特許第6852170号(P6852170)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6852170ビスシリルアミノシリル官能化共役ジエン及びゴムの製造におけるこれらの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6852170
(24)【登録日】2021年3月12日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】ビスシリルアミノシリル官能化共役ジエン及びゴムの製造におけるこれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C07F 7/10 20060101AFI20210322BHJP
   C08F 4/72 20060101ALI20210322BHJP
   C08F 212/02 20060101ALI20210322BHJP
   C08F 230/08 20060101ALI20210322BHJP
   C08F 236/10 20060101ALI20210322BHJP
   C08J 3/24 20060101ALI20210322BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20210322BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20210322BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20210322BHJP
   C08L 9/06 20060101ALI20210322BHJP
   C08L 25/02 20060101ALI20210322BHJP
   C08L 43/04 20060101ALI20210322BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   C07F7/10 FCSP
   C08F4/72
   C08F212/02
   C08F230/08
   C08F236/10
   C08J3/24 ZCEQ
   C08K3/013
   C08K3/04
   C08K3/36
   C08L9/06
   C08L25/02
   C08L43/04
   B60C1/00 A
【請求項の数】38
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2019-541439(P2019-541439)
(86)(22)【出願日】2018年7月31日
(65)【公表番号】特表2020-508975(P2020-508975A)
(43)【公表日】2020年3月26日
(86)【国際出願番号】EP2018070796
(87)【国際公開番号】WO2019030064
(87)【国際公開日】20190214
【審査請求日】2019年7月31日
(31)【優先権主張番号】17461581.5
(32)【優先日】2017年8月8日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】17201732.9
(32)【優先日】2017年11月14日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】319007860
【氏名又は名称】シントス ドボリ 7 スプウカ ズ オグラニザツィーノン オトゥポビエジャルノシチョン スプウカ ヤフナ
【氏名又は名称原語表記】SYNTHOS DWORY 7 SPOLKA Z OGRANICZONA ODPOWIEDZIALNOSCIA SPOLKA JAWNA
(73)【特許権者】
【識別番号】515308903
【氏名又は名称】シントス エス.アー.
【氏名又は名称原語表記】SYNTHOS S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】シオレック、マリア
(72)【発明者】
【氏名】コザック、ラドスワフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェダ、パヴェウ
(72)【発明者】
【氏名】ボガチュ、ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】スクロック、トマシュ
(72)【発明者】
【氏名】バルタス、ダヴィド
(72)【発明者】
【氏名】ワレニア、マルゴルザータ
【審査官】 山本 昌広
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/067877(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/162473(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/162528(WO,A1)
【文献】 特許第6811250(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 7/00−7/30
C08F 4/00−4/82
C08F 212/00−212/36
C08F 230/00−230/10
C08F 236/00−236/22
C08J 3/00−3/28
C08K 3/00−13/08
C08L 1/00−101/16
B60C 1/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(IIIa),(IVa),(Va),(XVa)又は(XVb)
【化1】
の化合物からなる群から選択される、官能化共役ジエン。
【請求項2】
エラストマーコポリマーの製造に使用される、請求項に記載の1つ以上の官能化共役ジエンを含有する組成物。
【請求項3】
前記エラストマーコポリマーは、式(IIIa),(IVa),(Va),(XVa)又は(XVb)の化合物の群から選択される前記1つ以上の官能化共役ジエンから得られる1つ以上の単位に加えて、1つ以上の共役ジエンモノマーから得られる単位を含む、請求項に記載の組成物。
【請求項4】
前記共役ジエンモノマーは、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ペンタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、及び4,5−ジエチル−1,3−オクタジエンから選択される、請求項に記載の組成物。
【請求項5】
前記製造は、アニオン重合又は配位重合による、請求項2〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記エラストマーコポリマーは、1つ以上のビニル芳香族モノマーから得られる単位を更に含む、請求項2〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記ビニル芳香族モノマーはスチレンである、請求項に記載の組成物。
【請求項8】
(IIIa),(IVa),(Va),(XVa)又は(XVb)の化合物の群から選択される前記1つ以上の官能化共役ジエンから得られる単位の量は、前記エラストマーコポリマーの重量に基づいて0.05〜5重量%の範囲である、請求項2〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
1つ以上の共役ジエンモノマー、任意選択的に1つ以上のビニル芳香族モノマー、及び任意選択的に式(IIIa),(IVa),(Va),(XVa)又は(XVb)の化合物の群から選択される1つ以上の官能化共役ジエンのアニオン共重合の開始剤として使用される、式(IIIa),(IVa),(Va),(XVa)又は(XVb)
【化2】
の化合物の群から選択される、官能化共役ジエンのアルカリ金属塩誘導体。
【請求項10】
カップリングコポリマー及び末端変性コポリマーを含むコポリマー成分の製造方法であって、
以下の工程:
(1)開始剤成分が、式(IIIa),(IVa),(Va),(XVa)又は(XVb)
【化3】
の化合物の群から選択される1つ以上の官能化共役ジエン1つ以上のアルカリ金属塩誘導体を含み、前記アルカリ金属はリチウム、ナトリウム及びカリウムからなる群から選択される、前記開始剤成分を提供する工程と、
(2)
i)式(IIIa),(IVa),(Va),(XVa)又は(XVb)の化合物の群から選択される1つ以上の官能化共役ジエンと、
ii)1つ以上の共役ジエンモノマーと、
iii)任意選択的に1つ以上のビニル芳香族モノマーと、
を含むモノマー成分を前記開始剤成分と接触させて、アニオン共重合を開始する工程と、
(3)共重合を続けてコポリマーを得る工程と、
(4)任意選択的に、1つ以上の官能化モノマーの存在下で、前記コポリマーの共重合を続けて官能化コポリマーを得る工程と、
(5)工程(3)の前記コポリマー又は工程(4)の前記官能化コポリマーの一部を1つ以上のカップリング剤とカップリングさせて、カップリングコポリマーを得る工程と、
(6)工程(3)の前記コポリマー又は工程(4)の前記官能化コポリマーの一部を1つ以上の末端変性剤で末端変性して、末端変性コポリマーを得る工程と、
を含む方法。
【請求項11】
エラストマーコポリマーを製造する方法であって、
i)式(IIIa),(IVa),(Va),(XVa)又は(XVb)
【化4】
の化合物の群から選択される、1つ以上の官能化共役ジエンと、
ii)1つ以上の共役ジエンモノマーと、
iii)任意選択的に1つ以上のビニル芳香族モノマーとをアニオン重合条件に供する工程を含む、方法。
【請求項12】
前記アニオン重合条件は、式(IIIa),(IVa),(Va),(XVa)又は(XVb)の前記1つ以上の官能化共役ジエンのアルカリ金属塩誘導体で前記重合を開始する工程を含み、前記アルカリ金属は、リチウム、ナトリウム、及びカリウムから選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
エラストマーコポリマーを製造する方法であって、
i)式(IIIa),(IVa),(Va),(XVa)又は(XVb)
【化5】
の化合物の群から選択される、1つ以上の官能化共役ジエンと、
ii)1つ以上の共役ジエンモノマーとをチーグラナッタ重合条件に供する工程を含む、方法。
【請求項14】
前記チーグラナッタ重合条件は、1)金属塩化物及び2)助触媒を含む触媒系を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記金属塩化物1)は、Ni、Co、Ti、Nd、V、Ti、Zr、及びFeの1つ以上の塩化物から選択され、前記助触媒2)は、アルミニウム及びマグネシウムアルキル化合物の1つ以上から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記チーグラナッタ重合条件は、1)非ハロゲン化物金属化合物、2)助触媒、及び3)ハロゲン化物供与体化合物を含む触媒系を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記非ハロゲン化物金属化合物1)は、1つ以上のNd化合物である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記Nd化合物は、ネオジムカルボキシレート、ネオジムアルコレート、ネオジムホスフェート、ネオジムホスホネート、ネオジムアリル化合物、ネオジムシクロペンタジエニル錯体、ネオジムアミド及びネオジムアセチルアセトネートから選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
エラストマーコポリマーであって、
A)式(IIIa),(IVa),(Va),(XVa)又は(XVb)
【化6】
の化合物の群から選択される、官能化共役ジエンと、
B)前記コポリマーの45重量%〜99.95重量%の1つ以上の共役ジエンモノマーと、
C)前記コポリマーの0重量%〜50重量%の1つ以上のビニル芳香族モノマーとから得られる繰り返し単位を含む、エラストマーコポリマー。
【請求項20】
B)共役ジエンモノマーの量は、前記コポリマーの50〜92重量%である、請求項19に記載のエラストマーコポリマー。
【請求項21】
前記ビニル芳香族モノマーは、スチレン、1−ビニルナフタレン、3−メチルスチレン、3,5−ジエチルスチレン、4−プロピルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、4−ドデシルスチレン、3−メチル−5−n−ヘキシルスチレン、4−フェニルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、3,5−ジフェニルスチレン、2,3,4,5−テトラエチルスチレン、3−エチル−1−ビニルナフタレン、6−イソプロピル−1−ビニルナフタレン、6−シクロヘキシル−1−ビニルナフタレン、7−ドデシル−2−ビニルナフタレン、及びα−メチルスチレンから選択される、請求項19又は20に記載のエラストマーコポリマー。
【請求項22】
C)ビニル芳香族モノマーの量は、前記コポリマーの8〜45重量%である、請求項1921のいずれか一項に記載のエラストマーコポリマー。
【請求項23】
1重量%未満のC)ビニル芳香族モノマーを含み、B)共役ジエンモノマーの量は、前記コポリマーの95〜99.95重量%である、請求項19に記載のエラストマーコポリマー。
【請求項24】
前記共役ジエンモノマーは、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ペンタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、及び4,5−ジエチル−1,3−オクタジエンから選択される、請求項1923のいずれか一項に記載のエラストマーコポリマー。
【請求項25】
前記コポリマーは、直鎖構造を有する単位を含む、請求項1924のいずれか一項に記載のエラストマーコポリマー。
【請求項26】
前記コポリマーは、分岐構造を有する単位を含む、請求項1925のいずれか一項に記載のエラストマーコポリマー。
【請求項27】
前記コポリマーは、星型構造を有する単位を含み、アニオン重合条件で金属末端リビング直鎖コポリマーと1つ以上のカップリング剤との反応によって製造される、請求項1926のいずれか一項に記載のエラストマーコポリマー。
【請求項28】
a.
