(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記組立型三尖弁逆流症手術用器具は、内部に前記組立型三尖弁逆流症手術用器具を挿入することができるルーメン(lumen)が形成されたチューブ状のシースチューブをさらに含み、
体内への進入時に前記組立型三尖弁逆流症手術用器具が窄まった状態で前記シースチューブ内に挿入されて移動し、
目標位置への到達時に前記シースチューブを除去すると、前記組立型三尖弁逆流症手術用器具が展開されることを特徴とする、請求項1に記載の組立型三尖弁逆流症手術用器具。
【背景技術】
【0002】
心臓は、左心房、左心室、右心房、右心室の4つの空間からなり、大動脈、大静脈、肺動脈及び肺静脈に繋がっている。心室と心房の間には弁が存在し、左心房と左心室との間の弁は僧帽弁とし、右心房と右心室との間の弁は三尖弁とする。
【0003】
心臓は、収縮作用と弛緩作用を繰り返して血液が流れるようにし、心臓の収縮期には心臓内の血液が血管へ移動するが、右心室からは肺動脈へ、左心室からは大動脈へと血液が移動する。
【0004】
ところが、弁が正常に作動しなければ、心臓の収縮時に血管に流れるべき血液が再び心房へ移動する血液の逆流が発生する。
【0005】
三尖弁逆流症は、右心房と右心室との間の三尖弁が伸びたり、三尖弁が破れたり、弁を固定する腱索が切れたりして、三尖弁が閉となるべきときに完全に閉められないためオリフィスが発生し、前記オリフィスを介して心臓の収縮時に右心室の血液が右心房へ逆流する症状をいう。これを三尖弁閉鎖不全症とも呼ぶ。
【0006】
米国登録特許第8486136号、米国登録特許第7854762号および米国登録特許第9474605号は、三尖弁逆流症を手術するための器具であって、前記三尖弁逆流症手術器具は、上大静脈−三尖弁−右心室へと挿入されて遮断部が三尖弁のオリフィスを塞いで三尖弁逆流症を治療する。前記三尖弁逆流症手術器具は、一端に設置されたアンカーが心室に固定され、他端が上大静脈を通過して心臓の外部に固定される。よって、これらの従来特許の前記遮断部は、三尖弁オリフィス(orifice)の中心に垂直(longitudinal orientation)に貫通して心臓内に浮かんでいる不安定な状態で位置する。
【0007】
従来の三尖弁逆流症手術用器具の固定装置は、心室及び心臓の外部に固定される。心臓は、横隔膜の上に位置して呼吸時の横隔膜の上下動に応じて心臓も上下に動くので、従来の三尖弁逆流症手術用器具は、呼吸時の横隔膜の動きに応じて上下に動く。このような動きが繰り返されると、遮断部が三尖弁オリフィスの中心から外れるという問題点がある。遮断部が三尖弁オリフィスの中心から外れると、むしろ弁機能に逆効果をもたらす。
【0008】
また、本発明者によって発明された韓国登録特許第10−1805679号では、冠状静脈洞と心室中隔とを連結して、三尖弁を斜めに貫通する(oblique orientation)遮断部を有する三尖弁逆流症手術用器具を出願して登録を受けた。前記遮断部が心臓の内部に安定的に位置するが、心室中隔を貫通する相対的に難しい手術が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、かかる問題点を解決するためのもので、その目的は、下大静脈−三尖弁−肺動脈を介して移動して簡単に三尖弁逆流症を治療することができる組立型三尖弁逆流症手術用器具を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、三尖弁オリフィスに斜めに貫通して安定的に三尖弁オリフィスを塞ぐことができる組立型三尖弁逆流症手術用器具を提供することにある。
【0012】
本発明の別の目的は、呼吸時の横隔膜の動きに影響を受けずに三尖弁オリフィスの中心位置(centerline orientation)の維持が容易な組立型三尖弁逆流症手術用器具を提供することにある。
【0013】
本発明の別の目的は、手術の際に三尖弁オリフィスを正確に遮断するために位置調節が容易な組立型三尖弁逆流症手術用器具を提供することにある。
【0014】
