【文献】
RACHANA OHRI,ABSTRACT 650: A HIGH-THROUGHPUT CONJUGATION STRATEGY FOR THE SELECTION OF THIOMAB(TM) 以下備考,CANCER RESEARCH,2015年 8月,VOL:75, NR:SUPPL. 15,PAGE(S):650,ANTIBODIES WITH DESIRED PROPERTIES FOR ANTIBODY-DRUG CONJUGATION,URL,http://cancerres.aacrjournals.org/content/75/15_Supplement/650
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記システイン操作抗体が、LC K149C、HC A140、HC A118C、及びHC L177Cから選択された変異体である、請求項7に記載の抗体−薬物コンジュゲート化合物。
Abが、抗HER2 4D5、抗CD22、抗CD33、抗Ly6E、抗Napi3b、抗HER2 7C2、及び抗CLL−1から選択される、請求項6〜8のいずれか1項に記載の抗体−薬物コンジュゲート化合物。
前記システイン操作抗体が、LC K149C、HC A140、HC A118C、及びHC L177Cから選択された変異体である、請求項18に記載の方法。
Abが、抗HER2 4D5、抗CD22、抗CD33、抗Ly6E、抗Napi3b、抗HER2 7C2、及び抗CLL−1から選択される、請求項18〜20のいずれか1項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
これより本発明のある特定の実施形態を詳細に参照するが、それらの例は、添付の構造及び式に例示されている。本発明は、列挙される実施形態と併せて説明されるが、それらは、本発明をこれらの実施形態に限定することを意図するものではないことを理解されたい。逆に、本発明は、全ての代替形、修正形、及び同等物を含めることが意図されており、それらは特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲内に含まれ得る。
【0022】
当業者であれば、本発明の実施に使用することができる、本明細書に記載されるものに類似または同等である多数の方法及び材料を理解するであろう。本発明は、決して記載される方法及び材料に限定されるものではない。
【0023】
本開示は、一般に、リンカーまたはリンカー部分の不在下で、1つ以上のカリケアマイシン誘導体に直接コンジュゲートされた抗体を含む、抗体−薬物コンジュゲートに関する。本開示は、さらに、離脱基を含むカリケアマイシン誘導体中間体組成物に関する。かかる中間体組成物は、抗体が、離脱基の喪失後、及び従来のリンカーまたはリンカー部分の不在下で、カリケアマイシン誘導体に直接共有結合された抗体である、抗体−薬物コンジュゲートの形成に好適な基質である。本開示は、さらに、疾患、具体的には癌の治療におけるような抗体−カリケアマイシンコンジュゲートの使用に関する。本明細書で使用される場合、別途明記されない限り、カリケアマイシンは、本開示によって包含されるカリケアマイシン誘導体化合物を指す。
【0024】
この点において、米国特許第55,877,296号及び同第5,773,001号に開示されるもののような、抗体−カリケアマイシン及び抗体−カリケアマイシン誘導体コンジュゲートを形成するための先行技術の方法が、スケールアップの実行不可能な提示する精製問題を呈する大きな割合のコンジュゲート凝集体をもたらすことに留意すべきである(参照により本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2007/0213511 A1号の例えば、段落[0008]及び[0009]を参照のこと)。米国特許第5,714,586号及び同第5,712,374号において開示される方法は、50%〜60%の望ましくない低いコンジュゲートされた画分を有する抗体−薬物コンジュゲートを生成することがさらに公知である(例えば、米国特許公開第2007/0213511 A1号の段落[0010]を参照のこと)。さらに、問題となるのは、リンカーが、血流中で不安定であり、それにより、内在化前に著しい薬物の放出をもたらす場合があることである。さらに、かかるカリケアマイシン−リンカー−抗体コンジュゲートの使用は、典型的には、形成凝集体をもたらす、具体的には、1抗体分子当たりの薬物負荷が増加する場合に、既知のコンジュゲーションプロセスの能力によって制限され得る。
【0025】
これまでの実験的証拠に基づいて、リンカーの不在下で、抗体とカリケアマイシン誘導体とのジスルフィド共有結合によって、直接コンジュゲーションが、1抗体当たりの再現可能なカリケアマイシンの薬物充填(DAR)、凝集体形成の減少、改善された血流の安定性、及び改善された細胞内放出を特徴とする、改善された抗体−カリケアマイシンコンジュゲートを提供することが発見されている。したがって、ジスルフィド結合によって、カリケアマイシンへの抗体の直接コンジュゲーションが、血流の安定性及び細胞内放出を効果的に分離し、そのため、改善された血流の安定性及び改善された細胞内放出の両方が可能であると考えられる。
【0026】
定義
別途定義しない限り、本明細書で用いる技術的及び科学的な用語は、本発明が属する分野の当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有し、それらは、Singleton et al.(1994) Dictionary of Microbiology and Molecular Biology,2nd Ed.,J.Wiley & Sons,New York,NY、及びJaneway,C.,Travers,P.,Walport,M.,Shlomchik(2001) Immunobiology,5th Ed.,Garland Publishing,New Yorkと一致する。
【0027】
「親和性」とは、分子(例えば、抗体)とその結合パートナー(例えば、抗原)との単一結合部位の間の非共有結合相互作用の合計の強度を指す。別途示されない限り、本明細書で使用される場合、「結合親和性」とは、結合対のメンバー(例えば、抗体及び抗原)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子XのそのパートナーYに対する親和性は、一般に、解離定数(Kd)で表され得る。親和性は、本明細書に記載される方法を含む当該技術分野で既知の一般的な方法によって測定することができる。結合親和性を測定するための具体的な例証的かつ例示的な実施形態が、以下に記載される。
【0028】
本明細書における「抗体」という用語は、最も広義に使用され、特に、所望される生物学的活性を呈する限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二量体、多量体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片が含まれる(Miller et al.(2003) Jour.of Immunology 170:4854−4861)。抗体は、マウス、ヒト、ヒト化、キメラであってもよいか、または他の種に由来するものであってもよい。抗体は、特定の抗原を認識しそれに結合することができる、免疫系によって生成されるタンパク質である。(Janeway,C.,Travers,P.,Walport,M.,Shlomchik(2001)Immuno Biology,5th Ed.,Garland Publishing,New York)。標的抗原は、一般に、複数の抗体のCDRによって認識されるエピトープとも呼ばれる多数の結合部位を有する。異なるエピトープに特異的に結合するそれぞれの抗体は、異なる構造を有する。したがって、1つの抗原は、1つを上回る対応する抗体を有し得る。抗体には、完全長免疫グロブリン分子、または完全長免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、目的の標的抗原またはその一部に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含む分子が含まれ、そのような標的としては、癌細胞、または自己免疫疾患と関連する自己免疫抗体を産生する細胞(複数可)が含まれるがこれらに限定されない。本明細書に開示される免疫グロブリンは、免疫グロブリン分子の任意の種類(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、及びIgA)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)、またはサブクラスのものであり得る。免疫グロブリンは、任意の種に由来し得る。しかしながら、一態様において、免疫グロブリンは、ヒト、マウス、またはウサギ起源のものである。
【0029】
「抗体断片」には、完全長抗体の一部分、一般には、その抗原結合領域または可変領域が含まれる。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片;ダイアボディ;直鎖抗体;ミニボディ(Olafsen et al(2004) Protein Eng.Design & Sel.17(4):315−323)、Fab発現ライブラリーによって産生される断片、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、CDR(相補性決定領域)、及び癌細胞抗原、ウイルス抗原、または微生物抗原に免疫特異的に結合する本明細書において任意に記載されるエピトープ結合断片、一本鎖抗体分子;ならびに抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられる。
【0030】
本明細書に使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体の集団から得られた抗体を指す、すなわち、その集団に含まれる個々の抗体は同一であるが、少量で存在し得る天然の変異の可能性は除く。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原部位を対象としている。さらに、異なる決定基(エピトープ)に指向される異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、それぞれのモノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に指向されるものである。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の抗体が混入することなく合成することができるという点で、有利である。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同種の抗体集団から得られるという抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler et al.(1975) Nature 256:495によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製され得るか、または組換えDNA法(例えば、米国特許第4816567号、同第5807715号を参照のこと)によって作製され得る。モノクローナル抗体はまた、例えば、Clackson et al.(1991) Nature,352:624−628、Marks et al.(1991) J.Mol.Biol.,222:581−597に記載される技術を用いて、ファージ抗体ライブラリーから単離され得る。
【0031】
本明細書におけるモノクローナル抗体には、特に、重鎖及び/または軽鎖の一部分が、特定の種に由来するかまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または同種であり、一方で鎖(複数可)の残りが別の種に由来するかまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または同種である、「キメラ」抗体、ならびにそのような抗体の断片が含まれるが、これは、それらが所望される生物学的活性を呈する限りにおいてである(米国特許第4816567号及びMorrison et al(1984) Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851−6855)。本明細書の目的のキメラ抗体には、非ヒト霊長類(例えば、旧世界ザル、類人猿等)に由来する可変ドメイン抗原結合配列とヒト定常領域配列とを含む、「霊長類化」抗体が含まれる。
【0032】
本明細書において「無傷抗体」とは、VLドメイン及びVHドメイン、ならびに軽鎖定常ドメイン(CL)及び重鎖定常ドメインCH1、CH2、及びCH3を含むものである。定常ドメインは、天然配列の定常ドメイン(例えば、ヒトの天然配列の定常ドメイン)またはそのアミノ酸配列変異体であり得る。無傷抗体は、1つ以上の「エフェクター機能」を有し得、この機能は、抗体のFc定常領域(天然配列の配列Fc領域またはアミノ酸配列変異体のFc領域)に起因し得る生物学的活性を指す。抗体のエフェクター機能の例としては、C1q結合、補体依存性細胞傷害性、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)、ファゴサイトーシス、ならびにB細胞受容体及びBCRなどの細胞表面受容体の下方制御が挙げられる。
【0033】
重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、無傷抗体には、異なる「クラス」が割り当てられ得る。無傷免疫グロブリン抗体にはIgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMの5つの主要なクラスがあり、これらのうちいくつかは、「サブクラス」(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2にさらに分割され得る。抗体の異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造及び三次元構成は周知である。Igの形態には、ヒンジ修飾またはヒンジなしの形態が含まれる(Roux et al.(1998) J.Immunol.161:4083−4090、Lund et al.(2000) Eur.J.Biochem.267:7246−7256、米国特許公開第2005/0048572号、同第2004/0229310号)。
【0034】
「システイン操作抗体」または「システイン操作抗体変異体」は、抗体の1つ以上の残基がシステイン残基で置換されている抗体である。本開示に従って、システイン操作抗体のチオール基(複数可)を、カリケアマイシンとコンジュゲートして、THIOMAB(商標)抗体(すなわち、THIOMAB(商標)薬物コンジュゲート(TDC)、本開示に従って、薬物がカリケアマイシン誘導体である)を形成することができる。特定の実施形態において、置換された残基は、抗体の利用しやすい部位で生じる。これらの残基をシステインで置換することによって、反応性のチオール基がそれにより抗体の利用しやすい部位に位置付けられ、それを使用して、薬物部分に抗体をコンジュゲートして、本明細書にさらに記載される、免疫コンジュゲートを作製することができる。例えば、THIOMAB(商標)抗体は、軽鎖におけるシステインではない天然残基のシステインへの単一の変異(例えば、Kabat番号付けによるG64C、K149C、もしくはR142C)または重鎖におけるもの(例えば、Kabat番号付けによるD101CもしくはV184CもしくはT205C)を有する抗体であり得る。具体的な例では、THIOMAB(商標)抗体は、重鎖または軽鎖のいずれかに単一のシステイン変異を有し、そのため各完全長抗体(すなわち、2つの重鎖と2つの軽鎖を有する抗体)は、2つの操作されたシステイン残基を有することになる。システイン操作抗体及び予備方法は、米国特許公開第2012/0121615 A1号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)によって開示される。
【0035】
「癌」及び「癌性」という用語は、細胞成長/増殖の未調節によって典型的に特徴付けられる、哺乳動物における生理学的状態を指すか、または説明する。癌の例には、癌腫、リンパ腫(例えば、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫)、芽細胞腫、肉腫、及び白血病が挙げられるが、これらに限定されない。かかる癌のより具体的な例には、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病、急性前骨髄球性白血病(APL)、慢性骨髄増殖性障害、血小板性白血病、前駆体B細胞急性リンパ芽球性白血病(pre−B−ALL)、前駆体T細胞急性リンパ芽球性白血病(preT−ALL)、多発性骨髄腫(MM)、肥満細胞疾患、肥満細胞性白血病、肥満細胞肉腫、骨髄性肉腫、リンパ性白血病、及び未分化白血病が含まれる。いくつかの実施形態において、癌は、骨髄性白血病である。いくつかの実施形態において、癌は、急性骨髄性白血病(AML)である。
【0036】
「キメラ」抗体という用語は、重鎖及び/または軽鎖の一部が特定の源または種に由来し、一方で重鎖及び/または軽鎖の残りが異なる源または種に由来する抗体を指す。
【0037】
抗体の「クラス」は、その重鎖によって保有される定常ドメインまたは定常領域の型を指す。抗体の5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMが存在し、これらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG
1、IgG
2、IgG
3、IgG
4、IgA
1、及びIgA
2にさらに分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインはそれぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。
【0038】
「エフェクター機能」とは、抗体のアイソタイプにより異なる抗体のFc領域に起因する生物活性を指す。抗体エフェクター機能の例としては、C1q結合及び補体依存性細胞傷害性(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)、食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方制御、ならびにB細胞活性化が挙げられる。
【0039】
薬剤、例えば、薬学的製剤の「有効量」とは、必要な投与量で必要な期間にわたって所望の治療または予防結果を達成するのに有効な量を指す。
【0040】
「エピトープ」という用語は、抗体が結合する抗原分子上の特定の部位を指す。いくつかの実施形態において、抗体が結合する抗原分子上の特定の部位は、ヒドロキシルラジカルフットプリント法によって決定される。
【0041】
本明細書における「Fc領域」という用語は、定常領域の少なくとも一部を含有する免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するように使用される。この用語は、天然配列Fc領域及び変異型Fc領域を含む。一実施形態において、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226から、またはPro230から、重鎖のカルボキシル末端に及ぶ。しかしながら、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は、存在する場合もあれば、しない場合もある。本明細書で別途明記されない限り、Fc領域または定常領域内のアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載される、EUインデックスとも呼ばれるEU番号付けシステムに従う。
【0042】
「フレームワーク」または「FR」とは、超可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、一般に、4つのFRドメイン、FR1、FR2、FR3、及びFR4からなる。したがって、HVR及びFR配列は、一般に、VH(またはVL)にFR1−H1(L1)−FR2−H2(L2)−FR3−H3(L3)−FR4の順序で出現する。
【0043】
「完全長抗体」、「無傷抗体」、及び「全抗体」という用語は、本明細書で、天然抗体構造と実質的に同様の構造を有するか、または本明細書に定義されるFc領域を含有する重鎖を有する抗体を指すように同義に使用される。
【0044】
「宿主細胞」、「宿主細胞株」、及び「宿主細胞培養物」という用語は同義に使用され、外因性核酸が導入された細胞を指し、そのような細胞の子孫を含む。宿主細胞には、「形質転換体」及び「形質転換細胞」が含まれ、これらには、初代形質転換細胞及び継代の数にかかわらずそれに由来する子孫が含まれる。子孫は、核酸含有量が親細胞と完全に同一ではない場合があるが、変異を含み得る。最初に形質転換された細胞についてスクリーニングまたは選択されたものと同じ機能または生物活性を有する変異子孫が、本明細書に含まれる。
【0045】
「ヒト抗体」は、ヒトもしくはヒト細胞によって産生された抗体、またはヒト抗体レパートリーもしくは他のヒト抗体コード配列を利用する非ヒト源に由来する抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を保有するものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を明確に除外する。
【0046】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVLまたはVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVLまたはVH配列の選択は、可変ドメイン配列の下位群からである。一般に、配列の下位群は、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,NIH Publication 91−3242,Bethesda MD(1991),vols.1−3にあるような下位群である。一実施形態において、VLについて、下位群は、上記のKabatらにあるような下位群カッパIである。一実施形態において、VHについて、下位群は、上記のKabatらにあるような下位群IIIである。
【0047】
「ヒト化」抗体は、非ヒトHVR由来のアミノ酸残基及びヒトFR由来のアミノ酸残基を含むキメラ抗体を指す。特定の実施形態において、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、そのHVR(例えば、CDR)の全てまたは実質的に全てが非ヒト抗体のものに対応し、FRの全てまたは実質的に全てがヒト抗体のものに対応する。ヒト化抗体は、任意に、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部を含んでもよい。抗体、例えば非ヒト抗体の「ヒト化型」は、ヒト化を受けた抗体を指す。
【0048】
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗体の抗原への結合に関与する抗体の重鎖または軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれ、VH及びVL)は、一般に類似の構造を有し、各ドメインが4つの保存フレームワーク領域(FR)及び3つの超可変領域(HVR)を含む。(例えば、Kindt et al.Kuby Immunology,6th ed.,W.H.Freeman and Co.,page 91(2007)を参照のこと。)単一のVHドメインまたはVLドメインは、抗原結合特異性を付与するのに十分であり得る。さらに、特定の抗原に結合する抗体を、VHドメインまたはVLドメインを使用して抗原に結合する抗体から単離し、それぞれ、相補的VLドメインまたはVHドメインのライブラリーをスクリーニングすることができる。例えば、Portolano et al.,J.Immunol.150:880−887(1993)、Clarkson et al.,Nature 352:624−628(1991)を参照のこと。
【0049】
本明細書で使用される「ベクター」という用語は、それが結合している別の核酸を運搬することができる核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクター、及びそれが導入される宿主細胞のゲノム内に組み込まれたベクターを含む。ある特定のベクターは、それらが作動可能に結合している核酸の発現を誘導することができる。かかるベクターは、本明細書で「発現ベクター」と称される。
【0050】
本明細書で使用される「超可変領域」または「HVR」という用語は、抗体可変ドメインの領域の各々を指す。配列が超可変であり、かつ/または構造的に規定されたループ(「超可変ループ」)を形成する。一般に、天然四本鎖抗体は、6つのHVRを含み、3つがVHにあり(H1、H2、H3)、3つがVLにある(L1、L2、L3)。HVRは、一般に、超可変ループ及び/または「相補性決定領域」(CDR)由来のアミノ酸残基を含み、後者は、配列可変性が最も高く、かつ/または抗原認識に関与する。例示的な超可変ループは、アミノ酸残基26〜32(L1)、50〜52(L2)、91〜96(L3)、26〜32(H1)、53〜55(H2)、及び96〜101(H3)において生じる(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901−917(1987))。例示的なCDR(CDR−L1、CDR−L2、CDR−L3、CDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3)は、アミノ酸残基24〜34(L1)、50〜56(L2)、89〜97(L3)、31〜35B(H1)、50〜65(H2)、及び95〜102(H3)において生じる(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991)。)VH内のCDR1を除いて、CDRは、一般に、超可変ループを形成するアミノ酸残基を含む。CDRは、抗原と接触する残基である「特異性決定残基」または「SDR」も含む。SDRは、短縮(abbreviated)−CDR、またはa−CDRと呼ばれるCDRの領域内に収容される。例示のa−CDR(a−CDR−L1、a−CDR−L2、a−CDR−L3、a−CDR−H1、a−CDR−H2、及びa−CDR−H3)は、アミノ酸残基31〜34(L1)、50〜55(L2)、89〜96(L3)、31〜35B(H1)、50〜58(H2)、及び95〜102(H3)に生じる。(Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619−1633(2008)を参照のこと。)別途指定されない限り、HVR残基及び可変ドメイン内の他の残基(例えば、FR残基)は、Kabat et al.(上記参照)に従って本明細書で番号付けされる。