I)前記カップリング剤は、ハロゲン化スズカップリング剤であり、又は、
II)前記カップリング剤は、ハロゲン化ケイ素カップリング剤であり、前記ハロゲン化ケイ素カップリング剤は、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四フッ化ケイ素、四ヨウ化ケイ素、ヘキサクロロジシラン、ヘキサブロモジシラン、ヘキサフルオロジシラン、ヘキサヨードジシラン、オクタクロロトリシラン、オクタブロモトリシラン、オクタフルオロトリシラン、オクタヨードトリシラン、ヘキサクロロジシロキサン、2,2,4,4,6,6−ヘキサクロロ−2,4,6−トリシラヘプタン−1,2,3,4,5,6−ヘキサキス−[2−(メチルジクロロシリル)エチル]ベンゼン、及び一般式(XVI)R−Si−X4−n(XVI)
(式中、Rは、1〜20個の炭素原子を有する一価の脂肪族炭化水素基又は6〜18個の炭素原子を有する一価の芳香族炭化水素基であり、nは0〜2の整数であり、Xは、塩素、臭素、フッ素又はヨウ素原子であり得る)のハロゲン化アルキルケイ素から選択され、
且つ/又は、
b.星型構造を有する単位の画分は、前記コポリマーの15〜75重量%である、請求項27に記載のエラストマーコポリマー。
【請求項29】
1つ以上の加硫剤の存在下で請求項1928のいずれか一項に記載のエラストマーコポリマーを加硫する工程を含むゴムを製造する方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法に従って得られるゴム。
【請求項31】
請求項30に記載のゴムを含むx)ゴム成分を含むゴム組成物。
【請求項32】
前記ゴム組成物は、y)1つ以上の充填剤を更に含む、請求項31に記載のゴム組成物。
【請求項33】
前記充填剤は、シリカ及びカーボンブラックからなる群から選択される、請求項32に記載のゴム組成物。
【請求項34】
充填剤成分y)の量は、前記ゴム成分x)100質量部(phr)に対して10〜150質量部である、請求項3233のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項35】
前記ゴム成分x)は、1つ以上の更なるゴム状ポリマーも含み、前記更なるゴム状ポリマーは、天然ゴム、合成イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−α−オレフィンコポリマーゴム、エチレン−α−オレフィン−ジエンコポリマーゴム、アクリロニトリル−ブタジエンコポリマーゴム、クロロプレンゴム、及びハロゲン化ブチルゴムからなる群から選択される、請求項3134のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項36】
請求項3135のいずれか1項に記載のゴム組成物を含むタイヤ成分。
【請求項37】
前記タイヤ成分はタイヤトレッドである、請求項36に記載のタイヤ成分。
【請求項38】
請求項36又は37に記載のタイヤ成分を含むタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビスシリルアミノシリル官能化共役ジエン及びゴムの製造におけるこれらの使用に関する。更に、本発明は、ゴム及びゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
合成ゴムの製造に使用できる種々の共役ジエンモノマーが知られている。しかしながら、有利な重合プロセスにおいて使用することができる、又はこのような共役ジエンモノマーから製造されたゴムに有利な性質を付与する更なる共役ジエンモノマーが当技術分野において必要とされている。
【0003】
非特許文献1は、グリニャール化学による2−ケイ素置換1,3−ジエンの調製を報告している。著者らは更に、位置選択的及びジアステレオ選択的な方法でのワンポットのメタセシス/ディールス・アルダー反応における2−ケイ素置換1,3−ジエンの使用を報告している。
【0004】
特許文献1は、任意選択的に芳香族ビニルモノマーと共に、共役ジエンモノマーの重合における変性モノマーとして有用であるアミノシラン官能化ジエン化合物を教示しており、結果としてタイヤなどのゴム製品に使用できるポリマー、特にエラストマーポリマーを製造している。
【0005】
特許文献2及び特許文献3は、アミノシリル官能化スチレン及びこれらの調製方法、並びにこれらのコポリマーの調製におけるスチレン誘導体の使用を開示している。
特許文献4は、ゴムの製造におけるビニルシランの使用を教示している。特許文献5は、共役ジエン、モノマー単位V−S、及びモノマー単位V−Aから誘導された共役ジエンポリマーを教示しており、この場合に、V及びVはそれぞれ、重合性炭素炭素二重結合を含むヒドロカルビル基を表し、Sは、置換シリル基を表し、Aは、アミノ基又は窒素含有ヘテロ環基である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3159346A1号明細書
【特許文献2】国際公開第2016/162473A1号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2016/162528A1号パンフレット
【特許文献4】欧州特許出願公開第3064546A1号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第2857446A1号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】P.P.チャウドハリー(P.P.Choudhury)及びM.E.ウェルカー(M.E.Welker)著、(高分子(Molecules)2015年、20巻、p.16892−16907)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、合成ゴムの製造のための共役ジエンモノマーを提供することである。これらの共役ジエンモノマーは、容易に入手可能な出発原料に基づくべきであり、簡易な合成経路を介して入手可能であるべきである。更に、共役ジエンモノマーは普遍的に、即ち種々の異なる重合プロセスにおいて適用可能であるべきであり、ゴムに有利な特性を与えるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、この目的が特定のビスシリルアミノシリル官能化を有する共役ジエンの使用により解決されることが、本発明により見出された。官能化共役ジエンは、式(Ia)、(Ib)、(Ic)
【0010】
【化1】
【0011】
(式中、
−Rは、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和ヒドロカルビレン基であり、Rは任意であり、
−Rは、
i)単結合、
ii)酸素原子、硫黄原子、基NR、及び基SiRの1つ以上、並びに
iii)酸素原子、硫黄原子、基NR、及び基SiRの1つ以上を有することができるヒドロカルビレン基から選択され、
−R、R、R、R、Rは、同一又は異なることができ、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基、又は6〜10個の炭素原子を含むアリール若しくはアラルキル基を表し、
−R及びRは、同一又は異なることができ、R及びRはそれぞれ独立して、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基、又は6〜10個の炭素原子を含むアリール若しくはアラルキル基を表す)の化合物の群から選択される。
【0012】
本発明の官能化共役ジエンは、使用されるとき、例えば、溶液スチレンブタジエンゴム(S−SBR)及びチーグラナッタ触媒化(例えばネオジム)ブタジエンゴム(Nd−BR)の製造において、ポリマーの充填剤との相互作用、ひいては充填剤のポリマーマトリックスでの分散を高め、タイヤトレッド化合物の動的及び機械的特性の改良を助ける。
【0013】
第1の態様においては、本発明は、官能化共役ジエンに関する。
第2の態様においては、本発明は、エラストマーコポリマーの製造における官能化共役ジエンの使用に関する。
【0014】
第3の態様においては、本発明は、カップリングコポリマー及び末端変性コポリマーを含むコポリマー成分の製造方法に関する。
第4の態様においては、本発明は、アニオン重合条件を含むエラストマーコポリマーを製造する方法に関する。
【0015】
第5の態様においては、本発明は、チーグラナッタ重合条件を含むエラストマーコポリマーを製造する方法に関する。
第6の態様においては、本発明はエラストマーコポリマーに関する。
【0016】
第7の態様においては、本発明はゴムを製造する方法に関する。
第8の態様においては、本発明はゴムに関する。
第9の態様においては、本発明はゴム組成物に関する。
【0017】
第10の態様においては、本発明はタイヤ成分に関する。
最後に、第11の態様においては、本発明はタイヤに関する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1の態様による官能化共役ジエンは、式(Ia)、(Ib)、(Ic)
【0019】
【化2】
【0020】
(式中、
−Rは、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和ヒドロカルビレン基であり、Rは任意であり、
−Rは、
i)単結合、
ii)酸素原子、硫黄原子、基NR、及び基SiRの1つ以上、並びに
iii)酸素原子、硫黄原子、基NR、及び基SiRの1つ以上を有することができるヒドロカルビレン基から選択され、
−R、R、R、R、Rは、同一又は異なることができ、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基、又は6〜10個の炭素原子を含むアリール若しくはアラルキル基を表し、
−R及びRは、同一又は異なることができ、R及びRはそれぞれ独立して、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基、又は6〜10個の炭素原子を含むアリール若しくはアラルキル基を表す)の化合物の群から選択される。
【0021】
好適には、本発明の官能化共役ジエンのRは、(i)単結合、及び(iii)
a)−(CH−(式中、mは1〜12の整数を表す)、又は
b)−((CHY(CH−(式中、m及びnは、独立して0〜12の整数を表し、oは1〜12の整数であり、Yは独立して、酸素原子、硫黄原子、基NR、及び基SiRの1つ以上である)から選択される。
【0022】
