(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6852162
(24)【登録日】2021年3月12日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】電極を備える汎用イヤー・デバイス
(51)【国際特許分類】
H04R 25/00 20060101AFI20210322BHJP
A61B 5/256 20210101ALI20210322BHJP
A61B 5/369 20210101ALI20210322BHJP
H04R 25/02 20060101ALI20210322BHJP
H04R 1/10 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
H04R25/00 G
A61B5/04 300M
A61B5/04 320A
H04R25/02 C
H04R1/10 104Z
【請求項の数】22
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-530716(P2019-530716)
(86)(22)【出願日】2016年12月9日
(65)【公表番号】特表2020-513709(P2020-513709A)
(43)【公表日】2020年5月14日
(86)【国際出願番号】EP2016080447
(87)【国際公開番号】WO2018103861
(87)【国際公開日】20180614
【審査請求日】2019年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】515283703
【氏名又は名称】ティ・オ・ドォッブルビィ・エンジニアリング・アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110001830
【氏名又は名称】東京UIT国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】アンデルセン・ミケール
(72)【発明者】
【氏名】ランク・マイク・リンド
(72)【発明者】
【氏名】トフト・ハンス・オーラフ
(72)【発明者】
【氏名】キドモーセ・プレベン
(72)【発明者】
【氏名】カペル・スィモン・リンド
【審査官】
齊田 寛史
(56)【参考文献】
【文献】
中国実用新案第205697764(CN,U)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0140567(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0112277(US,A1)
【文献】
特開2013−146371(JP,A)
【文献】
特開2011−5176(JP,A)
【文献】
特表2009−537266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 25/00−25/02
A61B 5/256
A61B 5/369
H04R 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の耳に配置され,かつ使用時に皮膚接触して生体電気信号を検出する少なくとも2つの電極を備えるイヤー・デバイスであって,
上記イヤー・デバイスが,
人の外耳道内に配置されるように構成される変形可能な耳穴部,および
外耳道の外側の耳に配置されるように構成され,生体電気信号を検出する少なくとも1つの外耳電極を備える外耳部を備え,上記外耳部が,上記耳穴部に接続され,かつ使用時に上記少なくとも1つの外耳電極が皮膚に押し付けられるように圧力を加えるように構成された少なくとも1つの屈曲可能アームを備え,
上記屈曲可能アームの少なくとも一部が,耳の甲介領域および耳珠領域の少なくとも一方に配置されるように構成され,かつ上記甲介および耳珠の少なくとも一方の形状に沿うようにさらに構成された甲介部および耳珠部の少なくとも一方であり,上記屈曲可能アームが好ましくは上記耳穴部から上記甲介中および上記耳珠の少なくとも一方の少なくとも一点にまで延び,そこで上記少なくとも1つの外耳電極が保持される,
イヤー・デバイス。
【請求項2】
上記耳穴部が生体電気信号を検出する少なくとも1つの耳穴電極を備え,上記耳穴部が外耳道内に配置されるときに変形するように構成された構造に上記少なくとも1つの耳穴電極が配置され,これによって上記少なくとも1つの耳穴電極が外耳道の皮膚に押し付けられる,
請求項1に記載のイヤー・デバイス。
【請求項3】
上記耳穴部が,使用時に外耳道の上部にのみ接触するように形成されている,請求項1に記載のイヤー・デバイス。
【請求項4】
生体電気信号処理装置および電源を保持するユニットへの着脱自在接続を備えている,請求項1に記載のイヤー・デバイス。
【請求項5】
上記生体電気信号がEEG信号である,請求項1に記載のイヤー・デバイス。
【請求項6】
上記屈曲可能アームが上記少なくとも1つの外耳電極を保持するように構成されている,請求項1に記載のイヤー・デバイス。
【請求項7】
上記屈曲可能アームの少なくとも一部が,使用時に,耳領域の後方に延びる,すなわち頭部に面する外耳の側部に延びるように構成された屈曲可能耳掛け部である,請求項1に記載のイヤー・デバイス。
【請求項8】
上記耳掛け部が少なくとも1つの耳掛け電極を備え,使用時に上記少なくとも1つの耳掛け電極が外耳および/または頭部の皮膚に押し付けられるように,上記耳掛け部が圧力を加えるように構成されている,請求項7に記載のイヤー・デバイス。
