特許第6852199号(P6852199)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許68521997−置換ピロロトリアジン系化合物又はその薬学的に許容される塩、並びにその調製方法及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6852199
(24)【登録日】2021年3月12日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】7−置換ピロロトリアジン系化合物又はその薬学的に許容される塩、並びにその調製方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20210322BHJP
   C07D 519/00 20060101ALI20210322BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20210322BHJP
   A61K 31/541 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   C07D487/04 140
   C07D487/04
   C07D519/00 301
   C07D519/00 311
   A61K31/5377
   A61K31/541
   A61P43/00 111
   A61P35/00
   A61P35/02
   A61P29/00
   A61P37/02
【請求項の数】15
【全頁数】56
(21)【出願番号】特願2019-571243(P2019-571243)
(86)(22)【出願日】2018年6月22日
(65)【公表番号】特表2020-527541(P2020-527541A)
(43)【公表日】2020年9月10日
(86)【国際出願番号】CN2018092419
(87)【国際公開番号】WO2018233684
(87)【国際公開日】20181227
【審査請求日】2019年12月23日
(31)【優先権主張番号】201710493411.2
(32)【優先日】2017年6月23日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511076044
【氏名又は名称】中国科学院上海薬物研究所
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI INSTITUTE OF MATERIA MEDICA, CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】楊 春皓
(72)【発明者】
【氏名】蒙 凌華
(72)【発明者】
【氏名】向 ▲はお▼月
(72)【発明者】
【氏名】李 京
(72)【発明者】
【氏名】張 希
(72)【発明者】
【氏名】王 祥
(72)【発明者】
【氏名】譚 村
(72)【発明者】
【氏名】賀 茜
(72)【発明者】
【氏名】丁 健
(72)【発明者】
【氏名】陳 奕
【審査官】 東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02857403(EP,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第03053926(EP,A1)
【文献】 DUGAR,Sundeep,Bioorg.Med.Chem.Lett.,2015年,25,3142-3146
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Iで表される7−置換ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン系化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化1】

[式中、
は、ハロゲン、又は非置換もしくは少なくとも1つの置換基(ここで、置換基がハロゲンである。)で置換されたC1−6アルキル基もしくはC3−8シクロアルキル基であり、
は、−C(OH)R、−COC1−6アルキル基、−CN、非置換もしくは少なくとも1つの置換基(ここで、置換基がハロゲンである。)で置換されたC1−6アルキル基、非置換もしくは少なくとも1つの置換基(ここで、置換基がハロゲンである。)で置換された−CHNH−C1−6アルキル基、非置換もしくは少なくとも1つの置換基(ここで、置換基がハロゲンである。)で置換された−CHN(C1−6アルキル基)(C1−6アルキル基)、非置換もしくは少なくとも1つの置換基(ここで、置換基がハロゲンである。)で置換された−CH−(1〜2個のヘテロ原子及び3〜6個の炭素原子を有する飽和複素環基)、非置換もしくは少なくとも1つの置換基(ここで、置換基がハロゲンである。)で置換された−CH−(1〜2個のヘテロ原子及び3〜6個の炭素原子を有する飽和複素環基)−(1〜2個のヘテロ原子及び3〜6個の炭素原子を有する飽和複素環基)、非置換もしくは少なくとも1つの置換基(ここで、置換基がハロゲンである。)で置換された−CH−(1〜2個のヘテロ原子及び4〜12個の炭素原子を有する飽和スピロ環基)、非置換もしくは少なくとも1つの置換基(ここで、置換基がハロゲンである。)で置換された−CH−(1〜2個のヘテロ原子及び3〜12個の炭素原子を有する飽和架橋環基)−(1〜2個のヘテロ原子及び3〜6個の炭素原子を有する飽和複素環基)、又は非置換もしくは少なくとも1つの置換基(ここで、置換基がハロゲンである。)で置換された−CH−(1〜2個のヘテロ原子及び3〜12個の炭素原子を有する飽和架橋環基)、−N(C1−4アルキル基)(C1−4アルキル基)、−O−C1−4アルキル基、−CN、−COOH、−CHO、−NHS(O)−C1−4アルキル基、−N(C1−4アルキル基)C(C1−4アルキル基)(C1−4アルキル基)−CONH、=O、−OH、−S(O)N(C1−4アルキル基)(C1−4アルキル基)、−S−C1−4アルキル基、−S(O)−C1−4アルキル基、−CO−C3−6シクロアルキル基、オキセタニル基、モルホリノ基、C3−6シクロアルキル基、−C1−4アルキル基−N(C1−4アルキル基)(C1−4アルキル基)、非置換もしくは少なくとも1つのメチル基で置換されたC1−4アルキル基−O−C1−4アルキル基、非置換もしくは少なくとも1つのメチル基で置換された−CONH、非置換もしくは少なくとも1つのメチル基で置換されたC1−4アルキル基−CONH、非置換もしくは少なくとも1つのメチル基で置換された−COO−C1−4アルキル基、非置換もしくは少なくとも1つのメチル基で置換された−NH、非置換もしくは少なくとも1つのメチル基で置換された−NHCO−C1−4アルキル基、非置換もしくは少なくとも1つの置換基A(ここで、置換基Aが、ヒドロキシル基又はメチル基である。)で置換された−CO−C1−4アルキル基、又は、非置換もしくは少なくとも1つの置換基B(ここで、置換基Bが、−NH、−OCH、−CONH、−OH、又は−CFである。)で置換されたC1−4アルキル基であり、
前記Rでは、前記ヘテロ原子がN、O及びSから選ばれた少なくとも1つであり、
前記R及び前記Rは、各々独立に水素又はC1−6アルキル基であり、
前記Rは、次式:
【化2】

(式中、R、R、R、R10は、各々独立に水素、又は非置換もしくは少なくとも1つの置換基(ここで、置換基が、ハロゲン又はヒドロキシル基である。)で置換されたC1−6アルキル基である。)
で表され、
前記Rは、−NH、−NHCONHR11、又は−NHCO12であり、R11及びR12は、各々独立に非置換もしくは少なくとも1つの置換基(ここで、置換基が、ハロゲン及び−C(O)OR13から選ばれた少なくとも1つである。)で置換されたC1−6アルキル基、非置換もしくは少なくとも1つの置換基(ここで、置換基が、ハロゲン及び−C(O)OR13から選ばれた少なくとも1つである。)で置換されたC3−8シクロアルキル基、又は非置換もしくは少なくとも1つの置換基(ここで、置換基が、ハロゲン及び−C(O)OR13から選ばれた少なくとも1つである。)で置換されたフェニル基であり、R13は、非置換もしくは少なくとも1つの置換基(ここで、置換基がハロゲンである。)で置換されたC1−6アルキル基である。]
【請求項2】
前記Rは、ハロゲン、又は非置換もしくは少なくとも1つの置換基で置換されたC1−4アルキル基もしくはC3−6シクロアルキル基である、
ことを特徴とする請求項1に記載の一般式Iで表される7−置換ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン系化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
前記Rは、−Cl、−F、メチル基、トリフルオロメチル基又はジフルオロメチル基である、
ことを特徴とする請求項2に記載の一般式Iで表される7−置換ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン系化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
前記Rは、−C(OH)R、−COC1−4アルキル基、−CN、非置換もしくは少なくとも1つの置換基で置換されたC1−4アルキル基、非置換もしくは少なくとも1つの置換基で置換された−CHNH−C1−4アルキル基、非置換もしくは少なくとも1つの置換基で置換された−CHN(C1−4アルキル基)(C1−4アルキル基)、非置換もしくは少なくとも1つの置換基で置換された−X−(1〜2個のヘテロ原子を有する飽和4〜6員複素環基)、非置換もしくは少なくとも1つの置換基で置換された−X−(1〜2個のヘテロ原子を有する飽和4〜6員複素環基)−(1〜2個のヘテロ原子を有する飽和4〜6員複素環基)、非置換もしくは少なくとも1つの置換基で置換された−X−(1〜2個のヘテロ原子及び4〜8個の炭素原子を有する飽和二環式スピロ環基)、非置換もしくは少なくとも1つの置換基で置換された−X−(1〜2個のヘテロ原子及び3〜8個の炭素原子を有する飽和二環式架橋環基)−(1〜2個のヘテロ原子を有する飽和4〜6員複素環基)、又は非置換もしくは少なくとも1つの置換基で置換された−X−(1〜2個のヘテロ原子及び3〜8個の炭素原子を有する飽和二環式架橋環基)であり、
XはCHであり、
前記複素環基、前記スピロ環基及び前記架橋環基は、N原子によってXと結合し、
前記R及び前記Rは、各々独立に水素又はC1−4アルキル基である、
ことを特徴とする請求項1に記載の一般式Iで表される7−置換ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン系化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
前記Rにおける前記置換基は、−F、−Cl、−Br、−I、−CH、−CHCH、−CHCH(CH、−CHNH、−CHN(CH、−CHCHNH、−CHCHN(CH、−CHOH、−CHOCH、−CHCHOH、−C(CHOH、−C(CH)(CF)OH、−C(CFOH、−C(CHOCH、−C(CHNH、−CHC(CHOH、−CH(OH)CH(CH、−C(CHCHOH、−C(CHCHOCH、−CN、−CF、−COH、−CHO、−COCH、−COCH、−COC(CH、−COCHOH、−COC(OH)(CH、−COCH(OH)CH、−CONH、−CONHCH、−CON(CH、−CHCONH、−CHCON(CH、−C(CHCONH、−NH、−NHCH、−N(CH、−NHCOCH、−N(CH)COCH、−NHS(O)CH、−N(CH)C(CHCONH、=O、−OH、−OCH、−S(O)N(CH、−SCH、−S(O)CH、−C(O)−シクロプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、オキセタニル基、又はモルホリノ基である、
ことを特徴とする請求項4に記載の一般式Iで表される7−置換ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン系化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
前記Rは、次式:
【化3】

[式中、Rx及びRyは、それぞれ、−N(CH、−S(O)CH、又は非置換もしくは少なくとも1つの置換基(ここで、置換基がハロゲン、ヒドロキシル基、−CONH、−CF、アミノ基、又は−OCHである。)で置換されたC1−4アルキル基である。]
で表される、
ことを特徴とする請求項1に記載の一般式Iで表される7−置換ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン系化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
前記Rは、次式:
【化4】
で表される、
ことを特徴とする請求項1に記載の一般式Iで表される7−置換ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン系化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
前記Rは、次式:
【化5】

(式中、R、R、R、R10は、各々独立に水素又はC1−4アルキル基である。)
で表される、
ことを特徴とする請求項1に記載の一般式Iで表される7−置換ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン系化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
前記Rは、モルホリノ基又は(S)−3−メチルモルホリノ基である、
ことを特徴とする、請求項8に記載の一般式Iで表される7−置換ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン系化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
