特許第6851985号(P6851985)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6851985車両用画像取得装置、制御装置、車両用画像取得装置または制御装置を備えた車両および車両用画像取得方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6851985
(24)【登録日】2021年3月12日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】車両用画像取得装置、制御装置、車両用画像取得装置または制御装置を備えた車両および車両用画像取得方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/484 20060101AFI20210322BHJP
   G01S 7/487 20060101ALI20210322BHJP
   G01S 17/18 20200101ALI20210322BHJP
   G01S 17/894 20200101ALI20210322BHJP
   G01S 17/931 20200101ALI20210322BHJP
【FI】
   G01S7/484
   G01S7/487
   G01S17/18
   G01S17/894
   G01S17/931
【請求項の数】9
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-557836(P2017-557836)
(86)(22)【出願日】2016年12月1日
(86)【国際出願番号】JP2016085814
(87)【国際公開番号】WO2017110417
(87)【国際公開日】20170629
【審査請求日】2019年9月24日
(31)【優先権主張番号】特願2015-248826(P2015-248826)
(32)【優先日】2015年12月21日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-248827(P2015-248827)
(32)【優先日】2015年12月21日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-248828(P2015-248828)
(32)【優先日】2015年12月21日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】眞野 光治
(72)【発明者】
【氏名】難波 高範
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 修
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 昌康
(72)【発明者】
【氏名】東 祐司
【審査官】 中村 説志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−066221(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0058038(US,A1)
【文献】 特開2013−096905(JP,A)
【文献】 特開平09−257927(JP,A)
【文献】 特開平09−274076(JP,A)
【文献】 実開昭59−117981(JP,U)
【文献】 特開2008−298741(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0155513(US,A1)
【文献】 特開平04−215089(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/178376(WO,A1)
【文献】 特開2010−054461(JP,A)
【文献】 特開2004−157061(JP,A)
【文献】 特開2009−257981(JP,A)
【文献】 特開2009−031165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48− 7/51
G01S17/00−17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向にパルス光を発光する発光部と、
ターゲット距離領域に応じて設定される撮像タイミングで前記ターゲット距離領域から帰ってくる反射光を撮像し、ターゲット距離領域の異なる複数の撮像画像を取得する画像取得部と、
前記パルス光の発光周期および前記撮像タイミングを制御するタイミング制御部と、
を備え、
前記タイミング制御部は、前記発光周期を示す発光インターバル時間が、前記発光部の発光開始時点から前記画像取得部の撮像開始時点までの時間であるディレイ時間であって前記ターゲット距離領域のうち前記反射光を撮像可能な最長距離領域を撮像するために必要なディレイ時間よりも長くなるように前記発光インターバル時間を設定し、
前記最長距離領域を撮像するために必要なディレイ時間は、前記パルス光の発光強度および拡散角と前記画像取得部の感度とから定められ、
前記発光部は、所望のターゲット距離のひとつ前のターゲット距離に対する発光による反射光を撮像することのないような発光強度で前記パルス光を発光するとともに、前記パルス光の発光時間を前記ターゲット距離領域が車両から離れるにつれて徐々に高くなるようにリニアに変化させることで、前記ターゲット距離領域のうち、近距離領域の撮影時ほど前記発光時間を短くし、遠距離領域の撮影時ほど前記発光時間を長くする、車両用画像取得装置。
【請求項2】
前記パルス光は、前記所望のターゲット距離に対する発光による反射光のみを前記画像取得部で撮像可能な発光強度で照射される、請求項1に記載の車両用画像取得装置。
【請求項3】
前記発光部は、前記ターゲット距離領域のうち、近距離領域の撮影時ほど前記発光強度を弱くし、遠距離領域の撮影時ほど前記発光強度を強くする、請求項1または2に記載の車両用画像取得装置。
【請求項4】
前記画像取得部は、前記複数の撮像画像から前記ターゲット距離領域に対する暗度を判定して視認不能なターゲット距離領域を測定することにより視界情報を取得する、請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用画像取得装置。
【請求項5】
所定方向にパルス光を発光する発光部と、ターゲット距離領域に応じて設定される撮像タイミングで前記ターゲット距離領域から帰ってくる反射光を撮像してターゲット距離領域の異なる複数の撮像画像を取得する画像取得部とを備えた車両用画像取得装置を制御するための制御装置であって、
前記パルス光の発光周期を示す発光インターバル時間が、前記発光部の発光開始時点から前記画像取得部の撮像開始時点までの時間であるディレイ時間であって前記ターゲット距離領域のうち前記反射光を撮像可能な最長距離領域を撮像するために必要なディレイ時間よりも長くなるように前記発光インターバル時間を設定し、
前記最長距離領域を撮像するために必要なディレイ時間は、前記パルス光の発光強度および拡散角と前記画像取得部の感度とから定められ、
所望のターゲット距離のひとつ前のターゲット距離に対する発光による反射光を撮像することのないような発光強度で前記発光部から前記パルス光を発光させ
