(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された建物においては、隣接する外壁材の隙間に侵入する雨水を、第2止水板及び第1止水板に順に伝わせることにより、建物の外に排水することができる。しかし、この排水方向とは逆向きに、雨水が第1止水板の上面を伝って隣接する外壁材の隙間に向かって流れる場合、特許文献1の建物では、当該隙間に雨水が侵入するのを阻止することは難しい。したがって、特許文献1の建物では、室内への雨水の侵入を確実に阻止することが困難である。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、室内への雨水の侵入をより確実に阻止することが可能な建物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係る建物は、第1上側端面と、前記第1上側端面の下側に位置する第1下側端面と、を有する第1外壁材と、上側空間を挟んで前記第1上側端面と水平方向に対向する第2上側端面と、前記上側空間より広い下側空間を挟んで前記第1下側端面と水平方向に対向する第2下側端面と、を有する第2外壁材と、前記上側空間内に配置される規制部材であって、前記規制部材よりも前記建物の内側への水の侵入を規制する規制部材と、前記下側空間に挿入された先端部と、前記先端部から前記建物の外側に向かって延びる延設部と、を有する腰壁材と、前記腰壁材の上面を覆う被覆部材であって、前記下側空間に挿入されると共に前記規制部材の下方位置又はこれよりも前記建物の内側の位置から前記建物の外側に向かって下向きの勾配で傾斜する傾斜部を含む前記被覆部材と、前記規制部材の下方位置よりも前記建物の外側の位置において前記被覆部材の上面に立設され、前記傾斜部に沿って前記第1及び第2外壁材よりも前記建物の外側まで流れた水を、前記建物の内外方向に交差する方向に導く形状を有する外側堰部と、を備えている。
【0008】
この建物によれば、第1外壁材と第2外壁材の目地におけるシーリングの劣化などに起因して、規制部材により定義される規制線の内側に雨水が侵入した場合でも、規制部材を伝って雨水を下方に流下させると共に、被覆部材の傾斜部の上面により雨水を受けることができる。そして、傾斜部に沿って第1及び第2外壁材よりも建物の外側まで流れた雨水を、外側堰部により建物の内外方向に交差する方向に導いて排水することができる。この建物においては、第1及び第2外壁材の外側から被覆部材の上面を伝って建物の内側に向かって流れる雨水を、外側堰部により堰き止めることができるため、当該雨水が規制部材よりも建物の内側に侵入するのを阻止することができる。これにより、室内への雨水の侵入をより確実に防止することが可能になる。
【0009】
ここで、「規制部材の下方位置」とは、水平方向に沿った断面視において規制部材と重なる位置を意味する。
【0010】
上記建物において、前記傾斜部は、前記規制部材の下方位置に対し前記内外方向に交差する方向の外側に位置する部分を有していてもよい。また上記建物は、前記傾斜部における前記規制部材の下方位置から前記内外方向に交差する方向に外れた領域に立設された部分を有する内側堰部をさらに備えていてもよい。
【0011】
この構成によれば、上側空間を通じて落下し、傾斜部により受けられた雨水が、建物の内外方向に交差する方向における傾斜部の縁から流れ落ちるのを、内側堰部により阻止することができる。
【0012】
上記建物において、前記傾斜部は、前記規制部材の下方位置よりも前記建物の内側に位置する部分を有していてもよい。前記内側堰部は、前記傾斜部における前記規制部材の下方位置から前記建物の内側に外れた領域に立設された部分をさらに有していてもよい。
【0013】
この構成によれば、規制部材を伝って流下し、傾斜部により受けられた雨水が、外壁材の内面側へ流れ込むのを、内側堰部により阻止することができる。
【0014】
上記建物は、前記腰壁材と前記第1下側端面との隙間及び前記腰壁材と前記第2下側端面との隙間をそれぞれ塞ぐ一対の腰壁用シーリング部材をさらに備えていてもよい。また前記内側堰部は、前記傾斜部の先端から前記腰壁用シーリング部材よりも前記建物の外側の位置まで延びていてもよい。
【0015】
