(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
挟み込みにより異物に与えるダメージを小さくするため、判定閾値を低い値に設定して、挟み込みの検出感度を高めることが望まれる。しかしながら、従来、スライドドアの建付けの誤差や各部(スライドドアをスライドさせるためのレール、ローラなど)の経年劣化によるスライドドアの開閉負荷の変動を考慮して、判定閾値が高めの値に設定されており、挟み込みの検出感度が低い。
【0006】
本発明の目的は、判定閾値を適切に決定して、挟み込みの検出精度の向上を図ることができる、電動スライドドアの挟み込み検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明に係る電動スライドドアの制御装置は、車両に搭載されて、モータの駆動力により開閉動作するスライドドアと他部材との間で異物の挟み込みが発生したことを検出する装置であって、モータに供給される電流値を取得する電流値取得手段と、スライドドアが少なくとも挟み込みを発生しないで開閉動作した場合に、その開閉動作中に電流値取得手段により取得された電流値を記憶する電流値記憶手段と、スライドドアの開閉動作中に電流値取得手段により取得される電流値が判定閾値を超えた場合に、挟み込みが発生したと判定する挟み込み判定手段と、挟み込み判定手段による判定対象の開閉動作よりも過去の複数回の開閉動作で電流値記憶手段に記憶された電流値に基づいて判定閾値を決定する閾値決定手段とを含む。
【0008】
この構成によれば、スライドドアの開閉動作中にモータに供給される電流値が取得され、その開閉動作中に少なくとも挟み込みが発生しなかった場合、当該取得された電流値が電流値記憶手段に記憶される。また、スライドドアの開閉動作中にモータに供給される電流値が判定閾値を超えた場合には、スライドドアと他部材との間で異物の挟み込みが発生したと判定される。そして、挟み込みの判定に用いられる判定閾値は、その判定対象の開閉動作よりも過去の複数回の開閉動作で電流値記憶手段に記憶された電流値に基づいて決定される。
【0009】
電流値記憶手段に記憶される電流値、つまり少なくとも挟み込みが発生していない正常な開閉動作中に実測により取得される電流値は、スライドドアの建付けの誤差や各部の経年劣化によるスライドドアの開閉負荷の変動が反映された値である。そのため、判定閾値が固定値である場合には、判定閾値をスライドドアの開閉負荷の変動を考慮した高めの値に設定する必要があるのに対し、電流値記憶手段に記憶されている電流値に基づいて判定閾値を決定する構成では、その必要がない。よって、判定閾値を適切に決定することができ、これにより、挟み込みの検出精度の向上を図ることができる。
【0010】
閾値決定手段は、挟み込み判定手段による判定対象の開閉動作よりも過去の複数回の開閉動作で電流値記憶手段に記憶された電流値に基づく値に、スライドドアのスライド方向の水平に対する傾きに基づく値を加減することにより、判定閾値を決定してもよい。
【0011】
スライドドアのスライド方向が水平に対して傾いている場合、スライドドアの自重による負荷がスライドドアの開閉負荷に加減され、開閉動作中にモータに供給される電流値が増減する。そのため、スライド方向の水平に対する傾きを考慮して判定閾値が決定されることにより、挟み込みの検出精度のさらなる向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、挟み込み判定に用いられる判定閾値を適切に決定して、挟み込みの検出精度の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0015】
<車両の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る電動スライドドア制御装置が搭載される車両1の右側面図である。
【0016】
車両1は、たとえば、ミニバンタイプの自動車である。
図1には、車両1の右側面のみが示されているが、車両1の左右の両側面には、フロントドア開口2およびリヤドア開口3が形成されており、そのフロントドア開口2およびリヤドア開口3をそれぞれ開閉するヒンジドア4およびスライドドア5が設けられている。
