特許第6852500号(P6852500)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6852500情報出力装置、プログラム及び情報出力方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6852500
(24)【登録日】2021年3月15日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】情報出力装置、プログラム及び情報出力方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 1/00 20060101AFI20210322BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20210322BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   G06T1/00 280
   H04N5/225
   H04N5/232 060
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-61172(P2017-61172)
(22)【出願日】2017年3月27日
(65)【公開番号】特開2018-163573(P2018-163573A)
(43)【公開日】2018年10月18日
【審査請求日】2020年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】水野 茂穂
(72)【発明者】
【氏名】中山 博章
(72)【発明者】
【氏名】大村 皇治
【審査官】 ▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−097284(JP,A)
【文献】 特開2015−119338(JP,A)
【文献】 特開2009−046253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
H04N 5/225
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置が撮像する範囲の目標範囲の画像である目標画像を取得する目標画像取得部と、
前記撮像装置が撮像した撮像画像を取得する撮像画像取得部と、
前記撮像画像における、前記目標画像の少なくとも一部の領域の画像と類似する画像領域の位置を特定する特定部と、
前記特定部が特定した位置と、前記撮像画像の中心位置との関係に基づく情報を出力する情報出力部と、
を有する情報出力装置。
【請求項2】
前記目標画像取得部は、前記撮像装置に撮像させる撮像画像の位置又は領域を特定するための領域指定情報をさらに取得し、
前記特定部は、前記撮像画像における前記領域指定情報に対応する位置を、前記目標画像の少なくとも一部の領域の画像と類似する画像領域の位置として特定する、
請求項1に記載の情報出力装置。
【請求項3】
前記目標画像取得部は、前記目標画像が撮影された高さを示す高さ情報をさらに取得し、
前記特定部は、前記高さ情報に基づいて前記目標画像を補正した補正目標画像の少なくとも一部の領域の画像の位置を特定する、
請求項1又は2に記載の情報出力装置。
【請求項4】
前記特定部は、前記目標画像に含まれている一以上の特徴点を抽出し、前記目標画像の少なくとも一部の領域の画像の位置として、前記撮像画像における前記特徴点と同一の特徴を有する一以上の画素の位置を特定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報出力装置。
【請求項5】
前記情報出力部は、前記特定部が特定した位置と前記撮像画像の中心位置との関係に基づく音の情報を出力する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報出力装置。
【請求項6】
前記情報出力部は、前記特定部が特定した位置と前記撮像画像の中心位置との関係に基づいて、前記撮像装置の位置を制御するための制御情報を出力する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報出力装置。
【請求項7】
コンピュータを、
撮像装置が撮像する範囲の目標範囲の画像である目標画像を取得する目標画像取得部、
前記撮像装置が撮像した撮像画像を取得する撮像画像取得部、
前記撮像画像における、前記目標画像の少なくとも一部の領域の画像と類似する画像領域の位置を特定する特定部、及び