本発明の目的は、上述した目的に限定されず、上述していない別の目的は、以降の記載から本発明の技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解できるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明に係る組立型三尖弁逆流症手術用器具は、肺動脈に設置される肺動脈固定部材と、連結ワイヤーに沿って移動できるように内部に連結チューブルーメンが形成された連結チューブと、前記肺動脈固定部材の下端に結合される第1組立体、及び前記連結チューブの上端に結合される第2組立体を備え、前記肺動脈固定部材と前記連結チューブが組み立てられるようにする組立部と、前記連結チューブの下端に結合されて下大静脈に設置される下大静脈固定部材と、前記連結チューブの一側に結合されて三尖弁を斜めに貫通して三尖弁オリフィスを遮断する遮断部とを含む。
【0016】
前記第1組立体の内周面にはねじ山が形成され、前記第2組立体の外周面には前記第1組立体のねじ山に対応するねじ山が形成されることにより、前記第1組立体と前記第2組立体とが螺合されることを特徴とする。
【0017】
他の実施形態に係る前記第1組立体は球状であり、前記第2組立体は前記第1組立体を包み込むトング形状に弾性を有する弾性トングであることを特徴とするが、前記第1組立体に向かって前記第2組立体を押すと、前記第1組立体の外面に沿って前記第2組立体が広がってから弾性によって再び元の状態に戻ることを特徴とする。
【0018】
別の実施形態に係る前記第1組立体は側面に締結溝が設けられ、前記第2組立体は側面に締結突起が設けられたことを特徴とするが、前記第1組立体に向かって前記第2組立体を押すと、前記締結突起が前記締結溝に挿入されて前記第1組立体と前記第2組立体とが組み立てられることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の好適な実施形態に係る前記組立型三尖弁逆流症手術用器具は、前記第1組立体の一側に結合され、内周面にねじ山が形成された第1連結ワイヤー組立体と、前記連結ワイヤーの上端に結合され、外周面には前記第1連結ワイヤー組立体に形成されたねじ山に対応するねじ山が形成された第2連結ワイヤー組立体とを備える連結ワイヤー組立部をさらに含み、前記連結ワイヤー組立部は、螺合され、前記連結ワイヤーの回転によって結合が解除されることを特徴とする。
【0020】
本発明の好適な実施形態に係る前記肺動脈固定部材及び前記下大静脈固定部材は、放射状構造を持つことを特徴とする。
【0021】
本発明の好適な他の実施形態に係る前記肺動脈固定部材及び前記下大静脈固定部材は、リボン状に形成されることを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る前記組立型三尖弁逆流症手術用器具は、内部に前記組立型三尖弁逆流症手術用器具を挿入することができるルーメン(lumen)が形成されたチューブ状のシースチューブをさらに含み、体内への進入時に前記組立型三尖弁逆流症手術用器具が窄まった状態で前記シースチューブ内に挿入されて移動し、目標位置への到達時に前記シースチューブを除去すると、前記組立型三尖弁逆流症手術用器具が展開されることを特徴とする。
【0023】
本発明の好適な実施形態に係る前記遮断部は、両端が前記連結チューブに結合される支持ワイヤーと、一側が前記連結チューブに固定され、前記支持ワイヤーによって支持される遮断膜(membrane)とをさらに含むことを特徴とする。
【0024】
本発明の好適な他の実施形態に係る前記遮断部は、膨張または収縮することができるバルーン状の遮断バルーン(blocking balloon)であるが、上端が前記遮断バルーンに連結されて連通するバルーンチューブと、前記バルーンチューブの他端に連結されて患者の体外に設置され、前記遮断バルーンを膨張または収縮させるバルーン調節器とをさらに含むことを特徴とする。
【0025】
本発明の好適な別の実施形態に係る前記遮断部は、前記連結チューブが貫通するように設置され、中心軸が前記連結チューブに斜めに形成されたリング状ワイヤーと、前記連結チューブと前記リング状ワイヤーとを連結する遮断膜(membrane)とをさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る組立型三尖弁逆流症手術用器具は、下大静脈−三尖弁−肺動脈へと移動して簡単に遮断部を三尖弁オリフィスに位置させることができる。