最適には、Rは、(i)単結合、又は(iii)b)−(SiRCHCH)−である。
本発明の官能化共役ジエンのR、R、R、R、及びRは、同一又は異なり、CH又はCを表すことが更に好適である。最適には、R、R、R、R、及びRは全てCHを表す。また、R及びRは全てCHを表すことが好適である。
【0023】
好適には、式(Ia)、(Ib)、(Ic)の官能化共役ジエンが誘導される、式(IIa)、(IIb)、(IIc)
【0024】
【化3】
【0025】
の化合物の群から選択される共役ジエンは、少なくとも10の炭素原子を有する。より好適には、式(IIa)、(IIb)、(IIc)の共役ジエンは、テルペン及び4,8−ジメチル−1,3,7−ノナトリエンから選択される。より好適には、テルペンは、ミルセン及びオシメンから選択され、最適には、テルペンは、α−ミルセン及びβ−ミルセンから選択されるミルセンである。
【0026】
式(Ia)、(Ib)、(Ic)の好適n官能化共役ジエンの合成に関する更なる詳細は、(PCT/EP2018/070768号明細書、代理人参照(attorney reference)SH 1510−03WO、EP17201702.2号明細書及びEP17461580.7号明細書の優先権を主張する)と同日に出願された「ビスシリルアミノシリル官能化共役ジエン及びこれらの調製方法(Bissilylaminosilyl−functionalized conjugated dienes and methods for their preparation)」と題する国際出願に記載されており、国際出願PCT/EP2018/070768号明細書(代理人参照SH 1510−03WO)、並びに優先権出願EP17201702.2号明細書及びEP17461580.7号明細書は、その全体が本明細書に組み込まれる。国際出願PCT/EP2018/070768号明細書(代理人参照SH 1510−03WO)、並びに優先権出願EP17201702.2号明細書及びEP17461580.7号明細書は、式(IIa)、(IIb)、(IIc)
【0027】
【化4】
【0028】
(式中、Rは、直鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和ヒドロカルビレン基であり、式(IIa)、(IIb)、(IIc)の出発共役ジエンは、少なくとも10の炭素原子を有する)の化合物の群から選択される出発共役ジエンを、トリクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸のアルカリ金属塩、又はこれらの混合物を含む塩素化剤で塩素化する工程を含む共役ジエンクロリドの調製方法を開示している。
【0029】
更に、第2の態様においては、国際出願PCT/EP2018/070768号明細書(代理人参照SH 1510−03WO)、並びに優先権出願EP17201702.2号明細書及びEP17461580.7号明細書は、式(Ia)、(Ib)、(Ic)
【0030】
【化5】
【0031】
(式中、
−Rは、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和ヒドロカルビレン基であり、式(Ia)、(Ib)、(Ic)の官能化共役ジエンが誘導される、式(IIa)、(IIb)、(IIc)
【0032】
【化6】
【0033】
の化合物の群から選択される出発共役ジエンは、少なくとも10の炭素原子を有し、
−Rは、
i)単結合、
ii)酸素原子、硫黄原子、基NR、及び基SiRの1つ以上、並びに
iii)酸素原子、硫黄原子、基NR、及び基SiRの1つ以上を有することができるヒドロカルビレン基から選択され、
−R、R、R、R、Rは、同一又は異なることができ、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基、又は6〜10個の炭素原子を含むアリール若しくはアラルキル基を表し、
−R及びRは、同一又は異なることができ、R及びRはそれぞれ独立して、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基、又は6〜10個の炭素原子を含むアリール若しくはアラルキル基を表す)の化合物の群から選択される官能化共役ジエンの調製方法を開示しており、
この方法は、グリニャール条件下で、式(Xa)、(Xb)、(Xc)
【0034】
【化7】
【0035】
の化合物の群から選択される共役ジエンクロリドを、式(XI)
【0036】
【化8】
【0037】
(式中、Yは、塩素、臭素、及びヨウ素原子から選択される)の化合物と反応させることを含む。
また、第3の態様においては、国際出願PCT/EP2018/070768号明細書(代理人参照SH 1510−03WO)、並びに優先権出願EP17201702.2号明細書及びEP17461580.7号明細書は、式(Ia)、(Ib)、(Ic)
【0038】
【化9】
【0039】
(式中、
−Rは、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和ヒドロカルビレン基であり、式(Ia)、(Ib)、(Ic)の官能化共役ジエンが誘導される、式(IIa)、(IIb)、(IIc)
【0040】
【化10】
【0041】
の化合物の群から選択される出発共役ジエンは、少なくとも10の炭素原子を有し、
−Rは、
i)単結合、
ii)酸素原子、硫黄原子、基NR、及び基SiRの1つ以上、並びに
iii)酸素原子、硫黄原子、基NR、及び基SiRの1つ以上を有することができるヒドロカルビレン基から選択され、
−R、R、R、R、Rは、同一又は異なることができ、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基、又は6〜10個の炭素原子を含むアリール若しくはアラルキル基を表し、
−R及びRは、同一又は異なることができ、R及びRはそれぞれ独立して、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基、又は6〜10個の炭素原子を含むアリール若しくはアラルキル基を表す)の化合物の群から選択される官能化共役ジエンの調製方法に関し、この方法は、
A)グリニャール条件下で、式(Xa)、(Xb)、(Xc)
【0042】
【化11】
【0043】
の化合物の群から選択される共役ジエンクロリドを、式(XII)
【0044】
【化12】
【0045】
(式中、Y及びYは、塩素、臭素及びヨウ素原子から独立して選択され、好適にはY及びYはそれぞれ、塩素原子であり、式(XIIIa)、(XIIIb)、(XIIIc)
【0046】
【化13】
【0047】
の化合物をもたらす)の化合物と反応させる工程と、
B)式(XIIIa)、(XIIIb)、(XIIIc)の化合物を、式(XIV)
【0048】
【化14】
【0049】
(式中、Mはリチウム、ナトリウム及びカリウムから選択されるアルカリ金属であり、Mは好適にはナトリウムである)のビスシリルアミドと反応させる工程と、を含む。
第1の態様の第1の実施形態においては、本発明の官能化共役ジエンは、好適には式(XV)
【0050】
【化15】
【0051】
(式中、R〜Rは式(Ia)に関し上記で定義した通りである)のブタジエン誘導体である。この種類の好適n化合物は、
【0052】
【化16】
【0053】
及び
【0054】
【化17】
【0055】
である。
式(XV)の化合物は、第1の別法では、グリニャール条件下でブタジエンの2−ハライド誘導体を反応させることにより調製することができる。このような反応は、好適にはグリニャール条件下(好適にはグリニャール条件は、マグネシウム金属、及びTHFなどエーテルの存在を含む)で式(XVII)
【0056】
【化18】
【0057】
(式中、Yは塩素、臭素、及びヨウ素原子から選択され、Yは好適には塩素原子である)の化合物を、式(XVIII)
【0058】
【化19】
【0059】
(式中、Yは塩素、臭素、及びヨウ素原子から選択され、Yは好適には塩素原子である)の化合物と反応させることによって行われる。
式(XV)の化合物は、第2の別法では、
A)グリニャール条件下で、式(XVII)
【0060】
【化20】
【0061】
(式中、Yは塩素、臭素、及びヨウ素原子から選択され、Yは好適には塩素原子である)の化合物を、式(XII)
【0062】
【化21】
【0063】
(式中、Y及びYは、塩素、臭素及びヨウ素原子から独立して選択され、好適にはY及びYはそれぞれ塩素原子であり、式(XIX)
【0064】
【化22】
【0065】
の化合物をもたらす)の化合物と反応させる工程と、
B)式(XIX)の化合物を、式(XIV)
【0066】
【化23】
【0067】
(式中、Mはリチウム、ナトリウム及びカリウムから選択されるアルカリ金属であり、Mは好適にはナトリウムである)のビスシリルアミドと反応させる工程と、
を含む方法によって調製することができる。
【0068】
第1の態様の第2の実施形態においては、本発明の官能化共役ジエンは、好適には式(III)、(IV)、又は(V)
【0069】
【化24】
【0070】
のミルセン誘導体である。
より好適には、ミルセン誘導体は、式(IIIa)、(IVa)、又は(Va)
【0071】
【化25】
【0072】
のものである。
第2の態様においては、本発明は、エラストマーコポリマーの製造における第1の態様の1つ以上の官能化共役ジエンの使用に関する。エラストマーコポリマーは、好適には、式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物の群から選択される1つ以上の官能化共役ジエンから誘導される1つ以上の単位に加えて、1つ以上の共役ジエンモノマーから誘導される単位を含む。
【0073】
本発明の第2の態様によるエラストマーコポリマーの製造に使用される共役ジエンモノマーは、好適には、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ペンタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、及び4,5−ジエチル−1,3−オクタジエンから選択される。より好適には、共役ジエンモノマーは、1,3−ブタジエン及びイソプレンから選択され、特に共役ジエンモノマーは1,3−ブタジエンである。
【0074】
好適には、第2の態様による使用は、1)アニオン重合又は2)配位重合によるエラストマーコポリマーの製造におけるものである。
エラストマーコポリマーは、1つ以上のビニル芳香族モノマーから誘導される単位を更に含むことが好適である。ビニル芳香族モノマーは、スチレンが好適である。
