(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。
[1]第1実施形態
まず、第1実施形態の記録媒体について説明する。
図1は、第1実施形態の記録媒体(偽変造防止媒体)の情報記録がなされた状態における外観正面図である。
【0011】
情報記録がなされた記録媒体10は、大別すると、画像を記録する画像形成領域11と、ID情報、氏名、発行日などの特定情報が記録された特定情報記録エリア12と、偽変造防止のため偽変造防止情報が記録された偽変造防止情報記録部13ARと、を備えている。
【0012】
この場合において、偽変造防止情報記録部13ARは、記録媒体10の表面10Sばかりでなく、
図1中、矢印A方向から見た記録媒体10の端面10Xも含んでいる。
【0013】
図2は、第1実施形態の記録媒体の詳細構成説明図である。
記録媒体10の画像形成領域11の画像の背景部分11Aには、
図2の場合、例えば、微細な線13Xが多数平行に配置されて背景色(例えば、灰色)を構成している。
そして、線13Xの一部、具体的には、線13A〜13Eとして、記録媒体10の端面10Xまで延在するように形成されている。
【0014】
図2において、丸枠内は、記録媒体10の矢印A方向から端面10Xを見た場合の一部拡大図である。
この拡大図に示すように、記録媒体10は、基材10A上に、発色層10B及び表層としての保護層10Cが順次積層されている。
【0015】
そして、線13Xの一部である線(セキュリティ用線)13Aが矢印A方向から視認可能に形成されている。
したがって、記録媒体10の表面10Sから観察した場合の線13Aの位置と、記録媒体10の端面10Xから観察した場合の線13Aの位置と、が一致していれば、その記録媒体10の印面が偽変造や改ざんされていない可能性が高いということがわかる。
【0016】
さらには、記録媒体10の表面10Sから観察した場合の全ての線13A〜13Eの位置と、記録媒体10の端面10Xから観察した場合の全ての線13A〜13Eの位置と、が一致していれば、その記録媒体10の印面が偽変造や改ざんされていない可能性がより高いということを確認できることとなる。
【0017】
[1.1]第1実施形態の変形例
次に第1実施形態の変形例について説明する。
以上の説明においては、記録媒体10の表面10Sから観察した場合の線の位置と、記録媒体10の端面10Xから観察した場合の線の位置とが一致すれば記録媒体10の印面が偽変造や改ざんされていないことを確認できる場合について述べたが、本第1実施形態の変形例は、複数の線により情報を記録し、記録情報が一致するか否かに基づいてその記録媒体10の印面が偽変造や改ざんされていないことを確認する場合のものである。
【0018】
図3は、第1実施形態の変形例の記録媒体の端面から見た場合の部分拡大説明図である。
図3(a)に示すように、記録媒体10の発色層10Bには、例えば、6箇所の情報記録位置P1〜P6が設定されている。
そして、情報記録位置P1は、情報の記録開始位置を表す開始フラグ14の記録位置とされ、情報記録位置P6は情報の記録終了位置を表す終了フラグ16の記録位置としている。
そして、情報記録位置P2〜P5の4箇所は、それぞれ1ビットの情報を記録可能で、全体として4ビットで表されるコードが記録される情報記録位置としている。
【0019】
図4は、第1実施形態の変形例の情報記録例の対応テーブルの説明図である。
本変形例の場合には、情報として4ビットで表される16個のコード(16進数の0〜F)のうちいずれかが情報コード15として情報記録位置P2〜P5に記録可能となっている。
【0020】
具体的には、本変形例の場合、情報記録位置P1は開始フラグ14として常に線が記録され、情報記録位置P6についても終了フラグ16として常に線が記録される。
そして、例えば、
図3(b)に示す例の場合には、情報記録位置P2=線あり、情報記録位置P3=線あり、情報記録位置P4=線あり、情報記録位置P5=線ありであり、情報コード15=“1111”の値としては、
図4のテーブルから“F”が記録されていることが分かる。
【0021】
同様に、
図3(c)に示す例の場合には、情報記録位置P2=線なし、情報記録位置P3=線あり、情報記録位置P4=線なし、情報記録位置P5=線ありであり、情報コード15=“0101”となり、情報コード15の値としては、
図4のテーブルから“5”が記録されていることが分かる。
【0022】
さらに、
図3(d)に示す例の場合には、情報記録位置P2=線あり、情報記録位置P3=線なし、情報記録位置P4=線なし、情報記録位置P5=線ありであり、
図4のテーブルから情報コード15=“1001”となり、情報コード15の値としては、
図4のテーブルから“9”が記録されていることが分かる。
【0023】
以上は、4ビットの情報を用いる場合のものであったが、特定の情報として、例えば、記録媒体10の所有者を特定し得るID番号(
図1の例の場合、「12345678」)を記録するようにすることも可能である。
【0024】
図1の例のように、ID番号が8桁の数値であるならば、記録媒体10の端面10Xまで、情報記録位置P1〜P6の6箇所×8桁=48本(最大値)の線を記録することで、ID番号を記録することが可能となる。
なお、これらのうち、8本は開始フラグ14として用いられ、他の8本は終了フラグとして用いられるので、残りの32本(最大値)でID番号が表されることとなる。
【0025】
ここで、記録媒体10に実際に線(
図2の例の場合、線13A〜13E)を記録する場合の各線の構成について詳細に説明する。以下の説明においては、線13A〜13Eのように線を識別する必要がないので、線13Xとして説明する。
画像形成領域11から記録媒体10の端面10Xまで線13Xを記録する場合、線13Xの線幅は、人間が裸眼では視認不可能な程度に細くしても良い。
【0026】
具体的には、線13Xの太さを、300lpi(line per inch)相当以下である、およそ、85μm以下とするのが望ましい。
この細さで記録すれば、人間の視覚分解能を超えるため隠ぺい性が向上する。
この場合において、記録する線の太さに理論的な下限は無いが、線幅が細くなるほど真贋判定時の断面観察において、拡大倍率が上がる。したがって、隠ぺい性と真贋判定の利便性(容易性)にはトレードオフがある。
【0027】
このため、記録時の線幅については、印刷装置(記録装置)の性能と真贋判定時の利便性を考慮して任意に決定することが可能である。
なお、画像形成領域11から端面10Xまで線13Xが記録されていることが容易に露見しても問題ないような用途であれば、線13Xの線幅はこれに限定されるものではない。
【0028】
また、線13Xを画像記録エリアの背景として用い、線幅を85μmとした場合に、画像形成領域11の大きさが、例えば、20mm×27.5mmであれば、幅20mmの場合でも、およそ240本の線13Xを記録することが可能であり、上述の例の場合、32桁の情報を記録することが可能である。
【0029】
また、発色層10Bの厚さとしては、1μm以上、700μm以下が望ましい。これは、発色層10Bの厚さが1μm未満であると、記録媒体10の端面10Xの観察が、ルーペ等の簡易な拡大鏡では困難になるからである。また、発色層10Bの厚さが700μmを越えると、記録媒体10として、クレジットカード等の標準的なカードの厚さである0.7mmを超えることとなるからである。
【0030】
さらに発色層10Bの厚さとしては、20μm以下であるのがより好ましい。
これは、20μm以下の厚さとすると、記録媒体10の端面10Xにおける線の太さが20μm以下となるため、一般的、かつ、安価なインクジェット等のプリンタで形成されるドット径以下になり、端面10Xへ印刷を施すような、偽造は困難、かつ、高コストになるため、偽変造防止効果も高まるからである。
【0031】
ここで、記録媒体10の構成についてより詳細に説明する。
第1実施形態における記録媒体10は、上述したように、基材10Aと、発色層10Bと、表層としての保護層10Cと、を備えている。
【0032】
まず基材10Aについて説明する。
基材10Aとしては、一般的にカード、紙、フィルム素材として用いられる、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリエステルなどが使用可能である。
【0033】
また、これらのほかに特許第3889431号、特許第4215817号、特許第4329744号、特許第4391286号、などに記載の紙(用紙)および樹脂材料を使用可能である。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート(A−PET、PETG)、ポリシクロヘキサン1,4−ジメチルフタレート(PCT)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、透明ABS(MABS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリビニルアルコール(PVA)、スチレンブタジエンコポリマー(SBR)、アクリル樹脂、アクリル変性ウレタン樹脂、スチレン/アクリル樹脂、エチレン/アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアマイド樹脂、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、生分解性樹脂、セルロース系樹脂等のその他の樹脂、紙基材、金属素材、その他が使用できる。
【0034】
上記構成において、好ましくは白色ないし透明な樹脂を使用することが望ましい。
