【実施例】
【0048】
本発明の組成物およびプロセスは、例示としてのみ意図され、本発明の範囲を限定しない以下の実施例と共によりよく理解される。開示される態様への様々な変化および改変が当業者に明白であり、限定されないが本発明のプロセス、製剤および/または方法に関連するものを含むかかる変化および改変が、本発明の精神および添付の特許請求の範囲から逸脱することなく行われ得る。
【0049】
プロセス 2:
発酵プロセス
本研究は、動物フリー成分成長培地の5L発酵規模プロセスからの250mg/Lの全コラゲナーゼABC I & IIの目標収量を送達することを目的とした発酵プロセスを開発するために設定された。様々な潜在的で代替的な窒素供給源がスクリーニングされ、これらが成長培地に現在使用されるフィトン成分に対しておよびこれを超えてコラゲナーゼ発現に何らかの影響を与えるかどうかを判断した。2つの株であるヒストリチクス菌004および013の生産性を比較する実験によって、増殖動力学、コラゲナーゼ生産性および動物由来培地で増殖した夾雑プロテアーゼの生成に関して2つの株間での任意の違いが決定された。この比較によって、動物フリー成長培地に対する動物由来培地におけるヒストリチクス菌株の成長の間での有意な違いが強調された。
【0050】
以前の結果によって、フィトンおよび酵母抽出物の増大した濃度がより高いバイオマス濃度およびより高いレベルの全コラゲナーゼ発現を支持することが示されたことが記載された。最適化バッチ発酵培地のバイオマス濃度および全コラゲナーゼ生産性をさらに増大する試みにおいて、流加(fed-batch)発酵戦略が設計された。1つは高濃度培地のバッチ相、続いて低濃度飼養相を有し、第二は低濃度培地のバッチ相続いて高濃度飼養相を有する2つの5L発酵を実施した。両方の発酵物は高いバイオマス濃度を生成するが、高濃度バッチ相は比較的低レベルのコラゲナーゼ発現を示した。低濃度バッチ発酵は、非常に高いレベルのコラゲナーゼ発現を示したが(約280mg/L)、この培養はまた、夾雑プロテアーゼのクロストリパインの有意な量を生じた。
【0051】
低濃度バッチ発酵はコラゲナーゼの発現に関して非常に良好な結果を与えたが、非常に濃縮されたフィトンおよび酵母抽出物供給溶液は、調製することが非常に困難であった。2つのさらなる発酵が実施され、第一は以前の成功した流加発酵の繰り返しであり、第二はより低濃度供給溶液を用いてわずかに高い濃度のバッチ相培地組成を有した。両方の発酵は、同様のバイオマス濃度を達成し、コラゲナーゼおよびクロストリパイン(クロストリパイン)の同じ発現プロフィールを示した。生成したコラゲナーゼの量は、両方の発酵において約280mg/Lと再度見積もられた。しかし、これらの発酵は夾雑プロテアーゼクロストリパインの有意な量を生成した。
【0052】
代替窒素供給源の選択を、流加発酵戦略で使用されるフィトンペプトンを置き換える能力について評価した。ヒストリチクス菌は、4〜5単位の光学密度(600nm)に達する植物性ペプトンで極端に十分増殖した。しかし、これらの発酵物のSDS-PAGE分析は、コラゲナーゼまたはクロストリパインのいずれかの発現も示さなかった。これらのペプトンで観察される豊かな細胞増殖のために、複合窒素供給源の濃度が非常に高く、プロテアーゼ発現の阻害をもたらすことが考えられた。従って、第二セット発酵は、バッチ戦略において50 g/Lの代替ペプトンを用いて行われた。発酵物はSDS-PAGEで分析された場合、コラゲナーゼまたはクロストリパインの発現は再度見られなかった。フィトンペプトンを用いた流加発酵に、3つのアミノ酸、グルタミン、トリプトファンおよびアスパラギンを添加した。これらのアミノ酸は非動物培地中に低量で存在していると同定された。発酵の増殖プロフィールはアミノ酸添加なしの流加発酵のものと非常に類似した。SDS-PAGE分析によって、同様の収量のコラゲナーゼであるが、少し低レベルのクロストリパインが示された。クロストリパインアッセイは、対照流加発酵と比較する場合にアミノ酸添加で活性の減少を示した。なお有意であるクロストリパイン活性の減少は、動物培地と非動物培地との間での違いほど大きくはなかった。
【0053】
硫酸アンモニウム沈殿を用いるコラゲナーゼの一次回収工程の評価が粗発酵上清の0.2μm濾過で行われた。プロセスを介して行われるここでの目的は、コラゲナーゼ収量を増大し、クロストリパインの量を理想的に減少することを助けることであった。最初に100〜400g/Lの硫酸アンモニウム濃度をアッセイした。400g/Lの硫酸アンモニウムは、コラゲナーゼの有意な回収をもたらした。さらなる研究がより高い範囲の硫酸アンモニウム(400〜520g/L)で実施された。また、pHを6.0に減少する効果および沈殿前に培地を酸素化する効果がまた、調査された。これらの条件のいずれかでの上清から回収したコラゲナーゼまたはクロストリパインの量のいずれかにおいて違いは観察されなかった。400g/L硫酸アンモニウムから生じたペレットは懸濁することが最も容易であった。
【0054】
2つの株のヒストリチクス菌(004および013)を比較する研究は、動物由来培地のコラゲナーゼの生産性は最適非動物由来培地のものより低かったことを示した。クロストリパイン活性の酵素アッセイによって支持されるSDS-PAGE分析によって、非動物培地よりも動物由来培地から生成される物質中に有意に低い量のクロストリパインがあることが強調された。このことは、非動物由来培地発酵から生成した供給ストックが、夾雑プロテアーゼの生成に関して動物由来培地を用いた発酵とは有意に異なる供給ストック物質であるという事実を強調した。
【0055】
第一セット流加発酵 - DCFT24
プロセス開発研究の結果によって、オリジナル培地(50g/L フィトンペプトンおよび8.5g/L 酵母抽出物)と比べて、豊富培地(100g/L フィトンペプトンおよび50g/L酵母抽出物)の使用がコラゲナーゼのより高い量の発現をもたらすことが示された。また、これが生成されるクロストリパインの量を減少することが最初に見られた。
【0056】
2つの5L発酵を次に実施した。最初に、戦略は長バッチ相/短流加相からなり、二番目は短バッチ相/長流加相からなった。両方の戦略において、発酵の終わりに(2O時間後)、フィトンペプトンおよび酵母抽出物の濃度は、バッチ発酵の場合のように、それぞれ100g/Lおよび50g/Lであった。表1および2は、培地配合および使用される戦略を詳細に記す。
【表1】
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【表2】
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【0057】
図1は2つの発酵物からの増殖曲線(OD
600nm対時間)を示し、一方、
図2は正味の増殖曲線(正味OD
600nm対時間)を示す。第一発酵からの細胞は非常に速く増殖し、約10時間後に最大ODに達したことが観察された。これは、バッチ相の培地が非常に豊富であるという事実のためであった。流加相中に、細胞は増殖するように見えなかった。OD値は少し減少し、これは細胞が死んでいるという事実および発酵器への供給物の希釈効果に部分的に寄与し得る。
【0058】
第二発酵について、流加相は、6時間後に開始された。その時点で、OD値は、
図1の増殖曲線によって示唆されるように、低い。細胞は、約18時間までゆっくり増殖し続けた。
【0059】
図2の正味の増殖曲線は、DCFT24b発酵の細胞密度がDCFT24a発酵より高いことを示唆することが注目された。接種前に培地のOD
600nmは約1.7であり、一方でDCFT24bにおいて、約0.4であった。これらの違いは、発酵物がオートクレーブされる場合に沈殿が形成されるという事実のためである。DCFT24aについて、より高い量がDCFT24bと比較して形成された。
【0060】
SDS PAGEゲル:
上清試料のSDS PAGE分析(8% Tris-グリシンゲル)が、2つの発酵についてそれぞれ実施された。ゲルを
図3および4に示す。半定量的SDS PAGEゲルはまた、第二発酵の回収点試料について生じた。
【0061】
図4のSDS PAGEゲル分析は、非常に低い量のコラゲナーゼが発現されることを示した。これは、細胞がバッチ相中で非常に速く増殖し、結果として最大細胞濃度が約10時間後に達したという事実のためであり得た。対照的に、おそらくは細胞が短バッチ相中でよりゆっくり増殖し、流加相中で増殖し続けるために、非常に高いレベルのコラゲナーゼ発現が第二発酵で観察された。従って、本発明は、細胞増殖が短バッチ相中にゆっくり調節され、流加相中で増殖し続ける、C. hisのための改善された発酵方法に関する。ゆっくりした増殖は、発酵プロセスの開始の約10時間以内のような、流加相の前に短バッチ相中の増殖速度が最大細胞濃度をもたらさないということを意味するために定義される。好ましい態様において、増殖速度はだいたい本明細書に記載される第二発酵サイクルから生じる。
【0062】
第二発酵サイクルの回収点での半定量的SDS PAGEゲルの推定コラゲナーゼ生産性(
図5)は、コラゲナーゼABC Iについて132mg/LおよびコラゲナーゼABC IIについて158mg/Lであった。以前に得られたものとこれらの値を比較して、流加戦略を用いて約3倍の発現レベル増大がある。
【0063】
次の工程は、少し改変した流加戦略および培地を用いてさらなる流加発酵セットを行うことであった。目的は発酵プロセスの規模可能性および丈夫さを改善することであった。
【0064】
この発酵の培地配合は、バッチ相のフィトンペプトンおよび酵母抽出物がオートクレーブされる代わりに濾過滅菌されたことを除いて、上記と同じであった。培地中のタンパク質の加熱変性によって組成物に潜在的に影響を与え得る、酵母抽出物およびフィトンのオートクレーブを回避するためにこれを行った。発酵DCFT26bについて、酵母抽出物およびフィトンペプトンの量を増大した。これを行うと、供給物中の酵母抽出物およびペプトンの濃度がDCFT26aより低く、作製および濾過滅菌することが容易であった。両方の発酵について、後に続く戦略は同じであり、6時間バッチ相続いて14時間流加相であった。表3および4は培地配合を表し、
図6は両方の発酵に使用される戦略を表す。
【表3】
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【表4】
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【0065】
図7は2つの発酵からの増殖曲線(OD
600nm対時間)を示し、一方で
図8は、正味の増殖曲線(正味OD
600nm対時間)を示す。
【0066】
DCFT26aおよびDCFT26bの増殖曲線は、
図2に示されるDCFT24bのものと非常に類似した。細胞は流加相中でゆっくり増殖し、約3.5の最終の正味OD
600nmに達した。
【0067】
発酵試料のSDS PAGEゲル:
上清試料のSDS PAGE分析(8% Tris-グリシンゲル)を、2つの発酵のそれぞれについて実施した(
図9および
図10)。また、コラゲナーゼの量の良好な推定をするために、半定量的SDS PAGEゲルを、DCFT26a(
図11)およびDCFT26b(
図12)の回収点試料について行った。
【0068】
両方の発酵において、コラゲナーゼのレベルはDCFT24bのものと類似した(
図3)。半定量的SDS PAGEゲルによって、DCFT24b(280mg/L〜300mg/Lの全コラゲナーゼ)に非常に類似するレベルがDCFT26aおよびDCFT26bの両方について得られたことが示される。DCFT26a発酵サイクルの回収点(
図11)は、コラゲナーゼIについて約142mg/LおよびコラゲナーゼIIについて約132mg/Lであった。DCFT26b発酵サイクルの回収点(
図12)は、コラゲナーゼIについて約147mg/LおよびコラゲナーゼIIについて約158mg/Lであった。クロストリパインのレベルは、DCFT24bの場合のように、なお高かった。
【0069】
硫酸アンモニウム沈殿工程の研究:
これらの発酵の結果によって、コラゲナーゼのレベルは流加戦略を用いて高いが、クロストリパインのレベルはまた、なお有意に高かったことが示された。従って、小規模実験研究が、濾過された発酵上清からの沈殿ペレット中の、クロストリパインおよびコラゲナーゼの回収量に対する硫酸アンモニウム濃度の効果を調査するために設定された。
【0070】
硫酸アンモニウム沈殿工程の効果を評価するために、6×100mL上清試料を、発酵DCFT26aから回収した。これらの試料を、以下の表に詳細に記載されるように、6つの異なる硫酸アンモニウム濃度を用いて沈殿した。ペレットを3.3mLのWFI中に懸濁し、10OmMのK
2HPO
4(pH 6.7)に対して透析した。
【表5】
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【0071】
次に、透析後試料をSDS PAGE分析によって分析した。
図13: 15%および22.5%で沈殿される透析後回収点試料
図14: 30%および37.5%で沈殿される透析後回収点試料
図15: 45%および60%で沈殿される透析後回収点試料
【0072】
ゲルは、使用される硫酸アンモニウムが15%〜45%飽和である場合に透析後試料中のコラゲナーゼのレベルが非常に低いことを示す。これらの場合に回収は5%未満であるように思われた。
【0073】
60%飽和の硫酸アンモニウムが使用される場合(400g/L)、透析後試料中のコラゲナーゼのレベルは、非常に高かった(
図15)。バンドの強度を比較することで(試料対参照)、コラゲナーゼのそれぞれについて約70mg/Lが透析後試料中に存在したことが推定され得る。このことは、DCFT26aの半定量ゲル(
図11)によれば、回収点試料中に約130mg/Lの各コラゲナーゼが存在したために、約50〜60%の回収を示唆する。
【0074】
従って、本発明は、DCFT26bにおいて上に示される培地配合の使用(勿論、そこに示される量はおよそである)、および約400 g/リットルの硫酸アンモニウムがコラゲナーゼ含有培地に添加される、コラゲナーゼを沈殿するための硫酸アンモニウムの使用に関する。
【0075】
第三セットの流加発酵
ここでの主な目的は、開発された流加戦略の再現性を評価することであった。DCFT26bの複製発酵である流加発酵を実施した。また、硫酸アンモニウム/沈殿工程を、以前の小規模研究と比較してより詳細に調査した。より具体的に、目的は、沈殿/透析後試料中のコラゲナーゼおよびクロストリパインの回収に対する、60%(400g/L)から80%(530g/L)までの、様々な硫酸アンモニウム濃度の効果を調べることであった。また、回収上清試料を処理する2つの方法がまた、評価され、すなわち、pHをシフトし、培地を酸素化した。
【0076】
増殖曲線:
使用される培地および流加戦略は、DCFT26bと全く同じであった。
図16は、発酵からの増殖曲線(OD
600nm対時間)および正味の増殖曲線(正味OD
600nm対時間)を示す。増殖曲線はDCFT26bのものと非常に類似し、プロセスの良好な再現性を示した。
【0077】
発酵を通して得られる上清試料のSDS PAGE分析(8% Tris-グリシンゲル)は、コラゲナーゼおよびクロストリパインのレベルがDCFT26bのものと非常に類似することを示した(SDS PAGEゲルは示さない)。半定量的SDS PAGEゲル(8% Tris-グリシンゲル)を、回収点試料について実施した(
図17)。ゲルは、DCFT26bに観察されるレベルと類似して、120mg/Lよりも高い各コラゲナーゼが存在することを示唆する。
【0078】
発酵回収試料の硫酸アンモニウム沈殿:
硫酸アンモニウム沈殿工程の有効性を評価するために、7×500mL上清試料を回収した。これらを、以下の6つの方法を用いて沈殿した。
【0079】
全ての場合において、ペレットを16.5mLの10OmMのK
2HPO
4(pH 6)に懸濁し、同じバッファに対して透析する方法4を例外として、ペレットを16.5mLのWFIに懸濁し、10OmMのK
2HPO
4 (pH 6.7)に対して透析した。SDS PAGEゲルを、次に、透析後試料中のコラゲナーゼの量を推定し、沈殿/透析工程の回収を評価するために実施した。
【0080】
続く沈殿/透析方法は以下のものである。
1 400g/Lの硫酸アンモニウムを、上清試料に一度に添加する沈殿。10OmMのK
2HPO
4, pH 6.7に対する透析。
2 400g/Lの硫酸アンモニウムを、上清試料にゆっくり(約30分)添加する沈殿。10OmMのK
2HPO
4, pH 6.7に対する透析。
3 400g/Lの硫酸アンモニウムを、予備酸素化した上清試料にゆっくり(約30分)添加する沈殿。発酵器から回収された500mL細胞培養物を約10分間酸素化することでこれを行った。培養物を次に、濾過滅菌した。硫酸アンモニウム沈殿後に形成されたペレットを、10OmMのK
2HPO
4 pH 6.7に対して透析した。
4 400g/Lの硫酸アンモニウムを、5N HClを添加してpHをpH6に変化した上清試料にゆっくり(約30分)添加する沈殿。後に形成されたペレットを、10OmMのK
2HPO
4, pH 6に対して透析した。
5 440g/Lの硫酸アンモニウムを、上清試料にゆっくり(約30分)添加する沈殿。10OmMのK
2HPO
4, pH 6.7に対する透析。
6 480g/Lの硫酸アンモニウムを、上清試料にゆっくり(約30分)添加する沈殿。10OmMのK
2HPO
4, pH 6.7に対する透析。
7 520g/Lの硫酸アンモニウムを、上清試料にゆっくり(約30分)添加する沈殿。10OmMのK
2HPO
4, pH 6.7に対する透析。
【0081】
硫酸アンモニウムは、上清試料中に480g/Lおよび520g/Lで添加した場合に完全に溶解しなかったが、400g/Lおよび440g/Lで添加した場合に完全に溶解した。
【0082】
SDS PAGEの結果は、沈殿工程(400g/L, 440g/L, 480g/L, 520g/L)に使用される硫酸アンモニウムの異なるレベルまたは使用される他の方法(酸素化, pHシフト)は、透析後試料に存在するコラゲナーゼの量に対する明らかな効果を有するように見えなかったことを示した。全ての場合において、透析後試料中の各コラゲナーゼ濃度は50mg/L〜60mg/Lの範囲であった。
図18aは、400g/L 硫酸アンモニウムで沈殿された透析後試料のもののような、代表的なSDS PAGEゲルを示す。全てのゲルは非常に類似していたので、他のSDS PAGEゲルはこの報告に提示されない。
【0083】
回収点試料(
図17)および透析後試料中のコラゲナーゼの推定濃度を考慮すると、沈殿/透析工程後のコラゲナーゼの回収は、約50%であった。SDSゲルによるコラゲナーゼ濃度の推定におけるエラーが一般的に高いので、50%回収の値が正確であるかを調査するために、以下のSDS PAGEゲルを行った。
【0084】
・ 硫酸アンモニウム沈殿試料の遠心分離後の全ての上清のSDS PAGEゲル(
図18a)。目的は、任意の量のコラゲナーゼが上清で損失されるかどうかを評価することであった。
・ 回収点上清試料および透析後硫酸アンモニウム(400g/L)沈殿試料が等量のコラゲナーゼを含むように適切に希釈され、同じゲルに負荷されたSDS PAGEゲル (
図19)。
・ 回収点上清試料および透析後硫酸アンモニウム試料(520g/L)が等量のコラゲナーゼを含むように適切に希釈され、同じゲルに負荷されたSDS PAGEゲル(図 20)。
【0085】
図18bから、硫酸アンモニウム沈殿試料の遠心分離後の上清中に存在するコラゲナーゼの量は非常に低かったことがわかる。
図19および
図20で、沈澱/透析工程後のコラゲナーゼの量は上清回収試料のものと非常に類似するように見えた。従って、上清および透析後試料の半定量的SDS PAGE ゲルを比較することに由来する回収値が実際により高いことがありえた。
【0086】
動物由来TSB/プロテオースを用いたベンチマーク発酵実験:
動物由来成分含有培地中のヒストリチクス菌013株および004株の発酵を実施した。目的は013株を004株と比較し、細胞増殖、コラゲナーゼ発現および夾雑物のレベルに対する動物成分の効果を評価することであった。
【0087】
ヒストリチクス菌013:
凍結乾燥された株はPBS中に懸濁され、TSB/プロテオース寒天プレート(30g/L TSB, 10g/Lプロテオースペプトン,12g/L寒天に播いた。プレートを、嫌気性ガスパックの存在下、嫌気性ジャー中でインキュベートした。単一コロニーを選び取り、5mL TSB/プロテオース培地を接種するために使用した。37℃で15時間インキュベーションした後、培養物のOD
600nmは、約1.0単位であった。5mLの培養物は次に、1mLの滅菌水と混合され、-70℃以下で保存された。
【0088】
PBFT58発酵
増殖曲線:
2つの5Lバッチ発酵、PBFT58c(004株)およびPBFT58d(013株)を行った。表6は、使用されるTSB/プロテオース培地の配合を提示する。
図21は、得られた増殖曲線(正味OD
600nm 対時間)を示す。
【表6】
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【0089】
図21より、013株は004株より高いODまで増殖したことがわかった。しかし、両方の場合に最終OD
600nmは2.5より高く、動物由来培地は両方の株の良好な増殖を支持することを示した。
【0090】
013株は回収点(20時間)までゆっくり増殖し続けるが、004株は約2.7の正味のOD
600nmまで増殖し、次に増殖が止まることが注目された。非動物由来培地を用いて、以前に提示された流加発酵と比較して、動物由来TSB/プロテオース培地を用いて得られた最終ODは低かった。
【0091】
SDS PAGE分析:
発酵を通して得られた上清試料のSDS PAGEゲル(8% Tris-グリシンゲル)を、
図22および
図23に示す。
【0092】
発酵上清、特に013株の場合に任意のクロストリパインが存在するように見えなかった。これは、コラゲナーゼの精製中のオリジネーター(originator)が問題を有し得なかったか、あるいは問題を減少したという事実を説明し得るので、非常に重要な発見であった。対照的に、精製プロセス中に、コラゲナーゼの分解が有する有意な問題は以前に経験した。これは発酵物中のクロストリパインの存在に部分的に寄与し得る。
