特許第6852227号(P6852227)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6852227バックスプレーシステムおよび注入ピストン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6852227
(24)【登録日】2021年3月12日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】バックスプレーシステムおよび注入ピストン
(51)【国際特許分類】
   B22D 17/20 20060101AFI20210322BHJP
【FI】
   B22D17/20 H
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-532399(P2020-532399)
(86)(22)【出願日】2019年7月23日
(86)【国際出願番号】JP2019028761
(87)【国際公開番号】WO2020022304
(87)【国際公開日】20200130
【審査請求日】2020年9月23日
(31)【優先権主張番号】62/703,564
(32)【優先日】2018年7月26日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146180
【氏名又は名称】株式会社MORESCO
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ボーガン ロビン
【審査官】 酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−349452(JP,A)
【文献】 特開平06−087060(JP,A)
【文献】 特開2010−269319(JP,A)
【文献】 特開2017−226004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイカスト装置の射出スリーブに潤滑剤を塗布するバックスプレーシステムであって、
射出スリーブと、
プランジャーチップとそれに接続された射出ロッドとを有する注入ピストンと、
上記射出ロッドを囲むように形成された溝部と、
上記溝部を覆う環状部と、を備え、
上記射出ロッドには、該射出ロッドの全長にわたって射出ロッド穴が形成されており、
上記溝部には、上記射出ロッド穴と接続している溝部穴が形成されており、
上記環状部には、上記溝部に通じる環状部穴が、該環状部の円周に沿って所定数形成されており、
上記射出ロッド穴に供給された上記潤滑剤が、上記溝部穴から上記溝部に流れ込み、上記溝部から上記環状部穴を通って、上記プランジャーチップと上記射出スリーブとの間の空間に放出され
上記溝部は、2つの環状部材を上記射出ロッドの表面に設けることにより形成されている、バックスプレーシステム。
【請求項2】
上記環状部穴が8つ形成されている、請求項1に記載のバックスプレーシステム。
【請求項3】
上記溝部穴が少なくとも2つ形成されている、請求項1に記載のバックスプレーシステム。
【請求項4】
上記環状部は、上記プランジャーチップの背後に位置している、請求項1に記載のバックスプレーシステム。
【請求項5】
上記潤滑剤は潤滑油であり、空気と共に噴霧される、請求項1に記載のバックスプレーシステム。
【請求項6】
射出スリーブと組み合わせて使用される注入ピストンであって、
プランジャーチップと、
上記プランジャーチップに接続された射出ロッドと、
上記射出ロッドを囲むように形成された溝部と、
上記溝部を覆う環状部と、を備え、
上記射出ロッドには、該射出ロッドの全長にわたって射出ロッド穴が形成されており、
上記溝部には、上記射出ロッド穴と接続している溝部穴が形成されており、
上記環状部には、上記溝部に通じる環状部穴が、該環状部の円周に沿って所定数形成されており、
上記射出ロッド穴に供給された潤滑剤が、上記溝部穴から上記溝部に流れ込み、上記溝部から上記環状部穴を通って、上記プランジャーチップと上記射出スリーブとの間の空間に放出され
上記溝部は、2つの環状部材を上記射出ロッドの表面に設けることにより形成されている、注入ピストン。
【請求項7】
上記環状部穴が8つ形成されている、請求項6に記載の注入ピストン。
【請求項8】