前記パルス光の発光時間を前記ターゲット距離領域が車両から離れるにつれて徐々に長くなるようにリニアに変化させることで、前記ターゲット距離領域のうち、近距離領域の撮影時ほど前記発光時間を短くし、遠距離領域の撮影時ほど前記発光時間を長くする、制御装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用画像取得装置、または請求項5に記載の制御装置を備えている、車両。
【請求項7】
撮像タイミングを変化させながら所定方向に発光されるパルス光の反射光を撮像することで、ターゲット距離領域の異なる複数の撮像画像を取得する、車両用画像取得方法であって、
前記パルス光の発光周期を示す発光インターバル時間が、前記パルス光の発光開始時点から前記反射光の撮像開始時点までの時間であるディレイ時間であって前記ターゲット距離領域のうち前記反射光を撮像可能な最長距離領域を撮像するために必要なディレイ時間よりも長くなるように前記発光インターバル時間を設定し、
前記最長距離領域を撮像するために必要なディレイ時間は、前記パルス光の発光強度および拡散角と前記撮像画像を取得する画像取得部の感度とから定められ、
所望のターゲット距離のひとつ前のターゲット距離に対する発光による反射光を撮像することのないような発光強度で前記パルス光を発光し、
記パルス光の発光時間を前記ターゲット距離領域が車両から離れるにつれて徐々に長くなるようにリニアに変化させることで、前記ターゲット距離領域のうち、近距離領域の撮影時ほど前記発光時間を短くし、遠距離領域の撮影時ほど前記発光時間を長くする、車両用画像取得方法。
【請求項8】
前記発光強度は、前記ターゲット距離領域の距離に応じてリニアに変化可能である、請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用画像取得装置。
【請求項9】
請求項8に記載の車両用画像取得装置と、
前記画像取得部により取得された複数の撮像画像が合成された合成画像を表示可能な表示部と、を備えている、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用画像取得装置、制御装置、車両用画像取得装置または制御装置を備えた車両および車両用画像取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自車両前方に所定周期でパルス光を投光し、ターゲット距離に応じて設定される撮像タイミングでターゲット距離からの反射光を撮像し、それにより得られたターゲット距離の異なる複数の撮像画像における同一画素の輝度に基づいて、画素毎の物体までの距離を表す距離画像データを生成する、車両用距離画像データ生成装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2は、視界における霧等の有無を判定するために、照明装置が車両の外部を照射しているときに、車載カメラによって撮像された画像における非照射領域の輝度勾配に基づいて車両外部の視界状況を判定する車両用視界状況判定装置を開示している。
【0004】
さらに、車両の自動制御やドライバへの運転支援等を行うために例えば夜間に自車両周辺の撮影を行う場合には、ヘッドランプ等の夜間照明光の反射光を車載カメラで撮影して自車両の周辺環境を認識する装置が知られている。また、これらの装置において、ヘッドランプ等の直接視界確保用夜間照明だけでは車載用カメラが映像を撮影するのに必要な撮像照度が得られないときには、補助照明器を追加した車両走行状態検出装置が利用されることがある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本国特開2009−257983号公報
【特許文献2】日本国特開2008−33872号公報
【特許文献3】日本国特開2005−271836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のような車両用距離画像データ生成装置においては、撮影したい距離範囲(例えば、自車両前方の0m〜200m)を、所定の距離分解能で撮影する。この所望の距離範囲および所定の距離分解能は、パルス光の発光時間や反射光の撮像(露光)時間、および発光開始時点から露光開始時点までのディレイ時間によって決まる。一つのフレーム内でできるだけ明るく(高輝度に)撮影するためには、発光と露光とを数多く繰り返すことが望ましい。そのためには、発光および露光のインターバル時間をできるだけ短くすることが考え得る。しかし、インターバル時間を短くすると、所望のターゲット距離の発光による反射光だけでなく、当該所望のターゲット距離のひとつ前のターゲット距離の発光による反射光まで撮像することで、不要なターゲット距離の撮像画像を取得してしまう可能性がある。
【0007】
また、上記特許文献2に記載の車両用視界状況判定装置においては、霧の有無を判定するのみであって、霧の深さに関する情報まで取得できるものではない。
【0008】
また、特許文献3のように夜間照明光を用いて車載カメラにより撮影を行う場合、照明光源の近傍領域は反射光量が多いため撮影される画像は明るいが、照明光源の遠方領域は反射光量が少ないため撮影される画像は暗くなってしまう。
【0009】
本開示の第一の目的は、不要なターゲット距離領域の撮像画像を取得することを防止可能な車両用画像取得装置、制御装置、車両用画像取得装置または制御装置を備えた車両および車両用画像取得方法を提供することにある。
【0010】
また、本開示の第二の目的は、特に悪天候時において詳細な視界情報を取得可能な車両用画像取得装置、制御装置、車両用画像取得装置または制御装置を備えた車両および車両用画像取得方法を提供することにある。
【0011】
さらに、本開示の第三の目的は、自車両の近傍領域と遠方領域とを同等コントラストで撮像可能な車両用画像取得装置、制御装置、車両用画像取得装置または制御装置を備えた車両および車両用画像取得方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記第一の目的を達成するため、本開示の車両用画像取得装置は、
所定方向にパルス光を発光する発光部と、
ターゲット距離領域に応じて設定される撮像タイミングで前記ターゲット距離領域から帰ってくる反射光を撮像し、ターゲット距離領域の異なる複数の撮像画像を取得する画像取得部と、
前記パルス光の発光周期および前記撮像タイミングを制御するタイミング制御部と、
を備え、
前記タイミング制御部は、前記発光インターバル時間が、前記発光部の発光開始時点から前記画像取得部の撮像開始時点までの時間であるディレイ時間であって前記ターゲット距離領域のうち前記反射光を撮像可能な最長距離領域を撮像するために必要なディレイ時間よりも長くなるように前記発光インターバル時間を設定する。
【0013】
上記構成によれば、不要なターゲット距離領域の撮像画像を取得してしまうことを防止することができる。
【0014】
前記最長距離領域を撮像するために必要なディレイ時間は、前記パルス光の発光強度および拡散角と前記画像取得部の感度とから定められても良い。
【0015】
上記記載のパラメータを用いることで最長距離領域を撮像可能なディレイ時間を容易に算出することができる。
【0016】