【0093】
発酵物中に存在するコラゲナーゼの量の良好な推定値を得るために、半定量的SDS PAGEゲルを、回収点試料について行った(
図24および
図25)。ゲルはより低量のコラゲナーゼが植物性培地を用いた流加発酵(PBFT57)と比べて、TSB/プロテオース培地を用いたバッチ発酵(PBFT58c)に生成されることを示唆する。これは、より高い細胞密度が後者の場合に得られたという事実に寄与し得る(OD
600nm約4〜OD
600nm約2.7)。表7は半定量的ゲルの結果をまとめる。
【表7】
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【0094】
発酵回収試料の硫酸アンモニウム沈殿:
各発酵について、2×500mL回収点試料を、400g/L(60%)および520g/L(80%)硫酸アンモニウムを用いて沈殿した。ペレットを、16.5mLのWFIに懸濁し、10OmMのK
2HPO
4(pH 6.7)に対して透析した。透析後試料のSDS PAGE分析(8% Tris-グリシンゲル)を、次に行った(
図26および
図27)。
【0095】
これらのゲルの結果は、非常に濃縮された透析後試料においても(
図26および27の レーン6および7)、クロストリパインのレベルは極端に低いかったことを示した。これは004株と比較して013株の場合により明白である。
【0096】
従って、本発明は本明細書に記載される発酵プロセスによって製造されるもののようなクロストリパインを含まないコラゲナーゼ組成物に関する。
【0097】
クロストリパイン活性の測定:
クロストリパインの役割をさらに調査するために、酵素アッセイを、透析後試料のクロストリパイン 活性を測定するために設定した。以下の方法を使用した:
クロストリパインの酵素アッセイ:
【数1】
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BAEE = N-a-ベンゾイル-L-アルギニンエチルエステル
条件:T = 25℃、pH = 7.6、A
253nm、光路 = 1cm
方法:連続分光測光法速度測定
単位定義:1ユニットは、2.5mM DTTの存在下、pH 7.6、25℃で1分当り1.0μmolのBAEEを加水分解する。
【0098】
透析後の試料のクロストリパイン活性についての分析:
クロストリパイン活性アッセイを使用して、TSB/プロテオース(PBFT58)を添加した発酵液由来の透析後試料および植物ベース流加発酵液(PBFT57)を分析した。表8に結果をまとめる。
【0099】
結果は、TSB/プロテオース発酵液の場合には極めて低いクロストリパイン活性が存在したことを示す。対照的に、流加PBFT58の場合にはクロストリパイン活性は非常に高かった。
【表8】
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【0100】
代替ペプトンの調査
振盪フラスコ中のスクリーニング試験:
この試験において、種々の植物ペプトンをフィトン(phytone)ペプトンに代わるものとして使用した。目的は、コラゲナーゼおよびクロストリパインの発現のレベルにおける種々のペプトンの効果を評価することであった。試験した全てのペプトンは植物供給源に由来し、Sigmaにより販売されている。
【0101】
使用した実験の手順を
図28に説明する。メディウム(medium)の配合は表9に詳述し、使用したペプトンのリストは表10に示す。また、フィトンペプトンを含有するものを対照振盪フラスコとした。全ての場合で、発酵させた流加発酵液の採取の時点でこれらの成分の濃度を模倣するために、50g/Lの酵母抽出物および100g/Lのそれぞれのペプトンを使用した(表4参照)。
【表9】
[この文献は図面を表示できません]
【0102】
振盪フラスコを18時間インキュベートした。OD
600nmおよび生存細胞計測について培養物を分析した。培養物を濾過してSDS PAGEにより上清を分析した。OD
600nm測定の結果および生存細胞計測の結果を表10にまとめる。
【0103】
フィトンペプトンと比較して、ほとんどの植物性ペプトンはより高い正味のOD値を生じた。しかしながら、OD値は生存細胞計測数とは相関しなかった。これは部分的に、生存細胞計測法の変動、または予備的な選択的採取の時点(18時間)以前に細胞が既に溶解し始めていたことに起因し得た。
【0104】
興味深いことに、SDS-PAGEゲルは、対照のフラスコ(フィトンペプトン)を含む全てのフラスコで、コラゲナーゼの発現は見られなかった(ゲルは示さず)ことを示した。このことについて考えられる理由は、使用したフィトンペプトンおよび酵母抽出物の濃度が非常に高く、そのためにコラゲナーゼの発現が抑制されたということであり得た。
【表10】
[この文献は図面を表示できません]
【0105】
代替ペプトンを使用した流加発酵DCFT27a,b:
コラゲナーゼの発現が観察されなかったという先の振盪フラスコ実験の情報に基づいて、発酵した流加戦略を使用して代替ペプトンを評価することを決定した。
【0106】
2種類の流加発酵、DCFT27a(植物性抽出物2)およびDCFT27b(植物性加水分解物2)を行なった。両発酵液において、フィトンペプトンを含むメディウムについて開発された流加戦略を使用した。表11にはメディウムの配合を示し、
図29には使用した戦略を示す。
【表11】
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【0107】
増殖曲線:
DCFT27aおよびDCFT27bについての増殖曲線(正味のOD
600nm対時間)を
図30に示す。両発酵液において、フィトンペプトンを含むメディウム(発酵液PBFT57、
図16)と比較して、細胞はわずかに高いOD
600nmまで増殖した。これは生存細胞計測数と一致した(PBFT57について1.5x10
9 CFU/mLと比較して、DCFT27a,bについておよそ2x10
9 CFU/mL)。
【0108】
SDS PAGEゲル:
振盪フラスコ実験について、SDS PAGE分析はDCFT27aおよびDCFT27bの両方でコラゲナーゼの発現がないことを示した(ゲルは示さず)。
【0109】
これは、フィトンペプトンを使用する場合は、多量のペプトンからなるメディウムがコラゲナーゼの発現を補助するが、代替ペプトンを使用する場合には多すぎて、コラゲナーゼおよびクロストリパインを含む何らかの代謝産物の発現を抑制するということに起因し得る。該細胞は代替ペプトンを含むメディウム中で豊かな増殖条件を経験し何らかのプロテアーゼを産生する必要がないものと思われる。
【0110】
代替ペプトンを使用したバッチ発酵PBFT59a,b,c:
DCFT27aおよびDCFT27b流加発酵の結果から、3種類のさらなる変形ペプトンを調べるさらなる研究が導かれたが、以前に使用したよりも低い濃度が使用された。
【0111】
3種類の5Lバッチ発酵、PBFT59a(植物性トリプトン)、PBFT59b(植物性抽出物)およびPBFT59c(植物性抽出物番号1)を実行した。18時間後に発酵液を採取した。
【0112】
動物性メディウム中のプロテオースペプトン(プロテオース/ペプトン)の濃度および以前に使用したフィトンペプトンの濃度を模倣するために、50g/Lの濃度で全てのペプトンを使用した。メディウムの配合を表12に示す。
【表12】
[この文献は図面を表示できません]
【0113】
増殖曲線:
PBFT59a,b,c発酵液から得られた増殖曲線を
図31に示す。全ての場合において、細胞は、DCFT27流加発酵液と比較して、より低いOD
600nm(1.8〜2.8)まで増殖した。これはまた、生存細胞計測数に一致した(DCFT27a,bについて2x10
9 CFU/mLであったのと比較して、PBFT59a,b,cについて0.7x10
9 CFU/mL〜1.2x10
9 CFU/mL)。トリプトンを含むメディウムにおいて、細胞は最も遅い増殖速度を示し、18時間後に最も低い細胞密度に達した。
【0114】
SDS PAGEゲル:
振盪フラスコ実験およびDCFT27a,b流加発酵液に関して、SDS PAGEゲルではコラゲナーゼの発現は見られなかった(ゲルは示さず)。
【0115】
これらの結果は、代替ペプトンは細胞増殖を補助するが、コラゲナーゼの発現を可能にはしないことを示す。先に示唆したように、これは、これらのペプトンが栄養素、例えば遊離アミノ酸、小分子ペプチドに非常に富むためであり得る。
【0116】
4組目の流加発酵-DCFT27d
代替植物性ペプトンを使用した実験の結果が良好ではなかったので、この研究の次の目的はフィトンペプトンメディウムを使用した開発した流加発酵液におけるクロストリパインのレベルを減少する可能性を調べることであった。前述のように、クロストリパインはおそらく精製プロセスの間のコラゲナーゼの分解を引き起こしていると思われた。
【0117】
3種類のアミノ酸、即ちグルタミン、トリプトファンおよびアスパラギンを補充した標準的フィトンペプトンメディウムを使用して流加発酵を行なった。この発酵は、製造業者により提供されたこれらの成分のアミノ酸組成に基づく動物性TSB/プロテオースメディウムと比較して、これらの特定のアミノ酸濃度をフィトンペプトン中でより低くして実行した。
【0118】
ここでの目的は、これらのアミノ酸の添加によりクロストリパインの発現に寄与する要因となり得る何らかの栄養素制限を低減することができるかどうかを調べることであった。メディウム配合を
図13に示す。使用した発酵戦略はDCFT26およびPBFT57発酵(
図6参照)に使用した標準的流加戦略であった。
【表13】
[この文献は図面を表示できません]
【0119】
増殖曲線:
DCFT27d発酵液から得られた増殖曲線を
図32に示す。得られた増殖プロフィールは、以前に示したアミノ酸無しの標準的流加発酵(DCFT26bおよびPBFT57)について得られたものと非常に類似していた。
【0120】
SDS PAGEゲル:
図33aは、発酵を通じて得られた上清試料のSDS PAGEゲルを示す。コラゲナーゼのレベルは標準的流加発酵について見られたもの(DCFT26bのSDS PAGEゲルについて
図10参照)と同様である。クロストリパインは依然として発酵液中に存在しているが、そのレベルはDCFT26bの場合よりも低いように思われた。
【0121】
このことをさらに調べるために、クロストリパイン活性アッセイを使用して、透析後採取点の試料のクロストリパイン活性を推定した。また、20L凍結乾燥バッチから得た透析後採取点の試料のクロストリパイン活性も推定した。この特定のバッチは有意なコラゲナーゼ分解を示すことなく精製されたので、このバッチのクロストリパイン活性の認識は有益であった。表14に透析後試料の酵素活性をまとめる。これは、比較目的で、表8に示される標準的フィードバッチ(fed-batch)発酵液PBFT57および動物性TSB/プロテオースペプトンについての酵素活性も含む。
【表14】
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【0122】
DCFT27dの結果は、アミノ酸の添加により該株により産生されるクロストリパインの活性が低減することを示す。クロストリパイン対コラゲナーゼの割合は、対照流加発酵液と比較して、アミノ酸補充発酵液ではおよそ4倍低い。動物由来発酵液のクロストリパイン対コラゲナーゼの割合は、アミノ酸補充流加発酵液よりも10倍低かった。クロストリパイン活性の減少は、精製の間のコラゲナーゼの分解の有意な減少を生じ得る可能性がある。
【0123】
一連の5L発酵を実施して、いくつかの流加発酵戦略を評価した。そのコラゲナーゼの収量、夾雑物の量およびスケーラビリティー(scalability)に基づいて戦略を評価した。これらの結果に基づいて、最適な流加戦略を、およそ280mg/Lのコラゲナーゼ総量の生産力を生じるものとして同定した。バッチメディウム濃度をわずかに増加させ、流加メディウム濃度を減少させて発酵戦略を改変し、そのスケーラビリティーを向上させた。発酵戦略についてのこの変更は夾雑物の生産量またはレベルに何ら影響を与えなかった。
【0124】
第2の目的は、コラゲナーゼの一次回収工程を最適化することであった。この工程の最適化は、プロセス工程の収量の向上、または回収される夾雑物の量の減少、またはスケーラビリティーの増加に関係した。100〜520g/Lの硫酸アンモニウム濃度の範囲を評価した。pHを6.0に下げることの効果およびメディウムに酸素添加することの効果も評価した。400g/L未満の全ての硫酸アンモニウム濃度はコラゲナーゼの非常に低い回収を示した。400〜520g/Lの硫酸アンモニウム濃度のいずれにおいてもコラゲナーゼまたはクロストリパインの回収に差は見られなかった。400g/L沈殿物由来のペレットは最も容易に再懸濁されたため、この濃度を最適レベルと規定した。
【0125】
ヒストリチクス菌菌株013および004を添加した動物由来メディウムにおけるコラゲナーゼおよびクロストリパインの増殖および産生を測定および比較するために、ベンチマーキング実験を行なった。動物由来培地の配合は、TSBおよびプロテアーゼペプトンを利用したプロセス1発酵メディウムから得た。この実験はまた、動物性メディウムおよび非動物性メディウム中で増殖した系統004の比較を可能にした。SDS-PAGE分析の結果は、動物由来培地中で増殖したヒストリチクス菌のクロストリパインの量はかなり少ないことを示した。クロストリパイン活性についての酵素アッセイを使用してこれらの結果を確認した。アッセイは、動物由来メディウムを使用した発酵液中のクロストリパインの活性の有意な減少を示した。2種類の系統を比較した場合、004は013よりも高いクロストリパイン活性を示した。
【0126】
代替窒素供給源の選択を、流加発酵戦略におけるフィトンペプトンと置き換えるその能力について評価した。これらのペプトンは植物性抽出物2(Sigma、49869)および植物性加水分解物2(Sigma、07436)であった。ヒストリチクス菌は、4〜5単位の最適密度(600nm)に達し、植物性ペプトンにおいて非常に良好に増殖した。これらの発酵液のSDS-PAGE分析は、コラゲナーゼやクロストリパインいずれの発現も示さなかった。これらのペプトンにおいて観察された豊富な細胞増殖のために、複合窒素供給源の濃度が高すぎ、プロテアーゼ発現の阻害を生じたということが考えられた。そのため、第2の組の発酵は、バッチ戦略において50g/Lで代替ペプトンを使用して行なった。これらの実験について、植物性トリプトン(Sigma、16922)植物性抽出物(Sigma、05138)および植物性抽出物1(Sigma、04316)を代替ペプトンとして使用した。SDS-PAGEで発酵液を分析した際に、コラゲナーゼやクロストリパインの発現は見られなかった。フィトンペプトンを使用した流加発酵液に3種類のアミノ酸、グルタミン、トリプトファンおよびアスパラギンを補充した。これらのアミノ酸は非動物性メディウム中に少量で存在するものとして同定された。発酵液の増殖プロフィールはアミノ酸の補充を行なわなかった流加発酵のものと非常に類似していた。SDS-PAGE分析は、クロストリパインはわずかに低いレベルではあるが、同様のコラゲナーゼの収量を示した。クロストリパインアッセイは、対照流加発酵液と比較した場合、アミノ酸の補充で活性の減少を示した。クロストリパイン活性の減少は、依然として大きかったが、動物性メディウムと非動物性メディウムの差ほど大きくはなかった。
【0127】
材料および方法:
植物性メディウムを使用した発酵用接種メディウム
この開発研究を通して接種メディウム用に以下の配合を使用した。
【0128】
接種メディウム-植物性
【表14A】
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メディウムは濾過滅菌した
【0129】
接種手順
内部のセルバンク由来のバイアルを溶解して、0.025mLを30mLユニバーサルの接種メディウム中の5mLの接種に使用した。5mLの培養物を、嫌気性ジャー中で嫌気性ガスジェネレーターの存在下で、37℃でインキュベートした。およそ13〜15時間のインキュベーション後、4mLの培養物を使用して、500mLのフラスコ中で200mLの接種メディウムに接種した。前述のようにフラスコを、嫌気性ガスジェネレーターの存在下で嫌気性ジャー中に置いた。37℃、75rpmでおよそ13〜15時間のインキュベーション後、フラスコの全内容物を使用して発酵液に接種した。
【0130】
発酵液のpHおよび温度は、それぞれ7.0および37℃で制御した。窒素流速を1L/分(約0.2vvm)に、および撹拌機の速度を100rpmに設定した。OD
600nm測定および生存細胞計測のために発酵液を決まった時間でサンプリングした。試料を0.22μmのフィルターで濾過した。SDS PAGE分析のために濾過物を-20℃で保管して-20℃で凍結乾燥した。
図33bに模式的な接種の手順を示す。
【0131】
流加発酵液の好ましい配合を以下に示す。
【表14B】
[この文献は図面を表示できません]
【0132】
コラゲナーゼ産物の質や収量を損なうことなく発酵プロセスをさらにスケールアップすることも望ましい。従って、本発明はさらに、
図33cのフローチャートに記載するようなおよそ200リットルの流加プロセスに関する。
【0133】
生存細胞計測法
振盪フラスコから得た試料を10
-4〜10
-7倍希釈してTBアガープレート上に塗布した。プレートを37℃でおよそ48時間、Genboxジャー中でインキュベーションした。ジャー中に嫌気性条件を作るために嫌気性ガスジェネレーターパックを使用した。その後コロニー数を計測した。
【0134】
硫酸アンモニウム沈殿:
材料:Sorvall Evolution遠心分離
化学物質:硫酸アンモニウム、GPR等級(BDH)
0.22μmのフィルターを通して上清試料(100mL〜500mL)を濾過した。実験ごとに種々の量の硫酸アンモニウムを添加した(15%〜80%飽和)。溶液をおよそ15分かけて、硫酸アンモニウムが溶解するまで磁性撹拌機中でゆっくりと混合した。その後混合せずに約3.5時間、+2〜8℃で溶液を維持した。維持工程後に、多くの沈殿が形成した。次いで溶液を7,200×gで、4℃で20分間遠心分離した。上清を廃棄してペレットを-20℃で保管した。
【0135】
透析
材料:10kDa MWCO SnakeSkin透析チューブ(68100、Pierce)
磁性撹拌機
化学物質:オルトリン酸2水素カリウムAnalaR(BDH)
注射用の水(WFI)
100mLの硫酸アンモニウム試料から得られたペレットを3.3mLのWFIに再懸濁した。再構成されたペレットを前もって湿らせた10kDa MWCO SnakeSkin透析チューブに移し100mMのK
2HPO
4(pH 6.7)に対して約12〜16時間、2〜8℃で透析した。次いで、WFIを換えて透析を2〜4時間続けた。透析した材料を回収して、体積を測定した。透析後試料を-20℃で保管した。
【0136】
SDS-PAGE分析(8%Tris-グリシンゲル)
材料:Xcell SureLock Mini-Cell
化学物質:
高分子量SDS-PAGE標準(161-0303、Bio Rad)
Novex 8% Tris-グリシンゲル、1.5mm、10ウェル(EC6018BOX、Invitrogen)
Novex 8% Tris-グリシンゲル、1.5mm、15ウェル(EC60185BOX、Invitrogen)
Novex Tris-グリシンSDSランニングバッファ(10x)(LC2675、Invitrogen)
Novex Tris-グリシンSDSサンプルバッファ(2x)(LC2676、Invitrogen)
NuPAGE試料還元剤(10x)(NP0009、Invitrogen)
Collodial Blue染色キット(LC6025、Invitrogen)
エチ レーンジアミン酢酸二ナトリウム塩Analar R(BDH)
【0137】
10μlの試料を10μlの試料バッファ(2x)、2.5μl還元剤(10x)および2μlの0.1M EDTAに添加して(10mMの終濃度とした)還元SDS-PAGE用試料を調製した。10μlの濃縮ストックを80μlの還元剤(10x)、310μl WFIおよび400μl試料バッファ(2x)に添加して、高分子量(HMW)マーカーを調製した。次いで、等分する前に希釈HMW標準を95℃で5分間加熱して、その後のゲルでの使用のために-20℃で保管した。コラゲナーゼ含有試料(15μl)を直接(即ち事前に加熱処理せずに)Tris-グリシンランニングバッファを使用して、130Vで約1時間50分間、8% Tris-グリシンゲルに流した。電気泳動後、製造業者の指示書の通りにゲルをコロイドブルー染色試薬で染色した。
【0138】
精製プロセス
精製の5Lプロセスについての方法の要約:
工程1. 培養メディウム上清(分泌タンパク質)の硫酸アンモニウム沈殿。
再構成および0.1Mリン酸カリウム、0.1MアルギニンpH6.7に透析。
工程2. ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー(200μMロイペプチンの存在下)
4CVで、0.264Mリン酸カリウムpH6.7の0〜100%勾配により溶出。
A
280>A
260での2つの後期溶出ピークのプール、TMAE上に直接負荷
工程3. フラクトゲルTMAEイオン交換(200μMロイペプチンの存在下)
核酸除去(Pall Mustang Qフィルターも使用できる)
未結合フロースルーの回収およびプール。
工程4. 10mM Tris pH8.0に透析
工程5. QセファロースHPイオン交換(200μMロイペプチンの存在下)
AUXIとAUX IIを分離
20 CVで、10mM Tris、3mM CaCl
2、360mM NaCl pH8.0の0〜40%勾配により溶出
2つのピークを回収: ピーク1=AUX II
ピーク2=AUXI
AUXIおよびAUX IIを含む画分に0.1Mまでアルギニンを添加した
工程6. AUXIおよびAUX IIプールを加圧式撹拌セルで濃縮した
工程7. Superdex 75ゲルろ過
クロストリパインおよびゼラチナーゼをAUXIおよびAUX IIから除去
AUXIおよびAUX IIを別々のカラムに個々に流す。
試料を5%CVで負荷
バッファ:10mM Tris、3mM CaCl
2、150mM NaCl、0.1MアルギニンpH8