前記特定部が特定した位置と、前記撮像画像の中心位置との関係に基づく情報を出力する情報出力部、
として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
コンピュータが実行する、
撮像装置が撮像する範囲の目標範囲の画像である目標画像を取得するステップと、
前記撮像装置が撮像した撮像画像を取得するステップと、
前記撮像画像における、前記目標画像の少なくとも一部の領域の画像と類似する画像領域の位置を特定するステップと、
特定した位置と、前記撮像画像の中心位置との関係に基づく情報を出力するステップと、
を有する情報出力方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置の撮像範囲を調整するための情報を出力する情報出力装置、プログラム及び情報出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
監視カメラを設置する際には、監視したい対象物が含まれる撮像画像が出力されるように、監視カメラの撮像範囲の調整を行う必要がある(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−123004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、監視カメラの撮像範囲を調整するためには、監視カメラにより撮像された画像を視認しながら監視カメラを動かす向きを指示する人、及び監視カメラの位置を動かす人の2名で作業を行わなければならなかった。このような中、設置作業に要するコストを削減するために、監視カメラの設置作業に要する作業者の数を低減する技術が求められている。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、監視用に用いられる撮像装置の設置作業に要する作業員の数を低減するための情報を出力する情報出力装置、情報出力方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報出力装置は、撮像装置が撮像する範囲の目標範囲の画像である目標画像を取得する目標画像取得部と、前記撮像装置が撮像した撮像画像を取得する撮像画像取得部と、前記撮像画像における、前記目標画像の少なくとも一部の領域の画像と類似する画像領域の位置を特定する特定部と、前記特定部が特定した位置と、前記撮像画像の中心位置との関係に基づく情報を出力する情報出力部と、を有する。
【0007】
前記目標画像取得部は、前記撮像装置に撮像させる撮像画像の位置又は領域を特定するための領域指定情報をさらに取得し、前記特定部は、前記撮像画像における前記領域指定情報に対応する位置を、前記目標画像の少なくとも一部の領域の画像と類似する画像領域の位置として特定してもよい。
【0008】
前記目標画像取得部は、前記目標画像が撮影された高さを示す高さ情報をさらに取得し、
前記特定部は、前記高さ情報に基づいて前記目標画像を補正した補正目標画像の少なくとも一部の領域の画像の位置を特定してもよい。
【0009】
前記特定部は、前記目標画像に含まれている一以上の特徴点を抽出し、前記目標画像の少なくとも一部の領域の画像の位置として、前記撮像画像における前記特徴点と同一の特徴を有する一以上の画素の位置を特定してもよい。
【0010】
前記情報出力部は、前記特定部が特定した位置と前記撮像画像の中心位置との関係に基づく音の情報を出力してもよい。
【0011】
前記情報出力部は、前記特定部が特定した位置と前記撮像画像の中心位置との関係に基づいて、前記撮像装置の位置を制御するための制御情報を出力してもよい。
【0012】
本発明の第2の態様のプログラムは、コンピュータを、撮像装置が撮像する範囲の目標範囲の画像である目標画像を取得する目標画像取得部、前記撮像装置が撮像した撮像画像を取得する撮像画像取得部、前記撮像画像における、前記目標画像の少なくとも一部の領域の画像と類似する画像領域の位置を特定する特定部、及び前記特定部が特定した位置と、前記撮像画像の中心位置との関係に基づく情報を出力する。
【0013】
