(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のメンバを、前記資産移転取引に関するものと判別するために、前記取引反転アプリケーションを、前記第2のメンバにより問い合わせるステップをさらに備えた、
請求項1に記載の方法。
前記ブロックチェーンの前記第1のメンバおよび/または第2のメンバのようなブロックチェーンメンバのブロックチェーン資産の保有額および変更額を、前記ブロックチェーンの前記ブロックチェーン会計帳簿に登録して、一元的ブロックチェーン資産管理を提供するステップであって、前記ブロックチェーン会計帳簿は、一元的分散会計帳簿を備え、前記ブロックチェーン資産は、前記ブロックチェーンの1つまたは複数のアンカーポイントにより発行される、ステップを、さらに備えた、
請求項8に記載の方法。
前記第1のメンバおよび前記第2のメンバは、前記アンカーポイントにより発行されたブロックチェーン資産を保有し、前記第2のメンバは前記アンカーポイントにより発行された前記ブロックチェーン資産を、前記第1のメンバに直接移転するように構成された、
請求項1に記載の方法。
前記第2のメンバにより、前記ブロックチェーン資産を前記第1のメンバへ移転して、前記ブロックチェーンの中間メンバにより送金経路を形成するステップをさらに備え、
前記第2のメンバおよび前記中間メンバは、第1のアンカーポイントとしての前記アンカーポイントにより発行されたブロックチェーン資産を保有し、前記中間メンバおよび前記第1のメンバは、第2のアンカーポイントにより発行されたブロックチェーン資産を前記ブロックチェーンにて保有し、
前記送金経路の2つの隣接メンバのうちの下流側メンバは、対応するアンカーポイントについて、信用額の制限を設定し、前記オフチェーン資産と、前記対応するアンカーポイントにより発行されて前記下流側メンバが保有するブロックチェーン資産との合計は、前記信用額の制限以下である、
請求項1に記載の方法。
前記第2のメンバにより移転された前記ブロックチェーン資産を、当初の経路に基づき、前記第1のメンバにより返還するステップであって、前記当初の経路は、ブロックチェーン資産を移転するために、ブロックチェーンメンバでの動作を実行する前記ブロックチェーンのメンバの経路を含む、ステップ、または
前記アンカーポイントにより発行されて保有されたブロックチェーン資産を、前記第1のメンバにより、前記第2のメンバへ移転するステップであって、前記保有されたブロックチェーン資産の額は、前記第2のメンバへ返還されるべき額である、ステップをさらに備えた、
請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、例示的実装形態について詳細に説明する。その実施例が図示されている。以下の説明が添付の図面に関するものである場合、特に指定のない限り、添付の図面それぞれにおいて同一の番号は同一または同様の要素を表している。以下の例示的実装形態において説明する実装形態は、本明細書の1つまたは複数の実装形態と一致する全ての実装形態を表すものではない。むしろ、各実装形態は、添付の特許請求の範囲に詳述した装置および方法の例に過ぎず、本明細書の1つまたは複数の実装形態の一部の側面に一致している。
【0011】
他の実装形態において、対応する方法のステップは、必ずしも本明細書に説明し、図示した順に行う必要はないことに、留意する意義がある。他の一部の実装形態において、その方法は、本明細書に説明するステップよりも多いかあるいは少ないステップを含み得る。さらに、本明細書において説明した単一のステップが、他の実装形態の説明では複数のステップに分割され得るし、本明細書において説明した複数のステップが、他の実装形態の説明での単一のステップとして組み合わされ得る。
【0012】
図1は、例示的な一実装形態による資産移転反転処理方法を示すフローチャートである。
図1に示すように、この方法は、以下のステップを含み得る。
【0013】
ステップ102:受取人に対応する第1のブロックチェーンメンバが、支払人と受取人との間の資産移転要求に応じて、支払人に対応する第2のブロックチェーンメンバにより移転されたブロックチェーン資産を取得し、受取人に対する、対応するオフチェーン資産移出動作を行う。
【0014】
一実装形態において、本明細書における「資産」とは、現金、証券、株式などのあらゆる種類、またはデバイス、車両、不動産、および物品であり得る。実装形態は、本明細書に限定されるものではない。
【0015】
一実装形態において、資産移転要求は、受取人が対応する資産を支払人から受け取ることができるように、第1のブロックチェーンメンバにより開始されてもよい。あるいは、資産移転要求は、第2のブロックチェーンメンバにより発行されて、支払人が対応する資産を受取人に支払ってもよい。
【0016】
一実装形態において、ブロックチェーンは、いくつかのブロックチェーンノードを含み得る。これらのブロックチェーンノードは、ブロックチェーンメンバ(またはメンバと略称)と、アンカーポイントとを含み得る。アンカーポイントの役割は、ブロックチェーンメンバが担当してもよく、あるいは、アンカーポイントは、ブロックチェーンメンバから独立していてもよい。具体的には、アンカーポイントは、必ずしもブロックチェーンメンバが担当する必要はない。
【0017】
一実装形態において、ブロックチェーンメンバは、資産移転サービスを提供する他の形態としての金融機関、組織またはプラットフォームであり得る。実装形態は、本明細書に限定されるものではない。
【0018】
一実装形態において、アンカーポイントは、オフチェーン資産がアンカーポイントを通じて等価なブロックチェーン資産に交換可能となるとともに、ブロックチェーン資産がアンカーポイントを通して等価なオフチェーン資産と交換可能となるように、ブロックチェーン上のブロックチェーン資産を、ブロックチェーン外のオフチェーン資産に繋ぐために利用されることにより、ブロックチェーン資産とオフチェーン資産との一対一写像が実装される。例えば、ブロックチェーンメンバは、オフチェーン資産をアンカーポイントに格納し、ブロックチェーン上のアンカーポイントにより対応して発行されたブロックチェーン資産を取得して保有することができる。さらに、ブロックチェーンメンバは、ブロックチェーン資産同士を相互に移転することができる。アンカーポイントにより発行されたブロックチェーン資産におけるブロックチェーンメンバの保有額、およびブロックチェーン資産の変更額は、ブロックチェーンの会計帳簿に登録可能であり、一元的なブロックチェーン資産管理が実現する。
【0019】
一実装形態において、支払人は、オフチェーン資産を第2のブロックチェーンメンバに支払うことができる。第2のブロックチェーンメンバは、保有するブロックチェーン資産を、資産移転要求に応じて、第1のブロックチェーンメンバへ移転することができる。そして、第1のブロックチェーンメンバは、オフチェーン資産を受取人に支払う。これは、結局のところ、支払人がオフチェーン資産を受取人に支払うことと同等である。
【0020】
一実装形態において、第2のブロックチェーンメンバおよび第1のブロックチェーンメンバが、同一のアンカーポイントにより発行されたブロックチェーン資産をそれぞれ保有する場合、第2のブロックチェーンメンバは、アンカーポイントにより第1のブロックチェーンメンバに対して発行されて保有されたブロックチェーン資産を、直接移転することができる。
【0021】
一実装形態において、第2のブロックチェーンメンバおよび第1のブロックチェーンメンバが同一のアンカーポイントにより発行されたブロックチェーン資産を保有していないか、アンカーポイントにより発行されて第2のブロックチェーンメンバにより移転されたブロックチェーン資産の資産額が不十分であるか、第2のブロックチェーンメンバが他の問題により資産を直接には移転できない場合、第2のブロックチェーンメンバは、いくつかの中間ブロックチェーンメンバを用いることにより、ブロックチェーン資産を第1のブロックチェーンメンバに移転することができる。例えば、第2のブロックチェーンメンバおよび中間ブロックチェーンメンバの双方は、第1のアンカーポイントにより発行されたブロックチェーン資産を保有し、中間ブロックチェーンメンバおよび第1のブロックチェーンメンバの双方は、第2のアンカーポイントにより発行されたブロックチェーン資産を保有する。第2のブロックチェーンメンバは、まず、第1のアンカーポイントにより発行されたブロックチェーン資産を、中間ブロックチェーンメンバへ移転することができ、次に、中間ブロックチェーンメンバは、第2のアンカーポイントにより発行されたブロックチェーン資産を、第1のブロックチェーンメンバへ移転する。他の例では、第2のブロックチェーンメンバおよび第1の中間ブロックチェーンメンバの双方は、第1のアンカーポイントにより発行されたブロックチェーン資産を保有し、第1の中間ブロックチェーンメンバおよび第2の中間ブロックチェーンメンバの双方は、第2のアンカーポイントにより発行されたブロックチェーン資産を保有し、第2の中間ブロックチェーンメンバおよび第1のブロックチェーンメンバの双方は、第3のアンカーポイントにより発行されたブロックチェーン資産を保有する。第2のブロックチェーンメンバは、まず、第1のアンカーポイントにより発行されたブロックチェーン資産を、第1の中間ブロックチェーンメンバへ移転することができ、次に、第1の中間ブロックチェーンメンバは、第2のアンカーポイントにより発行されたブロックチェーン資産を、第2の中間ブロックチェーンメンバへ移転し、最後に、第2の中間ブロックチェーンメンバは、第3のアンカーポイントにより発行されたブロックチェーン資産を、第1のブロックチェーンメンバへ移転する。