【0051】
「個体」または「対象」は、哺乳動物である。哺乳動物には、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、及びウマ)、霊長類(例えば、ヒト、及びサル等の非ヒト霊長類)、ウサギ、ならびに齧歯類(例えば、マウス及びラット)が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、個体または対象は、ヒトである。
【0052】
「単離抗体」は、その天然環境の構成成分から分離された抗体である。いくつかの実施形態において、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS−PAGE、等電点電気泳動法(IEF)、キャピラリー電気泳動法)またはクロマトグラフ(例えば、イオン交換もしくは逆相HPLC)によって決定される、95%または99%を超える純度に精製される。抗体の純度を評定するための方法の概説については、例えば、Flatman et al.,J.Chromatogr.B 848:79−87(2007)を参照のこと。
【0053】
「天然抗体」とは、様々な構造を有する天然に存在する免疫グロブリン分子を指す。例えば、天然IgG抗体は、ジスルフィド結合されている2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖から構成される、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端まで、各重鎖は、可変重ドメイン(variable heavy domain)または重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)と、その後に3つの定常ドメイン(CH1、CH2、及びCH3)とを有する。同様に、N末端からC末端まで、各軽鎖は、可変軽ドメイン(variable light domain)または軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)と、その後に定常軽(CL)ドメインとを有する。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つの型のうちの1つに割り当てられ得る。
【0054】
「添付文書」という用語は、かかる治療薬の適応症、使用法、投薬量、投与、併用療法、禁忌症についての情報、及び/またはその使用に関する警告を含有する、治療剤製品の市販パッケージに通例含まれる指示書を指すように使用される。
【0055】
参照ポリペプチド配列に対する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、いずれの保存的置換も配列同一性の一部として考慮しない、配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入して、最大配列同一性パーセントを達成した後の、参照ポリペプチド配列におけるアミノ酸残基と同一の候補配列におけるアミノ酸残基の割合と定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するための整列は、当該技術分野の技術範囲内の様々な方法で、例えば、BLAST、BLAST−2、ALIGN、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェア等の公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成され得る。当業者であれば、比較される配列の全長にわたる最大整列を達成するのに必要な任意のアルゴリズムを含む、配列の整列に適切なパラメータを決定することができる。しかしながら、本明細書における目的のために、アミノ酸配列同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN−2を使用して生成される。ALIGN−2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.によって記述され、ソースコードは、ユーザ文書と共に米国著作権庁(U.S.Copyright Office),Washington D.C.,20559に提出されており、米国著作権番号TXU510087の下に登録されている。ALIGN−2プログラムは、Genentech,Inc.,South San Francisco,Californiaから公的に入手可能であるか、またはソースコードからコンパイルされ得る。ALIGN−2プログラムは、デジタルUNIX(登録商標) V4.0Dを含むUNIX(登録商標)オペレーティングシステムでの使用のためにコンパイルされるべきである。全ての配列比較パラメータは、ALIGN−2プログラムによって設定されており、変動しない。
【0056】
アミノ酸配列比較のためにALIGN−2が用いられる状況下で、所与のアミノ酸配列Aの、所与のアミノ酸配列Bへの、所与のアミノ酸配列Bとの、または所与のアミノ酸配列Bに対するアミノ酸配列同一性%(あるいは、所与のアミノ酸配列Bへの、所与のアミノ酸配列Bとの、または所与のアミノ酸配列Bに対するある特定のアミノ酸配列同一性%を有するか、または含む所与のアミノ酸配列Aと表現され得る)は、以下のように計算される:100×分数X/Y。式中、Xは、配列整列プログラムALIGN−2によってそのプログラムのAとBとの整列において完全な一致とスコア化されるアミノ酸残基の数であり、Yは、B内のアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、AのBに対するアミノ酸配列同一性%が、BのAに対するアミノ酸配列同一性%と等しくないことが理解される。別途具体的に明記されない限り、本明細書で使用される全てのアミノ酸配列同一性%値は、直前の段落に記載されるようにALIGN−2コンピュータプログラムを使用して得られる。
【0057】
「薬学的製剤」という用語は、調製物の中に含有される活性成分の生物学的活性が有効になるような形態であり、かつ製剤が投与される対象にとって許容できないほど有毒である追加の構成成分を何ら含有しない調製物を指す。
【0058】
「薬学的に許容される担体」は、対象にとって無毒である、活性成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体には、緩衝液、賦形剤、安定剤、または保存剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0059】
「治療する」及び「治療」という用語は、治療的治療及び予防的または防止処置の両方を指し、その目的は、望ましくない生理学的変化または障害、例えば、癌の発生または拡がりを予防または遅延(緩和)することである。本発明の目的では、有益または所望の臨床結果としては、検出できるか検出できないかに関係なく、症状の軽減、疾患の程度の減弱、疾患の状態の安定化(すなわち、悪化しない)、疾患進行の遅延または減速、疾患状態の緩和または一時的緩和、及び寛解(部分的もしくは完全なもの)が挙げられるがこれらに限定されない。「治療」はまた、治療を受けていなかった場合に予測される生存と比較して、生存期間を長くすることも意味し得る。治療が必要なものには、状態もしくは障害を既に有するもの、ならびに状態もしくは障害を有する傾向にあるもの、または状態もしくは障害を予防する必要があるものが挙げられる。
【0060】
「治療有効量」という用語は、哺乳動物における疾患または障害を治療するのに有効な薬物の量を指す。癌の場合、薬物の治療有効量は、癌細胞の数の低減;腫瘍サイズの縮小;癌細胞が末梢器官に浸潤することの阻害(すなわち、ある程度の遅延及び好ましくは停止);腫瘍転移の阻害(すなわち、ある程度の遅延及び好ましくは停止);腫瘍成長のある程度の阻害;ならびに/または癌と関連する症状の1つ以上のある程度の緩和を行うことができる。薬物が既存の癌細胞の成長の予防及び/またはそれらの殺滅を行うことができる限り、この薬物は細胞増殖抑制性及び/または細胞傷害性であり得る。癌療法に関しては、有効性は、例えば、疾患進行に対する時間(TTP)の評価及び/または応答速度(RR)の判定によって、測定することができる。
【0061】
「癌」及び「癌性」という用語は、制御されていない細胞成長を典型的に特徴とする哺乳動物における生理学的状態を指すか、または説明する。「腫瘍」は、1つ以上の癌性細胞を含む。癌の例としては、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病またはリンパ系の悪性病変が挙げられるがこれらに限定されない。そのような癌のより具体的な例としては、扁平上皮細胞癌(例えば、上皮系扁平上皮細胞癌(epithelial squamous cell cancer))、小細胞肺癌、非小細胞肺癌(「NSCLC」)、肺の腺癌、及び肺の扁平上皮癌を含む肺癌、腹膜の癌、肝細胞癌、消化管癌を含む胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)、膵臓癌、膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞癌、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌(kidney cancer)または腎臓癌(renal cancer)、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝癌、肛門癌、陰茎癌、ならびに頭頸部癌が挙げられる。
【0062】
本明細書で使用される「離脱基」という用語は、本明細書に記載される基を含む化学反応の過程で離れる、スルフヒドリル部分を指す。
【0063】
本明細書で使用される、「ヒドロカルビル」という用語は、専ら炭素及び水素の元素のみからなる有機化合物またはラジカルを説明する。これらの部分は、アルキル、アルケニル、アルキニル、及びアリール部分を含むが、これらに限定されない。これらの部分はまた、アルカリール、アルケンアリール(alkenaryl)、及びアルキナリル(alkynaryl)等の他の脂肪族または環状炭化水素基で置換された、アルキル、アルケニル、アルキニル、及びアリール部分も含む。別段示さない限り、これらの部分は、好ましくは、1〜20個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、または1〜6個の炭素原子を含む。
【0064】
別段示さない限り、本明細書に記載されるアルキル基は、好ましくは、主鎖に1〜8個の炭素原子を含有する低級アルキルである。それらは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、アリル、ベンジル、ヘキシル等が含まれるが、これらに限定されない、直鎖もしくは分岐鎖または環状であり得る。
【0065】
別段示さない限り、本明細書に記載されるアルキニル基は、好ましくは、主鎖に2〜8個の炭素原子を含有し、20個までの炭素原子を含有する低級アルキニルである。それらは、エチニル、プロピニル、ブチニル、イソブチニル、ヘキシニル等が含まれるが、これらに限定されない、直鎖または分岐鎖であり得る。
【0066】
本明細書で単独でまたは別の基の一部として使用される「アリール」という用語は、任意で置換された同素環芳香族基、好ましくは、フェニル、ビフェニル、ナフチル、置換フェニル、置換ビフェニル、または置換ナフチル等であるが、これらに限定されない、環部分内に5〜20個の炭素、5〜10個の炭素、または5〜6個の炭素を含有する単環式基または二環式基を意味する。アリール部分は、任意に、O、S、及びNから選択される1つ以上のヘテロ原子を含み得る。かかる複素環式芳香族化合物は、環内に1または2個の窒素原子、1または2個の硫黄原子、1または2個の酸素原子、及びこれらの組み合わせを含み得、各ヘテロ原子は、炭素を通して分子の残りに結合する。非限定的な例示の基としては、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、チオペン、チオピリリウム(thiopyrrilium)、パラチアジン、インドール、プリン、ベンズイミダゾール、キノロン、フェノチアジンが挙げられる。非限定的な例示の置換基としては、以下の基:ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルキル、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アルケニル、アルケノキシ、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アセタール、カルバミル、カルボシクロ、シアノ、エステル、エーテル、ハロゲン、ヘテロシクロ、ヒドロキシル、ケト、ケタール、ホスホ、ニトロ、及びチオのうちの1つ以上が挙げられる。
【0067】
本明細書に記載される「置換」部分は、炭素以外の少なくとも1つの原子で置換されるヒドロカルビル、アルキル、及びアリール等の部分であり、炭素鎖原子が窒素、酸素、ケイ素、リン、ホウ素、硫黄、またはハロゲン原子等のヘテロ原子で置換される部分を含む。これらの置換基としては、ハロゲン、ヘテロシクロ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ヒドロキシ、ケト、アシル、アシルオキシ、ニトロ、第三級アミノ、アミド、ニトロ、シアノ、チオ、スルフィネート、スルホンアミド、ケタール、アセタール、エステル、及びエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
本明細書で単独でまたは別の基の一部として使用される「ハロゲン」という用語は、塩素、臭素、フッ素、及びヨウ素を指す。
【0069】
抗体
本開示の実施形態のうちのいずれかにおいて、抗体は、ヒト化である。一実施形態において、抗体は、本開示の実施形態のいずれかにあるようなHVRを含み、ヒトアクセプターフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークをさらに含む。ある特定の実施形態において、ヒトアクセプターフレームワークは、ヒトVLカッパIコンセンサス(VLKI)フレームワーク及び/またはVHフレームワークVH1である。ある特定の実施形態において、ヒトアクセプターフレームワークは、以下の変異のうちのいずれか1つを含む、ヒトVLカッパIコンセンサス(VLKI)フレームワーク及び/またはVHフレームワークVH1である。
【0070】
別の態様において、抗体は、本明細書に提供される実施形態のうちのいずれかにあるようなVH、及び本明細書に提供される実施形態のうちのいずれかにあるようなVLを含む。
【0071】
本発明のさらなる態様において、本明細書において実施形態のうちのいずれかによる抗体は、ヒト抗体を含むモノクローナル抗体である。一実施形態において、抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、またはF(ab’)2断片である。別の実施形態において、本抗体は、実質的に完全長の抗体、例えば、本明細書に定義されるIgG1抗体、IgG2a抗体、または他の抗体クラスもしくはアイソタイプである。
【0072】
さらなる態様において、本明細書において実施形態のうちのいずれかによる抗体は、本明細書に記載される特長のうちのいずれかを、単独でまたは組み合わせて組み込むことができる。
【0073】
1.抗体親和性
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、1μM以下、100nM以下、50nM以下、10nM以下、5nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下、または0.001nM以下の解離定数(Kd)を有し、任意に、10
−13M以上(例えば、10
−8M以下、例えば、10
−8M〜10
−13M、10
−9M〜10
−13M)である。
【0074】
一実施形態において、Kdは、以下のアッセイにより説明されるように、目的の抗体のFabバージョン及びその抗原を用いて行われる放射標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。抗原に対するFabの溶液結合親和性は、Fabを、未標識抗原の一連の滴定の存在下で、最小濃度の(
125I)標識抗原と平衡化し、次いで抗Fab抗体コーティングプレートと結合した抗原を捕捉することによって、測定される(例えば、Chen et al.,J.Mol.Biol.293:865−881(1999)を参照のこと)。アッセイの条件を確立するために、MICROTITER(登録商標) マルチウェルプレートを、50mMの炭酸ナトリウム(pH9.6)中の5μg/mlの捕捉用抗Fab抗体(Cappel Labs)で一晩コーティングし、その後、PBS中の2%(w/v)ウシ血清アルブミンで2〜5時間にわたって室温(約23℃)で遮断する。非吸着性のプレート(Nunc番号#269620)中で、100pMまたは26pM[
125I]−抗原を、目的とするFabの段階希釈液と混合する(例えば、Presta et al.,Cancer Res.57:4593−4599(1997)の抗VEGF抗体Fab−12の評価と一致する)。次いで、目的とするFabを一晩インキュベートするが、インキュベーションは、平衡に達することを確実にするために、より長い期間(例えば、約65時間)継続してもよい。その後、室温でのインキュベーション(例えば、1時間)のために混合物を捕捉プレートに移す。次いで、溶液を除去し、プレートをPBS中0.1%ポリソルベート20(TWEEN−20(登録商標))で8回洗浄する。プレートが乾燥したら、150μL/ウェルのシンチラント(MICROSCINT−20(商標);Packard)を付加し、プレートをTOPCOUNT(商標)ガンマ計数器(Packard)上で10分間、計数する。最大結合の20%以下をもたらす各Fabの濃度を競合結合アッセイでの使用に選択する。
【0075】
別の実施形態によれば、Kdは、BIACORE(登録商標)−2000、BAICORE(登録商標)−T200、またはBIACORE(登録商標)−3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を使用した表面プラズモン共鳴アッセイを使用して、25℃で、約10応答単位(RU)で固定化された抗原CM5チップを用いて測定される。簡潔には、供給業者の指示に従って、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIACORE,Inc.)を、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化する。抗原を、10mMの酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/mlまで(約0.2μM)希釈し、かつ/またはHBS−P(0.01M Hepes pH7.4、0.15M NaCl、0.005%Surfactant P20)で希釈した後、5μl/分及び/または30μl/分の流量で注入して、カップリングされたタンパク質のおよそ10応答単位(RU)を達成する。抗原の注入後、1Mのエタノールアミンを注入して、未反応基を遮断する。動態測定のために、Fabの2倍段階希釈液(0.78nM〜500nM)を、25℃の0.05%ポリソルベート20(TWEEN−20(商標))界面活性剤(PBST)を有するPBS中約25μL/分の流量で注入する。会合速度(k
on)及び解離速度(k
off)は、単純な1対1のラングミュア結合モデル(BIACORE(登録商標)Evaluation Softwareバージョン3.2)を使用して、会合センサグラムと解離センサグラムとを同時に当てはめることによって計算される。平衡解離定数(Kd)をk
off/k
on比として計算する。例えば、Chen et al.,J.Mol.Biol.293:865−881(1999)を参照のこと。上記表面プラズモン共鳴アッセイによるオンレートが10
6M
−1s
−1を超える場合、オンレートは、ストップトフローを備えた分光光度計(Aviv Instruments)、または撹拌キュベットを備えた8000シリーズSLM−AMINCO(商標)分光光度計(ThermoSpectronic)等の分光計で測定される場合に、増加する抗原濃度の存在下で、25℃で、PBS中20nMの抗−抗原抗体(Fab型)(pH7.2)の蛍光発光強度(励起=295nm、発光=340nm、16nm帯域通過)の増加または減少を測定する蛍光消光技法を使用して決定することができる。
【0076】
2.抗体断片
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、抗体断片である。抗体断片には、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)2、Fv、及びscFv断片、ならびに本明細書に記載される他の断片が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の抗体断片の概説については、Hudson et al.Nat.Med.9:129−134(2003)を参照のこと。scFv断片の概説については、例えば、Pluckthun,in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,(Springer−Verlag,New York),pp.269−315(1994)を参照されたく、WO93/16185ならびに米国特許第5,571,894号及び同第5,587,458号も参照のこと。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、増加したインビボ半減期を有する、Fab及びF(ab’)2断片の考察については、米国特許第5,869,046号を参照のこと。
【0077】
ダイアボディは、二価または二重特異性であり得る2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、EP404,097、WO1993/01161、Hudson et al.,Nat.Med.9:129−134(2003)、及びHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448(1993)を参照のこと。トリアボディ及びテトラボディも、Hudson et al.,Nat.Med.9:129−134(2003)に記載されている。
【0078】
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全てもしくは一部、または軽鎖可変ドメインの全てもしくは一部を含む、抗体断片である。ある特定の実施形態において、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis,Inc.,Waltham,MA、例えば、米国特許第6,248,516 B1号を参照のこと)。
【0079】
抗体断片は、本明細書に記載されるように、無傷抗体のタンパク質消化及び組み換え宿主細胞(例えば、E.coliまたはファージ)による産生を含むが、これらに限定されない様々な技法によって作製することができる。
【0080】
3.キメラ抗体及びヒト化抗体
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、キメラ抗体である。ある特定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号、及びMorrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851−6855(1984))に記載される。一例において、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、または非ヒト霊長類、例えばサルに由来する可変領域)及びヒト定常領域を含む。さらなる例において、キメラ抗体は、クラスまたはサブクラスが親抗体のクラスまたはサブクラスから変化した「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体には、その抗原結合断片が含まれる。
【0081】
ある特定の実施形態において、キメラ抗体は、ヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体は、非ヒト親抗体の特異性及び親和性を保持しながら、ヒトに対する免疫原性を低減させるために、ヒト化される。一般に、ヒト化抗体は、HVR、例えば、CDR(またはその一部)が非ヒト抗体由来であり、かつFR(またはその一部)がヒト抗体配列由来である1つ以上の可変ドメインを含む。ヒト化抗体は、任意に、ヒト定常領域の少なくとも一部を含むことになる。いくつかの実施形態において、ヒト化抗体におけるいくつかのFR残基は、例えば、抗体特異性または親和性を回復または改善するために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)由来の対応する残基で置換される。
【0082】
ヒト化抗体及びそれらを作製する方法は、例えば、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619−1633(2008)において概説され、例えば、Riechmann et al.,Nature 332:323−329(1988)、Queen et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 86:10029−10033(1989)、米国特許第5,821,337号、同第7,527,791号、同第6,982,321号、及び同第7,087,409号、Kashmiri et al.,Methods 36:25−34(2005)(SDR(a−CDR)移植について説明)、Padlan,Mol.Immunol.28:489−498(1991)(「リサーフェイシング」について説明)、Dall’Acqua et al.,Methods 36:43−60(2005)(「FRシャフリング」について説明)、ならびにOsbourn et al.,Methods 36:61−68(2005)及びKlimka et al.,Br.J.Cancer,83:252−260(2000)(FRシャフリングへの「誘導選択」アプローチについて説明)にさらに記載されている。
【0083】
ヒト化に使用され得るヒトフレームワーク領域としては、「最良適合」法を使用して選択されるフレームワーク領域(例えば、Sims et al.J.Immunol.151:2296(1993)を参照のこと)、軽鎖または重鎖可変領域の特定の下位集団のヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285(1992)、及びPresta et al.J.Immunol.,151:2623(1993)を参照のこと)、ヒト成熟(体細胞変異した)フレームワーク領域またはヒト生殖細胞株フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619−1633(2008)を参照のこと)、ならびにFRライブラリーのスクリーニングに由来するフレームワーク領域(例えば、Baca et al.,J.Biol.Chem.272:10678−10684(1997)及びRosok et al.,J.Biol.Chem.271:22611−22618(1996)を参照のこと)が含まれるが、これらに限定されない。