【0027】
また、本発明に係る組立型三尖弁逆流症手術用器具を用いると、非侵襲的な手術方法と短い手術時間で三尖弁逆流症を治療することができる。
【0028】
また、遮断部が三尖弁オリフィスの中心を斜めに貫通して安定的に三尖弁オリフィスを塞ぐことができる。
【0029】
また、肺動脈及び下大静脈に固定部材を固定することにより、呼吸の際に横隔膜の動きに影響を受けないため遮断部の位置変動がない。
【0030】
また、本発明に係る組立型三尖弁逆流症手術用器具は、三尖弁の下部構造である腱索(chorda tendineas)または乳頭筋(papillary muscle)とは相互作用が殆どないため、これによる問題発生のおそれがない。
また、体内組立型で三尖弁オリフィスに遮断部が正確に位置するように調整可能なので、患者に応じてカスタムメイド手術が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照すると明確になるだろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現されるものであり、但し、本実施形態は、本発明の開示を完全たるものにし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇によって定義されるだけである。
【0033】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
【0034】
本発明に係る組立型三尖弁逆流症手術用器具は、体内で構成品が組み立てられて一つの装置になり、患者に応じて容易に遮断部の位置を調節して、三尖弁の不完全な閉鎖現象により発生するオリフィスを塞いで三尖弁逆流症を治療することが特徴である。
【0035】
図1は本発明の好適な実施形態に係る組立型三尖弁逆流症手術用器具の斜視図である。
【0036】
図1を参照すると、本発明の好適な実施形態に係る組立型三尖弁逆流症手術用器具は、遮断部10、連結チューブ20、肺動脈固定部材30、下大静脈固定部材60及び組立部70を含む。
【0037】
まず、本発明の好適な実施形態による肺動脈固定部材30について説明すると、前記肺動脈固定部材30は、肺動脈に設置されるもので、下端が前記組立部70に結合され、放射状構造を持つことを特徴とする。
【0038】
前記肺動脈固定部材30は、金属製(ステンレス鋼、金属製にナイロンコーティングなど)ワイヤーなどが使用でき、形状記憶合金または弾性体または自己拡張型ステント(self expandable stent)で構成される。
【0039】
自己拡張型ステントは、ニチノール(Nitinol)合金を用いてフレームを作って自己膨張が可能なステントを意味する。
【0040】
前記肺動脈固定部材30は、下端が前記組立部70に結合され、上端が上側に向かって放射状に広がっているもので、体内への進入のためにシースチューブ40への挿入の際に窄まった状態で挿入される。肺動脈の目標位置に到達して前記シースチューブ40の外部に突出すると、前記肺動脈固定部材30が広がって元の状態に復元され、肺動脈に設置されることを特徴とする。
【0041】
前記シースチューブ40は、一般なカテーテル(catheter)などの形状であって、内部に前記組立型三尖弁逆流症手術用器具が挿入されるルーメンが形成されたものである。
【0042】
前記シースチューブ40は、大腿部で手術者が操作することができるように十分に長く形成されたものである。前記シースチューブ40の材質は、ゴム材、延性プラスチック材などの合成樹脂材であってもよく、延性が高く、心臓の拍動に応じて動ける柔軟性及び復元性に優れた材質が使用される。
【0043】
前記肺動脈固定部材30の下端に結合された前記組立部70は、三角柱状、四角柱状などの多角柱状であってもよいが、円柱状であることが好ましい。
【0044】
前記組立部70については、
図2を参照して詳細に説明する。
【0045】
図2は本発明の好適な実施形態に係る組立部の斜視図である。
図2を参照すると、前記組立部70は、第1組立体72と第2組立体74を含む。
【0046】