ここで透明とは、可視光領域における光透過率が、可視光領域を平均して30%以上であることをいう。
【0035】
次に発色層10Bについて説明する。
発色層10Bについては、基材10Aについて述べたいずれかの樹脂に対し、エネルギー吸収体として特許第3889431号、特許第4215817号、特許第4329744号、特許第4391286号等に記載のものを用い、樹脂100重量部に対して、エネルギー吸収体を0.001〜5重量部含有したものを使用可能である。
【0036】
具体的には、エネルギー吸収体として、カーボンブラック、金属の単体、金属の塩、金属の水酸化物、金属酸化物、金属硫化物、炭酸塩および金属ケイ酸塩の群から選ばれた少なくとも1種を用いることが可能である。
また、エネルギー吸収体としての金属の単体としては、鉄、亜鉛、スズ、ニッケル、銅、銀、金等が挙げられる。
【0037】
また、エネルギー吸収体としての金属の塩としては、炭酸銅、炭酸ニッケル、炭酸マンガン、炭酸コバルト、炭酸ランタン、硝酸マグネシウム、硝酸マンガン、硝酸鉄、硝酸カドミウム、硝酸亜鉛、硝酸コバルト、硝酸鉛、硝酸ニッケル、硝酸銅、硝酸パラジウム、硝酸ランタン、酢酸マグネシウム、酢酸マンガン、酢酸カドミウム、酢酸亜鉛、酢酸コバルト、酢酸鉛、酢酸ニッケル、酢酸銅、酢酸パラジウム、塩化銅、塩化鉄、塩化コバルト、塩化ニッケル、塩化銀、塩化亜鉛、リン酸銅、リン酸鉄、リン酸コバルト、ピロリン酸銅、硫酸銅、硫酸鉄、硫酸コバルト、シュウ酸銅、シュウ酸鉄、シュウ酸コバルト、安息香酸銅、安息香酸鉄、安息香酸コバルト、芳香環を有するホスホン酸銅等が挙げられる。
【0038】
また、エネルギー吸収体としての金属の水酸化物としては、水酸化銅、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化アンチモン、水酸化コバルト、水酸化ニッケル、水酸化鉄、水酸化ランタン等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、アルミナ、酸化鉄、鉄黒、酸化チタン、酸化珪素、三酸化アンチモン、酸化コバルト、酸化鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化マンガン、酸化モリブテン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化パラジウム、酸化ランタン、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、インジウムドープ酸化スズ(ITO)、合成ゼオライト、天然ゼオライト、銅−モリブテン複合酸化物(42−903A、東缶マテリアル・テクノロジー株式会社製)等が挙げられる。
【0039】
また、エネルギー吸収体としての金属酸化物としては、層状構造を有する、マイカ、モンモリロナイト、スメクタイト等を用いることもできる。
また、エネルギー吸収体として金属硫化物としては、硫化亜鉛、硫化カドミニウム等が挙げられる。
【0040】
また、エネルギー吸収体としての炭酸塩としては炭酸カルシウム等が挙げられ、金属ケイ酸塩としてはケイ酸アルミナ、鉄を含むケイ酸アルミナ(マイカ)、含水ケイ酸アルミナ(カオリン)、ケイ酸マグネシウム(タルク)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等が挙げられる。
【0041】
さらに、エネルギー吸収体に代えて、ある閾値の温度を超えて発色するロイコ染料、ロイコ色素やその他示温材料を用いてもよい。
具体的には、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチル−インドール−3−イル)フタリド、7−(1−ブチル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)−7−(4−ジエチルアミノ−2−メチル−フェニル)−7H−フロ[3,4−b]ピリジン−5−オン、1−(2,4−ジクロロ−フェニルカルバモイル)−3,3−ジメチル−2−オキソ−1−フェノキシ−ブチル−(4−ジエチルアミノ−フェニル)−カルバミン酸イソブチルエステル、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名クリスタルバイオレットラクトン=CVL)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−アミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ニトロフタリド、3,3−ビス3−ジメチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(2−フルオロフェニルアミノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2−フルオロフェニルアミノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−(N−メチルアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−イソアミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N,N−ジエチルアミノ−7−o−クロルアニリノフルオラン、ローダミンBラクタム、3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロナフトピラン等の発色染料を用いることが可能である。
【0042】
また、顕色剤としては感熱記録体において電子受容体として使用される酸性物質がいずれも使用でき、例えば活性白土、酸性白土等の無機物質、無機酸、芳香族カルボン酸、その無水物またはその金属塩類、有機スルホン酸、その他の有機酸、フェノール系化合物等の有機系顕色剤などが挙げられ、なかでもフェノール系化合物が好ましい。
【0043】
具体的な例としては、ビス3−アリル−4−ヒドロキシフェニルスルホン、ポリヒドロキシスチレン、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸の亜鉛塩、3−オクチル−5−メチルサリチル酸の亜鉛塩、フェノール、4−フェニルフェノール、4−ヒドロキシアセトフェノン、2,2′−ジヒドロキシジフェニル、2,2′−メチレンビス(4−クロロフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−イソプロピリデンジフェノール(別名ビスフェノールA)、4,4′−イソプロピリデンビス(2−クロロフェノール)、4,4′−イソプロピリデンビス(2−メチルフェノール)、4,4′−エチレンビス(2−メチルフェノール)、4,4′−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ヘプタン、4,4′−シクロヘキシリデンビス(2−イソプロピルフェノール)、4,4′−スルホニルジフェノール等のフェノール系化合物、該フェノール系化合物の塩、サリチル酸アニリド、ノボラック型フェノール樹脂、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル等が挙げられる。
【0044】
保護層10Cとしては、一般的にカード、紙、フィルム素材として用いられる、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリエステルなどを使用できる。これらのほかに特許第3889431号、特許第4215817号、特許第4329744号、特許第4391286号、などに記載の紙および樹脂材料を使用できる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(A−PET、PETG)、ポリシクロヘキサン1,4−ジメチルフタレート(PCT)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、透明ABS(MABS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリビニルアルコール(PVA)、スチレンブタジエンコポリマー(SBR)、アクリル樹脂、アクリル変性ウレタン樹脂、スチレン/アクリル樹脂、エチレン/アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアマイド樹脂、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、生分解性樹脂、セルロース系樹脂等その他の樹脂、紙基材、金属素材、その他が使用できる。
【0045】
また保護層10Cは、発色層10Bに記録される内容を視認できる必要があることから、透明な樹脂を使用することが望ましい。ここで透明とは、可視光領域における光透過率が、可視光領域を平均して30%以上であることをいう。
【0046】
また、内部の発色層10Bがレーザ光によって発色する材料である場合には、保護層10Cは、用いるレーザ光の波長領域を透過する材料である必要がある。
具体的にはYAG、YVO
4レーザなどの波長である1064nm、およびその高調波である532nm、355nm、266nmなどの波長を含む。
【0047】
また、半導体レーザ等を用いる場合には、単一波長ではないため、一定の範囲、例えば、700〜1200nmの領域の波長を透過する材料である必要がある。
【0048】
