(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
このような防波堤/突堤構造物のための被覆エレメントは、特にWO 2004/009910、EP 1 165 894、US 3,614,866に記載されている。
【0003】
このような公知の被覆エレメントのプレート部は、X字型若しくはH字型で、X/H字型の中央部から突出部が突出し、四つの脚部と二つの鼻部を有する形状である。四つの脚部はプレート部の方向に延在し、中央部と共にプレート部を形成し、X字型、H字型を規定する。二つの鼻部は、プレート部に対して横断方向に、中央部から互いに反対方向に、脚部に対して突出している。複数のこのような公知の被覆エレメントを傾斜したスロープに応用すると、この突出部が被覆エレメントの相互連結を確実にし、安定した構造物となる。さらに突出部は、隣接する被覆エレメント間に必要な自由空間が確実に残るようにし、この空間で被覆エレメントに作用する波の作用を砕くことができる。さらに、この突出部は全方向に設けられており、端部が地面に突き刺さる突出部が常に一つはあるので、被覆エレメントが自らを地面に確実に固定することを目的としている。このような公知の被覆エレメントが、防波堤、突堤構造物において適切に機能するには、X/H字型の四つの脚部と鼻部とで全方向に設けられたこの六つの突出部が非常に重要である。
【0004】
本発明の目的は、防波堤/突堤構造物のための上記に代わるコンクリート製被覆エレメントを創出することにある。
【0005】
本発明のさらなる目的は、一方では耐性及び信頼性があり十分に機能する、規則的に配置されたパターンの防波堤/突堤構造物、他方ではこれを可能にする若しくは容易にする一つ以上の被覆エレメントを創生することにある。
【0006】
本発明のさらに別の目的は、一方では構造物に必要な材料、特にコンクリートの消費量を削減することが可能である、耐性及び信頼性があり十分に機能する防波堤/突堤構造物を創生することであり、他方ではこれを可能にする一つ以上の被覆エレメントを創生することにある。
【0007】
出願人は、X字型/H字型プレート部及び二つの鼻部を有する形式の被覆エレメントから出発して、X字型/H字型プレート部の対角線方向に対向する一つ又は二つの脚部を取り除くと、得られる被覆エレメントが非常に安定的で優れた防波堤/突堤特性を有する防波堤/突堤構造物の基礎をなすことができるという認識に至った。この認識から、本発明の第一の特徴による被覆エレメント、及び本発明の第二の特徴による複数のこのような被覆エレメントからなる構造物を得た。さらにこの認識はさらなる発展につながり、材料消費量が削減され、及び/又は防波堤/突堤作用が強化され、及び/又は設置が容易で、及び/又はその場によりよく留まる被覆エレメント及び防波堤/突堤構造物を得た。その結果、本発明の第三、第四、第五、第六、及び第七の特徴の被覆エレメント、並びにそれにより得られる防波堤/突堤構造物を得た。
【0008】
本発明の第三、第四、第五、第六、及び第七の特徴は、本発明によれば、本発明の第一及び/又は第二の特徴と組み合わせるだけでなく、本発明の第一及び/又は第二の特徴とは別にも利用することができる。さらに本発明によれば、本発明の第三、第四、第五、第六、及び第七の特徴は、互いにいかなる所望の組み合わせでも、別々にでも、利用することができる。網羅的ではないが、例えば本発明の第三の特徴の場合、
− 第三の特徴は、第一及び/又は第二の特徴と組み合わせて、第四、第五、第六、及び第七の特徴抜きで、利用することができる。
− 第三の特徴は、第一及び/又は第二の特徴と組み合わせ、第四の特徴と共に、しかし第五、第六、及び第七の特徴抜きで、利用することができる。
− 第三の特徴は、第一及び/又は第二の特徴と組み合わせ、第四及び第五の特徴と共に、しかし第六、及び第七の特徴抜きで、利用することができる。
− 第三の特徴は、第一及び/又は第二の特徴と組み合わせ、第四、第五、及び第六の特徴と共に、しかし第七の特徴抜きで、利用することができる。
− 第三の特徴は、第一及び/又は第二の特徴と組み合わせて、第四、第五、第六、及び第七の特徴と共に、利用することができる。
− 第三の特徴は、第一、第二、第四、第五、第六、及び第七の特徴抜きで、利用することができる。
− 第三の特徴は、第四の特徴と共に、しかし第一、第二、第五、第六、及び第七の特徴抜きで、利用することができる。
− 第三の特徴は、第四及び第五の特徴と共に、しかし第一、第二、第六、及び第七の特徴抜きで、利用することができる。
− 第三の特徴は、第四、第五、及び第六の特徴と共に、しかし第一、第二、及び第七の特徴抜きで、利用することができる。
− 第三の特徴は、第四、第五、第六、及び第七の特徴と共に、しかし第一及び第二の特徴抜きで、利用することができる。
− 第三の特徴は、第一及び/又は第二の特徴と組み合わせ、第五の特徴と共に、しかし第四、第六、及び第七の特徴抜きで、利用することができる。
− 第三の特徴は、第一及び/又は第二の特徴と組み合わせ、第五及び第六の特徴と共に、しかし第四及び第七の特徴抜きで、利用することができる。
− 第三の特徴は、第一及び/又は第二の特徴と組み合わせ、第四、第五及び第六の特徴と共に、しかし第四の特徴抜きで、利用することができる。
− 第三の特徴は、第五の特徴と共に、しかし第一、第二、第四、第六、及び第七の特徴抜きで、利用することができる。
− 第三の特徴は、第五及び第六の特徴と共に、しかし第一、第二、及び第七の特徴抜きで、利用することができる。
− 第三の特徴は、第五、第六、及び第七の特徴と共に、しかし第一、第二、第六、及び第四の特徴抜きで、利用することができる。
− 第三の特徴は、第一及び/又は第二の特徴と組み合わせ、第六の特徴と共に、しかし第四、第五、及び第七の特徴抜きで、利用することができる。
− 第三の特徴は、第一及び/又は第二の特徴と組み合わせ、第六及び第七の特徴と共に、しかし第四及び第五の特徴抜きで、利用することができる。
− 第三の特徴は、第六の特徴と共に、しかし第一、第二、第四、第五、及び第七の特徴抜きで、利用することができる。
− 第三の特徴は、第六及び第七の特徴と共に、しかし第一、第二、第四、及び第五の特徴抜きで、利用することができる。
− 第三の特徴は、第一及び/又は第二の特徴と組み合わせ、第七の特徴と共に、しかし第四、第五、及び第六の特徴抜きで、利用することができる。
− 第三の特徴は、第七の特徴と共に、しかし第一、第二、第四、第五、及び第六の特徴抜きで、利用することができる。
− 第三の特徴は、第一及び/又は第二の特徴と組み合わせ、第四及び第六の特徴と共に、しかし第五及び第七の特徴抜きで、利用することができる。
− 第三の特徴は、第一及び/又は第二の特徴と組み合わせ、第四、第六、及び第七の特徴と共に、しかし第五の特徴抜きで、利用することができる。
− 第三の特徴は、第四及び第六の特徴と共に、しかし第一、第二、第五、及び第七の特徴抜きで、利用することができる。
− 第三の特徴は、第四、第六、及び第七の特徴と共に、しかし第一、第二、及び第五の特徴抜きで、利用することができる。
− 第三の特徴は、第一及び/又は第二の特徴と組み合わせ、第四及び第七の特徴と共に、しかし第五及び第六の特徴抜きで、利用することができる。
− 第三の特徴は、第四及び第七の特徴と共に、しかし第一、第二、第五、及び第六の特徴抜きで、利用することができる。
− 第三の特徴は、第一及び/又は第二の特徴と組み合わせ、第四、第五、及び第七の特徴と共に、しかし第六の特徴抜きで、利用することができる。
− 第三の特徴は、第四、第五、及び第七の特徴と共に、しかし第一、第二、及び第六の特徴抜きで、利用することができる。
【0009】
この例示を第四、第五、第六、第七の特徴についても繰り返すまでもなく、これは第四、第五、第六、及び第七の特徴についてもそれぞれ同様に当てはまることは明白である。
【0010】
第一の特徴
本願の実施のためにここまで概略を説明してきたのとは別のより詳細な方法で、請求項1に記載した本願の第一の特徴による被覆エレメントは以下のように説明できる。
スロープや防波堤等の、防波堤若しくは突堤構造物のためのコンクリート製被覆エレメントであって、
− x軸、y軸、及びz軸が、直交軸系等の仮想軸系を規定し、x軸とy軸とでxy平面を規定し、z軸はxy平面に対して直角であり、
− 被覆エレメントは、プレート部と二つの鼻部とを備え、プレート部はxy平面の方向に延在し、z軸方向に延在する厚さを有し、二つの鼻部はプレート部からz軸方向に互いに反対方向に突出し、プレート部と共に単一部品として形成され、
− プレート部は、
〇 y軸に平行に延びる第一プレート対角線と、x軸に平行に延びる第二プレート対角線とを有する仮想四角形プレート(台形、平行四辺形、長方形、正方形、菱形等)から形成され、四角形プレートは、四つの仮想プレート角と四つの仮想プレート辺とによってxy平面に境界され、
〇 仮想プレートの対向する二つの仮想プレート辺には、それぞれのプレート辺の中央部に仮想の切り込みを入れて、プレート凹部を形成し、
〇 仮想プレートの第一プレート対角線上に位置する二つの仮想角の少なくとも一方を、第一割線に沿って仮想的に切り落とし、第一割線は、各角を境界している二つの仮想プレート辺を切り落とし
たものと仮想され、
− プレート部は、第一プレート対角線に沿って測った第一寸法と、第二プレート対角線に沿って測った第二寸法とを有し、
− 第一寸法は第二寸法よりも小さい、
被覆エレメント。
【0011】
プレート部を形成すると仮想する四角形プレートが正方形である場合には、本発明の第一の特徴によれば、xyz軸の仮想系は直交軸系となる。
【0012】
本発明の第二の特徴によれば、本発明の第一の特徴による被覆エレメントを、被覆エレメントが鼻部が一直線上に並んだ状態で一列に配置された列に、非常に効率的に配置することができ、それにより、鼻部がプレート部を互いに離間して保持し、プレート部間に自由空間が残り、その中でプレート部に作用する水の波の作用を砕き、阻むことができる。本発明の第二の特徴によれば、水平方向に延びるこのような列を幾列か、スロープの傾斜に沿って積み重ねて傾斜配置することができる。被覆エレメントをスロープ上にこのような列に配置すると、プレート部が垂直面に延在し、第一プレート対角線が実質的に垂直に延在し、第一プレート対角線上の切り落とした端部が下方を指し、第二プレート対角線が実質的に水平に延在し、第二プレート対角線の一端によってスロープの傾斜面に対して支持され、いわば第二プレート対角線の端部間にぶら下がる。上に位置する被覆エレメントの圧力によって、傾斜面に支えられている下方に位置する被覆エレメントの第二プレート対角線の端部は、本発明の第二の特徴によれば、傾斜面へと堅固に押圧され、傾斜面に沿って下方に滑らないよう抵抗力となる。積み重ねた連続する列はまた、本発明の第二の特徴によれば、互いにオフセットしていてもよい。上の列のプレート部は、下の列のプレート部の一つ以上の鼻部に支持される。これにより、本発明の複数の被覆エレメントの相互連結が改善し、構造物の安定性が増す。しかしながら、列を互いにオフセットさせる必要はない。上の列のプレート部は、いずれの場合も、下の列のプレート部で支持することもできる。このように、防波堤/突堤特性に非常に優れた構造物を得ることができる。明らかに、本発明の被覆エレメントの材料の消費量、つまり必要とされるコンクリートの量は、X/H字型プレート部及び二つの鼻部を有するタイプの既知の同等の被覆エレメントよりも顕著に少ない。従って、本発明の被覆エレメントは廉価であるだけでなく、扱い易く搬送しやすい。それにも関わらず、本発明の第一の特徴による被覆エレメントは、十分な離間関係でも傾斜部に配置することができ、その結果、隣接するプレート部間の隙間によって、防波堤/突堤特性に優れた安定した構造物を得ることができる。十分な離間関係により、結果として得られる防波堤/突堤構造物の材料の消費量、つまり必要とされるコンクリートの量は、X/H字型プレート部及び二つの鼻部を有するタイプの既知の同等の被覆エレメントよりも顕著に少ない。
【0013】
本発明の第一の特徴による被覆エレメントのさらに別の実施態様では、プレートの第一プレート対角線上に位置する両方の角を、第一割線に沿って切り落とす。よって、その結果として生じるプレート部は、基本的に細長い形状であり、この細長い形状は第二プレート対角さんの方向に延在する。前述の列になった被覆エレメントは、スロープ上に積み重ねられ、細長いプレート部は水平方向に延在し、細長いプレート部の一端がスロープ上に支持され、細長いプレート部の他端が下の列の被覆エレメントに支持される。
【0014】
本発明の第一の特徴による別の実施態様の被覆エレメントはさらに、第一寸法が第一プレート対角線の長さの35%〜65%であることを特徴とする。本発明の第一の特徴によるさらに別の実施態様では、被覆エレメントは、第一寸法が第一プレート対角線の長さの40%〜50%であることを特徴とする。ここで第一プレート対角線の長さとは、プレート部を形成すると仮想する仮想当初プレートにおける、この第一プレート対角線上に位置する仮想プレート角間の距離である。