前記発光部は、前記ターゲット距離領域のうち、近距離領域の撮影時ほど前記発光強度を弱くし、遠距離領域の撮影時ほど前記発光強度を強くしても良い。
【0017】
上記構成によれば、近距離領域に比べて遠距離領域の画像が暗くなってしまうのを防止することができる。
【0018】
また、上記第一の目的を達成するため、本開示の制御装置は、
所定方向にパルス光を発光する発光部と、ターゲット距離領域に応じて設定される撮像タイミングで前記ターゲット距離領域から帰ってくる反射光を撮像してターゲット距離領域の異なる複数の撮像画像を取得する画像取得部とを備えた車両用画像取得装置を制御するための制御装置であって、
前記発光インターバル時間が、前記発光部の発光開始時点から前記画像取得部の撮像開始時点までの時間であるディレイ時間であって前記ターゲット距離領域のうち前記反射光を撮像可能な最長距離領域を撮像するために必要なディレイ時間よりも長くなるように前記発光インターバル時間を設定する。
【0019】
上記構成によれば、不要なターゲット距離領域の撮像画像を取得してしまうことを防止することができる。
【0020】
また、上記第一の目的を達成するため、本開示の車両は、上記に記載の車両用画像取得装置、または制御装置を備えている。
【0021】
上記構成によれば、例えば自動運転システムを搭載した車両における安全性を高めることができる。
【0022】
また、上記第一の目的を達成するため、本開示の車両用画像取得方法は、
撮像タイミングを変化させながら所定方向に発光されるパルス光の反射光を撮像することで、ターゲット距離領域の異なる複数の撮像画像を取得する、車両用画像取得方法であって、
前記パルス光の発光周期を示す発光インターバル時間が、前記パルス光の発光開始時点から前記反射光の撮像開始時点までの時間であるディレイ時間であって前記ターゲット距離領域のうち前記反射光を撮像可能な最長距離領域を撮像するために必要なディレイ時間よりも長くなるように前記発光インターバル時間を設定する。
【0023】
上記構成によれば、不要なターゲット距離領域の撮像画像を取得してしまうことを防止することができる。
【0024】
上記第二の目的を達成するため、本開示の車両用画像取得装置は、
所定方向にパルス光を発光する発光部と、
ターゲット距離領域に応じて設定される撮像タイミングで前記ターゲット距離領域から帰ってくる反射光を撮像し、ターゲット距離領域の異なる複数の撮像画像を取得する画像取得部と、
前記パルス光の発光周期および前記撮像タイミングを制御するタイミング制御部と、
を備え、
前記画像取得部は、前記複数の撮像画像から前記ターゲット距離領域に対する暗度を判定して視認不能なターゲット距離領域を測定することにより視界情報を取得する。
【0025】
上記構成によれば、悪天候時の視界情報、特に霧発生時における霧の深さに関する情報を取得することができる。
【0026】
前記暗度は、各撮像画像の輝度に対して閾値を設けることで判定されても良い。
【0027】
上記構成によれば、容易な方法で霧の深さを判定することができる。
【0028】
前記画像取得部は、前記視界情報を車両の運転を制御する統合制御部へ送信可能であっても良い。
【0029】
上記構成によれば、霧等の発生時に取得された視界情報を車両の運転制御に活用することができる。
【0030】
また、上記第二の目的を達成するため、本開示の制御装置は、
所定方向にパルス光を発光する発光部と、ターゲット距離領域に応じて設定される撮像タイミングで前記ターゲット距離領域から帰ってくる反射光を撮像してターゲット距離領域の異なる複数の撮像画像を取得する画像取得部とを備えた車両用画像取得装置を制御するための制御装置であって、
前記複数の撮像画像から前記ターゲット距離領域に対する暗度を判定して視認不能なターゲット距離領域を測定することにより視界情報を取得するように、前記画像取得部を制御する。
【0031】
上記構成によれば、悪天候時の視界情報、特に霧発生時における霧の深さに関する情報を取得することができる。
【0032】
また、上記第二の目的を達成するため、本開示の車両は、
上記に記載の車両用画像取得装置または制御装置と、
前記画像取得部または前記制御装置と通信可能な統合制御部と、を備えた車両であって、
前記統合制御部は、前記視界情報に基づいて車両の走行速度の制御あるいは運転者への報知を行う。
【0033】
上記構成によれば、霧等の発生時に取得された視界情報を車両の安全走行あるいは自動運転等に活用することができる。
【0034】
また、上記第二の目的を達成するため、本開示の車両用画像取得方法は、
撮像タイミングを変化させながら所定方向に発光されるパルス光の反射光を撮像することで、ターゲット距離領域の異なる複数の撮像画像を取得する、車両用画像取得方法であって、
前記複数の撮像画像から前記ターゲット距離領域に対する暗度を判定して視認不能なターゲット距離領域を測定することにより視界情報を取得する。
【0035】
上記構成によれば、悪天候時の視界情報、特に霧発生時における霧の深さに関する情報を取得することができる。
【0036】
上記第三の目的を達成するため、本開示の車両用画像取得装置は、
所定方向にパルス光を発光する発光部と、
ターゲット距離領域に応じて設定される撮像タイミングで前記ターゲット距離領域から帰ってくる反射光を撮像し、ターゲット距離領域の異なる複数の撮像画像を取得する画像取得部と、
前記パルス光の発光周期および前記撮像タイミングを制御するタイミング制御部と、
を備え、
前記発光部は、前記ターゲット距離領域のうち、遠方領域を撮像する場合の前記パルス光の発光強度が、近傍領域を撮像する場合の前記発光強度よりも高くなるように制御される。
【0037】
上記構成によれば、近傍領域と遠方領域とを同等コントラストで撮像することが可能となり、良好な画像を取得することができる。
【0038】
前記発光強度は、前記ターゲット距離領域の距離に応じてリニアに変化可能であっても良い。
【0039】
上記構成によれば、ターゲット距離領域の全範囲にわたって均一なコントラストの画像を取得することができる。
【0040】
上記第三の目的を達成するため、本開示の別の例に係る車両用画像取得装置は、
所定方向にパルス光を発光する発光部と、
ターゲット距離領域に応じて設定される撮像タイミングで前記ターゲット距離領域から帰ってくる反射光を撮像し、ターゲット距離領域の異なる複数の撮像画像を取得する画像取得部と、
前記パルス光の発光周期および前記撮像タイミングを制御するタイミング制御部と、
を備え、
前記発光部は、前記ターゲット距離領域のうち、遠方領域を撮像する場合の前記パルス光の発光時間が、近傍領域を撮像する場合の前記発光時間よりも長くなるように制御される。
【0041】
上記構成によれば、近傍領域と遠方領域とを同等コントラストで撮像することが可能となり、良好な画像を取得することができる。
【0042】
前記発光時間は、前記ターゲット距離領域の距離に応じてリニアに変化可能であっても良い。
【0043】
上記構成によれば、ターゲット距離領域の全範囲にわたって均一なコントラストの影像を取得することができる。
【0044】
上記第三の目的を達成するため、本開示のさらに別の例に係る車両用画像取得装置は、
所定方向にパルス光を発光する発光部と、
ターゲット距離領域に応じて設定される撮像タイミングで前記ターゲット距離領域から帰ってくる反射光を撮像し、ターゲット距離領域の異なる複数の撮像画像を取得する画像取得部と、