工程8. AUXIおよびAUX IIをプールして個々に濃縮し水に透析濾過して、その後プールして最終薬物生成物とする。
【0139】
カラム詳細:
【表15】
[この文献は図面を表示できません]
【0140】
カラム充填
・可能な限り製造業者の指示書の通りにカラムに充填した。
・TMAEカラム-問題は生じなかった。
・QセファロースおよびSuperdex75-カラムのサイズのために充填して正確に圧縮することに困難は生じなかった。しかし、カラムは推奨の圧力で流した。
・HA-50%スラリーで充填して10mL/分で流した。
【0141】
5Lプロセスの収率/回収
【表16】
[この文献は図面を表示できません]
【表17】
[この文献は図面を表示できません]
【0142】
ABC IおよびABC IIそれぞれについて5Lプロセスの収量はおよそ60〜75mgであるスケールアップでは、発酵液に応じて、20Lについて250〜300mgおよび200Lについて2500〜3000mgの収量が予想され得た。
【0143】
5Lスケールプロセスの個々のクロマトグラフィー工程:
ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー
カラムサイズ: XK50/30中2x300mL(それぞれ15cm床高さ)
バッファA: 0.1Mリン酸カリウム、200μMロイペプチン、pH6.7
バッファB: 0.264Mリン酸カリウム、200μMロイペプチン、pH6.7
試料: 約350mL(0.1Mリン酸カリウム、0.1MアルギニンpH6.7中)は、<1.0mg/メディウム*で負荷された
流速: 9.8mL/分
溶出: 4 CVで0〜100% B
【0144】
図34は、1.0mg/メディウム1Lの負荷によるハイドロキシアパタイト後のクロマトグラムを示し、分離および標的分解のかなりの量の低下が生じている。
【0145】
フラクトゲルTMAEアニオン交換
カラムサイズ: XK26/20中58mL(10cm床高さ)
バッファA: 10mMリン酸カリウム、0.2M NaCl、200μMロイペプチン、pH6.7
バッファB: 10mMリン酸カリウム、2M NaCl、pH6.7
試料: 0.5mg/mLで約650mL(リン酸カリウムpH6.7中、HAカラムから直接)は約5.5mg/メディウム1mLで負荷された
流速: 8.8mL/分
溶出:(核酸を溶出するために100% B)
【0146】
図35は、フラクトゲルTMAEアニオン交換後のクロマトグラムを示す。未結合画分をプールして0.5mg/mLで約650mLを得た。pH8で10mM Trisに透析した。
【0147】
図36は、5LスケールプロセスのHA前、HA後およびTMAE後材料のSDS-PAGEゲルを示す。コロイドブルーでゲルを染色する。
【0148】
オリジナル溶出勾配によるQセファロースHPアニオン交換
カラムサイズ:XK50/20中100mL(5.0cm床高さ)
バッファA: 10mM Tris、3mM CaCl
2、200μMロイペプチン、pH8.0
バッファB: 10mM Tris、3mM CaCl
2、360mM NaCl、200μMロイペプチン、pH8.0
試料: 0.5mg/mLで約650mL(10mM Tris、pH8.0 + 200μMロイペプチン中)は約3.0mg/メディウム1mLで負荷された
流速: 18.0mL/分
溶出: 20 CVで0〜40% B
【0149】
図37は、オリジナル溶出勾配によるQセファロースHPアニオン交換後のクロマトグラムを示す。0.1Mまで、画分含有ABC IおよびABC IIにアルギニンを添加する。ピーク1画分(ABC II)をプールして、2.8mg/mLで約45mLを得るための撹拌セルにより濃縮された0.55mg/mLで約220mLを得た。ピーク2画分(ABC I、ゼラチナーゼショルダーを除く)をプールして、2mg/mLで約42mLを得るための撹拌セルにより濃縮された0.45mg/mLで約190mLを得た。
【0150】
図38は、ピーク1(ABC II)についてのロイペプチンの存在下で泳動したTMAE後物質のQセファロースIEXクロマトグラフィーのSDS-PAGEゲルを示す。ゲルをコロイドブルーで染色する。
【0151】
図39は、ピーク2(ABC I)についてのロイペプチンの存在下で泳動したTMAE後物質のQセファロースIEXクロマトグラフィーのSDS-PAGEゲルを示す。ゲルをコロイドブルーで染色する。
【0152】
修飾勾配によるQセファロースHPアニオン交換
バッファAへのNaCl添加の小規模試験およびスティーパー/ファスター勾配を使用した小規模試験。試料は1/3 5Lプロセス、TMAE後、前凍結(-20℃)に由来した。
カラムサイズ: 1mL
バッファA: 10mM Tris、30mM NaCl、3mM CaCl
2、200μMロイペプチン、pH8.0
バッファB: 10mM Tris、3mM CaCl
2、360mM NaCl、200μMロイペプチン、pH8.0
試料: 3mg TMAE後、10mM Tris、30mM NaCl、200μMロイペプチン、pH8.0に透析後。3mg/メディウム1mLで負荷した
勾配: 2CVで0〜25%B、2CVについて25%B、7.5CVで25〜40%B
【0153】
図40は、修飾溶出勾配によるQセファロースHPアニオン交換後のクロマトグラムを示す。ABC IとABC IIの良好な分離が観察される。勾配の第2部分はスティーパーによりABC Iピークを鋭利にし得る。ピークの改善は、3および10mg/メディウム1mLで負荷された5mL CVを使用してもなされ得る。
【0154】
ABC II(IEXのピーク1)のSuperdex 75ゲル浸透クロマトグラフィー
カラムサイズ: XK50/60中880mL(54cm床高さ)
バッファ: 10mM Tris、3mM CaCl
2、150mM NaCl、0.1Mアルギニン、pH8.0
試料: 2.5mg/mL(10mM Tris、3mM CaCl
2、約60mM NaCl、0.1Mアルギニン、pH8.0中)で約44mL(5%CV)
流速: 8.8mL/分
【0155】
図41は、ABC II(IEXのピーク1)のsuperdex 75ゲル浸透クロマトグラフィー後のクロマトグラムを示す。ピークをプールして1.2mg/mLで約60mLのABC IIを得る。
【0156】
図42は、アルギニン存在下で泳動した濃縮ABC IIのsuperdex 75ゲル浸透クロマトグラフィーのSDS-PAGEゲルを示す。ゲルをコロイドブルーで染色する。
【0157】
ABC I(IEXのピーク2)のSuperdex 75ゲル浸透クロマトグラフィー:
カラムサイズ: XK50/60中880mL(54cm床高さ)
バッファ: 10mM Tris、3mM CaCl
2、150mM NaCl、0.1Mアルギニン、pH8.0
試料:2.0mg/mL(10mM Tris、3mM CaCl
2、約60mM NaCl、0.1Mアルギニン、pH8.0中)で約42mL(5%CV)
流速: 8.8mL/分
【0158】
図43は、ABC I(IEXのピーク2)のsuperdex 75 ゲル浸透クロマトグラフィー後のクロマトグラムを示す。ピークをプールして1.1mg/mLで約60mLのABC Iを得た。
【0159】
図44は、アルギニン存在下で泳動した濃縮ABC Iのsuperdex 75 ゲル浸透クロマトグラフィーのSDS-PAGEゲルを示す。ゲルをコロイドブルーで染色する。
【0160】
カラムサイズのスケールアップ
【表18-1】
[この文献は図面を表示できません]
【表18-2】
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* さらに最適化されるカラムの種類および得られる床高さ。メディウムの容積は5Lスケールから直線的にスケールアップされる。
【0161】
図44bは、5L精製プロセスのフロースキームを示す。
本発明のさらに他の態様において、上述の精製プロセスの透析工程は、透析を使用した限外濾過/透析濾過(UF/DF)操作で置き換えることができ、撹拌セルはTFF、タンジェンシャルフロー濾過で置き換えられる。上述のTMAE工程は任意である。
【0162】
本発明は、上述の精製プロセスによりもたらされる(または産生され得る)コラゲナーゼ生成物を含む。かかるコラゲナーゼ産物は、非常に高い純度および保持酵素活性を有する。例えば、該組成物はクロストリパインを含まない(例えば、無視できるかまたは検出されないレベルのクロストリパインを有する)。
【0163】
製造方法の最適化:
臨床研究を補助するためおよび市販スケールのプロセスを提供するために、より早期に開発された製造方法の最適化がなされた。プロセスの変化は以下に簡潔に説明され、表19に概略が述べられる。
【表19】
[この文献は図面を表示できません]
【0164】
発酵最適化
オリジナルのセルバンクからのウシ由来原料の除去および発酵プロセスを実行した。スケールアップに必要な継代生存能力に基づいたマスターセルバンクとして使用するために、ヒストリチクス菌(Clostridium histolyticum)の系統004を増殖した。マスターセルバンクについての特異性および解析結果を表20に記録する。バイオマスおよびコラゲナーゼの産生を増加させるために、20リットルの発酵スケールで増殖メディウム中の動物を含まない原料を利用して、流加発酵戦略を開発した。200リットルまでのさらなる発酵のスケールアップには、一定の細胞増殖、コラゲナーゼ発現、および改善された夾雑物プロフィールを確実にするブタ由来のメディウム成分(即ち、プロテオースペプトン#3、上述)が必要であることが観察された。下流のプロセスを通じてコラゲナーゼの収量および純度を高めるために、以降の変更がなされた。これらの変更としては、新規の分離および濾過戦略の追加、ならびに200リットルバッチ発酵スケールを補助する生産設備のスケールアップが挙げられる。
図45は、プロセス3についての発酵のフローチャートを示す。
【表20】
[この文献は図面を表示できません]
【0165】
一次回収および精製の最適化
一次回収および下流の精製プロセスを最適化するためのさらなる開発に着手している。硫酸アンモニウム沈殿をフェニルセファロース高速フロー低サブカラム(fast flow low sub column)クロマトグラフィーに換えてコラゲナーゼを捕捉することは、収量の向上、多量の硫酸アンモニウムの使用の排除、および無菌的な処理の改善のために行なった。
【0166】
精製に関して、Pall Mustang Qフィルターは、さらなる収量の向上ならびに生成プロセス試験および評価要件の簡略化のために、DNAの残存および不純物の除去のために行なった。パラメーターを操作する4アミンセファロース高性能(Q HP)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)工程を排除するために最適化した。上述のプロセスの変更に加えて、10mM Tris、60mMスクロース、pH8.0を含むように製剤原料を改変し、産物溶解性ならびに製剤原料および製剤の安定性を向上した。
【0167】
最適プロセスを2段階で行なった。最初のプロセス(プロセス2)は、20リットルスケールで実施される流加発酵による全ての細胞保管および発酵段階のための動物性非含有メディウムを利用する。下流のプロセスは、プロセス1が残りのDNAの除去のためのMustang Q濾過およびさらなる宿主細胞夾雑物の除去のためのSuperdex 75 GPCを含むように改変した。クロマトグラフィーバッファー系にロイペプチンを添加してタンパク質分解を防いだ。プロセス2材料は、プロセス1材料(表21A)と解析において橋渡し(bridge)され、本明細書に概略が記載される前臨床試験と並行して試験した。プロセス2材料は、フェーズ3臨床プログラムの初期段階で使用するよう提唱された。プロセス2の中間体、および製剤原料はそれぞれ表22および23に詳細に記載される。さらなるプロセス、製剤化および凍結乾燥の開発により最適化された製造プロセス(プロセス3)が提供された。これらの変更は新規の分離および濾過戦略の追加、ならびに表19に概略が記載される200リットルバッチ発酵スケールを補助する製造設備のスケールアップを含む。
図46はプロセス3についての精製のフローチャートを示す。
【0168】
用量の説明(declaration):最初のインビトロ有効性アッセイはウシコラゲナーゼアッセイであり、コラゲナーゼI型およびII型を区別しなかった。このアッセイは、典型的に10,000単位の能力を生じる0.58mgの用量でオープンラベルDUPY101およびDUPY202臨床試験のみに使用される材料に利用された。I型コラゲナーゼおよびII型コラゲナーゼについて現在の別々のインビトロ潜在性アッセイを利用するプロセス1材料の解析は、典型的にI型コラゲナーゼについて1,700〜3,500単位/用量(0.58mg用量)およびII型コラゲナーゼについて43,000〜69,000単位/用量(0.58mg用量)を生じる。現在のインビトロ潜在性アッセイを利用するプロセス2材料の解析により、典型的に、プロセス1材料と比較して同様の相対的な能力値を達成することが確認され。
【0169】
プロセス1とプロセス2の間の解析的比較の説明:プロセス1とプロセス2の変化を裏付けるために、放出試験および解析特徴づけの形態で比較データを出した。これらのデータは表21に示す。
【0170】
以前のプロセス(プロセス1;参照)と本発明のプロセス(プロセス2)のAUX-IおよびAUX IIと記載される中間体ならびに製剤原料の比較。この解析比較はプロセス2で製造された材料がプロセス1で製造されたものと同等であることを示す(表21)。特に、これらの材料間の同一性、有効性および純度は同等である。
【0171】
プロセス2中間体の純度レベルを
図47の還元型SDS-PAGEクーマシー染色ゲルに示す。ゲルは、それぞれの中間体について一本のバンドを示し、他の明白なマイナーバンドはなかった。AUX-Iは115kDaの明らかなMWを有して参照(ABC I)に匹敵し、AUX IIは110kDaの明らかなMWを有して参照(ABC II)に匹敵する。
図48は、製剤原料を表す還元型SDS-PAGEクーマシー染色ゲルを示す。中間体に関して、プロセス2で製造された製剤原料は参照(プロセス1)に匹敵する。銀染色したSDS-PAGEゲルを
図49にし表し、さらにプロセス2製剤原料が高純度レベルであることを実証する。要約すると、プロセス2を使用して製造された中間体(AUX-IおよびAUX II)および製剤原料の放出試験ならびに解析特徴づけは、プロセス1(参照)材料と明らかに同等性を示す。さらに、さらなる放出試験をプロセス2の物質で実施して、表21Bに列挙する。結論付けると、プロセス1の物質とプロセス2の物質の直接の解析的比較(表21)、およびさらに中間体および放出試験(表22)は、プロセス2材料がヒトの試験における使用に適していることを示す。表23および24はさらにプロセス2製造方法から得られた解析の詳細を列挙する。
【表21-1】
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【表21-2】
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【表22】
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【表23-1】
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【表23-2】
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【表24-1】
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【表24-2】
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【0172】
プロセス3についての詳細な実験:
プロセス3発酵:
プロセス2で使用したフィトンペプトンを用いた発酵プロセスは、DSP開発およびGMP製造両方の提供の間にかなりの変動性を示した。
【0173】
以前の研究の間に、動物由来プロテオースペプトンがヒストリチクス菌の非常に良好な増殖を補助することが示された。動物由来プロテオースペプトン培養物は、プロセス2で観察されたよりも有意に低いクロストリパインを生じ、AUXIおよびAUX IIを1:1の割合で発現した。結果として、調節上な許容され得る動物由来ペプトン、Becton Dickinsonのプロテオースペプトン#3(PP3)、は5L発酵で評価された。既存のフィトンベースプロセス(プロセス2)の最初の比較により、50g/LでPP3を使用することで迅速な指数関数的増殖の高バイオマス濃度を生じることが示された。発酵液は、(半定量的SDS-PAGE分析により)プロセス2の約230mg/Lに対して350mg/Lより多くの総コラゲナーゼ収量を生じた。PP3を使用したさらなる発酵は、動物由来発酵メディウムを使用して有意に低いクロストリパインが産生されたことを示した。第1の3種類の発酵液(PP3の1バッチを使用した)は、極めて一致した増殖プロフィールを示した。産物をSDS-PAGEで解析した場合、コラゲナーゼの収量および純度は3種類の発酵間で極めて再現可能であることが見出された。
【0174】
DSPにプロセス開発用の材料を供給するために、PP3を使用していくつかの発酵を実施した。この供給材料のため、PP3の3種類の異なるバッチを使用した。これらのバッチの2つを使用した場合、培養の増殖プロフィールは以前のPP3発酵とは一致しないことが示され、発酵間の増殖プロフィールの変動性が示された。小スケールでの調査は、PP3におけるバッチ対バッチの変動性によりこの変化が生じたことを示した。小スケール試験はまた、100g/LまでのPP3濃度の増加がこの変化を妨げることを示した。
【0175】
(小スケール実験で示したように)1つが典型的な増殖プロフィールを生じ、1つが生じない2つのバッチのペプトンを使用して、100g/L PP3で2つの5L発酵を行なった。この実験は、濃度の増加により、PP3の異なるバッチによる2つの発酵が再現可能であることが確実になることを示した。増殖プロフィールは非常に類似しており、産物は同様の収率および純度で発現した。
【0176】
100g/L PP3を利用する最適化された発酵プロセスは、最終的には200Lにスケールアップされた。200L増殖プロフィールは5Lスケールで見られたものと非常に類似していた。発酵液濾過物のSDS-PAGE分析は、200L発酵液から、(定量的比重計測により)約320mg/L総コラゲナーゼの高い収量を示した。コラゲナーゼ産物の純度(発酵後)は5Lおよび200Lスケールの両方で同様であった。200L発酵液濾過物のうちの20LはDSP群により処理されて、以降のプロセスについての部分的なスケールアップを示した(下記)。
【0177】
プロテオースペプトン#3発酵プロセス(プロセス3)は既存のフィトンプロセスよりも高い収量かつ低いクロストリパインでコラゲナーゼを生成した。100g/LではPP3は、種々のPP3のバッチを使用したにもかかわらず、再現可能な増殖曲線でヒストリチクス菌培養物を生じることが示された。コラゲナーゼの収量および純度の両方はまた、種々のPP3のロットを使用した場合にも再現可能であることが示された。
【0178】
ヒストリチクス菌由来のコラゲナーゼの産生のための原料としてのプロテオースペプトン#3の評価。
複合窒素供給源としてフィトンペプトンを利用した発酵で変動性が観察されたために、5L発酵においてプロテオースペプトン#3(Becton Dickinson、212230)(PP3)を評価した。50g/L PP3の単純バッチ戦略を使用した。正確なメディウム組成は材料および方法のセクションに見ることができる。
【0179】
図51は、50g/L PP3(プロセス2のフィトン濃度よりも低い濃度)発酵の増殖曲線とフィトン流加発酵液を比較する。PP3培養は、接種後およそ8時間で定常段階に入る前の指数関数的増殖の間に非常に早い特異的増殖速度を示す。PP3発酵は4.7単位の最大光学密度(600nm)に達した。産物の生成/分解をモニターするために、培養物を定常状態でさらに12時間静置した。
【0180】
図52は、PP3培養の20時間の時点のコラゲナーゼ産物の濃度のSDS-PAGE半定量的分析を示す。
図53は、フィトン流加プロセスについての同様の解析を示す。PP3発酵によりフィトンベースプロセスよりも多くの産物が生じることが観察され得る(
図52および53の半定量的解析に基づく230mg/Lから360mg/Lまでの総コラゲナーゼの増加)。PP3培養はまた、AUXIおよびAUX IIを1:1の割合で発現したが、プロセス2は2つのタンパク質を1:1.6の割合で産生した。
【0181】
プロテオースペプトン#3バッチ発酵の再現性。
PP3バッチプロセスの再現性は、ロット番号5354796のプロテオースペプトン#3を使用してさらに試験された。
図54に示される3つ全ての実験(run)は、8時間後に得られるおよそ4.5の最大光学密度(600nm)を有する一定の増殖プロフィールを示す。
【0182】
発酵液の採取時点の半定量的SDS-PAGE分析は、総コラゲナーゼの収量が約350〜400mg/Lであることを示した。
【0183】
発酵液の採取時点も本試験の間に評価された。8、11および20時間で発酵液を採取した。
図55および56は、PP3発酵GCFT05d(11時間で採取される)の経時的SDS-PAGE分析を示す。
図55に示されるゲルをコロイドブルーで染色して、
図56のゲルを銀染色した。
図55および56のゲル上のコラゲナーゼの2本のバンドの上に、三番目に高い分子量のバンドを観察することができる。このバンドは、文献で報告されたAUXI前駆体タンパク質に対応すると考えられる。前駆体のバンドは指数関数的増殖段階中に存在する。指数関数的増殖の終わりの時点で、前駆体バンドは密度が減少し、11時間後には存在しない。(GCFT05dにおいて)主要な低分子量夾雑物は銀染色のゲルのおよそ90、60、55、45、および40kDaに見ることができる。これらの夾雑物は低レベルで存在し、銀染色でのみ明確に検出されることに留意すべきである。発酵液の最適な採取時点は発酵のこの段階でおよそ11時間であることが決定された。
図57は、標準的フィトン流加発酵の時間経過の試料のSDS-PAGE分析を示す。40kDaの夾雑物は、