【0015】
本発明の第一の特徴による被覆エレメントの別の実施態様によれば、第一割線は直線状であり、第一プレート対角線に対して70°〜90°の角度、より詳細には80°〜90°の角度、例えば90°である。
【0016】
本発明の第一の特徴による被覆エレメントのさらに別の実施態様では、プレート部がさらに、四つ全ての仮想プレート辺において、それぞれのプレート辺の中央部に切り込みを入れて、プレート凹部を形成するものと仮想される。よって、四角形の当初プレートから、四つのプレート凹部を得るために、四つのプレート辺のそれぞれに沿って中央部で切り込みを入れて(第一プレート対角線上の角を切り落とさなければX字型のプレート部が得られる)、仮想上で形成されたプレート部を有する被覆エレメントが得られる。
【0017】
この仮想プレート凹部を四つ有する被覆エレメントの別の実施態様によれば、本発明の第一の特徴によるプレート部はさらに、第二プレート対角線上にある一方の角が第二割線に沿って切り落とされると仮想され、この第二割線は一方では第一割線の一方と交差し、他方では第二割線に沿って切り落とされた角に隣接するプレート辺の一方と交差する。これにより、材料つまり特にコンクリートの節約が実現する一方で、このような被覆エレメントによって作製される構造物の防波堤/突堤作用は未だ優れたままである。
【0018】
第二(仮想)割線を有する本発明の第一の特徴による被覆エレメントの別の実施態様によれば、第二割線は、第二割線に沿って切り落とされた角に隣接する仮想プレート辺の一方と並行に延在する。特に第二割線は、この場合、第二割線に沿って切り落とされた角に隣接する仮想プレート辺の一方から切り込まれたプレート凹部の最深部に接触する。これにより、「傾斜する」側面がプレート部に形成され、被覆エレメントを傾斜部に配置すると、この側面はこの傾斜と並行に延在する。
【0019】
本発明の第一の特徴による被覆エレメントの別の実施態様によれば、xy平面方向に見ると各プレート凹部は、z軸方向に見ると実質的に一定であるxy寸法を有する。つまり各プレート凹部は、z軸方向に見ると、プレート部16の両側で開いており、z軸方向に見ると不変のxy寸法を有する。
【0020】
本発明の第一の特徴による被覆エレメントの別の実施態様によれば、プレート凹部のうち少なくとも二つ、例えば四つ全てのプレート凹部は、対応するプレート辺に垂直な線から測ると、同じ方向で測った鼻部の太さの少なくとも20%である深さを有し、鼻部のこの太さは、鼻部の端部からプレートの厚さの約20%の距離のところで測ったものである。別の実施態様によれば、プレート凹部のこの深さは、同じ方向で測った鼻部の太さの少なくとも25%、例えば少なくとも30%である。
【0021】
本願において、プレート凹部に関して「対応するプレート辺」と言う場合、このプレート凹部を切り込んだプレート辺を意味する。
【0022】
本発明の第一の特徴による被覆エレメントの別の実施態様によれば、プレート凹部の幅は、対応するプレート辺上でこれに沿って測ったこの幅が、同じ方向で測った鼻部の幅の少なくとも80%であり、鼻部のこの幅は、鼻部の端部からプレートの厚さの約20%の距離のところで測ったものであることを特徴とする。さらに別の実施態様によれば、プレート凹部のプレート辺の位置におけるこの幅は、同じ方向で測った鼻部の幅の少なくとも95%、例えば少なくとも100%である。
【0023】
本発明の第一の特徴による被覆エレメントの別の実施態様によれば、xy平面で見たプレート凹部が台形であり、最も長い辺が対応するプレート辺上に位置する。
【0024】
本発明の第一の特徴による被覆エレメントの別の実施態様によれば、z軸方向に見た鼻部が、プレート部の厚さの少なくとも80%、例えば100%以上である高さを有する。よって各鼻部のこの高さは、プレート部の厚さと等しくても良い。
【0025】
本発明の第一の特徴による被覆エレメントの別の実施態様によれば、鼻部が仮想四角形プレートの中央に配置されている。
【0026】
本発明の第一の特徴による被覆エレメントの別の実施態様によれば、xy平面方向に見た鼻部の横断面形状が四角形、特に正方形である。仮想プレート上の各鼻部の垂直突出方向に見た鼻部の四角形横断面形状の各角は、仮想プレート辺の中心点と鼻部の中心点とを結ぶ仮想線上に略位置していてもよい。よって鼻部は、第二プレート対角線が実質的に水平方向に延びている場合には常に、平坦な頂面を有すると定義される。これは、別の対応する被覆エレメントを上に支持する場合に有利である。
【0027】
本発明の第一の特徴による被覆エレメントのさらに別の実施態様によれば、四角形鼻部を有する被覆エレメントの場合、仮想プレート上の各鼻部の垂直突出方向に見た鼻部の四角形横断面形状の各角は、第一若しくは第二プレート対角線上に略位置している。
【0028】
本発明の第一の特徴による被覆エレメントの別の実施態様によれば、プレート部の厚さは、仮想プレート辺の長さの約25%〜42%、例えば約1/3である。
【0029】
本発明の第一の特徴による被覆エレメントの別の実施態様によれば、プレート部の厚さは、第二プレート対角線に沿って測った第二寸法の約20%〜30%である。
【0030】
本発明の第一の特徴による被覆エレメントの別の実施態様によれば、プレート部の厚さは、30cm〜150cmの範囲内である。
【0031】
本発明の第一の特徴による被覆エレメントの別の実施態様によれば、仮想プレート辺のうちの一つの長さが90cm〜450cmの範囲内である。特に全ての仮想プレート辺がこの範囲内の長さである。
【0032】
本発明の第一の特徴による被覆エレメントの別の実施態様によれば、仮想プレート辺の長さは互いに略等しい。
【0033】
第二の特徴
第二の特徴によれば、本発明は、X字型若しくはH字型プレート部から形成されるタイプの複数の被覆エレメントを備える防波堤/突堤構造物に関し、このプレート部は、
・ X字型若しくはH字型によって決定される四つの脚部を有し、そのうちの二つはプレート部の第一対角線上にあり、二つはプレート部の第二対角線上にあり、
・ プレート部に対して直角で、プレート部から互いに反対方向に突出する二つの鼻部を有し、
第一対角線上に位置する二つの脚部のうち少なくとも一方は、プレート部から除去され、
複数の被覆エレメントは、スロープ上に積み重ねられて水平な列に並べられ、各列の隣接する被覆エレメントの鼻部は一直線上に並び、各被覆エレメントの第二対角線は水平に配向され、
第二対角線上に位置する各列の被覆エレメントの脚部のうち第一のものは、いずれの場合も、下の列の隣接する被覆エレメントの二つの隣接する鼻部上に支持され、第二対角線上に位置する当該列の被覆エレメントの脚部のうち他のものは、スロープ上に支持される。
【0034】
よって、被覆エレメントはスロープ上に、瓦を互い違いに千鳥配列とした(水平な)列を有する屋根瓦に似た配置で並べられる。これにより堅固な相互連結が達成される。
【0035】
つまり、第二の特徴による本願発明は、本発明の第一の特徴による、及び/又は以下に説明する本発明の第三の特徴による、及び/又は以下に説明する本発明の第四の特徴による、及び/又は以下に説明する本発明の第五の特徴による、及び/又は以下に説明する本発明の第六の特徴による、及び/又は以下に説明する本発明の第七の特徴による、複数の被覆エレメントを備える、スロープや突堤等の防波堤/突堤構造物に関する。
【0036】
本発明の第二の特徴による構造物の別の実施態様によれば、被覆エレメントは、第一プレート対角線が実質的に垂直な状態でスロープ上に積み重ねられて水平な列に配置され、
各列の隣接する被覆エレメントの鼻部は一直線上に並び、
上の列の被覆エレメントの第一角部は、いずれの場合も、下の列の隣接する被覆エレメントの二つの隣接する鼻部上に支持され、第一角部は第二プレート対角線上に位置し、
上の列の第二角部は、いずれの場合もスロープ上に支持され、第二角部は第二対角線上に位置する。上の列の被覆エレメントの鼻部は、いずれの場合も、下の列の被覆エレメントの第二角部上に支持され、第二角部は第二プレート対角線上に位置する。
【0037】
本発明の第二の特徴による構造物の別の実施態様によれば、第二プレート対角線上の切り落とした角部は、スロープとは反対側を向いており、第二割線が上に面している。
【0038】
第三の特徴
本発明の第一、第二、第四、第五、第六、及び第七の特徴とは別の言葉で表現すると、本発明の第三の特徴は、以下のように表される被覆エレメントを提供する:
スロープ等の防波堤若しくは突堤構造物のためのコンクリート製被覆エレメントであって、
− x軸、y軸、及びz軸が、直交軸の仮想系を規定し、z軸とx軸とでzx平面を規定し、
− 被覆エレメントが、中央部、二つの鼻部、第一脚部、及び第二脚部を備え、中央部、二つの鼻部、及び第一及び第二脚部が単一部品として形成され、
− 鼻部は中央部からz軸方向に互いに反対方向に延在し、第一及び第二脚部は中央部からx軸方向に互いに反対方向に延在し、
− 第一脚部の底面はz軸に平行な第一幅を有し、第二脚部の頂面はz軸に平行な第二幅を有し、
− 鼻部は
上方支持面及び/又は
下方支持面を有し、この支持面は各鼻部の自由端に隣接し、任意にzx平面に対して実質的に平行に延在し、
− z軸に平行な方向において、支持面は所定の長さであり、この長さは、第一脚部の幅及び第二脚部の幅のそれぞれ50%未満である、
被覆エレメント。
【0039】
本発明の第三の特徴による被覆エレメントは、いわゆる屋根瓦的構造の規則的な列に非常に効率的に配置することができる。この屋根瓦的構造では、各列の被覆エレメントの鼻部は、常に一直線上に並び、被覆エレメントの脚部間に距離を保つ。積み重ねられた連続する列は、互い違いになっている。上の列の被覆エレメントは、下の列の被覆エレメントの鼻部によって支持される。各被覆エレメントには、鼻部の自由端に
上方支持面及び/又は
下方支持面が設けられているので、防波堤構造物の安定性が増す。支持面の長さは第二支持脚部の幅の50%よりも短いので、同じ列の被覆エレメントの対向する二つの鼻部間に、確実に自由空間が存在する。スロープに作用する水はこの空間を通過することができる。よって、スロープに作用する水の波の作用を砕き、抑えることができる。この自由空間はさらに、このような屋根瓦的構造のための単位表面に必要な材料の量(つまりコンクリートの量)を削減することができる。
【0040】
上方及び/又は下方支持面により、被覆エレメントが確実にいわば互いに窪むことになる。上方支持面が存在すると、上方の被覆エレメントの脚部の一部が、下方にある被覆エレメントの中央部に鼻部がとり付けられるその頂面の下方に位置するようになる。このように脚部は、その被覆エレメントの下方に位置する被覆エレメントの支持面にいわば固定され、構造物の安定性を高める。下方支持面が存在すると、上方にある被覆エレメントの鼻部の取付け部の底面が、下方に位置する被覆エレメントの脚部の頂面の下方にあるその被覆エレメントの中央部に接触するようになる。これもスロープの安定性を高めるものである。
【0041】
本発明の第二の特徴と同様に、いわゆる屋根瓦的構造とされた本発明の第三の特徴による被覆エレメントは、傾斜面に対して支持されている下にある被覆エレメントの脚部が、上にある被覆エレメントの重量及び圧力によって、傾斜面に対して堅固に押圧され、傾斜面を滑り落ちないよう抵抗となるように、少なくとも一つの脚部が傾斜面に接触した状態で支持される。
【0042】
本発明の第三の特徴による別の実施態様によれば、z軸方向に測った上方及び/又は下方支持面の長さが、第一脚部の幅若しくは第二脚部の幅のそれぞれ最大でも40%。より詳細には最大でも35%である。脚部が、各支持面に対して支持されることによって適切に支持されるように、下方及び/又は上方支持面の最低長さは、第一脚部の幅若しくは第二脚部の幅のそれぞれ15%、より詳細には25%である。
【0043】
本願において「z軸方向に」、若しくは他の軸の方向に、という場合は、各軸、この例ではz軸に平行な線に沿って測った長さを意味する。
【0044】
本発明の第三の特徴による別の実施態様によれば、鼻部はzx平面に対して傾斜している上方及び/又は下方ガイド面を有し、上方及び/又は下方支持面は、各鼻部の自由端から中央部の方向へ見ると、それぞれ上方又は下方ガイド面に隣接している。つまり、鼻部は、z軸方向に見て中央部から各鼻部の自由端まで測ると、その鼻部の支持面の長さよりも長い鼻部長さを有する。この実施態様におけるガイド面は、支持面と中央部との間に配置され、zx平面に対して傾斜している。ガイド面と支持面とは単一の傾斜面としてもよく、その場合、傾斜ガイド面と支持面とが互いに合流する。この二つの面はオフセットして(傾斜角度の違い)合流しても、オフセットせずに(同じ傾斜角度)合流しても良い。また、ガイド面をzx平面に対して傾斜させ、支持面をzx平面に対して平行に延在するようにしても良い。ガイド面は、構造物の設置中に、一つの被覆エレメントの脚部を他の二つの被覆エレメントの支持面に対して正しい位置へとガイドするので、被覆エレメントを、互い違いの屋根瓦的構造に、より簡単に配置することができる。さらにガイド面は、構造物が所定位置にある場合、被覆エレメントが互いに横方向に滑るのを防止するので、結果として生じる構造物の安定性を高める。ガイド面及び支持面を単一の傾斜面として形成し、互いに合流させると、このような被覆エレメントを本発明の第二の特徴による単一の構造物としてスロープ等の傾斜面上にいくつか配置すれば、地形の不整を補正することが容易になる。つまり、下の列の支持エレメントの位置は、地形の不整により、若しくは不正確な設置により、上の列の支持エレメントに対して意図された相対的位置から逸脱するので、傾斜するガイド/支持面により、上の列の被覆エレメントの脚部を、下の列の被覆エレメントの鼻部の支持面上のより高い点若しくはより低い点に接触させることができる。