前記パルス光の発光周期および前記撮像タイミングを制御するタイミング制御部と、
を備え、
前記ターゲット距離領域のうち、遠方領域を撮像する場合の前記パルス光の発光回数および前記反射光の撮像回数が、近傍領域を撮像する場合の前記発光回数および前記撮像回数よりも多くなるように、前記発光部および前記撮像部が制御される。
【0045】
上記構成によれば、近傍領域と遠方領域とを同等コントラストで撮像することが可能となり、良好な画像を取得することができる。
【0046】
前記発光回数および前記撮像回数は、前記ターゲット距離領域の距離に応じてリニアに変更可能であっても良い。
【0047】
上記構成によれば、ターゲット距離領域の全範囲にわたって均一なコントラストの画像を取得することができる。
【0048】
上記第三の目的を達成するため、本開示の制御装置は、
所定方向にパルス光を発光する発光部と、ターゲット距離領域に応じて設定される撮像タイミングで前記ターゲット距離領域から帰ってくる反射光を撮像してターゲット距離領域の異なる複数の撮像画像を取得する画像取得部とを備えた車両用画像取得装置を制御するための制御装置であって、
前記ターゲット距離領域のうち遠方領域を撮像する場合の前記パルス光の発光強度が近傍領域を撮像する場合の前記発光強度よりも高くなるように前記発光強度を制御すること、前記遠方領域を撮像する場合の前記パルス光の発光時間が前記近傍領域を撮像する場合の前記発光時間よりも長くなるように前記発光時間を制御すること、および、前記遠方領域を撮像する場合の前記パルス光の発光回数および前記反射光の撮像回数が前記近傍領域を撮像する場合の前記発光回数および前記撮像回数よりも多くなるように前記発光回数および前記撮像回数を制御することのうち少なくともいずれか一つを行う。
【0049】
上記構成によれば、近傍領域と遠方領域とを同等コントラストで撮像することが可能となり、良好な画像を取得することができる。
【0050】
上記第三の目的を達成するため、本開示の車両は、
上記のいずれかに記載の車両用画像取得装置または制御装置と、
前記画像取得部により取得された複数の撮像画像が合成された合成画像を表示可能な表示部と、を備えている。
【0051】
上記構成によれば、均一コントラストの合成画像を表示部に表示させることで、夜間や雨天時などのドライバへの運転支援に寄与することができる。
【0052】
上記第三の目的を達成するため、本開示に係る車両用画像取得方法は、
撮像タイミングを変化させながら所定方向に発光されるパルス光の反射光を撮像することで、ターゲット距離領域の異なる複数の撮像画像を取得する、車両用画像取得方法であって、
前記ターゲット距離領域のうち遠方領域を撮像する場合の前記パルス光の発光強度が近傍領域を撮像する場合の前記発光強度よりも高くなるように前記発光強度を制御するステップ、前記遠方領域を撮像する場合の前記パルス光の発光時間が前記近傍領域を撮像する場合の前記発光時間よりも長くなるように前記発光時間を制御するステップ、および、前記遠方領域を撮像する場合の前記パルス光の発光回数および前記反射光の撮像回数が前記近傍領域を撮像する場合の前記発光回数および前記撮像回数よりも多くなるように前記発光回数および前記撮像回数を制御するステップのうち少なくともいずれか一つを行う。
【0053】
上記構成によれば、近傍領域と遠方領域とを同等コントラストで撮像することが可能となり、良好な画像を取得することができる。
【発明の効果】
【0054】
本開示によれば、不要なターゲット距離領域の撮像画像を取得することを防止可能な車両用画像取得装置、制御装置、車両用画像取得装置または制御装置を備えた車両および車両用画像取得方法を提供することができる。
【0055】
また、本開示によれば、特に悪天候時において詳細な視界情報を取得可能な車両用画像取得装置、制御装置、車両用画像取得装置または制御装置を備えた車両および車両用画像取得方法を提供することができる。
【0056】
また、本開示によれば、自車両の近傍領域と遠方領域とを同等コントラストで撮像可能な車両用画像取得装置、制御装置、車両用画像取得装置または制御装置を備えた車両および車両用画像取得方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】本実施形態の障害物検出装置の構成を示すブロック図である。
図2】各ターゲット距離領域を撮像する際の、発光部の動作(発光動作)とゲートの動作(カメラゲート動作)との時間的な関係を示す図である。
図3】自車両前方の異なる位置に4つの異なる物体が存在している状況を示す図である。
図4】撮像領域の一部がオーバーラップする状態を示す図である。
図5】各物体に対応する画素の時間的な輝度変化を示す模式図である。
図6】発光/露光時間と距離分解能との関係を説明するための図である。
図7】発光インターバル時間を短くした場合の課題を説明するための図である。
図8】実施例1に係る発光インターバル時間および撮像タイミングを示すタイミングチャートである。
図9】実施例2に係る、発光周期および撮像タイミングと撮像画像とを示す図である。
図10】実施例2に係る、霧の濃さに応じて変化する撮像画像の明るさと自車両からの距離との関係を示すグラフである。
図11】車両前方を光照射して撮像したときの従来例に係る撮像画像のイメージ図である。
図12】実施例3に係る発光周期および撮像周期のタイミングチャートであって、特に発光強度が変化する例を示す図である。
図13】実施例3に係る近傍画像および遠方画像と、近傍画像と遠方画像を合成した合成画像のイメージ図である。
図14】実施例3に係る合成画像が適用される例を示す図である。
図15】実施例4に係る発光周期および撮像周期のタイミングチャートであって、特に発光時間が変化する例を示す図である。
図16】実施例5に係る発光周期および撮像周期のタイミングチャートであって、特に発光回数および撮像回数が変化する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、本実施形態の一例について、図面を参照して詳細に説明する。
【0059】
図1は、車両用画像取得装置を適用した本実施形態に係る障害物検出装置の構成を示すブロック図である。図2は、各ターゲット距離領域を撮像する際の、発光部の動作(発光動作)とゲートの動作(カメラゲート動作)との時間的な関係を示す模式図である。
【0060】
図1に示されるように、車両V(自車両)に設けられる障害物検出装置1は、画像取得装置2と、画像取得装置2と通信可能な統合制御部100とを備えている。統合制御部100は、車両Vの運転を制御する車両用ECUとして機能するものであり、本実施形態においては、例えば、画像処理部3と、物体認識処理部4と判断部10とを備えている。
【0061】
画像取得装置2は、発光部5と、対物レンズ6と、光増倍部7と、高速度カメラ(画像取得部)8と、タイミングコントローラ(タイミング制御部)9とを備えている。
【0062】
発光部5は、例えば、車両Vの前端部に配置した近赤外線LEDである。図2に示されるように、発光部5は、タイミングコントローラ9から出力されるパルス信号に応じて、所定の発光時間tL(例えば、5ns)の間、所定方向(例えば、車両Vの前方)にパルス光を出射する。発光部5から照射されるパルス光の発光周期tPは、例えば、10μs以下の間隔とする。