図57のゲル上に観察することができる。フィトン流加プロセス由来のこの40kDaの夾雑物のバンドはプロテアーゼクロストリパインであると同定された。
図55と57のゲルを比較することで、PP3発酵プロセスを使用して産生されたクロストリパインの量はフィトンベース発酵よりも有意に少ないと決定することができる。
【0184】
下流プロセス開発のための供給材料の生成
下流プロセス(DSP)開発を補助するために、50g/L PP3を使用していくつかの発酵を実施した。これらの発酵の間に、2つの異なるロットのPP3を使用した(5332398および5325635)。
図58は、ロット#5354796(GCFT05d)を使用した発酵(正方形で示す)と比較して、これらの発酵の増殖曲線(ひし形で示す)を示す。PP3の新しいバッチによる発酵は、大きく異なる増殖プロフィールを表す。培養物の最初の増殖速度は非常に似ているが、定常状態に入る時点では、最大バイオマス濃度はかなり異なる。接種培養物の光学密度(600nm)は、非常にわずかな変化(5mL段階のOD600;2.9〜3.6単位、200mL段階のOD600;4.5〜5.9単位)を示し、PP3ロット#5354796を使用した以前の接種から減少していなかった。変化および減少した光学密度(600nm)は、培養の最終(発酵)段階においてのみ示された。このことは、変化の理由がPP3の栄養素の制限ならびにPP3バッチ間で異なる栄養素制限の量のためであったことを示唆する。
【0185】
これらの発酵はDSP開発に首尾よく使用され、SDS-PAGE分析は産生されるコラゲナーゼの量に大きな変化は見られない(半定量的SDS-PAGE分析に基づいて350〜400mg/L総コラゲナーゼ、データは示さず)ことを示すが、この変化の原因を調べることは依然として重要であると決定された。増殖プロフィールの変化は発酵液の採取時点を予測することを非常に困難にした。また、栄養素の制限がフィトン流加プロセスで見られる他のプロテアーゼ、特にプロテアーゼクロストリパインの発現を誘導し得るという関係がある。
【0186】
プロテオースペプトン#3のバッチ間の変化の調査。
PP3での最初の研究により、高い産物収量および低いプロテアーゼクロストリパインを有する、高度にエラー強さのあるプロセスが示された。新しいPP3のバッチを使用した場合、プロセスエラー強さは高度に可変的な増殖プロフィールで大きく減少したことが観察された。これまでに使用した3つのPP3のバッチ(ロット5354796、5325635および5332398)を直接比較するために振盪フラスコ実験を行なった。この実験は、5Lプロセスから2段階接種プロセスを繰り返したが、最終的な発酵段階をもう1つの200mLの培養で置き換えた。これまでの実験におけるプロセスの最終発酵段階においてのみ変化が観察されたので、この3つ目の段階を有することが重要であった。それぞれの変移段階において培養物の光学密度(600nm)が測定され、この培養物を使用して次の段階に接種した。3種類のバッチのPP3を50g/Lで使用してメディウムを調製した。5L実験においてヒストリチクス菌の低いバイオマス濃度を生じた2つのバッチのうちの1つ(ロット#5332398)はまた、100g/Lでも調製した。
【0187】
図59は、小スケール実験の結果を示す。ロット5325635および5332398はおよそ2.5単位の第3の段階において低い光学密度(600nm)を示すことが観察され得るので、PP3のうちでこれらが「不良」バッチであったと考えられた。ロット5354796は、培養の第3の段階において5単位の光学密度(600nm)を維持するので、これはPP3のうちで「良好な」バッチであると考えられた。興味深いことに、PP3の「不良」バッチ(5332398)の濃度を100g/Lまで増加した場合、培養の第2および第3の段階において同一の光学密度(600nm)が達成された。このデータは、増殖プロフィールにおける逸脱はPP3のバッチ間の栄養素の制限の量を変化することによって生じるという説を裏付ける。PP3のバッチの解析試験によりこの栄養素を特定することはできなかった。
【0188】
5L発酵中の100g/Lでのプロテオースペプトン#3の評価
小スケール試験の結果により、50から100g/LへのPP3の濃度の増加がバッチ対バッチの変動性の問題を解消することが示された。このプロセスの変化は、PP3変動性の小スケール調査の間に測定されたので、PP3の「良好な」バッチおよび「不良」バッチ(ロット5354796および5325635、それぞれ)を使用して5Lのスケールで試験された。
図60は2つの発酵液の増殖プロフィールを示す。2つの培養液は、指数関数期には同じ特異的増殖速度を示す。発酵液が定常期に入り、およそ6.5単位の非常に類似した最大光学密度(600nm)に達する。このデータにより、PP3の濃度の増加はPP3のバッチ対バッチの変動性の問題を解消することが示される。達成された高いバイオマス濃度および発酵中の長い指数関数期のために、採取点が12時間まで延長された。
【0189】
図61および62は、100g/LのPP3を利用した2つの発酵液のSDS-PAGE分析を示す。ゲルは両方の発酵液においてコラゲナーゼの一定の発現を示す。PBFT70dはわずかに多い40kDaのバンド(クロストリパイン)を含むようではあるが、両方の発酵液由来の試料は、
図56に示される同様のレベルの夾雑物を含むように思われる。これらの小さな差は染色または負荷の差のためであり得る。この場合も、PP3プロセスを使用して生じたクロストリパインの量はフィトンプロセスよりも有意に低い。前駆体のバンドは、発酵の時間経過においてより長く持続するようである。100g/Lでの将来の発酵は14時間の採取に延長するべきであることが推奨された。
【0190】
前駆体バンドの存在は、プロセス検証の間の採取点の規定およびその条件づけの重要性を強調する。
【0191】
図63は、
図61のゲルのデンシトメトリー解析のデータを表示する。この図は産物形成および前駆体形成(デンシトメトリーピーク面積)と細胞増殖(OD600)を比較する。産物形成は、細胞増殖と一致するようであり、培養物が定常期に入る場合に産生の速度は減少する。指数関数的増殖が終了すると前駆体バンドの密度は減少するが、発酵液の採取時点では依然として存在している。
【0192】
100g/Lのプロテオースペプトン#3発酵液の200Lへのスケールアップ。
PP3濃度の100g/Lへの増加後、プロセスを200Lにスケールアップした。200L容器についての接種の必要量を生成するために、15L作業体積発酵液を使用して、第3の接種段階を導入した。3x200mL培養物を使用して、15L発酵液を接種し、その後、12時間の増殖を続け、15L中の8Lを200L容器に接種した。
図64は200L発酵液の増殖曲線と100g/L PP3を使用した2つの5L発酵液の増殖曲線を比較する。推奨されるように増殖プロフィールを14時間に伸ばして、プロセスを開始する前に前駆体バンドが完全に消失することを確実にした。200L発酵液の増殖プロフィールは5Lスケールでの発酵と非常に類似しており、培養のスケールアップの成功を示した。
【0193】
図65は、200L発酵液の時間経過のSDS-PAGE分析を示す。ゲルは発酵経過中の産物形成を示す。14時間採取点の物質は検出可能な前駆体を含んでおらず、非常に低レベルの夾雑物を含む。200L発酵液で生成された産物は5Lプロセスで生成されたものと非常に類似しているようであり、200Lプロセスの高い生成数は有害な効果を有さなかったことを示す。
図66は、
図64のゲルのデンシトメトリー解析のデータを表示する。この図は産物形成および前駆体形成(デンシトメトリーピーク面積)と細胞増殖(OD600)を比較する。産物形成は細胞増殖に一致するようであり、培養物が定常期に入ると産生の速度は減少する。指数関数的増殖が終了すると前駆体バンドの密度は減少する。200L発酵液では5L培養PBFT70c(
図63)よりも迅速に前駆体バンドの密度が減少する。
図67は、200L発酵の時間経過についての4〜12% Bis-Trisゲルを使用したSDS-PAGE分析を示す。検出された夾雑物のおよその分子量はゲル上にしるす。
【0194】
プロセス2について開発された採取プロセス(濾過による浄化)は200Lスケールアップ発酵の間に評価された。濾過試験の阻害を伴わない既存のプロセスを使用して細胞培養物は良好に浄化された。採取プロセスを材料および方法のセクションに記載する。200L発酵液の20Lの濾過物をDSPにより処理して下流のプロセス3(後述)の部分的スケールアップを示した。
【0195】
デンシトメトリー解析による産物収量の定量
上流プロセス工程の間の産物濃度を測定するために、半定量的SDS-PAGE分析(
図62および63)よりも正確で定量的な方法が必要であった。発酵濾過物は、UVおよびBradfordアッセイなどの標準タンパク質定量技術を不要にする増殖メディウム由来の多量の色素およびペプチドを有する。以前に行った半定量的分析を、クーマシー染色ゲルのデンシトメトリー解析を行なうことによって改変し、更新した。該方法は、Trisグリシンゲル上で定量される試料の混合されたAUXIおよびAUX II参照材料ならびに希釈物の量の範囲(0.2〜1.2μg/ レーン)を負荷する工程を含んだ。次いで、スキャンされた画像を解析して標準および試料についてのピーク面積を推定した。次いで標準曲線を構築して(総コラゲナーゼ)、試料希釈物中の総コラゲナーゼ量を定量するために使用した。
図68は、コラゲナーゼ標準曲線の一例を示し、試料の推定される範囲内の定量方法の直線性を強調する。TrisグリシンゲルではAUXIおよびAUX IIが完全には分離されなかったので、2つのタンパク質を別々に定量するよりもむしろ総コラゲナーゼを定量した。
【0196】
コラゲナーゼの量はPBFT70c、PBFT70dおよび200Lスケールアップ発酵液について解析した。3つ全ての発酵液について量は約280〜350mg/L総コラゲナーゼであることが見出された。
【0197】
材料および方法
メディウム調製:
1Lメディウム調製
接種調製物用のリン酸塩(表25)を、1L容器で、121℃、20分間オートクレーブした。バルクメディウム(表26)を、1L、121℃、20分間のオートクレーブにかける前にまず電子 レーンジで60℃に加熱して内容物を完全に溶解した。PSA1(表27)を0.2μm Sartopore2 150cm
2フィルターで濾過して250mL滅菌容器に入れた。300mLのオートクレーブにかけたリン酸塩、600mLのオートクレーブにかけたバルクメディウムおよび100mLの濾過滅菌したPSA1を、30mLのγ線照射ユニバーサル(8x5mL)および500mL三角フラスコ(4x200mL)に等分する前にプールした。
【表25】
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【表26】
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【表27】
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【表28】
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【0198】
5Lメディウム調製
5Lスケール用のリン酸塩溶液(表29)を、1L容器で121℃、20分間オートクレーブした。バルクメディウム(表30)を5L容器に直接添加して121℃、20分間オートクレーブにかけた。PSA1(表31)を0.2μm Sartopore2 150cm
2フィルターで濾過して500mLの滅菌ボトルに入れた。250mLのリン酸塩溶液および200mLのPSA1を別々に、オートクレーブが完了した5L容器にポンプで入れ容器を冷ました。
【表29】
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【表30】
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【表31】
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【表32】
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【0199】
15Lメディウム調製
リン酸塩溶液(表33)を0.2μm Sartopore2 300cm
2フィルターで濾過して滅菌2Lボトルに入れた。バルクメディウム(表34)を、容器のスチームインプレイス(SIP)滅菌の前に20Lの容器に直接添加した。PSA1(表35)を0.2μm Sartopore2 300cm
2フィルターで濾過して1L滅菌ボトルに入れた。750mLのリン酸および600mLのPSA1を、SIPが完了した20Lの容器に別々に入れ容器を冷ました。
【表33】
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【表34】
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【表35】
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【表36】
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【0200】
200Lメディウム調製
リン酸塩溶液(表37)を0.2μm Sartopore2 300cm
2フィルターで濾過して、Gammasart Biosystem SA10 10Lバックに入れた。容器のSIP滅菌の前にバルクメディウム(表38)を200Lの容器に直接添加した。PSA1溶液(表39)を0.2μm 300cm
2フィルターで濾過してGammasart Biosystem SA10 10Lバックに入れた。10Lのリン酸塩および8LのPSA1を、SIPが完了した200Lの容器に別々に入れ、容器を冷ました。
【表37】
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【表38】
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【表39】
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【表40】
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【0201】
発酵
図69は5Lおよび200LスケールのフィトンおよびPP3発酵プロセスについてのプロセスの流れの概要を示す。
【0202】
5Lスケール発酵
WCB(2005#1019D)のバイアルを解凍し、50μLのアリコートを使用して30mLγ線照射ユニバーサル中の8x5mLの接種メディウムに接種した(binoculate)。3嫌気性気体パックの存在下で5mLの培養物を嫌気性ジャー中で、37℃でインキュベートした。インキュベーションのおよそ12時間後(OD600 3.0〜4.0)、2x5mLの培養物を選択して使用し、500mLの三角フラスコ中で2x200mLの接種メディウムに接種した。3つの気体パックと共に2つのフラスコを共に嫌気性ジャー中に設置し、振盪インキュベーター(70rpm)中で、37℃で12時間インキュベーションした。インキュベーションの12時間後(OD600 6.0〜7.0)、それぞれ200mLの接種物を用いて5L容器に接種した。
【0203】
5L/7L容器FT Applikon容器の作業用容積は5Lとし、その4%(v/v)が200 mL段階由来の接種物であった。撹拌速度を100rpmに設定した。pH、dO2および温度を、7.00単位、飽和の0%および37℃それぞれに制御した。pHはHCl(5M)またはNaOH(5M)のいずれかの添加で制御した。dO2濃度は、1L/分の流速の窒素の連続散布により0%に維持した。発酵の間に試料を取り出し、解析のために-20℃で保存する前に0.2μmフィルターで濾過した。OD600 6.0〜7.0のOD600で発酵液は定常期に入り始めた。12時間後、採取を始める前に発酵液を10〜20℃に冷却した。
【0204】
200Lスケール発酵
WCB(2005#1019D)のバイアルを解凍して50μLのアリコートを使用し、30mLγ線照射ユニバーサルの8x5mLの接種メディウムに接種した。5mLの培養液を、3つの嫌気性気体パックの存在下で、嫌気性ジャー中37℃でインキュベーションした。インキュベーションのおよそ12時間後(OD600 3.0〜4.0)、4x5mLの培養液を選択して、500mLの三角フラスコ内の4x200mLの接種メディウムの接種に使用した。2つのフラスコを3つの気体パックと共に嫌気性気体ジャー中に一緒に設置し、振盪インキュベーター(70rpm)中、37℃で12時間インキュベートした。インキュベーションの12時間後(OD600 6.0〜7.0)、4本のフラスコのうち3本を一緒にプールして20Lの容器の接種に使用した。
【0205】
20L容器の作業用容積は15Lとし、その4%(v/v)が200mL段階由来の接種物であった。撹拌速度を100rpmに設定した。pH、dO2および温度をそれぞれ7.00単位、0%および37℃に設定した。pHはHCl(5M)またはNaOH(5M)いずれかの添加により制御した。dO2濃度を、流速20L/分で窒素の連続的ヘッドスペース散布により0%で維持した。
【0206】
20L容器中の増殖の12時間後(OD600 6.0〜7.0)、8Lの培養液を使用して200Lの容器に接種した。行った条件は20Lスケールと同じであった。採取の時点での最終的な光学密度(600nm)は6.0〜7.0であった。14時間後、採取を開始する前に発酵液を10〜20℃に冷却した。
【0207】
採取
5L採取
5L培養液を、5L/時間の流速で、Millistak+ 10" Opticap深度フィルター(depth filter)(Millipore、KC0HC10FF1)および0.2μm Sartopore2 300cm
2フィルターに通して、滅菌250mLバイオコンテナに入れた。処理した物質を-20℃または4℃のいずれかで、DSPによる処理の前に保存した。
【0208】
200L採取
一連の濾過、採取を使用して200L採取を行なった。培養液を、200L/時間の流速で、4x1m2の濾過面積で、Milistak+(MC0HC10FS1)使い捨て深度フィルターを通して、その後0.2μm 0.2μm Express Opticap XL 10フィルター、2x0.49m
2(Millipore、KHGES10TT1)を使用して汲み上げた。最初の浄化の処理時間は1時間であった。採取の終了時点でさらに10分静置して、フィルターに付着した残りの産物を回収した。濾過物の重量を記録しながら浄化した上清を200L Stedim Palletankに回収した。20Lの濾過物を、約6L/分の流速でMustang Q highアフィニティーDNAカラムに通して、4℃で一晩保存する前に2本の滅菌の20L stedimバッグに回収した。
【0209】
解析
光学密度測定
分光光度計は波長600nmで、PBSを使用してブランクを取った。PBSを使用して、発酵試料を10、20または100(細胞密度に応じて)倍に希釈した。
【0210】
1mLのそれぞれの希釈試料を1mLキュベットに移し;600nmの波長で3回の光学密度読出しの記録の前に上部を密封し5回反転された。
【0211】
Trisグリシンゲル
SDS-PAGE分析について発酵試料を調製する前に0.2μmフィルターで濾過した。10μlの濾過試料を10μlの試料バッファ(2x)、2.5μl還元剤(10x)および2μlの0.1M EDTA(10mMの最終濃度とした)に添加した。10μlの濃縮ストックを80μlの還元剤(10x)、310μl WFIおよび400μl試料バッファ(2x)に添加して、高分子量(HMW)マーカーを調製した。次いで、その後のゲルでの使用のための等分および-20℃での保管の前に、希釈HMW標準を95℃に5分間加熱した。事前に冷却した(4℃)Trisグリシンランニングバッファを使用して、130V、400mAおよび100Wで約1時間50分間かけて、15μLの発酵試料および10μLのHMWマーカーを8% Trisグリシンゲルに泳動した。電気泳動後、ゲルを100mLのコロイドブルー染色試薬(55mL WFI、20mLメタノール、5mL着色剤A、20mL着色剤B)に浸漬して、回転式シェーカー、60rpmで5時間染色した。200mL WFIでゲルを脱色した。余分な染色が除去されるまでゲルをWFIに15〜20時間静置して、その後製造業者の指示に従いゲルをスキャンして乾燥させた。
【0212】
Bis-Trisゲル
10μlの0.2μm濾過試料を4μl試料バッファ(4x)、1.5μl還元剤(10x)および1.7μlの0.1M EDTA(10mMの最終濃度とした)に添加して、SDS-PAGE分析用の発酵試料を調製した。MESランニングバッファを使用して、200V、400mAおよび100Wで約40分間かけて、15μLの発酵試料および10μLのMark12マーカーを4〜12% Bis-Trisゲルに流した。電気泳動後、ゲルを100mL固定化溶液(40mL dH2O、50mLメタノール、10mL酢酸)に10分間浸漬した後、95mLの染色溶液(55mL dH2O、20mLメタノール、20mL着色剤A)で10分間置換した。5mLの着色剤Bを染色溶液に添加して、60rpmの回転式振盪シェーカーで、ゲルを5時間静置して染色し、その後200mLのWFIで脱色した。余分な染色が抜けるまで15〜20時間、ゲルをWFIに静置し、その後製造業者の指示に従いゲルをスキャンして乾燥させた。
【0213】
プロセス3精製:
プロセス2を改変した、ヒストリチクス菌からコラゲナーゼを精製するための新しく開発されたプロセス(プロセス3)の最初の20Lスケールのランスルー(run through)を20LスケールでGMPについて実施した。精製をより規模の大きなものにし、スケールアップおよびその後のプロセス検証について修正の余地あるものにするために、プロセスの大きな変更をプロセスの3の開発に導入した。このプロセスの変更を容易にする1つの大きな要因は、発酵の成分の選択にあった。プロセス2は発酵メディウムに基づくフィトンを維持するための要件に基づき、一方でプロセス3について、プロテオースペプトンNo.3を使用した。プロセスランスルーは下流の精製ならびにコラゲナーゼAUXIおよびAUX IIの重要な工程に分かれる。これらは、Mustang Qカプセル、疎水性相互作用クロマトグラフィー、タンジェンシャルフロー濾過工程1(TFF1と示す)、アニオン交換クロマトグラフィーおよびタンジェンシャルフロー濾過工程2(TFF2と示す)を使用する発酵液濾過の処理を含む。AUXIおよびAUX IIは精製の最初の工程で共に精製され、アニオン交換クロマトグラフィー工程の間に分離されるのみである(Q-セファロースHPメディウムを使用して実行される)。AUXIおよびAUX IIは、次いで別々に処理されて製剤化される。次いで、中間体は1:1の割合で混合され(UVにより測定されたタンパク質含有量に対して)、濾過されて薬物を形成する。プロセス3の開発において、プロセス2と関連した重要な工程が除去された。注目すべきこととして、硫酸アンモニウム沈殿工程、2つのクロマトグラフィー工程(ハイドロキシアパタイトおよびゲル浸透クロマトグラフィー)および全ての-20℃の維持工程を排除した。撹拌セルおよび透析などのスケールアップできない工程の使用も除去し、タンジェンシャルフロー濾過(TTF)に置き換えた。プロセス2において明らかであった(そしてTFFの使用により排除された)産物の不安定性の問題は、プロセス3の20Lスケールの稼動においては見られなかった。しかしながら、プロセス3に関連する夾雑物プロフィールはクロストリパインおよびゼラチナーゼが主要な成分であったプロセス2とは異なっていた。最も注目すべきこととしては、SDS-PAGEにより、40kDa、55kDaおよび2つの90kDaの夾雑物(1つはAUXIと共に精製され、もう1つはAUX IIと共に精製される)が検出された。これらの新しい夾雑物の結果として、QCアッセイはプロセス3の全ての不純物を溶解しなかったため、いくつかのQCアッセイ(RPHPLCおよびSEC-HPLCなど)の使用が制限された。確立されたQCアッセイをプロセス純度の測定に使用できないことにより、Qセファロースカラム由来の物質がさらなる精製に適切であることを確立するための方法を規定する必要性が生じた。Qセファロースカラム上のAUXIおよびAUX IIの産物から夾雑物が明白に分離されないためにこのことが必要であり、そのために、遡及的に解析され得る別々の画分中に溶出された物質を回収することが必要であった。SDS PAGEにより分析が行なわれ、20Lランスルーについての規定をプールすることが、標準的な1μgの負荷を使用した産物に対する不純物の相対的な染色強度の実験に基づいた。
【0214】
SDS-PAGEの遡及的なデンシトメトリー解析により、生成物純度の相対的なパーセントに基づいて記載される基準をプールすることが可能になった。200Lのデモンストレーション稼動由来の物質を使用したさらなるデンシトメトリー解析により、確立される標準化された方法およびアッセイの変数の近似法が可能になった。これにより、第1のGMPの一連の動作において実行される、処理中の画分をプールするための同意された手法が可能になった。
【0215】
プロセスの記載に加えて、バッファの安定性および処理中の試料の安定性試験を記載する予備的な作業が、プロセス3に関連するいくつかの不純物の最初の特徴づけの他に提示される。
【0216】
プロセス3は3つの主要な分野においてプロセス2と異なった。第1に、硫酸アンモニウム沈殿工程およびハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー工程が除かれ;第2に、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)工程が排除され、第3に、全てのバッファ交換工程がタンジェンシャルフロー濾過により実行された。沈殿工程を、クライアントの推奨により疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)の使用に置き換えた。この工程の開発により、(i)産物捕捉(それにより濃縮工程として機能する)および(ii)いくつかのタンパク質および色素夾雑物の除去についてのHICの実行の成功がもたらされた。その後、HIC工程はまた、dsDNAのレベルを減少するように示された。プロセス開発プログラムの結果として、HICの導入およびMustang Q工程の包含により、硫酸アンモニウム沈殿工程およびハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー工程の両方の必要性が取り除かれた。全体の効果は、最前面の産物の捕捉を簡潔化すること、およびプロセス2に関連する潜在的な保持工程を除去することであった。この後者の点は、沈殿工程により生じたペレットが処理の前に-20℃で保持され得るために、下流の精製よりも前に以前の発酵が評価され得るという重要性を有した。
【0217】
HIC工程後、タンジェンシャルフロー濾過(TFF)を使用して、産物はバッファ交換された。これは、30kDa分子量カットオフ(MWCO)膜を使用し実施され、プロセス2に使用された透析手順に置き換えた。存在する場合にAUX II由来として検出された凝集夾雑物は、アニオン交換クロマトグラフィー工程(IEX)の間に除去されるようであった。結果として、AUXIおよびAUX II中間体の両方がIEXに続く凝集物の特定の間に存在したので、GPC工程が排除された。最終的に、AUXIおよびAUX II中間体の最終濃度および形成は、撹拌セルを使用した以前の方法に変わってTFFを使用して実施された。
【0218】
全体的に、プロセス3は、プロセス2よりもスケールアップおよび検証し簡単なプロセスを示した。また、消費コストの減少は、ハイドロキシアパタイトおよびゲル浸透メディウムの必要性の排除によって、ならびにロイペプチンを必要とする工程の数の減少によって明らかなものとなった。プロセス3についての精製スキームの概要が
図46に示される。
【0219】
20Lスケールでの非GMPデモンストレーション稼動
適当な質の物質がこの改変された20Lスケールのプロセスを使用して生成され得るかどうか実証するために、プロセス開発の実験室において、プロセス3を20Lスケールで実施した。処理のための重要な要件は、可能な場所でならどこででも冷却される工程を実施すること、および該手順の重要な段階でシステインプロテアーゼインヒビターであるロイペプチンを包含することによって、潜在的なプロテアーゼ活性を制限できる能力であった。フィードストックが200L発酵液PP3から生成されたため、全量20Lの発酵液濾過物を処理した。発酵ならびにその後の採取および濾過の詳細を別の報告に記載する。
【0220】
発酵液濾過物のMustang Q処理
0.2μm濾過後、およそ22Lの発酵液上清を、上述のようにMustang Qクロマトグラフィーカプセルに負荷した。最初の10L Stedimバッグの内容物が2番目のものよりも色素が少なく見えたので、ある程度の可視色素夾雑物(緑色/茶色)が第1の10Lの濾過の間にMustang Qカプセルにより除去されたようであった。Mustang QカプセルのdsDNAを除去する能力は、Mustang Q試料の前後のピコグリーン解析によりこの工程を通じてモニターされた(表41)。プロセスにおいて、解析は、小スケールで生成された以前のデータとは異なり、Mustang Q工程でバルク核酸除去は明白ではなかったことを示した。そのため、この工程のエラー強さおよび適用にはさらなる調査が必要である。
【表41】
[この文献は図面を表示できません]
【0221】
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)
HICの使用は、精製において3つの機能を果たした。第1に、条件が、コラゲナーゼが樹脂に結合するように特定されたため産物の体積は減少した。第2に、いくつかの色素およびタンパク質夾雑物がこの段階で除去され、第3に、この稼動のピコグリーン解析がdsDNAの減少を示した。HIC工程は、(Mustang Q処理後に)発酵液から直接処理された上清を使用して実施され、結果として維持工程は(硫酸アンモニウム沈殿としてプロセス2に明白である)プロセス3には存在しなかった。
【0222】
コラゲナーゼがHICカラムに結合する条件を提供するために、Mustang Q工程由来の産物(20L)を3M硫酸アンモニウム溶液で希釈して終濃度1Mとした。濾過後、産物をカラムに負荷し、2工程アイソクラチック溶出を使用して溶出した。
【0223】
HIC負荷物質のタンパク質濃度は正確に測定することが困難であり、2つの方法で推定された。第1に、硫酸アンモニウムの添加前に該物質についてBradfordアッセイを行なった。これは、アッセイを妨害することが知られている発酵メディウム中の色素の寄与を標準化するために、希釈していない物質を使用して行なった。第2に、推定は1mL当りのカラム樹脂の負荷した発酵メディウムの体積に基づいた。カラム負荷量を、Bradfordアッセイにより全タンパク質/mL樹脂中5.9mgと推定するか、あるいは樹脂1mL当りの発酵メディウムの約13mLであると推定した。カラムから溶出された標的タンパク質の全量の推定値は、UVを使用して3.4gであると測定された(表42参照)。HIC負荷中に存在した全タンパク質量が9gであると仮定すれば(Bradfordアッセイ)、これは38%回収と同等であると考えられた。しかしながら、発酵メディウム成分を含有する試料についてのアッセイの不正確さのために、この値は相対的測定値と見なされるだけであった。
【0224】
HIC負荷濃度を推定するための代替的な方法を、デンシトメトリーを用いて決定したが、この推定により、全タンパク質の推定値(これは発酵物間で変化し得る)ではなく、コラゲナーゼ含量が得られ得ることが認識された。このアプローチを使用すると、全コラゲナーゼは360mg/Lと推定され、AUX IIに対するAUXIのおよその比は40:60と推定された。このデータを用いて、HIC負荷において予測される全コラゲナーゼは7.2gであり得、47%の工程収率がもたらされる。
【0225】
HIC工程から得られたクロマトグラムを
図70に示す。可視的色素は、フロースルーにおいて明白であるとともに、カラムに結合させた。カラムを平衡化バッファーで洗浄してフロースルー夾雑物を除去後、ピーク1を、中間濃度の硫酸アンモニウム溶液(0.3M)を用いて溶出した。
【0226】
このピークは、タンパク質夾雑物を含有することが示されたが、この段階で少量のAUX IIもまた溶出された(
図71)。生成物のこの損失は予測され、以前に見られた。純度を損なうことなく生成物の損失量を最小限にするため、ピーク1除去のための溶出容量を5カラム容量に設定した。次いで、大部分の生成物を含有するピーク2を、硫酸アンモニウムを含まないバッファーを用いて溶出した。ピーク2は、溶出バッファーのカラム容量の3/4がカラムに適用された後に回収が開始するようにプログラムされたクロマトグラフィー方法により単一のプールとして回収された。次いで、合計4カラム容量が回収された後、回収を終了させた。該方法のこの段階での生成物の潜在的なタンパク質分解を最小限にするため、ロイペプチンをHIC後の溶出液に添加し、物質を2〜8℃に保持した。HIC後の溶出液の保持時間は、2日間の持続期間であった。
【0227】
タンジェンシャルフロー濾過1(TFF1)
生成物の容量(5倍)を低減させるため、およびバッファーを陰イオン交換カラムへの結合に適した条件に交換するため、HIC後に30kDa膜を用いたTFFを導入した。特に重要なことは、IEX負荷試料の導電率が<1.8mSとなるような硫酸アンモニウムの充分な低減であった。ダイアフィルトレーションバッファーを冷却し、タンパク質分解の可能性を低減するためにロイペプチンを使用前に添加した。この工程の過程においてタンパク質の損失は推定されなかった(>100%回収)が、これは、TFF1前物質内の色素の存在による該方法のこの段階でのタンパク質濃度の不正確を反映し得る。およそ97.5%の全タンパク質(3325mg)が保持物質(retentate)中に回収され、最初の膜の濯ぎで(下記)さらに204.8mgが回収された。合わせた保持物質からの全タンパク質の濾過および濯ぎを、物質を一晩2〜8℃で保持する前にTFF工程の最後に行なった。SDS-PAGE分析により、TFF工程前後で有意差は検出されなかったことが示された(
図71)。
【0228】
Q-セファロースクロマトグラフィー
Q-セファロースカラムに樹脂1mLあたり最大容量の5mg 全タンパク質を負荷した。その結果、TFF工程の利用可能な物質すべてが、この工程が利用されたわけではなかった(表421参照)。Q-セファロースカラムにより、予測どおり、AUXIおよびAUX IIコラゲナーゼが分離された(
図72)。AUX II溶出の開始は、およそ13.6%B (ここで、バッファーA=10mM Tris、0.2mM ロイペプチンpH8およびバッファーB=バッファーA + 360mM NaCl)に始まり、5.7mSのカラム後導電率に等しくなった。吸光度値がピーク高さ(550mAU)の25%に低下するまで、AUX IIの溶出により画分(100mL)を回収した。小さなピークがAUX II溶出後、およそ8mS (20.3%B)で溶出された。小規模実験の以前のこのピークの方法中の分析において、これは、AUX II由来凝集物質であることが示された。AUXI溶出の開始は、およそ27%Bであった(これは、10.4mSに等かった)。以前のように、吸光度が必要とされる25%値(190mAU)に低下するまで、100mL画分を回収した。
【0229】
回収された各AUXIおよびAUX II画分を、SDS-PAGEによって分析し、デンシトメトリーに供した(
図73〜76)。デンシトメトリーは遡及的に(retrospectively)行なったため、画分のプールに関する決定は、Colloidal blue染色による可視的夾雑物レベルの経験に基づいた。Auxiliumと合わせると、画分6〜12はAUX II生成物についてプールされ、画分19〜26はAUXIについてプールされた。Q-セファロース実施からプールされた物質中に存在するタンパク質の工程収率および濃度が、表42に含まれる。
【0230】
20Lデモンストレーション実施 のIEX後AUXIおよびAUX II生成物のSDS-PAGE分析(
図77および78)により、SDSPAGEによる可視的夾雑物はほとんど示されなかった。また、検出された夾雑物は、以前の小規模実験に従って検出されたが、夾雑物の分離に顕著な差が見られ、これは、小規模モデルではより明確なものであるようであった(すなわち、独立したピークまたは肩)。これらの夾雑物はまた、クロストリパインおよびゼラチナーゼが主要成分であったプロセス2で同定されたものと異なった。その結果、プロセス2に対して開発されたQCプロトコルは、プロセス3に伴う新たな夾雑物の検出に対して最適化されなかった。
【0231】
プールされた物質の遡及的デンシトメトリーにより、AUXIは95.1%およびAUX IIは99.4%の純度が推定された。しかしながら、現在、≧97%の純度規格がRP-HPLCによって示されているが、デンシトメトリーを用いた最終生成物規格は確立されていない。
【0232】
AUXIおよびAUX IIの濃度およびバッファー交換
Q セファロースカラムから分離されたAUXIおよびAUX II生成物を、30kDa膜を用いたTFFによって別々に処理した。この工程は、(i)最終生成物中のロイペプチンを除去/低減するため、(ii)補正バッファー(10mM Tris、60mMスクロース pH8)中に中間体を配合するため、(iii)必要とされる標的タンパク質濃度0.9〜1.1mg/mLを達成するために必要とされた。合計799mg(1.17mg/mLで約683mL)のAUX IIおよび860mg(1.08mg/mLで796mL)のAUXIを、1.75mg/mLの標的濃度に濃縮した。この理論的濃度は、濃縮工程中に生成物の損失はないと仮定するのに必要とされる計算された容量減少に基づいた。次いで、必要とされる配合バッファー中にダイアフィルトレーションを行ない、最小容量のTFF系(約250mL)で膜を洗浄し、全量を濃縮物と合わせ、必要とされる標的濃度0.9〜1.1mg/mLを達成した。濾過後、合計819.5mgのAUX II(1.03mg/mLで)および797.0mgのAUXI(1.09mg/mLで)が利用可能であった。両方の場合において、大部分の生成物が保持物質中に回収され、AUX IIは95.4%(762mg)およびAUXIは83.1%(715mg)と推定された。膜の濯ぎによってもたらされたさらなる物質は、AUX IIおよびAUXIで、それぞれ、153mgおよび89.6mgと推定された。
【0233】
製剤原料への中間体の混合
およそ200mgの各中間体を合わせ、400mgの製剤原料を得た。次いで、これを濾過し、およそ26mgを試験のためにQCに提供した。AUXI、AUX II中間体および製剤原料のQCの結果を表43に示す。製剤原料およびAUX II中間体に関するすべての試験は、必要とされる規格に合格した。しかしながら、中間体AUXIの効力の試験は、指定された範囲内ではなかったが、他のすべての試験は合格した。AUXI効力の結果を除き、これらのデータは、プロセス3により、20L規模で精製された場合、必要とされる規格の物質が作製され得ることを示した。
【0234】
QC試験に加えて、20Lデモンストレーション実施からの物質を、KBI BioPharma, Inc.での方法の検証に利用した。クライアントの要望時、200mgの製剤原料をドライアイスを入れて、製剤原料および製剤の方法の検証のためにKBIに輸送した。後者の試験は、KBIでの製剤原料の凍結乾燥後に行なった。また、25mgの各中間体を、分析方法の検証のためにKBIに供給した。
【0235】
20Lデモンストレーション実施の個々の工程収率を表42に示す。利用可能な物質すべてをQ-セファロースカラムに負荷したデータの外挿は、この方法のランスルー(run-through)からの利用可能な製剤原料の最大総量が1.6gである(スルーした物質の損失は保持されないと仮定)ことを示した。これは、HICカラムへの負荷に利用可能な全タンパク質の量の最初の推定値9g(Bradfordアッセイを使用)に基づく、およそ17.8%の全方法収率に等しい。Q-セファロースカラムへの負荷に対する制限により、利用可能な中間体がすべて混合されて製剤原料が形成された場合、最大1.4gの製剤原料が現在のランスルーから利用可能であった。
【表42】
[この文献は図面を表示できません]
【表43】
[この文献は図面を表示できません]
【0236】
試料安定性試験
20Lデモンストレーション実施中、試料を重要なプロセス点で得た。デモンストレーション実施は連続的な方法(保持工程なし)として行なったため、GMPバッチで予測される保持時間中の方法内(in-process)物質の安定性を評価する試みを行なった。GMPで予測された実施持続期間の延長は、方法工程間の装置クリアランスデータを得るための要件により認識された。方法過程の物質を2〜8℃で、GMP製造で予測されたおよその持続期間保持した。また、GMP製造で予測されたものの2倍である長時間、試料を保持した。得られた試料の説明を、それぞれの保持時間とともに表44に示す。20Lデモンストレーション実施での処理時間を表45に示す。すべての試料をSDS-PAGE、RP-HPLC、SEC-HPLCおよびUV分析のためにQCに供した(
図79〜83)。
【0237】
全体的に、結果により、純度(RP-HPLCによって測定)、分解(8%Tris-グリシンSDS-PAGEによって検出)および凝集(SECHPLCによって測定)に関して、最初の保持時点において、生成物における検出可能な劣化はないことが示された。しかしながら、アッセイのいくつかは、低分子量成分が8%SDS-PAGEによって検出され得ず、プロセス3に伴う40kDa、55kDaおよび90kDa夾雑物を検出するためのRPHPLCアッセイが開発されていなかったため、制限されることが認識された。また、発酵試料中におけるUVおよびSEC-HPLCの使用などのいくつかのアッセイは、粗試料にあまり関連しなかった。 これらの制限にもかかわらず、生成物プロフィールにおいて唯一検出された変化は、第2の保持時点(第12日目)で、Q-セファロースカラムから得られたAUX II方法内試料について同定された。これにより、第5日目と第12日目の間での凝集物レベルの増加が示されたが、この増加はわずか0〜0.62%であった。
【0238】
第2の安定性研究は、20Lデモンストレーション実施中の製造時点で得られ、-20℃で保存された方法内保持物において行なった。この研究では、試料を解凍し、室温および37℃でインキュベートし、4〜12%SDS-PAGE分析によってモニターし、夾雑物の全分子量範囲が評価されるようにした(
図84〜88)。これらのデータは、Q-セファロース陰イオン交換前の試料が分解されやすいことを示した。コラゲナーゼAUXIおよびAUX IIの分離(Q-セファロースカラムによる)後、試料は、比較的安定なようであり、SDS-PAGEによると時間ゼロの試料に匹敵するようであった。
【0239】
総合すると、両方の研究は、温度が2〜8℃に維持されることを条件として、方法内物質は、調査された保持時間中での処理中に分解することが予測されないことを示す。これにより、ロイペプチンおよび温度制御の使用がGMPにおいて予測される持続期間での処理中の生成物分解のレベルを制限するのに充分な信頼レベルがもたらされる。
【表44】
[この文献は図面を表示できません]
【表45】
[この文献は図面を表示できません]
【0240】
バッファー安定性研究
表46に示すバッファー試料を20Lデモンストレーションから確保し、2〜8℃で保存後に再試験した。バッファーのpH、導電率、温度および外観を、終了時点および保存12〜13日後に記録した。この研究の結果を表47に示す。pHおよび導電率の値に小さな差が観察されたが、これは、元のバッファーと試験された保持物間の温度の差によるものであり得る。特に、HICバッファーは、導電率および温度において最大の変動を示した。その結果、バッファー安定性に関するさらなる研究は、すべてのパラメータを記録するための許容された温度範囲の規格を含むべきである。すべての場合において、バッファー保持物は、時間ゼロおよび必要とされる保持時間後、外観が透明であった。
【表46】
[この文献は図面を表示できません]
【表47】
[この文献は図面を表示できません]
【0241】
N末端配列決定による夾雑物同定