本発明の第3の態様の情報出力方法は、コンピュータが実行する、撮像装置が撮像する範囲の目標範囲の画像である目標画像を取得するステップと、前記撮像装置が撮像した撮像画像を取得するステップと、前記撮像画像における、前記目標画像の少なくとも一部の領域の画像と類似する画像領域の位置を特定するステップと、特定した位置と、前記撮像画像の中心位置との関係に基づく情報を出力するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、監視用に用いられる撮像装置の設置作業に要する作業員の数を低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態の作業支援システムの構成を示す図である。
図2】作業支援システムにおける処理の流れの概要を説明するための図である。
図3】サーバの構成を示す図である。
図4】高さ情報に基づく目標画像の補正について説明するための図である。
図5】目標画像と類似する画像領域の位置を特定する方法について説明するための図である。
図6】情報出力部が出力する情報を生成する方法を説明するための図である。
図7】ユーザが撮像装置の撮像範囲を調整する際の作業支援システムにおける処理シーケンスの一例を示す図である。
図8】撮像装置の構成を示す図である。
図9】撮像装置の動作について説明するための図である。
図10】第2の実施形態の作業支援システムにおいて撮像装置の撮像範囲を調整する際の処理シーケンスの一例を示す図である。
図11】第2の実施形態の作業支援システムにおいて撮像装置の撮像範囲を調整する際の処理シーケンスの一例を示す図である。
図12】第3の実施形態の作業支援システムにおいて撮像装置の撮像範囲を調整する際の処理シーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1の実施形態>
[作業支援システムSの構成の概要]
図1は、第1の実施形態の作業支援システムSの構成を示す図である。作業支援システムSは、撮像装置1と、携帯端末2と、サーバ3と、を備える。撮像装置1、携帯端末2及びサーバ3は、ネットワークNを介して互いに情報を送受信できる。ネットワークNは、例えばインターネット及び携帯電話網を含む。
【0017】
撮像装置1は、監視用に用いられるカメラであり、所定の撮像範囲内の被写体を撮影し、撮影した被写体を含む撮像画像を生成する。撮像装置1は、所定のフレームレートで撮像画像を順次生成し、ネットワークNを介して、生成した撮像画像を携帯端末2又はサーバ3に送信する。
【0018】
携帯端末2は、例えばスマートフォン又はタブレット端末であり、撮像装置1の設置作業者(以下、ユーザという)が操作する操作端末である。携帯端末2の画面にはタッチパネルが設けられており、ユーザは、画面に触れることにより、サーバ3に伝える指示を入力することができる。携帯端末2は、ユーザに操作に基づいて被写体を撮影して撮像画像を生成する。携帯端末2は、生成した撮像画像を、撮像装置1が撮像する範囲の目標範囲の画像である目標画像としてサーバ3に送信する。
【0019】
サーバ3は、携帯端末2から取得した目標画像、及び撮像装置1から取得した撮像画像に基づいて、撮像装置1による撮像範囲が適切な範囲になるように撮像装置1の設置位置を調整するための情報を撮像装置1及び携帯端末2の少なくともいずれかに出力する情報出力装置である。サーバ3は、撮像装置1が設置された事業所内に設置されたサーバであってもよく、クラウド上のサーバであってもよい。
【0020】
[作業支援システムSにおける処理の流れの概要]
図2は、作業支援システムSにおける処理の流れの概要を説明するための図である。
まず、ユーザの操作に基づいて、携帯端末2は目標画像を生成する(図2における(1))。携帯端末2は、生成した目標画像をサーバ3に送信し、サーバ3は目標画像を取得する(図2における(2))。
【0021】
続いて、撮像装置1が撮像画像を順次生成してサーバ3に送信し、サーバ3は撮像画像を取得する(図2における(3))。サーバ3は、取得した撮像画像において目標画像と類似する画像の領域(以下、目標画像領域という)を探索する。サーバ3は、撮像画像における目標画像領域の位置を特定すると、撮像画像の中心位置と目標画像領域の中心位置との関係を特定する。サーバ3は、特定した関係に基づいて、撮像装置1の撮像範囲を調整するための情報を生成する。本実施形態のサーバ3は、撮像装置1の撮像範囲を調整するための音を携帯端末2が出力するための音情報を出力する(図2における(4))。
【0022】
