(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記特定部は、前記地図情報において、交差点であって、当該交差点に進入する複数の車線からなる道路のうち車線間に黄色実線の第1種車両境界線が引かれている領域であり、
前記検出部は、前記車両走行情報が前記第1種車両境界線を跨ぐ走行をしたことを示す車両があるか否かを検出し、
前記検出部が前記第1種車両境界線を跨ぐ走行をしたことを示す車両があった場合に、前記登録部は、前記領域を、前記注意喚起領域として前記地図情報に登録する
ことを特徴とする請求項1に記載の地図情報作成装置。
前記特定部は、前記地図情報において、交差点であって、当該交差点に進入する複数の車線からなる道路のうち車線間に黄色実線と白色破線との第2種車両境界線が引かれている領域であり、
前記検出部は、前記車両走行情報が前記第2種車両境界線を跨いで車線変更したことを示す車両があるか否かを検出し、
前記検出部が前記第2種車両境界線を跨いで車線変更したことを示す車両があった場合に、前記登録部は、前記領域を、前記注意喚起領域として前記地図情報に登録する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の地図情報作成装置。
前記特定部は、前記地図情報において、交差点であって、交差点に進入する側の車線数が、前記交差点に進入する側の車線を直進して前記交差点から退出する側の車線数より多い場所を前記領域として特定し、
前記検出部は、前記交差点に進入する側の車線において、進行方向が定められた車線を走行していた車両が、前記進行方向とは異なる方向に走行したことを示す車両があるか否かを検出する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の地図情報作成装置。
前記特定部は、前記地図情報において、交差点であって、交差点に進入する側の車線に前記交差点から所定距離内に、当該車線に対して、道路外から車両が進入する場所を前記領域として特定する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の地図情報作成装置。
前記注意喚起領域として登録された領域に対して車両が接近した場合に、他車線からの車両のはみ出し又は車線変更が発生する可能性があることを示す情報を出力するよう、前記地図情報に設定する設定部を更に備える
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の地図情報作成装置。
前記設定部は、更に、車両が注意喚起領域が設定されている車線を走行している場合に、他の注意喚起領域が設定されていない車線に車線を変更するよう提示する提示情報を設定する
ことを特徴とする請求項8に記載の地図情報作成装置。
前記検出部は、前記領域を通過した経路を有する車両走行情報に基づいて、前記領域において車両境界線からはみ出した車両が所定期間内で所定数以上あるか否かを検出し、
前記登録部は、前記領域において車両境界線からはみ出した車両が所定数以上ある場合に、当該領域を注意喚起領域として登録する
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の地図情報作成装置。
前記検出部は、前記領域を通過した経路を有する車両走行情報に基づいて、前記領域において車両境界線からはみ出した車両が所定期間内で所定割合以上あるか否かを検出し、
前記登録部は、前記領域において車両境界線からはみ出した車両が所定割合以上ある場合に、当該領域を注意喚起領域として登録する
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の地図情報作成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1や特許文献2に記載の技術では、危険地点の予測には、いまだ不十分であるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述のような問題を解決するために、従来とは異なる危険地点を予測することができる地図情報作成装置、地図情報作成方法及び地図情報作成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る地図情報作成装置は、地図情報を記憶する記憶部と、車線変更が規制されていない領域であって、第1の車両の進行方向に対して、他の車両のはみ出しが予測しにくい領域を特定する特定部と、車両が走行した経路を示す車両走行情報を受信する受信部と、領域を通過した経路を有する車両走行情報に基づいて、領域において第1の車両の進行方向に対してはみ出した他の車両があるか否かを検出する検出部と、検出部が検出した結果に応じて、領域を、ユーザに対して注意喚起をすべき注意喚起領域として地図情報に登録する登録部と、を備える。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る地図情報作成方法は、地図情報を記憶する記憶部を備える地図情報作成装置が、車線変更が規制されていない領域であって、第1の車両の進行方向に対して、他の車両のはみ出しが予測しにくい領域を特定する特定ステップと、車両が走行した経路を示す車両走行情報を受信する受信ステップと、領域を通過した経路を有する車両走行情報に基づいて、領域において第1の車両の進行方向に対してはみ出した他の車両があるか否かを検出する検出ステップと、検出ステップが検出した結果に応じて、領域を、ユーザに対して注意喚起をすべき注意喚起領域として地図情報に登録する登録ステップと、を実行する。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る地図情報作成プログラムは、コンピュータに、地図情報を記憶する記憶機能と、車線変更が規制されていない領域であって、第1の車両の進行方向に対して、他の車両のはみ出しが予測しにくい領域を特定する特定機能と、車両が走行した経路を示す車両走行情報を受信する受信機能と、領域を通過した経路を有する車両走行情報に基づいて、領域において第1の車両の進行方向に対してはみ出した他の車両があるか否かを検出する検出機能と、検出機能が検出した結果に応じて、領域を、ユーザに対して注意喚起をすべき注意喚起領域として地図情報に登録する登録機能と、を実現させる。
【0009】
上記地図情報作成装置において、特定部は、地図情報において、交差点であって、当該交差点に進入する複数の車線からなる道路のうち車線間に黄色実線の第1種車両境界線が引かれている領域であり、検出部は、車両走行情報が第1種車両境界線を跨ぐ走行をしたことを示す車両があるか否かを検出し、検出部が第1種車両境界線を跨ぐ走行をしたことを示す車両があった場合に、登録部は、領域を、注意喚起領域として地図情報に登録することとしてもよい。
【0010】
上記地図情報作成装置において、特定部は、地図情報において、交差点であって、当該交差点に進入する複数の車線からなる道路のうち車線間に黄色実線と白色破線との第2種車両境界線が引かれている領域であり、検出部は、車両走行情報が第2種車両境界線を跨いで車線変更したことを示す車両があるか否かを検出し、検出部が第2種車両境界線を跨いで車線変更したことを示す車両があった場合に、登録部は、領域を、注意喚起領域として地図情報に登録することとしてもよい。
【0011】
上記地図情報作成装置において、特定部は、地図情報において、交差点であって、交差点に進入する側の車線数が、交差点に進入する側の車線を直進して交差点から退出する側の車線数より多い場所を領域として特定し、検出部は、交差点に進入する側の車線において、進行方向が定められた車線を走行していた車両が、進行方向とは異なる方向に走行したことを示す車両があるか否かを検出することとしてもよい。
【0012】
上記地図情報作成装置において、特定部は、地図情報において、交差点であって、交差点に進入する側の車線に、交差点から所定距離内にバスの停留所がある場所を領域として特定することとしてもよい。
【0013】
上記地図情報作成装置において、特定部は、地図情報において、交差点であって、交差点に進入する側の車線に交差点から所定距離内に、当該車線に対して、道路外から車両が進入する場所を領域として特定することとしてもよい。
【0014】
上記地図情報作成装置において、検出部は、車線毎に、他車線からのはみ出しがあったか否かを検出し、登録部は、注意喚起領域を車線毎に登録することとしてもよい。
【0015】
上記地図情報作成装置において、注意喚起領域として登録された領域に対して車両が接近した場合に、他車線からの車両のはみ出し又は車線変更が発生する可能性があることを示す情報を出力するよう、地図情報に設定する設定部を更に備えることとしてもよい。
【0016】
上記地図情報作成装置において、設定部は、更に、車両が注意喚起領域が設定されている車線を走行している場合に、他の注意喚起領域が設定されていない車線に車線を変更するよう提示する提示情報を設定することとしてもよい。
【0017】
上記地図情報作成装置において、検出部は、領域を通過した経路を有する車両走行情報に基づいて、領域において車両境界線からはみ出した車両が所定期間内で所定数以上あるか否かを検出し、登録部は、領域において車両境界線からはみ出した車両が所定数以上ある場合に、当該領域を注意喚起領域として登録することとしてもよい。
【0018】
上記地図情報作成装置において、検出部は、領域を通過した経路を有する車両走行情報に基づいて、領域において車両境界線からはみ出した車両が所定期間内で所定割合以上あるか否かを検出し、登録部は、領域において車両境界線からはみ出した車両が所定割合以上ある場合に、当該領域を注意喚起領域として登録することとしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様に係る地図情報作成装置は、車両の進行方向に対して、他の車両が進入することが予測しにくい領域を特定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施態様に係る地図情報作成装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
<実施の形態>
<地図情報作成装置の構成>
本発明の一態様に係る地図情報作成装置は、地図情報を記憶する記憶部(
図1の104参照)と、車線変更が規制されていない領域であって、第1の車両の進行方向に対して、他の車両のはみ出しが予測しにくい領域を特定する特定部(
図1の105参照)と、車両が走行した経路を示す車両走行情報を受信する受信部(
図1の102参照)と、領域を通過した経路を有する車両走行情報に基づいて、領域において第1の車両の進行方向に対してはみ出した他の車両があるか否かを検出する検出部(
図1の105参照)と、検出部が検出した結果に応じて、領域を、ユーザに対して注意喚起をすべき注意喚起領域として地図情報に登録する登録部(
図1の105参照)と、を備える。
【0023】
図1は、地図情報作成装置100の機能構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、地図情報作成装置100は、受付部101と、受信部102と、出力部103と、記憶部104と、CPU105とを備える。地図情報作成装置100は、一例として車両などに搭載されて経路案内をするためのナビゲーション装置用の地図を作成する装置であり、サーバ装置、PCなどにより実現されるが、これらに限定するものではなく、スマートフォン等の携帯端末などにより実現されるものであってもよい。地図情報作成装置100は、車線変更自体は法律上規制されてはいないものの、他の車両による車線変更や他車両を追い越すためのはみ出し等が予測しにくい注意喚起領域を特定する装置である。地図情報作成装置100は、注意喚起領域を地図が有する特徴や、ユーザが車両を用いて走行した走行履歴を示す走行履歴情報(いわゆる、プローブ情報)を用いて特定する。以下、各機能部について詳細に説明する。
【0024】
受付部101は、地図情報作成装置100のユーザからの入力を受け付けて、CPU105に伝達する機能を有する。受付部101は、例えば、車線変更が規制されていない領域であって、第1の車両の進行方向に対して、他の車両のはみ出しが予測しにくい領域を特定することを指示する入力を受け付ける。受付部101は、例えば、地図情報作成装置100に備えられたハードウェアキーや、タッチキーなどのソフトキーなどにより実現することができる。受付部101は、受け付けた目的地を示す情報をCPU105に伝達する。なお、受付部101に対する入力は音声による入力であってもよい。
【0025】
受信部102は、他の装置から通信により情報を受信する機能を有する。受信部102は、例えば、実際に自動車が走行した位置や車速などの情報を用いて生成された車両の走行履歴である走行履歴情報、所謂プローブ情報(プローブ交通情報)を受信する。受信部102は、例えば、プローブ情報を、プローブ情報を収集、蓄積する道路交通情報通信システム(サーバ)等から受信する。受信部102は、取得したプローブ情報を、CPU105に伝達する。
【0026】
出力部103は、CPU105からの指示に従って、指示されたデータを出力する機能を有する。出力部103は、例えば、注意喚起領域に係る情報が設定された地図情報141を、車両に搭載されているナビゲーションシステム等に出力(送信)したり、注意喚起領域が設定されている箇所を示す情報として、例えば、地図をモニターに出力したりすることができる。出力部103は、外部の装置に対して、CPU105から指定された情報を出力する通信インターフェースとして機能する。
【0027】
記憶部104は、地図情報作成装置100が動作するうえで必要とする各種のプログラム及び地図情報を含む各種のデータを記憶する記録媒体である。記憶部104は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)等により実現される。記憶部104は、地図情報141を記憶しており、当該地図情報141には、各道路を示すリンク及び道路と道路の接点であるノードの情報が含まれ、その他には、道路の車線数、バス停の位置、駐車場や建物等から車両が道路に対して進入してくる位置などの情報が含まれている。
【0028】
CPU105は、記憶部104に記憶されている各種のプログラム及び各種のデータを利用して、地図情報作成装置100が実行すべき処理を実行するプロセッサである。
【0029】
CPU105は、記憶部104に記憶されている地図情報141において、注意喚起領域を特定し、特定した注意喚起領域を地図情報141に設定、登録する。ここで、注意喚起領域は、法令等において、車線変更を禁止されているわけではないものの、車両の運転者が自身で車両を運転する際に、その進行方向に対して他の車両が進入してくることを予測しにくい領域であって、当該他の車両の進入が発生し得る領域のことをいう。なお、ここで、車線変更は、車道において車線が引かれていない道路において、2以上の車両が並行して走行し得る道路での車線変更も含むこととする。
【0030】
CPU105は、車線変更が規制されていない領域であって、第1の車両の進行方向に対して、他の車両のはみ出しが予測しにくい領域(注意喚起領域の候補)を特定する特定部として機能する。
【0031】
また、CPU105は、注意喚起領域となり得る領域を通過した経路を有する車両走行情報に基づいて、領域において前記第1の車両の進行方向に対してはみ出した前記他の車両があるか否かを検出する検出部として機能する。
【0032】
また、CPU105は、検出部が検出した結果に応じて、注意喚起領域となり得る領域を、ユーザに対して注意喚起をすべき注意喚起領域として前記地図情報に登録する登録部として機能する。
【0033】
以上が地図情報作成装置100の構成例である。
【0034】
<地図情報作成装置の動作>
次に、
図2を用いて、地図情報作成装置100による注意喚起領域の特定、設定を行う動作について説明する。
【0035】
CPU105は、地図情報141から、交差点を抽出する。そして、抽出した交差点の中から、その交差点に対して車両が進入する側の進入車線が2車線以上の交差点を特定する(ステップS201)。
【0036】
CPU105は、抽出した進入車線が2車線以上の交差点全てについて、ステップS203〜S208の処理を繰り返す(ステップS202)。
【0037】
CPU105は、交差点に進入する進入車線数が、その交差点を直進した場合の退出する道路の車線数である退出車線数よりも、多いか否かを判定する(ステップS203)。交差点に進入する進入車線数が、退出車線数よりも多い場合(ステップS203のYES)には、ステップS207の処理に移行する。
【0038】
交差点に進入する進入車線数が、退出車線数よりも多くない場合に(ステップS203のNO)、CPU105は、交差点の手前、所定距離内にバス停があるか否かを判定する(ステップS204)。交差点の手前、所定距離内にバス停があるか否かを判定するとは、具体的には、交差点の端点(中央でもよい)から、その交差点への進入車線方向に向けて所定距離内にバス停があるかを判定することをいう。バス停がある場合には(ステップS204のYES)、ステップS207の処理に移行する。
【0039】
交差点の手前、所定距離内にバス停がない場合には(ステップS204のNO)、CPU105は、その交差点の手前、所定距離内に進入車線側の道路に対して、進入路があるか否かを判定する(ステップS205)。ここでいう進入路は、地図情報141においては、道路として登録はされていないものの車両が道路に対して進入し得る箇所のことをいい、具体的には、駐車場からの出口や、建物等からの車両が退出してくる箇所のことをいう。また、交差点の手前、所定距離内に車線への進入路があるか否かを判定するとは、具体的には、交差点の端点(中央でもよい)から、その交差点への進入車線方向に向けて所定距離内に道路以外の車両の進入路があるか否かを判定することをいう。交差点の手前、所定距離内に車線への進入路がある場合には(ステップS205のYES)、ステップS207の処理に移行する。
【0040】
交差点の手前、所定距離内に車線への進入路がない場合には(ステップS205のNO)、CPU105は、交差点の手前、所定距離内で車線変更したことを示すプローブ情報の数が、所定の閾値よりも多いか否かを判定する(ステップS206)。ここで、所定の閾値は、地図情報作成装置100のオペレータにより設定されてよく、車線変更により事故の発生が懸念されると想定できる適当な数を設定するとよい。ステップS206の処理が意味することは、車線変更が多い箇所は、事故が発生する可能性が高いので、注意喚起領域として設定することが望ましいということを意味している。
【0041】
交差点の手前、所定距離内で車線変更したプローブ数が、所定の閾値を超える場合には(ステップS206のYES)、ステップS207の処理に移行する。ステップS207においては、CPU105は、交差点を含む所定距離内を注意喚起領域に設定して、地図情報141に設定する(ステップS207)。その後に、ステップS208の処理に移行する。一方、交差点の手前、所定距離内で車線変更したプローブ数が、所定の閾値を超えない場合には(ステップS206のNO)、その交差点には注意喚起領域を設定しないこととして、ステップS208の処理に移行する。
【0042】
ステップS208において、CPU105は、ステップS201において抽出した全ての交差点について、注意喚起領域の設定についての判定を行ったかを判定し、行っていなかった場合に次の交差点の判定に移行し、行っていた場合に処理を終了する。
【0043】
即ち、CPU105は、進入車線が2車線数以上である交差点であって、ステップS203、S204、S205、S206の条件の内、少なくともいずれか一つに該当する場合に、その交差点を含み、交差点から進入車線側及び退出車線側に伸ばした領域を注意喚起領域として特定する。
【0044】
このように、本実施の形態に係る地図情報作成装置100は、車線変更が許容されているものの、自動車のドライバとしては、車線変更はないだろうと思い込みがちな領域を、注意喚起領域として特定して、地図情報141に設定することができる。
【0045】
<ナビゲーションシステムの構成>
図3は、地図情報作成装置100が作成した注意喚起領域が設定された地図情報141を利用するナビゲーションシステム300の構成例を示すブロック図である。ナビゲーションシステム300は、車両等に搭載されて、ドライバであるユーザの道案内を行う機能を有するコンピュータシステムである。ナビゲーションシステム300は、ユーザの保持するスマートフォン等の携帯端末等によって実現されてもよい。
【0046】
図3に示すように、ナビゲーションシステム300は、受付部301と、位置情報取得部302と、出力部303と、記憶部304と、CPU305とを含む。
【0047】
受付部301は、ナビゲーションシステム300のユーザからの入力を受け付けて、CPU305に伝達する機能を有する。受付部301は、例えば、経路案内における目的地の入力をユーザから受け付ける。受付部301は、例えば、ナビゲーションシステム300に備えられたハードウェアキーや、タッチキーなどのソフトキーなどにより実現することができる。なお、受付部301に対する入力は音声による入力であってもよい。
【0048】
位置情報取得部302は、位置に関する情報を取得する。位置情報取得部302は、例えば、ナビゲーションシステム300の現在位置に関する情報を取得する機能を有する。位置情報取得部302は、例えば、GPS(Global Positioning System)、GNSS(Global Navigation Satellite System)などに代表される測位システムによって実現することができる。位置情報は、経度及び緯度を示す数値として取得することができる。位置情報取得部302は、取得した位置に関する情報を、自身の現在位置を示す情報として、CPU105に伝達する。
【0049】
出力部303は、CPU305からの指示に従って、指示されたデータを出力する機能を有する。出力部303は、例えば、ナビゲーションシステム300が探索した経路を地図上に示した画像情報や、車両の運転中に注意喚起領域に突入した場合に他車両の割り込みや走行車線へはみ出しの可能性を注意する情報を出力するものとして、ナビゲーションシステム300に備えられたモニターやスピーカ等に出力することにより実現することとしてよい。当該モニターやスピーカは、ナビゲーションシステム300に接続された外部のモニターやスピーカであってもよい。
【0050】
記憶部304は、ナビゲーションシステム300が動作するうえで必要とする各種のプログラム及び地図情報を含む各種のデータを記憶する記録媒体である。記憶部304は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)等により実現される。記憶部304は、注意喚起領域が設定された地図情報141や、車両の走行中に地図情報141において設定されている注意喚起領域に突入、もしくは、突入しそうなタイミングで、ユーザに対する注意喚起の情報を出力するための注意喚起プログラムを記憶している。
【0051】
CPU305は、記憶部304に記憶されている各種のプログラム及び各種のデータを利用して、地図情報作成装置100が実行すべき処理を実行するプロセッサである。
【0052】
CPU305は、車両が走行中である場合であって、位置情報取得部302が取得した位置情報が、地図情報141において設定されている注意喚起領域に含まれる、もしくは、これから所定時間(例えば、数秒)後に注意喚起領域に含まれると判断した場合に、ユーザに他車線からの他の車両のはみ出しや車線変更がある可能性を注意喚起する情報を、出力部303から出力させる。
【0053】
以上が、ナビゲーションシステム300の動作である。
【0054】
<ナビゲーションシステムの動作>
図4は、ナビゲーションシステム300による走行中の注意喚起に係る動作例を示すフローチャートである。
【0055】
図4に示すように、ナビゲーションシステム300の位置情報取得部302は、車両の走行中に、逐次、位置情報を取得する(ステップS401)。位置情報取得部302は、取得した位置情報をCPU305に伝達する。
【0056】
CPU305は、取得した位置情報に基づいて、車両が注意喚起領域に進入したか否かを判定する(ステップS402)。車両が注意喚起領域に進入していると判定した場合に(ステップS402のYES)、CPU305は、自車両が走行している走行車線への他車両の進入の可能性があることを報知する(ステップS403)ことによって、ドライバに注意喚起を行う。その後に、ステップS404の処理に移行する。ここで、走行車線への他車両の進入とは、自身が走行している進路方向(走行車線)に対して、他の車両が車線変更等により進入してくる場合や、他の車両を追い越すためにはみ出してくる場合などのことをいう。車両が注意喚起領域に進入していない場合には(ステップS402のNO)、ステップS404の処理に移行する。
【0057】
CPU305は、車両のエンジンが停止されたか否かを判定し(ステップS404)、停止されていない場合には(ステップS404のNO)、ステップS401の処理に戻り、停止された場合には(ステップS404のYES)、処理を終了する。なお、ステップS404の判定は、例えば、車両内部のネットワーク(CAN)と、ナビゲーションシステム300とを接続することによって、車両の状態情報を得ることにより判定することができる。
【0058】
このように、車線変更が法定上許容されているものの、一般には車線変更を行わないような領域であって、ユーザが他車両による、自車両の進路方向への進入が予測しにくい領域においては、実際に他車両の進入があると、不測の事態に対応できずに事故を起こす可能性がある。しかし、地図情報作成装置100が作成した地図情報141を利用したナビゲーションシステム300であれば、そのような領域に近づくとユーザに注意喚起を行って、事故などを未然に防ぐことができる。
【0059】
<具体例>
図5は、地図情報作成装置100が、注意喚起領域として設定する領域の具体例を説明するための地図の一例である。
【0060】
一例として
図5に示すような交差点501があったとする。そして、
図5において、例えば、バス停503に停車しているバス502が走行する場合を想定する。
図5の例で言えば、バス502は、図面に向かって左から右に走行することになる。このとき、バス502が走行している道路は交差点501に進入する側では、4車線であり、この交差点501を直進する場合には、交差点501からの退出側の道路の車線は3車線である。
【0061】
このとき、
図6に示すように、バス502が走行する走行車線603の隣の走行車線604を走行する車両606があるとする。一方で、バス502は、予め定められた経路に従って、バス停503から出発した後は、交差点501を直進する必要があるとする。このとき、バス502が取り得る走行経路としては、矢印601や矢印602のような経路が考えられる。このような場合、バス502が走行する走行車線603は、左折車線であるにもかかわらず、矢印601に示すような経路で直進、あるいは、矢印602に示すような経路で直進車線への車線変更が法令上許容されていることがある。また、この車線変更は、走行車線603と走行車線604との間の境界線がはみ出し禁止を示す黄色実線であっても許容される場合があり、黄色実線の脇に白色破線を描いて、白色破線が描かれている側から描かれていない側への車線変更のみ許容することを明示することもある。
【0062】
しかし、そのような車線変更は、走行車線604を走行する車両606のドライバにとっては予測しづらいことが多い。例えば、車両606のドライバが、自身が走行している走行車線604の隣の走行車線603は左折車線であるから、そこから、走行車線604に車線変更してくる車両はないだろうと思い込んでいる場合などには、特に、予測しづらいと言える。したがって、車線変更を予期していない車両606のドライバにとって、バス502が、矢印601や矢印602のように走行した場合には、バス502の車線変更を予測しきれずに接触事故の原因となる可能性がある。
【0063】
そこで、地図情報作成装置100は、このような可能性がある注意喚起領域としてナビゲーション用の地図情報141に設定する。一例として、地図情報作成装置100は、
図7に示すように、交差点501を含み、車線全体を囲うような一点鎖線702で囲ったような領域を注意喚起領域として設定することとしてもよいし、点線701で示すように、特に、上述したような事故の可能性がある領域を特定して注意喚起領域として設定することとしてよい。
【0064】
なお、ステップS204における距離の判定は、
図7の距離D1あるいは距離D2が所定の距離内であるか否かの判定を行うものである。また、ステップS205の判定は、
図7において、バス停503に代えて、例えば、ある建物の駐車場からの出入り口がある場所とした場合に、その交差点までの距離D1あるいは距離D2が所定の距離内であるか否かを判定することになる。
【0065】
<まとめ>
本実施の形態に係る地図情報作成装置100によれば、車線変更が予測しにくい箇所を特定して、注意喚起領域としてナビゲーション用の地図情報に設定することができる。そして、該地図情報を利用したナビゲーションシステムによれば、注意喚起領域に車両が進入した場合には、他車両の自車両の進行方向に対する進入がある可能性を注意喚起することができるので、他車両による車線変更の予測がしにくい場所における事故の発生の可能性を低減することができる。
【0066】
<補足>
上記実施の形態に係る地図情報作成装置は、上記実施の形態に限定されるものではなく、他の手法により実現されてもよいことは言うまでもない。以下、各種変形例について説明する。
【0067】
(1)上記実施の形態においては、ステップS203、S204、S205の処理それぞれにおいて、YESと判定される場合の移行先をステップS207としたが、これは、その限りではない。ステップS203〜S205のYESにおける処理の移行先は、ステップS206であってもよく、そのように構成することで、ステップS203〜S205の条件に該当するうえで、所定数の車線変更が発生している箇所を注意喚起領域として設定するように構成してもよい。即ち、ステップS203〜S205のいずれかの条件に該当する場合であっても、車線変更の数が少ないような場合には、車線変更、車両のはみ出し等による事故が発生する可能性は低いことから、注意喚起領域として設定せずともよい。このように構成することで、注意喚起領域の数が無駄に増大することを防止することができる。
【0068】
(2)上記実施の形態において、ステップS206の判定に加えて、実際にその交差点で車線変更、車両の他車線へのはみ出し等により発生した事故の数が所定数以上であるか否かの判定を加えるようにしてもよい。過去に事故が発生したことがある領域は、他の領域よりも事故の可能性が高いと言えるので、注意喚起領域に設定して、車両を運転するドライバへの注意喚起を行うようにして、事故の発生を抑止することができる。
【0069】
(3)上記実施の形態において、CPU105は、注意喚起領域の設定について、車線毎に設定するようにしてもよい。即ち、
図2におけるステップS203〜S206に示す処理を交差点の各車線について判定を行って、車線毎に、注意喚起領域を設定することとしてよい。このような車線毎の注意喚起領域の設定を行う場合、特に、ステップS204、S205の判定は、道路の端の車線に影響し、車道中央側にある車線には影響しないことから、路肩側の車線のみに注意喚起領域が設定されることも有り得る。
【0070】
(4)上記実施の形態において、ステップS206において用いるプローブ情報としては、過去から現在に至るまでにその交差点を通過した全てのプローブ情報を用いることとしてもよいし、現在から過去までの所定期間(例えば、半年や1年など)分のプローブ情報を用いることとしてもよい。また、ステップS206においては、数で判定を行うこととしているが、これは、数ではなく、全体に対する割合で判定を行うこととしてもよい。即ち、交差点を通過したプローブ数全てに対して、車線変更を行ったプローブ数の割合が、所定の閾値を超えるか否かの判定を行うこととしてもよい。
【0071】
(5)上記実施の形態においては、特に記載しなかったが、地図情報作成装置100は、注意喚起領域を車線毎に設定した場合であって、車両が注意喚起領域を走行しており、隣接車線等において注意喚起領域が設定されていないときには、注意喚起領域が設定されていない車線への車線変更を提示するよう地図情報141を作成することとしてもよい。そして、ナビゲーションシステム300の出力部303は、地図情報141の設定にしたがって、そのような提示を行うこととしてもよい。
【0072】
(6)上記実施の形態において、車線として、黄色実線を用いている場合に、ドライバは自身が走行している走行車線に対して、その黄色実線を境界線として用いている車線からの他車両の車線変更が予測しにくいことは述べた。これは、黄色車線であってもその車線を跨ぐことを明示している黄色実線と白色破線を用いた境界線であっても、ドライバがその境界線の意味するところを理解していない場合は特に、同様のことがいえる。
【0073】
そこで、地図情報作成装置100は、上記問題を鑑みて、ステップS203〜S206における注意喚起領域として設定するか否かの判断基準として、交差点の手前、所定距離内の境界線として、黄色実線を用いているか否かの判断や、交差点の手前、所定距離内の境界線として、黄色実線と白色破線を並行して描いた境界線を用いているか否かの判断を行うこととしてもよい。地図情報141には、車線間に、どのような境界線を用いているかの情報が登録されており、この情報を用いることによって、上述の判断を行うことができる。そして、交差点の手前の所定距離内において、これらの境界線を用いている場合には、地図情報作成装置100は、注意喚起領域として地図情報141に登録設定することとしてよい。
【0074】
また、地図情報作成装置100は、ステップS203〜S206の判断、及び、境界線についての判断は全て並列での判断であってもよいし、ステップS203〜S206の判断及び境界線についての判断のうち、2以上の条件を満たしたときにはじめて、注意喚起領域として設定するように設定することとしてもよい。ステップS203〜S206及び境界線についての条件のうち、いずれの複数の条件を満たした場合に、注意喚起領域を設定するかについては、それらの組み合わせのうち、現実の交通規制や走行の実情に鑑みて、オペレータが組み合わせるのに好適と判断したものを用いるとよい。
【0075】
(7)上記実施の形態においては、地図情報作成装置における注意喚起領域を含む地図情報作成の手法として、地図情報作成装置のプロセッサが地図情報作成プログラム等を実行することにより、作成することとしているが、これは装置に集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実現してもよい。また、これらの回路は、1または複数の集積回路により実現されてよく、上記実施の形態に示した複数の機能部の機能は1つの集積回路により実現されることとしてもよい。LSIは、集積度の違いにより、VLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIなどと呼称されることもある。すなわち、
図8に示すように、地図情報作成装置100は、受付回路101a、受信回路102a、出力回路103a、記憶回路104a、制御回路105a、とから構成されてよく、それぞれ、受付部101、受信部102、出力部103、記憶部104、CPU105、に相当する。
【0076】
また、上記地図情報作成プログラムは、プロセッサが読み取り可能な記録媒体に記録されていてよく、記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記地図情報作成プログラムは、当該地図情報作成プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記プロセッサに供給されてもよい。つまり、例えば、スマートフォン等の情報処理機器を利用して、ネットワーク上から地図情報作成プログラムをダウンロードして実行する構成としてもよい。本発明は、上記地図情報作成プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0077】
なお、上記地図情報作成プログラムは、例えば、ActionScript、JavaScript(登録商標)などのスクリプト言語、Objective-C、Java(登録商標)、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、HTML5などのマークアップ言語などを用いて実装できる。
【0078】
(8)上記実施の形態に示した各種の実施例や、<補足>に示した各種の例は適宜組み合わせることとしてもよい。また、各フローチャートに示した各動作は、結果として矛盾がなければその実行順序を入れ替えたり、並列に実行したりすることとしてもよい。