【0022】
一実装形態において、第1のブロックチェーンメンバや第2のブロックチェーンメンバなどのブロックチェーンメンバは、支払人および受取人を事前に検証しておき、検証が成功した後に、上記の資産移転動作が可能となる。したがって、通例、上記の資産移転処理は、ほとんどの場合に成功裏に完了することができる。しかしながら、ある場合には、第1のブロックチェーンメンバは、不十分な受取額や受取人の口座凍結などの様々な理由により、受取人に対する上記の移出動作が行えないことがあり、結果として、移出動作が失敗する。したがって、資産反転処理は、本明細書における技術的ソリューションを用いることにより、関連資産について行う必要がある。
【0023】
一実装形態において、本明細書における資産移転ソリューションは、国内資産移転や国際資産移転などの様々な資産移転シナリオに適用可能である。実装形態は、本明細書に限定されるものではない。
【0024】
一実装形態において、本明細書におけるブロックチェーンは、コンソーシアムチェーンであってもよく、資産移転に参加している各メンバは、コンソーシアムチェーンのコンソーシアムメンバである。コンソーシアムチェーンは、さらに別のコンソーシアムメンバを含み得る。実装形態は、本明細書に限定されるものではない。
【0025】
ステップ104:第1のブロックチェーンメンバは、移出動作が失敗した場合、資産移転要求に対応する資産移転取引に対する取引反転アプリケーションを、ブロックチェーン内に書き込む。
【0026】
一実装形態において、第2のブロックチェーンメンバは、支払人が移転したオフチェーン資産を、取引反転アプリケーションに基づいて返還してもよい。
【0027】
一実装形態において、取引反転アプリケーションは、ブロックチェーン上に発行される。ブロックチェーンの情報が改竄不能であるとともに追跡可能であるため、ブロックチェーン会計帳簿に登録された取引反転アプリケーションは、信頼に足るものであり、全ブロックチェーンメンバおよびアンカーポイントに信頼され得る。したがって、第2のブロックチェーンメンバは、第1のブロックチェーンメンバが関連資産を第2のブロックチェーンメンバに返還することを拒むことについて気にかけずに、取引反転アプリケーションに基づき、関連オフチェーン資産を事前に支払人に返還することができる。したがって、支払人は、資産反転処理の信頼性を確保しつつ、返還されたオフチェーン資産をできるだけ早く取得することができる。
【0028】
一実装形態において、取引反転アプリケーションを問い合わせる場合に、ブロックチェーンメンバが、対応する資産移転取引に関係することを判定することができるか、あるいは、ブロックチェーンメンバが、資産移転取引のシリアル番号などの情報に基づき、取引反転アプリケーションを発見することができるように、第1のブロックチェーンメンバは、資産移転取引のシリアル番号、または資産移転取引を一意に表し得る他の情報を、取引反転アプリケーションに書き込んでもよい。
【0029】
一実施形態において、取引反転アプリケーションの書込時と資産移転取引の作成時との時間間隔は、予め設定された間隔以内である。すなわち、予め設定された間隔の継続期間(例えば、7日または他の継続期間)は、取引反転アプリケーションのブロックチェーンへの書込時と、資産移転取引の作成時との間の期間が、長くなりすぎないように、事前に設定可能であるので、セキュリティリスクを低下させるのに役立つ。
【0030】
ステップ106:第1のブロックチェーンメンバは、移出動作に対応するオフチェーン資産について、第2のブロックチェーンメンバと、資産清算を行う。
【0031】
一実装形態において、第1のブロックチェーンメンバは、予め設定されたオフチェーン口座への移出動作に対応するオフチェーン資産を、計数してもよい。そして、第1のブロックチェーンメンバは、定期的に、予め設定されたオフチェーン口座における余剰資産を集約し、その余剰資産を、第2のブロックチェーンメンバに返還して、資産清算を完了する。すなわち、第1のブロックチェーンメンバは、第2のブロックチェーンメンバにより移転されたブロックチェーン資産を蓄積し、オフチェーン資産を用いることにより清算を実施して、ブロックチェーン上の資産移転動作を削減するとともに、資産清算の複雑性を低減することができる。
【0032】
一実装形態において、第1のブロックチェーンメンバは、ブロックチェーン資産を第2のブロックチェーンメンバへ移転することができ、移転されたブロックチェーン資産は、資産移転要求に基づいて第2のブロックチェーンメンバにより第1のブロックチェーンメンバへと移転されたブロックチェーン資産に等しい。例えば、第1のブロックチェーンメンバは、当初の経路に基づき、第2のブロックチェーンメンバにより移転されたブロックチェーン資産を、返還してもよい。他の例では、第1のブロックチェーンメンバは、アンカーポイントにより第2のブロックチェーンメンバに対して発行されて保有しているブロックチェーン資産を、移転してもよい。ただし、資産額は、返還されるべき量である。
【0033】
理解が容易となるように、本明細書の1つまたは複数の実装形態における技術的ソリューションにつき、「送金」処理の例を用いて、以下に説明する。
図2は、例示的な一実装形態による送金シナリオを示す模式図である。
図2に示すように、第三者支払プラットフォームが、Aにてウォレット1を動作させ、Bにてウォレット2を動作させるものとすると、Aにおけるユーザ1は、ウォレット1内の顧客資金口座1を開き、Bにおけるユーザ2は、ウォレット2内の顧客資金口座2を開く。高速送金は、本明細書の資金移転ソリューションに基づき、ユーザ1とユーザ2との間で実施可能である。
【0034】
一実装形態において、
図2に示すウォレット1、ウォレット2、銀行1、銀行2および銀行3は、いずれも同じブロックチェーンのメンバであり、ブロックチェーンは、
図2に示すアンカーポイント1、アンカーポイント2およびアンカーポイント3など、いくつかのアンカーポイントを含み得るものとする。メンバは、アンカーポイントの役割を担うことができる。例えば、
図2のアンカーポイント1からアンカーポイント3は、それぞれ、銀行1から銀行3に対応している。確かに、メンバは、アンカーポイントの役割を担わないこともあり、アンカーポイントは、必ずしもメンバである必要はない。具体的には、メンバとアンカーポイントとの間に、必ずしも一対一写像の関係があるわけではない。ウォレット1、2および銀行1〜3ならびにアンカーポイント1〜3などのメンバは、いずれも、ブロックチェーン上のノードである。これらのノードは、ブロックチェーン上で分散会計を実施する。
【0035】
ブロックチェーン上のメンバを用いて、ユーザ1とユーザ2との間の送金を実施するため、ウォレット1、2および銀行1〜3などのメンバは、ここで送金契約と称する、「送金」サービスに対応する契約に、事前に参加する必要がある。各メンバは、各アンカーポイントに資金を預け入れることができ、対応するアンカーポイントは、ブロックチェーン上で、対応するブロックチェーン資産を発行することができる。資金を預け入れたメンバは、ブロックチェーン資産を保有し、そのメンバのブロックチェーン残高が生じる。例えば、ウォレット1が、1000元のオフチェーン資産をアンカーポイント1に預けると、アンカーポイント1は、1000元のブロックチェーン資産を発行することができ、ウォレット1がこれを保有する。さらに、各メンバは、それぞれ保有しているブロックチェーン資産を、相互に移転することができる。例えば、銀行1は1000元のオフチェーン資産をアンカーポイント2に預けているだけであるが、銀行1は、アンカーポイント2により発行された1000元のブロックチェーン資産を、銀行2または他のメンバから取得する。したがって、銀行1は、アンカーポイント2により発行された2000元のブロックチェーン資産を保有することができる。ウォレット1が保有するブロックチェーン残高は、アンカーポイント1が発行した1000元のブロックチェーン資産であり、銀行1が保有するブロックチェーン残高は、アンカーポイント2が発行した2000元のブロックチェーン資産であり、銀行2が保有するブロックチェーン残高は、アンカーポイント1が発行した1000元のブロックチェーン資産、アンカーポイント2が発行した1000元のブロックチェーン資産、およびアンカーポイント3が発行した3000元のブロックチェーン資産であり、銀行3が保有するブロックチェーン残高は、アンカーポイント3が発行した1000元のブロックチェーン資産であるものとする。送金契約に参加すると、いずれのメンバも、その送金契約により制限が課されて、各メンバが保有するブロックチェーン残高がブロックチェーンのブロックチェーン会計帳簿に登録される。一元化された分散会計帳簿が、ブロックチェーン上の複数の(通例、4より多い)会計ノードにより維持されている。会計帳簿は、各メンバが保有するブロックチェーン残高を記録する。会計ノー