携帯端末2は、サーバ3から音情報を受信すると、音情報に基づく音をスピーカーから出力する(図2における(4))。携帯端末2が出力する音の詳細については後述するが、例えば、携帯端末2は、目標画像領域の中心位置と撮像画像の中心位置との距離、及び撮像装置1を上下左右のどの向きに動かすと、撮像画像の中心位置が目標画像領域の中心位置に近付くかを示す音を出力する。携帯端末2がこのような音を出力することで、ユーザは、携帯端末2をポケットに入れた状態で、両手を使って一人で撮像装置1の向きを動かして、撮像装置1の撮像範囲を調整することができる。なお、以上の説明においては、携帯端末2が目標画像を生成するものとしたが、目標画像を生成する端末は任意であり、ユーザ以外の人(例えば、撮像装置1を設置する事業所の人)の端末により目標画像を生成してもよい。
【0023】
[サーバ3の構成]
以下、サーバ3の詳細な構成について説明する。
図3は、サーバ3の構成を示す図である。サーバ3は、通信部31と、記憶部32と、制御部33とを有する。通信部31は、ネットワークNを介して情報を送受信するための通信インターフェースであり、例えばLAN(Local Area Network)コントローラを含んでいる。通信部31は、撮像装置1又は携帯端末2から受信した情報を制御部33に通知する。また、通信部31は、制御部33から入力された情報を撮像装置1又は携帯端末2に送信する。
【0024】
記憶部32は、情報を記憶する記憶媒体であり、例えばハードディスク、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を含んでいる。記憶部32は、制御部33が実行するプログラムを記憶している。
【0025】
制御部33は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、記憶部32に記憶されたプログラムを実行することにより、撮像画像取得部331、目標画像取得部332、特定部333及び情報出力部334として機能する。
【0026】
撮像画像取得部331は、撮像装置1が送信した撮像画像を取得する。具体的には、撮像画像取得部331は、ユーザが撮像装置1の撮像範囲を調整する間に用いる撮像画像を取得する。
【0027】
目標画像取得部332は、例えば携帯端末から目標画像を取得する。目標画像取得部332は、取得した目標画像を記憶部32に記憶させる。目標画像取得部332は、例えばユーザにより入力された、撮像装置1に撮像させる撮像画像の位置又は領域を特定するための領域指定情報をさらに取得し、取得した目標画像のうち、領域指定情報が示す領域を目標画像として記憶部32に記憶させてもよい。また、目標画像取得部332は、目標画像が撮影された高さを示す高さ情報を取得してもよい。目標画像取得部332は、例えば、目標画像のメタデータとして含まれている高さ情報を取得する。
【0028】
特定部333は、撮像画像における、目標画像の少なくとも一部の領域の画像と類似する画像領域の位置を特定する。例えば、特定部333は、撮像画像において目標画像との相関度が最も高い、目標画像と同じサイズの領域を目標画像領域として特定する。目標画像取得部332が、領域指定情報を取得した場合、特定部333は、撮像画像における領域指定情報に対応する位置を目標画像領域の位置として特定する。そして、特定部333は、目標画像領域の中心位置と撮像画像の中心位置との間の差分を算出し、算出した差分を示す情報を情報出力部334に通知する。
【0029】
特定部333は、撮像画像における、目標画像の少なくとも一部の領域の画像と類似する画像領域の位置を特定する前に、高さ情報が示す目標画像が撮影された高さが、撮像装置1が設置される位置の高さと異なる場合、高さ情報に基づいて目標画像を補正する。
【0030】
図4は、特定部333により実行される、高さ情報に基づく目標画像の補正について説明するための図である。図4(a)に示すように、監視カメラとして用いられる撮像装置1は、人の身長よりも高い位置に設置されることが多い。この場合、ユーザが携帯端末2を用いて目標画像を生成するための被写体を撮影した時の第1高さは、撮像装置1が設置されている位置の第2高さよりも低い。
【0031】
図4(b)は、携帯端末2が被写体を撮影して生成した目標画像であり、図4(c)は、撮像装置1が同じ被写体を撮影して生成した撮像画像である。図4(b)及び図4(c)に示すように、撮像装置1が生成する撮像画像における被写体の上下方向の幅は、携帯端末2が生成する目標画像における被写体の上下方向の幅よりも小さくなる。そこで、特定部333は、第1高さと第2高さとの関係に基づいて、目標画像の上下方向の幅を縮小するように補正することにより、補正目標画像を生成する。そして、特定部333は、撮像画像において、補正目標画像との相関度が最も高い、補正目標画像と同じサイズの領域を目標画像領域として特定する。
【0032】
