(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ドアの移動経路上の人または物体を検知するドアウェイ用検知手段を更に備え、 前記検知エリアは、前記ドアウェイ用検知手段および前記保護用検知手段による検知を行う第2特殊検知エリアを有し、
前記制御手段は、第2特殊検知エリアにおいて、ドアが全開位置にあるときは、前記保護用検知手段による検知結果を前記ドアの駆動制御に用い、前記ドアが全開位置以外にあるときは、ドアウェイ用検知手段による検知結果を前記ドアの駆動制御に用いるものである、
請求項1乃至2のいずれか一項に記載の自動ドアシステム。
前記ドアの固定壁部近傍の人または物体を検知する固定壁側検知手段を更に備え、 前記検知エリアは、前記固定壁側検知手段および前記保護用検知手段による検知を行う第3特殊検知エリアを有し、
前記制御手段は、第3特殊検知エリアにおいて、ドアが全開方向に移動しているときは、前記固定壁側検知手段による検知結果を前記ドアの駆動制御に用い、ドアが全開方向に移動しているとき以外は、前記保護用検知手段による検知結果を前記ドアの駆動制御に用いるものである、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の自動ドアシステム。
前記保護用検知手段による検知において、人または物体を検知してから前記検知された人または物体を静止体と判断して検知対象から除外するまでの静止体検知時間は、前記起動用検知手段による検知における前記静止体検知時間よりも長い、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の自動ドアシステム。
人又は物体を検知する検知エリアの一部である特殊検知エリアにおいて、ドアが閉鎖位置にあるときは、人または物体を検知する起動用検知手段による検知を行って、その結果を前記ドアの駆動制御に使用し、
前記ドアが閉鎖位置以外にあるときは、前記特殊検知エリアにおいて前記起動用検知手段よりも人または物体を検知し易い保護用検知手段による検知を行って、その結果を前記ドアの駆動制御に使用する、自動ドアシステムの制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る自動ドアシステムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上、実際の比率とは異なる場合があり、また、構成の一部が図面から省略される場合がある。
【0017】
図1は、本実施形態による自動ドアシステム1を示す図である。
図2は、本実施形態による自動ドアシステム1を示す鳥瞰図である。
図1に示すように、自動ドアシステム1は、自動ドア装置2と自動ドアセンサ3とを備える。自動ドアシステム1は、
図2に示すドア21を通行しようとする通行者を自動ドアセンサ3で検知し、自動ドアセンサ3の検知に応じて、通行者を通行させるためにドア21を開動作させる。
【0018】
(自動ドア装置2)
自動ドア装置2は、ドア21と、モータ22と、ドア制御手段の一例であるドア制御部23とを備える。モータ22は、図示しない電源の電力を供給されることで、ドア21を自動で開閉するための回転力を発生させる。モータ22の回転力は、図示しないプーリやタイミングベルトなどの動力伝達部材を介して
図2に示す開閉方向d1への並進力としてドア21に伝達される。
図2の例において、2つのドア21は、引き分けタイプの引戸である。ドア21の態様は
図2の例に限定されず、例えば、片引きタイプの引戸、開き戸、折り戸、グライドドアなどの様々な態様のドアを採用してもよい。
【0019】
ドア制御部23は、モータ22および自動ドアセンサ3に接続されている。ドア制御部23は、自動ドアセンサ3およびモータ22から取得された信号または情報に基づいて、電力供給の制御によるモータ22の駆動制御を行う。モータ22の駆動制御を行うことで、ドア制御部23は、ドア21の駆動を制御する。モータ22の駆動制御は、モータ22の駆動の有無、駆動速度、駆動トルクおよび回転方向の少なくとも1つまたはこれらの2つ以上の組み合わせの制御である。
【0020】
例えば、ドア制御部23には、自動ドアセンサ3から、後述する有効検知エリア内の通行者や物体の検知に応じた開信号が入力される。ドア制御部23は、開信号の入力に応じてドア21を開方向に駆動する制御(以下、開駆動制御とも呼ぶ)を行う。
【0021】
(自動ドアセンサ3)
図2に示すように、自動ドアセンサ3は、ドア21の通行者等を検知するために、無目部24の中央、より具体的には、全閉状態の2枚のドア21の境界部の上方に設けられている。自動ドアセンサ3は、天井などの無目部24以外の場所に設けられていてもよい。
【0022】
図1に示すように、自動ドアセンサ3は、検知部31とセンサ制御部32とを備える。検知部31およびセンサ制御部32は、検知手段の一例である。センサ制御部32は、検知部31およびドア制御部23に接続されている。センサ制御部32は、例えば、CPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアで構成される。センサ制御部32の少なくとも一部をソフトウェアで構成してもよい。検知部31は、投光部311と受光部312とを有する。
【0023】
センサ制御部32は、有効検知エリアを有する。有効検知エリアとは、
図2に示すように、自動ドアセンサ3を用いて検知可能な床面6上の領域である検知エリア5のうち、ドア21の通行者等の検知のために設定された少なくとも一部の範囲の領域である。
【0024】
投光部311は、図示しない複数の投光素子を有する。投光部311は、複数の投光素子のそれぞれから検知エリア5にパルス状の近赤外光を投光すなわち照射する。受光部312は、投光部311の複数の投光素子のそれぞれに光学的に対応する図示しない複数の受光素子を有する。受光部312は、投光部311の複数の投光素子のそれぞれから検知エリア5に投光された近赤外光を複数の受光素子のそれぞれによって受光し、受光素子毎に近赤外光の受光量を検知する。受光部312は、検知された受光量を、受光量に応じた信号値を有する検知信号としてセンサ制御部32に出力する。なお、投光部311及び受光部312は、近赤外光以外の光を投光および受光してもよい。