前記Rは、−NH、−NHCONHR11又は−NHCO12であり、
前記R11及びR12は、各々独立に非置換もしくは少なくとも1つの置換基で置換されたC1−4アルキル基、非置換もしくは少なくとも1つの置換基で置換されたC3−6シクロアルキル基、又は非置換もしくは少なくとも1つの置換基で置換されたフェニル基であり、
前記置換基は、フッ素、塩素、臭素、及び−C(O)OR13(ここで、R13は、C1−4アルキル基である。)から選ばれた少なくとも1つである、
ことを特徴とする請求項1に記載の一般式Iで表される7−置換ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン系化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
前記R11及び前記R12は、各々独立にメチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、フェニル基、−Ph−COEt−p、又は4−フルオロフェニル基である、
ことを特徴とする請求項10に記載の一般式Iで表される7−置換ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン系化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
以下の一般式のいずれかで表される構造を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の一般式Iで表される7−置換ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン系化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化6】

【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の一般式Iで表される7−置換ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン系化合物又はその薬学的に許容される塩の、PI3K活性阻害剤の調製における使用。
【請求項14】
前記PI3K活性阻害剤は、PI3Kδに対して選択的な阻害作用を有する、
ことを特徴とする請求項13に記載の一般式Iで表される7−置換ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン系化合物又はその薬学的に許容される塩の、PI3K活性阻害剤の調製における使用。
【請求項15】
PI3Kチャネルに関連する疾患を治療するための医薬組成物であって、
請求項1〜12のいずれか1項に記載の一般式Iで表される7−置換ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン系化合物又はその薬学的に許容される塩を治療有効量で含む、
ことを特徴とする医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品化学分野に関し、特に、7−置換ピロロトリアジン系化合物又はその薬学的に許容される塩、並びにその調製方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
PI3K−Akt−mTORシグナル経路は、受容体チロシンキナーゼ及びGタンパク質共役受容体からのシグナルを伝達する主要な経路の1つであり、様々な細胞機能において重要な役割を果たしている。最近の研究では、様々なヒト腫瘍において、PI3K−Akt−mTORシグナル経路における複数の重要なノードタンパク質が、コード遺伝子に存在する変異又は増幅により過剰に活性化されることが明らかになった(Vivancodら,Nat Rev Cancer 2(2002),第489-501頁)。そのうち、細胞外シグナルと細胞応答効果を繋ぐブリッジ分子であるPI3Kは、細胞の成長、代謝及び生存を調節する重要な因子であり、その過剰な活性化が様々なヒト腫瘍の発生と密接に関連している(Sabbahら,Curr Med Chem 18(2011),第5528-5544頁)。
【0003】
PI3Kは、細胞内のホスファチジルイノシトールキナーゼに属し、ホスファチジルイノシトールキナーゼ活性及びセリン/スレオニンキナーゼ活性を有する。PI3Kスーパーファミリーは、遺伝子シリーズの相同性、基質特異性及び機能によって、主に3つのタイプ、すなわち、クラスI、クラスII、クラスIIIに分類される(Engelmanら,NatRev Genet 7(2006),第606-619頁)。クラスI PI3Kは、今まで最も広く研究されているタイプであり、さらに、PI3Kα、PI3Kβ、PI3Kδ、PI3Kγの4つのサブクラスに分類され得る。クラスI PI3Kは、110kDaの触媒サブユニットと85kDaの調節サブユニットからなるヘテロ二量体酵素である。これらの4つのサブクラスは、調節サブユニット及び活性化メカニズムの相違により、クラスIA、クラスIBの2つのタイプに分類され得る。そのうち、PI3Kα、PI3Kβ、PI3Kδは、クラスIAに属し、受容体チロシンキナーゼ(receptor tyrosine kinase、RTKs)によって活性化される一方、PI3Kγは、クラスIBに属し、G−タンパク質共役受容体によって活性化される。クラスI PI3Kは、ホスファチジルイノシトール−4,5−ビスリン酸(phosphatidylinositol-4,5-bisphosphate、PIP2)の3位をリン酸化して、ホスファチジルイノシトール−3,4,5−三リン酸(phosphatidylinositol-3,4,5-trisphosphate、PIP3)を生成することができる。PIP3は、重要なセカンドメッセンジャーとして、細胞内の様々な標的タンパク質(例えば、AKT及びPDK1)に結合してその標的タンパク質を活性化させ、シグナルカスケード複合体を形成し、最終的に細胞の増殖、分化、生存及び遊走などを調節することができる。クラスII PI3K、クラスIII PI3K、及びクラスI PI3Kのキナーゼ領域は、高い相同性を有するとともに類似したリン酸化機能を持っているが、それらの具体的な生理機能は、よく分かっていない。クラスII PI3Kは、調節サブユニットに欠ける単量体構造を持ち、PI3KC2α、PI3KC2β、PI3KC2γの3つのサブクラスに分類され、主に、細胞内物質の輸送、細胞の生存、及び膜受容体タンパク質の内在化プロセスに関与している。クラスIII PI3Kは、サブクラスがVps34(vacuole protein sorting defective 34)の1つだけあり、エンドサイトーシス及びゴルジ小胞の輸送機能におけるその役割が広く知られている(Backer,BiochemJ 410(2008),第1-17頁)。最近の研究によると、Vps34は細胞自食のプロセスで重要な役割を果たすことが明らかである(Maら,Cell Res 24(2014),第912-924頁)。
【0004】
現在、臨床研究段階におけるPI3K阻害剤は何十個もあり、大まかに、非選択的PI3K阻害剤、クラスI PI3K選択的阻害剤、及びサブクラス選択的クラスI PI3K阻害剤の3つのタイプに分類され得る。従来の臨床データの分析から見ると、非選択的PI3K阻害剤は最初に臨床研究に参加したが、用量の制限性及び毒性のために進展が遅れている。サブクラス選択的PI3K阻害剤、特にPI3Kδ阻害剤は、進展が最も早い。そのうち、初めて市販されたPI3K阻害剤であるIdelalisibはPI3Kδ阻害剤であり、もう1つのγ/δ選択的阻害剤であるDuvelisibはすでに第III相臨床試験である(Winklerら,Chem Biol 20(2013),第1362-1372頁)。クラスIAの触媒サブユニットにおいて、PI3Kδの触媒サブユニットp110δは、全身の各組織で広く発現しているP110α及びP110βと異なり、主に、B細胞、T細胞などの免疫系で選択的な高発現を示し、血液悪性腫瘍や炎症、免疫疾患などの疾患と密接に関連している(Frumanら,N Engl J Med 370(2014),第1061-1062頁)。Idelalisibは、再発性慢性リンパ性白血病(CLL)、再発性濾胞B細胞の非ホジキンリンパ腫(FL)、及び再発性小リンパ球性リンパ腫の3つの血液瘤を治療する市販薬として米国FDAによって承認された。これは、血液悪性腫瘍の治療におけるPI3Kδ阻害剤の重要性を示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、PI3Kδ阻害剤の骨格は、例えば、US20140121224A1に示すように、主にIdelalisib母核の類似体に集中している。対照的に、トリアジンを母核とする化合物は、既存のデータから見ると、毒性がIdelalisibの毒性よりも著しく低下したことを示している。よく研究された別の構造はチエノピリミジン母核であり、その代表的な化合物がPI3K汎阻害剤GDC−0941である(Folkesら,J Med Chem 51(2008),第5522-5532頁)。このような化合物は、PI3Kδに対して選択的であると報告されている(Murrayら,J Med Chem 55(2012),第7686-7695頁)が、その母核とピロロトリアジンとは性質が大きく異なる。一方、例えば、CN102675323Aのように、ピロロトリアジンを母核とするPI3K阻害剤の報告が今までほんの数例であり、PI3Kδ阻害活性に関する報告が見られない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる点に鑑みて、本発明の目的は、一般式Iで表される7−置換ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン系化合物又はその薬学的に許容される塩を提供することにある。
【化1】

[式中、
は、ハロゲン、又は非置換もしくは少なくとも1つの置換基(ここで、置換基がハロゲンである。)で置換されたC1−6アルキル基もしくはC3−8シクロアルキル基であり、
は、−C(OH)R、−COC1−6アルキル基、−CN、非置換もしくは少なくとも1つの置換基(ここで、置換基がハロゲンである。)で置換されたC1−6アルキル基、非置換もしくは少なくとも1つの置換基(ここで、置換基がハロゲンである。)で置換された−CHNH−C1−6アルキル基、非置換もしくは少なくとも1つの置換基(ここで、置換基がハロゲンである。)で置換された−CHN(C1−6アルキル基)(C1−6アルキル基)、非置換もしくは少なくとも1つの置換基(ここで、置換基がハロゲンである。)で置換された−CH−(1〜2個のヘテロ原子及び3〜6個の炭素原子を有する飽和複素環基)、非置換もしくは少なくとも1つの置換基(ここで、置換基がハロゲンである。)で置換された−CH−(1〜2個のヘテロ原子及び3〜6個の炭素原子を有する飽和複素環基)−(1〜2個のヘテロ原子及び3〜6個の炭素原子を有する飽和複素環基)、非置換もしくは少なくとも1つの置換基(ここで、置換基がハロゲンである。)で置換された−CH−(1〜2個のヘテロ原子及び4〜12個の炭素原子を有する飽和スピロ環基)、非置換もしくは少なくとも1つの置換基(ここで、置換基がハロゲンである。)で置換された−CH−(1〜2個のヘテロ原子及び3〜12個の炭素原子を有する飽和架橋環基)−(1〜2個のヘテロ原子及び3〜6個の炭素原子を有する飽和複素環基)、又は非置換もしくは少なくとも1つの置換基(ここで、置換基がハロゲンである。)で置換された−CH−(1〜2個のヘテロ原子及び3〜12個の炭素原子を有する飽和架橋環基)、−N(C1−4アルキル基)(C1−4アルキル基)、−O−C1−4アルキル基、−CN、−COOH、−CHO、−NHS(O)−C1−4アルキル基、−N(C1−4アルキル基)C(C1−4アルキル基)(C1−4アルキル基)−CONH、=O、−OH、−S(O)N(C1−4アルキル基)(C1−4アルキル基)、−S−C1−4アルキル基、−S(O)−C1−4アルキル基、−CO−C3−6シクロアルキル基、オキセタニル基、モルホリノ基、C3−6シクロアルキル基、−C1−4アルキル基−N(C1−4アルキル基)(C1−4アルキル基)、非置換もしくは少なくとも1つのメチル基で置換されたC1−4アルキル基−O−C1−4アルキル基、非置換もしくは少なくとも1つのメチル基で置換された−CONH、非置換もしくは少なくとも1つのメチル基で置換されたC1−4アルキル基−CONH、非置換もしくは少なくとも1つのメチル基で置換された−COO−C1−4アルキル基、非置換もしくは少なくとも1つのメチル基で置換された−NH、非置換もしくは少なくとも1つのメチル基で置換された−NHCO−C1−4アルキル基、非置換もしくは少なくとも1つの置換基A(ここで、置換基Aが、ヒドロキシル基又はメチル基である。)で置換された−CO−C1−4アルキル基、又は、非置換もしくは少なくとも1つの置換基B(ここで、置換基Bが、−NH、−OCH、−CONH、−OH、又は−CFである。)で置換されたC1−4アルキル基である。]
【0007】
前記Rでは、前記ヘテロ原子がN、O及びSから選ばれた少なくとも1つであり、
前記R及び前記Rは、各々独立に水素又はC1−6アルキル基であり、
前記Rは、次式:
【化2】

[式中、R、R、R、R10は、各々独立に水素、又は非置換もしくは少なくとも1つの置換基(ここで、置換基が、ハロゲン又はヒドロキシル基である。)で置換されたC1−6アルキル基である。]
で表され、
前記Rは、−NH、−NHCONHR11、又は−NHCO12であり、ここで、R11及びR12は、各々独立に非置換もしくは少なくとも1つの置換基(ここで、置換基が、ハロゲン及び−C(O)OR13から選ばれた少なくとも1つである。)で置換されたC1−6アルキル基、非置換もしくは少なくとも1つの置換基(ここで、置換基が、ハロゲン及び−C(O)OR13から選ばれた少なくとも1つである。)で置換されたC3−8シクロアルキル基、又は非置換もしくは少なくとも1つの置換基(ここで、置換基が、ハロゲン及び−C(O)OR13から選ばれた少なくとも1つである。)で置換されたフェニル基であり、ここで、R13は、非置換もしくは少なくとも1つの置換基(ここで、置換基がハロゲンである。)で置換されたC1−6アルキル基である。