この構成によれば、内側堰部により雨水を腰壁用シーリング部材の外側まで確実に導くことができる。
【0016】
上記建物は、前記腰壁材と前記第1下側端面との隙間及び前記腰壁材と前記第2下側端面との隙間をそれぞれ塞ぐ一対の腰壁用シーリング部材をさらに備えていてもよい。また前記傾斜部は、前記腰壁用シーリング部材よりも前記建物の外側の位置までの範囲で傾斜していてもよい。
【0017】
この構成によれば、傾斜部に沿って流れる雨水を腰壁用シーリング部材よりも外側まで確実に導くことができる。
【0018】
上記建物において、前記先端部は、前記建物の外側から内側に向かって先細りとなる形状を有していてもよい。また前記第1及び第2下側端面は、前記先端部の挿入を許容するように、前記建物の外側から内側に向かって互いに近づくように配置された傾斜面をそれぞれ含んでいてもよい。また前記腰壁用シーリング部材は、前記先端部と前記傾斜面との間の隙間を塞ぐように配置されていてもよい。
【0019】
この構成によれば、腰壁材と第1及び第2外壁材との間をシールする領域をより広く確保することが可能になる。また腰壁材の先端部を先細り形状にすることで、当該先端部を第1外壁材と第2外壁材との間の下側空間に挿入し易くなる。
【0020】
上記建物において、前記傾斜部は、前記先端部の上面を覆う部分を含むと共に、前記先端部の形状に沿って前記建物の外側から内側に向かって先細りとなる形状を有していてもよい。また前記被覆部材は、前記傾斜面との間に隙間を空けて配置される被シール部をさらに有していてもよい。また前記腰壁用シーリング部材は、前記被シール部と前記傾斜面との間の隙間を塞ぐように配置されていてもよい。
【0021】
この構成によれば、被覆部材と第1及び第2外壁材との隙間を通じた雨水の侵入も確実に阻止することができる。
【0022】
上記建物において、前記外側堰部は、前記内外方向と交差する方向に延びる形状を有していてもよい。
【0023】
この構成によれば、被覆部材の上面を伝って外側から内側へ流れる雨水をより広い範囲に亘って堰き止めることができると共に、上側空間を通じて落下する雨水を被覆部材上の広い範囲で受けることができる。
【0024】
上記建物は、前記被覆部材を覆う笠木と、前記笠木と前記第1及び第2外壁材との間に介在する笠木用シーリング部材と、をさらに備えていてもよい。前記外側堰部は、前記笠木用シーリング部材よりも前記建物の外側に位置していてもよい。
【0025】
この構成によれば、笠木用シーリング部材により阻害されることなく、雨水をスムーズに建物の外に排水することが可能になる。
【発明の効果】
【0026】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、室内への雨水の侵入をより確実に阻止することが可能な建物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係る建物について詳細に説明する。
【0029】
(実施形態1)
まず、本発明の実施形態1に係る建物1について、
図1〜
図4を参照して説明する。
図1は、建物1における第1及び第2外壁材10,20と腰壁材40との接続部を斜め方向から見た図である。
図2は、
図1中の線分II−IIに沿った建物1の断面を示している。
図3は、
図1中の線分III−IIIに沿った建物1の断面を示している。
図4は、建物1の構成要素である被覆部材50を斜め方向から見た図である。なお、
図1では、建物1の構成要素である笠木80の図示が省略されている。
【0030】
建物1は、上下方向に延びると共に水平方向に並ぶ複数の縦フレーム100,101(
図2,
図3)を含む躯体と、躯体の外側に支持された第1及び第2外壁材10,20と、第1及び第2外壁材10,20の隣接部から外側に向かって延びる腰壁材40と、を主に備えている。
図1に示すように、第1及び第2外壁材10,20は、上下方向に沿った姿勢で配置されると共に、水平方向において互いに隣接している。
【0031】
第1外壁材10は、建物1の外周部を構成するパネル状の部材であり、平面視矩形状を有している。第1外壁材10は、例えば、セラミック製の基材と、この基材と一体形成されたC形鋼材からなるフレームと、を有している。
図2及び
