(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の温度センサユニットでは、センサケースが測定対象物に位置決めされている状態で、測定対象物とセンサケースが接触していない。このため、測定対象物の温度を正確に測定できないおそれがある。
【0005】
本発明は、正確に温度を測定することができる温度センサユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る温度センサユニットは、温度センサと、温度センサが収容されているセンサケースと、センサケースを測定対象物に位置決めする位置決め部材と、を備え、位置決め部材は、センサケースと測定対象物とを挟持する、金属からなるクリップ部材と、センサケースと測定対象物とを挟持しているクリップ部材が収容される、樹脂からなるカバー部材と、を含み、クリップ部材は、互いに対向する第一及び第二付勢部と、第一付勢部と第二付勢部とを連結する連結部と、を有し、測定対象物とセンサケースとが互いに接している状態で、第一付勢部は、センサケースに接すると共にセンサケースを測定対象物に付勢し、第二付勢部は、測定対象物に接すると共にセンサケースに測定対象物を付勢する。
【0007】
本発明に係る温度センサユニットでは、測定対象物とセンサケースとが接している状態で、クリップ部材の第一及び第二付勢部によって、センサケース及び測定対象物が挟持される。この場合、センサケースが、測定対象物と接している状態で、測定対象物に位置決めされる。カバー部材は、樹脂からなり、センサケースと測定対象物とを挟持しているクリップ部材を収容する。このため、測定対象物の熱が温度センサに伝達される前に外部に放射されることが抑制される。したがって、測定対象物の温度が正確に測定される。
【0008】
位置決め部材は、センサケースと測定対象物とを挟持しているクリップ部材がカバー部材に収容されている収容状態において、第一付勢部がセンサケースを付勢する方向と直交する方向における測定対象物に対するセンサケースの動きを規制する複数の規制部を有し、クリップ部材とカバー部材とは、複数の規制部のうち、互いに異なる方向における測定対象物に対するセンサケースの動きを規制する規制部を有してもよい。規制部によってセンサケースの動きが規制されるため、測定対象物に対するセンサケースの位置がずれ難い。したがって、温度センサによる温度測定位置が正確に定まるので、測定対象物の温度がより一層正確に測定される。クリップ部材とカバー部材とがそれぞれ規制部を有していると共に、クリップ部材の規制部とカバー部材の規制部とが互いに異なる方向においてセンサケースの動きを規制している。このため、センサケースの取り外しが容易な構成で、センサケースの位置ずれを抑制するのに適した位置に各規制部が配置され得る。したがって、センサケースの取り外しが容易な構造とセンサケースの位置ずれの抑制とが両立され得る。
【0009】
クリップ部材は、第一付勢部と第二付勢部との間において連結部に対向する位置に、センサケースが挿入される第一挿入口を有し、カバー部材は、第一挿入口にセンサケースが挿入される方向と直交する方向から、センサケースと測定対象物とを挟持しているクリップ部材が挿入される第二挿入口を有し、複数の規制部は、クリップ部材に配置されていると共に、収容状態において、第一挿入口に対向する位置においてセンサケースに接する第一規制部と、カバー部材に配置されていると共に、収容状態において、センサケースを挟んで第一規制部と対向し、かつ、第一挿入口側からセンサケースに接する第二規制部と、カバー部材に配置されていると共に、収容状態において、第二挿入口に対向する位置においてセンサケースに接する第三規制部と、クリップ部材に配置されていると共に、収容状態において、センサケースを挟んで第三規制部と対向し、かつ、第二挿入口側からセンサケースに接する第四規制部と、を含んでもよい。この場合、第一から第四規制部によって、第一付勢部がセンサケースを付勢する方向に直交する四方向におけるセンサケースの動きが抑制されるため、センサケースの取り外しが容易な構造でありながら、センサケースの位置が一層ずれ難い。
【0010】
カバー部材は、第一付勢部がセンサケースを付勢する方向と反対方向への第一付勢部の動きを規制する面と、第二付勢部が測定対象物を付勢する方向と反対方向への第二付勢部の動きを規制する面と、を有していてもよい。この場合、カバー部材によって第一付勢部と第二付勢部との間の広がりが規制されるため、センサケースがクリップ部材から離脱し難い。
【0011】