ドは、ノード間ブロードキャストおよび合意アルゴリズムにより互いに一貫性を維持した全ノードに、会計帳簿の内容を作成し、全コンテンツが、ブロックチェーンの完全な口座情報となる。したがって、ブロックチェーン上の全ノードが、一元的会計帳簿、すなわち、上記のブロックチェーン会計帳簿を利用するものとみなされる。ブロックチェーンの情報が改竄不能であるとともに追跡可能であるため、ブロックチェーン会計帳簿に登録された情報は信頼することができ、全メンバおよびアンカーポイントに信頼され得る。したがって、この情報は、移転や支払など、様々な資金移転シナリオにおける動作の基礎として用いられ得る。
【0036】
さらに、各メンバは、記録された信用が後続の経路決定処理で利用できるように、ブロックチェーン会計帳簿における各アンカーポイントに、各自の信用を記録する必要がある。例えば、
図2に示すように、ウォレット2はアンカーポイント3が発行したブロックチェーン資産を保有していないものの、ウォレット2がアンカーポイント3を信用できるアンカーポイントとして設定したため、その信用は、
図2において「ブロックチェーン残高0」として表現され、ウォレット2はアンカーポイント3が発行したブロックチェーン資産(例えば、他のメンバが移転したブロックチェーン資産)を受け取ろうとしていることを示している。しかしながら、アンカーポイント1は、ウォレット2にとっての信用できないアンカーポイントである可能性があり、その場合、ウォレット2がアンカーポイント1が発行したブロックチェーン資産を受け取ろうとしていないことを示すことになる。
【0037】
図2に基づいて、
図3は、例示的な一実装形態による送金処理における相互作用を示す模式図である。
図3に示すように、ユーザ1、2と、ウォレット1、2と、銀行1との間の相互作用の処理は、以下の各ステップを含み得る。
【0038】
ステップ301:ウォレット1は、ユーザ1が発行した送金要求を受信する。
【0039】
一実装形態において、ユーザ1は、送金要求において、送金すべき資金額と受取人とを示してもよい。例えば、ユーザ1が資金額を1000元とし、受取人をユーザ2と設定したものとする。ユーザ1による送金要求の発行に加えて、送金手順が、他のシナリオにおける他の方法にて、起動されてもよい。例えば、ユーザ1が、支払要求を開始し、そこでは、資金額が1000元で、受取人がユーザ2となっている。他の例では、ユーザ2が、受取要求を開始し、そこでは、資金額が1000元で、支払人がユーザ1となっている。実装形態は、本明細書に限定されるものではない。
【0040】
ステップ302:ウォレット1は、ユーザ1に対応する顧客資金口座1の残高が十分であることを確認するとともに、ウォレット2に対し、受取人としてのユーザ2が存在することを確認する。
【0041】
一実装形態において、例えば、ユーザ1に対応する顧客資金口座1の残高が5000元であり、移転が必要な1000元よりも多いため、残高は十分であると判定される。残高が1000元未満である場合、それは残高が不足していることを示しており、ウォレット1は、送金を直接中断し、ユーザ1への送金が失敗したことを示す通知メッセージを返してもよい。
【0042】
一実装形態において、ウォレット1は、受取人情報をウォレット2へ送信することができ、ウォレット2は、受取人情報が有効かどうか判定する。受取人情報は、受取人氏名、受取人口座番号、および口座開設銀行を含んでもよい。実装形態は、本明細書に限定されるものではない。受取人情報を検証して、ウォレット2は、対応する検証結果をウォレット1へ返す。受取人が存在しないと判定された場合、ウォレット1は、送金を直接中断し、ユーザ1への送金が失敗したことを示す通知メッセージを返してもよい。
【0043】
ステップ303:ウォレット1は、ユーザ1がユーザ2に対して開始した送金イベントのコンプライアンスチェックを行ってもよい。
【0044】
一実装形態において、ウォレット1は、資料提出エントリ(material submission entry)をユーザ1に提供してもよく、ユーザ1は、チェックすべき資料を、送金イベントに提供する。ユーザ1は、送金効率が向上するように、あらゆる送金イベントで使用可能な固定的資料(例えば、ユーザ1の身分証明書写真)を、事前に提出しておいてもよく、動的資料(例えば、最近の送金記録)を、送金の度に、対応する送金イベントに提出してもよい。
【0045】
一実装形態において、ウォレット1が送金イベントについて行うコンプライアンスチェックは、顧客確認(KYC:know your customer)チェック、および対マネーロンダリング(AML)チェックを含んでもよい。実装形態は、本明細書に限定されるものではない。
【0046】
一実装形態において、ウォレット1が取得したコンプライアンスチェックのチェック結果が不適格(unqualified)である場合、ウォレット1は、送金を直接中断し、ユーザ1へ通知メッセージを返してもよく、ここで、送金が失敗したことが示されている。あるいは、ウォレット1は、ユーザ1に、追加資料への少なくとも1つの機会を提供してもよい。例えば、ウォレット1は、ユーザ1に最大で2回の機会を提供可能であるとする。ユーザ1による資料追加の回数が2回より多く、チェック結果が不適格のままである場合、ウォレット1は、送金を中断し、ユーザ1に通知メッセージを返してもよく、ここで、送金が失敗したことが示されている。しかしながら、ウォレット1が取得したコンプライアンスチェックのチェック結果が適格(qualified)である場合、
図4に示すように、段階(1)では、ウォレット1は、ユーザ1に対応する顧客資金口座1から1000元を差し引き、1000元を、ウォレット1の自身の口座1へ移転する。
【0047】
ステップ304:ウォレット1は、「経路要求」契約動作を開始する。
【0048】
ステップ305:ウォレット1は、送金経路を決定する。
【0049】
一実装形態において、送金契約に参加すると、ブロックチェーン上のメンバは、ここで述べた「経路要求」契約動作などの送金契約により裏付けられたいくつかの契約動作を開始することができる。契約動作は、ユーザ1が、金銭をユーザ2に送金するために使用する送金経路を決定するために用いられ、送金動作が完了する。
【0050】
一実装形態において、送金経路は、上流側メンバとなるウォレット1と、下流側メンバとなるウォレット2と、ウォレット1とウォレット2との間のいくつかの中間メンバとを含む。本明細書に基づく技術ソリューションでは、「ウォレット1からウォレット2へ送金資金(ユーザ1が送金を期待している1000元など)を移転した」効果は、ブロックチェーン上のアンカーポイントが、送金経路においてかつブロックチェーン資産間の移転を通じて発行して全メンバが保有しているブロックチェーン資産を用いて、提示される必要があり、ウォレット2は最終的に、送金資金をユーザ2に提供する。
【0051】
送金資金が送金経路上の全メンバ間に移転される場合、送金資金は、隣接メンバ間で個別に数度に亘って移転される。例えば、送金経路が「ウォレット1-中間メンバ-ウォレット2」である場合、「ウォレット1-中間メンバ」と「中間メンバ-ウォレット2」という2対の隣接メンバが含まれ、ウォレット1から中間メンバへの資金移転、および中間メンバからウォレット2への資金移転という2回の資金移転が含まれている。隣接メンバの各対間の資金移転は、ブロックチェーン上のアンカーポイントを用いて、実装される必要があり、具体的には、以下の2つの条件に関する。条件(1):アンカーポイントが発行して隣接メンバのうちの上流側メンバが保有しているブロックチェーン資産は、送金額以上である。条件(2):隣接メンバのうちの下流側メンバは、アンカーポイントのためのトラストライン(trustline)を設定し、送金額と、アンカーポイントが発行して下流側メンバが保有しているブロックチェーン資産との合計は、トラストラインにより設定された制限以下である。すなわち、関連アンカーポイントは、上流側メンバと下流側メンバとの間に存在する。関連アンカーポイントが発行して上流側メンバが保有しているブロックチェーン資産は、資金移転に十分であり、下流側メンバは、関連アンカーポイントが発行したブロックチェーン資産を受け取ろうとしている。