図5は、目標画像と類似する画像領域の位置を特定する方法について説明するための図である。図5に示す画像は、左上の位置を原点とし、図5(a)に示すように、左右方向がx座標であり、上下方向がy座標であるとする。
【0033】
特定部333は、目標画像と類似する画像領域の位置を特定するために、例えば補正目標画像に含まれている特徴点を特定する。特徴点は、補正目標画像に含まれている被写体の輪郭上の位置のように、補正目標画像内の他の領域の画像と異なる特徴を持つ位置である。図5(b)においては、特定部333が、右側の木の頂上部分を特徴点としたことを想定している。
【0034】
特定部333は、補正目標画像における特徴点の座標(特徴点座標F)を特定するとともに、補正目標画像の中心位置の座標(センター座標C1)を特定する。特徴点座標F1は、センター座標C1に対して、左右方向にx1、上下方向にy1だけずれている。特定部333は、特徴点座標F1とセンター座標C1との間の差分を示す第1差分ベクトル(x1、y1)を情報出力部334に通知する。
【0035】
図5(c)及び図5(d)は、撮像装置1が生成した撮像画像である。図5(c)は、撮像装置1の撮像範囲が調整される前に生成された第1撮像画像であり、図5(d)は、撮像装置1の撮像範囲が調整された後に生成された第2撮像画像である。特定部333は、第1撮像画像において、補正目標画像の特徴点座標F1の周辺の画像と類似する画像の領域を探索する。図5(c)の例において、特定部333は、第1撮像画像の左端付近の特徴点座標F2に、特徴点が存在することを特定する。
【0036】
特徴点座標F2は、第1撮像画像の中心位置の座標(センター座標C2)に対して、左右方向にx2、上下方向にy2だけずれている。特定部333は、特徴点座標F2とセンター座標C2との差分を示す第2差分ベクトル(x2、y2)を情報出力部334に通知する。
【0037】
情報出力部334は、特定部333から通知された第2差分ベクトルが第1差分ベクトルと等しくなるように撮像装置1の撮像範囲を調整するための情報を出力する。具体的には、情報出力部334は、第1差分ベクトルと第2差分ベクトルとの差分を示す情報を出力する。
【0038】
図6は、情報出力部334が出力する情報を生成する方法を説明するための図である。横軸は、第1差分ベクトルの左右成分x1と第2差分ベクトルの左右成分x2との差分値Xであり、縦軸は、第1差分ベクトルの上下成分y1と第2差分ベクトルの上下成分y2との差分値Yである。情報出力部334は、差分値(X、Y)の座標に基づく情報を生成する。
【0039】
情報出力部334は、差分値(X、Y)が、領域Rに含まれる場合、撮像装置1を左向きに調整することを指示する内容を含む音情報を生成する。例えば、情報出力部334は、「左へ10度移動してください」のように、移動するべき向き、及び移動するべき量を示す音声を含む音情報を生成する。
【0040】
情報出力部334は、差分値(X、Y)が、領域Uに含まれる場合、撮像装置1を下向きに調整することを指示する内容を含む音情報を生成する。情報出力部334は、(X、Y)が、領域Lに含まれる場合、撮像装置1を右向きに調整することを指示する内容を含む音情報を生成する。情報出力部334は、差分値(X、Y)が、領域Dに含まれる場合、撮像装置1を上向きに調整することを指示する内容を含む音情報を生成する。
【0041】
情報出力部334は、移動するべき量の代わりに、目標画像領域の中心位置と撮像画像の中心位置との距離に応じて発生間隔が変化する電子音を含む音情報を生成してもよい。例えば、情報出力部334は、差分値(X、Y)が領域Rに含まれており、かつ目標画像領域の中心位置と撮像画像の中心位置との距離が第1距離である場合に「左へ、ピッ、ピッ、ピッ」と第1間隔(例えば1秒間隔)で発生する電子音を含む音情報を生成する。そして、情報出力部334は、目標画像領域の中心位置と撮像画像の中心位置との距離が第1距離よりも短い第2距離になると、「左へ、ピピピピピ」と第1間隔よりも短い第2間隔(例えば0.5秒間隔)で発生する電子音を含む音情報を生成する。情報出力部334は、目標画像領域の中心位置と撮像画像の中心位置との距離が所定の閾値以内になった場合、調整を終了してよい旨を示す音情報を生成する。
【0042】
情報出力部334は、電子音の発生間隔を変化させる代わりに、目標画像領域の中心位置と撮像画像の中心位置との距離に応じて電子音の周波数を変化させてもよい。また、情報出力部334は、移動させるべき向きに対応する態様の電子音を発生させてもよい。このように、情報出力部334が、目標画像領域の中心位置と撮像画像の中心位置との距離に応じて変化する音の音情報を生成することにより、ユーザは、携帯端末2において音を聞きながら、撮像装置1の撮像範囲を調整することができる。
