特許第6852265号(P6852265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6852265
(24)【登録日】2021年3月15日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】ハブユニット
(51)【国際特許分類】
   B60B 35/18 20060101AFI20210322BHJP
   F16C 33/80 20060101ALI20210322BHJP
   G01P 3/487 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   B60B35/18 C
   F16C33/80
   G01P3/487 C
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-33155(P2016-33155)
(22)【出願日】2016年2月24日
(65)【公開番号】特開2017-149253(P2017-149253A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2019年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128211
【弁理士】
【氏名又は名称】野見山 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100145171
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】漆川 賢治
【審査官】 上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−162677(JP,A)
【文献】 特開2009−006990(JP,A)
【文献】 特開2009−180533(JP,A)
【文献】 特開2006−057818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 35/18
F16C 33/80
G01P 3/487
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側の支持部材に取り付けられる外方部材と、
車輪が取り付けられるフランジ部を有すると共に等速ジョイントの外側継手部材が相対回転不能に連結され、前記外方部材に対して回転する内方部材と、
前記外方部材及び前記内方部材にそれぞれ形成された軌道面を転動する複数の転動体と、
前記内方部材と共に回転し、前記内方部材の回転方向に沿って複数の磁極が形成された環状の磁気エンコーダと、
前記外方部材と前記外側継手部材との間に配置されたシール構造部とを備え、
前記シール構造部は、
前記磁気エンコーダの前記複数の磁極の磁界を検出する磁界センサを保持する保持部、及び前記外側継手部材の外周囲に配置される円筒部を有し、前記外方部材に固定されたセンサホルダと、
前記外側継手部材に固定された環状のデフレクタとを備え、
前記デフレクタは、前記円筒部の外周面に第1隙間を介して対向する大径筒部と、前記円筒部の軸方向端面に第2隙間を介して対向する環状板部と、前記円筒部の内周面に第3隙間を介して対向する小径筒部とを一体に有し、前記小径筒部が前記外側継手部材の外周面に嵌め合わされて固定されており、
前記センサホルダは、前記円筒部の軸方向一方側端部が前記外方部材に固定されると共に前記円筒部の軸方向他方側端部が前記デフレクタの前記大径筒部と前記小径筒部との間に配置され、前記保持部が前記軸方向一方側端部と前記軸方向他方側端部との間の軸方向中央部に設けられており、
前記小径筒部及び前記大径筒部が前記環状板部によって接続され、前記第1隙間と前記第3隙間とが前記第2隙間を介して連通してラビリンスシールを構成する、
ハブユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体に対して車輪を回転可能に支持する車両用のハブユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車体に対して車輪を回転自在に支持するハブユニットは、例えば特許文献1に示されるように、懸架装置に連結されたナックルに内嵌される筒状の外方部材と、車輪が取り付けられる内方部材と、外方部材と内方部材との間に配置された複数の転動体とを備えた軸受構造部を有している。内方部材の中心部には、車両の駆動力を伝達するドライブシャフトの出力部材である等速ジョイントの外側継手部材が嵌合する嵌合孔が形成されている。内方部材は、等速ジョイントの外側継手部材から受けた駆動力を車輪に伝達する。
【0003】
