【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、ラインセンサで撮影した画像を2値化して(段落0029参照)、トロリ線の摺動面幅を計測している。この特許文献1を用いて、例えば、
図6のような撮影画像に対し、画像全体で1つの閾値のもと2値化すると、
図7のような2値化画像が得られ、この場合では、摺動面と未摺動面とが区別されて、正確に摺動面幅を計測することができる。
【0005】
しかしながら、ラインセンサによるトロリ線の摺動面幅の計測には、下記の3点の課題がある。
(1)摺動面の欠損
(2)摺動面の膨張
(3)背景部分の誤検出
【0006】
(1)摺動面の欠損
例えば、照明とラインセンサとトロリ線の位置関係によって、摺動面からの正反射光がラインセンサに入らないような場合、
図8のように、摺動面が局所的に暗く写るような画像になる。このような画像に対し、特許文献1に示された2値化処理を施すと、
図9のような2値化画像となり、摺動面が暗い箇所の検出ができず、欠損が発生する問題がある。
【0007】
(2)摺動面の膨張
上記欠損の問題の対策として、画像全体をガンマ補正などで明るくした上で2値化をする手法が考えられる。しかし、その手法では、
図10のように、摺動面だけでなくトロリ線全体が明るくなってしまい、2値化すると、
図11のように、非摺動面まで摺動面と検出して、摺動面が実際よりも膨張してしまい、実際よりも摩耗進行方向に計測してしまう問題がある。
【0008】
(3)背景部分の誤検出
また、
図12のように、雲などの影響により、背景に明るさのばらつきがあるような画像で2値化を行うと、
図13のように、背景部分も摺動面として検出してしまう問題がある。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、摺動面の欠損、摺動面の膨張、背景部分の誤検出を防止して、ロバストにトロリ線の摺動面幅を検出することができるトロリ線の摺動面幅検出装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する第1の発明に係るトロリ線の摺動面幅検出装置は、
ラインセンサで撮影したトロリ線の摺動面の画像信号からラインセンサ画像を作成するラインセンサ画像作成部と、
前記ラインセンサ画像上の前記トロリ線に対し、前記摺動面の摺動面位置を入力する摺動面位置入力部と、
前記ラインセンサ画像上の前記トロリ線を、前記摺動面位置を基準とする複数の局所領域に区切ると共に、各々の前記局所領域に対して2値化処理を行うことにより、前記摺動面を識別する2値化ラインセンサ画像を作成する局所2値化処理部と、
前記2値化ラインセンサ画像から前記摺動面のエッジを検出することで、エッジデータを取得するトロリ線摺動面エッジ検出部と、
前記ラインセンサから前記トロリ線までの高さのデータであるトロリ線高さデータと前記エッジデータとに基づいて、前記トロリ線の摺動面幅の計算を行うトロリ線摺動面幅計算部と
を有する
ことを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決する第2の発明に係るトロリ線の摺動面幅検出装置は、
上記第1の発明に記載のトロリ線の摺動面幅検出装置において、
前記摺動面位置は、前記トロリ線の前記摺動面の中心位置である
ことを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決する第3の発明に係るトロリ線の摺動面幅検出装置は、
上記第2の発明に記載のトロリ線の摺動面幅検出装置において、
前記局所領域の前記トロリ線の径方向における幅は、前記トロリ線の直径と同じ幅であり、前記中心位置を中心とする
ことを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決する第4の発明に係るトロリ線の摺動面幅検出装置は、
上記第1から第3のいずれか1つの発明に記載のトロリ線の摺動面幅検出装置において、
前記局所領域の前記トロリ線の長さ方向における幅は、前記ラインセンサの前記画像信号の1つ分である
ことを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決する第5の発明に係るトロリ線の摺動面幅検出方法は、
ラインセンサで撮影したトロリ線の摺動面の画像信号からラインセンサ画像を作成するラインセンサ画像作成工程と、
前記ラインセンサ画像上の前記トロリ線に対し、前記摺動面の摺動面位置を入力する摺動面位置入力工程と、
前記ラインセンサ画像上の前記トロリ線を、前記摺動面位置を基準とする複数の局所領域に区切ると共に、各々の前記局所領域に対して2値化処理を行うことにより、前記摺動面を識別する2値化ラインセンサ画像を作成する局所2値化処理工程と、
前記2値化ラインセンサ画像から前記摺動面のエッジを検出することで、エッジデータを取得するトロリ線摺動面エッジ検出工程と、
前記ラインセンサから前記トロリ線までの高さのデータであるトロリ線高さデータと前記エッジデータとに基づいて、前記トロリ線の摺動面幅の計算を行うトロリ線摺動面幅計算工程と
を有する
ことを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決する第6の発明に係るトロリ線の摺動面幅検出方法は、
上記第5の発明に記載のトロリ線の摺動面幅検出方法において、
前記摺動面位置は、前記トロリ線の前記摺動面の中心位置である
ことを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決する第7の発明に係るトロリ線の摺動面幅検出方法は、
上記第6の発明に記載のトロリ線の摺動面幅検出方法において、
前記局所領域の前記トロリ線の径方向における幅は、前記トロリ線の直径と同じ幅であり、前記中心位置を中心とする
ことを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決する第8の発明に係るトロリ線の摺動面幅検出方法は、
上記第5から第7のいずれか1つの発明に記載のトロリ線の摺動面幅検出方法において、
前記局所領域の前記トロリ線の長さ方向における幅は、前記ラインセンサの前記画像信号の1つ分である
ことを特徴とする。