特許第6852399号(P6852399)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6852399
(24)【登録日】2021年3月15日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】スピーカ装置及びスピーカキャビネット
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/02 20060101AFI20210322BHJP
【FI】
   H04R1/02 101B
   H04R1/02 104Z
   H04R1/02 101A
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-257140(P2016-257140)
(22)【出願日】2016年12月28日
(65)【公開番号】特開2018-110315(P2018-110315A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2019年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和
(72)【発明者】
【氏名】藤森 弘喜
(72)【発明者】
【氏名】井奥 健太
【審査官】 齊田 寛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−191486(JP,A)
【文献】 実開平2−47893(JP,U)
【文献】 米国特許第7162049(US,B2)
【文献】 米国特許第5111905(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0047623(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカユニットと、このスピーカユニットが取り付けられるスピーカキャビネットとを有し、このスピーカキャビネットの外板と前記スピーカユニットとの間に前記外板と平行に仕切り板が設けられるとともに、これら外板と仕切り板との対向間に、前記スピーカユニットの後方空間に連通するバスレフポートが形成され、このバスレフポートの開口端における前記仕切り板の先端面が前記バスレフポートの内側から外側に向けて漸次広がる傾斜面に形成されており、
前記外板の先端面が、前記バスレフポートの内側から外側に向けて漸次広がる傾斜面に形成されていることを特徴とするスピーカ装置。
【請求項2】
前記スピーカユニットの前方には、音を透過可能な孔を有するグリル板が設けられ、このグリル板の端部には、前記孔を有しない傾斜部が前記仕切り板の傾斜面につながるように形成されていることを特徴とする請求項1記載のスピーカ装置。
【請求項3】
前記外板は、前記スピーカキャビネットの底板を形成していることを特徴とする請求項1又は2記載のスピーカ装置。
【請求項4】
前記スピーカキャビネットは、前記仕切り板と対向して前記スピーカユニットを前記仕切り板で挟むように配置された天板を有し、前記天板は、前記底板に対して前方に突出しており、前記天板の前端面は、前記天板の後端面から前記天板の前端面に向かって下り勾配となるように傾斜していることを特徴とする請求項3に記載のスピーカ装置。
【請求項5】
前記スピーカキャビネットの前記外板及び前記仕切り板が木材からなることを特徴とする請求項1からのいずれか一項記載のスピーカ装置。
【請求項6】
バッフル板及び複数の外板により形成されたボックス体内に、前記バッフル板と交差する方向に配置された外板と平行状態に仕切り板が設けられるとともに、これら平行状態の前記仕切り板と前記外板との対向間に、前記バッフル板の後方空間に連通状態のバスレフポートが形成され、このバスレフポートの開口端における前記仕切り板の先端面が前記バスレフポートの内側から外側に向けて漸次広がる傾斜面に形成されており、
前記外板の先端面が、前記バスレフポートの内側から外側に向けて漸次広がる傾斜面に形成されていることを特徴とするスピーカキャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスレフポートが備えられたスピーカ装置及びスピーカキャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、低音を増強するために、スピーカキャビネットにバスレフポートが形成されたスピーカ装置が知られている。このバスレフポートは、共振周波数を低くして低音の増強効率を上げるために、例えば、バスレフポートの断面積を小さくすることが有効であるが、この場合には、空気の流れが速くなってポート開口部から風切り音が発生することがあるため、その対策が必要となる。