【0045】
本発明の第三の特徴による被覆エレメントのさらに別の実施態様によれば、鼻部はzx平面方向に延在する上方及び/又は下方スペーサーを有し、上方及び/又は下方ガイド面は、鼻部の自由端から中央部の方向へ見ると、それぞれ上方又は下方スペーサーに隣接している。つまり鼻部は、z方向に見て鼻部の支持面と中央部との間に位置する鼻部の断面における高さよりも、支持面における鼻部の断面における高さの方が低い、y軸方向に見た鼻部高さを有する。ガイド面、スペーサー、及び中央部は、全て接続されている。スペーサーは大半がzx平面に対して平行に延在している。スペーサーにより、水平方向に並置された二つの被覆エレメントの脚部が、互いにさらに離間され、結果として材料(つまりコンクリート)の節約となる。スペーサーの最低長さは、z軸方向に測ると、脚部の幅の20%、例えば少なくとも30%としてもよい。ここでも、ガイド面及び隣接する支持面を、傾斜ガイド面と支持面とが互いに合流する単一傾斜面としても良い。この場合も、この二つの面はオフセットして合流しても、オフセットせずに合流しても良い。さらに、ガイド面をzx平面に対して傾斜させ、支持面をzx平面に対して平行に延在するようにしても良い。
【0046】
本発明の第三の特徴による被覆エレメントの別の実施態様によれば、各鼻部は、ガイド面として設計された上方支持面を有し、つまり支持面とガイド面とで全体を形成し、この面は中央部から見るとzx平面に対して下方に傾斜しており、第一脚部の底面の両側には、第一脚部の中央から見るとzx平面に対して上方に傾斜する上方傾斜部が設けられている。一方では支持面を下方に傾斜するガイド面として設計し、他方では脚部の底面に上方傾斜部を設けることにより、スロープ等の傾斜面上にこのような被覆エレメントを設置する際に、上にある被覆エレメントの脚部が、その上方傾斜部によって、下にある被覆エレメントの鼻部の下方傾斜部に沿って比較的容易にスライド可能となる。本発明の第三の特徴による別の実施態様によれば、下方傾斜の傾斜角度と上方傾斜の傾斜角度は略同じとしてもよい。
【0047】
本発明の第三の特徴による被覆エレメントの別の実施態様によれば、被覆部材の鼻部はそれぞれ二つの支持面を有する。これは各鼻部の頂面の支持面と各鼻部の底面の支持面である。
【0048】
本発明の被覆エレメントの別の実施態様によれば、第一脚部と第二脚部は同じ幅である。
【0049】
第四の特徴
本発明の第一、第二、第三、第五、第六、及び第七の特徴とは別の言葉で表現すると、本発明の第四の特徴は、以下のように表される被覆エレメントを提供する:
スロープ等の防波堤若しくは突堤構造物のためのコンクリート製被覆エレメントであって、
− x軸、y軸、及びz軸が、直交軸の仮想系を規定し、z軸とx軸とでzx平面を規定し、
− 被覆エレメントは、中央部、二つの鼻部、第一脚部及び第二脚部を備え、中央部、二つの鼻部、及び第一及び第二脚部は単一部品として形成され、
− 鼻部は、中央部からz軸方向に互いに反対方向に延在し、第一及び第二脚部は、中央部からx軸方向に互いに反対方向に延在し、
− 鼻部の少なくとも一方は、鼻部の第一長手方向側面から、鼻部の第一長手方向側面の反対側に位置する第二長手方向側面まで延在する鼻凹部を有する、被覆エレメント。
【0050】
従って鼻凹部は、鼻部の第一長手方向側面から、この第一長手方向側面の反対側に位置する第二長手方向側面また延在する。よって、鼻部の一方の長手方向側面から反対側の長手方向側面へ、鼻凹部を通って水が流れることができる。よって鼻凹部は、本発明の第四の特徴によるいくつかの被覆エレメントからなるスロープの、いわば間隙率を高める。本発明の第四の特徴による鼻凹部は、本発明の第一、第二、第三、第六、及び第七の特徴無しに、また第一、第二、第三、第六、及び第七の特徴の一つ以上と組み合わせて、応用することができる。
【0051】
本発明の第二の特徴と同様に、いわゆる屋根瓦的構造とされた本発明の第四の特徴による被覆エレメントは、傾斜面に対して支持されている下にある被覆エレメントの脚部が、上にある被覆エレメントの重量及び圧力によって、傾斜面に対して堅固に押圧され、傾斜面を滑り落ちないよう抵抗となるように、少なくとも一つの脚部が傾斜面に接触した状態で支持される。
【0052】
本発明の第四の特徴の別の実施態様によれば、鼻凹部は鼻部の自由端の表面に位置し、鼻部の自由端に窪みを形成する。
【0053】
本発明の第四の特徴の別の実施態様によれば、鼻凹部は鼻部中を通るいわゆる通路である。この実施態様は、鼻部の自由端に窪みとして形成された鼻凹部と組み合わせることもできる。各鼻部はいくつかの鼻凹部、一つ以上の上記通路、及び/又は一つ以上の上記窪みを有していてもよい。
【0054】
本発明の第四の特徴の被覆エレメントの実施態様によれば、第一長手方向側面と第二長手方向側面との間に、鼻凹部を通して仮想接続線を描くことができ、この接続線は、zx平面に対して角度を成している。この角度は、30°〜60°の範囲であってもよく、例えば45°とすることができる。鼻凹部がこのように傾斜していることにより、水が通過しにくくなり、よってスロープの防波堤/突堤作用が促進される。通路を通って流れる水は、より多くのエネルギーを消散する。
【0055】
本発明の第四の特徴の被覆エレメントの別の実施態様によれば、両方の鼻部が鼻凹部を有する。
【0056】
鼻部の適切な剛性を維持するために、本発明の第四の特徴によれば、鼻凹部は深すぎてはならない。最大限で鼻部の長さの60%の深さとすることができるが、好ましくは鼻凹部は鼻部の長さの40%よりも深くはしない。鼻部の長さは、ここでは鼻部の自由端からz軸方向に中央部まで測ったものである。鼻凹部の深さは、ここではz軸方向に規定される。鼻凹部が有効であるためには、鼻凹部の最小深さは、鼻部の長さの5%、例えば10%である。
【0057】
第五の特徴
本発明の第一、第二、第三、第四、第六、及び第七の特徴とは別の言葉で表現すると、本発明の第五の特徴は、以下のように表される被覆エレメントを提供する:
スロープ等の防波堤若しくは突堤構造物のためのコンクリート製被覆エレメントであって、
− x軸、y軸、及びz軸が、直交軸の仮想系を規定し、z軸とx軸とでzx平面を規定し、
− 被覆エレメントは、中央部、二つの鼻部、第一脚部及び第二脚部を備え、中央部、二つの鼻部、及び第一及び第二脚部は単一部品として形成され、
− 鼻部は、中央部からz軸方向に互いに反対方向に延在し、第一及び第二脚部は、中央部からx軸方向に互いに反対方向に延在し、
− 鼻部は上方及び下方支持面を有し、該支持面は、zx平面に対して平行に延在し、
− 下方支持面は、上方支持面に対してx軸方向にずれており、
− 上方支持面と下方支持面とは、互いにy軸方向に最大限でも部分的であるが重複している、被覆エレメント。
【0058】
本発明の第五の特徴によれば、鼻部の上方及び下方支持面は、x軸方向に見て互いにずれている。本願において、この相互のずれは単に「支持面の相互のずれ」という用語で表す。この「支持面の相互のずれ」の結果、支持面同士はy軸方向に見て完全には重複しない。特に支持面の一方若しくは両方の支持面は、y軸方向に見て他方の支持面が重複していない部分を有する。
【0059】
本発明の第二の特徴と同様に、いわゆる屋根瓦的構造とされた本発明の第五の特徴による被覆エレメントは、傾斜面に対して支持されている下にある被覆エレメントの脚部が、上にある被覆エレメントの重量及び圧力によって、傾斜面に対して堅固に押圧され、傾斜面を滑り落ちないよう抵抗となるように、少なくとも一つの脚部が傾斜面に接触した状態で支持される。
【0060】
「支持面の相互のずれ」によって、スロープ等の傾斜面上に積み重ねて配置される被覆エレメントの列の場合、相互のずれの方向(つまりx軸方向)に見て、積み重ねた列間の相互距離を大きくすることができる。一方ではこれは、被覆エレメントは、傾斜面やスロープ上に配置すると、傾斜面やスロープの傾斜角度のばらつきを補償することができることを意味する。つまり、傾斜面やスロープの傾斜角度の寸法精度はあまり重要ではないことになる。これにより、被覆エレメントの設置が非常に容易になる。他方ではこれは、傾斜面やスロープに沿って上方に見ると、傾斜面やスロープを被覆するために必要な被覆エレメントの列の数をこのようにして削減することができるので、使用する材料、つまりコンクリートの量を節約することができる。
【0061】
本発明の第五の特徴による被覆エレメントの別の実施態様によれば、下方支持面と上方支持面とが、y軸方向に見ると互いに重複しないように、上方支持面と下方支持面とが互いにx軸方向にずれている。
【0062】
本発明の第五の特徴による被覆エレメントの別の実施態様によれば、支持面は、支持面が設けられている鼻部の自由端に隣接していてもよい。
【0063】
本発明の第五の特徴による被覆エレメントの別の実施態様によれば、被覆エレメントはさらに、第三及び/又は第四脚部を備えていてもよく、該第三又は第四脚部は、中央部と共に単一部品として形成され、中央部からz軸方向に延在し、第三及び第四脚部を両方設ける場合には、両脚部は中央部から互いに反対方向に延在する。
【0064】
第六の特徴
本発明の第一、第二、第三、第四、第五、及び第七の特徴とは別の言葉で表現すると、本発明の第六の特徴は、以下のように表される被覆エレメントを提供する:
スロープ等の防波堤若しくは突堤構造物のためのコンクリート製被覆エレメントであって、
x軸、y軸、及びz軸が、直交軸の仮想系を規定し、
被覆エレメントが、中央部、二つの鼻部、第一脚部、及び第二脚部を備え、中央部、二つの鼻部、及び第一及び第二脚部が単一部品として形成され、
鼻部は中央部からz軸方向に互いに反対方向に延在し、第一及び第二脚部は中央部からx軸方向に互いに反対方向に延在し、
中央部には、被覆エレメントの底面から被覆エレメントの頂面までy軸方向に延在する通路が設けられ、該通路は、被覆エレメントの下方にあって被覆エレメントに上向きの圧力をかける水が、前記通路を通って逃げて、被覆エレメントを上向きの圧力から解放することができるように設計されている、被覆エレメント。
【0065】
スロープに対して大きな力で上方へ押し上げられる水は、被覆エレメントをいわば持ち上げようとする傾向があり、これにより被覆エレメントが地面にかける下方の圧力が減少してしまう。その結果、被覆エレメントは、水から受ける力によって変位してしまう場合がある。被覆エレメントの中央部を通して通路を設けることによって、これを効果的に防止することができる。この通路は被覆エレメントの底面を被覆エレメントの頂面に接続して、被覆エレメントを下から押し上げる水がこの通路を通って上方へ逃げることができるようにする。よって被覆エレメントを遥かにうまく設置することができる。この通路は略垂直に延在するが、垂直方向に対して傾斜して延在してもよい。
【0066】
本発明の第二の特徴と同様に、いわゆる屋根瓦的構造とされた本発明の第六の特徴による被覆エレメントは、傾斜面に対して支持されている下にある被覆エレメントの脚部が、上にある被覆エレメントの重量及び圧力によって、傾斜面に対して堅固に押圧され、傾斜面を滑り落ちないよう抵抗となるように、少なくとも一つの脚部が傾斜面に接触した状態で支持される。
【0067】
第七の特徴
本発明の第一、第二、第三、第四、第五、及び第六の特徴とは別の言葉で表現すると、本発明の第七の特徴は、以下のように表される被覆エレメントを提供する:
スロープ等の防波堤若しくは突堤構造物のためのコンクリート製被覆エレメントであって、
x軸、y軸、及びz軸が、直交軸の仮想系を規定し、z軸とx軸とでzx平面を規定し、z軸とy軸とでzy平面を規定し、
被覆エレメントは、中央部、二つの鼻部、第一脚部及び第二脚部を備え、中央部、二つの鼻部、及び第一及び第二脚部は単一部品として形成され、
鼻部は、中央部からz軸方向に互いに反対方向に延在し、第一及び第二脚部は、中央部からx軸方向に互いに反対方向に延在し、
・ 第二脚部の頂面はzx平面方向に延在し、中央部で、zy平面方向に延在する中央部の後側表面部分に隣接し、及び/又は
・ 第一脚部の底面はzx平面方向に延在し、中央部で、zy平面方向に延在する中央部の前側表面部分に隣接する、被覆エレメント。
