特許第6852213号(P6852213)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6852213
(24)【登録日】2021年3月12日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】緯編地
(51)【国際特許分類】
   D04B 1/18 20060101AFI20210322BHJP
   D04B 1/00 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   D04B1/18
   D04B1/00 B
   D04B1/00 A
【請求項の数】9
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2020-147316(P2020-147316)
(22)【出願日】2020年9月2日
(62)【分割の表示】特願2020-531541(P2020-531541)の分割
【原出願日】2020年1月30日
(65)【公開番号】特開2020-193430(P2020-193430A)
(43)【公開日】2020年12月3日
【審査請求日】2021年1月18日
(31)【優先権主張番号】特願2019-17027(P2019-17027)
(32)【優先日】2019年2月1日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【弁理士】
【氏名又は名称】三間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】加島 徳人
【審査官】 長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−138850(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0099016(US,A1)
【文献】 国際公開第2015/005432(WO,A1)
【文献】 特開2007−177359(JP,A)
【文献】 特開2005−350800(JP,A)
【文献】 特開平07−207551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04B1/00−39/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非弾性糸と弾性糸を含有し、表面と裏面とを有する緯編地であって、該弾性糸が該表面と該裏面とを連結しており、該表面、及び、該裏面において、該非弾性糸と該弾性糸とが引き揃ってニードルループを形成する部分を有し、該表面、及び、該裏面の該非弾性糸のシンカーループの総数に対する、該非弾性糸と該弾性糸とが引き揃って形成されているシンカーループの数の割合が50%以下であり、該表面、及び、該裏面の非弾性糸のニードルループの総数に対する、該非弾性糸と該弾性糸とが引き揃って形成されているニードルループの数の割合が100%であり、かつ、該緯編地を経緯共に9.8Nの荷重で伸長したときの、前記非弾性糸のループにおけるニードルループ長とシンカーループ長の比が0.20〜0.65であることを特徴とする、緯編地。
【請求項2】
前記非弾性糸と前記弾性糸とが引き揃ってシンカーループを形成する部分を有さない、請求項1に記載の緯編地。
【請求項3】
前記表面又は前記裏面のいずれか一方の面を構成する非弾性糸が、もう一方の面に連結していない、請求項1又は2に記載の緯編地。
【請求項4】
前記表面、及び、前記裏面において、前記非弾性糸がニット組織のみを形成する、請求項1〜のいずれか1項に記載の緯編地。
【請求項5】
前記弾性糸が、前記表面又は前記裏面のいずれか一方の面のニット組織と、もう一方の面へのタック組織とを、編地緯方向へ交互に繰り返す組織である、請求項1〜のいずれか1項に記載の緯編地。
【請求項6】
前記弾性糸同士が、合着又は融着している、請求項1〜のいずれか1項に記載の緯編地。
【請求項7】
前記弾性糸と前記非弾性糸とが、合着又は融着している、請求項1〜のいずれか1項に記載の緯編地。
【請求項8】
前記緯編地の全てのコースに弾性糸を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の緯編地。
【請求項9】
全コース数に対する、非弾性糸と弾性糸とがプレーティングにより編成されているコース数の割合が50%以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載の緯編地。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緯編地に関する。
【背景技術】
【0002】
より快適な衣服を求める市場の要求は年々高まっており、特に肌当たりが良く柔らかい風合いの肌着が好まれている。
従来、生地から衣料を作る場合、生地裁断部より糸のほつれやカールが発生するため、生地裁断部を縫製しこれらを抑制しているが、縫製部の凹凸が外観に影響を与え外観を損ねる他、縫製部が外衣によって圧迫されることで着用感の低下を招くという問題がある。そこで、肌当たりの良い衣服として、生地裁断部を無縫製とした、いわゆる裁ち放し衣服が市販されている。
例えば、以下の特許文献1には、裁断部の縫製処理が不要な編地を用いて作製された衣料が開示されている。しかしながら、熱融着弾性糸と非弾性糸とをプレーティングして編成し、熱セットを施した編地は、熱融着弾性糸と非弾性糸がニードルループとシンカーループの全てで融着し、及び/又は、シンカーループにおける見掛けの繊維径が太いため、編地が曲げ固くなり、風合いが好ましくない。また、シングル丸編機によって編成された編地であるため、カールが発生しやすい。
また、以下の特許文献2には、裁ち放し性と圧縮性と圧縮回復が良いダブル編地が開示されている。しかしながら、表裏面の地組織は非弾性糸と弾性糸をプレーティングし、熱融着弾性糸と非弾性糸がニードルループとシンカーループの全てで融着し、及び/又は、シンカーループにおける見掛けの繊維径が太いため、編地が固くなり、肌着として風合いが好ましくない。
また、以下の特許文献3には、伸長性及びほつれ性に優れるダブル編地が開示されている。しかしながら、編地は表面及び/又は裏面の地組織は非弾性糸と弾性糸をプレーティングし、熱着弾性糸と非弾性糸がニードルループとシンカーループの全てで融着し、及び/又は、シンカーループにおける見掛けの繊維径が太いため、編地が固くなり、肌着として風合いが好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−113349号公報
【特許文献2】国際公開2003/038173号
【特許文献3】特開2004−52157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した技術の現状に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、裁ち放し性と曲げ柔らかさに優れた緯編地を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、以下の構成により課題を解決しうることを予想外に見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0006】
