(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6851997
(24)【登録日】2021年3月12日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】管構造の製造方法、管構造およびそうした管構造を備える炉
(51)【国際特許分類】
F16L 13/02 20060101AFI20210322BHJP
B23K 9/00 20060101ALI20210322BHJP
F16L 15/00 20060101ALI20210322BHJP
C22C 38/00 20060101ALI20210322BHJP
C22C 38/22 20060101ALI20210322BHJP
C22C 19/05 20060101ALI20210322BHJP
C22C 38/40 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
F16L13/02
B23K9/00 501P
F16L15/00
C22C38/00 302Z
C22C38/22
C22C19/05 Z
C22C38/40
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-567354(P2017-567354)
(86)(22)【出願日】2016年6月30日
(65)【公表番号】特表2018-529894(P2018-529894A)
(43)【公表日】2018年10月11日
(86)【国際出願番号】EP2016065421
(87)【国際公開番号】WO2017001622
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2019年5月7日
(31)【優先権主張番号】15174795.3
(32)【優先日】2015年7月1日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507226695
【氏名又は名称】サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ブロームフェルト, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ヘルンブローム, ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】ノルディーン, ペータル
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレロ, アンデシュ
【審査官】
岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】
英国特許出願公告第00496293(GB,A)
【文献】
米国特許第01935041(US,A)
【文献】
中国特許出願公開第103992812(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 13/02
B23K 9/00
C22C 19/05
C22C 38/00
C22C 38/22
C22C 38/40
F16L 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の管(1)が第2の管(4)に接合され、前記管(1、4)が金属管である、管構造の製造方法であって、
a)前記第1の金属管(1)の端領域(3)に第1の雄ねじ山(2)を設けるステップと、
b)前記第2の金属管(4)の端領域(6)に第2の雄ねじ山(5)を設けるステップと、
c)金属製の第1のスリーブ部(8)に第1の雌ねじ山(9)を設けるステップと、
d)金属製の第2のスリーブ部(10)に第2の雌ねじ山(11)を設けるステップと、
e)前記第1の金属スリーブ部(8)を前記第1の金属管(1)の前記第1の雄ねじ山(2)に螺合することによって前記第1の金属管(1)上に前記第1の金属スリーブ部(8)を位置決めするステップと、
f)前記第2の金属スリーブ部(10)を前記第2の金属管(4)の前記第2の雄ねじ山(5)に螺合することによって前記第2の金属管(4)上に前記第2の金属スリーブ部(10)を位置決めするステップと、
g)前記第1および第2の金属管(1、4)の前記端領域(3、6)を互いに接触するように動かすステップと、
h)前記第1および第2の金属管(1、4)の前記端領域(3、6)を外側から突合せ溶接するステップと、
i)前記第1および第2の金属スリーブ部(8、10)の少なくとも一方をその関連の管(1、4)の前記雄ねじ山(2、5)に螺合することによって前記金属スリーブ部(8、10)をくっつけるステップと、
j)前記第1および第2の金属スリーブ部(8、10)の対向する端を外側から突合せ溶接するステップと
を含み、
