(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記キャスタ支持機構(15)は、前記キャスタ(12)の軸支部材(13)から前記進退移動方向に向けて延びるスライダ(18)と、天板(2)の下側で前記スライダを摺動自在に保持するホルダ(19)を備え、
前記スライダ(18)とホルダ(19)の間に、キャスタ(12)を前記格納姿勢(P1)とする方向に弾発付勢するスプリング(22)を設け、該スプリング(22)により前記格納姿勢保持手段(16)を構成し、
前記スプリングに抗してスライダ(18)を移動することによりキャスタを前記突出姿勢(P2)にすると共に前記上向き姿勢(Pu)としたとき、前記突出姿勢保持手段(17)により該姿勢を保持させるように構成して成ることを特徴とする請求項1に記載の作業台におけるキャスタ装置。
前記スライダ(18)は、前記ホルダ(19)に摺動自在かつ回動自在に保持されると共に、前記キャスタ(12)の軸支部材(13)を該スライダ(18)の側方に突出した状態で固着することにより該突出方向に車輪(14)の接地面を露出させており、
前記スライダ(18)を摺動することにより、キャスタ(12)を格納姿勢(P1)と突出姿勢(P2)の間で移動させると共に、回動することにより、該スライダ(18)を中心として前記軸支部材(13)を下向き姿勢(Pd)と上向き姿勢(Pu)の間で旋回させるように構成し、
前記突出姿勢保持手段(17)は、前記軸支部材(13)に設けた係止部(28)により形成されており、キャスタ(12)を突出姿勢(P2)とした状態で、軸支部材(13)を上向き姿勢(Pu)としたとき前記係止部(28)を天板の側縁部(8)に係止し、軸支部材(13)を下向き姿勢(Pd)としたとき前記係止部(28)を天板の側縁部(8)から離脱させるように構成して成ることを特徴とする請求項2に記載の作業台におけるキャスタ装置。
天板(2)の側縁部(8)は、該天板の上面から下向きに折曲された側端面(6b)と、該側端面から前記内部空間(S1)に向けて折曲された側下面(6c)を備え、前記側端面(6b)と側下面(6c)の間に鋭角の折曲角度θ1を形成しており、
前記突出姿勢保持手段(17)を構成する軸支部材(13)の係止部(28)は、キャスタ(12)を突出姿勢(P2)として軸支部材(13)を上向き姿勢(Pu)としたとき、前記側端面(6b)に係止する第1係止部(28a)と前記側下面(6c)に係止する第2係止部(28b)を備えて成ることを特徴とする請求項3又は4に記載の作業台におけるキャスタ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1により提案された作業台は、梯子枠を構成する脚部の下端部の内側にキャスタを取付け、脚部を折畳んだ状態で作業台を地面に対して傾斜させたとき、キャスタが地面に臨まされるように構成している。
【0005】
従って、作業者は、キャスタを地面の上で転動させながら、折畳んだ作業台を牽引することにより、容易に移動させることができる利点がある。
【0006】
しかしながら、キャスタは、常時、脚部から内向きに突出状態で取付けられているので、種々の問題がある。
【0007】
例えば、高所作業を行う際、展開した脚部を地面に設置した状態で、キャスタが地面近傍の脚部から突出しているので、作業者その他の者がつまずき、作業台を転倒させるおそれがある。
【0008】
また、不使用時の作業台を保管するとき、作業台を折畳んだ状態でもキャスタが脚部から突出しているので、複数の作業台を安定状態で積層することが困難であり、しかも、突出したキャスタが異物に衝突して破損するおそれがある。
【0009】
このため、本発明は、キャスタを必要時には突出姿勢とするが不必要時には格納姿勢として良好に格納することができ、しかも、突出姿勢と格納姿勢の間の姿勢変更が容易であり、更に、折畳んだ作業台の移動中、突出したキャスタが作業台の荷重を受けても突出姿勢を良好に保持することができるように構成したキャスタ装置の提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明が手段として構成したところは、天板の4隅近傍に脚部を設け、前記脚部を天板から下向きとして垂設させた展開姿勢と、天板の下側に
