(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
歯科ユニットは、歯科治療の際に使用される各種設備が備えられるユニットであり、患者が着座する患者用椅子を備えている。そしてその周囲には、施術者が使用する歯科治療のための各種器具が配置されるドクターユニット、主にアシスタントが用いる各種器具が具備されるアシスタントハンガー、患者にうがい水等を供給する給水部、これを排水するためのスピットン、及び患者の口腔内を照らす歯科用照明等が備えられている。
ここで患者用椅子は、患者を治療や処置のしやすい姿勢にさせるため、昇降自在であるとともに、背もたれを傾倒起立できるように構成されている。
【0003】
一方、患者用椅子の周囲に備えられるドクターユニット、アシスタントハンガー、スピットン、及び歯科用照明等の各種機器も、施術者、患者の位置や姿勢に応じて移動や回動が可能とされていることが多い。その中でも、ドクターユニットは患者用椅子の側方のうちの一方側に配置され、移動及び回動させることが頻繁に行われる。具体的には例えば、患者が患者用椅子に離着席する際には、該患者用椅子の側方は大きく開けておいた方が患者にとって利便性がよいので、ドクターユニットを大きく移動(回動)させておくことが好ましい。また、歯科治療においては施術者と患者との対話も重要であり、その際には施術者が患者と対面して対話をすることから、患者の頭部の側方は施術者が座る等するスペースを開け、かつ、施術者の近くにドクターユニットを位置づけておくことがよい。一方、施術のときには、ドクターユニットをできるだけ患者の頭部に近い位置に配置させておくことが便利である。特に患者の背面側から口腔内を施術するときには、ドクターユニットを患者の頭部の真横に配置することにより円滑な施術ができる。
【0004】
ところが、患者用椅子の昇降、及び傾倒起立が可能であること、及びドクターユニットが移動及び回動自在であることにより、両者の可動範囲の一部に重なりが生じることがあり、場合によっては衝突する虞もあった。このような衝突は当然に回避されるべきである。そのために、両者の可動範囲が全く重ならないように設定すれば、衝突は回避することができるが、上記したようにドクターユニットの可動範囲は大きい方が便利であるので、できるだけ広い可動範囲を確保したい。
【0005】
かかる問題に対して、特許文献1には、保安スイッチが背もたれ(背板)と着座部(座板)の間、アシスタントホルダ、背もたれの3箇所に設けられた技術が開示されている。これによれば、背もたれが傾倒起立方向に移動するときに力が加わることで異常を検知することできる。
【0006】
また、特許文献2には、歯科ユニット(チェアユニット)周りの所定の複数の領域を検出領域とし、各領域において非接触のセンサにより障害物を検出する技術が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を図面に示す形態に基づき説明する。ただし本発明はこれら形態に限定されるものではない。
【0017】
図1、
図2は、1つの形態にかかる歯科ユニット1の外観を示している。
図1は斜視図、
図2は上方から見た図である。
歯科ユニット1は、基台20、患者用椅子10、歯科用照明2、アシスタントユニット4、ドクターユニット30、及び、衝突演算手段50を備えている。
【0018】
基台20は患者用椅子10の下方に配置されており、患者用椅子10の土台となるものである。基台20は、筐体により外郭が形成されるとともに、該筐体内側には、各種制御機器が内包されている。ここに含まれる制御機器としては、例えば、患者用椅子10の昇降、傾倒起立等をさせるための油圧回路、及び該油圧回路を制御する油圧制御手段を挙げることができる。従って、基台20のうち、患者用椅子10の背面側には、
図1に表れるようにフットスイッチ21が設けられる。施術者はこのフットスイッチ21やドクターユニット30の操作パネル33の操作スイッチを操作して油圧制御手段に対して指令を出し、油圧回路を制御して患者用椅子10の昇降、傾倒起立をさせることができる。
【0019】
ここで、患者用椅子10の昇降を制御するに際して、患者用椅子10の着座部11の高さ位置を得るために、基台20にはセンサとしてリニアポテンショメーターが配置されている。また、患者用椅子10の背もたれ12の傾倒起立を制御するに際して、背もたれの傾斜角度を得るために、基台20にはセンサとしてロータリーポテンショメータが備えられている。