【0043】
[作業支援システムSにおける処理シーケンス]
図7は、ユーザが撮像装置1の撮像範囲を調整する際の作業支援システムSにおける処理シーケンスの一例を示す図である。まず、携帯端末2は、ユーザの操作に基づいて目標画像を生成する(S11)。携帯端末2は、生成した目標画像をサーバ3に送信する。
【0044】
サーバ3の目標画像取得部332が目標画像を取得すると(S12)、特定部333は、高さ情報に基づいて目標画像を補正することにより補正目標画像を生成する(S13)。特定部333は、補正目標画像に含まれている特徴点を抽出し、特徴点の座標と中心位置の座標との差分である第1差分ベクトルを算出する(S14)。特定部333は、算出した第1差分ベクトルを記憶部32に記憶させる。
【0045】
続いて、サーバ3の情報出力部334は、撮像装置1に対して、撮像画像の生成を開始する指示を送信する。撮像装置1は、撮像画像の生成を開始する指示を受信すると、撮像画像の生成を開始し(S15)、生成した撮像画像を順次サーバ3に送信する。サーバ3の撮像画像取得部331が撮像画像を取得すると(S16)、特定部333は、補正目標画像に含まれていた特徴点の画像と類似する目標画像領域の中心位置を特定し、特定した中心位置の座標と撮像画像の中心位置の座標との差分である第2差分ベクトルを算出する(S17)。
【0046】
続いて、情報出力部334は、図6を参照して説明したように、第1差分ベクトルと第2差分ベクトルとの差分値に基づいて、撮像装置1の画角を調整するための音情報を生成し(S18)、携帯端末2に送信する。携帯端末2は、受信した音情報に基づく音を出力する(S19)。
【0047】
[変形例]
以上の説明においては、目標画像取得部332が複数の目標画像を取得することを想定していなかったが、目標画像取得部332は、異なる位置で撮像された複数の目標画像を取得してもよい。この場合、目標画像取得部332は、複数の目標画像それぞれに関連付けて、目標画像が撮像された位置を示す位置情報を取得する。また、撮像装置1は、自身の位置を示す位置情報を関連づけた撮像画像をサーバ3に送信する。
【0048】
特定部333は、撮像画像取得部331が取得した撮像画像に関連付けられた位置情報に最も近い位置情報に関連付けられた目標画像を選択し、撮像画像において、選択した目標画像の少なくとも一部の領域の画像と類似する画像領域の位置を特定する。このようにすることで、複数の撮像装置1を設置する必要がある場合に、ユーザが、設置する場所に対応する目標画像を選択する必要がないので、作業効率を向上させることができる。
【0049】
[第1の実施形態の作業支援システムSによる効果]
以上説明したように、作業支援システムSにおいては、サーバ3の目標画像取得部332が、ユーザ又は他の人が携帯端末2又は他の端末を用いて撮影することにより生成された目標画像を取得し、特定部333が、撮像画像における、目標画像と類似する画像領域の位置を特定する。そして、情報出力部334は、特定部333が特定した位置と、撮像画像の中心位置との関係に基づく音情報を出力する。このようにすることで、ユーザは、携帯端末2から出力される音を聞きながら、一人で適切な向きに撮像装置1の撮像範囲を調整することができる。
【0050】
目標画像は、任意の人が予め作成することができるので、例えば、撮像装置1を設置する事業所の人が予め準備することもできる。したがって、撮像装置1を設置する事業所の人は、撮像装置1の設置作業に同行することなく、所望の範囲を監視できるように撮像装置1を設置してもらうことが可能になる。
【0051】
<第2の実施形態>
第1の実施形態においては、撮像装置1の撮像範囲を調整するために、ユーザが撮像装置1の向きを調整する場合について説明した。第2の実施形態は、撮像装置1が撮像範囲を自身で調整可能なカメラである点で第1の実施形態と異なる。撮像装置1は、外部から入力される制御情報に基づいて、左右方向にレンズの向きを移動するパンの動作、上下方向にレンズの向きを移動するチルトの動作、及び撮像画像を拡大・縮小するズームの動作を行うことができる。
【0052】
図8は、撮像装置1の構成を示す図である。撮像装置1は、撮像部11と、駆動部12と、通信部13と、記憶部14と、制御部15とを有する。
【0053】