【0003】
このようなバスレフポートを有するスピーカ装置として、例えば、特許文献1のスピーカ装置が開示されている。このスピーカ装置では、スピーカキャビネット内のスピーカユニットの側方に、管状のバスレフポートが設けられている。このバスレフポートは、断面円形であり、このポート開口部にエクスポネンシャルに広がるフレアが形成されることで、風切り音の発生が防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−354396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1におけるスピーカ装置では、エクスポネンシャル形状を付与するために、バスレフポートの周辺に大きなスペースが必要になる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、スピーカキャビネットのコンパクト化を図りつつバスレフポートの開口端での風切り音や異音の発生を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のスピーカ装置は、スピーカユニットと、このスピーカユニットが取り付けられるスピーカキャビネットとを有し、このスピーカキャビネットの外板と前記スピーカユニットとの間に前記外板と平行に仕切り板が設けられるとともに、これら外板と仕切り板との対向間に、前記スピーカユニットの後方空間に連通するバスレフポートが形成され、このバスレフポートの開口端における前記仕切り板の先端面が前記バスレフポートの内側から外側に向けて漸次広がる傾斜面に形成されており、前記外板の先端面が、前記バスレフポートの内側から外側に向けて漸次広がる傾斜面に形成されている。
この場合、前記外板は、前記スピーカキャビネットの底板を形成しているとよい。
【0008】
バスレフポートの奥からの流れを、仕切り板の先端面の傾斜で滑らかに広げることで、風切り音や異音の発生を防止することができる。この場合、スピーカキャビネットの外板を利用し、その内側の仕切り板との対向間にバスレフポートを形成していることから、バスレフポートを独立して設ける場合に比較して、スピーカキャビネットの小型化を図ることができる。
また、バスレフポートの開口端における仕切り板と外板の先端面をともに傾斜面とすることにより、風切り音を一層低減することが可能となる。特に、仕切り板との間でバスレフポートを形成しているキャビネットの外板の外面が床や壁に接触しない開放状態で設置される場合に有効である。
【0009】
本発明のスピーカ装置において、前記スピーカユニットの前方には、音を透過可能な孔を有するグリル板が設けられ、このグリル板の端部には、前記孔を有しない傾斜部が前記仕切り板の傾斜面につながるように形成されている。
【0010】
このようなグリル板を設けることにより、仕切り板の傾斜面からグリル板の傾斜部の表面までの広い範囲をフレア構造に設け、このフレア部分により流れを制御して風切り音や異音の発生の防止機能を高めることができる。
スピーカキャビネットを木材等の板材を組み合わせて作製する場合、バスレフポートのエクスポネンシャル形状による広がった曲面の領域を形成するときに、この曲面の大きさが板材の厚みに依存することになる。そのため、バスレフポートの広がり形状にも限界が生じ、この開口部の広がりの不足により風切り音や異音の発生の原因にもなっていた。仮に、バスレフポートを区画している板材の厚さを練りなどにより増やすようにすれば、開口部のフレアの傾斜を大きくすることは可能にはなるが、そのためにスピーカキャビネットのサイズを大型化する必要がある。
本発明のようにグリル板の端部に傾斜部を設けてバスレフポートの開口端の傾斜を広げるようにしたことにより、キャビネットを大型化することなく、開口端に大きなフレアを形成することが可能になる。
【0011】
さらに、本発明のスピーカ装置において、前記スピーカキャビネットは、前記仕切り板と対向して前記スピーカユニットを前記仕切り板で挟むように配置された天板を有し、前記天板は、前記底板に対して前方に突出しており、前記天板の前端面は、前記天板の後端面から前記天板の前端面に向かって下り勾配となるように傾斜しているとよい。
【0012】
本発明のスピーカ装置において、前記外板及び前記仕切り板が木材からなるものとしてもよい。
