特許第6852181号(P6852181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6852181有機溶媒抽出を伴わない粗カプロラクタムの溶液からのカプロラクタムの精製方法
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  • 6852181-有機溶媒抽出を伴わない粗カプロラクタムの溶液からのカプロラクタムの精製方法 図000017
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6852181
(24)【登録日】2021年3月12日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】有機溶媒抽出を伴わない粗カプロラクタムの溶液からのカプロラクタムの精製方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 201/16 20060101AFI20210322BHJP
   C07D 223/10 20060101ALI20210322BHJP
   C07D 201/04 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   C07D201/16
   C07D223/10
   C07D201/04
【請求項の数】15
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2019-550146(P2019-550146)
(86)(22)【出願日】2017年12月15日
(65)【公表番号】特表2020-514350(P2020-514350A)
(43)【公表日】2020年5月21日
(86)【国際出願番号】SI2017050010
(87)【国際公開番号】WO2019117817
(87)【国際公開日】20190620
【審査請求日】2019年9月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】519225646
【氏名又は名称】アクアフィルスロ デー.オー.オー.
【氏名又は名称原語表記】AQUAFILSLO D.O.O.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】ダル モロ、アナクレート
(72)【発明者】
【氏名】チェッケット、ミケーレ
(72)【発明者】
【氏名】ヤヒッチ、デニス
(72)【発明者】
【氏名】マルゴン、ヴィド
【審査官】 高森 ひとみ
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公告第01258810(GB,A)
【文献】 特開昭51−052187(JP,A)
【文献】 特表2004−521923(JP,A)
【文献】 特公昭47−041909(JP,B1)
【文献】 特開昭49−116086(JP,A)
【文献】 特開昭57−165364(JP,A)
【文献】 特開昭55−118457(JP,A)
【文献】 特表2014−533705(JP,A)
【文献】 特表平07−500007(JP,A)
【文献】 特開2008−056620(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第01926932(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 201/16
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粗カプロラクタムの溶液からのカプロラクタムの精製のための方法において、
(i)50℃〜110℃の温度において、1時間〜5時間の持続時間にわたり、撹拌下での多価金属の1種又は複数のアルカリ化合物との直接接触によって前記粗カプロラクタムの溶液を処理して、懸濁液を得る工程であって、前記多価金属の1種又は複数のアルカリ化合物は、二価のアルカリ土類金属水酸化物、二価のアルカリ土類金属酸化物、酸と接触して置かれたときにアルカリ挙動を有する両性多価金属水酸化物、酸と接触して置かれたときにアルカリ挙動を有する両性多価金属酸化物及びこれらの混合物で形成される群から選択される、懸濁液を得る工程と、
(ii)撹拌下で工程(i)の前記懸濁液を冷却し、且つそれを20℃〜35℃の温度において1時間〜6時間の持続時間にわたって保持する工程と、
(iii)工程(ii)の前記懸濁液から固体を分離して、粗カプロラクタムの水溶液を得る工程とを備えることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記多価金属の1種又は複数のアルカリ化合物は、前記懸濁液の総重量に対して0.5質量%〜5質量%の量で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記多価金属は、カルシウム及びマグネシウムで形成される群から選択されるアルカリ土類金属である、請求項1〜2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記アルカリ化合物は、水酸化アルミニウムである、請求項1〜2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記多価金属の1種又は複数のアルカリ化合物は、水性分散液であって、前記水性分散液の総重量に対して30〜40質量%の前記アルカリ化合物を含む水性分散液の形態で、かつ、前記懸濁液の総重量に対して2.0質量%〜3.5質量%の量で存在する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(i)における前記温度は、80℃〜95℃である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程(i)の前記持続時間は、2時間〜3時間である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程(ii)における前記温度は、25℃〜30℃である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程(ii)の前記持続時間は、2時間30分〜3時間30分である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程(iii)における前記固体の前記分離は、2つの工程で行われ、第1の工程において、懸濁した固体の大部分の分離は、遠心分離によって行われ、及び第2の工程において、残留する微細な固体の濾過は、フィルタークロスを備えた加圧装置によって行われ、ここで、珪藻土の層前記フィルタークロスに施されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記粗カプロラクタムの溶液は、シクロヘキサノンオキシムのベックマン転位によるカプロラクタム合成の方法又はカプロラクタムの回収のための方法によって得られる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
工程(iii)が終わってから、
(iv)工程(iii)で得られたカプロラクタムの水溶液を100℃未満の温度かつ3500パスカル(35ミリバール)〜4500パスカル(45ミリバール)の圧力で脱水し、このようにして無水粗カプロラクタムを得る工程と、
(v)前記無水粗カプロラクタムを集め、且つ110〜120℃において窒素の不活性雰囲気下で1.5〜2.5時間にわたって撹拌反応器において維持して、残留有機塩の転換を完了させる工程と、
(vi)工程(v)において得られた前記粗無水カプロラクタムを蒸発させ、塩化された多価アルカリ化合物を分離する工程と、
(vii)工程(vi)において得られたカプロラクタムを、構造体化パッケージを備えた真空分留カラムによって精留し、軽い副生成物を分離及びパージする工程と、
(viii)工程(vii)において得られた前記カプロラクタムを、構造化パッケージを備えた真空分留カラムによって精留し、精製されたカプロラクタムを重い副生成物から分離する工程と、
(ix)工程(viii)の終わりにおいて前記カラムの底部に残っている前記重い副生成物からのカプロラクタムを圧搾し、且つこのようにして得られたカプロラクタムを、構造化パッケージを備えた真空分留カラムによって精留し、このようにしてさらなる量の残留カプロラクタムを回収する工程と
