特許第6852429号(P6852429)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6852429-自動検針装置、および自動検針システム 図000002
  • 特許6852429-自動検針装置、および自動検針システム 図000003
  • 特許6852429-自動検針装置、および自動検針システム 図000004
  • 特許6852429-自動検針装置、および自動検針システム 図000005
  • 特許6852429-自動検針装置、および自動検針システム 図000006
  • 特許6852429-自動検針装置、および自動検針システム 図000007
  • 特許6852429-自動検針装置、および自動検針システム 図000008
  • 特許6852429-自動検針装置、および自動検針システム 図000009
  • 特許6852429-自動検針装置、および自動検針システム 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6852429
(24)【登録日】2021年3月15日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】自動検針装置、および自動検針システム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20210322BHJP
   G08B 21/10 20060101ALI20210322BHJP
   H04Q 9/02 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   H04Q9/00 311H
   G08B21/10
   H04Q9/02 Z
【請求項の数】4
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-20317(P2017-20317)
(22)【出願日】2017年2月7日
(65)【公開番号】特開2017-229056(P2017-229056A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2020年1月14日
(31)【優先権主張番号】特願2016-24541(P2016-24541)
(32)【優先日】2016年2月12日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2016-120601(P2016-120601)
(32)【優先日】2016年6月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(72)【発明者】
【氏名】坂上 浩一
【審査官】 小林 義晴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−198516(JP,A)
【文献】 特開平09−009489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
G08B 21/10
H04Q 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
系統電源から供給される電力の遮断または供給を切り替えるブレーカと、
前記ブレーカを介して前記系統電源から供給される電力の計量期間内における消費量を計量し、計量結果を示す検針データを所定の宛先へ送信する計量部と、
災害の発生を検知し、前記ブレーカを供給状態から遮断状態に切り替える検知部と、
を有し、
前記検知部は、ガスの供給または遮断を切り替える遮断弁の開閉を参照し、前記遮断弁が開状態から閉状態へ遷移した場合に災害が発生したと判定し、
前記検知部は、災害の発生を検知した後、前記遮断弁が閉状態から開状態へ遷移するまで、前記系統電源の運転状態に応じて前記ブレーカを遠隔制御する遠隔監視装置から前記ブレーカを遮断状態から供給状態に切り替えることを指示されても、当該指示を無視する
ことを特徴とする自動検針装置。
【請求項2】
前記遮断弁と、前記遮断弁を閉状態から開状態に復帰させる復帰スイッチと、を含み、前記遮断弁を介して供給されるガス消費量を計量しその計量結果を示す検針データを所定の宛先へ送信する機能と、災害の発生を検知して前記遮断弁を閉じる機能とを有する第2の自動検針装置、と通信する通信部を有し、
前記検知部は、前記通信部による通信により前記遮断弁の開閉を参照する
ことを特徴とする請求項1に記載の自動検針装置。
【請求項3】
系統電源から供給される電力の遮断または供給を切り替える第1の遮断器を内蔵し、前記第1の遮断器を介して前記系統電源から供給される電力の計量期間内における消費量を計量し、計量結果を示す第1の検針データを所定の宛先へ送信する第1の自動検針装置と、
ガスの供給または遮断を切り替える第2の遮断器を内蔵し、前記第2の遮断器を介して供給されるガスの計量期間内における消費量を計量し、計量結果を示す第2の検針データを所定の宛先へ送信する第2の自動検針装置と、を備え、
前記第1の自動検針装置と前記第2の自動検針装置の各々は、他方と通信する通信部を有し、
前記第1の自動検針装置と前記第2の自動検針装置のうちの一方の自動検針装置は、災害の発生を検知して自装置の遮断器を遮断状態に切り換える第1の検知部を有し、
前記第1の自動検針装置と前記第2の自動検針装置のうちの他方の自動検針装置は、前記一方の自動検針装置における遮断器が供給状態から遮断状態に切り替わったことを検知して自装置の遮断器を遮断状態に切り替える第2の検知部を有し、
互いに対になる前記第1および第2の自動検針装置を、複数対有し、
複数の前記第1の自動検針装置の各々が前記第2の検知部を有する一方、複数の前記第2の自動検針装置の各々が前記第1の検知部を有し、
複数の前記第1の検知部の各々により発生を検知される災害には、ガス漏れが含まれ、
複数の前記第1の自動検針装置における前記第2の検知部は、
他の第1の自動検針装置と対になる前記第2の自動検針装置の前記第2の遮断器の遮断状態への切り替えに応じて当該他の第1の自動検針装置における前記第1の遮断器が遮断状態に切り替えられたことを検知した場合に、自装置の前記第1の遮断器を供給状態から遮断状態へ切り替える
ことを特徴とする自動検針システム。
【請求項4】
複数の前記第1の自動検針装置の各々に対応づけて、1または複数の他の前記第1の自動検針装置を示す情報が書き込まれた位置管理テーブルを有する位置管理装置を有し、
複数の前記第1の自動検針装置の各々の前記第2の検知部は、自装置と対になる前記第2の自動検針装置の前記第2の遮断器の遮断状態への切り替えを検知したことを契機として、遮断通知を前記位置管理装置へ送信する一方、前記位置管理装置からの遮断指示に応じて自装置の前記第1の遮断器を供給状態から遮断状態へ切り替え、
前記位置管理装置は、前記遮断通知の送信元の前記第1の自動検針装置に対応付けられた他の前記第1の自動検針装置を前記位置管理テーブルの格納内容を参照して特定し、特定した前記第1の自動検針装置に対して前記遮断指示を送信する
ことを特徴とする請求項3に記載の自動検針システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電力消費量や都市ガスのガス消費量の自動検針技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅や店舗等における電力消費量や都市ガスのガス消費量を自動検針する自動検針システムが注目を集めている。以下では、住宅と店舗の両者をまとめて「住宅等」と呼ぶ。なお、都市ガスとは、ガスホルダから中圧導管、変圧器、および低圧導管等を経由して各住宅等に供給される燃料ガスのことをいう。例えば、電力消費量を自動検針する自動検針システムは、住宅等にスマートメータと呼ばれる自動検針装置を設置し、この自動検針装置と遠隔監視装置とをインターネットなどの電気通信回線に接続して構成される。この自動検針システムでは、自動検針装置は例えば1か月など予め定められた計量期間における電力消費量を計量し、その計量結果を表す検針データを上記計量期間の経過後に電気通信回線経由で遠隔監視装置へ送信する。ガス消費量についての自動検針システムも同様に構成される。以下では、電力消費量を自動検針する自動検針装置とガス消費量を自動検針する自動検針装置とを区別する必要がある場合には、前者を「電力消費量自動検針装置」と呼び、後者を「ガス消費量自動検針装置」と呼ぶ。