第一及び第二付勢部の少なくとも一方は、連結部に連結されている側に位置する基端部と、連結部に連結されている側とは反対側に位置する先端部と、基端部に連結されていると共に先端部側に延在している第一板バネ部と、先端部に連結されていると共に基端部側に延在している第二板バネ部と、を有してもよい。この場合、異なる作用点を有する第一板バネ部と第二板バネ部とでセンサケースが付勢されるため、測定対象物に対するセンサケースの位置が一層ずれ難い。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、正確に温度を測定することができる温度センサユニットを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0015】
まず、
図1〜
図11を参照して、本実施形態に係る温度測定ユニットの構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る温度測定ユニットを示す概略斜視図である。
【0016】
図1に示されていように、温度測定ユニット1は、温度センサユニット10と、測定対象物70とを備える。測定対象物70は、温度センサユニット10による温度測定対象である。すなわち、温度測定ユニット1では、温度センサユニット10が測定対象物70の温度を測定する。温度センサユニット10は、温度センサ11と、温度センサ11が収容されているセンサケース12と、測定対象物70に取り付けられて、センサケース12を測定対象物70に対して位置決めする位置決め部材50とを備えている。
【0017】
測定対象物70は、たとえば、他の電気回路(不図示)の一構成要素として機能する導電性部材である。測定対象物70は、板状部71を有している。板状部71の長辺側の縁には、切り欠き部72が形成されている。以下、測定対象物70に対してセンサケース12を位置決めしている状態において、板状部71の長手方向が位置する方向をX軸方向とし、板状部71の幅方向が位置する方向をY軸方向とし、板状部71の厚み方向が位置する方向をZ軸方向とする。
【0018】
図2に示されているように、温度センサ11は、検知部11a、検知部11aに設けられている2つの電極(図示省略)にそれぞれ接続されている導線11b,11c、及び導線11b,11cにそれぞれ電気的に接続されているリード線11d,11eを有している。検知部11aには、たとえば、温度が高くなると抵抗が低くなる特性を有する、NTC(Negative Temperature Coefficient)サーミスタ素子が用いられる。
【0019】
図3及び
図4に示されているように、センサケース12は、直方体の有底筒状である。本実施形態において、直方体には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。センサケース12は、長手方向の一端に底部12aを有し、他端に開口部12bを有している。
【0020】
センサケース12には、開口部12bに直交すると共に互いに対向する主面12c,12d、及び互いに対向する側面12e,12fが配置されている。主面12cは、位置決め部材50によって測定対象物70に対してセンサケース12が位置決めされている状態において、位置決め部材50に接する。主面12dは、位置決め部材50によって測定対象物70に対してセンサケース12が位置決めされている状態において、測定対象物70に接する。
【0021】
センサケース12は、開口部12bから温度センサ11が挿入された状態で、樹脂が充填された樹脂部13を有している。温度センサ11の検知部11aは、硬化した樹脂によって、センサケース12の底部12a付近で位置決めされている。検知部11aに電気的に接続されているリード線11d,11eは、開口部12bからセンサケース12の外部に延在している。センサケース12は、たとえば、熱可塑性樹脂から構成される。樹脂部13は、たとえばエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂からなる。
【0022】
位置決め部材50は、金属からなるクリップ部材20と、樹脂からなるカバー部材30と、を含む。クリップ部材20は、センサケース12と測定対象物70とが互いに接している状態で、センサケース12と測定対象物70とを挟持する。カバー部材30には、センサケース12と測定対象物70とを挟持しているクリップ部材20が収容される。クリップ部材20の材料である金属には、ばね用リン青銅、又は、ばね用ステンレス鋼などが用いられる。カバー部材30の材料である樹脂には、PA(ポリアミド)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)などが用いられる。
【0023】
図5及び
図6に示されているように、クリップ部材20は、センサケース12に−Z軸方向への付勢力を与える付勢部21と、測定対象物70に+Z軸方向への付勢力を与える付勢部22と、X軸方向に延在していると共に付勢部21と付勢部22とを連結している連結部23とを有している。付勢部21及び付勢部22の各々は、XY軸方向に延在している矩形形状を呈している、板バネを構成する突片である。付勢部21と付勢部22とは、Z軸方向において互いに対向している。
