特許第6851948号(P6851948)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6851948
(24)【登録日】2021年3月12日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】コア板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/02 20060101AFI20210322BHJP
   H02K 1/04 20060101ALI20210322BHJP
   H02K 1/12 20060101ALI20210322BHJP
   H02K 1/16 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   H02K15/02 D
   H02K1/04 Z
   H02K1/12 A
   H02K1/16 Z
【請求項の数】10
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-195345(P2017-195345)
(22)【出願日】2017年10月5日
(65)【公開番号】特開2019-68704(P2019-68704A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2019年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 哲也
(72)【発明者】
【氏名】谷口 真
(72)【発明者】
【氏名】石塚 敦朗
(72)【発明者】
【氏名】土井 智史
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 恵一
(72)【発明者】
【氏名】藤村 浩志
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 達弥
【審査官】 三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】 特表2017−514440(JP,A)
【文献】 特開2000−209796(JP,A)
【文献】 特開2011−55607(JP,A)
【文献】 特開2011−67027(JP,A)
【文献】 特開2012−90391(JP,A)
【文献】 特許第4890375(JP,B2)
【文献】 特開平7−298569(JP,A)
【文献】 特開2007−7690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 15/02
H02K 1/04
H02K 1/12
H02K 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状のコアバック部(11)と、上記コアバック部から中心(O)に向かって延びる複数のティース部(12)とを有するコア板(1)の製造方法において、
面内の一方向に磁化容易方向(RD)を有し、上記磁化容易方向に張力を付与する絶縁皮膜(31)が表面に形成された方向性電磁鋼板(3)から、上記磁化容易方向と垂直方向(TD)に延びる帯状コアバック部(21)と、上記帯状コアバック部から上記磁化容易方向に平行に延びる複数の平行ティース部(22)とを有するコアシート片(2)を打ち抜く打抜き工程と、
上記平行ティース部を内側にして上記コアシート片を環状に巻回させることにより、上記コアバック部と上記ティース部とを有する上記コア板を得る巻回工程と、
上記コアシート片の上記帯状コアバック部又は上記コア板の上記コアバック部における上記絶縁皮膜を少なくとも部分的に除去する除去工程と、を有するコア板の製造方法。
【請求項2】
上記除去工程後に上記巻回工程を行う、請求項1に記載のコア板の製造方法。
【請求項3】
環状のコアバック部(11)と、上記コアバック部から中心(O)に向かって延びる複数のティース部(12)とを有するコア板(1)の製造方法において、
面内の一方向に磁化容易方向(RD)を有し、上記磁化容易方向に張力を付与する絶縁皮膜(31)が表面に形成された方向性電磁鋼板(3)において、上記磁化容易方向と垂直方向(TD)に延びる帯状コアバック部形成予定領域(32)における上記絶縁皮膜を少なくとも部分的に除去する除去工程と、
上記帯状コアバック部形成予定領域に存在する帯状コアバック部(21)と、上記帯状コアバック部から上記磁化容易方向に平行に延びる複数の平行ティース部(22)とを有するコアシート片(2)を上記方向性電磁鋼板から打ち抜く打抜き工程と、
上記平行ティース部を内側にして上記コアシート片を環状に巻回させることにより、上記コアバック部と上記ティース部とを有する上記コア板を得る巻回工程と、を有するコア板の製造方法。
【請求項4】
上記除去工程においては、レーザピーニング、ショットピーニング、又はウォータジェットピーニングにより、上記絶縁皮膜を除去する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコア板の製造方法。
【請求項5】
上記除去工程においては、上記絶縁皮膜を部分的に除去し、上記絶縁皮膜が除去された皮膜非形成領域(112)と、上記絶縁皮膜が残存する皮膜残存領域(111)を形成する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコア板の製造方法。
【請求項6】
上記除去工程においては、上記皮膜残存領域が上記コアバック部における外周端(119)側に形成され、上記皮膜非形成領域が上記コアバック部における上記ティース部側に形成されるように上記絶縁皮膜を除去する、請求項5に記載のコア板の製造方法。
【請求項7】
上記コアバック部は、該コアバック部から延びる上記ティース部が形成されたティース部伸長領域(11A)と、上記コアバック部から延びる上記ティース部が形成れていないティース部非伸長領域(11B)とを交互に有し、上記除去工程においては、上記ティース部伸長領域に上記皮膜残存領域が形成され、上記ティース部非伸長領域に上記皮膜非形成領域が形成されるように、上記絶縁皮膜を除去する、請求項5又は6に記載のコア板の製造方法。
【請求項8】
上記除去工程においては、上記コアバック部における上記ティース部の根元領域(11C)と上記ティース部非伸長領域との境界領域(11D)に上記皮膜非形成領域が形成されるように、上記絶縁皮膜を除去する、請求項7に記載のコア板の製造方法。
【請求項9】
上記コア板は、上記コアバック部の幅方向における中央線(L1)と上記ティース部の幅方向における中央線(L2)との各交点(P)間の距離θと、上記交点と上記ティース部の先端(121)との間の距離rとがr/θ≦10の関係を満足する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のコア板の製造方法。
【請求項10】
環状のコアバック部(11)と、
上記コアバック部から中心(O)に向かって延びる複数のティース部(12)と、を有し、
上記コアバック部及び上記ティース部は、磁化容易方向(RD)が上記ティース部の伸長方向(L)である方向性電磁鋼板からなり、
上記ティース部は、上記方向性電磁鋼板の上記磁化容易方向に張力を付与する絶縁皮膜(31)を有し、