をさらに備える、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
蒸発の工程(vi)から得られた残留材料からのカプロラクタムを圧搾する工程であって、円の混合物に残留するカプロラクタムを圧搾する、カプロラクタムを圧搾する工程と、このようにして得られた液体成分を、構造化パッケージを備えた真空分留カラムによって精留し、このようにしてさらなる量の残留カプロラクタムを回収する工程とをさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
工程(vi)からの前記脱水された無水カプロラクタムは、無水カプロラクタムに対して0.05〜0.5質量%で僅かなNaOHと混合され、及び前記混合物は、次いで前記精留/蒸留工程に供される、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法によるカプロラクタムの精製のための設備において、
(a)前記方法の工程(i)を行うための、ステンレス鋼でできており、且つ撹拌機及び外側ジャケットを備えた第1の反応器と、
(b)前記方法の工程(ii)を行うための、ステンレス鋼でできており、且つ撹拌機及び外側ジャケットを備えた第2の反応器と、
(c)前記方法の工程(iii)を行うための、遠心機と、フィルタークロスを備えた1つ又は複数の加圧フィルターとを含む分離ステーションと、
(d)工程(iii)において得られた前記濾過されたカプロラクタム溶液を脱水し、それから水を除去するためのカラムと、
(e)前記カプロラクタムを蒸発させることによって前記アルカリ化合物の塩を除去するための蒸発ステーションと、
(f)前記残留するカプロラクタムを前記軽い副生成物から分離するための、構造化パッケージを備えた真空分留のためのカラムと、前記残留するカプロラクタムを前記重い副生成物から分離するための、構造化パッケージを備えた真空分留のためのカラムとを含む蒸留ステーションとを備えることを特徴とする、設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、代わりに通常の精製方法におけるように有機溶媒二重抽出を必要としない、多価、好適には二価及び三価の金属のアルカリ化合物による処理によるカプロラクタムの精製のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カプロラクタムは、6−アミノヘキサン酸(又はアミノカプロン酸)のラクタムである。カプロラクタムは、ナイロン6として一般に公知のポリアミド6の生成において使用されるモノマーであるため、その生成及び精製は、非常に重要性がある。
【0003】
カプロラクタムは、一般に、「ベックマン転位」として公知の反応によって得られ、これにより、シクロヘキサノンオキシムは、カプロラクタムに変換される。シクロヘキサノンオキシムは、シクロヘキサノンとヒドロキシルアミンとを反応させることによって調製することができ、後者は、ラシヒ法又は酸化窒素を水素で還元することによって得られる。より最近では、シクロヘキサノンオキシムは、アンモオキシム化反応により、ヒドロキシルアミンの使用を伴わずにシクロヘキサノンとアンモニア及び過酸化水素とを直接反応させることによって調製することもできる。ベックマン転位は、SO及びHSOの混合物である発煙硫酸の存在下で行われる。したがって、カプロラクタムは、完全に酸性の媒体に溶解し、これは、次いで、アンモニア(NH)を使用して中和される。この中和は、硫酸アンモニウムの形成をもたらし、これは、結晶化によって分離される。硫酸アンモニウムの結晶化後、残った水溶液は、溶液の総重量に対して概ね70〜80質量%のカプロラクタムと、様々な性質のいくつかの無機副生成物(残留硫酸アンモニウムを含む)及び直鎖状若しくは環状酸、ラクトン又はアミド、アミン、ケトンタイプなどの化合物を含む有機副生成物の両方とを含有し、より詳細な記載は、下記でさらに提供される。
【0004】
本明細書の下記において、用語「粗カプロラクタム(の溶液)」は、溶液の総重量に対して概ね70〜80質量%のカプロラクタム並びに有機及び無機副生成物を含む水溶液を意味するものとする。粗カプロラクタムの溶液は、典型的には、(アンモニアによる中和に続く)カプロラクタムのための化学合成方法の終わり又はカプロラクタムの回収のための方法(そのライフサイクルの終わりの、工業的方法からのポリアミド6廃棄物の脱重合及び/又はポリマー自体の脱重合の方法を含む)の終わりに得られる。
【0005】
一般に、カプロラクタムの副生成物は、実質的に親水性の副生成物、実質的に親油性の副生成物及びカプロラクタム自体のものと同様の化学的特徴を有する副生成物に分類することができる。
【0006】
ナイロン6への重合に適したモノマーを得るために、粗カプロラクタムを精製するために現在一般に使用される方法は、下記の工程を伴う:
a)酸性副生成物をNaOHで中和する工程;多くの副生成物は、直接的又は間接的に酸性であるため、NaOHによる中和により、これらのそれぞれのナトリウム塩が形成することが可能となり、これは、水に可溶性であるが、それに続いて使用される有機溶媒に可溶性ではない;
b)水及び溶媒間のカプロラクタムの分配の平衡と関連する適切な理論段数が設けられた適切な抽出カラムにおいて行われる溶媒による第1の抽出を行う工程;適切な溶媒は、ベンゼン、トルエン及びトリクロロエチレンである。溶媒中のカプロラクタムの濃度は、ベンゼンを使用して概ね20質量%、トルエンを使用して概ね10質量%である。トリクロロエチレンは、その環境への影響及び毒性と関連する問題によって現在次第に減少している。溶媒中のカプロラクタムの溶液は、カラムのヘッドにおいて離れる一方、無機塩、水に可溶性の有機化合物及び残留量の一般に無視できるカプロラクタムを含有する枯渇した水溶液は、底部に残存する。塩及び副生成物を含有するこの溶液は、汚染物質の特徴(COD、pHなど)により、適当な処分のために排出される。このように、第1の抽出は、親水性タイプの副生成物をカプロラクタムから分離する。
c)水による第2の抽出を行う工程:カプロラクタムは、第2の抽出カラムにおいて水によって溶媒から再抽出される。この抽出において、親油性タイプの副生成物は、溶媒中に残存する一方、カプロラクタムは、水相に移行する。カプロラクタムからの親油性副生成物の良好な分離を得るために、且つ2種の液体間の分配係数を考慮して、水相中のカプロラクタムの濃度は、概ね30質量%に維持しなければならないが、カプロラクタム自体は、水性媒体に完全に可溶性である。この場合にも、抽出カラムは、したがって、溶媒からのカプロラクタムの抽出の効率を保証し、且つその損失を最小化する適切な理論段数を設けなければならない。カプロラクタムの水溶液を第2の抽出カラムの底部から回収し、その濃縮のための一般に複数の真空段階を有する蒸発器である器具に供給する。
d)溶媒を蒸留する工程:第2の抽出カラムを離れ、親油性副生成物を含有する溶媒は、第1の抽出においてリサイクル及び再使用される。しかし、前記溶媒は、蒸留によってそれ自体が精製されて、カプロラクタムの一定の質を保証しなければならない。この溶媒は、したがって、水蒸気蒸留のための複数のプレートを有するカラムに供給される。低沸点溶媒をカラムのヘッドにおいて回収し、再循環させる。蒸留の目的のために、ベンゼン及びトルエンの両方は、蒸気相において水と均一な共沸混合物を形成し、且つ凝縮後にのみ2つの成分を分離することが可能であり、このように、使用される設備の観点から溶媒自体の回収が複雑化されることに留意するべきである。蒸留カラムの底部において残存するものは、最小のクオータ(低いが、ゼロではない)の溶媒を伴う親油性タイプの実質的に有機の副生成物である。このような蒸留残留物は、燃焼/焼却による処分に供給される;
e)硫酸アンモニウム溶液からカプロラクタムを抽出する工程:発煙硫酸中のカプロラクタムの酸性混合物のNHによる中和後、結晶化に供給される硫酸アンモニウム溶液は、カプロラクタムの百分率(2質量%〜4質量%)を含有し、これは、回収されなければならない。蒸留(工程d)から回収した溶媒をしたがって最初に第3の抽出カラムに供給し、硫酸アンモニウムの水溶液と接触させる。カプロラクタムの希釈された有機溶液をこのように回収し、この段階後、溶媒をポイントb)で記載した第1の抽出において再使用する;