【0068】
第二脚部の実質的に水平な頂面を中央部の実質的に垂直な後側表面部分に隣接させることにより、第二脚部に支持されている上の列の被覆エレメントのための当接面が形成され、これが、鼻部が下の被覆エレメントの中央部上若しくはこれを横切って滑ることがないよう防止する。同様に、第一脚部の実質的に水平な底面を中央部の実質的に垂直な前側表面部分に隣接させることにより、第一脚部の底面にも当接面が形成される。これが、上の被覆エレメントが下の二つの被覆エレメントの鼻部上若しくはこれを横切って滑ることがないよう防止する。
【0069】
本発明の第二の特徴と同様に、いわゆる屋根瓦的構造とされた本発明の第七の特徴による被覆エレメントは、傾斜面に対して支持されている下にある被覆エレメントの脚部が、上にある被覆エレメントの重量及び圧力によって、傾斜面に対して堅固に押圧され、傾斜面を滑り落ちないよう抵抗となるように、少なくとも一つの脚部が傾斜面に接触した状態で支持される。
【0070】
本発明の第七の特徴による被覆エレメントの別の実施態様によれば、前記後側表面部分は、第二脚部の頂面に対して実質的に直角である。
【0071】
本発明の第七の特徴による被覆エレメントの別の実施態様によれば、前記前側表面部分は、第一脚部の底面に対して実質的に直角である。
【0072】
以下に、図面を参照して、実施態様により本発明をさらに詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0074】
図1a及び
図1bは、本発明の第一の特徴による第一被覆エレメント100を示す。
図2a及び
図2bは、本発明の第一の特徴による第二被覆エレメント110を示し、
図3a及び
図3bは、本発明の第一の特徴による第三被覆エレメント120を示し、
図4a及び
図4bは、本発明の第一の特徴による第四被覆エレメント130を示し、
図5a及び
図5bは、本発明の第一の特徴による第五被覆エレメント140を示す。
図6は、
図5の第五被覆エレメントによる本発明の第二の特徴を示す。
図7〜
図12は第六被覆エレメントを示し、本発明の第一の特徴のみならず、本発明の第三、第四、及び第五の特徴が具現化されている。
図13は
図6の詳細を示すが、第五被覆エレメントを第六被覆エレメントで置き換えている。
図14〜
図19は本発明の第七被覆エレメントを示し、本発明の第一、第三、第四、第五、及び第六の特徴のみならず、本発明の第六及び第七の特徴も具現化されている。
図1〜
図6は、本発明の第三、第四、及び/又は第五の特徴による被覆エレメントの詳細は示していないが、
図1〜
図6に関してここに説明することは、
図7〜
図13に示す本発明の第一、第三、第四、及び/又は第五の特徴による被覆エレメント、並びに
図14〜
図19に示す本発明の第一、第三、第四、第五、第六、及び/又は第七の特徴による被覆エレメントにも、変更すべきところは変更して同様に当てはまることは明らかである。さらに、
図7〜
図13に関してここに説明することは、
図14〜
図19に示す本発明の第一、第三、第四、第五、第六、及び/又は第七の特徴による示される本発明の第一、第三、第四、第五、第六、及び/又は第七の特徴による被覆エレメントにも、変更すべきところは変更して同様に当てはまる。
【0075】
本発明の第一、第二、第三、第四、第五、第六、及び第七被覆エレメントを
図1〜
図23にそれぞれ異なる符号で示すが、全ての図面において対応する他の全ての項目には同じ符号及び記号を使用する。特に
図1a、
図1b、及び
図7では、本発明で用いる考え方をより理解しやすくするために、多くの符号を使用していることをここで指摘しておく。これらの符号/記号の多くは、
図2〜
図23では図面を明快でわかりやすくするために示していない。
【0076】
特に
図1a及び
図1bを参照して、図に示す本発明の実施態様による被覆エレメント100、110、120、130、140、150、及び160は、横断方向鼻部17、18を有するプレート部16で構成されており、横断方向鼻部17、18はプレート部の各側から突出している。x軸Xとy軸Yがxy平面を規定し、このxy平面がプレート部16が延在する方向に延在するように配置された直交軸X、Y、Zの系を思い浮かべると、鼻部17、18はプレート部16からz軸Zの方向に突出する。さらに、このプレート部16は、z軸Zの方向に見ると、厚さTを有する。プレート部16と鼻部17、18とで全体を形成している。鼻部17、18はプレート部16に固定されている。鼻部17、18は特にプレート部16と一体的に全体を形成している。
【0077】
図に示す本発明の実施態様によれば、被覆エレメント100、110、120、130、140、150、160が一般的にはコンクリート、場合によっては鉄筋コンクリートで作製されるとすると、本発明の被覆エレメントは単一部品として一気に型に流し込まれることは明らかであろう。しかしながら、コンクリート中に鉄筋が使用される場合、本発明の被覆エレメントが一連の工程でコンクリートから流し込まれ、連続する各工程で被覆エレメントの各部分が形成されることも考えられる。よって、例えばまず鼻部17、18の位置に鉄筋が突出した状態でプレート部16を流し込み、次いで第二工程において、鼻部17、18のための鉄筋を配置して、プレート部16から突出している鉄筋と接続し、その後、鼻部17、18のコンクリートを流し込む。これは、本発明の被覆エレメントを通常どのように製造するかの説明である。被覆エレメントをコンクリートからどのように作製できるかということ自体は、従来技術に記載されている。例えばWO 2004/009910の
図8を参照のこと。
【0078】
被覆エレメントの形状、特にプレート部16の形状をより詳細に説明するために、本願では、プレート部16は仮想四角形プレート1から作成されるものと仮定する。
図1aにおいて四角形プレート1は正方形であり、
図3a、
図4a、
図5aにおいても同様であるが、四角形プレートは台形や平行四辺形としてもよい。プレート1が平行四辺形の場合には、例えば
図1、
図3、
図4、
図5、及び
図7〜12に示すように正方形であってもよく、菱形や長方形であってもよい。短辺9、11と長辺8、10とを有する長方形のプレート1を例えば
図2aに示す。
【0079】
図1〜
図5及び
図7〜
図12を参照して、最初の仮想プレート1は、第一プレート対角線2及び第二プレート対角線3を有し、四つの仮想プレート角4、5、6、7、及び四つの仮想プレート辺8、9、10、11によってxy平面に境界される。第一プレート対角線2は、仮想プレート角4から仮想プレート角6まで延びて、y軸に平行である。第二プレート対角線3は、仮想プレート角5から仮想プレート角7まで延びて、x軸に平行である。仮想プレート辺8は仮想プレート角4から仮想プレート角7まで延び、仮想プレート辺9は仮想プレート角4から仮想プレート角5まで延び、仮想プレート辺10は仮想プレート角5から仮想プレート角6まで延び、仮想プレート辺11は仮想プレート角6から仮想プレート角7まで延びている。このような最初の仮想プレート1から出発して、
図1〜
図5、並びに
図7〜
図12及び
図14〜
図19のプレート部16の形状は以下のようにして得ることができる。
− 対向する二つの仮想プレート辺8、10の略中央部に切り込みを入れて、プレート凹部14、15を形成する。プレート凹部14、15は、図に示す被覆エレメント100、110、120、130、140、150、160ではそれぞれ略台形状である。
− 任意に、残りの対向する二つの仮想プレート辺9、11も略中央部に切り込みを入れて、プレート凹部19、20を形成する。プレート凹部19、20は、図に示す被覆エレメント100、110、120,130、140、150、160ではそれぞれ略台形状である。
− 第一プレート対角線2上にある両方の仮想角4、6を第一割線22に沿って切り落とす。第一割線22はそれぞれ仮想プレート辺を斜めに横切り、各切落し角を形成する。
− 任意に、第二プレート対角線上にある一方の仮想角を第二割線23に沿って切り落とす(
図5a)。第二割線23は、一方では第一割線22の一方と交差し、他方では第二割線23に沿って切り落とされた角7に隣接する仮想プレート辺11と交差する。
【0080】
図3の被覆エレメントでは、上述の任意の可能性はいずれも具現化されていない、つまり、対向する仮想プレート辺8、10のみに切り込みを入れ、対向する仮想プレート辺9、11には切り込みを入れず、第二プレート対角線3上にあるいずれの角も第二割線に沿って切り落としていない。
図5の実施態様では、上述の任意の可能性の両方が具現化されている、つまり、一方では、第二プレート対角線3上にあるプレート角7を第二割線23に沿って切り落とし、他方では、プレート凹部19、20を追加的に設けている。
図7〜
図12の実施態様及び
図14〜
図19の実施態様の形状は、
図5の実施態様の形状をさらに展開したものである。
【0081】
本発明の第一の特徴による被覆エレメント、並びに本発明の第三、第四、第五、第六、第七の特徴による被覆エレメントは、幾つかの脚部31、32、33の形式である突出部と、二つの鼻部17、18とを有する中央部30としても説明することができる。ここで脚部31、32、3は、仮想直交xyz系のxy平面等の平面上に延在している。二つの鼻部17、18は、中央部30から互いに反対方向に(例えば仮想xyz系のz軸方向に)突出し、
脚部31、32、33に対して直角(つまりxy平面に対して横断方向)である。三つの
脚部の場合もあるが、
図1〜
図5、
図7〜
図12、
図14〜
図19に示すように二つの
脚部31、32の場合もある。
図1〜
図5、
図7〜
図12、
図14〜
図19に示す
脚部31、32の場合は、
図1〜
図5に示すように、第一角部24、若しくは第二角部25にそれぞれ対応する。
【0082】
本発明の第一、第三、第四、第五、第六、及び第七の特徴による全ての被覆エレメントについて、最終プレート部16は、第一プレート対角線2に沿って測った第一寸法D1と、第二プレート対角線3に沿って測った第二寸法D2とを有し、この第一寸法D1は第二寸法D2よりも小さい。
【0083】
上述の通り、プレート部16を作製する方法は、最初の四角形プレートから、簡単に言うと、プレート辺に切り込みを入れてプレート凹部を形成し、一つ以上の角を切り落として形成されると仮想すべきものである。最初の仮想四角形プレート1は、厚さTの本物のコンクリートプレートであり、上述の通りプレート辺に切り込みを入れ、一つ以上の角を切り落とすものであると仮想されるが、実際には、先に説明した通り、本発明の被覆エレメントは型に直接流し込まれる、若しくは別の方法で型内で直接成形されるものである。また本発明の被覆エレメントを、プレート部16及び/又は鼻部17、18が中空となるように形成することも考えられるが、一般的にはプレート部16及び鼻部17、18の構造は、可能性として第四の特徴によるプレート凹部及び/又は第六の特徴による通路以外は、中実である。
【0084】
本発明をさらに説明する前に、本発明の第一、第二、第三、第四、第五、第六、及び第七の特徴による被覆エレメントのいくつかの基本的寸法を、より詳細な表示として下記に挙げておく。
− D2:1〜2m、例えば1.8m
− D1:D2の長さの35〜65%、例えばD2の長さの40%から50%
− T:D2の20〜30%
− H:D2の寸法の25〜40%(Hはプレート部16のz軸方向に見た鼻部17、18の高さ)
− TはHと等しいか略等しい
− A:D2の10〜15%(Aはプレート辺に対して垂直に測った対応する仮想プレート凹部の深さ)
− B:D2の20〜25%(Bは、ある仮想プレート凹部に関して、その仮想プレート凹部の深さAと同じ方向に測った鼻部の太さ)
− C:D2の35〜40%(Cは仮想プレート辺上で測った対応する仮想プレート凹部の幅)
− E:D2の20〜25%(Eは、ある仮想プレート凹部に関して、その仮想プレート凹部の幅Cと同じ方向に測った鼻部の幅)
− F:D2の15〜20%(Fはプレート凹部の底部で対応するプレート辺に対して平行に測ったプレート凹部の幅)
【0085】
上記寸法は単に、本発明の被覆エレメントを表す寸法を、実際の寸法からよりわかりやすく表すためのものである。この表示的な寸法は、
図1、
図2、
図3、及び
図4の実施態様に関するものである。角7を切り落とすことにより、寸法D2は、
図5、
図7〜
図12、及び
図14〜
図19の実施態様では短くなっているので、上記百分率による比率を全て調節することになる。短くなる度合いが割線23によって決まり、これが深さAのプレート凹部14の底部と重なるとすると、この比率は全て換算することができる。開始点は、
図5aの仮想四角形プレートの寸法が、
図1aの四角形プレート1の寸法と同じであるということである(同じことが
図7〜
図12の実施態様及び
図14〜
図19の実施態様についても当てはまる)。
【0086】
プレート凹部14、15と19、20とは異なる形状としてもよいが、
