(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6851919
(24)【登録日】2021年3月12日
    
      
        (45)【発行日】2021年3月31日
      
    (54)【発明の名称】エンジンのオイル供給装置
(51)【国際特許分類】
   F01M   1/16        20060101AFI20210322BHJP        
   F01M  11/03        20060101ALI20210322BHJP        
【FI】
   F01M1/16 F
   F01M11/03 A
   F01M1/16 B
【請求項の数】4
【全頁数】10
      (21)【出願番号】特願2017-127945(P2017-127945)
(22)【出願日】2017年6月29日
    
      (65)【公開番号】特開2019-11696(P2019-11696A)
(43)【公開日】2019年1月24日
    【審査請求日】2019年6月26日
      
        
          (73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
          (74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江  正二
        
      
      
        (72)【発明者】
          【氏名】杉本  智
              
            
        
        (72)【発明者】
          【氏名】米虫  祐介
              
            
        
        (72)【発明者】
          【氏名】田村  亮
              
            
        
      
    
      【審査官】
        小笠原  恵理
      
    (56)【参考文献】
      
        【文献】
          実開昭62−000116(JP,U)      
        
        【文献】
          特開2000−186520(JP,A)      
        
        【文献】
          特開2004−360671(JP,A)      
        
        【文献】
          実開昭61−095913(JP,U)      
        
        【文献】
          実開昭52−132984(JP,U)      
        
        【文献】
          実開昭50−009642(JP,U)      
        
        【文献】
          実開昭61−012917(JP,U)      
        
        【文献】
          国際公開第2017/085354(WO,A1)    
        
        【文献】
          実開昭53−117846(JP,U)      
        
      
    (58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M      1/00−13/06
F01M      1/16        
F01M    11/03        
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
  オイル供給通路(27)と、オイル供給通路(27)にエンジンオイル(4a)を圧送するオイルポンプ(3)と、オイル供給通路(27)の途中から分岐されたオイル戻し通路(28i)と、オイル供給通路(27)のエンジンオイル(4a)をオイル戻し通路(28i)に流出させる調圧弁(28)と、オイル供給通路(27)の途中に設けられたオイルフィルタ(23)を備え、
  調圧弁(28)は、オイルフィルタ(23)よりもオイル圧送方向上流側のエンジンオイル(4a)をオイル供給通路(27)からオイル戻し通路(28i)を介して流出させる流出弁口(28b)を備え、
  更に、オイルクーラ(21)を備え、調圧弁(28)とオイルフィルタ(23)とオイルクーラ(21)が取付けられた補機取付ベース(22)を備え、
  オイルクーラ(21)のオイル圧送方向上流側に配置され、オイルクーラ(21)に向かうエンジンオイル(4a)をオイル戻し通路(28i)を介してオイルパン(4)に戻すクーラバイパス弁(30)を備え、クーラバイパス弁(30)の開弁圧は、調圧弁(28)の開弁圧よりも高く設定され、クーラバイパス弁(30)も補機取付ベース(22)に取り付けられ、
  クーラバイパス弁(30)よりもオイル圧送方向上流側に配置され、クーラバイパス弁(30)に向かうエンジンオイル(4a)をオイル戻し通路(28i)を介してオイルパン(4)に戻すリリーフ弁(29)を備え、リリーフ弁(29)の開弁圧は、クーラバイパス弁(30)の開弁圧よりも高く設定され、リリーフ弁(29)も補機取付ベース(22)に取り付けられている、ことを特徴とするエンジンのオイル供給装置。
【請求項2】
  請求項1に記載されたエンジンのオイル供給装置において、
  調圧弁(28)は、オイルフィルタ(23)よりもオイル圧送方向下流側のオイル供給通路(27)の油圧を受ける受圧部(28a)と、流出弁体(28h)を備え、
  受圧部(28a)の受ける圧力が増加すると、流出弁口(28b)に対する流出弁体(28h)の開度が増加し、上記圧力が減少すると、上記開度が減少するように構成されている、ことを特徴とするエンジンのオイル供給装置。
【請求項3】
  請求項2に記載されたエンジンのオイル供給装置において、
  調圧弁(28)は、スライダ室(28c)と、スライダ室(28c)にスライド自在に収容されたスライダ(28d)と、付勢スプリング(28e)を備え、
  スライダ(28d)は、受圧部(28a)と、流出弁体(28h)を備え、スライダ室(28c)は、受圧部(28a)を臨ませた受圧室(28f)と、流出弁口(28b)を有する流出弁室(28g)を備え、付勢スプリング(28e)でスライダ(28d)が流出弁体(28h)の閉弁方向に付勢され、受圧部(28a)で受けた油圧と付勢スプリング(28e)の付勢力の不釣合い力により、油圧が増加すると、流出弁口(28b)に対する流出弁体(28h)の開度が増加し、上記油圧が減少すると、上記開度が減少するように構成されている、ことを特徴とするエンジンのオイル供給装置。
【請求項4】
  請求項1から請求項3のいずれかに記載されたエンジンのオイル供給装置において、
  シリンダブロック(5)内に設けられたブロック側水ジャケットと、ラジエータで放熱されたエンジン冷却水を中継してブロック側水ジャケットに導く水中継室(18)を備え、水中継室(18)はシリンダブロック(5)に設けられ、水中継室(18)の外開口が補機取付ベース(22)で覆われ、シリンダブロック(5)の外側に露出する補機取付ベース(22)の表側にオイルフィルタ(23)が取り付けられ、補機取付ベース(22)の裏側に取り付けられたオイルクーラ(21)が水中継室(18)内に収容されている、ことを特徴とするエンジンのオイル供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  本発明は、エンジンのオイル供給装置に関し、詳しくは、
オイルフィルタの寿命低下を抑制することができるエンジンのオイル供給装置に関する。
 
