特許第6851834号(P6851834)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6851834
(24)【登録日】2021年3月12日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】アルデヒド吸着剤
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/22 20060101AFI20210322BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   B01J20/22 A
   A61L9/01 K
【請求項の数】10
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-7025(P2017-7025)
(22)【出願日】2017年1月18日
(65)【公開番号】特開2018-114463(P2018-114463A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2019年8月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】591147694
【氏名又は名称】大阪ガスケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】秋田 将吾
【審査官】 河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−057955(JP,A)
【文献】 特開2009−247419(JP,A)
【文献】 特開2008−086436(JP,A)
【文献】 特開2010−240332(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/167258(WO,A1)
【文献】 特開2007−167495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/00 − 20/34
A61L 9/00 − 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシアミン化合物と、前記ヒドロキシアミン化合物以外のアミン化合物とが多孔質担体に添着されており、
前記ヒドロキシアミン化合物が、一般式(1):
【化1】
[式中、R1は水素原子、アルキル基又はヒドロキシアルキル基を示す。R2は水素原子、アルキル基又はヒドロキシアルキル基を示す。R3及びR4は同一又は異なって、アルカンジイル基を示す。]
で表されるヒドロキシアミン化合物であり、
前記アミン化合物が、アルカノールアミン化合物、ピロリジン化合物、ピペリジン化合物、ピペラジン化合物、モルホリン化合物、イミダゾール化合物、ヘキサメチレンテトラミン、ヒドラジン化合物及びアミノ酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、
アミン担持多孔質担体を含有するアルデヒド吸着剤。
【請求項2】
前記ヒドロキシアミン化合物がトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンである、請求項に記載のアルデヒド吸着剤。
【請求項3】
前記アミン化合物の添着量が、前記多孔質担体の乾燥質量100質量部に対して、0.2〜20質量部である、請求項1又は2に記載のアルデヒド吸着剤。
【請求項4】
前記ヒドロキシアミン化合物の添着量が、前記多孔質担体の乾燥質量100質量部に対して、1〜40質量部である、請求項1〜のいずれかに記載のアルデヒド吸着剤。
【請求項5】
ホルムアルデヒド吸着剤である、請求項1〜のいずれかに記載のアルデヒド吸着剤。
【請求項6】
アセトアルデヒド吸着剤である、請求項1〜のいずれかに記載のアルデヒド吸着剤。
【請求項7】
さらに、多孔質材料を含有する、請求項に記載のアルデヒド吸着剤。
【請求項8】
請求項1〜のいずれかに記載のアルデヒド吸着剤を用いた工業製品。
【請求項9】
請求項1〜のいずれかに記載のアルデヒド吸着剤を用いた脱臭フィルター。
【請求項10】
ヒドロキシアミン化合物と、前記ヒドロキシアミン化合物以外のアミン化合物とが多孔質担体に添着され、
前記ヒドロキシアミン化合物が、一般式(1):
【化2】
[式中、R1は水素原子、アルキル基又はヒドロキシアルキル基を示す。R2は水素原子、アルキル基又はヒドロキシアルキル基を示す。R3及びR4は同一又は異なって、アルカンジイル基を示す。]で表されるヒドロキシアミン化合物であり、
前記アミン化合物が、アルカノールアミン化合物、ピロリジン化合物、ピペリジン化合物、ピペラジン化合物、モルホリン化合物、イミダゾール化合物、ヘキサメチレンテトラミン、ヒドラジン化合物及びアミノ酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、
アミン担持多孔質担体を含有するアルデヒド吸着剤に、アルデヒド化合物を接触させる、アルデヒド化合物の吸着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルデヒド吸着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の環境社会において、臭気公害対策への関心が高まっている。臭気公害としては、例えば排ガスによる公害が挙げられる。当該排ガスに含まれる臭気物質には、酸性臭気物質、中性臭気物質、アルカリ性臭気物質等が存在する他、アルデヒド系臭気物質等の臭気物質も存在する。なかでも、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等のアルデヒド系臭気物質は、シックハウス症候群の原因物質とされており、当該臭気物質の除去及び消臭に対する要望が高い。現在、各種臭気物質を吸着除去するために、それぞれの臭気物質に対応する薬品(化学物質)が添着した吸着剤が用いられている。
【0003】
例えば、上述の除去及び消臭に対する要望の高いアルデヒド系臭気物質の吸着には、多孔質担体に対して飽和環状第二アミン(ピペリジン、モルホリン等)を担持(添着)した吸着剤等が知られている(例えば、特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−358536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
飽和環状第二アミンを多孔質担体に担持させた飽和環状第二アミン担持多孔質担体は、アルデヒド系臭気物質のなかでも、アセトアルデヒドの吸着に特に有効であるとされている。しかしながら、当該飽和環状第二アミン担持多孔質担体のみを用いる場合にはアセトアルデヒド吸着に有効である一方、様々な機能を付与するために当該飽和環状第二アミン担持多孔質担体と他の多孔質材料(活性炭等)とをブレンドする用途においては、アセトアルデヒド吸着性能は十分ではない。また、臭気物質としては、ホルムアルデヒドの吸着剤も必要とされており、アセトアルデヒドに有効な吸着剤であっても、ホルムアルデヒドの吸着には適さないこともあり、アセトアルデヒドを吸着するために使用されている吸着剤を、そのままホルムアルデヒドを吸着するために使用できるかどうかは不明であるのが現状である。
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決しようとするものであり、アルデヒド吸着性能が高いアルデヒド吸着剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、活性炭に対して、特定のヒドロキシアミン化合物と他のアミン化合物とを併用して添着させた材料は、アルデヒド吸着性能が高いため上記目的を達成できることを見出した。本発明者らは、さらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の構成を包含する。