【0025】
図2の例において、検知エリア5は、2枚のドア21の正面においてドア21の開閉方向d1およびこれに直交する前後方向d2に間隔を空けて配置された複数の小検知エリア51で構成されている。具体的には、
図2において、小検知エリア51は、6列×12個の計72個存在する。
【0026】
個々の小検知エリア51は、投光部311の複数の投光素子のそれぞれから投光され、受光部312の複数の受光素子によってそれぞれ受光される近赤外光の照射スポットに対応している。
【0027】
図2の例における有効検知エリアは、複数の小検知エリア51のうち少なくとも1つの小検知エリア51で構成される。なお、
図2の例において、各小検知エリア51は、円形状を有する。この場合の小検知エリア51の床面6における直径は、例えば、10cmから30cmの間の任意の値に設定することができる。小検知エリア51は、楕円形状、矩形状および多角形状などの円形状以外の形状を有していてもよい。
【0028】
複数の小検知エリア51のうちいずれの小検知エリア51を有効検知エリアに設定するかについては、具体的な態様は特に限定されない。例えば、有効検知エリアは、自動ドアシステム1の使用開始前に予め設定されてもよい。また、有効検知エリアは、ドア位置等に応じて可変であってもよい。
【0029】
センサ制御部32は、投光部311の全ての投光素子に、それぞれに対応する小検知エリア51に向けて近赤外光を投光させる。そして、センサ制御部32は、受光部312の全ての受光素子に、各小検知エリア51からの近赤外光の反射光をそれぞれ受光させる。そして、センサ制御部32は、受光部312から入力された小検知エリア51毎の検知信号のうち、有効検知エリアの検知信号を抽出する。
【0030】
そして、センサ制御部32は、抽出された有効検知エリアの検知信号に基づいて、後述する起動用検知アルゴリズムまたは保護用検知アルゴリズムにしたがって通行者等を検知する。通行者等の検知において、センサ制御部32は、例えば、自動ドアシステム1の電源投入直後の有効検知エリアの検知信号の信号値(すなわち、受光量)を基準値として記憶しておき、基準値に対する信号値の変化量に基づいて通行者等を検知してもよい。有効検知エリア内の通行者が検知された場合、センサ制御部32は、自動ドア装置2のドア制御部23に開信号を出力することで、有効検知エリアにおける検知結果をドア21の開駆動制御に使用する。
【0031】
また、センサ制御部32は、モータ22からドア21の位置を示す位置信号を取得し、取得された位置信号に基づいて、後述する特殊検知エリア51Aに適用する検知アルゴリズムを起動用検知アルゴリズムと保護用検知アルゴリズムとの間で切り替える。位置信号は、ドア21の位置を検知できるのであれば具体的な態様は特に限定されない。例えば、位置信号は、モータ22のホール素子の位相をもとに生成される。位置信号は、モータ22の回転を検知する回転エンコーダ、またはドア21の開閉位置を検知するために設けられるリニアエンコーダに基づく信号であってもよい。さらにモータ22から直接取得せずにドア制御部を介して取得しても構わない。
【0032】
なお、センサ制御部32は、投光部311の全ての投光素子に近赤外光を投光させる代わりに、有効検知エリアに対応する投光素子のみに投光を行わせてもよい。この場合、近赤外光が投光された小検知エリア51の全てが有効検知エリアとなる。有効検知エリアに対応する投光素子のみに投光を行わせることで、電力消費量を削減できる。また投光素子の寿命を長くすることもできる。
【0033】
また、有効検知エリアをドア制御部23に設定し、ドア制御部23を検知手段として機能させてもよい。この場合、センサ制御部32は、受光部312から入力された全ての小検知エリア51の検知信号をドア制御部23に出力してもよい。そして、ドア制御部23は、センサ制御部32から入力された全ての小検知エリア51の検知信号のうち、予め設定された有効検知エリアの検知信号に基づいて、後述する起動用検知アルゴリズムまたは保護用検知アルゴリズムにしたがった通行者等の検知を行ってもよい。
【0034】
(検知エリア5に対応する検知アルゴリズム)
センサ制御部32は、
図2に示すように、検知エリア5を構成する複数の小検知エリア51の一部として、特殊検知エリア51A(特殊検知エリア)を有する。特殊検知エリア51Aにおいて、ドア21が閉鎖位置にあるときは、人または物体を検知する起動用検知アルゴリズムによる検知が行われ、起動用検知アルゴリズムによる検知結果がドア21の駆動制御に用いられる。更に特殊検知エリア51Aにおいて、ドア21が閉鎖位置以外にあるときは、起動用検知アルゴリズムよりも人または物体を検知し易い保護用検知アルゴリズムによる検知が行われ、保護用検知アルゴリズムによる検知結果が起動用検知アルゴリズムによる検知結果に代わりドア21の駆動制御に用いられる。
【0035】
起動用検知アルゴリズムは、例えば、通行者等を検知してドア21を開動作(すなわち、起動)するための検知アルゴリズムである。起動用検知アルゴリズムは、自動ドアシステム1の構造や自動ドアシステム1の設置環境の影響に基づく自動ドアセンサ3の誤検知によるドア21の誤動作を低減することを主眼に置いた検知アルゴリズムである。起動用検知アルゴリズムは、自動ドアセンサ3の感度が相対的に低い処理、すなわち自動ドアセンサ3が検知した信号値(物理的な値)から人又は物体が存在すると判断するための基準値やアルゴリズムとして、相対的に人又は物体が存在すると判断しづらくなるようなものを用いる。このようなアルゴリズムとして、降雪による誤検知を防止するものや自動ドアセンサ3の周囲を飛翔する昆虫による誤検知を防止するものがある。起動用検知アルゴリズムは、ドア21の不要な開閉の低減に適している。
本実施例において、検知部31と起動用検知アルゴリズムを実行するセンサ制御部32が起動用検知手段を構成する。
【0036】
保護用検知アルゴリズムは、例えば、ドア21の近傍に立ち止まる通行者やドア21の近傍に存在する物体を検知して、閉じるドア21による挟み込み等のドア21との衝突から通行者や物体を保護することを主眼に置いた検知アルゴリズムである。保護用検知アルゴリズムは、自動ドアセンサ3の感度が相対的に高い処理、すなわち自動ドアセンサ3が検知した信号値(物理的な値)から人又は物体が存在すると判断するための基準値やアルゴリズムとして、相対的に人又は物体が存在すると判断しやすくなるようなものを用いる。保護用検知アルゴリズムは、安全性の向上に適している。