重なるように格納させた折畳み姿勢の間で、姿勢変更自在とする枢結機構を設けた作業台において、軸支部材に車輪を軸支して成るキャスタと、前記キャスタを前記天板の下側で側縁部から内側の内部空間に格納させた格納姿勢と、前記側縁部から外側の外部空間に突出させた突出姿勢の間で、
前記軸支部材を下向き姿勢として該軸支部材から車輪の接地面を前記突出方向に露出させた状態で、進退移動させることにより姿勢変更自在とするキャスタ支持機構と、前記キャスタ
を格納姿勢
として保持する格納姿勢保持手段と、前記キャスタ
を突出姿勢
として、前記軸支部材を下向き姿勢から上向き姿勢に旋回した状態で係脱自在に係止して保持する突出姿勢保持手段を設けて成る点にある。
【0011】
好ましくは、前記キャスタ支持機構は、前記キャスタの軸支部材から前記進退移動方向に向けて延びるスライダと、天板の下側で前記スライダを摺動自在に保持するホルダを備え、前記スライダとホルダの間に、キャスタを前記格納姿勢とする方向に弾発付勢するスプリングを設け、該スプリングにより前記格納姿勢保持手段を構成し、前記スプリングに抗してスライダを移動することによりキャスタを前記突出姿勢
にすると共に前記上向き姿勢としたとき、前記突出姿勢保持手段により
該姿勢を保持させるように構成している。
【0012】
本発明の好ましい実施形態において、前記スライダは、前記ホルダに摺動自在かつ回動自在に保持されると共に、前記キャスタの軸支部材を該スライダの側方に突出した状態で固着することにより該突出方向に車輪の接地面を露出させており、前記スライダを摺動することにより、キャスタを格納姿勢と突出姿勢の間で移動させると共に、回動することにより、該スライダを中心として前記軸支部材を下向き姿勢と上向き姿勢の間で旋回させるように構成し、前記突出姿勢保持手段は、前記軸支部材に設けた係止部により形成されており、キャスタを突出姿勢とした状態で、軸支部材を上向き姿勢としたとき前記係止部を天板の側縁部に係止し、軸支部材を下向き姿勢としたとき前記係止部を天板の側縁部から離脱させるように構成している。
【0013】
前記スライダとホルダの相互に、スライダを摺動自在な状態で回動不能に係止する廻り止め手段を設けており、前記廻り止め手段は、キャスタが突出姿勢とされたとき前記係止を解除することによりスライダを回動自在とするように構成されている。
【0014】
好ましくは、天板の側縁部は、該天板の上面から下向きに折曲された側端面と、該側端面から前記内部空間に向けて折曲された側下面を備え、前記側端面と側下面の間に鋭角の折曲角度θ1を形成しており、前記突出姿勢保持手段を構成する軸支部材の係止部は、キャスタを突出姿勢として軸支部材を上向き姿勢としたとき、前記側端面に係止する第1係止部と前記側下面に係止する第2係止部を備えている。
【0015】
更に好ましくは、天板の側縁部の下側に前記内部空間に向かう側下面を設けた作業台において、前記軸支部材の側部に操作片を設けており、
作業者が前記操作片を把持することにより、キャスタを突出姿勢とした状態で、軸支部材を下向き姿勢から上向き姿勢とするように旋回したとき、
前記操作片の側面により前記側下面に当接するストッパを構成している。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、作業台1の脚部を展開姿勢として高所作業のために使用する場合や、折畳んで保管する場合、キャスタ12を格納姿勢P1として保持することができる。このため、作業台1により高所作業を行うときに作業者の足がキャスタ12に引っ掛かるようなことはなく、安全に作業を行うことができる。
【0017】
その一方にいて、作業台1を作業場所に応じて移動する場合、或いは、作業場所から保管場所に移動する場合等は、折畳んだ作業台1に対して、キャスタ12を突出姿勢P2とし保持させれば、車輪14を地面の上で転動することにより、重量物とされた作業台を容易に移動することができる利点がある。