【0017】
ヒンジドア4は、その前端部に配置されたヒンジを支点とする揺動により、フロントドア開口2を開閉する。スライドドア5は、
図1に二点鎖線と実線とで示されるように、前後方向のスライドにより、リヤドア開口3を開閉する。ヒンジドア4の外表面には、ヒンジドア4を開閉するために操作されるアウトドアハンドル6が設けられている。また、スライドドア5の外表面には、スライドドア5を開閉するために操作されるアウトドアハンドル7が設けられている。
【0018】
なお、図示されないが、ヒンジドア4およびスライドドア5の車室内側の面にも、それぞれヒンジドア4およびスライドドア5を開閉するために操作されるドアハンドル(インドアハンドル)が設けられている。以下の説明において、スライドドア5のアウトドアハンドル7とインドアハンドルとを区別する必要がないので、これらを総称して「ドアハンドル7」という。
【0019】
<電動スライドドア>
図2は、スライドドア5の開閉動作の制御に関する電気的構成を示すブロック図である。
【0020】
スライドドア5には、電動スライドドア(パワースライドドア)が採用されており、電動開閉のためのドアモータユニット11が設けられている。ドアモータユニット11には、たとえば、ドアモータ12と、ドアモータ12の動力によりスライドドア5を前後方向にスライドさせるドア駆動機構13と、スライドドア5の位置を取得するためのドア位置センサ14と、ドアモータ12に供給される電流を取得するためのモータ電流センサ15と、ドアモータ12の回転速度などを取得するためのモータ回転センサ16とが備えられている。
【0021】
車両1には、マイコン(マイクロコントローラユニット)を含む構成のECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)が搭載されている。マイコンには、たとえば、CPU、ROMおよびRAM、データフラッシュ(フラッシュメモリ)などが内蔵されている。
図2には、スライドドア5の開閉動作を制御するためのECU(スライドドアECU)21のみが示されているが、車両1には、各部を制御するため、複数のECUが搭載されている。スライドドアECU21を含む複数のECUは、CAN(Controller Area Network)通信プロトコルによる双方向通信が可能に接続されている。
【0022】
スライドドアECU21には、ドア位置センサ14、モータ電流センサ15およびモータ回転センサ16の各検出信号が入力される。
【0023】
ドア位置センサ14は、たとえば、スライドドア5の移動に伴って回転する回転体(ローラなど)に関連して設けられ、その回転体の回転に同期したパルス信号を検出信号として出力する。スライドドアECU21は、ドア位置センサ14から入力されるパルス信号の数に基づいて、スライドドア5の位置を取得する。
【0024】
モータ電流センサ15は、ドアモータ12に供給される電流に応じた検出信号を出力する。スライドドアECU21は、モータ電流センサ15の検出信号からドアモータ12に流れる電流値を取得する。
【0025】
モータ回転センサ16は、ドアモータ12のロータの回転に同期したパルス信号を検出信号として出力する。スライドドアECU21は、モータ回転センサ16の検出信号からドアモータ12の回転数(回転速度)を演算により取得し、さらに、その回転数からドアモータ12の回転加速度を演算により取得する。
【0026】
また、スライドドアECU21には、ドアハンドルスイッチ31、ドア開閉スイッチ32、ワンタッチスイッチ33およびキーレススイッチ34などのオン/オフ信号が入力される。ドアハンドルスイッチ31、ドア開閉スイッチ32、ワンタッチスイッチ33およびキーレススイッチ34は、いずれもモーメンタリ動作式のスイッチである。
【0027】
ドアハンドルスイッチ31は、ユーザによりドアハンドル7(
図1参照)を手前に引き寄せる操作(以下、単に「操作」という。)がなされている間はオンに保持され、その操作がなされていない間はオフに保持される。
【0028】
