【実施例】
【0038】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
【0039】
[プロピレン系重合体特性]
(1)MFR(メルトフローレート)
JIS K−7210−1995に準拠し、230℃、2.16kg荷重で測定した。
(2)融解ピーク温度
示差走査型熱量計(セイコー社製DSC)を用い、サンプル量5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させ、さらに10℃/分の昇温スピードで融解させたときの融解ピーク温度(Tm)を測定した。
(3)エチレン含有量
エチレンコモノマー由来の重合体中のエチレン含有量(単位:重量%)は、重合体をプレスし、シート状に成形したものをIR法により測定した。具体的には730cm
−1付近に観測されるメチレン鎖由来のピーク高さから算出した。
[無定形シリカ(アンチブロッキング剤、AB剤)特性]
(1)平均粒子径;レーザー回折粒度分布測定装置を用いて測定した。
(2)B.E.T比表面積;自動ガス吸着量測定装置を用いた窒素吸着測定より算出した。
(3)かさ密度;粉体5gをメスシリンダーに入れて振ったのち静置し、その占有体積を計測することにより算出した。
(4)細孔容積;自動ガス吸着量測定装置を用いた窒素吸着測定より算出した。
(5)吸油量;JISK5101に準じて測定した。
【0040】
[フィルムの評価方法]
(1)透明性(ヘーズ)
ASTM D1003に準拠し、成形したフィルムの透明性をヘーズメータで測定した。得られた値が小さいほど、透明性に優れるものと評価した。
(2)分散性(フィッシュアイ)
得られたフィルム15cm(幅)×20cm(長)に存在するフィッシュアイ(個数/300cm
2)を、目視でカウントした。
カウントされたフィッシュアイの個数に応じて、その分散性を以下の基準により、評価した。
◎:20個未満。
○:20個以上50個未満。
△:50個以上100個未満。
×:100個以上又は個数が多すぎて測定不可。
(3)表面粗さ(Ra)及び最大高さ(Rt)
フィルム表面を、東京精密社製粗さ計(SURFCOM1500DX)にて、JIS B0651(2001)「製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−触針式表面粗さ測定機の特性」に準拠して、平均の表面粗さ(Ra)及び最大高さ(Rt)を測定した。
測定器の測定条件は、触針先端曲率半径:5μm、カットオフ波長:0.05mm、カットオフ種別:2CR(位相補償)、測定速度:0.3mm/秒、測定方向:フィルムのTD方向、測定範囲:1mm
2である。測定方向であるTD方向とは、押出成形するときのフィルムの幅方向、すなわちフィルムの流れ方向と垂直な方向をいう。尚、平均表面粗さ(Ra)及び最大高さ(Rt)は、JIS B0601(2001)「製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語、定義及び表面性状パラメータ」で、定義される。
(4)表面突起
上記表面粗さ(Ra)及び最大高さ(Rt)と同様の条件で、フィルム表面の表面突起を測定し、2.3μm以上の突起数を測定した。
(5)印刷特性
表面粗さ(Ra)と最大高さ(Rt)及び表面突起数の総合判定により、下記の基準により評価を行った。
(判定基準)
(i)平均表面粗さ(Ra)が0.005〜0.070μmの範囲である。
(ii)最大高さ(Rt)が0.600〜3.350μmの範囲である。
(iii)表面突起数は、高さ2.3μm以上の個数が2個未満である。
○:上記(i)〜(iii)の全ての項目を満たす。
△:上記(i)〜(iii)のうち2項目を満たす。
×:上記(i)〜(iii)のうち1項目を満たす又は(i)〜(iii)の全てを満たさない。
(6)耐傷つき性
まず、フィルムを100×300mmのサイズで2枚用意する(以下、一方をフィルムA、他方をフィルムBとする)。次いで、100×300mmのフィルム(フィルムA)をガラス板に、たるみ、しわのないように固定した。さらに、100×300mmのフィルム(フィルムB)をフィルムAにシール面同士が接触するようにのせ、フィルムBの中央部に200gのおもりを5×5cmの面積で接触させるように乗せた。
次に、フィルムBを水平移動させることによって10cmの間を100回擦りあわせ、擦りあわせた後のフィルムを観察し、傷の程度を目視にて下記の基準で評価した。
(判定基準)
○:傷の発生があまりない。
×:擦り傷の発生が多く見られる。
【0041】
[使用材料]
(1)プロピレン系重合体
プロピレン系重合体として、下記のものを使用した。
A−1:日本ポリプロ株式会社製、商品名「WINTEC WFX4」ペレット(プロピレン−エチレンランダム共重合体、MFR=7.0g/10分、Tm=125℃)
A−2:プロピレン−エチレンランダム共重合体パウダー(MFR=7.0g/10分、Tm=145℃、エチレン含有量=2.5重量%)
(2)無定形シリカ(B)
無定形シリカ(B)として、下記のものを使用し、その特性を表1に示す。
B−1:富士シリシア化学株式会社製、「サイリシア430」(平均粒子径 4.1μm、B.E.T比表面積 350m