図3に示すように、第1外壁材10は、建物1の外側を向く第1外面13と、建物1の内側(室内側)を向く第1内面14と、第2外壁材20側を向く第1上側端面11と、第2外壁材20側を向くと共に第1上側端面11の下側に位置する第1下側端面12と、を有している。
【0032】
第1外面13には、外観装飾用の凸凹形状が形成されている。
図3に示すように、第1下側端面12は、第1内面14に接続されると共に建物1の内外方向に平行に延びる平坦面である第1平行面12Aと、第1外面13に接続されると共に建物1の外側に向かい第2外壁材20から離れるように傾斜する平坦面である第1傾斜面12Bと、を含む。
【0033】
第2外壁材20は、第1外壁材10と同様に、建物1の外周部を構成するパネル状の部材であり、第1外壁材10と同じ形状及び大きさを有している。
図2及び
図3に示すように、第2外壁材20は、建物1の外側を向く第2外面23と、建物1の内側を向く第2内面24と、第1外壁材10側を向く第2上側端面21と、第1外壁材10側を向くと共に第2上側端面21の下側に位置する第2下側端面22と、を有している。
【0034】
第2外面23には、外観装飾用の凸凹形状が形成されている。
図3に示すように、第2下側端面22は、第2内面24に接続されると共に建物1の内外方向に平行に延びる平坦面である第2平行面22Aと、第2外面23に接続されると共に建物1の外側に向かい第1外壁材10から離れるように傾斜する平坦面である第2傾斜面22Bと、を含んでいる。なお、第1及び第2外面13,23は、凸凹形状が形成されていない平坦面であってもよい。
【0035】
図2に示すように、第2上側端面21は、上側空間S1を挟んで第1上側端面11と水平方向に対向している。第1及び第2上側端面11,21は、建物1の内側から外側に向い相手側の端面から離れるようにそれぞれ傾斜している。このため、
図2に示す断面視において、上側空間S1の水平方向の幅は、建物1の内側から外側に向かい次第に広がっている。なお、第1及び第2上側端面11,21は、上述のような傾斜面に限定されず、例えば建物1の内外方向に平行に延びる面であってもよい。
【0036】
図3に示すように、第2下側端面22は、下側空間S2を挟んで第1下側端面12と水平方向に対向している。具体的には、第2平行面22Aが下側空間S2の内側領域を挟んで第1平行面12Aと水平方向に対向すると共に、第2傾斜面22Bが下側空間S2の外側領域を挟んで第1傾斜面12Bと水平方向に対向している。第1及び第2傾斜面12B,22Bは、建物1の外側から内側に向かい互いに近づくように配置されている。このため、下側空間S2の水平方向の幅は、第1及び第2平行面12A,22Aにより挟まれる領域においては一定であると共に、第1及び第2傾斜面12B,22Bにより挟まれる領域においては建物1の外側から内側に向かい次第に狭まっている。
【0037】
また下側空間S2は、上側空間S1よりも広く形成されている。つまり、下側空間S2は、いずれの領域においても、その水平方向の幅が上側空間S1の水平方向の幅よりも大きくなっている。
【0038】
図2に示すように、建物1は、上側空間S1内に配置される規制部材30をさらに備えている。規制部材30は、当該規制部材30よりも建物1の内側への雨水の侵入を規制するものであり、外壁用シーリング部材31と、当該外壁用シーリング部材31の内側に配置された外壁用バックアップ部材32と、を含む。
【0039】
図1に示すように、外壁用シーリング部材31は、上側空間S1において建物1の外側に開口する領域を塞ぐと共に、当該領域の上下方向略全体に亘って設けられている。外壁用バックアップ部材32は、外壁用シーリング部材31に沿って上下方向に延びている。
【0040】
外壁用バックアップ部材32には、雨水を下方に流下させるための内部流路が上下方向に沿って形成されている。これにより、外壁用シーリング部材31の劣化などに起因して、雨水が外壁用シーリング部材31の外面(規制線)よりも内側まで侵入した場合でも、外壁用バックアップ部材32の内部流路を通じて雨水を下方に流下させることができる。なお、規制部材は、建物1の内側への水の侵入を規制可能なものであればよく、本実施形態のように外壁用バックアップ部材32を含むものに限定されない。
【0041】