【0063】
対物レンズ6は、例えば、車両V前方の所定範囲を撮像できる画角とするように設定された光学系であって、物体からの反射光を受光する。対物レンズ6は、発光部5と近接して配置されていても良く、離隔して配置されていても良い。
【0064】
光増倍部7は、ゲート7aとイメージインテンシファイア7bとを備えている。
ゲート7aは、タイミングコントローラ9からの開閉指令信号に応じて開閉する。本実施形態では、ゲート7aの開放時間(ゲート時間)tGを、発光時間tLと同じ5nsとしている。ゲート時間tGは、領域1から領域nまでの全撮像領域における各領域(ターゲット距離領域)の撮像対象長さ(撮像対象深さ)に比例する。ゲート時間tGを長くするほど各領域の撮像対象長さは長くなる。撮像対象長さは、光速度×ゲート時間tGから求められ、本実施形態では、ゲート時間tG=5nsとしているため、撮像対象長さは、「光速度(約3×10m/s)×ゲート時間(5ns)」より、1.5mとなる。
イメージインテンシファイア7bは、極微弱な光(物体からの反射光等)を一旦電子に変換して電気的に増幅し、再度蛍光像に戻すことで光量を倍増してコントラストのついた像を見るためのデバイスである。イメージインテンシファイア7bにより増幅された光は高速度カメラ8のイメージセンサに導かれる。
【0065】
高速度カメラ8は、タイミングコントローラ9からの指令信号に応じて、光増倍部7から発せられた像を撮像し、取得した撮像画像を画像処理部3へ出力する。本実施形態では、解像度640×480(横:縦)、輝度値1〜255(256段階)、100fps以上のカメラを用いている。
【0066】
タイミングコントローラ9は、高速度カメラ8により撮像される撮像画像が、狙った撮像領域であるターゲット距離領域から帰ってくる反射光のタイミングとなるように、発光部5の発光開始時点からゲート7aを開くまでの時間であるディレイ時間tD(図2では、tD,tDn+1)を設定し、ディレイ時間tDに応じた開閉指令信号を出力することで、撮像タイミングを制御する。つまり、ディレイ時間tDは、車両Vからターゲット距離領域までの距離(撮像対象距離)を決める値である。ディレイ時間tDと撮像対象距離との関係は、以下の式(1)から求められる。
撮像対象距離=光速度(約3×10m/s)×ディレイ時間tD/2 ・・・式(1)
【0067】
タイミングコントローラ9は、ターゲット距離領域が車両Vの前方(遠方)へと連続的に離れるように、ディレイ時間tDを所定間隔(例えば、10ns)ずつ長くすることで、高速度カメラ8の撮像範囲を車両Vの前方側へ変化させる。なお、タイミングコントローラ9は、ゲート7aが開く直前に高速度カメラ8の撮像動作を開始させ、ゲート7aが完全に閉じた後に撮像動作を終了させる。
【0068】
タイミングコントローラ9は、設定された所定のターゲット距離領域(領域1、領域2、…、領域nの各領域)毎に複数回の発光および露光を行うよう発光部5、ゲート7aおよび高速度カメラ8を制御する。高速度カメラ8が受光した光は電荷に変換され、複数回の発光および露光を繰り返すことで蓄積される。所定の電荷蓄積時間ごとに得られる1枚の撮像画像をフレームと呼ぶ。なお、高速度カメラ8は、ターゲット距離領域ごとに1枚(1フレーム)ずつ撮像画像を取得しても良く、あるいは各ターゲット距離領域において複数の撮像画像(数フレーム)を取得しても良い。このようにして、高速度カメラ8は、ターゲット距離領域の異なる複数の撮像画像を取得し、取得した複数の撮像画像を画像処理部3へ出力する。
【0069】
画像処理部3は、高速度カメラ8により撮像された全撮像領域の撮像画像における同一画素の輝度に基づいて、画素毎の物体(対象物)までの距離を表す距離画像データを生成し、生成した距離画像データを物体認識処理部4へ出力する。
【0070】
物体認識処理部4は、距離画像データに含まれる物体を特定する。物体の特定方法は、パターンマッチング等、周知の技術を用いることができる。
【0071】
判断部10は、物体認識処理部4により特定された物体(人、自動車、標識等)と自車両(車両V)との関係(距離、方向等)を判断する。
【0072】
次に、本実施形態に係る画像取得の作用を説明する。
[画像取得作用]
タイミングコントローラ9は、高速度カメラ8により撮像される撮像画像が、所定のターゲット距離領域から帰ってくる反射光のタイミングとなるように、ディレイ時間tDを設定し、高速度カメラ8の撮像タイミングを制御する。ターゲット距離領域に物体が存在している場合、発光部5から出射された光がターゲット距離領域から戻ってくる時間は、車両Vとターゲット距離領域との間の距離(撮像対象距離)を光が往復する時間となるため、ディレイ時間tDは、撮像対象距離と光速度から求めることができる。
【0073】
上記方法で得られた高速度カメラ8の撮像画像において、ターゲット距離領域に物体が存在する場合、当該物体の位置に対応する画素の輝度値データは、反射光の影響を受け、他の画素の輝度値データよりも高い値を示す。これにより、各画素の輝度値データに基づいて、ターゲット距離領域に存在する物体との距離を求めることができる。
【0074】
図3は、車両Vの前方の異なる位置に4つの物体A〜Dが存在している状況を示している。物体Aは傘をさした人物であり、物体Bは対向車線側のバイクであり、物体Cは歩道側の樹木であり、物体Dは対向車線側の車両(対向車)である。車両Vと各物体との距離の関係は、A<B<C<Dとする。
このとき、本実施形態では、1つの物体からの反射光が連続する複数の撮像領域における撮像画像の画素に反映されるように、撮像領域の一部をオーバーラップさせている。すなわち、図4に示すように、撮像対象距離をB1→B2→B3→…と連続的に変化させながら撮像する際、撮像領域の撮像対象長さAよりも撮像対象距離の増加量(B2−B1)を短くすることで、撮像領域の一部がオーバーラップしながら変化するように撮像対象距離の増加量を設定している。
【0075】
図5は、各物体に対応する画素の時間的な輝度変化を示している。
撮像領域の一部をオーバーラップさせることで、図5に示されるように、連続する複数の撮像画像における同一画素の輝度値は、徐々に増加し、各物体A〜Dの位置でピークとなった後は徐々に小さくなる三角波状の特性を示す。このように、1つの物体からの反射光が複数の撮像画像に含まれるようにすることで、画素の時間的な輝度変化が三角波状となるため、当該三角波状のピークと対応する撮像領域を当該画素における車両Vから各物体(被写体)A〜Dまでの距離とすることで、検出精度を高めることができる。
【0076】
なお、上記実施形態に係る画像取得装置2を備えた障害物検出装置1を、いわゆるAHB(オートマチック・ハイビーム)システムやADB(アダプティブ・ドライビング・ビーム)システムの配光制御に用いることができる。障害物検出装置1を車両Vに搭載される他のカメラセンサと併用することで、例えば、画像取得装置2にて得られたターゲット距離領域の異なる複数の撮像画像から車両V前方の物体の有無および距離を検出するとともに、他のカメラセンサで車両V前方の映像を取得する。カメラセンサで取得された映像の中の各光点の距離を画像取得装置2で取得した撮像画像から求め、各光点の距離、輝度、形状(光点とその周辺の形状)、時系列変化等から当該光点が車両か否かを判別することができる。このように、画像取得装置2と他のカメラセンサを併用することで、特に遠方の車両の検知を高精度かつ高速に行うことができ、AHBシステムやADBシステムの配光制御を好適に行うことができる。