【0024】
付勢部21及び付勢部22は、それぞれ、連結部23と連結されている側に位置する基端部21a,22aと、連結部23に連結されている側とは反対側に位置する先端部21b,22bとを有している。クリップ部材20は、先端部21bと先端部22bとの間において連結部23に対向する位置にセンサケース12が挿入される挿入口24を有しており、付勢部21,22及び連結部23に直交する方向に開口25を有している。
【0025】
図10及び
図11に示されているように、測定対象物70とセンサケース12とが互いに接している状態で、付勢部21は、センサケース12の主面12cに接すると共にセンサケース12を測定対象物70に付勢する。測定対象物70とセンサケース12とが互いに接している状態で、付勢部22は、測定対象物70に接すると共にセンサケース12の主面12dに測定対象物70を付勢する。センサケース12と測定対象物70とを挟持しているクリップ部材20がカバー部材30に収容されている収容状態(以下、単に収容状態という)において、クリップ部材20に挟持された温度センサ11のリード線11d,11eは、開口25からクリップ部材20の外部に延在している。収容状態において、クリップ部材20の挿入口24は+Y軸方向に位置し、クリップ部材20の開口25は+X軸方向に位置する。
【0026】
付勢部21は、基端部21aと先端部21bとを連結する一対の第一板バネ部21cと、第一板バネ部21cの内側に位置する共に矩形形状である第二板バネ部21dと、を有している。すなわち、第二板バネ部21dは、基端部21a、先端部21b、及び第一板バネ部21cに囲われている。第二板バネ部21dは、先端部21bに連結されていると共に基端部21a側に延在している。第二板バネ部21dは、基端部21a、第一板バネ部21c、及び連結部23から離間している。
【0027】
第二板バネ部21dの縁には、−Z軸方向において付勢部22側に延在している突片部21eが設けられている。突片部21eは、収容状態において、付勢部21がセンサケース12を付勢する−Z軸方向と直交する−X軸方向への測定対象物70に対するセンサケース12の動きを規制する規制面41を有する。
図11に示されているように、突片部21eの規制面41には、収容状態において、センサケース12の底部12aが+X軸方向から接する。
【0028】
付勢部22は、基端部22aと先端部22bとを連結する一対の第一板バネ部22cと、第一板バネ部22cの内側に位置する共に矩形形状である第二板バネ部22dと、を有している。すなわち、第二板バネ部22dは、基端部22a、先端部22b、及び第一板バネ部22cに囲われている。第二板バネ部22dは、先端部22bに連結されていると共に基端部22a側に延在している。第二板バネ部22dは、基端部22a及び第一板バネ部22cから離間している。
【0029】
付勢部21の先端部21bは、第一板バネ部21cと連結されている部分から、+Z軸方向、すなわち付勢部22側とは反対側に傾斜している。付勢部22の先端部22bには、付勢部22の縁を付勢部21側に折り曲げることで段部22eが形成されている。
【0030】
連結部23は、段形状を有しており、付勢部22が延在する方向と平行な方向(XY軸方向)に延在している基部23aと、基部23aに連結されていると共に付勢部22に直交する方向(Z軸方向)に延在している第一連結部23b及び第二連結部23cと、を含む。第一連結部23bの一端は、付勢部22の基端部22aに連結され、第一連結部23bの他端は、基部23aの一端に連結されている。第二連結部23cの一端は基部23aの他端に連結され、第二連結部23cの他端は付勢部21の基端部21aに連結されている。したがって、+Z軸方向から見て、付勢部21は、基部23aの幅分だけ、付勢部22の基端部22a側から+Y軸方向にずれて位置している。
【0031】
図10に示されているように、収容状態では、基部23aと付勢部22との間に、測定対象物70が配置される。第二連結部23cは、収容状態において、付勢部21がセンサケース12を付勢する−Z軸方向と直交する−Y軸方向への測定対象物70に対するセンサケース12の動きを規制する規制面42を有している。第二連結部23cの規制面42には、収容状態において、センサケース12の側面12eが+Y軸方向から接する。
【0032】
図7〜