図1〜
図5、
図17〜
図12、及び
図14〜
図19の全ての実施態様において、これら凹部は、実質的に最も長い辺が対応する仮想プレート辺上にある台形である。例えば
図4aを参照すると、二つ又は四つの台形状切欠きが互いに同じではなくても良いことが明らかである。
図1a及び
図1bでは、図に示す被覆エレメントの台形状プレート凹部は、二つの平行な辺と二つの傾斜辺とを有している。二つの平行な辺のうち、長辺は長さB、短辺は長さFである。長さFの短辺は、台形状プレート凹部のいわば底部をなす。台形状プレート凹部は「高さ」Aであり、これがプレート凹部の深さを決める。
【0087】
図1〜
図5、
図7〜
図12、及び
図14〜
図19に示す本発明の被覆エレメントは全て、従来の防波堤/突堤構造物の被覆エレメントに基づいている。
−
図1a及び
図1bの被覆エレメントは、例えばWO 2004/009910の
図3〜
図5によって知られている被覆エレメントに基づいている。WO 2004/009910の
図3〜
図5から出発して、対向する二つの尖った突出部4を除去することにより、本願の
図1a及び
図1bの被覆エレメントに到達する。
−
図2a及び
図2bの被覆エレメントも同様に、WO 2004/009910の
図3〜
図5によって知られている被覆エレメントに基づいている。WO 2004/009910の
図3〜
図5の被覆エレメントは、正方形の基部を元として、そこからいわば細長い長方形の基部へと引き延ばされ、ここでも対向する二つの尖った突出部4を除去することにより、本願の
図2a及び
図2bの被覆エレメントに到達する。
− 本願の
図3a及び
図3bの被覆エレメントは、例えばUS3,614,866の
図1〜
図3によって知られている被覆エレメントに基づいている。US3,614,866の
図1〜
図3から出発して、突出片2aの一方と、これと直径方向に対向する突出片4aを除去することにより、本願の
図3a及び
図3bの被覆エレメントに到達する。
− 本願の
図4a及び
図4bの被覆エレメントは、例えばEP 1 165 894の
図1によって知られている被覆エレメントに基づいている。EP 1 165 894の
図1の被覆エレメントから、左上片と右下片をいわば除外することにより、本願の
図4a及び
図4bの被覆エレメントに到達する。本願の
図4a及び
図4bには二つの鼻部の一方、つまり鼻部17しか示されていない。鼻部18はこの
図4a及び
図4bでは見えない。xy平面を鏡像平面として、鼻部18は鼻部17の鏡像である。
− 本願の
図5a及び
図5bの被覆エレメント140は、本願の
図1a及び
図1bの被覆エレメント100と同じ被覆エレメントに基づいている。本願の
図1a及び
図1bに示す被覆エレメントから出発して、左上角7のさらに別の部分を削除する。本願の
図5a及び
図5bは二つの鼻部のうち一方、つまり鼻部17のみしか示していないことに留意する。鼻部18はこの図面5a及び
図5bでは見えない。xy平面を鏡像平面として、鼻部18は鼻部17の鏡像である。
− 本願の
図7〜
図12の被覆エレメントは、
図5a及び
図5bの被覆エレメント140に基づいている。被覆エレメント150は、被覆エレメント140を出発点として、とくに鼻部の構成をさらに本願の第三、第四、及び第五の特徴に合わせてさらに展開させたものである。
− 本願の
図14〜
図19の被覆エレメント160は、
図5a及び
図5bの被覆エレメント140に、或いはいわば
図7〜
図12の被覆エレメントにも基づいている。被覆エレメント160は、被服エレメント150に対して考えると、鼻部及び第一及び第二脚部の構成を、第三の特徴のさらなる展開に合わせ、第一及び第二脚部の構成を第七の特徴に合わせ、中央部の構成を第六の特徴に合わせて、さらに展開させたものである。
【0088】
以下に本発明の背景にある考え方をさらに詳細に説明する。
【0089】
WO 2004/009910等で知られている被覆エレメントは、非常に特有な構成であり、他の類似する複数の被覆エレメントと組み合わせることにより、防波堤やスロープを非常に安定的に被覆することができる。この特有の構成は、鼻部が各側の中央から突出しているX字型若しくはH字型の基部からなる。X字型/H字型基部の脚部及び鼻部は、合わせて六つの突出部を提供する。ここで、防波堤やスロープ上にこのような被覆エレメントを複数設置すると、この突出部が互いに係合(連結として知られる)して、地面に押し込まれる脚部及び/又は鼻部によって地面にしっかりと固定される。このようにして、非常に安定した被覆エレメントの層を得ることができる。相互の連結及び地面への固定により、被覆エレメントは所定位置にしっかりと置かれる。被覆エレメント間には必要な自由空間が生じるので、波が被覆エレメント間を通過し、内側に打ち付け、よって効果的に砕波することができる。
【0090】
ここで出願人は、X字型若しくはH字型の基部の対角線方向に対向する一つ又は二つの脚部を除去する(本発明の第一の特徴)と、隣接する被覆エレメントの連結及び地面への固定はもはや不可能となるが、本発明の複数の被覆エレメントによれば、それでもまだ防波堤/突堤構造物による非常に安定した被覆を実現することができるという見識を得た。本発明の被覆エレメントによって実現する被覆は、なおも多数の開口部を提供し、これを通して水を砕くことができる。よって、従来技術で知られている被覆エレメントの重要な利点をなおも実現することができる。その上さらに、本発明の被覆エレメントには、材料の消費、つまり必要とされるコンクリートの量が顕著に少なく、実現する被覆(本発明の第二の特徴)を非常に規則的なパターンで配置することができる(従来技術によるこのようなパターンはかなり不規則である)という利点がある。本発明の被覆エレメントで被覆を行う方が、同等の既知の被覆エレメントで被覆を行うよりも容易である。隣接する被覆エレメントの連結は、本発明の第七の特徴及び/又は本発明の第三の特徴の他の実施態様によって再導入することができる。
【0091】
材料つまりコンクリートのさらに顕著な節約は、元々X字型の基部の第三の腕部をさらに一部除去することにより行うことができると考えられる。これはこのような被覆エレメントで作製した被覆の防波堤/突堤性能を著しく損ねることなく、材料の実質的な節約となる。
【0092】
本発明の被覆エレメントは、例えば防波堤やスロープの斜面上に不規則な、更にはランダムなパターンで設置することができるが、本発明の被覆エレメント(本発明の第二の特徴による)は、
図6、
図13、及び
図20〜
図23により詳細に示すように、規則的なパターンで非常に効率的に設置することができる。このようなパターンで設置すると、本発明の被覆エレメント間に多くの隙間が残る。このような隙間は、一方で防波堤/突堤効果を提供すると共に、他方では必要とされる材料、特にコンクリートの量を相対的にかなり少なくすることができる。
【0093】
図6は斜面201を有するスロープ200を非常に概略的に示し、この傾斜面は下側の実質的に水平(この例では)な麓領域202で終止している。傾斜面200上には、この例では例えば四列203、204、205、206の被覆エレメント140が設置されている。各列203、204、205、206において、隣接する被覆エレメント140の鼻部17、18は一直線上に並んでいる。ここで鼻部17、18は互いに接触して配置しても良いが、図示するように互いに所定距離だけ離間して配置しても良い。ここで列203、204、205、206は、スロープの斜面に沿って互いに所定角度で上下に設置される。いずれの場合にも、上方の列は下方の列上に支持されている。よって列204の被覆エレメントは列203の被覆エレメントに支持され、列205の被覆エレメントは列204の被覆エレメントに支持され、列206の被覆エレメントは列205の被覆エレメントに支持される。
【0094】
図6からわかるように、全ての被覆エレメント140は、どれも第二プレート対角線3が略水平に配置されている。
【0095】
被覆エレメントの列を別の配置とすることも可能であるが、
図6、
図13、及び
図20〜
図23の被覆エレメントは、有利には互い違いに配置する。上方の列の被覆エレメントはいずれも第一角部分24つまり第一脚部31が、下方の列の二つの隣接する被覆エレメント140、150、160の鼻部17、18によって支持される。よって上の列の被覆エレメントの第一角部14(第一脚部31)は、いわば半分が下の列の一つの被覆エレメント140、150、160の鼻部17に、もう半分が下の列のもう一つの被覆エレメント140、150、160の鼻部18に支持されていることになる。上の方の列の被覆エレメントの鼻部18、17は、いずれも下方に位置する列の被覆エレメントの第二プレート対角線3上にある第二角部25つまり第二脚部32に支持されている。よって、上の列の被覆エレメントの一つの鼻部18は、下の列の一つの被覆エレメント140、150、160の第二角部25(第二脚部32)上に支持され、上の列の同じ被覆エレメントの他方の鼻部17は、下の列の別の一つの被覆エレメント140、150、160の第二角部25(第二脚部32)上に支持されている。従っていずれも、上の列の被覆エレメントは下の列の二つの被覆エレメントによって担持され、下の列の二つの被覆エレメントは、上の列の被覆エレメントに対して互い違いになっている。
【0096】
図6、
図13、及び
図20〜
図23に示す配置の被覆エレメント140、150、160はもはや底部側にいかなる突出部も有していないので、スロープの斜面201に沿って置かれた被覆エレメント140、150、160の底面はいわば浮いており、この被覆エレメント140、150、160は、主に第二角部25(第二脚部32)が斜面201に対して押圧されることになる。上の列の被覆エレメントの重量により、下の列の第二角部25(第二脚部32)は斜面201にしっかりと押し付けられ、よって固定され、その被覆エレメント140、150、160が斜面201に沿って下方へ滑るのを防止する。
【0097】
図6、
図13、及び
図20〜
図23からわかるように、被覆エレメント140、150、160間には多くの隙間が残されており、被覆エレメントの下方にも自由空間が残されているので、スロープに作用する水の波の作用をここで打ち砕くことができる。
【0098】
図6のスロープへの応用を
図5の被覆エレメント140によって示したが、被覆エレメント100、110、120、若しくは130、或いは
図13、及び
図20〜
図23に示すように、被覆エレメント150若しくは160もここで用いることができることは明らかである。
図5、
図7〜
図12、及び
図15〜
図19の被覆エレメント140、150、160では、角片7も部分的に切り取られている(つまり短くなっている)ので、コンクリートの実質的な量をさらに節約することができる一方で、このスロープの防波堤特性を保つことができる。
【0099】
図7〜
図12及び
図14〜
図19には、それぞれ本発明の第六被覆エレメントと第七被覆エレメントを示す。
【0100】
本発明の第三の特徴によれば、各鼻部17、18には上方支持面41及び下方支持面42が設けられる。これらの支持面41及び42は、zx平面に対して平行に延在する。上方支持面41のz軸方向の長さU4(
図9参照)は、第一脚部の幅B1(
図7)の50%よりも短い。下方支持面42のz軸方向の長さU5(
図9参照)は、第一脚部32の幅B2(
図7参照)の50%よりも短い。さらに、本発明の第三の特徴による別の実施態様によれば、各鼻部17、18の頂面には、zx平面に対して傾斜している上方ガイド面45が設けられる。同様に、各鼻部17、18の底面には、zx平面に対して傾斜している下方ガイド面46が設けられる。これらのガイド面は、被覆エレメント150を斜面に載置する際に、下方及び上方の脚部が支持面41及び42に対して正確に配置されるように案内する。本発明の第三の特徴の別の実施態様によれば、各鼻部17、18の頂面には、上方スペーサー45が設けられる。同様に、各鼻部17、18の底面には、下方スペーサー47が設けられる。スペーサー46、47は中央部30と支持面41、42との間に間隔を持たせる。
【0101】
図14〜
図19に示す本発明の第三の特徴の別の実施態様によれば、各鼻部の上方支持面41と上方ガイド面45とが一緒になって一つの傾斜ガイド面61となる。つまりここでは上方支持面は傾斜ガイド面61である。この傾斜ガイド面61の下方部は、最終的に上方の被覆エレメント160の第一脚部31の支持機能を果たし、この傾斜ガイド面61の上方部は、このような被覆エレメント160を傾斜面に載置すると、上の被覆エレメント160の第一脚部31の支持機能を果たす。上方支持面及び上方ガイド面を単一の傾斜ガイド面61として設計することにより、スロープ等の斜面上に、本発明の第二の特徴による構造物としてこのような被覆エレメント160をいくつか配置することによって、地形の不整を簡単に補正することができる。つまり、傾斜ガイド/支持面61によって、上の列の被覆エレメント160の脚部31は、下の列の被覆エレメント160の隣接する鼻部17、18に最適な支持位置を見出すことができる。