本実施例において、検知部31と保護用検知アルゴリズムを実行するセンサ制御部32が保護用検知手段を構成する。
【0037】
起動用検知アルゴリズムおよび保護用検知アルゴリズムは、通行者の検知を実行するセンサ制御部32に記憶されている。
【0038】
センサ制御部32は、特殊検知エリア51Aにおいて、起動用検知アルゴリズムおよび保護用検知アルゴリズムの少なくとも一方による検知を行い、ドア21の開閉状態に応じて、起動用検知アルゴリズムおよび保護用検知アルゴリズムの一方による検知結果をドア21の駆動制御に使用する。
【0039】
具体的には、センサ制御部32は、ドア21が閉鎖位置にあるときは、有効検知エリアに設定されている特殊検知エリア51Aにおいて、起動用検知アルゴリズムのみによる検知を行い、ドア21が閉鎖位置以外にあるときは、同じ特殊検知エリア51Aにおいて、保護用検知アルゴリズムのみによる検知に切り替えてもよい。
【0040】
この場合、センサ制御部32は、ドア21が閉鎖位置にあるときは、特殊検知エリア51Aにおける起動用検知アルゴリズムによる検知結果に応じて開信号をドア制御部23に出力する。ドア制御部23は、起動用検知アルゴリズムによる検知結果に基づいてドア21を駆動制御する。また、センサ制御部32は、ドア21が閉鎖位置以外にあるときは、特殊検知エリア51Aにおける保護用検知アルゴリズムによる検知結果に応じて開信号をドア制御部23に出力する。ドア制御部23は、保護用検知アルゴリズムによる検知結果に基づいてドア21を駆動制御する。例えば、センサ制御部32は、ドア21が全開状態から閉動作を行うとき、保護用検知アルゴリズムによって特殊検知エリア51Aに通行者等が検知された場合、開信号を出力することで閉じるドア21への通行者等の挟み込みを防止する。センサ制御部32は、ドア21が閉動作を行うときに、保護用検知アルゴリズムによって特殊検知エリア51Aに通行者等が検知された場合、閉信号の出力を停止する(すなわち、ドア21の閉動作を停止させる)ことでドア21への通行者等の挟み込みを防止してもよい。
【0041】
あるいは、センサ制御部32は、ドア21が閉鎖位置にあるときは、有効検知エリアに設定されている特殊検知エリア51Aにおいて、起動用および保護用の双方の検知アルゴリズムによる検知を行い、起動用検知アルゴリズムによる検知結果のみをドア制御部23に出力するようにしてもよい。ドア制御部23はこの検知結果に基づいてドア21を駆動制御する。また、センサ制御部32は、ドア21が閉鎖位置以外にあるときは、ドア21が閉鎖位置にあるときと同じ検知エリアである特殊検知エリア51Aにおいて、起動用および保護用の双方の検知アルゴリズムによる検知を行い、保護用検知アルゴリズムによる検知結果のみをドア制御部23に出力するようにしても良い。ドア制御部23はこの検知結果に基づいてドア21を駆動制御する。
【0042】
なお、通行者の検知をドア制御部23で実行する場合、起動用検知アルゴリズムおよび保護用検知アルゴリズムは、ドア制御部23に記憶されていてもよい。この場合、ドア制御部23は、ドア21が閉鎖位置にあるときは、有効検知エリアに設定されている特殊検知エリア51Aにおいて、起動用検知アルゴリズムによって通行者等を検知し、通行者等の検知に応じてドア21を開駆動制御すればよい。また、センサ制御部32は、ドア21が閉鎖位置以外にあるときは、有効検知エリアに設定されている特殊検知エリア51Aにおいて、保護用検知アルゴリズムによって通行者を検知し、通行者の検知に応じてドア21を開駆動制御すればよい。
【0043】
特殊検知エリア51Aを有することで、ドア21を閉鎖しているときは、センサ3の感度を低くする起動用検知アルゴリズムによる検知結果をドア21の駆動制御に用いることができ、ドア21を開放しているときは、センサ3の感度を高くする保護用検知アルゴリズムによる検知結果をドア21の駆動制御に用いることができる。これにより、ドア21の不要な開閉の低減と安全性の向上とを両立させることができる。
【0044】
保護用検知アルゴリズムが適用される検知エリアは、ドア21から前方に200mm以内にあることが規格上要求される。このため、特殊検知エリア51Aは、
図2に示すようにドア21からみて2列目と3列目の小検知エリア51Aとされている。2列目及び3列目の小検知エリア51Aを特殊検知エリア51Aとすることで、規格を満足することができるとともに、ドア21の近傍における安全性をより向上させることができる。なお、小検知エリア51の大きさに応じて、特殊検知エリア51Aとして設定される小検知エリアの列数を任意に変更可能である。
【0045】
また、センサ制御部32は、
図2に示すように、検知エリア5を構成する複数の小検知エリア51のうち、特殊検知エリア51A以外の一部の小検知エリア51Bとして、起動用検知アルゴリズムのみによる検知が行われる起動検知エリア51Bを有していてもよい。起動検知エリア51Bは、起動用検知アルゴリズムおよび保護用検知アルゴリズムの双方による検知が行われ、起動用検知アルゴリズムによる検知結果のみがドア21の駆動制御に用いられる検知エリアであってもよい。特殊検知エリア51Aは、起動検知エリア51Bよりもドア21に近い位置に配置されてもよい。
図2の例において、起動検知エリア51Bは、4列目〜6列目の小検知エリア51Bである。通行者の立ち止まりによる危険性が低いドア21から離れた位置に起動検知エリア51Bを配置することで、ドア21から離れた検知エリア5における誤検知を有効に低減することができる。
【0046】
なお、1列目の小検知エリア51Cは、ドア5が閉鎖位置にあるときは、起動用検知アルゴリズムのみによる検知が行われ、ドア5が開放しているときは、ドア5を通行者として誤検知しないように無効となるエリアであってもよい。無効とは、検知しても有効な信号として取り扱わない意味と、検知しないように検知動作を停止させる意味とを含む(以下、同様)。
【0047】