【0018】
そして、本発明によれば、キャスタ12を格納姿勢P1と突出姿勢P2の間で姿勢変更するための構成が簡単であると共に、操作性が極めて良好であり、更に、突出姿勢P2とすることにより折畳んだ作業台を地面上で移動する際、重量物とされた作業台の荷重を好適に支持し、移動中の移動方向の変更等により車輪14に対して荷重やトルクが作用しても、軸支部材13が好適に耐え、姿勢を崩すことはなく、キャスタ12としての機能を好適に果たすことができるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0021】
(作業台の1例)
本発明のキャスタ装置を設ける作業台は、建設現場等において高所作業のために使用される種々の形式のものを広く含む汎用の作業台であり、従って、その形状や大きさを特に限定するものではないが、その1例を
図1に示している。
【0022】
図例の場合、作業台1は、天板2の4隅近傍に脚部3を設け、前記脚部3を天板2から下向きとして垂設させた展開姿勢と、天板2の下側に格納させた折畳み姿勢の間で、姿勢変更自在とする枢結機構4を設けている。図例の場合、天板2は、矩形板状に形成された床材5の短手辺と長手辺にそれぞれ妻側フレーム6と桁側フレーム7を設け、それぞれのフレームにより形成された妻側縁部8aと桁側縁部8bを天板2の側縁部8としている。
【0023】
前記脚部3は、枢結機構4を介して図示矢印のように回動することにより、展開姿勢と折畳み姿勢の間で姿勢変更自在とされ、それぞれの姿勢とした状態で、妻側フレーム6に設けられたロック手段9(
図3参照)により保持される。天板2の妻側縁部8aにおいて対向する一対の脚部3、3を係脱自在に係止するように、妻側縁部8aの内側に沿って一対のロック手段9、9が設けられており、図示省略したスプリングと共に妻側フレーム6に内装され、先端を妻側フレーム6の両端から突出するように付勢されている。一対のロック手段9、9は、相互に対向する端部を下向きに折曲することにより摘み部9a、9aを備えており、両摘まみ部9a、9aを
図3に矢印Mで示すように相互に近接する方向に移動させると、前記先端部を後退させ、脚部3、3の係止を解除することにより回動自在とする。
【0024】
天板2の妻側縁部8aにおいて対向する一対の脚部3、3は、踏桟10により連結された梯子脚を構成しており、各脚部3の上端部に手掛かり棒11の基端部が枢結されている。手掛かり棒11は、天板2の上方に向けて脚部3から起立する直立姿勢と、該直立姿勢から反転することにより脚部3に重ね合わせられる重合姿勢の間で、回動自在とされ、図示省略したロック手段によりそれぞれの姿勢で保持される。
【0025】
その結果、作業台1は、手掛かり棒11を脚部3に重合させた状態で、該脚部3により構成された梯子脚を天板2の下側に回動させることにより、コンパクトに折畳まれ、その状態で、移動ないし運搬、或いは、保管することができるように構成されている。
【0026】
前記妻側フレーム6は、
図2(A)に示すように、天板2の側縁部上面を形成する側上面6aと、該側上面6aから下向きに折曲された側端面6bと、該側端面6bから内向きに折曲された側下面6cを備え、側端面6bと側下面6cの折曲縁を交差する垂線を境界線Lとして、該妻側フレーム6を含む天板2の下側において境界線Lから内側を内部空間S1、外側を外部空間S2としている。
【0027】
(キャスタ装置)
本発明は、
図2(B)に示すように、作業台1を折畳んだ状態で地面に対して傾斜させたとき、地面に臨まされるキャスタ12を備えたキャスタ装置を設けている。キャスタ12は、軸支部材13に車輪14を軸支することにより構成されており、従って、作業者は、車輪14を地面の上で転動させながら、折畳んだ作業台1を牽引することにより、容易に移動させることができる。尚、
図2(A)は、理解の便宜のため、脚部3を展開姿勢とした状態で妻側縁部8aから突出させたキャスタ12を示しているが、本来、脚部3を展開姿勢として作業台1により高所作業を行うときは、キャスタ12は格納姿勢P1としておくことが望ましい。