【0084】
4.ヒト抗体
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当該技術分野で既知の様々な技法を使用して産生することができる。ヒト抗体は、一般に、van Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.5:368−74(2001)及びLonberg,Curr.Opin.Immunol.20:450−459(2008)に記載されている。
【0085】
ヒト抗体は、抗原投与に応答して、無傷ヒト抗体またはヒト可変領域を有する無傷抗体を産生するように修飾されたトランスジェニック動物に免疫原を投与することによって調製され得る。かかる動物は、典型的には、内因性免疫グロブリン遺伝子座を置き換えるか、または染色体外に存在するかもしくは動物の染色体内にランダムに組み込まれるヒト免疫グロブリン遺伝子座の全てまたは一部を含有する。かかるトランスジェニックマウスにおいて、内因性免疫グロブリン遺伝子座は、一般に、不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法の概説については、Lonberg,Nat.Biotech.23:1117−1125(2005)を参照のこと。例えば、米国特許第6,075,181号及び同第6,150,584号(XENOMOUSE(商標)技術を記載する)、米国特許第5,770,429号(HUMAB(登録商標)技術を記載する)、ならびに米国特許第7,041,870号(K−M MOUSE(登録商標)技術を記載する)、ならびに米国特許出願公開第2007/0061900号(VELOCIMOUSE(登録商標)技術を記載する)も参照のこと。かかる動物によって生成された無傷抗体由来のヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることによってさらに修飾され得る。
【0086】
ヒト抗体は、ハイブリドーマに基づく方法によって作製することもできる。ヒトモノクローナル抗体の産生のためのヒト骨髄腫及びマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞株が説明されてきた(例えば、Kozbor J.Immunol.,133:3001(1984)、Brodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51−63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987)、及びBoerner et al.,J.Immunol.,147:86(1991)を参照のこと)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されるヒト抗体もまた、Li et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557−3562(2006)に記載される。さらなる方法としては、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒトIgM抗体の産生を記載する)及びNi,Xiandai Mianyixue,26(4):265−268(2006)(ヒト−ヒトハイブリドーマを記載する)に記載の方法が挙げられる。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)は、Vollmers and Brandlein,Histology and Histopathology,20(3):927−937(2005)及びVollmers and Brandlein,Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology,27(3):185−91(2005)にも記載されている。
【0087】
ヒト抗体はまた、ヒト由来ファージディスプレイライブラリーから選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することによって生成することもできる。かかる可変ドメイン配列は、次いで、所望のヒト定常ドメインと組み合わせることができる。抗体ライブラリーからヒト抗体を選択するための技法は、本明細書に記載される。
【0088】
5.ライブラリー由来抗体
本発明の抗体は、所望の活性(複数可)を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることによって単離され得る。例えば、ファージディスプレイライブラリーを生成し、所望の結合特性を保有する抗体についてかかるライブラリーをスクリーニングするための多様な方法が、当該技術分野で既知である。かかる方法は、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178:1−37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2001)に概説されており、例えば、McCafferty et al.,Nature 348:552−554、Clackson et al.,Nature 352:624−628(1991)、Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581−597(1992)、Marks and Bradbury,in Methods in Molecular Biology 248:161−175(Lo,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2003)、Sidhu et al.,J.Mol.Biol.338(2):299−310(2004)、Lee et al.,J.Mol.Biol.340(5):1073−1093(2004)、Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467−12472(2004)、及びLee et al.,J.Immunol.Methods284(1−2):119−132(2004)にさらに記載される。
【0089】
ある特定のファージディスプレイ方法では、VH及びVL遺伝子のレパートリーが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別個にクローニングされ、ファージライブラリーでランダムに組み換えられ、その後、Winter et al.,Ann.Rev.Immunol.,12:433−455(1994)に記載されるように抗原結合ファージについてスクリーニングされる。ファージは、典型的には、一本鎖Fv(scFv)断片またはFab断片のいずれかとして抗体断片をディスプレイする。免疫化源由来のライブラリーは、ハイブリドーマの構築を必要とすることなく、免疫原に高親和性抗体を提供する。あるいは、ナイーブレパートリーは、Griffiths et al.,EMBO J,12:725−734(1993)によって記載されるように、(例えば、ヒトから)クローニングされて、いかなる免疫化も伴うことなく、広範囲の非自己抗原及び自己抗原に対する単一抗体源を提供することができる。最後に、ナイーブライブラリーはまた、Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381−388(1992)に記載されるように、幹細胞からの再配列されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、無作為配列を含有するPCRプライマーを使用して高度可変CDR3領域をコードし、インビトロで再配列を達成することによって、合成的に作製することができる。ヒト抗体ファージライブラリーについて記載する特許公開としては、例えば、米国特許第5,750,373号、ならびに米国特許公開第2005/0079574号、同第2005/0119455号、同第2005/0266000号、同第2007/0117126号、同第2007/0160598号、同第2007/0237764号、同第2007/0292936号、及び同第2009/0002360号が挙げられる。
【0090】
ヒト抗体ライブラリーから単離された抗体または抗体断片は、本明細書においてヒト抗体またはヒト抗体断片と見なされる。
【0091】
6.多重特異性抗体
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体である。「多重特異性抗体」という用語は、多重エピトープ特異性を有する(すなわち、1つの生物学的分子上の2つもしくはそれ以上の異なるエピトープに特異的に結合することができるか、または2つもしくはそれ以上の異なる生物学的分子上のエピトープに特異的に結合することができる)抗原結合ドメインを含む抗体を特に網羅する。いくつかの実施形態において、多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、多重特異性抗体(二重特異性抗体等)の抗原結合ドメインは、2つのVH/VLユニットを含み、第1のVH/VLユニットは、第1のエピトープに特異的に結合し、第2のVH/VLユニットは、第2のエピトープに特異的に結合し、各VH/VLユニットは、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。かかる多重特異性抗体としては、完全長抗体、2つ以上のVL及びVHドメインを有する抗体、抗体断片、例えば、Fab、Fv、dsFv、scFv、ダイアボディ、二重特異性ダイアボディ及びトリアボディ、共有結合または非共有結合で連結されている抗体断片が挙げられるが、これらに限定されない。重鎖可変領域の少なくとも一部分及び/または軽鎖可変領域の少なくとも一部分をさらに含むVH/VL単位は、「アーム」または「ヘミマー」または「半抗体」とも称され得る。いくつかの実施形態において、ヘミマーは、第2のヘミマーと分子内ジスルフィド結合が形成されることを可能にするのに十分な重鎖可変領域の部分を含む。いくつかの実施形態において、ヘミマーは、例えば、相補的ホール突然変異またはノブ突然変異を含む第2のヘミマーまたは半抗体とのヘテロ二量体化を可能にする、ノブ突然変異またはホール突然変異を含む。ノブ突然変異及びホール突然変異が、本明細書でさらに考察される。
【0092】
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される多重特異性抗体は、二重特異性抗体であり得る。「二重特異性抗体」という用語は、1つの生物学的分子上の2つの異なるエピトープに特異的に結合することができるか、または2つの異なる生物学的分子上のエピトープに特異的に結合することができる抗原結合ドメインを含む多重特異性抗体を網羅する。本明細書において、二重特異性抗体はまた、「デュアル特異性(dual specificity)」を有するもの、または「デュアル特異性である(dual specific)」とも称される場合がある。二重特異性抗体は、完全長抗体または抗体断片として調製することができる。本明細書で使用される「二重パラトピック(biparatopic)抗体」という用語は、第1の抗原結合ドメイン及び第2の抗原結合ドメインが同じ抗原分子上に2つの異なるエピトープに結合するか、または2つの異なる抗原分子上のエピトープに結合してもよい、二重特異性抗体を指す。
【0093】
いくつかの実施形態において、二重パラトピック抗体の第1の抗原結合ドメイン及び第2の抗原結合ドメインは、1つの及び同じ抗原分子内の2つのエピトープに結合してもよい(分子内結合)。例えば、二重パラトピック抗体の第1の抗原結合ドメイン及び第2の抗原結合ドメインは、同じ抗体分子上の2つの異なるエピトープに結合してもよい。ある特定の実施形態において、二重パラトピック抗体が結合する2つの異なるエピトープは、通常、1つの単一特異性抗体、例えば、従来の抗体等、または1つの免疫グロブリン単一可変ドメインによって同時に結合されないエピトープである。
【0094】
いくつかの実施形態において、二重パラトピック抗体の第1の抗原結合ドメイン及び第2の抗原結合ドメインは、2つの別個の抗原分子内に位置するエピトープに結合してもよい。
【0095】
多重特異性抗体を作製するための技法には、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖対の組み換え共発現(Milstein and Cuello,Nature 305:537(1983)、WO93/08829、及びTraunecker et al.,EMBO J.10:3655(1991)を参照のこと)、及び「ノブ・イン・ホール」操作(例えば、米国特許第5,731,168号を参照のこと)、WO2009/089004、米国特許公開第2009/0182127号、同第2011/0287009号、Marvin and Zhu,Acta Pharmacol.Sin.(2005)26(6):649−658、及びKontermann(2005)Acta Pharmacol.Sin.,26:1−9を参照のこと)が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に使用される「ノブ・イン・ホール」または「KnH」技術という用語は、2つのポリペプチドを、それらが相互作用する界面において一方のポリペプチドに隆起(ノブ)を導入し、他方のポリペプチドに空洞(ホール)を導入することにより、インビトロまたはインビボで一緒に対合することを誘導する技術を指す。例えば、KnHは、抗体のFc:Fc結合界面、CL:CH1界面、またはVH/VL界面に導入されている(例えば、米国特許公開第2011/0287009号、同第2007/0178552号、WO96/027011、WO98/050431、及びZhu et al.,1997,Protein Science 6:781−788を参照のこと)。いくつかの実施形態において、KnHにより、多重特異性抗体の製造中に2つの異なる重鎖を一緒に対合することが促進される。例えば、Fc領域内にKnHを有する多重特異性抗体は、各Fc領域に連結された単一可変ドメインをさらに含むことができるか、または同様のもしくは異なる軽鎖可変ドメインと対合する異なる重鎖可変ドメインをさらに含むことができる。KnH技術を使用して、2つの異なる受容体細胞外ドメインを一緒に、または異なる標的認識配列を含む(例えば、アフィボディ(affibody)、ペプチボディ(peptibody)、及び他のFc融合を含む)、任意の他のポリペプチド配列を対合することもできる。
【0096】
本明細書で使用される「ノブ突然変異」という用語は、ポリペプチドが別のポリペプチドと相互作用する界面において、隆起(ノブ)をポリペプチドに導入する突然変異を指す。いくつかの実施形態において、他のポリペプチドには、ホール突然変異を有する。
【0097】
「隆起」とは、第1のポリペプチドの界面から突出し、それ故に隣接した界面(すなわち、第2のポリペプチドの界面)の補償空洞内に位置付け可能になり、これにより、例えば、ヘテロ多量体を安定させ、それによりホモ多量体形成よりもヘテロ多量体形成が好都合になる、少なくとも1つのアミノ酸側鎖を指す。隆起は、元の界面に存在し得るか、または合成的に(例えば、界面をコードする核酸を改変することによって)導入され得る。いくつかの実施形態において、第1のポリペプチドの界面をコードする核酸は、隆起をコードするように変更される。これを達成するために、第1のポリペプチドの界面の少なくとも1つの「元の」アミノ酸残基をコードする核酸が、元のアミノ酸残基よりも大きい側鎖体積を有する少なくとも1つの「移入」アミノ酸残基をコードする核酸で置き換えられる。2つ以上の元の残基及び対応する移入残基が存在し得ることが理解される。様々なアミノ残基の側鎖体積は、例えば、米国特許公開第2011/0287009号の表1に示される。「隆起」を導入する突然変異は、「ノブ突然変異」と称され得る。
【0098】
いくつかの実施形態において、隆起の形成のための移入残基は、アルギニン(R)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、及びトリプトファン(W)から選択される天然のアミノ酸残基である。いくつかの実施形態において、移入残基は、トリプトファンまたはチロシンである。いくつかの実施形態において、隆起の形成のための元の残基は、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グリシン、セリン、トレオニン、またはバリン等の小さい側鎖体積を有する。
【0099】
「空洞」とは、第2のポリペプチドの界面から凹んでおり、それ故に隣接する第1のポリペプチドの界面上の対応する隆起を収容する少なくとも1つのアミノ酸側鎖を指す。空洞は、元の界面に存在し得るか、または合成的に(例えば、界面をコードする核酸を改変することによって)導入され得る。いくつかの実施形態において、第2のポリペプチドの界面をコードする核酸を、空洞をコードするように変化させる。これを達成するために、第2のポリペプチドの界面の少なくとも1つの「元の」アミノ酸残基をコードする核酸が、元のアミノ酸残基よりも小さい側鎖体積を有する少なくとも1つの「移入」アミノ酸残基をコードするDNAで置き換えられる。2つ以上の元の残基及び対応する移入残基が存在し得ることが理解される。いくつかの実施形態において、空洞の形成のためのインポート残基は、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、及びバリン(V)から選択される、自然発生するアミノ酸残基である。いくつかの実施形態において、インポート残基は、セリン、アラニン、またはトレオニンである。いくつかの実施形態において、空洞の形成のための元の残基は、チロシン、アルギニン、フェニルアラニン、またはトリプトファン等の大きい側鎖体積を有する。「空洞」を導入する突然変異は、「ホール突然変異」と称され得る。
【0100】
隆起は、空洞内で「位置付け可能」であり、これは、それぞれ、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドの界面の隆起及び空洞の空間的位置、ならびに隆起及び空洞の大きさが、界面での第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとの正常な会合を著しく乱すことなく隆起が空洞内に位置し得るようなものであることを意味する。Tyr、Phe、及びTrp等の隆起は、典型的に界面の軸から垂直に延出せず、好ましい構造を有せず、対応する空洞を有する隆起のアラインメントは、場合によっては、X線結晶学または核磁気共鳴(NMR)によって得られるもの等の3次元構造に基づいて、隆起/空洞の対をモデル化することに依存する。これは、当該技術分野で広く受け入れられている技法を使用して達成され得る。
【0101】
いくつかの実施形態において、IgG1定常領域内のノブ変異は、T366Wである。いくつかの実施形態において、IgG1定常領域内のホール変異は、T366S、L368A、及びY407Vから選択される1つ以上の変異を含む。いくつかの実施形態において、IgG1定常領域内のホール変異は、T366S、L368A、及びY407Vを含む。
【0102】
いくつかの実施形態において、IgG4定常領域内のノブ変異は、T366Wある。いくつかの実施形態において、IgG4定常領域内のホール変異は、T366S、L368A、及びY407Vから選択される1つ以上の変異を含む。いくつかの実施形態において、IgG4定常領域内のホール変異は、T366S、L368A、及びY407Vを含む。
【0103】
多重特異性抗体はまた、静電的ステアリング(electrostatic steering)効果を操作して抗体Fc−ヘテロ二量体分子を作製すること(WO2009/089004A1)、2つ以上の抗体または断片を架橋すること(例えば、米国特許第4676980号、及びBrennan et al.,Science,229:81(1985)を参照のこと)、ロイシンジッパーを使用して二重特異性抗体を産生すること(例えば、Kostelny et al.,J.Immunol.,148(5):1547−1553(1992)を参照のこと)、「ダイアボディ」技術を使用して二重特異性抗体断片を作製すること(Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444−6448(1993))、及び1本鎖Fv(sFv)二量体を使用すること(Gruber et al.,J.Immunol.,152:5368(1994))、ならびに例えば、Tutt et al.J.Immunol.147:60(1991)に記載される三重特異性抗体を調製することによって、作製されてもよい。
【0104】
「オクトパス(Octopus)抗体」または「二重可変(dual−variable)ドメイン免疫グロブリン」(DVD)を含む、3つ以上の機能的抗原結合部位を有する操作された抗体もまた、本明細書に含まれる(例えば、米国特許公開第2006/0025576A1号、及びWu et al.Nature Biotechnology(2007)を参照のこと)。
【0105】
ある特定の実施形態において、1つ以上のアミノ酸修飾が、本明細書に提供される抗体のFc領域に導入され、それによりFc領域変異体が生成され得る。Fc領域変異体は、1つ以上のアミノ酸位置にアミノ酸修飾(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4 Fc領域)を含み得る。
【0106】
ある特定の実施形態において、本発明は、全てではないが、いくつかのエフェクター機能を有することにより、インビボでの抗体の半減期が重要であるが、ある特定のエフェクター機能(補体及びADCC等)が不要または有害である用途に望ましい候補となる抗体変異体を企図する。インビトロ及び/またはインビボ細胞傷害性アッセイを行って、CDC及び/またはADCC活性の低減/枯渇を確認することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを行って、抗体がFcγR結合を欠く(故にADCC活性を欠く可能性が高い)が、FcRn結合能力を保持していることを確実にすることができる。ADCCを媒介するための初代細胞であるNK細胞が、Fc(RIII)のみを発現する一方で、単球は、Fc(RI)、Fc(RII)、及びFc(RIII)を発現する。造血細胞でのFcR発現は、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457−492(1991)の464頁の表3に要約されている。目的の分子のADCC活性を評価するためのインビトロアッセイの非限定的な例は、米国特許第5500362号(例えば、Hellstrom,I.et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 83:7059−7063(1986)を参照のこと)及びHellstrom,I et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 82:1499−1502(1985)、同第5,821,337号(Bruggemann,M.et al.,J.Exp.Med.166:1351−1361(1987)を参照のこと)に記載されている。あるいは、非放射性アッセイ法を用いてもよい(例えば、フローサイトメトリーのためのACTI(商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology,Inc.Mountain View,CA、及びCytoTox 96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega,Madison,WI)を参照のこと)。かかるアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。あるいは、または追加的に、目的の分子のADCC活性は、例えば、Clynes et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 95:652−656(1998)に開示されるもの等の動物モデルにおいて、インビボで評価されてもよい。C1q結合アッセイを実行して、抗体がC1qに結合することができず、それ故にCDC活性を欠くことを確認することもできる。例えば、WO2006/029879及びWO2005/100402におけるC1q及びC3c結合ELISAを参照のこと。補体活性化を評定するために、CDCアッセイが行われ得る(例えば、Gazzano−Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202:163(1996)、Cragg,M.S.et al.,Blood 101:1045−1052(2003)、及びCragg,M.S.and M.J.Glennie,Blood 103:2738−2743(2004)を参照のこと)。FcRn結合及びインビボクリアランス/半減期決定もまた、当該技術分野において既知である方法を使用して実行することができる(Petkova,S.B.et al.,Int’l.Immunol.18(12):1759−1769(2006))。
【0107】
低下したエフェクター機能を有する抗体としては、Fc領域残基238、265、269、270、297、327、及び329のうちの1つ以上の置換を有するものが挙げられる(米国特許第6,737,056号)。かかるFc変異体には、残基265及び297のアラニンへの置換を有するいわゆる「DANA」Fc変異体を含む、アミノ酸265位、269位、270位、297位、及び327位のうちの2つ以上における置換を有するFc変異体が含まれる(米国特許第7332581号)。
【0108】
ある特定の実施形態において、野生型ヒトFc領域のPro329が、グリシンもしくはアルギニン、または、Fcのプロリン329とFcgRIIIのトリプトファン残基Trp87及びTrp110との間に形成される、Fc/Fcγ受容体界面内のプロリンサンドイッチを破壊するのに十分に大きなアミノ酸残基で置換される(Sondermann et al.:Nature 406,267−273(20 July 2000))。さらなる実施形態において、Fc変異体内の少なくとも1つのさらなるアミノ酸置換は、S228P、E233P、L234A、L235A、L235E、N297A、N297D、またはP331Sであり、さらに別の実施形態において、該少なくとも1つのさらなるアミノ酸置換は、ヒトIgG1 Fc領域のL234A及びL235A、またはヒトIgG4 Fc領域のS228P及びL235Eである(米国特許第8969526号、これは参照によりその全体が組み込まれる)。
【0109】