【0003】
電力消費量自動検針装置の中には、電力事業者の系統電源から配電線網を介して供給される電力の供給または遮断を切り替えるブレーカを内蔵したものがあり、このブレーカの切り替え制御は遠隔監視装置によって行われる。ブレーカを内蔵した電力消費量自動検針装置を有する自動検針システムでは、住宅等の分電盤に所謂アンペアブレーカを別途設置する必要はない。分電盤にアンペアブレーカが設けられている場合、例えば地震などの災害発生の際に、通電火災の発生を防止するために住人等がアンペアブレーカを手動で操作して電力を遮断し、安全が確認された後にブレーカを再度操作して復電させるといった操作を行う必要があった。これに対して、ブレーカを内蔵した電力消費量自動検針装置であれば、系統電源からの電力の供給停止や再開、すなわち系統電源の運転状態に連動させてブレーカを遠隔監視装置側から遠隔制御することができ、住人等に煩雑な操作を行わせる必要がなくなる。同様に、ガス消費量自動検針装置についても、低圧導管等からの住宅内配管へのガス供給を遮断する遮断弁の開閉を遠隔監視装置側から行えるものがある。特許文献1には、上記遮断弁の開閉を遠隔監視装置によって行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−142953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、系統電源からの電力の供給状況に連動させて電力消費量自動検針装置のブレーカを遠隔監視装置側から制御する態様では、各住宅等における安全を十分に確保できない場合がある。住宅等における被災状況は個々に異なる一方、遠隔監視装置側では個々の被災状況をきめ細かく把握することはできないからである。例えばガス漏れ等が発生している場合や住宅内の配線に破損が生じているような場合に、系統電源からの電力供給の再開に連動させて復電させることは安全確保上、好ましくない。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みて為されたものであり、従来よりもきめ細やかに災害発生時の安全確保が可能な自動検針技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、以下の計量部、ブレーカおよび検知部を有する自動検針装置を提供する。この自動検針装置は、電力消費量自動検針装置であり、ブレーカは、系統電源から供給される電力の供給または遮断を切り替える。計量部は、上記ブレーカを介して系統電源から供給される電力の計量期間内における消費量を計量し、計量結果を示す検針データを遠隔監視センタなどの所定の宛先へ送信する。そして、検知部は、災害の発生を検知した場合に上記ブレーカを供給状態から遮断状態に切り替え、電力の供給を遮断する。
【0008】
このような自動検針装置によれば、災害の発生を検知した場合には、系統電源からの電力の供給の有無にかかわらず、住宅内への電力の供給を遮断し、安全を確保できる。ここで、検知部による検知対象の災害の具体例としては、地震や洪水などの天災や、火災が挙げられる。例えば、地震や火災などにより住宅内の配線の被膜が破損したとしても、本発明によれば、その破損個所からの漏電や短絡に起因する火災、或いは感電事故の発生を確実に防止することができる。検知部の具体例としては種々のものが挙げられる。例えば、検知対象の災害が地震である場合には、有線または無線送信或いは放送される緊急地震速報を受信してブレーカを供給状態から遮断状態に切り替える装置や、地震による住宅等の揺れを直接検出する加速度センサなどの地震検知器を検知部として用いることが考えられる。検知対象の災害が火災である場合には、所謂火災検知器を上記検知部として用いるようにすればよい。また、上記自動検針装置の設置場所または当該設置場所の近隣へのガスの供給または遮断を切り替える遮断弁が開状態から閉状態に切り替えられた場合に災害発生と判定する装置を上記検知部として用いてもよい。上記自動検針装置の設置場所とは、上記自動検針装置が設置され、系統電源からの電力が当該自動検針装置を介して屋内の電気機器等に供給される住宅等のことをいい、当該設置場所へのガスの供給または遮断とは、低圧導管等からのガスの当該住宅内のガス管への供給または遮断のことをいう。上記遮断弁については住人等が手動で操作するものであってもよく、また、地震或いはガス漏れの発生を検知する検知部と上記遮断弁とを有し、地震或いはガス漏れの発生を当該検知部により検知した場合に遮断弁を閉じるガス消費量自動検針装置における遮断弁であってもよい。
【0009】
より好ましい態様においては、本発明の自動検針装置における検知部は、災害の発生後、安全な状態であるか否かを判定し、安全な状態であると判定されるまで、上記ブレーカを遮断状態から供給状態に切り替えることを遠隔監視装置から指示されても、当該指示を無視することを特徴とする。例えば、本発明の自動検針装置における検知部は、災害の発生後、安全な状態であるか否かを判定し、安全な状態であると判定されるまで、上記ブレーカを遮断状態から供給状態に切り替えること、すなわち復電を指示する制御信号を上記遠隔監視装置から受信しても、当該制御信号を破棄する。前述したように、遠隔監視装置側では各住宅等における被災状況を正確に把握することはできず、系統電源の復旧に連動させて上記ブレーカを復電させることが一般的である。しかし、このような態様では、地震発生に起因してガス漏れが発生していた場合に十分に安全を確保できないことは前述した通りである。これに対して本発明によれば、安全な状態であると検知部により判定されるまで、遠隔監視装置から復電を指示されても当該指示は無視され、通電火災等の二次災害の発生を確実に防止することができる。
【0010】
安全な状態であるか否かを判定する検知部の具体的な構成としては種々の構成が考えられる。例えば、本発明の自動検針装置における検知部はガス漏れ検知器を含み、当該ガス漏れ検知器によりガス漏れが検知されていない場合に安全な状態と判定する構成が考えられる。また、本発明の電力消費量自動検針装置とともに設置されるガスの遮断弁の開閉を参照する構成の検知部であれば、地震の発生を検知した後、遮断弁が閉状態から開状態へ遷移した場合に安全な状態であると判定する構成、すなわち、遮断弁が閉状態から開状態へ遷移するまで、上記ブレーカを遮断状態から供給状態に切り替えることを遠隔監視装置から指示されても、その指示を無視する構成が考えられる。地震発生に起因して閉じた遮断弁の開放は、被災状況を確認した住人等によって行われることが一般であり、地震発生に起因して閉じた遮断弁が閉状態から開状態へ遷移したということは、住人等によって安全な状態であることが確認されたことを意味するからである。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明は、以下の計量部、遮断弁および検知部を有する自動検針装置を提供する。この自動検針装置はガス消費量自動検針装置であり、遮断弁は、ガスの供給または遮断を切り替える。計量部は、上記遮断弁を介して供給されるガスの計量期間内における消費量を計量し、計量結果を示す検針データを所定の宛先へ送信する。検知部は、本装置の設置場所における災害の発生を検知し、上記遮断弁を供給状態から遮断状態に切り替え、ガスの供給を遮断する。加えて、上記検知部は、災害の発生後、安全な状態であるか否かを判定し、安全な状態であると判定されるまで、上記遮断弁の開閉を遠隔制御する遠隔監視装置から上記遮断弁を遮断状態から供給状態に切り替えることを指示されても、当該指示を無視する。このようなガス消費量自動検針装置によっても、従来よりもきめ細やかに災害発生時の安全を確保することが可能になる。
【0012】
