特許第6852053号(P6852053)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6852053金属反応剤合金組成物を使用してプラスチック、電子機器、軍需品、または発射火薬を再生利用する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6852053
(24)【登録日】2021年3月12日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】金属反応剤合金組成物を使用してプラスチック、電子機器、軍需品、または発射火薬を再生利用する方法
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/00 20060101AFI20210322BHJP
   F01K 25/10 20060101ALI20210322BHJP
   A62D 3/32 20070101ALI20210322BHJP
   A62D 101/06 20070101ALN20210322BHJP
【FI】
   B09B3/00 303E
   B09B3/00 303Z
   F01K25/10 R
   A62D3/32
   A62D101:06
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-511364(P2018-511364)
(86)(22)【出願日】2016年5月16日
(65)【公表番号】特表2018-524170(P2018-524170A)
(43)【公表日】2018年8月30日
(86)【国際出願番号】US2016032753
(87)【国際公開番号】WO2016187144
(87)【国際公開日】20161124
【審査請求日】2019年5月15日
(31)【優先権主張番号】62/162,648
(32)【優先日】2015年5月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517398047
【氏名又は名称】プレスウッド ロナルド ジー ジュニア
(73)【特許権者】
【識別番号】517398058
【氏名又は名称】ビショップ イアン シー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100170944
【弁理士】
【氏名又は名称】岩澤 朋之
(72)【発明者】
【氏名】プレスウッド ロナルド ジー ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ビショップ イアン シー
【審査官】 齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/032843(WO,A1)
【文献】 米国特許第06414143(US,B1)
【文献】 米国特許第06011193(US,A)
【文献】 国際公開第2014/167139(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0304822(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B1/00−5/00
A62D3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック、電子機器、軍需品、または発射火薬から選択される供給原料から、水素、炭素、硫黄、窒素、炭化水素、重金属、又は希土類金属を回収する方法であって、
反応容器中の溶融金属化合物の表面下に供給原料及び溶融金属化合物の混合物ボルテックスを使用して注入することと、
前記混合物前記反応容器中の溶融金属化合物と反応させることと、
反応によって生じた水素、炭素、硫黄、窒素、炭化水素、重金属、又は希土類金属を含む反応生成物を回収することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記溶融金属化合物がアルミニウムである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶融金属化合物がアルミニウム合金である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記溶融金属化合物が、シリコン、マグネシウム、亜鉛、銅、鉄、及びカルシウムから成る群から選択されるアルミニウム合金である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記溶融金属化合物がシリコンである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記溶融金属化合物がシリコン合金である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