ある特定の実施形態において、ポリペプチドは、野生型ヒトIgG Fc領域のFc変異体を含み、このポリペプチドは、グリシンで置換されたヒトIgG Fc領域のPro329を有し、Fc変異体は、ヒトIgG1 Fc領域のL234A及びL235A、またはヒトIgG4 Fc領域のS228P及びL235Eにおいて少なくとも2つのさらなるアミノ酸置換を含み、残基は、KabatのEUインデックスに従って付番される(米国特許第8,969,526号、これは参照によりその全体が組み込まれる)。ある特定の実施形態において、P329G、L234A、及びL235Aの置換を含むポリペプチドは、ヒトFcγRIIIA及びFcγRIIAに対する親和性の低減を示し、野生型ヒトIgG Fc領域を含むポリペプチドによって誘発されるADCCの少なくとも20%にADCCを下方調節し、かつ/またはADCPを下方調節する(米国特許第8,969,526号、これは参照によりその全体が組み込まれる)。
【0110】
特定の一実施形態において、野生型ヒトFcポリペプチドのFc変異体を含むポリペプチドは、三重変異、すなわちPro329位におけるアミノ酸置換、L234A変異、及びL235A変異(P329/LALA)を含む(米国特許第8,969,526号、これは参照によりその全体が組み込まれる)。特定の実施形態において、ポリペプチドは、以下のアミノ酸置換:P329G、L234A、及びL235Aを含む。
【0111】
FcRへの結合が改善または低減されたある特定の抗体変異体が記載されている(例えば、米国特許第6,737,056号;WO2004/056312、及びShields et al.,J.Biol.Chem.9(2):6591−6604(2001)を参照のこと)。
【0112】
ある特定の実施形態において、抗体変異体は、ADCCを改善する1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の298、333、及び/または334位(残基のEU番号付け)での置換を有するFc領域を含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、例えば、米国特許第6,194,551号、WO99/51642、及びIdusogie et al.,J.Immunol.164:4178−4184(2000)に記載される、改変された(すなわち、改善または低減のいずれか)C1q結合及び/または補体依存性細胞傷害性(CDC)をもたらす変化が、Fc領域になされる。
【0114】
増加した半減期と、母体IgGの胎児への移送に関与する新生児Fc受容体(FcRn)への改善された結合(Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976)及びKim et al.,J.Immunol.24:249(1994))は、米国特許公開第2005/0014934A1号(Hinton et al.)に記載されている。それらの抗体は、Fc領域のFcRnへの結合を改善する1つ以上の置換を有するFc領域を含む。かかるFc変異体は、Fc領域残基:238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424、または434のうちの1つ以上における置換、例えば、Fc領域残基434の置換を有するものを含む(米国特許第7,371,826号)。
【0115】
Fc領域変異体の他の例に関して、Duncan & Winter,Nature 322:738−40(1988)、米国特許第5,648,260号、米国特許第5,624,821号、及びWO94/29351も参照のこと。
【0116】
7.システイン操作抗体変異体
ある特定の実施形態において、抗体の1つ以上の残基がシステイン残基で置換されている、システイン操作抗体、例えば、「THIOMAB(商標)抗体」を作製することが望ましい場合がある。特定の実施形態において、置換された残基は、抗体の利用しやすい部位で生じる。これらの残基をシステインで置換することによって、反応性のチオール基がそれにより抗体の利用しやすい部位に位置付けられ、それを使用して、薬物部分に抗体をコンジュゲートして、本明細書にさらに記載される、免疫コンジュゲートを作製することができる。ある特定の実施形態において、以下の残基のいずれか1つ以上が、システインで置換され得る:軽鎖のV205(Kabat番号付け)、軽鎖のK149(Kabat番号付け)、重鎖のA118(EU番号付け)、及び重鎖Fc領域のS400(EU番号付け)。システイン操作抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号に記載されるように生成され得る。
【0117】
いくつかの態様において、THIOMAB(商標)抗体は、以下の表1に列挙される重鎖または軽鎖システイン置換のうちの1つを含む。
【表1-1】
【表1-2】
【0118】
他の態様において、THIOMAB(商標)抗体は、表2に列挙される重鎖システイン置換のうちの1つを含む。
【表2】
【0119】
いくつかの他の態様において、THIOMAB(商標)抗体は、表3に列挙される軽鎖システイン置換のうちの1つを含む。
【表3】
【0120】
いくつかの他の態様において、THIOMAB(商標)抗体は、表4に列挙される重鎖または軽鎖システイン置換のうちの1つを含む。
【表4】
【0121】
癌の治療における本発明の抗体−薬物コンジュゲートに有用であり得るシステイン操作抗体としては、細胞表面受容体及び腫瘍関連抗原(TAA)に対する抗体が挙げられるが、これらに限定されない。腫瘍関連抗原は、当該技術分野で既知であり、当該技術分野で周知の方法及び情報を用いて抗体を生成するのに使用するために調製され得る。癌の診断及び治療のための有効な細胞標的を発見する目的で、研究者らは、1つ以上の正常な非癌性細胞(複数可)と比較して、1つ以上の特定の癌細胞種(複数可)の表面に特異的に発現する膜貫通ポリペプチドまたはそうでなければ、腫瘍関連ポリペプチドを特定しようとした。しばしば、かかる腫瘍関連ポリペプチドは、非癌性細胞の表面上と比較して、癌細胞の表面上ではより豊富に発現する。かかる腫瘍関連細胞表面の抗原ポリペプチドの特定により、抗体に基づく治療法によって癌細胞を破壊のために特異的に標的とする能力が生じた。
【0122】
腫瘍関連抗原TAAの例としては、本明細書に列挙されるTAA(1)〜(53)が挙げられるが、これらに限定されない。便宜上、これらの抗原(全て当該技術分野で既知である)に関連する情報を本明細書に列挙し、この情報には、名称、別称、Genbank受託番号、及び主な参考文献(複数可)に続き、National Center for Biotechnology Information(NCBI)の核酸及びタンパク質配列を特定する慣例が含まれている。TAA(1)〜(53)に対応する核酸及びタンパク質の配列は、GenBank等の公的データベースで入手可能である。抗体の標的となる腫瘍関連抗原としては、引用される参考文献において特定されている配列と比べて少なくとも約70%、80%、85%、90%、もしくは95%の配列同一性を有する全てのアミノ酸配列変異体及び同位体、または引用される参考文献中に見出される配列を有するTAAと実質的に同じ生物学的特性もしくは特徴を呈するものが含まれる。例えば、変異体配列を有するTAAは、一般に、列挙される対応する配列を有するTAAに特異的に結合する抗体に特異的に結合することができる。本明細書に具体的に引用される参考文献中の配列及び開示は、参照により明示的に組み込まれる。
【0123】
腫瘍関連抗原
(1)BMPR1B(骨形成タンパク質受容体IB型、Genbank受託番号NM_001203) ten Dijke,P.,et al.Science 264(5155):101−104(1994),Oncogene 14(11):1377−1382(1997))、WO2004063362(請求項2)、WO2003042661(請求項12)、US2003134790−A1(38〜39頁);WO2002102235(請求項13;296頁)、WO2003055443(91〜92頁)、WO200299122(実施例2;528〜530頁)、WO2003029421(請求項6)、WO2003024392(請求項2;
図112)、WO200298358(請求項1;183頁)、WO200254940(100〜101頁)、WO200259377(349〜350頁)、WO200230268(請求項27;376頁)、WO200148204(実施例;
図4) NP_001194骨形成タンパク質受容体、IB型/pid=NP_001194.1−相互参照:MIM:603248、NP_001194.1、AY065994。
【0124】
(2)E16(LAT1、SLC7A5、Genbank受託番号NM_003486) Biochem.Biophys.Res.Commun.255(2),283−288(1999),Nature 395(6699):288−291(1998)、Gaugitsch,H.W.,et al.(1992) J.Biol.Chem.267(16):11267−11273)、WO2004048938(実施例2)、WO2004032842(実施例IV)、WO2003042661(請求項12)、WO2003016475(請求項1)、WO200278524(実施例2)、WO200299074(請求項19;127〜129頁)、WO200286443(請求項27;222、393頁)、WO2003003906(請求項10;293頁)、WO200264798(請求項33;93〜95頁)、WO200014228(請求項5;133〜136頁);US2003224454(
図3)、WO2003025138(請求項12;150頁)、NP_003477溶質輸送体ファミリー7(カチオン性アミノ酸輸送体、y+システム)、メンバー5/pid=NP_003477.3−Homo sapiens、相互参照:MIM:600182、NP_003477.3、NM_015923、NM_003486_1。
【0125】
(3)STEAP1(前立腺の6回膜貫通上皮抗原、Genbank受託番号NM_012449) Cancer Res.61(15),5857−5860(2001)、Hubert,R.S.,et al.(1999) Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.96(25):14523−14528)、WO2004065577(請求項6)、WO2004027049(
図1L)、EP1394274(実施例11)、WO2004016225(請求項2)、WO2003042661(請求項12)、US2003157089(実施例5)、US2003185830(実施例5)、US2003064397(
図2)、WO200289747(実施例5;618〜619頁)、WO2003022995(実施例9;
図13A、実施例53;173頁、実施例2;
図2A);NP_036581 前立腺の6回膜貫通上皮抗原、相互参照:MIM:604415;NP_036581.1;NM_012449_1。
【0126】
(4)0772P(CA125、MUC16、Genbank受託番号AF361486) J.Biol.Chem.276(29):27371−27375(2001))、WO2004045553(請求項14)、WO200292836(請求項6;
図12)、WO200283866(請求項15;116〜121頁);US2003124140(実施例16);US 798959。相互参照:GI:34501467、AAK74120.3、AF361486_1。
【0127】
(5)MPF(MPF、MSLN、SMR、巨核球増強因子、メソテリン、Genbank受託番号NM_005823) Yamaguchi,N.,et al.Biol.Chem.269(2),805−808(1994)、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.96(20):11531−11536(1999)、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.93(1):136−140(1996)、J.Biol.Chem.270(37):21984−21990(1995))、WO2003101283(請求項14);(WO2002102235(請求項13;287〜288頁)、WO2002101075(請求項4;308〜309頁)、WO200271928(320〜321頁)、WO9410312(52〜57頁);相互参照:MIM:601051、NP_005814.2、NM_005823_1。
【0128】
(6)Napi3b(NAPI−3B、NPTIIb、SLC34A2、溶質輸送体ファミリー34(リン酸ナトリウム)、メンバー2、II型ナトリウム依存性リン酸輸送体3b、Genbank受託番号NM_006424) J.Biol.Chem.277(22):19665−19672(2002)、Genomics 62(2):281−284(1999)、J.A.,et al.(1999) Biochem.Biophys.Res.Commun.258(3):578−582)、WO2004022778(請求項2)、EP1394274(実施例11)、WO2002102235(請求項13;326頁)、EP875569(請求項1;17〜19頁)、WO200157188(請求項20;329頁)、WO2004032842(実施例IV)、WO200175177(請求項24;139〜140頁)、相互参照:MIM:604217、NP_006415.1、NM_006424_1。
【0129】
(7)Sema 5b(FLJ10372、KIAA1445、Mm.42015、SEMA5B、SEMAG、セマフォリン5b Hlog、セマドメイン、7回トロンボスポンジン反復(1型及び1型様)、膜貫通ドメイン(TM)、及び短い細胞質ドメイン、(セマフォリン)5B、Genbank受託番号AB040878) Nagase T.,et al.(2000) DNA Res.7(2):143−150)、WO2004000997(請求項1)、WO2003003984(請求項1)、WO200206339(請求項1;50頁)、WO200188133(請求項1;41〜43、48〜58頁)、WO2003054152(請求項20)、WO2003101400(請求項11);受託番号:Q9P283、EMBL、AB040878、BAA95969.1。Genew、HGNC:10737。
【0130】
(8)PSCA hlg(2700050C12Rik、C530008O16Rik、RIKEN cDNA 2700050C12、RIKEN cDNA 2700050C12遺伝子、Genbank受託番号AY358628)、Ross et al.(2002) Cancer Res.62:2546−2553、US2003129192(請求項2)、US2004044180(請求項12)、US2004044179(請求項11)、US2003096961(請求項11)、US2003232056(実施例5)、WO2003105758(請求項12)、US2003206918(実施例5)、EP1347046(請求項1)、WO2003025148(請求項20)、相互参照:GI:37182378、AAQ88991.1、AY358628_1。
【0131】
(9)ETBR(エンドセリンB型受容体、Genbank受託番号AY275463)、Nakamuta M.,et al.Biochem.Biophys.Res.Commun.177,34−39,1991、Ogawa Y.,et al.Biochem.Biophys.Res.Commun.178,248−255,1991、Arai H.,et al.Jpn.Circ.J.56,1303−1307,1992、Arai H.,et al.J.Biol.Chem.268,3463−3470,1993、Sakamoto A.,Yanagisawa M.,et al.Biochem.Biophys.Res.Commun.178,656−663,1991、Elshourbagy N.A.,et al.J.Biol.Chem.268,3873−3879,1993、Haendler B.,et al.J.Cardiovasc.Pharmacol.20,s1−S4,1992、Tsutsumi M.,et al.Gene 228,43−49,1999、Strausberg R.L.,et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.99,16899−16903,2002、Bourgeois C.,et al.J.Clin.Endocrinol.Metab.82,3116−3123,1997、Okamoto Y.,et al.Biol.Chem.272,21589−21596,1997、Verheij J.B.,et al.Am.J.Med.Genet.108,223−225,2002、Hofstra R.M.W.,et al.Eur.J.Hum.Genet.5,180−185,1997、Puffenberger E.G.,et al.Cell 79,1257−1266,1994、Attie T.,et al.,Hum.Mol.Genet.4,2407−2409,1995、Auricchio A.,et al.Hum.Mol.Genet.5:351−354,1996、Amiel J.,et al.Hum.Mol.Genet.5,355−357,1996、Hofstra R.M.W.,et al.Nat.Genet.12,445−447,1996、Svensson P.J.,et al.Hum.Genet.103,145−148,1998、Fuchs S.,et al.Mol.Med.7,115−124,2001、Pingault V.,et al.(2002) Hum.Genet.111,198−206、WO2004045516(請求項1)、WO2004048938(実施例2)、WO2004040000(請求項151)、WO2003087768(請求項1)、WO2003016475(請求項1)、WO2003016475(請求項1)、WO200261087(
図1)、WO2003016494(
図6)、WO2003025138(請求項12;144頁)、WO200198351(請求項1;124〜125頁)、EP522868(請求項8;
図2)、WO200177172(請求項1;297〜299頁)、US2003109676、US6518404(
図3)、US5773223(請求項1a;Col31〜34)、WO2004001004。
【0132】
(10)MSG783(RNF124、仮説上のタンパク質FLJ20315、Genbank受託番号NM_017763)、WO2003104275(請求項1)、WO2004046342(実施例2)、WO2003042661(請求項12)、WO2003083074(請求項14;61頁)、WO2003018621(請求項1)、WO2003024392(請求項2;
図93)、WO200166689(実施例6)、相互参照:LocusID:54894、NP_060233.2、NM_017763_1。
【0133】
(11)STEAP2(HGNC_8639、IPCA−1、PCANAP1、STAMP1、STEAP2、STMP、前立腺癌関連遺伝子1、前立腺癌関連タンパク質1、前立腺の6回膜貫通上皮抗原2、6回膜貫通前立腺タンパク質、Genbank受託番号AF455138) Lab.Invest.82(11):1573−1582(2002))、WO2003087306;US2003064397(請求項1;
図1)、WO200272596(請求項13;54〜55頁)、WO200172962(請求項1;
図4B)、WO2003104270(請求項11)、WO2003104270(請求項16)、US2004005598(請求項22)、WO2003042661(請求項12)、US2003060612(請求項12;
図10)、WO200226822(請求項23;
図2)、WO200216429(請求項12;
図10)、相互参照:GI:22655488、AAN04080.1、AF455138_1。
【0134】
(12)TrpM4(BR22450、FLJ20041、TRPM4、TRPM4B、一過性受容器電位カチオンチャネル、サブファミリーM、メンバー4、Genbank受託番号NM_017636) Xu,X.Z.,et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.98(19):10692−10697(2001)、Cell 109(3):397−407(2002)、J.Biol.Chem.278(33):30813−30820(2003))、US2003143557(請求項4)、WO200040614(請求項14;100〜103頁)、WO200210382(請求項1;
図9A)、WO2003042661(請求項12)、WO200230268(請求項27;391頁)、US2003219806(請求項4)、WO200162794(請求項14;
図1A〜D)、相互参照:MIM:606936、NP_060106.2、NM_017636_1。
【0135】
(13)CRIPTO(CR、CR1、CRGF、CRIPTO、TDGF1、奇形癌由来の成長因子、Genbank受託番号NP_003203またはNM_003212) Ciccodicola,A.,et al.EMBO J.8(7):1987−1991(1989)、Am.J.Hum.Genet.49(3):555−565(1991))、US2003224411(請求項1)、WO2003083041(実施例1)、WO2003034984(請求項12)、WO200288170(請求項2;52〜53頁)、WO2003024392(請求項2;
図58)、WO200216413(請求項1;94〜95、105頁)、WO200222808(請求項2;
図1)、US5854399(実施例2;Col17〜18)、US5792616(
図2)、相互参照:MIM:187395、NP_003203.1、NM_003212_1。
【0136】
(14)CD21(CR2(補体受容体2)またはC3DR(C3d/エプスタイン・バーウイルス受容体)またはHs.73792、Genbank受託番号M26004) Fujisaku et al.(1989) J.Biol.Chem.264(4):2118−2125)、Weis J.J.,et al.J.Exp.Med.167,1047−1066,1988、Moore M.,et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.84,9194−9198,1987、Barel M.,et al.Mol.Immunol.35,1025−1031,1998、Weis J.J.,et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.83,5639−5643,1986、Sinha S.K.,et al.(1993) J.Immunol.150,5311−5320、WO2004045520(実施例4)、US2004005538(実施例1)、WO2003062401(請求項9)、WO2004045520(実施例4)、WO9102536(
図9.1〜9.9)、WO2004020595(請求項1)、受託番号:P20023、Q13866、Q14212、EMBL、M26004、AAA35786.1。
【0137】
(15) CD79b(CD79B、CD79β、IGb(免疫グロブリン関連ベータ)、B29、Genbank受託番号NM_000626または11038674) Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(2003) 100(7):4126−4131,Blood(2002) 100(9):3068−3076、Muller et al.(1992) Eur.J.Immunol.22(6):1621−1625)、WO2004016225(請求項2、
図140)、WO2003087768、US2004101874(請求項1、102頁)、WO2003062401(請求項9)、WO200278524(実施例2);US2002150573(請求項5、15頁);US5644033、WO2003048202(請求項1、306及び309頁)、WO 99/558658、US6534482(請求項13、
図17A/B)、WO200055351(請求項11、1145〜1146頁)、相互参照:MIM:147245、NP_000617.1、NM_000626_1。
【0138】
(16)FcRH2(IFGP4、IRTA4、SPAP1A(SH2ドメイン含有ホスファターゼアンカータンパク質1a)、SPAP1B、SPAP1C、Genbank受託番号NM_030764、AY358130) Genome Res.13(10):2265−2270(2003)、Immunogenetics 54(2):87−95(2002)、Blood 99(8):2662−2669(2002)、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.98(17):9772−9777(2001)、Xu,M.J.,et al.(2001) Biochem.Biophys.Res.Commun.280(3):768−775、WO2004016225(請求項2)、WO2003077836、WO200138490(請求項5;
図18D−1〜18D−2)、WO2003097803(請求項12)、WO2003089624(請求項25)、相互参照:MIM:606509、NP_110391.2、NM_030764_1。
【0139】
(17)HER2(ErbB2、Genbank受託番号M11730) Coussens L.,et al.Science(1985) 230(4730):1132−1139)、Yamamoto T.,et al.Nature 319,230−234,1986、Semba K.,et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.82,6497−6501,1985、Swiercz J.M.,et al.J.Cell Biol.165,869−880,2004、Kuhns J.J.,et al.J.Biol.Chem.274,36422−36427,1999、Cho H.−S.,et al.Nature 421,756−760,2003、Ehsani A.,et al.(1993) Genomics 15,426−429、WO2004048938(実施例2)、WO2004027049(
図1I)、WO2004009622、WO2003081210、WO2003089904(請求項9)、WO2003016475(請求項1)、US2003118592、WO2003008537(請求項1)、WO2003055439(請求項29;
図1A〜B)、WO2003025228(請求項37、
図5C)、WO200222636(実施例13、95〜107頁)、WO200212341(請求項68、
図7)、WO200213847(71〜74頁)、WO200214503(114〜117頁)、WO200153463(請求項2、41〜46頁)、WO200141787(15頁)、WO200044899(請求項52、
図7)、WO200020579(請求項3、
図2)、US5869445(請求項3、Col31〜38)、WO9630514(請求項2、56〜61頁)、EP1439393(請求項7)、WO2004043361(請求項7)、WO2004022709、WO200100244(実施例3、