【0008】
項1.ヒドロキシアミン化合物と、前記ヒドロキシアミン化合物以外のアミン化合物とが多孔質担体に添着されており、
前記ヒドロキシアミン化合物が、一般式(1):
【0009】
【化1】
【0010】
[式中、R1は水素原子、アルキル基又はヒドロキシアルキル基を示す。R2は水素原子、アルキル基又はヒドロキシアルキル基を示す。R3及びR4は同一又は異なって、アルカンジイル基を示す。]
で表されるヒドロキシアミン化合物である、アミン担持多孔質担体を含有するアルデヒド吸着剤。
【0011】
項2.前記アミン化合物が、アルカノールアミン化合物、複素環式アミン化合物、ヒドラジン化合物及びアミノ酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項1に記載のアルデヒド吸着剤。
【0012】
項3.前記アミン化合物が、アルカノールアミン化合物、ピロリジン化合物、ピペリジン化合物、ピペラジン化合物、モルホリン化合物、イミダゾール化合物、ピリジン化合物、ヘキサメチレンテトラミン、ヒドラジン化合物及びアミノ酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項1又は2に記載のアルデヒド吸着剤。
【0013】
項4.前記ヒドロキシアミン化合物がトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンである、項1〜3のいずれかに記載のアルデヒド吸着剤。
【0014】
項5.前記アミン化合物の添着量が、前記多孔質担体の乾燥質量100質量部に対して、0.2〜20質量部である、項1〜4のいずれかに記載のアルデヒド吸着剤。
【0015】
項6.前記ヒドロキシアミン化合物の添着量が、前記多孔質担体の乾燥質量100質量部に対して、1〜40質量部である、項1〜5のいずれかに記載のアルデヒド吸着剤。
【0016】
項7.ホルムアルデヒド吸着剤である、項1〜6のいずれかに記載のアルデヒド吸着剤。
【0017】
項8.アセトアルデヒド吸着剤である、項1〜6のいずれかに記載のアルデヒド吸着剤。
【0018】
項9.さらに、多孔質材料を含有する、項8に記載のアルデヒド吸着剤。
【0019】
項10.項1〜9のいずれかに記載のアルデヒド吸着剤を用いた工業製品。
【0020】
項11.項1〜9のいずれかに記載のアルデヒド吸着剤を用いた脱臭フィルター。
【0021】
項12.ヒドロキシアミン化合物と、前記ヒドロキシアミン化合物以外のアミン化合物とが多孔質担体に添着され、
前記ヒドロキシアミン化合物が、一般式(1):
【0022】
【化2】
【0023】
[式中、R1は水素原子、アルキル基又はヒドロキシアルキル基を示す。R2は水素原子、アルキル基又はヒドロキシアルキル基を示す。R3及びR4は同一又は異なって、アルカンジイル基を示す。]
で表されるヒドロキシアミン化合物である、アミン担持多孔質担体を含有するアルデヒド吸着剤に、アルデヒド化合物を接触させる、アルデヒド化合物の吸着方法。
【発明の効果】
【0024】
本発明のアルデヒド吸着剤は、多孔質担体に対して特定のヒドロキシアミン化合物と他のアミン化合物とを併用して添着させたアミン担持多孔質担体を含有するため、吸着性能が高いアルデヒド吸着剤を得ることができる。
【0025】
なお、臭気物質吸着の規格として、中国GB規格(GB/T 18801-2015)によれば、30m3の試験室を使用した場合に、ホルムアルデヒド1500mg/枚負荷以上である場合に、クリーンエア供給率(CADR)の維持率が50%以上を達成すると最高ランクのF4であるとされている(他国ではこのような企画が存在しないことが多い)。このため、1m3の試験室を使用して簡易試験をした場合、広さが1/30であるため、上記基準の1/30であるホルムアルデヒド50mg/枚負荷以上である場合に、クリーンエア供給率(CADR)の維持率が50%以上を達成することが要求されている。当然ながら、このCADRの維持率は、高ければ高いほど優れている。上記のように、ホルムアルデヒドの吸着が要求されているものの、市販の8種類の脱臭フィルターに対してこの簡易試験を行った場合、この基準を満たす脱臭フィルターはほとんど存在しないうえに、この基準を満たす脱臭フィルターであっても、ホルムアルデヒド負荷後のクリーンエア供給率(CADR)は低い(60m3/h未満)。本発明のアルデヒド吸着剤をホルムアルデヒド吸着に用いる場合は、上記GB規格に基づくホルムアルデヒドの簡易試験を行った場合に、初期クリーンエア供給率とホルムアルデヒド50 mg/枚負荷後のクリーンエア供給率(CADR)とが高く、クリーンエア供給率維持率(CADR維持率)が高い。
【0026】
また、本発明のアルデヒド吸着剤をアセトアルデヒド吸着剤として用いる場合、前記アミン担持多孔質担体と他の多孔質担体(活性炭等)とをブレンドした場合には、従来のアルデヒド吸着剤と比較して吸着性能をより向上させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】ホルムアルデヒド評価用の脱臭フィルターの写真である。
図2】アセトアルデヒド評価用の脱臭フィルターの写真である。
図3】試験例1の結果(比較例1〜6の初期CADR)を示すグラフである。
図4】試験例4の結果(実施例14〜17及び比較例11〜14のアセトアルデヒド除去率)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書において、「添着」とは、ヒドロキシアミン化合物、アミン化合物等の薬品を活性炭等の多孔質担体に担持することをいう。また、本明細書において、「含有する(comprise)」とは、「本質的にのみからなる(essentially consist of)」及び「のみからなる(consist of)」も包含する概念である。
【0029】
1.アルデヒド吸着剤
本発明のアルデヒド吸着剤(又はアルデヒド吸着剤を用いた脱臭フィルター)をアセトアルデヒド吸着に用いる場合の特性評価には、アセトアルデヒド除去率を測定することにより行う。本発明のアルデヒド吸着剤は、特定のヒドロキシアミン化合物と他のアミン化合物とを併用して多孔質担体に添着しているため、このようなアルデヒド吸着剤を用いた脱臭フィルターは、アセトアルデヒド吸着に用いた場合、特に他の多孔質担体(活性炭等)とブレンドする用途において、従来のアルデヒド吸着剤よりもアセトアルデヒド除去率及びアセトアルデヒド除去速度を向上させることができる。
【0030】
一方、本発明のアルデヒド吸着剤(又はアルデヒド吸着剤を用いた脱臭フィルター)をホルムアルデヒド吸着に用いる場合の特性評価には、中国GB規格(GB/T 18801−2015)に基づく評価試験を採用し、試験室の大きさを1m3とした簡易試験により、脱臭フィルターの初期クリーンエア供給率(初期CADR)、ホルムアルデヒド負荷後のクリーンエア供給率(CADR)及びクリーンエア供給率維持率(CADR維持率)を測定することにより行う。
【0031】
具体的には、所望の吸着剤を備えた脱臭フィルターを搭載した空清ファンをセットし、ホルムアルデヒドの気中濃度を1ppmとなるように試験室に封入し、空清ファンを対象となる空気清浄機と同じ線速(LV)で稼働させ、5分間隔でホルムアルデヒド気中濃度を60分間測定し、経過時間とホルムアルデヒド気中濃度の関係から、初期クリーンエア供給率(初期CADR)を測定する(処理1)。
【0032】