また、上記課題を解決するために本発明は、以下の特徴を有する自動検針システムを提供する。この自動検針システムは、電力消費量の自動検針を実現するための第1の自動検針装置と、都市ガスのガス消費量の自動検針を実現するための第2の自動検針装置とを有する。第1の自動検針装置は、系統電源からの電力の供給または遮断を切り替える第1の遮断器、すなわちブレーカを内蔵し、第1の遮断器を介して系統電源から供給される電力の計量期間内における消費量を計量し、計量結果を示す第1の検針データを所定の宛先へ送信する。第2の自動検針装置は、ガスの供給または遮断を切り替える第2の遮断器、すなわち遮断弁を内蔵し、第2の遮断器を介して供給されるガスの計量期間内における消費量を計量し、計量結果を示す第2の検針データを所定の宛先へ送信する。第1の自動検針装置と第2の自動検針装置の各々は、他方と通信する通信部を有する。第1の自動検針装置と第2の自動検針装置のうちの一方の自動検針装置は、災害の発生を検知して自装置の遮断器を遮断状態に切り換える第1の検知部を有する。そして、第1の自動検針装置と第2の自動検針装置のうちの他方の自動検針装置は、一方の自動検針装置における遮断器が供給状態から遮断状態に切り替わったことを検知して自装置の遮断器を遮断状態に切り替える。
【0013】
このような自動検針システムによっても、地震の発生を検知した場合には系統電源からの電力の供給の有無にかかわらず、住宅内への電力の供給を遮断し、地震に起因する通電火災や感電事故の発生を確実に防止することが可能になる。
【0014】
第1の自動検針装置が第2の検知部を有する一方、第2の自動検針装置が第1の検知部を有し、第1の検知部による検知対象の災害にガス漏れが含まれている場合には、互いに対になる第1および第2の自動検針装置を複数対設け、複数の第1の自動検針装置の各々における第2の検知部に以下の処理を行わせるようにしてもよい。すなわち、第2の検知部は、他の第1の自動検針装置と対になる第2の自動検針装置の第2の遮断器の遮断状態への切り替えに応じて当該他の第1の自動検針装置の第1の遮断器が遮断状態に切り替えられたことを検知した場合に、自装置の第1の遮断器を供給状態から遮断状態へ切り替える。
【0015】
例えば、自装置と対になる第2の自動検針装置の第2の遮断器の遮断状態への切り替えに応じて自装置の第1の遮断器を遮断状態に切り替えた場合にその旨を示す遮断通知を無線でブロードキャストする処理を第2の検知部に実行させるとともに、他の第2の検知部によりブロードキャストされた遮断通知を受信したことを契機として自装置の第1の遮断器を供給状態から遮断状態に切り替える処理を第2の検知部に実行させる。このような態様によれば、例えば、互いに対になる第1および第2の自動検針装置をマンションなどの集合住宅の各戸に設けておくことで、ガス漏れの発生した住宅等に配置されている第1の自動検針装置だけでなく、上記遮断通知を無線受信可能なエリア内の他の第1の自動検針装置、すなわち、ガス漏れの発生した住宅等の近隣の住宅等に配置されている第1の自動検針装置についても、第1の遮断器を供給状態から遮断状態に切り替えることができる。ガス漏れに関しては、ガス漏れの発生場所のブレーカを閉鎖状態にするだけでは、安全確保上不十分な場合がある。漏れ出したガスがその近隣の住宅等へ拡散する虞があるからである。本態様によれば、ガス漏れの発生場所だけでなく、その近隣においても、ガス漏れの発生を契機としてブレーカが自動的に閉じられ、十分に安全を確保できる。
【0016】
また、別の好ましい態様においては、複数の第1の自動検針装置の各々に対応づけて、1または複数の他の第1の自動検針装置を示す情報が書き込まれた位置管理テーブルを有する位置管理装置を上記自動検針システムに設け、第2の検知部と位置管理装置に以下の処理を実行させるようにしてもよい。すなわち、第2の検知部には、自装置の第1の遮断器を遮断状態に切り替えたことを契機としてその切り替えの発生を通知する遮断通知を位置管理装置へ送信する一方、位置管理装置からの遮断指示に応じて自装置の第1の遮断器を供給状態から遮断状態へ切り替える処理を実行させる。一方、位置管理装置には、受信した遮断通知の送信元の第1の自動検針装置に対応付けられた他の第1の自動検針装置を位置管理テーブルの格納内容を参照して特定し、特定した第1の自動検針装置に対して遮断指示を送信する処理を実行させる。このような態様によれば、ガス漏れの発生を契機としてブレーカを遮断状態へ切り替えるべき第1の自動検針装置をガスの特性等に応じて設定することが可能になり、きめ細やかに災害発生時の安全確保を実現することが可能になる。
【0017】
本実施形態による自動検針システムは、その一態様では、系統電源からの電力の供給または遮断を切り替える第1の遮断器を有する第1の自動検針装置と、ガスの供給または遮断を切り替える第2の遮断器を有する第2の自動検針装置と、前記第1の自動検針装置の前記第1の遮断器が前記系統電源からの電力を遮断したときに代替電力を供給可能な代替電力供給部と、を有し、前記第1の自動検針装置及び/又は前記第2の自動検針装置は、前記第1の遮断器の状態及び/又は前記第2の遮断器の状態に応じた停電判定情報を生成して、当該停電判定情報を前記代替電力供給部に送り、前記代替電力供給部は、前記第1の自動検針装置及び/又は前記第2の自動検針装置から送られた前記停電判定情報に基づいて、前記代替電力の供給または遮断を切り替える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、自動検針装置および自動検針システムについて、従来よりもきめ細やかに災害発生時の安全確保を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態による自動検針システムの構成例を示す図である。
図2】第1実施形態における災害時遮断処理の流れを示すフローチャートである。
図3】第1実施形態における復電処理の流れを示すフローチャートである。
図4】同自動検針システムの動作を説明するための図である。
図5】本発明の第2実施形態による自動検針システムの構成例を示す図である。
図6】同自動検針システムに含まれるコンセントレータに記憶されている位置管理テーブルを説明するための図である。
図7】同自動検針システムに含まれるコンセントレータの制御部がファームウェアにしたがって実行する安全確保処理の流れを示すフローチャートである。
図8】本発明の第3実施形態による自動検針システムの構成例を示す図である。
図9】第3実施形態による電力消費量自動検針装置及びガス消費量自動検針装置の内部構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
(A:第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態による自動検針システム1の構成例を示す図である。図1に示す自動検針システム1は、住宅等における電力消費量および都市ガス消費量の自動検針を実現するシステムである。自動検針システム1は、インターネットなどの電気通信回線10に各々接続された遠隔監視装置20および電力消費量自動検針装置30と、通信線を介して電力消費量自動検針装置30に接続されたガス消費量自動検針装置40とを含む。
【0021】
遠隔監視装置20は、例えば遠隔監視センタに設置されるコンピュータ装置である。遠隔監視装置20については従来の自動検針システムにおけるものと特段に変わるところはないので詳細な説明を省略する。
【0022】
電力消費量自動検針装置30は、例えば1か月などの所定の計量期間における電力消費量を計量し、計量期間の経過後、その計量結果を示す検針データを、電気通信回線10を介して遠隔監視装置20へ送信する。これにより、上記住宅等における電力消費量の自動検針が実現される。ガス消費量自動検針装置40は、所定の計量期間における都市ガスの消費量を計量し、計量期間の経過後、計量結果を示す検針データを、電力消費量自動検針装置30および電気通信回線10を介して遠隔監視装置20へ送信する。これにより、上記住宅における都市ガス消費量の自動検針が実現される。なお、電力消費量の計量期間とガス消費量の計量期間の時間長は同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、両者の始期や終期が一致している必要はない。また、本実施形態では、電力消費量についての検針データの送信先とガス消費量についての検針データの送信先が何れも遠隔監視装置20であったが、各々異なる遠隔監視装置に送信する態様であってもよい。
【0023】
ガス消費量自動検針装置40は、ガス消費量の計量を行う計量部(図1では図示略)の他に、通信部410、遮断弁420、検知部430および復帰スイッチ440を有する。通信部410は例えばNIC(Network