撮像部11は、レンズを含む光学系部品と、レンズを介して入射した光を電気信号に変換する撮像素子とを有する。駆動部12は、制御部15の制御に基づいて撮像部11の光軸の向きとズーム率を変化させるアクチュエータを有する。通信部13は、携帯端末2又はサーバ3との間で情報を送受信するための無線又は有線の通信インターフェースである。通信部13は、例えば、サーバ3から目標画像を受信する。
【0054】
記憶部14は、ROM及びRAMを有しており、制御部15が実行するプログラムを記憶している。また、記憶部14は、制御部15の制御に基づいて、撮像部11が生成した撮像画像を一時的に記憶する。
【0055】
制御部15は、例えばCPUである。制御部15は、記憶部14に記憶されたプログラムを実行することにより、駆動部12を制御して撮像部11の光軸の向きを変化させたり、撮像部11に撮像画像を生成させたりする。
【0056】
図9は、撮像装置1の動作について説明するための図である。図9は、撮像装置1が光軸の向きを変化させることができる撮像可能範囲Aを示している。撮像装置1は、左右方向及び上下方向に、撮像範囲の左右方向の長さ及び上下方向の長さよりも大きな長さにわたってパン又はチルトすることができる。制御部15は、サーバ3から目標画像を受信すると、駆動部12を制御することにより、図9に示すように、撮像範囲を最も左上の初期位置に設定する。
【0057】
その後、制御部15は、駆動部12に右向きにパンさせることで撮像範囲を右向きに移動させる。制御部15は、撮像範囲が右端に到達すると、駆動部12に下向きにチルトさせることで撮像範囲を下向きに移動させる。制御部15は、撮像範囲を下向きに移動させた位置で、駆動部12をパンさせることで、水平方向に撮像範囲を移動させる。
【0058】
制御部15は、レンズの向きを移動させられる最小単位ごとに撮像範囲を移動させてもよいが、撮像範囲の幅ごとに撮像範囲を移動させてもよい。制御部15は、撮像範囲を移動させるたびに撮像部11に撮像画像を生成させ、生成された撮像画像をサーバ3に送信する。制御部15は、サーバ3から、撮像部11の光軸の向きを移動するための制御情報を受信すると、受信した制御情報に従って駆動部12を制御して撮像部11の光軸の向きを変更することにより、撮像範囲を変更する。
【0059】
図10及び図11は、第2の実施形態の作業支援システムSにおいて撮像装置1の撮像範囲を調整する際の処理シーケンスの一例を示す図である。ステップS11からステップS14までは、図7に示した第1の実施形態の処理シーケンスと同じである。
【0060】
サーバ3の情報出力部334は、ステップS14において第1差分ベクトルを算出すると、撮像装置1に対して、撮像画像の生成を開始する指示を送信する。撮像装置1の制御部15は、指示を受信すると、駆動部12を制御して、撮像範囲を初期位置に移動させる(S21)。制御部15は、撮像部11に撮像画像を生成させ(S22)、通信部13を介して撮像画像をサーバ3に送信する。
【0061】
サーバ3の特定部333は、撮像画像を取得すると(S23)、撮像画像内に、ステップS13において生成した補正目標画像に含まれていた特徴点と同じ特徴点が含まれているか否かを判定する(S24)。情報出力部334は、撮像画像内に特徴点が含まれていないと特定部333が判定した場合、撮像装置1に、撮像範囲を変更する指示を含む制御情報を送信する。撮像装置1の制御部15は、受信した指示に基づいて駆動部12を制御して撮像範囲を変更し(S25)、ステップS22に処理を戻す。
【0062】
特定部333が、ステップS24において撮像画像内に特徴点が含まれると判定した場合、サーバ3は、図11に示す処理に移る。特定部333は、撮像画像内に検出した特徴点の位置と撮像画像の中心位置との間の第2差分ベクトルを算出し、第2差分ベクトルを情報出力部334に通知する(S26)。情報出力部334は、特定部333から通知された第2差分ベクトルが第1差分ベクトルと等しくなるように撮像装置1の撮像範囲を調整するための制御情報を生成し(S27)、生成した制御情報を撮像装置1に送信する。情報出力部334は、例えば、第1差分ベクトルが(500、200)であり、第2差分ベクトルが(200、100)である場合、撮像範囲を右向きに300画素分、下向きに100画素分移動させる指示を含む制御情報を撮像装置1に送信する。
【0063】
撮像装置1の制御部15は、受信した制御情報に基づいて駆動部12を制御することにより、撮像範囲を変更する(S28)。これにより、撮像範囲の中心位置が目標画像の中心位置と等しい状態になる。制御部15は、調整が終了した旨をサーバ3に通知し、サーバ3は、携帯端末2に対して、調整が終了した旨を通知する。