上記環状部の下側の流路は、上記射出ロッド穴に接続された少なくとも2つの穴を有している、請求項6に記載の注入ピストン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイカスト装置で使用される注入ピストンに用いられるバックスプレーシステムに関する。より詳細には、本発明は、金型から注入口までの間における、ダイキャスティングスリーブの内部とプランジャーチップに潤滑剤を十分に塗布するシステムを包含する。
【背景技術】
【0002】
ダイキャスティングにおいては、アルミなどの溶融金属が射出スリーブの注入口から当該射出スリーブ内に注入される。所定量の溶融金属が、注入ピストンによって金型のキャビティに挿入して鋳物を形成するために射出スリーブに移され、上記金属は冷却され、金型から鋳物が取り出される。注入ピストンは、射出ロッドとプランジャーチップを備え、軸方向に移動するかまたは射出スリーブ内に向けて伸長することにより、上記溶融金属を金型のキャビティに「射出」する。プランジャーチップと射出ロッド上には溶融金属が存在し、またプランジャーチップと射出スリーブの間には摩擦が生じ、プランジャーチップと射出ロッドは高温となるため、潤滑剤の塗布と冷却の両方が必要である。
【0003】
射出システムには多くの異なる問題が発生する傾向にある。過度の摩耗と潤滑剤塗布頻度の不足は、摩耗を最小化するために使用される潤滑剤が滴り落ちて浪費されることと同様に、拡大されたプランジャーチップと射出スリーブとの間でしばしば生じる。これらの接触面に潤滑剤を塗布することには、これまで非効率さという欠点があり、また、潤滑剤塗布用の管と穴部は、過度の摩耗と部品の疲労をもたらす。潤滑剤塗布用の穴部や排出口を清掃することは困難であり続けており、また時間を要するものであり、さらに、潤滑剤の塗布が過剰であったり、不適切であったりする場合には、ダイキャスティング操作中に煙が発生するという問題を生じさせる。
【0004】
潤滑剤の塗布における問題点を克服するための試みにおいて、様々な塗布システムが開発されてきた。しかし、射出スリーブの端面と注入ピストンの端面との間の隙間から、周面の周りに潤滑剤を塗り拡げることは困難であり、このため、早期の摩耗や潤滑剤で覆われていない部分への付着物などが発生してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一態様は、射出スリーブ内の適切な位置まで潤滑剤を到達させることができるシステム等を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るバックスプレーシステムは、ダイカスト装置の射出スリーブに潤滑剤を塗布するバックスプレーシステムであって、射出スリーブと、プランジャーチップとそれに接続された射出ロッドとを有する注入ピストンと、上記射出ロッドを囲む溝部と、上記溝部を覆う環状部と、を備え、上記射出ロッドには、該射出ロッドの全長にわたって射出ロッド穴が形成されており、上記溝部には、上記射出ロッド穴と接続している溝部穴が形成されており、上記環状部には、上記溝部に通じる環状部穴が、該環状部の円周に沿って所定数形成されており、上記射出ロッド穴に供給された上記潤滑剤が、上記溝部穴から上記溝部に流れ込み、上記溝部から上記環状部穴を通って、上記プランジャーチップと上記射出スリーブとの間の空間に放出される。
【0007】
本発明の一態様に係る注入ピストンは、射出スリーブと組み合わせて使用される注入ピストンであって、プランジャーチップと、上記プランジャーチップに接続された射出ロッドと、上記射出ロッドを囲むように形成された溝部と、上記溝部を覆う環状部と、を備え、上記射出ロッドには、該射出ロッドの全長にわたって射出ロッド穴が形成されており、上記溝部には、上記射出ロッド穴と接続している溝部穴が形成されており、上記環状部には、上記溝部に通じる環状部穴が、該環状部の円周に沿って所定数形成されており、上記射出ロッド穴に供給された潤滑剤が、上記溝部穴から上記溝部に流れ込み、上記溝部から上記環状部穴を通って、上記プランジャーチップと上記射出スリーブとの間の空間に放出される。
【発明の効果】
【0008】
射出スリーブ内の適切な位置まで潤滑剤を到達させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一般的なダイカスト装置を示す図である。