【0052】
ウォレット1は、ウォレット1に格納されている完全な口座情報を用いることにより、ブロックチェーン会計帳簿を読み取り、アンカーポイント1〜3などのアンカーポイントが発行したブロックチェーン資産中の銀行1〜3やウォレット2などのメンバの保有額を知ることができ、各メンバが設定したトラストラインに関して、各メンバが、上記条件(1)および条件(2)を満たすかどうかを判別して、送金経路を決定する。
【0053】
ウォレット1および銀行1を、例として用いる。アンカーポイント1が発行してウォレット1が保有しているブロックチェーン資産は1000元であり、これは1000元の送金額以上である。さらに、銀行1は、アンカーポイント1について、トラストライン-YH1-1=2000元と設定し、アンカーポイント1が発行して銀行1が保有しているブロックチェーン資産は0元であり、ブロックチェーン資産と1000元の送金額との合計は、1000元<2000元である。したがって、アンカーポイント1は、ウォレット1と銀行1との間の関連アンカーポイントであり、ウォレット1と銀行1は、アンカーポイント1に基づいて相互に資産を移転することができる。ウォレット1および銀行2を、例として用いる。アンカーポイント1が発行してウォレット1が保有しているブロックチェーン資産は1000元であり、これは1000元の送金額以上である。さらに、銀行2は、アンカーポイント1について、トラストライン-YH2-1=1200元と設定し、アンカーポイント1が発行して銀行2が保有しているブロックチェーン資産は1000元であり、ブロックチェーン資産と1000元の送金額との合計は、2000元>1200元である。したがって、アンカーポイント1は、ウォレット1と銀行2との間の関連アンカーポイントではなく、ウォレット1と銀行2は、アンカーポイント1に基づいて資産を相互に移転することができない。
【0054】
同様に、ウォレット1とウォレット2に順に接続することに成功するいくつかの中間メンバがわかるように、ブロックチェーン上の各メンバが、条件(1)および条件(2)を満たすかが上記方法によって判定されて、送金経路の全体が得られる。例えば、
図4は、例示的な一実装形態による送金経路の決定を示す模式図である。
図4に示すように、送金経路は、ウォレット1-銀行1-ウォレット2を含む。ウォレット1と銀行1との間の関連アンカーポイントは、アンカーポイント1であり、銀行1とウォレット2との間の関連アンカーポイントは、アンカーポイント2である。
【0055】
一実装形態において、ウォレット1は、複数の送金経路を同時に判定し、ある条件に基づいて、最終的に用いられる送金経路を選択することができる。例えば、この条件は最短経路であって、コストが最小であり得る。実装形態は、本明細書に限定されるものではない。
【0056】
一実装形態において、
図4に示す送金経路は、ウォレット1と、銀行1と、ウォレット2とを含む。銀行1は、ウォレット1とウォレット2との間の中間メンバとなり、ウォレット1とウォレット2との間の送金を実施する。他の実装形態において、ウォレット1とウォレット2とが、同一のアンカーポイントが発行したブロックチェーン資産を保有しており、上記条件(1)および条件(2)を満足する場合、中間メンバは不要であり、送金は、ウォレット1とウォレット2との間で直接実施可能である。さらに別の実装形態では、ウォレット1のブロックチェーン残高が、ウォレット2のブロックチェーン残高へと移転可能となるように、ウォレット1とウォレット2との間に複数の中間メンバが存在することがあり、ウォレット1とウォレット2との間で送金が実施される。
【0057】
ステップ306:ウォレット1は、送金経路上の全ての中間メンバに対し、コンプライアンスチェック要求を開始する。
【0058】
一実装形態において、ウォレット1およびウォレット2が、同一の第三者支払プラットフォームに属している場合、ウォレット1がステップ303でコンプライアンスチェックを完了しているので、そのコンプライアンスチェックのチェック結果は、ウォレット2にも適用可能であり、ウォレット2は、コンプライアンスチェックを繰り返す必要はない。他の実装形態において、ウォレット1およびウォレット2は、別々の第三者支払プラットフォームに属することがある。したがって、ステップ306では、ウォレット1は、全ての中間メンバおよびウォレット2に対して、コンプライアンスチェック要求を同時に開始してもよく、全ての中間メンバおよびウォレット2は、コンプライアンスチェックを実行する。
【0059】
一実装形態において、ウォレット1は、ユーザ1が提供したチェックすべき資料を、銀行1へプッシュしてもよく、銀行1は、上述のKYCチェックおよびAMLチェックなど、チェックすべき資料に基づいて、コンプライアンスチェックを実施する。チェックすべき資料は、プッシュ処理において完全かつ信頼できるものであることを保証するため、ウォレット1は、チェックすべき資料をプッシュする前に、チェックすべき資料に対応したデジタル要約(digital digest)を生成し、このデジタル要約を、「資料存在の証拠」の契約動作を開始することにより、記録してもよい。チェックすべき資料を受け取ると、銀行1は、ブロックチェーンからデジタル要約を読み取り、このデジタル要約とチェックすべき資料のデジタル要約とを比較してもよい。デジタル要約が同一であれば、チェックすべき資料は完全で信頼できるものと判定され、そうでなければ、これは、チェックすべき資料に欠陥があることを示しており、ウォレット1は、チェックすべき資料を再度提供する必要がある。
【0060】
一実装形態において、コンプライアンスチェック要求を完了すると、送金経路上のメンバは、対応するチェック結果をウォレット1に返すことができる。チェック結果は、メンバが実行したコンプライアンスチェックの詳細データに対応したデジタル要約と、決定結果(適格または不適格)と、メンバの署名情報(チェック結果がメンバからのものであることを示す)とを含み得る。チェック結果に含まれるデジタル要約に対応する詳細データは、ユーザ1およびユーザ2のプライバシ情報に関するため、メンバがコンプライアンスチェックを行うときには、非公開規則が適用され、チェック結果にはデジタル要約のみが含まれ、詳細データはメンバにおいてのみ記録されており、後に、検証や検査のため、規制当局に対して提供される。
【0061】
ステップ307:ウォレット1は、「コンプライアンス存在証明」の契約動作を開始して、取得したチェック結果をブロックチェーン会計帳簿内に書き込む。
【0062】
一実装形態において、「コンプライアンス存在証明」の契約動作を開始することにより、ウォレット1は、銀行1が返したチェック結果を、ウォレット1に対応するブロック内に記録し、さらに、そのチェック結果を、記録のために、ブロックチェーン上の他のノードへブロードキャストすることができる。すなわち、ウォレット1は、チェック結果を上記のブロックチェーン会計帳簿に記録する。ブロックチェーンが改竄不能であるとともに追跡可能であるため、チェック結果は、規制当局が事後に検索したり閲覧したりするのに十分な信頼性をもつことができる。
【0063】
同様に、ステップ303で取得したチェック結果について、ウォレット1は、「コンプライアンス存在証明」の契約動作を開始して、事後の検索や閲覧のために、チェック結果をブロックチェーン会計帳簿内に記録することができる。
【0064】
一実装形態において、いずれかのメンバが返したチェック結果が不適格である場合、ウォレット1は、ユーザ1に対して、少なくとも1回、資料追加の機会を与えてもよい。追加資料を取得すると、ウォレット1は、メンバが再度コンプライアンスチェックを行うことができるように、その追加資料を、メンバに提供することができる。ウォレット1は、追加資料のデジタル要約を、ブロックチェーン会計帳簿内に記録してもよく、メンバは、受信したデジタル要約を、ブロックチェーン会計帳簿内に記録したデジタル要約と比較して、受信した追加資料が信頼できるのか判定する。ウォレット1は、ユーザ1に最大で2回の機会を提供することができるものとする。ユーザ1による資料追加の回数が2回より多く、メンバが返したチェック結果が不適格のままである場合、ウォレット1は、送金を中断し、ユーザ1に送金が失敗したことを示す通知メッセージを返してもよい。
【0065】
一実装形態において、ウォレット1が銀行1に対してコンプライアンスチェック要求を開始すると、ウォレット1は、返されたチェック結果を予め設定された期間(例えば、2分)内に受信しない場合、ウォレット1は、チェック結果が不適格であると判定してもよい。そして、ウォレット1は、「コンプライアンス存在証明」の契約動作を起動することにより、「不適格」のチェック結果をブロックチェーン会計帳簿内に記録し、さらに、送金を中断して、送金が失敗したことを示す通知メッセージを、ユーザ1に返す。