【請求項9】
上記外耳部が空洞を備え,そこに上記外耳電極および/または上記耳掛け電極を接続するための電気配線が引き回されている,請求項8に記載のイヤー・デバイス。
【請求項10】
上記外耳道に沿う上記耳穴部の軸と,上記外耳部,特に上記屈曲可能アームによって規定される平面との間の角度が,人の耳にしたがって調整可能であり,上記角度が好ましくはロック可能である,請求項1に記載のイヤー・デバイス。
【請求項11】
上記イヤー・デバイスが,少なくとも1つの検出された生体電気信号に依存して音響警告信号を出力するように構成される音響警告モジュールをさらに備えている,請求項1に記載のイヤー・デバイス。
【請求項12】
請求項1に記載のイヤー・デバイス(複数)のセットであって,上記セットに含まれる上記デバイスの形状が同じであるが,それぞれのデバイスのサイズが異なっている,イヤー・デバイスのセット。
【請求項13】
上記耳穴部が生体電気信号を検出する少なくとも1つの耳穴電極を備え,上記耳穴部が外耳道内に配置されるときに変形するように構成された構造に上記少なくとも1つの耳穴電極が配置され,これによって上記少なくとも1つの耳穴電極が外耳道の皮膚に押し付けられ,上記耳穴部が使用中に外耳道の上部のみに接触するように形成されている,請求項1に記載のイヤー・デバイス。
【請求項14】
上記耳穴部が,使用時に外耳道の上部のみに接触するように形成されており,上記屈曲可能アームの少なくとも一部が,耳の甲介領域に配置されるように構成され,かつ上記甲介の形状に沿うようにさらに構成された甲介部であり,上記屈曲可能アームが好ましくは上記耳穴部から上記甲介中の少なくとも一点にまで延び,そこで上記少なくとも1つの外耳電極が保持される,請求項1に記載のイヤー・デバイス。
【請求項15】
上記耳穴部が使用時に外耳道の上部のみに接触するように形成されており,上記屈曲可能アームの少なくとも一部が,耳の耳珠領域に配置されるように構成され,かつ上記耳珠の形状に沿うようにさらに構成された耳珠部であり,上記屈曲可能アームが好ましくは上記耳穴部から上記耳珠の少なくとも一点にまで延び,そこで上記少なくとも1つの外耳電極が保持される,請求項1に記載のイヤー・デバイス。
【請求項16】
上記耳穴部が,使用時に外耳道の上部にのみ接触するように形成されており,上記屈曲可能アームの少なくとも一部が,使用時に,耳領域の後方に延びる,すなわち頭部に面する外耳の側部に延びるように構成された屈曲可能耳掛け部であり,上記耳掛け部が好ましくは少なくとも一つの耳掛け電極を備え,使用時に上記少なくとも1つの耳掛け電極が外耳および/または頭部の皮膚に押し付けられるように,上記耳掛け部が圧力を加えるように構成されている,請求項1に記載のイヤー・デバイス。
【請求項17】
上記屈曲可能アームの少なくとも一部が,耳の甲介領域に配置されるように構成され,かつ上記甲介の形状に沿うようにさらに構成される甲介部であり,上記屈曲可能アームが好ましくは上記耳穴部から上記甲介中の少なくとも一点にまで延び,そこで上記少なくとも一つの外耳電極が保持され,上記屈曲可能アームの少なくとも一部が,耳の耳珠領域に配置されるように構成され,かつ上記耳珠の形状に沿うようにさらに構成される耳珠部であり,上記屈曲可能アームが好ましくは上記耳穴部から上記耳珠の少なくとも一点にまで延び,そこで上記少なくとも1つの外耳電極が保持される,請求項1に記載のイヤー・デバイス。
【請求項18】
上記屈曲可能アームの少なくとも一部が,耳の甲介領域に配置されるように構成され,かつ上記甲介の形状に沿うようにさらに構成される甲介部であり,上記屈曲可能アームが好ましくは上記耳穴部から上記甲介中の少なくとも一点にまで延び,そこで上記少なくとも一つの外耳電極が保持され,上記屈曲可能アームの少なくとも一部が,使用時に,耳の後ろの領域に延びる,すなわち頭部に面する外耳の側部に延びるように構成される屈曲可能耳掛け部であり,上記耳掛け部が好ましくは少なくとも一つの耳掛け電極を備え,使用時に上記少なくとも1つの耳掛け電極が外耳および/または頭部の皮膚に押し付けられるように,上記耳掛け部が圧力を加えるように構成されている,請求項1に記載のイヤー・デバイス。
【請求項19】
上記屈曲可能アームの少なくとも一部が,耳の耳珠領域に配置されるように構成され,かつ上記耳珠の形状に沿うようにさらに構成される耳珠部であり,上記屈曲可能アームが好ましくは上記耳穴部から上記耳珠の少なくとも一点にまで延び,そこで上記少なくとも一つの外耳電極が保持され,上記屈曲可能アームの少なくとも一部が,使用時に,耳領域の後方に延びる,すなわち頭部に面する外耳の側部に延びるように構成された屈曲可能耳掛け部であり,上記耳掛け部が好ましくは少なくとも1つの耳掛け電極を備え,使用時に上記少なくとも1つの耳掛け電極が外耳および/または頭部の皮膚に押し付けられるように,上記耳掛け部が圧力を加えるように構成されている,請求項1に記載のイヤー・デバイス。
【請求項20】
上記耳穴部が使用時に外耳道の上部のみに接触するように形成され,上記屈曲可能アームの少なくとも一部が,耳の甲介領域に配置されるように構成され,かつ上記甲介の形状に沿うようにさらに構成された甲介部であり,上記屈曲可能アームが好ましくは上記耳穴部から上記甲介中の少なくとも一点にまで延び,そこで上記少なくとも1つの外耳電極が保持され,上記屈曲可能アームの少なくとも一部が,耳の耳珠領域に配置されるように構成され,かつ上記耳珠の形状に沿うようにさらに構成された耳珠部であり,上記屈曲可能アームが好ましくは上記耳穴部から上記耳珠の少なくとも一点にまで延び,そこで上記少なくとも1つの外耳電極が保持され,上記屈曲可能アームの少なくとも一部が,使用時に,耳領域の後方に延びる,すなわち頭部に面する外耳の側部に延びるように構成された屈曲可能耳掛け部であり,上記耳掛け部が好ましくは少なくとも一つの耳掛け電極を備え,使用時に上記少なくとも1つの耳掛け電極が外耳および/または頭部の皮膚に押し付けられるように,上記耳掛け部が圧力を加えるように構成されている,請求項1に記載のイヤー・デバイス。