前記ステップg)において、前記第1および第2の金属スリーブ部(8、10)が、前記第1と第2の金属管(1、4)の間の接合部が外側からアクセス可能なように、位置決めされ、前記第1および第2の金属スリーブ部(8、10)は、第1および第2の金属管(1、4)の軸方向において互いに離間され、それによって、それらの間、すなわち前記第1の金属管(1)と前記第2の金属管(4)との間の接合部が露出し、前記接合部に外部からアクセス可能になり、前記ステップa)の前または前記ステップf)の前に、前記第1および第2の金属管(1、4)の少なくとも一方が、前記端領域(3、6)に対応する前記管(1、4)の隣接部よりも大きな外径および肉厚を与える処理を受ける、
方法。
【請求項2】
前記処理が、前記端領域(3、6)に対応する前記管(1、4)の隣接部よりも大きな外径および肉厚を与える、前記端領域(3、6)の鍛造を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップg)とh)との間において、保護部材(14)が前記第1および第2の金属スリーブ部(8、10)と前記第1および第2の金属管(1、4)との間に位置決めされ、前記保護部材(14)が、前記第2の突合せ溶接部(12)を、前記第1および第2の金属管(1、4)ならびに前記第1の突合せ溶接部(7)から隔てる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記保護部材(14)が、セラミックである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の金属管(1)が、第1の金属合金を含み、前記第2の金属管(4)が、第2の金属合金を含み、前記第1および第2の金属合金が、異なる合金組成を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の金属合金が、Fe、CrおよびAlを含むフェライト鋼であり、前記第2の金属合金が、Fe、CrおよびNiを含むオーステナイト鋼である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の金属スリーブ部(8)および前記第2の金属スリーブ部(10)が、同じ合金組成を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
管構造であって、
i.端領域(3)に第1の雄ねじ山(2)を備える第1の金属管(1)と、
ii.端領域(6)に第2の雄ねじ山(5)を備える第2の金属管(4)と、
iii.前記第1の金属管(1)の前記端領域(3)と、前記第2の金属管(4)の前記端領域(6)とを接合する第1の突合せ溶接部(7)と、
iv.第1の雌ねじ山(9)を備え前記第1の金属管(1)の前記端領域(3)上に位置決めされる第1の金属スリーブ部(8)と、
v.第2の雌ねじ山(11)を備え前記第2の金属管(4)の前記端領域(6)上に位置決めされる第2の金属スリーブ部(10)と
を備え、
前記第1の金属スリーブ部(8)の前記の雌ねじ山(9)が、前記第1の金属管(1)の前記雄ねじ山(2)に係合し、前記第2の金属スリーブ部(10)の前記第2の雌ねじ山(11)が、前記第2の金属管(4)の前記雄ねじ山(5)に係合し、前記第1の金属スリーブ部(8)および前記第2の金属スリーブ部(10)の対向する端が、第2の突合せ溶接部(12)によって接合され、
前記第1および第2の金属管(1、4)の各前記端領域(3、6)は、その関連の前記第1および第2の金属管(1、4)の隣接部よりも外径および肉厚が大きく、各前記ねじ山の底は、それぞれの前記第1および第2の金属管(1、4)の前記隣接部の直径よりも大きな直径を有する円を囲む、
管構造。
【請求項9】
前記第2の突合せ溶接部(12)と前記第1および第2の金属管(1、4)との間、ならびに前記第2の突合せ溶接部(12)と前記第1の突合せ溶接部(7)との間には、スペース(13)がある、請求項8に記載の管構造。
【請求項10】
前記スペース(13)内に、セラミック保護部材(14)が設けられた、請求項9に記載の管構造。
【請求項11】
前記第1の金属管(1)が、第1の金属合金を含み、前記第2の金属管(4)が、第2の金属合金を含み、前記第1の金属合金および前記第2の金属合金が、異なる合金組成の合金である、請求項8から10のいずれか一項に記載の管構造。
【請求項12】
前記第1の金属スリーブ部(8)および前記第2の金属スリーブ部(10)が、同じ合金組成を有する、請求項8から11のいずれか一項に記載の管構造。
【請求項13】
熱を発生させるためのバーナー装置(16)が内部に設けられ、高温ガスまたは蒸気を炉の中に導くための請求項8から12のいずれか一項に記載の管構造が内部に設けられた炉室(15)を提供する、炉。
【請求項14】
前記管構造によって導かれる炭化水素の分解によってエチレンが生成される炉である、請求項13に記載の炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、第1の管が第2の管に接合され、第1の管および第2の管がともに金属管である、管構造の製造方法に関する。
【0002】