Interface Card)であり、通信線を介して電力消費量自動検針装置30に接続されている。通信部410は、その接続先である電力消費量自動検針装置30と通信するとともに、電力消費量自動検針装置30および電気通信回線10を介して遠隔監視装置20と通信する。
【0024】
遮断弁420は、上記住宅等、すなわちガス消費量自動検針装置40の設置場所へのガスの供給または遮断を切り替える遮断器である。より詳細に説明すると、遮断弁420は、ガスの遮断を指示する制御信号である遮断指示信号を遠隔監視装置20または検知部430から受信すると、供給状態から遮断状態に切り替わる。なお、供給状態とは遮断弁420を開いた開状態のことをいい、遮断状態とは遮断弁420を閉じた閉状態のことをいう。そして、遮断弁420は、ガスの供給を指示する制御信号である供給指示信号を遠隔監視装置20または復帰スイッチ440から受信すると、閉状態から開状態に切り替わる。計量部(図1では図示略)は、遮断弁420を介して供給されるガスの上記計量期間における消費量を計量し、計量結果を示す検針データを遠隔監視装置20へ送信する。
【0025】
検知部430は、例えば加速度センサ等を含む地震検知器であり、所定の加速度以上の揺れを検出した場合には、遮断弁420に遮断指示信号を与える。復帰スイッチ440は、地震の発生を契機として閉じられた遮断弁420を再び開くための操作を上記住宅等の住人に行わせるための操作子であり、住人の操作に応じて供給指示信号を遮断弁420に与える。上記住宅等の住人は、地震の発生後、当該住宅等における被災状況を確認し、安全が確認された場合に復帰スイッチ440を操作して遮断弁420を閉状態から開状態へ遷移させる。
【0026】
電力消費量自動検針装置30は、通信部310、計量部320および検知部330を有する。通信部310は通信部410と同様にNICであり、電気通信回線10を介して遠隔監視装置20と通信するとともに、通信線を介してガス消費量自動検針装置40と通信する。計量部320は、系統電源に接続されているとともに、ブレーカ320aを含んでいる。ブレーカ320aは、上記住宅等、すなわち電力消費量自動検針装置30の設置場所への系統電源からの電力の供給または遮断を切り替える遮断器である。計量部320は、ブレーカ320aを介して系統電源から供給され上記住宅内の機器等で消費される電力についての計量期間内における消費量を計量し、計量結果を示す検針データを遠隔監視装置20へ送信する。
【0027】
電力の供給または遮断を制御する制御信号は遠隔監視装置20から送信され、通信部310によって受信される。通信部310によって受信された制御信号は、検知部330を介してブレーカ320aに与えられる。ブレーカ320aは、電力の遮断を指示する制御信号である遮断指示信号を受け取った場合には、供給状態から遮断状態に切り替わる。供給状態とはブレーカ320aを閉じて閉回路を形成した閉状態のことをいい、遮断状態とはブレーカ320aを開いた開状態のことをいう。そして、ブレーカ320aは、電力の供給を指示する制御信号である供給指示信号を受け取った場合には、遮断状態から供給状態に切り替わる。
【0028】
本実施形態の特徴の1つは、電力消費量自動検針装置30に検知部330を設けた点にある。検知部330は、電力消費量自動検針装置30の演算部(例えば、CPU:図1では図示略)を本発明の特徴を顕著に示す安全確保プログラムにしたがって作動させることで実現されるソフトウェアモジュールである。検知部330は、図2に示す災害時遮断処理および図3に示す復電処理を実行する。
【0029】
災害時遮断処理とは、災害(本実施形態では、地震)の発生を検知してブレーカ320aを供給状態から遮断状態に切り替える処理である。検知部330は、例えば5ミリ秒周期などの一定の周期で図2に示す災害時遮断処理を繰り返し実行する。図2に示すように、災害時遮断処理では、検知部330は、通信部310を介した通信により遮断弁420の開閉状態を参照する(ステップSA100)。次いで、検知部330は、遮断弁420が供給状態から遮断状態に変化したか否かを判定する(ステップSA110)。より詳細に説明すると、検知部330は前回の災害時遮断処理において記憶した遮断弁420の状態が供給状態であり、かつステップSA100の参照の結果得られた遮断弁420の状態が遮断状態である場合に、供給状態から遮断状態に変化したと判定する。前述したように、ガス消費量自動検針装置40では、検知部430によって所定の加速度以上の揺れの地震の発生が検知されると遮断弁420は閉鎖される。本実施形態の検知部330は、これを利用して地震の発生を検知するのである。
【0030】
ステップSA110の判定結果が“Yes”である場合には、検知部330は、遮断指示信号を生成してブレーカ320aに与えた(ステップSA120)後に、ステップSA100にて取得した遮断弁420の状態を示すデータを記憶(ステップSA130)して災害時遮断処理を終了する。これに対して、ステップSA110の判定結果が“No”である場合には、検知部330は、ステップSA120の処理を実行することなくステップSA130の処理を実行して災害時遮断処理を終了する。なお、ステップSA130にて記憶された遮断弁420の状態は、次回の災害時遮断処理のステップSA110の判定において利用される。
【0031】
復電処理は、上記災害時遮断処理にてブレーカ320aを遮断状態にした後、遠隔監視装置20から供給指示信号を受信する毎に実行される処理である。この復電処理では、検知部330は、所定の復電条件が満たされたか否かを判定し(ステップSB100)、その判定結果が“Yes”である場合には、上記受信した供給指示信号をブレーカ320aに与えて復電(ステップSB110)させる一方、その判定結果が“No”である場合には上記供給指示信号を破棄(ステップSB120)して復電を見合わせる。本実施形態における復電条件は、遮断弁420が閉状態から開状態へ遷移したことである。前述したように本実施形態では、上記住宅等の住人は、地震の発生後、被災状況を確認し、安全が確認された場合に復帰スイッチ440を操作して遮断弁420を閉状態から開状態へ遷移させる。検知部330はこれを利用して安全な状態であるか否かを判定し、安全な状態であると判定されるまで、復電を見合わせるのである。
以上が自動検針システム1の構成である。
【0032】
図4は自動検針システム1の動作を説明するための図である。
所定の加速度以上の揺れの強い地震が時刻t1において発生したとする。この場合、ガス消費量自動検針装置40では、検知部430によってその地震が検知され、遮断弁420を閉鎖する処理が実行される。一方、電力消費量自動検針装置30の検知部330は、ガス消費量自動検針装置40の遮断弁420が開状態から閉状態に遷移したことを検知し、ブレーカ320aを遮断状態に遷移させる。
【0033】
一般に、予め定められた震度以上の強い地震(後述する第1の震度閾値以上の地震)が発生した場合には、系統電源を一旦停止させるとともに系統電源の停止に連動させてブレーカ320aを一旦遮断状態に遷移させる遠隔制御が遠隔監視装置20によって為される。そして、安全が確認された後に系統電源からの電力の供給を開始させ、これに連動させてブレーカ320aの遮断状態を解除する遠隔制御が遠隔監視装置20によって為される。図4に示す例では、遮断弁420によりガス供給を遮断する程度の強さの揺れではあるものの、上記所定の震度よりは小さい地震(後述する第1の震度閾値未満かつ第2の震度閾値以上の地震)が発生した場合について図示されている。この場合、系統電源の停電やそれと連動した制御は為されないものの、住宅等における被災状況によっては配線の破損が発生するなど、安全確保に支障が生じる虞がある。本実施形態によれば、系統電源を停止させるほどではない地震が発生したような場合であっても、その地震の発生によって遮断弁420が閉じられたような場合には、ブレーカ320aによって系統電源からの電力の供給が遮断され、住宅内等の配線の破損に起因する漏電や短絡、それらを原因とする火災或いは感電事故の発生を確実に防止することができる。
【0034】