上記コアバック部は、上記絶縁皮膜を有していない、コア板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状のコアバック部と、このコアバック部から中心に向かって延びる複数のティース部とを有するコア板、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発電機やモータ等の回転電機には、環状のコアバック部とティース部とを有する環状のコア板が複数積層されたステータコアが用いられている。回転電機における例えば小型化、高出力化等の高性能化のためには、電磁鋼板からなるコア板における磁化容易方向の制御が望まれている。具体的には、環状のコア板の中心方向に向かって延びるティース部における磁化容易方向をティース部の伸長方向に揃えることが望まれている。
【0003】
例えば特許文献1には、一方向に磁化容易方向を有する方向性電磁鋼板からコアバック部とティース部とを有する帯状のコアシート片を打ち抜き、コアシート片を環状に巻回させることによりコア板を製造する技術が開示されている(特許文献1)。これにより、ティース部における磁化容易方向がティース部の伸長方向に揃ったコア板の製造が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−92561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、方向性電磁鋼板は、磁化容易方向が一方向に揃っているため、方向性電磁鋼板の磁化容易方向がティース部の伸長方向となるように打ち抜き、次いで巻回によりコア板を製造すると、コアバック部における磁化容易方向もティース部の伸長方向になる。環状のコアバック部における磁化容易方向の本来の所望方向は周方向である。
【0006】
コアバック部においては、周方向と直交する方向、すなわちティース部の伸長方向の磁化容易性が強いと、ステータコアの磁気回路で磁化が困難になり磁気特性が低下する。すなわち、ティース部における磁気特性はよいが、コアバック部における磁気特性が悪くなる。
【0007】
方向性電磁鋼板の表面には、通常、絶縁皮膜が形成されている。この絶縁皮膜により、方向性電磁鋼板には絶縁性が付与される。また、絶縁皮膜により方向性電磁鋼板の磁化容易方向に張力が付与され鉄損が低下する。つまり、絶縁皮膜により磁化容易方向の磁気抵抗が低下し、磁気特性が向上している。
【0008】
しかし、磁化容易方向の磁気抵抗の低下は、ティース部での磁気特性の向上には有利であるが、コアバック部では不利である。コアバック部においては、磁化容易方向と直交する周方向の磁気特性の向上が求められるからである。したがって、コア板全体の磁気特性の向上には更なる改善の余地があり、回転電機における例えば小型化、高出力化等の高性能化のために更なる改良が望まれている。
【0009】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、ティース部及びコアバック部における磁気特性に優れたコア板及びその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、環状のコアバック部(11)と、上記コアバック部から中心(O)に向かって延びる複数のティース部(12)とを有するコア板(1)の製造方法において、
面内の一方向に磁化容易方向(RD)を有し、上記磁化容易方向に張力を付与する絶縁皮膜(31)が表面に形成された方向性電磁鋼板(3)から、上記磁化容易方向と垂直方向(TD)に延びる帯状コアバック部(21)と、上記帯状コアバック部から上記磁化容易方向に平行に延びる複数の平行ティース部(22)とを有するコアシート片(2)を打ち抜く打抜き工程と、
上記平行ティース部を内側にして上記コアシート片を環状に巻回させることにより、上記コアバック部と上記ティース部とを有する上記コア板を得る巻回工程と、
上記コアシート片の上記帯状コアバック部又は上記コア板の上記コアバック部における上記絶縁皮膜を少なくとも部分的に除去する除去工程と、を有するコア板の製造方法にある。
【0011】
本発明の他の態様は、環状のコアバック部(11)と、上記コアバック部から中心(O)に向かって延びる複数のティース部(12)とを有するコア板(1)の製造方法において、
面内の一方向に磁化容易方向(RD)を有し、上記磁化容易方向に張力を付与する絶縁皮膜(31)が表面に形成された方向性電磁鋼板(3)において、上記磁化容易方向と垂直方向(TD)に延びる帯状コアバック部形成予定領域(32)における上記絶縁皮膜を少なくとも部分的に除去する除去工程と、
上記帯状コアバック部形成予定領域に存在する帯状コアバック部(21)と、上記帯状コアバック部から上記磁化容易方向に平行に延びる複数の平行ティース部(22)とを有するコアシート片(2)を上記方向性電磁鋼板から打ち抜く打抜き工程と、
上記平行ティース部を内側にして上記コアシート片を環状に巻回させることにより、上記コアバック部と上記ティース部とを有する上記コア板を得る巻回工程と、を有するコア板の製造方法にある。
【0012】
本発明のさらに他の態様は、環状のコアバック部(11)と、
上記コアバック部から中心(O)に向かって延びる複数のティース部(12)と、を有し、
上記コアバック部及び上記ティース部は、磁化容易方向(RD)が上記ティース部の伸長方向である方向性電磁鋼板からなり、
上記ティース部は、上記方向性電磁鋼板の上記磁化容易方向に張力を付与する絶縁皮膜(31)を有し、
上記コアバック部は、上記絶縁皮膜を有していない、コア板(1)にある。
【発明の効果】
【0013】
上記製造方法においては、方向性電磁鋼板の磁化容易方向に平行に延びる平行ティース部を形成し、平行ティース部を内側にしてコアシート片を環状に巻回させている。そのため、コアバック部及びティース部においては、環状のコア板の中心に向かう方向に磁化容易方向を揃えることができる。そのため、ティース部の磁気抵抗を低下させることができ、ティース部の磁気特性の向上が可能になる。
【0014】
一方、コアバック部における磁化容易方向の本来の所望方向は環状のコアバック部における周方向である。したがって、コアバック部においては、周方向と直交する方向、すなわちティース部の伸長方向の磁化容易性が強いと、周方向の磁気抵抗が高くなり磁化が困難になる。
【0015】
上記製造方法においては、上記除去工程によりコアバック部における絶縁皮膜を少なくとも部分的に除去する。そのため、絶縁皮膜によってコアバック部に付与されていた磁化容易方向の張力を緩和又は除去することが可能になる。したがって、コアバック部においては、ティース部の伸長方向、すなわちコア板の中心方向への磁気特性が弱まり、環状のコア板の周方向への磁気抵抗を低下させて磁気特性を高めることができる。つまり、コアバック部における所望方向である周方向へ磁気特性を高めることができる。一方、ティース部においては、絶縁皮膜を残すことができるため、コア板の中心方向への磁気特性が弱まることを回避できる。
【0016】
したがって、上記製造方法により、ティース部におけるコア板の中心方向への優れた磁気特性を保持したまま、コアバック部における周方向の磁気特性を高めたコア板の製造が可能になる。つまり、コア板全体の磁気特性の向上が可能になる製造方法を提供することができる。