次に、所望の吸着剤を備えた脱臭フィルターを搭載した空清ファンをセットし、揮散用ファン上の濾紙又はキムワイプ(登録商標)にホルムアルデヒド溶液を、ホルムアルデヒドの質量が50mgとなるように含浸させ、空清ファン及び揮散ファンを稼働させ、ホルムアルデヒド気中濃度が0.2ppmとなるまで放置する(処理2)。
【0033】
最後に、処理2を施した脱臭フィルターを用いること以外は処理1と同様の操作をし、ホルムアルデヒド50mg/枚負荷後のクリーンエア供給率(CADR)を測定する(処理3)。
【0034】
上記の処理1〜3で得られた初期クリーンエア供給率(初期CADR)とホルムアルデヒド50 mg/枚負荷後のクリーンエア供給率(CADR)との関係から、クリーンエア供給率維持率(CADR維持率)を測定する。このようにして得た初期クリーンエア供給率(初期CADR)が高いか否か、ホルムアルデヒド50mg/枚負荷後のクリーンエア供給率(CADR)が高いか否か、クリーンエア供給率維持率(CADR維持率)が高いか否かによって脱臭性能を判断する。
【0035】
本発明のアルデヒド吸着剤は、特定のヒドロキシアミン化合物と他のアミン化合物とを併用して多孔質担体に添着したアミン担持多孔質担体を含有するため、このようなアルデヒド吸着剤を用いた脱臭フィルターは、ホルムアルデヒド吸着に用いた場合、上記簡易試験において、初期クリーンエア供給率(初期CADR)が高く(90m3/h以上、特に100m3/h以上、さらに110m3/h以上)、ホルムアルデヒド50mg/枚負荷後のクリーンエア供給率(CADR)が高く(60m3/h以上、特に70m3/h以上、さらに80m3/h以上)、クリーンエア供給率維持率(CADR維持率)が高い(50%以上、特に70%以上、さらに80%以上)。
【0036】
このように、本発明のアルデヒド吸着剤を用いた脱臭フィルターは、ホルムアルデヒド吸着に用いた場合、ホルムアルデヒド負荷後のクリーンエア供給率(CADR)が高いため、繰り返し使用に耐えることができる材料であり、ホルムアルデヒドに対する吸着性能の低下が抑制される。
【0037】
なお、本発明のアルデヒド吸着剤の形状及び平均粒子径については、後述する活性炭の形状及び平均粒子径と、それぞれ同等である。
【0038】
以下、本発明のアルデヒド吸着剤の各成分について説明する。
【0039】
(1−1)多孔質担体
本発明のホルムアルデヒド吸着剤は、多孔質担体を含む。この多孔質担体は、後述のヒドロキシアミン化合物及びアミン化合物を添着させる担体である。
【0040】
多孔質担体としては、特に限定されず、担体として一般に公知の担体を広く使用することができる。例えば、活性炭、活性白土、ゼオライト、シリカ、アルミナ(活性アルミナを含む)、セラミック、粘土鉱物、炭酸カルシウム等が挙げられる。好ましい多孔質担体は、活性炭である。多孔質担体として活性炭が好ましい理由は、活性炭は、ゼオライト、アルミナ等の無機系多孔質担体とは違って雑然とした細孔構造を有しているので、ホルムアルデヒドのように、他の無機系多孔質担体では吸着しにくい臭気物質であっても吸着し得るサイトを備えている。また、活性炭は、自由に動く陽イオンを有していないので、添着成分であるヒドロキシアミン化合物及びアミン化合物との陽イオン交換(塩基交換)が発生する虞もない。
【0041】
活性炭としては、種々の活性炭を使用することができる。例えば、木材、木粉、ヤシ殻、パルプ製造時の副産物、バガス、廃糖蜜、石炭(泥炭、亜炭、褐炭、瀝青炭等)、無煙炭、石油蒸留残渣成分、石油ピッチ、コークス、コールタール等の植物系原料又は化石系原料;フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、レゾルシノール樹脂、セルロイド、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂等の各種合成樹脂;ポリブチレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン等の合成ゴム;その他合成木材;合成パルプ等を原料とする活性炭等が挙げられる。これらのなかでは、アルデヒド化合物(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等)を気相吸着しやすいという観点から、石炭又はヤシ殻がより好ましい。これらの活性炭は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
【0042】
活性炭は、これらの原料を必要に応じて炭化又は不融化した後、賦活処理することにより得ることができる。炭化方法、不融化方法、賦活方法は、特には限定されず、慣用の方法が利用できる。例えば、賦活は、炭素原料(又はその炭化物若しくは不融化物)を賦活ガス(水蒸気、二酸化炭素等)中、500〜1000℃程度で熱処理するガス賦活法、炭素原料(又はその炭化物若しくは不融化物)を賦活剤(リン酸、塩化亜鉛、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等)と混合し、300〜800℃程度で熱処理する化学的賦活法等により行うことができる。
【0043】
活性炭(「ヒドロキシアミン化合物及びアミン化合物を添着させる前の活性炭」又は「元炭」ともいう)は、市販品を使用することもできる。
【0044】
また、多孔質担体として活性炭を用いる場合、活性炭は、ヒドロキシアミン化合物及びアミン化合物を添着させる前に熱処理を行うこともできる。熱処理の条件は、常法に従って行うことができる。活性炭に対して熱処理を行う場合、活性炭表面に存在する表面酸化物、表面官能基、希塩酸、アルカリ水溶液等を好適に除去できるので、アルデヒド化合物(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等)の吸着性能をより向上させることができる。
【0045】
多孔質担体の形状としては、例えば、粒状、ペレット状、繊維状、ハニカム状等から適宜採用することができる。ただし、粉末状多孔質担体(特に粉末状活性炭)には、ヒドロキシアミン化合物及びアミン化合物を担持させることが困難であり、またフィルター化した際には粉末が漏れない構造とするためには気相利用が困難な高圧力損失構造となるため、上記の形状が好ましい。
【0046】
多孔質担体の比表面積は、600〜2200m2/gが好ましく、900〜2000m2/gがより好ましい。BET比表面積をこの範囲とすることにより、アルデヒド吸着性能と硬さをよりバランスすることができる。多孔質担体の比表面積は、BET法により測定する。
【0047】
多孔質担体の細孔容積は、0.30〜1.40cc/gが好ましく、0.32〜1.25cc/gがより好ましい。多孔質担体の細孔容積をこの範囲とすることにより、アルデヒド吸着性能をより向上させるとともに、強度をより向上させて割れにくくすることができる。多孔質担体の細孔容積は、窒素吸着法により測定する。
【0048】
(1−2)ヒドロキシアミン化合物
本発明のアルデヒド吸着剤は、ヒドロキシアミン化合物が多孔質担体に添着しているアミン担持多孔質担体を含有する。
【0049】
本発明で使用されるヒドロキシアミン化合物は、一般式(1):
【0050】
【化3】
【0051】
[式中、R1は水素原子、アルキル基又はヒドロキシアルキル基を示す。R2は水素原子、アルキル基又はヒドロキシアルキル基を示す。R3及びR4は同一又は異なって、アルカンジイル基を示す。]
で表される化合物である。
【0052】