前記第1組立体72は、下面から上方に陥没した形状(П)であって、上面は閉鎖され下面は開放されたものである。前記第1組立体72の内周面にはねじ山が形成される。
【0047】
また、前記第1組立体72の陥没した空間の内側上面には連結ワイヤー組立部90が結合される。前記連結ワイヤー組立部90の下面には連結ワイヤー80の一端が結合される。前記連結ワイヤー組立部90については、
図3を参照してより詳細に説明されるだろう。
【0048】
前記第2組立体74は、前記連結チューブ20の上端に結合されたもので、外周面には前記第1組立体72に形成されたねじ山と対応するねじ山が形成され、内部が中空になっており、前記連結ワイヤー組立部90及び前記連結ワイヤー80が挿入されることを特徴とする。
【0049】
前記第2組立体74の直径は、前記第1組立体72の直径よりも小さいことが好ましく、前記第2組立体74が前記第1組立体72の陥没空間に挿入されて螺合される。まず、より便利な手術のためには、体内に挿入される前記第1組立体72の直径が前記第2組立体74の直径よりも大きく形成されなければならない。
【0050】
前記第1組立体72と前記第2組立体74は、螺合を容易にするために、剛性の金属製(ステンレス鋼、金属製にナイロンコーティング)またはプラスチック材で構成されることを特徴とする。
【0051】
前記第1組立体72と前記第2組立体74とが半分以上結合された状態で、前記組立部70は、心臓の動きによって解体されない程度の結合力を持つ。
【0052】
したがって、前記第2組立体74は、前記第1組立体72との結合後にさらに回転可能であり、この時、前記第2組立体74の回転方向は、前記組立部70がよりさらに結合できる方向に回転することが好ましい。手術者が前記連結チューブ20を左右に動かすにつれて前記第2組立体74が回転し、前記連結チューブ20に結合された前記遮断部10が左右に移動して前記遮断部10の位置が調節される。
【0053】
再び
図1を参照すると、前記連結チューブ20は、前記連結ワイヤー80に沿って移動するように内部に連結チューブルーメン22が形成される。前記連結チューブ20の直径は、前記第2組立体74と同様に形成されることが好ましいが、これに限定されない。
【0054】
前記連結チューブ20は、ゴム材、延性プラスチック材などの合成樹脂材であってもよく、延性が高く、心臓の拍動に応じて動ける柔軟性及び復元性が優れた材質が使用される。
【0055】
前記連結チューブ20の上端には前記第2組立体74が結合され、前記連結チューブの下端には前記下大静脈固定部材60が結合される。
【0056】
前記下大静脈固定部材60は、下大静脈に設置されるものであり、前記下大静脈固定部材60の下端は、前記連結チューブ20の下端から前記連結チューブ20の外周面に沿って結合され、前記下大静脈固定部材60の上端は、前記連結チューブ20の上方に広がる放射状構造で形成される。
【0057】
前記下大静脈固定部材60は、金属製(ステンレス鋼、金属製にナイロンコーティングなど)ワイヤーなどが使用でき、形状記憶合金または弾性体または自己拡張型ステント(self expandable stent)で構成される。
【0058】
前記自己拡張型ステント(self expandable stent)は、ニチノール(Nitinol)合金を用いてフレームを作って自己膨張が可能なステントを意味する。
【0059】
前記下大静脈固定部材60は、体内への挿入のために、前記シースチューブ40への挿入時に窄まった形で挿入され、前記シースチューブ40を除去すると、広がって元の状態に復元されて下大静脈に設置される。
【0060】
前記遮断部10は、三尖弁オリフィスに斜めに貫通して前記オリフィスを遮断するもので、前記連結チューブ20の一側に結合される。
【0061】
前記遮断部10は、両端が前記連結チューブ20に結合される支持ワイヤー14と、一側が前記連結チューブ20に固定され、前記支持ワイヤー14によって支持される遮断膜(membrane)12とを含む。
【0062】
前記遮断部10は、前記シースチューブ40への挿入の際に、前記連結チューブ20の外周面を包み込む形で曲がって挿入される。前記遮断部10のさまざまな実施形態は、
図7で詳細に説明される。
【0063】