図2】従来の射出スリーブの側面図であり、注入プランジャーが引き出された位置にある状態を示している。
図3】本発明の一実施形態に係る注入ピストンの側面図であり、プランジャーチップと射出ロッドを示している。
図4】上記注入ピストンの側面図であり、溝部を覆うように環状部が配置されている状態を示している。
図5図4に示す注入ピストンのA−A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明については一般的な用語で記述している。上記図面の簡単な説明では添付の図面について言及した。図面は、必ずしも実寸を示すものではない。
【0011】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明についてより十分に説明する。この説明においては、本発明の好ましい実施形態を示す。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具体化することができるものであり、ここに記載する実施形態に限定解釈すべきでない。これらの実施形態は、本開示を一貫した完全なものとするためのものであり、当分野の技術者に本発明の範囲を十分に認識させるためのものである。本開示を通して、各構成要素は、同様の番号で参照する。
【0012】
〔概要〕
本発明の少なくとも1つの実施形態は、射出スリーブ内の出来る限り前方まで潤滑剤を塗布する潤滑剤の塗布システムを提供することを総合的な目的としている。他の目的は、鋳型から注入部までの射出スリーブの内部全面を覆うように潤滑剤を十分に噴霧することにある。
【0013】
プランジャーチップと射出ロッドを有する注入ピストンを備えたバックスプレーシステムが提供される。上記射出ロッドには、該射出ロッドの全長にわたって、潤滑剤の供給部とプランジャーチップの後方に位置する環状部とを結ぶ穴が、ガンドリルによって開けられている。
【0014】
上記環状部の円周に沿って、所定数の穴または開口部が配置されている。この穴または開口部は、プランジャーチップと射出スリーブとの間の空間に正確かつ均一な量の潤滑剤と空気を分配できるようなサイズおよび配置となっている。穴の数は、射出ロッドの円周に応じたものとする。環状部の下部には、流路が形成されている。この流路には、射出ロッドの全長にわたって延在する射出ロッド穴に接続している2つのドリル穴が設けられている。
【0015】
注入ピストンの使用時、潤滑剤と空気の混合物が射出ロッド穴から環状部に運ばれ、そこでその混合物は、射出スリーブとプランジャーチップを完全に覆うように放出または噴霧されて、射出スリーブ内のかなり前方まで潤滑剤を塗布する。
【0016】
本発明の他の目的、特徴、および利点は、以下の、図面に基づく詳細な記述により、当分野の技術者にとって明らかなものとなるであろう。
【0017】
〔ダイカスト装置の構成〕
ここで図1を参照する。図1は、ダイカスト装置10の簡略化した図を示している。ダイカスト装置10は、枠部12を備えている。また、枠部12は、枠部12に搭載された固定金型14と可動金型16とを含む。可動金型16は、図示しない往復機構によって固定金型14に向けて、また固定金型14から離れる向きに駆動される、第2の金型として機能する。そして、可動金型16が固定金型14に当接する状態となったときに、それらの間にキャビティ18が形成される。射出スリーブ20は、固定金型12を通ってキャビティ18に通じている。射出スリーブ20内には、プランジャーチップ26と射出ロッド24とを備えた注入ピストン23が存在する。射出ロッド24は、射出スリーブ20内にスライド可能に配置されており、射出スリーブ20内で前後に動く。射出スリーブ20は、左右対称な円形の金属スリーブであり、その中で射出ロッド24がスライドする。射出ロッド24は、溶融金属が注入穴(開口)22から注入された後、当該溶融金属を金型のキャビティ18に押し出す。注入穴22は、射出スリーブ20における金型から遠い側の端部に位置している。注入穴22は、溶融金属を射出スリーブ20内に注ぐことができるように、射出スリーブ20の上側に位置している。溶融金属は、注入ピストン23が引き出された位置にあるときに射出スリーブ20内に注入される。
【0018】