その後、時刻t2において、自動検針システム1の設置された住宅の住人によって宅内の安全が確認され、復帰スイッチ440を操作して遮断弁420が開状態に戻されたとする。仮に時刻t1において発生した地震が上記所定の震度(第1の震度閾値)を上回る地震であった場合には、系統電源の停止およびそれと連動したブレーカ320aの制御の後、系統電源の停止解除を契機として遠隔監視装置20から電力消費量自動検針装置30へ供給指示信号が送信されてくる。図4では、遠隔監視装置20から送信されてくる供給指示信号がパルスによって表現されている。しかし、時刻t1から時刻t2までの期間では、ガス消費量自動検針装置40の遮断弁420が閉状態であるため、遠隔監視装置20から送信されてくる供給指示信号は検知部330によって破棄される。そして、時刻t2において復帰スイッチ440の操作が行われた以降は、検知部330は、遠隔監視装置20から受信した供給指示信号を破棄せずブレーカ320aに与え、系統電源からの電力供給を復電させる。これにより、住宅内の安全が確認されない状態で通電を再開することに起因する火災の発生等を確実に防止することができる。
【0035】
あるいは、電力消費量自動検針装置30の検知部330は、ブレーカ制御部として、次のような制御を実行する。
【0036】
すなわち、検知部(ブレーカ制御部)330は、系統電源の運転状態に連動させてブレーカ320aによる電力の供給または遮断を切り替える第1のモード、及び、遮断弁420の開閉状態に連動させてブレーカ320aによる電力の供給または遮断を切り替える第2のモードのいずれかで動作可能である。
【0037】
より具体的に、検知部(ブレーカ制御部)330は、検知部(地震検知部)430が第1の震度閾値以上の地震を検知した場合には上記第1のモードで動作して、系統電源が停止されるのに連動させてブレーカ320aによる電力を遮断し、検知部(地震検知部)430が第1の震度閾値以上の地震を検知していない場合には上記第2のモードで動作して、遮断弁420の開閉状態に連動させてブレーカ320aによる電力の供給または遮断を切り替える。例えば、第1の震度閾値以上の地震が検知されたときには、検知部330が第1のモードで動作してブレーカ320aによる電力を遮断し、その後に地震が収まると、検知部330が第2のモードに移行して、遮断弁420の開閉状態に連動させてブレーカ320aによる電力の供給または遮断を切り替える(遠隔監視装置20から供給指示信号が送信されても検知部330が当該供給指示信号を無視する)。
【0038】
第1の震度閾値以上の地震が検知されると、系統電源が停止されるとともにブレーカ320aによる電力が遮断されるのであるが、当該地震の際に、住宅内の配線が破損するおそれがある。この場合、仮に、地震が収まった後に系統電源の復帰に合わせて自動的にブレーカ320aによる電力供給を開始すると、配線の破損個所からの漏電や短絡に起因する火災、感電事故が発生するおそれがある。しかし、本実施形態では、一旦ブレーカ320aによる電力が遮断されると、その後は安全確認が行われた上で遮断弁420が閉状態から開状態に切り替わるまで、ブレーカ320aによる電力遮断状態が維持されるので、配線の破損に起因する上記の問題を防止することができる。
【0039】
遮断弁420は、検知部(ブレーカ制御部)330が上記第2のモードで動作している場合において、検知部(地震検知部)430が第1の震度閾値よりも小さい第2の震度閾値以上の地震を検知したときには閉状態となってガスを遮断し、検知部(地震検知部)430が上記第2の震度閾値以上の地震を検知していないときには開状態となってガスを供給する。そして、遮断弁420の開閉状態に連動させて、検知部330がブレーカ320aによる電力の供給または遮断を切り替える。
【0040】
以上説明したように本実施形態によれば、自動検針システムについての地震等の災害発生時の安全性を従来よりも高くすることが可能になる。
【0041】
(B:第2実施形態)
次いで本発明の第2実施形態について説明する。図5は、本発明の第2実施形態による通信システム1Aの構成例を示す図である。通信システム1Aは、互いに対になる電力消費量自動検針装置30とガス消費量自動検針装置40と、を複数対含んでいる。図5では、複数の電力消費量自動検針装置の各々が符号「30_n」(n=1〜N:Nは2以上の自然数)により示されており、複数のガス消費量自動検針装置の各々が符号「40_n」により示されている。図5に示すように、互いに対になる電力消費量自動検針装置30_nとガス消費量自動検針装置40_nは通信線により接続されている。本実施形態において、互いに対になっている電力消費量自動検針装置30_nおよびガス消費量自動検針装置40_nは、図5に示すように、住宅60_nに設置されている。住宅60_nは、マンションなどの集合住宅の各住宅である。
【0042】
ガス消費量自動検針装置40_nの構成は基本的には第1実施形態におけるガス消費量自動検針装置40の構成と同一である。図5では詳細な図示を省略したが、ガス消費量自動検針装置40_nは、通信部410、遮断弁420、検知部430、および復帰スイッチ440を有する。ただし、本実施形態における検知部430はガス漏れ検知器である点が第1実施形態と異なる。つまり、本実施形態における検知対象の災害はガス漏れである。電力消費量自動検針装置30_nの構成も基本的には第1実施形態における電力消費量自動検針装置30の構成と同一である。図5では詳細な図示を省略したが、電力消費量自動検針装置30_nは、通信部310、計量部320および検知部330を有する。
【0043】
電力消費量自動検針装置30_nの通信部310は、NICなどの有線通信部と無線トランシーバなどの無線通信部とを含む(図5では図示略)。上記有線通信部には、電力消費量自動検針装置30_nと対になるガス消費量自動検針装置40_nが通信線を介して接続されている。検知部330は、電力消費量自動検針装置30_nと対になるガス消費量自動検針装置40_nの遮断弁420が供給状態から遮断状態へ切り替えられたことを上記有線通信部を介した通信により検知した場合に、自装置のブレーカ320aを供給状態から遮断状態へ切り替える。無線通信部は例えば無線LANなどの無線通信網を介してコンセントレータ50と通信する。
【0044】
コンセントレータ50は、遠隔監視装置20の接続された電気通信回線10に接続されている。コンセントレータ50は、電力消費量自動検針装置30_nやガス消費量自動検針装置40_nと遠隔監視装置20との通信を中継する中継装置であり、上記マンションの電気室等に設置される。図5に示す通信システム1Aでは、電力消費量自動検針装置30_nは、無線通信網、コンセントレータ50および電気通信回線10を介して遠隔監視装置20と通信する。ガス消費量自動検針装置40_nは、電力消費量自動検針装置30_n、無線通信網、コンセントレータ50および電気通信回線10を介して遠隔監視装置20と通信する。本実施形態では、電力消費量自動検針装置30_nとコンセントレータ50とが無線通信する場合について説明するが、両者の通信は有線通信であってもよく、この場合は、電力消費量自動検針装置30_nを通信線を介してコンセントレータ50に接続すればよい。
【0045】
図5に示す通信システム1Aでは、ガス消費量自動検針装置40_nの検知部430により、その設置場所である住宅60_nにおけるガス漏れの発生が検知されると、ガス消費量自動検針装置40_nの遮断弁420が供給状態から遮断状態に切り替えられる。そして、この切り替えに連動して、ガス消費量自動検針装置40_nと対になる電力消費量自動検針装置30_nのブレーカ320aも供給状態から遮断状態に切り替えられる。これにより、ガス漏れの発生した住宅60_n内の電気機器等への電力供給を継続することに起因する予期せぬガス爆発の発生を防止することができる。
【0046】
しかし、ガス漏れの発生した住宅60_n内の電気機器等への電力供給を遮断するだけでは、安全確保上不十分な場合がある。住宅60_n内で漏れ出したガスが建材等の隙間を介して近隣の住宅内に拡散する虞があるからである。そこで、本実施形態では、ガス漏れの発生した住宅の近隣の住宅においてガス爆発が発生することを防止するため、検知部330とコンセントレータ50に本実施形態の特徴の1つである処理を実行させる。以下、検知部330とコンセントレータ50を中心に説明する。
【0047】