【背景技術】
【0002】
  従来、オイル供給通路と、オイル供給通路にエンジンオイルを圧送するオイルポンプと、オイル供給通路の途中から分岐されたオイル戻し通路と、オイル供給通路のエンジンオイルをオイル戻し通路に流出させる調圧弁と、オイル供給通路の途中に設けられたオイルフィルタを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
  この種のオイル供給装置によれば、オイルフィルタでエンジンオイルを浄化しながら、調圧弁でエンジンオイルの供給圧を適正化することできる利点がある。
 
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-220830号公報(
図1参照)
 
 
 
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
  《
問題点》  オイルフィルタの寿命が短くなり易い。
  特許文献1のものでは、オイルフィルタよりもオイル供給方向下流側のエンジンオイルをオイル供給通路の途中から調圧弁を介して流出させるため、オイル供給通路の途中から流出するエンジンオイルもオイルフィルタを通過し、オイルフィルタの寿命が短くなりやすい。
【0006】
  本発明の課題は、
オイルフィルタの寿命低下を抑制することができるエンジンのオイル供給装置を提供することにある。
 
【課題を解決するための手段】
【0007】
  本発明の発明特定事項は、次の通りである。
  
図1に例示するように、オイル供給通路(27)と、オイル供給通路(27)にエンジンオイル(4a)を圧送するオイルポンプ(3)と、オイル供給通路(27)の途中から分岐されたオイル戻し通路
(28i)と、オイル供給通路(27)のエンジンオイル(4a)をオイル戻し通路
(28i)に流出させる調圧弁(28)と、オイル供給通路(27)の途中に設けられたオイルフィルタ(23)を備え、
  
図1に例示するように、
調圧弁(28)は、オイルフィルタ(23)よりもオイル供給方向上流側のエンジンオイル(4a)をオイル供給通路(27)からオイル戻し通路(31)を介して流出させる流出弁口(28b)
を備え、
【0008】
  更に、オイルクーラ(21)を備え、調圧弁(28)とオイルフィルタ(23)とオイルクーラ(21)が取付けられた補機取付ベース(22)を備え、
  