【0017】
また、ティース部に絶縁皮膜を有し、コアバック部に絶縁皮膜を有していないコア板は、ティース部におけるその伸長方向の磁気特性、及びコアバック部におけるその周方向における磁気特性に優れる。つまり、ティース部においては、絶縁皮膜によって方向性電磁鋼板に付与されていた張力が保持されているため、コア板の中心方向への磁化容易性が高いレベルで保持される。さらに、コアバック部においては、絶縁皮膜によって方向性電磁鋼板に付与されていた張力が緩和又は除去されているため、コア板の中心方向への磁化容易性が弱まり、環状のコアバック部の周方向における磁化容易性が高まる。
【0018】
このように、ティース部に絶縁皮膜を有し、コアバック部に絶縁皮膜を有していないコア板は、ティース部及びコアバック部の双方において所望方向への磁気特性に優れる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態1における、(a)方向性電磁鋼板の平面図、(b)コアシート片の平面図、(c)帯状コアバック部における絶縁皮膜が除去されたコアシート片の平面図、(d)絶縁皮膜が除去されたコアバック部を有するコア板の平面図。
図2】実施形態1の方向性電磁鋼板の断面図。
図3】実施形態1における、(a)レーザピーニング装置により絶縁皮膜にレーザを照射する様子を示す模式図、(b)レーザ照射により絶縁皮膜が除去される様子を示す模式図。
図4】実施形態1における、コアバック部における絶縁皮膜が除去されたコア板の拡大平面図。
図5】実施形態1における、コアバック部における絶縁皮膜が部分的に除去されたコア板の拡大平面図。
図6】実施形態1における、コアバック部における各領域を示すコア板の拡大平面図。
図7】実施形態2における、(a)方向性電磁鋼板の平面図、(b)コアシート片の平面図、(c)絶縁皮膜を有するコア板の平面図、(d)絶縁皮膜が除去されたコアバック部を有するコア板の平面図。
図8】実施形態3における、(a)コアバック部形成予定領域における絶縁皮膜が除去された方向性電磁鋼板の平面図、(b)絶縁皮膜が除去された帯状コアバック部を有するコアシート片の平面図、(c)絶縁皮膜が除去されたコアバック部を有するコア板の平面図。
図9】比較形態1における、(a)方向性電磁鋼板の平面図、(b)コアシート片の平面図、(c)絶縁皮膜を有するコア板の平面図。
図10】実験例1における、絶縁皮膜の除去前及び除去後の方向性電磁鋼板の磁化力と磁束密度との関係を示すグラフ。
図11】実験例2における、コアバック部及びティース部の各寸法を示すコア板の拡大平面図。
図12】実験例2における、コア板におけるr/θと磁気抵抗との関係を示す説明図。
図13】変形例1における、帯状に延びる皮膜残存領域が形成されたコアバック部を有するコア板の拡大平面図。
図14】変形例1における、複数の菱形状の皮膜残存領域と帯状に延びる皮膜残存領域とが形成されたコアバック部を有するコア板の拡大平面図。
図15】実施形態4における、ティース部に向かって突出部が延びる凸状の皮膜残存領域が形成されたコアバック部を有するコア板の拡大平面図。
図16】変形例2における、円状の皮膜残存領域が形成されたコアバック部を有するコア板の拡大平面図。
図17】変形例2における、周方向に長軸を有する楕円状の皮膜残存領域が形成されたコアバック部を有するコア板の拡大平面図。
図18】変形例2における、ティース部の伸長方向に長軸を有する楕円状の皮膜残存領域が形成されたコアバック部を有するコア板の拡大平面図。
図19】変形例2における、扇型状の皮膜残存領域が形成されたコアバック部を有するコア板の拡大平面図。
図20】変形例2における、山状の皮膜残存領域が形成されたコアバック部を有するコア板の拡大平面図。
図21】変形例2における、棒状の皮膜残存領域が形成されたコアバック部を有するコア板の拡大平面図。
図22】変形例3における、ティース部伸長領域に棒状の皮膜残存領域が形成されたコアバック部を有するコア板の拡大平面図。
図23】変形例3における、ティース部伸長領域及びティース部非伸長領域に棒状の皮膜残存領域が形成されたコアバック部を有するコア板の拡大平面図。
図24】変形例3における、扇型状の皮膜残存領域が周方向に連続的に形成されたコアバック部を有するコア板の拡大平面図。
図25】変形例3における、半楕円状の皮膜非形成領域が周方向に連続的に形成されたコアバック部を有するコア板の拡大平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態1)
コア板の製造方法に係る実施形態について、図1図6を参照して説明する。本形態においては、打抜き工程後に、除去工程、巻回工程を行って、図1に例示されるように、円環状のコアバック部11と、コアバック部11からその中心Oに向かって延びる多数のティース部12とを有するコア板1を製造する。
【0021】
本形態においては、打ち抜き工程、除去工程、及び巻回工程を行ってコア板1を製造する。各工程の概要を以下に示す。
【0022】
図1(a)及び図1(b)に例示されるように、打抜き工程においては、方向性電磁鋼板3からコアシート片2を打ち抜く。コアシート片は、その磁化容易方向RDと垂直方向TDに延びる帯状コアバック部21と、磁化容易方向RDに平行に延びる多数の平行ティース部22とを有する。
【0023】
除去工程においては、図1(b)及び図1(c)に例示されるように、コアシート片2の帯状コアバック部21における絶縁皮膜31を少なくとも部分的に除去する。巻回工程においては、図1(c)及び図1(d)に例示されるように、平行ティース部22を内側にしてコアシート片2を環状に巻回させる。これにより、コアバック部11とティース部12とを有するコア板1を得る。以下、各工程を詳細に説明する。
【0024】
図1(a)に例示されるように、方向性電磁鋼板3は、面内の一方向に磁化容易方向RDを有する。すなわち、磁化容易方向RDが、板状の電磁鋼板の面内方向において一方向に揃った電磁鋼板が方向性電磁鋼板3である。面内方向は、電磁鋼板の厚み方向Zと垂直な方向である。通常、圧延方向と平行方向が磁化容易方向RDである。したがって、磁化容易方向RDに対する垂直方向TDは、通常、圧延方向と直交方向となる。方向性電磁鋼板3としては、例えば市販品を利用することができ、例えば新日鐵住金株式会社製の23ZH85を用いることができる。
【0025】
図2に例示されるように、方向性電磁鋼板3は、鋼板30とその表面に形成された絶縁皮膜31とを有する。絶縁皮膜31は、方向性電磁鋼板3に絶縁性を付与すると共に、鋼板30の磁化容易方向RDに張力を付与して方向性電磁鋼板3の鉄損を低減する膜である。絶縁皮膜31は、図2に例示されるように例えば鋼板30の両面に形成されるが、片面に形成されていてもよい。
【0026】
絶縁皮膜31が張力を付与する膜であるか否かの判定は、方向性電磁鋼板3の絶縁皮膜31を除去することによって生じる鋼板の反りの有無により行うことができる。あるいは、絶縁皮膜31が除去された方向性電磁鋼板3と絶縁皮膜31が形成された方向性電磁鋼板3との鉄損を比較することにより行うことができる。反りの発生あるいは鉄損の変化のいずれか一方でも満たせば、絶縁皮膜31は張力する膜であるといえる。
【0027】