【0066】
ステップ308:銀行1が行う各コンプライアンスチェックの結果が適格である場合、ウォレット1は、「送信」の契約動作を開始して、送金経路上の全メンバ間の資金移転を行う。
【0067】
一実装形態において、「送信」の契約動作が発効する前に、ブロックチェーン会計帳簿は、
図2に示すブロックチェーン残高を記録する。この残高は以下のものを含む。アンカーポイント1が発行してウォレット1が保有しているブロックチェーン資産は1000元であり、アンカーポイント1が発行して銀行1が保有しているブロックチェーン資産は0元であり、アンカーポイント2が発行して銀行1が保有しているブロックチェーン資産は2000元であり、アンカーポイント2が発行してウォレット2が保有しているブロックチェーン資産は1000元であるなどである。「送信」の契約動作が発効すると、引き続き、送金経路上のウォレット1と、銀行1と、ウォレット2との間の資金移転が発生する。
図4に示すように、段階(2)では、
【0068】
ウォレット1と銀行1との間の資金移転は、アンカーポイント1を用いることにより、実施される。アンカーポイント1が発行してウォレット1が保有しているブロックチェーン資産が、銀行1へ1000元移転されることで、アンカーポイント1が発行してウォレット1が保有しているブロックチェーン資産は、1000元から0元に減少し、アンカーポイント1が発行して銀行1が保有しているブロックチェーン資産は、0元から1000元に増加する。上述のように、銀行1は、アンカーポイント1に、トラストライン-YH1-1=2000元>0元+1000元を設定するので、上記の資金移転は、アンカーポイント1にて実施可能である。
【0069】
銀行1とウォレット2との間の資金移転は、アンカーポイント2を用いることにより、実施される。アンカーポイント2が発行して銀行1が保有しているブロックチェーン資産が、ウォレット2へ1000元移転されることで、アンカーポイント2が発行して銀行1が保有しているブロックチェーン資産は、2000元から1000元に減少し、アンカーポイント2が発行してウォレット2が保有しているブロックチェーン資産は、1000元から2000元に増加する。上述のように、ウォレット2は、アンカーポイント2に、トラストライン-QB2-2=3000元>1000元+1000元を設定するので、上記の資金移転は、アンカーポイント2にて実施可能である。
【0070】
ウォレット1と銀行1との間の資金移転、および銀行1とウォレット2との間の資金移転の間、ウォレット1自身が保有する口座1が、ユーザ1の顧客資金口座1から1000元分増加し、アンカーポイント1が発行してウォレット1が保有しているブロックチェーン資産が、1000元減少するため、このことは、ウォレット1の正味の資金移転が0元であることを意味している。アンカーポイント1が発行して銀行1が保有しているブロックチェーン資産が、1000元増加し、アンカーポイント2が発行して銀行1が保有しているブロックチェーン資産が、1000元減少するため、このことは、銀行1の正味の資金移転が0元であることを意味している。アンカーポイント2が発行してウォレット2が保有しているブロックチェーン資産が、1000元増加するので、これは、ユーザ1が送金した1000元が、送金経路を通じてウォレット2のブロックチェーン残高に移転されることと同等である。
【0071】
ブロックチェーン上の全てのノードが、一元的ブロックチェーン会計帳簿を用いることには、留意する意義がある。すなわち、ブロックチェーン会計帳簿は、アンカーポイントが発行したブロックチェーン資産に、全メンバの保有額を記録する。したがって、ブロックチェーンは、アンカーポイント1が発行してウォレット1が保有しているブロックチェーン資産、アンカーポイント1およびアンカーポイント2が発行して銀行1が保有しているブロックチェーン資産、およびアンカーポイント2が発行してウォレット2が保有しているブロックチェーン資産を、同時に調整することができるので、ウォレット1のブロックチェーン残高は、アンカーポイント1が発行したブロックチェーン資産が1000元減少し、ウォレット2のブロックチェーン残高は、アンカーポイント2が発行したブロックチェーン資産が1000元増加する。これは、中間メンバのブロックチェーン残高が変化しないことを意味している。
【0072】
この場合、
図4に示す段階(3)では、ウォレット2は、自身が保有する口座2から1000元を、ウォレット2にてユーザ2が開設した顧客資金口座2へ移転することができる。アンカーポイント2が発行してウォレット2が保有しているブロックチェーン資産における1000元の増加は、ウォレット2の正味の資金移転が0元であることと同等であり、これに関し、ユーザ2は、ユーザ1から送金された1000元を取得する。
【0073】
ステップ309:ウォレット2は、金銭をユーザ2に移転するのに失敗し、関連する資金は、口座に記入不能となる。
【0074】
一実装形態において、ステップ302、303の後にステップ306が行われ、送金処理において起こり得る問題は、チェックされて排除される。したがって、ウォレット2は、ほとんどの場合、金銭をユーザ2に移転することに成功する。しかしながら、ある種の場合には、例えば、ステップ306の後、受取額残高が不十分であったり、口座が凍結するといった問題が、ウォレット2での顧客資金口座2に生じ、ステップ309での移転失敗を招く。その結果、自身が保有する口座2から移転された1000元は、口座に記入不能となる。
【0075】
ステップ310:ウォレット2は、移転に失敗した資金を、自身が保有する口座、すなわち自身が保有する口座2内に記入する。
【0076】
ステップ311:ウォレット2は、取引反転アプリケーションを、ブロックチェーン内に書き込む。
【0077】
一実装形態において、ウォレット2は、取引に対応したシリアル番号を取得し、その間に、この実装形態では、ユーザ1は1000元をユーザ2に送金し、シリアル番号を取引反転アプリケーションに加えて、取引反転アプリケーションをブロックチェーン内に書き込むことで、この取引反転アプリケーションをブロックチェーン会計帳簿に記録する。
【0078】
ステップ312:ウォレット1は、ブロックチェーンに書き込まれた取引反転アプリケーションに応じて、対応する反転通知を、ブロックチェーンから検出する。
【0079】
ステップ313:ウォレット1は、処理を進め、資金をユーザ1に返還する。
【0080】
ステップ314:ウォレット1は、ウォレット2と資金清算を行う。
【0081】
一実装形態において、
図5は、例示的な一実装形態による資金返還を示す模式図である。
図5に示すように、資金返還は、以下の2段階により完了可能である。
【0082】
段階(1):反転通知を受け取ると、ウォレット1は、ウォレット2が書き込んだ取引反転アプリケーションをブロックチェーンから読み取り、取引のシリアル番号を取引反転アプリケーションから取得することができ、取引反転アプリケーションが、
図3に示す実装形態について行うことが期待された送金動作であると判定する。取引反転アプリケーションがブロックチェーンに書き込まれているので、取引反転アプリケーションの内容が、ブロックチェーン会計帳簿内に記録され、改竄されることがなくなる。したがって、ウォレット2が移転に失敗した1000元を返還しないことについて、気にかけることなく、ウォレット1は、資金を積極的に前払いして、ユーザ1に1000元を返還することができる(例えば、自身が保有する口座1から顧客資金口座1へ1000元移転する)。
【0083】
段階(2):ウォレット2およびウォレット1は、オフライン清算方法を用いることができる。すなわち、ウォレット2は、1000元をウォレット1へ移転する。これは、ウォレット2が移転に失敗した1000元をウォレット1に返還することと同等である。ウォレット1およびウォレット2は、毎月1回、または他の合意頻度に基づき、資金を清算して、対応する期間に生成して保有している資金を処理してもよい。さらに、取引反転アプリケーションがブロックチェーン上に記録されているので、ウォレット1およびウォレット2は、取引反転アプリケーションとオフライン清算レコードとをマッチングし、貸倒金や不良債権などを回避することができる。
【0084】
図5に示す実装形態において、オフライン口座清算方法では、ウォレット2は、ブロックチェーンを用いて資金を返還することなく、アンカーポイント2にて受け取った1000元のブロックチェーン資金を蓄積可能であることに、留意する意義がある。他の実装形態において、資金返還処理は、ブロックチェーンに基づいて実施される。例えば、