【0028】
キャスタ12は、天板2の下側で側縁部8から内側の内部空間S1に格納させた格納姿勢P1と、前記側縁部8から外側の外部空間S2に突出させた突出姿勢P2の間で、進退移動させることにより姿勢変更自在に構成されている。
【0029】
そこで、キャスタ装置は、このようなキャスタ12の姿勢変更を可能にするためのキャスタ支持機構15と、キャスタ12を格納姿勢P1とした状態で保持する格納姿勢保持手段16と、キャスタ12を突出姿勢P2とした状態で保持する突出姿勢保持手段17を設けている。
【0030】
キャスタ装置は、キャスタ12を天板2の側縁部8のうち、桁側縁部8bに対して格納姿勢と突出姿勢を可能とするように配置しても良いが、図示実施形態のように、妻側縁部8aに対して格納姿勢と突出姿勢を可能とするように配置することが好ましく、これにより
図2(B)に示すように、作業者が地面に立った姿勢のままで折畳んだ作業台1を牽引することができるので、移動作業が容易となる。
【0031】
以下、
図3ないし
図7に基づいてキャスタ装置の1実施形態を詳述するが、天板2の下側を示す関係上、天板2の下側を上向きとして図示し、矢印Dにより天板2の下向き方向を示すと共に、矢印Uにより天板2の上向き方向を示している。
【0032】
図3ないし
図6に示すように、キャスタ支持機構15は、キャスタ12の軸支部材13から前記進退移動方向に向けて延びるスライダ18と、天板2の下側で前記スライダ18を摺動自在に保持するホルダ19により構成されている。
【0033】
前記スライダ18は、丸棒状のロッドにより形成され、該ロッドの一端部の側面に前記キャスタ12の軸支部材13を側方に突出した状態で固着し、該軸支部材13の突出方向に車輪14の接地面を露出させており、他端部に雄ネジ18aを形成している。従って、キャスタ12を構成する車輪14及び軸支部材13は、スライダ18をロッドの軸線廻りに回動することにより、スライダ18から下向き方向Dに突出する下向き姿勢Pdと、上向き方向Uに突出する上向き姿勢Puの間で、旋回させられるように構成されている。
【0034】
前記ホルダ19は、前記スライダ18を摺動自在かつ回動自在に保持する円筒体等の保持部材20により形成され、該保持部材20に固着された取付台21を介して天板2の下側にリベット等の固着具により取付固定されている。図示実施形態の場合、天板2の床材5は下側に断面T形のリブ5aを設けており、該リブ5aの平板部に取付台21を載置した状態で固定している。
【0035】
前記スライダ18は、キャスタ12を外部空間S2に臨ませた状態で、ロッドの先端を内部空間S1に向けて前記ホルダ19に挿通させられ、ロッドの挿出部にコイルスプリングから成るスプリング22を外挿した状態で、前記雄ネジ部18aにナットから成るバネ受部材23が取着される。
【0036】
従って、スプリング22は、ホルダ19とバネ受部材23の間で圧縮され、キャスタ12を格納姿勢P1とする方向に弾発付勢する。キャスタ12は、軸支部材13をホルダ19に当接することにより格納姿勢P1とされ、弾発付勢力により該格納姿勢P1を保持させられるので、図示実施形態の場合、スプリング22により格納姿勢保持手段17が構成されている。
【0037】
前記スライダ18とホルダ19の相互には、スライダ18を摺動自在な状態で回動不能に係止する廻り止め手段24が設けられている。図示実施形態の場合、廻り止め手段24は、スライダ18の側面に突設した突起25と、スライダ13の進退移動方向に向けてホルダ19の側部に開設したスリット26により構成されており、スリット26は、ホルダ19の端部に開口部26aを有している。
【0038】
そこで、キャスタ12を格納姿勢P1としたとき、前記突起25がスリット26に係止することにより、スライダ18を回動不能に保持すると共に、キャスタ12を下向き姿勢Pdとして保持する。従って、廻り止め手段24は、格納姿勢P1とされたキャスタ12を下向き姿勢Pdとして保持するための姿勢保持手段として機能する。
【0039】