【0008】
一実施形態では、前記Rは、ハロゲン、又は非置換もしくは少なくとも1つの置換基で置換されたC1−4アルキル基もしくはC3−6シクロアルキル基である。
【0009】
一実施形態では、前記Rは、−Cl、−F、メタン基、トリフルオロメチル基又はジフルオロメチル基である。
【0010】
一実施形態では、前記Rは、−C(OH)R、−COC1−4アルキル基、−CN、非置換もしくは少なくとも1つの置換基で置換されたC1−4アルキル基、非置換もしくは少なくとも1つの置換基で置換された−CHNH−C1−4アルキル基、非置換もしくは少なくとも1つの置換基で置換された−CHN(C1−4アルキル基)(C1−4アルキル基)、非置換もしくは少なくとも1つの置換基で置換された−X−(1〜2個のヘテロ原子を有する飽和4〜6員複素環基)、非置換もしくは少なくとも1つの置換基で置換された−X−(1〜2個のヘテロ原子を有する飽和4〜6員複素環基)−(1〜2個のヘテロ原子を有する飽和4〜6員複素環基)、非置換もしくは少なくとも1つの置換基で置換された−X−(1〜2個のヘテロ原子及び4〜8個の炭素原子を有する飽和二環式スピロ環基)、非置換もしくは少なくとも1つの置換基で置換された−X−(1〜2個のヘテロ原子及び3〜8個の炭素原子を有する飽和二環式架橋環基)−(1〜2個のヘテロ原子を有する飽和4〜6員複素環基)、又は非置換もしくは少なくとも1つの置換基で置換された−X−(1〜2個のヘテロ原子及び3〜8個の炭素原子を有する飽和二環式架橋環基)であり、ここで、XはCHであり、前記複素環基、前記スピロ環基及び前記架橋環基は、N原子によってXと結合し、前記R及び前記Rは、各々独立に水素又はC1−4アルキル基である。
【0011】
一実施形態では、前記R及び前記Rは、各々独立に水素、メチル基又はエチル基である。
【0012】
一実施形態では、前記Rにおける前記置換基は、−F、−Cl、−Br、−I、−CH、−CHCH、−CHCH(CH、−CHNH、−CHN(CH、−CHCHNH、−CHCHN(CH、−CHOH、−CHOCH、−CHCHOH、−C(CHOH、−C(CH)(CF)OH、−C(CFOH、−C(CHOCH、−C(CHNH、−CHC(CHOH、−CH(OH)CH(CH、−C(CHCHOH、−C(CHCHOCH、−CN、−CF、−COH、−CHO、−COCH、−COCH、−COC(CH、−COCHOH、−COC(OH)(CH、−COCH(OH)CH、−CONH、−CONHCH、−CON(CH、−CHCONH、−CHCON(CH、−C(CHCONH、−NH、−NHCH、−N(CH、−NHCOCH、−N(CH)COCH、−NHS(O)CH、−N(CH)C(CHCONH、=O、−OH、−OCH、−S(O)N(CH、−SCH、−S(O)CH、−C(O)−シクロプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、オキセタニル基、又はモルホリノ基である。
【0013】
一実施形態では、前記Rは、次式:
【化3】

[式中、Rx及びRyは、それぞれ、−N(CH、−S(O)CH、又は非置換もしくは少なくとも1つの置換基(ここで、置換基がハロゲン、ヒドロキシル基、−CONH、−CF、アミノ基、又は−OCHである。)で置換されたC1−4アルキル基である。]
で表される。
【0014】
一実施形態では、前記Rは、次式:
【化4】

で表される。
【0015】
一実施形態では、前記Rは、次式:
【化5】

(式中、R、R、R、R10は、各々独立に水素又はC1−4アルキル基である。)
で表される。
【0016】
一実施形態では、前記R、R、R、R10は、各々独立にH又はメチル基である。
【0017】
一実施形態では、前記Rは、モルホリノ基又は(S)−3−メチルモルホリノ基である。
【0018】
一実施形態では、前記Rは、−NH、−NHCONHR11又は−NHCO12であり、ここで、R11及びR12は、各々独立に非置換もしくは少なくとも1つの置換基で置換されたC1−4アルキル基、各々独立に非置換もしくは少なくとも1つの置換基で置換されたC3−6シクロアルキル基、又は各々独立に非置換もしくは少なくとも1つの置換基で置換されたフェニル基であり、前記置換基は、フッ素、塩素、臭素、及び−C(O)OR13(ここで、R13は、C1−4アルキル基である。)から選ばれた少なくとも1つである。
【0019】
一実施形態では、前記R11及び前記R12は、各々独立にメチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、フェニル基、−Ph−COEt−p、又は4−フルオロフェニル基である。
【0020】
前記一般式Iで表される7−置換ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン系化合物又はその薬学的に許容される塩は、例えば、以下の一般式のいずれかで表される構造を有する。
【0021】
【化6】
【0022】
前記薬学的に許容される塩は、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、フ
マル酸塩、酢酸塩、メタンスルホン酸塩、塩酸塩、リン酸塩、硝酸塩、又は硫酸塩を含むがこれらに限定されない有機酸塩及び無機酸塩を含む。
【0023】
本発明の別の目的は、一般式Iで表される7−置換ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン系化合物を、以下の経路により調製する調製方法を提供することにある。
【化7】
【0024】
さらに、各ステップに必要な試薬と条件は、以下の通りである。
ステップa:化合物Aa1’と、ジメチルホルムアミド(DMF)とを含有する無水アセトニトリル溶液に、クロロスルホニルイソシアネートを滴下して反応させ、化合物Aa2’を得るか、ステップb:化合物Aa1’’をクロロホルムに溶解し、N−クロロスクシンイミドを加えて反応させ、化合物Aa2’’を得る。
【0025】
ステップc:化合物Aa2’と、KCOと、NHClと、濃アンモニア水と、メチルトリオクチルアンモニウムクロリドとを含有するメチルターシャリーブチルエーテル溶液に、5質量%の次亜塩素酸ナトリウム溶液を滴下し、反応させて化合物Aa3を得るか、ステップd:化合物Aa2’’を無水ジメチルホルムアミドに溶解し、NaHを加えて撹拌した後、O−(2,4−ジニトロフェニル)−ヒドロキシルアミンを加え、反応させて化合物Aa3を得る。
【0026】
ステップe:化合物Aa3を飽和アンモニアメタノール溶液又はアンモニアのメタノール溶液に溶解して反応させ、化合物Aa4を得る。
【0027】
ステップf:化合物Aa4をアルデヒド、無水塩化銅、ジメチルスルホキシドと混合して反応させ、化合物Aa5を得る。
【0028】
ステップg:化合物Aa5とN,N−ジメチルアミノピリジン又はジメチルアミノピリジンとの混合物にオキシ塩化リンを加えて反応させ、化合物Aa6を得る。
【0029】
ステップh:化合物Aa6に無水テトラヒドロフラン及びモルホリンを加えて反応させ、化合物Aa7を得る。
【0030】
ステップi:化合物Aa7と次亜リン酸ナトリウム一水和物とを含有する酢酸/水/ピリジン懸濁液に、ラネーニッケルを加えて反応させ、化合物Aa8を得る。
【0031】
ステップj:化合物Aa8、シアノ水素化ホウ素ナトリウム及びアミンをメタノールに懸濁させ、酢酸を加え反応させ、生成物を得るか、ステップj:化合物Aa8を含有する無水テトラヒドロフラン溶液に臭化メチルマグネシウムを加えて反応させ、生成物を得るか、ステップj:化合物Aa8を含有する無水ジクロロメタン溶液に三フッ化ジエチルアミノ硫黄(DAST)を加えて反応させ、生成物を得る。
【0032】
一実施形態では、化合物P−28は、以下の経路により調製される。
【化8】
【0033】
具体的には、以下のステップ1〜5を含む。
【0034】
ステップ1:化合物P−28−1をジクロロメタンと水の混合液に溶解した後、トリフルオロメチルスルフィン酸ナトリウムを加え、上記反応系を冷却して70%tert−ブチルヒドロペルオキシド水溶液を徐々に滴下し、その後、ジメチルスルホキシドを加え、反応系を昇温して反応させ、化合物P−28−2を得る。
【0035】
ステップ2:トルエンに化合物P−28−2及びオキシ塩化リンを加え、その後、N,N−ジメチルアニリンを加えて還流下で反応させ、塩化物の粗生成物を得て、得られた塩化物の粗生成物を無水テトラヒドロフランに溶解し、0oCでモルホリンを加えた後、室温で、原料が完全に反応するまで撹拌して濃縮し、粗生成物を得て、次のステップに進む。
【0036】
ステップ3:ステップ2で得られた粗生成物をメタノールに加えて溶解し、その後、水及び水酸化ナトリウムを加え、還流下で、原料が完全になくなるまで反応させ、濃縮し、水を加え、pHを調整して固体を析出させ、析出した固体を乾燥した後、次のステップに進む。
【0037】
ステップ4:ステップ3で得られた粗生成物、ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩(HBTU)、トリエチルアミン、及び2−(4−ピペリジニル)−2−プロパノールを、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に加えて反応させ、化合物P−28−5を得る。
【0038】
ステップ5:P−28−5を無水テトラヒドロフランに溶解し、その後、ボラン/テトラヒドロフラン(BH/THF)を徐々に滴下し、滴下終了後、反応系を昇温して反応させ、続いて反応系を冷却して濃塩酸を徐々に滴下した後、反応系を昇温して反応させ、化合物P−28を得る。
【0039】
本発明の別の目的は、PI3K活性阻害剤の調製における、一般式Iで表される7−置換ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン系化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供することにある。
【0040】
一実施形態では、前記PI3K活性阻害剤は、PI3Kδに対して選択的な阻害作用を有する。
【0041】
一実施形態では、前記PI3K活性阻害剤は、PI3Kチャネルに関連する疾患を治療するための医薬品に使用される。
【0042】
好ましくは、前記PI3Kチャネルに関連する疾患は、腫瘍、白血病及び自己免疫疾患を含む。
【0043】
また、本発明は、一般式Iで表される7−置換ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン系化合物又はその薬学的に許容される塩を治療有効量で含む、PI3Kチャネルに関連する疾患を治療するための医薬組成物を提供する。
【発明の効果】
【0044】
本発明の発明人は、合理的な設計により化合物の薬物動態要素を包括的に考察して、新規な7−置換ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン系化合物を得た。このような化合物は、良好なPI3K阻害活性を示し、PI3Kキナーゼ活性を効果的に阻害でき、かつ、7位へのグループの導入により、バイオアベイラビリティなどの薬物動態特性が大幅に向上して改善された。また、本発明における化合物は、PI3Kδに対して予想外に高い選択性および強力な阻害活性を示すため、PI3Kチャネルに関連する疾患、特に、癌や腫瘍、白血病及び自己免疫疾患の治療に使用できる。さらなる最適化及びスクリーニングを経た後、新規な抗腫瘍薬へと発展することが期待されている。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本明細書に記載される「アルキル」とは、直鎖アルキル又は分岐アルキルを指す。
【0046】
本明細書に記載される「置換」とは、1つ又は複数の水素原子を置換することを指す。本明細書におけるハロゲンは、F、Cl、Br及びIから選ばれた少なくとも1つであってもよく、F及びClのうちの少なくとも1つであることが好ましい。
【0047】
以下、実施例を参照しながら本発明をさらに説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。すべての実施例では、H NMRがBrucherAM−400型及びGEMINI−300型の核磁気共鳴分光計によって記録され、化学シフトがδ(ppm)で示され、質量スペクトルがMAT−95型質量分析計によって記録され、分離用のシリカゲルが200〜300メッシュのものである。
【0048】
ステップa:4−シアノ−5−メチル−1H−ピロール−2−ギ酸エチル(Aa2’)の調製
【化9】
【0049】
氷浴下で、化合物Aa1’(1.0g,6.5mmol)と、DMF(1.3mL)とを含有する無水アセトニトリル(20mL)溶液にクロロスルホニルイソシアネート(0.7mL,8.0mmol)を滴下し、得られた混合物を室温に移し、一晩反応させた。反応液を飽和炭酸ナトリウム溶液(20mL)でクエンチし、水で希釈し、酢酸エチル(50mL)で2回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水(100mL)で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧濃縮して得られた粗生成物を、クロマトグラフィーカラムにより精製(石油エーテル/酢酸エチル:3/1)し、白色化合物(980mg,84%)を得た。
H NMR(300MHz,CDCl)δ10.07(br s 1H),7.03(d,J=2.53Hz,1H),4.34(q,J=7.13Hz,2H),2.47(s,3H),1.37(t,J=7.13Hz,3H)。
【0050】