また、センサ制御部32は、検知エリア5を構成する複数の小検知エリア51のうち、特殊検知エリア51Aおよび起動検知エリア51B以外の一部の小検知エリア51として、保護用検知アルゴリズムのみによる検知が行われる保護検知エリアを有していてもよい。例えば、1列目の小検知エリア51Cを保護検知エリアとしてもよい。なお、1列目の小検知エリア51Cを保護検知エリアとする場合であっても、ドア21が動いているときは、ドア21を通行者等として誤検知しないように、1列目の小検知エリア51Cのうちドア21が存在する位置に対応する小検知エリア51を無効あるいは感度を起動検知エリア51Bよりも落とす(ドア21を誤検知しにくくする)ようにしてもよい。このような検知アルゴリズムを本実施例ではドアウェイ用検知アルゴリズムと称する。この場合、特殊検知エリア51Cが第2特殊検知エリアを構成し、検知部31とドアウェイ用検知アルゴリズムを実行するセンサ制御部32がドアウェイ用検知手段を構成する。さて、1列目の小検知エリア51Cを保護検知エリアとする場合、特殊検知エリア51Aは、起動検知エリア51Bと保護検知エリア51Cとの間に配置される。この場合、特殊検知エリア51Aにおける検知アルゴリズムの切り替えに応じて、起動用検知アルゴリズムによる検知が行われる小検知エリア51または保護用検知アルゴリズムによる検知が行われる小検知エリア51を拡大することができる。これにより、ドア21の不要な開閉の低減と安全性の向上とを更に効果的に両立させることができる。
【0048】
図3は、本実施形態による自動ドアシステム1において、検知アルゴリズムを示す概念図である。
図3に示すように、保護用検知アルゴリズムによる検知において、人または物体を検知してから検知された人または物体を静止体(すなわち、背景)と判断して検知対象から除外するまでの静止体検知時間は、起動用検知アルゴリズムによる検知における静止体検知時間よりも長くてもよい。静止体検知時間の具体的な態様は特に限定されない。例えば、起動用検知アルゴリズムにおける静止体検知時間は5秒、保護用検知アルゴリズムにおける静止体検知時間は30秒であってもよい。保護用検知アルゴリズムにおける静止体検知時間を起動用検知アルゴリズムにおける静止体検知時間より長くすることで、ドア21が開放されているときは、長時間の立ち止まりを検知できるので、安全性を向上することができる。また、ドア21が閉鎖されているときは、外乱の影響を抑制できるので、ドア21の不要な開閉を防止することができる。
【0049】
また、
図3に示すように、起動用検知アルゴリズムは、信号処理の分野で知られている時間フィルタを用いたアルゴリズムであって、人または物体の検知を行う第1モードを有してもよい。このとき保護用検知アルゴリズムは第1モードを有しない。第1モードは、自動ドアセンサ3の感度を時間方向において低下させるモードである。起動用検知アルゴリズムが第1モードを有し、保護用検知アルゴリズムが第1モードを有しないことで、時間方向に変動のある状況下においてドア21の不要な開閉を防止しつつ、安全性の低下を抑制することができる。
【0050】
また、
図3に示すように、起動用検知アルゴリズムは、信号処理の分野で知られている空間フィルタを用いたアルゴリズムであって、人または物体の検知を行う第2モードを有してもよい。このとき保護用検知アルゴリズムは第2モードを有さない。第2モードは、自動ドアセンサ3の感度を空間方向において低下させるモードである。起動用検知アルゴリズムが第2モードを有し、保護用検知アルゴリズムが第2モードを有しないことで、空間内で変動のある状況下においてドア21の不要な開閉を防止しつつ、安全性の低下を抑制することができる。
【0051】
また、
図3に示すように、起動用検知アルゴリズムは、人または物体を検知するために予め定められた閾値よりも高く設定されている閾値以上の変化であることを検知の条件とする第3モードを有してもよい。このとき保護用検知アルゴリズムは、第3モードを有しない。第3モードは、元々設定されている自動ドアセンサ3の検知感度の設定値を一律に鈍らせるモードである。起動用検知アルゴリズムが第3モードを有し、保護用検知アルゴリズムが第3モード無しないことで、ドア21の動作の影響で自動ドアセンサ3の取り付け位置が変動することによるドア21の不要な開閉を防止しつつ、安全性の低下を抑制することができる。
【0052】
また、センサ制御部32は、起動用検知アルゴリズムのみによる検知が行われる退出側の検知エリア(以下、退出側の起動検知エリアとも呼ぶ)と、保護用検知アルゴリズムによる検知が行われる退出側の検知エリア(以下、退出側の保護検知エリアとも呼ぶ)とを有していてもよい。この場合、センサ制御部32は、退出側の保護検知エリアが非検知となったときに退出側の起動検知エリアを無効にする退出無効制御を行ってもよい。退出無効制御を行うことで、ドア21の開放時間を最小限に抑えつつ、安全性の低下を抑制することできる。
【0053】
また、センサ制御部32は、起動検知エリア51Bにおいて人または物体がドア21に沿う方向のみに移動していることが検知された場合に起動検知エリア51Bを無効にする横切り無効制御を行ってもよい。「ドア21に沿う方向」とは、
図2の開閉方向d1であってもよく、または、開閉方向d1とのなす角度が閾値以内の方向(すなわち、開閉方向d1と殆ど同じ方向)であってもよい。横切り無効制御を行うことで、より効果的にドア21の不要な開閉を防止しつつ安全性の低下を抑制することができる。
【0054】
また、起動用検知アルゴリズムおよび保護用検知アルゴリズムは、それぞれ1種類ずつに限らず、複数種類ずつあってもよい。保護用検知アルゴリズムを複数種類用いる場合、ドア位置の変化やドア制御の状態やセンサの制御状態に応じて保護用検知アルゴリズムを切替えても、複数の保護用検知アルゴリズムを並行して動作させて必要なものを選択してもよい。
【0055】
また、センサ制御部32は、起動用検知アルゴリズムから保護用検知アルゴリズムへの切り替えを、ドア21が開動作を開始した時点、ドア21が全開状態となった時点、およびドア21が開動作を開始してから全開状態となるまでの途中の時点のいずれに行ってもよい。
【0056】
(動作例)
次に、自動ドアシステム1の動作例について説明する。
図4は、本実施形態による自動ドアシステム1の動作例において、ドア状態に応じた検知アルゴリズムの切り替えを示すフローチャートである。
図4のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