また外壁用バックアップ部材32は、外壁用シーリング部材31の内側部分に接触する接触部を有している。このため、外壁用バックアップ部材32は、外壁用シーリング部材31が上側空間S1の内側に入り込み過ぎないように、外壁用シーリング部材31を内側から支持する部材としても機能する。
【0042】
腰壁材40は、例えば、建物1におけるバルコニー手摺壁を構成するものであり、
図1に示すように第1及び第2外壁材10,20に対して垂直方向に延びている。腰壁材40は、第1及び第2外壁材10,20に対して垂直方向に延びる腰壁フレーム45と、腰壁フレーム45の延在方向に対して垂直方向の両側に配置された第1及び第2腰壁パネル41,42と、を有している。腰壁フレーム45は、躯体に取り付けられた被取付部を有している。以下、第1及び第2腰壁パネル41,42が互いに対向する方向を「バルコニーの内外方向」とし、第1腰壁パネル41が配置される側を「バルコニー内側」、第2腰壁パネル42が配置される側を「バルコニー外側」とする。
【0043】
図3に示すように、第1腰壁パネル41は、その外面が第2傾斜面22Bに面するように下側空間S2内に配置された第1先端部41Aと、当該第1先端部41Aから建物1の外側に向かって延びる第1延設部41Bと、を有している。第1先端部41Aは、第2傾斜面22Bとの間に隙間を有すると共に、第2傾斜面22Bの傾斜に沿って建物1の外側から内側に向かって先細りとなる形状を有している。
図1に示すように、第1延設部41Bは、上面に段差が形成されていると共に、バルコニー内側の側面に外観装飾用の凸凹形状が形成されている。
【0044】
第2腰壁パネル42は、第1腰壁パネル41と略同様の構成を有し、バルコニーの内外方向において第1腰壁パネル41と対向している。
図3に示すように、第2腰壁パネル42は、その外面が第1傾斜面12Bと面するように下側空間S2内に配置された第2先端部42Aと、第2先端部42Aから建物1の外側に向かって延びる第2延設部42Bと、を有している。第2先端部42Aは、第1傾斜面12Bの傾斜に沿って建物1の外側から内側に向かって先細りとなる形状を有している。
図3に示すように、第1及び第2傾斜面12B,22Bが建物1の外側から内側に向かい互いに近づくように配置されることにより、腰壁材40の先端部40A(第1及び第2先端部41A,42A)の挿入が許容されている。
【0045】
図3に示すように、建物1は、腰壁材40と第1下側端面12との隙間及び腰壁材40と第2下側端面22との隙間をそれぞれ塞ぐ一対の腰壁用シーリング部材(第1腰壁用シーリング部材71,第2腰壁用シーリング部材72)をさらに備えている。第1腰壁用シーリング部材71は、第1先端部41Aの外面と第2傾斜面22Bとの間の隙間を塞ぐように配置されている。一方、第2腰壁用シーリング部材72は、第2先端部42Aの外面と第1傾斜面12Bとの間の隙間を塞ぐように配置されている。
【0046】
第1腰壁用シーリング部材71は、第1腰壁用シーリング層75と、その内側に配置された第1腰壁用バックアップ部材73と、を有している。同様に、第2腰壁用シーリング部材72は、第2腰壁用シーリング層76と、その内側に配置された第2腰壁用バックアップ部材74と、を有している。第1腰壁用バックアップ部材73は、第1腰壁用シーリング層75に沿って上下方向に延びており、第2腰壁用バックアップ部材74は、第2腰壁用シーリング層76に沿って上下方向に延びている。これにより、第1及び第2腰壁用シーリング層75,76が劣化した場合でも、第1及び第2腰壁用バックアップ部材73,74により室内側への雨水の侵入を規制することができる。
【0047】
図1に示すように、建物1は、腰壁材40の上面を覆うように当該腰壁材40の上部に被せられた板状の被覆部材50をさらに備えている。
図3に示すように、被覆部材50は、下側空間S2に挿入されると共に腰壁材40の先端部40Aの上面を覆う部分を含む傾斜部51と、傾斜部51から建物1の外側に延びると共に腰壁材40の延設部40Bの上面を覆う被覆部52と、を有している。被覆部52は、その上面が水平状態となるように配置されている。また
図1に示すように、被覆部52は、幅方向の両端側が下向きに折り曲げられており、この折曲部が腰壁材40の上部をバルコニーの内外方向における両側から覆っている。