ドア開閉スイッチ32は、ユーザが運転席に着座した状態で操作可能な位置に配置されている。ドア開閉スイッチ32は、スライドドア5の開動作を指示するために押操作される開スイッチと、スライドドア5の閉動作を指示するために押操作される閉スイッチとで構成される。
【0029】
ワンタッチスイッチ33は、ドアハンドル7またはドアハンドル7の近傍に配置されている。
【0030】
キーレススイッチ34は、キーをキーシリンダに差し込まずにドアのロック(施錠)/アンロック(開錠)を行えるシステム、いわゆるキーフリーシステム(キーレスエントリシステム)における携帯用のリモートコントローラに設けられている。
【0031】
たとえば、スライドドア5が全閉位置に位置する全閉状態で、ドアハンドル7の操作、または、ドア開閉スイッチ32の開スイッチ、ワンタッチスイッチ33もしくはキーレススイッチ34の押操作がなされると、スライドドアECU21により、ドアモータ12に流れる電流値およびドアモータ12の回転加速度などに基づいて、スライドドア5が開動作するように、車両1に搭載されているバッテリからドアモータ12に供給される電流が制御される。また、スライドドア5が全開位置に位置する全開状態で、ドアハンドル7の操作、または、ドア開閉スイッチ32の閉スイッチ、ワンタッチスイッチ33もしくはキーレススイッチ34の押操作がなされると、スライドドアECU21により、ドアモータ12に流れる電流値およびドアモータ12の回転加速度などに基づいて、スライドドア5が閉動作するように、車両1に搭載されているバッテリからドアモータ12に供給される電流が制御される。
【0032】
<挟み込み検出>
図3は、スライドドア5の開閉動作時におけるドアモータ12の回転速度および回転加速度、ならびにドアモータ12に供給される電流値の変化を示すグラフである。
【0033】
スライドドア5が全開/全閉位置から全閉/全開位置まで開閉動作する場合、ドアモータ12に供給される電流の立ち上がりに応じて、ドアモータ12の回転加速度が上昇し、ドアモータ12が加速する(ドア位置0−P1)。
【0034】
ドアモータ12に供給される電流が一定まで立ち上がると、ドアモータ12が一定の回転加速度で加速する。ドアモータ12の加速に伴って、スライドドア5の開閉速度が上昇する(ドア位置P1−P2)。
【0035】
ドアモータ12の回転速度が所定速度に近づくと、ドアモータ12の回転速度が一定に保持されるよう、ドアモータ12に供給される電流値が下げられる(ドア位置P2−P3)。
【0036】
ドアモータ12の回転速度が所定速度に到達した後、スライドドア5がドア位置P3−P4の区間に位置する間は、ドアモータ12の回転速度が所定速度に保持される。これにより、スライドドア5が一定速度で開閉動作する。
【0037】
スライドドア5がドア位置P4に到達すると、ドアモータ12に供給される電流が下げられる。これにより、ドアモータ12が減速し、スライドドア5の開閉速度が減速する。スライドドア5が全閉/全開位置P5に到達すると、ドアモータ12への電流の供給が停止される。
【0038】
スライドドア5の開閉動作中に、スライドドア5と他部材(たとえば、ヒンジドア4、Bピラーなど)との間で異物の挟み込みが発生した場合、スライドドア5の開閉速度が急減する。これに伴って、ドアモータ12の回転加速度が
図3にハッチングを付して示される領域内の値に変化する。そして、ドアモータ12の回転加速度の変化に応じて、ドアモータ12の回転速度が所定速度に保持されるように、ドアモータ12に供給される電流が増やされるので、その電流値が挟み込み判定閾値(
図3にハッチングを付して示される領域の下端の値)を超える。
【0039】