【0075】
本発明によれば、式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物の群から選択される1つ以上の官能化共役ジエンから誘導される単位の量は、エラストマーコポリマーの重量に基づいて、好適には0.05〜5重量%の範囲、より好適には0.2〜1.5重量%の範囲、最適には0.4〜1.2重量%の範囲、例えば、約0.8重量%などの約0.6〜1.0重量%の範囲である。
【0076】
第2の態様による使用は、1つ以上の共役ジエンモノマー、任意選択的に1つ以上のビニル芳香族モノマー、及び任意選択的に式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物の群から選択される1つ以上の官能化共役ジエンのアニオン共重合の開始剤として、式(Ia)、(Ib)、(Ic)
【0077】
【化26】
【0078】
(式中、
−Rは、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和ヒドロカルビレン基であり、Rは任意であり、
−Rは、
i)単結合、
ii)酸素原子、硫黄原子、基NR、及び基SiRの1つ以上、並びに
iii)酸素原子、硫黄原子、基NR、及び基SiRの1つ以上を有することができるヒドロカルビレン基から選択され、
−R、R、R、R、Rは、同一又は異なることができ、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基、又は6〜10個の炭素原子を含むアリール若しくはアラルキル基を表し、
−R及びRは、同一又は異なることができ、R及びRはそれぞれ独立して、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基、又は6〜10個の炭素原子を含むアリール若しくはアラルキル基を表す)の化合物の群から選択される官能化共役ジエンのアルカリ金属塩誘導体のものであり得る。
【0079】
第3の態様においては、本発明は、カップリングコポリマー及び末端変性コポリマーを含むコポリマー成分の製造方法に関し、この方法は、以下の工程:
(1)開始剤成分が、式(Ia)、(Ib)、(Ic)
【0080】
【化27】
【0081】
(式中、
−Rは、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和ヒドロカルビレン基であり、Rは任意であり、
−Rは、
i)単結合、
ii)酸素原子、硫黄原子、基NR、及び基SiRの1つ以上、並びに
iii)酸素原子、硫黄原子、基NR、及び基SiRの1つ以上を有することができるヒドロカルビレン基から選択され、
−R、R、R、R、Rは、同一又は異なることができ、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基、又は6〜10個の炭素原子を含むアリール若しくはアラルキル基を表し、
−R及びRは、同一又は異なることができ、R及びRはそれぞれ独立して、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基、又は6〜10個の炭素原子を含むアリール若しくはアラルキル基を表し、
アルカリ金属は、リチウム、ナトリウム、及びカリウムから選択される)の化合物の群から選択される1つ以上の官能化共役ジエンの1つ以上のアルカリ金属塩誘導体を好ましくは含む、開始剤成分を提供する工程と、
(2)
i)式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物の群から選択される1つ以上の官能化共役ジエンと、
ii)1つ以上の共役ジエンモノマーと、
iii)任意選択的に1つ以上のビニル芳香族モノマーと、
を含むモノマー成分を開始剤成分と接触させて、アニオン共重合を開始する工程と、
(3)共重合を続けてコポリマーを得る工程と、
(4)任意選択的に、1つ以上の官能化モノマーの存在下でコポリマーの共重合を続けて官能化コポリマーを得る工程と、
(5)工程(3)のコポリマー又は工程(4)の官能化コポリマーの一部を1つ以上のカップリング剤とカップリングさせて、カップリングコポリマーを得る工程と、
(6)工程(3)のコポリマー又は工程(4)の官能化コポリマーの一部を1つ以上の末端変性剤で末端変性して、末端変性コポリマーを得る工程と、
を含む。
【0082】
第4の態様においては、本発明は、エラストマーコポリマーを製造する方法に関し、この方法は、
i)式(Ia)、(Ib)、(Ic)
【0083】
【化28】
【0084】
(式中、
−Rは、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和ヒドロカルビレン基であり、Rは任意であり、
−Rは、
i)単結合、
ii)酸素原子、硫黄原子、基NR、及び基SiRの1つ以上、並びに
iii)酸素原子、硫黄原子、基NR、及び基SiRの1つ以上を有することができるヒドロカルビレン基から選択され、
−R、R、R、R、Rは、同一又は異なることができ、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基、又は6〜10個の炭素原子を含むアリール若しくはアラルキル基を表し、
−R及びRは、同一又は異なることができ、R及びRはそれぞれ独立して、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基、又は6〜10個の炭素原子を含むアリール若しくはアラルキル基を表す)の化合物の群から選択される1つ以上の官能化共役ジエンと、
ii)1つ以上の共役ジエンモノマーと、
iii)任意選択的に1つ以上のビニル芳香族モノマーとをアニオン重合条件に供する工程を含む。好適には、アニオン重合条件は、式(Ia)、(Ib)、(Ic)の1つ以上の官能化共役ジエンのアルカリ金属塩誘導体で重合を開始する工程を含み、この場合に、アルカリ金属は、リチウム、ナトリウム、及びカリウムから選択される。
【0085】
アニオン重合を用いて、直鎖構造又は星型構造を有するコポリマーを得ることができる。また、分岐は、例えば、ジビニルベンゼンで実行されることができる。特定のポリマー画分を分画することは困難であるため、分岐レベルは予測するのが難しい。従って、アニオン重合によって得られるコポリマーをこれらの分散度指数M/Mによって定義することがより適切であり、これは典型的には以下の通りである:
−直鎖コポリマー:1.01〜2.0、
−共役コポリマー:1.1〜3、及び
−分岐コポリマー:1.1〜8.0。
【0086】
第5の態様によれば、本発明は、エラストマーコポリマーを製造する方法に関し、この方法は、
i)式(Ia)、(Ib)、(Ic)
【0087】
【化29】
【0088】
(式中、
−Rは、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和ヒドロカルビレン基であり、Rは任意であり、
−Rは、
i)単結合、
ii)酸素原子、硫黄原子、基NR、及び基SiRの1つ以上、並びに
iii)酸素原子、硫黄原子、基NR、及び基SiRの1つ以上を有することができるヒドロカルビレン基から選択され、
−R、R、R、R、Rは、同一又は異なることができ、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基、又は6〜10個の炭素原子を含むアリール若しくはアラルキル基を表し、
−R及びRは、同一又は異なることができ、R及びRはそれぞれ独立して、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基、又は6〜10個の炭素原子を含むアリール若しくはアラルキル基を表す)の化合物の群から選択される1つ以上の官能化共役ジエンと、
ii)1つ以上の共役ジエンモノマーとをチーグラナッタ重合条件に供する工程を含む。
【0089】
共役ジエン(1,3−ブタジエンなど)の配位重合では、チーグラナッタ触媒が使用される。典型的な触媒組成物は、二元系、三元系、又は四元系である。二元系は、触媒金属塩化物(例えば、Ni、Co、Ti、Nd、V、Ti、Zr、又はFeの塩化物)及び助触媒(例えば、アルミニウムアルキル又はマグネシウムアルキル化合物)を含む。三元触媒系では、ハロゲン化物を含まない金属前駆体(リン酸ネオジムなど)を助触媒(アルミニウム又はマグネシウムアルキルなど)及びハロゲン化物供与体と組み合わせる。ハロゲン化物を含まない触媒系にハロゲン化物供与体を添加すると、触媒活性及びシス−1,4又はトランス−1,4含有量が著しく増加する。四元触媒系では、三元系で使用される成分に加えて、金属塩用又はハロゲン化物供与体用の可溶化剤が使用される。
【0090】
その結果、チーグラナッタ重合条件は、1)金属塩化物及び2)助触媒を含む触媒系を含むことが好適である。より好適には、金属塩化物1)は、Ni、Co、Ti、Nd、V、Ti、Zr、及びFeの1つ以上の塩化物から選択され、助触媒2)は、アルミニウム及びマグネシウムアルキル化合物の1つ以上から選択される。また、チーグラナッタ重合条件は、更なるモノマーの存在を含み得る。
【0091】
チーグラナッタ重合条件は、1)非ハロゲン化物金属化合物、2)助触媒、及び3)ハロゲン化物供与体化合物を含む触媒系を含むことが代替的に好適である。非ハロゲン化物金属化合物1)は、1つ以上のNd化合物であることが好ましく、より好適には、Nd化合物は、ネオジムカルボキシレート、ネオジムアルコレート、ネオジムホスフェート、ネオジムホスホネート、ネオジムアリル化合物、ネオジムシクロペンタジエニル錯体、ネオジムアミド及びネオジムアセチルアセトネートから選択される。
【0092】