以上の説明のように、第1実施形態または第1実施形態の変形例によれば、記録媒体10の表面10Sから観察した場合の全ての線13Xの位置と、記録媒体10の端面10Xから観察した場合の全ての線13Xの位置と、が一致していれば、その記録媒体10の印面が偽変造や改ざんされていない可能性がより高いということを確認できる。
【0049】
[2]第2実施形態
以上の第1実施形態においては、発色層10Bが1層で構成されている場合のものであったが、本第2実施形態は、発色層10Bが色が異なる複数の発色層を備えている場合の実施形態である。
【0050】
図5は、第2実施形態の記録媒体の詳細構成説明図である。
複数の発色層としては、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)等の印刷における三原色を用いることができる。印面の概要は、
図1と同様であるが、媒体断面は
図5に示すように複数色が観察される。ここでは、入力するエネルギーの形態の一つである熱、すなわち温度で説明をする。
【0051】
まず、第2実施形態の原理説明を行う。
第2実施形態の記録媒体10においては、レーザ照射によって少なくとも保護層10C上で発生した熱が発色層10Bを構成している複数の発色層に伝導して各層の温度が変化するのをレーザによる熱の与え方によって制御、すなわち、レーザの照射条件によって温度を制御することにより複数の発色層における発色を制御している。
【0052】
第2実施形態の記録媒体10は、
図5の丸枠内に示すように、基材10A上に、低温発色層10BL、第1スペーサ層10BS1、中温発色層10BM、第2スペーサ層10BS2、高温発色層10BH、機能層10F及び保護層10Cがこの順番で積層されている。
ここで、低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHは、画像記録がなされる感熱記録層を構成し、第1スペーサ層10BS1及び第2スペーサ層10BS2は、断熱および伝熱を行う中間層を構成している。
【0053】
上記構成において、基材10Aは、低温発色層10BL、第1スペーサ層10BS1、中温発色層10BM、第2スペーサ層10BS2、高温発色層10BH、機能層10F及び保護層10Cを保持する。
低温発色層10BLは、その温度が第1閾値温度Tl以上となると発色する感熱材料としての示温材料を含む層である。この低温発色層10BLの第1閾値温度Tlとしては、例えば、60℃〜140℃の範囲に設定される。
【0054】
第1スペーサ層10BS1は、低温発色層10BLの非発色時に熱的障壁を与え、低温発色層10BLに対する中温発色層10BM側からの伝熱を抑制する層である。
中温発色層10BMは、その温度が第2閾値温度Tm(>Tl)以上となると発色する感熱材料としての示温材料を含む層である。この中温発色層10BMの第2閾値温度Tmとしては、例えば、100℃〜200℃の範囲に設定される。
【0055】
第2スペーサ層10BS2は、中温発色層10BMの非発色時に熱的障壁を与え、中温発色層10BMに対する高温発色層10BH側からの伝熱を抑制する層である。
高温発色層10BHは、その温度が第3閾値温度Th(>Tm)以上となると発色する感熱材料としての示温材料を含む層である。この高温発色層10BHの第3閾値温度Thとしては、例えば、150℃〜270℃の範囲に設定される。
【0056】
機能層10Fは、必要な機能に応じて設けられる層である。機能層10Fの具体的な機能としては、ホログラム、レンチキュラーレンズ、マイクロアレイレンズ、紫外励起型の蛍光インク等の偽造防止アイテムの挿入、紫外線カット層など内部保護アイテムの挿入、またはそれら両方の機能等を用いることができる。
【0057】
保護層10Cは、低温発色層10BL、第1スペーサ層10BS1、中温発色層10BM、第2スペーサ層10BS2、高温発色層10BH及び機能層10Fを保護するための層である。
【0058】
図6は、第2実施形態の単色発色における発色原理の説明図である。
なお、
図6においては、理解の容易のため、機能層10Fは設けていない。
図6(a)は、低温発色層10BLを個別に発色させる場合の原理説明図である。
また、
図6(b)は、中温発色層10BMを個別に発色させる場合の原理説明図である。
また、
図6(c)は、高温発色層10BHを個別に発色させる際の原理説明図である。
【0059】
図7は、第2実施形態における単色発色時の温度制御の説明図である。
図7(a)は、低温発色層10BLを個別に発色させる場合の温度制御の説明図である。
図7中、記録媒体10の表面10Sの温度を温度TPSで示している。
また、
図7(b)は、中温発色層10BMを個別に発色させる場合の温度制御の説明図である。
また、
図7(c)は、高温発色層10BHを個別に発色させる際の温度制御の説明図である。
【0060】
低温発色層10BLのみを発色させる際には、レーザ照射位置SPTから低温発色層10BLまで熱が伝わり、低温発色層10BLの温度TPLが第1閾値温度Tlを超える必要があるが、同時に中温発色層10BMの温度TPMが第2閾値温度Tmを越えず、かつ、高温発色層10BHの温度TPHが第3閾値温度Thを超えないレーザ照射条件、すなわち、
図7(a)で示すような温度制御状態で記録を行う。
この結果、
図6(a)に示すように、低温発色層10BLの発色領域ALで発色することとなる。
【0061】
また、中温発色層10BMのみを発色させる際には、レーザ照射位置SPTから中温発色層10BMまで熱が伝わり、中温発色層10BMの温度TPMが第2閾値温度Tmを超える必要があるが、同時に高温発色層10BHの温度TPHが第3閾値温度Thを超えず、かつ、第1スペーサ層10BS1により伝熱を抑制し、低温発色層10BLの温度TPLも第1閾値温度Tlを超えないレーザ照射条件、すなわち、
図7(b)で示すような温度制御状態で記録を行う。
この結果、
図6(b)に示すように、中温発色層10BMの発色領域AMで発色することとなる。
【0062】
また、高温発色層10BHのみを発色させる際には、レーザ照射位置SPTから高温発色層10BHまで熱が伝わり、高温発色層10BHの温度TPHが第3閾値温度Thを超える必要があるが、同時に第2スペーサ層10BS2および第1スペーサ層10BS1により、伝熱を抑制し、中温発色層10BMの温度が第2閾値温度Tmを越えず、かつ、低温発色層10BLの温度が第1閾値温度Tlを超えないレーザ照射条件、すなわち、
図7(c)で示すような温度制御状態で記録を行う。
この結果、
図6(c)に示すように、高温発色層10BHの発色領域AHで発色することとなる。
【0063】
図8は、レーザ照射条件の一例の説明図である。
図8に示すように、低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHの各層を発色するためのレーザ光のパワー密度及び記録時間を、それぞれ、パワー密度PDl、PDm、PDhとし、記録時間tl、tm、thとした場合、
PDl<PDm<PDh、かつ、th<tm<tl
の条件を満たすように設定する。
【0064】
換言すれば、パワー密度については、
PDl+α1=PDm+α2=PDh (α1>α2>0)
とする。この場合において、α1及びα2の値については、低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHを構成している材料に応じて事前に適宜設定されるものとする。
【0065】
また、記録時間についても、
th+β1=tm+β2=tl (β1>β2>0)
とする。この場合において、β1及びβ2の値については、低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHを構成している材料に応じて事前に適宜設定されるものとする。
【0066】
すなわち、低温発色層10BLを選択的に発色させるために、パワー密度PDlを相対的に最も小さく、かつ、記録時間tlを相対的に最も大きくする。
このような条件でレーザ光を照射することで、高温発色層10BHおよび中温発色層10BMに熱が伝わる段階では、中温発色層10BMの温度が第2閾値温度Tmを越えず、かつ、高温発色層10BHの温度が第3閾値温度Thを超えないまま、低温発色層10BLの温度が第1閾値温度Tlを越えるようにすることができる。
【0067】
また、選択的に高温発色層10BHを発色させるために、パワー密度PDhを相対的に最も大きく、かつ、記録時間thを相対的に最も短くする。このような条件でレーザ光を照射することで、中温発色層10BMおよび低温発色層10BLに熱が伝わる段階では中温発色層10BMの閾値、および低温発色層10BLの閾値の温度を超えないまま、高温発色層10BHのみ閾値の温度を超えさせることができる。
【0068】
また、選択的に中温発色層10BMのみを発色させるためには、パワー密度PDmおよび記録時間tmを上記のような相対的に中間の値にする。
【0069】
このような条件でレーザを照射することにより、高温発色層10BHおよび低温発色層10BLに熱が伝わる段階では高温発色層10BHの閾値、および低温発色層10BLの閾値の温度を超えないまま、中温発色層10BMのみ閾値の温度を超えさせることができる。
【0070】
上述したように、選択的に三原色に対応する各層を発色させることが可能なため、三原色を組み合わせたフルカラーの記録が可能になる。さらに、本第2実施形態の方法によれば、記録媒体10の各層の積層方向に三原色を重ねて記録することができるため、三原色を二次元平面に沿って別個配置する場合と比較して、比較的低い解像度でも見栄えの良い画像を提供できる。
【0071】
次にレーザ記録装置について説明する。
図9は、実施形態のレーザ記録装置の概要構成ブロック図である。