図6は、例示的な一実装形態による他の資金返還を示す模式図である。
図6に示すように、資金返還は、以下の2段階により完了可能である。
【0085】
段階(1):この段階は、
図5に示す実装形態と同じであり、その詳細は、説明を簡潔にするために省略する。
【0086】
段階(2):アンカーポイント2が発行してウォレット2が保有しているブロックチェーン資産が、銀行1へ1000元移転されることで、アンカーポイント2が発行してウォレット2が保有しているブロックチェーン資産は、2000元から1000元に減少し、アンカーポイント2が発行して銀行1が保有しているブロックチェーン資産は、1000元から2000元に増加する。さらに、アンカーポイント1が発行して銀行1が保有しているブロックチェーン資産が、ウォレット1へ1000元移転されることで、アンカーポイント1が発行して銀行1が保有しているブロックチェーン資産は、1000元から0元に減少し、アンカーポイント1が発行してウォレット1が保有しているブロックチェーン資産は、0元から1000元に増加する。
【0087】
図6に示す実装形態において、理論的にではあるが、ウォレット2のブロックチェーン資産は、ブロックチェーン資産移転によりウォレット1へと返還可能であり、ブロックチェーン資産移転は、さらに、各ブロックチェーンメンバにより各アンカーポイントに設定されたトラストラインなどの規則に関係し、何らかの障害を発生することに、留意する意義がある。例えば、アンカーポイント2が発行して銀行1が保有しているブロックチェーン資産は、他のブロックチェーンメンバが行った移転動作によって増加可能であり、アンカーポイント2が発行してウォレット2が保有しているブロックチェーン資産は、トラストラインがあるので、銀行1に1000元移転することができない。この場合、「経路要求」契約動作は、ウォレット2からウォレット1への送金用の送金経路の再決定を開始することができ、ウォレット2は、送金経路に基づいてウォレット1に1000元を送金する。
【0088】
図7は、例示的な一実装形態によるデバイスを示す模式的構造図である。
図7を参照すると、ハードウェアについては、デバイスは、プロセッサ702と、内部バス704と、ネットワークインターフェース706と、メモリ708と、不揮発メモリ710とを備えており、さらに、他のサービスに必要なハードウェアを備え得ることは当然である。プロセッサ702は、不揮発メモリ710からメモリ708へと、対応するコンピュータプログラムを読み込んで、資産移転反転処理装置を論理的に形成するように、対応するコンピュータプログラムを読み込む。ソフトウェア実装形態に加え、本明細書の1つまたは複数の実装形態は、例えば、論理デバイスや、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせなど、他の実装形態を排除するものではないことは、当然である。すなわち、以下の処理手順の実行主体は、各論理ユニットに限定されるものではなく、ハードウェアや論理デバイスであってもよい。
【0089】
図8を参照すると、ソフトウェア実装形態にて、資産移転反転処理装置は、受取人に対応した第1のブロックチェーンメンバが、支払人と受取人との間の資産移転要求に応じて、支払人に対応した第2のブロックチェーンメンバにより移入されたブロックチェーン資産を取得することができるとともに、対応するオフチェーン資産移出動作を、受取人のために行うことができるように構成された資産移転部81と、移出動作が失敗した場合、第1のブロックチェーンメンバが、資産移転要求に対応した資産移転取引のための取引反転アプリケーションを、ブロックチェーンに書き込むことができるように構成された反転アプリケーション部82と、第1のブロックチェーンメンバが、移出動作に対応したオフチェーン資産のために、第2のブロックチェーンメンバと資産清算を行うことができるように構成された資産清算部83とを、備え得る。
【0090】
場合によっては、この装置は、第1のブロックチェーンメンバが、資産移転取引のシリアル番号を、取引反転アプリケーションに書き込むことができるように構成された情報書込部84を、さらに備える。
【0091】
場合によっては、この装置は、第1のブロックチェーンメンバが、移出動作に対応したオフチェーン資産を、予め設定されたオフチェーン口座内にて計数することができるように構成された資産勘定部85を、さらに備える。
【0092】
資産清算部83は、第1のブロックチェーンメンバが、定期的に、予め設定されたオフチェーン口座における余剰資産を集約し、その余剰資産を、第2のブロックチェーンメンバに返還して、資産清算を完了することができるように、具体的に構成される。
【0093】
場合によっては、資産清算部83は、第1のブロックチェーンメンバが、ブロックチェーン資産を第2のブロックチェーンメンバへ移転することができるように、具体的に構成され、移転されたブロックチェーン資産は、資産移転要求に基づいて第2のブロックチェーンメンバにより第1のブロックチェーンメンバへと移転されたブロックチェーン資産に等しい。
【0094】
場合によっては、取引反転アプリケーションの書込時と資産移転取引の作成時との時間間隔は、予め設定された間隔以内である。
【0095】
上記実装形態にて説明したシステム、装置、モジュール、またはユニットは、コンピュータチップまたはエンティティ(entity)を用いて実装可能であり、あるいは、一定の機能を有する製品を用いて実装可能である。典型的な実装デバイスは、コンピュータであり、コンピュータは、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、携帯電話、カメラ電話、高機能電話(intelligent phone)、パーソナルデジタルアシスタント、メディアプレーヤ、ナビゲーションデバイス、電子メール送受信デバイス、ゲーム機、タブレットコンピュータ、ウェアラブルデバイス、またはこれらのデバイスのうちのいくつかのデバイスの任意の組み合わせであってもよい。
【0096】
典型的な構成では、コンピュータは、1つまたは複数のプロセッサ(CPU)と、入出力インターフェースと、ネットワークインターフェースと、メモリとを備える。
【0097】
メモリは、非持続型メモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発メモリ、および/または、コンピュータ可読媒体内の他の形態、例えば、読取専用メモリ(ROM)もしくはフラッシュメモリ(フラッシュRAM)であってもよい。メモリは、コンピュータ可読媒体の一例である。
【0098】
コンピュータ可読媒体は、任意の方法または技術を用いることにより情報を格納可能な、持続型、非持続型、移動可能、および固定式の媒体である。情報は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータであってもよい。コンピュータ記憶媒体の例としては、相変化メモリ(PRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、他の種類のランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、電気的消去可能プログラム可能読取専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、他のメモリ技術、コンパクトディスク読取専用メモリ(CD-ROM)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)もしくは他の光学ストレージ、磁気カセットテープ、磁気ディスクストレージ、量子メモリ、グラフェン型ストレージ媒体もしくは他の磁気記憶デバイス、または他の非伝送媒体があるが、これに限定されるものではない。コンピュータ記憶媒体は、コンピューティングデバイスによりアクセス可能な情報を格納するのに、使用可能である。本明細書での定義に基づき、コンピュータ可読媒体は、変調データ信号および搬送波などの過渡的コンピュータ可読媒体(一時的媒体)を含まない。
【0099】
「含む(include)」や「備える(comprise)」という用語またはその変形例が、包括的範囲を含むことを意図して、要素のリストを含む処理、方法、製品、またはデバイスが、これらの要素を含むだけでなく、明示的に示されていない他の要素を含み、あるいは、このような処理、方法、製品またはデバイスに固有の要素をさらに含むことを意図していることに、留意する意義がある。他の制約がなければ、「〜を含む(includes)」が導く要素は、その要素を含む処理、方法、製品またはデバイスにおいて、追加的な個別の要素が存在することを排除しない。
【0100】