ステップc:1−アミノ−4−シアノ−5−メチル−1H−ピロール−2−ギ酸エチル(Aa3’)の調製
【化10】
【0051】
氷塩浴(ice-saltbath)で、化合物Aa2’(200mg,1.1mmol)と、KCO(840mg,6.0mmol)と、NHCl(385mg,7.2mmol)と、濃アンモニア水(1.2mL)と、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド(0.010mL)とを含有するメチルターシャリーブチルエーテル(50mL)溶液に、5%(質量%)の次亜塩素酸ナトリウム溶液(12mL)を定圧滴下漏斗から滴下し、室温に移して4時間反応させた。反応液を飽和チオ硫酸ナトリウムでクエンチし、メチルターシャリーブチルエーテル層を取り出し、水層を酢酸エチル(50mL)で1回抽出した。有機層を合わせ、水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧濃縮して得られた粗生成物を、クロマトグラフィーカラムにより精製(石油エーテル/酢酸エチル:4/1)し、無色液体(183mg,86%)を得て、放置後に固化させた。
1H NMR(300MHz,CDCl)δ7.01(s,1H),5.46(s,2H),4.30(q,J=7.13Hz,2H),2.42(s,3H),1.35(t,J=7.13Hz,3H)。
【0052】
ステップe:1−アミノ−4−シアノ−5−メチル−1H−ピロール−2−ホルムアミド(Aa4’)の調製
【化11】
【0053】
化合物Aa3’(800mg,4.1mmol)を100mLの飽和アンモニアメタノール溶液又はアンモニアのメタノール溶液に溶解し、80℃、封管中で2日間反応させ、室温まで冷却して濃縮した後、黄色固体(680mg,100%)を得た。
H NMR(300MHz,DMSO−d)δ8.01(br s,1H),7.39 br(s,1H),7.02(s,1H),6.70(br s,2H),2.27(s,3H)。
【0054】
ステップb:4−シアノ−5−クロロ−1H−ピロール−2−ギ酸エチル(Aa2’’)の調製
【化12】
【0055】
化合物Aa1’’(2.0g,12.2mmol)をクロロホルムに溶解し、N−クロロスクシンイミド(2.0g,15.0mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。得られた混合液を水(100mL)で希釈し、有機層を取り出し、水層をクロロホルム(100mL)で2回抽出し、その後、有機相を合わせ、飽和食塩水(100mL)で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧濃縮して得られた粗生成物を、クロマトグラフィーカラムにより精製(石油エーテル/酢酸エチル:20/1)し、白色固体(510mg,22%)を得た。
H NMR(300MHz,CDCl)δ10.68(s,1H),7.09(d,J=2.8Hz,1H),4.39(q,J=7.1Hz,2H),1.39(t,J=7.2Hz,3H)。
【0056】
ステップd:1−アミノ−4−シアノ−5−クロロ−1H−ピロール−2−ギ酸エチル(Aa3’’)の調製
【化13】
【0057】
化合物Aa2’’(300mg,1.5mmol)を無水DMF(10mL)に溶解し、氷浴下で、NaH(60%、鉱油に分散、75mg,1.9mmol)を加え、続いて30分間撹拌し、O−(2,4−ジニトロフェニル)−ヒドロキシルアミン(360mg,1.8mmol)を加え、室温で6時間撹拌した後、反応液を水(50mL)に注ぎ、酢酸エチル(50mL)で2回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水(100mL)で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル:10/1)を行って白色固体(305mg,95%)を得た。
H NMR(300MHz,CDCl)δ7.09(s,1H),5.80(s,2H),4.34(q,J=7.1Hz,2H),1.37(t,J=7.1Hz,3H)。
【0058】
ステップe:1−アミノ−4−シアノ−5−クロロ−1H−ピロール−2−ホルムアミド(Aa4’’)の調製
【化14】
【0059】
化合物Aa3’’(350mg,1.6mmol)を原料として、化合物Aa4’の調製を参照して黄色固体(290mg,100%)を得た。
H NMR(300MHz,DMSO−d)δ8.12(br s,1H),7.63(br s,1H),7.19(s,1H),6.86(br s,2H)。
【0060】
ステップf:化合物Aa5の合成
【化15】
【0061】
化合物Aa4(1.0当量)と、N−(5−ホルミル−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)プロピオンアミド(1.2当量,研究グループにより調製)と、無水塩化銅(1.0当量)とを含有するジメチルスルホキシド溶液を、100℃まで昇温して反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、水に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出し、有機層を合わせ、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:50/1)により精製して黄色固体を得た。
【0062】
【化16】
【0063】
化合物Aa4’(600mg,3.7mmol)、対応するアルデヒド(1.2g,4.4mmol)、無水塩化銅(490mg,3.7mmol)、ジメチルスルホキシド(25mL)により、黄色固体(1.3g,85%)を得た。
H NMR(300MHz,CDCl)δ8.82(s,1H),8.62(s,1H),8.43(br s,1H),7.27(s,1H),2.60(s,3H),1.38(s,9H)。
【0064】
【化17】
【0065】
化合物Aa4’’(200mg,1.1mmol)、対応するアルデヒド(362mg,1.3mmol)、無水塩化銅(150mg,1.1mmol)、ジメチルスルホキシド(15mL)により、黄色固体(408mg,85%)を得た。
H NMR(300MHz,CDCl)δ8.80(s,1H),8.62(s,1H),8.41(s,1H),7.36(s,1H),1.38(s,9H)。
【0066】
ステップg及びステップh:化合物Aa7の合成
【化18】
【0067】
化合物Aa5(1.0当量)と、4−ジメチルアミノピリジン(2.0当量)との混合物にオキシ塩化リンを加え、10時間還流した。冷却後、減圧下でオキシ塩化リンを除去し、無水テトラヒドロフラン、モルホリンを順次加え、2時間還流した。減圧下でテトラヒドロフランを留去し、水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出物を順次に、飽和食塩水、水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル:4/1)により精製して白色固体を得た。
【0068】
【化19】
【0069】
化合物Aa5’(1.0g,2.4mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(583mg,4.8mmol)、オキシ塩化リン(20mL)、テトラヒドロフラン(100mL)、モルホリン(5mL)により、白色固体(980mg,84%)を得た。
H NMR(300MHz,CDCl)δ8.76(s,1H),8.72(s,1H),8.24(br s,1H),6.99(s,1H),4.06(t,J=4.77Hz,4H),3.84(t,J=4.73Hz,4H),2.65(s,3H),1.36(s,9H)。
【0070】
【化20】
【0071】
化合物Aa5’’(360mg,0.8mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(200mg,1.6mmol)、オキシ塩化リン(5mL)、テトラヒドロフラン(50mL)、モルホリン(2mL)により、白色固体(370mg,88%)を得た。
H NMR(300MHz,CDCl)δ8.75(s,1H),8.72(s,1H),8.24(s,1H),7.09(s,1H),4.07(t,J=4.8Hz,4H),3.86(t,J=4.8Hz,4H),1.36(s,9H)。
【0072】
【化21】
【0073】
化合物Aa5’(800mg,1.9mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(466mg,3.8mmol)、オキシ塩化リン(15mL)、テトラヒドロフラン(100mL)、(S)−3−メチル基モルホリン(5mL)により、黄色固体(720mg,76%)を得た。
【0074】
ステップi:化合物Aa8の合成
【化22】
【0075】
化合物Aa7(1.0当量)と、次亜リン酸ナトリウム一水和物(6.7当量)とを含有する酢酸/水/ピリジン(v/v/v:1/1/2)懸濁液に、ラネーニッケルを加え、60℃まで昇温して反応させた。室温まで冷却し、ろ過し、酢酸エチルで抽出した。抽出物を3N塩酸で3回洗浄し、濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:50/1)により精製して黄色固体を得た。
【0076】
【化23】
【0077】
化合物Aa7’(1.0g,1.0mmol)、次亜リン酸ナトリウム一水和物(710mg,6.7mmol)、酢酸/水/ピリジン(v/v/v:1/1/2)(50mL)、ラネーニッケル(750mg)により、黄色固体(232mg,47%)を得た。
H NMR(300MHz,CDCl)δ10.15(s,1H),8.78(br s,1H),8.72(s,1H),8.25(s,1H),7.17(s,1H),4.10(t,J=4.8Hz,8H),3.84(t,J=4.8Hz,8H),2.79(s,3H),1.36(s,9H)。
【0078】
【化24】
【0079】
化合物Aa7’’(300mg,0.6mmol)、次亜リン酸ナトリウム一水和物(426mg,4.0mmol)、酢酸/水/ピリジン(v/v/v:1/1/2)(25mL)、ラネーニッケル(450mg)により、黄色固体(130mg,42%)を得た。
【0080】
【化25】
【0081】
化合物Aa7’’’(600mg,1.2mmol)、次亜リン酸ナトリウム一水和物(852mg,8.0mmol)、酢酸/水/ピリジン(v/v/v:1/1/2)(50mL)、ラネーニッケル(900mg)により、黄色色固体(420mg,83%)を得た。
【0082】
ステップj:化合物P−(1−9)、12、(29−32)、(34−35)、(38−43)、(45−46)の合成
【化26】
【0083】
化合物Aa8(0.2mmol)と、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.4mmol)と、対応するアミン(0.24mmol)とをメタノール(20mL)に懸濁させ、酢酸(0.05mL)を加え、室温で撹拌した。反応終了後、反応液を水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(100mL)で2回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水(100mL)で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:40/1)を行って生成物を得た。
【0084】
得られた生成物をメタノール(15mL)に溶解し、10当量の1M水酸化カリウム溶液を加え、還流下で反応させた。反応終了後、反応液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:40/1)により精製した。
【0085】
【化27】
【0086】
黄色固体(38mg,2ステップの総収率:44%)。H NMR(300MHz,CDCl)δ8.62(s,1H),6.80(s,1H),6.73(s,1H),4.90(br s,2H),4.03(t,J=4.5Hz,4H),3.81(t,J=4.5Hz,4H),3.50(s,2H),2.48(s,3H),2.28(s,6H)。
【0087】
【化28】
【0088】
黄色固体(44mg,2ステップの総収率:45%)。H NMR(300MHz,CDCl)δ8.63(s,1H),6.80(s,1H),6.77(s,1H),4.89(br s,2H),4.04(br s,4H),3.87(s,2H),3.82(br s,4H),2.77(t,J=3.3Hz,2H),2.49(s,3H),2.35(t,J=6.3Hz,2H),2.23(s,6H),1.80〜1.64(m,2H)。
【0089】
【化29】
【0090】
黄色固体(49mg,2ステップの総収率:52%)。H NMR(300MHz,CDCl)δ8.62(s,1H),6.79(s,1H),6.72(s,1H),4.88(br s,2H),4.04(t,J=3.9Hz,4H),3.91〜3.73(m,6H),3.46(t,J=6.7Hz,2H),3.32(s,3H),2.77(t,J=6.8Hz,2H),2.49(s,3H),1.89〜1.72(m,2H)。13CNMR(126MHz,CDCl)δ158.83,153.94,151.95,151.83,138.11(q,J=32.4Hz),126.24,122.95(q,J=274.3Hz),122.44,121.65,111.79,105.21(q,J=5.5Hz),103.35,71.40,66.81,58.71,47.06,45.94,45.66,29.90,9.24。
【0091】
【化30】
【0092】