【0020】
患者用椅子10は、着座部11、背もたれ12、ヘッドレスト13、レッグレスト14、及びフットレスト15を備えている。
【0021】
着座部11は、基台20の上方に昇降可能に取り付けられている。着座部11の昇降は、上記したように基台20内に収められた油圧回路により行われる。具体的には、フットスイッチ21や後述するドクターユニット30の操作パネル33を施術者が操作し、その操作指令を受けた油圧制御手段が、上記油圧回路に組み込まれた油圧シリンダを適切に作動させることで着座部11が昇降する。そして背もたれ12、ヘッドレスト13、レッグレスト14、及びフットレスト15は着座部11と一体に昇降する。
このとき基台20に配置されたセンサ(着座部センサ)により着座部の高さ位置が検出されている。ここに用いられるセンサの種類は特に限定されることはないが、例えば、リニアポテンショメータを挙げることができる。
【0022】
背もたれ12は、着座部11の一端側を軸に回動可能に設けられている部材で、患者の胴部をサポートするものである。背もたれ12は、患者が着座の姿勢、仰向けの姿勢になることができるように傾倒及び起立が可能とされている。背もたれ12の傾倒起立は、基台20内から連結される油圧回路により行われる。具体的には、フットスイッチ21やドクターユニット30の操作パネル33を施術者が操作し、その操作指令を受けた油圧制御手段が、上記油圧回路に組み込まれた油圧シリンダを適切に作動させることで背もたれ12が傾倒起立する。
このとき基台20に配置されたセンサ(背もたれセンサ)により背もたれの傾斜角度が検出されている。ここに用いられるセンサの種類は特に限定されることはないが、例えば、ロータリーポテンショメータを挙げることができる。
【0023】
ヘッドレスト13は、背もたれ12の端部のうち、着座部11が配置される側とは反対側の端部に配置される部材で、患者の頭部をサポートする部材である。ヘッドレスト13は、患者の頭部位置を施術に都合よい姿勢にさせるため、移動、回動可能に形成されている。ヘッドレスト13のこのような動作は背もたれ12の内部に組み込まれたモータを含む機構により行われる。具体的には、背もたれ12又はヘッドレスト13の背面側に設けられた不図示のスイッチや後述するドクターユニット30の操作パネル33を施術者が操作する等して、その操作指令を受けた上記機構が作動することでヘッドレスト13が移動回動する。
【0024】
レッグレスト14は、着座部11の端部のうち、上記背もたれ12が配置される側とは反対側の端部を軸に回動可能に設けられている部材で、患者の脚部をサポートするものである。レッグレスト14は、背もたれ12の傾倒起立の姿勢に合わせて鉛直、水平の姿勢となることができるように回動可能である。このようなレッグレスト14の回動は、背もたれ12の傾倒起立にリンクして作動するリンク機構により行われる。具体的には、上記のように背もたれ12をフットスイッチ21やドクターユニット30の操作パネル33を施術者が操作すると、背もたれ12が傾倒起立し、これにリンクしてレッグレスト14が回動する。
【0025】
フットレスト15は、レッグレスト14から該レッグレスト14を延長する方向、及びその逆方向に移動可能に設けられている部材で、患者の仰向けの姿勢において該患者の足先をサポートするものである。具体的には、背もたれ12が起立した姿勢、すなわち着座の姿勢では、フットレスト15はレッグレスト14に重なっており、突出していない状態である。一方、背もたれが傾倒され患者が仰向けとなる姿勢では、
図1、
図2のようにレッグレスト14を延長するようにフットレスト15が突出する。フットレスト15のこのような移動の手段としては油圧、モータ、リンク機構等を用いることができるが、特に限定されるものではない。
【0026】
歯科用照明2は、治療を行うときに的確に患者の口腔内を照明することができるように、自在継ぎ手等により自由度高く移動回動可能なアーム3を介して取り付けられている。従って、歯科用照明2は、その位置、角度を調整することにより、施術者が患者の口腔内を適切に観察できる位置へ該照明装置2を移動させることが可能である。歯科用照明2は、手で移動させる他、アーム3中に備えられたガススプリングやエアシリンダにより自動に移動させることができてもよい。