【0102】
図14〜
図19に示す本発明の第三の特徴による、各鼻部17、18の頂面にこのようなガイド面61を有する被覆エレメント160のさらに別の実施態様によれば、この傾斜ガイド面161は、xy平面で見ると下方へ傾斜しており、この傾斜は、第一脚部31の底面両側における上方への傾斜62の、zx面で見た上方への傾斜位置と一致する。支持面を下方へ傾斜する傾斜ガイド面61として構成する一方で、脚部の底面に上方への傾斜62を設けることにより、上の被覆エレメント160の上方への傾斜62を有する脚部31は、スロープ等の斜面上に被覆エレメント160を配置する際に、下の被覆エレメント160の鼻部17、18の下方への傾斜61に沿って比較的容易にスライドさせることができる。傾斜ガイド面61(本明細書において下方への傾斜61とも称する)の傾斜角度、及び上記上方への傾斜の傾斜角度は、互いに略等しい。
【0103】
本発明の第四の特徴によれば、各鼻部17、18に鼻凹部55が設けられる。
図7〜
図13及び
図14〜
図19に示すように、この鼻凹部55は、別の実施態様によれば、各鼻部17、18の自由端43、44に形成される窪みとすることができる。
【0104】
本発明の第五の特徴によれば、各鼻部17、18において、上方支持面41、61と下方支持面42とは、x軸方向に互いにオフセットしている。
図8に第六被覆エレメント150によって示すように、上方支持面41と下方支持面42とは、y軸方向に見ると、その長さの約50%にわたって互いに重複している。第七被覆エレメント160によって
図15に示す実施態様において、上方支持面61(ここでは傾斜ガイド面として構成されている)と下方支持面42とは、この実施態様では互いに重複していない。
【0105】
図6に示す被覆エレメントのパターンでスロープ上に配置された、本発明の第三の特徴による上方支持面41、61及び下方支持面42を有する被覆エレメント150、160を使用することにより、列中の被覆エレメント150の隣接する鼻部17、18間にいずれも中間領域60が生まれた(
図13及び
図20、
図22、
図23参照)。結局のところ、各支持面41、61、42のz軸方向の長さは、第一及び第二脚部31,32の幅の50%未満であり、互いに対向し隣接する二つの鼻部17、18の支持面の長さの合計は、上の列若しくは下の列の被覆エレメントの第一脚部31若しくは第二脚部32の幅の100%未満である。従って、被覆エレメントの各列毎にコンクリートの量が減少する。さらに、並んでいる被覆エレメントの150、160の隣接する鼻部17、18間に得られる特別な中間領域60は、スロープに作用する波の水が通過することができる通路を提供する。この波が持つ運動エネルギーは、この通過にかかる時間中に消散する。
【0106】
スロープ上に被覆エレメント150、160を
図6に示すようなパターンで配置して使用し、本発明の第四の特徴により、鼻凹部55を鼻部17、18の少なくとも一方に設けることにより、各被覆エレメント150、160に必要なコンクリートの量を削減することができる。従って、被覆エレメントの各列に必要なコンクリートの量も削減することができる。さらに、スロープに作用する波から来る水は、この鼻凹部55を通過する。この波が持つ運動エネルギーは、この通過にかかる時間中に消散する。この本発明の第四の特徴は、本発明の他の特徴とは分離して、その全体を応用することもできる。さらにこの本発明の第四の特徴は、本発明の第三の特徴と容易に組み合わせることもできる。特に、本発明の第三の特徴と第四の特徴とを組み合わせると、本発明の第四の特徴の別の実施態様による鼻凹部55が鼻部17、18の自由端43、44に形成された窪みである場合、スロープに作用する波のエネルギーの消散が顕著に改善する。この本発明の第四の特徴は、本発明の第七の特徴及び/又は本発明の第六の特徴とも容易に組み合わせることができる。本発明の第四の特徴は、本発明の第三の特徴及び/又は本発明の第七の特徴及び/又は本発明の第六の特徴と組み合わせても組み合わせなくても、本発明の第一の特徴なしでも非常に容易に応用することができる。
【0107】
スロープ上に被覆エレメント150、160を
図6に示すようなパターンで配置して使用し、本発明の第五の特徴により、各鼻部に下方支持面42と、下方支持面42に対してオフセットしている上方支持面41、61とを設けることにより、被覆エレメントの下方の列と、その直上に配置された被覆エレメントの列との間の、スロープに沿って上方へ見た場合の距離を増加させることができる。よって、スロープに沿って上向きのアングルで見ると、必要なコンクリートの量が減少する。この本発明の第五の特徴は、本発明の第三の特徴若しくは本発明の第四の特徴若しくは本発明の第三及び第四の両方の特徴と容易に組み合わせることができる。また、この本発明の第五の特徴は、本発明の第三及び/又は第四の特徴と組み合わせても組み合わせなくても、本発明の第六の特徴若しくは本発明の第七の特徴若しくは本発明の第六及び第七の両方の特徴と容易に組み合わせることができる。
【0108】
被覆エレメント160を、例えばスロープに、
図6及び
図20〜
図23に示すようなパターンで配置して使用することにより、本発明の第六の特徴により、中央部30を通る通路63を設けることにより、例えば風や潮流の作用によって被覆エレメントの下方に蓄積した水の圧力について、圧力除去を実現することができる。このような被覆エレメント下方で圧力下にある水は、この被覆エレメントを地面に置いておくための圧力を減少させる、つまりこの圧力下にある水は、被覆エレメントを持ち上げようとする傾向がある。このように、被覆エレメントは地面に対して及び/又は周囲にある別の被覆エレメントに対してスライドする。これは、このようないくつかの被覆エレメントの構造体の安定性並びに防波及び/又は突堤作用を低下させ、若しくは深刻な影響を与えるので望ましくない。上記通路63は、被覆エレメント160の底面64から頂面65へと中央部30を通って延在し、被覆エレメント160の下方に圧力が蓄積すると、水がこの通路63内を上昇することができる。よって、被覆エレメント160の下方の水の圧力を解放することができ、被覆エレメント160を堅固にその場に保つことができる。
【0109】
被覆エレメント160をスロープに、
図6及び
図20〜
図23に示すようなパターンで配置して使用することにより、本発明の第七の特徴により、第二脚部32の頂面53及び/又は第一脚部31の底面側52に、好ましくは実質的に垂直な当接部66、67を設けることにより、上の列の被覆エレメント160が、その下の列の被覆エレメント160を越えて前方へスライドすることを防止することができる。よって、被覆エレメントが地面に対して及び互いにずれることが防止される。このようなずれは、このようないくつかの被覆エレメントを含む構造体の安定性並びに防波及び/又は突堤作用を低下させ、或いは深刻な影響を与えるので、望ましくない。第二脚部32の頂面側53の当接部67は、例えば、通常はxy平面に対して平行に延在するが、xy平面に対して角度を為していてもよい、第二脚部32の頂面53が、中央部30において、中央部30のzy面の方向に延在する後側表面部分67に隣接することにより、実現することができる。被覆エレメントを傾斜面上に載置すると、上の列の被覆エレメント160の鼻部17、18の前面における
底縁部68が、下の列の被覆エレメント160の中央部30の前記後側表面部分67に接触するようになる。これを図示した
図21を参照のこと。第一脚部31の底面側52の当接部66は、例えば、通常はxy平面に対して平行に延在するが、xy平面に対して角度を為していてもよい第一脚部31の底面52が、中央部30において、中央部30のzy面の方向に延在する前側表面部分66に隣接することにより、実現することができる。被覆エレメントを傾斜面上に載置すると、下の列の被覆エレメント160の鼻部17、18の背面における
頂縁部69が、上の列の被覆エレメント160の中央部30の前記前側表面部分66に接触するようになる。
【0110】
上述のことより、本発明の第三の特徴、本発明の第四の特徴、本発明の第五の特徴、本発明の第六の特徴、及び本発明の第七の特徴のそれぞれを、別々に若しくはいかなる所望の組み合わせによっても、本発明の第二の特徴と容易に組み合わせることができることが明らかである。また上述のことより、本発明の第三の特徴、本発明の第四の特徴、本発明の第五の特徴、本発明の第六の特徴、及び本発明の第七の特徴のそれぞれを、別々に若しくはいかなる所望の組み合わせによっても、本発明の第一の特徴と容易に組み合わせることができることも明らかである。さらにまた上述のことより、本発明の第三の特徴、本発明の第四の特徴、本発明の第五の特徴、本発明の第六の特徴、及び本発明の第七の特徴のそれぞれを、別々に若しくはいかなる所望の組み合わせによっても、本発明の第一及び第二の特徴と容易に組み合わせることができることも明らかである。
【0111】
本発明の七つ全ての特徴及びそこから派生する実施態様は、下記のように表すこともできる。
【0112】
1] スロープや防波堤等の、防波堤若しくは突堤構造物のためのコンクリート製被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)であって、
− x軸(X)、y軸(Y)、及びz軸(Z)が、直交軸系等の仮想軸系を規定し、x軸(X)及びy軸(Y)がxy平面を規定し、z軸はxy平面に対して直角であり、
− 被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)は、プレート部(16)と二つの鼻部(17、18)とを備え、プレート部(16)はxy平面の方向に延在し、z軸(Z)の方向に延在する厚さ(T)を有し、二つの鼻部(17、18)はプレート部(16)からz軸方向に、互いに反対方向に突出し、プレート部と共に単一部品として形成され、
− プレート部(16)は、
〇 y軸に平行に延びる第一プレート対角線(2)と、x軸に平行に延びる第二プレート対角線(3)とを有する四角形プレート(1)から形成され、プレート(1)は、四つのプレート角(4、5、6、7)と四つのプレート辺(8、9、10、11)とによってxy平面に境界され、
〇 プレート(1)の対向する二つのプレート辺(8、10)には、それぞれのプレート辺の中央部に切り込みを入れて、プレート凹部(14、15)を形成し、
〇 プレート(1)の第一プレート対角線(2)上にある二つの角(4、6)の少なくとも一方を、第一割線(22)に沿って切り落とし、第一割線(22)は、各角を境界している二つの仮想プレート辺(8及び9、若しくは10及び11)を切り落とし
たものと仮想され、
− プレート部(16)は、第一プレート対角線(2)に沿って測った第一寸法(D1)と、第二プレート対角線(3)に沿って測った第二寸法(D2)とを有し、
− 第一寸法(D1)は第二寸法(D2)よりも小さい、
被覆エレメント。
【0113】
2] プレート(1)の第一プレート対角線(2)上に位置する両方の角(4、6)を、前記第一割線(22)に沿って切り落とした、第1節に記載した被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)。
【0114】
3] 前記第一寸法(D1)が第一プレート対角線(2)の長さの35%〜65%である、前記節の一つに記載した被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)。
【0115】
4] 前記第一寸法(D1)が第一プレート対角線(2)の長さの40%〜50%である、前記節の一つに記載した被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)。
【0116】
5] 第一割線(22)が直線状であり、第一プレート対角線(2)に対して70°〜90°の角度(α)、より詳細には80°〜90°、例えば90°の角度(α)である、前記節の一つに記載した被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)。
【0117】
6] プレート部(16)がさらに、四つ全てのプレート辺(8、9、10、11)に、それぞれのプレート辺の中央部に切り込みを入れて、プレート凹部(14、15、19、20)を形成するものと仮想される、前記節の一つに記載した被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)。
【0118】
7] プレート部がさらに、第二プレート対角線(3)上にある一方の角(7)が第二割線(23)に沿って切り落とされると仮想され、この第二割線(23)は一方では第一割線(22)の一方と交差し、他方では第二割線(23)に沿って切り落とされた角(7)に隣接するプレート辺(8又は11)の一方と交差する、第6節に記載した被覆エレメント(140、150、160)。