【請求項21】
請求項1に記載のイヤー・デバイスを備える,聴覚補助装置またはヘッドセット。
【請求項22】
請求項1に記載のイヤー・デバイスを備える,生体電気信号モニタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は生体電気信号を検出する耳構成要素(耳部品)(ear component)に関する。より詳細にはこの発明は,部分的に外耳道内に配置されかつ部分的に外耳道外の耳(たとえば甲介領域内,および/または耳の後ろの領域内)に配置される耳構成要素に関する。
【背景技術】
【0002】
生体電気信号は生体から生じる電位差として理解される。既知の例は心電図(Electrocardiogram)(ECG)信号および脳波(Electroencephalogram)(EEG)信号である。耳において生体電位信号を検出する耳構成要素は,多くの場合EEG信号の検出用に製造されるが,ECG,眼電図(electrooculography)(EOG),または筋肉活動など,その他の生体電気信号を検出するためにも用いることができる。
【0003】
EEG信号は人の脳活動によって生成される電気信号である。近年,モニタされる人によって連続して持ち運ばれるまたは装着されるEEGモニタリング・システムが考案されている。個人用装着可能EEGモニタが目指すところは,数ヶ月または数年にわたって持ち運ばれる場合であっても,メガネまたは最新小型補聴器に比べて不都合を生じさせることなく持ち運ぶことができるようにすることである。
【0004】
このようなEEGモニタは様々な目的に適用することができる。一例は人の状態監視であり,たとえば所定条件が満たされた場合に警報または情報が提供される。上記モニタは,たとえば診断目的または研究利用のためにデータ収集に適用することもできる。応用例には糖尿病またはてんかんを持つ人の監視がある。他の例は,補聴器の制御または調整のための入力である。
【0005】
さらに,近年では,経頭蓋神経刺激(transcranial neuro-stimulation)(たとえばtDCSおよびtACS)において多くの実績がある。ここでの電極は,電気信号を記録するために使用されるが神経刺激のためにも使用される。他の用途ではガルバニック皮膚反応(galvanic skin-responses)(GSR)の測定がある。
【0006】
さらに,脳神経(cranial nerves)および脳幹(brain stem)における神経活動に由来する電位もイヤー・デバイスを用いて測定することができる。これは,たとえば聴覚損失の評価に関連するもので,脳神経(第VIII脳神経)からの反応(応答)および(聴覚脳幹反応のように)脳幹からの応答を測定するのが一般的である。なお,たとえば外耳中で分岐している迷走神経(第X脳神経)からの応答を測定することに関連もする。これはたとえばてんかんに関連する。
【0007】
外耳道内のEEG信号の測定は国際公開WO2011/000383A1から既知であり,これはイヤプラグ形状がユーザの外耳道に個々に適合されたまたはカスタマイズされたEEG電極を備えるイヤプラグを開示する。
【0008】
国際公開WO2007/047667A2は,圧縮可能な材料から作られ,EEG外耳道電極を提供するイヤプラグを開示する。外耳電極が測定装置上に配置され,耳の後ろに装着される。これによって,上記測定装置のハウジングが個々の耳の湾曲輪郭に対して形付けられる/カスタマイズされる。
【発明の開示】
【0009】
既存の解決策の課題の一つは,個々のユーザの外耳道に対するイヤプラグのカスタマイズ,または個々のユーザの耳の湾曲輪郭に対する計測装置のハウジングのカスタマイズが必要とされることであり,これはコスト高をもたらす。カスタマイズされたイヤピースの製造には時間がかかる。第1に耳型または耳走査(ear-scanning)に基づいて3Dモデルを取得しなければならない。第2に個々のイヤピースをモデル化しかつ製造しなければならない。これはいくつかの結果をもたらす。(a)インフラストラクチャ(3Dスキャナ,単一装置製造のための製造設定など)および個々人の熟練の必要性であり,これにもコストがかかる。(b)使用者/患者は診療所を少なくとも2回訪れる必要があり,1回目は耳型を取るときで,2回目は装置を受け取るときである。これは不便でありかつ費用がかかる。(c)時間がかかりかつ面倒な処理はたとえば短時間の測定が意図されているいくつかの用途にはとっては法外なものである(prohibitive)。一例をあげると数日または数週間にわたる睡眠のモニタリングを目的としている場合である。他の例は集中治療室(ICU)または緊急事態の場合である。さらに,カスタマイズされた部品は,耳の形の変化(たとえば会話中,睡眠中など),測定装置のハウジングの動き,および/または顎の動きから必ずしも満足のいく生体電気信号を保証するわけではなく,これらは耳−EEG装置における動きアーチファクト(motion artefacts)について最も深刻な要因である。
【0010】