図1〜
図3に例示するように、オイルクーラ(21)のオイル圧送方向上流側に配置され、オイルクーラ(21)に向かうエンジンオイル(4a)をオイル戻し通路(28i)を介してオイルパン(4)に戻すクーラバイパス弁(30)を備え、クーラバイパス弁(30)の開弁圧は、調圧弁(28)の開弁圧よりも高く設定され、クーラバイパス弁(30)も補機取付ベース(22)に
取り付けられ、
  図1に例示するように、クーラバイパス弁(30)よりもオイル圧送方向上流側に配置され、クーラバイパス弁(30)に向かうエンジンオイル(4a)をオイル戻し通路(28i)を介してオイルパン(4)に戻すリリーフ弁(29)を備え、リリーフ弁(29)の開弁圧は、クーラバイパス弁(30)の開弁圧よりも高く設定され、リリーフ弁(29)も補機取付ベース(22)に取り付けられている、ことを特徴とするエンジンのオイル供給装置。
 
【発明の効果】
【0009】
  本発明は、次の効果を奏する。
  《効果》オイルフィルタの寿命を延命することができる。
  
図1に例示するように、オイルフィルタ(23)よりもオイル供給方向上流側のエンジンオイル(4a)がオイル供給通路(27)の途中から流出し、オイルフィルタ(23)を通過しない分だけ、オイルフィルタ(23)の浄化の負担が軽減され、オイルフィルタ(23)の寿命を延命することができる。
【0010】
  《効果》エンジンへの調圧弁等の取付け作業が容易になる。
  エンジンへの補機取付けベース(22)の取付けにより、調圧弁(28)とオイルフィルタ(23)とオイルクーラ(21)とクーラバイパス弁(30)が一括してエンジンに取り付けられ、エンジンへの調圧弁(28)等の取付け作業が容易になる。
 
 
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係るエンジンで用いるオイル供給装置の模式図である。
 
【
図2】
図1の装置で用いる補機取付けベースを表側から見た側面図である。
 
【
図4】
図2の補機取付けベースの説明図で、
図4(A)は裏側をエンジン前側から左斜め下に見下ろした斜視図、
図4(A)は表側をエンジン後側から左斜め下に見下ろした斜視図である。
 
【
図5】本発明の実施形態に係るエンジンの
要部縦断正面図である。
 
【
図6】
本発明の実施形態に係るエンジンの側面図である。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0012】
  図1〜
図7は本発明の実施形態に係るオイル供給装置を備えたエンジンを説明する図で、この実施形態では、水冷のコモンレール式直列4気筒ディーゼルエンジンについて説明する。
 
【0013】
  このエンジンの概要は、次の通りである。
  
図6に示すように、このエンジンは、シリンダブロック(5)と、シリンダブロック(5)の上部に組み付けられたシリンダヘッド(6)と、シリンダヘッド(6)の上部に組み付けられたシリンダヘッドカバー(7)と、シリンダブロック(5)の下部に組み付けられたオイルパン(4)と、クランク軸
(図外)の架設方向を前後方向として、
図6に示すように、シリンダブロック(5)の前部に配置されたベルト伝動機構(9)と、シリンダブロック(5)の後部に配置されたフライホイールハウジング(10)と、前後方向と直交するエンジンの幅方向を横方向として、
図7に示すように、シリンダヘッド(6)の横一側に設けられた吸気マニホルド(11)と、シリンダヘッド(6)の横他側に設けられた排気マニホルド(12)を備えている。
  このエンジンは、燃料噴射装置と防振装置と水冷装置と潤滑装置と油冷装置を備えている。
 
【0014】
  燃料噴射装置は、コモンレール式のもので、
図6に示すように、燃料サプライポンプ(13)と、コモンレール(14)と、
図7に示すように、燃料インジェクタ(15)を備え、燃焼室に燃料を噴射する。
  防振装置は、
回転バランサ(図外)を備え、エンジンの二次振動を相殺し、エンジンの振動を低減する。
 