特許文献1に記載のハブユニットは、軸受構造部への異物の侵入を防ぐための一対のシール部材が外方部材の軸方向両端部に配置されている。このうち、ドライブシャフト側のシール部材は、外方部材に固定された第1のシール板と、第1のシール板に取り付けられたシールゴムと、シールゴムのサイドリップに摺接する第2のシール板と、第2のシール板に付設された磁気エンコーダとを有している。第2のシール板は、内方部材に嵌着されている。磁気エンコーダは、第2のシール板を介して内方部材に連結され、内方部材と一体に回転する。磁気エンコーダには、内方部材の回転方向に沿って複数の磁極が形成されている。
【0004】
また、特許文献1に記載のハブユニットは、外方部材の端部の外周面に圧入固定される芯金と、芯金に付設される樹脂部と、樹脂部に埋設された回転速度センサとを有する。回転速度センサは、磁気エンコーダにエアギャップを介して対向配置され、磁気エンコーダの磁極の磁界を検出する。芯金は、円筒状の本体筒部と、本体筒部から内径側へ延びる内径壁部と、本体筒部と内径壁部とを連結する重合部とを備える。重合部は、外方部材の端部に外嵌される。また、本体筒部には、外径方向に延びるリング状の鍔部が形成され、この鍔部に重合部を外方部材に圧入する際の圧入力が付与される。
【0005】
鍔部を含む本体筒部は、ナックルの内周面との間でラビリンスシールを構成する。このラビリンスシールにより、軸受構造部側への異物の侵入が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−180533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のように構成されたハブユニットでは、ラビリンスシールによる異物侵入抑制効果を十分に発揮させるために、ナックルの軸方向の厚みを厚くして内周面の幅を広げると共に、ナックルの内周面を等速ジョイントの外側継手部材に近接させて芯金の本体筒部との間隔を狭くしなければならない。このため、ナックルの設計に制約が生じてしまい、搭載可能な車種が限定されたり、ナックルの重量増加を招来してしまうおそれがある。
【0008】
そこで、本発明は、ナックルの設計を制約することなく、外方部材と等速ジョイントの外側継手部材との間からの異物の侵入を抑制するシール部を構成することが可能なハブユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の目的を達成するため、車体側の支持部材に取り付けられる外方部材と、車輪が取り付けられるフランジ部を有すると共に等速ジョイントの外側継手部材が相対回転不能に連結され、前記外方部材に対して回転する内方部材と、前記外方部材及び前記内方部材にそれぞれ形成された軌道面を転動する複数の転動体と、前記内方部材と共に回転し、前記内方部材の回転方向に沿って複数の磁極が形成された環状の磁気エンコーダと、前記外方部材と前記外側継手部材との間に配置されたシール構造部とを備え、前記シール構造部は、前記磁気エンコーダの前記複数の磁極の磁界を検出する磁界センサを保持する保持部、及び前記外側継手部材の外周囲に配置される円筒部を有し、前記外方部材に固定されたセンサホルダと、前記外側継手部材に固定された環状のデフレクタとを備え、前記デフレクタは、前記円筒部の外周面に第1隙間を介して対向する大径筒部と、前記円筒部の軸方向端面に第2隙間を介して対向する環状板部と、前記円筒部の内周面に第3隙間を介して対向する小径筒部とを一体に有し、前記小径筒部が前記外側継手部材の外周面に嵌め合わされて固定されており、前記センサホルダは、前記円筒部の軸方向一方側端部が前記外方部材に固定されると共に前記円筒部の軸方向他方側端部が前記デフレクタの前記大径筒部と前記小径筒部との間に配置され、前記保持部が前記軸方向一方側端部と前記軸方向他方側端部との間の軸方向中央部に設けられており、前記小径筒部及び前記大径筒部が前記環状板部によって接続され、前記第1隙間と前記第3隙間とが前記第2隙間を介して連通してラビリンスシールを構成する、ハブユニットを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るハブユニットによれば、ナックルの設計を制約することなく、外方部材と等速ジョイントの外側継手部材との間からの異物の侵入を抑制するシール部を構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る磁気エンコーダが装着されたハブユニットの全体構成を示す断面図である。
図2図1の一部を拡大して示す拡大図である。
図3】センサホルダを示し、(a)は車両アウタ側から見た平面図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は(b)のB部拡大図である。
図4】センサホルダの斜視図である。
図5】センサホルダのセンサ保持部を磁界センサと共に示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施の形態]