図4)、受託番号:P04626、EMBL、M11767、AAA35808.1。EMBL、M11761、AAA35808.1。
【0140】
(18)NCA(CEACAM6、Genbank受託番号M18728)、Barnett T.,et al.Genomics 3,59−66,1988、Tawaragi Y.,et al.Biochem.Biophys.Res.Commun.150,89−96,1988、Strausberg R.L.,et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.99:16899−16903,2002、WO2004063709、EP1439393(請求項7)、WO2004044178(実施例4)、WO2004031238、WO2003042661(請求項12)、WO200278524(実施例2)、WO200286443(請求項27、427頁)、WO200260317(請求項2)、受託番号:P40199、Q14920、EMBL、M29541、AAA59915.1。EMBL、M18728。
【0141】
(19)MDP(DPEP1、Genbank受託番号BC017023) Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.99(26):16899−16903(2002))、WO2003016475(請求項1)、WO200264798(請求項33、85〜87頁)、JP05003790(
図6〜8)、WO9946284(
図9)、相互参照:MIM:179780、AAH17023.1、BC017023_1。
【0142】
(20)IL20Rα(IL20Ra、ZCYTOR7、Genbank受託番号AF184971)、Clark H.F.,et al.Genome Res.13,2265−2270,2003、Mungall A.J.,et al.Nature 425,805−811,2003、Blumberg H.,et al.Cell 104,9−19,2001、Dumoutier L.,et al.J.Immunol.167,3545−3549,2001、Parrish−Novak J.,et al.J.Biol.Chem.277,47517−47523,2002、Pletnev S.,et al.(2003) Biochemistry 42:12617−12624、Sheikh F.,et al.(2004) J.Immunol.172,2006−2010、EP1394274(実施例11)、US2004005320(実施例5)、WO2003029262(74〜75頁)、WO2003002717(請求項2、63頁)、WO200222153(45〜47頁)、US2002042366(20〜21頁)、WO200146261(57〜59頁)、WO200146232(63〜65頁)、WO9837193(請求項1、55〜59頁)、受託番号:Q9UHF4、Q6UWA9、Q96SH8、EMBL、AF184971、AAF01320.1。
【0143】
(21)Brevican(BCAN、BEHAB、Genbank受託番号AF229053) Gary S.C.,et al.Gene 256,139−147,2000、Clark H.F.,et al.Genome Res.13,2265−2270,2003、Strausberg R.L.,et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.99,16899−16903,2002、US2003186372(請求項11)、US2003186373(請求項11)、US2003119131(請求項1、
図52)、US2003119122(請求項1、
図52)、US2003119126(請求項1)、US2003119121(請求項1、
図52)、US2003119129(請求項1)、US2003119130(請求項1)、US2003119128(請求項1、
図52)、US2003119125(請求項1)、WO2003016475(請求項1)、WO200202634(請求項1)。
【0144】
(22)EphB2R(DRT、ERK、Hek5、EPHT3、Tyro5、Genbank受託番号NM_004442) Chan,J.and Watt,V.M.,Oncogene 6(6),1057−1061(1991) Oncogene 10(5):897−905(1995),Annu.Rev.Neurosci.21:309−345(1998),Int.Rev.Cytol.196:177−244(2000))、WO2003042661(請求項12)、WO200053216(請求項1、41頁)、WO2004065576(請求項1)、WO2004020583(請求項9)、WO2003004529(128〜132頁)、WO200053216(請求項1、42頁);相互参照:MIM:600997、NP_004433.2、NM_004442_1。
【0145】
(23)ASLG659(B7h、Genbank受託番号AX092328) US20040101899(請求項2)、WO2003104399(請求項11)、WO2004000221(
図3)、US2003165504(請求項1)、US2003124140(実施例2)、US2003065143(
図60)、WO2002102235(請求項13、299頁)、US2003091580(実施例2)、WO200210187(請求項6、
図10)、WO200194641(請求項12、
図7b)、WO200202624(請求項13、
図1A〜1B)、US2002034749(請求項54、45〜46頁)、WO200206317(実施例2、320〜321頁、請求項34、321〜322頁)、WO200271928(468〜469頁)、WO200202587(実施例1、
図1)、WO200140269(実施例3、190〜192頁)、WO200036107(実施例2、205〜207頁)、WO2004053079(請求項12)、WO2003004989(請求項1)、WO200271928(233〜234、452〜453頁)、WO0116318。
【0146】
(24)PSCA(前立腺幹細胞抗原前駆体、Genbank受託番号AJ297436) Reiter R.E.,et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.95,1735−1740,1998、Gu Z.,et al.Oncogene 19,1288−1296,2000、Biochem.Biophys.Res.Commun.(2000) 275(3):783−788、WO2004022709、EP1394274(実施例11)、US2004018553(請求項17)、WO2003008537(請求項1)、WO200281646(請求項1、164頁)、WO2003003906(請求項10、288頁)、WO200140309(実施例1、
図17)、US2001055751(実施例1、
図1b)、WO200032752(請求項18、
図1)、WO9851805(請求項17、97頁)、WO9851824(請求項10、94頁)、WO9840403(請求項2、
図1B)、受託番号:O43653、EMBL、AF043498、AAC39607.1。
【0147】
(25)GEDA(Genbank受託番号AY260763)、AAP14954脂肪腫HMGIC融合パートナー様タンパク質/pid=AAP14954.1−ホモサピエンス種:ホモサピエンス(ヒト)WO2003054152(請求項20)、WO2003000842(請求項1)、WO2003023013(実施例3、請求項20)、US2003194704(請求項45)、相互参照:GI:30102449、AAP14954.1、AY260763_1。
【0148】
(26)BAFF−R(B細胞活性化因子受容体、BLyS受容体3、BR3、Genbank受託番号AF116456)、BAFF受容体/pid=NP_443177.1−Homo sapiens Thompson,J.S.,et al.Science 293(5537),2108−2111(2001)、WO2004058309、WO2004011611、WO2003045422(実施例、32〜33頁)、WO2003014294(請求項35、
図6B)、WO2003035846(請求項70、615〜616頁)、WO200294852(Col136〜137)、WO200238766(請求項3、133頁)、WO200224909(実施例3、
図3)、相互参照:MIM:606269、NP_443177.1、NM_052945_1、AF132600。
【0149】
(27)CD22(B細胞受容体CD22−Bアイソフォーム、BL−CAM、Lyb−8、Lyb8、SIGLEC−2、FLJ22814、Genbank受託番号AK026467)、Wilson et al.(1991) J.Exp.Med.173:137−146、WO2003072036(請求項1、
図1)、相互参照:MIM:107266、NP_001762.1、NM_001771_1。
【0150】
(28)CD79a(CD79A、CD79α、免疫グロブリン関連アルファ、Igベータ(CD79B)と共有結合により相互作用し、IgM分子と表面上で複合体を形成し、B細胞分化に関与するシグナルを伝達するB細胞特異的タンパク質)、pI:4.84、分子量:25028 TM:2[P]遺伝子染色体:19q13.2、Genbank受託番号NP_001774.10) WO2003088808、US20030228319、WO2003062401(請求項9)、US2002150573(請求項4、13〜14頁)、WO9958658(請求項13、
図16)、WO9207574(
図1)、US5644033、Ha et al.(1992) J.Immunol.148(5):1526−1531、Mueller et al.(1992) Eur.J.Biochem.22:1621−1625、Hashimoto et al.(1994) Immunogenetics 40(4):287−295、Preud’homme et al.(1992) Clin.Exp.Immunol.90(1):141−146、Yu et al.(1992) J.Immunol.148(2) 633−637、Sakaguchi et al.(1988) EMBO J.7(11):3457−3464。
【0151】
(29)CXCR5(バーキットリンパ腫受容体1、CXCL13ケモカインによって活性化され、リンパ球移動及び体液性免疫において機能し、HIV−2感染症、ならびに恐らく、AIDS、リンパ腫、骨髄腫、及び白血病の発症において働くGタンパク質共役型受容体)、372aa,pI:8.54 分子量:41959 TM:7[P]遺伝子染色体:11q23.3、Genbank受託番号NP_001707.1) WO2004040000、WO2004015426、US2003105292(実施例2)、US6555339(実施例2)、WO200261087(
図1)、WO200157188(請求項20、269頁)、WO200172830(12〜13頁)、WO200022129(実施例1、152〜153頁、実施例2、254〜256頁)、WO9928468(請求項1、38頁)、US5440021(実施例2、col49〜52)、WO9428931(56〜58頁)、WO9217497(請求項7、
図5)、Dobner et al.(1992) Eur.J.Immunol.22:2795−2799、Barella et al.(1995) Biochem.J.309:773−779。
【0152】
(30)HLA−DOB(ペプチドに結合し、CD4+Tリンパ球にそれらを提示する、MHCクラスII分子のベータサブユニット(Ia抗原))、273aa、pI:6.56、分子量:30820 TM:1[P]遺伝子染色体:6p21.3、Genbank受託番号NP_002111.1) Tonnelle et al.(1985) EMBO J.4(11):2839−2847、Jonsson et al.(1989) Immunogenetics 29(6):411−413、Beck et al.(1992) J.Mol.Biol.228:433−441、Strausberg et al.(2002) Proc.Natl.Acad.Sci USA 99:16899−16903、Servenius et al.(1987) J.Biol.Chem.262:8759−8766、Beck et al.(1996) J.Mol.Biol.255:1−13、Naruse et al.(2002) Tissue Antigens 59:512−519、WO9958658(請求項13、
図15)、US6153408(Col35〜38)、US5976551(col168〜170)、US6011146(col145〜146)、Kasahara et al.(1989) Immunogenetics 30(1):66−68、Larhammar et al.(1985) J.Biol.Chem.260(26):14111−14119。
【0153】
(31)P2X5(プリン受容体P2Xリガンド開口型イオンチャネル5、シナプス伝達及び神経発生に関与し得る、細胞外ATPによって開閉されるイオンチャネル、欠損すると特発性の排尿筋不安定の病態生理に寄与し得る)、422aa),pI:7.63、分子量:47206 TM:1[P]遺伝子染色体:17p13.3、Genbank受託番号NP_002552.2) Le et al.(1997) FEBS Lett.418(1−2):195−199、WO2004047749、WO2003072035(請求項10)、Touchman et al.(2000) Genome Res.10:165−173、WO200222660(請求項20)、WO2003093444(請求項1)、WO2003087768(請求項1)、WO2003029277(82頁)。
【0154】
(32)CD72(B細胞分化抗原CD72、Lyb−2) PROTEIN SEQUENCE Full maeaity...tafrfpd(1..359;359aa)、pI:8.66、分子量:40225 TM:1[P]遺伝子染色体:9p13.3、Genbank受託番号NP_001773.1) WO2004042346(請求項65)、WO2003026493(51〜52、57〜58頁)、WO200075655(105〜106頁)、Von Hoegen et al.(1990) J.Immunol.144(12):4870−4877、Strausberg et al.(2002) Proc.Natl.Acad.Sci USA 99:16899−16903。
【0155】
(33)LY64(リンパ球抗原64(RP105)、ロイシンリッチ反復(LRR)ファミリーのI型膜タンパク質、B細胞の活性化及びアポトーシスを制御し、機能消失は、全身性エリテマトーデス患者における疾患活性の増加に関連する)、661aa,pI 6.20、分子量:74147 TM:1[P]遺伝子染色体:5q12、Genbank受託番号NP_005573.1) US2002193567、WO9707198(請求項11、39〜42頁)、Miura et al.(1996) Genomics 38(3):299−304、Miura et al.(1998) Blood 92:2815−2822、WO2003083047、WO9744452(請求項8、57〜61頁)、WO200012130(24〜26頁)。
【0156】
(34)FcRH1(Fc受容体様タンパク質1、C2型Ig様及びITAMドメインを含有する免疫グロブリンFcドメインの推定上の受容体、B−リンパ球分化において役割を有し得る)、429aa、pI:5.28、分子量:46925 TM:1[P]遺伝子染色体:1q21−1q22、Genbank受託番号NP_443170.1) WO2003077836、WO200138490(請求項6、
図18E−1〜18−E−2)、Davis et al.(2001) Proc.Natl.Acad.Sci USA 98(17):9772−9777、WO2003089624(請求項8)、EP1347046(請求項1)、WO2003089624(請求項7)。
【0157】
(35)IRTA2(免疫グロブリンスーパーファミリー受容体転座関連2、B細胞の成長及びリンパ腫形成に潜在的な役割を有する推定上の免疫受容体、転座による遺伝子の制御解除が一部のB細胞悪性腫瘍で生じる)、977aa、pI:6.88 分子量:106468 TM:1[P]遺伝子染色体:1q21、Genbank受託番号Human:AF343662、AF343663、AF343664、AF343665、AF369794、AF397453、AK090423、AK090475、AL834187、AY358085、Mouse:AK089756、AY158090、AY506558、NP_112571.1。WO2003024392(請求項2、
図97)、Nakayama et al.(2000) Biochem.Biophys.Res.Commun.277(1):124−127、WO2003077836、WO200138490(請求項3、
図18B−1〜18B−2)。
【0158】
(36)TENB2(TMEFF2、トモレグリン、TPEF、HPP1、TR、推定上の膜貫通プロテオグリカン、成長因子のEGF/ヘレグリンファミリー及びフォリスタチンに関連する)、374aa、NCBI受託番号:AAD55776、AAF91397、AAG49451、NCBI参照配列:NP_057276、NCBI遺伝子:23671、OMIM:605734、SwissProt Q9UIK5、Genbank受託番号AF179274、AY358907、CAF85723、CQ782436 WO2004074320(配列番号810)、JP2004113151(配列番号2、4、8)、WO2003042661(配列番号580)、WO2003009814(配列番号411)、EP1295944(69〜70頁)、WO200230268(329頁)、WO200190304(配列番号2706)、US2004249130、US2004022727、WO2004063355、US2004197325、US2003232350、US2004005563、US2003124579、Horie et al.(2000) Genomics 67:146−152、Uchida et al.(1999) Biochem.Biophys.Res.Commun.266:593−602、Liang et al.(2000) Cancer Res.60:4907−12、Glynne−Jones et al.(2001) Int J Cancer.Oct 15;94(2):178−84。
【0159】
(37)PMEL17(silver相同体、SILV、D12S53E、PMEL17、SI、SIL)、ME20、gp100) BC001414、BT007202、M32295、M77348、NM_006928、McGlinchey,R.P.et al.(2009) Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.106(33),13731−13736、Kummer,M.P.et al.(2009) J.Biol.Chem.284(4),2296−2306。
【0160】
(38)TMEFF1(EGF様ドメイン及び2つのフォリスタチン様ドメインを有する膜貫通タンパク質1、トモレグリン1)、H7365、C9orf2、C9ORF2、U19878;X83961、NM_080655、NM_003692、Harms,P.W.(2003) Genes Dev.17(21),2624−2629、Gery,S.et al.(2003) Oncogene 22(18):2723−2727。
【0161】
(39)GDNF−Ra1(GDNFファミリー受容体アルファ1、GFRA1、GDNFR、GDNFRA、RETL1、TRNR1、RET1L、GDNFR−アルファ1、GFR−ALPHA−1)、U95847、BC014962、NM_145793 NM_005264、Kim,M.H.et al.(2009) Mol.Cell.Biol.29(8),2264−2277、Treanor,J.J.et al.(1996) Nature 382(6586):80−83。
【0162】
(40) Ly6E(リンパ球抗原6複合体、遺伝子座E、Ly67、RIG−E、SCA−2、TSA−1)、NP_002337.1、NM_002346.2、de Nooij−van Dalen,A.G.et al.(2003) Int.J.Cancer 103(6),768−774、Zammit,D.J.et al.(2002) Mol.Cell.Biol.22(3):946−952。
【0163】
(41)TMEM46(shisa相同体2(Xenopus laevis)、SHISA2)、NP_001007539.1、NM_001007538.1、Furushima,K.et al.(2007) Dev.Biol.306(2),480−492、Clark,H.F.et al.(2003) Genome Res.13(10):2265−2270。
【0164】
(42)Ly6G6D(リンパ球抗原6複合体、遺伝子座G6D、Ly6−D、MEGT1)、NP_067079.2、NM_021246.2、Mallya,M.et al.(2002) Genomics 80(1):113−123、Ribas,G.et al.(1999) J.Immunol.163(1):278−287。
【0165】
(43)LGR5(ロイシンリッチ反復含有Gタンパク質結合型受容体5、GPR49、GPR67)、NP_003658.1、NM_003667.2、Salanti,G.et al.(2009) Am.J.Epidemiol.170(5):537−545、Yamamoto,Y.et al.(2003) Hepatology 37(3):528−533。
【0166】
(44)RET(ret癌原遺伝子、MEN2A、HSCR1、MEN2B、MTC1、PTC、CDHF12、Hs.168114、RET51、RET−ELE1)、NP_066124.1、NM_020975.4、Tsukamoto,H.et al.(2009) Cancer Sci.100(10):1895−1901、Narita,N.et al.(2009) Oncogene 28(34):3058−3068。
【0167】
(45)LY6K(リンパ球抗原6複合体、遺伝子座K、LY6K、HSJ001348、FLJ35226)、NP_059997.3、NM_017527.3、Ishikawa,N.et al.(2007) Cancer Res.67(24):11601−11611、de Nooij−van Dalen,A.G.et al.(2003) Int.J.Cancer 103(6):768−774。
【0168】
(46)GPR19(Gタンパク質結合型受容体19、Mm.4787)、NP_006134.1、NM_006143.2、Montpetit,A.and Sinnett,D.(1999) Hum.Genet.105(1−2):162−164、O’Dowd,B.F.et al.(1996) FEBS Lett.394(3):325−329。
【0169】
(47)GPR54(KISS1受容体、KISS1R、GPR54、HOT7T175、AXOR12)、NP_115940.2、NM_032551.4、Navenot,J.M.et al.(2009) Mol.Pharmacol.75(6):1300−1306、Hata,K.et al.(2009) Anticancer Res.29(2):617−623。
【0170】
(48)ASPHD1(アスパラギン酸ベータヒドロキシラーゼドメイン含有1、LOC253982)、NP_859069.2、NM_181718.3、Gerhard,D.S.et al.(2004) Genome Res.14(10B):2121−2127。
【0171】
(49)チロシナーゼ(TYR、OCAIA、OCA1A、チロシナーゼ、SHEP3)、NP_000363.1、NM_000372.4、Bishop,D.T.et al.(2009) Nat.Genet.41(8):920−925、Nan,H.et al.(2009) Int.J.Cancer 125(4):909−917。
【0172】
(50)TMEM118(ringフィンガータンパク質、膜貫通2、RNFT2、FLJ14627)、NP_001103373.1、NM_001109903.1、Clark,H.F.et al.(2003) Genome Res.13(10):2265−2270、Scherer,S.E.et al.(2006) Nature 440(7082):346−351。
【0173】
(51)GPR172A(Gタンパク質結合型受容体172A、GPCR41、FLJ11856、D15Ertd747e)、NP_078807.1、NM_024531.3、Ericsson,T.A.et al.(2003) Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.100(11):6759−6764、Takeda,S.et al.(2002) FEBS Lett.520(1−3):97−101。
【0174】
(52)CD33、シアル酸に結合する免疫グロブリン様レクチンファミリーのメンバーは、67kDaのグリコシル化膜貫通タンパク質である。CD33は、決定済みの(committed)髄単球性前駆体細胞及び赤血球前駆体細胞に加えて、ほとんどの骨髄性白血病細胞及び単球性白血病細胞に発現する。これは、最も初期の多能性幹細胞、成熟顆粒球、リンパ系細胞、または非造血系細胞には見られない(Sabbath et al.,(1985)J.Clin.Invest.75:756−56、Andrews et al.,(1986)Blood 68:1030−5)。CD33は、その細胞質尾部に2つのチロシン残基を含み、これらのそれぞれに、多くの阻害性受容体に見られる免疫受容体チロシン系阻害モチーフ(ITIM)に類似の疎水性残基が続いている。
【0175】
(53)CLL−1(CLEC12A、MICL、及びDCAL2)は、C型レクチン/C型レクチン様ドメイン(CTL/CTLD)スーパーファミリーのメンバーをコードする。このファミリーのメンバーは、共通のタンパク質折り畳みを共有し、細胞接着、細胞間シグナル伝達、糖タンパク質ターンオーバー、ならびに炎症及び免疫応答における役割等の多様な機能を有する。この遺伝子によってコードされるタンパク質は、顆粒球及び単球の機能の負の調節因子である。この遺伝子のいくつかの代替的なスプライス転写物変異体について説明されているが、これらの変異体のうちの一部については全長の性質がわかっていない。この遺伝子は、染色体12p13におけるナチュラルキラー遺伝子複合体領域内の他のCTL/CTLDスーパーファミリーメンバーと緊密に関連している(Drickamer K(1999) Curr.Opin.Struct.Biol.9(5):585−90、van Rhenen A,et al.,(2007) Blood 110(7):2659−66、Chen CH,et al.(2006) Blood 107(4):1459−67、Marshall AS,et al.(2006) Eur.J.Immunol.36(8):2159−69、Bakker AB,et al.(2005) Cancer Res.64(22):8443−50、Marshall AS,,et al.(2004) J.Biol.Chem.279(15):14792−802)。CLL−1は、単一のC型レクチン様ドメイン(カルシウムまたは糖のいずれにも結合することが予測されていない)、stalk領域、膜貫通ドメイン、及びITIMモチーフを含む短い細胞質尾部を含む、II型膜貫通受容体であることが示されている。