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]非弾性糸と弾性糸を含有し、表面と裏面とを有する緯編地であって、該弾性糸が該表面と該裏面とを連結しており、該表面、及び、該裏面において、該非弾性糸と該弾性糸とが引き揃ってニードルループを形成する部分を有し、該表面、及び、該裏面の該非弾性糸のシンカーループの総数に対する、該非弾性糸と該弾性糸とが引き揃って形成されているシンカーループの数の割合が50%以下であり、該表面、及び、該裏面の非弾性糸のニードルループの総数に対する、該非弾性糸と該弾性糸とが引き揃って形成されているニードルループの数の割合が100%であり、かつ、該緯編地を経緯共に9.8Nの荷重で伸長したときの、前記非弾性糸のループにおけるニードルループ長とシンカーループ長の比が0.20〜0.65であることを特徴とする、緯編地。
[2]前記非弾性糸と前記弾性糸とが引き揃ってシンカーループを形成する部分を有さない、[1]に記載の緯編地。
]前記表面又は前記裏面のいずれか一方の面を構成する非弾性糸が、もう一方の面に連結していない、前記[1]又は[2]に記載の緯編地。
]前記表面、及び、前記裏面において、前記非弾性糸がニット組織のみを形成する、前記[1]〜[]のいずれかに記載の緯編地。
]前記弾性糸が、前記表面又は前記裏面のいずれか一方の面のニット組織と、もう一方の面へのタック組織とを、編地緯方向へ交互に繰り返す組織である、前記[1]〜[]のいずれかに記載の緯編地。
]前記弾性糸同士が、合着又は融着している、前記[1]〜[]のいずれかに記載の緯編地。
]前記弾性糸と前記非弾性糸とが、合着又は融着している、前記[1]〜[]のいずれかに記載の緯編地。
]前記緯編地の全てのコースに弾性糸を含む、前記[1]〜[]のいずれかに記載の緯編地。
]全コース数に対する、非弾性糸と弾性糸とがプレーティングにより編成されているコース数の割合が50%以下である、前記[1]〜[]のいずれかに記載の緯編地。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る緯編地は、裁ち放し性と曲げ柔らかさに優れた編地である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】経緯における編みかた(ニット)のループ状態の説明図である。
図2】経緯における編みかた(タック)のループ状態の説明図である。
図3】経緯における編みかた(ミス(ウェルト))のループ状態の説明図である。
図4】本実施形態の編目構造の一例である。
図5】本実施形態の編組織の編方図の一例である。
図6】本実施形態の編組織の編方図の一例である。
図7】本実施形態の編組織の編方図の一例である。
図8】本実施形態の編組織の編方図の一例である。
図9】本実施形態の編組織の編方図の一例である。
図10】本実施形態の編組織の編方図の一例である。
図11】本実施形態の編組織の編方図の一例である。
図12】本実施形態の編組織の編方図の一例である。
図13】本実施形態の編組織の編方図の一例である。
図14】本実施形態の編組織の編方図の一例である。
図15】本実施形態の編組織の編方図の一例である。
図16】本実施形態の編組織の編方図の一例である。
図17】比較例の編組織の編方図の一例である。
図18】比較例の編組織の編方図の一例である。
図19】比較例の編組織の編方図の一例である。
図20】比較例の編組織の編方図の一例である。
図21】本実施形態の編地のカール測定法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の緯編地は、非弾性糸と弾性糸を含有し、表面と裏面とを有する緯編地であって、該弾性糸が該表面と該裏面とを連結しており、該表面、及び、該裏面において、該非弾性糸と該弾性糸とが引き揃ってニードルループを形成する部分を有し、該表面、及び、該裏面の非弾性糸のシンカーループの総数に対する、該非弾性糸と該弾性糸とが引き揃って形成されているシンカーループの数の割合が50%以下であることを特徴とする。
【0010】
本実施形態の緯編地は、2列以上の針床を有する緯編機を用いて編成される緯編地であり、一般的には丸編機によって編成される。従来の緯編地は編地裁断部からループが反りあがるためカールが発生する。他方、本実施形態の緯編地は、2枚の編地を弾性糸で連結する構造を取っており、2枚の編地は編地裁断部からそれぞれ反対の方向へ反りあがろうとするため、お互いが反りあがる力を消しあい、カールが発生しにくい。
【0011】
本実施形態において、表面と裏面とは特に区別はなく、丸編機で編成される場合は、シリンダ側の編針によって編成された面(シリンダ面ともいう)と、ダイアル側の編針によって編成された面(ダイアル面ともいう)を有していればよい。
本実施形態において、「ループ」とはニードルループとシンカーループに分けられる(図1参照)。尚、タック組織においては、オールドループのニードルループと重なる部分をニードルループとする(図2参照)。また、ミス(ウェルト)組織においては、糸が針にかかることが無いため、ニードルループは存在せず、全てシンカーループとなる(図3参照)。
【0012】
本実施形態の緯編地は、非弾性糸と弾性糸とが引き揃ってニードルループを形成する部分を有することを特徴とする。本実施形態において、「非弾性糸と弾性糸とが引き揃ってニードルループを形成する部分」とは、非弾性糸がニット組織又はタック組織を形成する際に、弾性糸も同一の針に給糸され、非弾性糸と弾性糸とが重なってニードルループ構造を形成している部分のことを指す。
【0013】
本実施形態の緯編地は、表面、及び、裏面の非弾性糸のシンカーループの総数に対する、非弾性糸と弾性糸とが引き揃って形成されているシンカーループの数の割合が50%以下であることを特徴とし、前記割合が25%以下であることが好ましく、非弾性糸と弾性糸とが引き揃ってシンカーループを形成する部分を有さないことがより好ましい。前記シンカーループの数の割合が50%以下であることで、熱処理後に弾性糸と非弾性糸とが過剰に合着又は融着することなく、また、シンカーループにおける見掛けの繊維径が太くなることがないため、曲げ柔らかさ(風合い)に優れる編地となる。例えば、丸編機シリンダ側を全針ニット、丸編機ダイアル側を全針タックとして選針し、非弾性糸をシリンダ側のみに給糸し、弾性糸はシリンダ側及びダイアル側の双方の針に掛かるように給糸することで、シリンダ針には非弾性糸と弾性糸とが引き揃った状態となり、シリンダ側のニットによって編成されるループはニードルループのみが引き揃った構造となるが、弾性糸はダイアル側へ渡るため、非弾性糸と弾性糸のシンカーループが重ならない構造となる(図4参照)。また、本実施形態において、表面、及び、裏面の非弾性糸のシンカーループの総数に対する、表面と裏面とを連結する弾性糸以外の弾性糸(例えば表面又は裏面にプレーティングされている弾性糸など)と非弾性糸とが引き揃って形成されているシンカーループの数の割合も50%以下であることが好ましい。
【0014】
また、非弾性が丸編機シリンダ側にて1針飛ばしでニット組織を編成する場合、弾性糸がシリンダ側では非弾性糸と同一の針へ1針飛ばしでニット組織の編成を、ダイアル側では1針飛ばしでタック組織の編成を、交互に繰り返すことで、非弾性糸と弾性糸のシンカーループが重ならない構造となる(図6参照)。
【0015】
丸編機による編成におけるダイアル針とシリンダ針の関係はリブ出合いであってもインターロック出合いでもよく、出合いに応じて組織を適宜選択すればよい。
つまり、本実施形態の緯編地は、ループの中で非弾性糸と弾性糸が引き揃う部分と引き揃わない部分を形成する構造となり、これにより裁ち放し性と曲げ柔らかさを両立する。ニードルループとシンカーループの両方において非弾性糸と弾性糸がコース全体において引き揃っている、いわゆるプレーティング編の場合、熱セットを施した編地は非弾性糸と弾性糸とがニードルループとシンカーループの全てで融着し、また、シンカーループにおける見掛けの繊維径が太いため、編地が曲げ固くなり、風合いが好ましくない。
【0016】