反りによって判定を行う場合には、方向性電磁鋼板3の片面における絶縁皮膜31を除去し、除去面と反対側の面の絶縁皮膜31は除去せずに残存させる。このとき、鋼板30の除去面側に反りが発生すれば、絶縁皮膜31は張力を付与する膜であるといえる。また、鉄損の変化により判定を行う場合には、絶縁皮膜31を有する方向線電磁鋼板3及び絶縁皮膜31を除去した方向性電磁鋼板3から磁化容易方向RDの鉄損計測試験片をそれぞれ作製し、単板磁気試験器により各鉄損計測試験片の鉄損をそれぞれ計測して比較する。絶縁皮膜31の除去により、磁化容易方向RDにおける鉄損が低下していれば、絶縁皮膜31は張力を付与する膜であるといえる。
【0028】
絶縁皮膜31は、セラミックス、ガラス、金属酸化物等からなる。本明細書において、絶縁皮膜31は、鋼などの金属の表面に形成されうる不動態膜を含まない概念である。絶縁皮膜31は、1層であっても2層以上であってもよい。絶縁皮膜31の厚みは、例えば0.1〜10μmである。絶縁皮膜31が複数層からなる場合、絶縁皮膜31の厚みは各層の合計厚みである。鋼板30の厚みは、例えば0.1〜1.0mmであり、0.15〜0.35mmであることが好ましい。
【0029】
図1(a)及び図1(b)に例示されるように、打抜き工程においては、方向性電磁鋼板3からコアシート片2を打ち抜く。コアシート片2は、例えば帯状コアバック部21が方向性電磁鋼板3の磁化容易方向RDと垂直方向TDに延びるように打ち抜かれる。すなわち、帯状コアバック部21の長尺方向が磁化容易方向RDに対する垂直方向TDに平行になる。一方、平行ティース部22は、方向性電磁鋼板3の磁化容易方向RDに平行に延びるように打ち抜かれる。コアシート片2は、図1(b)に例示されるように櫛状であり、平行ティース部22が櫛歯状に形成されている。
【0030】
なお、本明細書において、垂直方向は、90°の方向だけでなく、外観上90°に近い方向を含む。平行方向についても同様であり、180°又は360°の方向だけでなく、外観上180°又は360°に近い方向を含む。
【0031】
次に、除去工程においては、帯状コアバック部21の絶縁皮膜31を除去する。帯状コアバック部21の絶縁皮膜31は、完全に除去してもよいし、一部を除去しながら残存させてもよい。なお、完全に除去とは、実質的に全ての絶縁皮膜31を除去することをいう。除去工程における操作上回避できない程度の絶縁皮膜31の不可避的な残存は許容されうる。
【0032】
帯状コアバック部21の絶縁皮膜31を完全に除去する場合には、絶縁皮膜31により付与されていた帯状コアバック部21の張力がなくなるか、十分に低くなる。これにより、帯状コアバック部21における磁化容易方向RDの磁気抵抗は高くなるが、垂直方向TDの磁気抵抗が低下する。その結果、コア板1のコアバック部11の周方向Cにおける磁気特性を向上させることができる。
【0033】
一方、帯状コアバック部21の絶縁皮膜31を部分的に除去する場合には、帯状コアバック部21には部分的に絶縁皮膜31が残存することとなるため、コア板1のコアバック部11にも絶縁性を有する絶縁皮膜31を残存させることができる。したがって、複数のコア板1を積層して例えば回転電機用のステータコアを構築したときに、各コア板1におけるコアバック部11間の絶縁性の低下を回避又は緩和することができる。その結果、コアバック部11における渦電流損を抑制できる。さらに、帯状コアバック部21における絶縁皮膜31の部分的な除去によっても、帯状コアバック部21の張力を低下できるため、周方向Cにおける磁気特性を向上させることができる。皮膜除去によるコアバック部11における周方向Cの磁気特性の向上効果は、絶縁皮膜31を完全に除去した場合の方が部分的に除去した場合よりも高くなると考えられる。
【0034】
絶縁皮膜31が鋼板30の両面に形成されている場合には、両面の絶縁皮膜31を除去してもよいし、片方の面における絶縁皮膜31を除去し、もう一方の面における絶縁皮膜31を残してもよい。好ましくは、両面の絶縁皮膜31を除去することがよい。この場合には、絶縁皮膜31を除去することによる上述の磁気特性向上効果がより増大する。
【0035】
絶縁皮膜31の除去方法としては、これらに限定されるわけではないが、レーザピーニング、ショットピーニング、ウォータジェットピーニング、超音波ピーニング、電子ビーム加工、研削加工、酸・アルカリなどの薬剤による除去等が例示される。
【0036】
好ましくは、レーザピーニング、ショットピーニング、ウォータジェットピーニングがよく、より好ましくは、レーザピーニングがよい。この場合には、除去精度が向上し、例えば絶縁皮膜31を部分的に除去する場合に所望形状の皮膜残存領域111を形成し易い。また、レーザピーニング及びショットピーニングの場合には、大気中処理のため錆の発生を防止できる。また、レーザピーニング及びウォータジェットピーニングの場合には、異物混入の原因となる研削メディアを使用する必要がなくなるため、異物混入を抑制できる。さらに、レーザピーニングの場合には、高速処理が可能になり、インライン処理が可能になる。
【0037】
図3(a)及び図3(b)に例示されるように、例えばレーザピーニングにより絶縁皮膜31を除去する場合には、レーザピーニング装置のノズル41からレーザ40をコアシート片2における帯状コアバック部21に照射する。レーザ40の照射により、コアシート片2の帯状コアバック部21の絶縁皮膜31が除去される。ノズル41と帯状コアバック部21との相対位置を変えることにより、照射位置を変えることができる。これにより、帯状コアバック部21の絶縁皮膜31を全て除去することもできるし、部分的に除去することもできる。
【0038】
除去工程においては、平行ティース部22の絶縁皮膜31は除去せずに、残存させることが好ましい。この場合には、絶縁皮膜31により付与されている平行ティース部22の張力が保持されるため、平行ティース部22の磁化容易方向RDにおける磁気抵抗は低い状態を維持できる。
【0039】
次に、巻回工程を行うことができる。図1(c)における両端から下方向に延びる2つの矢印は、巻回工程において巻回させる向きの例示である。図1(c)及び図1(d)に例示されるように、巻回工程においては、平行ティース部22を内側にしてコアシート片2を環状に巻回させる巻回加工を行う。コアシート片2をカールさせるため、巻回加工のことをカーリング加工ということもできる。
【0040】
巻回工程においては、帯状コアバック部21が例えば円環状のコアバック部11を形成し、平行ティース部22がティース部12を形成する。そして、各ティース部12の伸長方向Lが円環状のコアバック部11の中心Oを向くように加工される。
【0041】
本形態のように、巻回工程は、除去工程後に行うことが好ましい。この場合には、巻回工程において絶縁皮膜31が破砕することを抑制又は防止することが可能になる。つまり、巻回工程においては、巻回加工時に帯状コアバック部21の外周側に引張伸び生じて、内周側に圧縮歪が生じる。このとき、帯状コアバック部21の外周側や内周側に絶縁皮膜31が存在する場合には、絶縁皮膜31が破砕して破砕粉が発生するおそれがある。上記のように除去工程において、帯状コアバック部21における絶縁皮膜31を完全に除去したり、外周側や内周側の絶縁皮膜31を部分的に除去したりすることにより、巻回工程における破砕粉の発生を回避又は抑制できる。その結果、破砕粉によって巻回加工機に不具合が発生し、巻回途中のコアシート片2が加工機内でつまったり、コア板1が傷つくことを防止することが可能になる。
