(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記経過日数特定部は、前記気象情報に基づいて、前記予測時点において降雪状態か否かを判定するとともに、降雪状態ではないと判定した場合、降雪が終了してから前記予測時点までの経過日数を特定し、
前記積雪係数算出部は、前記第1判定部において前記所定の地点における積雪深が前記第1積雪深と前記第2積雪深との間の値であると判定された場合、前記降雪状態であるという判定結果または前記経過日数に基づいて、前記太陽光発電設備の発電に対して積雪が及ぼす影響度合を示す積雪係数を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の発電出力予測装置。
前記第1判定部において前記所定の地点における積雪深が前記第1積雪深と前記第2積雪深との間の値であると判定された場合、降雪が終了してから前記予測時点までの前記経過日数が所定の経過日数か否かを判定する第2判定部
をさらに備え、
前記積雪係数算出部は、前記第2判定部において前記予測時点の前記経過日数が第1経過日数であると判定された場合、前記所定の地点における積雪深が大きくなるにしたがって前記積雪係数が小さくなる積雪係数算出関数に基づいて、前記積雪係数を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の発電出力予測装置。
前記第2判定部において前記予測時点の前記経過日数が前記第1経過日数よりも多い第2経過日数であると判定された場合、前記予測時点の積雪深が、前記第1積雪深と前記第2積雪深との間の値を示す第3積雪深以上か否かを判定する第3判定部
をさらに備え、
前記積雪係数算出部は、前記第3判定部の判定結果に基づいて、前記積雪係数を算出する
ことを特徴とする請求項3に記載の発電出力予測装置。
前記積雪係数算出部は、前記第2判定部において前記予測時点の前記経過日数が前記第2経過日数よりも多い第3経過日数であると判定された場合、前記積雪係数を、積雪が前記太陽光発電設備の発電出力に影響を及ぼさない値に設定する
ことを特徴とする請求項4に記載の発電出力予測装置。
前記積雪係数算出部は、前記第1判定部において前記予測時点の積雪深が前記第1積雪深よりも値が小さいと判定された場合、前記積雪係数を、積雪が前記太陽光発電設備の発電出力に影響を及ぼさない値に設定する
ことを特徴とする請求項5に記載の発電出力予測装置。
前記積雪係数算出部は、前記第1判定部において前記予測時点の積雪深が前記第2積雪深よりも値が大きいと判定された場合、前記積雪係数を、積雪により前記太陽光発電設備が発電できない値に設定する
ことを特徴とする請求項6に記載の発電出力予測装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。以下の説明において、同一符号を付した部分は同一の要素を表し、その基本的な構成および動作は同様であるものとする。
【0010】
===発電出力予測装置10===
図1、
図2、
図3を参照しつつ、発電出力予測装置10について以下のとおり説明する。
図1は、本実施形態に係る発電出力予測装置10の概要の一例を示す図である。
図2は、本実施形態に係る発電出力予測装置10における予測方法の概念の一例を示すグラフである。
図3は、本実施形態に係る発電出力予測装置10の構成の一例を示す図である。
【0011】
発電出力予測装置10は、
図1に示すように、通信ネットワークを介して積雪観測装置100および気象観測装置110に接続される。ここで、積雪観測装置100とは、例えば、気象庁の装置であって、積雪深を計測し、更に、将来の積雪深を予測する機能を有する装置である。また、気象観測装置110とは、例えば、気象庁の装置であって、少なくとも、現在および将来の気象および日射量に係る情報を提供する装置である。なお、言うまでもないが、積雪観測装置100および気象観測装置110は、気象庁の装置に限定されるものではない。
【0012】
発電出力予測装置10は、積雪観測装置100から現在または将来の時点(以下、「予測時点」と称する。)の積雪深を示す情報(以下、「積雪深情報」と称する。)を取得する。また、気象観測装置110から、予測時点の少なくとも気象に関する情報(以下、「気象情報」と称する。)および予測時点の日射量を示す情報(以下、「日射量情報」と称する。)を取得する。なお、発電出力予測装置10は、積雪深情報および気象情報の両情報を気象観測装置110から取得してもよい。さらに言うと、発電出力予測装置10は、予め、夫々の情報を記憶部12に格納していてもよい。ただし、以下においては、発電出力予測装置10が夫々の装置から夫々の情報を取得することとして説明する。
【0013】
発電出力予測装置10は、太陽光発電設備200のパネル上に積雪がある状況において、正確に発電出力を予測するために、気象情報(天気)に基づいて、降雪している状態(以下、「降雪状態」と称する。)であるか否かを判定し、降雪が終了している場合は、降雪が終了してから予測時点までの経過日数を特定する。そして、降雪状態または経過日数、および積雪深情報に基づいて、積雪係数を算出する。ここで、積雪係数とは、太陽光発電設備200のパネル上の積雪が太陽光発電設備200の発電出力に及ぼす影響を経験的に求めた係数であり、詳細に後述する。発電出力予測装置10は、日射量情報および太陽光発電設備200の設備仕様等に基づいて算出される発電出力に、該積雪係数を掛けて、太陽光発電設備200のパネル上の積雪を考慮した発電出力を算出(予測)する。
【0014】