高シスポリブタジエンを製造するための最も有効な触媒は、ネオジムに基づく三元系であり、この場合に、1)ネオジムカルボキシレート(例えば、ネオジム(III)ベルサテート(NdV)、ネオジム(III)オクタノエート(NdO)、ネオジム(III)イソオクタノエート(NdiO)、ネオジム(III)ナフテネート(NdN)、2)ネオジムアルコレート(例えば、Nd(OBu)、Nd(OiPr))、3)ネオジムホスフェート及びホスホネート(例えば、ネオジムビス(2−エチルヘキシル)ホスフェート(NdP)、ビス(2−エチルヘキサノール)−ホスホネート)、4)ネオジムアリル化合物、5)ネオジムシクロペンタジエニル錯体(例えば、モノシクロペンタジエニルネオジムジクロリド(CpNdCl)、モノシクロペンタジエニルジアルキルネオジム(CpNdR)、モノシクロペンタジエニルジアリルネオジム(CpNd(η−C)、モノクロペンタジエニルトリスアリルネオジムの塩(例えば、Li[CpNd(η−C])、ジシクロペンタジエニルネオジムモノクロリド(CpNdCl)、ジシクロペンタジエニルモノアルキルネオジム(CpNdR)、シリレン架橋ジシクロペンタジエニルネオジム誘導体(例えば、[RSi(Cp)]Nd(Cl/R))、6)ネオジムアミド(例えば、Nd(N(SiMe)、又は7)ネオジムアセチルアセトネートなどの触媒前躯体は、AlMe(TMA)、AlEt(TEA)、AliBu(TIBA)、AlOct、メチルアルモキサン(MAO)、テトライソブチルジアルモキサン(TIBAO)、B(C、変性メチルアルモキサン(MMAO)、ヘキサイソブチルアルモキサン(HIBAO)、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAH)、MgR、AlPr、AlBu、AlHex、AlOct、AlDodec、AlEt、又はAlMeなどの1つ以上の助触媒と組み合わせて使用される。
【0093】
ハロゲン化物供与体の例は、SiCl、エチルアルミニウムセスキクロリド(EASC)、ジエチルアルミニウムクロリド(DEAC)、ジメチルアルミニウムクロリド、ブチルブチル(BuCl)、ジブチルアルミニウムクロリド、AlBr、EtAlCl、及びMeSiClである。
【0094】
第5の態様に従って、即ち配位重合によって製造されるコポリマーは、好適には直鎖構造又は分岐構造を有する。ポリマー構造は、触媒組成によって決まり、典型的には以下の通りである(M/M):
−直鎖コポリマー:1.5〜5.0、
−分岐コポリマー:1.5〜20.0。
【0095】
第5の態様によれば、本発明は、エラストマーコポリマーに関し、このエラストマーコポリマーは、
A)式(Ia)、(Ib)、(Ic)
【0096】
【化30】
【0097】
(式中、
−Rは、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和ヒドロカルビレン基であり、Rは任意であり、
−Rは、
i)単結合、
ii)酸素原子、硫黄原子、基NR、及び基SiRの1つ以上、並びに
iii)酸素原子、硫黄原子、基NR、及び基SiRの1つ以上を有することができるヒドロカルビレン基から選択され、
−R、R、R、R、Rは、同一又は異なることができ、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基、又は6〜10個の炭素原子を含むアリール若しくはアラルキル基を表し、
−R及びRは、同一又は異なることができ、R及びRはそれぞれ独立して、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基、又は6〜10個の炭素原子を含むアリール若しくはアラルキル基を表す)の化合物の群から選択される、コポリマーの0.05重量%〜5重量%の1つ以上の官能化共役ジエンと、
B)コポリマーの45重量%〜99.95重量%の1つ以上の共役ジエンモノマーと、
C)コポリマーの0重量%〜50重量%の1つ以上のビニル芳香族モノマーとから誘導される繰り返し単位を含む。
【0098】
第6の態様のエラストマーコポリマーのB)共役ジエンモノマーの量は、好適にはコポリマーの50〜92重量%、より好適にはコポリマーの60〜90重量%、特にコポリマーの65〜80重量%である。
【0099】
ビニル芳香族モノマーは、存在する場合、好適には、スチレン、1−ビニルナフタレン、3−メチルスチレン、3,5−ジエチルスチレン、4−プロピルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、4−ドデシルスチレン、3−メチル−5−n−ヘキシルスチレン、4−フェニルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、3,5−ジフェニルスチレン、2,3,4,5−テトラエチルスチレン、3−エチル−1−ビニルナフタレン、6−イソプロピル−1−ビニルナフタレン、6−シクロヘキシル−1−ビニルナフタレン、7−ドデシル−2−ビニルナフタレン、及びα−メチルスチレンから選択される。より好適には、ビニル芳香族モノマーは、スチレン、3−メチルスチレン及びα−メチルスチレンから選択される。特に、ビニル芳香族モノマーはスチレンである。
【0100】
本発明の第6の態様によるエラストマーコポリマーのC)ビニル芳香族モノマーの量は、好適にはコポリマーの8〜45重量%、より好適にはコポリマーの10〜40重量%、特にコポリマーの20〜35重量%である。
【0101】
或いは、エラストマーコポリマーは、1重量%未満のC)ビニル芳香族モノマーを含み(好適にはC)ビニル芳香族モノマーを含まない)、B)共役ジエンモノマーの量は、コポリマーの95〜99.95重量%、好適にはコポリマーの98〜99.6重量%、特にコポリマーの99.0〜99.4重量%である。
【0102】
第6の態様によるエラストマーコポリマーの共役ジエンモノマーは、好適には、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ペンタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、及び4,5−ジエチル−1,3−オクタジエンから選択される。より好適には、共役ジエンモノマーは、1,3−ブタジエン及びイソプレンから選択される。共役ジエンモノマーは、特に1,3−ブタジエンである。
【0103】
本発明によるコポリマーは、分岐構造を有する単位を含み得る。
また、エラストマーコポリマーは、直鎖構造を有する単位を含み得る。
更に、エラストマーコポリマーは、星型構造を有する単位を含み得、アニオン重合条件で金属末端リビング直鎖コポリマーと1つ以上のカップリング剤との反応によって製造され得る。カップリング剤は、
I)ハロゲン化スズカップリング剤(好適には、ハロゲン化スズカップリング剤は四塩化スズである)、又は
II)ハロゲン化ケイ素カップリング剤(好適にはハロゲン化ケイ素カップリング剤は、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四フッ化ケイ素、四ヨウ化ケイ素、ヘキサクロロジシラン、ヘキサブロモジシラン、ヘキサフルオロジシラン、ヘキサヨードジシラン、オクタクロロトリシラン、オクタブロモトリシラン、オクタフルオロトリシラン、オクタヨードトリシラン、ヘキサクロロジシロキサン、2,2,4,4,6,6−ヘキサ−クロロ−2,4,6−トリシラヘプタン−1,2,3,4,5,6−ヘキサキス−[2−(メチルジクロロシリル)エチル]ベンゼン、及び一般式(XVI)
−Si−X4−n (XVI)
(式中、Rは、1〜20個の炭素原子を有する一価の脂肪族炭化水素基又は6〜18個の炭素原子を有する一価の芳香族炭化水素基であり、nは0〜2の整数であり、Xは、塩素、臭素、フッ素又はヨウ素原子であり得る)のアルキルケイ素ハロゲン化物から選択される)であり得る。
【0104】
第6の態様によるエラストマーコポリマーにおいて、星型構造を有する単位の画分は、コポリマーの15〜75重量%であるのが好適である。
第7の態様によれば、本発明は、1つ以上の加硫剤の存在下で第6の態様によるエラストマーコポリマーを加硫することを含むゴムを製造する方法に関する。
【0105】
第8の態様によれば、本発明は、第7の態様の方法に従って得られるゴムに関する。
第9の態様によれば、本発明は、x)第8の態様によるゴムを含むゴム成分を含むゴム組成物に関する。好適には、ゴム組成物は、y)1つ以上の充填剤を更に含む。充填剤は、好適にはシリカ及びカーボンブラックからなる群から選択される。最適には、ゴム組成物は、y)シリカとカーボンブラックの両方を含む。
【0106】
第9の態様の好適n実施態様においては、ゴム組成物中の充填剤成分y)の量が、ゴム成分x)の100質量部(phr)に対して10〜150質量部である。好適には、充填剤成分y)の量は、20〜140phrである。より好適には、充填剤成分y)の量は、30〜130phrである。
【0107】
好適には、第9の態様によるゴム組成物中のゴム成分x)は、1つ以上の更なるゴム状ポリマーを更に含む。更なるゴム状ポリマーは、天然ゴム、合成イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−α−オレフィンコポリマーゴム、エチレン−α−オレフィン−ジエンコポリマーゴム、アクリロニトリル−ブタジエンコポリマーゴム、クロロプレンゴム、及びハロゲン化ブチルゴムからなる群から選択されることが好適である。
【0108】
本発明の第10の態様によるタイヤ成分は、第10の態様によるゴム組成物を含む。好適には、タイヤ成分はタイヤトレッドである。
本発明の第11の態様によるタイヤは、第10の態様のタイヤ成分を含む。
【0109】
本発明の利点は、以下の実施例からより明らかになる。
【実施例】
【0110】
特記しない限り、全てのパーセントは重量による。「百ゴム当たりの部」、「phr」、及び「%」は、特に断らない限り、質量に基づく。特性の測定方法及び評価方法を以下に示す。
官能化ブタジエンの調製
第1工程:
【0111】
【化31】
【0112】
第2工程:
【0113】
【化32】
【0114】
実験手順:
500mlの三口丸底フラスコに、N下で磁気撹拌子、添加漏斗、及び還流冷却器を取り付けた。Mg削り屑(4g、0.16モル)を添加し、続いて無水THF(293ml)を添加し、次いでDIBAH(0.5ml、2%モルのMg)を添加した。Mgの活性化はガスの発生により確認された。反応混合物にジクロロジメチルシラン(15g、0.16モル)を添加した。5分間撹拌した後、10時間かけて一定速度で0.16モルのクロロプレン(これは文献[1]に記載の手順に従って得られた)を添加した。添加が終了したら、溶液を更に1時間撹拌した。次に、THF(又はトルエン)に溶解したビス(トリメチルシリル)アミンの20%溶液を含む丸底フラスコに反応混合物をゆっくり添加した。得られた混合物を4時間撹拌した。反応終了後、溶媒を蒸発させ、得られた固体を濾過して黄色油状物を得た。
[1]ニッキ・プラン(Nikki Pullan)、マックス・リュウ(Max Liu)、及びポール・D.トファム(Paul D.Topham)、ポリマー化学(Polym.Chem.)、DOI:10.1039/c3py21151g、2013年。
Mw=357.829g/モル
GC−MS:218.41(95),188.38(7),160.36(3),147.40(17),130.34(35),105.37(9),73.37(46),59.39(6),40.33(24).