f)第2の抽出から得られた概ね30質量%のカプロラクタムを含有する水溶液を濃縮する工程:この目的のために、蒸気消費量を最小化するために3段階濃縮機を一般に使用する。
【0007】
上記で記載したものに基づいて、カプロラクタムの精製の従来の方法の基礎的態様を表す、精製された生成物を得るために必要とされる連続する抽出及び濃縮は、方法及び関与する設備の両方の複雑さに対してかなりの効果を有することが明らかである。
【0008】
実際、溶媒二重抽出に基づいた従来の精製の方法は、酸性不純物のNaOHによる中和のための撹拌機を有する反応器;溶媒抽出によるカプロラクタムの回収のための2個のカラム;水抽出によるカプロラクタムの回収のためのカラム;副生成物からの溶媒の精製のための多段階蒸留カラム;水相から溶媒の有機相を分離するためのデカンター;使用される溶媒のための貯蔵場所及び容器;溶媒の喪失及び溶媒が空気と直接接触した場合のその後の引火の危険性を回避するためのブランケッティングシステム;カプロラクタムを濃縮するための一般に3段階を有する濃縮機;装置の多数の標準的な部分(容器、ポンプ、エクスチェンジャーなど)を含む複雑及び特定の設計の広範囲の多様な装置を必要とする。したがって、従来の方法は、技術的観点から特に複雑であり、結果的に操作の管理が困難でコストがかかる。
【0009】
さらに、従来の方法は、環境的及び安全性の観点からのマイナスの影響を伴って、様々な工程において有機溶媒を使用するという不都合を有する。適切な設備及び個人の防護手段と連動して、個人及び環境への危険を殆ど全体的に排除することは、可能であるが、事故の場合、溶媒の存在と関連する潜在的に重大なハザードが生じ得る可能性を考慮する必要が依然として存在する。既に記述したように、カプロラクタムの精製のための従来の方法において使用される溶媒は、ベンゼン、トルエン及びトリクロロエチレンである。結果的に、事故及び/又は漏出の場合のヒト及び環境の安全性に関するハザードに関連する下記のパラメータがこの種類の溶媒について報告されている。
【0010】
【表1】
【0011】
したがって、ヒトの健康及び環境衛生に関して対象の方法の安全性を改善させるための代替の方法を提供できることは、明らかに重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、従来使用される公知の方法の欠点を克服する、カプロラクタムの精製のための方法を提供することである。この目的の範囲内において、特に、本発明の1つの目的は、有機溶媒の使用を用いることなしにカプロラクタムを精製するための方法を提供することである。本発明の別の目的は、カプロラクタムを精製するためのより安定な方法を提供することであり、この方法は、従来の方法と比較してより容易に制御することができ、低減した数の工程を必要とする。さらに、本発明のさらなる目的は、本明細書に記載されている方法によるカプロラクタムの精製のための設備を提供することであり、この設備は、低減した範囲の装置を必要とし、単純な構成及び操作のものである。本発明のさらなる目的は、競争的なコストで相対的に容易に提供することができる、カプロラクタムを精製するための方法及び設備を提供することである。
【0013】
この目的並びにこの及び他の目的は、本明細書の下記でより詳細に説明され、本発明によるカプロラクタムの精製のための方法のブロック図(構成図)を示す図1において提示される。
【課題を解決するための手段】
【0014】
粗カプロラクタムの溶液からのカプロラクタムの精製のための方法であって、下記の工程:
(i)50℃〜110℃の温度において、1時間〜5時間の持続時間にわたり、撹拌下での多価金属の1種又は複数のアルカリ化合物との直接接触によって粗カプロラクタムの溶液を処理して、このようにして懸濁液を得る工程であって、
− 前記多価金属の1種又は複数のアルカリ化合物は、二価のアルカリ土類金属水酸化物、二価のアルカリ土類金属酸化物、二価のアルカリ土類金属カーボネート、酸と接触して置かれたときにアルカリ挙動を有する両性多価金属水酸化物、酸と接触して置かれたときにアルカリ挙動を有する両性多価金属酸化物及びこれらの混合物で形成される群から選択され;及び
− 前記多価金属の1種又は複数のアルカリ化合物は、全体的に、懸濁液の総重量に対して0.5%〜5質量%の量で存在する、工程
(ii)懸濁液の均一性及び安定性を維持するために、撹拌下で工程(i)の懸濁液を冷却し、且つそれを20℃〜35℃の温度において1時間〜6時間の持続時間にわたって保持する工程;
(iii)工程(ii)の懸濁液から固体を分離して、粗カプロラクタムの水溶液を得る工程
を含む方法である。
【0015】
分離は、好適には、2つの工程で行われ、すなわち粗カプロラクタムの水溶液を得るために、遠心分離による、懸濁した固体の大部分の第1の分離(iii−a)、それに続く、フィルタークロスを備えた加圧容器を用いた、懸濁液中の残留する微細な固体の濾過(iii−b)を行う。
【0016】
さらなる特徴及び利点は、本明細書の下記で提供される、好適であるが他を入れる余地がないものではない条件における本発明による方法のいくつかの実施形態の記載から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明によるカプロラクタムの精製のための方法のブロック図(構成図)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明による方法は、その生成のための方法に由来する粗カプロラクタムの溶液(特に硫酸アンモニウムの分離に続くベックマン転位によって得られる溶液)又はその回収のための方法(ナイロン6廃棄物及び残留物の脱重合後)から、精製されたカプロラクタムを得ることを可能とする。
【0019】
粗カプロラクタムの溶液は、典型的には、溶液の総重量に対して概ね70〜80質量%のカプロラクタム及び一連の親水性副生成物、親油性副生成物又はカプロラクタム自体の化学的特徴と同様の化学的特徴を有する副生成物(これらは、ナイロン6への重合に適した純粋なモノマーを得るために除去しなければならない)を含有する。全ての可能な汚染物質を理解及び列挙することは可能ではないが、下記を主要な汚染物質として引用することができる:
− 不飽和有機副生成物、例えばシクロヘキサノン(シクロヘキサノンオキシムの最初の生成からの残留物)及びその誘導体、例えばシクロヘキセノン、ヒドロキシシクロヘキサノン並びにカルボニル基にコンジュゲートした二重結合を有する他の化合物;
− 典型的には2〜6個の炭素原子の鎖を有する、カルボン酸、例えば酢酸、吉草酸など、また4〜6個の炭素原子の鎖を有する酸について非常に頻繁にあてはまるが、一般にカルボン酸基の反対側の炭素上のヒドロキシル基を伴う形態である;
− アルコール及びシクロヘキサノンの生成に由来するフェノールを含むフェノール誘導体;
− 上記のヒドロキシカルボン酸に由来するラクトン、典型的にはブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン;
− 3〜6個の炭素原子を有する軽いアミン(また少量のアニリンの存在の可能性);
− 直鎖状アミド、例えばバレルアミド;
− カプロラクタムの鎖と異なる鎖を有するラクタム(又は環状アミド)、例えばブチロラクタム、バレロラクタム、アルキルラクタム(典型的には、メチルラクタム、例えば6−メチルバレロラクタム(6−メチル−2ピペリドン)及びメチルカプロラクタム);
− N−アルキルラクタム、例えばN−メチルカプロラクタム、N−メチルバレロラクタム又はまた少量で均等なN−アセチルラクタム;
− アジピミド(窒素に結合した2個のカルボニル基を有するアミド);
− オクタヒドロフェナジン:カプロラクタムの生成のための殆ど全ての方法において非常に限定された量で純粋な形態でも形成される最も公知及び重大な副生成物の1つ;
− カプロラクタムへのオキシムの変換のための発煙硫酸の使用に続いて生成される有機スルホネート化合物;
− 結晶化工程において完全に分離されず、残留量で存在する硫酸アンモニウム;
− 2〜6又はさらにそれを超えるいくつかの単位によって大部分が形成されるカプロラクタムの環状及び直鎖状オリゴマー。
【0020】