レーザ記録装置100は、記録用のレーザ光LBを記録ステージ101上に載置された記録媒体10に対して出射するレーザヘッド部102と、レーザヘッド部102の出射したレーザ光LBを実効的に走査するために記録ステージ101を駆動するための駆動部103と、外部より入力された記録画像データに基づいて、レーザヘッド部102及び駆動部103を制御するマイクロコンピュータとして構成された制御部104と、を備えている。
【0072】
上記構成において、レーザヘッド部102は、制御部104の制御下で、レーザ光LBの焦点位置及びレーザ光LBのスポット径を制御する光学系としてのスポット制御部102Aを備えている。
【0073】
また、制御部104は、予め記憶した制御プログラムに基づいて、レーザヘッド部102から出射するレーザ光LBのパワー密度、照射時間、焦点位置、スポット径等を制御することで、低温発色層10BL、中温発色層10BM、高温発色層10BHのうち、所望の一又は複数の発色層を発色させることが可能となる。
【0074】
図10は、各発色層を単独で発色させるためのエネルギー量と入力時間との関係説明図である。
図10に示すように、低温発色層10BLを単独で発色させるためのエネルギー量と入力時間とを満たす領域は領域ALで示され、中温発色層10BMを単独で発色させるためのエネルギー量と入力時間とを満たす領域は領域AMで示され、高温発色層10BHを単独で発色させるためのエネルギー量と入力時間とを満たす領域は領域AHで示される。
【0075】
本第2実施形態においても、偽変造防止効果並びに、真贋判定の正確性を向上させる目的で、記録媒体10の端面10Xまで延長する線13Xの配置や発色させる発色層を媒体毎に変更することによってコード化し、特定の情報を埋め込むことが可能である。
以下、コードの割当について、例として、4つの態様について説明する。なお、この4つの態様に限らず、様々な割当の態様が可能である。
【0076】
[2.1]第1態様
図11は、第2実施形態の第1態様のコード割当の説明図である。
図11においては、第2実施形態の第1態様のコード割当を行った場合の記録媒体の端面から見た場合の部分拡大説明図を示している。
【0077】
図11(a)に示すように、記録媒体10の低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHのそれぞれには、例えば、6箇所の情報記録位置P1〜P6が設定されている。
そして、情報記録位置P1は、
図11(b)〜
図11(d)に示すように、情報の記録開始位置を表す開始フラグ14の記録位置とされ、情報記録位置P6は情報の記録終了位置を表す終了フラグ16の記録位置としている。
【0078】
そして、情報記録位置P2〜P5の4箇所は、それぞれ1ビットの情報を記録可能で、全体として4ビットで表されるコードが記録される情報記録位置としている。
本第1態様のコード割当においては、情報コードの読み取りは、
図11(a)中に示すように、左から右方向となっている。
【0079】
図12は、第2実施形態の第1態様のコード割当の場合における情報記録例の対応テーブルの説明図である。
本第1態様の場合には、記録媒体10の低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHの全てに同一のコードに対応する4ビットで表される16個のコード(16進数の0〜F)のうちいずれかが情報コード15として情報記録位置P2〜P5に記録可能となっている。すなわち、本第1態様においては、記録媒体10の低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BH全体として一つのコードが記録されていることとなる。
【0080】
そして、例えば、
図11(b)に示す例の場合には、低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHの全てにおいて、情報記録位置P2=線あり、情報記録位置P3=線あり、情報記録位置P4=線あり、情報記録位置P5=線あり、であり、情報コード15=“1111”の値としては、
図12のテーブルから“F”が記録されていることが分かる。
【0081】
同様に、
図11(c)に示す例の場合には、低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHの全てにおいて、情報記録位置P2=線なし、情報記録位置P3=線あり、情報記録位置P4=線なし、情報記録位置P5=線あり、であり、情報コード15=“0101”となり、情報コード15の値としては、
図12のテーブルから“5”が記録されていることが分かる。
【0082】
さらに、
図11(d)に示す例の場合には、低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHの全てにおいて、情報記録位置P2=線あり、情報記録位置P3=線なし、情報記録位置P4=線なし、情報記録位置P5=線あり、であり、情報コード15=“1001”となり、情報コード15の値としては、
図12のテーブルから“9”が記録されていることが分かる。
【0083】
以上は、4ビットの情報を用いる場合のものであったが、特定の情報として、例えば、記録媒体10の所有者を特定し得るID番号(
図1の例の場合、「12345678」)を第1実施形態と同様に記録するようにすることも可能である。
【0084】
この場合において、開始フラグ14及び終了フラグ16については、フラグ間に情報コード15が埋め込まれている目印としての役割を果たせればよいので、線が引かれていることが分かれば、任意の色(単色あるいは混色)とすることが可能である。
【0085】
なお、
図11の例の場合には、情報コード15は、記録媒体10の表面10Sから視認した場合には、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の混色により黒色(K)の線として観察され、記録媒体10の端面10Xからはシアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)がそれぞれ別個に発色している状態を視認できることとなる。
【0086】
[2.2]第2態様
図13は、第2実施形態の第2態様のコード割当の説明図である。
図13においては、第2実施形態の第2態様のコード割当を行った場合の記録媒体の端面から見た場合の部分拡大説明図を示している。
図13(a)に示すように、記録媒体10の低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHのそれぞれには、例えば、4箇所の情報記録位置P11〜P14が設定されている。
【0087】
そして、情報記録位置P11は、
図13(b)〜
図13(d)に示すように、情報の記録開始位置を表す開始フラグ14の記録位置とされ、情報記録位置P14は情報の記録終了位置を表す終了フラグ16の記録位置としている。
そして、情報記録位置P12〜P13の2箇所は、それぞれ3ビットの情報を記録可能で、全体として6ビットで表されるコードが記録される情報記録位置としている。
【0088】
本第2態様のコード割当においては、情報コードの読み取りは、
図13(a)中に示すように、まず情報記録位置P12を高温発色層10BH→中温発色層10BM→低温発色層10BLのように上から下方向で読み取り、続いて情報記録位置P13を高温発色層10BH→中温発色層10BM→低温発色層10BLのように上から下方向で読み取るように設定されている。
【0089】
図14は、第2実施形態の第2態様のコード割当の場合における情報記録例の対応テーブルの説明図である。
そして、例えば、
図13(b)に示す例の場合には、高温発色層10BHの情報記録位置P12=線あり、中温発色層10BMの情報記録位置P12=線あり、低温発色層10BLの情報記録位置P12=線あり、高温発色層10BHの情報記録位置P13=線あり、中温発色層10BMの情報記録位置P13=線あり、低温発色層10BLの情報記録位置P13=線あり、であり、情報コード15=“111111”の値としては、
図14のテーブルから“!”が記録されていることが分かる。
【0090】
同様に、
図13(c)に示す例の場合には、高温発色層10BHの情報記録位置P12=線なし、中温発色層10BMの情報記録位置P12=線なし、低温発色層10BLの情報記録位置P12=線なし、高温発色層10BHの情報記録位置P13=線あり、中温発色層10BMの情報記録位置P13=線なし、低温発色層10BLの情報記録位置P13=線あり、であり、情報コード15=“000101”の値としては、
図14のテーブルから“5”が記録されていることが分かる。
【0091】
同様に、
図13(d)に示す例の場合には、高温発色層10BHの情報記録位置P12=線あり、中温発色層10BMの情報記録位置P12=線なし、低温発色層10BLの情報記録位置P12=線なし、高温発色層10BHの情報記録位置P13=線あり、中温発色層10BMの情報記録位置P13=線なし、低温発色層10BLの情報記録位置P13=線なし、であり、情報コード15=“100100”の値としては、
図14のテーブルから“a”が記録されていることが分かる。
【0092】
[2.3]第3態様
図15は、第2実施形態の第3態様のコード割当の説明図である。
本第3態様においては、上記第1態様及び第2態様で用いていた、開始フラグ14及び終了フラグ16を用いていない点が異なっている。
図15においては、第2実施形態の第3態様のコード割当を行った場合の記録媒体の端面から見た場合の部分拡大説明図を示している。
【0093】