【0015】
  水冷装置は、ラジエータ(図示せず)と、
図6に示すように、シリンダブロック(5)の吸気側に設けられた水入口室(16)
と、水入口室(16)の前部に設けられた水ポンプ(17)と、
図5に示すように、水ポンプ(17)の後で水入口室(16)の下部に設けられた水中継室(18)と、シリンダブロック(5)内に設けられたブロック側水ジャケット
(図外)と、シリンダヘッド(6)内に設けられたヘッド側水ジャケット
(図外)を備えている。
  水冷装置は、水ポンプ(17)のポンプ圧で、ラジエータで放熱されたエンジン冷却水を、水入口室(16)、水ポンプ(17)、水中継室(18)、
ブロック側水ジャケット、ヘッド側水ジャケット、ラジエータの順に循環させ、エンジンを水冷する。
 
【0016】
  潤滑装置は、シリンダブロック(5)の後部に内蔵された
図1に示すオイルポンプ(3)と、
図5に示すように、水中継室(18)に収容されたオイルクーラ(21)と、補機取付ベース(22)にオイルクーラ(21)と共に取り付けられたオイルフィルタ(23)と、シリンダブロック(5)の吸気側の肉壁内に設けられた
図1のオイルギャラリ(24)を備え、オイルポンプ
(3)のポンプ圧で、オイルパン(4)内のエンジンオイル(4a)を、オイルポンプ
(3)、オイルクーラ(21)、オイルフィルタ(23)、オイルギャラリ(24)、
クランク軸の軸受け(図外)等のエンジン摺動部、オイルパン(4)の順に循環させ、エンジンの摺動部を強制潤滑する。
 
【0017】
  油冷装置は、
図1に示すように、シリンダブロック(5)の吸気側の肉壁内にオイルギャラリ(24)と平行に設けられたオイルジェットデリバリ通路(25)と、ピストン
(図外)の下方に設けられたオイルジェットノズル(25a)と、ピストン
(図外)に内設されたクーリングチャンネル
(図外)を備え、潤滑装置のオイルクーラ(21)とオイルフィルタ(23)を順に通過したエンジンオイル(4a)の一部を補機取付ベース(22)内でオイルジェットデリバリ通路(25)に
分流させ、オイルジェットノズル(25a)からクーリングチャンネル
(図外)内に向けて噴射させ、ピストン
(図外)を油冷する。
 
【0018】
  図1に示すように、オイル供給通路(27)と、オイル供給通路(27)にエンジンオイル(4a)を圧送するオイルポンプ(3)と、オイル供給通路(27)の途中から分岐されたオイル戻し通路
(28i)と、オイル供給通路(27)のエンジンオイル(4a)をオイル戻し通路
(28i)に流出させる調圧弁(28)と、オイル供給通路(27)の途中に設けられたオイルフィルタ(23)を備えている。
  このため、この実施形態では、オイルフィルタ(2)でエンジンオイル(4a)を浄化しながら、調圧弁(28)でエンジンオイル(4a)の供給圧を適正化することできる利点がある。
 
【0019】
  図1に示すように、調圧弁(28)は、オイルフィルタ(23)よりもオイル
圧送方向下流側のオイル供給通路(27)の油圧を受ける受圧部(28a)と、オイルフィルタ(23)よりもオイル
圧送方向上流側のエンジンオイル(4a)をオイル供給通路(27)からオイル戻し通路
(28i)を介して流出させる流出弁口(28b)と流出弁体(28h)を備え、受圧部(28a)の受ける圧力が増加すると、流出弁口(28b)に対する流出弁体(28h)の開度が増加し、上記圧力が減少すると、上記開度が減少するように構成されている。
 