本発明による方法は、上記の条件下及び本明細書の下記でより詳細に記載する条件下において、粗カプロラクタムの溶液と、二価のアルカリ土類金属水酸化物、二価のアルカリ土類金属酸化物、二価のアルカリ土類金属カーボネート、酸と接触して置かれたときにアルカリ挙動を有する両性多価金属水酸化物、酸と接触して置かれたときにアルカリ挙動を有する両性多価金属酸化物及びこれらの混合物で形成される群から選択される多価金属の1種又は複数のアルカリ化合物との間の反応をベースとする。実際、驚くべきことに、この種類の多価金属のアルカリ化合物は、一方では、沈殿し且つ濾過によって分離される、カプロラクタムのいくつかの副生成物の水に不溶性である塩形成を可能とし、他方では、残った副生成物を蒸留、すなわち蒸発及び最終精留の工程において分離することができ、且つ軽い副生成物及び重い副生成物の画分をパージすることによって排除することができるように、前記化合物は、残った副生成物の多くを、不溶性であるか(且つ沈殿によって分離することができるか)、又はカプロラクタムの揮発性と異なる揮発性を有する化合物に変換することが可能であることが見出された。これは、ガスクロマトグラフィー分析によって示され、これは、粗カプロラクタムの溶液中に最初に存在した副生成物の大部分に関するピークの消失を示す。アルカリ化合物による処理後のピークの消失は、副生成物が塩化されたか又はやはり化学的に変換されたことを示す。さらに、上記のアルカリ化合物は、カプロラクタムの環状及び直鎖状オリゴマーの形成を有利に阻害し、カプロラクタムの純粋なモノマー形態の回収を促進する。
【0021】
本発明による方法の好適な実施形態では、多価金属の1種又は複数のアルカリ化合物は、二価のアルカリ土類金属水酸化物、二価のアルカリ土類金属酸化物、酸と接触して置かれたときにアルカリ挙動を有する両性多価金属水酸化物、酸と接触して置かれたときにアルカリ挙動を有する両性多価金属酸化物及びこれらの混合物で形成される群から選択することができ、有利には、水酸化物及び酸化物の使用は、カーボネートと異なり、装置から排出されることが必要である二酸化炭素の発生と関連せず、このようにして大気へのこの汚染ガスの排出を回避する。
【0022】
さらに好適な実施形態では、多価金属は、カルシウム及びマグネシウムから選択されるアルカリ土類金属であり得る。別の好適な実施形態では、使用されるアルカリ化合物は、(三価の)水酸化アルミニウムであり得る。複数の水酸化物/酸化物の混合物に関して、水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウムの混合物を好適には使用することができる。
【0023】
水酸化物の形態の多価金属を使用することも好適であり、これらは、遊離OH基を有するため、それぞれの酸化物と比較すると、有機副生成物とより反応「できる状態」にある。最も好適には、使用される水酸化物は、その広範な利用可能性及び水性媒体に殆ど可溶性でない塩を形成するその傾向によって水酸化カルシウムである。この方法において使用される酸化物又は水酸化物の事前精製を行うことは必要ない。通常の工業生産によって得られる純度の程度は、本方法におけるこれらの使用に適している。
【0024】
取扱いを促進するために、酸化物及び水酸化物は、この方法において、スラリー、特に分散物自体の重量に対して概ね30〜40質量%と等しい固体の濃度を有する水中の分散物の形態で使用することもできる。スラリーは、液体混合物であるため、これは、ポンプシステムによって添加することもでき、これは、とりわけ連続的に行われる方法について有利であることが証明されている溶液である。水中の分散物の形態において、酸化物は、それぞれの水酸化物に変換される。しかし、水酸化物は、固体形態で使用することもでき、撹拌下に置かれる粗カプロラクタムの溶液への適切な添加システムを使用して加えられる。
【0025】
多価金属のアルカリ化合物は、アルカリ化合物を粗カプロラクタムの溶液に加えることによって得られる懸濁液の総重量に対して0.5質量%〜5質量%の量で使用される。好適には、多価金属のアルカリ化合物の量は、懸濁液の総重量に対して2.0質量%〜3.5質量%であり得る。示された範囲内の使用される特定の量は、粗カプロラクタムの溶液中に存在する副生成物のタイプ及び量によって変化することができる。
【0026】
アルカリ化合物による処理は、バッチ式又は連続的に行うことができる。本明細書で提供する記載において、バッチ式の方法に言及するが、連続方法の場合、様々な工程は、自動式流量制御、温度制御、濾過制御などを有するシステムによって行われるという事実を除いて手順が全体的に同じである。
【0027】
本明細書の下記において、「ホット(処理)工程」と称される方法の工程(i)において、酸性pH(通常、4.5〜6.5)を有する粗カプロラクタムの70〜80%溶液を、撹拌下に置かれ且つ50℃〜110℃の温度に加熱される反応器中に充填する。加熱は、公知の方法により、例えばプレヒータ及び/又は熱水ジャケット及び/又は蒸気により行うことができる。溶液は、好適には、80℃〜95℃の温度、さらにより好適には80℃〜90℃の温度に加熱することができる。並行して、1種又は複数のアルカリ化合物(固体形態又は水中の分散物の形態)は、その総濃度が、前記1種又は複数のアルカリ化合物を粗カプロラクタムの溶液に加えることによって得られる懸濁液の重量に対して0.5質量%〜5.0質量%であるように添加されて、反応器中に充填される。
【0028】
例えば、2.5%の水酸化カルシウムを含む最終懸濁液を有するために、1000kgの粗カプロラクタムの75%溶液及び110kgのCa(OH)の30%水懸濁液を使用することができ、混合物は、
a)粗カプロラクタム:750kg(懸濁液の69.5重量/質量%)
b)Ca(OH):27kg(懸濁液の2.5重量/質量%)
c)HO:303kg(懸濁液の28.0重量/質量%)
を含む。
【0029】
酸をベースとするタイプ自体の塩化の反応は、非常に急速な動態を有するにも関わらず、最終懸濁液を50〜110℃の範囲の事前選択した温度において一定の撹拌下で1時間〜5時間、好適には2時間〜3時間の持続時間にわたって保持し、多くの副生成物が関与する全ての化学的転換を完了させる。撹拌条件下において、懸濁液は、当初の帯黄色から濃茶色に変化する色を帯びる傾向を伴って安定及び均一のままである。
【0030】
この方法のこの工程において、下記の反応:
2[R−COO(NH]+Ca(OH)・(R−COO(Ca)+++2NH+HO(NHSO+Ca(OH)・CaSO+2NH+2H
の後、とりわけ副生成物の中でも硫酸アンモニウムの存在により、少量のアンモニアが一般に形成される。
【0031】
アンモニアは、鼻を突く刺激性の化合物であるため、これは、非常に控えめな量で生成されるが、アンモニアが水に吸収され、生成したアンモニア性水溶液が特定の領域、例えば硫酸アンモニウムの結晶化において回収及び再使用のために直接供給することができるように、ガスを洗浄するためのデバイス(スクラバー)に向けて、関与する装置のベントを方向付けることが必要である。
【0032】
本発明による方法は、有利には、装置の窒素ブランケッティングを必要としない。実際、この方法は、水相中で相対的に低い温度で行われるため、カプロラクタムは、基本的に空気中の酸素と接触しない。さらに、水性媒体及び相対的に低い温度は、可燃性蒸気を生じさせない。100℃超の温度によりホット処理の工程を行うときでも、水蒸気によってもたらされる特定の圧力が装置において生じ、これは、このようにして不活性雰囲気を生じさせる。
【0033】
次に、ホット工程の終わりにおいて、本明細書の下記で「コールド(処理)工程」と称する本発明の方法の工程(ii)を行う。懸濁液を、撹拌システムも備えた第2の反応器に移す。懸濁液は、公知の手段により、例えば中間のエクスチェンジャー及び外側の冷水ジャケットを用いて実行されて20℃〜35℃の温度、好適には25℃〜30℃の温度に冷却される。冷却により、カプロラクタムの副生成物及び1種又は複数のアルカリ化合物間の反応に由来する塩の沈殿が可能となり、溶液中に残存する塩の百分率が最小化する。
【0034】
20〜35℃での滞留時間は、1時間〜6時間、好適には2時間30分〜3時間30分である。20〜40℃での一定の撹拌を伴う滞留時間のさらなる延長は、強制的ではないが、有利であり得る。
【0035】