本実施形態の緯編地に含まれる「非弾性糸」とは、後述する例外を除いては、最大伸度が100%より小さい繊維を指す。非弾性糸としては天然繊維、合成繊維を用いることが可能であり、特に限定されるものではない。
天然繊維としては、綿、麻、絹、羊毛等が挙げられる。また、合成繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、ナイロン6やナイロン66等のポリアミド繊維、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン繊維等が挙げられ、これらのブライト糸、セミダル糸、フルダル糸等任意に選択でき、繊維の断面形状も丸型、楕円型、W型、繭型、中空糸等任意な断面形状であることができ、繊維の形態についても特に限定されず、原糸、仮撚等の捲縮糸であってもよい。
また、レーヨンやキュプラ、リヨセル等の再生(精製)セルロース繊維を用いてもよく、前記セルロース繊維は、原糸、撚糸として単一糸の形態であることができ、また、以下に例示する合成繊維との複合糸の形態であってもよい。
【0017】
複合糸の形態は特に限定されず、インターレースによる複合や合撚による複合など、用途に合わせた複合方法を選択すればよい。セルロース繊維と合成繊維との複合糸の繊度としては19〜90dtexの繊度とすることが好ましく、これにより、曲げ柔らかさに優れ、薄手で暑熱環境下における着用感に優れた編地を得ることができる。
【0018】
尚、本実施形態においては、用語「非弾性糸」は、例外的に、弾性糸を含む複合糸を包含する。この場合、最大伸度が100%以上となってもよい。弾性糸と合成繊維又は天然繊維との複合糸であるシングルカバードヤーン(SCY)やダブルカバードヤーン(DCY)を用いる場合、弾性糸と複合する糸との総繊度が30〜100dtexであることが好ましく、編地製造の容易さの観点からは40〜80dtexであることがより好ましい。
【0019】
本実施形態における緯編地に含まれる弾性糸とは、合成繊維とは異なるものであり、最大伸度100%以上の繊維を指す。弾性糸のポリマーや紡糸方法には特に限定されず、ポリウレタン系、ポリエーテルエステル系の弾性糸を使用することができ、例えば、ポリウレタン系弾性糸では、乾式紡糸又は溶融紡糸したものが使用できる。弾性糸は、染色加工時のプレセット工程の通常処理温度である180℃近辺で伸縮性を損なわないことが好ましい。また、弾性糸が特殊ポリマーや無機物等の粉体を含有することにより、高セット性、消臭性、抗菌性の機能性を有する弾性糸も使用可能である。弾性糸の繊度は9〜80dtexであることが好ましく、編地製造の容易さの観点からは15〜60dtexであることがより好ましい。
また、裁ち放し性向上の観点より、弾性糸として合着性又は融着性の弾性糸を用いることができる。但し、適切な後加工等により所望の裁ち放し性を達成できるのであれば、必ずしも合着性又は融着性の弾性糸でなくてもよい。
【0020】
本実施形態の緯編地は、弾性糸が表面と裏面とを連結することを特徴とする。弾性糸が表面と裏面の双方の針床に渡ることで、それぞれの面の編地が弾性糸によって橋渡しされ連結した構造となる。弾性糸による連結は、非弾性糸のシンカーループの総数に対する、非弾性糸と弾性糸のシンカーループが引き揃って形成されているシンカーループの数の割合が50%以下である構造であれば、編地の部分的な連結でもよい(図14参照)。
【0021】
本実施形態の緯編地は、裁ち放し性、特にほつれ性の観点から、表面、及び、裏面の非弾性糸のニードルループの総数に対して、非弾性糸と弾性糸とが引き揃って形成されているニードルループの数の割合が50%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、100%であることが最も好ましい。表面、及び、裏面の非弾性糸のニードルループの総数に対して非弾性糸と弾性糸とが引き揃って形成されているニードルループの数の割合をそれぞれ任意の割合に調節するためには、ジャカード編機の場合は1針単位での組織を設計すればよく、ジャカード編機でない場合は1完全組織のコースやウェルを増減させればよい。尚、1完全組織とは、編地を構成する編組織の最小の繰り返しコース数及びウェル数のことを指し、例えば、図11の組織は2コース、4ウェルが1完全組織となる。
【0022】
通常、編地中において弾性糸と引き揃わない非弾性糸は、洗濯による摩擦や鋭利な物との接触により引き出されやすい。特に編地裁断部においては引き出された糸が審美性を大きく損なうのみならず、ほつれた糸が肌に当たりチクチクした感触やかゆみを生じる等、着用感を大きく損なう。そのため、裁ち放し可能な編地においては、編地裁断部がほつれないことは非常に重要である。表面、及び、裏面の非弾性糸のニードルループの総数に対して、非弾性糸と弾性糸とが引き揃って形成されているニードルループの数の割合が前記好ましい範囲内であれば、裁断部のほつれが少ないため弾性糸と引き揃っていない非弾性糸が洗濯などによって伸長や負荷を受けた際にも引き出されることなく、裁ち放し性に優れ、さらに、着用感に優れた編地となる。
【0023】
本実施形態の緯編地は、一方の面を構成する非弾性糸が、もう一方の面に連結していないことが好ましい。一方の面を構成する非弾性糸が、もう一方の面に連結していない構造とするためには、例えば、2列以上の針床からなる丸編機を適宜選択し、非弾性糸が針床間を移動しない編地組織を各針床で編成すればよい。本実施形態の緯編地は、非弾性糸が一方の面を構成する非弾性糸がもう一方の面に連結していないことで、薄地で、かつ、曲げ柔らかさに優れた風合いのよい、裁ち放し可能な編地を得ることができる。さらに、それぞれの面を構成する非弾性糸の種類を変えることで、緯編地表裏で異なる機能を持たせることや、表裏で柄を変えるような意匠性に優れる裁ち放し可能な編地を得ることができる。
【0024】
本実施形態の緯編地においては、裁ち放し性、特にほつれ性の観点から、経緯共に9.8Nの荷重で伸長した際の、同一コースにおける非弾性糸のループにおけるニードルループ長とシンカーループ長の比(シンカーループ長/ニードルループ長)が0.20〜0.80であることが好ましく、0.25〜0.65であることがより好ましい。コースによって組織が異なる編地の場合、比が最も大きいコースの比とする。前記ループ長の比が前記好ましい範囲であれば、裁断部のほつれが少ないため弾性糸と引き揃っていない非弾性糸が洗濯などによって伸長や負荷を受けた際にも引き出されることなく、裁ち放し可能な編地として優れ、さらに、身体の動作にも追随する伸縮性を有する着用感に優れた編地となる。
【0025】
前記ループ長の比を調節するためには、編成時の度目調整と繊度に応じた適正な編機ゲージを選択すればよい。
前記ループ長の比の測定方法の詳細は実施例の項で説明するが、編地を経緯それぞれ9.8Nの応力で伸長し、ピン枠で固定した後、マイクロスコープによる測定により9.8N伸長時ニードルループ長と9.8N伸長時シンカーループ長を測定する。この方法により、編地を破壊することなく測定を実施することが可能である。
【0026】
本実施形態の緯編地は、表面、及び、裏面において、非弾性糸がニット組織のみを形成することが好ましい。非弾性糸がニット組織のみであることにより、凹凸感が小さく表裏面が滑らかであり、曲げ柔らかさに優れた、肌着としてより好適な編地を得ることが可能となる。
【0027】
本実施形態の緯編地において、裁ち放し性、及び、曲げ柔らかさの観点から、弾性糸が表面又は裏面いずれか一方の面のニット組織と、もう一方の面へのタック組織とを編地緯方向へ交互に繰り返す組織であることが好ましい。本実施形態の緯編地において、表面、及び、裏面それぞれにおいて弾性糸が形成するニット組織とタック組織は、図6図10のように針を飛ばしていても、図5のように針を飛ばしていなくてもよいが、裁ち放し性の観点からは、針を飛ばしていないことが好ましい。
【0028】