図5に鎖線で示すように、スプリング22に抗してスライダ18を外部空間S2に向けて摺動させ、キャスタ12を突出姿勢P2としたとき、前記突起25がスリット26の開口部26aから脱出して係止を解除することにより、スライダ18を回動自在とする。この際、キャスタ12は、軸支部材13の側部に操作片27を設けている。従って、作業者は、操作片27を指先で把持し外部空間S2に向けて引き寄せることにより、容易にキャスタ12を突出姿勢P2に向けて移動することができ、更に、操作片27を把持したままでスライダ18の軸廻りにキャスタ12を旋回させることができる。図例の場合、操作片27は、ロッドにより形成され、軸支部材13から側方に向けて延びる基部27aと、該基部27aの先端で折曲されスライダ18の軸方向に延びる先端部27bを備えている。
【0040】
そこで、
図6に示すように、キャスタ12を突出姿勢P2とした状態で旋回させることにより上向き姿勢Puとしたとき、キャスタ12の軸支部材13に設けられた係止部28が天板2の妻側縁部8aに形成された側端面6bに係止することにより、スプリング22によりキャスタ12が格納姿勢P1に向けて戻ることを阻止する。従って、係止部28により突出姿勢保持手段17が構成されている。同時に、係止部28は、突出姿勢P2とされたキャスタ12を上向き姿勢Puとして保持するための姿勢保持手段として機能する。
【0041】
図示実施形態の場合、
図4に示すように、天板2の妻側縁部8aを構成する妻側フレーム6の側端面6bと側下面6cは、相互に鋭角の折曲角度θ1で折曲されており、これに対して、前記係止部28は、前記側端面6bに係止する第1係止部28aと、前記側下面6cに係止する第2係止部28bを備えており、好ましくは、第1係止部28aと第2係止部28bの相互間の角度θ2を前記θ1に一致するように構成している。
【0042】
従って、操作片27を指先で把持することにより、キャスタ12を突出姿勢P2とした状態で旋回し、上向き姿勢Puとすることにより、前記第1係止部28aを側端面6bに対向させた状態で、操作片27を指先から放つと、スプリング22の弾発付勢力により第1係止部28aが側端面6bに当接し係止する。この状態で、前記角度θ2を介して隣接する第1係止部28aと第2係止部28bがそれぞれ前記折曲角度θ1を介して隣接する側端面6bと側下面6cを抱持する状態で係止するので、キャスタ12の旋回が好適に阻止され、突出姿勢P2かつ上向き姿勢Puの状態を保持する。
【0043】
キャスタ12を下向き姿勢Pdから上向き姿勢Puとするように旋回したとき、
図6に示すように、前記操作片27が側下面6cに当接することにより、旋回位置を規制するストッパ29を構成する。従って、作業者が操作片27を把持してキャスタ12を旋回させる際、上向き姿勢Puを越えて行き過ぎた位置まで旋回させる誤操作のおそれがなく、操作性が良い。
【0044】
図7に示すように、キャスタ12をキャスタ支持機構15で支持した本発明のキャスタ装置は、天板2の妻側縁部8aに2組又はそれ以上の複数組を設けることが好ましい。2組のキャスタ12、12を設けた図示実施形態の場合、前記操作片27は、それぞれのキャスタ12から天板2の桁側縁部8bに向けて突出するように、相互に対称として配置することが好ましい。これにより、後述するように、突出姿勢P2としたキャスタ12、12を回動することにより上向き姿勢Puとしたとき、操作片27の先端部27bがロック手段9の摘み部9aと干渉する位置に配置され、ロック手段9の摘み部9aを係止解除方向Mに向けて移動不能とするように係止する(
図7(C)参照)。
【0045】
キャスタ装置は、作業台1の脚部3を下向きの展開姿勢として高所作業のために使用する場合や、脚部3を折畳んで保管する場合、
図7(A)に示すように、キャスタ12を天板2に対して格納姿勢P1とすることができ、図示実施形態の場合、下向き姿勢Pdとされている。図示省略しているが、2組のキャスタ装置の両側に位置して脚部3、3が折畳まれるので、キャスタ12が脚部3を越えて突出することはない。
【0046】
