(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
透光性を有する容器フィルムに形成されたポケット部に所定の内容物が収容されると共に、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムの平坦部裏面に対しカバーフィルムが取着されてなり、該容器フィルムの平坦部裏面に取着された前記カバーフィルムの所定位置に刻印が付されたPTPシートを製造する際に用いられる検査装置であって、
前記カバーフィルムに対し前記容器フィルムの表面側から該容器フィルム越しに所定の光を照射可能な照射手段と、
前記所定の光が照射された前記カバーフィルムを前記容器フィルムの表面側から該容器フィルム越しに撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段から出力される画像信号を処理する画像処理手段とを備え、
前記照射手段は、
前記容器フィルムの平坦部表面における前記所定の光の入射角度が、前記容器フィルムへ入射する光のうち、前記カバーフィルムの一般部及び前記刻印のうちの一方から反射して前記容器フィルムを出射する光が前記撮像手段に略入射し、かつ、他方から反射して前記容器フィルムを出射する光が前記撮像手段に略入射しない所定角度に設定され、
前記画像処理手段は、
前記画像信号から得た画像データに基づき、前記カバーフィルムにおける明暗を判別することにより、前記刻印を検出可能な刻印検出手段と、
前記刻印検出手段の検出結果に基づき、前記刻印に関する検査を行う検査手段とを備えたことを特徴とする検査装置。
透光性を有する容器フィルムに形成されたポケット部に所定の内容物が収容されると共に、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムの平坦部裏面に対しカバーフィルムが取着されてなるPTPシートを製造するためのPTPシートの製造方法であって、
帯状に搬送される前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成工程と、
前記ポケット部に前記内容物を充填する充填工程と、
前記ポケット部に前記内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着する取着工程と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着されてなる帯状のフィルム体における前記カバーフィルム側の所定位置に刻印を付す刻印工程と、
前記帯状のフィルム体からPTPシートを切離す切離工程と、
前記刻印に関する検査を行う刻印検査工程とを備え、
前記刻印検査工程において、
前記カバーフィルムに対し前記容器フィルムの表面側から該容器フィルム越しに所定の光を照射する照射工程と、
前記所定の光が照射された前記カバーフィルムを、撮像手段を用いて前記容器フィルムの表面側から該容器フィルム越しに撮像する撮像工程と、
前記撮像工程において取得した画像データに基づき、前記カバーフィルムにおける明暗を判別することにより、前記刻印を検出する刻印検出工程と、
前記照射工程において、
前記容器フィルムの平坦部表面における前記所定の光の入射角度が、前記容器フィルムへ入射する光のうち、前記カバーフィルムの一般部及び前記刻印のうちの一方から反射して前記容器フィルムを出射する光が前記撮像手段に略入射し、かつ、他方から反射して前記容器フィルムを出射する光が前記撮像手段に略入射しない所定角度に設定されていることを特徴とするPTPシートの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献2に係る従来技術では、
図16に示すように、PTPシート100に対しカバーフィルム101側から光を照射し、該カバーフィルム101から反射した光を撮像装置102により撮像することにより、刻印103に関する検査を行う構成となっている。
【0012】
より具体的には、カバーフィルム101に対し照射された光L21,L22のうち、刻印103の露出面にて反射した光L21のみが撮像装置102に入射し、カバーフィルム101の一般部(刻印非形成領域)にて反射した光L22については撮像装置102に入射しないように設定されている。
【0013】
つまり、特許文献2に係る従来技術では、刻印103の形成時においてカバーフィルム101に対し刻印装置の丁金が直接触れて擦られた刻印103の露出面にて反射した光L21を撮像することにより、刻印103の検出や検査を行う構成となっている。
【0014】
上述したように、カバーフィルム101はアルミニウム箔等を基材として形成されており、刻印装置の丁金などに比べ軟質で傷つきやすい。そのため、丁金が直接触れて擦られた刻印103の露出面は、その表面が荒れて光の乱反射が強くなるおそれがある。
【0015】
結果として、刻印103の露出面にて反射し撮像装置102へ向かう正反射成分が弱くなり、刻印103の検出や検査に必要な一定の光量が得られず、例えば刻印103の輪郭部分がぼやけてしまうなど、刻印103の検出や検査を適切に行うことが困難となるおそれがある。
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、PTPシートに付された刻印に関する検査をより適切に行うことのできる検査装置及びPTP包装機、並びに、PTPシートの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0018】
手段1.透光性を有する容器フィルムに形成されたポケット部に所定の内容物が収容されると共に、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムの平坦部裏面に対しカバーフィルムが取着されてなり、該容器フィルムの平坦部裏面に取着された前記カバーフィルムの所定位置に刻印が付されたPTPシートを製造する際に用いられる検査装置であって、
前記カバーフィルムに対し前記容器フィルムの表面側から該容器フィルム越しに所定の光を照射可能な照射手段と、
前記所定の光が照射された前記カバーフィルムを前記容器フィルムの表面側から該容器フィルム越しに撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段から出力される画像信号を処理する画像処理手段とを備え、
前記照射手段は、
前記容器フィルムの平坦部表面における前記所定の光の入射角度が、前記容器フィルムへ入射する光のうち、前記カバーフィルムの一般部及び前記刻印のうちの一方から反射(二次的な反射を含む)して前記容器フィルムを出射する光が前記撮像手段に略入射し、かつ、他方から反射(二次的な反射を含む)して前記容器フィルムを出射する光が前記撮像手段に略入射しない所定角度に設定され、
前記画像処理手段は、
前記画像信号から得た画像データに基づき、前記カバーフィルムにおける明暗を判別することにより、前記刻印を検出可能な刻印検出手段と、
前記刻印検出手段の検出結果に基づき、前記刻印に関する検査を行う検査手段(例えば刻印の良否を判定可能な判定手段など)とを備えたことを特徴とする検査装置。
【0019】
尚、以下同様であるが、「容器フィルムの平坦部(フランジ部)」とは、「容器フィルムのうち、ポケット部が形成されておらず、カバーフィルムが取着される略平坦な部位(ポケット部非形成領域)」を指す。
【0020】
「カバーフィルムの一般部」とは、「カバーフィルムのうち、刻印が付されていない部位(刻印非形成領域)」を指す。
【0021】
「透光性を有する容器フィルム(光を透過する性質を有する容器フィルム)」には、光の透過率が高く、該フィルムを通してその向こう側が透けて見える「透明の容器フィルム」が含まれる。ここで「透明」とは、透光性を有するフィルムの材質を示す表現であり、色彩の有無とは無関係である。従って、「透明」の容器フィルムには、例えば「無色透明」の容器フィルムは勿論のこと、「有色透明」の容器フィルムも含まれる。
【0022】
上記手段1によれば、容器フィルムに取着されたカバーフィルムに対し容器フィルムの表面側から該容器フィルム越しに所定の光を照射し、該光が照射されたカバーフィルムを容器フィルムの表面側から該容器フィルム越しに撮像する。
【0023】
ここで、容器フィルムの平坦部表面における前記所定の光の入射角度が、容器フィルムへ入射する光のうち、カバーフィルムの一般部及び刻印のうちの一方から反射して容器フィルムを出射する光が撮像手段に略入射し、かつ、他方から反射して容器フィルムを出射する光が撮像手段に略入射しない所定角度に設定されている。
【0024】
これにより、撮像手段により取得された輝度画像データにおいては、カバーフィルムの一般部及び刻印のうちの一方が明るく、他方が暗く映ることとなる。
【0025】
従って、これらの明暗の差(輝度差)を考慮して所定の閾値を設定することで、明部又は暗部として刻印を検出することができる。結果として、PTPシートに付された刻印の良否判定など、刻印に関する検査を行うことができる。
【0026】
例えば入射角度が「特定角度又は特定角度範囲」よりも大きい大入射角で光を照射した場合、取得される輝度画像データにおいては、カバーフィルムの一般部に比べ刻印が明るく映る。
【0027】