本実施形態の緯編地において、裁ち放し性の観点から、弾性糸同士が合着又は融着していることが好ましく、また、弾性糸同士に加え非弾性糸と弾性糸とが合着又は融着していることがより好ましい。尚、「合着又は融着している」とは、一方又は双方の糸が溶融また賦形によって一体化し、糸が動きにくくなっていることを言う。
弾性糸同士を合着又は融着させるためには、150℃〜210℃の範囲で乾熱セットを行うか、90℃以上の温度で湿熱セットを実施すればよい。
【0029】
本実施形態の編地において、裁ち放し性の観点から、全てのコースに弾性糸が含まれていることが好ましい。
非弾性糸と弾性糸を針山へ給糸する方法には特に限りはなく、適宜好適な方法を選択すればよい。いずれの編成方法であっても、本実施形態の組織であれば得られる編地に変化はなく、非弾性糸のシンカーループの総数に対する、非弾性糸と弾性糸が引き揃って形成されているシンカーループの数の割合が50%以下である、曲げ柔らかい編地が得られる。
【0030】
編地を衣服とする場合、編地緯方向(コース方向)が製品の緯方向となることが一般的である。着用中に体の動作や体形に追随しやすく、風合いの良い編地を得るためには、編地緯方向の曲げ柔らかさ(編地経方向(ウェル方向)の折り目ができるよう折り曲げた時の柔らかさ)が重要である。特に、肌着として用いられる編地としては、柔らかい風合いの編地が求められる。柔らかい風合いの編地を得るためには、特に曲げ柔らかさを大きくすることが重要である。曲げ柔らかさは、詳細は後掲するが、カトーテック株式会社製KES−FE2−AUTO−A自動純曲げ試験機による曲げ剛性の測定により評価することができる。前記試験機で測定される曲げ剛性は、0.0020cN・cm/cm〜0.0200cN・cm/cmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.0020cN・cm/cm〜0.0180cN・cm/cmであり、前記範囲内であることで、柔らかい風合いかつ身体の湾曲や動作に追随する着用感に優れた編地となる。本実施形態の組織であれば、非弾性糸のシンカーループの総数に対する、非弾性糸と弾性糸が引き揃って形成されているシンカーループの数の割合が50%以下であるため、前記好ましい範囲の曲げ剛性を十分達成することができる。加えて、非弾性糸の単糸繊度を小さくすることや、糸繊度に対して大きいゲージを選択しニードルループ同士の間隔を広げて粗密化することで、曲げ柔らかさをさらに高めることも可能である。
【0031】
本実施形態の緯編地は、同一コースにおける非弾性糸のループ長と弾性糸のループ長の比(非弾性糸ループ長/弾性糸ループ長)が、1.0〜3.0であることが好ましい。同一コースにおける非弾性糸のループ長と弾性糸のループ長の比が前記好ましい範囲であることで、表裏の編地を適切な張力で連結することができ、より着用に適した伸縮性を有する編地を得ることができる。また、前記ループ長の比が1.0以上の場合、弾性糸の張力が十分に大きいため、表裏の連結が強固であり、洗濯などで表裏の生地間でずれが発生しにくく、しわになりにくく外観がよい。同一コースにおける非弾性糸のループ長と弾性糸のループ長の比を調節するためには、度目や糸送り量の調整の他、針床の間隔を変更する手段などで適宜調整することが可能である。尚、本実施形態においては、編地を分解し、1コース中における100ウェル当たりの糸の長さをループ長とし、単位はmm/100wとして表記している。尚、コースによって組織が異なる編地の場合、比が最も大きいコースにおける比とする。
【0032】
本実施形態の緯編地は、編地緯方向へ40%伸長した際の応力が150cN以下であることが好ましく、より好ましくは130cN以下である。編地緯方向の40%伸長時の応力が150cN以下であれば、着用時に編地を伸長した際もツッパリ感を感じることなく快適に着用することができ、回復性があるため着用後は編地が余ることなくフィットし外観を損ねることがない、ソフトストレッチな編地を得ることができる。尚、編地経緯方向とも40%伸長時の応力が130cN以下であれば、前記効果はさらに高いものとなる。
前述の曲げ柔らかさと編地緯方向へ40%伸長した際の伸長力の前記好ましい範囲を達成するためには、例えば、編地を最大伸長時の非弾性糸ニードルループ長と最大伸長時の非弾性糸シンカーループ長の比を0.20〜0.80とすることや、同一コースにおける非弾性糸のループ長と弾性糸のループ長比を1.0〜3.0の範囲で調整することで達成可能である。
【0033】
本実施形態の緯編地の目付は、70g/m〜180g/mであることが好ましく、70g/m〜160g/mがより好ましい。目付が70g/m以上であれば、衣服とした時の破裂強度が向上し、実着用上の問題がない編地となる。また、目付が180g/m以下であれば、編地が厚くなりすぎることがないため、柔らかい風合いの編地が得られ、肌着としての着用に適した編地となる。
【0034】
本実施形態の緯編地の厚みは、0.30mm〜1.00mmであることが好ましく、0.40mm〜0.90mmであることがより好ましい。厚みが0.30mm以上であれば、着用時の透けや強度に問題なく、また、1.00mm以下であれば、目付が大きくなりすぎることがなく、厚地でないため、肌着に使用した場合、蒸れにくく、肌当たりが良く、風合いの良い編地が得られる。
【0035】
本実施形態の緯編地を得るために使用される編機は特に限定されず、編機のゲージについては任意に選択可能であるが、24〜50ゲージ程度の編機の使用が好ましい。24ゲージ以上であれば、針のサイズが十分に小さいため、細繊度の糸を用いることで小さな編目からなる編地を編成可能であり、編地表面が平滑で肌触りがよく、審美性の良い編地を得ることができる。また、50ゲージ以下であれば、ループサイズが小さくなりすぎることを防ぎ、着用時にストレスを感じることのない適切なストレッチ性を付与することができる。
【0036】
本実施形態の緯編地は、染色加工されていてもよい。染色仕上げ方法としては、通常の染色仕上工程が使用でき、使用する繊維素材に応じた染色条件とし、使用する染色機も液流染色機、ウインス染色機、パドル染色機などの任意の使用が可能である。また、吸水性や柔軟性を向上させる加工剤を使用することができる。柔軟剤としては、シリコン系やウレタン系、エステル系の柔軟剤を用いることができ、濃度としては求められる編地の風合いに応じて適宜選択すればよいが、0.1%owf〜2.0%owfの範囲であれば、曲げ柔らかさが良好となり編目間の摩擦が低減されることによりソフトストレッチ性と回復性を付与することが可能である。
本実施形態の緯編地は、曲げ柔らかさ(風合い)の観点から、全コース数に対する、非弾性糸と弾性糸とがプレーティングにより編成されているコース数の割合が50%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましい。
【実施例】
【0037】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。無論、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
以下、実施例等で用いた特性値の測定法を示す。尚、測定に用いる編地は、衣料から切り出された編地であるが、本発明は衣料となっていない編地をも包含し、用途は衣料に限られるものではない。
【0038】
(1)非弾性糸のニードルループの総数に対する非弾性糸と弾性糸とが引き揃って形成されているニードルループの数の割合、及び、非弾性糸のシンカーループの総数に対する非弾性糸と弾性糸とが引き揃って形成されているシンカーループの数の割合