【0020】
  このため、この実施形態では、
図1に示すように、オイルフィルタ(23)よりもオイル供給方向上流側のエンジンオイル(4a)がオイル供給通路(27)の途中から流出し、オイルフィルタ(23)を通過しない分だけ、オイルフィルタ(23)の浄化の負担が軽減され、オイルフィルタ(23)の寿命を延命することができる。
 
【0021】
  また、
図1に示すように、オイルフィルタ(23)よりもオイル供給方向下流側の油圧が増減すると、オイルフィルタ(23)よりもオイル供給方向上流側のエンジンオイル(4a)を流出させる流出弁体(28h)の開度が増減するため、オイルフィルタ(23)の目詰まりによる圧損に起因するエンジンオイル(4a)の供給圧の変動を避けることができる。
 
【0022】
  図1に示すように、流出弁口(28b)にオイル戻し通路(31)が接続され、流出弁口(28b)から流出したエンジンオイル(4a)はオイル戻し通路(28i)を介してオイルパン(4)に戻る。
  オイル供給通路(27)のオイル供給方向下流側には、オイルギャラリ(24)とオイルジェットデリバリ通路(25)が接続されている。
  オイル供給通路(27)とオイルギャラリ(24)とオイルジェットデリバリ通路(25)とオイルパン(4)等により、エンジンオイル(4a)の循環路が形成される。
 
【0023】
  調圧弁(28)の構成は、次の通りである。
  
図1または
図2に示すように、調圧弁(28)は、スライダ室(28c)と、スライダ室(28c)にスライド自在に収容されたスライダ(28d)と、付勢スプリング(28e)を備えている。
  スライダ(28d)は、受圧部(28a)と、流出弁体(28h)を備え、スライダ室(28c)は、受圧部(28a)を臨ませた受圧室(28f)と、流出弁口(28b)を有する流出弁室(28g)を備え、付勢スプリング(28e)でスライダ(28d)が流出弁体(28h)の閉弁方向に付勢され、受圧部(28a)で受けた油圧と付勢スプリング(28e)の付勢力の不釣合い力により、油圧が増加すると、流出弁口(28b)に対する流出弁体(28h)の開度が増加し、上記油圧が減少すると、上記開度が減少するように構成されている
 
【0024】
  このため、この実施形態では、
図1または
図2に示すように、受圧部(28a)で受けた油圧と付勢スプリング(28e)の付勢力の不釣合い力を用いた簡易な機能で、調圧弁(28)を簡単に製作することができる。
 
【0025】
  図2に示すように、調圧弁(28)は、オイルフィルタ(23)が取り付けられる補機取付ベース(22)に取り付けられている。
  このため、この実施形態では、エンジンへの補機取付ベース(22)の取付けにより、調圧弁(28)も一括してエンジンに取り付けられ、エンジンへの調圧弁(28)の取付け作業が容易になる。
 
【0026】
  図3に示すように、補機取付ベース(22)にはオイルクーラ(21)が取り付けられている。
  このため、この実施形態では、エンジンへの補機取付ベース(22)の取付けにより、オイルクーラ(21)も一括してエンジンに取り付けられ、エンジンへのオイルクーラ(21)の取付け作業が容易になる。
  
すなわち、このエンジンは、オイルクーラ(21)を備え、調圧弁(28)とオイルフィルタ(23)とオイルクーラ(21)が取付けられた補機取付ベース(22)を備えている。
  このため、この実施形態では、エンジンへの補機取付けベース(22)の取付けにより、調圧弁(28)とオイルフィルタ(23)とオイルクーラ(21)が一括してエンジンに取り付けられ、エンジンへの調圧弁(28)の取付け作業が容易になる。
 