本明細書の具体的な実装形態については、上述した。他の実装形態は、添付の特許請求の範囲に含まれる。ある種の場合には、特許請求の範囲に記載した動作やステップは、実装形態とは異なる順序で行うことができ、それによっても、所望の結果が達成可能である。さらに、添付の図面に示した処理は、所望の結果を達成するのに特別な実行順序が、必ずしも必要というわけではない。ある種の実装形態では、マルチタスク処理および並列処理が、実行されてもよく、それが有利であってもよい。
【0101】
本明細書の1つまたは複数の実装形態で用いた用語は、具体的な実装形態を示すためのものに過ぎず、本明細書の1つまたは複数の実装形態に制限する意図はない。本明細書の1つまたは複数の実装形態および添付の特許請求の範囲で用いた単数形での「a」および「the」の語は、文脈上明瞭に指定されるのでなければ、複数形をも含むことを意図している。本明細書で用いた「and/or」の語は、関連して挙げられた1つまたは複数の用語の任意またはあらゆる組み合わせを示すとともに含むことを、さらに理解されたい。
【0102】
「第1」、「第2」および「第3」の用語が、本明細書の1つまたは複数の実装形態に用いられて、様々な種類の情報を説明していたとしても、その情報は、その用語に限定されるものではないことを、理解されたい。これらの用語は、同種の情報を区別するために用いられているだけである。例えば、本明細書の1つまたは複数の実装形態の範囲から離れることなく、第1の情報は、第2の情報と称するもでき、同様に、第2の情報は第1の情報と称することもできる。文脈によっては、例えば、ここで用いる「〜であれば(if)」の語は、「〜である間(while)」、「〜である場合(when)」または「判定に応じて(in response to determining)」と説明可能である。
【0103】
上記説明は、本明細書の1つまたは複数の実装形態の一例に過ぎず、本明細書の1つまたは複数の実装形態に制限することを意図していない。本明細書の1つまたは複数の実装形態の趣旨および原理から逸脱することなくなされた、あらゆる変形、等価な置換、および改良は、本明細書の1つまたは複数の実装形態の保護範囲に含まれる。
【0104】
図9は、本開示の実装形態による資産移転処理のコンピュータ実装方法900の例を示すフローチャートである。説明を明瞭にするため、以下の説明は、この説明における他の図面の文脈における方法900について一般的に述べている。しかしながら、方法900は、システム、環境、ソフトウェアおよびハードウェア、またはシステム、環境、ソフトウェアおよびハードウェアの必要に応じた組み合わせにより、実行され得ることを理解されたい。ある種の実装形態では、方法900の様々なステップは、並列で、組み合わせて、ループで、または他の順序で実行可能である。
【0105】
902では、第2のブロックチェーンメンバから移転されたブロックチェーン資産は、支払人と受取人との間で資産を移転するための資産移転要求に応じて、第1のブロックチェーンメンバにて受領され、ここで、第1のブロックチェーンメンバおよび第2のブロックチェーンメンバは、ブロックチェーンと関連づけられる。ある種の実装形態では、第1のブロックチェーンメンバは、受取人に対応し、第2のブロックチェーンメンバは、支払人に対応する。方法900は、902から904へ進む。
【0106】
904では、ブロックチェーン資産の受領に応じて、受取人へのオフチェーン資産移出動作が、第1のブロックチェーンメンバにより行われる。方法900は、904から906へ進む。
【0107】
906では、オフチェーン資産移出動作が失敗したかどうかについて、判定がなされる。オフチェーン資産移出動作が失敗したと判定された場合、方法900は908へ進む。
【0108】
908では、資産移転要求に対応する資産移転取引用の取引反転アプリケーションが、第1のブロックチェーンメンバにより、ブロックチェーンに書き込まれる。ある種の実装形態では、資産移転取引と関連づけられたシリアル番号が、第1のブロックチェーンメンバにより、取引反転アプリケーションに書き込まれる。
【0109】
ある種の実装形態では、取引反転アプリケーションと関連づけられた書込時と資産移転取引と関連づけられた作成時との時間間隔は、予め設定された間隔以内である。方法900は、908から910へ進む。
【0110】
910では、取引反転アプリケーションの書込に応じて、オフチェーン資産移出動作に対応したオフチェーン資産について、第2のブロックチェーンメンバとの資産清算が、第1のブロックチェーンメンバにより行われる。
【0111】
ある種の実装形態では、資産清算を行うステップは、予め設定されたオフチェーン口座へのオフチェーン資産移出動作に対応するオフチェーン資産を、計数するステップと、オフチェーン口座の余剰資産を、集約余剰資産として集約するステップと、集約余剰資産を、第2のブロックチェーンメンバに返還するステップとを備える。ある種の実装形態では、余剰資産を集約するステップは、定期的に行われてもよい。例えば、毎日、毎週、または、必要に応じたその他のあらゆる時系列的頻度である。
【0112】
ある種の実装形態では、資産清算を行うステップは、ブロックチェーン資産を第2のブロックチェーンメンバへ移転するステップを備えており、移転されたブロックチェーン資産は、資産移転要求に基づいて、第2のブロックチェーンメンバから第1のブロックチェーンメンバへ移転されたブロックチェーン資産に等しい。910の後、方法900は停止する。
【0113】
本願の実装形態は、ブロックチェーンネットワークの異なるメンバ間のデータ資産移転における技術的課題を、解決することができる。第1のユーザが、データ資産を第2のユーザへ移転すると(ある種の場合には、いくつかの中間ユーザを通じて)、第2のユーザは十分なクレジット制限をもたないか、あるいは、第2のユーザの口座が凍結されているために、移転が失敗することがある。従来、このようなイベントが発生すると、取引は取り消され、データ資産は、当初の経路を通じて、第1のユーザの口座へ返還される。しかしながら、従来の方法では、移転されたデータ資産をユーザが受容するには、比較的長時間を要した。さらに、ある種の場合には、データ資産は、他の数名の中間ユーザを通じて移転するので、追加の費用を負担することがあり(金融、コンピュータ、またはデータ移転を含む)、移転中のデータセキュリティに悪影響があり得る(例えば、傍受を探索するか、あるいはデータ資産移転に影響する機会)。必要なのは、従来の方法におけるこれらの問題を回避する技術であり、取引の失敗が発生した場合に、より速く、かつより安全なデータ移転のソリューションを、提供することである。
【0114】
本願の実装形態は、ブロックチェーン技術に基づき、異なるユーザ口座間のデータ資産移転を改善する方法および装置を提供する。ある種の実装形態によると、オフチェーン資産が、アンカーポイントを通じて、等価なブロックチェーン資産と交換可能となるように、アンカーポイントは、ブロックチェーン上のブロックチェーン資産を、ブロックチェーン外のオフチェーン資産に固定するために用いられ、ブロックチェーン資産とオフチェーン資産との一対一写像を実現する。送り主が、データ資産を受取人に送ると、送り主は、まず、オフチェーン資産を第2のブロックチェーンメンバに送り、第2のブロックチェーンメンバが、保有しているブロックチェーンデータ資産を、資産移転要求に応じて第1のブロックチェーンメンバに移転する。そして、第1のブロックチェーンメンバは、オフチェーンデータ資産を受取人に送る。このことは、送り主が、オフチェーン資産を受取人に移転することと等価である。取引の失敗が生じた場合、第1のブロックチェーンメンバは、取引反転アプリケーションを書き込み、ブロックチェーン上に発行する。第2のブロックチェーンメンバは、関連オフチェーンデータ資産を、取引反転アプリケーションに基づいて、送り主に事前に返還してもよい。
【0115】
ある種の実装形態では、上述の方法および装置は、ブロックチェーンデータ資産およびオフチェーン資産をアンカーポイントを通じて移転することにより、データ処理の複雑性、およびブロックチェーンメンバへの費用を低減することができる。ブロックチェーンの情報が改竄不能であるとともに追跡可能であるため、ブロックチェーン会計帳簿に登録された取引反転アプリケーションは、信頼に足るものであり、全ブロックチェーンメンバおよびアンカーポイントに信頼され得る。したがって、第2のブロックチェーンメンバは、第1のブロックチェーンメンバが関連資産を第2のブロックチェーンメンバに返還することを拒むことについて気にかけることなく、データ資産を返還することができる。このように、送り主は、データ資産反転処理の信頼性を確保しつつ、返還されたオフチェーン資産をできるだけ早く取得することができる。これにより、データ資産移転の際にもたらされる、データ処理時間および追加的費用およびセキュリティリスクが低減する。
【0116】