非弾性糸のニードルループの総数に対する非弾性糸と弾性糸とが引き揃って形成されているニードルループ数の割合は、編地中の任意の1つの1完全組織を選び、目視にて非弾性糸のニードルループの総数と、非弾性糸と弾性糸とが引き揃って形成されているニードルループ数の数を計測し、後者を前者で除して算出した。尚、本実施形態において、ニードルループは図1図3に示すように、ニット組織とタック組織のことを指す。また、「非弾性糸と弾性糸が引き揃って形成されているニードルループ」とは、非弾性糸と弾性糸とが重なってニードルループ構造を形成するニードルループのことを言う。弾性糸のみがニット又はタックを形成するループは、非弾性糸と弾性糸とが引き揃っているものとは数えない。非弾性糸のシンカーループの総数に対する非弾性糸と弾性糸とが引き揃って形成されているシンカーループの数の割合も、上記の非弾性糸のニードルループの総数に対する非弾性糸と弾性糸とが引き揃って形成されているニードルループ数の割合と同様にして計測及び算出する。
【0039】
(2)全コース数に対する、非弾性糸と弾性糸とがプレーティングにより編成されているコース数の割合
(1)において選んだ1完全組織における全コース数と、該1完全組織中における非弾性糸と弾性糸とがプレーティングにより編成されているコース数を計測し、後者を前者で除して算出した。尚、「非弾性糸と弾性糸とがプレーティングにより編成されているコース」とは、非弾性糸と弾性糸とが同一コースにおいてニードルループ及びシンカーループの両方で同じ組織を編成しているコースのことをいう。
【0040】
(3)非弾性糸のニードルループ長とシンカーループ長の比
幅30cmのチャックを用いて、チャック間が30cm四方となるように把持した編地を経緯9.8Nの応力にて伸長し、経緯ともに長方形のピン枠(内寸27cm×24cm、太さ1.5cm)で固定した後、マイクロスコープ(キーエンス社製VHX−6000)を用い、任意の倍率にて編地表裏面を撮影した。撮影した画像において、ピン枠内中心付近の編地の任意の1完全組織を選び、該1完全組織の全コースの非弾性糸について、それぞれ以下の通りループ長計測行った。非弾性糸の任意のニードルループの一端を起点として、該ニードルループの端から端までと、続くシンカーループの端から端までを1セットとし、コース方向に連続する10セット分の総ニードルループ長及び総シンカーループ長を測定し、セット数(10)で除して、非弾性糸のニードルループ及びシンカーループ長を算出する。尚、ループ長は、前記マイクロスコープの基本計測機能の「フリーライン測定」を用い、糸の中心を通るようループの形状に沿って測定カーソルを移動させ、カーソルの移動距離から計測する。この時、ニードルループとシンカーループは、図1図3に示すように、実線部をニードルループ、点線部をシンカーループとして計測した。
上記の通り計測した1完全組織の全コースの非弾性糸のニードルループ長とシンカーループ長より、それぞれ非弾性糸のループにおけるニードルループ長とシンカーループ長の比を以下の式:
非弾性糸のニードルループ長とシンカーループ長の比=非弾性糸のニードルループ長/非弾性糸のシンカーループ長
により算出する。
このようにして算出された1完全組織の全コースの非弾性糸のニードルループ長とシンカーループ長の比のうち、最も大きい値を、編地の非弾性糸のニードルループ長とシンカーループ長の比とした。
【0041】
(4)同一コースにおける非弾性糸のループ長と弾性糸のループ長の比
編地の任意の1完全組織において、該1完全組織の全コースについて、それぞれのコース中における100ウェル分の範囲を裁断、解編し、非弾性糸と弾性糸を抜き出し、20℃50%の標準環境にて、以下方法によってループ長の測定を行う。
非弾性糸:解編して得られた非弾性糸の片端を固定して吊り下げ、反対側の端に以下に示す糸種に応じた所定の荷重をかけ、30秒後の長さを測定する。単位はmm/100wとして表記している。尚、非弾性糸と弾性糸の複合糸については、本方法によりループ長を測定する。
<糸種による荷重>
合成繊維の伸縮かさ高糸、非弾性糸と弾性糸の複合糸:8.82mN/dtex
その他非弾性糸:2.94mN/dtex
弾性糸:解編して得られた弾性糸の片端を固定して吊り下げ、該弾性糸がほぼ直線状になっていることを確認し、その状態での長さを測定する。単位はmm/100wとして表記している。
上記の通り計測した1完全組織の全コースの100ウェル分の非弾性糸と弾性糸のループ長より、それぞれ同一コースにおける非弾性糸のループ長と弾性糸のループ長の比を以下の式:
同一コースにおける非弾性糸のループ長と弾性糸のループ長の比=非弾性糸のループ長/弾性糸のループ長
により算出する。
このようにして算出された1完全組織の全コースの100ウェル分の非弾性糸のニードルループ長とシンカーループ長の比のうち、最も大きい値を、編地の非弾性糸のニードルループ長とシンカーループ長の比とする。
【0042】
(5)目付(g/m
編地の目付を、JIS−L−1096の標準状態における単位面積当たりの質量A法(JIS法)に準じて測定する。
【0043】
(6)厚み(厚さ)(mm)
編地の厚みを、PEACOCK社製編地用厚み計にて、編地の任意の位置3か所を測定し、3か所の平均値を算出する。
【0044】
(7)編目密度
ウェル数:編地緯方向(コース方向)1インチにおけるニードルループの数を計測する。メッシュ部を含む編地の場合、編地組織によってはニードルループの数がコースごとに異なる場合があるが、この場合、最もニードルループの数が多いコースのニードルループの数をウェル数とし、単位はウェル/インチ(w/inch(2.54cm))とする。
コース数:編地経方向(ウェル方向)1インチにおけるニードルループの数を計測する。メッシュ部を含む編地の場合、編地組織によってはニードルループの数がウェルごとに異なる場合があるが、この場合、最もニードルループの数が多いウェルのニードルループの数をウェル数とし、単位はコース/インチ(c/inch)とする。
【0045】
(8)編地緯方向の曲げ柔らかさ(曲げ剛性)
カトーテック株式会社製KES−FE2−AUTO−A自動純曲げ試験機を用いて測定する。巾20.0cm×長さ20.0cmにカットした編地を試験片とする。編地緯方向の曲げ剛性(編地経方向に折り目ができるよう折り曲げた時の編地の硬さ)を測定する場合、編地経方向の裁断部が試料台の奥になるよう試験片を試料台へ乗せ、試料挿入位置確認用ランプが点灯するまで奥に試験片を挿入し、測定を実施する。尚、本実施例においては測定感度を4.0gf・cm/10Vとしたが、試験片の曲げ剛性の大きさに応じて、4.0〜50.0gf・cm/10Vの範囲で適宜調節してもよい。前記試験機においては、編地を上に曲げた時の曲げ剛性と下に曲げた時の曲げ剛性が測定され、その平均値を採用する。試験は3つの試験片について実施し、その平均を算出する。尚、前記試験機においては単位がgf・cm2/cmとして出力されるため、これに0.980665を乗じ、cN・cm2/cmへ換算する。
曲げ剛性は、値が小さいほど、編地が柔らかく、身体の湾曲や運動に追随しやすく、風合いに優れる。本実施例においては、曲げ剛性が0.0200cN・cm/cm以下であれば曲げ柔らかく、さらに0.0180cN・cm/cm以下であれば、曲げ柔らかさに優れると判断した。
【0046】
(9)40%伸長時の応力(荷重、cN)
巾2.5cm×長さ15cmにカットした編地を、引張試験機を使用し、2.5cm巾で編地両端を把持する。このとき、把持部と把持部の間隔が10cmとなるように把持し、300mm/分の速度で、伸長率0%から80%まで伸長し、次いで伸長率80%から0%まで回復させる過程を3回繰り返し、伸長3回目における伸長率40%の際の応力を40%伸長時の応力とする。
【0047】
(10)裁ち放し性
裁ち放し性は以下の(a)裁断部カールと(b)ほつれ性の2つの観点より評価する。
[(a)裁断部カール]
<編地緯方向の裁断部カール>