【0057】
図4に示すように、先ず、センサ制御部32は、モータ22から入力される位置信号に基づいてドア21の開閉状態を示すドア状態を判定する(ステップS1)。ドア状態が全閉状態である場合、センサ制御部32は、特殊検知エリア51Aにおいて、起動用検知アルゴリズムによる検知の一例である起動検知制御を実行する(ステップS2A)。ドア状態が開動作中である場合も、センサ制御部32は、特殊検知エリア51Aにおいて保護検知制御を実行する(ステップS2B)。なお、起動検知エリア51Bにおいては、常に起動検知制御が実行される。
【0058】
一方、ドア21が全開状態である場合、センサ制御部32は、特殊検知エリア51Aにおいて、保護用検知アルゴリズムによる検知の一例である保護検知制御を実行する(ステップS2C)。また、ドア21が閉動作中である場合も、センサ制御部32は、特殊検知エリア51Aにおいて保護検知制御を実行する(ステップS2D)。なお、保護検知エリアにおいては、常に保護検知制御が実行される。
【0059】
図5は、本実施形態による自動ドアシステム1の動作例において、起動検知制御を示すフローチャートである。
図6(a)は、本実施形態による自動ドアシステム1の動作例において、保護検知制御の一例を示すフローチャートである。
図6(b)は、保護検知制御の他の一例を示すフローチャートである。
図5、
図6(a)、
図6(b)のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
【0060】
(起動検知制御:S2A、S2B)
起動検知制御を実行する場合(ステップS2A、ステップS2B)、先ず、センサ制御部32は、
図5に示すように、起動用検知アルゴリズムに記述された制御パラメータを読み込む(ステップS21)。
図7は、本実施形態による自動ドアシステム1の動作例において、制御パラメータの読み込みを示すフローチャートである。
図7のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
【0061】
(制御パラメータの読み込み:S21)
制御パラメータの読み込み(ステップS21)において、先ず、センサ制御部32は、
図7に示すように、感度パラメータの設定値を読み込む(ステップS211)。起動用検知アルゴリズムに記述されている感度パラメータの設定値は、保護用検知アルゴリズムに記述されている感度パラメータの設定値以下である。
【0062】
感度パラメータの設定値を読み込んだ後、センサ制御部32は、静止体検知時間の設定値を読み込む(ステップS212)。起動用検知アルゴリズムに記述されている静止体検知時間の設定値は、保護用検知アルゴリズムに記述されている静止体検知時間の設定値よりも短い。
【0063】
静止体検知時間の設定値を読み込んだ後、センサ制御部32は、時間フィルタの設定値を読み込む(ステップS213)。時間フィルタの設定値は、第1モードの有無に関するパラメータである。起動用検知アルゴリズムが第1モードを有し、保護用検知アルゴリズムが第1モードを有しない場合、起動用検知アルゴリズムに記述された時間フィルタの設定値は、保護用検知アルゴリズムに記述された時間フィルタの設定値よりも多い。
【0064】
時間フィルタの設定値を読み込んだ後、センサ制御部32は、空間フィルタの設定値を読み込む(ステップS214)。空間フィルタの設定値は、第2モードの有無に関するパラメータである。第2モードを有する起動用検知アルゴリズムに記述された空間フィルタの設定値は、第2モードを有しない保護用検知アルゴリズムに記述された空間フィルタの設定値よりも多い。
【0065】
空間フィルタの設定値を読み込んだ後、センサ制御部32は、変化量閾値の設定値を読み込む(ステップS215)。変化量閾値は、第3モードの有無に関するパラメータであり、通行者が検知されたと判断するための受光量の変化量の閾値を示す。起動用検知アルゴリズムが第3モードを有し、保護用検知アルゴリズムが第3モードを有しない場合、起動用検知アルゴリズムに記述された変化量閾値の設定値は、保護用検知アルゴリズムに記述された変化量閾値の設定値よりも高い。
【0066】
(検知・背景更新制御:S22)
制御パラメータを読み込んだ後、
図5に示すように、センサ制御部32は、検知の制御および背景更新制御を行う(ステップS22)。
図8は、本実施形態による自動ドアシステム1の動作例において、検知・背景更新制御を示すフローチャートである。
図8のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
【0067】
検知・背景更新制御において、先ず、センサ制御部32は、予め記憶されている受光量記憶値と、
図7のステップS211で読み込まれた感度パラメータとに基づいて、通行者が検知されたと判断するための受光量記憶値を基準とした受光量の増加側閾値と減少側閾値とを計算する(ステップS221)。
【0068】
図9は、本実施形態による自動ドアシステム1の動作例において、検知・背景更新制御を説明するための説明図である。
図9のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
図9には、小検知エリア51の検知信号に示される受光量と、受光量記憶値と、感度パラメータと、増加側閾値と、減少側閾値と、検知フラグの状態との対応関係が示されている。
図9に示すように、感度パタメータは、自動ドアシステム1の電源投入直後等の所定の時点で取得された受光量記憶値(基準値)に対して、増加側または減少側にどの程度受光量が変化すれば検知状態となるのかを示す受光量の変化量である。
【0069】
図9の例では、受光量記憶値に感度パラメータを加えることで、増加側閾値が得られる。センサ制御部32は、受光量が増加側閾値以上であれば、その受光量が後述する静止体検知時間以内に変化したものである場合において、検知フラグをオンして通行者の検知状態となる。また、
図9の例では、受光量記憶値から感度パラメータを減じることで、減少側閾値が得られる。センサ制御部32は、受光量が減少側閾値以下である場合も、その受光量が後述する静止体検知時間以内に変化したものである場合において、検知フラグをオンして通行者の検知状態となる。一方、センサ制御部32は、受光量が減少側閾値より大きく増加側閾値より小さい場合は、検知フラグをオフして通行者の非検知状態となる。検知フラグは、例えば、ドア制御部23の記憶領域に設定される。