プラスチック、電子機器、軍需品、または発射火薬から選択される供給原料から、水素、炭素、硫黄、窒素、炭化水素、重金属、又は希土類金属を回収するための装置であって、
溶融金属化合物を保持するように設計された反応容器と、
供給原料の流れを前記溶融金属化合物の表面下に付勢する、陶製ボウルと、
反応容器の底部から、供給原料と溶融金属化合物との反応により生じる、重金属又は希土類金属を含む沈殿した反応生成物を回収するための収集ラインと、
供給原料と溶融金属化合物との反応により生じる、水素、炭素、硫黄、窒素、又は炭化水素を含む反応生成物を前記反応容器中の溶融金属化合物の表面から回収するための送風機及び熱交換器と、
前記送風機及び熱交換器からの反応生成物から粒子状物質を除去するための、少なくとも1つの分離器と、
前記陶製ボウルを前記反応容器に接続し、かつ前記供給原料と前記溶融金属化合物の混合物を、ボルテックスを使用して前記反応容器中の前記溶融金属化合物の表面下に注入するための連絡ラインと、を備える、装置。
【請求項8】
前記反応容器が、
反応容器壁と、
耐火材料と、
冷却板と、をさらに備え、
前記冷却板が、前記冷却板と前記反応容器壁との間に、冷却流体のための水路を形成し、
前記耐火材料が、前記反応容器壁の前記冷却板とは反対側の表面に形成される、請求項に記載の装置。
【請求項9】
冷却流体から生成された蒸気を送るための蒸気配管を経由して装置に接続された蒸気タービンをさらに備える、請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記蒸気タービンに接続された発電機をさらに備える、請求項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2015年5月15日に出願された、米国仮特許出願第62/162648号の優先権を主張し、その全体が本明細書に参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、プラスチック、電子機器、軍需品、または発射火薬を再生利用し、アルミニウム、亜鉛、鉄、銅、シリコン、及び/またはカルシウム合金からなり得る、溶融アルミニウムまたはアルミニウム合金浴を使用して、プラスチック、電子機器、軍需品、または発射火薬から、炭素、硫黄、炭化水素、及び重金属を取り込みかつ回収する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
プラスチック、電子機器、軍需品、または発射火薬を再生利用するいくつかの方法が存在するが、これらの方法は費用がかかり、場合によっては、実際の初期材料そのものよりむしろ問題となり得る二次廃棄物を生み出す。現在のところ、プラスチック、電子機器、軍需品、または発射火薬を再生利用する方法は、場合によっては母材よりさらに有害である、一酸化炭素または二酸化炭素などの温室効果ガス、ならびにアンモニア及び他の二次化合物などの他の副産物を生み出す。さらに、これらのプロセスは、目下のところ埋め立て処分されなければならず、水銀などの重金属、または一般的に電子機器において見出される希土類金属を回収する効率的な方法がない、スラグも生成する。これらのプロセスが稼働する間、それらはかなりのエネルギー投入を必要とするか、または経営者の経費負担で処分が必要であり、また考えられる将来の環境影響を伴う廃棄物流れを生み出す。
【0004】
したがって、残余の炭素、硫黄、及び任意の希土類元素または重金属を回収すると同時に、プラスチック、電子機器、軍需品、または発射火薬を経済的に再生利用する改良された方法が、当技術分野において必要である。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、プラスチック、電子機器、軍需品、または発射火薬を再生利用するための装置を提供する。これは、以下に限定されないが、ポリ塩化ビニル(PVC)、高密度ポリエチレン(HDPE)、フェノールホルムアルデヒド(PF)、低密度ポリエチレン(LDPE)、アルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)、ナイロンまたは他のプラスチックなどの任意のタイプのプラスチックであり得る。これは、以下に限定されないが、携帯電話、携帯電子機器、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、タブレットなどの任意の家電製品であり得る。