【0042】
巻回加工後には、焼鈍工程を行うことができる。焼鈍工程においては、コア板1を加熱する。焼鈍により、コア板1の再結晶化が可能になる。焼鈍工程における加熱温度は、素材の組成等に応じて適宜調整できる。加熱温度は例えば700〜1000℃の範囲で調整することができる。焼鈍工程は任意の工程であり、任意のタイミングで行うことが可能である。焼鈍工程は、巻回工程の前に行うことも可能であり、例えば除去工程前又は除去工程後のコアシート片2に対して焼鈍を行うことも可能である。
【0043】
以上のようにして、コア板1を製造することができる。除去工程にて帯状コアバック部21の絶縁皮膜31を完全に除去した場合には、図4に例示されるようにコアバック部11に絶縁皮膜31を有していないコア板1を得ることができる。一方、除去工程にて帯状コアバック部21の絶縁皮膜31を部分的に除去した場合には、図5に例示されるように、コアバック部11に絶縁皮膜31が除去された皮膜非形成領域112と、絶縁皮膜31が残存する皮膜残存領域111とが形成されたコア板1を得ることができる。図5における皮膜非形成領域112及び皮膜残存領域111の形成パターンは一例であり、例えば後述の実施形態4、変形例1〜4に示されるように変更可能である。
【0044】
本形態の製造方法においては、図1(a)〜(d)に例示されるように、方向性電磁鋼板3からコアシート片2を打ち抜く。コアシート片2は、磁化容易方向RDに平行に延びる平行ティース部22と、磁化容易方向とは垂直方向TDに延びる帯状のコアバック部とを有する。次いで、平行ティース部22を内側にしてコアシート片2を環状に巻回させている。そのため、上記製造方法によって得られるコア板1のティース部12においては、図4及び図5に例示されるように、ティース部12の伸長方向L、すなわち、円環状のコア板1の中心Oに向かう方向に磁化容易方向RDを揃えることができる。その結果、ティース部12の磁気特性を高めることができる。なお、図4では磁化容易方向RDを破線矢印にて示すが、図5では磁化容易方向は図4と同様であるため省略している。
【0045】
一方、コアバック部11における磁化容易方向RDの本来の所望方向は環状のコアバック部11における周方向Cである。したがって、コアバック部11においては、周方向Cと直交する方向、すなわちティース部12の伸長方向Lの磁化容易性が強いと、周方向Cの磁気抵抗が高くなり磁化が困難になる。つまり、コアバック部11の磁気特性が低下する。
【0046】
本形態の製造方法においては、図1(b)及び図1(c)に例示されるように、除去工程によりコアバック部11における絶縁皮膜31を少なくとも部分的に除去する。そのため、絶縁皮膜31によってコアバック部11に付与されていた磁化容易方向RDの張力を緩和又は除去することが可能になる。
【0047】
したがって、コアバック部11においては、ティース部12の伸長方向L、すなわちコア板1の中心O方向への磁気特性が弱まり、環状のコア板1の周方向Cへの磁気抵抗を低下させて磁気特性を高めることができる。一方、ティース部12においては、絶縁皮膜31を残すことができるため、コア板1の中心O方向への磁気特性が弱まることを回避できる。
【0048】
このように、上記製造方法により、ティース部12におけるコア板1の中心O方向への優れた磁気特性を保持したまま、コアバック部11における周方向Cの磁気特性を高めたコア板1の製造が可能になる。つまり、コア板全体の磁気特性の向上が可能になる。
【0049】
また、図4に例示されるように、ティース部12に絶縁皮膜31を有し、コアバック部11に絶縁皮膜31を有していないコア板1は、ティース部12におけるその伸長方向Lの磁気特性、及びコアバック部11におけるその周方向Cにおける磁気特性に優れる。つまり、ティース部12においては、絶縁皮膜31によって方向性電磁鋼板3に付与される張力が保持されているため、コア板1の中心O方向への磁化容易性が高いレベルで保持される。一方、コアバック部11においては、絶縁皮膜31によって方向性電磁鋼板3に付与されていた張力が緩和又は除去されているため、コア板1の中心O方向への磁化容易性が弱まり、環状のコアバック部11の周方向Cにおける磁化容易性が高まる。
【0050】
上述の「コアバック部に絶縁皮膜を有していない」とは、コアバック部11の実質的に全ての領域に絶縁皮膜31が形成されていない状態のことをいう。ただし、上述の除去工程における操作上回避できい程度の絶縁皮膜31の不可避的な残存は許容されうる。このような残存は通常微小なものである。
【0051】
ティース部12は、実質的にその全体が絶縁皮膜31を有することが好ましい。この場合には、ティース部12においては絶縁皮膜31によって磁化容易方向RDの張力が十分に保持される。したがって、ティース部12は、その伸長方向Lにおける磁気抵抗を十分に低くできる。
【0052】
上述の「ティース部は、実質的にその全体が絶縁皮膜を有する」とは、ティース部の実質的に全ての領域に絶縁皮膜が形成されている状態のことをいう。ただし、例えば上述の巻回工程における操作上回避できない程度の絶縁皮膜31の不可避的な剥離は許容されうる。このような剥がれは通常微小なものである。
【0053】
このように、図4に例示されるようにティース部12に絶縁皮膜31を有し、コアバック部11に絶縁皮膜31を有していないコア板1は、ティース部12及びコアバック部11の双方において所望方向への磁気特性に優れる。つまり、ティース部12は、その伸長方向Lにおける磁気抵抗が十分に低く、優れた磁気特性を示す。また、コアバック部11は、周方向Cにおける磁気抵抗が低下しており、優れた磁気特性を示す。
【0054】
除去工程において、コアバック部11の皮膜を部分的に除去した場合には、図5に例示されるように、コアバック部11には、絶縁皮膜31が除去された皮膜非形成領域112と、絶縁皮膜31が残存する皮膜残存領域111とが形成される。皮膜非形成領域112と皮膜残存領域111との好ましい形成パターンについて、図5及び図6を対比して以下に説明する。
【0055】
図6に示されるように、コアバック部11は、ティース部伸長領域11Aとティース部非伸長領域11Bとを交互に有する。ティース部伸長領域のことを以下適宜「伸長領域」といい、ティース部非伸長領域のことを以下適宜「非伸長領域」という。
【0056】
伸長領域11Aは、コアバック部11から延びるティース部12が形成されたコアバック部11における領域である。一方、非伸長領域11Bは、コアバック部11から延びるティース部12が形成れていないコアバック部11における領域である。図6においては、伸長領域11A及び非伸長領域11Bを破線で囲まれた領域で示しているが、破線同士や破線とコア板1の外周端119とが重なってしまうため、実際よりも若干小さい寸法で示している。
【0057】
図5の例示においては、コアバック部11の伸長領域11Aに菱形状の皮膜残存領域111がそれぞれ形成されている。同図に例示されるように、皮膜残存領域111はコアバック部11の幅W1の中央に形成することができる。
【0058】