官能化ミルセンの調製
実施例1:ミルセンの塩素化
反応手順:100g(0.734モル)のβ−ミルセン及び100mlのアセトンを共に撹拌した。次に、15℃未満に温度を保ちながら、470mlのアセトンに溶解した96.6g(0.416モル)のTCCAの溶液を滴下した。3時間後、試料をGC−FID分析にかけ、生成物は依然として未反応ミルセンを25%超含むことが示された。従って、反応混合物の撹拌を一晩続けた。反応終了後、セライト及び活性炭を通して得られた混合物を濾過した。次いで、溶媒を蒸発させて、乳黄色の液体(155.5g、収率100%超、生成物は依然としてシアヌル酸を含む)を得た。減圧下で粗生成物を蒸留して、50.1gの黄色液体を得た(40%収率)。GC−FIDクロマトグラフィー分析は、生成物が3つの異性体の混合物であることを示した。
【0115】
【化33】
【0116】
Mw=170.679g/モル
GC−MS:170.40(17);135.44(22.0);119.41(60.0);93.40(22.0);91.38(51);79.41(100);77.39(27.0);65.38(20);41.41(31.0).
NMR:H NMR(600MHz,CDCl,300K)δ(ppm)=6.40−6.35(m,1H,−CH=),5.26−5.23(m,1H,=CH),5.10−5.08(m,1H,=CH),5.06(m,1H,=CH),5.04(m,2H,=CH),4.90(m,1H,=CH),4.40(m,1H,−CH−),2.40−2.20(m,2H,−CH−),2.03(m,2H,−CH−),1.83(m,3H,−CH).
13C NMR(150MHz,CDCl,300K)δ(ppm)=145.0;144.4,138.5;116.5;114.3;113.7;66.50;35.20;28.7;17.3.
実施例2:クロロミルセンのその場のグリニャール反応
クロロミルセンの官能化は、1−[{N,N−ビス(トリメチルシリルアミノ)}(ジメチルシリル)]−2−{クロロ−ジメチルシリル}エタンを用いて行った。反応手順は、国際公開第2016/162473A号パンフレット、及び国際公開第2018/065486A号パンフレット(PCT/EP2017/075251号明細書、EP16461559.3明細書からの優先権を主張)及び国際公開第2018/065494A号パンフレット(PCT/EP2017/075262号明細書、EP16461560.1明細書からの優先権を主張)に記載の官能化方法に従った。国際公開第2016/162473A号パンフレット、国際公開第2018/065486A号パンフレット及び国際公開第2018/065494A号パンフレットは、参照により本明細書に組み入れられる。優れた変換率及び収率が得られた。
【0117】
グリニャール反応において実施例1に従って得られたクロロミルセンを最終的に試験した。GC−FIDクロマトグラムは、ミルセン及びその異性体、2つの未知の不純物及び本発明の官能化共役ジエンモノマー(3つの異性体)を示した。
3つの主な異性体:
【0118】
【化34】
【0119】
Mw=439.97g/モル
GC−MS:439.54(5.0),304.46(7.0),278.49(10),218.44(100),202.41(20),188.41(8.0),151.44(6.0),130.38(12),73.40(31),59.37(16),45.39(2).
NMR:H NMR:異性体の混合物に対応するスペクトルのデータ、(600MHz,CDCl,300K)δ(ppm)=6.41−6.29(m,1H,−CH=),5.27−5.24(m,1H,=CH),5.07−5.05(m,1H,=CH),5.04−4.99(ブロードマルチプル,3H,=CH),4.63(m,1H,=CH),4.57(m,1H,=CH),2.25−2.05(ブロードマルチプル,4H,−CH−),1.73−1.64(m,2H,−CH−),1.70(s,3H,−CH),1.64−1.59(m,2H,−CH−),1.62−1.61(m,1H,−CH−),1.62(s,3H,−CH),1.53(s,3H,−CH),1.50(s,2H,−Si−CH),0.70−0.44(m,4H,Si−CH−CH−Si),0.20(m,18H,−Si−(CH),0.18(m,6H,−Si−(CH),0.02−0.01(m,6H,−Si−(CH).
13C NMR:異性体の混合物に対応するスペクトルのデータ(150MHz,CDCl,300K)δ(ppm)=146.76,146.37,146.35,139.15,133.50,133.20,122.19,121.83,115.89,115.73,115.71,113.28,113.13,113.10,108.97,36.87,31.91,31.65,28.11,27.56,27.35,27.08,26.42,23.82,21.65,18.89,12.76,11.91,11.81,8.62,7.98,5.73,3.24,1.11,2.86,2.32.