同様に、これは、以下に限定されないが、火薬またはM6などの任意のタイプの軍需品または発射火薬を再生利用するのに使用され得る。プロセスは、溶融アルミニウムまたは溶融アルミニウム合金浴を利用する。アルミニウムは、以下に限定されないが、亜鉛、鉄、銅、シリコン、及びカルシウムを含む金属で合金化され得る。すべての場合において、材料は粉砕され、乾燥され得、次に、浴の水面下に導入される。粉砕された材料は、窒素またはアルゴンなどの不活性ガスを使用して水面下に付勢され得るか、または重力供給方式を使用して浴に送り込まれ得る。プロセスにおいて、余熱が生成され、熱電併給などの他のプロセスを促進するのに使用され得る。粉砕された材料が浴を通過すると、アルミニウムまたはアルミニウム合金浴が反応して、材料をその元素部分まで分解する。次に、それらの元素は、重量測定プロセス及びガス取り込みプロセスを使用して浴から除去される。浴から除去された元素は、以下に限定されないが、他の希土類及び重金属と同様に、炭素、硫黄、水素、窒素、水銀、銅、鉄を含み得る。プロセスは、メタン及び他の炭化水素も生じさせ得る。元素材料は、回収されて販売されることができ、また、炭化水素は回収されて販売されるか、またはプロセスを容易にするように燃やされる。不活性ガスは、再処理されて再利用される。
【0006】
アルミニウムまたはアルミニウム合金浴は、酸素化合物を、それらと高温で化学的に反応させることによって除去することができる。PVCなどの他の化合物は、アルミニウムまたは他の合金が塩化化合物を除去して塩化アルミニウムを形成するときに分解される。選択元素の除去は、有機化合物の化学結合を分解させることを可能にし、元素化合物と同様に揮発性有機化合物を生成する。
【0007】
このプロセスは、選択されたプラスチック及び家電製品を使用して、実験室試験において評価された。粉砕されたプラスチック及び家電製品は、溶融アルミニウムに通された。生成された排煙及び最終の合金塊は、走査電子顕微鏡(SEM)を使用して分析した。SEM画像の検査は、元素状の炭素、硫黄、及びアルミニウム塩の存在を示した。分解されなかった品目は、Sガラス、シリコン、及び石英ガラスのみであった。
【0008】
図1は、基本的なプロセスフロー100を示す。基本的なプロセスにおいて、粉砕された材料は、注入供給システム101を使用して、供給ライン102を通って溶融金属浴103の水面下に導かれる。炭素、硫黄及び同種のものなどの元素材料が104に取り込まれ、低密度の二次化合物は浴の水面105から除去され、また、高密度の二次化合物は浴の底106から除去される。これは、プラスチック、電子機器、軍需品、または発射火薬を再生利用する方法として説明されている一方、以下に限定されないが、ゴム、油、及びタールなどの他の有機化合物を再生利用するために、この方法を使用することも期待される。
【0009】
本発明のより完全な理解のため、以降、添付された図及び図面と併せて以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】基本的なプロセスフローを示す。
図2】典型的なプロセスフローを示す。
図3】反応容器壁の詳細な断面図を示す。
図4】ボルテックスを組み込んだ修正されたフロープロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、プラスチック、電子機器、軍需品、または発射火薬を再生利用するプロセスを提供する。プロセスは、溶融アルミニウムまたは溶融アルミニウム合金浴を利用する。プロセスは、反応物質として溶融アルミニウム浴を利用する。粉砕された供給原料は、溶融アルミニウム浴の水面下に導入され、アルミニウムと反応し供給原料を分解する。プロセスにおいて、元素状の炭素、硫黄、銅、鉄、ならびに希土類及び重金属、ならびに分子状の水素、窒素、メタン、ならびに他の炭化水素は、溶融浴から除去される。生成物は販売されることができ、また、窒素は大気に排出されるか取り込まれる。
【0012】
プロセスは、溶融金属を一次反応物として利用する。好ましい実施形態において、溶融金属は、アルミニウムまたはアルミニウム浴である。アルミニウムは、以下に限定されないが、亜鉛、鉄、銅、シリコン及びカルシウムを含む、他の元素と合金化もされ得る。他の金属及びカルシウム及びシリコンなどの金属合金も想定される。燃焼プロセスによって生成された温室効果ガスを含んでいる酸素を含む排煙流れは、排煙流れから酸素含有ガスを除去するためにアルミニウム合金浴に通される。
【0013】
プロセスにおいて、余熱が生成され、電力の熱電併給などの他のプロセスを促進するのに使用され得る。プロセスによって生成された余熱は、排煙供給において温室効果ガスの組成の作用によるものである。