スライドドア5と他部材との間で異物の挟み込みが発生した場合、ドアモータ12を停止または逆転させて、それ以上の挟み込みを防止または挟み込みを解除する必要がある。そのため、スライドドア5の開閉動作中は、スライドドアECU21により、モータ電流センサ15の検出信号からドアモータ12に流れる電流値が取得されて、その電流値が挟み込み判定閾値を超えているか否かが繰り返し判別される。そして、ドアモータ12に流れる電流値が挟み込み判定閾値を超えた場合には、ドアモータ12が停止(または逆転)される。また、挟み込みの発生後、ドアハンドル7の操作などによりスライドドア5の開閉動作の再開が指示されると、スライドドアECU21により、ドアモータ12への電流の供給が再開される。このとき、スライドドア5が通常よりも低速で開閉動作するよう、ドアモータ12に供給される電流が制御される(低速モード)。また、スライドドア5の開閉動作に挟み込み以外の異常が発生した場合にも、その異常の解消後は、スライドドア5が低速モードで開閉動作するよう、ドアモータ12に供給される電流が制御される。
【0040】
スライドドアECU21では、スライドドア5の開閉動作ごとに、挟み込み判定閾値の計算が行われる。この挟み込み判定閾値の計算のため、スライドドア5の開閉動作(以下、「PSD動作」という。)中、スライドドア5が全開位置と全閉位置との間でほぼ等間隔に設定された複数の各位置に位置するときに、ドアモータ12に供給される電流値が取得される。そして、PSD動作と並行して、スライドドアECU21により、
図4に示される処理が実行されて、PSD動作中に取得される電流値をデータフラッシュに記録するか否かが決定される。データフラッシュには、FIFO(First In First Out)方式により、各位置における電流値が最新に取得されたものから所定のサンプリング数だけ電流履歴として保存される。
【0041】
図4に示される処理では、スライドドア5が全開/全閉位置に位置する状態からのPSD動作であるか否かが判別される(ステップS1)。
【0042】
全開/全閉位置からのPSD動作でない場合(ステップS1のNO)、PSD動作中に取得される電流値をデータフラッシュに記録しないことが決定される(ステップS7)。これにより、データフラッシュに保存されている電流履歴は更新されない。
【0043】
全開/全閉位置からのPSD動作である場合(ステップS1のYES)、スライドドア5が全閉/全開位置に到達するまでの間、挟み込みが発生したか否か(ステップS2)、スライドドア5が低速モードで開閉動作しているか否か(ステップS3)、および、PSD動作中にドアハンドル7の操作などが行われることによりスライドドア5が途中で一時停止保持されたか否か(ステップS4)の各判別が繰り返される。
【0044】
そして、PSD動作中に、挟み込みが発生するか(ステップS2のYES)、スライドドア5が低速モードで開閉動作するか(ステップS3のYES)、または、スライドドア5が途中で一時停止保持された場合は(ステップS4のYES)、PSD動作中に取得される電流値をデータフラッシュに記録しないことが決定される(ステップS7)。したがって、この場合も、データフラッシュに保存されている電流履歴は更新されない。
【0045】
一方、挟み込みが発生せず(ステップS2のNO)、スライドドア5が低速モードで開閉動作せず(ステップS3のNO)、かつ、スライドドア5が途中で一時停止保持されずに(ステップS4のNO)、スライドドア5が全開/全閉位置から全閉/全開位置まで移動した場合には(ステップS5のYES)、そのPSD動作中に取得された各電流値がデータフラッシュに記録されて、データフラッシュに保存されている電流履歴が更新される(ステップS6)。
【0046】
データフラッシュに記録される電流値は、モータ電流センサ15の検出信号から取得される電流値そのものであってもよいし、モータ電流センサ15の検出信号から取得される電流値をスライドドアECU21が他のECUから通信により取得する車両傾き(車両1が所在する路面の勾配)g’に応じて補正した電流値であってもよい。後者の場合、たとえば、次式(1)により求められる電流値Eがデータフラッシュに記録されてもよい。
【0047】
E=D+k*g’ ・・・(1)
ただし、D:モータ電流センサ15の検出信号から取得される電流値
k:補正係数
【0048】