黄色固体(38mg,2ステップの総収率:38%)。H NMR(400MHz,CDCl)δ8.63(s,1H),6.80(s,1H),6.76(s,1H),4.84(br s,2H),4.03(t,J=4.9Hz,4H),3.82(t,J=4.8Hz,4H),3.63(s,2H),3.53(t,J=5.6Hz,2H),3.35(s,3H),2.63(t,J=5.6Hz,2H),2.48(s,3H),2.33(s,3H)。13C NMR(101MHz,CDCl)δ158.77,153.94,151.95,151.77,138.13(q,J=32.8Hz),127.07,122.28(q,J=275.7Hz),121.72,120.25,111.93,105.22(q,J=5.6Hz),104.45,70.60,66.81,58.92,56.06,54.13,45.91,42.68,9.36。
【0093】
【化31】
【0094】
黄色固体(68mg,2ステップの総収率:64%)。H NMR(500MHz,CDCl)δ8.65(s,1H),6.82(s,1H),6.74(s,1H),4.94〜4.88(m,2H),4.06(t,J=4.6Hz,4H),3.84(t,J=4.8Hz,4H),3.59(s,2H),3.06(d,J=10.7Hz,2H),2.51(s,3H),1.97(t,J=11.3Hz,2H),1.81〜1.67(m,2H),1.35〜1.25(m,3H),1.19(s,6H)。13C NMR(126MHz,CDCl)δ158.79,153.93,151.95,151.77,138.12(q,J=32.3Hz),127.33,122.95(q,J=274.5Hz),121.68,120.06,111.82,105.23(q,J=6.2Hz),104.54,72.47,66.81,54.58,54.06,47.40,45.93,27.00,26.84,9.48。
【0095】
【化32】
【0096】
黄色固体(58mg,2ステップの総収率:58%)。H NMR(300MHz,CDCl)δ8.62(s,1H),6.80(s,1H),6.69(s,1H),4.84(br s,2H),4.03(t,J=4.8Hz,4H),3.82(t,J=4.8Hz,4H),3.57(s,2H),2.68〜2.45(m,8H),2.41(q,J=7.2Hz,2H),1.07(t,J=7.2Hz,3H)。13C NMR(126MHz,CDCl)δ158.78,153.94,151.93,151.79,138.15(q,J=32.5Hz,CFC),127.42,122.94(q,J=274.4Hz,CF),121.71,119.89,111.77,105.23(q,J=5.5Hz,CFCCH),104.57,66.81,54.42,52.97,52.83,52.28,45.94,12.01,9.45。
【0097】
【化33】
【0098】
黄色固体(55mg,2ステップの総収率:53%)。H NMR(500MHz,CDCl)δ8.64(s,1H),6.80(s,1H),6.71(s,1H),4.99(br s,2H),4.04(t,J=4.8Hz,4H),3.83(t,J=4.8Hz,4H),3.56(s,2H),3.09〜2.86(m,2H),2.50(s,3H),2.29(s,6H),2.21〜2.07(m,1H),2.05〜1.93(m,2H),1.87〜1.75(m,2H),1.65〜1.44(m,2H)。13C NMR(126MHz,CDCl)δ158.88,153.92,151.93,151.77,138.07(q,J=32.5Hz),127.26,122.95(q,J=274.6Hz),121.58,120.29,111.78,105.21(q,J=5.7Hz),104.45,66.80,62.32,54.34,52.93,45.92,41.72,28.29,9.45。
【0099】
【化34】
【0100】
黄色固体(46mg,2ステップの総収率:47%)。H NMR(400MHz,CDCl)δ8.62(s,1H),6.81(s,2H),4.87(br s,2H),4.05(t,J=4.8Hz,4H),3.83(t,J=4.8Hz,4H),3.70(s,2H),2.85(s,4H),2.78(s,4H),2.49(s,3H)。13C NMR(126MHz,CDCl)δ158.82,153.96,152.08,151.89,138.16(q,J=32.3Hz),127.58,122.93(q,J=274.6Hz),121.55,112.14,105.29(q,J=5.4Hz),105.03,66.80,54.99,54.49,45.96,27.36,9.47。
【0101】
【化35】
【0102】
黄色固体(79mg,2ステップの総収率:72%)。H NMR(300MHz,CDCl)δ8.62(s,1H),6.81(s,1H),6.64(s,1H),4.84(br s,2H),4.03(t,J=4.5Hz,4H),3.82(t,J=4.9Hz,4H),3.60(s,2H),3.24(t,J=5.0Hz,4H),2.77(s,3H),2.58(t,J=4.9Hz,4H),2.49(s,3H)。13C NMR(126MHz,CDCl)δ158.83,153.95,151.99,151.95,138.12(q,J=32.4Hz,CFC),127.42,122.95(q,J=274.4Hz,CF),121.57,119.23,111.90,105.25(q,J=5.5Hz,CFCCH),104.48,66.79,54.26,52.19,45.95,45.84,34.28,9.44。
【0103】
【化36】
【0104】
化合物P−9(160mg,0.3mmol)を含有するクロロホルム(10mL)溶液に、メタンスルホン酸(370μL,0.3mmol)を加え、室温で2時間反応した後、無水ジエチルエーテル(50mL)で希釈し、ろ過、乾燥させた後、黄色化合物であるP−9メタンスルホン酸塩(145mg,77%)を得た。
H NMR(500MHz,DMSO−d)δ9.89(br s,1H),8.51(s,1H),7.25(s,1H),7.23(s,1H),4.47(br s,2H),4.02(t,J=5.0Hz,4H),3.76(t,J=4.9Hz,4H),3.73(s,2H),3.57〜3.47(m,2H),3.30〜3.09(m,4H),3.01(s,3H),2.52(br s,2H),2.43(br s,6H)。13C NMR(126MHz,DMSO−d)δ157.47,153.93,151.45,145.46,138.57(q,J=33.3Hz),129.45,122.77(q,J=275.06Hz),118.65,112.36,111.92,110.13,107.64,66.42,51.32,50.27,46.01,42.96,40.23,35.51,9.65。
【0105】
【化37】
【0106】
黄色固体(63mg,2ステップの総収率:53%)。H NMR(400MHz,CDCl)δ8.63(s,1H),6.83(s,1H),6.70(s,1H),4.99(br s,2H),4.24〜3.98(m,4H),3.96〜3.78(m,4H),3.60(s,2H),3.46(br s,4H),2.51(s,3H),2.44(br s,4H),1.47(s,9H)。13C NMR(126MHz,CDCl)δ158.91,154.77,153.94,151.85,151.72,138.18(q,J=32.6Hz),127.40,122.93(q,J=274.1Hz),121.50,119.51,111.85,105.39(q,J=5.6Hz),104.52,79.65,66.79,54.45,52.74,45.93,28.43,9.45。
【0107】
【化38】
【0108】
黄色固体(45mg,2ステップの総収率:43%)。H NMR(500MHz,Chloroform−d)δ8.62(s,1H),6.80(s,1H),6.70(s,1H),4.84(d,J=7.5Hz,2H),4.06〜4.00(m,4H),3.95(d,J=11.4Hz,2H),3.83〜3.80(m,4H),3.65(s,2H),3.47(t,J=7.5Hz,2H),3.36(t,J=11.7Hz,2H),2.88(t,J=7.3Hz,2H),2.32〜2.16(m,2H),1.71〜1.57(m,2H),1.52(ddd,J=13.2,3.8,1.9Hz,2H)。
【0109】
【化39】
【0110】
黄色固体(40mg,2ステップの総収率:41%)。H NMR(500MHz,Chloroform−d)δ8.62(s,1H),6.81(s,1H),6.65(s,1H),4.85(d,J=5.3Hz,2H),4.75(s,4H),4.05〜4.00(m,4H),3.82(t,J=4.9Hz,4H),3.61(s,2H),3.42(s,3H),2.48(s,4H)。
【0111】
【化40】
【0112】
黄色固体(36mg,2ステップの総収率:32%)。H NMR(300MHz,Chloroform−d)δ8.61(s,1H),6.79(s,1H),6.72(s,1H),4.90(d,J=5.8Hz,2H),4.02(t,J=4.7Hz,4H),3.81(t,J=4.8Hz,5H),3.73〜3.68(m,4H),3.57(s,2H),3.00(d,J=11.1Hz,2H),2.58〜2.46(m,8H),2.18(dq,J=11.2,5.9,4.2Hz,1H),2.01(t,J=11.1Hz,2H),1.82(d,J=13.4Hz,2H),1.58(td,J=12.1,3.6Hz,2H)。
【0113】
【化41】
【0114】
WO2010138589(A1)を参考して対応するアミンの合成を行った。黄色固体(20mg,2ステップの総収率:18%)。H NMR(400MHz,Chloroform−d)δ8.61(s,1H),7.74〜7.50(m,1H),6.81(s,1H),4.84(s,2H),4.67〜4.60(m,2H),4.59〜4.51(m,2H),4.32〜4.13(m,2H),4.10〜3.98(m,4H),3.83(t,J=4.9Hz,4H),2.92〜2.74(m,1H),2.50(s,3H),2.21(d,J=7.7Hz,2H),2.06〜1.97(m,4H),1.00〜0.84(m,6H)。
【0115】
【化42】
【0116】
黄色固体(52mg,2ステップの総収率:52%)。H NMR(300MHz,Chloroform−d)δ8.62(s,1H),6.80(s,1H),6.67(d,J=1.3Hz,1H),4.84(d,J=4.0Hz,2H),4.08〜3.98(m,4H),3.81(t,J=4.8Hz,4H),3.62(s,2H),3.37(dd,J=4.3,1.5Hz,8H),2.47(d,J=1.5Hz,3H),2.32(d,J=1.5Hz,3H)。
【0117】
【化43】
【0118】
WO2010138589(A1)を参考して、対応するアミンの合成を行った。黄色固体(75mg,2ステップの総収率:67%)。H NMR(400MHz,Chloroform−d)δ8.61(s,1H),7.14(d,J=5.3Hz,1H),6.80(s,1H),6.68(s,1H),5.54(d,J=5.3Hz,1H),4.93(s,2H),4.03(dd,J=5.7,4.0Hz,4H),3.82(dd,J=5.7,4.0Hz,4H),3.58(s,2H),2.59〜2.52(m,6H),2.49(s,3H),1.20(s,8H)。
【0119】
【化44】
【0120】
黄色固体(49mg,2ステップの総収率:47%)。H NMR(400MHz,Chloroform−d)δ8.61(s,1H),6.85(s,1H),6.81(s,1H),4.86(s,2H),4.04(t,J=4.9Hz,4H),3.82(q,J=4.8,3.6Hz,8H),3.58(t,J=5.3Hz,4H),3.28〜3.25(m,2H),2.51(s,3H),1.81(t,J=5.6Hz,4H)。
【0121】
【化45】
【0122】
WO2010138589(A1)を参考して対応するアミンの合成を行った。黄色固体(47mg,2ステップの総収率:44%)。H NMR(400MHz,Chloroform−d)δ8.61(s,1H),6.80(s,1H),6.77(s,1H),4.88(s,2H),4.03(dd,J=5.7,4.1Hz,4H),3.82(dd,J=5.6,4.0Hz,4H),3.75(d,J=1.5Hz,2H),3.47(s,2H),3.42(d,J=12.1Hz,2H),3.32(d,J=10.1Hz,1H),3.20(d,J=10.2Hz,1H),3.01(s,1H),2.78(dd,J=9.2,2.4Hz,1H),2.66(d,J=2.4Hz,2H),2.50(s,3H),2.24〜2.14(m,1H),1.75(d,J=9.7Hz,1H),1.51(d,J=9.7Hz,1H)。
【0123】
【化46】
【0124】
黄色固体(56mg,2ステップの総収率:51%)。H NMR(400MHz,Chloroform−d)δ8.59(s,1H),7.62(s,1H),6.82(s,1H),4.97(s,2H),4.74(t,J=6.3Hz,1H),4.67(d,J=6.4Hz,1H),4.55〜4.44(m,2H),4.26〜4.14(m,2H),4.07(dd,J=5.7,4.0Hz,4H),4.03〜3.87(m,2H),3.86〜3.80(m,4H),3.49(s,1H),3.35(d,J=11.7Hz,1H),2.82〜2.62(m,1H),2.51(s,3H),2.21(t,J=7.6Hz,1H),2.04〜1.97(m,2H),0.90〜0.82(m,1H)。
【0125】
【化47】
【0126】
WO2010138589(A1)を参考して、対応するアミンの合成を行った。黄色固体(53mg,2ステップの総収率:47%)。H NMR(400MHz,Chloroform−d)δ8.62(s,1H),6.81(s,1H),6.77(s,1H),4.81(s,2H),4.03(dd,J=5.7,4.1Hz,4H),3.83〜3.81(m,4H),3.72(d,J=4.7Hz,4H),3.60(s,2H),3.04(s,3H),2.50(s,3H),2.32(d,J=5.3Hz,4H),1.70(s,6H)。