【0176】
抗体誘導体
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、当該技術分野で既知であり、かつ容易に入手可能な追加の非タンパク質性部分を含有するようにさらに修飾され得る。抗体の誘導体化に好適な部分には、水溶性ポリマーが含まれるが、これに限定されない。水溶性ポリマーの非限定的な例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのいずれか)、及びデキストランまたはポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロプロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性のため、製造において有利であり得る。ポリマーは、任意の分子量であり得、分岐状または非分岐状であり得る。抗体に結合したポリマーの数は異なり得、2つ以上のポリマーが結合している場合、それらは同じかまたは異なる分子であり得る。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数及び/または種類は、改善される抗体の特定の特性または機能、抗体誘導体が規定の条件下で治療に使用されるかどうか等を含むがこれらに限定されない検討事項に基づいて決定され得る。
【0177】
別の実施形態において、放射線への曝露によって選択的に加熱され得る抗体及び非タンパク質性部分のコンジュゲートが提供される。一実施形態において、非タンパク質性部分は、カーボンナノチューブ(Kam et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102:11600−11605(2005))である。放射線は、任意の波長のものであり得、通常の細胞を傷つけないが、抗体−非タンパク質性部分に近位の細胞が殺滅される温度まで非タンパク質性部分を加熱する波長を含むがこれらに限定されない。
【0178】
抗体は、例えば、米国特許第4816567号に記載されるように、組換え方法及び組成物を用いて産生され得る。かかる核酸は、抗体のVLを含むアミノ酸配列及び/または抗体のVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖及び/または重鎖)をコードし得る。さらなる実施形態において、かかる核酸を含む1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。さらなる実施形態において、かかる核酸を含む宿主細胞が提供される。そのような一実施形態において、宿主細胞は、(1)抗体のVLを含むアミノ酸配列及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、または(2)抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクター、及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクターを含む(例えば、それらで形質転換されている)。一実施形態において、宿主細胞は、真核生物のもの、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。
【0179】
抗体の組み換え産生については、例えば、本明細書に記載される抗体をコードする核酸が単離され、宿主細胞内でのさらなるクローニング及び/または発現のために、1つ以上のベクター中に挿入される。かかる核酸は、従来の手順を使用して(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することで)、容易に単離され、配列決定され得る。
【0180】
抗体をコードするベクターのクローン化または発現に好適な宿主細胞には、本明細書に記載される原核生物細胞または真核生物細胞が含まれる。例えば、抗体は、特に、グリコシル化及びFcエフェクター機能が必要とされない場合に、細菌中で産生され得る。細菌における抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5,648,237号、同第5,789,199号、及び同第5,840,523号を参照のこと。(E.coliにおける抗体断片の発現について説明している、Charlton,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ,2003),pp.245−254も参照のこと。)発現後、抗体は、可溶性画分中で細菌細胞ペーストから単離され得、さらに精製され得る。
【0181】
原核生物に加えて、糸状菌または酵母等の真核微生物は、抗体をコードするベクターに好適なクローニングまたは発現宿主であり、そのグリコシル化経路が「ヒト化」されており、部分的または完全なヒトグリコシル化パターンを有する抗体の産生をもたらす、真菌及び酵母株を含む。Gerngross,Nat.Biotech.22:1409−1414(2004)、及びLi et al.,Nat.Biotech.24:210−215(2006)を参照のこと。
【0182】
グリコシル化抗体の発現に好適な宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)からも得られる。無脊椎動物細胞の例としては、植物及び昆虫細胞が挙げられる。特にSpodoptera frugiperda細胞のトランスフェクションのために昆虫細胞と併せて使用され得る、多数のバキュロウイルス株が特定されている。
【0183】
植物細胞培養物も宿主として利用することができる。例えば、米国特許第5,959,177号、同第6,040,498号、同第6,420,548号、同第7,125,978号、及び同第6,417,429号(トランスジェニック植物において抗体を産生するためのPLANTIBODIES(商標)技術を記載)を参照のこと。
【0184】
脊椎動物細胞も宿主として使用することができる。例えば、懸濁液中で成長するように適合された哺乳動物細胞株が、有用であり得る。有用な哺乳類宿主細胞株の他の例は、SV40(COS−7)で形質転換されたサル腎臓CV1株、ヒト胚腎臓株(293または例えば、Graham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977)に記載されるような293細胞)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,Biol.Reprod.23:243−251(1980)に記載のTM4細胞)、サル腎臓細胞(CV1)、アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO−76)、ヒト子宮頸癌細胞(HELA)、イヌ腎臓細胞(MDCK、バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A)、ヒト肺細胞(W138)、ヒト肝臓細胞(Hep G2)、マウス乳腺腫瘍(MMT 060562)、例えば、Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44−68(1982)に記載されるようなTRI細胞、MRC 5細胞、及びFS4細胞である。他の有用な哺乳類宿主細胞株には、DHFR−CHO細胞(Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980)を含む、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ならびにY0、NS0、及びSp2/0等の骨髄腫細胞株が含まれる。抗体産生に好適なある特定の哺乳類宿主細胞株の概説については、例えば、Yazaki and Wu,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ),pp.255−268(2003)を参照のこと。
【0185】
抗体−薬物コンジュゲート
本発明は、1つ以上のカリケアマイシン誘導体化合物にコンジュゲートされた本明細書に抗体を有する、抗体−薬物コンジュゲートを提供する。より具体的には、本開示は、カリケアマイシン誘導体化合物が、リンカー、リンカー−スペーサー、リンカー−反応基等のより慣習的なアプローチよりむしろ、共有結合によって抗体に直接コンジュゲートされた抗体−薬物コンジュゲートを提供する。
【0186】
抗体−薬物コンジュゲートによって、腫瘍への薬物部分の送達を標的とすることが可能となり、いくつかの実施形態においては、コンジュゲートされていない薬物を全身投与することにより、正常な細胞にとって許容できないもレベルの毒性がもたされ得る場合に、その中の細胞内蓄積が可能となる(Polakis P.(2005) Current Opinion in Pharmacology 5:382−387)。
【0187】
抗体−薬物コンジュゲートは、強力な細胞傷害性薬物の標的を抗原発現腫瘍細胞にして(Teicher,B.A.(2009) Current Cancer Drug Targets 9:982−1004)、それによって、有効性を最大化してオフターゲット毒性を最小化することにより治療指数を増強することで、抗体及び細胞傷害性薬物の両方の特性を併せ持つ標的化学療法分子である(Carter,P.J.and Senter P.D.(2008) The Cancer Jour.14(3):154−169、Chari,R.V.(2008) Acc.Chem.Res.41:98−107。
【0188】
本発明の抗体−薬物コンジュゲート化合物は、抗癌活性を有するものが含まれる。いくつかの実施形態において、抗体−薬物コンジュゲート化合物は、カリケアマイシン薬物部分または誘導体に直接コンジュゲートされた抗体を含む(すなわち、抗体は、離脱基の喪失後、及びその間にそこに存在する連結基または部分を有さない、カリケアマイシン薬物部分または誘導体に直接的に連結するか、または結合する)。本発明の抗体−薬物コンジュゲートは、有効用量の薬物を腫瘍組織に選択的に送達し、それによって、治療指数(「治療濃度域」)を増加させながら、より高い選択性(すなわちより低い効果的用量)が、達成され得る。
【0189】
以下に示される、抗体−薬物コンジュゲート化合物の例示的な実施形態は、腫瘍細胞を標的とする抗体(Ab)、共有結合によってそこに直接連結されるカリケアマイシン薬物部分(D)を含む。
【化3】
かかる実施形態において、Rは、H、−C(O)R
1、−C(O)NR
1R
2、−S(O)
2R
1、及び−S(O)
2NR
2R
1から適当に選択される。R
1及びR
2は、独立して、水素、任意に置換されたC
1−6アルキル及びC
6−20アリールから選択され得る。いくつかの特定の態様において、Rは、−C(O)CH
3であり得る。pは、1Ab当量当たりカリケアマイシンの当量を指す。
【0190】
いくつかの態様において、Abは、本明細書の別の箇所に記載される、1つ以上の腫瘍関連抗原または細胞表面受容体に結合する抗体である。いくつかの他の態様において、Abは、BMPR1B、E16、STEAP1、MUC16、MPF、Napi2b、Sema 5b、PSCA hlg、ETBR、MSG783、STEAP2、TrpM4、CRIPTO、CD21、CD79b、FcRH2、HER2、NCA、MDP、IL20Rα、Brevican、EphB2R、ASLG659、PSCA、GEDA、BAFF−R、CD22、CD79a、CXCR5、HLA−DOB、P2X5、CD72、LY64、FcRH1、FcRH5、TENB2、PMEL17、TMEFF1、GDNF−Ra1、Ly6E、TMEM46、Ly6G6D、LGR5、RET、Ly6K、GPR19、GPR54、ASPHD1、チロシナーゼ、TMEM118、GPR172A、CD33、及びCLL−1から選択される。さらに他の態様において、Abは、システイン操作抗体である。好適なシステイン操作抗体は、LC K149C、HC A140、HC A118C、及びHC L177Cから選択された変異体である。さらに他の態様において、Abは、抗HER2 4D5、抗CD22、抗CD33、抗Ly6E、抗Napi3b、抗HER2 7C2、及び抗CLL−1から選択される。
【0191】
薬物負荷は、式Iの分子における1抗体当たりの薬物部分の数である、pによって表される。薬物負荷は、1抗体当たり1〜20個の薬物部分(D)の範囲であり得る。式Iの抗体−薬物コンジュゲートは、1〜20個の範囲の薬物部分にコンジュゲートされた抗体の集団を含む。いくつかの実施形態において、抗体にコンジュゲートされ得る薬物部分の数は、遊離システイン残基の数によって限定される。いくつかの実施形態において、遊離システイン残基は、本明細書に記載される方法によって抗体アミノ酸配列中に導入される。かかる態様において、pは、1、2、3、4、5、6、7、または8、及びこれらの範囲内、例えば、1〜8または2〜5であり得る。任意のかかる態様において、p及びnは、等しい(すなわち、p=n=1、2、3、4、5、6、7、もしくは8、またはそれらの間のいくつかの範囲)。式Iの例示的な抗体−薬物コンジュゲートには、1、2、3、または4つの操作されたシステインアミノ酸を有する抗体が含まれるが、これらに限定されない(Lyon,R.et al.(2012) Methods in Enzym.502:123−138)。いくつかの実施形態において、1つ以上の遊離システイン残基が、操作を使用することなく、抗体においてすでに存在しており、その場合、既存の遊離システイン残基を使用して、抗体を薬物に複合してもよい。いくつかの実施形態において、抗体は、1つ以上の遊離システイン残基を生成するために、抗体の複合前に還元条件に曝露される。コンジュゲーション反応から抗体−薬物コンジュゲートを調製する際の1抗体当たりの薬物部分の平均数(DAR)は、質量分析法、ELISAアッセイ、及びHPLC等の従来の手段によって特徴付けられてもよい。また、pの単位での抗体−薬物コンジュゲートの定量分布が決定されてもよい。いくつかの事例において、pがある特定の値である同種の抗体−薬物コンジュゲートを、他の薬物負荷を有する抗体−薬物コンジュゲートから分離し、精製し、かつ特徴付けることは、逆相HPLCまたは電気泳動等の手段によって達成されてもよい。
【0192】
いくつかの抗体−薬物コンジュゲートでは、pは、抗体上の結合部位の数によって限定され得る。例えば、本明細書に記載されるある特定の例示的な実施形態のように、結合がシステインチオールである場合、抗体は、1個のみもしくは限定された数のシステインチオール基を有し得るか、または、1個のみもしくは限定された数の反応性が十分なチオール基を有し得、それに、薬物が結合され得る。ある特定の実施形態において、薬物負荷がより高くなると、例えば、pが5超になると、ある特定の抗体−薬物コンジュゲートの凝集、不溶性、傷害性、または細胞透過性の喪失を引き起こし得る。ある特定の実施形態において、抗体−薬物コンジュゲートの平均薬物負荷は、1〜約8、約2〜約6、または約3〜約5の範囲内である。実際、ある特定の抗体−薬物コンジュゲートでは、1抗体当たりの薬物部分の最適な比率は、8未満であり得るか、また約2〜約5であり得ることが示されてきた(例えば、米国特許第7,498,298号を参照のこと)。
【0193】
ある特定の実施形態において、理論上の最大数よりも少ない薬物部分が、コンジュゲーション反応中に抗体にコンジュゲートされる。抗体は、例えば、本明細書に論じられるように、薬物と反応しないリジン残基を含有し得る。一般に、抗体は、薬物部分に連結し得る多くの遊離及び反応性システインチオール基を含有せず、実際、抗体におけるほとんどのシステインチオール残基は、ジスルフィド架橋として存在する。ある特定の実施形態において、抗体は、ジチオスレイトール(DTT)またはトリカルボニルエチルホスフィン(TCEP)等の還元剤により、部分または完全還元条件下で還元されて、反応性システインチオール基が生成され得る。ある特定の実施形態において、抗体は、リジンまたはシステイン等の反応性求核基を明らかにするために、変性条件に置かれる。
【0194】
抗体−薬物コンジュゲートの負荷(薬物/抗体比)は、異なる方式で、ならびに例えば、(i)抗体と比較してモル過剰の薬物を限定すること、(ii)コンジュゲーション反応時間または温度を限定すること、及び(iii)システインチオール修飾のための部分または限定的還元条件によって制御され得る。
【0195】
1個を超える求核基が薬物と反応する場合、結果として生じる生成物は、抗体に結合する1個以上の薬物部分が分布する抗体−薬物コンジュゲート化合物の混合物であることを理解されたい。1抗体当たりの薬物の平均数は、抗体及び薬物に特異的である二重ELISA抗体アッセイによって混合物から算出されてもよい。個々の抗体−薬物コンジュゲート分子は、質量分析法によって混合物中で特定され、HPLC、例えば、疎水性相互作用クロマトグラフィーによって、分離されてもよい(例えば、McDonagh et al.(2006) Prot.Engr.Design & Selection 19(7):299−307、Hamblett et al.(2004) Clin.Cancer Res.10:7063−7070、Hamblett,K.J.,et al.“Effect of drug loading on the pharmacology,pharmacokinetics,and toxicity of an anti−CD30 antibody−drug conjugate,” Abstract No.624,American Association for Cancer Research,2004 Annual Meeting,March 27−31,2004,Proceedings of the AACR,Volume 45,March 2004、Alley,S.C.,et al.“Controlling the location of drug attachment in antibody−drug conjugates,” Abstract No.627,American Association for Cancer Research,2004 Annual Meeting,March 27−31,2004,Proceedings of the AACR,Volume 45,March 2004を参照のこと)。ある特定の実施形態において、単一の負荷値を有する同種の抗体−薬物コンジュゲートが、電気泳動またはクロマトグラフィーによってコンジュゲーション混合物から単離されてもよい。
【0196】
本開示のいくつかの他の態様において、チオピリジル離脱基またはベンズイミダゾール離脱基を含むカリケアマイシン誘導体組成物が、提供される。かかる組成物は、「活性化されたカリケアマイシン」と称される。次いで、活性化されたカリケアマイシンは、本明細書の別の箇所に記載される抗体とコンジュゲートされ得る。例示的なカリケアマイシン誘導体離脱基組成物を、式I及びIIとして以下に示す。
【化4】
かかる態様において、Rは、H、−C(O)R
1、−C(O)NR
1R
2、−S(O)
2R
1、及び−S(O)
2NR
2R
1から選択され、R
1及びR
2は、独立して、C
1−C
6アルキル及びC
6−C
20アリールから選択され、R
3は、NO
2、Cl、F、CN、CO
2H、及びBrから選択され、qは、0、1、または2である。
【0197】
例示的な実施形態において、Rは、−C(O)CH
3である。
【0198】
例示的な実施形態において、R
3はNO
2であり、qは1である。
【0199】
ある例示的な実施形態において、薬物中間体は、式Ia、
【化5】
を有する。
【0200】
別の例示的な実施形態において、薬物中間体は、式IIa、
【化6】
を有する。
【0201】
活性化されたカリケアマイシンの形成は、以下のスキームによって表され、式中、Xは、本明細書の別の箇所に定義される離脱基である。
【化7】
この反応において、カリケアマイシンのメチルトリスルフィド部分を、離脱基チオール部分と反応させて、ジスルフィドを形成し、式中、S
cは、カリケアマイシン硫黄原子を指し、S
xは、離脱基硫黄原子を指す。この反応の例は、例えば、米国特許第5,053,394号、同第5,712,374号、同第5,714,586号、同第5,739,116号、及び同第5,767,285号において得られる。反応混合物を形成するために好適な溶媒の非限定的な例には、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、及びジクロロメタン等の極性非プロトン性溶媒が含まれる。反応混合物中のカリケアマイシン濃度は、限界は狭くなく、好ましくは、約0.0005、約0.001、約0.005、または約0.01mmol/mLのように、約0.0005〜約0.01mmol/mLまで様々であり得る。離脱基は、約1.1:1モル/モル、約1.5:1モル/モル、約2:1モル/モル、約2.5:1モル/モル、または約3:1モル/モルのように、化学量論的に過剰に存在する。反応濃度は、好ましくは、約−30℃、約−20℃、約−10℃、約0℃、または約10℃、及び約−30℃〜約10℃、約−30℃〜約0℃、または約−30℃〜約−10℃等のこれらの範囲内である。完了するまでの反応時間は、好ましくは、約4時間〜約4日、例えば、約8時間〜約36時間または約18時間〜約36時間まで様々であり得る。
【0202】
本開示のいくつかの態様において、活性化されたカリケアマイシンは、精製され、固体として単離され得る。精製及び単離方法は、当技術分野で既知であり、これには、沈殿、結晶化、濾過、遠心分離、限外濾過及び様々なクロマトグラフ法が含まれる。クロマトグラフィーは、例えば、逆位相及び順相、寸法排除、イオン交換、高、中、及び低圧液体クロマトグラフィー方法及び装置、小規模分析、擬似移動床(SMB)及び分取薄層または厚層クロマトグラフィー、ならびに小規模薄層及びフラッシュクロマトグラフィーの技術を含む、任意の数の方法を含むことができる。いくつかのかかる態様において、完成した反応混合物は、乾燥するまで蒸発させ、続いて、極性非プロトン性溶媒中で再溶解され得る。この溶液は、濾過され、次いで、例えば、ヘキサンまたはシクロヘキサン等の無極性貧溶媒と、溶液を混合することによって沈殿し得る。次いで、沈殿物を、濾過によって収集し、任意に、洗浄し、次いで、乾燥させ得る。
【0203】
カリケアマイシン−抗体コンジュゲートの形成は、以下のスキームによって表される。
【化8】
このスキームにおいて、pは、活性化されたカリケアマイシン等価物の数を指し、S
cは、カリケアマイシン硫黄原子であり、Xは、本明細書の別の箇所に定義される離脱基であり、S
xは、離脱基硫黄原子であり、Abは、本明細書の別の箇所に記載される抗体であり、S
aHは、本明細書の別の箇所に記載されるコンジュゲーションに好適なAb遊離スルフヒドリル部分であり、nは、1Ab等価物当たりのAb遊離スルフヒドリル部分の等価物の数である。各p及びnは、本明細書の別の箇所に定義される。いくつかの態様において、Ab−(S
aH)
nは、本明細書の別の箇所に記載されるシステイン操作抗体であり得る、及び/またはコンジュゲーション反応における反応性のための還元剤で処理され得る。Abは、抗体の安定性または抗原結合特異性に悪影響を及ぼさないであろう当該技術分野で既知である生理学的緩衝液系に溶解する。いくつかの態様において、リン酸緩衝生理食塩水が使用される。活性化されたカリケアマイシンは、本明細書の別の箇所に記載される少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒を含む溶媒系に溶解される。いくつかのかかる態様において、活性化されたカリケアマイシンは、トリス緩衝液pH8(例えば、50mM Tris)に、約5mM、10mM、約20mM、約30mM、約40mM、または約50mM、及びこれらの範囲内、例えば、約50mM〜約50mMまたは約10mM〜約30mMの濃度まで溶解される。いくつかの態様において、活性化されたカリケアマイシンは、DMSOもしくはアセトニトリル、またはDMSOに溶解される。コンジュゲーション反応において、活性化されたカリケアマイシン溶液の過度の等価物は、希釈され、冷却された抗体溶液(例えば、約1℃〜約10℃)で混合される。活性化されたカリケアマイシン溶液は、好ましくは、少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒及び少なくとも1つの極性プロトン性溶媒で希釈され得、これらの例には、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、及び酢酸が含まれる。いくつかの特定の態様において、活性化されたカリケアマイシンは、DMSOに溶解され、抗体溶液との混合前に、アセトニトリル及び水で希釈される。カリケアマイシンの抗体に対する等価物は、好ましくは、約1.5:1、約3:1、約5:1、約10:1、約15:1または約20:1、及びこれらの範囲内、例えば、約1.5:1〜約20:1 約1.5:1〜約15:1、約1.5:1〜約10:1、約3:1〜約15:1、約3:1〜約10:1、約5:1〜約15:1、または約5:1〜約10:1であり得る。反応は、好ましくは、LC−MS(本明細書の別の箇所に記載される)等の当該技術分野で既知の方法によって完了についてモニタリングされ得、反応は、典型的には、約1時間〜約24時間で完了する。反応が完了した後、試薬を反応混合物に添加して、反応物を反応停止処理し、未反応の抗体チオール基を封止する。好適な試薬の例は、マレイミドである。
【0204】
コンジュゲーション後に、抗体−カリケアマイシンコンジュゲートは、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、クロマト分画、限外濾過、遠心限外濾過、及びこれらの組み合わせ等であるが、これらに限定されない、当該技術分野で既知の精製方法によって、精製され、コンジュゲートされていない反応物質及び/またはコンジュゲート凝集体から分離され得る。例えば、精製は、20mMのコハク酸ナトリウムpH5中で抗体−カリケアマイシンコンジュゲートを希釈することによって開始され得る。希釈した溶液を、陽イオン交換カラムに適用し、続いて、例えば、20mMのコハク酸ナトリウムpH5の少なくとも10カラム体積で洗浄する。コンジュゲートは、PBSで好適に溶出され得る。
【0205】
薬学的製剤