検知部330が実行する処理は、基本的には第1実施形態における災害時遮断処理(図2参照)と同一であるが、ステップSA120において、ブレーカ320aを遮断状態に切り替えた旨の遮断通知信号をコンセントレータ50へ送信する点が第1実施形態と異なる。上記遮断通知信号を送信する際には、検知部330は、その送信元を一意に示す送信元識別子を付与してコンセントレータ50へ送信する。上記送信元識別子の一例としては、遠隔監視装置20との通信を可能にするために電力消費量自動検針装置30_nに予め割り当てられている通信アドレス(例えば、IPアドレスやMACアドレス)が挙げられる。以下では、電力消費量自動検針装置30_nの通信アドレスを「adr_n」と表記する。例えば、電力消費量自動検針装置30_1の通信アドレスはadr_1であり、電力消費量自動検針装置30_2の通信アドレスはadr_2である。また、本実施形態の検知部330は、通信部310を介して受信した遮断指示信号をブレーカ320aに与えることで当該ブレーカ320aの遮断制御を行い、この点は第1実施形態と同一である。ただし、本実施形態ではコンセントレータ50から遮断指示信号が送信される場合がある点が第1実施形態と異なる。
【0048】
前述したように、コンセントレータ50は、電力消費量自動検針装置30_nやガス消費量自動検針装置40_nと遠隔監視装置20との通信を中継する中継装置であり、無線通信等を行うための通信部、中継処理をファームウェア等にしたがって実行する制御部、および、中継処理にて使用される各種データを記憶する記憶部、を有する(図5では、何れも図示略)。上記通信部の具体例としては、NICや無線トランシーバが挙げられる。上記制御部の具体例としてはCPUが挙げられ、上記記憶部の具体例としてはハードディスクやフラッシュROMなどが挙げられる。
【0049】
コンセントレータ50は上記中継装置の役割の他に、電力消費量自動検針装置30_n(n=1〜N)の各々の設置位置を管理する位置管理装置の役割を担っている。より詳細に説明すると、コンセントレータ50には、電力消費量自動検針装置30_n(n=1〜N)の各々に対応づけて、近隣の住宅60_m(m≠n)に設置されている電力消費量自動検針装置30_mを示す情報が書き込まれた位置管理テーブル510を予め記憶している。本実施形態において近隣の住宅とは、左右両隣り、直上および直下の各住宅のことをいう。例えば、住宅60_n(n=1〜N:ただし、N=9)を有するマンションが1フロア当たり3軒の住宅が配置される3階建てのマンションであり、図6Aに示すように住宅60_n(n=1〜9)の各々が配置されている場合には、図6Bに示す位置管理テーブル510がコンセントレータ50に記憶されている。
【0050】
図6Bに示す位置管理テーブル510には、通知元識別子に対応付けて近隣装置識別子が格納されている。通知元識別子とは、上記遮断通知の送信元となり得る電力消費量自動検針装置30_n(n=1〜N:図6ではN=9について例示)の各々を一意に示す識別子である。本実施形態では電力消費量自動検針装置30_n(n=1〜9)の各々の通信アドレスが通知元識別子として位置管理テーブル510に格納されている。一方、近隣装置識別子は、通知元識別子の示す電力消費量自動検針装置30_nに対応付ける電力消費量自動検針装置30_m(m≠n)、すなわち、本実施形態では、通知元識別子の示す電力消費量自動検針装置30_nが配置される住宅60_nの近隣の住宅60_mに配置される電力消費量自動検針装置30_mを一意に示す識別子である。本実施形態では、近隣装置識別子についても通信アドレスが用いられている。
【0051】
コンセントレータ50の制御部は、ガス漏れの発生した住宅の近隣の住宅においてガス爆発が発生することを防止するために、上記ファームウェアにしたがって安全確保処理を実行する。図7は、安全確保処理の流れを示すフローチャートである。図7に示すように、安全確保処理では、コンセントレータ50の制御部は、遮断通知信号を受信するまで、すなわち、ステップSC100の判定結果が“No”である間、当該信号の受信を待ち受ける(ステップSC100)。遮断通知信号を受信すると、ステップSC100の判定結果は“Yes”となり、コンセントレータ50の制御部はステップSC110以降の処理を実行する。
【0052】
ステップSC110では、コンセントレータ50の制御部は、ガス漏れの発生した住宅の近隣の住宅に配置されている電力消費量自動検針装置を、上記遮断通知信号に付与されている送信元識別子と位置管理テーブル510の格納内容とから特定する。より詳細に説明すると、コンセントレータ50の制御部は、ステップSC110では、上記送信元識別子と同じ通知元識別子に対応付けて位置管理テーブル510に格納されている近隣装置識別子を位置管理テーブル510から読み出す。そして、コンセントレータ50の制御部は、上記の要領で読み出した近隣装置識別子の示す電力消費量自動検針装置を、ガス漏れの発生した住宅の近隣の住宅に配置されている電力消費量自動検針装置として特定する。
【0053】
ステップSC110に後続するステップSC120では、コンセントレータ50の制御部は、ステップSC110にて特定した電力消費量自動検針装置へ宛てて遮断指示信号を送信する。以降、コンセントレータ50の制御部は、安全確保処理の実行終了を指示されたか否かを判定し(ステップSC130)、その判定結果が“No”である場合にはステップSC100の処理を再度実行する。逆にステップSC130の判定結果が“Yes”である場合には、本安全確保処理を終了する。
以上が本実施形態の構成である。
【0054】
例えば、図6Aに示すように配置されている住宅60_1〜60_9のうちの住宅60_5においてガス漏れが発生したとする。この場合、まず、ガス消費量自動検針装置40_5の検知部430によってガス漏れの発生が検知され、検知部430は自装置の遮断弁420を閉じる。電力消費量自動検針装置30_5の検知部330は、ガス消費量自動検針装置40_5の遮断弁420が供給状態から遮断状態に切り替わったことを検知して自装置のブレーカ320aを供給状態から遮断状態に切り替え、遮断通知信号をコンセントレータ50へ送信する。前述したように、電力消費量自動検針装置30_5がコンセントレータ50へ送信する遮断通知信号には、当該信号の送信元を示す送信元識別子として電力消費量自動検針装置30_5の通信アドレスが付与されている。
【0055】
コンセントレータ50の制御部は、上記遮断通知信号の受信を契機として安全確保処理のステップSC110以降の処理を実行する。本動作例においてコンセントレータ50が受信する遮断通知信号には送信元識別子として電力消費量自動検針装置30_5の通信アドレスが付与されている。一方、コンセントレータ50の位置管理テーブル510には当該通信アドレスに対応付けて、電力消費量自動検針装置30_2、30_4、30_6、および30_8の各々の通信アドレスが格納されている(図6B参照)。このため、本動作例では、ガス漏れの発生した住宅の近隣の住宅に配置されている電力消費量自動検針装置として、電力消費量自動検針装置30_2、30_4、30_6、および30_8が特定され、コンセントレータ50の制御部は、電力消費量自動検針装置30_2、30_4、30_6、および30_8の各々へ遮断指示信号を送信する(図7:ステップSC120)。電力消費量自動検針装置30_2、30_4、30_6、および30_8の各々の検知部330は、通信部310を介して上記遮断指示信号を受信すると、その遮断指示信号を自装置のブレーカ320aに与え、供給状態から遮断状態へ遷移させる。
【0056】
以上説明したように本実施形態によれば、住宅60_5においてガス漏れが発生すると、その近隣の住宅60_2、60_4、60_6および60_8においても電力の供給が遮断される。このため、住宅60_5において漏れ出したガスが建材等の隙間を経由してその近隣の住宅内に拡散したとしても、当該近隣の住宅においてガス爆発が発生することを防止することができ、安全を確保することができる。
【0057】