本発明の実施の形態について、図1乃至図5を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものである。このため、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係るハブユニットを、ハブユニットに連結されたドライブシャフトの一部と共に示す断面図である。図2は、図1の一部を拡大して示す拡大図である。
【0014】
このハブユニット1は、懸架装置に連結された車体側の支持部材としてのナックル91に対して車輪92をブレーキロータ93と共に回転可能に支持する。また、ハブユニット1は、ドライブシャフト8から受ける駆動力を車輪92に伝達する。以下、ハブユニット1において、車輪92が取り付けられる側(図1の左側)を車両アウタ側といい、その反対側(図1の右側)を車両インナ側という。
【0015】
ハブユニット1は、車両インナ側のナックル91に取り付けられる外方部材2と、車両アウタ側の車輪92がブレーキロータ93と共に取り付けられる内方部材3と、外方部材2と内方部材3との間に配置される複数の転動体4と、内方部材3と共に回転する磁気エンコーダ5と、外方部材2の車両インナ側の端部に固定されたセンサホルダ6を含むシール構造部7と、外方部材2の車両アウタ側の端部に固定されたシール部材70とを備えている。
【0016】
内方部材3には、車両のエンジン等の駆動源の駆動力がドライブシャフト8を介して伝達される。ドライブシャフト8は、中間シャフト800と、中間シャフト800の両端部に設けられた一対の等速ジョイントとを有する。図1では、このうち一方の等速ジョイント80を図示している。他方の等速ジョイント(図示せず)は、ディファレンシャル装置の出力ギヤに連結される。
【0017】
等速ジョイント80は、ボール型等速ジョイントであり、中間シャフト800の一端部に相対回転不能に連結された内側継手部材81と、内側継手部材81を収容する椀型のカップ部821及び軸状のステム部822を有する外側継手部材82と、内側継手部材81と外側継手部材82との間に配置された複数のボール83と、複数のボール83を転動可能に保持するケージ84と、外側継手部材82の開口を覆う蛇腹状のブーツ85とを有している。
【0018】
図1では、複数(例えば6個)のボール83のうち、1つのボール83を図示している。ボール83は、内側継手部材81のボール溝81a及び外側継手部材82のボール溝82aを転動し、内側継手部材81と外側継手部材82との間で駆動力を伝達する。
【0019】
内側継手部材81はスナップリング801によって中間シャフト800から抜け止めされている。ブーツ85は、一方の端部が締め付けバンド851によって外側継手部材82に固定され、他方の端部が締め付けバンド852によって中間シャフト800に固定されている。なお、図1では、内側継手部材81及び外側継手部材82の中心軸が一致したジョイント角ゼロの状態を示しているが、車両の走行時には、内側継手部材81及び外側継手部材82が例えば10〜50°のジョイント角をもって等速で回転する。
【0020】
外方部材2は、円筒状の筒部21、及び筒部21から外方に突出してナックル91に取り付けられるフランジ部22を一体に有している。筒部21の内周には、転動体4を転動させる第1外側軌道面2aと、第1外側軌道面2aよりも車両インナ側で転動体4を転動させる第2外側軌道面2bとが互いに平行に形成されている。フランジ部22には、ナックル91に設けられたねじ穴910に螺合するボルト90を挿通させるボルト挿通孔220が形成されている。筒部21における車両アウタ側の端部における内周面には、シール部材70が圧入固定されている。
【0021】
内方部材3は、外方部材2に対して回転可能に配置されている。内方部材3の外周には、転動体4を転動させる第1内側軌道面3a及び第2内側軌道面3bが形成されている。第1内側軌道面3aは外方部材2の第1外側軌道面2aに対向し、第2内側軌道面3bは外方部材2の第2外側軌道面2bに対向する。
【0022】
本実施の形態では、内方部材3がハブ輪31及び環状の内輪部材32からなる。ハブ輪31は、車輪92及びブレーキロータ93が取り付けられるフランジ部311と、外方部材2の内側に配置される胴部312とを一体に有している。フランジ部311には、車輪取付用のハブボルト33が圧入される複数(例えば5つ)の圧入孔311aが形成されている。図1では、このうち1つの圧入孔311aを示している。ハブボルト33は、車輪92のホイールに形成された挿通孔920、及びブレーキロータ93に形成された挿通孔930を挿通し、先端部にホイールナット94が螺合する。
【0023】
内輪部材32は、ハブ輪31の車両インナ側の端部に外嵌されている。内輪部材32の外周面には、第2内側軌道面3bが形成されている。第1内側軌道面3aは、内輪部材32よりも車両アウタ側のハブ輪31の外周面に形成されている。
【0024】