このヒドロキシアミン化合物は、他のアミン化合物と比較すると、ホルムアルデヒド50mg/枚負荷後のクリーンエア供給率(CADR)が高く、クリーンエア供給率維持率(CADR維持率)が高い材料であるが、後述のアミン化合物と併用することで、ヒドロキシアミン化合物単独及びアミン化合物単独のいずれの場合よりもホルムアルデヒド50mg/枚負荷後のクリーンエア供給率及びクリーンエア供給率維持率(CADR維持率)を向上させることができる。また、後述のアミン化合物として使用する化合物によっては、アミン化合物と併用することで、ヒドロキシアミン化合物単独及びアミン化合物単独のいずれの場合よりも初期クリーンエア供給率(初期CADR)を向上させることができることもある。さらに、他の機能性を付与する場合等、他の多孔質材料(活性炭等)とブレンドする用途においては、このヒドロキシアミン化合物を添着したアミン担持多孔質担体を使用した場合には、アセトアルデヒド吸着性能及びアセトアルデヒド吸着速度を向上させることができる。
【0053】
一般式(1)において、R1で示されるアルキル基としては、直鎖アルキル基及び分岐鎖アルキル基のいずれも採用でき、炭素数は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
【0054】
一般式(1)において、R1で示されるヒドロキシアルキル基としては、直鎖ヒドロキシアルキル基及び分岐鎖ヒドロキシアルキル基のいずれも採用でき、炭素数は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
【0055】
一般式(1)のR1としては、アルデヒド吸着性能の観点から、水素原子又は炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基がより好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基等がより好ましい。
【0056】
一般式(1)において、R2で示されるアルキル基及びヒドロキシアルキル基としては、上記したものが挙げられる。一般式(1)のR2としては、アルデヒド吸着性能の観点から、水素原子又は炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0057】
一般式(1)において、R3及びR4で示されるアルカンジイル基としては、直鎖アルカンジイル基及び分岐鎖アルカンジイル基のいずれも採用でき、炭素数は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、テトラメチレン基等が挙げられる。なかでも、アルデヒド吸着性能の観点から、メチレン基、エチレン基等が好ましく、メチレン基がより好ましい。
【0058】
上記のような条件を満たす一般式(1)で表されるヒドロキシアミン化合物としては、例えば、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン; Tris)、2−アミノ−2−ヒドロキシエチル−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−4−ヒドロキシプロピル−1,7−ヘプタンジオール、2−(N−エチル)アミノ−1,3−プロパンジオール、2−(N−エチル)アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2−(N−デシル)アミノ−1,3−プロパンジオール、2−(N−デシル)アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。なかでも、アルデヒド吸着性能の観点から、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン; Tris)、2−アミノ−2−ヒドロキシエチル−1,3−プロパンジオール等が好ましい。これらヒドロキシアミン化合物は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。また、ヒドロキシアミン化合物は、公知又は市販品を用いることができる。
【0059】
ヒドロキシアミン化合物の添着量は、活性炭100質量部(乾燥品基準)に対して1〜40質量部が好ましく、5〜30質量部がより好ましい。ヒドロキシアミン化合物の添着量が上記範囲内であることによって、ヒドロキシアミン化合物が活性炭の孔を埋めにくく、アルデヒド化合物(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等)が吸着剤中の反応サイトに到達しやすいために、より効率的にアルデヒド化合物(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等)を吸着することができる。なお、ヒドロキシアミン化合物の添着量を増やし過ぎても、吸着剤中の反応サイトがヒドロキシアミン化合物で覆われるせいか、吸着性能(特に初期CADR)の飛躍的な改善効果は見込めないため、経済的な観点から添着量を設定することが好ましい。
【0060】
(1−3)アミン化合物
本発明の吸着剤は、上記ヒドロキシアミン化合物以外に、アミン化合物が活性炭に添着しているアミン担持多孔質担体を含有する。このアミン化合物は、上記ヒドロキシアミン化合物以外のアミン化合物である。
【0061】
このようなアミン化合物としては、アルデヒド化合物(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等)の吸着に有効な化合物を採用することができ、例えば、アルカノールアミン化合物、複素環式アミン化合物、ヒドラジン化合物、アミノ酸等が挙げられる。
【0062】
アルカノールアミン化合物としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、メタノールアミン、N-メチルエタノールアミン等が挙げられる。
【0063】
複素環式アミン化合物としては、例えば、ピロリジン、1−メチルピロリジン、2−メチルピロリジン、2−ブチルピロリジン、2−ピロリジルメタノール、2−(2−アミノエチル)ピロリジン等のピロリジン化合物;ピペリジン、1−メチルピペリジン、2−エチルピペリジン、3−プロピルピペリジン、4−エチルピペリジン、2−ピペリジルメタノール、3−ピペリジルエタノール等のピペリジン化合物;ピペラジン、2−メチルピペラジン等のピペラジン化合物;モルホリン、N−メチルモルホリン等のモルホリン化合物;イミダゾール、1−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物;ピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン等のピリジン化合物;ヘキサメチレンテトラミン等が挙げられる。
【0064】
ヒドラジン化合物としては、例えば、カルボジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等が挙げられる。
【0065】
アミノ酸としては、例えば、グリシン、リジン、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン等が挙げられる。これらのアミノ酸は、塩酸塩、硫酸塩等の塩を使用することもできる。
【0066】
このアミン化合物は、上記ヒドロキシアミン化合物と比較すると、ホルムアルデヒド50mg/枚負荷後のクリーンエア供給率(CADR)が低く、クリーンエア供給率維持率(CADR維持率)が低い材料であるが、上記ヒドロキシアミン化合物と併用することで、ヒドロキシアミン化合物単独及びアミン化合物単独のいずれの場合よりもホルムアルデヒド50mg/枚負荷後のクリーンエア供給率及びクリーンエア供給率維持率(CADR維持率)を向上させることができる。また、アミン化合物としてアルカノールアミン化合物、ピペラジン化合物、イミダゾール化合物、ヒドラジン化合物、アミノ酸等を使用する場合には、上記ヒドロキシアミン化合物と併用することで、ヒドロキシアミン化合物単独及びアミン化合物単独のいずれの場合よりも初期クリーンエア供給率(初期CADR)を向上させることができる。