【0119】
8] 第二割線(23)は、第二割線(23)に沿って切り落とされた角(7)に隣接するプレート辺の一方(8)と並行に延在する、第7節に記載した被覆エレメント(140、150、160)。
【0120】
9] 第二割線(23)は、第二割線に沿って切り落とされた角(7)に隣接する仮想プレート辺の一方(8)から切り込まれたプレート凹部(14)の最深部に接触する、第7節又は第8節に記載した被覆エレメント(140、150、160)。
【0121】
10] xy平面方向に見ると各プレート凹部(14、15、19、20)は、z軸(Z)方向に各プレート凹部(14、15、19、20)を別々に見ると実質的に一定であるxy寸法を有する、前記節の一つに記載した被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)。
【0122】
11] 各プレート凹部(14、15、19、20)は、対応するプレート辺(8、10、9、11)に垂直な線から測ると、同じ方向で測った鼻部(17、18)の太さ(B)の少なくとも20%である深さ(A)を有し、鼻部(17、18)のこの太さ(B)は、鼻部(17、18)の端部からプレート(1)の厚さ(T)の約20%である距離(V)のところで測ったものである、前記節の一つに記載した被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)。
【0123】
12] 各プレート凹部(14、15、19、20)の深さ(A)が、同じ方向で測った鼻部(17、18)の厚さ(B)の少なくとも25%、例えば少なくとも30%である、第11節に記載した被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)。
【0124】
13] 各プレート凹部(14、15、19、20)が、対応するプレート辺(8、10、9、11)上でこれに沿って測ると、同じ方向で測った鼻部(17、18)の幅(E)の少なくとも80%である幅(C)を有し、鼻部(17、18)のこの幅(E)は、鼻部(17、18)の端部からプレート(1)の厚さ(T)の約20%である距離(V)のところで測ったものである、前記節の一つに記載した被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)。
【0125】
14] 各プレート凹部(14、15、19、20)の幅(C)が、同じ方向で測った鼻部(17、18)の幅(E)の少なくとも95%、例えば少なくとも100%である、第13節に記載した被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)。
【0126】
15] xy平面で見たプレート凹部(14、15、19、20)が台形であり、台形の最も長い辺が対応するプレート辺(8、10、9、11)上に位置する、前記節の一つに記載した被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)。
【0127】
16] z軸(Z)方向に見た鼻部(17、18)が、プレート部(16)の厚さ(T)の少なくとも80%、例えば100%以上である高さ(H)を有する、前記節の一つに記載した被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)。
【0128】
17] 鼻部(17、18)が、仮想四角形プレート(1)の中央に配置されている、前記節の一つに記載した被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)。
【0129】
18] xy平面方向に見た鼻部(17、18)の横断面形状が四角形、特に正方形である、前記節の一つに記載した被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)。
【0130】
19] プレート(1)上の各鼻部(17、18)の垂直突出方向に見た鼻部(17、18)の四角形横断面形状の各角(21)が、プレート辺(8、9、10、11)の中心点と鼻部(17、18)の中心点とを結ぶ仮想線上に略位置している、第18節に記載した被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)。
【0131】
20] プレート(1)上の各鼻部(17、18)の垂直突出方向に見た鼻部(17、18)の四角形横断面形状の各角(21)が、第一若しくは第二プレート対角線上に略位置している、第18節に記載した被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)。
【0132】
21] プレート部(16)の厚さ(T)が、プレート辺(8、9、10、11)のうちの一つの長さの約25%〜42%、例えば約1/3である、前記節の一つに記載した被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)。
【0133】
22] プレート部(16)の厚さ(T)が、第二プレート対角線(3)に沿って測った第二寸法(D2)の約20%〜30%である、前記節の一つに記載した被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)。
【0134】
23] プレート部(16)の厚さ(T)が、30cm〜150cmの範囲内である、前記節の一つに記載した被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)。
【0135】
24] プレート辺(8、9、10、11)のうちの一つの長さが90cm〜450cmの範囲内である、前記節の一つに記載した被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)。
【0136】
25] プレート辺(8、9、10、11)の長さが略等しい、前記節の一つに記載した被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)。
【0137】
26] 前記節の一つに記載した被覆エレメント(150、160)であって、
- z軸(Z)とx軸(X)とがzx平面を規定し、
- プレート部(1)が、中央部(30)と、第一脚部(31)と、第二脚部(32)とを備え、
− 鼻部(17、18)が中央部(30)からz軸(Z)方向に互いに反対方向に延在し、第一及び第二脚部(31、32)が中央部(30)からx軸(X)方向に互いに反対方向に延在し、
− 第一脚部(31)の底面(52)は、z軸(Z)に平行な第一幅(B1)を有し、第二脚部(32)の頂面(53)は、z軸(Z)に平行な第二幅(B2)を有し、
− 鼻部(17、18)は、
上方支持面及び/又は
下方支持面(41、42)を有し、この支持面(41、42)は各鼻部(17、18)の自由端(43、44)に隣接し、
− z軸(Z)に平行な方向において、支持面(41、42)は長さ(U4,U5)を有し、この長さ(U4、U5)は、第一脚部(31)の幅(B1)及び第二脚部(32)の幅(B2)のそれぞれ50%未満である、被覆エレメント(150、160)。
【0138】
27] スロープ等の防波堤若しくは突堤構造物のためのコンクリート製被覆エレメント(150、160)であって、
− x軸(X)、y軸(Y)、及びz軸(Z)が、直交軸の仮想系を規定し、z軸(Z)とx軸(X)とでzx平面を規定し、
− 被覆エレメント(150、160)が、中央部(30)、二つの鼻部(17、18)、第一脚部(31)、及び第二脚部(32)を備え、中央部(30)、二つの鼻部(17、18)、及び第一及び第二脚部(31、32)が単一部品として形成され、
− 鼻部(17、18)は中央部(30)からz軸(Z)方向に互いに反対方向に延在し、第一(31)及び第二(32)脚部は中央部(30)からx軸(X)方向に互いに反対方向に延在し、
− 第一脚部(31)の底面(52)はz軸(Z)に平行な第一幅(B1)を有し、第二脚部(32)の頂面(53)はz軸(Z)に平行な第二幅(B2)を有し、
− 鼻部(17、18)は
上方支持面及び/又は
下方支持面(41、42)を有し、この支持面(41、42)は各鼻部(17、18)の自由端(43、44)に隣接し、
− z軸(Z)に平行な方向において、支持面(41、42)は長さ(U4,U5)であり、この長さ(U4、U5)は、第一脚部(31)の幅(B1)及び第二脚部(32)の幅(B2)のそれぞれ50%未満である、
被覆エレメント。
【0139】
28] 上方及び/又は下方支持面(41、42)の長さ(U4、U5)が、第一脚部(31)の幅(B1)若しくは第二脚部(32)の幅(B2)のそれぞれ最大でも40%。例えば最大でも35%である、第26節又は第27節に記載した被覆エレメント(150、160)。
【0140】
29] 上方及び/又は下方支持面(41、42)の長さ(U4、U5)が、第一脚部(31)の幅(B1)若しくは第二脚部(32)の幅(B2)のそれぞれ少なくとも15%、例えば少なくとも25%である、第26節〜第28節のいずれか1節に記載した被覆エレメント(150、160)。
【0141】
30] 支持面(41、42)がxy平面に対して実質的に平行に延在する、第26節〜第29節のいずれか1節に記載した被覆エレメント(150、160)。
【0142】
31] 鼻部(17、18)が、zx平面に対して傾斜している上方及び/又は下方ガイド面(45、46)を有し、上方及び/又は下方支持面(41、42)は、各鼻部(17、18)の自由端(43、44)から中央部(30)の方向へ見ると、それぞれ上方又は下方ガイド面(45、46)に隣接している、第26節〜第30節のいずれか1節に記載した被覆エレメント(150、160)。
【0143】
32] 鼻部(17、18)が、zx平面方向に延在する上方及び/又は下方スペーサー(47、48)を有し、鼻部が、zx平面に対して傾斜している上方及び/又は下方ガイド面(45、61;46)を有し、この上方及び/又は下方ガイド面は、鼻部(17、18)の自由端(43、44)から中央部(30)の方向へ見ると、それぞれ上方又は下方スペーサーに隣接している、第26節〜第31節のいずれか1節に記載した被覆エレメント(150、160)。
【0144】
33] 上方及び/又は下方スペーサー(47、48)が、z軸(Z)に沿って測った長さ(それぞれV1、V2)を有し、この長さ(V1、V2)が、第一脚部(31)の幅(B1)若しくは第二脚部(32)の幅(B2)のそれぞれ20%よりも長い、例えば少なくとも30%である、第31節に記載した被覆エレメント(150、160)。
【0145】
34] 各鼻部(17、18)が、ガイド面(61)として設計された上述の上方支持面を有し、このガイド面は、中央部(30)から見るとzx平面に対して下方に傾斜しており、第一脚部(31)の底面の両側には、第一脚部の中央から見るとzx平面に対して上方に傾斜する上方傾斜部(62)が設けられている、第26節〜第29節又は第31節〜第32節のいずれか1節に記載した被覆エレメント(150、160)。
【0146】
35] 下方傾斜の傾斜角度と上方傾斜の傾斜角度が同じである、第31節に記載した被覆エレメント(150、160)。
【0147】
35] 各鼻部(17、18)が、下方及び上方支持面(41、42)を有する、先行する第26節〜第34節に記載した被覆エレメント(150、160)。
【0148】
37] 第一脚部(31)の第一幅(B1)が第二脚部(32)の第二幅(B2)に等しい、先行する第26節〜第35節のいずれか1節に記載した被覆エレメント(150、160)。
【0149】
38] 先行するいずれか1節に記載した被覆エレメント(150、160)であって、
- z軸(Z)とx軸(X)とでzx平面を規定し、
- 鼻部(17、18)が中央部(30)からz軸(Z)の方向に互いに反対方向に延在し、第一及び第二脚部(31、32)が中央部(30)からx軸(X)方向に互いに反対方向に延在し、
− 鼻部(17、18)の少なくとも一方は、鼻部(17、18)の第一長手方向側面(50)から、鼻部(17、18)の第一長手方向側面(50)の反対側に位置する第二長手方向側面(51)まで延在する鼻凹部(55)を有する、被覆エレメント(150、160)。
【0150】
39] スロープ等の防波堤若しくは突堤構造物のためのコンクリート製被覆エレメント(150、160)であって、
− x軸(X)、y軸(Y)、及びz軸(Z)が、直交軸の仮想系を規定し、z軸(Z)とx軸(Z)とでzx平面を規定し、
− 被覆エレメント(150、160)は、中央部(30)、二つの鼻部(17、18)、第一脚部(31)及び第二脚部(32)を備え、中央部(30)、二つの鼻部(17、18)、及び第一及び第二脚部(31、32)は単一部品として形成され、
− 鼻部(17、18)は、中央部(30)からz軸(Z)方向に互いに反対方向に延在し、第一(31)及び第二脚部(32)は、中央部(30)からx軸(X)方向に互いに反対方向に延在し、