図15(a)に示すように、記録媒体10の低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHのそれぞれには、例えば、2箇所の情報記録位置P21、P22が設定され、それぞれ3ビットの情報を記録可能で、全体として6ビットで表されるコードが記録される情報記録位置としている。
【0094】
本第3態様のコード割当においては、情報コードの読み取りは、
図15(a)中に示すように、まず情報記録位置P21を高温発色層10BH→中温発色層10BM→低温発色層10BLのように上から下方向で読み取り、続いて情報記録位置P22を高温発色層10BH→中温発色層10BM→低温発色層10BLのように上から下方向で読み取るように設定されている。
【0095】
図16は、第2実施形態の第3態様のコード割当の場合における情報記録例の対応テーブルの説明図である。
そして、例えば、
図15(b)に示す例の場合には、高温発色層10BHの情報記録位置P21=線あり、中温発色層10BMの情報記録位置P21=線あり、低温発色層10BLの情報記録位置P21=線あり、高温発色層10BHの情報記録位置P22=線あり、中温発色層10BMの情報記録位置P22=線あり、低温発色層10BLの情報記録位置P22=線あり、であり、情報コード15=“111111”の値としては、
図16のテーブルから“m”が記録されていることが分かる。
【0096】
同様に、
図15(c)に示す例の場合には、高温発色層10BHの情報記録位置P21=線あり、中温発色層10BMの情報記録位置P21=線なし、低温発色層10BLの情報記録位置P21=線なし、高温発色層10BHの情報記録位置P22=線あり、中温発色層10BMの情報記録位置P22=線なし、低温発色層10BLの情報記録位置P22=線あり、であり、情報コード15=“100101”の値としては、
図16のテーブルから“P”が記録されていることが分かる。
【0097】
同様に、
図15(d)に示す例の場合には、高温発色層10BHの情報記録位置P21=線あり、中温発色層10BMの情報記録位置P21=線なし、低温発色層10BLの情報記録位置P21=線なし、高温発色層10BHの情報記録位置P22=線あり、中温発色層10BMの情報記録位置P22=線なし、低温発色層10BLの情報記録位置P22=線なし、であり、情報コード15=“100100”の値としては、
図16のテーブルから“O”が記録されていることが分かる。
【0098】
[2.4]第4態様
図17は、第2実施形態の第4態様のコード割当の説明図である。
本第4態様においても、上記第3態様と同様に、開始フラグ14及び終了フラグ16を用いていない。
図17においては、第2実施形態の第4態様のコード割当を行った場合の記録媒体の端面から見た場合の部分拡大説明図を示している。
【0099】
図17(a)に示すように、記録媒体10の低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHのそれぞれには、例えば、2箇所の情報記録位置P21、P22が設定され、それぞれ3ビットの情報を記録可能で、全体として6ビットで表されるコードが記録される情報記録位置としている。
【0100】
本第4態様のコード割当においては、情報コードの読み取りは、
図17(a)中に示すように、まず情報記録位置P21を低温発色層10BL→中温発色層10BM→高温発色層10BHのように下から上方向で読み取り、続いて情報記録位置P22を低温発色層10BL→中温発色層10BM→高温発色層10BHのように下から上方向で読み取るように設定されている。
【0101】
図18は、第2実施形態の第4態様のコード割当の場合における情報記録例の対応テーブルの説明図である。
そして、例えば、
図17(b)に示す例の場合には、低温発色層10BLの情報記録位置P21=線なし、中温発色層10BMの情報記録位置P21=線あり、高温発色層10BHの情報記録位置P21=線あり、低温発色層10BLの情報記録位置P22=線あり、中温発色層10BMの情報記録位置P22=線あり、高温発色層10BHの情報記録位置P22=線あり、であり、情報コード15=“011111”の値としては、
図18のテーブルから“9”が記録されていることが分かる。
【0102】
同様に、
図17(c)に示す例の場合には、低温発色層10BLの情報記録位置P21=線なし、中温発色層10BMの情報記録位置P21=線なし、高温発色層10BHの情報記録位置P21=線あり、低温発色層10BLの情報記録位置P22=線あり、中温発色層10BMの情報記録位置P22=線なし、高温発色層10BHの情報記録位置P22=線あり、であり、情報コード15=“001101”の値としては、
図18のテーブルから“6”が記録されていることが分かる。
【0103】
同様に、
図17(d)に示す例の場合には、低温発色層10BLの情報記録位置P21=線なし、中温発色層10BMの情報記録位置P21=線なし、高温発色層10BHの情報記録位置P21=線あり、低温発色層10BLの情報記録位置P22=線なし、中温発色層10BMの情報記録位置P22=線なし、高温発色層10BHの情報記録位置P22=線あり、であり、情報コード15=“001001”の値としては、
図18のテーブルから“0”が記録されていることが分かる。
【0104】
図19は、第2実施形態における混色発色時の温度制御の説明図(その1)である。
この場合において、低温発色層10BLは、シアン(C)の発色層であり、中温発色層10BMは、マゼンタ(M)の発色層であり、高温発色層10BHは、イエロー(Y)の発色層であるものとする。
【0105】
図19(a)は、マゼンタ(M)の発色層である中温発色層10BM及びイエロー(Y)の発色層である高温発色層10BHを発色させ、赤(R)を発色させる場合の温度制御の説明図である。
図19(b)は、シアン(C)の発色層である低温発色層10BL及びマゼンタ(M)の発色層である中温発色層10BMを発色させ、青(B)を発色させる場合の温度制御の説明図である。
【0106】
図19(c)は、シアン(C)の発色層である低温発色層10BL、マゼンタ(M)の発色層である中温発色層10BM及びイエロー(Y)の発色層である高温発色層10BHを発色させ、黒(K)を発色させる場合の温度制御の説明図である。
【0107】
マゼンタ(M)の発色層である中温発色層10BM及びイエロー(Y)の発色層である高温発色層10BHを発色させ、赤(R)を発色させる際には、低温発色層10BLの温度TPLが第1閾値温度Tlを超えず、同時に中温発色層10BMの温度TPMが第2閾値温度Tmを越え、かつ、高温発色層10BHの温度TPHが第3閾値温度Thを超えるレーザ照射条件、すなわち、
図9(a)で示すようにレーザの照射時間(横軸)を時間帯TBに収まるような温度制御状態で記録を行う。
この結果、マゼンタ(M)の発色層である中温発色層10BM及びイエロー(Y)の発色層である高温発色層10BHを発色させ、赤(R)を発色させることができる。
【0108】
また、シアン(C)の発色層である低温発色層10BL及びマゼンタ(M)の発色層である中温発色層10BMを発色させ、青(B)を発色させる際には、レーザ照射位置から低温発色層10BLまで熱が伝わり、低温発色層10BLの温度TPLが第1閾値温度Tlを超え、かつ、中温発色層10BMの温度TPMが第2閾値温度Tmを超える必要があるが、同時に高温発色層10BHの温度TPHが第3閾値温度Thを超えないレーザ照射条件、すなわち、
図19(b)で示すようにレーザの照射時間(横軸)を時間帯TBに収まるような温度制御状態で記録を行う。
この結果、シアン(C)の発色層である低温発色層10BL及びマゼンタ(M)の発色層である中温発色層10BMを発色させ、青(B)を発色させることができる。
【0109】
また、シアン(C)の発色層である低温発色層10BL、マゼンタ(M)の発色層である中温発色層10BM及びイエロー(Y)の発色層である高温発色層10BHを発色させ、黒(K)を発色させる際には、レーザ照射位置から低温発色層10BLまで熱が伝わり、低温発色層10BLの温度TPLが第1閾値温度Tlを超え、中温発色層10BMの温度TPMが第2閾値温度Tmを超え、かつ、高温発色層10BHの温度TPHが第3閾値温度Thを超えるレーザ照射条件、すなわち、
図19(c)で示すようにレーザの照射時間(横軸)を時間帯TBに収まるような温度制御状態で記録を行う。
この結果、
図19(c)に示すように、シアン(C)の発色層である低温発色層10BL、マゼンタ(M)の発色層である中温発色層10BM及びイエロー(Y)の発色層である高温発色層10BHを発色させ、黒(K)を発色させることができる。
【0110】
図20は、第2実施形態における混色発色時の温度制御の説明図(その2)である。
図20は、マゼンタ(M)の発色層である中温発色層10BMを介して配置されたシアン(C)の発色層である低温発色層10BL及びイエロー(Y)の発色層である高温発色層10BHを発色させ、緑(G)を発色させる場合の温度制御の説明図である。
【0111】
この場合には、
図20に示すように、最初に一気に高温発色層10BHの温度を上げ、イエロー(Y)を発色させてから、中温発色層10BMの温度がある程度下がった状態で、低温発色層10BLを単独で発色させる
図7(a)で示したような温度制御を行うことで、緑(G)を発色させることができる。
【0112】
[3]第3実施形態
次に記録媒体の端面10Xにまで線を延在する態様が第1実施形態とは異なる第3実施形態について説明する。
図21は、第3実施形態の記録媒体の詳細構成説明図である。
第1実施形態においては、
図2に示した様に、記録媒体10の端面10Xまで延在する線13A〜13Eを、記録媒体10の画像形成領域11の画像の背景部分11Aを構成している線を延ばすことにより形成していたが、本第3実施形態は、