本明細書で説明した実施形態および動作は、本明細書で開示した構造またはその1つまたは複数の組み合わせでの構造を含む、デジタル電子回路にて、あるいは、コンピュータソフトウェア、ファームウェアまたはハードウェアにて、実装可能である。動作は、データ処理装置が、1つもしくは複数のコンピュータ可読記憶デバイスに記憶されたデータまたは他のソースから受信したデータについて行う動作として、実施可能である。データ処理装置、コンピュータ、またはコンピューティングデバイスは、装置、デバイス、およびデータ処理機を含んでもよい。例として、プログラム可能プロセッサ、コンピュータ、チップ上のシステム、またはその複数もしくは組み合わせを含む。装置は、例えば、中央処理装置(CPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または特定用途向け集積回路(ASIC)などの特殊目的論理回路を備えてもよい。この装置は、当該コンピュータプログラム用の実行環境を作成するコードを含んでもよい。例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム(例えば、オペレーティングシステム、またはオペレーティングシステムの組み合わせ)、クロスプラットフォームランタイム環境、仮想マシン、または、それらの1つもしくは複数の組み合わせを構成するコードを含んでもよい。この装置および実行環境は、ウェブサービス、分散コンピューティング、およびグリッドコンピューティングインフラストラクチャなど、種々のコンピューティングモデルインフラストラクチャを実現し得る。
【0117】
コンピュータプログラム(例えば、プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアモジュール、ソフトウェアユニット、スクリプトまたはコードとしても知られている)は、コンパイルまたはインタプリタ言語や、宣言型または手続き型言語など、任意の形態のプログラミング言語で記述可能であり、スタンドアロンプログラムとして、あるいは、モジュール、コンポーネント、サブルーチン、オブジェクト、またはコンピューティング環境での仕様に適した他のユニットなど、任意の形態で展開可能である。プログラムは、他のプログラムやデータ(マークアップ言語ドキュメント内に格納された1つまたは複数のスクリプト)を保有するファイルの一部として、当該プログラム専用の単一のファイルとして、あるいは、複数の連携ファイル(例えば、1つまたは複数のモジュール、サブプログラム、またはコードの一部)として記憶可能である。コンピュータプログラムは、単一のコンピュータ、または、単一の場所に、あるいは複数の場所に分散して配置された複数のコンピュータ上で実行可能である。
【0118】
コンピュータプログラムの実行のためのプロセッサは、例えば、汎用および特定目的マイクロプロセッサ、および、あらゆる種類のデジタルコンピュータの任意の1つまたは複数のプロセッサであってもよい。一般に、プロセッサは、命令およびデータを、読取専用メモリもしくはランダムアクセスメモリまたはその両方から受信することになる。コンピュータの必須要素は、命令、ならびに命令およびデータを格納する1つまたは複数のメモリデバイスに従って動作するためのプロセッサである。一般に、コンピュータは、データを格納する1つもしくは複数の大容量記憶デバイスを含むか、または大容量記憶デバイスからデータを受信するか、もしくはこれに対してデータを送信するか、もしくは両方を行うよう動作可能に接続する。コンピュータは、例えば、携帯デバイス、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ゲーム機、グローバルポジショニングシステム(GPS)受信機、または携帯記憶デバイスなど、他のデバイスに組み込まれてもよい。コンピュータプログラム命令およびデータを格納するのに適したデバイスには、例えば、半導体メモリデバイス、磁気ディスク、光磁気ディスクなどの不揮発メモリ、媒体および記憶デバイスがある。プロセッサおよびメモリには、特定目的論理回路が追加されたり、組み込まれたりしてもよい。
【0119】
携帯デバイスは、ハンドセット、ユーザ装置(UE)、携帯電話(例えば、スマートフォン)、タブレット、ウェアラブルデバイス(例えば、スマートウォッチ、およびスマートグラス)、人体埋込デバイス(例えば、バイオセンサ、人工内耳)またはその他の種類の携帯デバイスであってもよい。携帯デバイスは、様々な通信ネットワーク(後述)と、無線通信可能である(例えば、無線周波数(RF)信号を用いる)。携帯デバイスは、携帯デバイスの現在の環境の特徴を判定するためのセンサを含んでもよい。センサは、カメラ、マイク、近接センサ、GPSセンサ、運動センサ、加速度計、環境光センサ、湿度センサ、ジャイロスコープ、コンパス、気圧計、指紋センサ、顔認証システム、RFセンサ(例えば、Wi-Fiおよびセルラ無線)、熱センサ、他の種類のセンサであってもよい。例えば、カメラは、可動または固定レンズ付きの正面または背面カメラ、フラッシュ、画像センサ、および画像プロセッサを含んでいてもよい。カメラは、顔および/または虹彩認証用の細部取込可能なメガピクセルカメラであってもよい。カメラは、データプロセッサ、およびメモリ内に格納されるか遠隔アクセスされる認証情報とともに、顔認証システムを形成し得る。顔認証システム、または例えば、マイク、運動センサ、加速度計、GPSセンサ、もしくはRFセンサなどの1つまたは複数のセンサは、ユーザ認証に用いられ得る。
【0120】
ユーザとやり取りするために、実施形態は、例えば、情報をユーザに表示する液晶ディスプレイ(LCD)または有機発光ダイオード(OLED)/仮想現実(VR)/拡張現実(AR)ディスプレイ、ユーザがコンピュータに入力できるようにするタッチスクリーン、キーボード、およびポインティングデバイスなど、ディスプレイデバイスおよび入力デバイスを有するコンピュータ上で実装されてもよい。他の種類のデバイスが、ユーザとやり取りをするために、同様に用いられてもよい。例えば、ユーザへのフィードバックは、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバックなどの感覚フィードバックの任意の形態であってもよく、ユーザからの入力は、音声、発声、または触覚入力など、任意の形態で受信され得る。さらに、コンピュータは、ユーザに使用されるデバイスに対して文書を送受信することにより、ユーザとやり取りすることができる。例えば、ウェブブラウザから受信した要求に応じて、ウェブページをユーザのクライアントデバイス上のウェブブラウザに送信することによる。
【0121】
実施形態は、例えば、通信ネットワークなどの有線または無線デジタルデータ通信(またはその組み合わせ)の任意の形態または媒体で相互接続されたコンピューティングデバイスを用いて実装されてもよい。相互接続されたデバイスの例は、通例、通信ネットワークを通じてやり取りする、一般に、互いに離れたクライアントおよびサーバである。例えば、モバイルデバイスなどのクライアントは、自身で取引を、サーバと、あるいはサーバを通じて、実行することができる。例えば、購入、売却、支払、贈与、送付、もしくは貸付取引を行い、あるいはそれを許可する。このような取引は、行動と応答とが時間的に近接するようにリアルタイムであってもよい。例えば、個人は、行動および応答が実質的に同時に生じることを把握し、個人の行動に続く応答の時間差が、1ミリ秒(ms)未満または1秒未満、あるいは、応答には、システムの処理の制約を考慮した意図的な遅延がない。
【0122】
通信ネットワークの例には、ローカルエリアネットワーク(LAN)、無線アクセスネットワーク(RAN)、都市規模ネットワーク(MAN)、および広域ネットワーク(WAN)がある。通信ネットワークは、インターネットの全部または一部、他の通信ネットワーク、または通信ネットワークの組み合わせであってもよい。情報は、ロングタームエボリューション(LTE)、5G IEEE802、インターネットプロトコル(IP)、または他のプロトコルもしくはプロトコルの組み合わせなど、様々なプロトコルおよび規格に従って、通信ネットワーク上で送信され得る。通信ネットワークは、接続したコンピューティングデバイス間で、音声、映像、生体もしくは認証データ、または他の情報を通信可能である。
【0123】
複数の個別の実装形態として説明した特徴は、組み合わせて、単一の実装形態として実装されてもよく、一方、単一の実装形態として説明した特徴は、複数の実装形態として、個別に、あるいは任意の適切な小規模の組み合わせとして、実装されてもよい。特定の順で説明されて特許請求されている動作は、特定の順が必要であったり、図示された動作が全て実行されるべきであると理解されるべきではない(いくつかの動作は任意である)。必要に応じて、マルチタスクもしくは並列処理(またはマルチタスクと並列処理との組み合わせ)が、実行されてもよい。