本開示は、さらに、その端領域に第1の雄ねじ山を備える第1の金属管と、その端領域に第2の雄ねじ山を備える第2の金属管と、第1および第2の管の前記端領域を接合する第1の突合せ溶接部と、第1および第2の金属管の外側に設けられた、第1および第2の管の雄ねじ山と結合するねじ山を形成するスリーブと、を備える、管構造に関する。
【0003】
本開示は、さらに、熱を発生させるバーナー装置を備える炉室を備える炉に関する。前記炉室は、高温ガスまたは蒸気を炉の中に導く本明細書の以下において定義されるような管構造を備える。
【背景技術】
【0004】
工業用の炉においてプロセスを実行するのに使用される例えばコイル、および直線状または一部が湾曲した管などの内部管構造は、溶接によって一緒に接合される別個の管長またはセクションから構成されることがある。別個の管セクション間の継手の信頼性の高い気密封止機能を得るために、管を連結する手段として、ねじ継手の代わりに溶接がしばしば好まれる。溶接によって接合される管と使用される溶接用の溶加合金が同じまたは近い合金からなるのであれば、ある管セクションから他の管セクションへの溶接部を越えた合金化元素の経時的な拡散は非常に限定的なもの(ほぼゼロ)になる。しかし、第1の金属合金を含む第1の金属管と、第2の金属合金を含む第2の管が接合される応用例もあり、この場合、合金化元素の拡散が起こる恐れがあり、さらに、溶接部内、または溶接部に直接隣り合うどちらの管セクションエリアにおいても、少なくとも1つの脆性相が形成される恐れがある。このことは、この脆性相が形成される場所を、同じまたは近い化学組成からなる合金の間の溶接部よりも、耐衝撃力が低く、さらに機械的に脆弱にさせることになる。したがって、そうした溶接部および/または隣接エリアは、時間がたつにつれて、管構造の弱点となり、その使用の間に支持されるように設計された機械的負荷を適宜受け入れることができなくなることがある。
【0005】
蒸気分解炉内の1つのそうした位置の一例は、前記管構造によって導かれる炭化水素の分解によってエチレンが生成される蒸気分解炉の出口セクションである。そうした炉の出口領域の、典型的には炉室の内部において、炉室内の管材料に使用されるフェライトFeCrAl合金からなる第1の管は、炉の外部への蒸気またはガスのさらなる案内に使用されるオーステナイト鉄−ニッケル−クロム(FeNiCr)合金からなる第2の管に連結されることがある。これらの材料が溶接によって接合されると、FeCrAl合金からのAlがFeCrNi合金からのNiと溶接部内またはその近くの隣接エリアにおいて相互作用し、γ’と呼ばれるニッケルアルミナイドNi
3Alが形成される傾向がある。
【0006】
さらに、FeCrNi合金が特定の量の窒素も含有する場合、硬くて脆い安定相の窒化アルミニウム(AlN)が、溶接部内またはその近くの隣接エリアに現れることもある。したがって、FeCrAl合金およびFeCrNi合金などの材料の間の溶接は、実質的に、接合された管セクションの間における元素の拡散および稼働中のある時間内におけるそうした脆性相の結果的な形成により、脆弱になる恐れがある。
【0007】
米国特許出願公開第2008/0252074号では、溶接部によって2本の管が接合される継手であって、管間の接合部にオーバーラップしねじ継手によってそれぞれの管に係合する金属スリーブが設けられる継手が開示されている。したがって、管の対向する端領域は、それぞれ雄ねじ山を備え、その一方で、スリーブは、2つの別個の雌ねじ山を備える。各雌ねじ山は、それぞれの管のそれぞれの雄ねじ山に係合することを目的とする。継手は、まず、管のうちの第1の管の上にスリーブを半分まで螺合し、スリーブの残りの半分の中に、第1の管の端にその端が合うまで第2の管を螺合し、そして管を一緒に溶接することによって達成される。この溶接作業は、内側ボア溶接(internal bore welding)によって管の内側から行わなければならない。内側ボア溶接は、溶接を正しい位置に配置することが難しく、また管の内部から良好な溶接を行うのが難しいことから、非常に複雑である。
【0008】
GB496293および米国特許1935041号には、継手が開示されている。しかし、これらの文献の継手は、必要な強度および有効な安定性を提供しない。さらに、開示の継手は、効果的な気密性、それと同時に、荷重支持特性を提供しない。
【0009】
2本の管は、スリーブが螺合によって上に位置決めされる前に、外側から溶接され得る。しかし、そうした場合、2本の管の間の任意の位置合わせ不良によって、螺合によるスリーブの位置決めが不可能になることがある。
【発明の概要】
【0010】
したがって、本開示の一態様は、管構造を製造する一代替方法を提供する。本開示は、さらに、あまり複雑でない結合手順を可能にするような管構造に関する。
【0011】
本開示の態様は、第1の管が第2の管に接合され、前記管が金属管である、管構造の製造方法であって、
a)第1の金属管の端領域に第1の雄ねじ山を設けるステップと、
b)第2の金属管の端領域に第2の雄ねじ山を設けるステップと、
c)金属製の第1のスリーブ部に第1の雌ねじ山を設けるステップと、