【0067】
また、このアミン化合物は、上記ヒドロキシアミン化合物と比較すると、アセトアルデヒド吸着性能が低い材料であるが、特に他の多孔質材料(活性炭等)とブレンドする用途においては、多孔質担体に担持させる材料として上記ヒドロキシアミン化合物とアミン化合物とを併用することでアセトアルデヒド吸着性能及びアセトアルデヒド吸着速度をさらに向上させることができる。
【0068】
このように、上記ヒドロキシアミン化合物との併用による相乗効果が得られやすい観点から、アルカノールアミン化合物、ピロリジン化合物、ピペリジン化合物、ピペラジン化合物、モルホリン化合物、イミダゾール化合物、ピリジン化合物、ヘキサメチレンテトラミン、ヒドラジン化合物、アミノ酸等が好ましく、アルカノールアミン化合物、ピペラジン化合物、イミダゾール化合物、ヒドラジン化合物、アミノ酸等がより好ましく、ジエタノールアミン、ピペラジン、イミダゾール、アジピン酸ジヒドラジド、グリシン、リジン等がより好ましい。
【0069】
アミン化合物の添着量は、多孔質担体100質量部(乾燥品基準)に対して0.2〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。アミン化合物の添着量が上記範囲内であることによって、アミン化合物が活性炭の孔を埋めにくく、アルデヒド化合物(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等)が吸着剤中の反応サイトに到達しやすいために、より効率的にアルデヒド化合物(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等)を吸着することができるとともに、ヒドロキシアミン化合物との相乗効果によりホルムアルデヒド50mg/枚負荷後のクリーンエア供給率及びクリーンエア供給率維持率(CADR維持率)をより向上させることができる。
【0070】
(1−4)アルデヒド吸着剤
本発明のアルデヒド吸着剤は、アミン担持多孔質担体を含有する。このアミン担持多孔質担体には、薬品(化学物質)として、上記ヒドロキシアミン化合物及びアミン化合物のみが添着されていることが好ましい。言い換えれば、アミン担持多孔質担体は、多孔質担体とヒドロキシアミン化合物及びアミン化合物との間に介在する成分は存在せず、多孔質担体とヒドロキシアミン化合物及びアミン化合物とが直接接するように添着(担持)されていることが好ましい。添着成分として、ヒドロキシアミン化合物及びアミン化合物に加えて、さらに、ハロゲン化アルカリ金属塩(ヨウ化カリウム等)、ハロゲン化アルカリ土類金属塩、酸(リン酸等)、界面活性剤等を使用すると、前記各成分が多孔質担体から脱離しにくく残留蓄積してしまい、アセトアルデヒド吸着性能や、ホルムアルデヒド負荷後のクリーンエア供給率(CADR)及びクリーンエア供給率維持率(CADR維持率)を高くしにくい。このため、本発明では、アミン担持多孔質担体には、薬品として、ヒドロキシアミン化合物及びアミン化合物以外の成分を含有しないことが好ましい。
【0071】
なお、本発明のアルデヒド吸着剤には、アルデヒド吸着性能以外の機能性を付与することを目的として、前記アミン担持多孔質担体以外の多孔質材料を含有することもできる。このような多孔質材料としては、上記多孔質担体として説明したものを挙げることができ、なかでも活性炭が好ましい。このように、アミン担持多孔質担体と他の多孔質材料とを併用する用途において、前記ヒドロキシアミン化合物及び前記アミン化合物を担持したアミン担持多孔質担体を使用することにより、アセトアルデヒド吸着性能及びアセトアルデヒド吸着速度をさらに向上させることもできる。
【0072】
この場合、前記アミン担持多孔質担体と、他の多孔質材料との含有割合は特に制限されない。他の多孔質材料の含有割合が多いほうが、従来のアルデヒド吸着剤との効果の違いが出やすい観点から、前記アミン担持多孔質担体と他の多孔質材料との合計量を100質量%として、前記アミン担持多孔質担体を10〜90質量%(特に20〜80質量%)含むことが好ましく、他の多孔質材料を10〜90質量%(特に20〜80質量%)含むことが好ましい。
【0073】
2.アルデヒド吸着剤の製造方法
本発明のアルデヒド吸着剤の製造方法(ヒドロキシアミン化合物及びアミン化合物の添着方法ともいう)は、前記ヒドロキシアミン化合物及びアミン化合物が前記多孔質担体に添着しているアミン担持多孔質担体を含有するアルデヒド吸着剤の製造方法であって、
前記ヒドロキシアミン化合物及びアミン化合物を含む液を前記多孔質担体に接触させる工程を含む方法が好ましい。当該方法によれば、アセトアルデヒド吸着性能及びアセトアルデヒド吸着速度を向上したアセトアルデヒド吸着剤を得ることもできるし、当該アルデヒド吸着剤を脱臭フィルターに用いることで、上記簡易試験において、初期クリーンエア供給率(初期CADR)が高く(90m3/h以上、特に100m3/h以上、さらに110m3/h以上)、ホルムアルデヒド50mg/枚負荷後のクリーンエア供給率(CADR)が高く(60m3/h以上、特に70m3/h以上、さらに80m3/h以上)、クリーンエア供給率維持率(CADR維持率)が高い(50%以上、特に70%以上、さらに80%以上)ホルムアルデヒド吸着剤を得ることもできる。
【0074】
また、このようにして得られるアルデヒド吸着剤(特にホルムアルデヒド吸着剤)を用いた脱臭フィルターは、ホルムアルデヒド負荷後のクリーンエア供給率(CADR)が高いため、繰り返し使用に耐えることができる材料であり、ホルムアルデヒドに対する吸着性能の低下が抑制される。
【0075】
多孔質担体に、ヒドロキシアミン化合物及びアミン化合物を含む液(好ましくは、ヒドロキシアミン化合物及びアミン化合物が溶媒に溶解している溶液)を接触させる方法としては、
(a) 前記ヒドロキシアミン化合物及びアミン化合物を含む液を活性炭に噴霧及び/又は散布する方法、
(b) 前記ヒドロキシアミン化合物及びアミン化合物を含む液中に、多孔質担体を浸漬する方法、
等が挙げられる。なお、上記の方法により、前記ヒドロキシアミン化合物及びアミン化合物を同時に多孔質担体に添着してもよいし、前記ヒドロキシアミン化合物又はアミン化合物を多孔質担体に添着した後に他方を添着してもよい。これらの方法により、多孔質担体全体に偏りなくヒドロキシアミン化合物及びアミン化合物を添着させることができる。また、使用するヒドロキシアミン化合物及びアミン化合物を含む液の温度は15〜30℃が好ましく、添着時間は1時間以内が好ましい。
【0076】
前記(a)〜(b)の方法において、ヒドロキシアミン化合物及びアミン化合物を含む液を構成する溶媒(以下、単に「溶媒」ともいう)は、ヒドロキシアミン化合物及びアミン化合物を溶解する溶媒が好ましい。ヒドロキシアミン化合物及びアミン化合物を溶解する溶媒としては、例えば水等が挙げられる。
【0077】
ヒドロキシアミン化合物の使用量は、ヒドロキシアミン化合物の添着量が多孔質担体100質量部(乾燥品基準)に対して1〜40質量部、特に5〜30質量部となるように設定することが好ましい。また、アミン化合物の使用量は、アミン化合物の添着量が多孔質担体100質量部(乾燥品基準)に対して0.2〜20質量部、特に1〜10質量部となるように設定することが好ましい。例えば、上述の(a)の方法でヒドロキシアミン化合物及びアミン化合物が添着された多孔質担体を製造する場合、1〜40質量部のヒドロキシアミン化合物及び0.2〜20質量部のアミン化合物を含む液を、100質量部の乾燥多孔質担体に噴霧及び/又は散布することにより、ヒドロキシアミン化合物の添着量が活性炭100質量部(乾燥品基準)に対して1〜40質量部であり、アミン化合物の添着量が多孔質担体100質量部(乾燥品基準)に対して0.2〜20質量部であるアルデヒド吸着剤が得られる。