【0070】
増加側閾値および減少側閾値を計算した後、
図8に示すように、センサ制御部32は、検知信号に示される受光量が増加側閾値以上または減少側閾値以下であるか否かを判定する(ステップS222)。
【0071】
受光量が増加側閾値以上または減少側閾値以下でない場合(ステップS222:N)、センサ制御部32は、検知フラグをオフする(ステップS223)。
【0072】
一方、受光量が増加側閾値以上または減少側閾値以下である場合(ステップS222:Y)、センサ制御部32は、検知信号に示される受光量が、
図7のステップS212で読み込まれた静止体検知時間以上の間、変化がないか否かを判定する(ステップS224)。
【0073】
静止体検知時間以内に受光量が変化した場合(ステップS224:N)、センサ制御部32は、検知フラグをオンする(ステップS225)。
【0074】
一方、静止体検知時間以上の間、受光量の変化がない場合(ステップS224:Y)、センサ制御部32は、検知フラグをオフする(ステップS226)。
【0075】
検知フラグをオフした後、センサ制御部32は、受光量記憶値を現在の受光量に更新する(ステップS227)。
【0076】
(第1モード制御:S23)
検知・背景更新制御を行った後、
図5に示すように、センサ制御部32は、第1モード制御を行う(ステップS23)。
図10は、本実施形態による自動ドアシステム1の動作例において、第1モード制御を示すフローチャートである。
図10のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
【0077】
第1モード制御において、先ず、センサ制御部32は、
図10に示すように、検知フラグがオンされているか否かを判定する(ステップS231)。
【0078】
検知フラグがオンされていない場合(ステップS231:N)、センサ制御部32は、検知フラグをオフしたまま第1モード制御を終了する。
【0079】
一方、検知フラグがオンされている場合(ステップS231:Y)、センサ制御部32は、例えば、起動用検知アルゴリズムの記述情報に基づいて、第1モード制御設定が有効か否かを判定する(ステップS232)。
【0080】
第1モード制御設定が有効でない場合(ステップS232:N)、センサ制御部32は、検知フラグをオンしたまま第1モード制御を終了する。
【0081】
一方、第1モード制御設定が有効である場合(ステップS232:Y)、センサ制御部32は、時間フィルタを検知信号に適用しても検知状態が維持されているか否かを判定する(ステップS233)。
【0082】
時間フィルタを検知信号に適用すると検知状態が維持されない場合(ステップS233:N)、センサ制御部32は、検知フラグをオフする(ステップS234)。
【0083】
一方、時間フィルタを検知信号に適用しても検知状態が維持できる場合(ステップS233:Y)、センサ制御部32は、検知フラグをオンしたまま第1モード制御を終了する。
【0084】
(第2モード制御:S24)
第1モード制御を行った後、
図5に示すように、センサ制御部32は、第2モード制御を行う(ステップS24)。
図11は、本実施形態による自動ドアシステム1の動作例において、第2モード制御を示すフローチャートである。
図11のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
【0085】
第2モード制御において、先ず、センサ制御部32は、
図11に示すように、検知フラグがオンされているか否かを判定する(ステップS241)。
【0086】
検知フラグがオンされていない場合(ステップS241:N)、センサ制御部32は、検知フラグをオフしたまま第2モード制御を終了する。
【0087】
一方、検知フラグがオンされている場合(ステップS241:Y)、センサ制御部32は、例えば、起動用検知アルゴリズムの記述情報に基づいて、第2モード制御設定が有効か否かを判定する(ステップS242)。
【0088】
第2モード制御設定が有効でない場合(ステップS242:N)、センサ制御部32は、検知フラグをオンしたまま第2モード制御を終了する。
【0089】
一方、第2モード制御設定が有効である場合(ステップS242:Y)、センサ制御部32は、空間フィルタを検知信号に適用しても検知状態が維持されているか否かを判定する(ステップS243)。
【0090】
空間フィルタを検知信号に適用すると検知状態が維持されない場合(ステップS243:N)、センサ制御部32は、検知フラグをオフする(ステップS244)。
【0091】
一方、空間フィルタを検知信号に適用しても検知状態が維持できる場合(ステップS243:Y)、センサ制御部32は、検知フラグをオンしたまま第2モード制御を終了する。
【0092】
(第3モード制御:S25)
第2モード制御を行った後、
図5に示すように、センサ制御部32は、第3モード制御を行う(ステップS25)。
図12は、本実施形態による自動ドアシステム1の動作例において、第3モード制御を示すフローチャートである。
図12のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
【0093】
第3モード制御において、先ず、センサ制御部32は、
図12に示すように、検知フラグがオンされているか否かを判定する(ステップS251)。
【0094】
検知フラグがオンされていない場合(ステップS251:N)、センサ制御部32は、検知フラグをオフしたまま第3モード制御を終了する。
【0095】
一方、検知フラグがオンされている場合(ステップS251:Y)、センサ制御部32は、例えば、起動用検知アルゴリズムの記述情報に基づいて、第3モード制御設定が有効か否かを判定する(ステップS252)。
【0096】
第3モード制御設定が有効でない場合(ステップS252:N)、センサ制御部32は、検知フラグをオンしたまま第3モード制御を終了する。
【0097】
一方、第3モード制御設定が有効である場合(ステップS252:Y)、センサ制御部32は、検知信号に示される受光量の変化量が、
図7のステップS215で読み込まれた変化量閾値以上であるか否かを判定する(ステップS253)。