d)金属製の第2のスリーブ部に第2の雌ねじ山を設けるステップと、
e)前記第1の金属スリーブ部を第1の金属管の第1の雄ねじ山に螺合することによって第1の金属管上に第1の金属スリーブ部を位置決めするステップと、
f)第2の金属スリーブ部を第2の金属管の第2の雄ねじ山に螺合することによって第2の金属管上に第2の金属スリーブ部を位置決めするステップと、
g)第1および第2の金属管の端領域を互いに接触するように動かすステップと、
h)第1および第2の金属管の端領域を外側から突合せ溶接するステップと、
i)前記金属スリーブ部の少なくとも一方をその関連の管の雄ねじ山に螺合することによって第1および第2の金属スリーブ部をくっつけるステップと、
j)第1および第2の金属スリーブ部の対向する端を外側から突合せ溶接するステップと
を含み、
ステップg)において、第1および第2の金属スリーブ部が、第1と第2の金属管の間の接合部が外側からアクセス可能なように、位置決めされる、
方法、によって達成される。
【0012】
したがって、本明細書において上記または下記に定義されるような本方法は、突合せ溶接によって接合される2本の金属管の信頼性の高い結合を提供する。スリーブは、金属管の間の溶接部をまたぎ、2本の金属管とねじ継手を形成し、金属管間の溶接部によって支持されるべき荷重を減少させる荷重支持部材を形成する。ステップg)において、第1および第2の金属スリーブ部は、第1および第2の金属管の軸方向において互いに離間され、それによって、それらの間、すなわち第1の金属管と第2の金属管との間の接合部が露出し、前記接合部に外部からアクセス可能になる。
【0013】
本明細書において上記または下記に定義されるような方法の一実施形態によれば、ステップa)の前または前記ステップf)の前に、第1および第2の金属管のうちの少なくとも一方が、前記端領域に対応する前記管の隣接部よりも大きな外径および肉厚を与える処理を受ける。したがって、金属管のねじ付き部分は、ねじ山を設けることで普通なら生じる金属管の残りの部分よりも機械的に脆弱になることが回避される。
【0014】
本明細書において上記または下記に定義されるような方法の一実施形態によれば、金属管の隣接部よりも大きな直径および肉厚を備える端領域と、その金属管の隣接部との間の外径の差は、ねじ山の深さ以下であってもよい。これは、雌ねじ山の深さが、管の肉厚未満でなくてもよいことを意味し、したがって、それによって局所的に張力が集中するのが防止される。このように、金属スリーブ部の雌ねじ山の少なくとも一部は、金属管の前記隣接部にオーバーラップし金属スリーブ部の対向する端が動かされて金属管の端にそれ以上オーバーラップしないように、ねじ山の端を越えて螺合され、それによって前記端が露出されて、他方の金属管の対向する端に対するその溶接が容易になる。
【0015】
一実施形態によれば、第1および第2の金属管には、上述した特徴が設けられた。
【0016】
本明細書において上記または下記に定義されるような方法の一実施形態によれば、処理は、前記端領域に対応する金属管の隣接部よりも大きな外径および肉厚を備えるように、前記端領域の据込みなどの鍛造を含む。
【0017】
本明細書において上記または下記に定義されるような方法の一実施形態によれば、ステップg)とh)との間において、保護部材は、第1および第2の金属スリーブ部と第1および第2の金属管との間に位置決めされ、第2の突合せ溶接部を、第1および第2の金属管ならびに第1の突合せ溶接部から隔てる。それによって、スリーブが支持すべき荷重を第1の突合せ溶接部が支持することが回避される。
【0018】
本明細書において上記または下記に定義されるような方法の一実施形態によれば、保護部材は、セラミックであってよい。セラミックは、テープ形状、リング形状、またはスリーブ部を連結する溶接部が管または第1の突合せ溶接部に接触して相互作用しないようにする保護部材としての役目に適する他のあらゆる形状を有することができる。
【0019】
本明細書において上記または下記に定義されるような方法の一実施形態によれば、第1の金属管は、第1の金属合金を含み、第2の金属管は、第2の金属合金を含み、第1および第2の金属合金は、同じ組成または異なる合金組成を有することができる。一実施形態によれば、第1および第2の金属合金は、異なる合金組成を有する。一実施形態によれば、第1の金属管は、第1の金属合金を含み、第2の金属管は、第2の金属合金を含み、第1および第2の金属合金は、材料化学において、すなわちそれに含まれる合金化元素の微細構造において異なり、すなわち、相互作用して第1および第2の金属管を接合する第1の突合せ溶接部内に少なくとも1つの脆性相を形成し、それによって第1の突合せ溶接部が、それぞれの金属管よりも機械的に脆弱になる。
【0020】