【0064】
なお、撮像装置1の制御部15は、サーバ3から受信した制御情報に基づいてズームの調整を行ってもよい。例えば、情報出力部334は、撮像装置1が生成した撮像画像に目標画像が含まれている場合に、撮像画像の撮像範囲が目標画像の撮像範囲と等しくなるようにズーム率を変更するための制御情報を撮像装置1に対して出力する。このようにすることで、撮像装置1は、撮像範囲の中心位置を目標画像の中心位置に合わせるだけでなく、撮像する範囲も目標画像と一致させることができるので、目標画像を撮った人の要望により近い範囲を撮像することが可能になる。
【0065】
[第2の実施形態による効果]
以上説明したように、第2の実施形態の作業支援システムSにおいては、撮像装置1が撮像範囲を変化させる間に生成した撮像画像をサーバ3に送信する。そして、サーバ3の特定部333は、撮像画像における、目標画像と類似する画像領域の位置を特定する。情報出力部334は、特定部333が特定した位置と、撮像画像の中心位置との関係に基づく制御情報を撮像装置1へと出力する。このようにすることで、ユーザが撮像装置1の撮像範囲にしたいと考える範囲を撮影して目標画像を生成することにより、撮像装置1の撮像範囲を容易に調整することが可能になる。
【0066】
<第3の実施形態>
第1の実施形態の作業支援システムSにおいては、サーバ3が音情報又は制御情報を生成するものとしたが、第3の実施形態の作業支援システムSにおいては、携帯端末2において音情報を生成する点で異なる。例えば、携帯端末2のCPUがプログラムを実行することにより、第1の実施形態のサーバ3における撮像画像取得部331、目標画像取得部332、特定部333及び情報出力部334と同等の機能を実行する。
【0067】
図12は、第3の実施形態の作業支援システムSにおいて撮像装置1の撮像範囲を調整する際の処理シーケンスの一例を示す図である。携帯端末2は、ユーザの操作に応じて目標画像を生成する(S11)。携帯端末2は、携帯端末2が目標画像を撮影した時点での携帯端末2の高さ、及び撮像装置1が設置されている高さに基づいて目標画像を補正して補正目標画像を生成する(S31)。続いて、携帯端末2は、目標画像内の特徴点と中心位置との差分である第1差分ベクトルを算出する(S32)。
【0068】
次に、撮像装置1は撮像画像を生成し(S33)、携帯端末2は、撮像装置1が生成した撮像画像を取得する。携帯端末2は、取得した撮像画像において、目標画像内の特徴点と類似する画像の位置を特定することにより、撮像画像の中心位置と特徴点と類似する画像の位置との差分である第2差分ベクトルを算出する(S34)。携帯端末2は、第1差分ベクトルと第2差分ベクトルとの関係に基づいて、音情報を生成し(S35)、生成した音情報に基づく音を出力する(S36)。携帯端末2は、ユーザが撮像装置1の撮像範囲の調整作業を終了してプログラムの実行を停止させるまでの間、撮像装置1から送信される撮像画像に基づいて、ステップS34からステップS36までの処理を繰り返す。
【0069】
[第3の実施形態の作業支援システムSによる効果]
以上説明したように、第3の実施形態の作業支援システムSによれば、サーバ3を用いることなく、撮像装置1及び携帯端末2を用いることにより、一人のユーザが撮像装置1の撮像範囲を容易に調整することができる。
【0070】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【0071】
例えば、以上の説明においては、携帯端末2又はサーバ3が音情報又は制御情報を出力する場合について説明したが、撮像装置1が目標画像を取得し、撮像装置1のCPUがプログラムを実行することにより、音情報を生成したり、自身のレンズの向きを制御するための制御情報を生成したりしてもよい。すなわち、本発明の情報出力装置は、サーバ3に限らず、撮像装置1又は携帯端末2が情報出力装置の全ての構成又は一部の構成を含んでいてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 撮像装置
2 携帯端末
3 サーバ
11 撮像部
12 駆動部
13 通信部
14 記憶部
15 制御部
31 通信部
32 記憶部
33 制御部
331 撮像画像取得部
332 目標画像取得部
333 特定部
334 情報出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12