【0127】
【化48】
【0128】
WO2010138589(A1)を参考して、対応するアミンの合成を行った。黄色固体(52mg,2ステップの総収率:48%)。H NMR(400MHz,Chloroform−d)δ8.61(d,J=3.7Hz,1H),6.81(s,1H),6.71(s,1H),4.88(s,2H),4.03(dq,J=6.3,2.8,2.3Hz,4H),3.85〜3.79(m,4H),3.59(s,2H),3.34(s,2H),2.67〜2.42(m,15H),1.04(s,6H)。
【0129】
【化49】
【0130】
WO2010138589(A1)を参考して、対応するアミンの合成を行った。黄色固体(52mg,2ステップの総収率:48%)。H NMR(400MHz,Chloroform−d)δ8.62(s,1H),6.80(s,1H),4.86(s,2H),4.04(dd,J=5.7,4.1Hz,4H),3.84〜3.79(m,4H),3.62(s,2H),3.16(d,J=1.4Hz,2H),3.09〜3.04(m,2H),2.48(d,J=1.5Hz,3H),2.02(d,J=13.2Hz,2H),1.67(d,J=8.8Hz,2H),1.45(s,2H),1.08(s,6H)。
【0131】
【化50】
【0132】
WO2013134226を参考して、対応するアミンの合成を行った。黄色固体(50mg,2ステップの総収率:43%)。LC−MSM/z:[M+H]=588.0。
【0133】
【化51】
【0134】
WO2013134226を参考して、対応するアミンの合成を行った。黄色固体(61mg,2ステップの総収率:48%)。LC−MSM/z:[M+H]=641.9。
【0135】
ステップj:化合物P−33、36、37の合成
【化52】
【0136】
化合物Aa8(0.2mmol)と、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.4mmol)と、対応するBoc基で保護されたアミン(0.24mmol)とをメタノール(20mL)に懸濁させ、酢酸(0.05mL)を加え、室温で撹拌した。反応終了後、反応液を水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(100mL)で2回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水(100mL)で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:40/1)を行って生成物を得た。
【0137】
生成物をジクロロメタン(10mL)に溶解し、10倍当量のトリフルオロ酢酸を加え、室温で2日間撹拌した。反応終了後、反応液をスピン乾燥させた。
【0138】
得られた生成物をメタノール(15mL)に溶解し、10当量の1M水酸化カリウム溶液を加え、還流下で反応させた。反応終了後、反応液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:40/1)により精製した。
【0139】
【化53】
【0140】
黄色固体(52mg,2ステップの総収率:50%)。H NMR(400MHz,Chloroform−d)δ8.62(s,1H),6.81(s,1H),6.68(d,J=3.4Hz,1H),4.83(s,2H),4.03(t,J=4.8Hz,4H),3.82(t,J=5.0Hz,4H),3.49(d,J=3.3Hz,2H),3.36(s,2H),2.47(d,J=3.4Hz,3H),2.34(s,2H),1.93(s,4H),1.79(t,J=5.3Hz,4H)。
【0141】
【化54】
【0142】
黄色固体(50mg,2ステップの総収率:48%)。H NMR(400MHz,Chloroform−d)δ8.60(s,1H),6.79(s,1H),6.67(s,1H),4.90(s,2H),4.02(dd,J=5.7,4.1Hz,4H),3.84〜3.77(m,4H),3.67(s,2H),3.05(s,4H),2.77(dd,J=6.6,4.0Hz,4H),2.49(s,3H),1.76〜1.69(m,4H)。
【0143】
【化55】
【0144】
黄色固体(45mg,2ステップの総収率:46%)。H NMR(400MHz,Chloroform−d)δ8.62(d,J=2.0Hz,1H),6.81(s,1H),6.65(d,J=3.8Hz,1H),4.80(s,2H),4.03(q,J=4.1,3.2Hz,4H),3.82(t,J=4.8Hz,4H),3.74(s,2H),3.60(d,J=2.5Hz,2H),3.35(s,3H),3.30(d,J=8.3Hz,2H),2.51〜2.46(m,4H)。
【0145】
ステップj:化合物P−44の合成
【化56】
【0146】
化合物Aa8(0.2mmol)と、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.4mmol)と、N−アセチル−2−(4−ピペリジニル)−2−プロピルアミン(0.24mmol)とをメタノール(20mL)に懸濁させ、酢酸(0.05mL)を加え、室温で撹拌した。反応終了後、反応液を水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(100mL)で2回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水(100mL)で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:40/1)を行って生成物を得た。
【0147】
得られた生成物を濃塩酸(10mL)に溶解し、還流下で7日間反応させた。反応終了後、反応液を中和し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:10/1)により精製した。
【0148】
【化57】
【0149】
WO2014043068を参考して、N−アセチル−2−(4−ピペリジニル)−2−プロピルアミンの合成を行った。黄色固体(12mg,2ステップの総収率:11%)。LC−MSM/z:[M+H]=533.0。
【0150】
ステップj:化合物P−10の合成
【化58】
【0151】
化合物Aa8’’(0.2mmol)と、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.4mmol)と、対応するアミン(0.24mmol)とをメタノール(20mL)に懸濁させ、酢酸(0.05mL)を加え、室温で撹拌した。反応終了後、反応液を水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(100mL)で2回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水(100mL)で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:40/1)を行って生成物を得た。
【0152】
得られた生成物をメタノール(15mL)に溶解し、10当量の1M水酸化カリウム溶液を加え、還流下で反応させた。反応終了後、反応液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:40/1)により精製した。
【0153】
【化59】
【0154】
黄色固体(55mg,2ステップの総収率:48%)。H NMR(300MHz,Chloroform−d)δ8.63(d,J=3.1Hz,1H),6.82(d,J=3.1Hz,1H),6.65(s,1H),4.93(br s,1H),4.83(s,2H),4.56(d,J=11.3Hz,1H),4.09〜3.97(m,1H),3.89〜3.74(m,2H),3.72〜3.53(m,4H),3.26(s,4H),2.78(s,3H),2.60(s,4H),2.49(s,3H),1.45(d,J=6.8Hz,3H)。13C NMR(126MHz,Chloroform−d)δ158.81,153.66,152.06,151.91,138.12(q,J=32.3Hz),127.41,122.94(d,J=274.5Hz).,121.65,111.92,105.26(d,J=6.7Hz),104.58,71.03,66.98,54.26,52.16,45.83,34.28,15.27,9.49。
【0155】
ステップj:化合物P−11、(25−27)の合成
【化60】
【0156】
化合物Aa8’’’(0.2mmol)と、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.4mmol)と、対応するアミン(0.24mmol)とをメタノール(20mL)に懸濁させ、酢酸(0.05mL)を加え、室温で撹拌した。反応終了後、反応液を水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(100mL)で2回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水(100mL)で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:40/1)を行って生成物を得た。
【0157】
得られた生成物をメタノール(15mL)に溶解し、10当量の1M水酸化カリウム溶液を加え、還流下で反応させた。反応終了後、反応液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:40/1)により精製した。
【0158】
【化61】
【0159】
黄色固体(34mg,2ステップの総収率:30%)。H NMR(300MHz,CDCl)δ8.59(s,1H),6.80(s,1H),6.74(s,1H),4.87(br s,2H),4.04(t,J=4.6Hz,4H),3.83(t,J=4.7Hz,4H),3.67(s,2H),3.27(t,J=4.9Hz,4H),2.78(s,2H),2.64(t,J=5.1Hz,4H)。13C NMR(126MHz,CDCl)δ159.02,153.50,153.30,151.82,138.25(q,J=32.8Hz),122.85(q,J=274.3Hz),120.96,118.53,115.86,112.74,105.24(q,J=6.1Hz),104.61,66.69,53.04,52.06,46.00,45.79,34.38。
【0160】
【化62】
【0161】
白色固体(35mg,收率:45%)。H NMR(400MHz,CDOD)δ8.31(s,1H),7.00(s,1H),6.82(s,1H),3.97(m,4H),3.72(m,4H),3.68(s,2H),3.23(s,2H),3.06(d,2H),2.16(t,2H),1.72(d,2H),1.33(m,4H),1.05(s,6H)。
【0162】
【化63】
【0163】
白色固体(30mg,收率:40%)。H NMR(400MHz,CDOD)δ8.32(s,1H),6.94(s,1H),6.83(s,1H),3.97(m,4H),3.72(m,4H),3.55(br,s,1H),3.22(d,2H),2.92(d,2H),2.23(s,6H),2.03(d,2H),1.78(d,2H),1.47(d,2H),1.18(d,2H)。
【0164】
【化64】
【0165】
白色固体(38mg,收率:42%)。H NMR(400MHz,CDOD)δ8.30(s,1H),6.97(s,1H),6.83(s,1H),4.00(m,4H),3.73(m,4H),3.65(s,2H),3.23(d,2H),2.66(m,4H),1.16(t,3H)。
【0166】
化合物P−13、14の合成
【化65】
【0167】
化合物P−12(500mg,)を40mLジクロロメタンに溶解し、2.5mLトリフルオロ酢酸を加え、室温で2時間撹拌した。反応終了後、減圧下で溶媒を除去し、油状物を得た。油状物を10mLメタノールで溶解し、ジエチルエーテル(80mL)を加えて固体を析出させ、ろ過した後、Boc基が脱去された生成物であるトリフルオロ酢酸塩420mgを得た。
【0168】
上記のように得られた塩(1分子のトリフルオロ酢酸で計算、114mg,0.2mmol)と、対応する酸(1.5当量)と、1−エチル−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)(1.5当量)と、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)(1.5当量)と、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(3当量)とをDMFに懸濁させ、室温で反応させた。反応終了後、反応液を水で希釈し、酢酸エチルで3回抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:20/1)により精製して生成物を得た。
【0169】
【化66】
【0170】
黄色固体(67mg,60%)。H NMR(500MHz,CDCl)δ8.65(s,1H),6.84(s,1H),6.68(s,1H),4.91(s,2H),4.53(br s,1H),4.06(t,J=4.8Hz,4H),3.85(t,J=4.8Hz,4H),3.79〜3.65(m,4H),3.60(s,2H),2.51(s,7H),1.50(s,6H)。13C NMR(126MHz,CDCl)δ174.93,158.85,153.94,151.94,151.92,138.12(q,J=32.6Hz),127.36,122.90(q,J=274.06Hz),121.55,119.38,111.87,105.27(q,J=6.3Hz),104.42,71.53,66.79,54.40,52.96,45.94,27.83,9.44。