実施例3:クロロミルセンのジクロロジメチルシランとの最初のグリニャール反応によりミルセンのクロロシラン誘導体を得、続いてナトリウムビスシリルアミドと反応させる
第1工程:
【0120】
【化35】
【0121】
第2工程:
【0122】
【化36】
【0123】
実験手順:
500mlの三口丸底フラスコに、N下で磁気撹拌子、添加漏斗、及び還流冷却器を取り付けた。Mg削り屑(4g、0.16モル)を添加し、続いて無水THF(293ml)を添加し、次いでDIBAH(0.5ml、2%モルのMg)を添加した。Mgの活性化はガスの発生により確認された。反応混合物にジクロロジメチルシラン(15g、0.16モル)を添加した。5分間撹拌した後、10時間かけて一定速度でクロロミルセンを添加した。添加が終了したら、溶液を更に1時間撹拌した。THF(又はトルエン)に溶解したビス(トリメチルシリル)アミンの20%溶液を含む丸底フラスコに反応混合物をゆっくり添加した。得られた混合物を2時間撹拌した。反応終了後、溶媒を蒸発し、得られた固体を濾過して黄色油状物を得た。
アニオン重合における官能化ミルセンの適用
本発明に従って製造されるエラストマーの合成及び特性についてより詳細なものを提供するために、厳密に制御されたミクロ及びマクロ構造を有し官能基を有する官能化スチレン−ブタジエンコポリマーを以下の実施例4及び5に記載し、比較例3に記載されるように、非官能化コポリマーと比較する。
重合
不活性化工程:
窒素パージした2リットル反応器にヘキサン(1000g)を添加し、ヘキサンに溶解した1グラムの1.6Mのn−ブチルリチウム溶液で処理した。70℃に溶液を加熱し、10分間激しく攪拌して反応器の洗浄及び不活性化を行った。その後、排水バルブを介して溶媒を除去し、再度、窒素をパージした。
実施例3(アニオン重合、比較)
不活性化された2リットル反応器にヘキサン(750g)を添加し、続いてスチレン(30g)及び1,3−ブタジエン(113g)を添加した。スチレン及び1,3−ブタジエンから抑制剤を除去した。次に、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA、2.04ミリモル)を添加して、スチレンモノマーをランダムに組み込んでブタジエン単位のビニル含有量を増加させた。60℃に反応器内の溶液を加熱し、全プロセス中連続的に撹拌した。所望の温度に達したときに、n−ブチルリチウムを段階的に添加することにより系中の不純物を滴定した(反応混合物の色が黄色がかった色に変わるまで)。次いで、n−ブチルリチウム(0.817ミリモル)を添加して重合プロセスを開始した。反応は等温プロセスとして60分間行った。この後、ポリマー溶液にカップリング剤として四塩化ケイ素(6.13×10−5モル)を添加した。5分間カップリングを行った。窒素パージしたイソプロピルアルコール(1ミリモル)を用いて反応溶液を停止させ、2−メチル−4,6−ビス(オクチルスルファニルメチル)フェノール(0.3phrポリマーで)を添加することによって急速に安定化させた。ポリマー溶液をイソプロパノールで処理し、ポリマーの沈殿が生じた。真空オーブンで一晩、最終生成物を乾燥した。
実施例4(コモノマーとしての実施例2の官能化ミルセン)
不活性化した2リットル反応器にヘキサン(750g)を添加し、続いてスチレン(30g)、実施例2の官能化ミルセン(1.63ミリモル)(0.48重量%)、及び1,3−ブタジエン(113g)を添加した。スチレン及び1,3−ブタジエンからの抑制剤を除去した。次に、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA、2.04ミリモル)を添加して、スチレンモノマーをランダムに組み込んでブタジエン単位のビニル含有量を増加させた。60℃に反応器内の溶液を加熱し、全プロセス中連続的に撹拌した。所望の温度に達したときに、n−ブチルリチウムを段階的に添加することにより系中の不純物を滴定した(反応混合物の色が黄色がかった色に変わるまで)。次いで、n−ブチルリチウム(0.817ミリモル)を添加して重合プロセスを開始した。反応は等温プロセスとして60分間行った。この後、ポリマー溶液にカップリング剤として四塩化ケイ素(6.13×10−5モル)を添加した。カップリングを5分間行った。窒素パージしたイソプロピルアルコール(1ミリモル)を用いて反応溶液を停止させ、2−メチル−4,6−ビス(オクチルスルファニルメチル)フェノール(0.3phrポリマーで)を添加することによって急速に安定化させた。ポリマー溶液をイソプロパノールで処理し、ポリマーの沈殿が生じた。真空オーブンで一晩、最終生成物を乾燥した。
実施例5(開始剤成分として及びコモノマーとしての両方での実施例2の官能化ミルセン)
不活性化した2リットル反応器にヘキサン(750g)を添加し、続いてスチレン(30g)、実施例2の官能化ミルセン(1.63ミリモル)(0.48重量%)、及び1,3−ブタジエン(113g)を添加した。スチレン及び1,3−ブタジエンから抑制剤を除去した。次に、スチレンランダム化剤としてテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA、2.04ミリモル)を添加し、ブタジエンモノマー寄与単位のビニル含有量を増加させた。60℃に反応器内の溶液を加熱し、全プロセス中連続的に撹拌した。温度に達したとき、n−ブチルリチウムを段階的に添加することによって系中の不純物を滴定した(反応混合物の色が黄色がかった色に変わるまで)。
【0124】
別の気密容器中でn−BuLi(0.891ミリモル)及び実施例2の官能化ミルセン(0.82ミリモル)(0.24重量%)を共に混合し、接触時間は約5分であり、次いで混合物を添加して重合プロセスを開始した。この反応は等温プロセスとして60分に渡り行った。この後、ポリマー溶液にカップリング剤として四塩化ケイ素(6.13×10−5モル)を添加した。カップリングを5分間行った。窒素パージしたイソプロピルアルコール(1ミリモル)を用いて反応溶液を停止させ、2−メチル−4,6−ビス(オクチルスルファニル−メチル)フェノール(0.3phrポリマーで)を添加することによって急速に安定化させた。イソプロパノールでポリマー溶液を処理し、ポリマーの沈殿が生じた。真空オーブンで一晩、最終生成物を乾燥した。
特性評価
ビニル含有量(%)
BS ISO 21561:2005に基づいて600MHzH−NMRにより決定した。
結合スチレン含有量(%)
BS ISO 21561:2005に基づいて600MHzH−NMRにより決定した。
官能化ジエン含有量(%)
改変したBS ISO 21561:2005、内部法に基づいて600MHzH−NMRにより決定した。
分子量決定
溶離剤としてTHFを使用し、試料調製のために、PSSポリマー標準サービス(PSS Polymer Standards Service)多重カラム(ガードカラム付き)を介してゲル浸透クロマトグラフィーを実施した。ワイアットテクノロジーズ・ドーンヘレオスII(Wyatt Technologies Dawn Heleos II)光散乱検出器、DAD(PDA)アジレント 1260 インフィニティ UV−VIS(DAD(PDA)Agilent 1260 Infinity UV−VIS)検出器、及びアジレント 1260 インフィニティ(Agilent 1260 Infinity)屈折率検出器を用いて、多角度レーザー光散乱測定を行った。
ガラス転移温度(℃)
PN−EN ISO 11357−1:2009に基づいて決定した。
ムーニー粘度(ML(1+4)/100℃)
予熱=1分、ローター運転時間=4分、及び温度=100℃の条件で、大型ローターを用いて、ASTM D 1646−07に基づいて決定した。
加硫特性
操作時間=30分、及び温度=170℃で、RPA 2000 アルファテクノロジーズ(RPA 2000 Alpha Technologies)ゴム加工分析器を用いて、ASTM D6204に基づいて決定した。
未処理(未加硫)化合物の特性評価
実施例4、5及び比較例3で得られたゴムを用いて、表1に示す配合処方に従って配合した。硬化パッケージを添加した後に、加硫プロセスの前に、化合物のレオロジー測定を行った。以下のパラメータを測定した:
ペイン効果
RPA 2000 アルファテクノロジーズ(RPA 2000 Alpha Technologies)ゴム加工分析器を用いて、ASTM D6204に基づいて決定し、ひずみ掃引を100℃の温度、周波数=20CPM及び1%〜90%の振幅範囲で実施した。
加硫ゴム組成物の特性の評価及び測定
各実施例で得られたポリマーを用いて加硫ゴム化合物を製造し、以下の試験パラメータについて測定した。
タイヤ予測値(60℃でのtanδ、0℃でのtanδ、−10℃でのtanδ)
試験試料として加硫ゴム化合物を使用し、2.5K/分の加熱速度で、−50〜65℃の温度範囲において、動的応力=2%、周波数=10Hzの条件にて、単一せん断モードで動的機械分析装置(DMA450+MetraviB)を使用してこのパラメータについて測定した。
【0125】
表3は、この検討のために合成された3つの試料についての特性評価の結果を示す。
配合
実施例4、5及び比較例3でそれぞれ得られたゴムを用いて、表1に示す「ゴム組成物の配合処方」に従って配合した。溶液スチレン−ブタジエンゴム、充填剤、及びゴム添加剤の配合は、バンバリー型の密閉式混合機(350E ブレベンダー社、KG(350E Brabender GmbH&Co.KG))及び実験室サイズの2本ロールミルで行った。ゴム化合物を2つの異なる段階で混合し、最後のパスは2本ロールミルで完了した。第1段階を用いて、数段階で、油、シリカ、シランカップリング剤、6PPD及び活性剤とポリマーを混合した。第2段階を用いてカーボンブラックの添加と共にシリカの分布を更に改良し、次いで化合物を24時間放置した。最終パス用に調整するために、ゴム化合物を4時間調整した。最終混合は2本ロールミルで行った。最後の工程を用いて硬化パッケージを添加した。硬化パッケージの添加後、未処理化合物のレオロジー測定及びペイン効果の評価を行った。次いで、170℃でT95±1.5分間、各化合物を加硫し(RPAの結果に基づく)、加硫物を得た。上記の硬化特性及びタイヤ予測値について各加硫ゴム化合物を評価及び測定した。結果を表2に示す。