【0077】
[実施例1]
図6は、発光/露光時間と距離分解能との関係を説明するための図である。図6の(A)は、パルス光のパルス幅(発光時間)および高速度カメラのゲート時間(露光時間)が比較的短い場合の距離分解能を示している。一方、図6の(B)は、パルス光のパルス幅(発光時間)および高速度カメラのゲート時間(露光時間)がそれぞれ(A)のパルス幅およびゲート時間よりも長い場合の距離分解能を示している。また、図6の(C)および(D)には、発光/露光時間と撮像対象距離との関係が示されている。
上述の通り、撮像対象距離Lは「光速×ディレイ時間tD(図6の(C)および(D)における時間tA)/2」から求められる。すなわち、パルス光の発光終了時点から露光開始時点までの時間tAが距離L1に相当し、パルス光の発光開始時点から露光終了時点までの時間tAが距離L2に相当する。そのため、図6の(A)のように発光時間および露光時間が短いほど、図6の(C)に示されるように撮像対象長さ(L2−L1)が短くなる、すなわち、距離分解能が高くなる。一方、図6の(B)のように発光時間および露光時間が長いほど、図6の(D)に示されるように撮像対象長さ(L2−L1)が長くなる、すなわち、距離分解能が低下することがわかる。したがって、発光時間および露光時間が短いほどターゲット距離の分解能を細かくし距離検出の精度を上げることができる。
【0078】
図7は、発光インターバル時間を短くした場合の課題を説明するための図である。図7においては、第一発光tL、第二発光tL、第三発光tLと、これら第一発光tL〜第三発光tLのそれぞれによる反射光を露光する第一露光tG、第二露光tG、第三露光tGが図示されている。
ところで、1フレーム内でできるだけ明るく(高輝度に)撮影するためには、発光と露光とを数多く繰り返すことが望ましい。そのためには、図2に示されるパルス光の発光周期tP(とそれに追随する撮像周期)をできるだけ短くすることが考え得る。しかし、パルス光の発光周期(発光インターバル時間)tPを短くし過ぎると、図7に示されるように、第一発光tLによる反射光を第一露光tGで受光するだけでなく第二露光tGでも受光してしまう。同様に、第二発光tLによる反射光を第二露光tGだけでなく第三露光tGでも受光してしまう。すなわち、発光インターバル時間tPを短くし過ぎると、所望のターゲット距離の発光による反射光だけでなく、当該所望のターゲット距離のひとつ前のターゲット距離の発光による反射光まで撮像することで、不要なターゲット距離の撮像画像を取得してしまう可能性がある。
【0079】
そこで、本出願の発明者は、上記事情を総合的に考慮して、発光インターバル時間tPをディレイ時間tDとの関係で適切に設定することで、不要なターゲット距離領域の撮像画像を取得してしまうことを防止できることを見出した。以下に、その方法について詳述する。
【0080】
図8は、実施例1に係る発光インターバル時間および撮像タイミングを示すタイミングチャートである。
実施例1においては、図8に示されるように、領域1から領域nへと撮像対象距離が離れるにつれてディレイ時間tD〜tDは徐々に長くなる。このとき、タイミングコントローラ9は、発光インターバル時間tPが、ターゲット距離領域のうち反射光を撮像可能な最長距離領域である領域nを撮像するために必要な最長ディレイ時間tDよりも長くなるように発光インターバル時間tPを設定する。例えば、ターゲット距離領域が車両Vから0〜200mの範囲である場合、発光インターバル時間tPは車両Vから200m離れた領域を撮像するために必要な最長ディレイ時間tDよりも長くなるように設定される。
【0081】
最長ディレイ時間tDは、発光部5から出射されるパルス光の発光強度および当該パルス光の拡散角と高速度カメラ8(に備わるイメージセンサ)の感度とから定められる。発光部5からのパルス光は、発光部5の前方に向かって所定の水平角および垂直角に拡散されることにより、発光部5からの距離の2乗以上で減衰する。また、高速度カメラ8は、例えばCCD(Charged Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等のイメージセンサ(撮像素子)を備えている。イメージセンサは、各露光動作により入射した光によって発生した電荷を蓄積して電気信号に変換して画像処理部10へ出力する。車両Vからの距離に応じたパルス光の減衰量、および高速度カメラ8のイメージセンサの感度から、当該イメージセンサに電荷を蓄積することができない距離を算出することができる。本例では、このように算出された電荷が蓄積できない距離のパルス光のフライト時間を最長ディレイ時間tDと設定している。
【0082】
ところで、上記のような画像取得装置2ではターゲット距離領域を複数の撮像領域1〜nに分けてディレイ時間tD〜tDを変化させながら各撮像領域1〜nの撮像画像を取得している。このとき、撮像領域が車両Vから離れるにつれて徐々に反射光量が少なくなるため、近傍領域の物体の撮像画像よりも遠方領域の物体の撮像画像が暗くなってしまう。
【0083】
そこで、実施例1においては、発光インターバル時間tPが最長ディレイ時間tDよりも長くなるように設定された状態で、ターゲット距離領域のうち遠距離領域を撮像する場合のパルス光の発光強度が近距離領域を撮像する場合の発光強度よりも高くなるように発光部5からのパルス発光が制御される(図8参照)。これにより、ターゲット距離領域が離れるにつれて発光強度を徐々に高くすることで、各領域を撮像する際の反射光量を均一化させることができる。パルス光の発光強度は、撮像対象距離が車両Vから離れるにつれて徐々に高くなるようにリニアに変化可能とされていることが好ましい。なお、ターゲット距離領域が車両Vから0〜200mの範囲である場合、発光インターバル時間tPは車両Vから200m離れた領域を撮像するために必要な最長ディレイ時間tDよりも長くなるように設定される。そのため、パルス光の発光強度が必要以上に高いと、1回の露光で、露光直前の発光による反射光だけでなく、そのひとつ前の発光による反射光まで撮像してしまう可能性がある。そのため、パルス光は、露光直前の発光による反射光のみを撮像可能な発光強度で照射されることが望ましい。例えば、近距離領域(例えば、車両Vから10m程度)を撮像する際には、発光部5からのパルス光は、車両Vから210mの領域を撮像できない発光強度に設定される。また、遠距離領域(例えば、車両Vから190m程度)を撮像する際には、発光部5からのパルス光は、近距離領域を撮像する際の発光強度よりも高く、かつ車両Vから390mの領域を撮像できない発光強度に設定される。
【0084】
以上説明した実施例1の画像取得装置2によれば、以下に列挙する効果を奏する。
【0085】
(1)タイミングコントローラ9は、発光インターバル時間tPが、ターゲット距離領域のうち反射光を撮像可能な最長距離領域(例えば図9の領域n)を撮像するために必要な最長ディレイ時間tDよりも長くなるように発光インターバル時間tPを設定する。この構成によれば、所望のターゲット距離の発光による反射光だけでなく当該所望のターゲット距離のひとつ前のターゲット距離の発光による反射光まで撮像してしまうことがなく、不要なターゲット距離領域の撮像画像を取得することを防止することができる。これにより、ノイズの混入を抑制でき、より高精度な距離情報を取得可能となる。