図21に示すように、記録媒体10の画像形成領域11に記録されている画像のエッジ部分、例えば、
図21の場合、被写体の衣服と背景との境界線に相当するエッジ部分11E1あるいは被写体の髪の毛をエッジ部分11E2として検出し、当該エッジ部分11E1、11E2からエッジ部分の色と同色の線13Fあるいは線13G(これらは単独あるいは複数の線である場合も含む)として、記録媒体10の端面10X1、10X2まで延在するように形成されている。
【0113】
ここで、エッジ部分とは、IDカード等の身分証においては、画像の特徴的な部分、例えば、顔写真の顔の上下端部、服や髪の端部、顔の輪郭などのコントラストの高い部分であり、コントラストの高い部分とは、記録する画像をグレースケール化した際の輝度データを元に微分画像を作成し、その輝度の変化率が微分画像内で相対的に大きな部分のことを言う。
【0114】
このように構成することで、記録媒体10の端面10X1、10X2まで延在する線13F、線13Gの延在位置が画像形成領域11に記録されている画像によって異なることとなるため、記録媒体10の印面の画像の差し替え等の偽変造をする際には、2次元的に位置合わせをする必要が生じるため、偽変造耐性が向上する。
【0115】
図22は、第3実施形態の記録媒体の他の詳細構成説明図である。
図22に示すように、延長した線13F、13G、13H、13Iを、記録媒体10の長手方向および短手方向の双方、すなわち、記録媒体10の端面10X1、10X2の双方それぞれに延在するようにすることも可能である。
このような構成とすることにより、画像の差し替え等の偽変造をする際に、2次元的に位置合わせをする必要が生じるため、偽変造耐性が向上する。
【0116】
図23は、第3実施形態の記録媒体のさらに他の詳細構成説明図である。
顔の輪郭などのコントラストの高いエッジ部分は通常、曲線であることが多いため、
図23に示すように、エッジ部分の形状に合わせて、記録媒体10の端面10X1、10X2まで延長する線も曲線にしても良い。
【0117】
以上の説明のように、本第3実施形態によれば、記録媒体10の端面10X1あるいは端面10X2まで延在する線13F、線13Gの延在位置が画像形成領域11に記録されている画像によって異なることとなるため、記録媒体10の印面の偽変造や改ざんをより一層困難とすることができる。
【0118】
[4]第4実施形態
上記各実施形態は、発色層として、シアン(C)を発色する低温発色層10BL、マゼンタ(M)を発色する中温発色層10BM及びイエロー(Y)を発色する高温発色層10BHの三つの発色層を備える場合のものであったが、本第4実施形態は、さらに加えて黒(K)を発色する超低温発色層10BLLを備える記録媒体を用いる場合の実施形態である。
【0119】
図24は、第4実施形態の記録媒体の詳細構成説明図である。
第4実施形態の記録媒体においても、レーザ照射によって少なくとも保護層10C上で発生した熱が発色層10Bを構成している複数の発色層に伝導して各層の温度が変化するのをレーザによる熱の与え方によって制御、すなわち、レーザの照射条件によって温度を制御することにより複数の発色層における発色を制御している。
【0120】
第4実施形態の記録媒体10は、
図24の丸枠内に示すように、基材10A上に、超低温発色層10BLL、第0スペーサ層10BS0、低温発色層10BL、第1スペーサ層10BS1、中温発色層10BM、第2スペーサ層10BS2、高温発色層10BH、機能層10F及び保護層10Cがこの順番で積層されており、これらにより線13Jが記録されている。
【0121】
ここで、超低温発色層10BLL、低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHは、画像記録がなされる感熱記録層を構成し、第0スペーサ層10BS0、第1スペーサ層10BS1及び第2スペーサ層10BS2は、断熱および伝熱を行う中間層を構成している。
【0122】
上記構成において、低温発色層10BL、第1スペーサ層10BS1、中温発色層10BM、第2スペーサ層10BS2、高温発色層10BH、機能層10F及び保護層10C及び基材10Aは、第2実施形態と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
超低温発色層10BLLは、その温度が第0閾値温度Tll以上となると発色する感熱材料としての示温材料を含む層である。この超低温発色層10BLLの第0閾値温度Tllとしては、例えば、40℃〜90℃の範囲に設定される。
【0123】
第0スペーサ層10BS0は、超低温発色層10BLLの非発色時に熱的障壁を与え、超低温発色層10BLLに対する低温発色層10BL側からの伝熱を抑制する層である。
【0124】
本第4実施形態においても、偽変造防止効果並びに、真贋判定の正確性を向上させる目的で、記録媒体10の端面10Xまで延長する線13Xの配置や発色させる発色層を媒体毎に変更することによってコード化し、特定の情報を埋め込むことが可能である。
以下、コードの割当について、例として、3つの態様について説明する。なお、この3つの態様に限らず、様々な割当の態様が可能である。
【0125】
[4.1]第1態様
図25は、第4実施形態の第1態様のコード割当の説明図である。
図25においては、第4実施形態の第1態様のコード割当を行った場合の記録媒体の端面から見た場合の部分拡大説明図を示している。
図25(a)に示すように、記録媒体10の超低温発色層10BLL、低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHのそれぞれには、例えば、6箇所の情報記録位置P1〜P6が設定されている。
【0126】
そして、情報記録位置P1は、
図25(b)〜
図25(d)に示すように、情報の記録開始位置を表す開始フラグ14の記録位置とされ、情報記録位置P6は情報の記録終了位置を表す終了フラグ16の記録位置としている。
【0127】
また、情報記録位置P2〜P5の4箇所は、それぞれ1ビットの情報を記録可能で、全体として4ビットで表されるコードが記録される情報記録位置としている。
本第1態様のコード割当においては、情報コードの読み取りは、
図25(a)中に示すように、左から右方向となっている。
【0128】
図26は、第4実施形態の第1態様のコード割当の場合における情報記録例の対応テーブルの説明図である。
本第1態様の場合には、記録媒体10の超低温発色層10BLL、低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHの全てに同一のコードに対応する4ビットで表される16個のコード(16進数の0〜F)のうちいずれかが情報コード15として情報記録位置P2〜P5に記録可能となっている。すなわち、本第1態様においては、記録媒体10の超低温発色層10BLL、低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BH全体として一つのコードが記録されていることとなる。
【0129】
そして、例えば、
図26(b)に示す例の場合には、超低温発色層10BLL、低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHの全てにおいて、情報記録位置P2=線あり、情報記録位置P3=線あり、情報記録位置P4=線あり、情報記録位置P5=線あり、であり、情報コード15=“1111”の値としては、
図26のテーブルから“F”が記録されていることが分かる。
【0130】
同様に、
図25(c)に示す例の場合には、超低温発色層10BLL、低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHの全てにおいて、情報記録位置P2=線なし、情報記録位置P3=線あり、情報記録位置P4=線なし、情報記録位置P5=線あり、であり、情報コード15=“0101”となり、情報コード15の値としては、
図26のテーブルから“5”が記録されていることが分かる。
【0131】
さらに、
図25(d)に示す例の場合には、超低温発色層10BLL、低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHの全てにおいて、情報記録位置P2=線あり、情報記録位置P3=線なし、情報記録位置P4=線なし、情報記録位置P5=線あり、であり、情報コード15=“1001”となり、情報コード15の値としては、
図26のテーブルから“9”が記録されていることが分かる。
【0132】
以上は、4ビットの情報を用いる場合のものであったが、特定の情報として、例えば、記録媒体10の所有者を特定し得るID番号(
図1の例の場合、「12345678」)を第1実施形態と同様に記録するようにすることも可能である。
この場合において、開始フラグ14及び終了フラグ16については、フラグ間に情報コード15が埋め込まれている目印としての役割を果たせればよいので、線が引かれていることが分かれば、任意の色(単色あるいは混色)とすることが可能である。
【0133】
なお、
図25の例の場合には、情報コード15は、記録媒体10の表面10Sから視認した場合には、黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の混色により黒色の線として観察され、記録媒体10の端面10Xからは黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)がそれぞれ別個に発色している状態を視認できることとなる。