【0098】
検知信号に示される受光量の変化量が読み込まれた変化量閾値以上でない場合(ステップS253:N)、センサ制御部32は、検知フラグをオフする(ステップS254)。
【0099】
一方、検知信号に示される受光量の変化量が読み込まれた変化量閾値以上である場合(ステップS253:Y)、センサ制御部32は、検知フラグをオンしたまま第3モード制御を終了する。
【0100】
(退出無効制御:S26)
第3モード制御を行った後、
図5に示すように、センサ制御部32は、退出無効制御を行う(ステップS26)。
図13は、本実施形態による自動ドアシステム1の動作例において、退出無効制御を示すフローチャートである。
図13のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
【0101】
退出無効制御において、先ず、センサ制御部32は、
図13に示すように、検知フラグがオンされているか否かを判定する(ステップS261)。
【0102】
検知フラグがオンされていない場合(ステップS261:N)、センサ制御部32は、検知フラグをオフしたまま退出無効制御を終了する。
【0103】
一方、検知フラグがオンされている場合(ステップS261:Y)、センサ制御部32は、例えば、起動用検知アルゴリズムの記述情報に基づいて、退出無効制御設定が有効か否かを判定する(ステップS262)。
【0104】
退出無効制御設定が有効でない場合(ステップS262:N)、センサ制御部32は、検知フラグをオンしたまま退出無効制御を終了する。
【0105】
図14は、本実施形態による自動ドアシステム1の動作例において、退出無効制御を説明するための説明図である。退出無効制御設定が有効である場合(
図13のステップS262:Y)、センサ制御部32は、
図14に示すように、ドア21の退出側に設定された小検知エリア52のうち、退出側の保護検知エリア52Aからの検知信号に基づいて、退出側の保護検知エリア52Aが非検知状態となったか否かを判定する(ステップS263)。
図14には、通行者がドア21の開口を通過した後に退出側の保護検知エリア52Aよりもドア21から離れる方向(
図14の矢印方向)に移動している状態が示されている。
図14の例の場合、退出側の保護検知エリア52Aは非検知状態となっている。
【0106】
退出側の保護検知エリア52Aが非検知状態となっている場合(ステップS263:Y)、センサ制御部32は、検知フラグをオフする(ステップS264)。
【0107】
一方、退出側の保護検知エリア52Aが非検知状態となっていない場合(ステップS263:N)、センサ制御部32は、検知フラグをオンしたまま退出無効制御を終了する。
【0108】
(横切り無効制御:S27)
退出無効制御を行った後、
図5に示すように、センサ制御部32は、横切り無効制御を行う(ステップS27)。
図15は、本実施形態による自動ドアシステム1の動作例において、横切り無効制御を示すフローチャートである。
図15のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
【0109】
横切り無効制御において、先ず、センサ制御部32は、
図15に示すように、検知フラグがオンされているか否かを判定する(ステップS271)。
【0110】
検知フラグがオンされていない場合(ステップS271:N)、センサ制御部32は、検知フラグをオフしたまま横切り無効制御を終了する。
【0111】
一方、検知フラグがオンされている場合(ステップS271:Y)、センサ制御部32は、例えば、起動用検知アルゴリズムの記述情報に基づいて、横切り無効制御設定が有効か否かを判定する(ステップS272)。
【0112】
横切り無効制御設定が有効でない場合(ステップS272:N)、センサ制御部32は、検知フラグをオンしたまま横切り無効制御を終了する。
【0113】
図16は、本実施形態による自動ドアシステム1の動作例において、横切り無効制御を説明するための説明図である。横切り無効制御設定が有効である場合(ステップS272:Y)、センサ制御部32は、検知状態の小検知エリア51の変化から得られる通行者の移動ベクトルに基づいて、
図16の矢印に示すように、通行者がドア21の前を横切る方向(すなわち、ドア21に沿う方向)のみに移動しているか否かを判定する(ステップS273)。
【0114】
通行者がドア21の前を横切る方向のみに移動している場合(ステップS273:Y)、センサ制御部32は、検知フラグをオフする(ステップS274)。
【0115】
一方、通行者がドア21の前を横切る方向に移動していない場合(ステップS273:Y)、センサ制御部32は、検知フラグをオンしたまま横切り無効制御を終了する。
【0116】
(検知判断:S28)
横切り無効制御を行った後、
図5に示すように、センサ制御部32は、検知判断を行う(ステップS28)。
図17は、本実施形態による自動ドアシステム1の動作例において、検知判断を示すフローチャートである。
図17のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
【0117】
検知判断において、先ず、センサ制御部32は、
図17に示すように、検知フラグがオンされているか否かを判定する(ステップS281)。
【0118】
検知フラグがオンされていない場合(ステップS281:N)、センサ制御部32は、通行者が非検知であると判断する(ステップS282)。
【0119】
一方、検知フラグがオンされている場合(ステップS281:Y)、センサ制御部32は、通行者が検知されたと判断する(ステップS283)。
【0120】
以上のようにして、起動検知制御(S2A、S2B)が行われる。なお、起動検知制御において、
図5のステップS22〜ステップS27に示した各工程は、順序が入れ替わってもよい。また、一部の行程を省略してもよい。
【0121】
(保護検知制御:S2C、S2D)
一方、保護検知制御を実行する場合(ステップS2C、ステップS2D)、センサ制御部32は、
図6(a)または
図6(b)に示される各工程を実行する。
図6(a)に示される保護検知制御は、