SDS-PAGE分析により、3種類の主な不純物がプロセス3で検出された。これらは、AUXIおよびAUX IIコラゲナーゼと共溶出されるようであり、Q-セファロースカラムから溶出されたピークの分別によってのみ分離された。夾雑物は、SDS-PAGEにおけるその見かけ分子量によって、40kDa、55kDaおよび90kDa夾雑物に割り当てられた。SDS-PAGEからのバンドの切除後、特定の夾雑物の上昇したレベルを有する画分をN末端配列決定に供した。
【0242】
配列分析は、20Lデモンストレーション実施から単離された55kDaおよび40kDa夾雑物の両方について良好であった。AUXI ( レーン1〜5;
図89)に伴う55kDa夾雑物バンドのN末端は、コラゲナーゼAUXIのCol G配列の領域に適合するが、AUX II ( レーン6〜10;
図89)の40kDa夾雑物バンドは、コラゲナーゼAUX IIのCol H配列の領域と同一であることが示された。以前の試みは、AUXIおよびAUX II生成物の両方に伴う90kDaバンドを配列決定するためになされた(
図90)。AUXI生成物に伴う90kDa夾雑物の配列決定は、同定物がAUXI配列のN末端と相関したという点で良好であった。対照的に、AUX IIに伴う90kDa夾雑物の完全な配列を得ることは可能ではなく、これは、2つの90kDa夾雑物が異なる生成物であることを示唆した。
【0243】
プロセス3に伴う主な夾雑物は、関連生成物のようであり、AUXIのN末端切断生成物(55kDa)およびAUX IIのN末端切断生成物(40kDa)またはAUXIのC末端切断生成物(90kDa)のいずれかと同定された。これらの夾雑物は、プロセス2で同定されたものと異なるため、中間体および製剤原料の規格に用いたQCアッセイは、該アッセイ開発がプロセス2あたりで始まったため、新たな夾雑物は分離されなかった。特に、標準純度アッセイ(RP-HPLC)は、40kDaおよび55kDa夾雑物のレベルを検出するのに使用することができなかった。
【0244】
デンシトメトリー分析
20Lデモンストレーション実施
プロセス3に伴う40kDa、55kDaおよび90kDa夾雑物を同定し、SDS-PAGEによって分離した。これらの夾雑物は、Q-セファロースカラムから溶出された画分中に明白に検出され、ピークプロフィールの立ち上がりおよび立ち下がりで溶出するようであった(
図72〜76参照)。さらなる精製のためにどの画分を含めるか、または排除するかの決定は、Colloidal blue染色ゲル上の夾雑物および生成物の染色の相対強度の経験に基づいた。これを主観性の低い推定とするため、デンシトメトリーを用い、Q-セファロース工程後の画分に対する特定のプール基準を決定した。デンシトメトリーは、このアッセイにより、プロセス3に伴う新たな夾雑物が分離され得ないため、現行の純度のためのQCアッセイ(RP-HPLC)よりも好ましく使用された。
【0245】
20Lデモンストレーション実施からのQ後画分のデンシトメトリーデータ
IEX後画分の 2つの独立した分析のデンシトメトリー値を平均し、表48に示す。画分1〜12およびピーク1の最後の25%(立ち下り)は、AUX IIならびに40、75および90kDaの随伴する夾雑タンパク質を含有する。画分13〜27およびピーク2の最後の25%(立ち下り)は、AUXIならびに55および90kDaの随伴する夾雑物を含有する。デンシトメトリー分析なしでSDS-PAGEに基づいて選択された画分のプールをハイライトで示す。
【表48】
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【0246】
200Lデモンストレーション実施のQ後画分のデンシトメトリーの概要の記録
デンシトメトリー分析の概要
GMP実施のためのIEX BMRにおいて記録され得るプール基準を確立するため、200L操作実施からのIEX後画分を多数回分析した。このプール基準は、(i)操作実施で作製される物質の質はGMP物質に適切である、および(ii)デンシトメトリー方法の近似値は許容範囲であるというに仮定に基づく。目的が、GMP実施においてより高品質の物質を作製することである場合、プール基準の規格は、改定される必要がある。
【0247】
IEXからのプールの規格
全部で、200L操作実施からの試料は6回分析され(2名の作業者が各ゲルで3回反復)、平均データを表49に示す。操作実施でプールされた画分を赤でハイライトで示す。この分析から、以下のプール基準:
(i)88.5%以上の純度の任意の画分がプールされ得る、
(ii)単一の不純物を10%以上有する任意の画分はプールされ得ない、
(iii)プールされる画分は連続画分由来でなければならない、
(iv)プールの計算理論純度は、
AUXIでは理論純度93%以上
AUX IIでは理論純度96%以上
でなければならない
が確立され得る。
【0248】
この最後の点は、利用可能な画分中の全タンパク質が推定された200L操作実施からの推定値に基づいた(が、制限の1つは、AUXIでは、すべての画分がUV分析用に存在するわけではないことであった)。この分析のデータを表50に示す。
**注:これらの基準から、AUX II ピークの画分7が排除され得る。
【0249】
アッセイ変動
200L操作実施からのIEX後画分のデータから、以下のレベルの精度が推定された。
(i)生成物(AUXIおよびAUX II)では、%CVは、2.1%(AUXI)および2.3%(AUX II)と計算された。したがって、プールのための88.6%の純度規格は、86.3〜90.9%の範囲であり得る。
(ii)不純物では、%CVはずっと大きく、範囲は不純物に応じて18.5%〜33.7%と推定された。その結果、単一の不純物を10%以下有する画分を排除する純度規格は、実際には6.63〜13.37%の不純物範囲を有する画分であり得る。したがって、生成物(であって不純物ではない)の純度の値は、プール規格に最も信頼性のある値である。
【0250】
デンシトメトリーによる最終物質の推定純度
また、200L操作実施での最終物質(DSおよび中間体)のデンシトメトリー分析は、デンシトメトリーによって測定され、以下のとおりであった。
AUXI=96.0%(3.1%の90kDa夾雑物)
AUX II=98.7%(1.2%の90kDa夾雑物)
DS=97.6%(2.1%の90kDa夾雑物)
(注:これは、3名の異なる作業者によって3回分析された単一のSDS-PAGEについて測定された範囲である。)
【0251】
方法の標準化
反復分析の過程において、作業者間の誤差およびゲル間の変動を最小限にするため、デンシトメトリー方法を標準化し、SOPに記録される。最も注目すべきは、
(i)ゲルの各 レーンの全タンパク質の標準的な負荷は1μgである。
(ii)各生成物ピークから最大16の画分が分析用に選択される(AUXIおよびAUX II)。これにより、デンシトメトリー分析用のゲルの数が4に制限される。
(iii)選択された16の画分は、各ピークについて最後の画分で回収が開始され、前方で連続的に作業される。これにより、平均純度の計算値の精度が確保されることになる(プールされるすべての画分含まれる可能性があるため)。
【表49】
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【表50】
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【0252】
Q-セファロース後画分に対するGMPプール基準
イオン交換BMRにおいて指定されるべき詳細
A. 以下のプール基準が、デンシトメトリーによって分析されたAUXIおよびAUX IIピーク両方からの画分に対して指定されるべきである。
(i)各生成物ピークから最大16の画分が分析に選択される(AUXIおよびAUX II)。これにより、デンシトメトリー分析用のゲルの数が4に制限される。
(ii)90.00%(小数点以下2位まで報告される)以上の純度の任意の画分がプールされ得る。
(iii)単一の不純物を9.00%(2dpまで)以上有する任意の画分はプールされ得ない。
(iv)プールされる画分は連続画分由来でなければならない。
【0253】
B. 以下のプール基準が、SEC-HPLCによって分析されたAUX II ピークからの画分に対して指定されるべきである。
(i)SEC-HPLCに供される試料の最大数は10であり、このピークで回収された最後の画分および前方の連続画分由来でなければならない。
(ii)2.00%(2dpまで)以上の凝集を有する任意の画分は、プールされ得ない。
【0254】
情報のみのために記録されるべき詳細
A. 推定されたプールの理論純度は、情報のみのために計算されるべきであり、
AUXIでは、理論純度93.00%以上
AUX IIでは、理論純度97.00%以上
であることが予測される。
【0255】
B. 0.5g未満の画分を排除する基準が将来使用され得る場合、確立するためには各プール中の最少量のタンパク質が使用され得る。
【0256】
C. AUXI ピークの画分は、RP-HPLCに供されるが、遡及的に情報のみのために分析される。これらのデータは、プール基準の一部とみなされない。
【0257】
プールに対して予測される影響
以下は、表51に示す平均データセットから計算され、新たなプール基準に従う収率および画分選択に対する効果を反映する。
【表51】
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【表52】
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【表53】
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【0258】
2 データセットの比較(すなわち、異なる作業者による異なるゲル上での同じ方法内試料実施)は、平均データセットについて、以下の遡及的プール基準が記録されることを可能にしたが、20L実施において実際にプールされたものから、さらなる1つの画分(AUXIの画分27)が含まれ得る。
・ AUXI
≧87%の純度を有するが単一の不純物を≧10%有さないすべての画分をプールする。
・ AUX II
≧94%の純度を有するが単一の不純物を≧4%有さないすべての画分をプールする。
【0259】
20Lデモンストレーション実施からの最終物質の分析からのQCデータにより、RP-HPLCによって、AUX II中間体は99.4%純粋であり、AUXI中間体は99.1%純粋であり、製剤原料は99.9%コラゲナーゼであることが示された。したがって、プール方法について指定された基準は、最終物質に対する放出規格に合格する物質をもたらすことが予測され得る。
【0260】
200Lデモンストレーション実施
前記の20Lデモンストレーション実施で確立された基準は、200L操作実施で行なわれたものと異なった。この場合、プールは、≧86.5%の純度を有するが、単一の不純物夾雑物を≧10%有さない画分としてのAUXIおよびAUX II生成物の両方について指定された。SEC-HPLCによって検出された≧2%の不純物レベルを有するAUX II試料もまた排除した。得られたAUXI/AUX II中間体および製剤原料もまた、標準化された方法を用いてデンシトメトリーによって分析し、単一のゲルで3回(3名の異なる作業者)の分析に基づいて、以下の推定純度:AUXI=96.0%(3.1%の90kDa夾雑物);AUX II=98.7%(1.2%の90kDa夾雑物);DS=97.6%(2.1%の90kDa夾雑物)を有することが示された。
【0261】
また、中間体および製剤原料のQCで測定された純度は、RP-HPLCアッセイによる規格に合格することが示された(AUXI=98.2%;AUX II=98.1%;製剤原料=99.4%)。その結果、200L操作実施に従うプール基準は、現在利用可能な分析方法に基づいて適当な純度の生成物の送達において良好であった。
【0262】
材料および方法
Mustang Qクロマトグラフィー(20L規模実施)
装置:
Mustang Qクロマトグラフィーカプセル、60mL (CL3MSTGQP1、Pall)
Conductivity and pH Meter 4330 (Jenway)
化学物質:
塩化ナトリウム(USPグレード、Merck)
水酸化ナトリウム溶液(容積測定4M)(AnalaR、BDH)
Tris (ヒドロキシメチル)メチルアミン(USPグレード、Merck)
硫酸アンモニウム(超純粋、Merck)
Hyclone注射用水-高品質水(WFI-QW)
【0263】
60mL床容量のMustang Qクロマトグラフィーカプセルを、30mL/分の流速で30分間1M NaOHで消毒した。次いで、1M NaClを用いてカプセルを同じ時間および流速で予め調整した。カプセルを2LのMustang Q平衡バッファー(10mM Tris、1M硫酸アンモニウム、pH8)により60mL/分の流速で平衡化した。pHが≦8であることが確実であるように、出口流れを確認した。200L発酵液PP3の上清(22L)(0.2μm濾過しておいた)を、540mL/分の流速でカプセルに負荷した(およそ40分間の持続期間)。カプセルの最大推奨操作流速は600mL/分であった。濾過した物質を、2〜8℃で一晩、2×10L Stedimバッグ中に保存した。
【0264】
疎水性相互作用クロマトグラフィー(20L規模実施)
装置:
Unicorn V 5.01ソフトウェアがインストールされたAKTA Pilot (GE Healthcare)
Vantage S130カラム(断面積125cm2、Millipore)
Conductivity and pH Meter 4330 (Jenway)
Sartopore 2 0.8+0.45μmフィルターカプセル(Sartorius)
Medical Refrigeration Unit MP150 (Electrolux)
化学物質:
フェニルセファロース6 FF low sub (GE Healthcare)
水酸化ナトリウム溶液(容積測定4M)(AnalaR、BDH)
塩化ナトリウム(USPグレード、Merck)
トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(USPグレード、Merck)
硫酸アンモニウム(超純粋、Merck)
ロイペプチン(MP Biomedicals, Inc)
Hyclone注射用水-高品質水(WFI-QW)
【0265】
HICカラム充填
2400mLのフェニルセファロース6 FF Low Sub (ロット番号312089)スラリーを3時間置き、エタノールを除去し、1800mLのWFIと交換した。媒体を再度スラリー化し(50%)、置き、WFIで1回および1800mL 200mM NaClで2回洗浄し、洗浄と洗浄の間は一晩置いた。媒体を1800mL 200mM NaClで再度スラリー化し、カラムに注入し、1時間置いた。アダプターを樹脂床の約1cm上まで下げ(気泡をすべて除去する)、媒体を200mM NaCl中に400mL/分(192cm/時)の流速で10分間充填した。この充填流速を、GMPに利用可能なK-primeシステムの最大操作流速と同等であるとして利用した。アダプターを床の上面まで下げ、カラムを192cm/時で10分間充填した後、アダプターを樹脂の上面にねじ込み、192cm/時でさらに10分間充填し、この間、樹脂の圧縮は観察されなかった。充填試験は、AKTA Pilot 方法:HIC 1500mL Pack Testを用いて行なった。このため、カラムを1カラム容量(CV)の200mM NaCl含有WFIで平衡化し、15mL(1%CV)の1M NaCl含有WFIを用いて313mL/分(150cm/時)の流速で充填試験した。カラムに2CVのWFIを流し、2CVの10mM NaOHで保存した。充填カラムは、1.2の非対称度、2659プレート/メートルのプレートカウント、1525mLのCVおよび12.2cmの床高さを有した。
【0266】
カラム消毒および平衡化
フェニルセファロース6 FF (low sub)カラムを0.5M NaOHで60分間消毒し、2カラム容量(CV)のWFIで洗浄し、5CVの10mM Tris、pH8 (HIC バッファーB)の後、5CVの10mM Tris、1.0M硫酸アンモニウム、pH8 (HIC バッファーA)で平衡化した。
【0267】
HIC負荷の調製
13.48kg (11.05L)の3.0M硫酸アンモニウム、10mM Tris、pH8を、Mustang Q処理後(セクション3.1)の22.1kg 発酵濾液に添加した。0.05m
2フィルターカプセル(0.8+0.45μm)による濾過工程の前に濾液を5分間混合した。濾過した物質(HIC負荷物質と示す)を、使用まで氷上に保存した(およそ30分間の持続期間)。
【0268】
HICカラム実施
HIC実施は、2〜8℃に維持した冷却バッファーを使用し、150cm/時の一定の線形流速で行なった。30Lの原液(20LのMustang Q後濾液に相当)を、2CVの10mM Tris、1.0M硫酸アンモニウム、pH8 (HIC バッファーA)で予め平衡化した1525mLのフェニルセファロース6 FF (low sub)カラムに負荷した。10CVのHIC バッファーAで未結合物質をカラムから洗い流した。次いで、カラムを5CVの10mM Tris、0.3M硫酸アンモニウム、pH8 (HIC バッファーA2)で洗浄し、結合タンパク質を10CVの10mM Tris、pH8 (HIC バッファーB)で溶出した。溶出バッファーの最初の0.67 CV (IL)を廃棄し、4CVのHIC後プールを回収した。ロイペプチン(126.4mL)をHIC後プール(6191.3g)に10mM ロイペプチン、10mM Tris、pH8のストック溶液から200μMの最終濃度まで添加した。タンジェンシャルフロー濾過によってさらに処理する前に、混合溶液(6.3kg)を2〜8℃で2日間保存した。
【0269】
タンジェンシャルフロー濾過工程1(TFF1 20L規模実施)
装置:
ProFlux M12 TFFシステム(Millipore)
Conductivity and pH meter 4330 (Jenways)
Sartopore 2 0.8+0.45μmフィルターカプセル(Sartorius)
Pellicon 2 “Mini” Filter 0.1m2 30kDa MWCO PES膜(Millipore)
Medical Refrigeration Unit MP 150 (Electrolux)
【0270】
材料/化学物質:
水酸化ナトリウム溶液(容積測定4M)(AnalaR、BDH)
トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(USPグレード、Merck)
ロイペプチン(MP Biomedicals, Inc)
Hyclone注射用水高品質水(WFI-QW)
【0271】
システム設定
ProFlux M12 TFFシステムを製造業者の使用説明書に従って設定し、2つのPellicon 2 “Mini” Filter 30kDa MWCO PES膜を使用し、0.5M NaOHで60分間消毒し、使用まで0.1 M NaOH中に保存した。システムを排水し、14LのWFIを流し、正常水透過率(NWP)は、25℃で、15psigの膜間圧(TMP)(20psigの入口圧力および10psigの出口圧力)で、23L/m2/時/psiと測定された。システムに0.5L 10mM Tris、pH8 (ダイアフィルトレーションバッファー)を流し、1Lの同じバッファーで10分間で平衡化した。透過液の導電率およびpHを測定し、ダイアフィルトレーションバッファーのものに対して使用前に膜が平衡化していることが確実であることを確認した。
【0272】
濃縮およびダイアフィルトレーション
200μM ロイペプチンを含有する冷却ダイアフィルトレーションバッファー(10mM Tris、pH8)を使用し、濃度およびダイアフィルトレーション工程を行なった。使用直前にTFFシステムに1Lの冷却バッファーを流した。2LのHIC後物質(6.3L総容量)をTFFシステム貯蔵槽にポンピングし、膜を条件設定するために背圧なしで10分間再循環させた。貯蔵槽上のレベルセンサーを1.2Lに設定し、すべての物質がシステムに入るまで、HIC後物質を15psigのTMP(20psigの入口圧力および10psigの出口圧力)で濃縮した。透過液を回収し、分析のために2〜8℃で保存した。入口チューブをダイアフィルトレーションバッファーに接続し、物質のダイアフィルトレーションを15psigのTMP(20psigの入口圧力および10psigの出口圧力)でおよそ8.5ターンオーバー容量(TOV)で行ない、貯蔵槽内の物質の容量を1.2Lに維持した。5、7および8.5TOV後に透過液の導電率およびpHを測定し、ダイアフィルトレーションバッファーのものに対して確認した。保持物質をシステムから排水し、2〜8℃で保存した。250mLのダイアフィルトレーションバッファーを貯蔵槽にポンピングし、背圧なしでシステムに10分間再循環させてシステムを濯ぎ、排水し、濯ぎを繰り返し、両方の濯ぎ液を別々に 2〜8℃で保存した。保持物質および濯ぎ液のタンパク質濃度を測定し(UVにより)、最初の濯ぎ液(204.8g重量)を保持物質(1231.4g重量)に添加した。次いで、このTFF1後物質(1.4kg)をSartopore 2 0.8+0.45μmフィルターカプセルにより濾過し、Q セファロースイオン交換クロマトグラフィーによるさらなる処理まで、2〜8℃で一晩保存した。
【0273】
イオン交換クロマトグラフィー(20L規模実施)
装置:
Unicorn 5.01ソフトウェアがインストールされたAKTA Pilot (GE Healthcare)
Conductivity and pH Meter 4330 (Jenway)
Vantage S90カラム(断面積62cm2、Millipore)
Medical Refrigeration Unit MP150 (Electrolux)
化学物質:
水酸化ナトリウム溶液(容積測定4M)(AnalaR、BDH)
塩化ナトリウム(USPグレード、Merck)
トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(USPグレード、Merck)
塩化カルシウム2水和物(USPグレード、Merck)
ロイペプチン(MP Biomedicals, Inc.)