図9に示されているように、カバー部材30は、クリップ部材20及びセンサケース12が収容される中空部Sを有している。カバー部材30は、中空部Sにクリップ部材20及びセンサケース12が挿入される挿入口33を有している。挿入口33には、挿入口24にセンサケース12が挿入される方向(−Y軸方向)と直交する方向(+X軸方向)から、センサケース12と測定対象物70とを挟持しているクリップ部材20が挿入される。収容状態において、クリップ部材20の挿入口24とカバー部材30の挿入口33とは、互いに直交する位置に配置される。したがって、挿入口33は、−X軸方向に位置する。挿入口33には、カバー部材30の外側から内側に傾斜する傾斜面33aが形成されている。したがって、挿入口33の開口面積は、カバー部材30の内側から外側に向かって広がっている。
【0033】
カバー部材30は、中空部Sの内面に、Z軸方向において、互いに対向する上面31a及び下面31bを有している。上面31aは、付勢部21の先端部21bと当接することで、付勢部21がセンサケース12を付勢する方向と反対方向(+Z軸方向)への付勢部21の動きを規制する。下面31bは、付勢部22の先端部22bと当接することで、付勢部22が測定対象物70を付勢する方向と反対方向(−Z軸方向)への付勢部22の動きを規制する。
【0034】
カバー部材30は、収納状態において、クリップ部材20の基部23a、第一連結部23b、及び第二連結部23cの各々の外面に対向する対向面31d,31e,31fを中空部Sの内面に有している。
図10に示されているように、収容状態において、対向面31dと下面31bとの間には、クリップ部材20の基部23a及び第一連結部23b、並びに、付勢部22及び測定対象物70の一部が位置する。
【0035】
カバー部材30は、対向面31dと対向面31eとの間、すなわち挿入口33に直交する位置に、+Y軸方向に測定対象物70が挿入される挿入口34を有している。収容状態の位置決め部材50において、挿入口34は−Y軸方向に位置する。挿入口34にも、挿入口33と同様に、カバー部材30の外側から内側に傾斜する傾斜面34aが形成されている。したがって、挿入口34の開口面積もまた、カバー部材30の内側から外側に向かって広がっている。
【0036】
カバー部材30は、中空部Sの内面に、対向面31e,31fに対向すると共に上面31a,下面31bに直交する側面31cを有している。カバー部材30は、側面31cに沿って、挿入口33側から+X軸方向に延在している弾性部37を有している。
【0037】
弾性部37は、基端側が側面31cに連結されており、先端側は自由である。このため、弾性部37の先端は、側面31cに直交する方向(+Y軸方向)において弾性を有している。弾性部37の先端には、カバー部材30の内側に突出する突起部37aが設けられている。
図1に示されているように、突起部37aは、測定対象物70の切り欠き部72と係合する。突起部37aと切り欠き部72とが係合することによって、センサケース12、クリップ部材20、及び測定対象物70に対する、カバー部材30の+X軸方向への移動が規制される。
【0038】
カバー部材30は、弾性部37よりも上面31a側において、側面31cから中空部Sの内側に突出する突出部36を有している。突出部36は、上面31aに対向する対向面36aと、対向面36aに直角に連結している規制面43とを有している。
【0039】
図10に示されているように、収容状態において、上面31aと対向面36aとの間には、付勢部21が位置する。規制面43は、収容状態において、付勢部21がセンサケース12を付勢する−Z軸方向と直交する+Y軸方向への測定対象物70に対するセンサケース12の動きを規制する。
図10に示されているように、規制面43には、収容状態において、センサケース12の側面12fが−Y軸方向から接する。
【0040】
カバー部材30は、挿入口33の位置と反対側において、上面31aの縁に連結されていると共に上面31aに垂直な壁部35を有している。壁部35には、開口35aが設けられている。
図11に示されているように、カバー部材30に収容された温度センサ11のリード線11d,11eは、開口35aからカバー部材30の外部に延在している。
【0041】
壁部35は、収容状態において、付勢部21がセンサケース12を付勢する−Z軸方向と直交する+X軸方向への測定対象物70に対するセンサケース12の動きを規制する規制面44を有している。
図11に示されているように、規制面44には、収容状態において、センサケース12の開口部12bの縁が−X軸方向から接する。対向面36a及び規制面43は、壁部35の規制面44と垂直に連結されている。規制面44の一部は、規制面43から開口35a側に延在している。
【0042】
次に、
図12〜
図14を参照して、測定対象物70に対する、温度センサユニット10の取り付け過程について説明する。
【0043】
まず、クリップ部材20の先端部21b,22bの間、すなわちクリップ部材20の挿入口24に、測定対象物70の切り欠き部72が設けられている側の反対側における、板状部71の縁を配置する。続いて、板状部71に対して、切り欠き部72が設けられている側の反対側からA方向(+Y軸方向)にクリップ部材20を押し込み、基部23aと付勢部22との間に測定対象物70の板状部71を挿入する。