【0048】
図3に示すように、傾斜部51は、先端部40Aの形状に沿って建物1の外側から内側に向かって先細りとなる形状(台形形状)を有している。傾斜部51は、規制部材30(外壁用バックアップ部材32)の下方位置(
図3の断面視において外壁用バックアップ部材32と重なる位置)よりも建物1の内側まで下側空間S2内に挿入されており、当該下方位置よりも建物1の内側の位置から建物1の外側に向かって下向きの勾配で傾斜している。つまり、傾斜部51は、規制部材30の下方位置よりも建物1の内側に位置する部分を有する。具体的には、傾斜部51は、規制部材30の下方位置よりも建物1の内側に位置する先端を有し、当該先端から腰壁用シーリング部材71,72よりも建物1の外側の位置までの範囲において一定の角度で下向きに傾斜している。
図3に示すように、傾斜部51と被覆部52との境界L1は、腰壁用シーリング部材71,72よりも外側、具体的には第1及び第2外面13,23よりも外側に位置している。これにより、規制部材30を伝って流下した雨水を傾斜部51の上面により受けると共に、傾斜部51に沿って雨水を建物1の外側に向かって導くことができる。また傾斜部51は、規制部材30の下方位置に対し建物1の内外方向に交差する方向(
図3中の左右方向)の外側に位置する部分を有する。
【0049】
図4に示すように、被覆部材50は、傾斜部51の台形形状における両斜辺の底部近傍から下向きに延設された一対の被シール部53をさらに有している。なお、
図4においては、一対の被シール部53のうち一方のみが示されている。被覆部材50が腰壁材40の上部に被せられた状態(
図3)において、一対の被シール部53は、第1及び第2傾斜面12B,22Bとの間にそれぞれ隙間を空けて配置される。そして、一方の被シール部53と第2傾斜面22Bとの間の隙間が第1腰壁用シーリング部材71により塞がれると共に、他方の被シール部53と第1傾斜面12Bとの間の隙間が第2腰壁用シーリング部材72により塞がれている。
【0050】
図3及び
図4に示すように、建物1は、被覆部材50の上面に立設された外側堰部60及び内側堰部90をさらに備えている。
【0051】
外側堰部60は、規制部材30の下方位置よりも建物1の外側の位置において被覆部材50の上面に立設されている。具体的には、外側堰部60は、第1及び第2外面13,23よりも建物1の外側において被覆部52の上面に立設されている。つまり、本実施形態における外側堰部60は、下側空間S2内に位置せず、その全体が下側空間S2よりも建物1の外側に位置している。また本実施形態における外側堰部60は、被覆部材50とは別部材として形成されたものであり、任意の固定手段により被覆部材50の上面に取り付けられている。
【0052】
図4に示すように、外側堰部60は、直方体形状を有し、被覆部52の幅方向(建物1の内外方向と直交する方向)に延びる形状を有している。外側堰部60は、被覆部52の幅方向(建物1の内外方向と直交する方向)全体に亘って直線状に延びている。
【0053】
外側堰部60は、傾斜部51に沿って第1及び第2外壁材10,20よりも建物1の外側まで流れた水を、建物1の内外方向に交差する方向(バルコニーの内外方向)に導く形状を有している。具体的には、
図3に示すように、外側堰部60は、直方体形状の1つの面であって建物1の内側を向く内側面61を有している。内側面61は、建物1の内外方向に直交する方向(バルコニーの内外方向)に延びると共に、被覆部52の上面から略垂直に立ち上がっている。このため、傾斜部51に沿って建物1の外側まで流れる雨水(
図3中矢印A1)が外側堰部60の内側面61により堰き止められ、雨水が流れる方向がバルコニーの内外方向に変わる(
図3中矢印A2)。これにより、雨水が被覆部52の幅方向外側に導かれ、被覆部52の縁から流下した後、腰壁材40の側面を伝って排水される。
【0054】
また外側堰部60は、直方体形状の他の面であって建物1の外側を向く外側面62を有している。外側面62は、内側面61に平行な面であり、内側面61と同様に、建物1の内外方向に直交する方向に延びると共に被覆部52の上面から略垂直に立ち上がっている。これにより、