【0078】
なお、前記ヒドロキシアミン化合物及びアミン化合物を添着させる前に、前記多孔質担体を改質(熱処理)してもよい。前記改質における熱処理の各条件(温度、時間、雰囲気、装置等)については、常法にしたがって行うことができる。
【0079】
3.アルデヒド吸着剤を使用したアルデヒド化合物の吸着方法
本発明の吸着方法は、本発明のアルデヒド吸着剤とアルデヒド化合物とを接触させることを特徴とする。上記吸着方法によれば、本発明のアルデヒド吸着剤がアルデヒド化合物を効率よく吸着するので、アルデヒド化合物を効率的に除去することができる。
【0080】
本発明のアルデヒド吸着剤を用いたアルデヒド化合物を吸着するメカニズムは、本発明のアルデヒド吸着剤中のヒドロキシアミン化合物及びアミン化合物が有するアミノ基又はその誘導体基とアルデヒド化合物とが化学反応し、当該生成物をアルデヒド吸着剤が吸着するものと考えられる。
【0081】
4.工業製品への適用
本発明のアルデヒド吸着剤は、工業製品に配合して使用することができる。当該工業製品は、本発明を包含する。
【0082】
工業製品とは、従来より広く知られている工業製品及び工業原料を指す。具体的には、塗料、接着剤、インキ、シーリング剤、紙製品、バインダー、樹脂エマルション、パルプ、木質材料、木質製品、プラスチック製品、フィルム、壁紙、建材(石膏ボード、内装材、天井材、床材等)、繊維製品、フィルター(特に脱臭フィルター等)等が挙げられる。また、これらの複合材料も工業製品に含まれる。複合材料としては、例えば、木材とプラスチックとの複合材料等が挙げられる。本発明の吸着方法では、本発明のアルデヒド吸着剤が配合された上述の工業製品を、アルデヒド化合物と接触させることによって、吸着剤とアルデヒド化合物とが接触し、その結果アルデヒド化合物を効率よく吸着除去することができる。
【0083】
工業製品としてフィルター(特に脱臭フィルター)を採用する場合、その構造としては、従来から知られている公知の構造を採用することができる。
【実施例】
【0084】
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例の態様に限定されない。なお、ホルムアルデヒド評価用の脱臭フィルターとしては、図1に示されるような脱臭フィルターを用い、アセトアルデヒド評価用の脱臭フィルターとしては、図2に示されるような脱臭フィルターを用いた。
【0085】
比較例1
トリスヒドロキシメチルアミノメタン(Tris; 和光純薬工業(株)製)4質量部を、水25質量部に溶解して、添着溶液(液温常温)を調製した。次に、粒径が2 mmの石炭ペレット活性炭(ペレット状活性炭; 比表面積1100 m2/g; 大阪ガスケミカル(株)製)100質量部が入った小型糖衣機を回転させながら、上記添着溶液を上記石炭ペレット活性炭に対して均一に噴霧することにより(添着時間: 30分)、トリスヒドロキシメチルアミノメタン(のみ)が石炭ペレット活性炭に添着している吸着剤を得た。
【0086】
得られた吸着剤を用いて、底面部はPET製ネットとしたアクリル製トレイ(トイレ内サイズ縦58mm×横58mm×高さ14mm)に吸着剤を充填することにより、図1に示されるようなホルムアルデヒド評価用の比較例1の脱臭フィルターを得た。
【0087】
<比較例1における添着成分及び添着量>
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して4質量部。
【0088】
比較例2
トリスヒドロキシメチルアミノメタンの添着量を8質量部とすること以外は比較例1と同様に、脱臭フィルターを得た。
【0089】
<比較例2における添着成分及び添着量>
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して8質量部。
【0090】
比較例3
トリスヒドロキシメチルアミノメタンの添着量を9質量部とすること以外は比較例1と同様に、脱臭フィルターを得た。
【0091】
<比較例3における添着成分及び添着量>
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して9質量部。
【0092】
比較例4
トリスヒドロキシメチルアミノメタンの添着量を10質量部とすること以外は比較例1と同様に、脱臭フィルターを得た。
【0093】
<比較例4における添着成分及び添着量>
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して10質量部。
【0094】
比較例5
トリスヒドロキシメチルアミノメタンの添着量を11質量部とすること以外は比較例1と同様に、脱臭フィルターを得た。
【0095】
<比較例5における添着成分及び添着量>
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して11質量部。
【0096】
比較例6
トリスヒドロキシメチルアミノメタンの添着量を12質量部とすること以外は比較例1と同様に、脱臭フィルターを得た。
【0097】
<比較例6における添着成分及び添着量>
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して12質量部。
【0098】
試験例1:初期クリーンエア供給率(初期CADR)測定(その1)
比較例1〜6の脱臭フィルターを搭載した空清ファンをセットし、ホルムアルデヒドの気中濃度を1ppmとなるように試験室(1m3)に封入し、空清ファンを対象となる空気清浄機と同じ線速(LV)である1.0m/sで稼働させ、ホルムアルデヒドメーターhtvを用いて、5分間隔でホルムアルデヒド気中濃度を60分間測定し、経過時間とホルムアルデヒド気中濃度の関係から、初期クリーンエア供給率(初期CADR)を測定した。結果を表1及び図3に示す。表1及び図3に示されるように、トリスヒドロキシメチルアミノメタンを増量しても、初期CADRは若干向上させることができるものの、劇的に向上させることはできなかった。
【0099】
【表1】
【0100】
実施例1
トリスヒドロキシメチルアミノメタン(Tris; 和光純薬工業(株)製)10質量部及びイミダゾール(四国化成工業(株)製)2質量部を、水25質量部に溶解して、添着溶液(液温常温)を調製した。次に、粒径が2mmの石炭ペレット活性炭(ペレット状活性炭; 比表面積1100 m2/g; 大阪ガスケミカル(株)製)100質量部が入った小型糖衣機を回転させながら、上記添着溶液を上記石炭ペレット活性炭に対して均一に噴霧することにより(添着時間: 30分)、トリスヒドロキシメチルアミノメタン及びイミダゾール(のみ)が石炭ペレット活性炭に添着している吸着剤を得た。得られた吸着剤を用いて、比較例1と同様に、実施例1の脱臭フィルターを得た。
【0101】
<実施例1における添着成分及び添着量>
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して10質量部、イミダゾール添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して2質量部。
【0102】
実施例2
イミダゾールの使用量を10質量部としたこと以外は実施例1と同様に、吸着剤及び脱臭フィルターを製造した。
【0103】
<実施例2における添着成分及び添着量>
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して10質量部、イミダゾール添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して10質量部。