すなわちこの発明は,費用がかからず(at low costs)および短時間で(at short time scales)生体電気信号を検出するイヤー・デバイス(耳装置,耳用装置)を提供することを目的とするもので,これによってイヤー・デバイスは使用時に満足のいく生体電気信号を絶えず送達する。
【0011】
この発明は請求項1に規定されるものである。好ましい実施態様は従属請求項に規定される。
【0012】
上述した課題に対する解決策は,人の耳に配置され,かつ使用時に皮膚接触して生体電気信号を検出する少なくとも2つの電極を備えるイヤー・デバイスに見出され,上記イヤー・デバイスは,人の外耳道内に配置されるように構成される変形可能な(deformable)耳穴部(耳道部),および外耳道の外側(外耳道外)の耳に(at the ear external to the ear canal)配置されるように構成され,生体電気信号を検出する少なくとも1つの外耳電極(external ear electrode)を備える外耳部を備え,上記外耳部が,上記耳穴部に接続され,かつ使用時に上記少なくとも1つの外耳電極が皮膚に押し付けられるように圧力を加える(to exert a pressure such that the at least one external ear electrode is pressed against the skin when in use)ように構成された少なくとも1つの屈曲可能なアーム(bendable arm)を備えている。
【0013】
上記解決策の利点の一つは,変形可能耳穴部および屈曲可能アームに起因して,上記イヤー・デバイスのカスタマイズが必要とされなくなることである。換言すると,汎用耳穴部および汎用屈曲可能アームを様々なユーザに用いることができる。これにより,装置の適合に費やされる時間が大幅に短縮され,販売者およびユーザの両方の煩わしさが軽減され,設備(インフラストラクチャ)が少なくて済み,個人のトレーニングも少なくて済み,その結果としてコストが削減される。さらに,ユーザはすぐに上記イヤー・デバイスを使用することができ,これは時間を節約しかつコスト効率が高い。さらには,変形可能耳穴部および屈曲可能アームは使用中に皮膚に対して常に押し付けるので,電極と皮膚との間の満足のいく接触が提供される。耳の形が変化したとき(たとえば睡眠中)であっても,変形可能耳穴部および屈曲可能アームの弾性特性が,皮膚に対する電極のコンスタント接触が提供されるように上記形状変化を補償し,したがって使用時に満足のいく生体電気信号を常に伝達する。クレームされた主題のさらなる利点は,個々の耳に適応することが簡単であること,良好かつ信頼性の高い電極接触,高い快適性,使いやすさ(ユーザフレンドリ),通常の生活活動に邪魔にならないこと,耳の閉塞(オクルージョン)がないことである。すなわち,耳穴部は上記外耳部の位置をさらに安定させる。さらには,上記耳穴部および上記外耳部には,好ましくはゴム,シリコン,さまざまなショア硬度の化合物などの様々な材料を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】電極を備えるイヤー・デバイスの一例を示す。
【
図2】外耳道内および甲介内に配置されたイヤー・デバイスの一例を耳とともに示す。
【
図14】甲介部を備える屈曲可能アームおよび耳掛け部を備える屈曲可能アームを有するイヤー・デバイスの一例を示す。
【実施例】
【0015】
以下,この発明の実施態様を,図面を参照してさらに詳細に説明する。
【0016】
以下に示す詳細な説明は,対象技術の様々な構成の説明を意図しており,対象技術を実施することができる唯一の構成を表すことを意図するものでない。添付図面はこの明細書に組み込まれて詳細な説明の一部を構成する。詳細な説明は,対象技術の完全な理解を提供することを目的とする特定詳細を含む。しかしながら,対象技術が本書に記載の特定詳細に限定されることはなく,これらの特定詳細を持たずに実施されてもよいことは当業者には明らかかつ明白であろう。
【0017】
さらなる実施態様では,上記耳穴部が生体電気信号を検出する少なくとも一つの耳穴電極を備え,上記耳穴部が外耳道内に配置されるときに変形するように構成された構造に(at a structure adapted to be deformed when the ear canal part is arranged in an ear canal),上記少なくとも1つの耳穴電極が配置され,これによって上記少なくとも1つの耳穴電極が外耳道の皮膚に押し付けられる。これによって,上記生体電気信号の測定を上記耳穴部および上記外耳部に基づくものとすることができる。これらの2つの部材間の距離によって,上記生体電気信号の測定品質が,上記耳穴部のみに基づく生体電気信号の測定に比べてさらに向上する。
【0018】
さらなる実施態様では,上記耳穴部が,使用時に外耳道の上部(上側)(upper part)にのみ接触するように形成されている。これによって,外耳道の上部に加わる力が外耳部からの反力によって釣り合わされる。この実施態様は様々な利点をもたらす。(a)上記外耳道の上部(上側)は頭蓋骨の形状に沿っているので外耳道の最も形状安定性の高い部分である。底部(下側)と側部(後部および前部)は顎の位置によって大きく影響を受ける。すなわち,上部は顎の動きの影響を受けにくく,その結果として動きアーチファクトが発生しにくくなる。(b)上記外耳道の上部は脳に近く,このため上部における電極はEEG信号の記録に適するものである。(c)ほとんどの用途において音響透過装置(acoustic transparent device)を有することが望ましい。上記耳穴部のサイズを最小にすることによって閉塞(オクルージョン)を低減することができる。