図3は本発明の好適な実施形態に係る連結ワイヤー組立部の断面図である。
図3を参照すると、前記連結ワイヤー組立部90は、第1連結ワイヤー組立体92と第2連結ワイヤー組立体94を含む。前記連結ワイヤー組立部90は円柱状に形成されたことが好ましい。
【0064】
前記第1連結ワイヤー組立体92は、上述したように、前記第1組立体72の陥没部分の内側上面に結合されることが好ましいが、これに限定されない。
【0065】
前記第1連結ワイヤー組立体92は、前記第1組立体72と同様の形状であって、下面から上方に陥没した形状(П)であり、陥没した部分の内周面にねじ山が形成されたものである。
【0066】
前記第2連結ワイヤー組立体94の外周面には、前記第1連結ワイヤー組立体92のねじ山と対応するねじ山が形成され、前記第1連結ワイヤー組立体92と前記第2連結ワイヤー組立体94とは螺合される。
【0067】
前記連結ワイヤー80は、上端が前記第2連結ワイヤー組立体94の下面に接合されるものであり、下端は大腿部を介して体外に位置するように十分に長く形成されたものである。前記連結ワイヤー80は、前記ガイドワイヤー50と同じ材質で構成され、ナイロンなどの合成樹脂または金属製(ステンレス鋼、金属製にナイロンコーティングなど)ワイヤーなどが使用できる。
【0068】
体外で前記連結ワイヤー80を回転させることにより、前記連結ワイヤー組立部90が結合または解除される。
【0069】
図4は本発明の好適な他の実施形態に係る第1組立部および第2組立部を示すもので、第2組立部が第1組立部に結合される過程を示す。
【0070】
本発明の好適な他の実施形態に係る組立部70について説明すると、第1組立体72は、球状に形成されることが好ましく、金属製または剛性のプラスチック製などの硬い材質で構成される。
【0071】
第2組立体74は、前記第1組立体72を包み込むように内面が丸いトング形状であって、弾性を有することが特徴である。前記第2組立体74は、手術者が前記第1組立体72に向かって押すと、前記第1組立体72の下端から丸い外面に沿って広がってから、前記第1組立体72の上端に到達すると、弾性によって再び元の状態に復元される。最終的な結合状態は、前記第2組立体74が前記第1組立体72全体を包み込んで結合される状態である。
【0072】
本発明の好適な他の実施形態に係る第1組立体72と第2組立体74との結合は心臓の動きに影響を受けないが、体外で手術者が加える力によって左右に回転可能である。手術者が前記連結チューブ20を左右に動かすにつれて、前記第2組立体74が左右に回転し、前記連結チューブ20に結合された前記遮断部10が前記連結チューブ20に沿って動くので、位置を調節することができる。
【0073】
この時、前記第1連結ワイヤー組立体92は、前記第1組立体72の下面に結合され、前記連結ワイヤー組立部90及び前記連結ワイヤー80の形状は、
図3で上述したのと同じである。
【0074】
図5は本発明の好適な別の実施形態に係る組立部の斜視図である。
【0075】
図5を参照すると、本発明の好適な別の実施形態による第1組立体72は、側面に締結溝72aが設けられた円柱状であり、前記締結溝72aは、高さよりも幅がさらに長く形成されたものである。好ましくは、前記第1組立体72は、下面から上方に陥没したものであって、前記第1組立体72の陥没部分に第2組立体74が挿入されて結合される。
【0076】
前記第2組立体74は、円柱状であって、前記第1組立体72の直径よりも小さい直径を有するように形成されることが好ましく、外周面の一側に設けられた締結突起74aを含む。前記締結突起74aは、弾性を持ち、下部が上部よりも厚く形成されたことを特徴とする。
【0077】
前記締結突起74aは、前記第2組立体74が前記第1組立体72に挿入されるために、前記第2組立体74を上方に押すと押圧され、前記締結突起74aが前記締結溝72aに到達すると再び復元され、前記締結突起74aが前記締結溝72aに係合されるようにして前記組立部70が組み立てられる。
【0078】
前記締結突起74aは、心臓の動きには影響を受けず、前記組立部70の結合が解除されない。前記締結突起74aは、体外で手術者が加える力によって、前記締結溝72a内で幅方向に移動可能である。手術者が前記連結チューブ20を左右に動かすにつれて、前記第2組立体74が左右に回転して前記遮断部10の位置を調節することができる。