【0134】
[4.2]第2態様
図27は、第4実施形態の第2態様のコード割当の説明図である。
図27においては、第4実施形態の第3態様のコード割当を行った場合の記録媒体の端面から見た場合の部分拡大説明図を示している。
図27(a)に示すように、記録媒体10の超低温発色層10BLL、低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHには、例えば、6箇所の情報記録位置P1〜P6が設定されている。
【0135】
ここで、本第2態様においては、上記各実施形態と異なり、超低温発色層10BLLについては、情報記録位置P2及び情報記録位置P4として、発色の有無によりそれぞれ1ビットが割り当てられ、低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHについては、情報記録位置P3及び情報記録位置P5として全体としての発色の有無(混色発色としての黒(K)か無発色)によりそれぞれ1ビットが割り当てられ、全体として4ビットの情報を記録することが可能となっている。
【0136】
このような構成とすることにより、発色する場合には、超低温発色層10BLLが発色する場合でも、低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHが全て発色する場合でも、色調は異なるもののいずれも黒(K)であるため、情報コードの埋め込みが露見しにくく、偽変造耐性が向上するというメリットがある。
【0137】
本第2態様のコード割当においては、情報コードの読み取りは、
図27(a)中に示すように、超低温発色層10BLLの情報記録位置P2→低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHの情報記録位置P3→超低温発色層10BLLの情報記録位置P4→低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHの情報記録位置P5となっている。
【0138】
図28は、第4実施形態の第2態様のコード割当の場合における情報記録例の対応テーブルの説明図である。
本第2態様の場合には、4ビットで表される16個のコード(16進数の0〜F)のうちいずれかが情報コード15として情報記録位置P2〜P5に記録可能となっている。
【0139】
そして、例えば、
図27(b)に示す例の場合には、超低温発色層10BLLの情報記録位置P2=線あり、低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHの全てにおいて情報記録位置P3=線あり、超低温発色層10BLLの情報記録位置P4=線あり、低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHの全てにおいて情報記録位置P5=線あり、であり、情報コード15=“1111”の値としては、
図28のテーブルから“F”が記録されていることが分かる。
【0140】
同様に、
図27(c)に示す例の場合には、超低温発色層10BLLの情報記録位置P2=線なし、低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHの全てにおいて情報記録位置P3=線あり、超低温発色層10BLLの情報記録位置P4=線なし、低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHの全てにおいて情報記録位置P5=線あり、であり、情報コード15=“0101”の値としては、
図28のテーブルから“5”が記録されていることが分かる。
【0141】
同様に、
図27(d)に示す例の場合には、超低温発色層10BLLの情報記録位置P2=線あり、低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHの全てにおいて情報記録位置P3=線なし、超低温発色層10BLLの情報記録位置P4=線なし、低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHの全てにおいて情報記録位置P5=線あり、であり、情報コード15=“1001”の値としては、
図28のテーブルから“9”が記録されていることが分かる。
【0142】
以上は、4ビットの情報を用いる場合のものであったが、特定の情報として、例えば、記録媒体10の所有者を特定し得るID番号(
図1の例の場合、「12345678」)を第1実施形態と同様に記録するようにすることも可能である。
【0143】
この場合において、開始フラグ14及び終了フラグ16については、フラグ間に情報コード15が埋め込まれている目印としての役割を果たせればよいので、線が引かれていることが分かれば、任意の色(単色あるいは混色)とすることが可能である。
【0144】
なお、
図27の例の場合にも、情報コード15は、記録媒体10の表面10Sから視認した場合には、黒(K)の発色あるいはシアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の混色による黒色の線として観察され、記録媒体10の端面10Xからは黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)がそれぞれ発色している状態を視認できることとなる。
【0145】
[4.3]第3態様
図29は、第4実施形態の第3態様のコード割当の説明図である。
図29においては、第4実施形態の第2態様のコード割当を行った場合の記録媒体の端面から見た場合の部分拡大説明図を示している。
【0146】
図29(a)に示すように、記録媒体10の超低温発色層10BLL、低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHのそれぞれには、例えば、2箇所の情報記録位置P21、P22が設定されている。
そして、情報記録位置P21、P22には、それぞれ1ビットの情報を記録可能で、全体として4ビットで表されるコードが記録される情報記録位置としている。
【0147】
本第3態様のコード割当においては、情報コードの読み取りは、
図29(a)中に示すように、情報記録位置P21で下から上方向→情報記録位置P22で下から上方向となって、全部で8ビットの情報コードを読み取ることになっている。
【0148】
この場合において、情報記録位置P21及び情報記録位置P22は、開始フラグあるいは終了フラグを兼ねるため、情報記録位置P21及び情報記録位置P12のいずれにおいても記録媒体10の超低温発色層10BLL、低温発色層10BL、中温発色層10BM及び高温発色層10BHのいずれかの層は発色させるように情報コードがコード化されている。
【0149】
図30は、第4実施形態の第3態様のコード割当の場合における情報記録例の対応テーブルの一部(上位4ビットが0001の場合)の説明図である。
したがって、コード化した4ビットのうち、全てが0の場合を除いた15通り×15通り(二つの情報記録位置)=225通りのコードを割り当てることが可能である。
【0150】
この場合において、情報記録位置P21及び情報記録位置P22のいずれか一方に形成される線(セキュリティ用線)は表層に最も近い高温発色層10BHだけに限定すれば、
図30に示したように、例えば、数字0〜9+記号5種の合計15種類に限定すると、線(セキュリティ用線)の記録時間(描画時間)を短縮することができる。
【0151】
そして、例えば、
図30(b)に示す例の場合には、超低温発色層10BLLの情報記録位置P21=線なし、低温発色層10BLの情報記録位置P21=線なし、中温発色層10BMの情報記録位置P21=線なし、高温発色層10BHの情報記録位置P21=線ありであり、超低温発色層10BLLの情報記録位置P22=線あり、低温発色層10BLの情報記録位置P22=線あり、中温発色層10BMの情報記録位置P22=線あり、高温発色層10BHの情報記録位置P22=線ありであり、情報コード15=“00011111”の値としては、
図30のテーブルから“E”が記録されていることが分かる。
【0152】
同様に、
図30(c)に示す例の場合には、超低温発色層10BLLの情報記録位置P21=線なし、低温発色層10BLの情報記録位置P21=線なし、中温発色層10BMの情報記録位置P21=線なし、高温発色層10BHの情報記録位置P21=線ありであり、超低温発色層10BLLの情報記録位置P22=線あり、低温発色層10BLの情報記録位置P22=線なし、中温発色層10BMの情報記録位置P22=線あり、高温発色層10BHの情報記録位置P22=線なしであり、情報コード15=“00011010”の値としては、
図30のテーブルから“9”が記録されていることが分かる。
【0153】
同様に、
図30(d)に示す例の場合には、超低温発色層10BLLの情報記録位置P21=線なし、低温発色層10BLの情報記録位置P21=線なし、中温発色層10BMの情報記録位置P21=線なし、高温発色層10BHの情報記録位置P21=線ありであり、超低温発色層10BLLの情報記録位置P22=線あり、低温発色層10BLの情報記録位置P22=線なし、中温発色層10BMの情報記録位置P22=線なし、高温発色層10BHの情報記録位置P22=線ありであり、情報コード15=“00011001”の値としては、
図30のテーブルから“8”が記録されていることが分かる。
【0154】
以上は、8ビットの情報を用いる場合のものであったが、特定の情報として、例えば、記録媒体10の所有者を特定し得るID番号(
図1の例の場合、「12345678」)を第1実施形態と同様に記録するようにすることも可能である。