【0019】
さらなる実施態様では,上記屈曲可能アームの少なくとも一部が,耳の甲介領域(concha region of the ear)に配置されるように構成され,かつ上記甲介の形状に沿う(従う)(follow)ようにさらに構成された甲介部(concha part)である。上記甲介領域は屈曲可能アームを受け入れるのに非常に適している。
【0020】
すなわち,上記屈曲可能アームは上記甲介領域の突出部(たとえば対輪(the antehelix))を簡単かつ確実に押す(press)ことができ,これによって屈曲可能アームの確実な固定,したがって外耳電極と皮膚との間の改善された接触が提供される。このように,屈曲可能アームは,好ましくは上記耳穴部から上記甲介中の少なくとも一点(at least a point in the concha)にまで延び,そこで上記少なくとも1つの外耳電極が保持される。
【0021】
さらなる実施態様では,上記屈曲可能アームは,屈曲可能アームから除去可能なカットオフ部分(cutoff portion)を備えてもよい。屈曲可能アームは意図的に長く作られ,屈曲可能アームは,たとえばはさみを用いて切断することによって簡単に短くすることができる。これにより多くのユーザに対する一のイヤー・デバイスのフィッティングが容易になる。
【0022】
さらなる実施態様では,上記屈曲可能アームの少なくとも一部が,耳の耳珠領域(tragus region)に配置されるように構成され,かつ上記耳珠の形状に沿う(追従する)ようにさらに構成された耳珠部(tragus part)であり,上記屈曲可能アームは好ましくは耳穴部から上記耳珠の少なくとも一点(at least a point at the tragus)にまで延び,そこで上記少なくとも1つの外耳電極が保持される。耳の耳珠領域は,快適性を損なうことなく余圧力(extra pressure)を許容するので好ましい。これは,上記屈曲可能アームに追加材(additional material)を追加することによって達成することができる。さらに,上記耳珠領域は,測定によって示されるように,しばしば甲介領域と異なる電位を持つ。これは生体電気信号の測定をさらに改善する。
【0023】
さらなる実施態様では,上記イヤー・デバイスは,生体電気信号処理装置(プロセッサ)および電源を保持するユニットへの着脱自在接続(detachable connection)を備えている。これによって上記イヤー・デバイスを上記ユニットに簡単に接続することができる。
【0024】
好ましい実施態様では,上記生体電気信号がEEG信号である。
【0025】
好ましい実施態様では,上記屈曲可能アームが上記少なくとも1つの外耳電極を保持するように構成されている。上記少なくとも1つの外耳電極が上記屈曲可能アームに直接に配置されることで,皮膚と電極との間の特に良好な接触が提供され,信号品質がさらに改善する。
【0026】
さらなる実施態様では,上記屈曲可能アームの少なくとも一部が,使用時に,耳領域の後方に延びる,すなわち頭部に面する外耳の側部(サイド)(to the side of the auricle facing the head)に延びるように構成された屈曲可能耳掛け部(bendable behind the ear part)である。上記屈曲可能耳掛け部はさらなる屈曲可能アーム(further bendable arm)として提供してもよい。上記屈曲可能耳掛け部は,上記人の耳における上記イヤー・デバイスの固定をさらに改善するとともに,カスタマイズの必要なしに電極と皮膚との間の接触安定性をさらに改善する。
【0027】
好ましい実施態様では,上記耳掛け部が少なくとも1つの耳掛け電極(behind the ear electrode)を備え,使用時に上記少なくとも1つの耳掛け電極が外耳および/または頭部の皮膚に押し付けられるように,上記耳掛け部が圧力を加えるように構成されている。これによって,生体電気信号を計測するためのさらなる電極が,上記少なくとも1つの外耳電極からかなり離れて設けられ(provided at a larger distance),これはカスタマイズを必要とすることなく,信号品質をさらに改善する。同様に,人の耳における上記イヤー・デバイスの固定,および電極と皮膚との間の接触安定性が,カスタマイズの必要なくさらに改善される。
【0028】
さらなる実施態様では,上記外耳部が空洞(キャビティ)(cavity)を備え,そこに上記外耳電極および/または上記耳掛け電極を接続するための電気配線が引き回されている(通されている)(routed)。このように,上記空洞は,電気配線の特に良好かつ容易な設置を提供する。さらに上記空洞によって上記外耳部の簡単な曲げ(simplified bending)が可能になり,少なくとも1つの外耳電極および/または少なくとも1つの耳掛け電極を備える上記外耳部が皮膚に圧力を容易に加えることができるようになり,カスタマイズの必要なく信号品質がさらに改善される。
【0029】
さらなる実施態様では,上記外耳道に沿う上記耳穴部の軸(axis)と,上記外耳部,特に上記屈曲可能アームによって規定される平面(plane)との間の角度が,人の耳にしたがって調整可能である。これにより,上記イヤー・デバイスのフィッティングを,人の耳の特定形状に対して良好に調整することができる。好ましくは,上記角度はロック可能(lockable)であり,上記角度が一定にとどめられ,人の耳における上記イヤー・デバイスについて改善されかつ安定したフィッティングが確実になる。これは電極と皮膚との間の安定した接触をさらに確実にする。