【0044】
測定対象物70の縁がクリップ部材20の第一連結部23bまで挿入されると、測定対象物70の切り欠き部72にクリップ部材20の段部22eが係合する。これにより、段部22eの縁が測定対象物70の切り欠き部72と当接することで、X軸方向及びY軸方向において測定対象物70に対するクリップ部材20の動きが規制される。
【0045】
次に、温度センサ11が収容されているセンサケース12の側面12eを第二連結部23cに対向させて、クリップ部材20の挿入口24に配置する。続いて、測定対象物70の切り欠き部72側から、B方向(−Y軸方向)にセンサケース12を押し込み、測定対象物70と付勢部21との間にセンサケース12を挿入する。センサケース12の底部12aがクリップ部材20の規制面41に当接することで、−X軸方向への測定対象物70に対するセンサケース12の動きが規制される。センサケース12の側面12eが、クリップ部材20の規制面42に当接することで、−Y軸方向への測定対象物70に対するセンサケース12の動きが規制される。
【0046】
これにより、測定対象物70とセンサケース12とが互いに接している状態で、付勢部21によってセンサケース12が測定対象物70に付勢され、付勢部22によって測定対象物70がセンサケース12に付勢される。具体的には、付勢部21の第一板バネ部21c及び第二板バネ部21dがセンサケース12を付勢し、付勢部22の第一板バネ部22c及び第二板バネ部22dが測定対象物70を付勢する。第一板バネ部21cと第二板バネ部21dとは、互いに異なる位置でセンサケース12の主面12cに付勢力を与える。クリップ部材20は、測定対象物70と付勢部21との間にセンサケース12を挿脱可能である。
【0047】
次に、カバー部材30の挿入口34に、切り欠き部72が設けられている側の板状部71の縁を配置する。続いて、カバー部材30をC方向(−Y軸方向)に押し込み、板状部71をカバー部材30の挿入口34からカバー部材30の内部に挿入する。続いて、カバー部材30をD方向(−X軸方向)に移動することで、センサケース12と測定対象物70とを挟持しているクリップ部材20を挿入口33からカバー部材30の内部に挿入する。
【0048】
これにより、センサケース12と測定対象物70とを挟持しているクリップ部材20が、カバー部材30の内部に収容される。この際、カバー部材30の突起部37aが、測定対象物70の切り欠き部72に係合し、+X軸方向のカバー部材30の動きが規制される。センサケース12の側面12fが規制面43に当接することで、+Y軸方向への測定対象物70に対するセンサケース12の動きが規制される。センサケース12の開口部12bの縁及びクリップ部材20が規制面44に当接することで、+X軸方向への測定対象物70に対するセンサケース12及びクリップ部材20の動きが規制される。
【0049】
以上説明したように、温度センサユニット10では、測定対象物70とセンサケース12とが接している状態で、クリップ部材20の付勢部21,22によって、センサケース12及び測定対象物70が挟持される。この場合、センサケース12が、測定対象物70と接している状態で、測定対象物70に対して位置決めされる。カバー部材30は、樹脂からなり、センサケース12と測定対象物70とを挟持しているクリップ部材20を収容する。このため、測定対象物70の熱が温度センサ11に伝達される前に外部に放射されることが抑制される。したがって、測定対象物70の温度が正確に測定される。
【0050】
クリップ部材20は、金属からなり、センサケース12と測定対象物70を挟持している。このため、測定対象物70の熱がクリップ部材20を介して温度センサ11に伝達されやすい。したがって、測定対象物70の温度が一層正確に測定される。
【0051】
クリップ部材20は、規制面41を有する突片部21e、及び規制面42を有する第二連結部23cを有している。カバー部材30は、規制面43を有する突出部36、及び規制面44を有する壁部35を有している。クリップ部材20の規制面41は、付勢部21がセンサケース12を付勢する−Z軸方向と直交する−X軸方向への測定対象物70に対するセンサケース12の動きを規制する。クリップ部材20の規制面42は、−Z軸方向と直交する−Y軸方向への測定対象物70に対するセンサケース12の動きを規制する。カバー部材30の規制面43は、−Z軸方向と直交する+Y軸方向への測定対象物70に対するセンサケース12の動きを規制する。カバー部材30の規制面44は、−Z軸方向と直交する+X軸方向への測定対象物70に対するセンサケース12の動きを規制する。
【0052】