コールド処理工程の終わりに懸濁液からの固体の分離(iii)を行って、粗カプロラクタムの水溶液を得る。第一に、懸濁した固体の大部分の分離は、遠心分離によって行われ、及び第二に、残留する微細な固体の濾過は、フィルタークロスを備えた加圧装置、例えばフィルタープレス(従来の又は自動式)、加圧ディスクフィルター、ドラムフィルター及び遠心機を伴う濾過システムによって行われる。フィルターは、好適には、フィルタークロス上で処理された固体の自動式排出を有するタイプのものであり得る。しかし、手動タイプのフィルターを使用することも可能である。濾過は、好適には、珪藻土の層(「プレコート」として公知のもの)でコーティングしたフィルタークロス上で行うことができる。プレコートの使用は、目詰まりを制限することによってフィルタークロスの実用寿命が延長されること、及び小さいサイズの粒子も処理することによって濾過の効率が改善されることの二重の利点を有する。
【0036】
分離(iii)の終わりにおいて、溶液中のカプロラクタムの濃度は、なお70〜80質量%であるが、その純度は、増加されている。特に、溶液は、浮遊状態の固体を欠いており、クリア及び透明である。
【0037】
フィルタークロス上に保持された固体が処分される一方、残った副生成物を排除するために溶液を最終精製処理に供給する。最終精製は、下記のさらなる工程を伴う:
(iv)100℃未満の温度及び3500キロパスカル(35ミリバール)〜4500キロパスカル(45ミリバール)の圧力で稼働する、工程(iii)における分離から得られたカプロラクタムの水溶液を脱水する工程:この工程は、溶液から水を排除し、カプロラクタムの濃度は、70〜85質量%から概ね99質量%に移行し、このようにして無水粗カプロラクタムが得られる;
(v)無水粗カプロラクタムを集め、且つ110〜120℃において窒素の不活性雰囲気下で1.5〜2.5時間にわたって撹拌反応器において維持して、残留有機塩の転換を完了させる工程;
(vi)工程(v)において得られた無水粗カプロラクタムを蒸発させる工程:この工程は、蒸発しない、処理の最初の工程において使用される多価アルカリ化合物の残留塩を排除し、すなわち塩化された多価アルカリ化合物を分離する;
(vii)構造化パッケージを介して得られた適切な理論段数を設けられた真空分留カラムにより、工程(vi)において得られたカプロラクタムを精留する工程:この工程において、軽い副生成物、すなわち軽量物は、蒸発することによってパージ、除去され;軽い副生成物のより有効なパージは、順次に稼働する2工程カラムにおいて得られ:第1の工程は、粗カプロラクタムから全ての軽い副生成物を除去し、第2の工程は、軽いものから残留カプロラクタムを圧搾し、最終収率を増加させる;
(viii)構造化パッケージを介して得られた適切な理論段数を設けられた真空分留カラムにより、工程(vii)において得られたカプロラクタムを精留する工程:この工程において、最終の精製されたカプロラクタムは、蒸発し、このようにしてそれをカラムの底部に残存する重い副生成物、すなわち重いものから分離する;
(ix)構造化パッケージを介して得られた適切な理論段数を設けられた真空分留カラムにより、工程(viii)の終わりにおいて、カラムの底部に残っている生成物、すなわち重量物を圧搾し、且つこのようにして得られたカプロラクタムを精留する工程:この工程において、さらなる量の残留カプロラクタムを回収し、このようにしてそれを重い副生成物から分離し、これは、次いでパージされ、除去される。
【0038】
工程(ix)において回収された残留カプロラクタムは、その質により、工程(viii)において得られた精製されたカプロラクタムと混合することができるか、又は蒸発の工程(vi)に送り戻すことができる一方、重い副生成物は、パージ及び除去される。一実施形態では、非連続(バッチ)システムが使用される場合、工程(vi)、(vii)、(viii)及び(ix)は、同じ分留カラムにおいて引き続き行うことができる。しかし、工程(vi)、(vii)、(viii)及び(ix)のそれぞれに特に専用化されたカラムを使用して、この方法を行うための連続システムを使用することが好適である。
【0039】
本発明に関連して、当業者に公知のように、用語「圧搾」は、残留材料を「圧搾」することにより、有用な生成物の可能な最も大きい量を回収する作用を意味し、残留材料は、次いで除去される。この場合、圧搾は、蒸発によってさらなるカプロラクタムを回収することを可能とし、連続モード及び非連続(バッチ)モードの両方で行うことができる。
【0040】
有利には、工程(vi)における蒸発から得られた残留材料からのカプロラクタムの圧搾を行うことはまた、これが、多価金属のアルカリ化合物の塩に加えて、50〜60質量%までの残留カプロラクタムを含有する限り可能及び好都合である。圧搾は、本発明の方法において使用される多価金属のアルカリ化合物の塩が、一価金属(例えば、ナトリウム又はカリウム)の化合物の塩と対照的に、オリゴマー化/重合の方法における阻害剤として挙動し、この結果として、蒸発残留物が、高真空条件(1000〜1500キロパスカル(10〜15ミリバール))中及び大気圧の両方において、既にナイロン6並びにその環状及び直鎖状オリゴマーの融点より非常に低い温度である130℃〜150℃の温度において溶融状態で留まることが見出されたという事実によって促進される。したがって、連続する蒸留は、底部において再循環を伴って130℃〜150℃の温度でカラムにおいて行うことができ、このようにして「流下膜式」蒸発器器具、例えばルワ(Luwa)タイプのものの使用を回避する。
【0041】
直接の圧搾に代わる手段として、蒸発、すなわち工程(vi)からの残留材料は、例えば、硫酸アンモニウムの回収による中和の段階において、生成反応からの粗カプロラクタム生成量の中和の工程の1つに供給することができる。この場合、少量の使用する金属の硫酸塩(例えば、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム)は、結晶化した硫酸アンモニウムにおいて見出され、これは、硫酸アンモニウム自体の肥料としての使用とやはり適合性であるか、又は固化防止剤としても潜在的に有用である。
【0042】
さらに、上記の最終精製の工程(iv)〜(ix)に加えて、当業者に公知の1つ又は複数のさらなる精製処理、例えば水素付加(例えば、ラネーニッケル触媒による)、活性炭素を通過させること、過マンガン酸カリウム(KMnO)による処理、オゾンによる処理なども行うことができる。
【0043】
とりわけ、精製されたカプロラクタムの最終の質、すなわちパラメータ、例えば過マンガン酸塩指数PI、290nmでの吸光度を改善させる最も単純及び有用な処理の1つは、工程(vi)からの無水カプロラクタムを、無水カプロラクタムに対して0.05〜0.5質量%の量の僅かなNaOHと混合し、次いで前記混合物を上記のような精留/蒸留工程に供することである。
【0044】
別の態様において、本発明は、
(a)第1の反応器(ここでは、粗カプロラクタムの溶液の「ホット」処理が多価金属のアルカリ化合物の添加によって行われる(方法の工程(i))。この第1の反応器は、撹拌機及び典型的には加熱を可能とする外側ジャケットを備え、且つ通常のステンレス鋼(AISI304、AISI316など)でできている);
(b)第2の反応器(ここでは、粗カプロラクタム及びアルカリ化合物の懸濁液の「コールド」処理が行われる(方法の工程(ii))。この第2の反応器はまた、典型的には撹拌機及び冷却を可能とする外側ジャケットを設けられ、且つ通常のステンレス鋼(AISI304、AISI316など)でできている);
(c)遠心機と、フィルタークロスを備えた1つ又は複数の加圧フィルターとを含む分離ステーション(ここでは、方法の工程(iii)が行われる)
を含む、本明細書に記載した方法によるカプロラクタムの精製のための設備のセクションに関する。
【0045】
設備のこのセクションは、従来の設備における溶媒抽出のために使用されるセクションの代替物である。
最終濾過ステーションは、好適には、作動ライン及び固体が排出されるラインが必ず存在するように2連で提示することができる。フィルタークロスを備えた加圧容器は、例えば、フィルタープレス(従来の又は自動式)、加圧ディスクフィルター、ドラムフィルター又は遠心機を伴う濾過システムであり得る。さらに、使用されるフィルターは、好適には、フィルタークロスによって保持された固体の自動式排出を伴うタイプのものであり得る。
【0046】
さらに、一実施形態では、本発明による設備は、アルカリ化合物による処理の終わりにおいてカプロラクタムの最終精製のための下記の装置も含む:
(d)濾過したカプロラクタム溶液を脱水し、水をそれから除去するためのカラム;
(e)カプロラクタムを蒸発させることによってアルカリ化合物の塩を除去するための蒸発ステーション;