【0086】
(2)最長ディレイ時間tDは、パルス光の発光強度および拡散角と高速度カメラ8のイメージセンサの感度とから定められることが好ましい。最長ディレイ時間tDの算出に上記のパラメータを用いることで最長ディレイ時間tDを容易に算出することができる。
【0087】
(3)発光部5は、ターゲット距離領域のうち、近距離領域の撮影時ほどパルス光の発光強度を弱くし、遠距離領域の撮影時ほどパルス光の発光強度を強くすることが好ましい。この構成によれば、各ターゲット距離領域を撮像する際の反射光量を均一化させることができ、各領域における撮像画像に存在する物体の位置に対応する画素の輝度の差を少なくすることができる。これにより、近距離領域に比べて遠距離領域の画像が暗くなってしまうのを防止することができる。
【0088】
[実施例2]
次に、本実施形態の実施例2について、図9および図10を参照して説明する。
図9は、実施例2に係る、発光周期および撮像タイミングと撮像画像とを示す図である。図10は、実施例2に係る、霧の濃さに応じて変化する撮像画像の明るさと自車両からの距離との関係を示すグラフである。
【0089】
上述の通り、撮像対象距離Lは「光速×ディレイ時間tD/2」から求められる。そのため、ディレイ時間tDを徐々に変化させることで、異なる撮像対象距離に応じた撮像画像を取得することができる。実施例2では、画像処理部3は、図9に示すように、異なる撮像タイミング(露光1〜n)で撮像された複数の画像1〜nを取得し、取得した画像1〜nのそれぞれの暗度(画像の暗さ)を判定する。なお、画像1〜nは、車両Vから距離が離れるにつれて徐々に暗度が高く(すなわち、明るさ(輝度)が低く)なるものである。
【0090】
各画像1〜nの暗度は以下のように判定される。
図10に示されるように、霧が無いか薄い場合は、車両Vからの距離が遠くなる(すなわち、パルス光の反射時間が長くなる)につれて緩やかに反射光量が少なくなり撮像画像の明るさ(輝度)が低くなる、すなわち、図9に示されるように緩やかに画像が暗くなる。一方、霧が濃い場合は、車両Vからある一定の距離まで離れると急激に反射光量が少なくなり撮像画像の明るさが低くなる(暗度が急激に高くなる)。この霧の深さと撮像画像の明るさ変化との関係から、高速度カメラ8により取得された複数の撮像画像を用いて車両Vからの視程を求めることができる。
【0091】
以下に、車両Vからの視程算出方法を説明する。
画像処理部3は、例えば、取得した複数の撮像画像の輝度値に対して閾値を設けることで、撮像画像の暗度を判定する。ここで、画像処理部3は、例えば、車両Vからの距離に応じた撮像画像の実際の輝度値を、当該距離の撮像画像における最大輝度値(最大の明るさ)と比較する。最大輝度値は、例えば霧が無く晴天の場合に予測され得る最大の輝度値である。撮像画像の実際の輝度値が最大輝度値の例えば50%以下である場合は、画像処理部3は、当該撮像画像に対応する距離を車両Vから視認不能な距離と判定する。画像処理部3は、この視認不能距離を含む視界情報を取得し、当該視界情報を車両Vの運転を制御する統合制御部100(図1)へ送信する。なお、画像処理部3を介さず、画像取得部である高速度カメラ8が複数の撮像画像から視界情報を取得して、当該視界情報を統合制御部100へ直接送信する構成としても良い。
【0092】
統合制御部100は、画像処理部3から受信した視界情報に基づき、車両Vの制限速度を演算し、当該制限速度に基づいて走行速度の制御を行うことができる。あるいは、統合制御部100は、当該制限速度を安全速度として車両Vの運転者に報知しても良い。
【0093】
以上説明した実施例2の画像取得装置2および統合制御部100によれば、以下に列挙する効果を奏する。
【0094】
(4)画像処理部3(または高速度カメラ8)は、高速度カメラ8により撮像された複数の撮像画像からターゲット距離領域に対する暗度を判定して視認不能なターゲット距離領域を測定することにより視界情報を取得する。この構成によれば、悪天候時の視界情報、特に霧発生時における霧の深さに関する情報を取得することができる。
【0095】
(5)上記撮像画像の暗度は、撮像画像の輝度に対して閾値を設けることで判定されることが好ましい。この構成によれば、容易な方法で霧の深さを判定することができる。
【0096】
(6)画像処理部3(または高速度カメラ8)は、視界情報を車両Vの運転を制御する統合制御部100へ送信可能であることが好ましい。この構成によれば、霧等の発生時に取得された視界情報を車両Vの運転制御に活用することができる。
【0097】
(7)統合制御部100は、画像処理部3(または高速度カメラ8)から受信した視界情報に基づいて車両Vの走行速度の制御あるいは運転者への報知を行う。この構成によれば、霧等の発生時に取得された視界情報を車両Vの安全走行あるいは自動運転等に活用することができる。
【0098】
[実施例3]
次に、本実施形態の実施例3について、図11〜14を参照して説明する。
図11は、車両前方を光照射して撮像したときの従来例に係る撮像画像のイメージ図である。
図11に示されるように、車両前方の近傍に人物M1が立っており、遠方に人物M2が立っている。このとき、従来のように、例えば夜間照明光を用いて車載カメラにより撮影を行う場合、車載カメラによる撮像画像においては車両の近傍領域からの反射光量が多いため近傍の人物M1の影像は輝度が高く、明るく撮像される。一方、車両の遠方領域からの反射光量は少なくなるため遠方の人物M2の影像は輝度が低く、暗く撮像される。すなわち、近傍の物体と遠方の物体とでは輝度の差が大きくコントラストが高くなるため、遠方の物体の視認性が劣る。
【0099】
そこで、本出願の発明者は、上記事情を総合的に考慮して、車両Vの近傍領域の撮像画像と遠方領域の撮像画像との画素の輝度が同等となるような方法で撮像可能とすることでコントラストの差を少なくし、遠方領域の物体の視認性を向上させることを見出した。以下に、車両Vの近傍領域と遠方領域とを同等コントラストで撮像するための方法について詳述する。
【0100】
図12は、実施例3に係る発光周期および撮像周期のタイミングチャートであって、特に発光強度が変化する例を示す図である。
実施例3においては、発光部5は、ターゲット距離領域のうち遠方領域を撮像する場合のパルス光の発光強度が、近傍領域を撮像する場合の発光強度よりも高くなるように制御される。具体的には、パルス光の発光強度は、撮像対象距離が車両Vから離れるにつれて徐々に高くなるようにリニアに変化可能とされている。領域1(車両Vから10m前後の領域)における発光強度は、例えば100lm(ルーメン)であり、領域n(車両Vから100m前後の領域)における発光強度は、例えば1000lmである。このように、ターゲット距離領域の距離(撮像対象距離)に応じて発光強度を徐々に高くすることで、各領域における撮像画像に存在する物体の位置に対応する画素の輝度の差が少なくなる。
【0101】
図13は、実施例3に係る近傍画像および遠方画像と、近傍画像と遠方画像を合成した合成画像のイメージ図である。