ハブ輪31には、その中心部を軸方向に貫通する貫通孔310が設けられている。この貫通孔310には、等速ジョイント80の外側継手部材82のステム部822が挿通される。貫通孔310の内周面には、セレーション310aが設けられ、このセレーション310aがステム部822のセレーション822aに噛み合う。これにより、ハブ輪31と外側継手部材82とが相対回転不能に連結される。
【0025】
ステム部822の先端部には雄ねじ部823が設けられており、この雄ねじ部823にナット34が螺合している。ナット34は、ハブ輪31の車両アウタ側の端面31aに当接し、ハブ輪31に対するステム部822の軸方向移動を規制している。また、ナット34の締め付け力により、外側継手部材82のカップ部821が内輪部材32の車両インナ側の端面に押し付けられている。
【0026】
外側継手部材82のカップ部821と外方部材2との間には、シール構造部7が配置されている。シール構造部7は、センサホルダ6と、外側継手部材82におけるカップ部821の外周面821aに嵌着されたデフレクタ71とを備えて構成されている。センサホルダ6及びデフレクタ71の構成については後述する。
【0027】
第1外側軌道面2aと第1内側軌道面3aとの間に配置された複数の転動体4は、第1保持器43によって転動可能に保持されている。第2外側軌道面2bと第2内側軌道面3bとの間に配置された複数の転動体4は、第2保持器44によって転動可能に保持されている。車輪92が回転すると、第1保持器43に保持された複数の転動体4が第1外側軌道面2a及び第1内側軌道面3aを転動し、第2保持器44に保持された複数の転動体4が第2外側軌道面2b及び第2内側軌道面3bを転動する。転動体4が転動する外方部材2と内方部材3との間の空間への異物(水沫や砂塵など)の侵入は、シール構造部7及びシール部材70によって抑止されている。
【0028】
なお、本実施の形態では、転動体4が球体であるが、これに限らず円錐ころであってもよい。また、本実施の形態では、内方部材3が1つの内輪部材32を有しているが、これに限らず、内方部材3が2つの内輪部材を有し、このうち一方の内輪部材に第1内側軌道面3aが形成され、他方の内輪部材に第2内側軌道面3bが形成されていてもよい。
【0029】
磁気エンコーダ5は、図2に示すように、環状の磁性部材50と、磁性部材50を内方部材3に対して固定する芯金51とを有している。磁性部材50は、例えばゴムや樹脂からなる母材にフェライト系のステンレス鋼粉を混入して形成され、磁性の異なる複数の磁極が内方部材3の回転方向に沿って交互に着磁されている。芯金51は、例えばフェライト系ステンレス鋼板や防錆処理が施されたSPCC等の冷間圧延鋼板にプレス加工等を施すことにより形成されている。
【0030】
本実施の形態では、芯金51が内輪部材32の外周面32aに嵌合された円筒部511と、円筒部511の車両インナ側の端部から外方に延在する外鍔部512とを有している。磁性部材50は、例えば接着によって外鍔部512に固定されている。磁性部材50の複数の磁極(N極及びS極)の磁界は、センサホルダ6に保持される磁界センサ10によって検出される。磁界センサ10は、磁性部材50の周方向の一部に対向して配置される。
【0031】
また、磁界センサ10は、磁界の強度を電気信号に変換するホール素子等の磁界検出素子100を有し、この電気信号を図略のECU(Electronic Control Unit)に出力する。磁界検出素子100は、樹脂パッケージからなる直方体状の外殻101に封止されている。磁界検出素子100の電気信号は、外殻101から導出された電線102によってECUに送られる。図2では、外殻101の内部に樹脂封止された磁界検出素子100を破線で図示している。
【0032】
車輪92が内方部材3と共に回転すると、磁界検出素子100によって磁界が検出される磁性部材50の磁極が交番する。ECUでは、磁界センサ10から出力される電気信号に基づいて、車輪92の回転速度を演算によって求めることができる。
【0033】
図3は、センサホルダ6を示し、(a)は車両アウタ側から見た平面図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は(b)の一部拡大図である。図4は、センサホルダ6の斜視図である。図5は、センサホルダ6のセンサ保持部610を磁界センサ10と共に示す拡大図である。
【0034】
センサホルダ6は、外側継手部材82におけるカップ部821の外周囲に配置される円筒状の円筒部60、及び磁界センサ10を保持するセンサ保持部610を有している。円筒部60は、肉厚及び材質が異なる第1部材61及び第2部材62を結合して構成されている。センサ保持部610は、第1部材61の一部によって構成されている。第1部材61は、例えばSK85等のバネ鋼からなる薄板をプレス成形してなる。第1部材61の板厚は、例えば0.8mmである。
【0035】
第2部材62は、例えばSPCC等の冷間圧延鋼板を円筒状に形成してなり、径方向の厚みが異なる厚肉部621と薄肉部622とを一体に有している。厚肉部621及び薄肉部622は、外径が同一であり、厚肉部621の内径は薄肉部622の内径よりも小さい。厚肉部621の厚みは例えば2.3mmであり、薄肉部622の厚みは例えば1.7mmである。