(f)好適には、2つの工程においてカプロラクタムを軽い副生成物から分離するための、構造化パッケージを備えた真空分留のためのカラムと、カプロラクタムを重い副生成物から分離するための、構造化パッケージを備えた真空分留のためのカラムとを含む蒸留ステーション。
【0047】
設備の一実施形態では、蒸発ステーション(e)は、セクター内で公知及び一般に使用される1つ又は複数のルワ(Luwa)タイプの流下膜式蒸発器を含むことができる。
設備の別の実施形態では、工程(f)において使用される分留カラムは、ステンレス鋼、好適にはAISI304又はAISI316タイプでできていることができる。カラム内に存在する構造化パッケージは、好適には、ズルツァー(SULZER)BXタイプのものなど、ポールリング及びラシヒミニリングから選択されるステンレス鋼でできていることができる。このタイプのパッケージは、実際、1メートル当たりの大きい数の理論段を得ることを可能とする。
【0048】
分留のためのカラムは、(特にまた1000キロパスカル(10ミリバール)未満、好適には300〜1000キロパスカル(3〜10ミリバール)の圧力での)高真空条件及び160℃までのカラム底部温度でも稼働する。これらの条件は、蒸留生成物の分解を回避することを可能とする。さらに、分留のためのカラムは、還流条件下で有利に稼働することができ、その程度は、計算され、存在する副生成物の分離によって選択される。
【0049】
各カラムのヘッドにおいて、蒸気凝縮器が存在する。溶液を脱水するためのカラム(d)のヘッドにおける凝縮器は、典型的には、水道水を冷却液として12℃〜14℃の温度で使用する一方、カプロラクタムの蒸留のためのカラムのヘッドにおける冷却は、典型的には、その融点が69℃であるカプロラクタム自体の凝固を回避する目的のために、70℃〜80℃の温度でのサーモスタット制御の水を使用して行われる。
【0050】
本発明による設備は、当然ながら、貯蔵容器、ポンプ、熱交換器、バルブ、温度及び圧力測定機器などの装置の一連の標準品目も含み、その存在は、当業者に直ちに明らかである。
【0051】
たとえ明示的に記述されなくても、本発明による方法に関連して記載する実施形態の技術的特徴は、適用可能な場合、設備の対応する器具に関しても妥当であると考えられ、逆の場合も同じであることを理解すべきである。
【0052】
本明細書で提供する記載に照らして、本発明による多価金属のアルカリ化合物による処理によるカプロラクタムを精製するための方法は、上記で提示したような目的を完全に達成することが実際に見出された。特に、本発明による方法は、所望の結果を達成し、溶媒二重抽出による精製の従来の方法と比較して技術上、安全性、環境的及び経済的観点からかなりの利点を伴う精製されたカプロラクタムを得ることを可能とする。
【0053】
第一に、技術上及び設備設計の観点から、本発明による方法は、従来の方法において使用されるものと比較して、設備の上記で提供した記載から明らかなように、より限定され且つより単純な装置一式を必要とする。
【0054】
環境的及び安全性の観点から、本発明の方法は、溶媒として水及び試薬として上記で引用したアルカリ溶媒を専ら使用する。使用する化合物の全ては、一般に普及しており、多くの場合に一般人の毎日の活動でも一般に使用される。化合物、例えば水酸化カルシウム及び酸化物は、皮膚及び目を刺激するが、オペレータ個人の保護は、手袋、ゴーグル及び防塵マスクを伴ってやはり非常に単純である。これらの化合物の環境への影響は、これらが無機鉱物及び化合物において既に天然に存在する限り、殆どゼロであると考えることができる。
【0055】
最後に、本発明による方法は、2つの態様から、溶媒二重抽出による従来の方法と比較して経済的にも有利である。第一に、本発明による方法は、必要な装置のより少ない量及びより単純な設計のためにより少ない資本支出を必要とする。第二に、稼働順序がより単純であるため、作動コスト、維持コスト並びにとりわけ特に蒸気及び電気エネルギーに関して材料消費と関連するコストもより低い。さらに、使用するアルカリ化合物のコストも非常に控えめである。
【0056】
本明細書に記載されているように着想される方法は、本発明概念の範囲から逸脱することなく多数の修正形態及び変形形態の対象とされ得る。さらに、全ての詳細は、当業者に均等物であると公知である他の要素で置き換えることができる。
【0057】
本発明によるカプロラクタムの精製のための方法の特徴及びその利点は、方法自体の改善された理解が可能となるように、いくつかの実施例に基づいてさらにこれから示される。これらの実施例は、使用する化合物のタイプ及び量、操作パラメータ範囲などに関して限定するものであると考えられない。
(実施例)
実施例において提示する表において、下記の略語は、下記の意味に対応する。
CPL=カプロラクタム;
GC=ガスクロマトグラフィー;
CPL屈折=屈折率測定によって決定する水溶液中のカプロラクタムの濃度;
O KF=カールフィッシャー分析法を使用して決定する溶液中のHOの含量。
【0058】
表において、CPL屈折及びHO KFの合計は、100%に近いが、これらの分析の固有誤差を考えると正確に等しくなく、これは、方法の進展の目安を提供することにおいてやはり有用であり、非常に迅速に行うことができる。
【0059】
過マンガン酸塩(KMnO)の消費は、粗カプロラクタムの溶液中に存在する酸化し得る物質の量の指標である。これは、特異的な品質パラメータではないが、酸化剤に対して敏感である存在する不純物の量の指標である。
【0060】
ガスクロマトグラフィー分析を、所定の温度スキャニングを伴う「クロスボンド(crossbond)−PEG」タイプの固定相を有するキャピラリーカラム(又はまた他のタイプ、例えばスタビワックスキャップ(Stabilwax Cap)カラム)を使用して、メタノールに試料を溶解することによって行った。カプロラクタムに対応するピークの(面積に対する)純度を検証することに加えて、この分析は、処理に続いていずれの不純物が残存するかを検証するために使用される。全ての副生成物を直接的に同定又は定量化することはできないが、この方法により、処理の効果の正当な比較を行うことが可能となる。
実施例1
Ca(OH)による処理
下記を、少なくとも100リットルの容積を有し、撹拌機及び外側ジャケットを設けられたAISI316鋼でできているパイロット反応器中に導入した:
− 「HASラシヒ」法からの72〜73質量%のカプロラクタムを有する粗カプロラクタムの溶液:45.00kg;
− 無水固体Ca(OH):1.15kg。
【0061】
用語「HASラシヒ法」は、シクロヘキサノンオキシムの調製のために使用される硫酸ヒドロキシルアミン(HAS)が大量の硫酸と共に得られ、これが1kgのカプロラクタム当たり概ね4.5kgの硫酸アンモニウムの最終同時生成をもたらす方法を指す。
【0062】
したがって、水酸化物の濃度は、2.5質量%と等しい。懸濁液を、連続的な撹拌下において、反応器の外側ジャケットに供給された95℃の水によって50℃にし、このような条件下で連続的に2時間維持した。次いで、加熱水の流れを遮断し、25〜30℃での水による冷却を行い、撹拌を一定に保った。懸濁液をこの温度で2時間30分保持し、次いでこれをタンク中に排出し、フィルタークロス上での濾過に供した。濾過後、浮遊状態固体を有さない暗い黄色であるが透明な溶液を得た。
【0063】
最初の未処理の溶液及び処理した溶液の分析データは、下記の通りである。
【0064】
【表2】
【0065】
この場合、ゾーバックスエクリプス(Zorbax Eclipse)XDB−C18タイプのカラムにおいて行われたHPLC分析は、カプロラクタムのオリゴマーが、(環状オリゴマーも直鎖状オリゴマーも)処理した溶液中に見出すことができないことを明らかにしたが、本発明による処理が、カプロラクタムのプレ重合形態を阻害する条件を生じさせることを示す。
【0066】
分析データは、処理により、下記の主要な効果を伴って最初の溶液が基本的に修正されることを明らかにする:
1)酸性溶液は、アルカリとなり、これは、強酸性のカプロラクタムが商業的規格の典型的なパラメータに決して達しない限り、蒸留のそれに続く相についての不可欠な条件である;
2)ガスクロマトグラフィーを介して証明される副生成物の数は、有意に低減し、これは、これらが濾過相中に転換され、塩化され、分離されたことを示す。
【0067】