編地緯方向へ10cm、編地経方向へ2.5cmに切断した長方形の編地を試験片とし、水平な机上に置いた。次いで、両短辺を1.5cm程度の幅で、指で把持し、10cmの長辺が15cmとなるよう伸長し(50%伸長)、伸長時の試験片長辺中央に生じるカールの角度を、図21に示すように、水平な編地(1)に接する直線(2)と、50%伸長時の編地の端部約3mmに接する直線(3)とが交わるカール角度(d)を測定した。
<編地経方向の裁断部カール>
編地経方向へ10cm、編地緯方向へ2.5cmに切断した長方形の編地を試験片とし、水平な机上に置いた。次いで、両短辺を1.5cm程度の幅で、指で把持し、10cmの長辺が15cmとなるよう伸長し(50%伸長)、伸長時の試験片長辺中央に生じるカールの角度を、図21に示すように、水平な編地(1)に接する直線(2)と、50%伸長時の編地の端部約3mmに接する直線(3)とが交わるカール角度(d)を測定した。
カール角度が60°未満であれば裁ち放しのまま衣服として使用できるが、30°以下であればカールがほとんど目立たないため裁ち放しの衣料としてより好適であり、5°以下であれば外衣に響かず審美性優れ、端部の肌当たりによる不快感が無いため、さらに好ましい。
【0048】
[(b)ほつれ性]
本実施例においては、洗濯後の編地についてほつれ性の評価を行った。
編地を編地緯方向へ20.0cm、経方向へ10.0cmの長方形となるよう裁断した後、いずれか1つの角を45°に等分するように角の中央へ5.0cmの切り込みを入れ、試験片とした。試験片1枚と、JIS L 1930附属書HのIII型適合品負荷布との合計が1.0kgとなるよう負荷布の量を調整し、負荷布と共に家庭用洗濯機で40℃のお湯で15分×50回の洗濯を実施した後、試験片を平干しした。乾燥後の試験片の編地の長辺(編地緯方向)、短辺(編地経方向)、切り込み部(編地45°方向)についてそれぞれの裁断部観察し、以下の基準により評価し、3級以上であれば裁ち放しのまま衣服として使用可能とし、4級以上がほつれ性に優れると判断した。
5級:裁断部より2,0mm以上突出したほつれが発生しない
4級:裁断部より2,0mm以上突出したほつれが2.54cmあたり1〜5個以内
3級:裁断部より2,0mm以上突出したほつれが2.54cmあたり6〜10個以内
2級:裁断部より2,0mm以上突出したほつれが2.54cmあたり11〜20個以内
1級:裁断部より2,0mm以上突出したほつれが2.54cmあたり21個以上
尚、通常、ほつれ性は裁断直後の編地の編み終わりを伸長して、ほつれの有無を判断するため、実際に製品を使用する際、洗濯や乾燥などの負荷が編地にかかり、ほつれが発生することがある。そのため、裁断直後の編地を評価するだけでは不十分であり、洗濯後であってもほつれが発生しないことが、端部を裁ち放しのまま使用する衣服においては重要である。かかる事情を鑑み、本実施例においては、より厳しい条件によるほつれの評価として、洗濯後の編地についてほつれ性の評価を実施した。
【0049】
(11)着用感
実施例、比較例により得られた編地で上半身用の半袖インナーを縫製し、モニターに着用させ、前記半袖インナーの上からワイシャツを着用する。初夏における通勤を想定し、28℃50%RH環境下で、着用後5分間椅子に座って静止した後、トレッドミルを使用し、4.5km/hrの速度で20分間歩行した。インナー着用から歩行終了までの着用感を、[項目1:着用中の快適性]と[項目2:端部の肌当たり]の2項目について、それぞれ、以下評価基準のもと5点満点で主観評価した。10名のモニターによって試験を実施し、各項目の平均点を評価結果とした。平均値は小数点第二位以下を四捨五入し、小数点第一位まで求めた。平均点4.0以上は着用性又は快適性に優れると判断した。尚、風合いに優れる肌着においては、着用中の快適性が特に重要であり、端部の肌当たりも重要であるが、より優先して達成されるべきものである。
【0050】
[項目1:着用中の快適性]
締め付け感、肌当たりの滑らかさ、動作追随性、風合いの観点から着心地を5点満点で評価した。
5点:非常に快適である
4点:快適である
3点:特に違和感はない
2点:不快である
1点:非常に不快である。
【0051】
[項目2:端部の肌当たり]
端部の肌当たりの観点から着心地を5点満点で評価した。
5点:非常に快適である
4点:快適である
3点:特に違和感はない
2点:不快である
1点:非常に不快である。
【0052】
以下の実施例、比較例、および表において、各種糸を下記のように表記する。
ナイロン:Ny
ポリエステル:Es
キュプラ:Cu
ポリウレタン弾性糸:Pu
また、フィラメント数の単位をfと表記する。
尚、特に断りがない限り、ポリウレタン弾性糸はベアを使用している。
【0053】
[実施例1]
32ゲージのダブル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、図5の編方図で編地を編成した。
[シリンダ側及びダイアル側]
非弾性糸:Ny,33dtex/26f,仮撚糸
弾性糸:Pu,22dtex
編成した編地を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ニッカシリコンAMZ(日華化学株式会社)1.0%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って得られた編地を用いて半袖インナーを縫製し、評価を行った。評価結果を以下の表1、2に示す。
【0054】
[実施例2]
28ゲージのダブル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、図5の編方図で編地を編成した。
[シリンダ側及びダイアル側]
非弾性糸:Ny,44dtex/34f,原糸
弾性糸:Pu,22dtex
編成した編地を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、185℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ナイスポールPRN(日華化学株式会社)0.5%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って得られた編地を用いて半袖インナーを縫製し、評価を行った。評価結果を以下の表1、2に示す。
【0055】
[実施例3]
36ゲージのダブル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、図5の編方図で編地を編成した。
[シリンダ側及びダイアル側]
非弾性糸:Ny,44dtex/34f,仮撚糸
弾性糸:Pu,22dtex
編成した編地を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ニッカシリコンAMZ(日華化学株式会社)1.0%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って得られた編地を用いて半袖インナーを縫製し、評価を行った。評価結果を以下の表1、2に示す。
【0056】
[実施例4]
28ゲージのダブル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、図5の編方図で編地を編成した。
[シリンダ側]
非弾性糸:Es,56dtex/34f,原糸
弾性糸:Pu,22dtex
[ダイアル側]
非弾性糸:複合糸(Ny,22dtex/13f+Cu,33dtex/26f)
弾性糸:Pu,22dtex
編成した編地を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ナイスポールPRN(日華化学株式会社)0.5%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って得られた編地を用いて半袖インナーを縫製し、評価を行った。評価結果を以下の表1、2に示す。
