(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6851819
(24)【登録日】2021年3月12日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】毛細血管増加剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/739 20060101AFI20210322BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20210322BHJP
A61P 7/10 20060101ALI20210322BHJP
A61P 9/14 20060101ALI20210322BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20210322BHJP
【FI】
A61K31/739
A61P17/00
A61P7/10
A61P9/14
A23L33/10
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2016-255435(P2016-255435)
(22)【出願日】2016年12月28日
(65)【公開番号】特開2018-104389(P2018-104389A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025210
【氏名又は名称】杣 源一郎
(73)【特許権者】
【識別番号】500315024
【氏名又は名称】有限会社バイオメディカルリサーチグループ
(73)【特許権者】
【識別番号】508098394
【氏名又は名称】自然免疫応用技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110191
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和男
(72)【発明者】
【氏名】中田 陽子
(72)【発明者】
【氏名】河内 千恵
(72)【発明者】
【氏名】稲川 裕之
(72)【発明者】
【氏名】杣 源一郎
【審査官】
星 功介
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭64−052725(JP,A)
【文献】
特開2013−144650(JP,A)
【文献】
特表2006−516537(JP,A)
【文献】
日本薬理学雑誌,1996, Vol.107, No.3,pp.99-107
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−31/80
A23L 33/00−33/29
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パントエア・アグロメランス由来LPSを有効成分として含有し、冷え感、むくみ若しくは静脈瘤に対して、又は、肌のアンチエイジングのために、経口投与するものであることを特徴とする毛細血管増加剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛細血管の数を増加させる毛細血管増加剤に関する。
【背景技術】
【0002】
毛細血管は、末梢部位まで網目状にはりめぐらされている細い血管であり、体の隅々まで栄養、酸素、ホルモン等を運ぶ役割とともに、水分、体温の調節にも関与している。このため毛細血管の健全性は健康や美容にも影響する(非特許文献1)。毛細血管は、直径5〜10ミクロンの細さであるため、老廃物により詰まりやすく、さらに加齢とともに減少したり、毛細血管壁がもろくなって血液が漏れ出ることもある。毛細血管の働きが悪いと、冷え症やほてりを感じたり、むくみや静脈瘤、肌の老化の原因ともなる(非特許文献2)。
【0003】
毛細血管の働きを正常化するにあたり、ウオーキング、スキップ、かかとの上げ下ろしなどの適度な運度や、ふくらはぎのマッサージ、入浴等によって血流速度をあげることが効果があるとされている(非特許文献1)。また、血管新生因子の受容体であるTie2(Tyrosine Kinase with Ig and EGF Homology Domain 2)を活性化させることが、劣化した毛細血管壁を修復して丈夫にするために有効であるとされている(非特許文献3)。Tie2増加作用のある物質としては、ケイヒ(シナモン)、ヒハツが知られている(特許文献1、非特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−263358号公報(請求項7、段落0014)
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「ガッテン! 2016年7月13日”アンチエイジングの新常識 毛細血管ケアSP”」、[online]、NHK、[平成28年12月25日検索]、インターネット<URL:http://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20160713/index.html?c=health>
【非特許文献2】「毛細血管について知ろう」、[online]、あっと株式会社、[平成28年12月25日検索]、インターネット<URL:http://lab.kekkan-bijin.jp/know.html>
【非特許文献3】「資生堂、加齢による皮膚毛細血管の機能低下が皮膚老化に関与していることを解明 低下した皮膚毛細血管の機能を回復させる成分「ケイヒエキス」を開発」、[online]、資生堂、[平成28年12月25日検索]、インターネット<URL:https://www.shiseidogroup.jp/releimg/1693-j.pdf#search=%27http%3A%2F%2Fwww.shiseido.co.jp%2Freleimg%2F1693j.pdf%27>
【非特許文献4】「Tie2というタンパク受容体を活性化する植物エキス(ヒハツ)の存在」、[online]、全研本社、[平成28年12月25日検索]、インターネット<URL:https://www.e-expo.net/contents/c/tie2/page02.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、毛細血管の血流速度をあげたり劣化修復をすることとは別に、加齢とともに数が減少すると言われる毛細血管の数を増やすことができれば、健康上及び美容上のトラブルの予防と改善に効果があると考えられるが、毛細血管の数を増やす因子についてはこれまで知られていない。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑み、毛細血管の数を増やすことで毛細血管の健全性を高める毛細血管増加剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の毛細血管増加剤は、
パントエア・アグロメランス由来LPS(リポ多糖)を有効成分として含有
し、冷え感、むくみ若しくは静脈瘤に対して、又は、肌のアンチエイジングのために、経口投与するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、毛細血管の数が増える。したがって、体の隅々まで栄養素や酸素が行き渡り、冷え感、むくみ、静脈瘤の予防・改善のほか、肌のアンチエイジングの効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】試験品と対照品の摂取による指先の毛細血管数の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
下記のように、LPSを有効成分として含む錠剤、または含まないプラセボ錠剤のいずれかを、ダブルブラインドで3か月間摂取する前後において、爪下の毛細血管の顕微鏡写真を撮影し、一定の視野内における毛細血管の本数を比較した。測定は摂取前と3か月摂取後の2度行われた。
図1は、測定結果を、摂取前の指先の毛細血管数を1とする相対値で示す。統計解析はマンホイットニーのU検定を使った。
【0013】
・対象者:年齢が20歳以上74歳以下の男女で、健康診断で測定する血液マーカー数値が正常から境界域に入る健常人52名(女性34人、男性18人)。
・試験品:パントエア・アグロメランス由来LPSを250μg配合した8mm径、200mgの錠剤型サプリメント(デキストリン、還元麦芽糖、セルロース、ステアリン酸カルシウムからなる)。対照品は、LPSをデキストリンに置き換えたサプリメント。
・摂取方法:1日1回、原則夕食前に2錠を摂取
・摂取期間:3か月
・試験デザイン:ランダム化並行群間ダブルブラインド試験
・調査項目:左薬指の爪下の毛細血管の密度(一定視野内の毛細血管数)
・調査方法:毛細血管観察装置(あっと株式会社)による顕微鏡画像のビデオ撮影
【0014】
その結果、LPSを有効成分として含む錠剤を摂取したグループは、プラセボ錠剤を接種したグループと比べて、毛細血管数が有意差をもって(P=0.036)増加したことが認められた。
【実施例2】
【0015】
実施例1と同様のダブルブラインド試験において、冷え感について、視覚的アナログ尺度(visual analogue scale=VAS)を用いる自己評価にて、摂取前と摂取後の調査を行った。その結果、冷えを感じる人数が、試験品群では摂取前21人から摂取後16人に変化した。対照品群では摂取前19人、摂取後17人であった。このことから、試験品群には冷えを改善する効果があることが示された。
【0016】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではない。