特許第6852042号(P6852042)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6852042
(24)【登録日】2021年3月12日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】常温流通用キムチの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23B 7/10 20060101AFI20210322BHJP
【FI】
   A23B7/10 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-227193(P2018-227193)
(22)【出願日】2018年12月4日
(65)【公開番号】特開2020-219(P2020-219A)
(43)【公開日】2020年1月9日
【審査請求日】2018年12月4日
(31)【優先権主張番号】10-2018-0072660
(32)【優先日】2018年6月25日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518431347
【氏名又は名称】デサン・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チュン・ソク・イ
(72)【発明者】
【氏名】チェ・ソク・クォン
(72)【発明者】
【氏名】ヘ・ヨン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・コル・ウォン
(72)【発明者】
【氏名】チュン・ホ・チェ
(72)【発明者】
【氏名】チュン・スン・イ
【審査官】 佐藤 巌
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−188817(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/204603(WO,A1)
【文献】 特開2017−184661(JP,A)
【文献】 特開昭62−084713(JP,A)
【文献】 特開平10−327753(JP,A)
【文献】 特開平09−168369(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1663424(KR,B1)
【文献】 国際公開第2017/204605(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102461828(CN,A)
【文献】 衣松令恵ら,J. Jpn. Stomatol. Soc.,2002年,Vol.51, No.1,pp.35-42
【文献】 古館明洋, 目黒孝司,北海道立農業試験場集報,1997年,Vol.73,pp.35-39
【文献】 石井泰造,食品と開発,1985年,Vol.20, No.8,pp.28-31
【文献】 柿崎淳一,食品と科学,1981年,Vol.23, No.12,pp.92-94
【文献】 柴田春彦,食品と科学,1984年,Vol.26, No.10,pp.73-77
【文献】 特集 キムチ物語,食彩浪漫,2008年,2月号,pp.11-43
【文献】 PATRA, J.K. et al.,Front. Microbiol.,2016年,Vol.7,Article No.1493(pp.1-15)
【文献】 CHEIGH, H.S. and PARK, K.Y.,Crit. Rev. Food Sci. Nutr.,1994年,Vol.34, No.2,pp.175-203
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23B 7/00−9/34
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)キムチを熟成させるステップ、
(b)熟成されたキムチを油脂類の添加なしに炒めるステップ、および
(c)炒めたキムチを包装材に入れて密封した状態で、当該キムチを70℃〜100℃で10分間〜80分間熱湯処理するステップ
を含む、キムチの製造方法。
【請求項2】
前記ステップ(a)は、キムチをpH4.8以下に熟成させる、請求項1に記載のキムチの製造方法。
【請求項3】
前記ステップ(b)は、70℃〜99℃で5分間〜30分間行われる、請求項1に記載のキムチの製造方法。
【請求項4】
前記製造方法は、ステップ(c)後に、20℃以下の冷水でキムチを冷却させるステップをさらに含む、請求項1に記載のキムチの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常温流通用キムチの製造方法およびそれにより製造された常温流通用キムチに関する。
【背景技術】
【0002】
キムチは、白菜、大根などの各種野菜類を主な原料とする発酵食品であり、乳酸菌のような特有の栄養学的特性が科学的に明らかになることにより、国際的に食用する人口が大幅に増加している傾向である。
【0003】
しかし、キムチ材料の多様性、材料の配合比率および条件などが複雑であり、発酵食品という固有の特性上、貯蔵性がぜい弱であり、長期間の保管および流通が難しいという問題がある。また、取り扱い不注意によるキムチ汁の汚染および悪臭を放つという短所がある。
【0004】
特に、現在に製造および流通しているキムチは、ビニル包装、ガラス瓶またはペットボトルなどに包装して低温殺菌した製品であって、流通期限が冷蔵状態で1ヶ月〜3ヶ月程度で短い方である。すなわち、キムチの流通時、コールドチェーン(cold chain)を維持しなければ炒めキムチが腐敗、変質するため、流通、保管および取食に至るまで多くの流通段階および費用がかかる。したがって、キムチの流通および輸出を増加させるためには、キムチを常温で保管および流通できる方法が必要である。
【0005】
本発明者らは、前記問題点を解決するために努めた結果、キムチの味と色を維持し、且つ、常温で流通できるキムチの製造方法を完成するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】大韓民国登録特許第10−1663424号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、キムチを熟成させるステップ、熟成されたキムチを油脂類の添加なしに炒めるステップ、および炒めたキムチを熱湯処理するステップを含む、常温流通用キムチの製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、前記方法により製造された常温流通用キムチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の一様態は、
(a)キムチを熟成させるステップ、
(b)熟成されたキムチを油脂類の添加なしに炒めるステップ、および
(c)炒めたキムチを熱湯処理するステップを含む、常温流通用キムチの製造方法を提供する。
【0010】
本明細書で用いられた用語「キムチ(kimchi)」は、大根、白菜、キュウリなどのような野菜を塩漬けにし、唐辛子、ネギ、ニンニクおよびショウガなどの種々の香辛料と混ぜ合わせて漬けた塩漬け発酵食品を意味する。キムチは、野菜が生産されない冬季にビタミンCを供給する役割をし、主な材料に応じて、白菜キムチ、からし菜キムチ、カクテキ、ナバクキムチ、チョンガ(韓国ミニ大根)キムチなどに分類することができる。
【0011】
本発明の一具体例において、前記(a)ステップは、キムチをpH4.8以下に熟成させて熟成キムチを製造する。キムチを熟成させると、乳酸菌が優占種になり、乳酸菌が生成する発酵産物によってキムチの風味を阻害する他菌の生育を抑制する効果を得ることができ、さらには低温殺菌を通じて食品の貯蔵性を確保することができる。
【0012】
本発明の一具体例において、前記(b)ステップは、70℃〜99℃で5分間〜30分間行われる。好ましくは、前記酸性化されたキムチを油脂類の添加なしに80℃〜95℃で10分間〜20分間炒める。キムチを炒めるステップを通じて、前記熟成されたキムチは追加の殺菌効果を得ることができ、キムチに残っている水分を蒸発させて常温流通時にもキムチのテクスチャを維持することができる。また、前記炒めるステップにおいて油脂類を添加しないことによってキムチ本来の色感を長期間維持することができる。
【0013】
本発明の一具体例において、前記(c)ステップは、70℃〜100℃で10分間〜80分間行われる。好ましくは、前記炒めたキムチを85℃〜100℃で30分間〜60分間熱湯殺菌することができる。前記ステップにおいて、前記炒めたキムチは、包装材に入れて密封した状態で殺菌されることが好ましい。
【0014】
前記ステップにおいて、熱湯によって追加の殺菌効果を得ることができ、(a)および(b)ステップを経るにつれて熟成されたキムチの発酵を停止させることによってキムチの熟成状態およびテクスチャを長期間維持させることができる。
【0015】
本発明の一具体例において、前記方法は、(c)ステップ後にキムチを急速冷却させるステップをさらに含んでもよい。
【0016】
本発明の他の様態は、前記方法により製造された常温流通用キムチを提供する。
【0017】
本明細書で用いられた用語「常温流通用キムチ」は、キムチの味と色に大きな変化なしに常温状態(約25℃)で保管および流通が可能なキムチを意味する。
【0018】
前記常温流通用キムチの製造方法により製造されたキムチは、キムチのテクスチャと色がそのとおりに維持され、微生物総菌数が増加せず、常温流通時に追加発酵が起こらないのでキムチ本来の熟成状態を保つことができるという長所がある。
【0019】
本発明の一具体例において、前記キムチは、微生物総菌数を基準に10CFU/g以上10CFU/g以下の微生物が含まれることが好ましい。前記製造されたキムチ内の微生物の総菌数が10CFU/gを超過する場合、密封時に微生物の発酵によるガス膨張および熱の発生によって常温で長期間保管し難いという問題点が発生しうる。微生物総菌数はcolony forming unit(CFU/g)で表示し、これは、キムチを滅菌食塩水に均質化し、均質液を段階的に希釈して適切な培養培地に接種した後、37℃で48時間培養して発生した総コロニー数を測定することによって得ることができる。
【0020】
本発明の一具体例において、前記キムチは5.9kgf以上8.0kgf以下のテクスチャを有することが好ましく、最も好ましくは5.9kgf以上7.0kgf以下のテクスチャを有することができる。テクスチャはデジタル硬度計を用いて測定することができ、プローブでキムチの表面を押した時に発生する力を測定してkgf単位で示すことができる。
【0021】
本発明の一具体例において、前記キムチは24以上32以下の赤色度を有してもよく、26以上30以下の赤色度を有することが好ましい。色度は測定前に標準白板で補正し、ペースト状のキムチ試料をプラスチック枠組みに入れた後に色度計を用いて測定することができ、色度計の測定結果より赤色度はa valueで示すことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のキムチの製造方法を利用すれば、キムチの風味とテクスチャが維持された状態で、常温状態で長期間流通可能なキムチを製造することができるため、キムチの流通および保管費用を節減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、一つ以上の具体例について実施例を挙げてより詳細に説明する。但し、これらの実施例は一つ以上の具体例を例示的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0024】
実施例1:常温流通のためのキムチの製造
【0025】
キムチは、DAESANG(株)の宗家キムチ居昌工場(大韓民国)から提供を受け、10℃以下の冷蔵庫に保管しつつ常温流通用キムチの試料として用いた(大きさ1〜2cm/pH4.8以下)。
【0026】
1−1.常温流通用の微生物制御キムチの製造
【0027】
キムチ試料をpH4.8以下に熟成させた後(1次微生物制御)、炒め釜に入れて油脂類(fat and oils)を添加しない状態で80℃〜95℃で10分間〜20分間炒めた(2次微生物制御)。炒めたキムチ試料をアルミニウムパウチに80gずつ充填して密封し、密封されたアルミニウムパウチを85℃〜95℃で30分間〜50分間熱湯殺菌した(3次微生物制御)。殺菌されたアルミニウムパウチは20℃以下の冷水で急速に冷却させた。本実施例で製造されたキムチを以下では「微生物制御キムチ」と称する。
【0028】
1−2.常温流通用のレトルトキムチの製造
【0029】
キムチをレトルト用アルミニウムパウチに80gずつ充填し、脱気した後に密封した。密封したアルミニウムパウチを121℃で4分間(F0値4)殺菌した後、20℃以下の冷水で急速に冷却させた。本実施例で製造されたキムチを以下では「レトルトキムチ」と称する。
【0030】
1−3.常温流通用の缶詰めキムチの製造
【0031】
キムチを缶詰め用の容器に80gずつ充填し、脱気した後に密封した。密封した缶詰容器を121℃で6分間(F0値6)殺菌した後、20℃以下の冷水で急速に冷却させた。本実施例で製造されたキムチを以下では「缶詰めキムチ」と称する。
【0032】
1−4.常温流通用の炒めキムチの製造
【0033】
キムチ95%と油脂類5%を混合した後に炒め釜に入れ、90℃で15分間炒めた。炒めたキムチをアルミニウムパウチに80gずつ充填して密封した後、20℃以下の冷水で急速に冷却させた。本実施例で製造されたキムチを以下では「炒めキムチ」と称する。
【0034】
1−5.常温流通用の熱湯殺菌キムチの製造
【0035】
キムチをアルミニウムパウチに80gずつ充填して密封し、90℃で40分間熱湯殺菌した。殺菌されたアルミニウムパウチを20℃以下の冷水で急速に冷却させた。本実施例で製造されたキムチを以下では「熱湯殺菌キムチ」と称する。
【0036】
1−6.常温流通用の超高圧殺菌キムチの製造
【0037】
キムチをアルミニウムパウチに80gずつ充填して密封し、常温(25℃)で500MPaの圧力を加えて超高圧処理をした。本実施例で製造されたキムチを以下では「超高圧殺菌キムチ」と称する。
【0038】
実施例2:製造されたキムチの品質比較
【0039】
2−1.微生物制御キムチ
【0040】
実施例1−1により製造された微生物制御キムチの微生物総菌数、テクスチャおよび色の分布を表1に示す。
【0041】
常温で流通が可能となるためには微生物の総菌数が10CFU/g以下であることが好ましく、キムチとしての食感がしゃきっとした歯ざわり水準のテクスチャは、デジタル硬度計(IMADA push pull scale & digital force gauge、IMADA、Japan)を用いて測定した時に5.9〜8.0kgfであり、色度は、色度計(CR−410、Minolta Co.、Osaka、Japan)を用いて測定した時、赤色度(a value)を基準に26以上であるものがキムチの外観色が一般的に優れるものとして判断される。
【0042】
前記のような基準から判断する時、実施例1−1により製造された微生物制御キムチのテクスチャと色度はいずれも優れており、微生物の総菌数まで考慮した場合、3次微生物制御過程が90℃で40分間〜50分間、95℃で30分間〜50分間行われたキムチが常温流通可能なものとして確認された。このように製造された微生物制御キムチは、12ヶ月以上常温流通が可能であり、キムチ本来の色と風味が持続的に維持されることを確認することができた。
【0043】
このような結果は、炒め工程で油脂類の添加なしに純粋なキムチのみを炒めるのでキムチ固有の色が維持され、炒め過程でキムチの水分が蒸発して殺菌工程で発生する液相のキムチ汁が少なめに発生して、高温でもキムチのテクスチャが維持されるためであると判断される。
【0044】
以下、他の常温流通用キムチとの品質比較は、90℃で40分間殺菌したキムチ(微生物制御キムチ)を対象に実験を行った。
【0045】
【表1】
【0046】
2−2.他の常温流通用キムチの品質比較
【0047】
レトルトキムチと缶詰めキムチは、保存料を添加せず、滅菌を通じて長期間常温流通が可能であることが分かった。しかし、表2に示されたとおり、レトルトキムチと缶詰めキムチは、高圧または高温殺菌によりキムチ色が変色し、キムチチゲに入ったキムチのようにキムチのテクスチャが落ちることを確認することができた。
【0048】
また、炒めキムチは、炒め工程を通じた乳酸菌の増殖抑制により約1週間〜2週間だけ常温流通が可能であることが分かった。また、油脂類と共にキムチを炒めるため、キムチ本来の新鮮な風味が無くなり、乳化が発生してキムチ色も変色した。
【0049】
熱湯殺菌キムチは、殺菌を通じて保存料の添加なしに常温で1ヶ月間〜2ヶ月間流通が可能であることが分かった。また、キムチ色は変色が少なかったが、高温殺菌によりキムチ漏液が発生してキムチチゲに入ったキムチのようにキムチのテクスチャが落ちることが分かった。
【0050】
超高圧殺菌キムチは、加熱処理をしないのでキムチ本来の色と風味が維持されるが、微生物制御が不完全であって初期微生物数が10CFU/g以上であることが分かった。この結果は、キムチの冷蔵流通期限を延ばす効果はあるが、発酵の進行および炭酸ガスの発生によってキムチを常温流通できないことを意味する。
【0051】
【表2】
【0052】
2−3.常温流通用キムチの官能検査
【0053】
実施例1−1(90℃、40分間殺菌)〜1−6で製造されたキムチの官能評価を行った。専門パネル30人を対象に全体選好度、外観(色)、テクスチャおよびキムチの味を確認した(最高点数7点)。
【0054】
その結果、表3に示されたとおり、微生物制御キムチの全体選好度、外観(色)、テクスチャおよびキムチ味の選好度の点数が均一に優れることを確認することができた。
【0055】
【表3】
【0056】
比較例1:製造されたキムチの常温流通の結果
【0057】
実施例1−1(90℃、40分間殺菌)〜1−6で製造された各々のキムチを25℃の恒温器で7日間保管するか、または50℃で5日間保管(常温基準に12ヶ月間の保管条件と同一)した後にキムチの品質を比較した。
【0058】
その結果、表4に示されたとおり、炒めキムチ(実施例1−4)と超高圧殺菌キムチ(実施例1−6)の場合、25℃で7日間保管時に発酵によるガスの発生で容器が膨らんで常温流通が不可能であることが分かった。
【0059】
また、レトルトキムチ(実施例1−2)と缶詰めキムチ(実施例1−3)および熱湯殺菌キムチ(実施例1−5)は、発酵による容器膨張は発生しなかったが、色の変化が激しいことが分かった。特に、キムチのテクスチャが初期より大幅に減少して品質の劣化が激しかった。
【0060】
微生物制御キムチ(実施例1−1)は、色は初期より若干変色したが、キムチのテクスチャには有意な差が発生せず、長期間常温に保管または流通する場合にもキムチの品質が維持されることが分かった。
【0061】
【表4】
【0062】
比較例2:キムチの熟成程度に応じた殺菌効果
【0063】
1〜2cm大きさのキムチは、DAESANG(株)の宗家キムチ居昌工場(大韓民国)から提供を受け、10℃以下の冷蔵庫に保管しつつpH区間別に熟成させた。熟成されたキムチをアルミニウムパウチに80gずつ充填して密封し、各々の温度および時間条件で熱湯殺菌した。その後、殺菌されたアルミニウムパウチを20℃以下の冷水で急速に冷却させた。
【0064】
製作されたキムチの殺菌効果を表5に示す。実験の結果、pH4.8超過区間に熟成させたキムチは、熱湯殺菌効果が低く、90℃で殺菌しても微生物が10CFU/g以上存在するため、常温流通に好適でないことが分かった。また、95℃で40分以上殺菌する場合、微生物が10CFU/g以下に存在して常温流通は可能であるが、高温長時間の殺菌でキムチ本来のテクスチャが柔らかくなることが分かった。よって、キムチをpH4.8以下に熟成させた時に殺菌効果が極大化されることが分かった。
【0065】
【表5】
【0066】
以上、本発明についてその好ましい実施例を中心に説明した。本発明が属する技術分野で通常の知識を有した者であれば、本発明が本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内で変形した形態に実現できることを理解することができるであろう。したがって、開示された実施例は限定的な観点でなく説明的な観点で考慮しならなければならない。本発明の範囲は前述した説明でなく特許請求の範囲に示され、それと同等な範囲内にある全ての差異点は本発明に含まれたものとして解釈しなければならない。