【0036】
センサホルダ6は、第2部材62の厚肉部621が車両アウタ側に配置され、薄肉部622が車両インナ側に配置されるように、外方部材2に固定される。薄肉部622の車両インナ側の端部には、外方に屈曲された鍔返し加工が施されている。鍔返し加工により形成された鍔部622aの先端面622bは、鍔部622aを除く薄肉部622の外周面622cよりも外方に位置している。
【0037】
第1部材61は、センサ保持部610と、内径及び外径が異なる円筒状の大径部611及び小径部612と、大径部611と小径部612との間の段部613とを一体に有している。大径部611の内径は、小径部612の外径よりも大きく形成されている。小径部612の外側には、第2部材の厚肉部621が嵌合され、厚肉部621の軸方向端面621aが第1部材61の段部613に当接している。第1部材61と第2部材62との軸方向の相対移動は、小径部612の端部を外方に屈曲して形成された加締め部612aによって規制されている。加締め部612aは、第2部材62の内周面における厚肉部621と薄肉部622との間の段差面621bに当接している。
【0038】
センサホルダ6の円筒部60は、第1部材61の大径部611及び小径部612と、第2部材62の厚肉部621及び薄肉部622とによって構成されている。第1部材61の大径部611は、円筒部60の車両アウタ側の端部にあたる。第2部材62の薄肉部622は、円筒部60の車両インナ側の端部にあたる。センサ保持部610は、センサホルダ6の軸方向における第1部材61の大径部611と第2部材62の薄肉部622との間、すなわち円筒部60の軸方向の中央部に設けられている。
【0039】
センサ保持部610は、図5に示すように、小径部612の周方向の一部を切り欠いて設けられた切り欠き612bに、段部613から延出して形成されている。磁界センサ10をセンサホルダ6に装着する際には、センサホルダ6の外周から内周に向かう矢印Aで示す装着方向に沿って、外殻101をセンサ保持部610内に移動させる。第2部材62には、外殻101を挿通させる貫通孔62a(図4参照)が形成されている。外殻101は直方体状であり、センサホルダ6の周方向に並ぶ一対の側面には、外殻101の装着方向に延びる係合溝101aがそれぞれ形成されている。
【0040】
センサ保持部610は、一対の係合突起610aと、磁界センサ10の装着時に外殻101が突き当てられる底部610bと、底部610bから立設された壁部610cと、壁部610cの先端部に設けられた係止部610dとを有している。一対の係合突起610aは、センサホルダ6の周方向に間隔を空けて並んで設けられている。
【0041】
センサ保持部610に磁界センサ10が装着されたとき、一対の係合突起610aは、外殻101の係合溝101aに係合する。これにより、センサホルダ6に対する周方向及び軸方向への外殻101の移動が規制される。外殻101は、一対の係合突起610aの間から磁気エンコーダ5の磁性部材50に対向する。磁界検出素子100は、この対向位置の近傍に配設されている。
【0042】
底部610bは、一対の係合突起610aよりも第2部材62の薄肉部622側で外殻101に当接する。壁部610cは、一対の係合突起610aとセンサホルダ6の軸方向に並び、係止部610dは底部610bとの間で外殻101を挟む位置に設けられている。磁界センサ10の装着時には、壁部610cが一対の係合突起610aから離間するように弾性変形し、外殻101を係止部610dよりも底部610b側に通過させる。これにより、センサホルダ6に対する径方向の内側及び外側への外殻101の移動が規制される。
【0043】
センサホルダ6は、第1部材61の大径部611が外方部材2の筒部21における車両インナ側の端部に設けられた嵌合部211に嵌合されて固定されている。外方部材2のフランジ部22よりも車両インナ側における筒部21の外周面21aは、ナックル91の内周面91aに対向する対向面21bと、第1部材61の大径部611が嵌着される嵌合面21cとからなる。嵌合面21cは、対向面21bよりも小径であり、その径差は第1部材61の大径部611の厚さの2倍以上である。
【0044】
図3(a)では、センサホルダ6の周方向におけるセンサ保持部610の中心位置及びセンサホルダ6の中心軸線Cを通過する直線Lを一点鎖線で示している。センサホルダ6には、この直線Lに対して対称な位置に、第1及び第2の水抜き穴601,602が形成されている。センサホルダ6は、ハブユニット1が右車輪用のものであるか左車輪用のものであるかによって外方部材2への取り付け角度が異なり、第1及び第2の水抜き穴601,602の何れかが鉛直方向の最下部に配置される。
【0045】