処理の効果の検査は、この方法を追跡及びモニターするために不可欠ある一方、最終カプロラクタムの質は、下記でさらに記載する蒸留及び精留試験によって検証される。
実施例2
Ca(OH)による処理
同じ量のカプロラクタム溶液及びCa(OH)(HASラシヒ法からの72〜73質量%のカプロラクタム及び1.15kgの無水固体Ca(OH)を有する45.00kgの粗カプロラクタムの溶液)は、同じ条件の適用下で実施例1からの同じ反応器中に導入された。このように、水酸化物の濃度は、2.5質量%と等しかった。ホット相における処理の温度は、85℃に維持された。
【0068】
最初の未処理の溶液及び処理した溶液の分析データは、下記の通りである。
【0069】
【表3】
【0070】
この場合、使用される同じ量のCa(OH)を伴うより低い最終アルカリ度は、混合物のより大きい反応性を示すことができ、これは、ガスクロマトグラフィーが副生成物の数のさらなる低減を示すという事実と一致する。提示された処理に最も適した挙動及び条件並びにこの段階において得られた結果は、いずれの場合にも粗カプロラクタムの出発溶液の有効な組成によって決まるが、テキストに記載されている範囲内に留まる。
実施例3
Ca(OH)による処理
下記を同じ条件の適用下で実施例1からの同じ反応器中に導入した。
− 「NO還元方法からのHAS」からの73〜74質量%のカプロラクタムを有する粗カプロラクタムの溶液:45.00kg;
− 無水固体Ca(OH):1.15kg〜1.65kg。
【0071】
「NO還元からのHAS」方法は、水素による酸化窒素(NO)の還元によって得られる硫酸ヒドロキシルアミン(HAS)を介してカプロラクタムを調製する方法を意味し、これは、1kgのカプロラクタム当たり2.2kgまでの硫酸アンモニウムの最終同時生成を低減させることを可能とする。
【0072】
このように、水酸化物の濃度は、それぞれ2.5質量%及び3.5質量%と等しい。作動温度は、85℃に保持された。
最初の未処理の溶液及び処理後の溶液の分析データは、下記の通りである。
【0073】
【表4】
【0074】
従来の「ラシヒ法」と異なる方法(しかし、同等に一般に普及しているか、又はより一般に普及している)によって得られる粗カプロラクタムの溶液は、下記の実施例において得られたものと同様の特徴も提示することが留意される。
実施例4
Ca(OH)による処理
下記を同じ条件の適用下で実施例1からの同じ反応器中に導入した:
− 回収方法からの82〜84質量%のカプロラクタムを有する粗カプロラクタムの溶液:45.00kg;
− 無水固体Ca(OH):1.15kg。
【0075】
本実施例において使用する粗カプロラクタムは、回収方法に由来し、したがってそれ自体より高い程度まで不純物によって汚染されている。上記の実施例と比較してより大きいカプロラクタムの重量パーセントは、合成方法と比較して、回収方法におけるより少量の水の使用によって決まることが留意される。
【0076】
このように、水酸化物の濃度は、2.5質量%と等しい。作動温度を80℃で2時間保持し、次いで温度を25〜30℃に2時間30分間低減させた。
最初の未処理の溶液及び処理後の溶液の分析データは、下記の通りである。
【0077】
【表5】
【0078】
回収方法によって得られ、したがって本発明による処理後、より高い濃度の副生成物を有する粗カプロラクタムの溶液は、上記の実施例において得られたものとむしろ同様の特徴も提示することが留意される。
実施例5
Ca(OH)による処理
回収方法に由来し、したがって特に副生成物に富んでおり、上昇した最初の酸性度値を有する粗カプロラクタムの単一バッチから進んで、下記を同じ条件の適用下で実施例1からの同じ反応器中に導入した:
− 回収方法からの70〜75質量%のカプロラクタムを有する粗カプロラクタムの溶液:45.00kg;
− 無水固体Ca(OH):1.15kg。
【0079】
このように、水酸化物の濃度は、2.5質量%と等しい。2つの異なる方法が行われた。1つは、80℃において、及び1つは、95℃において2時間30分間である。25〜30℃での冷却を両方の方法について同様に保持した。
【0080】
最初の未処理の溶液及び処理後の溶液の分析データは、下記の通りである。
【0081】
【表6】
【0082】
この場合にも回収方法によって得られ、且つ本発明による処理後、特に副生成物に富んでいる粗カプロラクタムの溶液は、上記の実施例において得られたものとむしろ同様である特徴も提示することが留意される。いくつかの副生成物は、完全に排除され、したがって、副生成物の数は低減し、他方では、他の副生成物の量は、有意に低減することも観察された。
実施例6
Ca(OH)による処理
下記を、3000リットルの容積を有し、撹拌機及び外側ジャケットを設けられたAISI316鋼でできているパイロット反応器中に導入した:
− 回収方法からの75〜80質量%のカプロラクタムを有する粗カプロラクタムの溶液:2500.00kg;
− 無水固体Ca(OH)(連続する試験において使用する量):37.5kg−50.0kg−62.0kg−75.0kg−87.5kg。
【0083】
粗カプロラクタムの溶液中の水酸化物の濃度は、このように様々な実験においてそれぞれ1.5質量%;2.0質量%;2.5質量%;3.0質量%;3.5質量%と均等である。
【0084】
懸濁液を、連続的な撹拌下において、反応器の外側ジャケットに供給された低圧蒸気によって85℃の温度にし、このような条件下において2〜3時間維持した。次いで、加熱水の流れを遮断し、25〜30℃での水による冷却を行い、撹拌を一定に保った。懸濁液をこの温度で3時間保持し、次いでこれを低透過性ポリプロピレンでできているフィルタークロスを有するフィルタープレス上での濾過に供した。それぞれの濾過により、この種類の操作について公知である通常の手順によって珪藻土のコーティングの調製を続けた。濾過後、暗い黄色であるが透明な溶液を得たが、懸濁液中に固体はなかった。
【0085】
最初の未処理の溶液及び処理した溶液の分析データは、下記の通りである。
【0086】
【表7】
【0087】
表において提示するデータから、大きい変動性及び相対的に低い純度も有する粗カプロラクタムの溶液の使用により、特に指標「酸性度」によって示されるように本発明による処理により、中和効果及びガスクロマトグラフィーを介して測定される純度のかなりの改善を得ることが可能となることが留意される。
【0088】
これらの試験の過程において濾過から排出された固体は、平均して下記の組成範囲を有した。
総乾燥材料:70〜80%
湿度:30〜20%
総湿性塊に基づいて、灰分は、概ね30〜35%を占めたが、そのうちの35〜45%は、有機物質によって形成された。カプロラクタムは、非常に控えめなレベル(数百分率点と等しい)で存在することが明らかにされたが、たとえこれらが粗カプロラクタムの出発溶液において大量に存在したとしても、これは、有機不純物のかなりの除去を示す。
実施例7
Ca(OH)による処理
下記を同じ方法パラメータの適用下で実施例1のための同じ反応器中に導入した:
− HASラシヒ法からの72〜73%のカプロラクタムを有する粗カプロラクタムの溶液:45.00kg;
− 撹拌下に維持される脱塩水中の30質量%の無水固体Ca(OH)分散物:3.85kg(1.15kg乾燥)。
【0089】
この場合、Ca(OH)を、脱塩水に事前分散された30質量%のスラリーの形態の粗カプロラクタムの溶液と混合し、撹拌を一定に保った。
このように、水酸化物の濃度は、2.5質量%の粗カプロラクタムの溶液と等しい。ホット段階の温度は、85℃であった。
【0090】
最初の未処理の溶液及び処理した溶液の分析データは、下記の通りである。
【0091】
【表8】
【0092】
脱塩水中のCa(OH)の事前分散は、粗カプロラクタムの溶液中の固体Ca(OH)の直接添加で得られたものと同じ結果をもたらすことが留意される。
実施例8
Mg(OH)による処理
下記を同じ方法パラメータの適用下で実施例1のための同じ反応器中に導入した:
− 回収方法からの72〜73%のカプロラクタムを有する粗カプロラクタムの溶液:45.00kg;
− 無水固体Mg(OH):1.15kg。
【0093】
このように、水酸化物の濃度は、2.5質量%と等しい。ホット段階の温度は、85℃に維持された。
最初の未処理の溶液及び処理した溶液の分析データは、下記の通りである。
【0094】
【表9】
【0095】
水酸化マグネシウムは、水酸化カルシウムの効果と同様の効果を有する。