【0027】
アシスタントユニット4は、患者用椅子10の側方のうちの一方側に設けられ、アシスタントハンガー5、スピットン6、及び給水装置7を備えている。
【0028】
アシスタントハンガー5は、主にアシスタントが使用する器具が具備された部位である。アシスタントハンガー5は、ハンガー部5a、及びハンガー支柱5bを備えている。
ハンガー支柱5bは筒状(中空柱状)の部材で、その下端はアシスタントユニット4の下端に回動可能に具備されている。ハンガー支柱5bの回動可能方向は、少なくとも下端を中心として垂直面内の回動である。ただし、水平面内の回動が可能であってもよい。また、ハンガー部5aはハンガー支柱5bの上端に設けられ、アシスタントが使用する各器具が懸架されている。ハンガー部5aは、水平面内に回動可能にハンガー支柱5bの上端に設置されている。これによりハンガー部5aは、前後方向(
図2の紙面上下方向)に回動可能であるとともに、水平面内で向きを変えることができる。アシスタントハンガー5に懸架される器具としては、例えばバキューム、排唾管、シリンジ等のハンドピースを挙げることができる。バキュームや排唾管は、吸引管を介してバキュームユニットに接続されている。
【0029】
スピットン6は、給水部7から供給された水により治療中や治療後に患者がうがいをして、口腔内を洗浄するときに使用するものである。従って、スピットン6は、うがいをした後の口腔内の水を吐き捨てるため、鉢状とされている。そしてスピットン6に排出された唾液や水は、ウオーターユニット中の排水トラップを介して排出される。ここで、スピットン6は、患者の正面側に向かって水平面内で回動可能とされている。これにより患者の目の前にスピットン6を配置することができ、利便性を向上させている。
【0030】
ドクターユニット30は、患者用椅子10の側方のうちアシスタントユニット4とは反対側の側方に設けられ、作業台31、第一アーム40、及び第二アーム45を有している。
作業台31は、施術者が必要とする各器具やスイッチ等が備えられる部位である。具体的には、作業台31はその上面に作業面31aを具備し、患者用椅子10の背面側端部には、施術者が施術の際に使用するハンドピース群32、及びこれを収納するホルダーが設けられている。ハンドピース群32に含まれるハンドピースとしては、例えば、エアタービン、マイクロモータ、スケーラ、シリンジ等を挙げることができる。ほとんど全てのハンドピースは、チューブ類を介して、電気回路、水回路、エア回路等と連結されている。また、作業面31aとホルダーとの間には操作パネル33が具備されている。操作パネル33には、各種操作スイッチ類が設けられており、例えば患者用椅子10の傾倒起立、昇降操作、歯科用照明2の点灯及び消灯の切り替え等が可能となっている。
このように、施術者が操作したり、取り扱ったりする器具や部位は、作業台31のうち、患者用椅子10の背面側に集められている。これにより患者の頭部付近で施術を進める施術者の利便が図られる。
【0031】
第一アーム40は、中空棒状のいわゆるアーム部材であり、その一端が基台20の下部に配置され、水平面内で回動可能とされている。従って第一アーム40は、
図2に矢印IIaで示した方向に回動することが可能である。そして第一アーム40には、該第一アーム40の回転角度を得るためのセンサ(ドクターユニットセンサ)が配置されている。
このようなセンサとして第一アーム40の回転角度のある一点を検出するとオン状態となるマイクロスイッチや、アームの回転角度を常時検出しているロータリーポテンショメータ等を挙げることができる。
【0032】
第二アーム45も、中空棒状のアーム部材である。第二アーム45の一端は、第一アーム40の端部のうち、基台20側とは反対側である他端に配置されている。また、第二アーム45の他端には、作業台31が配置されている。
【0033】
衝突演算手段50は、歯科用椅子10の高さ位置、背もたれ12の傾斜角度、及びドクターユニット30の回動位置、に基づいて、予め得ておいた衝突関係式に基づいて、歯科用椅子10とドクターユニット30との衝突と非衝突を判断し、衝突が懸念される場合には、衝突する前に歯科用椅子10の昇降、及び傾倒起立を停止する制御をする手段である。
図3に衝突演算手段50の構成を概念的に表した。
衝突演算手段50は、演算子51、RAM52、記憶手段53、受信手段54、及び出力手段55を備えている。