本発明の治療用抗体−薬物コンジュゲートの薬学的製剤は、典型的には、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で、所望される程度の純度を有し、1つ以上の任意の薬学的に許容される担体、賦形剤、及び/またはビヒクルを有する単位投薬量の注射可能な形態で、非経口投与、すなわち、ボーラス、静脈内、腫瘍内注射のために調製される(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))。薬学的に許容される担体は一般的に、用いられる投薬量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸等の緩衝剤、アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化物質、防腐剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチル、もしくはベンジルアルコール、メチルもしくはプロピルパラベン等のアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3−ペンタノール、及びm−クレゾール等)、低分子量(約10残基未満)のポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン等のタンパク質、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジン等のアミノ酸、単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む他の炭水化物、EDTA等のキレート剤、スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトール等の糖類、ナトリウム等の塩形成対イオン、金属複合体(例えば、Zn−タンパク質複合体)、ならびに/またはポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含むが、これらに限定されない。本明細書における例示的な薬学的に許容される担体は、可溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば、rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)等のヒト可溶性PH−20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質等の介在性薬物分散剤をさらに含む。rHuPH20を含む、ある特定の例示的なsHASEGP及び使用方法は、米国特許公開第2005/0260186号及び同第2006/0104968号に記載されている。一態様において、sHASEGPは、コンドロイチナーゼ等の1つ以上のさらなるグリコサミノグリカナーゼと組み合わせられる。
【0206】
例示的な凍結乾燥抗体または免疫コンジュゲート製剤は、米国特許第6,267,958号に記載されている。水性抗体または免疫コンジュゲート製剤には、米国特許第6,171,586号及びWO2006/044908に記載されるものが含まれ、後者の製剤はヒスチジン−酢酸緩衝液が含まれる。
【0207】
本明細書における製剤はまた、必要に応じて、治療されている特定の適応症に対する1つを超える活性成分、好ましくは相互に悪影響を及ぼさない相補的活性を有する成分を含有してもよい。
【0208】
活性成分は、例えば、コアセルベーション技法もしくは界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチンマイクロカプセル及びポリ−(メチルメタシレート(methylmethacylate))マイクロカプセル中、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、及びナノカプセル)中、またはマイクロエマルジョン中に封入され得る。かかる技法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)において開示されている。
【0209】
徐放性調製物が調製され得る。徐放性製剤の好適な例としては、抗体または免疫コンジュゲートを含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスが挙げられ、そのマトリクスは、造形品、例えば、フィルム、またはマイクロカプセルの形態である。
【0210】
インビボ投与に使用される製剤は、一般に、滅菌のものである。滅菌性は、例えば、滅菌濾過膜を介した濾過によって容易に達成され得る。
【0211】
治療の抗体−薬物コンジュゲート方法
本発明の抗体−薬物コンジュゲートは、様々な疾患または障害、例えば、腫瘍抗原の過剰発現を特徴とするものを治療するために用いることができる。例示的な病態また過剰増殖性障害には、良性または悪性の固形腫瘍、ならびに白血病及びリンパ系悪性疾患等の血液学的疾患が含まれる。その他のものとしては、神経性、神経膠性、星状性、視床下部性、腺性、マクロファージ性、上皮性、間質性、胚盤胞性、炎症性、血管形成性、及び自己免疫性を含む免疫性の障害が挙げられる。
【0212】
一態様において、本明細書に提供される抗体−薬物コンジュゲートは、癌細胞の増殖を阻害する方法において使用され、本方法は、抗体または抗体−薬物コンジュゲートが細胞の表面上の腫瘍関連抗原に結合することを許容する条件下で、細胞を抗体−薬物コンジュゲートに曝露し、それによって細胞の増殖を阻害することを含む。ある特定の実施形態において、本方法は、インビトロ方法またはインビボ方法である。さらなる実施形態において、細胞は、リンパ球、リンパ芽球、単球、または骨髄単球細胞である。
【0213】
インビトロでの細胞増殖の阻害は、Promega(Madison、WI)から市販されている、CellTiter−Glo(商標)Luminescent Cell Viabilityアッセイを使用してアッセイされてもよい。そのアッセイは、代謝的に活性な細胞を示す、存在するATPの定量に基づいて、培養物中の生存細胞の数を決定する。Crouch et al.(1993) J.Immunol.Meth.160:81−88、米国特許第6602677号を参照のこと。アッセイは、自動化高処理スクリーニング(HTS)に適した96ウェルまたは384ウェル形式で行われてもよい。Cree et al.(1995) AntiCancer Drugs 6:398−404を参照のこと。アッセイ手順は、単一の試薬(CellTiter−Glo(登録商標)試薬)を培養細胞に直接添加することを伴う。これにより、細胞溶解及びルシフェラーゼ反応によって生み出される発光シグナルの生成がもたらされる。発光シグナルは、培養物中に存在する生存細胞の数に直接比例する、存在するATPの量に比例する。データは、ルミノメーターまたはCCDカメラ画像化デバイスによって記録することができる。発光出力は、相対発光量(RLU)として表される。
【0214】
別の態様において、医薬品として使用するための抗体−薬物コンジュゲートが提供される。さらなる態様において、治療方法において使用するための抗体−薬物コンジュゲートが提供される。ある特定の実施形態において、癌を治療することにおいて使用するための抗体−薬物コンジュゲートが提供される。ある特定の実施形態において、本発明は、個人に、有効量の抗体−薬物コンジュゲートを投与することを含む、個体を治療する方法において使用するための抗体−薬物コンジュゲートを提供する。1つのかかる実施形態において、本方法は、例えば、本明細書に記載される、有効量の少なくとも1つの追加の治療剤を個体に投与することをさらに含む。
【0215】
さらなる態様において、本発明は、医薬品の製造または調製における抗体−薬物コンジュゲートの使用を提供する。一実施形態において、医薬品は、CLL−1陽性癌の治療のためのものである。さらなる実施形態において、医薬品は、CLL−1陽性癌の治療方法において使用するためのものであり、本方法は、CLL−1陽性癌を有する個体に有効量の医薬品を投与することを含む。1つのかかる実施形態において、本方法は、例えば、本明細書に記載される、有効量の少なくとも1つの追加の治療剤を個体に投与することをさらに含む。
【0216】
さらなる態様において、本発明は、癌を治療するための方法を提供する。一実施形態において、本方法は、腫瘍関連発現抗原の検出を特徴とする、かかる癌を有する個体に、本発明の有効量の抗体−薬物コンジュゲートを投与することを含む。1つのかかる実施形態において、本方法は、本明細書に記載される、有効量の少なくとも1つの追加の治療剤を個体に投与することをさらに含む。
【0217】
本発明の抗体−薬物コンジュゲートは、治療において単独で、または他の薬剤と組み合わせて使用することができる。例えば、本発明の抗体または免疫コンジュゲートは、少なくとも1つの追加の治療剤と同時投与されてもよい。いくつかの実施形態において、追加の治療剤は、アントラサイクリンである。いくつかの実施形態において、アントラサイクリンは、ダウノルビシンまたはイダルビシンである。いくつかの実施形態において、追加の治療剤は、シタラビンである。いくつかの実施形態において、追加の治療剤は、クラドリビンである。いくつかの実施形態において、追加の治療剤は、フルダラビンまたはトポテカンである。いくつかの実施形態において、追加の治療剤は、5−アザシチジンまたはデシタビンである。
【0218】
本明細書に記述されるかかる併用療法は、併用投与(2つ以上の治療剤が同じまたは別個の製剤中に含まれる)、及び個別投与を包含するが、この場合、本発明の抗体または免疫コンジュゲートの投与は、追加の治療剤及び/またはアジュバントの投与の前に、それと同時に、かつ/またはその後に行われ得る。本発明の抗体または免疫コンジュゲートはまた、放射線療法と組み合わせて使用することもできる。
【0219】
本発明の抗体または免疫コンジュゲート(及び任意の追加の治療剤)は、非経口投与、肺内投与、及び鼻腔内投与、ならびに局所治療で所望される場合、病変内投与を含む、任意の好適な手段によって投与することができる。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与が含まれる。投薬は、投与が短時間であるか、または慢性的であるかに部分的に応じて、例えば、静脈注射または皮下注射等の注射によって任意の好適な経路で行われ得る。単回投与または様々な時点にわたる複数回投与、ボーラス投与、及びパルス注入を含むがこれらに限定されない様々な投薬スケジュールが本明細書で企図される。
【0220】
本発明の抗体または免疫コンジュゲートは、良好な医療行為と一致した様式で、製剤化され、投薬され、かつ投与されることになる。これに関連して考慮する要因には、治療されている特定の障害、治療されている特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与のスケジューリング、及び医師に既知である他の要因を含む。必然的にではなく任意に、抗体または免疫コンジュゲートは、問題の障害を予防または治療するために現在使用される1つ以上の薬剤と共に製剤化される。かかる他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する抗体または免疫コンジュゲートの量、障害または治療の種類、及び本明細書に論じられる他の要因に応じて異なる。これらは一般に、本明細書に記載されるものと同じ投薬量及び投与経路で使用されるか、または本明細書に記載される投薬量の約1〜99%、または経験的/臨床的に適切と判断される任意の投薬量及び任意の経路で使用される。
【0221】
疾患の予防または治療のために、本発明の抗体または免疫コンジュゲートの適切な投薬量は(単独でまたは1つ以上の他の追加の治療剤と組み合わせて使用されるとき)、治療対象の疾患の種類、抗体または免疫コンジュゲートの種類、疾患の重症度及び経過、抗体または免疫コンジュゲートが予防目的または治療目的で投与されるかどうか、以前の治療法、患者の病歴、抗体または免疫コンジュゲートへの反応、ならびに主治医の裁量によって決定されることになる。抗体または免疫コンジュゲートは、患者に、1回で、または一連の治療にわたって、好適に投与される。疾患の種類及び重症度に応じて、例えば、1回以上の別個の投与によるものであれ、連続注入によるものであれ、約1μg/kg〜15mg/kg(例えば、0.1mg/kg〜10mg/kg)の抗体または免疫コンジュゲートが、患者への投与のための初期候補投薬量であり得る。1つの典型的な1日投薬量は、本明細書に言及される要因に応じて、約1μg/kg〜100mg/kgまたはそれ以上の範囲に及び得る。病態に応じて数日間またはそれ以上にわたる反復投与では、治療は一般に、疾患症状の所望の抑制が生じるまで持続されるだろう。抗体または免疫コンジュゲートの1つの例示的な投薬量は、約0.05mg/kg〜約10mg/kgの範囲内となり得る。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、または10mg/kg(またはそれらの任意の組み合わせ)のうちの1つ以上の用量が患者に投与され得る。かかる用量は、断続的に、例えば毎週または3週間毎(例えば、患者が約2〜約20回、または例えば約6回の用量の抗体を受容するように)投与されてもよい。より高い初回負荷量、続いて1回以上のより低い用量が、投与されてもよい。しかしながら、他の投薬量レジメンも有用であり得る。この療法の進行は、従来の技法及びアッセイによって容易に監視される。
【0222】
標的細胞中の抗体−カリケアマイシンコンジュゲートからの細胞内放出は、グルタチオンによるジスルフィド結合の還元開裂をもたらすと考えられている。グルタチオン媒介性の放出は、酸に不安定なヒドラジンリンカー等の当該技術分野で既知のある特定のリンカーと比較して、利点をもたらす。より具体的には、グルタチオンの血中濃度は、マイクロモル範囲内のように非常に低いことが知られているが、一方、細胞内のグルタチオン濃度は、典型的には、ミリモル範囲内のように、最大3桁分大きい。さらに、癌細胞中のグルタチオン濃度は、還元酵素の活性の増加によりさらに大きいと考えられている。したがって、本開示のカリケアマイシン−抗体コンジュゲートが、血流の改善された安定性及び改善された細胞内放出を提供すると考えられている。
【0223】
製品
本発明の別の態様において、本明細書に記載される障害の治療、予防、及び/または診断に有用な材料を含有する製造品が提供される。製品は、容器と、容器上または容器に関連するラベルもしくは添付文書とを含む。好適な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、IV溶液バッグ等が含まれる。容器は、ガラスまたはプラスチック等の多様な材料から形成され得る。容器は、それ自体で、または別の組成物と組み合わせて障害の治療、予防、及び/または診断に有効である組成物を保有し、無菌アクセスポート(例えば、容器は、静脈注射用溶液バッグまたは皮下注射針によって貫通可能な栓を有するバイアルであってもよい)を有してもよい。組成物中の少なくとも1つの活性な薬剤は、本発明の抗体または免疫コンジュゲートである。ラベルまたは添付文書は、組成物が、選定した病態を治療するために使用されることを示す。さらに、製品は、(a)組成物がその中に含有された第1の容器(この組成物は本発明の抗体または免疫コンジュゲートを含む)、及び(b)組成物がその中に含有された第2の容器(この組成物はさらなる細胞傷害性薬剤または治療剤を含む)を含んでもよい。本発明のこの実施形態における製品は、組成物が、特定の状態を治療するために使用され得ることを示す添付文書をさらに含み得る。代替的に、または追加的に、製品は、注入用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンガー溶液、またはデキストロース溶液等の薬学的に許容される緩衝液を含む第2の(または第3の)容器をさらに含んでもよい。それは、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む、商業的観点及びユーザの観点から望ましい他の材料をさらに含んでもよい。
【実施例】
【0224】
以下は、本発明の方法及び組成物の実施例である。本明細書に提供される概要を得ると、様々な他の実施形態が実施され得ることが理解されよう。
【0225】
実施例1−システイン操作抗体の調製
抗体を大量に産生する場合、抗体は、CHO細胞内で産生された。VL及びVHをコードするベクターを、CHO細胞中にトランスフェクトし、IgGを、プロテインA親和性クロマトグラフィーによって細胞培養培地から精製した。
【0226】
最初に単離されるため、抗体中の操作されたシステイン残基は、細胞チオール(例えば、グルタチオン)との混合ジスルフィドとして存在し、そのため複合には使用不可能である。これらの抗体の部分還元(例えば、DTTによる)、精製、及びデヒドロアスコルビン酸(DHAA)での再酸化により、例えば、Junutula et al.(2008) Nat.Biotechnol.26:925−932及び米国特許公開第2011/0301334号でこれまでに説明されたように、コンジュゲーションに使用可能な遊離システインスルフィドリル基を有する抗体がもたらされる。簡潔に述べると、抗体を活性化されたカリケアマイシン薬物部分と組み合わせて、抗体の遊離システイン残基にコンジュゲートすることを可能にした。数時間後、抗体−薬物コンジュゲートを精製した。
【0227】
ある特定の条件下において、システイン操作抗体は、2mMのEDTAを含む50mMのトリスpH7.5中で、37℃で3時間、または室温で一晩、DTT(クリーランド試薬、ジチオスレイトール)またはTCEP(トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩、Getz et al.(1999) Anal.Biochem.Vol 273:73−80、Soltec Ventures,Beverly,MA)等の還元剤での処理によって、薬物によるコンジュゲーションに対して反応性になった。CHO細胞で発現した完全長のシステイン操作されたモノクローナル抗体(THIOMAB(商標))(Gomez et al.(2010) Biotechnology and Bioeng.105(4):748−760、Gomez et al.(2010) Biotechnol.Prog.26:1438−1445)を、例えば、新たに導入したシステイン残基と培養培地に存在するシステインとの間に形成され得るジスルフィド結合を還元するように、室温で一晩、約50倍過剰のDTTにより還元した。還元したTHIOMAB(商標)を希釈し、10mMの酢酸ナトリウム、pH5中でHiTrap Sカラムに載せ、0.3Mの塩化ナトリウムを含有するPBSで溶出した。あるいは、1/20体積の10%酢酸を加えることにより抗体を酸性にし、10mMのコハク酸塩pH5で希釈し、カラムに載せ、次いで、10カラム体積のコハク酸塩緩衝液で洗浄した。カラムは、50mMのトリスpH7.5、2mMのEDTAで溶出した。
【0228】
軽鎖アミノ酸は、Kabatに従って番号付けされる(Kabat et al.,Sequences of proteins of immunological interest,(1991) 5th Ed.,US Dept of Health and Human Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD)。重鎖アミノ酸は、EU番号付けシステムに従って番号付けされる(Edelman et al.(1969) Proc.Natl.Acad.of Sci.63(1):78−85)が、Kabatシステムとして記述される場合を除く。一文字アミノ酸略号が使用されている。
【0229】
CHO細胞に発現される完全長システイン操作されたモノクローナル抗体(THIOMAB(商標))は、システイン付加物(シスチン)を有するか、または細胞培養条件に起因して、操作されたシステイン上でグルタチオン付加される。操作されたシステインの反応性のチオール基を遊離させるために、THIOMAB(商標)を、約pH8.0の500mMのホウ酸ナトリウム及び500mMの塩化ナトリウムに溶解し、約50〜100倍過剰量の1mMのTCEP(トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(Getz et al.(1999) Anal.Biochem.Vol 273:73−80、Soltec Ventures,Beverly,MA)で、37℃において約1〜2時間還元した。あるいは、DTTを還元剤として使用した。鎖間のジスルフィド結合の形成を、非還元SDS−PAGEまたは変性逆相HPLC PLRPカラムクロマトグラフィーのいずれかによってモニターした。還元されたTHIOMAB(商標)を希釈し、HiTrap SP FFカラムにおいて10mMの酢酸ナトリウム(pH5)中に充填し、0.3Mの塩化ナトリウムを含有するPBS、または150mMの塩化ナトリウムを含有する50mMのトリス−Cl(pH7.5)で溶出した。
【0230】
再酸化を行うことによって、ジスルフィド結合が、親Mabに存在するシステイン残基間に再構築された。溶出された還元THIOMAB(商標)を、15×または2mMのデヒドロアスコルビン酸(dhAA)(pH7)で約3時間または50mMのトリス−Cl(pH7.5)中で約3時間、あるいは200nM〜2mMの硫酸銅(CuSO
4)水溶液により室温で一晩処理した。当該技術分野で既知の他の酸化体、すなわち、酸化剤、及び酸化条件を使用してもよい。周囲空気酸化も効果的であり得る。この軽度の部分的酸化ステップにより、高い忠実性で鎖内ジスルフィドが効率的に形成された。緩衝液を、Sephadex G25樹脂での溶出により交換し、1mMのDTPAを含むPBSで溶出した。チオール/抗体の値を、溶液の280nmにおける吸光度からの還元抗体濃度と、DTNB(Aldrich、Milwaukee、WI)との反応によるチオール濃度を決定することにより、及び412nmにおける吸光度の決定によりチェックした。
【0231】
液体クロマトグラフィー/質量分析による分析を、拡大質量範囲を用いるTSQ Quantum Triple quadrupole(商標)質量分析計(Thermo Electron,San Jose California)で実施した。75℃に加熱したPRLP−S(登録商標)、1000A、ミクロボアカラム(50mm×2.1mm、Polymer Laboratories,Shropshire,UKで試料をクロマトグラフィーに供した。30〜40%のBの直線勾配(溶媒A:水中の0.05%のTFA、溶媒B:アセトニトリル中の0.04%のTFA)を使用し、溶離液をエレクトロスプレー源を用いて直接イオン化させた。データを、Xcalibur(登録商標)データシステムにより収集し、ProMass(登録商標)(Novatia,LLC,New Jersey)を用いて逆重畳積分を実施した。LC/MS分析前に、抗体または薬物コンジュゲート(50マイクログラム)を、PNGase F(2単位/ml;PROzyme,San Leandro,CA)で37℃で2時間処理し、N結合型炭水化物を除去した。
【0232】
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)試料を、ブチルHIC NPRカラム(2.5ミクロン粒子サイズ、4.6mm×3.5cm)(Tosoh Bioscience)上に注入し、0.8ml/分で0〜70%の直線勾配で溶出した(A:50mMのリン酸アンモニウム(pH7)中の1.5Mの硫酸アンモニウム、B:50mMのリン酸カリウム(pH7)、20% イソプロパノール)。多波長検出器を備えたAgilent 1100シリーズのHPLCシステム及びChemstationソフトウェアを使用して、1抗体当たりの薬物を異なる割合で有する抗体種を分解及び定量化した。
【0233】
実施例2−カリケアマイシンの抗体へのコンジュゲーション
実施例1の還元及び再酸化の手順後に、システイン操作抗体(THIOMAB(商標))を、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)緩衝液に溶解し、氷上で冷却する。過剰な、約1.5モル〜20当量の、チオール−反応性ピリジルジスルフィド基で活性化したカリケアマイシンを、DMSOに溶解し、アセトニトリル及び水で希釈し、PBS中の冷却還元された再酸化抗体に加える。典型的には、50mMのトリス(pH8)中の約20mMの濃度にてDMSOストックからの薬物を、抗体に添加し、反応混合物のLC−MS分析により決定される、反応が約1〜約24時間完了するまでモニタリングした。反応が完了したとき、過剰なマレイミドを添加して、反応物を反応停止処理し、未反応の抗体チオール基を封止する。コンジュゲーション混合物を充填し、HiTrap SP FFカラムを通して溶出して、過剰な薬物及び他の不純物を除去した。反応混合物を、遠心分離による限外濾過により濃縮し、システイン操作抗体−薬物コンジュゲートを精製し、PBS中のG25樹脂による溶出により脱塩し、滅菌条件下で0.2μmのフィルターを通して濾過し、貯蔵のために凍結する。
【0234】
例えば、粗抗体−薬物コンジュゲートを、20mMのコハク酸ナトリウム(pH5)で希釈した後にカチオン交換カラムに適用する。カラムを少なくとも10カラム体積の20mM コハク酸ナトリウム、pH5で洗浄し、抗体をPBSで溶出した。抗体−薬物コンジュゲートを、ゲル濾過カラムを用いて、20mM His/酢酸塩(pH5)に、240mMのスクロースと共に製剤化した。抗体−薬物コンジュゲートは、タンパク質濃度を決定するためのUV分光法、凝集分析のための分析SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)、及びLC−MSにより、リジンCエンドペプチダーゼでの処理の前後に特徴付けた。
【0235】
サイズ排除クロマトグラフィーは、0.25mM 塩化カリウム及び15% IPAを含む0.2M リン酸カリウム(pH6.2)中、0.75ml/分の流速でShodex KW802.5カラムを用いて行った。コンジュゲートの凝集状態は、280nmでの溶出ピーク面積吸光度の積分により決定した。
【0236】
LC−MS分析は、Agilent QTOF 6520 ESI装置を用いて行ってもよい。例として、抗体−薬物コンジュゲートを、トリス(pH7.5)中の1:500 w/w エンドペプチダーゼLys C(Promega)で、37℃で30分間処理する。結果として得られる切断断片を、80℃に加熱した1000Å(オングストローム)、8μm(ミクロン) PLRP−S(高度に架橋されたポリスチレン)カラム上に充填し、5分間で30% B〜40% Bまでの勾配を用いて溶出する。移動相Aは、0.05% TFAを含むH
2Oであり、移動相Bは、0.04% TFAを含むアセトニトリルであった。流量は、0.5ml/分であった。タンパク質溶出は、280nmでのUV吸光度検出により、エレクトロスプレーイオン化及びMS分析の前にモニタリングした。コンジュゲートされていないFc断片、残存コンジュゲートされていないFab、及び薬物化されたFabのクロマトグラフィー分解が、通常、達成された。得られたm/zスペクトルを、Mass Hunter(商標)ソフトウェア(Agilent Technologies)を用いてデコンボリューションして、抗体断片の質量を算出した。
【0237】
実施例3−インビトロでの細胞増殖アッセイ