【0126】
【表1】
【0127】
【表2】
【0128】
未加硫ゴム組成物4及び5は、対照ゴム3と比較して、低歪み動的弾性率と高歪み動的弾性率との間の差のより低い値を示す。歪みが増加するにつれて充填剤強化ゴム組成物の弾性率が減少することは、ペイン効果と呼ばれる。ゴム組成物の歪みの増加に伴うこの弾性率の減少は、ゴム組成物内の強化充填剤粒子の破壊及び凝集に関連している。組成物4及び5のペイン効果のより低い値は、充填剤−充填剤相互作用の減少及びポリマー−充填剤相互作用の改善を示す。
【0129】
更に、本発明によるゴム組成物4及び5のタイヤ予測値は、(転がり抵抗、湿式牽引力及び氷上牽引力に関して)対照のゴム組成物3のものと比較して改善される。
配位重合における官能化ミルセンの適用
本発明に従って製造されるエラストマーの合成及び特性についてより詳細のものを提供するために、官能基を有する官能化ブタジエンホモポリマーを以下の実施例7及び9に記載し、比較例6及び8に記載の非官能化ホモポリマーと比較する。これらの実施例で使用される出発物質の量は表4に列挙される。以下に特性の測定方法及び評価方法を示す。
重合(更なる情報については、アニオン的に得られたポリマーに関する上記の情報も参照のこと)
触媒の組成及び手順については、以下の刊行物を参照のこと。
1.ラース・フリーベ(Lars Friebe)、オスカー・ニュイケン(Oskar Nuyken)、及びワーナー・オブレフト(Werner Obrecht)著、「三元チーグラ型触媒系におけるネオジムバーサテート、ネオジムネオペンタノレートおよびネオジムビス(2−エチルヘキシル)ホスフェートの1,3‐ブタジエンの重合への影響に関する比較(A Comparison of Neodymium Versatate,Neodymium Neopentanolate and Neodymium Bis(2−ethylhexyl)phosphate in Ternary Ziegler Type Catalyst Systems With Regard to their Impact on the Polymerization of 1,3−Butadiene)」、ジャーナル・オブ・マクロモルキュラーサイエンス(Journal of Macromolecular Science)、パートA:純粋及び応用化学(Part A:Pure and Applied Chemistry)、2005年、第42号、第7巻、p.839−851
2.フリーベ,L.(Friebe,L.)、ニュイケン,O.(Nuyken,O.)、ウィンデッシュ,H.(Windisch,H.)、及びオブレフト,W.(Obrecht,W.)著、「ネオジムベルサテート/ジイソブチルアルミニウムヒドリド/エチルアルミニウムセスキクロリドにより開始される1,3−ブタジエンの重合:反応機構に関する速度論および結論(Polymerization of 1,3−butadiene initiated by neodymium versatate/diisobutylaluminum hydride/ethylaluminum sesqui−chloride:Kinetics and conclusions about the reaction mechanism)」、マクロモルキュラー・ケミストリー・フィジクス(Macromol.Chem.Phys.)、2002年、第203号、第8巻、p.1055−1064。
一般的な重合の説明:
20リットルの反応器に、乾燥した1,3−ブタジエン及び乾燥した溶媒(シクロヘキサン)、並びに官能化されている場合は一般式(Ia)、(Ib)(Ic)の官能化モノマーを充填し、60℃に加熱した。次いで、以下の順序で触媒を添加した。ネオジムビス(2−エチルヘキシル)ホスフェート(NdP)、ジイソブチルアルミニウム水素化物(DIBAH)(両方ともシクロヘキサンに溶解した0.1M/L溶液)。エチルアルミニウムセスキクロリド(EASC)(シクロヘキサンに溶解した1.0M/L溶液)を添加することにより重合を開始した。全プロセスの間、反応器内の溶液を加熱し連続的に撹拌した。60〜90℃に反応混合物の温度を保った。窒素パージしたイソプロピルアルコールを使用して反応溶液を停止させ、2−メチル−4,6−ビス(オクチルスルファニルメチル)フェノール(1.0phrポリマーで)を添加することによって急速に安定化させた。
【0130】
続いてストリッパーにポリマー溶液を移した。少量の新鮮なシクロヘキサンで反応器を洗い流し、その内容物もストリッパーに移した。ポリマー溶液の全質量の2倍の量の蒸留水、並びにpH調整剤及び石鹸をポリマー溶液に添加し、次いで水蒸気でストリッパーの内容物を処理した。シクロヘキサンの全量が除去されるまで蒸気除去を実施し、ゴム粉を得た。次いで、ストリッパーからゴム粉を取り出し、室温に冷却し、粉砕し熱風流中で乾燥した。
【0131】
反応条件、使用した処方、及び得られたポリマーの特性の詳細は、以下の表4に含まれる。
【0132】
【表3】
【0133】
【表4】
【0134】
特性評価(更なる情報、アニオン的に得られたポリマーに関する上記の情報も参照のこと)
ビニル含有量、シス−1,4含有量、トランス−1,4含有量(%)
ブタジエンゴムの微細構造は、赤外分光法(サーモサイエンティフィック・ニコレ Is10(Thermo Scientific Nicolet Is10))によって決定された。ポリ(ブタジエン)微細構造の定量的決定に以下のピークを使用した:735cm−1(δ(シス−R−CH=CR−H)、→シス−1,4、ε=0.192)、912cm−1(δ(R−CH=CH−H)、→ビニル(1,2)、ε=1.0)、965cm−1(δ(トランス−R−CH=CR−H)、→トランス−1,4、ε=0.769)。
【0135】
この方法論は、
1.M.クラフト(M.Kraft)著、ストラクター・ウンド・アブソープションズスペクトロスコピー・ダー・クンストストフェ(Struktur und Absorptionsspektroskopie der Kunststoffe)、VCH、ワインハイム(Weinheim)1973年、p.93;及び
2.E.O.シュマルツ(E.O.Schmalz)、W.キンマー(W.Kimmer)著、Z.Anal.Chem.、1961年、第181巻、p.229
に記載されている。
加硫ゴム組成物の特性の評価及び測定(更なる情報、アニオン的に得られるポリマーに関する上記の情報も参照のこと)
各実施例で得られたポリマーを用いて加硫ゴム化合物を製造し、以下の試験パラメータについて測定した。
i)タイヤ予測値(60℃でのtanδ、0℃でのtanδ、−10℃でのtanδ、30℃でのJ”)
試験試料として加硫ゴム組成物を使用し、2.5K/分の加熱速度で、−80〜80℃の温度範囲で、引張り歪み=2%、周波数=10Hzの条件下にて、せん断モードで動的機械分析装置(DMA450+MetraviB)を使用して、このパラメータについて測定した。
ii)反発弾性
ISO 4662に基づいて決定した。
iii)強化係数
弾性率300%と弾性率100%の間の比として表され、ズウィック/ロエル Z005(Zwick/Roel Z005)を用いてPN−ISO 37:2007に基づいて決定した。
iv)シリカ分散
ディスパーグラダー(disperGRADER)アルファテクノロジーズ(Alpha Technologies)を使用して、ISO 1134 C、D、E;ASTM D7723に基づいて決定した。
配合(更なる情報、アニオン的に得られたポリマーに関する上記の情報も参照のこと)
実施例7及び9並びに比較例6及び8それぞれで得られたゴムを用いて、表5に示す配合処方に従って配合した。溶液スチレン−ブタジエンゴム、充填剤及びゴム添加剤の配合は、ファレル型の密閉式混合機(混合機ファレル BR+1600(Mixer Farrel BR+1600))及び実験室サイズの2本ロールミルで行った。3つの異なる段階でゴム化合物を混合し、最初の2つの段階は密閉式混合機で混合し、3つ目の段階(最終パス)は2本ロールミルで完了した。
【0136】
第1段階を用いて、数段階で、油、シリカ、シランカップリング剤、6PPD及び活性剤とゴムを混合した。第2段階を実施して、カーボンブラックの添加と共にシリカの分布を更に改善し、次いで化合物を24時間放置した。最終パス用に調整するために、ゴム化合物を4時間調整した。最終混合は2本ロールミルで行った。最後の工程を用いて硬化パッケージを加えた。次いで、170℃でT95±1.5分間、各配合物を加硫し(RPAの結果に基づく)、加硫物を得た。上記の硬化特性、ペイン効果及びタイヤ予測値について各加硫ゴム化合物を評価及び測定した。結果を表6に示す。
【0137】
【表5】
【0138】
【表6】
【0139】
実施例7及び9並びに比較例6及び8それぞれで得られたゴムを調べ互いに比較した(官能化対非官能化)。表6に示す結果を参照のこと。
実施例6は実施例7と、実施例8は実施例9と比較したが、その理由は、類似のムーニー範囲、即ちより高い(58、63)及びより低い(44、50)範囲に対応するからである。
【0140】
それぞれの場合において、転がり抵抗、乾式牽引力、冬季牽引力などのDMAから得られたタイヤ予測値は、官能化(実施例7、9−表6)ゴムと非官能化(例6、8−表6)ゴムとを比較した場合に改善され、高温での反発に関しても同じことが言える。はるかに高いシリカ分散(ディスパーグラダー(dispeGRADER))に加えて、強化指数である、弾性率100%に対する弾性率300%の比も増加することが見出された。これにより、非官能化ゴムの使用と比較して、官能化シス−ポリブタジエンゴムと充填剤(シリカ)との間のはるかに高い相互作用を確認した。
【0141】
本発明を例示する目的で特定の代表的な実施形態及び詳細を示したが、以下の特許請求の範囲によって定義される、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正を加えることができることは当業者には明らかであろう。