図5及び図6に例示されるように、コアバック部11の伸長領域11Aに皮膜残存領域111が形成され、コアバック部11の非伸長領域11Bに皮膜非形成領域112がそれぞれ形成されるように、除去工程にて絶縁皮膜31を除去することが好ましい。この場合には、コアバック部11の非伸長領域11Bにおける張力が緩和又は除去され、少なくとも非伸長領域11Bにおける周方向Cの磁気抵抗を低下させて磁気特性を向上させることができる。その結果、図5に例示されるように、コア板1において隣り合う一対のティース部12とコアバック部11との間に、破線矢印で示される磁気回路が形成され易くなる。非伸長領域11Bの全体に皮膜非形成領域112を形成してもよいし、非伸長領域11Bの一部に皮膜非形成領域112を形成してもよい。
【0059】
一方、図5及び図6に例示されるように、伸長領域11Aに皮膜残存領域111を形成することにより、複数のコア板1を積層して例えばステータコアを構築した場合に、コア板1のコアバック部11間の絶縁性を高めることができる。具体的には、コアバック部11の伸長領域11A間の絶縁性を高めることができる。これにより、渦電流損を抑制できる。伸長領域11Aの全体に皮膜残存領域111を形成してもよいし、伸長領域11Aの一部に皮膜非形成領域112を形成してもよい。
【0060】
さらに、コアバック部11における根元領域11Cと非伸長領域11Bとの境界領域11Dに皮膜非形成領域112が形成されるように、除去工程にて絶縁皮膜31を除去することが好ましい。この場合には、さらに境界領域11Dにおける張力が緩和又は除去され、少なくとも境界領域11Dにおける周方向Cの磁気抵抗を低下させて磁気特性を向上させることができる。その結果、コア板1において隣り合う一対のティース部とコアバック部11との間に図5に示される破線矢印で示される磁気回路がより形成され易くなる。
【0061】
図6に示されるように、根元領域11Cは、コアバック部11から延びるティース部12の根元に位置するコアバック部11内の領域である。根元領域11Cは、伸長領域11Aに含まれる領域であって、コアバック部11の幅W1を二等分する中央線L1よりもティース部12側に位置する領域である。
【0062】
境界領域11Dは、根元領域11Cと非伸長領域11Bとの境界を挟む領域である。境界領域11Dは、コアバック部11の幅W1を二等分する中央線L1よりもティース部12側にある領域である。境界領域11Dは、ティース部の幅W2を二等分する線L2よりも非伸長領域11B側にあり、非伸長領域11Bをコアバック部11の幅方向に二等分する線L3よりも伸長領域11A側にある。境界領域11Dは、図6において破線ハッチングで表される領域である。境界領域11Dの全体に皮膜非形成領域112が形成されていてもよいし、境界領域11Dの一部に皮膜非形成領域112が形成されていてもよい。
【0063】
以上のように、本形態の製造方法によれば、ティース部12におけるコア板1の中心O方向への優れた磁気特性を保持したまま、コアバック部11における周方向Cの磁気特性を高めたコア板1の製造が可能になる。その結果、コア板全体の磁気特性の向上が可能になる。また、ティース部12に絶縁皮膜31を有し、コアバック部11に絶縁皮膜31を有していないコア板1は、ティース部12及びコアバック部11の双方において所望方向への磁気特性に優れる。
【0064】
(実施形態2)
本形態においては、打抜き工程後に、巻回工程、除去工程を順次行ってコア板1を製造する。なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0065】
図7(a)及び図7(b)に例示されるように、まず、実施形態1と同様にして方向性電磁鋼板3の打ち抜き加工を行うことにより、帯状コアバック部21と平行ティース部22とを有するコアシート片2を得る。次いで、巻回工程を行い、図7(b)及び図7(c)に例示されるように、平行ティース部22を内側にしてコアシート片2を環状に巻回させる。これにより、コアバック部11とティース部12とを有するコア板1を得る。図7(c)に例示されるように、巻回工程後のコア板1は、コアバック部11及びティース部12の両方に絶縁皮膜31が形成されている。
【0066】
次に、除去工程を行い、図7(d)に例示されるようにコア板1のコアバック部11における絶縁皮膜31を除去する。このとき、ティース部12における絶縁皮膜31は残存させておくことが好ましい。
【0067】
各工程は、具体的には実施形態1と同様にして行うことができる。打ち抜き工程後には焼鈍工程を行ってもよい。このようにして、実施形態1と同様のコア板1を得ることができる。その他は、実施形態1と同様にすることができ、実施形態1と同様の効果が得られる。
【0068】
(実施形態3)
本実施形態においては、除去工程後に、打抜き工程、巻回工程を順次行って実施形態1と同様のコア板1を製造する。
【0069】
図8(a)に例示されるように、まず、方向性電磁鋼板3において、帯状コアバック部形成予定領域32を決定する。帯状コアバック部形成予定領域32は、打抜き工程後に得られるコアシート片2における帯状コアバック部21と同形状であるが、実際に打ち抜き加工が施される前の方向性電磁鋼板3上の仮想領域である。換言すれば、帯状コアバック部形成予定領域32は、方向性電磁鋼板3上における設計図のようなものであるといえる。
【0070】
帯状コアバック部形成予定領域32の決定の際には、打抜き工程後に平行ティース部22となる平行ティース部形成予定領域33を決定しておくこともでき、打抜き工程後にコアシート片2となるコアシート片形成予定領域34を決定しておくこともできる。方向性電磁鋼板3における磁化容易方向RDと垂直方向TDに延びる帯状コアバック部形成予定領域32を少なくとも決定しておけばよい。
【0071】
除去工程においては、図8(a)に例示されるように、方向性電磁鋼板3の帯状コアバック部形成予定領域32における絶縁皮膜31を少なくとも部分的に除去する。平行ティース部形成予定領域33における絶縁皮膜31は残存させておくことが好ましい。
【0072】
次いで、打ち抜き加工を行うことにより、図8(b)に例示されるように、帯状コアバック部21と平行ティース部22とを有するコアシート片2を得る。打ち抜きは、予め決定した帯状コアバック部形成予定領域32から帯状コアバック部21が形成されるように行う。
【0073】
すなわち、帯状コアバック部21は、方向性電磁鋼板3に存在する帯状コアバック部形成予定領域32から打抜き加工によって形成される。このようにして得られたコアシート片2は、すでに絶縁皮膜31が少なくとも部分的に除去された帯状コアバック部21を有する。
【0074】
次いで、巻回工程を行い、図8(b)に例示されるように、平行ティース部22を内側にしてコアシート片2を環状に巻回させる。これにより、図8(c)に例示されるように、実施形態1と同様のコア板1を得ることができる。打ち抜き工程後には焼鈍工程を行ってもよい。
【0075】
各工程は、具体的には実施形態1と同様にして行うことができる。本実施形態のように、打抜き工程の前に除去工程を行う場合には、例えばトランスファープレス型と呼ばれるプレス機を用いることによって、除去工程と打ち抜き工程とを同じプレス機により連続的に行うことが可能になる。すなわち、図8(a)及び図8(b)に例示されるように、帯状コアバック部形成予定領域32における絶縁皮膜31の除去と、コアシート片2の打ち抜き加工とを、自動加工により連続で行うことができる。そのため、除去工程及び打抜き工程の高速化が可能になる。なお、その他は、実施形態1と同様にすることができ、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0076】