逆に、入射角度が「特定角度又は特定角度範囲」より小さい小入射角で光を照射した場合、取得される輝度画像データにおいては、カバーフィルムの一般部に比べ刻印が暗く映る。
【0028】
特に本手段によれば、カバーフィルムの非露出面側(容器フィルムにより保護された面)を撮像することにより、刻印の検出及び検査を行う構成となっている。刻印の非露出面は、刻印装置の丁金が直接触れて擦られる刻印の露出面のように、その表面が荒れて光の乱反射が強くなるといった不具合が発生しにくい。結果として、刻印をより適切に検出し、刻印に関する検査をより適切に行うことが可能となる。
【0029】
尚、上記「特定角度又は特定角度範囲」は、カバーフィルムの一般部と刻印が明暗により判別困難又は判別不能となる角度又は角度範囲(例えば30°以上45°未満)であって、刻印の形状(V字角度など)や、容器フィルムの光の透過率、カバーフィルムの光の反射率等により定まるものである。従って、「特定角度又は特定角度範囲」は、製品の仕様ごとに異なる。
【0030】
また、上記手段1において、「前記照射手段は、前記容器フィルムの平坦部表面における前記所定の光の入射角度が、前記容器フィルムへ入射する光のうち、前記カバーフィルムの一般部及び前記刻印のうちの一方から反射して前記容器フィルムを出射する光が前記撮像手段に略入射し、かつ、他方から反射して前記容器フィルムを出射する光が前記撮像手段に略入射しない所定角度に設定され」とあるのを、「前記照射手段は、特定角度又は特定角度範囲(例えば30°以上45°未満)を除く所定角度に設定され」と換言することもできる。
【0031】
手段2.前記照射手段は、
前記容器フィルムの平坦部表面における前記所定の光の入射角度が、前記容器フィルムへ入射する光のうち、前記刻印から反射(二次的な反射を含む)して前記容器フィルムを出射する光が前記撮像手段に略入射し、かつ、前記カバーフィルムの一般部から反射(二次的な反射を含む)して前記容器フィルムを出射する光が前記撮像手段に略入射しない所定の大入射角(例えば45°以上90°未満)に設定され、
前記刻印検出手段は、
前記画像データにおける明部を前記刻印として検出可能に構成されていることを特徴とする手段1に記載の検査装置。
【0032】
上記手段2によれば、撮像手段により取得された画像データにおいて、カバーフィルムの一般部などに比べ、刻印が明るく映ることとなる。このため、カバーフィルムに印刷された記号、文字、模様などの印刷部や、容器フィルムの平坦部表面に付着した異物等に影響を受けることなく、より適切に刻印を検出することが可能となる。
【0033】
手段3.前記照射手段は、
前記容器フィルムの平坦部表面における前記所定の光の入射角度が、前記容器フィルムへ入射する光のうち、前記カバーフィルムの一般部から反射(二次的な反射を含む)して前記容器フィルムを出射する光が前記撮像手段に略入射し、かつ、前記刻印から反射(二次的な反射を含む)して前記容器フィルムを出射する光が前記撮像手段に略入射しない所定の小入射角(例えば0°以上30°未満)に設定され、
前記刻印検出手段は、
前記画像データにおける暗部を前記刻印として検出可能に構成されていることを特徴とする手段1に記載の検査装置。
【0034】
上記手段3によれば、撮像手段により取得された画像データにおいて、刻印に比べカバーフィルムの一般部などが明るく映ることとなる。このため、例えば容器フィルムの平坦部表面に付着した異物の検査や、容器フィルムとカバーフィルムとの間に存在する異物の検査、ポケット部に収容された内容物に付着した異物の検査など、PTPシートに係る他の検査を刻印検査と同時に行うことも可能となり、検査効率の向上を図ることができる。
【0035】
また、光の入射角度を小入射角とすることで、照射手段の位置(光軸)を撮像手段の位置(光軸)に近づけることができる。結果として、照射手段を設置するスペースの拡張を抑え、検査装置のコンパクト化を図ることできる。
【0036】
手段4.前記検査手段は、
前記刻印検出手段の検出結果に基づき、前記刻印として刻まれた文字(数字や記号等を含む)を認識可能な文字認識手段と、
前記文字認識手段により認識された前記刻印の文字と、所定の記憶手段に予め記憶された文字とを照合可能な照合手段とを備えていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の検査装置。
【0037】
上記手段4によれば、PTPシートに付された刻印の内容が適切なものか否かを検査することができる。これにより、例えば刻印装置への丁金の取付ミスなどに起因して、製造予定のPTPシートに係るロット番号と、実際に製造したPTPシートに付された刻印の内容(ロット番号)とが異なる刻印間違いなどの不具合が発生した場合であっても、かかる不具合の発生を上記照合により早期発見することができる。ひいては、上記照合の結果に基づき異常報知処理や生産ラインの停止処理などを早期に実行することができる。
【0038】
手段5.前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着されてなるフィルム体(PTPフィルムやPTPシート)に対し所定の光を照射可能な第2の照射手段と、
前記第2の照射手段とは前記フィルム体を介して反対側に設けられ、前記フィルム体を通過した光を撮像可能な第2の撮像手段とを備え、
前記画像処理手段は、
前記第2の撮像手段より出力される画像信号から取得された画像データに基づき、前記フィルム体における明暗を判別することにより、前記カバーフィルムを貫通した刻印貫通部を検出可能な刻印貫通部検出手段を備えたことを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の検査装置。
【0039】
例えば刻印装置の不具合等により、PTPフィルム等のフィルム体に食い込む丁金の量が多すぎる場合には、カバーフィルムが切断されてしまい、カバーフィルムの一部に切れ目、すなわち刻印貫通部が形成されるおそれがある。
【0040】
かかる場合、上記手段5によれば、第2の照射手段からフィルム体に対し照射された光の一部は、刻印貫通部を通過し、第2の撮像手段によって撮像されることとなる。そして、第2の撮像手段により取得された画像データにおいては、刻印貫通部が存在する箇所が他の正常な部位に比べ明るく映ることとなる。
【0041】
つまり、第2の撮像手段により取得された画像データにおいて明部が検出された場合には、カバーフィルムに切れ目(刻印貫通部)が形成されていると判断することができる。
【0042】
これにより、例えば刻印(文字)の太さなどは適正範囲内にあるが、刻印がフィルム体を貫通してしまった不良品など、反射光式の検査では検出できないような不良品をより確実に検出することができる。結果として、刻印に関する検査における検査精度のさらなる向上を図ることができる。
【0043】
ここで、フィルム体(容器フィルムの平坦部表面又はカバーフィルムの一般部)の法線方向に沿って第2の照射手段の光軸を設定し(入射角0°)、フィルム体の法線方向に沿って第2の撮像手段の光軸が設定されていることが好ましい。
【0044】
手段6.上記手段1乃至5のいずれかに記載の検査装置を備えたことを特徴とするPTP包装機。
【0045】
上記手段6のように、上記手段1等に係る検査装置をPTP包装機に備えることで、PTPシートの製造過程において、刻印形成不良のPTPシート(不良品)を除外できる等のメリットが生じる。
【0046】
一般に、PTP包装機は、帯状に搬送される容器フィルムに対しポケット部を形成するポケット部形成手段と、前記ポケット部に対し内容物を充填する充填手段と、前記ポケット部に前記内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状のカバーフィルムを取着する取着手段と、前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着されてなる帯状のフィルム体(PTPフィルム)における前記カバーフィルム側の所定位置に刻印を付す刻印手段と、前記帯状のフィルム体からPTPシートを切離す切離手段(シート単位に打抜く打抜手段を含む)とを備える。加えて、PTP包装機は、上記検査装置によって不良と判定されたPTPシートを排出する排出手段を備える構成としてもよい。
【0047】
ここで、上記手段6において、上記検査装置を「刻印手段により刻印が付された後工程かつ切離手段によりPTPシートが切離される前工程」に配置した構成としてもよい。
【0048】
このようにすれば、刻印形成不良のPTPシート(不良品)を、刻印工程後のより早い段階で検出することができる。ひいては、PTPシートの製造をより早い段階で停止することができ、不良品の発生数を抑制することができる。
【0049】
また、帯状のフィルム体(PTPフィルム)からPTPシートが切離される前工程においては、検査時において、検査対象とするPTPシート範囲の位置や向きが照射手段及び撮像手段に対して一定に維持されている。そのため、刻印の検出や検査を行うにあたり、事前にPTPシート範囲の位置や向きを調整する必要もなく、より容易かつより高速に検査を行うことができる。ひいては、さらなる検査精度の向上を図ることができる。
【0050】
また、上記検査装置を「切離手段によりPTPシートが切離された後工程」に配置した構成としてもよい。かかる場合、不良品が混ざっていないかを最終段階で確認することができる。
【0051】
手段7.透光性を有する容器フィルムに形成されたポケット部に所定の内容物が収容されると共に、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムの平坦部裏面に対しカバーフィルムが取着されてなるPTPシートを製造するためのPTPシートの製造方法であって、
帯状に搬送される前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成工程と、
前記ポケット部に前記内容物を充填する充填工程と、
前記ポケット部に前記内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着する取着工程と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着されてなる帯状のフィルム体(PTPフィルム)における前記カバーフィルム側の所定位置に刻印を付す刻印工程と、
前記帯状のフィルム体からPTPシートを切離す切離工程(シート単位に打抜く打抜工程を含む)と、
前記刻印に関する検査を行う刻印検査工程とを備え
、
前記刻印検査工程において、
前記カバーフィルムに対し前記容器フィルムの表面側から該容器フィルム越しに所定の光を照射する照射工程と、
前記所定の光が照射された前記カバーフィルムを、撮像手段を用いて前記容器フィルムの表面側から該容器フィルム越しに撮像する撮像工程と、
前記撮像工程において取得した画像データに基づき、前記カバーフィルムにおける明暗を判別することにより、前記刻印を検出する刻印検出工程と、
前記照射工程において、
前記容器フィルムの平坦部表面における前記所定の光の入射角度が、前記容器フィルムへ入射する光のうち、前記カバーフィルムの一般部及び前記刻印のうちの一方から反射(二次的な反射を含む)して前記容器フィルムを出射する光が前記撮像手段に略入射し、かつ、他方から反射(二次的な反射を含む)して前記容器フィルムを出射する光が前記撮像手段に略入射しない所定角度に設定されていることを特徴とするPTPシートの製造方法。
【0052】
上記手段7によれば、上記手段6と同様の作用効果が奏される。従って、上記手段7において、上記刻印検査工程を「刻印工程よりも後工程かつ切離工程よりも前工程」に行う構成としてもよい。また、上記刻印検査工程を「切離工程よりも後工程」に行う構成としてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まずPTPシートの構成について詳しく説明する。
【0057】
図1(a),(b)及び
図2に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3の平坦部3aの裏面に取着されたカバーフィルム4とを有している。
【0058】
本実施形態における容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の無色透明の熱可塑性樹脂材料により形成され、透光性を有している。
【0059】
一方、カバーフィルム4は、例えばポリプロピレン樹脂等からなるシーラントが表面に設けられたアルミニウム箔(アルミラミネートフィルム)などの不透明材料により形成され、透光性を有しない。
【0060】
PTPシート1は、平面視略矩形状に形成されている。PTPシート1には、シート長手方向に沿って配列された5個のポケット部2からなるポケット列が、シート短手方向に2列形成されている。つまり、計10個のポケット部2が形成されている。各ポケット部2には、内容物として錠剤5が1つずつ収容されている。
【0061】
PTPシート1の容器フィルム3には、該PTPシート1を、2つのポケット部2が含まれるシート小片6単位に切離すことができるように複数の切離用スリット7が形成されている。各切離用スリット7は、PTPシート1のシート短手方向に沿って形成されている。
【0062】
さらに、PTPシート1のシート長手方向一端部にはタグ部8が設けられている。
図1(b)に示すように、タグ部8のカバーフィルム4側には刻印Kが付されている。
【0063】
本実施形態では、6文字(数字を含む)の組合せからなる識別情報としてのロット番号「ABC001」が刻印Kとして付されている。勿論、刻印Kの文字数や内容など、刻印に係る構成は、これに限定されるものではない。例えば、ロット番号に代えて又は加えて、製造年月日や使用期限等が刻印Kとして付される構成としてもよい。
【0064】
尚、
図1(a)に示すように、刻印Kは、透明の容器フィルム3を介して、容器フィルム3側からも表裏反転した状態で視認可能となっている。
【0065】
刻印Kを構成する各文字(「A」、「B」、「C」、「0」、「0」、「1」)は、それぞれカバーフィルム4側に断面略V字状に刻まれた溝部によって構成されている。
【0066】
PTPシート1(
図1参照)は、帯状の容器フィルム3及び帯状のカバーフィルム4から形成されたフィルム体としての帯状のPTPフィルム9(
図3参照)がシート状に打抜かれることにより製造される。
【0067】
次に、上記PTPシート1を製造するPTP包装機10の概略構成について
図4を参照して説明する。
【0068】
図4に示すように、PTP包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、間欠的に回転するモータに連結されており、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
【0069】
ガイドロール13と間欠送りロール14との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置15及びポケット部形成装置16が順に配設されている。そして、加熱装置15によって容器フィルム3が加熱されて該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット部形成装置16によって容器フィルム3の所定位置に複数のポケット部2が形成される(ポケット部形成工程)。加熱装置15及びポケット部形成装置16によって、本実施形態におけるポケット部形成手段が構成される。ポケット部2の形成は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
【0070】
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及びフィルム受けロール20の順に掛装されている。フィルム受けロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的に且つ一定速度で搬送する。テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール14とフィルム受けロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の撓みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
【0071】
ガイドロール19とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、錠剤充填装置21及び錠剤検査装置22が順に配設されている。
【0072】
錠剤充填装置21は、ポケット部2に錠剤5を自動的に充填する充填手段としての機能を有する。錠剤充填装置21は、フィルム受けロール20による容器フィルム3の搬送動作と同期して、所定間隔毎にシャッタを開くことで錠剤5を落下させるものであり、このシャッタ開放動作に伴って各ポケット部2に錠剤5が充填される(充填工程)。
【0073】
錠剤検査装置22は、例えば錠剤5が各ポケット部2に確実に充填されているか否か、錠剤5の異常の有無、ポケット部2への異物混入の有無など、主として錠剤不良に関する検査を行うためのものである。
【0074】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。
【0075】
ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール24によって加熱ロール25の方へと案内されている。加熱ロール25は、前記フィルム受けロール20に圧接可能となっており、両ロール20,25間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。
【0076】
そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール20,25間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3にカバーフィルム4が貼着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる(取着工程)。これにより、錠剤5が各ポケット部2に収容された帯状のPTPフィルム9が製造されるようになっている。従って、フィルム受けロール20及び加熱ロール25により本実施形態における取着手段が構成される。
【0077】
フィルム受けロール20から送り出されたPTPフィルム9は、テンションロール27及び間欠送りロール28の順に掛装されている。間欠送りロール28は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム9を間欠的に搬送する。テンションロール27は、PTPフィルム9を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記フィルム受けロール20と間欠送りロール28との搬送動作の相違によるPTPフィルム9の撓みを防止してPTPフィルム9を常時緊張状態に保持する。
【0078】
間欠送りロール28から送り出されたPTPフィルム9は、テンションロール33及び間欠送りロール34の順に掛装されている。間欠送りロール34は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム9を間欠的に搬送する。テンションロール33は、PTPフィルム9を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール28,34間でのPTPフィルム9の撓みを防止する。
【0079】
間欠送りロール28とテンションロール33との間には、PTPフィルム9の搬送経路に沿って、スリット形成装置29、刻印装置30及び刻印検査装置31が順に配設されている。
【0080】
スリット形成装置29は、PTPフィルム9における容器フィルム3の所定位置に切離用スリット7を形成するスリット形成手段としての機能を有する。
【0081】
刻印装置30は、PTPフィルム9におけるカバーフィルム4側の所定位置(本実施形態では、打抜き後のPTPシート1のタグ部8に対応する位置)に上記刻印Kを付す機能を有する。
【0082】
刻印検査装置31は、PTPフィルム9において刻印Kが適正に付されているか否かなど、刻印Kに関する検査を行うためのものである。
【0083】
間欠送りロール34から送り出されたPTPフィルム9は、その下流側においてテンションロール35及び連続送りロール36の順に掛装されている。間欠送りロール34とテンションロール35との間には、PTPフィルム9の搬送経路に沿って、シート打抜装置37が配設されている。
【0084】
シート打抜装置37は、PTPフィルム9をPTPシート1単位にその外縁を打抜くシート打抜手段(切離手段)としての機能を有する。本実施形態において、PTPシート1は、そのシート短手方向がPTPフィルム9の搬送方向(フィルム搬送方向)であるX軸方向に沿うように、かつ、そのシート長手方向がフィルム搬送方向(X軸方向)と直交するPTPフィルム9の幅方向(フィルム幅方向)であるY軸方向に沿うように、鉛直方向であるZ軸方向に打抜かれる(
図1,
図3,
図4等参照)。
【0085】
シート打抜装置37によって打抜かれたPTPシート1は、コンベア39によって搬送され、完成品用ホッパ40に一旦貯留される(切離工程)。但し、上記錠剤検査装置22や刻印検査装置31によって不良品と判定されたPTPシート1は、完成品用ホッパ40へ送られることなく、図示しない排出手段としての不良シート排出機構によって別途排出される。
【0086】
前記連続送りロール36の下流側には、裁断装置41が配設されている。そして、シート打抜装置37による打抜き後に帯状に残った残材部(スクラップ部)を構成する不要フィルム部42は、前記テンションロール35及び連続送りロール36に案内された後、裁断装置41に導かれる。なお、前記連続送りロール36は従動ロールが圧接されており、前記不要フィルム部42を挟持しながら搬送動作を行う。裁断装置41では、不要フィルム部42を所定寸法に裁断しスクラップ処理する機能を有する。このスクラップはスクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。
【0087】
尚、上記各ロール14,20,28,33,34などは、そのロール表面とポケット部2とが対向する位置関係となっているが、間欠送りロール14等の表面には、ポケット部2が収容される凹部が形成されているため、ポケット部2が潰れてしまうことがない。また、ポケット部2が間欠送りロール14等の各凹部に収容されながら送り動作が行われることで、間欠送り動作や連続送り動作が確実に行われる。
【0088】
また、詳細な図示は省略するが、PTP包装機10は、上記ポケット部形成装置16、錠剤充填装置21、刻印装置30、シート打抜装置37などの各種装置の駆動制御や、間欠送りロール14などの各種ローラの駆動制御などを司る管理制御装置を備えている(
図10参照)。
【0089】
前記管理制御装置は、演算手段としてのCPUや、各種プログラムを記憶するROM、演算データや入出力データなどの各種データを一時的に記憶するRAMなどを備えている。
【0090】
そして、前記管理制御装置は、上記RAMにおいて、錠剤5の品種情報やロット番号など、製造するPTPシート1に関する各種製品情報を記憶している。尚、かかる製品情報は、予め作業者の入力操作により人為的に設定される構成としてもよいし、工場のホストコンピュータ等から外部受信して自動的に設定される構成としてもよい。
【0091】
さらに、PTP包装機10の下流側には、図示しない集積装置、移送装置、包装装置等が順に設置されている。そして、上記完成品用ホッパ40に収容されたバラのPTPシート1は、例えば2枚一組の抱き合せ状態とされた上で、集積装置において複数組ずつ積み上げられる。積み上げられた複数のPTPシート1からなる集積体は、移送装置によってバンド結束されつつ包装装置へと移送され、包装装置においてピロー包装等される。
【0092】
PTP包装機10の概略は以上のとおりであるが、以下において、上記刻印装置30及び刻印検査装置31の構成について図面を参照して詳しく説明する。
【0093】
まず刻印装置30について図面を参照して説明する。
図5は、X軸方向及びZ軸方向を含むX−Z平面に沿って刻印装置30を切断したX−Z平面断面図であって、主に刻印装置30のベース機構部140を示す部分断面図である。
【0094】
図5に示すように、刻印装置30のベース機構部140は、所定のクランク機構141と、これにより上下動可能に設けられた可動ベース板142とを備えている。より詳しくは、可動ベース板142の中央下部には、ブラケット143が垂下固定されており、該ブラケット143にクランク機構141が設けられている。
【0095】
クランク機構141は、図示しないモータにより回転駆動される駆動軸144Aと、該駆動軸144Aの先端に設けられた回転板144Bと、該回転板144Bの軸心(駆動軸144A)に対し偏心して設けられた偏心軸145と、該偏心軸145及びブラケット143間を連結する連結アーム146とを備えている。
【0096】
可動ベース板142には、複数本のロッド147が垂下状態で設置されている。これらのロッド147は、図示しないベアリング機構を介して固設されたスプール148に挿通されている。これにより、駆動軸144Aが回転すると、偏心軸145が駆動軸144Aを中心に旋回し、連結アーム146が上下動することとなる。このとき、ロッド147は、Z軸方向のみの移動が許容されているため、可動ベース板142はZ軸方向に上下動を行うこととなる。
【0097】
また、刻印装置30のベース機構部140には、可動ベース板142の上方において移動不能に固定された天板155が設けられている。天板155の下部には、受板156が固定されている。該受板156の下面は平坦面となっている。そして、受板156と可動ベース板142との間において、ポケット部2を下に向けた状態のPTPフィルム9が
図5のX軸方向右向きに間欠搬送されるようになっている。
【0098】
可動ベース板142の幅方向(Y軸方向)両端部にはストッパ157が立設されている(
図7参照)。これにより、可動ベース板142の上動時においては、ストッパ157が受板156に当接することとなり、可動ベース板142の所定量以上の上動が規制される。
【0099】
ベース機構部140の幅方向(Y軸方向)一端部には加圧機構部159が設けられている(
図6,7参照)。
図6は、主に加圧機構部159を示す刻印装置30のX−Z平面部分断面図であり、
図7は、主に加圧機構部159を示す刻印装置30のY−Z平面部分断面図である。
【0100】
加圧機構部159は、PTPフィルム9のカバーフィルム4側から丁金158を加圧し、PTPフィルム9のカバーフィルム4側に上記刻印Kを付すための機構である。
【0101】
より詳しくは、受板156及び天板155の幅方向一端部において孔部162が形成され、該孔部162内を加圧機構部159が上下動可能に設けられている。
【0102】
一方、加圧機構部159に対向するように、可動ベース板142の幅方向一端部には、加圧機構部159からの圧力を容器フィルム3側において受ける受圧部161が設けられている。
【0103】
受圧部161は、ストッパ157の先端よりも若干低く設けられている。これにより、可動ベース板142の上動時において、ストッパ157が受板156に当接した際に、孔部162の下開口部周縁の受板156と受圧部161との間にPTPフィルム9の厚み程度の隙間が生じるように構成されている。
【0104】
図6,7に示すように、加圧機構部159は、天板155に立設されたブラケット163を備えている。ブラケット163の上部には、調圧機構を構成するエアシリンダ164が設けられている。エアシリンダ164の下部には、ロッド165が出没可能に設けられている。ロッド165の下端には、支持アーム166が固定されている。支持アーム166には、加熱機構を構成するヒータブロック167が設けられている。ヒータブロック167の下部には、丁金ホルダ168が設けられている。
【0105】
丁金ホルダ168は、複数本(最大で10本)の丁金158を保持可能に構成されている。但し、本実施形態のPTPシート1に付される刻印K(ロット番号「ABC001」)は6文字であるため、10本の丁金158を保持する10箇所の丁金保持部のうち、6本分の丁金保持部のみが使用され、残り4本分の丁金保持部については使用されないようになっている。
【0106】
従って、本実施形態では、刻印Kを構成する各文字(「A」、「B」、「C」、「0」、「0」、「1」)に対応する6本の丁金158が所定順序で丁金ホルダ168に保持されている。また、丁金ホルダ168には、これら丁金158を固定するべく、蓋169が取着固定されている。
【0107】
そして、刻印装置30の作動時には、エアシリンダ164が駆動し、ロッド165が下方へと突出する。これにより、
図6,7中の二点鎖線で示すように、ヒータブロック167等が孔部162内に入り込み、丁金158の先端が受板156の下面よりも下方に突出した状態となる(
図9参照)。
【0108】
一方、刻印装置30の非作動時においては、ロッド165がエアシリンダ164内に没入する。これにより、
図6,7中の実線で示すように、丁金158等が待機位置に保持された状態となる。
【0109】
また、受板156の幅方向他端側(Y軸方向に対し加圧機構部159とは反対側)には、他端側のストッパ157に対向するように、加圧力均等化手段を構成する弾性機構部173が設けられている。
【0110】
より詳しくは、受板156に凹部174が形成され、該凹部174内にコイルスプリング175が設けられている。このコイルスプリング175の下端には、突出片176が設けられている。そして、通常時は、該突出片176が受板156の下面よりも幾分下方に突出した状態となっている(
図7参照)。
【0111】
一方、
図8に示すように、可動ベース板142が上動した場合には、その押圧力がコイルスプリング175の付勢力に勝り、該付勢力に抗して突出片176が凹部174内に没入するようになっている。
【0112】
尚、本実施形態におけるコイルスプリング175の付勢力は、反対側端部に設けられている加圧機構部159の荷重モーメントが適宜調整されて少なくともPTPフィルム9の幅方向に均等に圧力がかかるよう、かつ、丁金158からの押圧力が調整されるよう予め設定されている。
【0113】
次に、刻印検査装置31の構成について図面を参照して詳しく説明する。
図10は刻印検査装置31の電気的構成を示すブロック図であり、
図11は刻印検査装置31の配置構成を示す模式図である。
【0114】
図10,11に示すように、刻印検査装置31は、PTPフィルム9に対し所定の光を照射する照射手段としての照明装置52と、該光の照射されたPTPフィルム9を撮像する撮像手段としての撮像装置(カメラ)53と、照明装置52や撮像装置53の駆動制御など刻印検査装置31内における各種制御や画像処理、演算処理等を実施する制御処理装置54とを備えている。
【0115】
本実施形態では、照明装置52として、全方位から光を照射可能な環状のリングライトを用いている。
【0116】
照明装置52は、PTPフィルム9の下面側に位置する容器フィルム3越しにカバーフィルム4に対し斜め下方から所定の光を照射可能に配置されている。本実施形態では、拡散白色光(可視光)を照射可能に構成されている。
【0117】
より詳しくは、照明装置52は、容器フィルム3の平坦部3a表面に対する光の入射角度α、すなわち自身の周方向各位置における光軸(照射方向)JAが容器フィルム3の平坦部3a表面の法線方向となす角度αが70°の大入射角に設定されている。
【0118】
撮像装置53は、PTPフィルム9の真下に配置され、その光軸JBが容器フィルム3の平坦部3a表面の法線方向である鉛直方向(Z軸方向)に沿って設定されている。そして、撮像装置53は、PTPフィルム9の容器フィルム3側から予め設定された所定の検査範囲を撮像可能に構成されている。本実施形態では、検査対象となる1つ分のPTPシート1に相当する範囲のうち、上記タグ部8を含む所定範囲が前記検査範囲として設定されている。
【0119】
本実施形態では、撮像装置53として、CCDカメラが採用されている。勿論、これに限らず、CMOSカメラを採用してもよい。
【0120】
これにより、照明装置52から照射された光がPTPフィルム9を照らし、該PTPフィルム9にて反射した反射光(主に容器フィルム3を透過してカバーフィルム4にて反射した反射光)が撮像装置53により二次元撮像されることとなる。
【0121】
ここで、撮像装置53によって撮像され取得された画像データ(輝度画像データ)は、該撮像装置53内部においてデジタル信号(画像信号)に変換された上で、デジタル信号の形で制御処理装置54に入力される。
【0122】
そして、制御処理装置54は、取得した画像データをシェーディング補正した後、後述する画像データ記憶装置74に記憶する。尚、シェーディング補正は、PTPフィルム9における所定の検査範囲全体を照明装置52で一様に照らすことは困難であることから、かかる位置の相違による光の明暗により生じる輝度のばらつきを補正するために行われるものである。勿論、シェーディング補正を行わない構成としてもよい。
【0123】
その後、制御処理装置54は、該画像データを基に、後述するような画像処理や演算処理等を実施する。制御処理装置54が本実施形態における画像処理手段を構成する。
【0124】
ここで、制御処理装置54の構成について
図10を参照して説明する。制御処理装置54は、刻印検査装置31全体の制御を司るCPU及び入出力インターフェース71(以下、「CPU等71」という)、キーボードやマウス、タッチパネル等で構成される「入力手段」としての入力装置72、CRTや液晶などの表示画面を有する「表示手段」としての表示装置73、各種画像データ等を記憶するための画像データ記憶装置74、各種演算結果等を記憶するための演算結果記憶装置75、各種情報を予め記憶しておくための設定データ記憶装置76などを備えている。尚、これら各装置72〜76は、CPU等71に対し電気的に接続されている。
【0125】
CPU等71は、PTP包装機10の管理制御装置と各種信号や各種情報を送受信可能に接続されている。これにより、例えばPTP包装機10の管理制御装置に対し不良シート排出機構を作動させる旨の制御信号を出力したり、PTP包装機10の管理制御装置からロット番号など製品情報を取得したりすることができる。
【0126】
画像データ記憶装置74は、撮像装置53により取得される輝度画像データなどを記憶するためのものである。また、検査時において、マスキング処理された後の画像データや、二値化処理された後の二値化画像データなどについても同様に画像データ記憶装置74に記憶される。
【0127】
演算結果記憶装置75は、検査結果データや、該検査結果データを確率統計的に処理した統計データなどを記憶するものである。これらの検査結果データや統計データは、適宜表示装置73に表示させることができる。
【0128】
設定データ記憶装置76は、例えばPTPシート1、ポケット部2及び錠剤5の形状及び寸法などを定めた設計データをはじめ、刻印Kの内容(ロット番号)や、刻印検査に用いる各種閾値や良品データなどを記憶するものである。
【0129】
次に、PTPシート1の製造工程について説明する。特にPTP包装機10において、容器フィルム3にカバーフィルム4が取着された後の本発明の主要な工程について説明する。
【0130】
容器フィルム3にカバーフィルム4が取着された後のPTPフィルム9は、まず上記スリット形成装置29によって行われるスリット形成工程へ送られる。かかるスリット形成工程では、スリット形成装置29の可動型(符号略)が待機位置から作業位置へと移動するのに伴い、PTPフィルム9の所定位置に上記切離用スリット7が形成される。
【0131】
スリット形成工程が終了すると、PTPフィルム9は間欠搬送されていき、刻印装置30によって行われる刻印工程へ移行する。かかる刻印工程では、打抜き後のPTPシート1のタグ部8に対応する位置に上記刻印Kが付される。以下、詳しく説明する。
【0132】
かかる刻印工程においては、まず、間欠搬送されるPTPフィルム9が停止すると、刻印装置30の可動ベース板142が上動する。
【0133】
そして、ストッパ157が受板156の下面に当接し、可動ベース板142の所定量以上の上動が規制された状態になる。同時に、孔部162の下開口部の下方位置において、受圧部161がPTPフィルム9を下方より支持した状態となる(
図9参照)。
【0134】
続いて、加圧機構部159が孔部162内に入り込み、丁金158の先端が受板156の下面よりも突出した状態となる。これにより、丁金158の突出部分がカバーフィルム4側からPTPフィルム9に食い込むこととなり、丁金158の突出部分に対応する部分が凹状に可塑変形する。結果として、PTPフィルム9に上記刻印Kが形成されることとなる。
【0135】
この際、丁金158は、ヒータブロック167から伝達熱によって加熱されているため、PTPフィルム9への円滑な食い込みが促進され、刻印Kをより精度よく形成することができる。
【0136】
加えて、本実施形態に係る受圧部161は、比較的熱伝導性の低いステンレスにより構成され、熱伝導を受けにくい構成となっている。これにより、刻印Kの形成に際して反対側の容器フィルム3が著しく軟化してしまうことが抑制される。ひいては刻印Kが潰れて識別できなくなってしまうといった不具合なども抑制することができる。
【0137】
上記のように刻印Kの形成が終了すると、可動ベース板142が元の位置に戻り、刻印工程が終了する。
【0138】
刻印工程が終了すると、PTPフィルム9は間欠搬送されていき、上記刻印検査装置31によって行われる刻印検査工程へ移行する。
【0139】
ここで刻印検査工程の流れについて
図13のフローチャート等を参照して詳しく説明する。尚、
図13に示す刻印検査工程に係る検査ルーチンは、PTPフィルム9が所定量、間欠搬送される毎に繰り返し実行される処理である。
【0140】
間欠搬送されるPTPフィルム9が一旦停止すると、制御処理装置54は、撮像処理を実行する(ステップS1)。
【0141】
具体的に、制御処理装置54は、PTP包装機10に設けられた図示しないエンコーダからの信号に基づいて照明装置52及び撮像装置53を駆動制御し、停止したPTPフィルム9の容器フィルム3側の所定の検査範囲に対し照明装置52から光を照射すると共に(照射工程)、該光の照射された前記検査範囲を撮像装置53により撮像する(撮像工程)。
【0142】
そして、制御処理装置54は、撮像装置53により撮像された輝度画像データを画像データ記憶装置74に取り込む。これにより、検査対象となる1シート分のPTPシート1内の前記検査範囲に係る輝度画像データを取得することができる。
【0143】
ここで、
図12に示すように、照明装置52からPTPフィルム9に向け照射され容器フィルム3へ入射した光L01〜L03のうち、最終的に刻印Kの容器フィルム3側の傾斜面(非露出面)にて反射して容器フィルム3の平坦部3a表面から出射した光L02,L03が撮像装置53に入射する。
【0144】
尚、本実施形態において、容器フィルム3へ入射した光L02,L03は、一旦、カバーフィルム4の一般部など他の部位にて反射した後、刻印Kの傾斜面にて二次的に反射して最終的に容器フィルム3の平坦部3a表面から出射するようになっている(
図12参照)。
【0145】
一方、カバーフィルム4の一般部(刻印非形成領域)にて反射し、そのまま容器フィルム3の平坦部3a表面から出射した光L01に関しては、撮像装置53に入射しない。
【0146】
尚、容器フィルム3は、空気よりも屈折率の高い所定の屈折率を有する樹脂材料により形成されている。従って、照明装置52から照射された光は、容器フィルム3に入射する際、及び、該光が再び容器フィルム3から出射する際に屈折し、その進行方向が変化する。
【0147】
従って、主として刻印Kから反射した光が撮像装置53により撮像されることとなるため、刻印Kが他の部位よりも部分的に非常に明るく映った輝度画像データが取得されることとなる。
【0148】
次に、制御処理装置54は、ステップS1において取得した輝度画像データに対し二値化処理を実行する(ステップS2)。
【0149】
具体的には、予め設定データ記憶装置76に記憶された所定の閾値δを基に、輝度画像データを、閾値δ以上を「1(明)」、閾値δ未満を「0(暗)」とした二値化画像データに変換する。
【0150】
これにより、刻印Kの付された部位(刻印形成領域)が「1(明)」となり、カバーフィルム4の一般部など、その他の部位(刻印非形成領域)が「0(暗)」となった二値化画像データが取得される。
【0151】
制御処理装置54は、二値化画像データへの変換が終わると、該二値化画像データを画像データ記憶装置74に記憶する。
【0152】
次に、制御処理装置54は、ステップS2で取得した二値化画像データに対して塊処理を実行する(ステップS3)。
【0153】
かかる塊処理においては、二値化画像データの「0(暗)」及び「1(明)」について各連結成分を特定する処理と、それぞれの連結成分についてラベル付けを行うラベル付け処理とが行われる。ここで、それぞれ特定される各連結成分の占有面積は撮像装置53の画素に応じたドット数で表される。
【0154】
次に、制御処理装置54は、刻印形成領域特定処理を実行する(ステップS4)。具体的に、制御処理装置54は、まず予め設定データ記憶装置76に記憶された設計データ等を用いて、二値化画像データにおけるポケット部2の位置を特定する。
【0155】
勿論、これに限らず、ステップS1において取得した輝度画像データを基に、二値化画像データにおけるポケット部2や錠剤5の位置を特定する構成としてもよい。
【0156】
続いて、制御処理装置54は、二値化画像データに対し検査枠を設定する検査枠設定処理を実行する。
【0157】
具体的に、かかる検査枠設定処理では、PTPフィルム9の幅方向(Y軸方向)において、タグ部8が形成される側のPTPフィルム9の幅方向端縁部と、これに隣接するポケット部2との間の領域に対し、PTPフィルム9の搬送方向(X軸方向)所定範囲に検査枠を設定する。本実施形態では、刻印Kを構成する各文字(「A」、「B」、「C」、「0」、「0」、「1」)毎に検査枠が設定される。同時に、検査対象外となる検査枠外の領域に対しマスキング処理を行う。
【0158】
尚、ここでポケット部2を基準として検査枠を設定する構成に代えて、ステップS1において取得した輝度画像データを基に特定した錠剤5の位置を基準にして検査枠を設定する構成としてもよい。
【0159】
続いて、制御処理装置54は、各検査枠内において、刻印Kの各文字に相当する「1(明)」の連結成分の領域(刻印形成領域)を特定する。
【0160】
従って、ステップS2〜S4に係る一連の処理により本実施形態における刻印検出工程が構成されると共に、かかる一連の処理を実行する画像処理装置54の機能により刻印検出手段が構成されることとなる。
【0161】
次に、制御処理装置54は、ステップS4において特定した各検査枠内の刻印形成領域と、これに対応して予め記憶した良品データとのパターンマッチング処理を実行する(ステップS5)。尚、かかる処理は、公知のパターンマッチングの手法により行われる処理であって、前記良品データとして、予め良品のPTPシート1に付された刻印Kを撮像し取得した画像データを基に作成した各文字の形状データを記憶している。
【0162】
次に、制御処理装置54は、ステップS5において行ったパターンマッチング処理の結果を基に、刻印Kの各文字について良否判定処理を行う(ステップS6)。かかる処理を実行する制御処理装置54の機能により、本実施形態における検査手段(判定手段)が構成されることとなる。
【0163】
具体的には、ステップS5において行ったパターンマッチング処理のマッチング率が予め設定した許容範囲内にあるかを判定する。これにより、例えば丁金158の食い込みが深く、刻印Kの文字がつぶれて判読不能となっていないか否かや、丁金158の食い込みが浅く、刻印Kの文字がかすれて判読不能となっていないか否かなど、刻印Kの文字の太さが適正である否かを判定することができる。
【0164】
尚、かかる判定処理は、上記各検査枠(刻印Kに含まれる6文字すべて)について実行される。そして、制御処理装置54は、刻印Kに含まれる6文字すべてが許容範囲内にある場合には、ステップS7において良品判定を行うと共に、この結果を演算結果記憶装置75に記憶し、検査ルーチンを終了する。
【0165】
一方、6文字のうち、1文字でも許容範囲内にない場合には、ステップS8において不良判定を行い、この結果を演算結果記憶装置75に記憶すると共に、その旨をPTP包装機10の管理制御装置等へ出力し、検査ルーチンを終了する。
【0166】
刻印検査工程が終了すると、PTPフィルム9は間欠搬送されていき、シート打抜装置37によって行われるシート打抜工程へ移行する。シート打抜工程では、シート打抜装置37の可動型(符号略)が待機位置から作業位置へと移動することにより、PTPフィルム9をPTPシート1単位にその外縁を打抜く。その結果、PTPシート1がPTPフィルム9から分離され、
図1に示すPTPシート1を得ることができる。
【0167】
以上詳述したように、本実施形態によれば、刻印検査装置31を備えることにより、PTPシート1の製造過程(インライン)において、該PTPシート1に付される刻印Kに関する検査を行うことができる。
【0168】
ここで、刻印検査装置31は、PTPフィルム9におけるカバーフィルム4の検査範囲(タグ部8対応位置)に対し容器フィルム3の表面側から該容器フィルム3越しに光を照射すると共に、該光が照射された前記カバーフィルム4の検査範囲を容器フィルム3の表面側から該容器フィルム3越しに撮像装置53により撮像することにより、前記検査範囲に係る輝度画像データを取得するよう構成されている。
【0169】
また、刻印検査装置31においては、照明装置52からPTPフィルム9へ照射される光の容器フィルム3の平坦部3a表面に対する入射角度(照明装置52の周方向各位置における光軸JAが容器フィルム3の平坦部3a表面の法線方向となす角度)αが、容器フィルム3へ入射する光のうち、刻印Kから反射(二次的な反射を含む)して容器フィルム3を出射する光が撮像装置53に略入射し、かつ、カバーフィルム4の一般部から反射(二次的な反射を含む)して容器フィルム3を出射する光が撮像装置53に略入射しない70°の大入射角に設定されている。
【0170】
このため、刻印検査装置31によれば、カバーフィルム4の一般部など他の部位に比べ、刻印Kが明るく映る輝度画像データを取得することができる。ひいては、このように取得された輝度画像データに対し、所定の閾値δを基に二値化処理を行うことによって、刻印Kを明部として検出し、刻印Kに関する検査を行うことができる。
【0171】
特に本実施形態によれば、カバーフィルム4の非露出面側(容器フィルム3により保護された面)を撮像することにより、刻印Kの検出及び検査を行う構成となっている。刻印Kの非露出面は、刻印装置30の丁金158が直接触れて擦られる刻印Kの露出面のように、その表面が荒れて光の乱反射が強くなるといった不具合が発生しにくい。結果として、刻印Kをより適切に検出し、刻印Kに関する検査をより適切に行うことが可能となる。
【0172】
また、刻印検査装置31では、照明装置52から照射される光の入射角度αが70°の大入射角に設定されることで、刻印Kが明るく映り、カバーフィルム4の一般部など他の部位が暗く映る輝度画像データを取得する構成となっているため、カバーフィルム4に印刷された記号、文字、模様などの印刷部や、容器フィルム3の平坦部3a表面に付着した異物等に影響を受けることなく、より適切に刻印Kを検出することが可能となる。
【0173】
加えて、本実施形態では、刻印工程の終了後かつシート打抜工程の前工程において刻印検査工程が行われる構成となっている。これにより、刻印形成不良のPTPシート1(不良品)を、刻印工程後のより早い段階で検出することができる。ひいては、PTPシート1の製造をより早い段階で停止することができ、不良品の発生数を抑制することができる。
【0174】
また、帯状のPTPフィルム9からPTPシート1が打ち抜かれる前工程においては、検査時において、検査対象とするPTPシート1に対応する検査範囲の位置や向きが刻印検査装置31(照明装置52及び撮像装置53)に対して一定に維持されている。そのため、刻印Kの検出や検査を行うにあたり、事前にPTPシート1の位置や向きを調整する必要もなく、より容易かつより高速に検査を行うことができる。ひいては、さらなる検査精度の向上を図ることができる。
【0175】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0176】
(a)上記実施形態では、内容物が錠剤5である場合について具体化しているが、内容物の種別、形状等については特に限定されるものではなく、例えば食品や電子部品等であってもよい。
【0177】
(b)容器フィルム3やカバーフィルム4の材料は、上記実施形態に限定されるものではなく、他の材質のものを採用してもよい。
【0178】
例えば上記実施形態では、容器フィルム3が、透光性を有する無色透明の熱可塑性樹脂材料により形成されている。これに限らず、容器フィルム3が、透光性を有する有色透明の材料により形成された構成としてもよい。
【0179】
また、上記実施形態では、カバーフィルム4がアルミラミネートフィルムにより形成されているが、これに限らず、アルミニウムを基材とした他の不透明材料(アルミニウム単体で形成されているものを含む)や、他の金属材料を基材とした不透明材料により形成された構成としてもよい。
【0180】
(c)PTPシート1におけるポケット部2、シート小片6、切離用スリット7等の配列や個数、形状などに関しては、上記実施形態に限定されるものではない。例えば3列12個のポケット部を有するタイプをはじめ、様々な配列、個数からなるPTPシートを採用することができる。
【0181】
また、切離用スリット7を省略した構成としてもよいし、切離用スリット7に代えて、ミシン目を形成した構成としてもよい。
【0182】
(d)上記実施形態では、PTPシート1をPTPフィルム9の幅方向に1枚ずつ製造する場合に具体化したが、幅方向に2枚同時に製造したり、或いは、3枚以上同時に製造するようにしてもよい。
【0183】
尚、幅方向に2枚同時に製造するような場合の刻印装置30においては、ベース機構部140の幅方向両端部に加圧機構部159を設置することで、上記実施形態のような弾性機構部173等を省略した構成としても荷重バランスをとることができ、刻印形成に及ぼす影響を低減することができる。
【0184】
(e)照射手段の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、照明装置52として、全方位から光を照射可能な環状のリングライトを用いている。
【0185】
これに限らず、例えばPTPフィルム9の搬送方向(X軸方向)に所定間隔をあけて配置された一対の照明装置、及び/又は、PTPフィルム9のフィルム幅方向(Y軸方向)に所定間隔をあけて配置された一対の照明装置を備えた構成としてもよい。
【0186】
(f)上記実施形態に係る照明装置52は、容器フィルム3の平坦部3a表面に対する光の入射角度αが70°の大入射角に設定されている。
【0187】
これに限らず、容器フィルム3の平坦部3a表面における光の入射角度αが、容器フィルム3へ入射する光のうち、刻印Kから反射して容器フィルム3を出射する光が撮像装置53に略入射し、かつ、カバーフィルム4の一般部から反射して容器フィルム3を出射する光が撮像装置53に略入射しない他の大入射角(例えば45°以上90°未満のいずれか)に設定された構成としてもよい。かかる構成によれば、上記実施形態と同様、画像データにおける明部を刻印Kとして検出可能となる。
【0188】
(g)上記実施形態に代えて、容器フィルム3の平坦部3a表面における光の入射角度αが、容器フィルム3へ入射する光のうち、カバーフィルム4の一般部から反射して容器フィルム3を出射する光が撮像装置53に略入射し、かつ、刻印Kから反射して容器フィルム3を出射する光が撮像装置53に略入射しない所定の小入射角(例えば0°以上30°未満のいずれか)に設定された構成としてもよい。かかる構成によれば、画像データにおける暗部を刻印Kとして検出可能となる。
【0189】
例えば
図14に示す刻印検査装置31においては、照明装置52からPTPフィルム9へ照射される光の容器フィルム3の平坦部3a表面に対する入射角度(照明装置52の周方向各位置における光軸JAが容器フィルム3の平坦部3a表面の法線方向となす角度)αが20°の小入射角に設定された構成となっている。
【0190】
かかる場合、
図15に示すように、照明装置52からPTPフィルム9に向け照射され容器フィルム3へ入射した光L11,L12のうち、刻印Kの容器フィルム3側の傾斜面(非露出面)にて反射した光L11は撮像装置53に入射しない。一方、カバーフィルム4の一般部(刻印非形成領域)にて反射し、そのまま容器フィルム3の平坦部3a表面から出射した光L12に関しては、撮像装置53に入射する。
【0191】
従って、主としてカバーフィルム4の一般部から反射した光が撮像装置53により撮像されることとなるため、刻印Kが他の部位よりも部分的に暗く映った輝度画像データが取得されることとなる。
【0192】
また、
図14に示すように、光の入射角度αを小入射角とすることで、照明装置52の位置(光軸)を撮像装置53の位置(光軸)に近づけることができる。結果として、照明装置52を設置するスペースの拡張を抑え、刻印検査装置31のコンパクト化を図ることできる。
【0193】
(h)大入射角で光を照射する第1の照明装置と、小入射角で光を照射する第2の照明装置を備え、両者(大入射角照射光と小入射角照射光)を切換える手段を備えた構成としてもよい。
【0194】
かかる構成の下、第1の照明装置から光を照射してPTPフィルム9(刻印K)を撮像する第1の撮像処理と、第2の照明装置から光を照射してPTPフィルム9(刻印K)を撮像する第2の撮像処理とを異なるタイミングで行い、刻印Kが他の部位よりも明るく映った輝度画像データと、刻印Kが他の部位よりも暗く映った輝度画像データを基に、刻印Kに関する検査を行う構成としてもよい。これにより、検査精度の向上を図ることができる。
【0195】
(i)上記実施形態では、照明装置52から白色光(可視光)が照射される構成となっている。これに限らず、波長の異なる各種単色光など、他の光(赤外光や紫外光を含む)を照射する構成としてもよい。容器フィルム3やカバーフィルム4の材質の違いなど、PTPフィルム9の構成に応じて、刻印Kを検出しやすい光を照射することが好ましい。
【0196】
例えば容器フィルム3がPPやPVC等の無色透明の熱可塑性樹脂材料により形成されている場合には、容器フィルム3を透過しやすい光(例えば赤外光など)を照射する構成としてもよい。
【0197】
また、上記実施形態では、照明装置52から拡散光が照射される構成となっている。これに限らず、平行光を照射する構成としてもよい。平行光を用いることにより、拡散光を用いた場合に比べ、明暗がよりはっきりするため、刻印Kを検出しやすくなる。加えて、刻印Kから反射した平行光の正反射光(反射光の正反射成分)だけが撮像装置53に入射する構成とすれば、カバーフィルム4の一般部や容器フィルム3の平坦部3a表面にて反射した平行光の乱反射光(乱反射成分)の影響を抑え、より鮮明に刻印Kを検出しやすくなる。
【0198】
(j)刻印Kに関する検査内容及び検査方法は上記実施形態に限定されるものではない。
【0199】
例えば上記実施形態では、公知のパターンマッチングの手法により、刻印Kの文字の太さが適正である否かを判定する構成となっている。これに限らず、他の方法により刻印Kの文字の太さの適否を判定する構成としてもよい。また、例えばポケット部2と刻印Kとの位置関係や、ポケット部2を基準とした刻印Kの傾きなどを検査する構成としてもよい。
【0200】
また、上記実施形態では、刻印Kを構成する各文字毎に検査枠が設定される構成となっているが、これに限らず、刻印K(文字列)全体を囲む検査枠を設定する構成としてもよい。勿論、検査枠を設定することなく刻印検査を行う構成としてもよい。
【0201】
また、刻印検査において、例えば公知のパターンマッチングの手法により、刻印Kとして刻まれた文字(「A」、「B」、「C」、「0」、「0」、「1」)を認識可能な文字認識処理を実行すると共に、かかる処理により認識された刻印Kの文字列「ABC001」と、記憶手段としての設定データ記憶装置76に記憶されたロット番号「ABC001」とを照合する照合処理を実行する構成としてもよい。
【0202】
かかる構成により、PTPシート1に付された刻印Kの内容が適切なものか否かを検査することができる。これにより、例えば刻印装置30への丁金158の取付ミスなどに起因して、製造予定のPTPシート1に係るロット番号と、実際に製造したPTPシート1に付された刻印Kの内容(ロット番号)とが異なる刻印間違いなどの不具合が発生した場合であっても、かかる不具合の発生を上記照合により早期発見することができる。ひいては、上記照合の結果に基づき異常報知処理や生産ラインの停止処理などを早期に実行することができる。
【0203】
尚、前記文字認識処理を実行する制御処理装置54の機能により本実施形態における「文字認識手段」が構成され、前記照合処理を実行する制御処理装置54の機能により本実施形態における「照合手段」が構成されることとなる。
【0204】
(k)上記実施形態に係る刻印検査装置31は、照明装置52及び撮像装置53からなる反射光式の検査機構のみを備えた構成となっている。これに加えて、刻印検査装置31が透過光式の検査機構を備えた構成としてもよい。
【0205】
透過光式の検査機構を備えることにより、刻印Kがカバーフィルム4を貫通してしまった不良品を検出することができる。
【0206】
例えばPTPフィルム9の下側(容器フィルム3側)に第2の照射手段として第2照明装置を配置すると共に、PTPフィルム9の上側(カバーフィルム4側)に第2の撮像手段として第2撮像装置を配置した構成としてもよい。
【0207】
ここでは、容器フィルム3の平坦部3a表面及びカバーフィルム4の一般部の法線方向である鉛直方向(Z軸方向)に沿って、第2照明装置の光軸、及び、第2撮像装置の光軸が設定されている。
【0208】
例えば刻印装置30の不具合等により、PTPフィルム9に形成される刻印Kの食い込みが深くなりすぎた場合には、カバーフィルム4が切断されてしまい、カバーフィルム4の一部に切れ目、すなわち刻印貫通部が形成されるおそれがある。
【0209】
かかる場合、透過光式の検査機構によれば、第2照明装置からPTPフィルム9に対し照射された光のうち、刻印貫通部を通過した光は第2撮像装置によって撮像される。一方、その他の光は刻印貫通部を通過しない。従って、第2撮像装置より取得された画像データにおいては、刻印貫通部が存在する箇所が他の正常な部位に比べ明るく映ることとなる。
【0210】
つまり、制御処理装置54は、第2撮像装置により取得された画像データを基に、PTPフィルム9における明暗を判別することにより、明部が検出された場合には、カバーフィルム4に切れ目(刻印貫通部)が形成されていると判断することができる。従って、かかる制御処理装置54の処理機能により本実施形態における刻印貫通部検出手段が構成されることとなる。
【0211】
これにより、例えば上記実施形態において刻印Kの文字の太さなどは適正範囲内にあるが、刻印Kがカバーフィルム4を貫通してしまった不良品など、反射光式の検査機構では検出できないような不良品をより確実に検出することができる。結果として、刻印Kに関する検査における検査精度のさらなる向上を図ることができる。
【0212】
また、上記(g)に記載したように、照明装置52から照射される光の入射角度αを小入射角に設定した場合には、第2照明装置を省略し、照明装置52を第2の照射手段として兼用することも可能となる。
【0213】
尚、上記構成に代えて、PTPフィルム9の下側(容器フィルム3側)に第2撮像装置を配置し、PTPフィルム9の上側(カバーフィルム4側)に第2照明装置を配置した構成としてもよい。かかる構成においては、第2撮像装置を省略し、撮像装置53を第2の撮像手段として兼用することも可能となる。
【0214】
勿論、上述した各種透過光式の検査機構(第2照明装置や第2撮像装置等からなる透過光式の検査機構)を、上記実施形態に係る刻印検査装置31(照明装置52及び撮像装置53からなる反射光式の検査機構)とは一体ではなく、別体の検査装置として備えた構成としてもよい。つまり、PTPシートの製造工程において、反射光式の検査機構による刻印検査工程と、透過光式の検査機構による刻印検査工程を別工程(異なる位置)で行う構成としてもよい。
【0215】
(l)上記実施形態では、特に言及していないが、強固なシールを実現するため、加熱ロール25の表面に網目状の凸条を形成し、容器フィルム3に対しカバーフィルム4を取着する際に、これが強く圧接することでカバーフィルム4にシール目が形成される構成としてもよい。
【0216】
尚、カバーフィルム4にシール目が形成された場合であっても、シール目は規則正しく周期的に繰返す網目模様であるため、刻印Kの検出時等において、画像処理等により比較的容易かつ効果的にその影響を低減することができる。
【0217】
(m)上記実施形態では、刻印工程の後工程かつシート打抜工程の前工程において刻印検査工程が行われる構成となっている。これに限らず、PTPフィルム9からPTPシート1が打抜かれた後工程において、コンベア39によって搬送されているPTPシート1に対し刻印検査を行う構成としてもよい。
【0218】
この際、刻印検査装置31がPTP包装機10内に設けられた構成(インライン)に代えて、PTP包装機10とは別に、オフラインでPTPシート1を検査する装置として刻印検査装置31を備えた構成としてもよい。また、かかる場合に、PTPシート1を搬送可能な搬送手段を刻印検査装置31に備えた構成としてもよい。
【0219】
但し、オフラインで検査を行う場合には、検査対象となるPTPシート1の位置や向きが刻印検査装置31に対して一定とならないため、刻印Kの検出や検査を行うにあたり、事前にPTPシート1の位置や向きを調整する必要がある。その結果、検査速度及び検査精度が低下するおそれがある。
【0220】
近年、PTPシート1の製造分野などにおいては、生産速度の高速化に伴い、各種検査の高速化が求められている。例えばPTP包装機10上で検査を行う場合には、1秒当たり100個以上の錠剤5を処理することが求められる場合もある。
【0221】
従って、インラインで検査を実行した方が生産性の向上を図る上では好ましい。
【0222】
(n)上記(m)に記載したように、PTPフィルム9からPTPシート1が打抜かれた後工程において、コンベア39によって搬送されているPTPシート1に対し刻印検査を行う構成とした場合において、上記実施形態に係る刻印検査装置31(反射光式の検査機構)による刻印検査のみならず、上記(k)に記載したような透過光式の検査機構による刻印検査を行う構成としてもよい。
【0223】
例えばコンベア39のベルト部材を透光性部材により構成すると共に、コンベア39の下側からPTPシート1に対し所定の光を照射可能な照射手段を配置し、PTPシート1を通過する光を上方に配置した撮像装置により撮像することにより、PTPシート1に形成されたカバーフィルム4に切れ目(刻印貫通部)を検出することができる。
【0224】
(o)上記実施形態では、カバーフィルム4の一般部や刻印Kの明暗を判別するにあたり、輝度画像データを二値化する処理を行っているが、これに限らず、輝度を計測したり、多値化処理や差分処理等を行うことにより、刻印K等の明暗を判別する構成としてもよい。
【0225】
(p)上記刻印検査装置31によって刻印検査を行うと共に、他の検査を同時に行う構成としてもよい。つまり、刻印検査装置31を刻印形成不良とは異なる他の異常を検出する検査装置として兼用する構成としてもよい。
【0226】
例えば容器フィルム3の平坦部3a表面に付着した異物の検査や、容器フィルム3とカバーフィルム4との間に存在する異物の検査、ポケット部2に収容された錠剤5に付着した異物の検査などを刻印検査と同時に行う構成としてもよい。
【0227】
ここで、例えば照明装置52が大入射角で光を照射する構成では、撮像装置53により取得される画像データにおいて、カバーフィルム4の一般部など他の部位に比べ、刻印Kが明るく映るため、刻印検出用の閾値と、異物検出用の閾値を別々に設定するなど、異なる複数の閾値で二値化処理を行うことにより、刻印Kとは別に上記異物を暗部として検出することが可能となる。
【0228】
一方、照明装置52が小入射角で光を照射する構成では、撮像装置53により取得される画像データにおいて、カバーフィルム4の一般部など他の部位に比べ、刻印Kが暗く映るため、例えば刻印Kに相当する暗部をマスク処理等により除外した他の暗部を異物として検出することができる。