抗体−薬物コンジュゲートのチオHu抗CD22 10F4v3 LC K149Cカリケアマイシン及びチオHu抗Ly6E 9B12.v12 LC K149Cカリケアマイシンの有効性は、以下のプロトコルを用いて細胞増殖アッセイによって測定した(CELLTITER GLO(商標)Luminescent Cell Viability Assay,Promega Corp.Technical Bulletin TB288、Mendoza et al.(2002) Cancer Res.62:5485−5488):
1.培地中の約10
4個の細胞(CD22陽性BJAB、CD22陽性WSU−DLCL2、またはJurkat)を含有する100μlの細胞培養物のアリコートを、96ウェルの不透明ウェルプレートの各ウェルに入れた。
2.培地を含有するが細胞を含まない対照ウェルを調製した。
3.抗体−薬物コンジュゲートを実験ウェルに添加し、3〜5日間インキュベートした。
4.プレートは、およそ30分間室温で平衡化した。
5.各ウェルに存在する細胞培養培地の量と等しい量のCELLTITER GLO(商標)試薬を添加した。
6.オービタルシェーカーで内容物を2分間混合して、細胞溶解を誘導した。
7.プレートを室温で10分間インキュベートして、発光シグナルを安定させた。
8.発光は、RLU=相対発光単位としてグラフで記録し、報告した。
【0238】
データは、各繰り返しセットの発光の平均として、標準偏差誤差範囲を伴ってプロット表示し、
図3A〜3Cに示した。プロトコルは、CELLTITER GLO(商標)発光細胞を修正したものである。
【0239】
実施例4−HER2を高く発現するトランスジェニック外植マウスにおける腫瘍成長阻害のインビボ効果
腫瘍を構築し、0日目に単一治療前に、(カリパスを使用して測定したように)体積で150〜200mm
3まで成長させた。腫瘍体積を、式:V(mm
3)=0.5A×B
2(式中、A及びBは、それぞれ、腫瘍の短径及び長径である)に従って、カリパスを使用して測定した。腫瘍体積が3000mm
3に到達する前、または腫瘍が間近に迫った潰瘍形成の徴候を示したときに、マウスを殺処分した。各実験群(1群当たり10匹のマウス)から収集したデータを、平均±標準誤差として表した。
【0240】
Fo5マウス乳腺腫瘍モデルを用いて、単回投与の静脈内注入後に、これまでに記載される、本発明の抗体−薬物コンジュゲートのインビボ有効性を評価した(Phillips GDL,Li GM,Dugger DL,et al.Targeting HER2−Positive Breast Cancer with Trastuzumab−DM1,an Antibody−Cytotoxic Drug Conjugate.(2008) Cancer Res.68:9280−90)(参照により本明細書に組み込まれる)。抗Her2抗体−薬物コンジュゲートを、マウス乳腺腫瘍ウイルスプロモーター(MMTV−HER2)の転写調節下において、ヒトHER2遺伝子が乳腺上皮に過剰発現される、トランスジェニックマウスモデルのFo5モデルで試験した。HER2の過剰発現は、乳腺腫瘍の自然的発生を引き起こす。これらの初代動物のうちの1つ(初代#5[Fo5])の乳腺腫瘍を、腫瘍断片(約2×2mmの大きさ)の連続移植によりFVBマウスの次の世代に伝播された。全ての動物試験を、the Guide for the Care and Use of Laboratory Animalsに従って行った。各抗体−薬物コンジュゲート(単回投与)を、試験の開始時及び移植から14日後に、9匹の動物に静脈内に投与された。初期腫瘍サイズは、約200mm
3の体積であった。
【0241】
別の乳房脂肪体移植片有効性モデルは、記載される通りに使用され得(Chen et al.(2007) Cancer Res 67:4924−4932)、単回静脈内投与後に腫瘍体積を評価し、腹腔内腫瘍を持つマウスから切除された腫瘍を用いて、次いで、レシピエントマウスの乳腺脂肪体に連続的に継代した。
【0242】
このようにして試験され得る細胞株は、AU565、HCC1954、HCC1008、HCC2157、HCC202、HCC1419、HCC2218、及びHCC1569を含む。
【0243】
実施例5−チオHu抗Ly6E LC K149C−p−ニトロ−PDS−カリケアマイシン抗体−薬物コンジュゲートの有効性
乳癌細胞株HCC1569(CRL−2330)は、American Type Culture Collection(ATCC,Manassas,VA)から得た。HCC1569 X2細胞株は、インビボで成長のために最適化された親HCC1569細胞株(ATCC,CRL−2330)の誘導体である。親HCC1569細胞を、雌NCRヌードマウスの右脇腹に皮下注射し、1つの腫瘍を収穫し、挽いて、HCC1569 XI細胞株を得るようインビトロで成長させた。HCC1569 XI株を、細胞株の成長を改善させるために、雌NCRヌードマウスの右脇腹に再度皮下注射した。この試験からの腫瘍を収穫し、インビトロでの成長のために再度適応させて、HCC1569 X2細胞株を生成させた。この株に由来するこの細胞株及び腫瘍は、Ly6Eを発現する。
【0244】
SCIDベージュマウスに、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)及びマトリゲルに懸濁された500万個の細胞を有する右2/3の乳腺脂肪体を接種した。腫瘍体積が、約163〜282mm
3に到達したとき(0日目)に、動物を各々5匹のマウスの群に無作為に分け、0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kg、6mg/kg、及び10mg/kgの用量で、ビヒクル対照または抗体−薬物コンジュゲートのいずれかの単回静脈内(IV)注射を施した。動物の一群に、3mg/kgのチオHu抗CD22 LC K149C−p−ニトロ−PDS−カリケアマイシンを投与した。腫瘍体積は、試験が21日で終了するまで、週2回測定した。腫瘍体積を、カリパスを使用して測定した2次元に基づいて測定し、算出し、式:V=0.5a×b
2(式中、a及びbは、それぞれ、腫瘍の長径及び短径である)に従ってmm
3単位で表した。同じ動物からの経時的な腫瘍体積の反復測定を解析するために、混合モデリングアプローチを使用した(例えば、Pinheiro J,et al.nlme:linear and nonlinear mixed effects models.2009、Rパッケージ、第3.1−96版を参照のこと)。このアプローチは、反復測定、及び試験終了前の動物の処置無関係の除外に起因したわずかな脱落率の両方に対処することができる。3次関数回帰スプラインを使用して、非線形プロファイルを、各用量レベルでのlog2腫瘍体積の時間経過に当てはめた。次いで、これらの非線形プロファイルを、混合モード内で用量に関連付けた。全ての動物プロトコルは、動物実験委員会(IACUC)によって認可された。
【0245】
実験結果を
図1に示し、これは、1、3、6、及び10mg/kgのチオHu抗Ly6E LC K149C−p−ニトロ−PDS−カリケアマイシン抗体−薬物コンジュゲートの投与がこの試験期間の間に腫瘍体積を減少させたことを示す。
【0246】
実施例6−チオHu抗CD22 10F4v3 LC K149C−p−ニトロ−PDS−カリケアマイシンの有効性
WSU−DLCL2腫瘍(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫細胞株)のマウス異種移植片モデルにおけるチオHu抗CD22 10F4v3 LC K149C−p−ニトロ−PDS−カリケアマイシンコンジュゲートの抗腫瘍有効性効果を検査した。
【0247】
雌CB17 Fox Chase SCIDマウスにそれぞれ、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)に懸濁された2000万個のWSU−DLCL2細胞(DSMZ,German Collection of Microorganisms and Cell Cultures,Braunschweig,Germany)を右脇腹に接種した。異種移植片の腫瘍が、175〜237mm
3の平均腫瘍体積に到達したとき(0日目)に、動物を各々5匹のマウスの群に無作為に分け、0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kg、6mg/kg、及び10mg/kgの用量で、ビヒクル対照または抗体−薬物コンジュゲートのいずれかの単回静脈内(IV)注射を施した。動物の一群に、3mg/kgのチオHu抗LY6E 9B12.v12 LC K149−p−ニトロ−PDS−カリケアマイシンを投与した。腫瘍体積は、試験が21日で終了するまで、本明細書の別の箇所に記載されるように、週2回測定した。全ての動物プロトコルは、動物実験委員会(IACUC)によって認可された。
【0248】
実験結果を
図2に示し、これは、1、3、6、及び10mg/kgのチオHu抗CD22 10F4v3 LC K149C−p−ニトロ−PDS−カリケアマイシンの投与が、この試験期間の間に腫瘍体積を減少させたことを示す。
【0249】
実施例7−さらなる有効性試験
実施例7は、非標的対照チオHu抗Ly6E 9B12.v12 LC K149Cカリケアマイシンコンジュゲートと比較した、CD22陽性バーキットリンパ腫細胞(「BJAB」)に対する、及びCD22陽性ヒトびまん性大細胞型B細胞リンパ腫由来細胞株(WSU−DLCL2)に対するチオHu抗CD22 10F4v3 LC K149Cカリケアマイシンコンジュゲートを有する標的対照の有効性を評価した。各コンジュゲートは、平均して1.7の薬物対抗体の比(「DAR」)を有した。各コンジュゲートにおける非標的対照の有効性もまた、Jurkatに対して評価した。
【0250】
BJAB、WSU−DLCL2、及びJurkat細胞におけるIC
50の有効性結果を、それぞれ、
図3A〜3Cに示す。これらの結果は、チオHu抗CD22 10F4v3 LC K149C−カリケアマイシンによるCD22陽性BJAB及びWSU−DLCL2細胞株の処理が、それぞれ、BJAB及びWSU−DLCL2におけるチオHu抗Ly6E 9B12.v12 LC K149C−カリケアマイシンを有する非標的対照よりも>1500倍大きく、>2000倍大きい、2桁の有効性を提供したことを示す。これらの結果は、さらに、チオHu抗CD22 10F4v3 LC K149C−カリケアマイシン及びチオHu抗Ly6E 9B12.v12 LC K149C−カリケアマイシンが、それぞれ、本質的には、Jurkat細胞には有効でなかったことを示す。IC
50の結果は、以下の表に報告され、ここで、「ADC」は、抗体−薬物コンジュゲートを指し、「チオHu抗CD22」は、チオHu抗CD22 10F4v3 LC K149Cカリケアマイシンを指し、「チオHu抗Ly6E」は、チオHu抗Ly6E 9B12.v12 LC K149Cカリケアマイシンを指す。
【表5】
【0251】
前述の発明が明確な理解のために例証及び例によって多少詳しく説明されているが、これらの説明及び例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本明細書で引用される全ての特許及び科学文献の開示は、参照によりそれらの全体が明示的に組み込まれる。
【0252】
本開示またはその好ましい実施形態(複数可)の要素を導入するとき、「a」、「an」、「the」、及び「said」という冠詞は、1つ以上の要素が存在することを意味することが意図される。「含む(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、包括的であることが意図され、列挙される要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。
【0253】
この明細書は、最良の態様を含む、本発明を開示するために実施例を用いており、また、いかなる当業者も本発明を実施することができるように実施例を用いており、任意のデバイスまたはシステムを製作し使用し、任意の組み込まれた方法を実行することを含んでいる。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到するその他の実施例を含むことができる。このような他の実施例が特許請求の範囲の文字通りの言葉と異ならない構造要素を有する場合、または、それらが特許請求の範囲の文字通りの言葉と実質的な差異がなく等価な構造要素を含む場合には、このような他の実施例は特許請求の範囲内であることを意図している。
本発明の実施形態の例として、以下の項目が挙げられる。
(項目1)
式Iまたは式II、
【化9】
の薬物中間体組成物であって、
式中、Rは、H、−C(O)R1、−C(O)NR1R2、−S(O)2R1、及び−S(O)2NR2R1から選択され、R1及びR2は、独立して、C1−C6アルキル及びC6−C20アリールから選択され、R3は、NO2、Cl、F、CN、CO2H、及びBrから選択され、qは、0、1、または2である、前記薬物中間体組成物。
(項目2)
Rが、−C(O)CH3である、項目1に記載の薬物中間体組成物。
(項目3)
R3がNO2であり、qが1である、項目1または項目2に記載の薬物中間体組成物。
(項目4)
式Ia、
【化10】
を有する、項目3に記載の薬物中間体組成物。
(項目5)
式IIa、
【化11】
を有する、項目1または項目2に記載の薬物中間体組成物。
(項目6)
式III、
【化12】
を有する抗体−薬物コンジュゲート化合物、またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、Rは、H、−C(O)R1、−C(O)NR1R2、−S(O)2R1、及び−S(O)2NR2R1から選択され、
R1及びR2は、独立して、C1−C6アルキル及びC6−C20アリールから選択され、
pは、1〜8の整数であり、
Abは、(1)〜(53):
(1)BMPR1B(骨形成タンパク質受容体IB型)、
(2)E16(LAT1、SLC7A5)、
(3)STEAP1(前立腺の6回膜貫通上皮抗原)、
(4)MUC16(0772P、CA125)、
(5)MPF(MPF、MSLN、SMR、巨核球増強因子、メソテリン)、
(6)Napi2b(NAPI−3B、NPTIIb、SLC34A2、溶質輸送体ファミリー34(リン酸ナトリウム)、メンバー2、II型ナトリウム依存性リン酸輸送体3b)、
(7)Sema 5b(FLJ10372、KIAA1445、Mm.42015、SEMA5B、SEMAG、セマフォリン5b Hlog、セマドメイン、7回トロンボスポンジン反復(1型及び1型様)、膜貫通ドメイン(TM)、及び短い細胞質ドメイン、(セマフォリン)5B)、
(8)PSCA hlg(2700050C12Rik、C530008O16Rik、RIKEN cDNA 2700050C12、RIKEN cDNA 2700050C12遺伝子)、
(9)ETBR(エンドセリンB型受容体)、
(10)MSG783(RNF124、仮説上のタンパク質FLJ20315)、
(11)STEAP2(HGNC_8639、IPCA−1、PCANAP1、STAMP1、STEAP2、STMP、前立腺癌関連遺伝子1、前立腺癌関連タンパク質1、前立腺の6回膜貫通上皮抗原2、6回膜貫通前立腺タンパク質)、
(12)TrpM4(BR22450、FLJ20041、TRPM4、TRPM4B、一過性受容器電位カチオンチャネル、サブファミリーM、メンバー4)、
(13)CRIPTO(CR、CR1、CRGF、CRIPTO、TDGF1、奇形癌由来の成長因子)、
(14)CD21(CR2(補体受容体2)またはC3DR(C3d/エプスタイン・バーウイルス受容体)またはHs.73792)、
(15)CD79b(CD79B、CD79β、IGb(免疫グロブリン関連ベータ)、B29)、
(16)FcRH2(IFGP4、IRTA4、SPAP1A(SH2ドメイン含有ホスファターゼアンカータンパク質1a)、SPAP1B、SPAP1C)、
(17)HER2、
(18)NCA、
(19)MDP、
(20)IL20Rα、
(21)ブレビカン、
(22)EphB2R、
(23)ASLG659、
(24)PSCA、
(25)GEDA、
(26)BAFF−R(B細胞活性化因子受容体、BLyS受容体3、BR3)、
(27)CD22(B細胞受容体CD22−Bアイソフォーム)、
(28)CD79a(CD79A、CD79α、免疫グロブリン関連アルファ)、
(29)CXCR5(バーキットリンパ腫受容体1)、
(30)HLA−DOB(MHCクラスII分子のベータサブユニット(Ia抗原))、
(31)P2X5(プリン受容体P2Xリガンド開口型イオンチャネル5)、
(32)CD72(B細胞分化抗原CD72、Lyb−2)、
(33)LY64(リンパ球抗原64(RP105)、ロイシンリッチ反復(LRR)ファミリーのI型膜タンパク質)、
(34)FcRH1(Fc受容体様タンパク質1)、
(35)FcRH5(IRTA2、免疫グロブリンスーパーファミリー受容体転位関連2)、
(36)TENB2(推定上の膜貫通プロテオグリカン)、
(37)PMEL17(silver相同体、SILV、D12S53E、PMEL17、SI、SIL)、
(38)TMEFF1(EGF様ドメイン及び2つのフォリスタチン様ドメインを有する膜貫通タンパク質1、トモレグリン−1)、
(39)GDNF−Ra1(GDNFファミリー受容体アルファ1、GFRA1、GDNFR、GDNFRA、RETL1、TRNR1、RET1L、GDNFR−アルファ1、GFR−ALPHA−1)、
(40)Ly6E(リンパ球抗原6複合体、遺伝子座E、Ly67、RIG−E、SCA−2、TSA−1)、
(41)TMEM46(shisa相同体2(Xenopus laevis)、SHISA2)、
(42)Ly6G6D(リンパ球抗原6複合体、遺伝子座G6D、Ly6−D、MEGT1)、
(43)LGR5(ロイシンリッチ反復含有Gタンパク質結合型受容体5、GPR49、GPR67)、
(44)RET(ret癌原遺伝子、MEN2A、HSCR1、MEN2B、MTC1、PTC、CDHF12、Hs.168114、RET51、RET−ELE1)、
(45)LY6K(リンパ球抗原6複合体、遺伝子座K、LY6K、HSJ001348、FLJ35226)、
(46)GPR19(Gタンパク質結合型受容体19、Mm.4787)、
(47)GPR54(KISS1受容体、KISS1R、GPR54、HOT7T175、AXOR12)、
(48)ASPHD1(アスパラギン酸ベータヒドロキシラーゼドメイン含有1、LOC253982)、
(49)チロシナーゼ(TYR、OCAIA、OCA1A、チロシナーゼ、SHEP3)、
(50)TMEM118(ringフィンガータンパク質、膜貫通2、RNFT2、FLJ14627)、
(51)GPR172A(Gタンパク質結合型受容体172A、GPCR41、FLJ11856、D15Ertd747e)、
(52)CD33、ならびに
(53)CLL−1から選択される1つ以上の腫瘍関連抗原または細胞表面受容体に結合する抗体である、前記抗体−薬物コンジュゲート化合物。
(項目7)
Abが、システイン操作抗体である、項目6に記載の抗体−薬物コンジュゲート化合物。
(項目8)
前記システイン操作抗体が、LC K149C、HC A140、HC A118C、及びHC L177Cから選択された変異体である、項目7に記載の抗体−薬物コンジュゲート化合物。
(項目9)
Abが、抗HER2 4D5、抗CD22、抗CD33、抗Ly6E、抗Napi3b、抗HER2 7C2、及び抗CLL−1から選択される、項目6〜8のいずれか1項に記載の抗体−薬物コンジュゲート化合物。
(項目10)
pが、1、2、3、または4である、項目6〜9のいずれか1項に記載の抗体−薬物コンジュゲート化合物。
(項目11)
前記抗体−薬物コンジュゲート化合物の混合物を含み、前記抗体−薬物コンジュゲート化合物の混合物における1抗体当たりの平均薬物負荷が、約2〜約5である、項目6〜9のいずれか1項に記載の抗体−薬物コンジュゲート化合物。
(項目12)
項目6〜11のいずれか1項に記載の抗体−薬物コンジュゲート化合物、及び薬学的に許容される希釈剤、担体、または賦形剤を含む、薬学的組成物。
(項目13)
治療有効量の化学療法剤をさらに含む、項目12に記載の薬学的組成物。
(項目14)
哺乳動物における癌の治療のための医薬品の製造における項目6〜11のいずれか1項に記載の抗体−薬物コンジュゲート化合物の使用。
(項目15)
項目12に記載の薬学的組成物を患者に投与することを含む、癌の治療方法。
(項目16)
前記患者が、前記抗体−薬物コンジュゲートと組み合わせて化学療法剤を投与される、項目15に記載の方法。
(項目17)
癌の治療方法に使用するための、項目6〜11のいずれか1項に記載の抗体−薬物コンジュゲート化合物。
(項目18)
項目6の抗体−薬物コンジュゲート化合物の作製方法であって、
(a)(1)〜(53):
(1)BMPR1B(骨形成タンパク質受容体IB型)、
(2)E16(LAT1、SLC7A5)、
(3)STEAP1(前立腺の6回膜貫通上皮抗原)、
(4)MUC16(0772P、CA125)、
(5)MPF(MPF、MSLN、SMR、巨核球増強因子、メソテリン)、
(6)Napi2b(NAPI−3B、NPTIIb、SLC34A2、溶質輸送体ファミリー34(リン酸ナトリウム)、メンバー2、II型ナトリウム依存性リン酸輸送体3b)、
(7)Sema 5b(FLJ10372、KIAA1445、Mm.42015、SEMA5B、SEMAG、セマフォリン5b Hlog、セマドメイン、7回トロンボスポンジン反復(1型及び1型様)、膜貫通ドメイン(TM)、及び短い細胞質ドメイン、(セマフォリン)5B)、
(8)PSCA hlg(2700050C12Rik、C530008O16Rik、RIKEN cDNA 2700050C12、RIKEN cDNA 2700050C12遺伝子)、
(9)ETBR(エンドセリンB型受容体)、
(10)MSG783(RNF124、仮説上のタンパク質FLJ20315)、
(11)STEAP2(HGNC_8639、IPCA−1、PCANAP1、STAMP1、STEAP2、STMP、前立腺癌関連遺伝子1、前立腺癌関連タンパク質1、前立腺の6回膜貫通上皮抗原2、6回膜貫通前立腺タンパク質)、
(12)TrpM4(BR22450、FLJ20041、TRPM4、TRPM4B、一過性受容器電位カチオンチャネル、サブファミリーM、メンバー4)、
(13)CRIPTO(CR、CR1、CRGF、CRIPTO、TDGF1、奇形癌由来の成長因子)、
(14)CD21(CR2(補体受容体2)またはC3DR(C3d/エプスタイン・バーウイルス受容体)またはHs.73792)、
(15)CD79b(CD79B、CD79β、IGb(免疫グロブリン関連ベータ)、B29)、
(16)FcRH2(IFGP4、IRTA4、SPAP1A(SH2ドメイン含有ホスファターゼアンカータンパク質1a)、SPAP1B、SPAP1C)、
(17)HER2、
(18)NCA、
(19)MDP、
(20)IL20Rα、
(21)ブレビカン、
(22)EphB2R、
(23)ASLG659、
(24)PSCA、
(25)GEDA、
(26)BAFF−R(B細胞活性化因子受容体、BLyS受容体3、BR3)、
(27)CD22(B細胞受容体CD22−Bアイソフォーム)、
(28)CD79a(CD79A、CD79α、免疫グロブリン関連アルファ)、
(29)CXCR5(バーキットリンパ腫受容体1)、
(30)HLA−DOB(MHCクラスII分子のベータサブユニット(Ia抗原))、
(31)P2X5(プリン受容体P2Xリガンド開口型イオンチャネル5)、
(32)CD72(B細胞分化抗原CD72、Lyb−2)、
(33)LY64(リンパ球抗原64(RP105)、ロイシンリッチ反復(LRR)ファミリーのI型膜タンパク質)、
(34)FcRH1(Fc受容体様タンパク質1)、
(35)FcRH5(IRTA2、免疫グロブリンスーパーファミリー受容体転位関連2)、
(36)TENB2(推定上の膜貫通プロテオグリカン)、
(37)PMEL17(silver相同体、SILV、D12S53E、PMEL17、SI、SIL)、
(38)TMEFF1(EGF様ドメイン及び2つのフォリスタチン様ドメインを有する膜貫通タンパク質1、トモレグリン−1)、
(39)GDNF−Ra1(GDNFファミリー受容体アルファ1、GFRA1、GDNFR、GDNFRA、RETL1、TRNR1、RET1L、GDNFR−アルファ1、GFR−ALPHA−1)、
(40)Ly6E(リンパ球抗原6複合体、遺伝子座E、Ly67、RIG−E、SCA−2、TSA−1)、
(41)TMEM46(shisa相同体2(Xenopus laevis)、SHISA2)、
(42)Ly6G6D(リンパ球抗原6複合体、遺伝子座G6D、Ly6−D、MEGT1)、
(43)LGR5(ロイシンリッチ反復含有Gタンパク質結合型受容体5、GPR49、GPR67)、
(44)RET(ret癌原遺伝子、MEN2A、HSCR1、MEN2B、MTC1、PTC、CDHF12、Hs.168114、RET51、RET−ELE1)、
(45)LY6K(リンパ球抗原6複合体、遺伝子座K、LY6K、HSJ001348、FLJ35226)、
(46)GPR19(Gタンパク質結合型受容体19、Mm.4787)、
(47)GPR54(KISS1受容体、KISS1R、GPR54、HOT7T175、AXOR12)、
(48)ASPHD1(アスパラギン酸ベータヒドロキシラーゼドメイン含有1、LOC253982)、
(49)チロシナーゼ(TYR、OCAIA、OCA1A、チロシナーゼ、SHEP3)、
(50)TMEM118(ringフィンガータンパク質、膜貫通2、RNFT2、FLJ14627)、
(51)GPR172A(Gタンパク質結合型受容体172A、GPCR41、FLJ11856、D15Ertd747e)、
(52)CD33、ならびに
(53)CLL−1から選択される1つ以上の腫瘍関連抗原または細胞表面受容体に結合する抗体を、
(b)式Iまたは式II
【化13】
(式中、Rは、H、−C(O)R1、−C(O)NR1R2、−S(O)2R1、及び−S(O)2NR2R1から選択され、R1及びR2は、独立して、C1−C6アルキル及びC6−C20アリールから選択され、R3は、NO2、Cl、F、CN、CO2H、及びBrから選択され、qは、0、1、または2である)の薬物中間体と反応させることを含む、前記方法。
(項目19)
Abが、システイン操作抗体である、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記システイン操作抗体が、LC K149C、HC A140、HC A118C、及びHC L177Cから選択された変異体である、項目18に記載の方法。
(項目21)
Abが、抗HER2 4D5、抗CD22、抗CD33、抗Ly6E、抗Napi3b、抗HER2 7C2、及び抗CLL−1から選択される、項目18〜20のいずれか1項に記載の方法。
(項目22)
pが、1、2、3、または4である、項目18〜21のいずれか1項に記載の方法。
(項目23)
前記抗体−薬物コンジュゲート化合物の混合物を含み、前記抗体−薬物コンジュゲート化合物の混合物における1抗体当たりの平均薬物負荷が、約2〜約5.24である、項目18〜21のいずれか1項に記載の方法。
(項目24)
項目12に記載の薬学的組成物、容器、及び前記薬学的組成物が癌の治療に使用され得ることを示す添付文書またはラベルを含む、製造品。