【0027】
  図1に示すように、オイル供給通路(27)は、リリーフ弁(29)とクーラバイパス弁(30)を備え、リリーフ弁(29)は補機取付ベース(22)のオイル入口(22a)に配置され、リリーフ弁(29)とクーラバイパス弁(30)はオイルクーラ(21)のオイル入口(21a)付近に配置され、リリーフ弁(29)のオイル流出口(29a)とクーラバイパス弁(30)のオイル流出口(30a)はいずれも前記オイル戻し通路(28i)に接続される。
  リリーフ弁(29)とクーラバイパス弁(30)と調圧弁(28)の開弁圧は、これらの記載順に低くなり、リリーフ弁(29)が最も高く、調圧弁(28)が最も低い。
  オイルクーラ(21)の内部オイル通路の詰まり等によりオイルクーラ(21)のオイル通過抵抗が高まった場合には、クーラバイパス弁(30)が開弁し、エンジンオイル(4a)はオイルクーラ(21)をバイパスして、オイルパン(4)に戻り、オイルフィルタ(23)の目詰まり等によりオイル供給通路(27)のオイル通過抵抗が更に高まった場合には、リリーフ弁(29)が開弁し、エンジンオイル(4a)は補機取付ベース(22)のオイル入口(22a)からリリーフ弁(29)を介してオイルパン(4)に戻る。
 
【0028】
  すなわち、図1〜図3に示すように、このエンジンは、オイルクーラ(21)のオイル圧送方向上流側に配置され、オイルクーラ(21)に向かうエンジンオイル(4a)をオイル戻し通路(28i)を介してオイルパン(4)に戻すクーラバイパス弁(30)を備え、クーラバイパス弁(30)の開弁圧は、調圧弁(28)の開弁圧よりも高く設定され、クーラバイパス弁(30)も補機取付ベース(22)に取り付けられている。
 
【0029】
  また、図1〜図3に示すように、このエンジンは、クーラバイパス弁(30)よりもオイル圧送方向上流側に配置され、クーラバイパス弁(30)に向かうエンジンオイル(4a)をオイル戻し通路(28i)を介してオイルパン(4)に戻すリリーフ弁(29)を備え、リリーフ弁(29)の開弁圧は、クーラバイパス弁(30)の開弁圧よりも高く設定され、リリーフ弁(29)も補機取付ベース(22)に取り付けられている。
 
【0030】
  図3または
図4に示すように、補機取付ベース(22)には、シリンダブロック(5)の外側に露出する表側にオイルフィルタ取付座(22b)が設けられ、シリンダブロック(5)に向けらける裏側に、オイルクーラ取付座(22c)が設けられると共に、補機取付ベース(22)のオイル入口(22a)と、リリーフ弁(29)のオイル流出口(29a)と、オイルギャラリ(24)へのオイル供給口(24a)と、オイルジェットデリバリ通路(25)へのオイル供給口(25b)が開口されている。
 
【0031】
  すなわち、図5に示すように、シリンダブロック内に設けられたブロック側水ジャケットと、ラジエータで放熱されたエンジン冷却水を中継してブロック側水ジャケットに導く水中継室(18)を備え、水中継室(18)はシリンダブロック(5)に設けられ、水中継室(18)の外開口が補機取付ベース(22)で覆われ、シリンダブロック(5)の外側に露出する補機取付ベース(22)の表側にオイルフィルタ(23)が取り付けられ、補機取付ベース(22)の裏側に取り付けられたオイルクーラ(21)が水中継室(18)内に収容されている。
 
 
【符号の説明】
【0032】
  (3)…オイルポンプ、
(4)…オイルパン、(4a)…エンジンオイル、
(5)…シリンダブロック、(18)…水中継室、(21)…オイルクーラ、(22)…補機取付ベース、(23)…オイルフィルタ、(27)…オイル供給通路、(28)…調圧弁、(28a)…受圧部、(28b)…流出弁口、(28c)…スライダ室、(28d)…スライダ、(28e)…付勢スプリング、(28f)…受圧室、(28g)…流出弁室、(28h)…流出弁体、
(28i)…オイル戻し通路、(29)…リリーフ弁、(30)…クーラバイパス弁。