(比較形態1)
本形態においては、絶縁皮膜31を有する方向性電磁鋼板3からコアシート片2を打ち抜き、このコアシート片2を巻回させることにより、実施形態1と同形状のコア板を製造する。具体的には、図9(a)及び図9(b)に例示されるように、まず、実施形態1と同様にして、打抜き工程を行うことにより、方向性電磁鋼板3から、帯状コアバック部21と平行ティース部22とを有するコアシート片2を作製する。コアシート片2は実施形態1と同様のものである。
【0077】
次に、巻回工程を行い、図9(b)に例示されるように、平行ティース部22を内側にしてコアシート片2を環状に巻回させる。これにより、図9(c)に例示されるように、コアバック部81とティース部82とを有するコア板8を得る。コア板8のコアバック部81及びティース部82はいずれも表面に絶縁皮膜31を有する
【0078】
本形態では、コアバック部81が実施形態1〜3のような除去工程を経ておらず、絶縁皮膜31を有している。したがって、絶縁皮膜31によってコアバック部に81はその磁化容易方向RDにおける張力が保持される。これにより、コアバック部81の磁化容易方向RDは、ティース部82と同様にコア板8の中心Oへ向かう方向となる。
【0079】
このようなコア板8においては、ティース部82の磁化容易方向RDは、所望の中心方向であるため、磁気特性に優れが、コアバック部81においては、磁化容易方向RDが所望の周方向Cと直交する方向になる。すなわち、コア板8は、コアバック部81の磁化が困難となり、磁気特性上好ましくない。
【0080】
(実験例1)
本例においては、絶縁皮膜31を有する方向性電磁鋼板3の試験片について、絶縁皮膜31の除去前後における磁気特性を比較評価する。まず、実施形態1と同様の方向性電磁鋼板3から縦55mm、横55mmの試験片を切り出した。試験片の厚みは0.23mmである。次いで、レーザピーニングにより、試験片の絶縁皮膜31を全て除去した。このようにして、コアバック部のモデルとなる試験片を得た。
【0081】
次に、試験片の磁気特性の評価を行った。磁気特性の評価は、試験片の形状が上記の通り55mm×55mmの正方形である点を除いて、JIS C 2556に規定の「電磁鋼板単板磁気特性試験方法」に準拠して、磁化力と磁束密度を測定することにより行った。磁化力は磁界の強さのことである。測定には、メトロン技研(株)製の磁気特性検査装置SK300を用いた。
【0082】
図10に、絶縁皮膜31を除去した試験片について磁化容易方向RDに対する垂直方向TDにおける磁化力と磁束密度との関係を示す。測定条件は、周波数F:50Hz、磁化力H:10〜1000A/mである。また、絶縁皮膜31を除去する前の状態、つまり、絶縁皮膜31を有する試験片については、磁化容易方向RDにおける磁化力と磁束密度との関係、及び垂直方向TDにおける磁化力と磁束密度との関係を図10に示す。
【0083】
図10より知られるように、絶縁皮膜31を有する試験片における磁化容易方向RDの磁束密度は、磁化力の増大と共に急激に増大する。つまり、透磁率が非常に高く、磁気抵抗が非常に低い。なお、透磁率は、図10の各グラフに原点から接線を引いたときにおける傾きで表される。磁気抵抗は透磁率の逆数である。
【0084】
一方、絶縁皮膜31を有する試験片における磁化容易方向RDと垂直方向TDの磁束密度は、磁化力が増大してもその増大幅が小さい。つまり、透磁率が低く、磁気抵抗が高い。
【0085】
絶縁皮膜31が除去され、絶縁皮膜31を有していない試験片においては、絶縁皮膜31を有する試験片に比べて垂直方向TDの磁束密度の増大幅が向上している。つまり、透磁率が向上しており、磁気抵抗が低下している。このことは、絶縁皮膜31を除去して張力を緩和又は除去することにより、磁気抵抗を低下させて垂直方向TDにおける磁気特性が向上することを意味する。
【0086】
つまり、本例によれば、上述の実施形態のように、コアバック部における絶縁皮膜31を除去することにより、コアバック部における磁化容易方向RDの所望の方向である周方向Cにおける磁気特性が向上することがわかる。
【0087】
(実験例2)
本例は、コアバック部に絶縁皮膜を有していないコア板と、コアバック部に絶縁皮膜を有するコア板について、磁気特性を比較する例である。具体的には、磁気特性と、各ティース部12の間隔やティース部12の長さとの関係について調べる。
【0088】
まず、実施形態1と同様にして、コアバック部11に絶縁皮膜31を有していないコア板1を作製した。また、比較用として、比較形態1と同様にしてコアバック部11に絶縁皮膜31を有するコア板1を作製した。これらのコア板1は、いずれもティース部12に絶縁皮膜31を有する。
【0089】
図11に例示されるように、コア板1には、コアバック部11の幅W1における中央線L1とティース部12の幅W2における中央線L2との交点Pが複数存在する。中央線L1はコアバック部11の幅W1を二等分する線であり、中央線L2はティース部12の幅W2を二等分する線である。
【0090】
本例においては、各交点P間の距離θに対する交点Pからティース部12の先端121までの距離rの比r/θを変更し、複数のコア板1を作製した。r/θが異なり、コアバック部11に絶縁皮膜31を有していない複数のコア板1を実施例とする。一方、r/θが異なり、コアバック部に絶縁皮膜31を有する複数のコア板8を比較例とする。なお、θはモータにおける極数に関係し、θが大きくなると極数は小さくなり、θが小さくなると極数は大きくなる。
【0091】
実施例及び比較例のコア板1、8について、コアバック部11、81における周方向C、つまり、垂直方向TDにおける磁気抵抗を測定した。磁気抵抗の測定方法は実験例1の通りである。その結果を図12に示す。
【0092】
図12より知られるように、コアバック部11に絶縁皮膜31を有していない実施例は、コアバック部11における絶縁皮膜31を有する比較例に比べて垂直方向TDにおける磁気抵抗が低下しており、磁気特性に優れている。さらにr/θ≦10の場合には、絶縁皮膜31を除去することによる磁気特性の向上効果が顕著になっている。この効果をさらに顕著なものにするという観点から、r/θ≦5であることがより好ましく、r/θ≦4であることがさらに好ましい。
【0093】
一方、環状のコア板1の中心O方向に向かって延びるティース部12における磁化容易方向RDをティース部12の伸長方向Lに揃えコア板1の磁気回路抵抗を低減するという観点からは、r/θ≧0.1であることが好ましく、r/θ≧1.0であることがより好ましい。
【0094】
(変形例1)
本例では、除去工程において形成される皮膜残存領域111と皮膜非形成領域112の変形例について説明する。本例においては、コアバック部11の幅W1の中央に形成される皮膜残存領域111及び皮非形成領域112のパターンを例示する。
【0095】