なお、車両傾きg’は、車両1に搭載されたGセンサの検出信号から求めることができる。すなわち、Gセンサは、たとえば、錘の変位に応じた信号を車両1の加速度に応じた検出信号として出力するものであり、このGセンサの検出信号から取得される加速度には、車速の変化による加速度成分と、車両傾きg’による加速度成分とが含まれる。一方、車速を微分して求められる加速度は、車速の変化による加速度成分のみである。したがって、Gセンサの検出信号から取得される加速度と車速の微分値との差を求めることにより、車両傾きg’による加速度成分が得られるので、その加速度成分から車両傾きg’を算出することができる。
【0049】
挟み込み判定閾値は、スライドドア5の全開位置と全閉位置との間を複数に分割して得られる複数の各区間で計算される。その計算のため、データフラッシュに保存されている電流値を用いて、各区間における電流値の平均値Eaveおよび標準偏差σEが算出される。そして、スライドドア5の開動作時には、次式(2)に従って、各区間の挟み込み判定閾値Saが算出される。スライドドア5の閉動作時には、次式(3)に従って、各区間の挟み込み判定閾値Saが算出される。
【0050】
Sa=Eave−k*g’+4*σE ・・・(2)
【0051】
Sa=Eave−k*g’−4*σE ・・・(3)
【0052】
図5は、補正係数kの設定例を示す表である。
【0053】
補正係数kは、実験により予め求められた値である。
図5に示される設定例では、スライドドア5の開動作時において、車両1が前上がりに傾斜している場合(車両傾きg’の値が正である場合)には、補正係数kが3.0に設定され、車両1が後上がり(前下がり)に傾斜している場合(車両傾きg’の値が負である場合)には、補正係数kが4.9に設定される。スライドドア5の閉動作時において、車両1が前上がりに傾斜している場合には、補正係数kが4.4に設定され、車両1が後上がりに傾斜している場合には、補正係数kが2.5に設定される。
【0054】
<作用効果>
以上のように、PSD動作中(スライドドア5の開閉動作中)にドアモータ12に供給される電流値が取得され、そのPSD動作中に挟み込みなどが発生せずに、PSD動作が正常に終了した場合、当該取得された電流値がスライドドアECU21に内蔵されているデータフラッシュに記憶される。また、PSD動作中にドアモータ12に供給される電流値が挟み込み判定閾値を超えた場合には、スライドドア5と他部材との間で異物の挟み込みが発生したと判定される。そして、挟み込みの判定に用いられる挟み込み判定閾値は、その判定対象のPSD動作よりも過去の複数回のPSD動作でデータフラッシュに記憶された電流値(電流履歴)に基づいて決定される。
【0055】
データフラッシュに記憶される電流値、つまり挟み込みなどが発生していない正常なPSD動作中に実測により取得される電流値は、スライドドア5の建付けの誤差や各部の経年劣化によるスライドドア5の開閉負荷の変動が反映された値である。そのため、挟み込み判定閾値が固定値である場合には、挟み込み判定閾値をスライドドア5の開閉負荷の変動を考慮した高めの値に設定する必要があるのに対し、データフラッシュに記憶されている電流値に基づいて挟み込み判定閾値を決定する構成では、その必要がない。よって、挟み込み判定閾値を適切に決定することができ、これにより、挟み込みの検出精度の向上を図ることができる。
【0056】
また、挟み込み判定閾値は、データフラッシュに記憶された電流値に基づく値(平均値Eave)に、車両傾きg’に基づく値を加減することにより決定される。車両1(スライドドア5のスライド方向)が水平に対して傾いている場合、スライドドア5の自重による負荷がスライドドア5の開閉負荷に加減され、PSD動作中にドアモータ12に供給される電流値が増減する。そのため、車両傾きg’を考慮して挟み込み判定閾値が決定されることにより、挟み込みの検出精度のさらなる向上を図ることができる。
【0057】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0058】
たとえば、前述の実施形態では、スライドドアECU21がそれ単独で1つのECUとして構成されているが、1つのECUにスライドドアECU21の機能と他のECUの機能とが組み込まれてもよい。
【0059】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。