【0034】
演算子51は、いわゆるCPU(中央演算子)により構成されており、上記した各構成部材に接続され、これらを制御することができる手段である。また、記憶媒体として機能する記憶手段53等に記憶された各種プログラムを実行し、これに基づいて各種データの生成やデータの選択をする手段として演算を行うのも演算手段51である。
【0035】
RAM52は、演算子51の作業領域や一時的なデータの記憶手段として機能する構成部材である。RAM52は、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ等で構成することができ、公知のRAMと同様である。
【0036】
記憶手段53は、各種演算の根拠となるプログラムやデータが保存される記憶媒体として機能する部材である。また記憶手段53には、プログラムの実行により得られた中間、最終の各種結果を保存することができてもよい。
【0037】
本形態では、この記憶手段53に記憶されたプログラムの1つに、歯科用椅子10の着座部11の高さ位置、背もたれ12の傾斜角度、及びドクターユニット30の回転角度に基づいて背もたれ12とドクターユニット30との衝突関係を定義した関係式である衝突関係式を予め含ませておき、この衝突関係式により衝突の有無を判断する。
【0038】
衝突関係式は例えば次のような態様とすることができる。この例の衝突関係式は主に2つから構成されている。
【0039】
衝突関係式を構成する1つは、背もたれ12の可動範囲にドクターユニット30の一部が入っているかを判断するための関係式である。背もたれ12の可動範囲は着座部11の高さ位置が取り得る範囲、及び背もたれ12の傾斜角度が取り得る範囲により予め決まっているので、背もたれ12の可動範囲を決めることができる。具体的には三次元的な位置座標の範囲や、当該位置座標に対応した各センサ(着座部センサ、背もたれセンサ)からの出力電圧により定量的に範囲を規定することが可能である。
一方、ドクターユニット30の位置は、ドクターユニット30の回転角度から、当該回転角度と、ドクターユニット30が存在する位置とが予め把握されていることから規定することができる。これも具体的には三次元的な位置座標や、当該位置座標に対応したセンサ(ドクターユニットセンサ)からの出力電圧により定量的に把握することが可能である。
そして、これらから背もたれ12の可動範囲にドクターユニット30の一部が入っているかの関係式を得ることができる。
【0040】
衝突関係式を構成するもう1つは、上記した1つ目の関係式である、背もたれ12の可動範囲にドクターユニット30の一部が入っているかの関係式により、ドクターユニット30が背もたれ12の可動範囲に入っているとされたときに、さらに、ドクターユニット30と背もたれ12との衝突を判断する関係式である。
具体的には、背もたれ12がドクターユニット30に衝突するときの、背もたれ12の傾斜角度と着座部11の高さ位置との関係に基づく関係式である。背もたれ12の傾斜角度、及び着座部11の高さ位置は上記したセンサ(着座部センサ、背もたれセンサ、ドクターユニットセンサ)から得られる。この角度情報、及び高さ位置情報は、具体的な角度、座標でも良いし、電圧等のセンサからの出力であってもよい。
図4には1つの例を表した。
図4では横軸には、背もたれ12の傾斜角度を検出するセンサ(背もたれセンサ)からの電圧信号をA/D変換してデジタル値(無次元)にした値、縦軸には着座部11の高さ位置を検出するセンサ(着座部センサ)からの電圧信号をA/D変換してデジタル値(無次元)にした値を表している。これによれば両者の関係が線形となり、最小二乗法により近似式
y=3.1x−7732.0
を得る。そして、
y<3.1x−7732.0
となったときに、背もたれ12がドクターユニット30に衝突すると判断する。逆に、
y≧3.1x−7732.0
のときには背もたれ12がドクターユニット30に衝突しないと判断する。
【0041】
以上のようにして衝突関係式を得ることができる。ただし、本例では上記のように線形となったが、必ずしも線形であるとは限らず、歯科ユニットの特徴に応じて適切な関係式を定義することができる。
【0042】