【0104】
比較例7
トリスヒドロキシメチルアミノメタンを使用せず、イミダゾールの添着量を10質量部とすること以外は実施例1と同様に、吸着剤及び脱臭フィルターを製造した。
【0105】
<比較例7における添着成分及び添着量>
・イミダゾール添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して10質量部。
【0106】
実施例3
イミダゾールの代わりにモルホリン(和光純薬工業(株)製)4質量部を活性炭に添着させたこと以外は実施例1と同様に、吸着剤及び脱臭フィルターを製造した。
【0107】
<実施例3における添着成分及び添着量>
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して10質量部、モルホリン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して4質量部。
【0108】
実施例4
モルホリンの使用量を8質量部としたこと以外は実施例3と同様に、吸着剤及び脱臭フィルターを製造した。
【0109】
<実施例4における添着成分及び添着量>
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して10質量部、モルホリン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して8質量部。
【0110】
実施例5
モルホリンの使用量を10質量部としたこと以外は実施例3と同様に、吸着剤及び脱臭フィルターを製造した。
【0111】
<実施例5における添着成分及び添着量>
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して10質量部、モルホリン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して10質量部。
【0112】
比較例8
トリスヒドロキシメチルアミノメタンを使用せず、モルホリンの添着量を10質量部とすること以外は実施例3と同様に、吸着剤及び脱臭フィルターを製造した。
【0113】
<比較例8における添着成分及び添着量>
・モルホリン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して10質量部。
【0114】
実施例6
イミダゾールの代わりにピペラジン(和光純薬工業(株)製)2質量部を活性炭に添着させたこと以外は実施例1と同様に、吸着剤及び脱臭フィルターを製造した。
【0115】
<実施例6における添着成分及び添着量>
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して10質量部、ピペラジンン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して2質量部。
【0116】
比較例9
トリスヒドロキシメチルアミノメタンを使用せず、ピペラジンの添着量を10質量部とすること以外は実施例6と同様に、吸着剤及び脱臭フィルターを製造した。
【0117】
<比較例9における添着成分及び添着量>
・ピペラジン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して10質量部。
【0118】
実施例7
イミダゾールの代わりにジエタノールアミン(東京化成工業(株)製)4質量部を活性炭に添着させたこと以外は実施例1と同様に、吸着剤及び脱臭フィルターを製造した。
【0119】
<実施例7における添着成分及び添着量>
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して10質量部、ジエタノールアミン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して4質量部。
【0120】
実施例8
イミダゾールの使用量を6質量部としたこと以外は実施例7と同様に、吸着剤及び脱臭フィルターを製造した。
【0121】
<実施例8における添着成分及び添着量>
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して10質量部、ジエタノールアミン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して6質量部。
【0122】
実施例9
イミダゾールの使用量を10質量部としたこと以外は実施例7と同様に、吸着剤及び脱臭フィルターを製造した。
【0123】
<実施例9における添着成分及び添着量>
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して10質量部、ジエタノールアミン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して10質量部。
【0124】
実施例10
イミダゾールの代わりにアジピン酸ジヒドラジド(東京化成工業(株)製)2質量部を活性炭に添着させたこと以外は実施例1と同様に、吸着剤及び脱臭フィルターを製造した。
【0125】
<実施例10における添着成分及び添着量>
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して10質量部、アジピン酸ジヒドラジド添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して2質量部。
【0126】
実施例11
イミダゾールの代わりにグリシン(有機合成薬品工業(株)製)2質量部を活性炭に添着させたこと以外は実施例1と同様に、吸着剤及び脱臭フィルターを製造した。
【0127】
<実施例11における添着成分及び添着量>
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して10質量部、グリシン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して2質量部。
【0128】
実施例12
イミダゾールの使用量を4質量部としたこと以外は実施例11と同様に、吸着剤及び脱臭フィルターを製造した。
【0129】
<実施例12における添着成分及び添着量>
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して10質量部、グリシン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して4質量部。
【0130】
比較例10
トリスヒドロキシメチルアミノメタンを使用せず、グリシンの添着量を4質量部とすること以外は実施例11と同様に、吸着剤及び脱臭フィルターを製造した。
【0131】
<比較例10における添着成分及び添着量>
・グリシン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して4質量部。
【0132】
実施例13
イミダゾールの代わりにリジン塩酸塩(リジンHCl; 味の素ヘルシーサプライ(株)製)2質量部を活性炭に添着させたこと以外は実施例1と同様に、吸着剤及び脱臭フィルターを製造した。
【0133】
<実施例13における添着成分及び添着量>
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して10質量部、リジンHCl添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して2質量部。
【0134】
試験例2:初期クリーンエア供給率(初期CADR)測定(その2)