【0030】
さらなる実施態様では,上記イヤー・デバイスは,少なくとも1つの検出された生体電気信号に依存して音響警告信号を出力するように構成される音響警告モジュールをさらに備えている。たとえば,低血糖症のときに,上記イヤー・デバイスを装着している人を低血糖値について警告することができる。
【0031】
さらなる実施態様において,他のセンサ様式(other sensor modalities)を上記イヤー・デバイスに含ませてもよい(たとえば,加速度計,温度センサ,人体結合マイクロフォン(body-coupled microphones),光パルス・オキシメトリ,NIRSなど)。さらに,上記イヤー・デバイスは外部装置と通信するための手段を備えてもよい。
【0032】
さらなる実施態様では,イヤー・デバイスのセット(a set of ear devices)が提供され,上記セットに含まれる上記デバイス(複数)の形状は同じであるが,それぞれのデバイスのサイズが異なっている。たとえば,オージオロスト(聴覚士)または他のフィッティング担当者は,上記装置を装着する人のために,最も一般的なサイズの装置を容易に選択することができる。その後,上記装置は,最終的に,上述したように,変形可能耳穴部および屈曲可能アームによって上記人の特定の耳形状に適合させることができる。このようにして,異なるサイズを持つが同一形状のイヤー・デバイスのセットの提供は,特定人物のための上記イヤー・デバイスのカスタマイズを回避する。
【0033】
好ましい実施態様では,聴覚補助装置またはヘッドセットが,請求項のいずれか一つに規定される上記イヤー・デバイスを備えている。
【0034】
他の好ましい実施態様では,生体電気信号モニタが,請求項のいずれか一つに規定される上記イヤー・デバイスを備えている。
【0035】
図1はこの発明のイヤー・デバイス1の実施態様を示している。
図2に示すように,上記イヤー・デバイス1は,人の耳10の外耳道内に配置されるように構成される耳穴部(耳道部,外耳道部)(ear canal part)20を備えている。上記耳穴部20は少なくとも1つの耳穴電極22を備えている。
図3に示すように,上記耳穴部20は2つの耳穴電極22を備えることができる。原理的には,耳穴電極22の数は,上記イヤー・デバイス1によって測定すべき生体電気信号に依存する。一般には,好ましい生体電気信号はたとえばEEG信号である。なお,この発明は,背景技術欄で述べたすべての用途に用いることもできる。
図4は耳穴部20の側面図を示している。
【0036】
図1に示すように,上記イヤー・デバイス1はさらに,外耳道の外側に配置されるように構成される外耳部(external ear part)30も備えている。上記外耳部30は少なくとも1つの外耳電極32を備えている。
図1に示すように,上記外耳部30は2つの外耳電極32を備えていることができる。原理的には,外耳電極32の数は,上記イヤー・デバイス1によって測定すべき生体電気信号に依存する。一般には,好ましい生体電気信号はたとえばEEG信号である。
【0037】
この実施形態において耳穴電極22はオプションであることを言及しておく。しかしながら,上記耳穴電極22および上記外耳電極32を用いることによって生体電気信号を測定する電極間の距離が増大する。この増大する距離によって,信号品質を改善することができる。
【0038】
図1に示すように,上記外耳部30は屈曲可能アーム(bendable arm)34を備え,これが上記耳穴部20に接続されている。
図2に示すように,上記屈曲可能アーム34は甲介部(concha part)を提供し,これが耳10の甲介12の形状に沿う(追従する)ように構成されている。すなわち,上記屈曲可能アーム34の甲介部は,甲介12の少なくとも一つの突出部にぴったりとフィットして圧力を加え,これによって使用時に上記外耳電極32の少なくとも1つが人の皮膚に押し付けられる。さらに,上記耳穴部20の脱落(dislocation)も,これによって防止される。
【0039】
図1に示すように,外耳部30は,屈曲可能アーム34と同様に屈曲可能な安定化アーム(stabilizing arm)36をさらに備えることができる。上記安定化アーム36は上記屈曲可能アーム34をさらに安定化し,上記屈曲可能アーム34が甲介12に十分な圧力を加えるように構成される。
【0040】
図5〜
図13はイヤー・デバイス1の他の例を示している。符号は
図1〜4に関して説明した構造に対応する。
【0041】
図5〜
図13は耳穴部配線40をさらに示している。さらに
図10は外耳部配線42を示している。これらの配線40および42を,生体電気信号処理装置および/または電源(図示略)を保持するユニットへの着脱可能な接続部と接触させてもよい。
【0042】
図10はさらに,上記外耳部配線42が上記外耳部30の空洞(キャビティ)28内に引き回されていることを示している。上記空洞28は,上記外耳部配線42の特に良好かつ容易な設置を提供する。さらに少なくとも1つの外耳電極32を有する外耳部30が皮膚に圧力を容易に加えることができるように,空洞28によって上記外耳部30を簡単に曲げる(simplified bending)ことができ,これはカスタマイズすることなく信号品質をさらに向上させる。
【0043】