− 鼻部(17、18)の少なくとも一方は、鼻部(17、18)の第一長手方向側面(50)から、鼻部(17、18)の第一長手方向側面(50)の反対側に位置する第二長手方向側面(51)まで延在する鼻凹部(55)を有する、被覆エレメント(150、160)。
【0151】
40] 鼻凹部(55)が、鼻部(17、18)の自由端(43、44)に形成された窪みである、第37節〜第39節のいずれか1節に記載した被覆エレメント(150、160)。
【0152】
41] 第一長手方向側面(50)と第二長手方向側面(51)との間に、鼻凹部(55)を通して仮想接続線(54)を描くことができ、この接続線(54)は、zx平面に対して角度を成している、第37節〜第39節のいずれか1節に記載した被覆エレメント(150、160)。
【0153】
42] 両方の鼻部(17、18)が上述の鼻凹部(55)を有する、第37節〜第40節のいずれか1節に記載した被覆エレメント(150、160)。
【0154】
43] 鼻凹部(55)がz軸(Z)方向に深さ(U1)を有し、鼻部(17、18)は、z軸(Z)方向に見て中央部(30)から各鼻部(17、18)の自由端(43、44)まで測ると、鼻部長さ(N)を有し、鼻凹部(55)の深さ(U1)は、鼻部長さ(N)の最大でも60%、例えば最大でも40%である、第37節〜第41節のいずれか1節に記載した被覆エレメント(150、160)。
【0155】
44] 鼻凹部(55)の深さ(U1)が、鼻部長さ(N)の少なくとも5%、例えば少なくとも10%である、第37節〜第42節のいずれか1項に記載した被覆エレメント(150、160)。
【0156】
45] 先行する節の1節に記載した被覆エレメント(150、160)であって、
z軸(Z)とx軸(X)とでzx平面を規定し、
鼻部(17、18)は上方及び下方支持面(41、42)を有し、この支持面(41、42)は、大半がzx平面に対して平行に延在し、
鼻部(17、18)は、中央部からz軸(Z)方向に互いに反対方向に延在し、第一及び第二脚部(31、32)は、中央部(30)からx軸(X)方向に互いに反対方向に延在し、
下方支持面(42)は、上方支持面(41)に対してx軸(X)方向にずれており、上方支持面(41)と下方支持面(42)とは、互いにy軸(Y)方向に最大限でも部分的であるが重複している、被覆エレメント(150、160)。
【0157】
46] スロープ等の防波堤若しくは突堤構造物のためのコンクリート製被覆エレメント(150、160)であって、
− x軸(X)、y軸(Y)、及びz軸(Z)が、直交軸の仮想系を規定し、z軸(Z)とx軸(Z)とでzx平面を規定し、
− 被覆エレメント(150、160)は、中央部(30)、二つの鼻部(17、18)、第一脚部(31)及び第二脚部(32)を備え、中央部(30)、二つの鼻部(17、18)、及び第一及び第二脚部(31、32)は単一部品として形成され、
− 鼻部(17、18)は、中央部(30)からz軸(Z)方向に互いに反対方向に延在し、第一(31)及び第二脚部(32)は、中央部(30)からx軸(X)方向に互いに反対方向に延在し、
− 鼻部(17、18)は上方及び下方支持面(41、42)を有し、この支持面(41、42)は、zx平面に対して平行に延在し、
− 下方支持面(42)は、上方支持面(41)に対してx軸(X)方向にずれており、
− 上方支持面(41)と下方支持面(42)とは、互いにy軸(Y)方向に最大限でも部分的であるが重複している、被覆エレメント(150、160)。
【0158】
47] 下方支持面(42)と上方支持面(41)とが、y軸方向に見ると互いに重複しないように、上方支持面(41)と下方支持面(42)とが互いにx軸方向にずれている、第44節〜第45節の1節に記載した被覆エレメント(150、160)。
【0159】
48] 上方及び下方支持面(41、42)が設けられている鼻部(17,18)の自由端(43、44)に隣接している、第44節〜第46節の1節に記載した被覆エレメント(150、160)。
【0160】
49] 先行する節の1節に記載した被覆エレメント(160)であって、
プレート部(1)が、中央部(30)、第一脚部(31)、及び第二脚部(32)を備え、
鼻部(17、18)は、中央部(30)からz軸(Z)方向に互いに反対方向に延在し、第一(31)及び第二脚部(32)は、中央部(30)からx軸(X)方向に互いに反対方向に延在し、
中央部(30)には、被覆エレメント(160)の底面(64)から被覆エレメント(160)の頂面(65)までy軸(Y)方向に延在する通路(63)が設けられ、この通路(63)は、被覆エレメント(160)の下方にあって被覆エレメント(160)に上向きの圧力をかける水が、この通路(63)を通って逃げて、被覆エレメント(160)を上向きの圧力から解放することができるように設計されている、被覆エレメント(160)。
【0161】
50] スロープ等の防波堤若しくは突堤構造物のためのコンクリート製被覆エレメント(160)であって、
x軸(X)、y軸(Y)、及びz軸(Z)が、直交軸の仮想系を規定し、
被覆エレメント(160)が、中央部(30)、二つの鼻部(17、18)、第一脚部(31)、及び第二脚部(32)を備え、中央部(30)、二つの鼻部(17、18)、及び第一及び第二脚部(31、32)が単一部品として形成され、
鼻部(17、18)は中央部(30)からz軸(Z)方向に互いに反対方向に延在し、第一(31)及び第二(32)脚部は中央部(30)からx軸(X)方向に互いに反対方向に延在し、
中央部(30)には、被覆エレメント(160)の底面(64)から被覆エレメント(160)の頂面(65)までy軸(Y)方向に延在する通路(63)が設けられ、この通路(63)は、被覆エレメント(160)の下方にあって被覆エレメント(160)に上向きの圧力をかける水が、この通路(63)を通って逃げて、被覆エレメント(160)を上向きの圧力から解放することができるように設計されている、被覆エレメント(160)。
【0162】
51] 先行する節の1節に記載した被覆エレメント(160)であって、
z軸(Z)とx軸(X)とでzx平面を規定し、z軸(Z)とy軸(Y)とでzy平面を規定し、
プレート部(1)が、中央部(30)と、第一脚部(31)と、第二脚部(32)とを備え、
鼻部(17、18)が中央部(30)からz軸(Z)方向に互いに反対方向に延在し、第一及び第二脚部(31、32)が中央部(30)からx軸(X)方向に互いに反対方向に延在し、
・ 第二脚部(32)の頂面(53)はzx平面方向に延在し、中央部(30)で、zy平面方向に延在する中央部(30)の後側表面部分(67)に隣接し、及び/又は
・ 第一脚部(31)の底面(52)はzx平面方向に延在し、中央部(30)で、zy平面方向に延在する中央部(30)の前側表面部分(66)に隣接する、被覆エレメント(160)。
【0163】
52] スロープ等の防波堤若しくは突堤構造物のためのコンクリート製被覆エレメント(160)であって、
x軸(X)、y軸(Y)、及びz軸(Z)が、直交軸の仮想系を規定し、z軸(Z)とx軸(X)とでzx平面を規定し、z軸(Z)とy軸(Y)とでzy平面を規定し、
被覆エレメント(160)は、中央部(30)、二つの鼻部(17、18)、第一脚部(31)及び第二脚部(32)を備え、中央部(30)、二つの鼻部(17、18)、及び第一及び第二脚部(31、32)は単一部品として形成され、
鼻部(17、18)は、中央部(30)からz軸(Z)方向に互いに反対方向に延在し、第一(31)及び第二脚部(32)は、中央部(30)からx軸(X)方向に互いに反対方向に延在し、
・ 第二脚部(32)の頂面(53)はzx平面方向に延在し、中央部(30)で、zy平面方向に延在する中央部(30)の後側表面部分(67)に隣接し、及び/又は
・ 第一脚部(31)の底面(52)はzx平面方向に延在し、中央部(30)で、zy平面方向に延在する中央部(30)の前側表面部分(66)に隣接する、被覆エレメント(160)。
【0164】
53] 後側表面部分(67)は、第二脚部(32)の頂面(53)に対して実質的に直角である、第50節〜第51節の1節に記載した被覆エレメント(160)。
【0165】
54] 前側表面部分(66)は、第一脚部(31)の底面(52)に対して実質的に直角である、第50節〜第52節の1節に記載した被覆エレメント(160)。
【0166】
55] 被覆エレメント(150、160)はさらに、第三(33)及び第四脚部(34)を備え、第三及び第四脚部は、中央部(30)と共に単一部品として形成され、中央部(30)からy軸(Y)方向に互いに反対方向に延在する、第26節〜第53節の1節に記載した被覆エレメント(150、160)。
【0167】
56] 被覆エレメント(150、160)はさらに第三脚部(33)を備え、第三脚部は、中央部(30)と共に単一部品として形成され、中央部(30)からy軸(Y)方向に延在する、第1節〜第53節の1節に記載した被覆エレメント(150、160)。
【0168】
57] X字型若しくはH字型プレート部(16)から形成されるタイプの複数の被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)を備える防波堤若しくは突堤構造物(200)であって、該プレート部は、
・ X字型若しくはH字型によって決定される四つの脚部(31、32、33、34)を有し、そのうちの二つ(33、34)はプレート部(16)の第一対角線(2)上にあり、二つ(31、32)はプレート部(16)の第二対角線(3)上にあり、
・ プレート部に対して直角で、プレート部から互いに反対方向に突出する二つの鼻部(17、18)を有し、
第一対角線上に位置する二つの脚部(33、34)のうち少なくとも一方は、プレート部(16)から除去され、
複数の被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)は、スロープ(200)上に積み重ねられて水平な列(203、204、205、206)に並べられ、各列の隣接する被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)の鼻部(17、18)は一直線上に並び、各被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)の第二対角線(3)は水平に配向され、
第二対角線(3)上に位置する各列(204、205、206)の被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)の脚部のうち第一(31)のものは、下の列(203、204、205)の隣接する被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)の二つの隣接する鼻部(17、18)上に支持され、第二対角線上に位置する当該列の被覆エレメントの脚部のうち他のもの(32)は、スロープ上に支持される、防波堤若しくは突堤構造物(200)。
【0169】
58] 第1節〜第55節のうち1節に記載した複数の被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)を備える防波堤若しくは突堤構造物(200)。
【0170】
59] 被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)が、第一プレート対角線(2)が実質的に垂直な状態でスロープ(200)上に積み重ねられて水平な列(203、204、205、206)に配置され、
各列(203、204、205、206)の隣接する被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)の鼻部(17、18)は一直線上に並び、
上の列(204、205、206)の被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)の第一角部(24)は、いずれの場合も、下の列(203、204、205)の隣接する被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)の二つの隣接する鼻部(17、18)上に支持され、第一角部は第二プレート対角線(3)上に位置し、
上の列(204、205、206)の被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)の鼻部(17、18)は、いずれの場合も、下の列(203、204、205)の被覆エレメント(100、110、120、130、140、150、160)の第二角部(25)上に支持され、第二角部は第二プレート対角線(3)上に位置する、
第57節に記載した構造物(200)。
【0171】
60] 第二プレート対角線(3)上の切り落とした角部(7)は、いずれの場合もスロープとは反対側を向いており、第二割線(23)が上に面している、第7節〜第9節のうち少なくとも1節と組み合わせた第58節に記載した構造物(200)。