図3中矢印A3で示すように、外側堰部60よりも外側から被覆部52の上面を伝って建物1の内側に向かって流れる雨水を、外側堰部60の外側面62により堰き止めることができる。外側面62により堰き止められた雨水は、被覆部52の幅方向外側に導かれ、被覆部52の縁から流下する。これにより、外側堰部60よりも外側から被覆部52の上面を伝って流れる雨水が、下側空間S2内に侵入するのを阻止することができる。したがって、室内への雨水の侵入をより確実に防止することが可能になる。
【0055】
図3及び
図4に示すように、内側堰部90は、傾斜部51における規制部材30の下方位置から建物1の内側に外れた領域に立設された部分(第1内側堰部92)と、傾斜部51における規制部材30の下方位置から建物1の内外方向に交差する方向に外れた領域に立設された部分(第2及び第3内側堰部93,94)と、を有している。本実施形態では、第1〜第3内側堰部92〜94は、傾斜部51の縁にそれぞれ立設されている。内側堰部90は、外側堰部60と同様に、被覆部材50とは別部材として形成されたものであり、任意の固定手段により被覆部材50の上面に取り付けられている。なお、内側堰部90は、傾斜部51の縁に立設される場合に限定されず、当該縁の内側に位置する傾斜部51の上面に立設されていてもよい。
【0056】
具体的には、
図3に示す断面視において、第1内側堰部92は、傾斜部51の台形形状の上底に沿って設けられており、第2及び第3内側堰部93,94は、当該台形形状の両斜辺に沿って設けられている。
図3に示すように、第2内側堰部93は、傾斜部51の先端から第1腰壁用シーリング部材71よりも建物1の外側まで延びており、第3内側堰部94は、傾斜部51の先端から第2腰壁用シーリング部材72よりも建物1の外側まで延びている。第1内側堰部92によれば、規制部材30を伝って流下した後、傾斜部51により受けられた雨水が、傾斜部51の先端から流れ落ちて第1及び第2外壁材10,20の内面側へ流れ込むのを阻止することができる。また第2及び第3内側堰部93,94によれば、傾斜部51により受けられた雨水が、建物1の内外方向に交差する方向における傾斜部51の両縁から流れ落ちるのを阻止することができる。
【0057】
また第2内側堰部93の延出端(第1腰壁用シーリング部材71よりも外側に位置する端部)と外側堰部60の一方端(
図3中の右端)との間、及び第3内側堰部94の延出端(第2腰壁用シーリング部材72よりも外側に位置する端部)と外側堰部60の他方端(
図3中の左端)との間には、隙間S3がそれぞれ形成されている。上述のように、傾斜部51に沿って建物1の外側まで流れ、外側堰部60により堰き止められた雨水は、隙間S3を通じて排水される。
【0058】
本実施形態において、第1〜第3内側堰部92〜94は、それぞれ別部材として形成されているがこれに限定されず、これらが一体形成されていてもよい。また内側堰部90は本発明に従った建物における必須の構成要素ではなく、省略されてもよい。
【0059】
図4に示すように、傾斜部51の先端の下面には、第1内側堰部92と平行に延びる脚部95が設けられている。脚部95は、第1内側堰部92の下側に設けられ、傾斜部51の先端が第1内側堰部92と脚部95とにより挟まれている。
【0060】
脚部95は、傾斜部51の先端の下面から被覆部52の下面までの高さを有している。また第1腰壁パネル41と第2腰壁パネル42との間に配置された支持板44(
図1)が脚部95の下方位置まで下側空間S2内に挿入されており、被覆部52の下面及び脚部95の底面が当該支持板44の上面に載置されている。これにより、傾斜部51の傾斜角度を安定に保つことができる。なお、脚部95も本発明に従った建物における必須の構成要素ではなく、省略されてもよい。
【0061】
図2に示すように、建物1は、被覆部材50を覆う笠木80をさらに備えている。笠木80は、被覆部材50の上面及び側面を覆うように、被覆部材50に被せられている。また建物1は、笠木80と第1及び第2外壁材10,20との間に介在する笠木用シーリング部材81をさらに備えている。
図2に示すように、外側堰部60は、笠木用シーリング部材81よりも建物1の外側に位置している。
【0062】
ここで、上述の通り説明した実施形態1に係る建物1の特徴及びその作用効果について列記する。
【0063】