図2には、従来の射出スリーブ20を示している。図2では、プランジャーチップ26と射出ロッド24を有する注入ピストン23が、引き出された位置にある。図2では、注入ピストン23は、注入穴22を通って射出スリーブ20内にアルミニウムなどの溶融金属が注入されるのを待ち受けている。注入ピストン23が金型の方に押し出されるにつれて、プランジャーチップ26の表面と射出スリーブ20の内側との間に狭い空間25が生じる。この空間25は、射出スリーブ20の内径とプランジャーチップ26の外径とに依存して変化するが、一般的に0.03から0.06mm程度である。この狭い隙間が、潤滑剤が乏しいことにより、過度な摩耗をもたらす。
【0019】
〔バックスプレーシステムの説明〕
潤滑剤に関する上記問題は、本発明の一実施形態に係る、図3および図4に示す注入ピストン23を備えたバックスプレーシステムにより解決される。上記バックスプレーシステムの注入ピストン23は、前方側端部に環状部30を有する射出ロッド24を備えている。なお、バックスプレーシステムにおける注入ピストン23以外の構成は、図1および図2に示したような従来のダイカスト装置10と同様である。
【0020】
上記バックスプレーシステムは、プランジャーチップ26が射出スリーブ20内に押し込まれ、引き出される際に、射出スリーブ20の内表面の全面を覆うように潤滑剤を塗布する。潤滑剤としては、従来の任意の潤滑油を使用可能である。潤滑剤を適切な場所まで到達させることができるように、射出ロッド24には、射出ロッド24の全長にわたり、射出ロッド24の前方側端部の直前まで到達する射出ロッド穴32が形成されている。射出ロッド穴32のサイズは、射出スリーブ20と注入ピストン23のサイズおよび使用する潤滑剤の量に依存して変わる。典型的には、射出ロッド穴32の直径は、約6.5mmから19.05mm(約1/4インチから3/4インチ)の間である。潤滑剤は、当分野の技術者に知られている装置により、加圧下で射出ロッド24の後方端部から供給される。
【0021】
プランジャーチップ26は、ネジ山34を設けてネジ接続するなどにより、射出ロッド24の端部に接続されている。プランジャーチップ26の後方には、凹んだ溝部36が設けられている。なお、図3および図4の例では、射出ロッド24の先端部が縮径しており、この縮径部に溝部36を設けているが、射出ロッド24は必ずしも縮径部を有している必要はなく、溝部36も必ずしも縮径部に設ける必要はない。溝部36は、図3および図4に示すように、環状部30により被覆される構成となっている。そして、溝部36と環状部30の内壁面とで流路が構成される。図4のA−A線断面図である図5に示すように、溝部36内には180°離れた2つの溝部穴38があり、これらは射出ロッド穴32に接続している。溝部穴38は、射出ロッド24の表面と射出ロッド穴32とを結ぶ貫通穴である。溝部穴38は、射出ロッド穴32から環状部穴40まで潤滑剤を通過させる。溝部穴38の数を異ならせてもよいことを理解すべきである。典型的には、溝部穴38の直径は、約6.5mmから19.05mm(約1/4インチから3/4インチ)の間である。ただし、射出ロッド穴32と同じサイズである必要はなく、典型的には各溝部穴38の直径をより小さくして、射出ロッド穴32内の潤滑剤と空気の混合物の量が、溝部穴38内の潤滑剤と空気の混合物の量と等しくなるようにする。
【0022】
図4に示す実施形態では、環状部30が凹んだ溝部36を覆って配置されている。環状部30は筒状の構成であり、その外径は、プランジャーチップ26の直径よりも小さく、溝部36の周囲における射出ロッド24の直径よりも大きい。潤滑剤を射出スリーブ20の奥側まで到達させるという観点から、環状部30は、プランジャーチップ26のできるだけ近く(例えばプランジャーチップ26の直近の背後)に配置することが好ましい。環状部30は、例えば溝部36が形成されている部分に環状部30を挿入して嵌め込むことにより固定されていてもよい。環状部30は、溝部36から取り外し可能となっていてもよい。図3のように、環状部30を溝部36から取り外した状態とすることにより、溝部36内や溝部穴38の清掃が容易になる。溝部36は、様々な方法で形成することができる。例えば、2つの環状部材を射出ロッド24の表面に設けることにより形成してもよいし、射出ロッド24の一部として形成(例えば射出ロッド24の表面を削り込むことにより形成)してもよい。環状部30には複数の穴(環状部穴)40が、環状部30の周囲に対称に形成されている。環状部穴40は、環状部30の外表面と内表面とを結ぶ貫通穴である。環状部穴40の数は、射出ロッド24の円周に依存する。環状部穴40の直径は、約1.81から6.5mm(約1/14から1/4インチ)とすることが好ましい。典型的には、溝部穴38内の潤滑剤と空気の混合物の量が、環状部穴40内の潤滑剤と空気の混合物の量と等しくなるように、環状部穴40を溝部穴38よりも小さくする。環状部穴40は、円錐形に拡がっていることが好ましい。これにより、射出スリーブ20内に供給された潤滑剤が放射状に広がりやすくなる。