ブレーカ320aを遮断状態から供給状態へ遷移させる復電の実行態様については種々の態様が考えられる。例えば、ガス漏れの発生場所の電力消費量自動検針装置30_n(すなわち、遮断通知信号の送信元の電力消費量自動検針装置30_n)については、自装置と対になるガス消費量自動検針装置40_nにおける遮断弁420が遮断状態から供給状態に切り替えられた時点から所定時間が経過したことを上記復電の条件とすればよい。また、ガス漏れの発生場所の近隣の電力消費量自動検針装置30_nについては、ガス漏れの発生場所の電力消費量自動検針装置30_n(すなわち、遮断通知信号の送信元の電力消費量自動検針装置30_n)のブレーカ320aが遮断状態から供給状態に切り替えられたことを復電の条件とすることが考えられる。具体的には、ガス漏れの発生場所の電力消費量自動検針装置30_nには復電を契機としてその旨を通知する復電通知信号に上記送信元識別子を付与してコンセントレータ50へ送信させる。コンセントレータ50には上記復電通知信号の受信を契機としてその送信元の近隣の電力消費量自動検針装置30_mを特定して復電指示信号を送信する処理を実行させ、近隣の各電力消費量自動検針装置30_mには、上記復電指示信号の受信を契機として自装置のブレーカ320aを遮断状態から供給状態に切り替えさせればよい。
【0058】
本実施形態ではガス漏れを検知対象の災害とする場合について説明したが、地震などの他の災害が含まれていてもよい。例えば、ガス漏れと地震の両方を検知対象の災害とする場合には、検知部430としてガス漏れ検知器と地震検知器の組み合わせを用いるようにすればよい。また、この態様においては、ガス漏れ検知器および地震検知器の状態を検知部330に参照させ、ガス漏れの検知により遮断弁420が供給状態から遮断状態へ切り替わった場合にのみ検知部330に遮断通知を送信させるようにしてもよい。本実施形態では、住宅60_nの左右両隣り、直上および直下の各住宅60_m(m≠n)を、住宅60_nの近隣の住宅としたが、斜め上或いは斜め下の住宅を含めてもよい。また、近隣の住宅をガスの特性に応じて定義してもよい。例えば、都市ガスは空気よりも比重が小さく、上方へ拡散し易いといった特性を有するため、直上に位置する一軒の住宅、或いは、直上および左右斜め上の各住宅、或いはさらに上層階の各住宅を、近隣の住宅とすることが考えられる。
【0059】
また、本実施形態では、電力消費量自動検針装置30_nやガス消費量自動検針装置40_nと遠隔監視装置20との通信を中継する中継装置であるコンセントレータ50が位置管理装置の役割を兼ねていたが、電力消費量自動検針装置30_n(n=1〜N)のうちの何れかが位置管理装置の役割を兼ねてもよく、電力消費量自動検針装置30_nやコンセントレータ50とは別個に位置管理装置を設けてもよい。
【0060】
また、本実施形態では、互いに対になる電力消費量自動検針装置30_nやガス消費量自動検針装置40_nの他に、電力消費量自動検針装置30_n(n=1〜N)の各々に対応付けて、1または複数の電力消費量自動検針装置30_m(m≠n)を示す情報を格納した位置管理テーブル510を有する位置管理装置(上記実施形態では、コンセントレータ50)を自動検針システムに設ける場合について説明したが、位置管理装置は必須ではない。例えば、ガス漏れの発生した場所の電力消費量自動検針装置30_nの検知部330に無線で遮断通知をブロードキャストさせ、電力消費量自動検針装置30_m(m≠n)の検知部330には、上記ブロードキャストされた遮断通知の受信を契機としてブレーカ320aを供給状態から遮断状態に切り替えさせるようにしてもよく、この場合は位置管理装置を設ける必要はない。
【0061】
(C:変形)
以上本発明の第1および第2実施形態について説明したが、これら実施形態に以下の変形を加えても勿論よい。
(1)上記第1実施形態では、電力消費量自動検針装置30と遠隔監視装置20との間の通信が有線通信であったが、無線通信であってもよく、同様に電力消費量自動検針装置30とガス消費量自動検針装置40との間の通信も無線通信であってもよい。
【0062】
(2)上記第1実施形態では、電力消費量自動検針装置30の検知部330は、電力消費量自動検針装置30に接続されたガス消費量自動検針装置40の遮断弁420の開閉を参照して地震の発生の検知、および安全な状態か否かの判定を行ったが、地震の発生の検知のみを行うようにしてもよい。検知部330に地震の発生の検知のみを行わせる場合には、検知部330として緊急地震速報を受信する受信機や加速度センサ等を用いるようにしてもよい。また、検知部330による検知対象の災害は地震には限定されず、洪水や火災であってもよい。検知対象の災害が火災である場合には、所謂火災検知器を検知部330として用いればよく、洪水である場合には防災無線の受信機等を検知部330として用いればよい。
【0063】
要するに本発明の電力消費量自動検針装置は、系統電源から供給される電力の供給または遮断を切り替えるブレーカと、このブレーカを介して系統電源から供給される電力の計量期間内における消費量を計量し、計量結果を示す検針データを所定の宛先(上記実施形態では、遠隔監視装置20)へ送信する計量部と、本装置の設置場所における災害の発生を検知し、系統電源から供給される電力を上記ブレーカにより遮断する、すなわち上記ブレーカを供給状態から遮断状態に切り替える検知部と、を備えていればよい。
【0064】
(3)上記第1実施形態では、電力消費量自動検針装置30の検知部330は、電力消費量自動検針装置30に接続されたガス消費量自動検針装置40の遮断弁420の開閉を参照して安全な状態となったか否かの判定を行った。しかし、電力消費量自動検針装置30にガス漏れ検知器を設け、地震発生後、ガス漏れが検知されていない場合に安全な状態と判定させるようにしてもよい。
【0065】
(4)上記第1および第2実施形態は、電力消費量の自動検針を実現するための電力消費量自動検針装置とガス消費量の自動検針を実現するためのガス消費量自動検針装置とを有する自動検針システムへの本発明の適用例であったが、電力消費量自動検針装置30を単体で製造・販売しても勿論よい。また、上記実施形態では、本発明の特徴を顕著に示す検知部330をソフトウェアモジュールで実現したが、電子回路などのハードウェアで実現してもよい。
【0066】
上記第1実施形態では電力消費量自動検針装置への本発明の適用例を説明したが、ガス消費量自動検針装置に本発明を適用することも可能である。具体的には、ガスの供給または遮断を切り替える遮断弁と、この遮断弁を介して供給されるガスの計量期間内における消費量を計量し、計量結果を示す検針データを所定の宛先へ送信する計量部と、本装置の設置場所における災害の発生を検知し、上記遮断弁を供給状態から遮断状態に遷移させてガスの供給を遮断する検知部と、を備え、検知部は、災害の発生後、安全な状態であるか否かを判定し、安全な状態であると判定されるまで、上記遮断弁の開閉を遠隔制御する遠隔制御装置から上記遮断弁を遮断状態から供給状態に切り替えることを指示されても、当該指示を無視することを特徴とするガス消費量自動検針装置、を提供してもよい。
【0067】
上記第1実施形態の自動検針システムは、電力消費量を示す第1の検針データを遠隔監視装置20へ送信する一方、遠隔監視装置20から受信した制御信号に応じて電力の供給または遮断を切り替える第1の遮断器(ブレーカ320a)を内蔵した第1の自動検針装置(電力消費量自動検針装置)と、ガス消費量を示す第2の検針データを遠隔監視装置20へ送信する一方、遠隔監視装置20から受信した制御信号に応じてガスの供給または遮断を切り替える第2の遮断器(遮断弁420)を内蔵した第2の自動検針装置(ガス消費量自動検針装置40)と、を有していた。
【0068】
第1の自動検針装置と第2の自動検針装置の各々は、他方と通信する通信部をそれぞれ有していた。そして、第2の自動検針装置は、災害の発生を検知して自装置の遮断器を遮断状態に切り換える第1の検知部(検知部430)を有しており、第1の自動検針装置は、第2の自動検針装置における遮断器が供給状態から遮断状態に切り替わったことを検知して自装置の遮断器を遮断状態に切り替える第2の検知部(検知部330)を有していた。しかし、第1の自動検針装置に第1の検知部を設け、第2の自動検針装置に第2の検知部を設けるようにしてもよい。
【0069】
(D:第3実施形態)
本発明の第3実施形態による自動検針システム1Bは、停電時に、蓄電池等の代替電力供給部を利用した復電機能を持つものであり、当該復電時における安全動作を保証する構成を具備している。
【0070】