ここで、背もたれ12の可動範囲は、実際に背もたれ12の可動範囲と同じとしてもよいが当該可動範囲を実際よりも少し広く設定することができる。これによれば、背もたれ12が移動、及び又は回動しているときに、ドクターユニット30が背もたれ12の可動範囲の外から、背もたれ12の可動範囲に近づく場合にも衝突前に確実に背もたれ12を停止することができる。
【0043】
また、上記形態では、背もたれ12の可動範囲内にドクターユニット30が存在するかを判断して、その後にドクターユニット30が背もたれ12に衝突するかを判断した。これに対して、反対に、衝突関係式を構成する1つ目として、ドクターユニット30の可動範囲内に背もたれ12が存在するかを判断する関係式を用いてもよい。
【0044】
すなわち、衝突関係式では、該衝突関係式を構成する1つ目として、背もたれ12及びドクターユニット30のうち一方の可動範囲に他方が存在するかを判断する関係式を用いることができる。
【0045】
受信手段54は、外部からの情報を衝突演算手段50に適切に取り入れるための機能を有する構成部材であり、少なくとも患者用椅子の高さ位置センサ、背もたれの傾斜角度センサ、及びドクターユニットの回転角度センサが接続される。
【0046】
出力手段55は、得られた結果のうち外部に出力すべき情報を適切に外部に出力する機能を有する構成部材であり、本形態では油圧制御手段に接続されている。これにより衝突演算手段50で患者用椅子10とドクターユニット30の衝突可能性が判断されたとき、油圧制御手段に指令を出して患者用椅子10の移動及び回動を停止させる。
【0047】
次に、衝突演算手段50により、患者用椅子10の昇降及び傾倒起立の許容、及び規制について説明する。
図5に流れを示した。
図5からわかるように、衝突演算手段50による演算は過程S11、過程S12、及び過程S13を含む。
【0048】
過程S11は、患者用椅子10の着座部の高さ位置センサ、背もたれ傾斜角度センサ、及びドクターユニットのアーム回転角度センサからそれぞれの位置及び角度情報を取得する。
【0049】
過程S12は、過程S11で得られた位置及び角度情報に基づいて衝突関係式を満たすかを判断する。
衝突関係式を満たさない場合にはNoが選択される。この場合には衝突が起こらないので引き続き患者用椅子は昇降、傾倒起立を続けることができ、過程S11に戻りさらに位置及び角度情報を取得する。
衝突関係式を満たす場合にはYesが選択される。この場合には衝突が起こる可能性が高いので、過程S13に進む。
【0050】
過程S12の具体例を
図6に示した。この例では、過程S11で得られた位置及び角度情報から、初めにドクターユニット30の一部が背もたれ12の可動範囲内にあるかを判断する(過程S12a)、これは上記説明した関係式などにより判断される。ドクターユニット30の一部が背もたれ12の可動範囲内にない場合には過程S12aはNoとされ、過程S12もNoとなる。一方、ドクターユニット30の一部が背もたれ12の可動範囲内にある場合には過程S12aはYesとされ、過程S12bに進む。
過程S12bでは、ドクターユニット30と背もたれ12との衝突を判断する。これは例えば
図4を示して説明したようなドクターユニット30と背もたれ12との衝突を判断する関係式により行われる。この関係式でドクターユニット30が背もたれ12に衝突しないと判断されれば、過程S12bはNoとなり、過程S12もNoとなる。一方、この関係式でドクターユニット30と背もたれ12とが衝突すると判断されれば過程S12bはYesとなり、過程S12もYesとなる。
【0051】
過程S13は、衝突演算手段50から油圧制御手段に指令が送信され、患者用椅子10の昇降及び傾倒起立が停止される。これにより患者用椅子10とドクターユニット30との衝突が回避される。
【0052】
以上のように、衝突演算手段50を備える歯科ユニット1によれば、衝突関係式により患者用椅子10とドクターユニット30との衝突及び非衝突を判断するので、衝突を回避しつつも、非接触センサを用いる場合に比べて可動範囲を広く取ることができる。
また、衝突関係式を満たすか否かの判断のために必要な位置及び角度データを取得するためのセンサは、衝突演算手段50のために設置されたわけでなく、患者用椅子10及びドクターユニット30の動きを制御するために設置された既存のセンサである。従って衝突演算手段50のために新たなセンサを設置して組み込む必要はなく、コストを抑えて簡易な構造で衝突演算手段50を適用することができる。