Q セファロースHP (GE Healthcare)
Hyclone注射用水-高品質水(WFI-QW)
【0274】
カラム充填および調製
AKTA Pilot クロマトグラフィーシステムを用い、Vantage S90カラムをQ セファロースHP媒体含有WFIで充填し、10cm床高さを有し、したがって、620mLのカラム容量(CV)を有する充填カラムを得た。充填は、製造業者の指示に従ったが、210cm/時の充填流速および0.28MPaの圧力限界に等しい課されたVantageカラムの圧力限界(0.3MPa)で行なった。充填後、カラムを2CVの0.2M NaClで平衡化し、100cm/時 (103mL/分)の流速で1%CV(6.2mL)の1M NaClを用いて充填試験した。充填カラムは、1.6の非対称度の12605プレート/メートルのプレートカウントを有し、これは、媒体の規格内(プレートカウント>10,000で0.8〜1.8の非対称度)であった。必要なときまで、カラムを10mM NaOH中に保存した。
【0275】
使用前、Q セファロースカラムを1.5カラム容量(CV)のWFIで洗浄して保存バッファーを除去し、1.5CVのWFIを再度流す前に0.5M NaOHにより60分間40cm/時で消毒した。次いで、製造業者の使用説明書に従って、2CVの10mM Tris、3mM塩化カルシウム、pH8、続いて、2CVの10mM Tris、3mM CaCl
2、360mM NaCl、pH8、最後に5CVの10mM Tris、3mM CaCl
2、pH8をカラムに充填し、平衡化した。
【0276】
カラム実施
試料をカラムに負荷する直前、冷却した10mM Tris、3mM CaCl
2、200μMロイペプチンpH8(IEXバッファーA)でカラムを再度平衡化した。2.55mg/mLの濃度(UVによって測定)の1216mLの冷却したTFF1後物質を、100cm/時 (103mL/分)の流速でカラムに負荷した。これは、5mg全タンパク質/mL媒体のカラム負荷に等しい。生成物の負荷後、3カラム容量(CV)のIEXバッファーAでカラムを洗浄し、10mM Tris、3mM CaCl
2、360mMNaCl、200μM ロイペプチン、pH8 (IEXバッファーB)により、20CVで0〜40%溶出バッファー(AからB)の勾配で、70.2ml/分(68cm/時)の流速でタンパク質を溶出した。280nmおよび260nmで溶出をモニターし、AUX IIおよびAUX Iを含有する2つの生成物ピークで100mL画分が回収された。画分回収は、ピークの急増部(breakthrough)から開始し、立ち下り端上のピーク高さの25%まで継続した。AUX II ピークで合計12の画分が回収され、AUX Iピークで15の画分が回収された。Q セファロースHPクロマトグラフィーは、18〜23℃の標準的な研究温度で行なったが、使用したバッファーは予め冷却した。SDSPAGE分析から結果が得られるまで画分を2〜8℃で保存した。画分6〜12(ピーク1)はAUX IIコラゲナーゼとしてプールされ、容量は、683g(サンプリング後)と測定され、UV分析による濃度は、1.17mg/mLと測定された。画分19〜26 (ピーク2)は、AUX Iコラゲナーゼとしてプールされ、容量は796g (サンプリング後)と測定され、UVによる濃度は1.08mg/mLと測定された。
【0277】
タンジェンシャルフロー濾過工程2 (TFF2 20L規模実施)
装置:
ProFlux M12 TFFシステム(Millipore)
Conductivity and pH meter 4330 (Jenways)
Pellicon 2 “Mini” Filter 0.1m2 30kDa MWCO PES膜(Millipore)
90mm Filter Unit (1L)0.2μm PES膜(Nalgene)
Medical Refrigeration Unit MP150 (Electrolux)
【0278】
材料/化学物質:
水酸化ナトリウム溶液(容積測定4M)(AnalaR、BDH)
トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(USPグレード、Merck)
スクロース (BPグレード、Merck)
ロイペプチン(MP Biomedicals, Inc.)
Hyclone注射用水-高品質水(WFI-QW)
Frensius Kabi注射用水(WFI)
【0279】
システム設定
ProFlux M 12 TFFシステムを製造業者の使用説明書に従って設定し、1つのPellicon 2 “Mini” Filter 30kDa MWCO PES膜を用い、0.5M NaOHで60分間消毒し、使用まで0.1M NaOH中に保存した。システムを排水し、14LのWFIを流し、正常水透過率(NWP)は、AUXIに使用された膜では19.5L/m2/時/psi、および25℃でAUX IIに使用された膜では、15psigの膜間圧(TMP)(20psigの入口圧力および10psigの出口圧力)で25℃で14.5L/m2/時/psiと測定された。システムに0.5Lの10mM Tris、60mMスクロース、pH8 (配合バッファー)を流し、1Lの同じバッファーで10分間平衡化した。透過液の導電率およびpHを測定し、配合バッファーのものに対して確認した。
【0280】
濃縮および配合
濃縮およびダイアフィルトレーション工程を、AUXIおよびAUX IIの各IEX後プールにおいて別々に行なった。すべての工程は、2〜8℃に維持した冷却配合バッファー(10mM Tris、60mMスクロース、pH8)を用いて行なった。使用直前に、TFFシステムに1Lの冷却バッファーを流した。IEX後プール(683g重量のAUX IIおよび796g重量のAUXI)をTFFシステム貯蔵槽にポンピングし、10%ポンプ速度で、膜を条件設定するために背圧なしで10分間再循環させた。貯蔵槽のレベルセンサーをおよそ400mLに設定し、貯蔵槽内の容量がおよそ360〜390mL(これは、システム残留液容量が100mLと仮定される)に減少するまで、AUXIまたはAUX IIプールを15psigのTMP(20psigの入口圧力および10psigの出口圧力)で濃縮した。標的容量の減少は、濃度操作中のタンパク質の損失がないと仮定される生成物の理論的濃度1.75mg/mLの達成に基づいた。透過液を回収し、分析のために2〜8℃で保存した。ダイアフィルトレーション操作のため、入口チューブを配合バッファーに接続し、15psigのTMP(20psigの入口圧力および10psigの出口圧力)でダイアフィルトレーションを行なった。AUX IIでは、およそ12ターンオーバー容量(TOV)、およびAUXIでは8.5TOVを行ない、貯蔵槽内の物質の容量を約400mLに維持した。AUX IIでは12 TOV後、AUXIでは6、7および8.5 TOV後、透過液の導電率およびpHを測定し、配合バッファーのものに対して確認した。保持物質をシステムから排水し、2〜8℃で保存した。
【0281】
250mL配合バッファーを使用し、システムに10分間(背圧なしで)再循環させることにより、膜から残留生成物を洗浄した。濯ぎ溶液を排出後、第2の洗浄を行ない、濯ぎ液1および濯ぎ液2の両方を2〜8℃で保存した。保持物質および濯ぎ液のUVタンパク質含量の測定後、第1の濯ぎ液を保持物質に添加し、混合し、混合物のUVタンパク質濃度を測定した。AUX IIでは、122gの第2の濯ぎ液もまた保持物質+濯ぎ液1に添加し、1.1mg/mLの理論的AUX II濃度を得た。AUXIでは、94gの第2の濯ぎ液を物質に添加し、1.1mg/mLの理論的AUXI濃度を得た。AUXIおよびAUX II物質の両方をClass IIフード内で1L Nalgene 0.2μmフィルターユニットによって濾過し、濾過後のタンパク質濃度を測定した。AUXIおよびAUX II中間体を2〜8℃で保存した。
【0282】
タンパク質濃度測定
吸光度
装置:
DU800 Spectrophotometer (Beckman)
UV spectrophotometryによって、220と330nmの間で試料のUVスキャンを行なうことにより方法内試料を分析した。適切なバッファーをブランクとして使用し、試料のスキャンの前にバッファーブランクのスキャンを行なった。必要であれば、A
280<1.0AUが確保されるように試料を同じバッファーで希釈した。Beer-Lambert則、c=A/b.ε(式中、Aは吸光度(A
280〜A
330)であり、bはパス長(1.0cm)であり、εはタンパク質の吸光係数である)に従ってタンパク質濃度(mg/mL)を測定した。AUXIでは1.48mg
-1cm
-1mL、AUX IIでは1.576mg
-1cm
-1mLおよびAUXI/AUX II混合物では1.428mg
-1cm
-1mLの吸光係数を使用した。
【0283】
Bradfordアッセイ
材料:
凍結乾燥BSA (1.4mg/mLに水和)
化学物質:
タンパク質アッセイ染色試薬濃縮物(500-0006、Bio-Rad)
【0284】
BSA標準曲線は、BSAを水で既知濃度に希釈することにより作製した。Bio-Radタンパク質アッセイ色素試薬は、1部の濃縮物を4部の水で希釈することにより調製した。試験試料は水で希釈することにより調製した。50μLの試験試料を、そのまま、または希釈してのいずれかでキュベットに添加し、2.5mLの希釈試薬を添加した。試料は、同じものを2つ調製した。ODを読む前に試料を10分間インキュベートした。既知濃度のBSA溶液のOD
595nmを測定することによりOD
595nm対タンパク質濃度の標準曲線を得た。次いで、試験試料をアッセイし、タンパク質濃度を標準タンパク質アッセイ曲線から決定した。色素からの寄与を標準化するため、Mustang Q工程後の試料は、常に希釈なしで分析した。この場合、50μLの未希釈のMustang Q後物質をアッセイに利用した。
【0285】
SDS-PAGE分析
装置:
Xcell SureLock Mini-Cell Electrophoresis System (Invitrogen)
Electrophoresis Power Supply EPS 601(Amersham Pharmacia Biotech)
Rocky 振とう台(Scientific Laboratory Supplies)
化学物質:
SDS-PAGE Standards High Molecular Weight (161-0303、Bio Rad)
Mark12 非染色標準 (LC5677、Invitrogen)
Novex 8%Tris-グリシンゲル、1.5mm、10ウェル(EC6018BOX、Invitrogen)
NuPAGE Novex 4〜12%Bis-Trisゲル、1.0mm、12ウェル(NP0322BOX、Invitrogen)
Novex Tris-グリシンSDS ランバッファー(10x)(LC2675、Invitrogen)
NuPAGE MES SDS ランバッファー(20x)(NP0002、Invitrogen)
Novex Tris-グリシンSDS試料バッファー(2x)(LC2676、Invitrogen)
NuPAGE LDS 試料バッファー(4x)(NP0007、Invitrogen)
NuPAGE 試料還元剤(10x)(NP0009、Invitrogen)
Colloidal Blue染色キット (LC6025、Invitrogen)
エチ レーンジアミン四酢酸二ナトリウム塩AnalaR R (BDH)
【0286】
Tris-グリシンゲル
12μlの試料を、20μlの試料バッファー(2x)、4μlの還元剤(10x)および4μlの0.1M EDTA(10mMの最終濃度を達成するため)に添加することにより、還元性SDS-PAGEのための試料を調製した。10μlの濃縮原液を、80μlの還元剤(10x)、310μlのWFIおよび400μlの試料バッファー(2x)に添加することにより、高分子量(HMW)マーカーを調製した。次いで、希釈HMW標準を、アリコートに分ける前に95℃で5分間加熱し、次のゲルでの使用のために-20℃で保存した。Tris-グリシンランバッファーを使用し、130Vで約2時間、コラゲナーゼを含有する試料(20μl負荷容量)を直接 (すなわち、事前の熱処理なしで)、8%Tris-グリシンゲル上でラン(run)させた。電気泳動後、製造業者の使用説明書のとおりにcolloidal blue染色試薬でゲルを染色した。
【0287】
Bis-Trisゲル
16.5μlの試料を、7.5μlの試料バッファー(4x)、3μlの還元剤(10x)および3μlの0.1M EDTA (10mMの最終濃度を達成するため)に添加することにより、還元性SDS-PAGEのための試料を調製した。MARK12マーカーをそのままで負荷した(10μl)。MES ランバッファーのいずれかを使用し、200Vで約40分間、コラゲナーゼを含有する試料(15μl負荷容量)を直接(すなわち、事前の熱処理なしで)、4〜12%Bis-Trisゲル上でランさせた。電気泳動後、ゲルを、colloidal blue染色試薬で製造業者の使用説明書のとおりに染色するか、または標準的な手順(GE Healthcare)を用いて銀染色するかのいずれかとした。
【0288】
IEX後画分のデンシトメトリー分析
装置:
Xcell SureLock Mini-Cell Electrophoresis System (Invitrogen)
Electrophoresis Power Supply EPS 601、(Amersham Pharmacia Biotech)
Rocky 振とう台(Scientific Laboratory Supplies)
平坦床スキャナー (Hewlett Packard)
【0289】
材料/化学物質:
NuPAGE Novex 4〜12%Bis-Trisゲル、1.0mm、12ウェル(NP0322BOX、Invitrogen)
NuPAGE MES SDS ランバッファー(20x)(NP0002、Invitrogen)
NuPAGE LDS 試料バッファー(4x)(NP0007、Invitrogen)
NuPAGE 試料還元剤(10x)(NP0009、Invitrogen)
Mark 12 非染色標準 (LC5677、Invitrogen)
Colloidal Blue染色キット (LC6025、Invitrogen)
エチ レーンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(EDTA)(AnalaR、BDH)
精製水
【0290】
還元性SDS-PAGE
lμg/ レーン負荷でMES ランバッファーを使用し、IEX後試料を4〜12%Bis-Trisゲル上でランさせた。20μLの希釈IEX後物質を、8μLの試料バッファー(4x)、3μLの還元剤(10x)および3.4μLの0.1M EDTAに添加することにより、試料を調製した。15μLの各試料を、混合後直接(すなわち、熱処理なしで)ウェルに負荷し、200Vで40分間ランさせた。電気泳動後、ゲルを製造業者の使用説明書に従ってColloidal Blue染色試薬で染色したが、染色変動を低減するために固定染色持続期間を伴った(10分間固定、5時間染色、精製水で15〜20時間脱染色)
【0291】
ゲル走査およびデンシトメトリー
ゲルを2つのアセテートシート間に配置し、すべての気泡の除去を確実にし、平坦床スキャナー上で600dpi解像度で走査し、画像をトリミング(crop)し、HP Image zoneソフトウェアでサイズ変更およびカラー補正した。Alpha EaseFCソフトウェアにより画像を8ビットグレースケールTIFF画像に変換し、QuantityOneゲル記録ソフトウェア(BioRad)を用いてタンパク質バンドを分析した。バックグラウンドの差し引き(substitution)後、選択されたバンドの強度ピーク面積を、各 レーンの生成物(AUXIまたはAUX II)および不純物(1種類または複数種類)の相対パーセント値に変換した。
【0292】
バッファー安定性
装置:
蠕動ポンプ(Watson Marlow)
125ml PETGバイオ容器(biotainer)(Cellon)
蠕動ポンプ用Watson Marlow Tubing
Conductivity and pH Meter 4330 (Jenway)
Sartopore 2 300 (0.45/0.2μm)フィルターカプセル(Sartorius)
【0293】
20Lデモンストレーション実施用のバッファーを、調製後、0.45/0.2μmフィルターカプセルに通して10μ20L Stedimバッグ内に濾過し、使用前に2〜8℃で保存した。大部分のバッファーが濾過されたら、およそ75mlの残留バッファーを、予備標識された125mlのPETGバイオ容器内に回収し、2〜8℃で保存した。バッファーのpH、導電率、温度および調製日を記録した。20Lデモンストレーション実施の終了時、バッファー試料を冷却保存から回復させ、pH、導電率、および外観について再試験した。また、試験時のバッファーの温度も記録した。
【0294】
N末端配列決定分析のための試料調製
装置:
Electrophoresis Power Supply EPS 601(Amersham Pharmacia Biotech)
Xcell SureLock Mini-Cell Electrophoresis System(Invitrogen)
Rocky 振とう台(Scientific Laboratory Supplies)
化学物質:
Novex 8%Tris-グリシンゲル、1.5mm、10ウェル(Invitrogen)
High Molecular Weight Marker(BioRad)
NuPAGE 試料還元剤(10x)(Invitrogen)
Novex Tris-グリシンSDS ランバッファー(10x)(Invitrogen)
Novex Tris-グリシンSDS試料バッファー(2x)(Invitrogen)
Colloidal Blue Staining Kit(Invitrogen)
エチ レーンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(EDTA)(AnalaR、BDH)
メタノール、AnalaR (BDH)
酢酸、AnalaR (BDH)
注射用水(WFI)
精製水
【0295】
先に概要を示したようにして、N末端配列決定用の試料を調製し、8%Tris-グリシンゲル上で分離した。40kDa夾雑物(IEX後AUX IIピーク由来画分2、CTL2006#0610H;)および55kDa夾雑物(IEX後AUXIピーク由来画分16、CTL2006#0611H)を多く含むと同定された試料は、各々、ゲルの5 レーンに負荷され、配列決定に充分な物質が得られた(
図89)。AUXI (画分B7 R2、CTL2006#0581P)およびAUX II (画分D1、CTL2006#0582P)の両方に伴う90kDa夾雑物を多く含む、以前の20L発酵液(20L PP3)由来のIEX後画分もまた、多数の レーンに負荷された(
図90)。電気泳動後、ゲルを製造業者の使用説明書に従ってcolloidal blue染色試薬で染色し、夾雑物バンドを切り出し、N末端配列決定のためにAlta Bioscience (Birmingham University、UK)に供した。20Lデモンストレーション実施からの90kDa AUXIに伴う夾雑物(CTL2006#0612H)もまた配列決定に供したが、データは得られなかった。
【0296】
プロセス3の製造の概要
発酵
ヒストリチクス菌由来のコラゲナーゼの生成のためのフィトン(Phytone)流加発酵方法(プロセス2)は、フィトンペプトンにおけるバッチ間変動のため非常に変わりやすいことが示された。この理由のため、プロテオースペプトン#3 (PP3)を5L発酵液中で評価した。評価により、PP3の1つの特定のバッチを50g/Lで使用した場合、発酵方法は確固としており、再現可能であることが示された。しかしながら、PP3の他のバッチを50g/Lで使用した場合、培養物の増殖プロフィールに大きな変動が見られた。PP3の種々のバッチによって支持される最大バイオマス濃度を小規模評価において評価した。これらのバッチを、ヒストリチクス菌の高いまたは低いバイオマス濃度を支持するその能力に基づいて、それぞれ「良好」または「不良」とみなした。2つの発酵を、100g/Lで用いるPP3の「不良」および「良好」バッチ5L規模で行なった場合、両方とも、非常に類似した増殖プロフィールおよび生成物収率を示した。この実験により、PP3の濃度を100g/Lに増大させると、ペプトンのバッチ間変動に伴う問題が軽減されることが示された。
【0297】
規模拡大発酵を200Lで行なった。発酵には、PP3の最適濃度(100g/L)を使用した。発酵は良好であり、5L規模で観察された増殖プロフィールおよび生成物収率/質の両方が再度見られた。プロセス2のために開発された回収方法(濾過によって清浄)を、200L規模拡大発酵中に評価した。細胞培養物は、既存の方法を用いて、濾過の流れを阻止することなく、良好に清浄化された。
【0298】
クーマシー染色したTris グリシンゲルのデンシトメトリー分析を使用し、粗発酵物試料中のコラゲナーゼ濃度の定量を改善した。混合されたAUXIおよびAUX IIの標準曲線を、発酵試料の希釈物を用いて負荷した。コラゲナーゼ濃度とデンシトメトリーピーク面積の間の関係は、試料希釈の範囲内で線形であることが示された。次いで、そのピーク面積および標準曲線を使用し、試料中のコラゲナーゼの濃度を外挿した。この方法により、コラゲナーゼの収率は、5および200L規模で、100g/L PP3方法から280〜350mg/Lであると推定された。