図5の起動検知制御に対して、第1モード制御(ステップS23)、第2モード制御(ステップS24)、第3モード制御(ステップS25)、退出無効制御(ステップS26)、および横切り無効制御(ステップS27)が実行されないようになっている。ただし、保護検知制御においても、確保すべき安全性と不要開閉の低減との関係で、第1モード制御、第2モード制御、第3モード制御、退出無効制御、および横切り無効制御の任意の組合せを実行してもよい。また、センサ制御部32は、
図4のステップS1で判定されたドア状態が全開状態および閉動作中のいずれであるかに応じて、どのような内容の保護用検知アルゴリズムを用いるかを選択してもよい。すなわち、センサ制御部32は、ドア位置に応じて検知に用いる保護用検知アルゴリズムを変更してもよい。
【0122】
本実施形態によれば、同じ特殊検知エリア51Aにおいて、ドア21が閉鎖位置にあるときは起動用検知アルゴリズムによる検知を行い、ドア21が閉鎖位置以外にあるときは保護用検知アルゴリズムによる検知を行うことができる。これにより、ドア21が閉鎖位置にあるときに、保護用検知アルゴリズムによる誤検知によってドア21の不要な開閉が行われることを防止できる。また、ドア21が閉鎖位置以外にあるときに、起動用検知アルゴリズムによる検知失敗によってドア21の近傍の安全性が損なわれることを防止できる。したがって、本実施形態によれば、ドアの不要な開閉の低減と安全性の向上とを両立させることができる。
【0123】
(第1の変形例)
次に、撮像画像に基づいた検知を行う第1の変形例について説明する。
図18は、本実施形態の第1の変形例による自動ドアシステム1を示すブロック図である。
図18に示すように、第1の変形例の自動ドアセンサ3は、投光部311および受光部312の代わりに、検知部の一例として撮像部313を有する。撮像部313は、例えば、可視光域に感度を有するCCDもしくはCMOSカメラである。撮像部313は、赤外線領域に感度を有する赤外線カメラであってもよい。
【0124】
撮像部313は、検知エリア5を撮像し、検知エリア5の撮像画像を示す検知信号をセンサ制御部32に出力する。センサ制御部32は、撮像部313から入力された検知信号に基づいて通行者等を検知し、通行者等の検知に応じてドア制御部23に開信号を出力する。なお、第1の変形例においても、通行者等の検知はドア制御部23側で行ってもよい。
【0125】
第1の変形例においても、センサ制御部32は、同じ特殊検知エリア51Aについて、ドア21が閉鎖位置にあるときは起動用検知アルゴリズムによる検知結果をドア21の駆動制御に使用し、ドア21が閉鎖位置以外にあるときは保護用検知アルゴリズムによる検知結果を起動用検知アルゴリズムによる検知結果に切り替えてドア21の駆動制御に使用する。これにより、ドアの不要な開閉の低減と安全性の向上とを両立させることができる。また、第1の変形例によれば、撮像画像に基づいて通行者等を高精度に検知できるので、ドアの不要な開閉の低減と安全性の向上とを更に有効に両立させることができる。
【0126】
(第2の変形例)
次に、電波によるドップラー効果に基づいた検知を行う第2の変形例について説明する。
図19は、本実施形態の第2の変形例による自動ドアシステム1を示すブロック図である。
図19に示すように、第2の変形例の自動ドアセンサ3は、検知部の一例として電波送受信部314を有する。電波送受信部314は、検知エリア5に対して電波を発信し、発信した電波と検知エリア5に存在する通行者等からの反射波との干渉波を検出する。そして、電波送受信部34は、干渉波を示す検知信号をセンサ制御部32に出力する。センサ制御部32は、電波送受信部34から入力された検知信号に基づいて通行者を検知し、通行者等の検知に応じてドア制御部23に開信号を出力する。なお、第2の変形例においても、通行者の検知はドア制御部23側で行ってもよい。
【0127】
第2の変形例においても、センサ制御部32は、同じ特殊検知エリア51Aについて、ドア21が閉鎖位置にあるときは起動用検知アルゴリズムによる検知結果をドア21の駆動制御に使用し、ドア21が閉鎖位置以外にあるときは保護用検知アルゴリズムによる検知結果を起動用検知アルゴリズムによる検知結果に切り替えてドア21の駆動制御に使用する。これにより、ドアの不要な開閉の低減と安全性の向上とを両立させることができる。
【0128】
自動ドアセンサ3は、上述した赤外線、画像、電波の代わりに、超音波や測距式センサを用いても良い。
【0129】
(第3の変形例)
次に、第3の変形例について説明する。
図20は、本実施形態の第3の変形例による自動ドアシステム1を示すブロック図である。
図20に示すように、第3の変形例の自動ドアセンサ3は、ドア制御部23に対し、起動用検知アルゴリズムによる検知結果と保護用検知アルゴリズムによる検知結果の2種類の検知結果を検知信号として出力するものである。2種類の検知信号を受けたドア制御部23は、ドア21の位置やその他の条件に応じて、いずれの検知結果を制御に用いるのか、あるいはいずれの検知結果も用いないのかを決定する。例えば起動用検知アルゴリズムによる検知結果によれば人や物が存在しないと判断される場合であっても保護用検知アルゴリズムによる検知結果によれば人や物が存在すると判断される場合であれば、ドア21を通常時よりも低速で閉動作させることができる。
【0130】
第3の変形例においても、ドア制御部32は、同じ特殊検知エリア51Aについて、ドア21が閉鎖位置にあるときは起動用検知アルゴリズムによる検知結果をドア21の駆動制御に使用し、ドア21が閉鎖位置以外にあるときは保護用検知アルゴリズムによる検知結果を起動用検知アルゴリズムによる検知結果に切り替えてドア21の駆動制御に使用する。これにより、ドアの不要な開閉の低減と安全性の向上とを両立させることができる。
【0131】
本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、例えば、起動用検知アルゴリズムおよび保護用検知アルゴリズムを用いる代わりに物理的に別体であるが検知エリアが重なっている起動用センサと保護用センサを用いても良い。この場合、起動用センサは人または物体を検知する機能は起動用検知アルゴリズムと同等であり、保護用センサは人または物体を検知する機能は保護用検知アルゴリズムと同等である。
【0132】
本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。