【0079】
また、前記第2組立体74は、内部が中空になっており、前記連結ワイヤー組立部90または前記連結ワイヤー80が挿入されることを特徴とする。前記第1連結ワイヤー組立体92は、前記第1組立体72の陥没部分の上面に結合され、その形状は
図3で上述したのと同じである。
【0080】
図6は本発明に係る他の肺動脈固定部材及び下大静脈固定部材が設置された組立型三尖弁逆流症手術用器具を示す斜視図である。
【0081】
図6を参照すると、他の肺動脈固定部材30及び下大静脈固定部材60は、中心部が凸なリボン状に形成され、金属製(ステンレス鋼、金属製にナイロンコーティングなど)ワイヤーなどが使用でき、形状記憶合金または弾性体または自己拡張型ステント(self expandable stent)で構成される。
【0082】
前記自己拡張型ステント(self expandable stent)は、ニチノール(Nitinol)合金を用いてフレームを作って自己膨張が可能なステントを意味する。
【0083】
前記肺動脈固定部材30及び前記下大静脈固定部材60は、前記シースチューブ40への挿入時に窄まり、前記シースチューブ40の除去時に中心部が凸なリボン状に復元されて肺動脈または下大静脈に設置されることを特徴とする。
【0084】
図7は本発明に係る様々な遮断部の実施形態を示す斜視図である。
【0085】
図7(a)の遮断部10は、
図1で上述したように遮断膜12と支持ワイヤー14で構成され、三尖弁の不完全な閉鎖現象により発生するオリフィスを塞ぐものである。前記支持ワイヤー14は、両端が前記連結チューブ20に結合され、前記遮断膜12は、一側が前記連結チューブ20に固定され、前記支持ワイヤー14によって支持される。
【0086】
前記支持ワイヤー14の材質は、ナイロンなどの合成樹脂または金属製(ステンレス鋼、金属製にナイロンコーティングなど)ワイヤーなどが使用できる。前記遮断膜12は、延性を持つが、破れ難く、人体適合な材質が使用され、好ましくは、医療用ポリウレタン、ポリオレフィン、シリコン、e−PTFE、PTFEなどが使用されることが好ましい。前記遮断膜12は、一重または二重以上からなる。
【0087】
図7(a)の前記遮断部10は、前記シースチューブ40への挿入の際に、前記連結チューブ20の外周面に巻かれた形で挿入され、前記シースチューブ40の除去の際に、広がった形で復元されて三尖弁オリフィスを塞ぐことが特徴である。
【0088】
図7(b)の遮断部10は、遮断バルーン16、バルーンチューブ17及びバルーン調節器18を含む。前記遮断バルーン16は、前記連結チューブ20の一側に設置され、三尖弁の不完全な閉鎖現象により発生するオリフィスを遮断する。前記バルーンチューブ17は、一端が前記遮断バルーン16に結合されて気密を維持しながら連通し、他端は体外に位置する前記バルーン調節器18と結合される。
【0089】
手術者が体外で前記バルーン調節器18を調節して前記バルーンチューブ17を介して前記遮断バルーン16へ空気を供給すると、前記遮断バルーン16が膨らみ出し、空気を抜くと、前記遮断バルーン16が縮む。前記バルーン調節器18は、空気、酸素、フォーム(Form)を注入するもので、体外で手術者によって供給量が調節され、これにより前記遮断バルーン16の大きさが変更される。前記遮断バルーン16の大きさは、心臓の収縮時に三尖弁の不完全な閉鎖現象により発生するオリフィスの大きさに合わせて調整可能である。
【0090】
図7(c)の遮断部10は、遮断膜12及びリング状ワイヤー19を含む。前記リング状ワイヤー19は、前記連結チューブ20が貫通するように設置され、中心軸が前記連結チューブ20に斜めに形成され、前記遮断膜12は、前記連結チューブ20と前記リング状ワイヤー19とを連結する。前記リング状ワイヤー19は、中心軸が前記連結チューブ20に斜めに形成されるので、一定の角度傾いている三尖弁と平行に位置するので、三尖弁オリフィスを効果的に遮断することができる。前記リング状ワイヤー19の材質は、ナイロンなどの合成樹脂または金属製(ステンレス鋼、金属製にナイロンコーティングなど)ワイヤーなどが使用できる。また、前記遮断膜12の材質は
