反対側に配置された構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、板状部材26が軸受22に対してテープロール23と同一側に配置された構成であってもよい。この場合、板状部材26は、例えば、テープロール23の外側(軸受22に対してテープロール23より遠い部分)に配置されてもよいし、テープロール23の外側のテープ挟持板23cに固定されてもよい。板状部材26がテープ挟持板23cに固定される場合、板状部材26は、テープ挟持板23c(テープロール23)を介して回転軸21に固定される。