本明細書において上記または下記に定義されるような方法の一実施形態によれば、第1の金属合金は、FeCrAl合金、したがって11wt%を上回るクロム含有率、および4wt%を上回るアルミニウム含有率であり、残余がFeである合金であってよい。そうした合金は、フェライト微細構造を有し、前記合金を含む物体の表面には酸化アルミニウムの保護層が形成される。そうした合金は、大量にモリブデンを含有することもできる。第2の金属合金は、FeNiCr合金、したがって11wt%を上回るクロム含有率、および20〜60wt%のニッケル含有率であり、残余がFeである合金であってよい。そうしたFeNiCrステンレス鋼合金(鉄ベースおよびニッケルベース合金を含む)は、常に、オーステナイト微細構造を有し、前記合金を含む物体の表面には酸化クロムの保護層が形成される。
【0021】
本明細書において上記または下記に定義されるような方法の一実施形態によれば、第1の金属合金は、Fe、Cr、1wt%を上回るAl、および0.1wt%未満のNiを含むステンレス鋼であり、第2の金属合金は、Fe、Cr、10wt%を上回るNi、および0.5wt%未満のAlを含むステンレス鋼である。
【0022】
本明細書において上記または下記に定義されるような方法の一実施形態によれば、異なる合金組成の結果、Ni
3Al(γ)のようなニッケルアルミナイド析出物が、第1の突合せ溶接部、または第1および第2の金属管におけるその付近の隣接エリアに生じ得る。さらなる他の一実施形態によれば、第1の金属合金は、最大0.08wt%のC、最大0.7wt%のSi、10〜25wt%のCr、1〜10wt%のAl、1.5〜5wt%のMo、最大0.4wt%のMn、残余Feおよび通常生じる不純物を含有する。
【0023】
本明細書において上記または下記に定義されるような方法の一実施形態によれば、第1の金属管の少なくとも第1の雄ねじ山は、第1の金属スリーブ部が第1の金属管上に位置決めされて第1の金属管が第2の金属管に接合される前に、酸化前処理を受ける。アルミニウム含有合金は、エチレンが炭化水素の分解によって生成される炉内で起こるような状況下では、その表面に酸化鉄が形成される恐れがある。ねじ山は、構造体のなかでも特に影響を受けやすい部分であり破壊的な酸化を受けてはならないので、前記ねじ山は、その表面上に酸化アルミニウム層が形成されるように事前酸化され、それによって前記表面に酸化鉄が形成されないようにする。
【0024】
一実施形態によれば、少なくとも第2の金属スリーブ部は、本明細書において上記で定義されるような第1の金属合金を含み、第2のスリーブの第2の雌ねじ山は、第2の金属管上に位置決めされる前に酸化前処理を受ける。第1の金属合金からなるねじ山の表面に酸化鉄が生じる危険は、対向部、この場合第2の金属管が、上述した第2の金属合金製である場合、さらに高くなる。したがって、この実施形態では、第2の金属スリーブ部の少なくとも第2の雌ねじ山は、酸化前処理を受けなければならない。一実施形態によれば、第1の金属合金製の管またはスリーブ部に設けられる上述の雌ねじ山または雄ねじ山のそれぞれは、事前酸化される。
【0025】
一実施形態によれば、第1のスリーブおよび第2の金属スリーブは、第1の金属合金を含む。一実施形態によれば、第1および第2の金属スリーブは、同じ合金組成で作られる、またはそれを有することができる。合金組成が同じか異なるかにかかわらず、それに含まれる少なくとも合金化元素は、溶接によって接合されるときに溶接部内に脆性フェースを形成しないようにされる。したがって、第1および第2の金属スリーブは、さらなる代替として、量は異なるが合金化元素が一致する鋼からなってよい。さらなる一実施形態によれば、第1および第2の金属スリーブの金属合金は、最大0.08wt%のC、最大0.7wt%のSi、10〜25wt%のCr、1〜10wt%のAl、1.5〜5wt%のMo、最大0.4wt%のMn、残余Feおよび通常生じる不純物を含有する。
【0026】
本開示の態様は、さらに、管構造であって、
i.その端領域に第1の雄ねじ山を備える第1の金属管と、
ii.その端領域に第2の雄ねじ山を備える第2の金属管と、
iii.第1の金属管の前記端領域と、第2の金属管の前記端領域とを接合する第1の突合せ溶接部と、
iv.第1の雌ねじ山を備え第1の金属管の前記端領域上に位置決めされる第1の金属スリーブ部と、
v.第2の雌ねじ山を備え第2の金属管の前記端領域上に位置決めされる第2の金属スリーブ部と
を備え、
第1の金属スリーブ部の第1の雌ねじ山が、第1の金属管の雄ねじ山に係合し、第2の金属スリーブ部の第2の雌ねじ山が、第2の金属管の雄ねじ山に係合し、第1の金属スリーブ部および第2の金属スリーブ部の対向する端が、第2の突合せ溶接部によって接合される、
管構造によって達成される。
【0027】
一実施形態によれば、第2の突合せ溶接部と第1および第2の金属管との間、ならびに第2の突合せ溶接部と第1の突合せ溶接部との間には、スペースがある。このスペースによって、第2の突合せ溶接部が第1および第2の金属管または第1の突合せ溶接部に接触して相互作用しないようになる。それによって、金属スリーブが支持すべき荷重を第1の突合せ溶接部が支持することが回避される。
【0028】