【0014】
供給原料が他の化合物を含む場合、それらの化合物は、分解または取り込みもされ得る。例えば、供給原料が塩素などの無機化合物を含む場合、プロセスは、アルミニウム塩、この場合は、塩化アルミニウムを生成することになる。本発明は、家電製品または軍需品にしばしば見つけられる、以下に限定されないが、水銀または希土類金属などの重金属を取り込む方法及び装置も提供する。プロセスにおいて、金属化合物が溶融金属浴に導入されると、溶融金属浴は金属化合物を分解する。追加のアルミニウムが浴に加えられると、重金属は反応容器の底に沈み、反応容器から除去される。一部のアルミニウムは、反応容器の底から除去される重金属に混入され得る一方、アルミニウムは除去され、不純物を取り除かれ得、また重金属は取り込まれ得る。
【0015】
詳細なプロセスフロー200が、図2に示される。記述されたプロセスが処理を考察している間、プラスチック、電子機器、軍需品、または発射火薬を再生利用することは、本発明を使用して処理され得る。粉砕された供給原料は、送風機の供給ライン211を通して処理工程に導入される。別タイプの注入器であり得る送風機210は、注入ライン212を通して反応容器220に粉砕された供給原料を注入するのに使用される。注入ライン212は、窒素などの不活性ガスに混入している、粉砕された供給原料を、溶融アルミニウム化合物226の水面下に導入する。注入ライン212は、十分な混合を可能にするため、十分に溶融アルミニウム化合物226の水面下にあらねばならない。重い反応生成物、通常は上述の重金属は、反応容器に沈殿することになる。通常、反応容器は傾斜した底を有するが、円錐形の底及び同様のものなどの他のデザインが利用され得る。ひとたび重い生成物が沈殿すると、それらは収集ライン223、224、及び225を使用して収集される。収集ライン223、224、及び225は、異なる密度の重金属が除去されることを可能にする。プロセスの大きさに応じて、重い生成物は連続的に除去され得るか、またはバッチ除去プロセスが使用され得る。
【0016】
反応容器220は、粉砕された供給原料との反応によって消費されたアルミニウム化合物を戻すために、追加のアルミニウム化合物を供給するのに使用される、アルミニウム供給ライン221も含む。例えば、追加の熱は、起動時に必要とされ得る。加熱器227は、この目的のために必要とされる。加熱器227は、輻射型、誘導型、及び対流型を含む、任意のタイプの加熱器であり得る。例えば、加熱器227は、使用される金属合金用に周波数が調整された、マイクロ波加熱器または高周波加熱器である可能性がある。
【0017】
したがって、このプロセスによって生成された熱は、除去されなければならない。図3により詳細に示されるセクションAは、熱がこのプロセスから除去され得る、1つの方法を示す。反応容器220は、容器壁320を保護する、耐火材料310に沿って並べられる。冷却板330は容器壁320に取り付けられ、また、冷却水は、冷却設備330と容器壁320との間に作られた導管を循環する。断熱材340は、安全目的のためだけでなく、熱回収を最大化するために冷却板を取り囲む。ひとたび冷却水が、そのプロセスから生成された熱を拾うと、それは冷却塔に送られ得るか、または熱は回収されて他の目的のために使用され得る。プロセスが、温水源を必要とする設備で使用される場合、熱回収システムはこの目的のために設計され得る。しかし、熱は電気を生成することにも使用され得る。
【0018】
図2を参照すると、蒸気タービン発電プロセスが表される。この例において、冷却水は冷却供給口228を通して導入される。冷却水が反応容器220をあちこち移動すると、冷却水は熱を拾い、蒸気が生成される。その後、生成された蒸気は、蒸気配管229を経由して蒸気タービン232に送られる。蒸気はタービンを通過し、蒸気が凝結するにつれて、タービン232のタービン翼を回す。タービン232は、発電機231に結合される。タービンが始動装置を通して発電機231のロータを回すにつれて、発電機は電気を生成する。このプロセスは簡略にしか説明されないが、この蒸気タービン発電プロセスは、当技術分野においてよく知られている。また任意の蒸気タービン発電プロセスが利用される可能性がある。
【0019】