要約すると,甲介12内にわずかな圧力を加えるように上記イヤー・デバイス1を甲介領域12内に配置することができ,これよって少なくとも1つの電極32と耳10の皮膚の両方との間に良好な電気的接触を確立することができる。
【0044】
さらに,上記イヤー・デバイス1は,増幅,アナログ・デジタル変換の実行,およびたとえば信号対雑音比を改善するためのフィルタリングのための電子モジュール(図示略)を含むか,またはそれに密接に接続されてもよい(be in close connection)。電極からの生体電気信号をこの電子モジュールにガイドする上記配線42および40は,好ましくはたとえば同軸ケーブルの形態においてシールドされる。
【0045】
このような配線を,耳穴部を形成する材料内に完全にまたは部分的に埋め込んでもよい。耳穴部のスペースを節約することができ,かつこれらの細いケーブルを保護することができる。
【0046】
一般には,外耳道の外側の耳に配置されるように構成される上記外耳部30は,様々な形態および形状を持つことができる。
【0047】
一の形態では,
図2に示すように,甲介領域内に配置して甲介内にわずかな圧力を加え,電極と皮膚の両方の間に良好な電気的接触を確立することができる。
【0048】
他の形態では,上記外耳部を,耳輪(helix),三角窩(triangular fossa),対輪脚(crura of antihelix)または舟状窩(Scapha region)に向けてまたはその中に延ばすことができ,そこに電極を配置することができる。さらに,耳珠(Tragus)における電極配置が好ましく,それは,この領域が,屈曲可能アームに追加材を加えることによって(by adding additional material to the bendable arm),余圧力(extra pressure)を可能にするからである。さらに,耳珠領域は,測定によって示されるように,しばしば甲介領域と異なる電位(potential)を持つ。これは生体電気信号の測定をさらに改善する。
【0049】
図14に他の形態を示すように,上記外耳部30は,耳の後ろのスペース,すなわち耳と頭の間の割れ目に延びる屈曲可能耳掛け部35を備えてもよい。耳の後ろに延びる屈曲可能部35は甲介部に対抗させる(countered)ことができ,このように分岐させた屈曲可能アーム34のこれら2つの部分を組み合わせることで,耳をわずかに締め付けて良好な電気的接触を確保することができる。上記電極は,耳の後ろに延びる部分(少なくとも1つの耳掛け電極,図示略)および/または甲介内の部分(外耳電極32として)の2つのクランプ部分のいずれかに配置することができる。これによって,耳および/または頭に接触するように,上記少なくとも1つの耳掛け電極を屈曲可能耳掛け部35に配置することができる。簡略化するために
図14に耳穴部20は示されていない。さらに,外耳部30を屈曲可能耳掛け部35のみによって形成することもできる。
【0050】
換言すると,上記外耳部30を,(蜘蛛のようにして)複数のアームを有するように形成することができる。屈曲可能アームのいくつかは,他のアームによって加えられる力の対抗力を生み出す目的(the purpose of creating a counter-force to the force applied by the other arms)を果たすだけのものであってもよい。たとえば,一実施態様では,一方のアームが下向きに圧力を加え,他方のアームが上向きに圧力を加える,耳甲介腔領域におけるフォーク状構造(a fork-like structure in the Cymba cavity region)を有するものである。
【0051】
少なくとも4つの電極を持つことで,2つまたは場合によっては3つの電極が同じ等電位線/面に配置されて信号を検出することができないというリスクを排除する利点が提供される。このリスクは3つの電極が設けられることで小さくなるが,4つないしそれ以上の電極を適用することによって排除することができる。
【0052】
さらに,最適な電極位置は,測定することが意図されるものが何か(様々な生理学的現象が耳内に様々な電位場を有するため)および/または耳の解剖学的形状(良好かつ信頼性のある接触を得るため)に依存する。すなわち,解剖学および生理学の両方において,大きな被験者間変動(large inter-subject variation)が生じ得る。したがって,イヤー・デバイス1に複数の電極を設けておき,上記装置が患者/使用者に装着されるときに使用されるべき電極の最適サブセット(the optimal sub-set of electrodes to be used)を選択することが有利である。
【0053】
多くの場合,上記外耳部は一平面内に延びる(extend in one plane)。上記耳穴部は典型的には上記外耳部よって規定される平面とほぼ垂直な軸方向に沿って延びる。これに関して,
図7は,上記外耳部30が,外耳部30が配置される平面P(破線)を規定し,かつ上記耳穴部20が外耳道に沿う軸A(一点鎖線)を規定することを示している。この平面Pと軸Aとの間の角度αは好ましくは調整可能とされ,上記装置を持ち運ぶニーズを有する個人に容易に適合することができる。すなわち,上記耳穴部は好ましくは可撓性のもので,角度(2自由度)(2−DOF)周りにおいてヒンジすることができること(it can be hinged around angles (2-DOF))を意味する。これによってイヤー・デバイスを装着しているときの快適性がさらに改善され,一般的かつ調整可能な部品を様々な人に用いることができるので,カスタマイズが不要である。