建物1は、第1上側端面11と、第1上側端面11の下側に位置する第1下側端面12と、を有する第1外壁材10と、上側空間S1を挟んで第1上側端面11と水平方向に対向する第2上側端面21と、上側空間S1より広い下側空間S2を挟んで第1下側端面12と水平方向に対向する第2下側端面22と、を有する第2外壁材20と、上側空間S1内に配置される規制部材30であって、規制部材30よりも建物1の内側への水の侵入を規制する規制部材30と、下側空間S2に挿入された先端部40Aと、先端部40Aから建物1の外側に向かって延びる延設部40Bと、を有する腰壁材40と、腰壁材40の上面を覆う被覆部材50であって、下側空間S2に挿入されると共に規制部材30の下方位置よりも建物1の内側の位置から建物1の外側に向かって下向きの勾配で傾斜する傾斜部51を含む被覆部材50と、規制部材30の下方位置よりも建物1の外側の位置において被覆部材50の上面に立設され、傾斜部51に沿って第1及び第2外壁材10,20よりも建物1の外側まで流れた水を、建物1の内外方向に交差する方向に導く形状を有する外側堰部60と、を備えている。
【0064】
この建物1によれば、第1外壁材10と第2外壁材20の目地におけるシーリングの劣化などに起因して、規制部材30により定義される規制線の内側に雨水が侵入した場合(
図1中の符号R1)でも、規制部材30を伝って雨水を下方に流下させると共に(
図1中の符号R2)、被覆部材50の傾斜部51の上面により雨水を受けることができる。そして、傾斜部51に沿って第1及び第2外壁材10,20よりも建物1の外側まで流れた雨水を(
図1中の符号R3)、外側堰部60により建物1の内外方向に交差する方向に導いて排水することができる(
図1中の符号R4)。この建物1においては、第1及び第2外壁材10,20の外側から被覆部材50の上面を伝って建物1の内側に向かって流れる雨水を(
図3中の符号A3)、外側堰部60により堰き止めることができるため、雨水が規制部材30よりも建物1の内側に侵入するのを阻止することができる。これにより、室内への雨水の侵入をより確実に防止することが可能になる。
【0065】
上記建物1において、傾斜部51は、規制部材30の下方位置に対し建物1の内外方向に交差する方向の外側に位置する部分を有している。また上記建物1は、傾斜部51における規制部材30の下方位置から建物1の内外方向に交差する方向に外れた領域に立設された部分(第2及び第3内側堰部93,94)を有する内側堰部90を備えている(
図3,
図4)。これにより、建物1の内外方向に交差する方向における傾斜部51の縁から雨水が流れ落ちるのを内側堰部90により阻止することができる。
【0066】
上記建物1において、傾斜部51は、規制部材30の下方位置よりも建物1の内側に位置する部分を有している。内側堰部90は、傾斜部51における規制部材30の下方位置から建物1の内側に外れた領域に立設された部分(第1内側堰部92)をさらに有する。これにより、上側空間S1を通じて落下し、傾斜部51により受けられた雨水が、傾斜部51の先端から流れ落ちて第1及び第2外壁材10,20の内面側へ流れ込むのを、内側堰部90により阻止することができる。
【0067】
上記建物1は、腰壁材40と第1下側端面12との隙間及び腰壁材40と第2下側端面22との隙間をそれぞれ塞ぐ一対の腰壁用シーリング部材(第1及び第2腰壁用シーリング部材71,72)を備えている。内側堰部90は、傾斜部51の先端から第1及び第2腰壁用シーリング部材71,72よりも建物1の外側の位置まで延びている(
図3)。これにより、内側堰部90によって雨水を第1及び第2腰壁用シーリング部材71,72の外側まで確実に導くことができる。
【0068】
上記建物1において、傾斜部51は、第1及び第2腰壁用シーリング部材71,72よりも建物1の外側の位置までの範囲で傾斜している。これにより、傾斜部51に沿って流れる雨水を第1及び第2腰壁用シーリング部材71,72よりも外側まで確実に導くことができる。
【0069】
上記建物1において、腰壁材40の先端部40Aは、建物1の外側から内側に向かって先細りとなる形状を有している。第1及び第2下側端面12,22は、先端部40Aの挿入を許容するように、建物1の外側から内側に向かって互いに近づくように配置された第1及び第2傾斜面12B,22Bをそれぞれ含む。第1及び第2腰壁用シーリング部材71,72は、先端部40Aと第1及び第2傾斜面12B,22Bとの間の隙間を塞ぐようにそれぞれ配置されている(