キャスタ12は、スプリング22により構成された格納姿勢保持手段16により格納姿勢P1を保持されているので、不慮に天板2の妻側縁部8aから突出することはない。このため、作業台1を高所作業のために使用するとき、作業者の足がキャスタ12に引っ掛かるようなことはない。また、複数台の折畳んだ作業台1を積層することにより保管するとき、上下の作業台の間でキャスタ12が押し潰されるようなこともない。
【0047】
作業台1を作業場所に応じて移動する場合、或いは、作業場所から保管場所に移動する場合は、作業台1を折畳むと共に、キャスタ12を突出姿勢P2として、
図2(B)に示すように、作業台1を地面に対して傾斜させ、車輪14を地面の上で転動することにより、移動させることができる。作業台1は、全体が金属製とされ、相当の重量物であるため、キャスタ12により持ち上げを必要とせずに移動できることは、労働環境の改善に大きく貢献する。
【0048】
キャスタ12を格納姿勢P1から突出姿勢P2にするためには、
図7(B)(C)に示すように、操作片27を把持し、スプリング22に抗してキャスタ12を引き出し、旋回させた後、把持から解放するだけで良く、操作性が極めて良好である。この状態で、係止部28により構成された突出姿勢保持手段17がキャスタ12を保持し、上向き姿勢Puとされたキャスタ12の車輪14は、接地面を天板2の上向き方向Uに向けて臨ませる。従って、
図2(B)に示すように、折畳んだ作業台1を地面の上で傾斜させてやれば、車輪14の接地面が地面に接地させられる。
【0049】
図示実施形態における2組のキャスタ12、12は、下向き姿勢Pdから上向き姿勢Puに向けて旋回する際、
図7(B)に示すように、それぞれの操作片27、27が相互に向かい合うように反対方向に旋回させられ、旋回後は、
図7(C)に示すように、先端部27bをロック手段9の摘み部9aの内側に係止し、該摘み部9aが係止解除方向Mに向けて移動することを阻止する。つまり、ロック手段9は、脚部3を折畳んだ状態で回動不能にロックし、前記先端部27bにより、ロックを解除できないように保持されている。
【0050】
このため、折畳んだ作業台1をキャスタ12により移動するとき、振動や外力を受けることにより不慮にロック手段9のロックが解除されることはないので、突然、脚部3が展開方向に回動するという危険はない。
【0051】
また、作業台1により高所作業を行うために、脚部3を折畳み姿勢から展開姿勢に向けて回動させる際は、ロック手段9を係止解除方向Mに移動することによりロックを解除しなければならないが、このようなロック解除を可能にするためには、キャスタ12を格納姿勢P1にする必要がある。つまり、作業者がキャスタ12を格納姿勢P1とせずに脚部3を展開させることはできないから、高所作業中、キャスタ12が天板2から突出しているという好ましくない事態を招来することはない。
【0052】
作業台1の移動中、キャスタ12は、突出姿勢保持手段17により突出姿勢P2を保持されているので、傾斜させられた作業台の荷重を好適に支持する。図示実施形態の場合、上述のように、それぞれ鋭角とされた角度θ1と角度θ2を挟んで隣接する位置において、軸支部材13に設けられた係止部28の第1係止部28aと第2係止部28bが妻側フレーム6の側端面6bと側下面6cを抱持した安定状態で固定されている。このため、地面上を移動中に移動方向の変更等により車輪14に対して荷重やトルクが作用しても、軸支部材13が好適に耐え、姿勢を崩すことはなく、キャスタ12としての機能を好適に果たすことができる。
【0053】
キャスタ12を突出姿勢P2から再び格納姿勢P1とするときは、操作片27を把持し、スプリング22に抗してキャスタ12を外部空間S2に向けて少しだけ移動すれば、前記係止部28の係止が解除されるので、キャスタ12を下向き姿勢Pdとするように旋回させることができる。そこで、旋回させた後、把持から解放するだけで、キャスタ12は、廻り止め手段24により下向き姿勢Pdを保持された状態で、スプリング22により自動的に格納姿勢P1に向けて復帰するので、操作性が極めて良好である。