一実施形態によれば、前記スペースにはセラミック保護部材がもたらされてよく、それによって、第2の突合せ溶接部が、第1および第2の金属管ならびに第1の突合せ溶接部に接触して相互作用しないようになる。物理的な保護部材は、不正確な溶接による、第2の突合せ溶接部と金属管との間、または第2の突合せ溶接部と第1の突合せ溶接部との間の故意でない接触および相互作用を引き起こす危険を減少させるので、好ましいことがある。
【0029】
一実施形態によれば、第1の金属管は、第1の金属合金を含み、第2の金属管は、第2の金属合金を含む。一実施形態によれば、第1の金属合金および第2の金属合金は、異なる合金組成を有することができる。一実施形態によれば、第1および第2の金属合金が異なる合金組成を有し、したがって材料化学が異なることで、それらに含まれる合金化元素が相互作用する結果として、第1および第2の金属管を接合する第1の突合せ溶接部内に少なくとも1つの脆性相ができ、それによって突合せ溶接部がそれぞれの金属管よりも弱く、すなわち機械的に脆弱になる。
【0030】
本明細書において上記または下記に定義されるような方法の一実施形態によれば、第1の金属合金は、FeCrAl合金、したがって11wt%を上回るクロム含有率、および4wt%を上回るアルミニウム含有率であり、残余がFeである合金であってよい。そうした合金は、フェライト微細構造を有し、前記合金を含む物体の表面には酸化アルミニウムの保護層が形成される。そうした合金は、大量にモリブデンを含有することもできる。第2の金属合金は、FeNiCr合金、したがって11wt%を上回るクロム含有率、および20〜60wt%のニッケル含有率であり、残余がFeである合金であってよい。そうしたFeNiCrステンレス鋼合金(鉄ベースおよびニッケルベース合金を含む)は、常に、オーステナイト微細構造を有し、前記合金を含む物体の表面には酸化クロムの保護層が形成される。FeNiCr合金は、オーステナイト微細構造を有する。
【0031】
本明細書において上記または下記に定義されるような方法の一実施形態によれば、第1の金属合金は、Fe、Cr、1wt%を上回るAl、および0.1wt%未満のNiを含むステンレス鋼であり、第2の金属合金は、Fe、Cr、10wt%を上回るNi、および0.5wt%未満のAlを含むステンレス鋼である。そうした異なる材料の金属管が溶接されると、溶接部にニッケルアルミナイドが形成されやすく、それによって溶接部の靭性が低くなり、したがって、さらなる荷重支持部分を設けることがより重要になる。これは、互いに接合されるスリーブ部によって形成される提案のスリーブによって具現化される。一実施形態によれば、第1の突合せ溶接部は、ニッケルアルミナイド析出物を含み、第1の突合せ溶接部の材料は、第1の金属合金および第2の金属合金よりもより低い靭性を有する。
【0032】
一実施形態によれば、少なくとも第2の金属スリーブ部は、本明細書において上記で定義されるような第1の金属合金を含み、第2のスリーブの第2の雌ねじ山は、第2の金属管上に位置決めされる前に酸化前処理を受ける。第1の金属合金からなるねじ山の表面に酸化鉄が生じる危険は、対向部、この場合第2の金属管が上述した第2の金属合金製である場合、さらに高くなる。したがって、この実施形態では、第2の金属スリーブ部の少なくとも第2の雌ねじ山は、酸化前処理を受けなければならない。一実施形態によれば、第1の金属合金製の管またはスリーブ部に設けられる上述の雌ねじ山または雄ねじ山のそれぞれは、事前酸化される。
【0033】
一実施形態によれば、第1のスリーブおよび第2の金属スリーブは、第1の金属合金を含む。一実施形態によれば、第1および第2の金属スリーブは、同じ合金組成で作られる、またはそれを有することができる。合金組成が同じか異なるかにかかわらず、それに含まれる少なくとも合金化元素は、溶接によって接合されるときに溶接部内に脆性フェースを形成しないようにされる。したがって、第1および第2の金属スリーブは、さらなる代替として、量は異なるが合金化元素が一致する鋼からなってよい。さらなる一実施形態によれば、第1および第2の金属スリーブの金属合金は、最大0.08wt%のC、最大0.7wt%のSi、10〜25wt%のCr、1〜10wt%のAl、1.5〜5wt%のMo、最大0.4wt%のMn、残余Feおよび通常生じる不純物を含有する。
【0034】
本開示の態様は、さらに、熱を発生させるためのバーナー装置が内部に設けられ高温ガスまたは蒸気を炉の中に導く本明細書において上記または下記に定義されるような管構造が内部に設けられる炉室が設けられた、炉によって達成される。
【0035】
一実施形態によれば、炉は、前記管構造によって導かれる炭化水素の分解によってエチレンが生成される炉である。
【0036】
本開示のさらなる特徴および利点は、以下の詳細な説明において述べることにする。
【0037】
次に、添付の図面を参照して本開示の実施形態について述べる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図3】溶接によって第1および第2の金属管が接合される前の位置にある管構造の斜視図である。
【