【0057】
参考例5]
28ゲージのダブル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、図6の編方図で編地を編成した。
[シリンダ側及びダイアル側]
非弾性糸:Ny,33dtex/36f,仮撚糸
弾性糸:Pu,22dtex
編成した編地を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ナイスポールPRN(日華化学株式会社)0.5%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って得られた編地を用いて半袖インナーを縫製し、評価を行った。評価結果を以下の表1、2に示す。
【0058】
参考例6]
28ゲージのダブル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、図7の編方図で編地を編成した。
[シリンダ側及びダイアル側]
非弾性糸:Ny,33dtex/26f,仮撚糸
弾性糸:Pu,22dtex
編成した編地を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ニッカシリコンAMZ(日華化学株式会社)1.0%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って得られた編地を用いて半袖インナーを縫製し、評価を行った。評価結果を以下の表1、2に示す。
【0059】
参考例7]
28ゲージのダブル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、図8の編方図で編地を編成した。
[シリンダ側及びダイアル側]
非弾性糸:Ny,33dtex/26f,仮撚糸
弾性糸:Pu,22dtex
編成した編地を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ニッカシリコンAMZ(日華化学株式会社)1.0%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って得られた編地を用いて半袖インナーを縫製し、評価を行った。評価結果を以下の表1、2に示す。
【0060】
参考例8]
28ゲージのダブル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、図9の編方図で編地を編成した。
[シリンダ側及びダイアル側]
非弾性糸:Ny,33dtex/26f,仮撚糸
弾性糸:Pu,22dtex
編成した編地を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ニッカシリコンAMZ(日華化学株式会社)1.0%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って得られた編地を用いて半袖インナーを縫製し、評価を行った。評価結果を以下の表1、2に示す。
【0061】
参考例9]
28ゲージのダブル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、図10の編方図で編地を編成した。
[シリンダ側及びダイアル側]
非弾性糸:Ny,44dtex/34f,仮撚糸
弾性糸:Pu,22dtex
編成した編地を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ニッカシリコンAMZ(日華化学株式会社)1.0%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って得られた編地を用いて半袖インナーを縫製し、評価を行った。評価結果を以下の表1、2に示す。
【0062】
参考例10]
28ゲージのダブル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、図11の編方図で編地を編成した。
[シリンダ側及びダイアル側]
非弾性糸:Ny,44dtex/34f,仮撚糸
弾性糸:Pu,22dtex
編成した編地を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ニッカシリコンAMZ(日華化学株式会社)1.0%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って得られた編地を用いて半袖インナーを縫製し、評価を行った。評価結果を以下の表3−1、4に示す。
【0063】
参考例11]
40ゲージのダブル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、図12の編方図で編地を編成した。
[シリンダ側及びダイアル側]
非弾性糸:Ny,13dtex/7f,原糸
弾性糸:Pu,22dtex
編成した編地を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ニッカシリコンAMZ(日華化学株式会社)1.0%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って得られた編地を用いて半袖インナーを縫製し、評価を行った。評価結果を以下の表3−1、4に示す。
【0064】
参考例12]
40ゲージのダブル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、図13の編方図で編地を編成した。
[シリンダ側及びダイアル側]
非弾性糸:Ny,13dtex/7f,原糸
弾性糸:Pu,22dtex
編成した編地を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ニッカシリコンAMZ(日華化学株式会社)1.0%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って得られた編地を用いて半袖インナーを縫製し、評価を行った。評価結果を以下の表3−1、4に示す。
【0065】
[実施例13]
32ゲージのダブル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、図14の編方図で編地を編成した。
[シリンダ側及びダイアル側]
非弾性糸:Ny,33dtex/26f,仮撚糸
弾性糸:Pu,22dtex
編成した編地を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ニッカシリコンAMZ(日華化学株式会社)1.0%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って得られた編地を用いて半袖インナーを縫製し、評価を行った。評価結果を以下の表3−1、4に示す。
【0066】
[実施例14]
32ゲージのダブル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、図15の編方図で編地を編成した。
[シリンダ側及びダイアル側]
非弾性糸:Ny,33dtex/26f,仮撚糸
弾性糸:Pu,22dtex
編成した編地を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ニッカシリコンAMZ(日華化学株式会社)1.0%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って得られた編地を用いて半袖インナーを縫製し、評価を行った。評価結果を以下の表3−1、4に示す。
【0067】
[実施例15]
32ゲージのダブル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、図16の編方図で編地を編成した。