木製の場合、キャビネットの外板及び仕切り板は、平板により形成されるため、バスレフポートの開口端で特に乱流を生じやすくなるが、傾斜面を加工することにより、木製であっても異音の発生を有効に防止することができる。
【0013】
本発明のスピーカキャビネットは、バッフル板及び複数の外板により形成されたボックス体内に、前記バッフル板と交差する方向に配置された外板と平行状態に仕切り板が設けられるとともに、これら平行状態の前記仕切り板と前記外板との対向間に、前記バッフル板の後方空間に連通状態のバスレフポートが形成され、このバスレフポートの開口端における前記仕切り板の先端面が前記バスレフポートの内側から外側に向けて漸次広がる傾斜面に形成されており、前記外板の先端面が、前記バスレフポートの内側から外側に向けて漸次広がる傾斜面に形成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、バスレフポートをスピーカキャビネットの外板を利用して形成したのでスピーカキャビネットのコンパクト化を図ることができ、バスレフポートに傾斜を設けることで、風切り音や異音の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態のスピーカ装置におけるバスレフポートの開口部付近を拡大した縦断面図である。
図2】本発明の実施形態のスピーカ装置の全体外観を示す斜視図である。
図3図2のスピーカ装置の正面図である。
図4図3のA−A線に沿う縦断面図である。
図5図4のB−B線に沿う横断面図である。
図6図4とは異なる位置での縦断面図であり、図4のC−C線に沿う断面に相当する。
図7】実施形態のスピーカ装置において傾斜部の形状の変形例を示す正面図である。
図8】実施形態のスピーカ装置を横置き姿勢とした正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のスピーカ装置の実施形態を説明する。
このスピーカ装置1は、スピーカキャビネット10と、その内部に取り付けられたスピーカユニット20とを有している。以下の説明では、図2において正面から視た方向で、前後方向、左右方向、上下方向とする。
【0017】
スピーカキャビネット10は、矩形の天板11及び底板12、正面のバッフル板13、バッフル板13の両側に配置される一対の側板15、これら側板15の後部間でバッフル板13と平行に配置された背面板16とにより形成されたほぼ直方体状のボックス体17を備えている。図2及び図4に示す例では、底板12は天板11よりも前後方向の長さが短く設定されている。
スピーカユニット20は、図4及び図5に示す例ではコーン形(円錐形)の振動板20aを有するスピーカであり、バッフル板13に形成した開口13aの周縁部に固定されることで振動板20aを前方に向けた状態でスピーカキャビネット10に取り付けられる。そして、このスピーカユニット20は、音声信号の入力により振動板20aが振動され、前方(図3では下方)に音波を放射するとともに、後方にも逆位相の音波が発生する。
【0018】
このスピーカユニット20とスピーカキャビネット10の底板12との間に、底板12と平行状態に(前後方向に沿って)仕切り板30が設けられている。バッフル板13は、この仕切り板30と天板11との先端部間に設けられており、このため、底板12と仕切り板30との間の空間が前方に開放状態とされている。
また、図4に示すように、仕切り板30は、その先端は底板12の先端と上下方向にほぼ揃えられているが、後端が背面板16との間に適宜の間隔を有するように、底板12の長さよりも短い所定の長さに設けられている。これにより、図4に示すように、スピーカユニット20の後方空間S1と、底板12と仕切り板30との対向間に形成される空間S2とが、仕切り板30の後端と背面板16との間の空間S3を通して連通状態となっており、これら底板12と仕切り板30との対向間にバスレフポート31が形成される。
【0019】
なお、仕切り板30は、図6に示すように、両側板15の内面に前後方向に沿って形成された溝15a内に両側部が嵌め込まれた状態に固定され、この仕切り板30の幅方向のほぼ中央に、底板12との間を連結するように支持板32が前後方向に沿って設けられている。このため、バスレフポート31は、支持板32によって左右二つに分割されている。
本実施形態の場合、側板15どうしの間隔がバスレフポート31の幅W1、仕切り板30と底板12との上下方向の間隔がバスレフポート31の厚さT、仕切り板30の奥行(前後方向の長さ)がバスレフポート31の長さL1となる。各寸法について必ずしも限定されるものではない。