【0171】
【化67】
【0172】
黄色固体(55mg,50%)。H NMR(500MHz,CDCl)δ8.66(s,1H),6.84(s,1H),6.68(s,1H),4.87(s,2H),4.47(t,J=6.7Hz,1H),4.07(t,J=4.8Hz,4H),3.90(d,J=7.3Hz,1H),3.86(t,J=4.8Hz,4H),3.82〜3.71(m,1H),3.69〜3.62(m,1H),3.61(s,1H),3.43(d,J=5.2Hz,2H),2.58〜2.35(m,7H),1.34(d,J=6.6Hz,3H)。13C NMR(126MHz,CDCl)δ173.50,158.83,153.95,151.97,138.26,138.13(d,J=32.8Hz),127.37,122.95(q,J=274.6Hz),121.59,119.28,111.89,105.27,104.41,66.79,64.02,54.42,52.70,52.56,45.94,44.87,42.53,21.50,9.44。
【0173】
化合物P−15の合成
【化68】
【0174】
窒素の保護、氷浴下で、化合物Aa8’(600mg,1.2mmol)を含有する無水テトラヒドロフラン(40mL)溶液に、1M臭化メチルマグネシウム(4.8mL,4.8mmol)を加え、室温に移して反応させた。反応終了後、反応物を水50mLで希釈し、酢酸エチル(100mL)で2回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水(100mL)で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=40/1)を行って黄色化合物(520mg,86%)を得た。
【0175】
上記のように得られた生成物(400mg,0.8mmol)を15mLメタノールに溶解し、10当量の1M水酸化カリウム溶液(8mL)を加え、還流下で反応させた。反応終了後、反応液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=40/1)により精製して黄色化合物(270mg,80%)を得た。
H NMR(300MHz,CDCl)。δ8.59(s,1H),6.80(s,1H),6.75(s,1H),5.14(q,J=4.8Hz,1H),4.82(s,2H),4.04(t,J=4.8Hz,4H),3.82(t,J=4.8Hz,4H),2.53(s,3H),1.99(br s,1H),1.58(d,J=6.4Hz,3H)。13C NMR(126MHz,CDCl)δ158.78,154.14,152.05,151.93,128.13,125.24,111.85,105.25(q,J=5.5Hz),100.27,66.80,63.82,45.97,24.52,9.38。
【0176】
【化69】
【0177】
窒素の保護、氷浴下で、化合物Aa8’(100mg,0.2mmol)を含有する無水ジクロロメタン(20mL)溶液に、1mL三フッ化ジエチルアミノ硫黄(DAST)を加え、室温に移して反応させた。反応終了後、氷水10mLを徐々に加えてクエンチし、水(50mL)で希釈し、ジクロロメタン(50mL)で2回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水(100mL)で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した後、次の反応に直接使用した。
【0178】
上記のように得られた生成物を15mLメタノールに溶解し、10当量の1M水酸化カリウム溶液(2mL)を加えて、還流下で反応させた。反応終了後、反応液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=40/1)により精製して黄色化合物(38mg,2ステップの総収率::44%)を得た。
H NMR(300MHz,CDCl)。δ8.63(s,1H),6.86(t,J=56.4Hz,1H),6.85(s,1H),6.82(s,1H),4.85(br s,2H),4.06(t,J=4.9Hz,4H),3.84(t,J=4.8Hz,4H),2.58(s,3H)。13C NMR(101MHz,CDCl)δ158.98,154.52,152.94,151.96,138.17(q,J=32.6Hz),127.09(t,J=6.3Hz),122.88(q,J=274.3Hz),121.13,117.39(t,J=25.8Hz),112.40(t,J=233.7Hz),112.24,105.29(q,J=6.1Hz),101.21(t,J=5.0Hz),66.71,45.96,9.46。
【0179】
化合物P−17、18の合成
【化70】
【0180】
−30℃で、化合物P−9(110mg,0.2mmol)を含有する無水クロロホルム(10mL)溶液に、無水トリエチルアミン(30μL,0.25mmol)を加え、対応するクロロホルメート(0.6mmol)を含有するクロロホルム(5mL)溶液を滴下し、この温度で反応を維持した。反応終了後、反応液に氷水10mLを徐々に加えてクエンチし、ジクロロメタン(40mL)で希釈し、有機層を取り出し,飽和食塩水(50mL)で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:50/1)により精製して黄色固体を得た。
【0181】
【化71】
【0182】
黄色固体(55mg,45%)。H NMR(400MHz,CDCl)δ9.18(br s,1H),8.84(s,1H),8.45(s,1H),6.68(s,1H),4.05(t,J=4.5Hz,4H),3.86(s,3H),3.84〜3.78(m,4H),3.62(s,2H),3.25(s,4H),2.78(s,3H),2.59(s,4H),2.50(s,3H)。13C NMR(101MHz,CDCl)δ153.87,153.54,152.67,151.39,150.80,138.69(q,J=32.9Hz,CFC),127.50,126.60,122.72(q,J=275.83Hz,CF),119.55,111.79,109.21(q,J=5.2Hz,CFCCH),104.69,66.70,54.19,52.72,52.18,45.89,45.84,34.22,9.40。
【0183】
【化72】
【0184】
化合物P−9のメタンスルホン酸塩の調製方法を参照して、化合物P−17(200mg,0.3mmol)を原料として、黄色化合物P−17メタンスルホン酸塩(190mg,81%)を得た。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ10.91(s,1H),9.83(br s,1H),8.79(s,1H),8.31(s,1H),7.23(s,1H),4.46(s,2H),4.01(t,J=4.8Hz,4H),3.82〜3.68(m,7H),3.62〜3.41(m,4H),3.28〜3.04(m,4H),3.00(s,3H),2.50(s,3H),2.38(s,3H)。13C NMR(126MHz,DMSO−d)δ154.58,154.11,153.99,152.04,151.38,136.87(q,J=31.6Hz,CFC),129.53,125.47,123.08(q,J=274.9Hz,CF),112.40,112.00,108.63(q,J=6.9Hz,CFCCH),107.63,66.41,52.76,51.36,50.31,46.02,42.98,40.23,35.54,9.69。
【0185】
【化73】
【0186】
黄色固体(55mg,74%)。H NMR(300MHz,CDCl)δ9.69(s,1H),8.96(s,1H),8.51(s,1H),7.41(t,J=7.2Hz,2H),7.36〜7.19(m,3H),6.67(s,1H),4.13〜3.91(m,4H),3.79(s,4H),3.61(s,2H),3.25(s,4H),2.78(s,3H),2.58(s,4H),2.41(s,3H)。
【0187】
化合物P−19の合成
【化74】
【0188】
10mLマイクロ波反応管に、化合物P−17(122mg,0.2mmol)と、無水塩化カルシウム(10mg,0.09mmol)と、メチルアミンアルコール溶液(2mL)とを加え、マイクロ波、100℃で30分間反応させ、濃縮した後、薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:20/1)により精製して白色固体(30mg,33%)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)。δ9.37(s,1H),9.06(br s,1H),8.74(s,1H),7.28(s,1H),6.68(s,1H),4.05(t,J=4.6Hz,4H),3.84(t,J=4.9Hz,4H),3.61(s,2H),3.25(br s,4H),3.01(d,J=4.6Hz,3H),2.78(s,3H),2.59(br s,4H),2.50(s,3H)。13C NMR(126MHz,CDCl)δ156.42,153.99(q,J=13.5Hz),151.34,149.71,138.66,138.39,127.59,124.36,122.56(q,J=274.93Hz),119.56,111.84,109.33(q,J=5.4Hz),104.70,66.78,54.26,52.23,45.95,45.90,34.27,26.54,9.45。
【0189】
化合物P−20の合成
【化75】
【0190】
化合物P−18(75mg,0.1mmol)を含有するDMF(3mL)溶液に、シクロプロピルアミン(1mL)を加え、60℃まで昇温して反応させた。反応終了後、反応液を水(30mL)で希釈し、酢酸エチル(50mL)で2回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水(100mL)で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した後、薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:40/1)を行って黄色化合物(26mg,40%)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)。δ9.47(br s,1H),9.09(br s,1H),8.73(s,1H),7.40(s,1H),6.67(s,1H),4.05(t,J=4.7Hz,4H),3.84(t,J=4.8Hz,4H),3.61(s,2H),3.25(t,J=4.7Hz,4H),2.78(br s,4H),2.59(s,4H),2.49(s,3H),0.95〜0.78(m,2H),0.71〜0.61(m,2H)。13C NMR(126MHz,CDCl)δ156.70,153.93,153.85,151.32,149.81,138.53(q,J=33.2Hz),127.59,124.65,122.57(q,J=274.7Hz),119.57,111.83,109.48(q,J=6.6Hz),104.69,66.77,54.26,52.23,45.95,45.90,34.27,22.58,9.45,6.80。
【0191】
化合物P−(21−24)の合成
【化76】
【0192】
化合物P−9(1当量)と1,8−ジアザシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU,6当量)とを含有するジクロロメタン溶液に、対応するイソシアネート(6当量)を加え、室温で反応させた。反応終了後、反応液を水で希釈し、ジクロロメタンで1回抽出し、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:50/1)により精製して黄色固体を得た。
【0193】
【化77】
【0194】
化合物P−9(160mg,0.3mmol)を出発原料として、黄色固体(54mg,29%)を得た。H NMR(300MHz,DMSO−d)δ9.62(s,1H),8.71(s,1H),8.08(s,1H),7.45(d,J=5.7Hz,1H),6.92(s,1H),3.96(t,J=4.8Hz,4H),3.73(t,J=4.8Hz,4H),3.56(s,2H),3.18(t,J=6.8Hz,2H),3.08(s,4H),2.85(s,3H),2.48(s,4H),2.42(s,3H),1.09(t,J=7.1Hz,3H)。13C NMR(126MHz,DMSO−d)δ154.81,154.58,153.78,151.31,150.88,136.71(q,J=31.8Hz),127.20,124.08,123.23(q,J=274.81Hz),120.27,111.34,108.29(q,J=6.2Hz),106.21,66.46,53.80,52.14,45.94,34.44,34.06,15.69,9.67。
【0195】
【化78】
【0196】
化合物P−9のメタンスルホン酸塩の調製方法を参照して、化合物P−21(75mg,0.31mmol)を原料として、黄色化合物であるP−21メタンスルホン酸塩(70mg,81%)を得た。
H NMR(300MHz,DMSO−d)δ9.80(br s,1H),9.65(s,1H),8.72(s,1H),8.11(s,1H),7.44(br s,1H),7.20(s,1H),4.45(s,2H),4.13(s,2H),4.01(t,J=4.9Hz,4H),3.75(s,6H),3.49(s,2H),3.27〜3.03(m,7H),3.00(s,3H),2.37(s,3H),1.09(t,J=7.0Hz,3H)。13C NMR(126MHz,DMSO−d)δ155.00,154.56,153.98,152.13,150.91,136.74(q,J=31.4Hz),129.46,123.69,123.29(q,J=274.3Hz),112.39,111.93,108.36(q,J=6.4Hz),107.53,66.41,51.36,40.24,50.30,46.00,42.99,35.51,34.45,15.68,9.69。