図3)。これにより、腰壁材40と第1及び第2外壁材10,20との間をシールする領域をより広く確保することが可能になる。また腰壁材40の先端部40Aを先細り形状にすることで、当該先端部40Aを第1外壁材10と第2外壁材20との間の下側空間S2に挿入し易くなる。
【0070】
上記建物1において、傾斜部51は、腰壁材40の先端部40Aの上面を覆う部分を含むと共に、先端部40Aの形状に沿って建物1の外側から内側に向かって先細りとなる形状を有している(
図3)。被覆部材50は、第1及び第2傾斜面12B,22Bとの間に隙間を空けて配置される被シール部53を有している(
図4)。第1及び第2腰壁用シーリング部材71,72は、被シール部53と第1及び第2傾斜面12B,22Bとの間の隙間を塞ぐようにそれぞれ配置されている。これにより、被覆部材50と第1及び第2外壁材10,20との隙間を通じた雨水の侵入も確実に阻止することができる。
【0071】
上記建物1において、外側堰部60は、建物1の内外方向と交差する方向に延びる形状を有している(
図3,
図4)。これにより、被覆部材50の上面を伝って外側から内側へ流れる雨水をより広い範囲に亘って堰き止めることができると共に、上側空間S1を通じて落下する雨水を被覆部材50上の広い範囲で受けることができる。
【0072】
上記建物1は、被覆部材50を覆う笠木80と、笠木80と第1及び第2外壁材10,20との間に介在する笠木用シーリング部材81と、を備えている(
図2)。外側堰部60は、笠木用シーリング部材81よりも建物1の外側に位置している。これにより、笠木用シーリング部材81により阻害されることなく、雨水をスムーズに建物1の外に排水することが可能になる。
【0073】
(その他実施形態)
ここで、本発明のその他実施形態について説明する。
【0074】
上記実施形態1では、外側堰部60が一方向に延びる形状を有すると共に、その全体が下側空間S2の外側に位置する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、
図5に示すように、外側堰部60における幅方向の一部が下側空間S2内に位置するように内側に向かって張り出していてもよい。
【0075】
上記実施形態1では、傾斜部51が規制部材30の下方位置よりも建物1の内側の位置から建物1の外側に向かって傾斜する場合について説明したが、これに限定されない。傾斜部は、規制部材30の下方位置から建物1の外側に向かって下向きの勾配で傾斜していてもよい。つまり、傾斜の始点が規制部材30の下方位置よりも内側の位置に限定されず、規制部材30の下方位置であってもよい。
【0076】
上記実施形態1では、第1及び第2下側端面12,22が第1及び第2傾斜面12B,22Bを含む場合について説明したがこれに限定されず、第1及び第2下側端面12,22全体が建物1の内外方向に平行に延びる平坦面であってもよい。この場合、腰壁材40の先端部40A及び被覆部材50の傾斜部51も先細り形状でなくてもよい。
【0077】
上記実施形態1では、外側堰部60が被覆部材50とは別部材として形成される場合について説明したが、外側堰部60と被覆部材50とが一体形成されていてもよい。同様に、内側堰部90も被覆部材50と一体形成されていてもよい。
【0078】
上記実施形態1では、傾斜部51の上面全体が傾斜するように構成されているがこれに限定されず、傾斜部51における上面の一部が水平面であってもよい。
【0079】
また本発明に従った建物は、ガラス面材が配置されたスクリーンタイプのバルコニーを備えた建物においても適用することが可能である。この場合、ガラス面材の下側に腰壁材が配置される。そして、上記実施形態1と同様に、腰壁材の上面を覆うと共に傾斜部を含む被覆部材が配置されると共に、当該被覆部材の上面に外側堰部が立設される。
【0080】
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと解されるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。