(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6852235
(24)【登録日】2021年3月15日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】飛沫飛散防止カバー
(51)【国際特許分類】
H04R 1/12 20060101AFI20210322BHJP
A41D 13/08 20060101ALI20210322BHJP
A62B 17/00 20060101ALI20210322BHJP
A62B 18/00 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
H04R1/12
A41D13/08 101
A62B17/00
A62B18/00
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-110913(P2020-110913)
(22)【出願日】2020年6月2日
【審査請求日】2020年6月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511270930
【氏名又は名称】株式会社エイチ・エス・エス
(72)【発明者】
【氏名】鳴海 雅之
【審査官】
堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】
実開平06−064619(JP,U)
【文献】
特開平08−186888(JP,A)
【文献】
特開平09−262202(JP,A)
【文献】
特開平11−127492(JP,A)
【文献】
特開平06−324685(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/003239(WO,A1)
【文献】
”(群馬)警戒度2に引き下げ カラオケやバーも休業解除”,朝日新聞デジタル,[online],2020年 5月31日,第1頁,[令和2年8月20日検索],インターネット <URL:https://www.asahi.com/articles/photo/AS20200530002725.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/12
A41D 13/08
A62B 17/00
A62B 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイク使用時の発声時の飛沫飛散防止のためのカバー板部と、
前記カバー板部の下部にそのカバー板部の横方向と交差して
手指に装着するための装着部を有することを特徴とする飛沫飛散防止カバー。
【請求項2】
手袋状の装置に、上記飛散防止カバーを組み合わせたことを特徴とする請求項1記載の飛沫飛散防止カバー。
【請求項3】
マイク集音部カバー部と手指装着部を有することを特徴とするマイク集音部カバーを備えた請求項1又は2に記載の飛沫飛散防止カバー。
【請求項4】
飛沫飛散防止カバーにマイクの集音障害の抑制ための吸音効果や、飛沫の飛散をさらに抑制するための吸着効果のある材質を取り付けることが出来る特徴を有する請求項1から3のうちいずれかに記載の飛沫飛散防止カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクを歌唱や演説、講義ならびに会議などに用いる際、周辺への唾液などの飛沫類の飛散の低減と、マイクのカバーの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイクなどを使用して、歌唱や演説、講義ならびに会議など行う際、周辺への唾液などの飛沫の飛散が起こってしまい、この飛沫が唾液臭や、感染症の感染源になってしまう恐れも考えられる。これの低減にはマスクなどを装着して行う事が望ましいが、マスクなどを装着した状態では、本来の音声が発声できなかったり、息苦しさを感じてしまう場合もある。
【0003】
カラオケ装置を店舗に有し、利用者にマイクを使用して歌唱などを行わせる料飲店ならびにカラオケボックスなどでは、1本または2本程度のマイクを、料飲店では1店舗で、カラオケボックスなどでは1部屋の利用者で使いまわすのが通常である。
【0004】
集会ならびに会議や授業、会見などを開催する際、参加者に発言内容が行き渡るよう、マイクを使用して発言を行うなどの際には、1本または少量本数のマイクを参加者で使いまわすことが一般的である。
【0005】
これら上記のような場面などでのマイクの使用は、不特定多数が使いまわすことになり、マイク自体が唾液や素手で持つことにより汚染されてしまったり、感染症などの感染源になる懸念があった。
【0006】
マイク本体の汚染の問題を解決するため、特許文献1では、マイク全体にカバーを取り付ける方法が開示されている。また、特許文献2では、マイク全体にカバーを取り付ける方法が開示されている。
【0007】
特許文献1に記載のカバーは、マイク本体をすべてカバー内に納めてしまうことにより、マイク自体の汚染を防止するようにしている。
特許文献2に記載のカバーは、マイク本体の集音部分のみ、樹脂で作られたカバーを磁石によって取り付けて保護するようにしている。また、これに類する形態として、集音部のみの保護は、このほかにも布や紙などで覆って保護する手段が多数散見される。
【0008】
発声時の飛沫防止の手段として、特許文献3に記載のような、一般的にマスクと呼称される物の装着が行われており、マスクの装着以外でカバーと類する物として、特許文献4に記載のような外部から身体を保護するような形態が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】登録実用新案第3017522公報
【特許文献2】特開2005−012604号公報
【特許文献3】特開2016−067671号公報
【特許文献4】特開2009−189543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これら従来のマイクカバーは、マイク本体のみを対象として、汚染などの保護を行っており、マイク本体に対しては有効な手段と考えられる。しかし、唾液などの飛沫の飛散による汚染はマイク本体のみだけでは無く周辺へも、カラオケボックスなど狭い空間の場合、部屋の広範囲にも影響を及ぼしてしまうことが考えられる。
【0011】
歌唱時や、会議や演説、講義の際に一般的なマスクを装着して行うと、本来の発声や、表情が発現されにくいと考えられる。