【0023】
図4および図5から明らかなように、射出ロッド穴32の端部(プランジャーチップ26が接続されていない側の端部)から供給された潤滑剤は、射出ロッド穴32を通って環状部30の下部にある溝部穴38に入り、次に、潤滑剤(空気と混合されている)は溝部36内に進み、最後に環状部穴40から出てくる。この設計により、最小量の潤滑剤により最大限の範囲をカバーすることが可能になる。また、バックスプレーシステムによれば、射出スリーブ20内の最も遠い位置まで潤滑剤を到達させることが可能になると共に、プランジャーチップ26のすぐ後ろまで到達させることも可能になる。プランジャーチップ26を射出スリーブ20内で、射出スリーブ20の全長にわたって後方に引き出したときには、必要に応じて任意の位置で潤滑剤を追加することができる機能により、金型から射出注入位置までが均一に潤滑剤で覆われる。射出ロッド24を引っ込める間、潤滑剤と空気の混合物は、射出ロッド24内の射出ロッド穴32から環状部30に隠れている溝部穴38に押し出される。そして、潤滑剤と空気の混合物は、環状部穴40から霧状になって押し出されて放射状に噴霧され、これにより射出ロッド24が完全に引込められる間に射出スリーブ20が潤滑剤で覆われる。
【0024】
〔実施例〕
本発明の一実施例では、射出ロッド24には、射出ロッド24の全長にわたって直径7.94mm(5/16インチ)の射出ロッド穴32を形成した。射出ロッド穴32は、潤滑剤と空気の混合物を、ガンドリルであけた直径7.94mm(5/16インチ)の2つの溝部穴38を有する流路に押し出すためのものである。溝部穴38は、潤滑剤と空気の混合物を分散させる8つの環状部穴40を有する環状部30で覆われている。潤滑剤と空気の混合物を、射出ロッド24内の射出ロッド穴32の内部で加圧し、環状部30に隠れている溝部36に押し出して、射出スリーブ20の全長にわたって射出ロッド24を引込める間に、加圧下で8つの環状部穴40から押し出した。潤滑剤を効率よく霧化するために、射出ロッド24を引き出す間、射出ロッド穴32を通じて潤滑剤と空気の混合物を加圧した。噴霧により射出スリーブ20の全長にわたって潤滑剤が行き渡り、引き出された。
【0025】
従来例では、1回の射出につき2から2.5mlの潤滑剤と空気の混合物が吐出口から噴霧された。上記バックスプレーシステムの導入後は、1回の射出につき0.75から1.0mlまで使用量が減少した。2カ月間で、吐出口から噴霧する従来法では11個のプランジャーチップ26が交換となったが、バックスプレーシステムでは交換となったプランジャーチップ26は4個であった。また、射出スリーブ20の寿命も向上した。このように、潤滑剤の消費が抑えられたと共に、プランジャーチップ26と射出スリーブ20の寿命が延びた。また、ダイカストパーツの間隙率の低下も観察された。
【0026】
これらの発明が属する技術分野の技術者であれば、先の記述に表された教示の利益を有する、先に記載する発明の多くの変形例と他の実施形態に思い至るであろう。ゆえに、本発明は開示された特定の実施形態に限定されず、変形例と他の実施形態が添付の請求項の範疇に含まれることが意図されていると理解される。ここでは特定の用語を用いているが、それらは一般的かつ記述的な意味でのみ使用されており、限定のために使用されているのではない。
【0027】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2018年7月26日に出願された米国仮出願:62/703,564に対して優先権の利益を主張するものであり、それを参照することにより、その内容の全てが本書に含まれる。
【符号の説明】
【0028】
20 射出スリーブ
23 注入ピストン
24 射出ロッド
26 プランジャーチップ
30 環状部
32 射出ロッド穴
36 溝部
38 溝部穴
40 環状部穴
図1
図2
図3
図4
図5