【0197】
【化79】
【0198】
以化合物P−9(160mg,0.3mmol)を出発原料として、黄色固体(128mg,67%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ9.45(s,1H),8.93(br s,1H),8.74(s,1H),7.30(s,1H),6.67(s,1H),4.10−4.16(m,1H),4.05(t,J=4.4Hz,4H),3.84(t,J=4.3Hz,4H),3.61(s,2H),3.25(t,J=4.5Hz,4H),2.78(s,3H),2.59(t,J=4.7Hz,4H),2.50(s,3H),1.30(d,J=6.4Hz,6H)。13C NMR(126MHz,CDCl)δ155.16,154.33,153.93,151.41,149.67,138.39(q,J=32.9Hz),127.55,124.19,122.61(q,J=274.4Hz),119.53,111.83,109.53(q,J=5.6Hz),104.66,66.78,54.26,52.23,45.95,45.91,42.21,34.25,23.08,9.45。
【0199】
【化80】
【0200】
化合物P−9(110mg,0.2mmol)を出発原料として、黄色固体(40mg,29%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ11.45(s,1H),9.44(s,1H),8.85(s,1H),7.60(dd,J=8.9,4.7Hz,2H),7.35(s,1H),7.07(t,J=8.2Hz,2H),6.69(s,1H),4.07(br s,4H),3.86(t,J=5.1Hz,4H),3.63(s,2H),3.26(s,4H),2.79(s,3H),2.60(s,4H),2.52(s,3H)。13C NMR(126MHz,CDCl)δ159.29(d,J=242.9Hz),153.74(d,J=54.9Hz),153.50,151.09,149.67,138.93(q,J=32.9Hz),133.94(q,J=2.9Hz),127.67,125.13,122.05(q,J=7.8Hz),119.69,115.66(q,J=22.6Hz),111.82,109.78,104.83,66.78,54.27,52.25,45.96,45.91,34.28,9.47。
【0201】
【化81】
【0202】
化合物P−9(110mg,0.2mmol)を出発原料として、黄色固体(46mg,31%)を得た。H NMR(300MHz,DMSO−d)δ10.04(s,1H),9.92(s,1H),8.82(s,1H),8.22(s,1H),7.91(d,J=8.7Hz,2H),7.65(d,J=8.8Hz,2H),6.94(s,1H),4.27(q,J=6.9Hz,2H),3.97(t,J=4.9Hz,4H),3.82〜3.66(m,4H),3.57(s,2H),3.08(s,4H),2.85(s,3H),2.48−2.43(m,7H),1.30(t,J=7.0Hz,3H)。13C NMR(126MHz,DMSO−d)δ165.79,153.90,153.79,152.07,151.17,143.65,136.95(q,J=32.2Hz),130.89,127.27,125.30,123.23(q,J=274.93Hz),124.16,120.35,118.45,111.35,108.74,106.31,66.47,60.89,53.80,52.14,45.94,34.07,14.71,9.68。
【0203】
化合物P−28の合成
【化82】
【0204】
ステップ1:P−28−1(437.0mg,1.0mmol,その調製方法がCN201210177980.3を参照)をジクロロメタン:水(10:1,20mL)の混合液に溶解した後、トリフルオロメチルスルフィン酸ナトリウム(936.0mg,6mmol)を加え、反応系を0Cに冷却して70%tert−ブチルヒドロペルオキシド水溶液(1.4mL,10.0mmol)を徐々に滴下した後、続いて30分間撹拌した。その後、ジメチルスルホキシド(4.0mL)を加えて、40Cまで昇温して一晩反応させた後、反応が終了するか否かをLC−MSで分析する。反応終了後、反応液にジクロロメタン及び水を加えて撹拌し、静置した後、有機相を分離して、乾燥、濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物を石油エーテル:酢酸エチル(10:1〜4:1)でカラムを通過させた後、P−28−2(300mg)を得た。
LC−MS:506.2(M+1)。
【0205】
ステップ2:P−28−2(300mg,0.6mmol)及びオキシ塩化リン(1.85g,11.9mmol)をトルエン(20mL)に加えた後、N,N−ジメチルアニリン(215.6mg,18.0mmol)を加え、還流下で一晩反応させた。完全に反応するか否かをTCLで分析する。完全に反応した後、反応系を濃縮し、酢酸エチル及び氷水を加えて撹拌し、酢酸エチル相を分離して乾燥させ、濃縮した後、塩化物粗生成物を得た。塩化物粗生成物を無水テトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、0Cでモルホリン(155.0mg,1.8mmol)を加え、原料が完全に反応するまで室温で撹拌した後、反応液を濃縮して粗生成物を得て、次のステップに進む。
【0206】
ステップ3:ステップ2で得られた粗生成物をメタノール(20mL)に溶解した後、水(1mL)及び水酸化ナトリウム(237.6mg)を加え、原料が完全になくなるまで還流下で反応させ、濃縮し、水を加え、pH5〜6に調整して固体を析出させ、乾燥させた後、次のステップに進む。
LC−MS:477.2(M+H)
【0207】
ステップ4:ステップ3で得られた粗生成物と、HBTU(455.0mg,1.2mmol)と、トリエチルアミン(121mg,1,2mmol)と、2−(4−ピペリジニル)−2−プロパノール(Aa9’,93.2mg,0.65mmol)とをDMF(10mL)に加え、室温で一晩反応させた。反応が終了するか否かをLC−MSで分析する。反応終了後、反応系を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、有機相を乾燥させ、濃縮した後、カラム(DCM:MeOH=100:1〜40:1)を通過させて淡色固体P−28−5(140mg)を得た。
H NMR(300MHz,CDOD)δ 8.48(s,1H),7.79(d,1H),7.65(d,1H),7.34〜7.42(brs,2H),6.81(s,1H),6.70(s,1H),5.26(s,1H),4.76(d,1H),4.02(s,4H),3.80(s,4H),1.82〜1.95(m,2H),1.47〜1.69(m,2H),1.24(s,6H)。LC−MS:602.3(M+1)。
【0208】
ステップ5:N保護下でP−28−5(100mg,0.17mmol)を無水テトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、−20Cまで冷却し、その後、BH/THF(1N,1.7mL,1.7mmol)を徐々に滴下した後、反応系を60Cに昇温して1時間反応させた。その後、反応系を−20Cまで冷却し、濃塩酸(0.8mL)徐々に滴下した後、60Cまで昇温して反応させた。すべての中間体が目的化合物に変換するか否かをLC−MSで検出する。すべての中間体が目的化合物に変換した後、反応系を冷却し、酢酸エチル及び水を加え、分液した。水相を水酸化ナトリウムで約pH10に調整し、DCMで抽出して乾燥させ、濃縮した後、フラッシュカラム(DCM:MeOH=100:1〜40:1)を通過させてP−28(20mg)を得た。
H NMR(300MHz,CDOD)δ:8.36(s,1H),7.09(s,1H),6.84(s,1H),5.42(s,1H),4.05(t,4H),3.99(s,2H),3.77(t,4H),3.50(brs,1H),2.39(t,2H),1.80(t,2H),1.36〜1.52(m,4H),1.08(s,6H),LC−MS:588.2(M+1)。
【0209】
PI3Kキナーゼ活性に対する化合物の効果
初期スクリーニング濃度の設定:被測定化合物をDMSO(ジメチルスルホキシド)に100μM又は10μMになるように溶解して保存液とし、各保存液をそれぞれ2μLで、8μL×1倍の反応バッファー(1×Reaction Buffer)に加え、μM又は00nMの4%DMSO含有の化合物溶液を得た。得られた化合物溶液を均一に混合した後、1倍の反応バッファー(in 1×Reaction Buffer)において4%DMSOで希釈して4μM又は400nMの化合物溶液を得た。希釈された各溶液をそれぞれ5μLで、384ウェルプレートに入れた。このように、最終の20μLキナーゼ反応系における化合物は、最終濃度がそれぞれ1μMと100nM、又は100nMと20nMになり、かつ1%DMSOを含有する。
【0210】
IC50測定濃度の設定:異なる酵素について、出発濃度として10μMと100μMを選択した。被測定化合物をDMSOで1MM又は10MMになるように溶解して作業溶液とし、作業溶液をそれぞれ1μLで24μl×1倍のキナーゼバッファーA(1×Kinase Buffer A)に加え、40μM又は400μMの4%DMSO含有の化合物溶液を得た。得られた化合物溶液を順次に4倍の勾配、10つの希釈濃度で希釈し、希釈された各溶液をそれぞれ2.5μLで、384ウェルプレートに入れた。このように、最後の10μLキナーゼ反応系における化合物は、最終濃度がそれぞれ10μM、2.5μM、0.625μMになり、かつ1%DMSOを含有する。
【0211】
実験ステップ:室温でPI3Kキナーゼ反応を30分間行った後に終了させ、検出液を各ウェルに加え、十分に混合し、室温で2時間インキュベートした後、多機能マイクロプレートリーダ(2104 EnVision(登録商標)Multilabel Reader(Cat:2104−0010,PerkinElmer))で検出し、測定結果を記録した。
【0212】
実験結果:
各ウェルの励起光発光比率(Emission Ratio)の計算
Emission Ratio(ER)=665nM Emission signal/620nm Emission signal
100%阻害対照の平均Emission Ratio:ER100%
0%阻害対照の平均Emission Ratio:ER0%
阻害率の計算
阻害率の計算式:
阻害率=(ERsample−ER0%)/(ER100%−ER0%)×100%
【0213】
表1及び表2に示すように、表における化合物はいずれも、PI3Kキナーゼに対する良好な阻害作用を示し、特に、化合物P−5/6/7はPI3Kδに対する選択的な阻害作用を示す。
【0214】
【表1】
【0215】
【表2】
【0216】
上記の表から、化合物P−5、P−6、P−7などが、PI3Kδに対して良好な選択性を有することが分かった。GDC0941は陽性化合物であり、化学名が2−(1H−インダゾール−4−イル)−6−[[4−(メチルスルホニル)−1−ピペラジニル]メチル]−4−(4−モルホリノ)チエノ[3,2−D]ピリミジン(4−[2−(1H−indazol−4−yl)−6−[(4−methylsulfonylpiperazin−1−yl)methyl]thieno[3,2−d]pyrimidin−4−yl]morpholine)である。
【0217】
<初歩的な薬物動態測定実験>
1.健康なSDラット14匹(雄、体重200〜220g)を、4つの群(3〜4匹/群)にランダムに分け、被験化合物P−17及び化合物CYH33(化合物P−17と比較して、7−位メチルが欠失される。)を、それぞれ胃内投与(10mg/kg)、静脈内投与(5mg/kg)した。具体的には、以下の表3に示す。
【0218】
【表3】
【0219】
2.採血時点及びサンプル処理
胃内投与:投与後0.25時間、0.5時間、1.0時間、2.0時間、3.0時間、4.0時間、6.0時間、8.0時間、及び24時間。
静脈内投与:投与後5分間、0.25時間、0.5時間、1.0時間、2.0時間、4.0時間、6.0時間、8.0時間、及び24時間。
【0220】
上記の設定時点で、ラットの眼球後静脈叢より静脈血0.3mlを採取し、ヘパリン処理したチューブに入れ、11,000rpmで5分間遠心分離し、分離された血漿を−20°Cの冷蔵庫で凍結した。
【0221】
3.サンプルの測定及びデータ分析
LC/MS/MS法を用いてラット血漿における化合物の濃度を測定した。
【0222】
Phoenix 1.3ソフトウェア(米国Pharsight社)の非コンパートメントモデルを用いて投与後の薬物動態パラメーターを計算した。
【0223】
【表4】
【0224】
【表5】
【0225】
上記の表から分かるように、P−17はCYH33と1つのメチル基で異なるが、その定常状態分布容積Vss、平均滞留時間MRT、半減期T1/2、絶対的バイオアベイラビリティFがいずれも改善され、特に絶対的バイオアベイラビリティが大幅に向上した(測定化合物がCYH33及びP17のモノメタンスルホン酸塩であり、化合物構造が以下の通りである。)。
【0226】
【化83】
【0227】
上述した実施例は、本発明のいくつかの実施形態を示すものであり、その説明が詳細で具体的であるが、本発明の特許請求の範囲を限定するものではないと理解されるべきである。本発明の思想を逸脱しない範囲において、当業者が、複数の変形及び改良をしても、本発明の保護範囲に属するものであると理解されるべきである。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に基づくものである。