実施例9
CaOによる処理
下記を同じ方法パラメータの適用下で実施例1のための同じ反応器中に導入した:
− ラシヒ法からの72〜73質量%のカプロラクタムを有する粗カプロラクタムの溶液:45.00kg;
− 無水固体CaO:0.90kg。
【0096】
酸化カルシウムは、水と接触して、下記の反応:
CaO+H→Ca(OH)+1136kJ/kgのCaO
による熱の生成を伴って殆ど直ちに水酸化物に転換される。
【0097】
水性予分散体中の酸化カルシウム(又は酸化マグネシウム)を使用することにより、又は酸化物と粗カプロラクタムの溶液の水とのそれに続く接触により反応する有効な化合物は、したがって、やはり水酸化物である。
【0098】
作動温度は、85℃に保持された。酸化物の濃度は、1.95質量%と等しいが、上記の反応について、これは、2.5質量%の水酸化カルシウムの濃度と等しい。
最初の未処理の溶液及び処理した溶液の分析データは、下記の通りである。
【0099】
【表10】
【0100】
また、酸化カルシウムの使用により、同じ出発材料及び条件において、水酸化カルシウムの使用で得られるものと等しい効果が得られることが留意される。
実施例10
Al(OH)による処理
水酸化アルミニウム(Al(OH))は、酸化アルミニウムを水和させることによって得られる。アルミニウムは、アルカリ土類金属のファミリーの部分ではなく、三価である一方、この方法において使用されるアルカリ土類金属は、二価である。しかし、アルミニウムは、アルカリ土類金属と高度に同様の挙動を示し、水酸化アルミニウムは、非常に控えめなコストで広範に利用可能である。
【0101】
下記を同じ条件の適用下で実施例1のための同じ反応器中に導入した:
− 回収方法からの73〜75質量%のカプロラクタムを有する粗カプロラクタムの溶液:45.00kg;
− 無水固体Al(OH):0.45kg〜1.35kg。
【0102】
水酸化物の濃度は、それぞれ1.0質量%及び3.0質量%と等しい。ホット段階の温度を75℃に保持する一方、それに続く冷却の過程中にこれを25〜35℃に保持した。水酸化アルミニウムについても、処理の両方の段階についての接触時間は、上記の実施例において示したレベルで維持された。
【0103】
最初の未処理の溶液及び処理した溶液の分析データは、下記の通りである。
【0104】
【表11】
【0105】
また、水酸化アルミニウムの使用により、最初のレベルと比較した副生成物の数の低減及びいくつかの副生成物の量の低減の両方が観察されることが留意される。
実施例11
Ca(OH)による処理及びカプロラクタムの最終精製
粗カプロラクタムの溶液を、実施例2についての同じ反応器において同じ条件の適用下でCa(OH)によって処理した。使用した粗カプロラクタムの溶液は、従来の方法に由来したが、ここで、シクロヘキサノンオキシムを生成するために、反応は、シクロヘキサノン及び硫酸ヒドロキシルアミン間で行われ、それに続いてベックマン転位及び硫酸アンモニウムの分離を行う。ホット段階における85℃の温度及び2つの濃度のCa(OH)を使用して処理を行った。第1の場合において3.0質量%及び第2の場合において3.5質量%である。濾過後の処理した溶液は、下記の特徴を有した。
【0106】
【表12】
【0107】
次いで、処理した溶液の2つの試料を本発明による最終精製に供した。第一に、水を除去するために脱水を行い、それに続いて、多価金属のアルカリ化合物の塩を分離するためのカプロラクタムの蒸発並びにそれに続いて軽い副生成物及び重い副生成物を分離するためのカプロラクタムの精留を行った。
【0108】
2つの溶液試料の最終精製は、2つのカラムを備えたバッチタイプ設備において行った。第1は、試料の完全な脱水のために使用し、第2(ズルツァー(Sulzer)BXタイプの構造化パッケージを備えた)は、連続して、多価金属のアルカリ化合物の塩を分離するためのカプロラクタムの蒸発の相並びに軽い副生成物及び重い副生成物を分離するための精留の相を行うために使用した。特に、これらの試料のために行われる最終精製方法の特徴は、下記の通りであった:
− より小さいカラムを用いた中程度の真空下及び100℃未満の温度での水の蒸発;最終の水蒸発パラメータ:12キロパスカル(120ミリバール)と等しい圧力;48℃〜50℃の温度;
− 複数の工程において高真空下で得られたカプロラクタムの画分の蒸発及び精留(ズルツァー(Sulzer)構造化パッケージを備えたより大きいカラムを用いた);カラムの上部における温度は、122℃〜127℃であり、圧力は、概ね600パスカル(6ミリバール)と等しかった。
【0109】
設備に概ね45〜55kgの溶液を送り込んだ。水の除去及びカプロラクタムの分画は、それぞれ2日の同じ時間を必要とした。
上記のような3.0%及び3.5%のCa(OH)による処理に続く、精留したカプロラクタムの最終収率の主要な品質パラメータと等しい中央画分の主要な品質パラメータの結果を市販のカプロラクタムの標準的な規格と比較して下記で提示する。
【0110】
【表13】
【0111】
品質パラメータを検証するために使用する分析法は、カプロラクタムについて標準化され、一般に使用されるものである。
実施例12
Ca(OH)による処理及び精留工程における僅かな水酸化ナトリウムを使用したカプロラクタムの最終精製
実施例2についての同じ反応器において同じ条件の適用下でカプロラクタムの溶液をCa(OH)によって処理した。使用した粗カプロラクタムの溶液は、硫酸アンモニウムの分離後のベックマン転位による従来の方法に由来した。ホット段階における85℃の温度及びCa(OH)の濃度:2.5質量%を使用して処理を行った。濾過後の処理した溶液は、下記の特徴を有した。
【0112】
【表14】
【0113】
次いで、処理した溶液の試料を本発明による最終精製に供した。第一に、水を除去するために脱水を行い、それに続いて多価金属のアルカリ化合物の残った可溶性有機塩を分離するためのカプロラクタムの蒸発を行い、次いで集めた未加工の蒸発カプロラクタムを2つの部分に分割した。
1° − 第1の部分を最終精留にそのままで送った;
2° − 未加工の蒸発カプロラクタムの第2の部分を最初に融解し(注:この試行のために生成物を回収及び再融解したが、一方では、連続方法において、カプロラクタムは、必ず溶融状態で維持する)、0.2%のNaOHと混合し、90℃において窒素下で2時間接触させ、次いで最終精留に送った。
【0114】
いずれにしても、最終精製を、2つのカラムを備えたバッチタイプ設備において行った。第1は、試料の完全な脱水のために使用し、第2(ズルツァー(Sulzer)BXタイプの構造化パッケージを備えた)は、連続して、多価金属のアルカリ化合物の塩を分離するためのカプロラクタムの蒸発の相を行うために使用した。
【0115】
下記の条件を第1の工程において使用した:
− より小さいカラムを用いた中程度の真空下及び100℃未満の温度での水の蒸発;最終の水蒸発パラメータ:12キロパスカル(120ミリバール)と等しい圧力;48℃〜50℃の温度;
− 高真空下において122℃〜127℃のカラムの上部における温度及び概ね600パスカル(6ミリバール)と等しい圧力での未加工のカプロラクタムの蒸発。
【0116】
この第1の工程から得られた未加工の蒸発カプロラクタムを使用して、軽い副生成物及び重い副生成物を分離するために、いくらかの水酸化ナトリウム接触を伴わずに及び伴って2回の最終精留を行った。
【0117】
カプロラクタム蒸留のための通常のパラメータ条件を採用した:
− 122℃〜127℃に維持したカラムの上部の温度及び概ね600キロパスカル(6ミリバール)と等しい圧力での、(ズルツァー(Sulzer)構造化パッケージを備えたより大きいカラムを用いた)カプロラクタムの画分の精留。
【0118】
蒸留についてのパラメータは、両方の場合について同じであった。
NaOHの存在を伴う及び伴わない精留したカプロラクタムの最終収率の主要な品質パラメータと等しい中央画分の主要な品質パラメータの結果を市販のカプロラクタムの標準的な規格と比較して下記で提示する。
【0119】
【表15】
【0120】
カプロラクタムと接触した無水条件でのいくらかのNaOHを使用した最終精留は、多価金属アルカリ処理と組み合わせた生成物の最終の質を改善させる1つのさらなる方法のままでもある。
【0121】
品質パラメータを検証するために使用する分析法は、カプロラクタムのために標準化され、一般に使用されるものである。
図1