図4】本開示による管構造が内部に配置されている炉の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本開示は、外側スリーブが2本の金属管の間の溶接部の荷重支持機能を補うまたはそれに取って代わること目的に使用されるすべての応用例に適用可能であるが、管が炭化水素系供給燃料の分解、典型的にはエチレン生成用の炉に使用される応用例に関して述べることにする。したがって、本開示は、本質的に、そうした応用例に制限されるものではないと理解されたい。
【0040】
図1は、本開示の一実施形態の管構造の断面図である。管構造は、その端領域3に第1の雄ねじ山2を備える第1の金属管1と、その端領域6に第2の雄ねじ山5を備える第2の金属管4と、第1の金属管1の前記端領域3と第2の金属管4の前記端領域6とを接合する突合せ溶接部7と、第1の雌ねじ山9を備え第1の金属管1の前記端領域3上に位置決めされる第1の金属スリーブ部8であって、第1の金属スリーブ部8の第1の雌ねじ山9が第1の金属管1の第1の雄ねじ山2に係合する、第1の金属スリーブ部8と、第2の雌ねじ山11を備え第2の金属管4の前記端領域6上に位置決めされる第2の金属スリーブ部10であって、第2の金属スリーブ部10の第2の雌ねじ山11が第2の金属管4の第2の雄ねじ山5に係合する、第2の金属スリーブ部10と、を備え、第1の金属スリーブ部8および第2の金属スリーブ部10の対向する端は、突合せ溶接部12によって接合される。本開示において、スリーブという用語は、一片の管状のねじ付き連結部を意味するものとする。
【0041】
上述した第1および第2の金属管1、4の各端領域3、6は、その関連の第1および第2の金属管1、4の隣接部よりも外径および肉厚が大きい。各ねじ山の底は、それぞれの第1および第2の金属管1、4の前記隣接部の直径よりも大きな直径を有する円を囲む。したがって、第1の金属スリーブ部8の内径は、第1の金属管1の前記隣接部の外径よりも大きく、第2の金属スリーブ部10の内径は、第2の金属管4の前記隣接部の外径よりも大きい。第1の金属管1の前記端領域3の外径は、第2の金属管4の前記端領域6の外径と一致する。
【0042】
突合せ溶接部7によって接合される第1および第2の金属管1、4の対向する端は、突合せ溶接部7が、より広がっている端が外側に向くかたちのU字形またはV字形になるように、斜めに切られている。
【0043】
突合せ溶接部12によって接合される第1および第2の金属スリーブ部8、10の対向する端は、突合せ溶接部12が、より広がっている端が外側に向くかたちのU字形またはV字形になるように、斜めに切られている。
【0044】
第1および第2の金属スリーブ部8、10の突合せ溶接部と、第1および第2の金属管1、4、またはその突合せ溶接部7との間には、スペース13がある。このスペースによって、第1および第2の金属スリーブ部8、10を連結する突合せ溶接部12が、第1および第2の金属管1、4、ならびに前記金属管1、4を連結する突合せ溶接部7に接触して相互作用しないようにされる。前記スペース13には、セラミック保護部材14がもたらされ、それによって第1および第2の金属スリーブ部8、10を連結する突合せ溶接部12が、第1および第2の金属管1、4ならびにそれらを連結する突合せ溶接部7に接触して相互作用しないようにされる。
【0045】
第1の金属管1は、第1の金属合金を含み、第2の金属管4は、第2の金属合金を含む。第1および第2の金属合金が異なる合金組成を有し、それによって材料化学が異なる結果、それらに含まれる合金化元素が溶接のときに相互作用し、第1および第2の金属管を接合する突合せ溶接部7内に少なくとも1つの脆性相が形成され、それによって突合せ溶接部7がそれぞれの金属管1、4よりも機械的に脆弱になる。本明細書では、第1の金属合金はFrCrAl合金であり、第2の金属合金はFeCrNi合金である。上述の脆性相は、したがって、ニッケルアルミナイドを含むことができる。本明細書に示される例示的な実施形態において、第1の金属合金は、最大0.08wt%のC、最大0.7wt%のSi、10〜25wt%のCr、1〜10wt%のAl、1.5〜5wt%のMo、最大0.4wt%のMn、残余Feおよび通常生じる不純物を含有する。
【0046】
第1および第2のスリーブ8、10は、同じまたは少なくとも一致する化学組成を有する鋼で作られる。本明細書に示される例示的な実施形態において、第1および第2のスリーブの金属合金は、上述した第1の金属合金であり、最大0.08wt%のC、最大0.7wt%のSi、10〜25wt%のCr、1〜10wt%のAl、1.5〜5wt%のMo、最大0.4wt%のMn、残余Feおよび通常生じる不純物を含有する。
【0047】
第2の金属スリーブ部10の第2の雌ねじ山11には、(図面では見えない)酸化アルミニウム層が設けられる。第1の金属合金からなるねじ山の表面に酸化鉄ができる危険性は、対向部、この場合第2の金属管4が上述の第2の金属合金で作られ第2の金属スリーブ部10が第1の金属合金によって形成される場合、さらに高くなる。したがって、第2の金属スリーブ部10の少なくとも第2の雌ねじ山11は、酸化前処理を受けなければならず、その結果、上に酸化アルミニウム層が得られる。本明細書に示される例示的な実施形態において、第1の金属スリーブ部8の第1の雌ねじ山9には、酸化アルミニウム保護層が設けられる。第1の金属管1の第1の雄ねじ山2にも、酸化アルミニウム保護層が設けられる。