【0012】
本発明では、これらの問題を解決するために、手指に簡便に装着できることが可能な形状とすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するための方法として、請求項1の発明は、指に装着できる飛沫飛散防止カバーとした。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1の発明に手袋状の物を組み合わせ、マイクを持つ際に直接触れることのない形態とした。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1ないし2の発明にマイクの集音部カバーを付加した。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明は、飛沫飛散防止カバーとして、顔面の口まわりを対面から見た場合に、十分に覆って見えない程度の大きさとして、装着は指に取り付ける形態としたことにより、マイク本体はそのまま使用できることを特徴とする。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1の発明に手袋状の物を組み合わせることにより、マイク本体を直接触れることのないことを特徴とする。
【0018】
請求項3の発明は、請求項1ないし2の発明にマイク集音部カバーを組み合わせることにより、さらにマイクへの接触や汚染の低減ができることを特徴とする。また、この発明のみでも使用できる。
【0019】
請求項4の発明は、飛沫飛散防止カバーの影響によるマイクへの集音障害や、飛沫飛散の更なる抑制のため、スポンジ材や不織布など、吸音やフィルター機能または、吸着の機能がある材質を、飛沫飛散カバーに組み込むことを可能な構造とした。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図6】 飛沫飛散防止カバーマイク集音部カバー実施形態
【
図7】 飛沫飛散防止カバーマイク集音部カバー手袋状実施形態図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を
図1から
図8に基づいて説明する。
【0022】
図1は、飛沫飛散防止カバー11の各部を示す。
図1にて、飛沫飛散防止カバー板部01は使用者の顔面を対面から見たときに、口まわりを十分に覆って直接対面より口が見えず、且つ、飛沫を十分に止めることのできる適宜な大きさを有する軟質な樹脂、紙、木など柔軟性のある材質を用いることが望ましい。もちろん金属や硬質な樹脂でも製作できる。手指装着部02は手指に付けることのできる環状、または環状にすることのできるマジックテープなどの形態とし、環状の場合は伸縮性ならびに追従性のある樹脂、ゴムなどを用いることにより、手指への装着を容易、且つ、確実に行うことが出来る。
【0023】
図2においては、飛沫飛散防止カバー11を、手指12の右手人差し指の第2関節と指の付け根の間に取り付けた状態を示す。
【0024】
図3は、
図2の状態において、マイク13を握った状態を表す。マイク13は飛沫飛散防止カバー11の向こう側に位置する。
【0025】
図4は、手袋状
14に、飛沫飛散防止カバー11を取り付けたて実施している状態を示す。手袋状
14を使用することにより、直接マイク13に触れることなく、マイク13の使いまわしが行えるようになる。
【0026】
図5は、マイク集音部カバー15の各部を示す。
マイク集音部カバー部03は、飛沫飛散防止カバー11の手指装着部02と同様の物により手指に取り付けるため、一般的に使用されているマイクの集音部を覆える適当な大きさあれば、
マイク集音部カバー部03自体に、マイク本体へ取り付け方法などの実施が不要である。機能上、材質は発生した音声を阻害せずマイクへ伝達することのできる材質が望ましく、軟質な樹脂、紙などが適しているが、金属や硬質な樹脂でも製作できる。
【0027】
図6は、
図3の状態にマイク集音部カバー15を実施した形態を示す。マイク集音部カバー15は、飛沫飛散防止カバー11とともに、手指12の右手人差し指の第2関節と指の付け根の間に取り付けた状態で、手前より、飛沫飛散防止カバー11、マイク集音部カバー15、マイク集音部カバー15の中にマイク13がある状態を表す。
【0028】
図7は、
図4の状態にマイク集音部カバー15を実施した形態を示す。この状態においては、使用者は手袋状
14を介して、マイク13を握り、その状態でマイク13の集音部に、マイク集音部カバー15を、装着している手指に対して回転するように被せ、飛沫飛散防止カバー11の位置を調整することにより、
マイク13には触れることが無く、且つ、飛沫によるマイク13の汚染や、周辺への飛沫の飛散を抑制する効果が期待できる。
【0029】
図8は、飛沫飛散防止カバー11に、スポンジ材など16を取り付けた状態を示す。マイク13の直近に飛沫飛散防止カバー11が位置した場合、音声が飛沫飛散防止カバー11に反響して、マイク13の集音の障害になることが予想できる。この集音障害の抑制と、周辺への飛沫飛散の更なる抑制のために、スポンジ材や不織布などを、スポンジ材など16として、飛沫飛散防止カバー11に取り付けることにより、これらの吸音、飛沫の吸着対策とすると同時に、このスポンジ材など16を使い捨てとして交換可能な構造とする。
【0030】
本発明は、上記記述及び図面にて説明した実施形態に限定されるものではなく、例として、本発明の実施形態の説明では、飛沫飛散防止カバー11は簡易に板状にて説明をしているが、くちばし状や皿形状などの形態でも同様の効果があるものは適用することができ、また、マイクの使用時にかかわらず、同様に手指で握る動作を伴う、飛沫飛散防止対策に広く適用することが出来る。
【符号の説明】
【0031】
01 飛沫飛散防止カバー板部
02 手指装着部
03
マイク集音部カバー部
11 飛沫飛散防止カバー
12 手指
13 マイク
14 手袋状
15 マイク集音部カバー
16
スポンジ材
【要約】
【課題】マイクを使用して歌唱ならびに演説などを行った際、周囲に対する唾液などの飛沫の飛散を低減し、マイク本体の防汚や使用者のマイクからの感染を抑制する効果を提供する。
【解決手段】本発明は、第1に飛散防止カバー11を有する。第2にマイク本体への接触を避けるために手袋状14を有する。第3にマイク集音部への接触を防止するためにマイク集音カバー15を有する。第4に飛散防止カバー11にマイクの集音障害のための吸音材や飛沫の吸着材となる材質の取り付けも可能である。
【選択図】
図7