実施例1〜13、並びに比較例4及び6〜10の脱臭フィルターを搭載した空清ファンをセットし、ホルムアルデヒドの気中濃度を1ppmとなるように試験室(1m3)に封入し、空清ファンを対象となる空気清浄機と同じ線速(LV)である1.0m/sで稼働させ、ホルムアルデヒドメーターhtvを用いて、5分間隔でホルムアルデヒド気中濃度を60分間測定し、経過時間とホルムアルデヒド気中濃度の関係から、初期クリーンエア供給率(初期CADR)を測定した。結果を表2〜3に示す。
【0135】
試験例3:ホルムアルデヒド負荷後のクリーンエア供給率(CADR)測定
実施例1〜5、並びに比較例4及び6〜10の脱臭フィルターを搭載した空清ファンをセットし、揮散用ファン上の濾紙又はキムワイプ(登録商標)にホルムアルデヒド溶液を、ホルムアルデヒド質量が50mgとなる(中国GB規格(GB/T18801−2015)に相当)ように含浸させ、空清ファン及び揮散ファンを稼働させ、ホルムアルデヒド気中濃度が0.2ppmとなるまで放置した。
【0136】
さらに、上記の処理を施した脱臭フィルターを搭載した空清ファンをセットし、ホルムアルデヒドの気中濃度を1ppmとなるように試験室(1m3)に封入し、空清ファンを対象となる空気清浄機と同じ線速(LV)である1.0m/sで稼働させ、ホルムアルデヒドメーターhtvを用いて、5分間隔でホルムアルデヒド気中濃度を60分間測定し、経過時間とホルムアルデヒド気中濃度の関係から、ホルムアルデヒド50mg/枚負荷後のクリーンエア供給率(CADR)を測定した。また、試験例2で得た初期クリーンエア供給率(初期CADR)と、試験例3で得たホルムアルデヒド50mg/枚負荷後のクリーンエア供給率(CADR)との関係から、クリーンエア供給率維持率(CADR維持率)を算出した。結果を表2〜3に示す。表2〜3に示されるように、トリスヒドロキシメチルアミノメタンを増量しても、初期CADRは若干向上させることができるものの、劇的に向上させることはできなかったものの、トリスヒドロキシメチルアミノメタンと所望のアミン化合物とを併用した場合には、初期クリーンエア供給率(初期CADR)が相乗的に向上するのみならず、ホルムアルデヒド50 mg/枚負荷後のクリーンエア供給率(CADR)及びクリーンエア供給率維持率(CADR維持率)も劇的に向上した。
【0137】
【表2】
【0138】
【表3】
【0139】
比較例11
比較例4の吸着剤を、比較例11のアセトアルデヒド吸着剤とした(サンプル名T10B)。
【0140】
<比較例11における添着成分及、添着量及び含有量>
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して10質量部、アミン担持活性炭100質量%含有。
【0141】
比較例12
比較例4の吸着剤70質量%と、ヤシガラ破砕炭42/80(大阪ガスケミカル(株)製)30質量%とを、ポリ袋に入れ、5分程度、ポリ袋を手で振ることにより混合し、比較例12のアセトアルデヒド吸着剤を得た(サンプル名T7B)。
【0142】
<比較例12における添着成分及、添着量及び含有量>
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して10質量部、アミン担持活性炭70質量%及び活性炭30質量%含有。
【0143】
比較例13
比較例4の吸着剤50質量%と、ヤシガラ破砕炭42/80(大阪ガスケミカル(株)製)50質量%とを、ポリ袋に入れ、5分程度、ポリ袋を手で振ることにより混合し、比較例13のアセトアルデヒド吸着剤を得た(サンプル名T5B)。
【0144】
<比較例13における添着成分及、添着量及び含有量>
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して10質量部、アミン担持活性炭50質量%及び活性炭50質量%含有。
【0145】
比較例14
比較例4の吸着剤30質量%と、ヤシガラ破砕炭42/80(大阪ガスケミカル(株)製)70質量%とを、ポリ袋に入れ、5分程度、ポリ袋を手で振ることにより混合し、比較例14のアセトアルデヒド吸着剤を得た(サンプル名T7B)。
【0146】
<比較例14における添着成分及、添着量及び含有量>
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して10質量部、アミン担持活性炭30質量%及び活性炭70質量%含有。
【0147】
実施例14
実施例7の吸着剤を、実施例14のアセトアルデヒド吸着剤とした(サンプル名TD10B)。
【0148】
<実施例14における添着成分及、添着量及び含有量>
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して10質量部、ジエタノールアミン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して4質量部、アミン担持活性炭100質量%含有。
【0149】
実施例15
実施例7の吸着剤70質量%と、ヤシガラ破砕炭42/80(大阪ガスケミカル(株)製)30質量%とを、ポリ袋に入れ、5分程度、ポリ袋を手で振ることにより混合し、実施例15のアセトアルデヒド吸着剤を得た(サンプル名TD7B)。
【0150】
<実施例15における添着成分及、添着量及び含有量>
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して10質量部、ジエタノールアミン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して4質量部、アミン担持活性炭70質量%及び活性炭30質量%含有。
【0151】
実施例16
実施例7の吸着剤50質量%と、ヤシガラ破砕炭42/80(大阪ガスケミカル(株)製)50質量%とを、ポリ袋に入れ、5分程度、ポリ袋を手で振ることにより混合し、実施例16のアセトアルデヒド吸着剤を得た(サンプル名TD5B)。
【0152】
<実施例16における添着成分及、添着量及び含有量>
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して10質量部、ジエタノールアミン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して4質量部、アミン担持活性炭50質量%及び活性炭50質量%含有。
【0153】
実施例17
実施例7の吸着剤30質量%と、ヤシガラ破砕炭42/80(大阪ガスケミカル(株)製)70質量%とを、ポリ袋に入れ、5分程度、ポリ袋を手で振ることにより混合し、実施例17のアセトアルデヒド吸着剤を得た(サンプル名TD3B)。
【0154】
<実施例17における添着成分及、添着量及び含有量>
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して10質量部、ジエタノールアミン添着量: 石炭ペレット活性炭100質量部に対して4質量部、アミン担持活性炭30質量%及び活性炭70質量%含有。
【0155】
試験例4:アセトアルデヒド吸着測定
実施例14〜17及び比較例11〜14のアセトアルデヒド吸着材を搭載した空清ファンをセットし、アセトアルデヒドの気中濃度を15〜20ppmとなるように試験室(1m3)に封入し、空清ファンを対象となる空気清浄機と同じ線速(LV)である1.0m/sで稼働させ、ガス検知管91L(ガステック製)を用いて、経時的アセトアルデヒド除去率を測定した。結果を図4に示す。この結果から、トリスヒドロキシメチルアミノメタン単独よりも、トリスヒドロキシメチルアミノメタンとジエタノールアミンとを併用したほうがアセトアルデヒド吸着性能及びアセトアルデヒド吸着速度に優れることが理解できる。また、この効果は、アミン担持活性炭の含有量が低いほど顕著であることも理解できる。
図1
図2
図3
図4