【0155】
[5]第5実施形態
上記各実施形態は、記録媒体10において、低温発色層10BL、中温発色層10BM、高温発色層10BH、更に加えて、超低温発色層10BLLを発色させることにより画像が形成された画像形成領域11を有し、セキュリティ用線としての線13は、画像形成領域11内の形成画像に至るようにされていたが、偽変造防止の観点からは、記録媒体10の端面10Xのいずれから基材10Aの発色層の積層面に沿って延在された線(セキュリティ用線)が形成され、端面10Xにおいて光学的にセキュリティ用線の有無が識別可能とされていればよい。
【0156】
[5.1]第1態様
図31は、第5実施形態の第1態様の記録媒体の説明図である。
例えば、
図31に示すように、複数の線13Xで構成された線群(セキュリティ用線群)13G1〜13G4の端面10Xとは異なる側の端部が画像形成領域11内に位置するようにしてもよい。
【0157】
このような態様とすることにより、いずれかの端面10Xにおいて光学的にセキュリティ用線の有無及び情報コードが識別可能であるとともに、記録媒体10の表面10Sからも光学的にセキュリティ用線の有無及び情報コードが識別可能となり、偽変造の確認が容易となる。
【0158】
[5.2]第2態様
図32は、第5実施形態の第2態様の記録媒体の説明図である。
例えば、
図32に示すように、複数の線13Xで構成された線群(セキュリティ用線群)13G1〜13G4の端面10Xとは異なる側の端部が画像形成領域11に接するように配置するようにしてもよい。
【0159】
このような態様とすることによっても、第1態様の場合と同様に、いずれかの端面10Xにおいて光学的にセキュリティ用線の有無及び情報コードが識別可能であるとともに、記録媒体10の表面10Sからも光学的にセキュリティ用線の有無及び情報コードが識別可能となり、偽変造の確認が容易となる。
【0160】
[5.3]第3態様
図33は、第5実施形態の第3態様の記録媒体の説明図である。
したがって、例えば、
図33に示すように、複数の線13で構成された線群(セキュリティ用線群)13G1〜13G4の端面10Xとは異なる側の端部が画像形成領域11に至らないように配置するようにしてもよい。
このような態様とすることによっても、第1態様及び第2態様の場合と同様の効果が得られる。
【0161】
[6]第6実施形態
上記各実施形態においては、いずれかの端面10Xにおいて光学的にセキュリティ用線の有無及び情報コードが識別可能であるとともに、記録媒体10の表面からも光学的にセキュリティ用線の有無及び情報コードが識別可能となっていたが、本第6実施形態は、記録媒体10の表面10Sからは光学的にセキュリティ用線の有無及び情報コードが識別できないようにした場合の実施形態である。
【0162】
図34は、第6実施形態の記録媒体の概要構成図である。
図34において、
図24の第4実施形態の記録媒体と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
【0163】
第6実施形態の記録媒体10が、第4実施形態の記録媒体10と異なる点は、機能層10Fに記録媒体10の表面10S側からみた場合に、セキュリティ用線の存在を隠蔽するように隠蔽層10Gが積層されているとともに、画像形成領域11あるいは特定情報記録エリア12における記録内容を視認可能にするために隠蔽層10Gに開口部WDを設けた点である。
【0164】
図35は、第6実施形態の記録媒体の外観図である。
より詳細には、例えば、
図32に示した記録媒体10に対し、隠蔽層10Gを形成した場合、
図35に示すように、画像形成領域11の記録内容を視認可能とするための開口部WDである開口部WD1及び特定情報記録エリア12における記録内容を視認可能にするための開口部WDである開口部WD2が設けられている。
【0165】
このように構成することで、記録媒体10の表面10Sからは光学的にセキュリティ用線の有無及び情報コードが識別できなくなり、より一層、偽造あるいは変造を困難とすることができる。
【0166】
[7]第7実施形態
以上の説明においては、記録媒体10の端面10Xにおける各発色層10BLL、10BL、10BM、10BHの発色に基づいて偽造あるいは変造を確認する装置については、説明しなかったが、本第7実施形態は、各発色層10BLL、10BL、10BM、10BHの発色に基づいて偽造あるいは変造を確認する装置(照合装置)の具体例に関する実施形態である。
【0167】
図36は、照合装置の概要構成ブロック図である。
照合装置50は、大別すると、記録媒体10の2箇所の端面10Xから各発色層10BLL、10BL、10BM、10BHの発色状態を読み取るための読取部51と、読取部51が読み取った端面10Xの画像に基づいて偽造あるいは変造を確認する制御部52と、制御部52の制御下で照合結果を表示する表示部53と、を備えている。
【0168】
読取部51は、LED等を有し、照明光を出射する照明部51Aと、照明部51Aにより出射された照明光を記録媒体10の対応する端面10Xにそれぞれ導く導光部51B、51Cと、導光部51Bに対向する記録媒体10の端面10Xの画像を撮像する撮像部(カメラ)51Dと、導光部51Cに対向する記録媒体10の端面10Xの画像を撮像する撮像部(カメラ)51Eと、を備えている。
【0169】
この場合において、制御部52は、MPUなどの制御装置と、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶装置と、HDD、CDドライブ装置などの外部記憶装置と、キーボードやマウスなどの入力装置を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成とすることが可能である。
【0170】
この場合において、制御部52の照合対象としては、特定情報記録エリア12に記録されているID番号(
図36の場合、「12345678」であり、端面10Xには、ID番号がセキュリティ用線により記録されているものとする。
【0171】
次に照合手順について説明する。
まず、照合装置50には、照合の指示がなされ、特定情報記録エリア12に記録されているID番号が入力される。
【0172】
この場合において、特定情報記録エリア12に記録されているID番号の入力は、図示しない文字認識装置により、特定情報記録エリア12に記録されているID番号を読み取って入力するか、あるいは、手入力により行う。
【0173】
これにより、照合装置50の制御部52は、照明部51Aを制御し、照明光を出射させ、導光部51B、51Cにより、照明部51Aにより出射された照明光を記録媒体10の対応する端面10Xにそれぞれ導く。
【0174】
これにより、撮像部51Dは、導光部51Bに対向する記録媒体10の端面10Xの画像を撮像して画像データを制御部52に出力する。
また撮像部51Eは、導光部51Cに対向する記録媒体10の端面10Xの画像を撮像し画像データを制御部52に出力する。
【0175】
これにより、制御部52は、入力された画像データから、例えば、上述した開始フラグ14及び終了フラグ16を検出し、開始フラグ14と終了フラグ16との間に記録されている情報コード15に基づいてID番号を抽出する。
そして、この抽出したID番号と入力されたID番号とを比較し、照合結果を表示部53に表示することとなる。
以上の説明のように、本第7実施形態によれば、容易に記録媒体10の端面10Xから情報を読み取って当該記録媒体10の真贋を判別することが可能となる。
【0176】
[8]実施形態の変形例
[8.1]第1変形例
以上の説明においては、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及び黒(K)に対応する各発色層を同一のレーザ光源、例えば、波長2000nm以上のレーザ装置、ファイバーレーザ装置、CO
2レーザ装置、半導体レーザ装置を用いて発色させる構成としていたが、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)に対応する発色層についてはサーマルヘッド、波長2000nm以上のレーザ装置、ファイバーレーザ装置、CO2レーザ装置、半導体レーザ装置を用いて発色させ、黒(K)に対応する発色層については、YAGレーザ装置、YVO
4レーザ装置等の波長1064nmのレーザを用いて発色させる構成とすることも可能である。
【0177】
[8.2]第2変形例
以上の説明においては、発色層が1層、3層及び4層の場合について説明したが、2層の場合および5層以上の場合も同様に適用が可能である。
【0178】
[8.3]第3変形例
第7実施形態の照合装置50を据置型の装置として構成していたが、読取部51、制御部52及び表示部53を一体に構成し、ハンディ型の装置として構成することも可能である。
【0179】
[8.4]第4変形例
第7実施形態の制御部52で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されるようにしてもよい。
【0180】
また、第7実施形態の制御部52で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、制御部52で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0181】
また、第7実施形態の制御部52のプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0182】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。