【0299】
最適化PP3発酵方法は、フィトン流加方法と比べて、より高いバイオマス濃度(OD600 7単位)をもたらし、生成物収率を増大させた(280〜350mg/L全コラゲナーゼ、定量的デンシトメトリーによる)。発酵濾液は、フィトン方法より有意に少ないクロストリパインを含んだ。AUXI:AUX IIの比は、プロセス2の評価中に観察されたものと比べて1に近かった。要約すると、PP3方法は、生成物の収率、純度(発酵後)および発酵の再現性を増大させた。
【0300】
精製
プロセス3は、Cobraで以前に開発された方法(プロセス2)を改善するため、加速時間枠において開発され、GMPにおいて20L規模で実施した。方法に対する主な改善は、精製手順を単純化するため、確固さを促進するため、および方法を200Lに規模拡大しやすくするために行なわれた。これらの改善はまた、方法の検証を補助するのに重要とみなされた。
【0301】
プロセス3は、20Lの発酵物すべてが精製されたヒストリチクス菌の200L発酵液由来の物質を用いて行なった。物質は、発酵から直接処理し、保持工程は行なわなかった。濾過後、小規模実験によりこの手順を用いるとdsDNAの減少(ピコグリーン(pico green)分析によって検出)が示されたため、生成物をMustang Qフィルターに通した。しかしながら、20Lデモンストレーション実施からの方法内試料の分析により、dsDNAの減少は示されず、この工程の確固さおよび適用には、さらなる調査が必要とされることが示唆された。20Lランスルーおよび以前の小規模実験で使用されたパラメータの比較により、カプセルのサイズを1000倍(製造業者によって記載された15〜25mg DNA/mLカプセルのDNA結合能力に基づいて)大きくした場合、dsDNA除去が示された。比較において、20Lランスルーに使用したカプセルのサイズをおよそ177〜296倍大きくした。Mustang Qカプセルからの物質を2〜8℃で一晩保持した。該方法のこの段階で得られた試料物質に関するオフライン安定性研究は、SDS-PAGE分析によって示されるように、RTおよび37℃でインキュベートした試料が分解されやすいため、該方法のこの点での生成物安定性には、低温を維持することが重要であることを示した。
【0302】
硫酸アンモニウム溶液(3M)を添加して混合し、1Mの最終濃度を達成することにより、Mustang Qカプセルからの生成物を疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)用に調製した。これは、フェニルセファロースFF (low sub)媒体へのコラゲナーゼ結合に適当な条件を提供した。次いで、0.3M硫酸アンモニウムの工程溶出を用いてある割合のタンパク質夾雑物および色素がHICカラムから溶出された後、コラゲナーゼ生成物が硫酸アンモニウムを含有さない溶液で溶出された。生成物ピークの回収の基準は、4カラム容量の固定容量と確立された (が、これは、後に200L規模デモンストレーション実施では5カラム容量に拡大した)。次いで、溶出直後にロイペプチンを添加し、物質を2日間2〜8℃で保持した。原液の複雑な性質のため、この工程の収率を正確に測定することが困難であった。方法工程収率は、(i)溶出物質の負荷およびUVのBradfordアッセイに基づいて38%または(ii)溶出物質のデンシトメトリーおよびUVによって推定された負荷中のコラゲナーゼ含量に基づいて47%と推定された。代替的に、適用したILの発酵濾液毎の相当物で0.17gの全タンパク質がHICカラムから溶出された。
【0303】
2×0.1 m2 30kDa膜を用いたタンジェンシャルフロー濾過(TFF1)を使用し、濃縮(5倍)およびバッファー交換により、HIC後プールをQ-セファロース精製用に調製した。この工程において損失は検出されず、報告された回収タンパク質の増大は、該方法のこの点でのUVの不正確さを反映し得る。不正確さは、色素夾雑に起因し得るか、またはタンパク質の複合体が存在しやすい場合に精製初期の物質にあまり正確でなかったコラゲナーゼの吸光係数の使用に起因し得る。TFF工程は、物質を2〜8℃で一晩保持する前に、生成物濾過工程によって終了した。
【0304】
プロセス2と同様、Q-セファロースカラムはプロセス3において重要な精製工程であり、AUXIおよびAUX IIコラゲナーゼの分離をもたらした。しかしながら、プロセス3に伴う夾雑物はプロセス2のものと異なり、AUXIおよびAUX II生成物が密接に同時精製されたようであった。しかしながら、夾雑物は、両方のピークの立ち上り端または立ち下り端のいずれかで溶出するようであったため、生成物ピークの分別によって夾雑物を生成物から除去することが可能であった。夾雑物は、還元SDS-PAGE上に、その相対分子量によって示された。AUX II生成物(Q-セファロースカラムから溶出された最初のピーク) に伴うものは、(i)40kDa (ピークの立ち上り端と関連)および(ii)75kDaおよび90kDa(ピークの立ち下り端と関連)と同定された。N末端アミノ酸配列決定により、配列がCol H配列領域との同一性に適合したため、40kDaはAUX II関連物であることが示された。比較において、90kDa夾雑物では、低シグナルの問題のため同一性は確認され得なかった。AUXI生成物(Q-セファロースカラムから溶出された第2のピーク)に伴う夾雑物は、(i)55kDa (ピークの立ち上り端と関連)および(ii)90kDa (ピークの立ち下り端と関連)であった。N末端配列決定により、55kDaおよび90kDaの両方の夾雑物がAUXI関連物であると同定され、このとき、55kDa夾雑物は、Col G配列の中央領域と配列同一性を示し、90kDaは、AUXIと同一のN末端適合を示すことが示された。その結果、該方法のこの段階で同定された主要な不純物はすべて生成物関連物であり、AUXI (55kDa)およびAUX II (40kDa)の内部切断生成物またはAUXI (90kDa)のC末端切断生成物のいずれかと同定された。
【0305】
Q-セファロースカラム後、重要な方法工程は、どの画分をさらなる精製に進めるかに関する決定においてであった。20Lデモンストレーション実施では、この基準は、4〜12%SDS-PAGEによって分析し、Colloidal Blue染色で染色した場合の、生成物に対する夾雑物の相対染色強度に基づいた。決定は主観的であり、方法開発グループの集合的な経験およびクライアントからの要望に基づいた。プール手順を記載した規定された基準を確立するため、デンシトメトリーはSDSPAGEにおいて行なった。これから、プールは、AUXIでは≧87%純粋な(≧10%の単一の不純物なしの)画分およびAUX IIでは≧94%純粋な (≧4%の単一の不純物なしの)画分を含むものとして記載された。これにより、AUXIおよびAUX IIで、それぞれ、27.7%および25.8%のUV評価に基づく工程収率がもたらされた。後続のGMP実施のための修正基準の規定をもたらした200L規模デモンストレーション実施から得られたデータより、デンシトメトリー方法のさらなる改良および標準化が達成された。
【0306】
各コラゲナーゼに1×0.1m2 30kDa膜を使用し、Q-セファロースカラムからのAUXIまたはAUX II生成物を含有する画分をTFFによって別々に配合した(TFF2で表す)。10mM Tris、60mMスクロース pH8の配合バッファーはKBI BioPharma Inc.によって確立された。TFF2 工程後に生成物を濾過し、TFFおよび濾過の全工程収率は、AUXIで97.5%およびAUX IIで92.2%と推定された。この段階では、試料を中間体と呼び、QC分析のためおよび製剤原料の混合前に2〜8℃で保持した。遡及的安定性研究により、SDS-PAGE、UV、RP-HPLCおよびSEC-HPLC分析によって測定した場合、中間体は2〜8℃で少なくとも5日間安定であることが示された。中間体において唯一検出された分解は、凝集物レベルが0から0.62%に増大した12日間の保持後、AUX II中間体において同定された。
【0307】
最終生成物濾過を行なう前に、AUXIおよびAUX II中間体を同じ比(UVによって測定)で混合し、製剤原料を作製した。わずかに400mgの製剤原料を調製し、その200mgを25mgの各中間体とともにKBI BioPharma Inc.に輸送した。20Lの発酵原液のすべての利用可能な物質を処理し、すべての物質が製剤原料として混合されたと仮定された20Lデモンストレーション実施について、全方法収率を推定した。これにより、20L規模精製で1.6gの製剤原料の予測収率が得られた。これは、HICカラムへの負荷に利用可能な全タンパク質の量に対する9gの初期推定(Bradfordアッセイを使用)が正確であるという仮定(then assumption)に基づく17.8%の方法回収に等しかった。代替的に、利用可能な全タンパク質がHIC負荷中のコラゲナーゼ含量(デンシトメトリーによって推定)に関する場合、全方法収率は22%と計算された。
【0308】
方法ランスルーに加え、試料および安定性を評価するための方法から得られたバッファー保持物においていくつかの予備研究を行なった。これらのデータは、生成物では低温が分解の制御に重要なファクターであり、精製初期(Q-セファロースカラム前)に得た試料は、よりタンパク質分解を受けやすいことを示した。しかしながら、生成物保持研究により、ロイペプチンおよび温度制御(2〜8℃)の組合せは、GMP方法で予測された経時的な生成物の質の維持に良好であることが示された。
【0309】
表54および55に、AUXIおよびAUX II中間体の、またプロセス3の製剤原料の分析明細を詳細に示した。
【表54】
[この文献は図面を表示できません]
【表55】
[この文献は図面を表示できません]
【0310】
本明細書で言及する特許および科学文献は、当業者が利用可能な知識を確立する。本明細書に引用されたすべての米国特許および公開または未公開米国特許出願は、参照により本明細書に援用される。本明細書に引用されたすべての公開された外国特許および特許出願は、参照により本明細書に援用される。本明細書に引用されたすべての他の公開された参考文献、文献、稿本および科学文献は、参照により本明細書に援用される。
【0311】
本発明を、その好ましい態様を参照して具体的に示し、記載したが、形態および詳細における種々の変形が、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱せずになされ得ることは、当業者によって理解されよう。
【0312】
本発明の態様として、以下のものが挙げられる。
[1]それぞれヒストリチクス菌コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの配列を有するコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIからなり、約1対1の質量比を有し、純度が少なくとも95面積%である製剤。
[2]約8のpHの10mM Trisバッファーおよび60mMスクロース中にある場合、コラゲナーゼIについて約13,000〜約23,000 fSRC単位/mgのSRCアッセイ活性、およびコラゲナーゼIIについて約200,000〜約380,000 fGPA単位/mgのGPAアッセイ活性を有する、[1]記載の製剤。
[3]約2面積%未満の凝集タンパク質を含有する、[1]記載の製剤。
[4]約1面積%未満のクロストリパインを含有する、[3]記載の製剤。
[5]約1面積%未満のゼラチナーゼを含有する、[4]記載の製剤。
[6]約1%ug/mg(w/w)未満のロイペプチンを含有する、[5]記載の製剤。
[7]1cfu/ml未満の生物汚染度を有し、滅菌された、[6]記載の製剤。
[8]10EU/ml未満の内毒素を含有する、[7]記載の製剤。
[9]5EU/mg未満の内毒素を含有する、[7]記載の製剤。
[10]コラゲナーゼIおよびIIが、少なくとも(a least)約97面積%の純度を有する、[1]記載の製剤。
[11]薬学的に許容され得る賦形剤をさらに含む、[1]記載の製剤。
[12]滅菌凍結乾燥粉末であり、約5℃の温度で保存される、[1]記載の製剤。
[13]スクロース、Trisが配合され、約8.0のpHレベルを有する凍結乾燥注射可能組成物である、[11]記載の製剤。
[14]約0.9mgの前記製剤、約18.5mgのスクロースおよび約1.1mgのTrisを含み、標的バイアル充填容量が約0.9mLである凍結乾燥注射可能組成物配合物を構成する、[13]記載の製剤。
[15]約0.58mgの前記製剤、約12.0mgのスクロースおよび約0.7mgのTrisを含む凍結乾燥注射可能組成物配合物を構成する、[13]記載の製剤。
[16][11]記載の製剤を提供するためのバイアルおよび前記デバイスで前記製剤をどのように送達するかを説明する使用説明書を備えるキット。
[17]コラーゲン媒介性疾患に苦しむ被験体を処置するために使用される、[1]記載の製剤。
[18]それぞれヒストリチクス菌コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの配列を有するコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIからなり、約1対1の質量比を有し、純度が少なくとも95面積%である製剤であって、製剤の調製が、
a) ヒストリチクス菌を発酵させる工程;
b) コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを含む粗発酵物を回収する工程;
c) 濾過およびカラムクロマトグラフィーによって粗回収物からコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを精製する工程;ならびに
d) 工程(c)から精製されたコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを約1対1の比で合わせる工程
を含む、製剤。
[19]コラゲナーゼIについて約13,000〜約23,000 fSRC単位/mgのSRCアッセイ活性、およびコラゲナーゼIIについて約200,000〜約380,000 fGPA単位/mgのGPAアッセイ活性を有する、[18]記載の製剤。
[20]純度が少なくとも97面積%である、[18]記載の製剤。
[21]純度が少なくとも98面積%である、[18]記載の製剤。
[22]細胞バンク調製がフィトンペプトンまたは植物性ペプトンの存在下で行なわれる、[18]記載の製剤。
[23]発酵工程が、
a) 第1段階の培地にヒストリチクス菌を接種し、混合物を攪拌する工程;
b) 工程(a)の混合物をインキュベートし、アリコートを得る工程;
c) 第2段階の培地に、工程(b)で得られたアリコートを接種し、混合物を攪拌する工程;
d) 工程(c)の混合物をインキュベートする工程;
e) 第3段階の培地に、工程(d)で得られたアリコートを接種し、攪拌する工程;
f) 工程(e)の混合物をインキュベートする工程;
g) 第4段階の培地に、工程(f)で得られたアリコートを接種し、攪拌する工程;
h) 工程(g)の混合物をインキュベートする工程;および
i) 工程(h)で得られた培養物を濾過によって回収する工程
を含む、[18]記載の製剤。
[24]精製工程が、
a) 粗回収物をMustang Qカラムにより濾過する工程;
b) 硫酸アンモニウムを添加する工程;
c) 粗回収物を濾過する工程;
d) 濾液をHICカラムに供する工程;
e) 濾液にロイペプチンを添加する工程;
f) 硫酸アンモニウムを除去し、TFFによりバッファー交換しながらコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの正しい結合のためのロイペプチンを維持する工程;
g) 工程(f)の混合物を濾過する工程;
h) Q-セファロースHPを用いてコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを分離する工程
i) コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIのTFF濃縮液および配合物を別々に調製する工程;ならびに
j) 0.2μm濾過システムにより濾過する工程
を含む、[18]記載の製剤。
[25]約-70℃の温度で保存される、[18]記載の製剤。
[26]薬学的に許容され得る賦形剤をさらに含む、[18]記載の製剤。
[27]滅菌凍結乾燥粉末であり、約5℃の温度で保存される、[18]記載の製剤。
[28]スクロース、Trisが配合され、約8.0のpHレベルを有する凍結乾燥注射可能組成物である、[26]記載の製剤。
[29]約0.9mgの前記製剤、約18.5mgのスクロースおよび約1.1mgのTrisを含み、標的バイアル充填容量が約0.9mLである凍結乾燥注射可能組成物配合物を構成する、[28]記載の製剤。
[30]約0.58mgの前記製剤、約12.0mgのスクロースおよび約0.7mgのTrisを含む凍結乾燥注射可能組成物配合物を構成する、[28]記載の製剤。
[31][26]記載の製剤を提供するためのバイアルおよび前記デバイスで前記製剤をどのように送達するかを説明する使用説明書を備えるキット。
[32]コラーゲン媒介性疾患に苦しむ被験体を処置するために使用される、[18]記載の製剤。
[33]a) ヒストリチクス菌を発酵させる工程;
b) コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを含む粗発酵物を回収する工程;
c) 濾過およびカラムクロマトグラフィーによって粗回収物からコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを精製する工程;および
d) 工程(c)から精製されたコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを約1対1の比で合わせる工程
を含む、[1]記載の製剤の作製方法。
[34]製剤が、コラゲナーゼIについて約13,000〜約23,000 fSRC単位/mgのSRCアッセイ活性、およびコラゲナーゼIIについて約200,000〜約380,000 fGPA単位/mgのGPAアッセイ活性を有する、[33]記載の方法。
[35]少なくとも97面積%の純度を有する、[33]記載の製剤。
[36]少なくとも98面積%の純度を有する、[33]記載の製剤。
[37]細胞バンク調製がフィトンペプトンまたは植物性ペプトンの存在下で行なわれる、[33]記載の方法。
[38]発酵工程が、
a) 第1段階の培地にヒストリチクス菌を接種し、混合物を攪拌する工程;
b) 工程(a)の混合物をインキュベートし、アリコートを得る工程;
c) 第2段階の培地に、工程(b)で得られたアリコートを接種し、混合物を攪拌する工程;
d) 工程(c)の混合物をインキュベートする工程;
e) 第3段階の培地に、工程(d)で得られたアリコートを接種し、攪拌する工程;
f) 工程(e)の混合物をインキュベートする工程;
g) 第4段階の培地に、工程(f)で得られたアリコートを接種し、攪拌する工程;
h) 工程(g)の混合物をインキュベートする工程;ならびに
i) 工程(h)で得られた培養物を濾過によって回収する工程
を含む、[33]記載の方法。
[39]精製工程が、
a) 粗回収物をMustang Qカラムにより濾過する工程;
b) 硫酸アンモニウムを添加する工程;
c) 粗回収物を濾過する工程;
d) 濾液をHICカラムに供する工程;
e) 濾液にロイペプチンを添加する工程;
f) 硫酸アンモニウムを除去し、TFFによりバッファー交換しながらコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIの正しい結合のためのロイペプチンを維持する工程;
g) 工程(f)の混合物を濾過する工程;
h) Q-セファロースHPを用いてコラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIを分離する工程
i) コラゲナーゼIおよびコラゲナーゼIIのTFF濃縮液および配合物を別々に調製する工程;ならびに
j) 0.2μm濾過システムにより濾過する工程
を含む、[33]記載の方法。
[40]製剤が約-70℃の温度で保存される、[33]記載の方法。
[41]薬学的に許容され得る賦形剤をさらに含む、[33]記載の製剤。
[42]滅菌凍結乾燥粉末であり、約5℃の温度で保存される[33]記載の製剤。
[43]スクロース、Trisが配合され、約8.0のpHレベルを有する凍結乾燥注射可能組成物である、[33]記載の製剤。
[44]約0.9mgの前記製剤、約18.5mgのスクロースおよび約1.1mgのTrisを含み、標的バイアル充填容量が約0.9mLである凍結乾燥注射可能組成物配合物を構成する、[43]記載の製剤。
[45]約0.58mgの前記製剤、約12.0mgのスクロースおよび約0.7mgのTrisを含む凍結乾燥注射可能組成物配合物を構成する、[43]記載の製剤。
[46][41]記載の製剤を提供するためのバイアルおよび前記デバイスで前記製剤をどのように送達するかを説明する使用説明書を備えるキット。
[47]製剤がコラーゲン媒介性疾患に苦しむ被験体を処置するために使用される、[33]記載の方法。