【0048】
管構造は、第1の金属管1と第2の金属管4との間には、第1および第2の金属管1、4を連結する突合せ溶接部7によって画成されるガス密連結がもたらされ、その一方で、第1および第2の金属スリーブ部8、10によって形成されるスリーブは、管構造の荷重支持部を形成し、それによって第1および第2の金属管1、4を連結する突合せ溶接部7が受け入れなければならない機械的負荷が減少する。例示的な実施形態によれば、突合せ溶接部12によって連結される第1および第2の金属スリーブ部8、10によって形成される荷重支持部は、第1および第2の金属管1、4を連結する突合せ溶接部が支持する機械的負荷よりも、管構造が受ける機械的負荷のより大きな部分を支持するように設計される。
【0049】
本明細書において上述される管構造を実現する例示的な実施形態は、以下のステップである、
・第1の金属管1の端領域3に第1の雄ねじ山2を設けるステップと、
・第2の金属管(4)の端領域6に第2の雄ねじ山5を設けるステップと、
・金属製の第1のスリーブ部8に第1の雌ねじ山(9)を設けるステップと、
・金属製の第2のスリーブ部10に第2の雌ねじ山11を設けるステップと、
・前記第1の金属スリーブ部8を第1の金属管1の第1の雄ねじ山2に螺合することによって第1の金属管1上に第1の金属スリーブ部8を位置決めするステップと、
・前記第2の金属スリーブ部10を第2の金属管4の第2の雄ねじ山5に螺合することによって第2の金属管4上に第2の金属スリーブ部10を位置決めするステップと、
・第1および第2の金属管1、4の端領域3、6を互いに接触するように動かすステップと、
・第1および第2の金属管1、4の端領域3、6を外側から突合せ溶接するステップと、
・前記金属スリーブ部8、10の少なくとも一方をその関連の管1、4の雄ねじ山2、5に螺合することによって第1および第2の金属スリーブ部8、10をくっつけるステップと、
・第1および第2の金属スリーブ部8、10の対向する端を外側から突合せ溶接するステップと
を含む。
【0050】
上述のねじ山2、5、9、11は、典型的には、それを備えるそれぞれの構成要素を機械加工することによって作成される。
【0051】
突合せ溶接プロセスは、溶加材として上述の第1の金属合金を用いる、場合によっては手動による、TIG(タングステン不活性ガス)溶接プロセスを含むことが提案される。しかし、溶加材として他の適当な合金を使用することもできる。溶加材は、ストリップまたはワイヤの形であってよい。
【0052】
第1および第2の金属管1、4の前記端領域3、6に前記雄ねじ山2、5を設ける前に、金属管1、4は、端領域3、6に対応する金属管1、4の隣接部よりも大きな外径および肉厚を与える処理を受ける。この処理は、据込みとも称される、鍛造ステップを含む。
【0053】
第1および第2の金属スリーブ部8、10の対向する端を突合せ溶接によって接合する前に、セラミック保護部材14が、第1および第2の金属スリーブ部8、10と第1および第2の金属管1、4との間の位置であって、保護部材14により第1および第2の金属スリーブ部8、10の突合せ溶接部12が第1および第2の金属管1、4ならびにそれらを連結する突合せ溶接部7に接触および相互作用しなくなるような位置に、位置決めされる。
【0054】
第2の金属スリーブ部10の第2の雌ねじ山11は、第2の金属スリーブ部10が第2の金属管上に位置決めされて第2の金属管4が第1の金属管1に接合される前に、酸化前処理を受ける。酸化前処理は、第2の金属スリーブ部10を、約8時間、温度約1100℃まで加熱することを含む。
【0055】
本明細書に示される例示的な実施形態において、第1の金属スリーブ部8の第1の雌ねじ山9および第1の金属管1の第1の雄ねじ山2にも、対応する熱処理によって酸化アルミニウム層が設けられた。
【0056】
図4は、炉室15が設けられた炉を示している。炉室15内には、熱を発生させるバーナー装置16が設けられ、さらに、本明細書の上記で定義されるような高温ガスまたは蒸気を炉の中に導く管構造が設けられる。この特定の実施形態において、炉は、前記管構造によって導かれる炭化水素の分解によってエチレンが生成される炉である。
【0057】
炉室15内において、管構造が(ここでは、突合せ溶接部20、21によって)連結される管材料19は、管材料19によって形成される。上述の第1の金属合金は、前記管材料19の材料として使用されることが示唆される。炉室15の出口17の領域の炉室15の内部には上述の管構造が設けられ、管構造の第2の金属管4は、前記出口17から前記炉室15の外に延在する。炉室15の入口18の炉室15の内部には、本明細書において上記で定義されるような他の管構造が配置される。この管構造の第2の金属管4は、入口18から炉室の外に延在する。