【0054】
一般に,上記耳穴部20および上記外耳部30,特に屈曲可能アーム34および屈曲可能耳掛け部35は,シリコンまたはゴムのような,弾性のまたは粘弾性および生体適合性の材料製であることが好ましく,フォーム(foams)(泡状物質)または他の適切なコーティングによって被覆してもよい。「屈曲可能」とは,ここでは弾性かつ可撓性(elastic and flexible)のものと理解される。すなわち,これらの構成要素は,使用時に,対応する電極が皮膚に押し付けられるように圧力を加えるよう構成される。これによって,汎用部品を上述のように様々な人に用いることができるので,カスタマイズが不要である。
【0055】
またこれによって,同じ形状を持ちかつサイズの異なるイヤー・デバイス1のセット(図示略)を提供することができる。
【0056】
さらに,好ましくは,音響警告モジュールを上記耳穴部内に収容してもよい。
【0057】
最後に,上記イヤー・デバイス1は聴覚補助装置(hearing assisting device)(図示略)において用いることができる。すなわち,たとえばトランスデューサ,DSPまたは聴覚装置の任意の他の構成要素を,外耳道内に上記耳穴部20とともに設けてもよい。必要であれば,上記聴覚装置の構成要素を耳10の後ろに設けてもよい。
【0058】
さらなる実装例は以下の例のように要約される。
【0059】
例1:人の耳に配置され,かつ使用時に皮膚接触して生体電気信号を検出する少なくとも2つの電極を備えるイヤー・デバイスであって,上記イヤー・デバイスが,
人の外耳道内に配置されるように構成される変形可能な耳穴部,および
上記外耳道の外側の耳に配置されるように構成され,生体電気信号を検出する少なくとも1つの外耳電極を備える外耳部を備え,上記外耳部が,上記耳穴部に接続され,使用時に上記少なくとも1つの外耳電極が皮膚に押し付けられるように圧力を加えるように構成される少なくとも1つの屈曲可能アームを備えている,イヤー・デバイス。
【0060】
例2:上記耳穴部が生体電気信号を検出する少なくとも1つの耳穴電極を備え,上記耳穴部分が外耳道内に配置されるときに変形するように構成された構造に(at a structure)上記少なくとも1つの耳穴電極が配置され,これによって上記少なくとも1つの耳穴電極が外耳道の皮膚に押し付けられる,例1に記載のイヤー・デバイス。
【0061】
例3:上記耳穴部が,使用時に外耳道の上部にのみ接触するように形成されている,上記例のいずれか一方に記載のイヤー・デバイス。
【0062】
例4:上記屈曲可能アームの少なくとも一部が,耳の甲介領域に配置されるように構成され,かつ上記甲介の形状に沿うようにさらに構成された甲介部であり,上記屈曲可能アームが好ましくは上記耳穴部から上記甲介中の少なくとも一点にまで延び,そこで上記少なくとも1つの外耳電極が保持される,上記例のいずれか一つのイヤー・デバイス。
【0063】
例5:上記屈曲可能アームの少なくとも一部が,耳の耳珠領域に配置されるように構成され,かつ上記耳珠の形状に沿うようにさらに構成された耳珠部であり,上記屈曲可能アームが好ましくは上記耳穴部から上記耳珠における少なくとも一点まで延び,そこで上記少なくとも1つの外耳電極が保持される,上記例のいずれか一つに記載のイヤー・デバイス。
【0064】
例6:生体電気信号処理装置および電源を保持するユニットへの着脱自在接続を備えている,上記例のいずれか一つに記載のイヤー・デバイス。
【0065】
例7:上記生体電気信号がEEG信号である,上記例のいずれか一つに記載のイヤー・デバイス。
【0066】
例8:上記屈曲可能アームが上記少なくとも1つの外耳電極を保持するように構成されている,上記例のいずれか一つに記載のイヤー・デバイス。
【0067】
例9:上記屈曲可能アームの少なくとも一部が,使用時に,耳領域の後方,すなわち頭部に面する外耳の側部に延びるように構成される屈曲可能耳掛け部である,上記例のいずれか一つに記載のイヤー・デバイス。
【0068】
例10:上記耳掛け部が少なくとも1つの耳掛け電極を備え,使用時に上記少なくとも1つの耳掛け電極が上記外耳および/または頭部の皮膚に押し付けられるように,上記耳掛け部が圧力を加えるように構成されている,例9に記載のイヤー・デバイス。
【0069】
例11:上記外耳部が空洞(キャビティ)を備え,そこに上記外耳電極および/または上記耳掛け電極を接続するための電気配線が引き回されている,上記例のいずれか一つに記載のイヤー・デバイス。
【0070】
例12:上記外耳道に沿う上記耳穴部の軸と,上記外耳部,特に上記屈曲可能アームによって規定される平面との間の角度が,人の耳にしたがって調整可能であり,上記角度が好ましくはロック可能である,上記例のいずれか一つに記載のイヤー・デバイス。
【0071】
例13:上記イヤー・デバイスが,少なくとも1つの検出された生体電気信号に依存して音響警告信号を出力するように構成される音響警告モジュールをさらに備えている,上記例のいずれか一つに記載のイヤー・デバイス。
【0072】
例14:セットに含まれる上記デバイス(複数)の形状が同じであるが,それぞれのデバイスのサイズが異なっている,上記例のいずれか一つに記載のイヤー・デバイスのセット(a set of ear devices)。
【0073】
例15:上記例のいずれか一つに記載のイヤー・デバイスを備えている,聴覚補助装置またはヘッドセット。
【0074】
例16:上記例1から14のいずれか一つに記載のイヤー・デバイスを備えている,生体電気信号モニタ。