例えば、図13に示されるように、近傍領域を撮像したときの近傍画像では、図11の従来例と同様に近傍領域からの反射光量が多いため近傍の人物M1が明るく撮像される(このとき、遠方の人物M2からの反射光は撮像されない)。また、遠方領域を撮像したときの遠方画像では、近傍領域よりも発光強度が高いパルス光が照射されているため人物M2からの反射光量は図11の従来例よりも多くなる。これにより、遠方の人物M2も近傍画像での人物M1と同等に明るく撮像される(このとき、近傍の人物M1からの反射光は撮像されない)。画像処理部3は、このように発光強度が撮像対象距離に応じて徐々に高くされたパルス光の反射光を撮像することで取得された近傍画像と遠方画像とを合成して、図13に示される合成画像(距離画像データ)を生成する。合成画像では、近傍の人物M1と遠方の人物M2とがほぼ同等の輝度を有している。
【0102】
以上説明した実施例3の画像取得装置2によれば、以下に列挙する効果を奏する。
【0103】
(8)発光部5は、ターゲット距離領域のうち、遠方領域を撮像する場合のパルス光の発光強度が、近傍領域の撮像する場合の発光強度よりも高くなるように制御される。これにより、近傍の物体と遠方の物体との画素の輝度の差が少ない距離画像データ(合成画像)を取得することができる。したがって、近傍領域と遠方領域とを同等コントラストで撮像することが可能となり、良好な画像を取得することができる。
【0104】
(9)パルス光の発光強度は、ターゲット距離領域の距離に応じてリニアに変化可能であることが好ましい。この構成によれば、ターゲット距離領域の全範囲にわたって均一なコントラストの画像を取得することができる。
【0105】
なお、上記のように生成された図13の合成画像を、車両Vに備わる各種装置に表示することができる。例えば、図14の(A)〜(C)に示されるように、カーナビゲーションシステムの表示部や、メーターパネル内の表示部、ルームミラーの一部に搭載される表示部など、車両Vの運転者が視認しやすい位置に合成画像を表示させることで夜間や雨天時などの安全性向上へ寄与することができる。
【0106】
[実施例4]
次に、本実施形態の実施例4について、図15を参照して説明する。
図15は、実施例4に係る発光周期および撮像周期のタイミングチャートであって、特に発光時間が変化する例を示す図である。
実施例4においては、発光部5は、ターゲット距離領域のうち遠方領域を撮像する場合のパルス光の発光時間が、近傍領域の撮像する場合の発光時間よりも長くなるように制御される。具体的には、パルス光の発光時間は、撮像対象距離が車両Vから離れるにつれて徐々に長くなるようにリニアに変化可能とされている。例えば、領域1(車両Vから10m前後の領域)における発光時間(図2の時間tL)は、10μsであり、領域n(車両Vから100m前後の領域)における発光時間は20μsである。
【0107】
このように、ターゲット距離領域の距離に応じて発光時間を徐々に長くすることで、各領域における撮像画像に存在する物体の位置に対応する画素の輝度の差が少なくなる。実施例3と同様に、画像処理部3は、発光時間を可変として取得された近傍画像と遠方画像とを合成して、合成画像を生成する。したがって、実施例4においても、近傍の物体と遠方の物体との画素の輝度の差が少ない均一なコントラストの合成画像を取得することができる。
【0108】
[実施例5]
次に、本実施形態の実施例5について、図16を参照して説明する。
図16は、実施例5に係る発光周期および撮像周期のタイミングチャートであって、特に発光回数および撮像回数が変化する例を示す図である。
実施例5においては、ターゲット距離領域のうち遠方領域を撮像する場合のパルス光の発光回数が、近傍領域の撮像する場合の発光回数よりも多くなるように発光部5が制御されるとともに、当該発光回数に応じて遠方領域を撮像する場合のゲート7aのゲート開放回数(撮像回数)も近傍領域を撮像する場合のゲート開放回数よりも多くなるように制御される。具体的には、パルス光の発光回数および撮像回数は、撮像対象距離が車両Vから離れるにつれて徐々に多くなるようにリニアに変更可能とされている。領域1(車両Vから10m前後の領域)における1フレーム中の発光/撮像回数は、例えば100回であり、領域n(車両Vから100m前後の領域)における1フレーム中の発光/撮像回数は例えば10000回である。
【0109】
このように、ターゲット距離領域の距離が離れるにつれて発光/撮像回数を徐々に多くすることで、領域ごとに蓄積される電荷の量が徐々に増えるため、各領域における撮像画像に存在する物体の位置に対応する画素の輝度の差が少なくなる。実施例3と同様に、画像処理部3は、発光/撮像回数を可変として取得された近傍画像と遠方画像とを合成して、合成画像を生成する。したがって、実施例5においても、近傍の物体と遠方の物体との画素の輝度の差が少ない均一なコントラストの合成画像を取得することができる。
【0110】
以上、本開示を実施するための形態を、実施例1〜5に基づき説明したが、本開示の具体的な構成については、各実施例の構成に限らず、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計変更や追加等は許容される。
【0111】
例えば、撮像対象長さ、撮像対象距離の変化量、ターゲット距離領域ごとのフレーム数などは、高速度カメラ8や画像処理部3の性能に応じて適宜設定することができる。
【0112】
上記実施の形態では、図1に示されるように、高速度カメラ8が画像取得部として機能する構成としているが、この例に限られない。例えば、画像取得部としての機能を画像処理部3が有していても良く、あるいは高速度カメラ8と画像処理部3との間に画像取得部として撮像画像を格納する別個のメモリが設けられても良い。
【0113】
上記実施の形態では、図1に示されるように、対物レンズ6と高速度カメラ8との間に光増倍部7(ゲート7a、イメージインテンシファイア7b)が設けられた構成としているが、この例に限られない。例えば、光増倍部7を設けず、高速度カメラ8内で所定の撮像タイミングでゲーティングを行って複数の撮像画像を取得することも可能である。
【0114】
上記実施の形態では、画像処理部3により距離画像データを生成することで物体認識を行う構成としているが、高速度カメラ8で撮像された個々のターゲット距離の撮像画像から物体認識を行っても良い。
【0115】
上記実施例2においては、特に霧の深さに関する情報を視界情報として取得しているが、霧の他に雨や雪などの悪天候時の視界情報を取得するようにしても良い。
【0116】
上記の実施例3〜5においては、パルス光の発光強度、発光時間、発光回数をそれぞれ別個に変化させて距離画像データを生成する構成を例示しているが、パルス光の発光強度、発光時間、発光回数のうち少なくとも2つを組み合わせて撮像対象距離に応じて変化させるようにしてもよい。変更させるパラメータを組み合わせることで、遠近同等コントラストの合成画像をより効率的に生成することができる。
【0117】
本出願は、2015年12月21日出願の日本特許出願・出願番号2015−248826と、2015年12月21日出願の日本特許出願・出願番号2015−248827と、2015年12月21日出願の日本特許出願・出願番号2015−248828とに基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
図14
図15
図16