【0020】
また、仕切り板30の後端には、この仕切り板30の幅方向に沿って適宜の長さの案内板33が後方に向かうにしたがって斜め上向きに傾斜した状態で取り付けられ、この案内板33により、スピーカユニット20の背面側からの逆位相の音波がバスレフポート31内に案内される。
【0021】
ボックス体17の外板を構成している天板11、底板12、バッフル板13、側板15、背面板16、及びバスレフポート31を形成している仕切り板30、支持板32、案内板33は、それぞれ木材によって形成されており、合板、パーティクルボード、MDF(Medium Density Fiberboard)等により適宜の厚さに形成される。
【0022】
そして、バスレフポート31の開口端における仕切り板30の先端面は、その全幅にわたって、バスレフポート31の内側から外側に向けて漸次広がるように傾斜された傾斜面30aに形成されている。この場合、仕切り板30の厚さtは、ボックス体17の前述した各外板(天板11、底板12、バッフル板13、側板15、背面板16)と同じ厚さに形成してもよいし、異なる厚さとしてもよい。また、仕切り板30の先端の傾斜面30aは、仕切り板30の板厚や底板12との間隔などに応じて、面方向に対する傾斜角度θが適宜に設定される。
【0023】
さらに、仕切り板30と対向するボックス体17の底板12の先端面も、バスレフポート30の内側から外側に向けて漸次広がる傾斜面12aに形成されている。これら仕切り板30及び底板12の両傾斜面30a,12aは、相反する方向にほぼ同じ角度θで形成される。
なお、これら仕切り板30の傾斜面30a、底板12の傾斜面12aは、平面により形成されているが、仕切り板30や底板12の厚さ方向の中央部が凸状となる滑らかな曲面によって形成してもよい。
【0024】
一方、スピーカユニット20及びバッフル板13の前方には、正面視で長方形状のグリル板40が取り付けられている。このグリル板40は、例えばスチール等の金属板の表面に布を貼り付けた構成であり、その下端部が、仕切り板30の先端部上面に形成した溝30bに嵌め込まれ、両側部及び上端部が側板15及び天板11の前端部の内側ににねじ41により固定されている。
【0025】
また、このグリル板40には、スピーカユニット20の振動板20aとの対向部分に、振動板20aから放射される音を通過可能な複数の孔42が面方向に点在して設けられている。このグリル板40の下端部は、前述した仕切り板30の傾斜面30aにつながるように傾斜部40aが形成されている。この傾斜部40aは、グリル板の一辺の全幅にわたって形成されており、その全幅において、仕切り板30の傾斜面30aにつながるように設けられる。この場合、傾斜部40aには、振動板20aの対向部分には設けられていた孔42を有していない。
この傾斜部40aは、好ましくはスピーカユニット20の振動板20aの前方と重ならない程度の高さX(図4参照)に設定されるとよいが、振動板20aの下端部に一部が重なるように配置されてもよい。
【0026】
なお、図示例では、傾斜部40aはグリル板40の全幅にわたって同じ傾斜角度で屈曲し同じ高さXに設定されているが、振動板20aが正面視で円形に形成されることから、傾斜部40aの幅方向の中央部の高さを小さくし(図4に示す高さX程度)、振動板20aの斜め下方に配置される両側部では、振動板20aの円形外形に合わせるように外側方に向かうにしたがって漸次高さを大きく(図4のXより大きく)するように形成してもよい。その他、この傾斜部40aの外面形状は、仕切り板30の傾斜面30aをほぼ延長するように傾斜していれば任意の平坦面あるいは曲面とすることができる。例えば、図7に示すように、幅方向の中心部から左右方向に向かうにしたがって漸次高くなるように傾斜部40aを設定してもよい。
図4及び図5において、符号45はボックス体17の両側板15間に架け渡された補強桟であり、図2及び図5において符号50は、このスピーカ装置1を運搬する際に用いられる取っ手部である。
【0027】
以上のように構成したスピーカ装置1において、スピーカユニット20に音声信号が入力されて振動板20aが振動すると、このスピーカユニット20の前方に音波が放射されると同時に、振動板20aの背面方向にも逆位相の音波が放射され、この音波を案内板33でバスレフポート31の後端に案内して、バスレフポート31を介してスピーカキャビネット10の前方に放出する。このとき、バスレフポート31の開口端では、仕切り板30及び底板12の先端面にバスレフポート31の内側から外側に向かう傾斜面30a,12aが形成されているので、渦の発生を抑制して、風切り音や異音の発生を防止することができる。