まず、本実施形態の背景にある技術課題について説明する。従来から、蓄電池等の代替電力供給部を利用した復電機能を持つ自動検針システム自体は存在する。しかしながら、従来の自動検針システムは、停電により系統電源からの電力が遮断されると同時に、代替電力供給部からの代替電力の供給を自動的に開始するのが技術常識である。停電の原因が、例えば、電力需要が電力供給量を上回っている、発電・送電設備の故障、交通事故によって電柱がなぎ倒されて送電線が断線されるといった理由であれば、上記のように、代替電力供給部からの代替電力の供給を自動的に開始する制御で何ら問題はない。ところが、例えば、大地震等の災害時には、住宅内の配線が破損するおそれがあり、仮にこの状態で代替電力供給部からの代替電力の供給を自動的に開始すると、配線の破損個所からの漏電や短絡に起因する火災、感電事故が発生するおそれがある。本実施形態は、このような事態を未然に防止するためのものである。
【0071】
図8は、本発明の第3実施形態による自動検針システム1Bの構成例を示す図である。図8に示すように、本実施形態の自動検針システム1Bは、通信線を介して接続された電力消費量自動検針装置(第1の自動検針装置)30及びガス消費量自動検針装置(第2の自動検針装置)40と、パワーコンディショナ70と、太陽光パネル80と、蓄電池90と、電気機器100とを有している。
【0072】
パワーコンディショナ70は、電力消費量自動検針装置30及び/又は太陽光パネル80からの電力供給を受けて動作する。また、パワーコンディショナ70は、電力の余剰がある場合にはその余剰電力を蓄電池90に蓄電し、電力が不足している場合には蓄電池90からの電力供給を受けて動作する。電気機器100は、例えば、電気ストーブ、アイロン、ヒータ等から構成されており、パワーコンディショナ70からの電力供給を受けて動作する。
【0073】
パワーコンディショナ70は、例えば、停電時に、電力消費量自動検針装置30と太陽光パネル80からの電力供給が無くなって電力が不足した場合に、蓄電池90からの電力供給を受けてこれを電気機器100に供給することにより、電気機器100を動作させる。すなわち、パワーコンディショナ70は、電力消費量自動検針装置(第1の自動検針装置)30のブレーカ(第1の遮断器)320aが系統電源からの電力を遮断したときに代替電力を供給可能な「代替電力供給部」として機能する。
【0074】
図9は、電力消費量自動検針装置(第1の自動検針装置)30及びガス消費量自動検針装置(第2の自動検針装置)40の内部構成を示す機能ブロック図である。電力消費量自動検針装置30及びガス消費量自動検針装置40の構成は、基本的に、図1に示したものと同一であるが、電力消費量自動検針装置30に停電判定情報生成部340が設けられている点が異なっている。以下では、重複説明をなるべく省略して、本実施形態の内容を説明する。
【0075】
電力消費量自動検針装置30のブレーカ(第1の遮断器)320aは、系統電源からの電力の供給または遮断を切り替える機能を持つ。ガス消費量自動検針装置40の遮断弁(第2の遮断器)420は、ガスの供給または遮断を切り替える機能を持つ。
【0076】
検知部430が地震等の災害を検知すると、遮断弁420が閉じられてガスが遮断される。遮断弁420が閉じられてガスが遮断された旨は、通信部410を介して、電力消費量自動検針装置30の通信部310に報知され、ブレーカ320aが落とされて系統電源からの電力が遮断される。
【0077】
ここで、停電判定情報生成部340は、遮断弁420が閉じられてガスが遮断された旨が通信部310に報知されると、当該報知情報に基づく停電オン情報(停電判定情報)を生成して、当該停電オン情報をパワーコンディショナ70に送る。パワーコンディショナ70は、停電判定情報生成部340から送られた停電オン情報に基づいて、電気機器100への代替電力の供給を遮断する。
【0078】
一方、地震等が収まった災害復帰時には、安全な状態が確認されて復帰スイッチ440が操作されることで、遮断弁420が開かれてガスの供給が開始される。遮断弁420が開かれてガスの供給が開始された旨は、通信部410を介して、電力消費量自動検針装置30の通信部310に報知される。
【0079】
ここで、停電判定情報生成部340は、遮断弁420が開かれてガスの供給が開始された旨が通信部310に報知されると、当該報知情報に基づく停電オフ情報(停電判定情報)を生成して、当該停電オフ情報をパワーコンディショナ70に送る。パワーコンディショナ70は、停電判定情報生成部340から送られた停電オフ情報に基づいて、電気機器100への代替電力の供給を開始する。
【0080】
このように、停電判定情報生成部340は、災害発生から災害復帰に至るまでの過程の中で、遮断弁420の開閉状態に応じた停電判定情報を生成して、当該停電判定情報をパワーコンディショナ70に送り、パワーコンディショナ70は、停電判定情報生成部340から送られた停電判定情報に基づいて、電気機器100への代替電力の供給または遮断を切り替える。
【0081】
系統電源に起因する強制的な停電であるか、上述したようにガス消費量自動検針装置40の遮断弁420に連動してブレーカ320aが落とされたことに起因する停電であるかは、停電判定情報に基づいて判断することが可能である。後者の場合は、通信部410から報知情報を受け取った時点では電力供給を受けているので、停電判定情報を生成することができる(停電オン情報を生成した後に電力供給を遮断することができる)。また、パワーコンディショナ70は、電力消費量自動検針装置30からの電力供給が停止しても、蓄電池90から電力供給を受けられるので、引き続き動作することができる。また、大震災等で系統電源が停止する場合を想定し、ガス消費量自動検針装置40の検知部430が地震を検知して動作するのに十分な時間(例えば数秒)、電力消費量自動検針装置30がバッテリ等で駆動する機能を持たせてもよい。
【0082】
このように、本実施形態では、災害発生時に系統電源からの電力が遮断された場合に、パワーコンディショナ70からの代替電力の供給を自動的に開始するのではなく、停電判定情報生成部340が生成した停電判定情報に基づいて、パワーコンディショナ70からの代替電力の供給または遮断を切り替える。特に、パワーコンディショナ70から電気機器100への代替電力の供給を開始する旨の停電オフ情報は、安全な状態が確認されて復帰スイッチ440が操作された後のタイミングで生成されるので、配線の破損個所からの漏電や短絡に起因する火災、感電事故などの問題を確実に防止することができる。
【0083】
以上の実施形態では、電力消費量自動検針装置(第1の自動検針装置)30が、ガス消費量自動検針装置(第2の自動検針装置)40の遮断弁(第2の遮断器)420の開閉状態に応じた停電判定情報を生成して、当該停電判定情報をパワーコンディショナ70に送る場合を例示して説明した。しかし、これに代えて(加えて)、電力消費量自動検針装置(第1の自動検針装置)30が、自身のブレーカ(第1の遮断器)320aの開閉状態に応じた停電判定情報を生成して、当該停電判定情報をパワーコンディショナ70に送ることも可能である。あるいは(加えて)、ガス消費量自動検針装置(第2の自動検針装置)40が、電力消費量自動検針装置(第1の自動検針装置)30のブレーカ(第1の遮断器)320aの開閉状態に応じた停電判定情報を生成して、当該停電判定情報をパワーコンディショナ70に送ることも可能である。あるいは(加えて)、ガス消費量自動検針装置(第2の自動検針装置)40が、自身の遮断弁(第2の遮断器)420の開閉状態に応じた停電判定情報を生成して、当該停電判定情報をパワーコンディショナ70に送ることも可能である。
【0084】
また、第3実施形態による自動検針システム1Bに、上述した第1実施形態による自動検針システム1、第2実施形態による自動検針システム1A、変形例の構成や特徴を組み合わせて実施することも勿論可能である。
【符号の説明】
【0085】
1,1A,1B 自動検針システム
10 電気通信回線
20 遠隔監視装置
30,30_n 電力消費量自動検針装置(第1の自動検針装置)
310 通信部
320 計量部
320a ブレーカ(第1の遮断器)
330 検知部(ブレーカ制御部)
340 停電判定情報生成部
40,40_n ガス消費量自動検針装置(第2の自動検針装置)
410 通信部
420 遮断弁(第2の遮断器)
430 検知部
440 復帰スイッチ
50 コンセントレータ
60_n 住宅
70 パワーコンディショナ(代替電力供給部)
80 太陽光パネル
90 蓄電池
100 電気機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9