図7(a)の遮断膜の材質と同一である。
【0091】
図8乃至
図12は本発明の好適な実施形態に係る組立型三尖弁逆流症手術用器具を用いて手術する方法を順次示す。
【0092】
図8を参照すると、下大静脈−三尖弁−肺動脈へとガイドワイヤー50がまず挿入され、前記組立型三尖弁逆流症手術用器具が体内へ容易に移動できるように経路を提供する。前記ガイドワイヤー50の材質は、ナイロンなどの合成樹脂または金属製(ステンレス鋼、金属製にナイロンコーティングなど)ワイヤーなどが使用でき、約0.014”内外のものを使用することが好ましい。
【0093】
その後、前記ガイドワイヤー50に沿ってシースチューブ40が体内に挿入される。
【0094】
図9に示すように、前記ガイドワイヤー50を除去し、前記シースチューブ40内に、肺動脈固定部材30、前記肺動脈固定部材30に結合された第1組立体72、前記第1組立体72に結合された連結ワイヤー組立部90、及び前記連結ワイヤー組立部90に結合された連結ワイヤー80が挿入される。
【0095】
この時、前記連結ワイヤー80の下端は、体外に位置し、手術者が調節することができる。前記連結ワイヤー80を上方に押すことにより、肺動脈に肺動脈固定部材30が広がって設置されるようにする。
【0096】
次に、
図10に示すように、前記シースチューブ40に、連結チューブ20、連結チューブ20の一側に結合された遮断部10、連結チューブ20の下端に結合された下大静脈固定部材60、及び連結チューブ20の上端に結合された第2組立体74を挿入する。
この時、前記連結ワイヤー80を前記連結チューブ20に挿入し、前記連結ワイヤー80に沿って体内を移動する。
【0097】
前記遮断部10と前記下大静脈固定部材60は、汎用カテーテル(図示せず)内に挿入されて窄まった状態で前記シースチューブ40に挿入され、前記汎用カテーテル(図示せず)は、大腿部で操作できるように長く形成される。
【0098】
この時、前記シースチューブ40が除去され、前記汎用カテーテル(図示せず)内に挿入された前記遮断部10及び前記下大静脈固定部材60が前記連結ワイヤー80に沿って挿入されることも可能である。
【0099】
前記汎用カテーテル(図示せず)を回転させたり押したりして、前記第2組立体74を前記第1組立体72と組み立てて本発明に係る組立型三尖弁逆流症手術用器具を一つの装置に作る。前記汎用カテーテル(図示せず)は本段階で体外に除去される。
【0100】
その後、
図11に示すように、前記シースチューブ40を下方に引いて前記遮断部10が前記シースチューブ40の外部へ突出するようにし、大腿部内で前記シースチューブ40を左右に調節して回転させることにより、前記シースチューブ40に挿入された前記連結チューブ20が回転するようにする。前記連結チューブ20が回転することにより、前記連結チューブ20の上端に結合された前記第2組立体74が回転する。これは、前記組立部70の結合力に影響を与えない。また、前記連結チューブ20が回転することにより、前記連結チューブ20に結合された前記遮断部10が回転するので、前記遮断部10の位置が調節される。
【0101】
患者によって異なる三尖弁オリフィスに位置するように前記遮断部10の位置が調節されると、前記シースチューブ40を下方に引いて前記下大静脈固定部材60が下大静脈に広がって固定されるようにする。
【0102】
最後に、
図12に示すように、前記シースチューブ40を体外に完全に除去し、前記連結ワイヤー組立部90の螺合を解除した後、前記連結ワイヤー80を体外に除去することにより、本発明に係る組立型三尖弁逆流症手術用器具が体内に設置される。
【0103】
上述したように、本発明に係る組立型三尖弁逆流症手術用器具は、体内組立型であって、三尖弁オリフィスに遮断部が正確に位置するように調節可能なので、患者によってカスタムメイド手術が可能である。
【0104】
以上、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想または必須の特徴を変更することなく様々な具体的形態で実施できることを理解することができるだろう。したがって、上述した実施形態は、あらゆる面で例示的なもので、限定的なものではないと理解されるべきである。