また、上述のように、この反応は、元素状炭素、元素状硫黄、分子状窒素及び分子状水素を生成することもある。これらは、送風機250を使用して反応容器から除去されることになる。送風機250は、反応容器220から熱交換器供給ライン241を通して熱交換器240に、高温の元素状炭素、元素状硫黄、分子状窒素及び分子状水素を引き寄せることになる。次に、熱交換器240は、さらなる処理を可能にするために、この材料を冷却することになる。生成される任意の炭化水素は、熱交換器240で凝結もされ得る。これらの液体炭化水素は、さらなる使用または販売のために集められることができる。熱交換器240は、任意の熱交換器であることができるが、好ましい実施形態においては、熱交換器240は強制空気熱交換器であり、しかし、他の熱交換器も予想される。その後、プロセス流れは、ライン242を通って熱交換器を去り、送風機250及び送風機排出ライン252を通過し、2つのサイクロン分離器に入る。第1の分離器260は、プロセス流れから炭素を分離する。炭素は分離ライン263を通して集められる。残余のプロセス流は、プロセス流から硫黄を分離する、第2の分離器270に進む。硫黄は、その流れが444℃未満まで冷却されると、コールドフィンガを使用して除去され得る。硫黄は、分離ライン273を通して集められる。次に、ガス状の窒素及び水素を含み得る、残余のプロセス流は、クライオユニット280に分離される。このユニットにおいて、ガス流はさらに冷却され、構成要素が分離されることを可能にする。
【0020】
以下は、再生利用され得る、可能性のある粉砕された供給原料のリストであり、溶融金属浴内の反応によって生成される、結果として生じる元素生成物である。
【表1】
【0021】
図4は、ボルテックス入口を使用した修正されたプロセスフロー400を示す。図2に説明されたプロセスと同様に、修正されたプロセスは、プラスチック、電子機器、軍需品、または発射火薬を再生利用することを可能にする。アルミニウム浴に直接注入される代わりに、粉砕された供給原料は、ボルテックス402によって供給されたラインを通して処理プロセスに導入される。ボルテックス402は、溶融アルミニウムまたはアルミニウム合金におけるポンピングによって、陶製ボウル415内に形成される。溶融アルミニウムまたはアルミニウム合金は、新しいアルミニウム投入ライン404を通して加えられ得るか、または、それはポンプ406を使用してアルミニウム浴から再循環させられ得る。次に、粉砕された供給原料(再生利用される必要のある、上記の任意の原料を含み得る)は、重力供給方式405を通して陶製ボウル415に導入され得る。粉砕された供給原料は、溶融アルミニウムまたはアルミニウム合金と混合され、また、混合物はボルテックス402の渦からボウルの底に引き寄せられる。陶製ボウル415の底は、アルミニウム浴への連絡ライン408を有し得、また、粉砕された供給原料と溶融アルミニウムまたはアルミニウム合金との混合物は、連絡ライン408からアルミニウム浴に入る。修正されたプロセスフロー400の他の態様は、図2のフローで示される態様と類似している。
【0022】
図4に示されたボルテックス入口は、他の注入システムを超えていくつかの利益を可能にする。ボルテックスは、再生利用反応がより効率的に起こることを可能にする、溶融アルミニウムまたはアルミニウム合金との粉砕された供給原料のよりよい混合を可能にする。さらに、粉砕された供給原料はすでに陶製ボウル415において溶融アルミニウムと混合されたので、混合物の温度は均等化される機会を有し、また、温度は浴内の溶融アルミニウムの温度に比較的近くにあり得る。その結果、ボルテックス入口が使用される場合、入口注入点で、より少ない局所的冷却、及びより安定した温度勾配がある。
【0023】
上述のように、ひとたび供給原料がアルミニウム浴またはボルテックスに入ると、粉砕された供給原料物質とアルミニウムまたはアルミニウム合金浴との反応が始まることになる。より高密度の物質は沈殿するが、より軽い物質は上昇することになる。ガスなどの最も軽い物質は、表面に泡立ち、そこで回収されることになる。
【0024】
本発明及びその利点が詳細に説明されたが、添付の特許請求の範囲によって定められているような本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更、置き換え、及び改正がなされ得ることを理解されたい。さらに、本出願の範囲は、本明細書に説明されているプロセス、機械、製造物、組成物、手段、方法、及びステップの特定の実施形態に限定されることが意図されるものではない。当業者が本発明の開示からすぐに理解するであろうように、本明細書に説明されている対応する実施形態とほぼ同じ機能を果たす、またはほぼ同じ結果を達成する、現在存在するかまたは後に開発される、プロセス、機械、製造物、組成物、手段、方法、またはステップが、本発明に従って利用され得る。したがって、添付の特許請求の範囲は、それらの範囲内に、このようなプロセス、機械、製造物、組成物、手段、方法、またはステップを含むことが意図される。
図1
図2
図3
図4