2/g、かさ密度 0.09g/ml、細孔容積 1.25ml/g、吸油量 230ml/100g)
B−2:富士シリシア化学株式会社製、「サイリシア350」(平均粒子径 3.9μm、B.E.T比表面積 300m
2/g、かさ密度 0.05g/ml、細孔容積 1.60ml/g、吸油量 320ml/100g)
【0042】
【表1】
【0043】
[ポリオレフィン系樹脂組成物(X)(マスターバッチMB)の作製]
[MB−1]
30mmφの2軸押し出し機を用いて、メインホッパーよりWFX4を投入し、190℃で溶融後にWFX4 100重量部に対して5重量部になるようにサイドフィード供給口よりサイリシア430を投入して混練することによりMB−1を得た。
[MB−2]
30mmφの2軸押し出し機を用いて、メインホッパーよりWFX4を投入し、190℃で溶融後にWFX4 100重量部に対して15重量部になるようにサイドフィード供給口よりサイリシア430を投入して混練することによりMB−2を得た。
[MB−3]
プロピレン−エチレンランダム共重合体100重量部に、酸化防止剤としてイルガノックス1010 0.05重量部とイルガフォス168を0.05重量部、中和剤としてステアリン酸カルシウムを0.05重量部、無定形シリカとしてサイリシア430を0.9重量部加え、ヘンシェルミキサーにてブレンドした。30mmφの2軸押し出し機を用いて、メインホッパーより該ブレンド
物を投入し、190℃で溶融混練してMB−3を得た。
[MB−4]
30mmφの2軸押し出し機を用いて、メインホッパーよりWFX4を投入し、190℃で溶融後にWFX4 100重量部に対して5重量部になるようにサイドフィード供給口よりサイリシア350を投入して混練することによりMB−4を得た。
[MB−5]
30mmφの2軸押し出し機を用いて、メインホッパーよりWFX4を投入し、190℃で溶融後にWFX4 100重量部に対して10重量部になるようにサイドフィード供給口よりサイリシア350を投入して混練することによりMB−5を得た。
【0044】
MB−1〜MB−5の配合処方を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
[実施例1]
WFX4 100重量部にMB−1 6重量部を加え、ヘンシェルミキサーにてブレンドした。該ブレンド物を口径35mmの単軸押出機を用いて、開口長300mm、Lip幅0.7mmのダイから、樹脂温度240℃で溶融押出し、エアナイフ及び表面温度30℃の冷却ロールで急冷して、フィルム状に形成し、厚み30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)を得た。得られたフィルムのヘーズ、フィッシュアイ、表面粗さなどを測定した。
[実施例2]
WFX4 100重量部にMB−2 2重量部を加え、ヘンシェルミキサーにてブレンドした。該ブレンド物を口径35mmの単軸押出機を用いて、開口長300mm、Lip幅0.7mmのダイから、樹脂温度240℃で溶融押出し、エアナイフ及び表面温度30℃の冷却ロールで急冷して、フィルム状に形成し、厚み30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)を得た。得られたフィルムのヘーズ、フィッシュアイ、表面粗さなどを測定した。
[実施例3]
WFX4 100重量部にMB−4 6重量部を加え、ヘンシェルミキサーにてブレンドした。該ブレンド物を口径35mmの単軸押出機を用いて、開口長300mm、Lip幅0.7mmのダイから、樹脂温度240℃で溶融押出し、エアナイフ及び表面温度30℃の冷却ロールで急冷して、フィルム状に形成し、厚み30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)を得た。得られたフィルムのヘーズ、フィッシュアイ、表面粗さなどを測定した。
[実施例4]
WFX4 100重量部にMB−5 3重量部を加え、ヘンシェルミキサーにてブレンドした。該ブレンド物を口径35mmの単軸押出機を用いて、開口長300mm、Lip幅0.7mmのダイから、樹脂温度240℃で溶融押出し、エアナイフ及び表面温度30℃の冷却ロールで急冷して、フィルム状に形成し、厚み30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)を得た。得られたフィルムのヘーズ、フィッシュアイ、表面粗さなどを測定した。
[比較例1]
プロピレン−エチレンランダム共重合体パウダー 100重量部にMB−3 33重量部を加え、ヘンシェルミキサーにてブレンドした。該ブレンド物を口径35mmの単軸押出機を用いて、開口長300mm、Lip幅0.7mmのダイから、樹脂温度240℃で溶融押出し、エアナイフ及び表面温度30℃の冷却ロールで急冷して、フィルム状に形成し、厚み30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)を得た。得られたフィルムのヘーズ、フィッシュアイ、表面粗さなどを測定した。
【0047】
フィルムの配合処方及びフィルムの評価結果を表3に示す。
【0048】
【表3】