すなわち、位置決め部材50は、収容状態において、付勢部21がセンサケース12を付勢する方向(−Z軸方向)と直交する方向(XY軸方向)における、測定対象物70に対するセンサケース12の動きを規制する複数の規制面41,42,43,44を有している。このため、測定対象物70に対するセンサケース12の位置がずれ難い。したがって、温度センサ11による温度測定位置が正確に定まるので、測定対象物70の温度がより一層正確に測定される。
【0053】
クリップ部材20の規制面41,42とカバー部材30の規制面43,44とが、互いに異なる方向においてセンサケース12の動きを規制する。このため、センサケース12の取り外しが容易な構成で、センサケース12の位置ずれを抑制するのに適した位置に各規制面41,42,43,44が配置されている。したがって、センサケース12の取り外しが容易な構造とセンサケース12の位置ずれの抑制とが両立されている。
【0054】
クリップ部材20の挿入口24は、収容状態において+Y軸方向に位置する。カバー部材30の挿入口33は、収容状態において−X軸方向に位置する。したがって、収容状態において、規制面42は挿入口24に対向する位置においてセンサケース12に接し、規制面43はセンサケース12を挟んで規制面42と対向し、かつ、挿入口24側からセンサケース12に接し、規制面44は挿入口33に対向する位置においてセンサケース12に接し、規制面41はセンサケース12を挟んで規制面44と対向し、かつ、挿入口33側からセンサケース12に接する。すなわち、クリップ部材20の規制面41,42とカバー部材30の規制面43,44とによって、付勢部21がセンサケース12を付勢する方向に直交する四方向におけるセンサケース12の動きが抑制される。このため、センサケース12の取り外しが容易な構造でありながら、センサケース12の位置が一層ずれ難い。
【0055】
カバー部材30は、付勢部21がセンサケース12を付勢する方向と反対方向への付勢部21の動きを規制する上面31aと、付勢部22が測定対象物70を付勢する方向と反対方向への付勢部22の動きを規制する下面31bと、を有している。したがって、カバー部材30によって付勢部21と付勢部22との間の広がりが規制されるため、センサケース12がクリップ部材20から離脱し難い。
【0056】
付勢部21,22は、基端部21a,22aに連結されていると共に先端部21b,22b側に延在している第一板バネ部21c,22cと、先端部21b,22bに連結されていると共に基端部21a,22a側に延在している第二板バネ部21d,22dと、を有している。付勢部21,22が板バネを構成しているため、付勢部21,22とセンサケース12との接触面積が広い。したがって、測定対象物70に対してクリップ部材20がずれ難い。異なる作用点を有する第一板バネ部21c,22cと第二板バネ部21d,22dとでセンサケース12が付勢されるため、測定対象物70に対するセンサケース12の位置が一層ずれ難い。
【0057】
付勢部21の先端部21bは、第一板バネ部21cと連結されている部分から、+Z軸方向において付勢部22側とは反対側に傾斜している。このため、センサケース12を挿入口24へ挿入することが容易である。挿入口33の開口面積は、カバー部材30の内側から外側に向かって広がっている。このため、センサケース12を挟持しているクリップ部材20を挿入口33へ挿入することが容易である。挿入口34の開口面積もまた、カバー部材30の内側から外側に向かって広がっている。このため、測定対象物70を挿入口34へ挿入することが容易である。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0059】
たとえば、クリップ部材20が規制面41,42を有し、カバー部材30が規制面43,44を有することとしたが、クリップ部材20が有する規制面とカバー部材30が有する規制面によってセンサケース12の移動が制限されていれば、この組み合わせに限定されない。
【0060】
付勢力には、弾性体等が加える荷重の他、荷重を支える反力も含む。本実施形態では、付勢部21,22の双方が第一板バネ部21c,22c及び第二板バネ部21d,22dによる弾性を有するが、付勢部21と付勢部22の一方が弾性を有さずに他方が加える荷重を支持する構成であってもよい。
【0061】
直角、垂直、及び直交には、各部材の公差や製造誤差などを考慮して同視し得る範囲を含む。本実施形態では、規制面41〜44は面接触によってセンサケース12の動きを規制する規制部であるが、点接触又は線接触によってセンサケース12の動きを規制する規制部が用いられてもよい。
【0062】
本実施形態では、測定対象物70を他の電気回路(不図示)の一構成要素として機能する導電性部材と規定したが、これに限定されない。測定対象物70は、熱伝達が良好である部材(たとえば、金属など)又は発熱が懸念される部材(たとえば、基板など)などであってもよい。