[シリンダ側及びダイアル側]
非弾性糸:Ny,33dtex/26f,仮撚糸
弾性糸:Pu,22dtex
編成した編地を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ニッカシリコンAMZ(日華化学株式会社)1.0%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って得られた編地を用いて半袖インナーを縫製し、評価を行った。評価結果を以下の表3−1、4に示す。
【0068】
[比較例1]
28ゲージのダブル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、図17の編方図で編地を編成した。
[シリンダ側]
非弾性糸:Ny,33dtex/36f,仮撚糸
弾性糸:Pu,22dtex
編成した編地を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ナイスポールPRN(日華化学株式会社)0.5%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って得られた編地を用いて半袖インナーを縫製し、評価を行った。評価結果を以下の表3−2、4に示す。
【0069】
[比較例2]
32ゲージのダブル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、図18の編方図で編地を編成した。
[ダイアル側及びシリンダ側]
非弾性糸:綿,120/1
弾性糸:Pu,33dtex
編成した編地を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ナイスポールPRN(日華化学株式会社)0.5%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って得られた編地を用いて半袖インナーを縫製し、評価を行った。評価結果を以下の表3−2、4に示す。
【0070】
[比較例3]
32ゲージのダブル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、図18の編方図で編地を編成した。
[ダイアル側及びシリンダ側]
複合糸:複合糸(Ny,22dtex/13f+Cu,33dtex/26f)
弾性糸:Pu,22dtex
編成した編地を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ニッカシリコンAMZ(日華化学株式会社)1.0%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って得られた編地を用いて半袖インナーを縫製し、評価を行った。評価結果を以下の表3−2、4に示す。
【0071】
[比較例4]
28ゲージのダブル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、図19の編方図で編地を編成した。
[シリンダ側]
非弾性糸:Es,56dtex/34f,原糸
弾性糸:Pu,22dtex
[ダイアル側]
非弾性糸:複合糸(Ny,22dtex/13f+Cu,33dtex/26f)
弾性糸:Pu,22dtex
[連結糸]
弾性糸:Pu,33dtex
編成した編地を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ニッカシリコンAMZ(日華化学株式会社)1.0%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って得られた編地を用いて半袖インナーを縫製し、評価を行った。評価結果を以下の表3−2、4に示す。
【0072】
[比較例5]
28ゲージのダブル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、図19の編方図で編地を編成した。
[シリンダ側及びダイアル側]
非弾性糸:Es,56dtex/34f,原糸
弾性糸:Pu,22dtex
[連結糸]
弾性糸:Pu,75dtex
編成した編地を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ニッカシリコンAMZ(日華化学株式会社)1.0%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って得られた編地を用いて半袖インナーを縫製し、評価を行った。評価結果を以下の表3−2、4に示す。
【0073】
[比較例6]
28ゲージのダブル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、図5の編方図で、弾性糸を非弾性糸に置き換えた編地を編成した。
[シリンダ側及びダイアル側]
非弾性糸:Es,56dtex/34f,原糸
弾性糸の置き換え:Es,33dtex/24f,原糸
編成した編地を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ニッカシリコンAMZ(日華化学株式会社)1.0%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って得られた編地を用いて半袖インナーを縫製し、評価を行った。評価結果を以下の表3−2、4に示す。
【0074】
[比較例7]
28ゲージのダブル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、図5の編方図で、弾性糸を非弾性糸に置き換えた編地を編成した。
[シリンダ側及びシリンダ側]
非弾性糸:Ny,33dtex/24f,原糸
弾性糸の置き換え:Ny,33dtex/24f,熱融着糸
編成した編地を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、180℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ニッカシリコンAMZ(日華化学株式会社)1.0%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って得られた編地を用いて半袖インナーを縫製し、評価を行った。評価結果を以下の表3−2、4に示す。
【0075】
[比較例8]
32ゲージのダブル丸編機を使用し、以下の糸使いにて、図20の編方図で編地を編成した。
[シリンダ側及びダイアル側]
非弾性糸:Ny,33dtex/26f,仮撚糸
弾性糸:Pu,22dtex
編成した編地を連続精練機でリラックス、精練を行い、次いで、190℃で1分間プレセットを行った。染色時に柔軟剤ニッカシリコンAMZ(日華化学株式会社)1.0%owfを加えた状態で染色を実施し、170℃で1分の条件で仕上げセットを行って得られた編地を用いて半袖インナーを縫製し、評価を行った。評価結果を以下の表3−2、4に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
【表3-1】
【0079】
【表3-2】
【0080】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の緯編地は、裁ち放し性と着用感に優れており、裁ち放しのまま衣服として用いても審美性を損なうことが無いため、肌着やスポーツウェアとして好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 機上においた水平な編地
2 水平な編地に接する直線
3 発生したカールの編地端部に接する直線
d カール角度
図1
図2
図3
図4
図5
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