具体的には、ハブユニット1が右車輪用のものである場合には、第1の水抜き穴601が鉛直方向の最下部に位置するようにセンサホルダ6が取り付けられる。また、ハブユニット1が左車輪用のものである場合には、第2の水抜き穴602が鉛直方向の最下部に位置するようにセンサホルダ6が取り付けられる。このため、磁界センサ10は、センサホルダ6の鉛直方向の最上部から所定角度だけ周方向にずれた位置に配置される。これは、懸架装置等との干渉を避けるように電線102の導出方向が考慮された結果である。
【0046】
第1及び第2の水抜き穴601,602は、第1部材61の小径部612に形成された貫通孔612cと、第2部材の厚肉部621に形成された貫通孔621cとの連通によって、それぞれ形成されている。センサホルダ6及びデフレクタ71によって構成されるシール構造部7を通過してセンサホルダ6の内側に侵入した異物は、第1の水抜き穴601又は第2の水抜き穴602から外部に排出される。
【0047】
デフレクタ71は、例えばステンレス鋼板や防錆処理が施されたSPCC等の冷間圧延鋼板にプレス加工等を施すことにより形成されている。デフレクタ71は、図2に示すように、同心状に配置された小径筒部711及び大径筒部712と、小径筒部711及び大径筒部712の車両インナ側の端部の間を接続する環状板部713と、大径筒部712の車両アウタ側の端部から外方に延出された環状の延出部714とを一体に有している。デフレクタ71は、小径筒部711の内周面711aがカップ部821の外周面821aに嵌め合されて外側継手部材82に固定されている。
【0048】
デフレクタ71の大径筒部712は、小径筒部711との間に、センサホルダ6の第2部材62における薄肉部622の車両インナ側の端部を挟んでいる。すなわち、デフレクタ71の大径筒部712は、センサホルダ6の円筒部60の少なくとも一部を覆う覆い部として機能する。
【0049】
大径筒部712の内周面712aと薄肉部622の外周面622cとの間には、第1隙間Sが形成されている。環状板部713の内面(車両アウタ側の面)713aと薄肉部622の車両インナ側の端面622dとの間には、第2隙間Sが形成されている。また、小径筒部711の外周面711bと薄肉部622の内周面622eとの間には、第3隙間Sが形成されている。第1隙間Sと第3隙間Sとは、第2隙間Sを介して連通している。デフレクタ71の径方向における第1隙間S及び第3隙間Sの幅は、第2部材62の厚肉部621及び第1部材61の小径部612の内側への異物の侵入を抑制可能な寸法に設定されている。これにより、シール構造部7がラビリンスシールとして形成されている。
【0050】
また、本実施の形態では、薄肉部622の車両インナ側端部に設けられた鍔部622aの先端面622bの外周側において、薄肉部622と大径筒部712との間隔が狭くなっている。この構成によって、シール構造部7による円筒部60の内側への異物の侵入の抑制効果がさらに高められている。
【0051】
(実施の形態の効果)
以上説明した本実施の形態によれば、外方部材2に固定されたセンサホルダ6と、外側継手部材82に固定されたデフレクタ71とによってシール構造部7が構成される。そして、シール構造部7によって、外方部材2と外側継手部材82との間からの異物の侵入が抑制される。また、シール構造部7は、ナックル91を構成要素として含まないので、ナックル91の設計を制約することがない。このため、ナックル91の軸方向の厚みを、要求される強度を確保するために必要な寸法以上に大きくする必要がない。したがって、シール性を確保するためにナックル91の重量が増加してしまうことがない。また、様々な形状のナックルにもハブユニット1を装着することができるので、搭載可能な車種が限定されてしまうこともない。
【0052】
(付記)
以上、本発明を実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0053】
また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態では、デフレクタ71の大径筒部712が、センサホルダ6の第2部材62における薄肉部622を外周側から覆うようにシール構造部7を構成した場合について説明したが、これに限らず、大径筒部712によってセンサホルダ6の円筒部60のより広い範囲を覆うようにしてもよい。
【0054】
また、外方部材2に、芯金51にシールリップが摺接するシールゴムを固定してもよい。この場合、転動体4が転動する外方部材2と内方部材3との間の空間への異物の侵入がより確実に抑止される。
【符号の説明】
【0055】
1…ハブユニット 10…磁界センサ
2…外方部材 2a…外側軌道面
2b…外側軌道面 3…内方部材
311…フランジ部 3a…第1内側軌道面
3b…第2内側軌道面 4…転動体
5…磁気エンコーダ 6…センサホルダ
60…円筒部 610…センサ保持部
7…シール構造部 71…デフレクタ
712…大径筒部(覆い部) 80…等速ジョイント
82…外側継手部材 92…車輪
図1
図2
図3
図4
図5