さらには、この仕切り板30の傾斜面30aにつながるようにグリル板40にも傾斜部40aを形成して、長いフレア形状を構成しているので、異音発生の防止機能をより高めることができる。
【0028】
また、このスピーカ装置1では、仕切り板30と底板12との対向間にバスレフポート31が形成され、その仕切り板30と底板12の先端面を傾斜面30a,12aとして、フレア状に形成していることで、特許文献1のようにバスレフポートを独立した管状に形成する場合に比較して設置スペースを小さくすることができ、スピーカキャビネット10の小型化を図ることができる。特に、底板12との間でバスレフポート31を形成したことにより、キャビネット10のボックス体17の全体サイズは小さく抑えながら、大きな開口面積を有するバスレフポート31とすることができる。また、グリル板40の一部を傾斜部40aとして仕切り板30の傾斜面30aを延長するようにしたので、ボックス体17を大きくしなくても、異音の発生防止に有効な大きなフレア形状を付与することができる。
なお、このグリル板40は、下端部を仕切り板30の溝30bに嵌め込み、上端部及び両側部をねじ止めする構造であり、ボックス体17への着脱が容易であるとともに、バスレフポート31のフレア形状を付与している傾斜部40aについてはねじ止め構造ではないので、その傾斜部40aを仕切り板30の傾斜面30aに滑らかに連続させることができ、適切なフレア形状を形成することができる。
【0029】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、スピーカキャビネット10の底板12は、床面Fに接地されるため、異音の発生は少ない。このため、その先端面を傾斜面12aにすることは必ずしも必要ではない。
また、バスレフポート31をボックス体17の全幅にわたって形成したが、底板12の幅方向の一部と対向するように仕切り板を設けて、その対向間をバスレフポートとし、その側方においては前方を閉塞した形状としてもよい。
【0030】
また、実施形態のスピーカ装置1におけるボックス体17は、天板11の前後方向長さより底板12の前後方向長さが短く形成されている(図4参照)。このため、このスピーカ装置1を2台以上積み重ねて使用する場合は、上段のスピーカ装置1の底板12の先端よりも下段のスピーカ装置1の天板11の方が前方に突出することになる。そこで、図1に二点鎖線で示したように、天板11の前端面を後方から前方に向けて下り勾配となるように傾斜面11aに形成すると、上段に積み重ねられたスピーカ装置1のバスレフポート31の底板12の傾斜面12aと下段のスピーカ装置1の天板11の傾斜面11aとがつながるように配置され、バスレフポート31のフレア形状を広げることができ、異音の発生防止効果を高めることができる。
【0031】
さらに、実施形態では、底板12と対向して仕切り板30を設けたが、例えば側板15と対向するように仕切り板を設けて、その対向間をバスレフポートとすることも可能である。この場合は、仕切り板と対向している側板を壁面に接触させて用いる場合は、その側板と壁面とが実施形態の底板と床面との関係と同様になるが、壁から離して設置する場合は、側板も先端面をバスレフポートの内側から外側に向けて漸次広がる傾斜面に形成することが有効である。
また、図8に示すように、実施形態のスピーカ装置1の側板15を床面Fに接地した横置き姿勢で用いてもよく、その場合は、バスレフポート31はスピーカユニットの側方に配置される。
その他、ボックス体の天板と対向するように仕切り板を設けて、これらの間にバスレフポートを形成してもよく、本発明において、ボックス体の外板は、これら底板、側板、天板のように、ボックス体の外形を形成する板状のものをいう。本発明において仕切り板との間でバスレフポートを形成しているのは、これらのうちの一つの外板である。
【符号の説明】
【0032】
1…スピーカ装置、20a…振動板、10…スピーカキャビネット、11…天板、12…底板、11a,12a…傾斜面、13…バッフル板、13a…開口、15…側板、15a…溝、16…背面板、17…ボックス体、20…スピーカユニット、20a…振動板、30…仕切り板、30a…傾斜面、30b…溝、31…バスレフポート、32…支持板、33…案内板、40…グリル板、40a…傾斜部、41…ねじ、42…孔、45…補強板、50…取っ手部、F…床面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8