図13に例示されるように、コアバック部11の周方向Cに延びる帯状の皮膜残存領域111を形成することができる。この場合には、皮膜残存領域111よりもティース部12側及び外周端119側にそれぞれ帯状に延びる皮膜非形成領域112が形成される。コアバック部11の幅方向における皮膜残存領域111の幅は適宜調整可能である。
【0096】
また、図6図14に例示されるように、コアバック部11の伸長領域11Aに菱形状の皮膜残存領域111をそれぞれ形成し、これらの菱形状の皮膜残存領域111を繋ぐと共に周方向Cに延びる帯状の皮膜残存領域111を形成することができる。この場合に、皮膜残存領域111よりもティース部12側及び外周端119側に皮膜非形成領域112が形成される。菱形状の皮膜残存領域111の大きさや、帯状の皮膜残存領域111の幅は適宜調整可能である。
【0097】
本例のように皮膜残存領域111及び皮膜非形成領域112を形成しても、実施形態1と同様に、コアバック部11の伸長領域11Aに皮膜残存領域111が形成され、コアバック部11の非伸長領域11Bに皮膜非形成領域112が形成されている。さらに境界領域11Dに皮膜非形成領域112が形成されている。そのため、コア板1において隣り合う一対のティース部12とコアバック部11との間に磁気回路が形成され易くなる。
【0098】
(実施形態4)
本形態においては、皮膜残存領域111がコアバック部11における外周端119側に形成され、皮膜非形成領域112がコアバック部11におけるティース部12側に形成されるように除去工程にて絶縁皮膜31を除去する。除去工程は、実施形態1と同様に各種ピーニング法などにより行うことができる。
【0099】
図15に例示されるように、皮膜残存領域111をコアバック部11の外周端119側に沿って形成できる。この場合には、複数のコア板1を積層して例えば回転電機用のステータコアを構築したときに、各コア板1におけるコアバック部11間の絶縁性の低下をより回避又は緩和し易くなる。その結果、コアバック部11における渦電流損をより抑制できる。コアバック部11の絶縁性の低下は、コアバック部11の外周端119において起こり易いが、皮膜残存領域111をコアバック部11の外周端119側に形成することにより、絶縁性の低下を抑制できるからである。
【0100】
コアバック部11において皮膜残存領域111よりもティース部12側には、皮膜非形成領域112が形成される。本形態のように皮膜残存領域111及び皮膜非形成領域112を形成しても、実施形態1と同様に、コアバック部11の伸長領域11Aに皮膜残存領域111が形成され、コアバック部11の非伸長領域11Bに皮膜非形成領域112が形成されている。さらに境界領域11Dに皮膜非形成領域112が形成されている。そのため、コア板1において隣り合う一対のティース部12とコアバック部11との間に磁気回路が形成され易くなる。その他は、実施形態1と同様にすることができ、実施形態1と同様の効果を示すことができる。
【0101】
なお、本形態においては、コアバック部11の外周端119に沿って形成されると共に、ティース部12に向かって突出部が延びる凸状の皮膜残存領域111を形成した。凸状の皮膜残存領域111における突出部の高さ、外周端119に沿って延びる皮膜残存領域111の周方向Cにおける幅は、適宜調整することができる。
【0102】
(変形例2)
本例においては、コアバック部11の外周端119側に形成される皮膜残存領域111の形成パターンを例示する。
【0103】
図16図18に例示されるように、例えば、円状の皮膜残存領域111をコアバック部11の外周端119に形成することができる。図16に例示されるように真円状であってもよいし、図17に例示されるように周方向Cに長軸を有する楕円状であってもよいし、図18に例示されるようにコアバック部11の幅方向に長軸を有する楕円状であってもよい。
【0104】
また、図19に例示されるように、例えばコアバック部11の外周端119からティース部12側に向かって延びる扇型状の皮膜残存領域111を形成することができる。
【0105】
また、図20に例示されるように、例えばコアバック部11の外周端119からティース部12側に向かって延びる山状の皮膜残存領域111を形成することができる。
【0106】
また、図21に例示されるように、例えばコアバック部11の外周端119からティース部12側に向かって延びる棒状の皮膜残存領域111を形成することができる。
【0107】
本例においては、コアバック部11の外周端119から延びる皮膜残存領域111の高さ、皮膜残存領域111の周方向Cの幅などは適宜変更可能であるが、図16図21のように、ティース部12の根元には皮膜非形成領域112を形成することが好ましい。この場合には、コア板1において隣り合う一対のティース部12とコアバック部11との間に磁気回路が形成され易くなる。
【0108】
(変形例3)
本例においては、コアバック部11の外周端119からティース部12の根元まで伸びる皮膜残存領域111の形成パターンを例示する。ティース部12の根元はコアバック部11とティース部12との境界部分である。
【0109】
図22及び図23に例示されるように、例えばコアバック部11の外周端119からティース部12の根元まで延びる棒状の皮膜残存領域111を形成することができる。図22のように、伸長領域11Aにそれぞれ1つずつ棒状の皮膜残存領域111を形成してもよいし、図23のように、伸長領域11A及び非伸長領域11Bに多数の棒状の皮膜残存領域111を例えば等間隔に形成してもよい。間隔は一定にする必要はなく、変更することも可能である。棒状の皮膜残存領域111を多数形成する場合には、各皮膜残存領域111の周方向Cの幅を小さくすることが好ましい。この場合には、除去工程後に巻回工程を行う際に、巻回工程において絶縁皮膜31の破砕粉がより発生し難くなる。
【0110】
また、図24に例示されるように、例えばコアバック部11の外周端119からティース部12の根元まで延びる扇型状の皮膜残存領域111を形成することができる。図24の例示においては、扇型の弧の両端が非伸長領域11Bに至り、皮膜残存領域111が周方向Cに連続的に連なった例を示している。この場合には、コア板1において隣り合う一対のティース部12とコアバック部11との間に磁気回路を維持しながらも、皮膜残存領域111の面積を大きくすることができるため、積層時におけるコア板1間の絶縁性をより高めることができる。
【0111】
また、図24に例示される扇型の皮膜残存領域111の中心角を挟む2直線を、図25に例示されるように皮膜残存領域111の内側に向かって弧を描くようにカーブさせてもよい。この場合には、図24に例示され扇型の皮膜残存領域111よりも、非伸長領域11B及び境界領域11Dに形成される皮膜非形成領域112が大きくなる。その結果、コア板1において隣り合う一対のティース部12とコアバック部11との間に磁気回路がより形成されやすくなる。つまり、コアバック部における周方向Cの磁気特性がより向上する。
【0112】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0113】
1 コア板
11 コアバック部
12 ティース部
2 コアシート片
21 帯状コアバック部
22 平行ティース部
3 方向性電磁鋼板
31 絶縁皮膜
図1
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