このような発電出力予測装置10を導入する背景について、以下説明する。経験的に、積雪を生じるような状況において、太陽光発電設備200は、積雪によりパネルに照射される太陽光が遮断されるため、発電出力が抑制される。一方で、積雪を生じるような状況であっても、積雪深や降雪が終了した時点から経過した日数により、積雪が発電出力に影響を及ぼさない状況が生じる。具体的に、
図2を参照しつつ、一例を説明する。
【0015】
図2に示すグラフは、横軸に時刻を示し、一方の縦軸に単位面積当たりの発電出力を示し、他方の縦軸に積雪深を示す。該グラフの下に示す表は、該グラフの横軸の時刻に対応するように“天気”や“経過日数”を示す。“日付”が“10日”では、全時刻において“雪”や“みぞれ”が降っている。“日付”が“11日”以降では、“曇”や“晴れ”となり、降雪が終了している。ここで、降雪が終了した“11日”では、未だ積雪が“20cm”程度みられるが、僅かだが発電出力を生じている。さらに、“12日”では未だ積雪が“10cm”程度みられるが、積雪は発電出力にほとんど影響を及ぼしていない。
【0016】
これからもわかるように、積雪深や降雪が終了してから経過した日数により、積雪が発電出力に及ぼす影響度が変化する。発電出力予測装置10は、このような傾向を考慮することにより、積雪時における発電出力を正確に予測することができる。
【0017】
このような機能を有する発電出力予測装置10は、
図3に示すように、演算処理部11と、記憶部12と、入力部13と、出力部14と、メモリ15と、を有している。なお、演算処理部11、記憶部12、入力部13、出力部14およびメモリ15の夫々は、通信可能に接続されている。
【0018】
演算処理部11は、例えばCPUあるいはMPUなどで構成されている。演算処理部11は、メモリ15に格納されているプログラムを読み込むことにより、各種機能を実現する。演算処理部11は、観測地点特定部11aと、積雪深情報取得部11bと、経過日数特定部11cと、第1判定部11dと、第2判定部11eと、第3判定部11fと、積雪係数算出部11gと、日射量情報取得部11hと、発電出力算出部11iと、を有している。演算処理部11は、記憶部12から各種情報を読み出しつつ各構成要素の処理を実行する。演算処理部11の各構成要素については、詳細に後述する。
【0019】
記憶部12は、プログラムや各種情報を記憶する装置である。記憶部12は、例えば、ROM、RAMあるいはフラッシュメモリなどで構成されている。記憶部12に格納される各種テーブルについては、詳細に後述する。
【0020】
入力部13は、通信ネットワーク120を介して積雪深情報、気象情報および日射量情報などの各種情報が入力されるネットワークインターフェイスである。出力部14は、通信ネットワーク120に各種情報が出力されるネットワークインターフェイスである。メモリ15は、演算処理部11が処理するためのプログラムを格納する装置である。メモリ15は、例えば、ハードディスクドライブ、SSDあるいは光学式記憶装置などで構成されている。
【0021】
==演算処理部11==
図1、
図2、
図3、
図4を参照しつつ、演算処理部11について、以下のとおり詳細に説明する。
図4は、本実施形態に係る積雪係数と積雪深との関係の一例を示すグラフである。
【0022】
演算処理部11は、記憶部12の予測情報テーブル12aを参照しつつ、以下で述べる各種機能を実現する。
図3に示すように、演算処理部11は、観測地点特定部11aと、積雪深情報取得部11bと、経過日数特定部11cと、第1判定部11dと、第2判定部11eと、第3判定部11fと、積雪係数算出部11gと、日射量情報取得部11hと、発電出力算出部11iと、を有している。夫々の機能について、以下のとおり詳細に述べる。
【0023】
<<観測地点特定部11a>>
観測地点特定部11aは、積雪観測装置100と太陽光発電設備200とを関係付ける機能を有する。より具体的に説明すると、観測地点特定部11aは、
図1に示すように、積雪観測装置101を太陽光発電設備201〜202に対応付け、積雪観測装置102を太陽光発電設備203〜204に対応付ける。これにより、太陽光発電設備201〜202における積雪深を、積雪観測装置101で観測または予測される積雪深とし、太陽光発電設備203〜204における積雪深を、積雪観測装置102で観測または予測される積雪深として、発電出力を予測するために用いることができる。
【0024】
<<積雪深情報取得部11b>>
積雪深情報取得部は、入力部13を介して、積雪観測装置100から予測時点の積雪深情報を取得する機能を有する。積雪深情報取得部は、取得した積雪深情報を記憶部12に格納する。積雪深情報は、例えば予測する日の12時の積雪深を示す情報である。なお、積雪観測装置100から積雪深情報を取得することに限定されず、他の装置、例えば気象観測装置110から積雪深情報を取得するように構成されていてもよい。
【0025】
<<経過日数特定部11c>>
経過日数特定部11cは、予測時点の気象情報に基づいて、降雪状態であるか否かを判定し、さらに、降雪が終了する時点から予測時点までに経過した日数(以下、「経過日数」と称する。)を特定する機能を有する。より具体的に説明すると、
図2に示すように、経過日数特定部11cは、0時〜24時の間(又は、予測する日の12時時点)に、“天気”が“雪”や“みぞれ”と予測される状態を降雪する状態(以下、「降雪状態」と称する。)として認識し、“天気”が“曇”や“晴”であると予測される状態を降雪が終了した状態(以下、「非降雪状態」と称する。)として認識する。そして、降雪状態から非降雪状態に移行した日を、経過日数“0日”として特定する。さらに、経過日数特定部11cは、非降雪状態が継続している状況において、一日経過する度に経過日数を一日増やす。なお、例えば、降雪状態から非降雪状態に移行し、その後、降雪状態に移行するときは、経過日数をリセットする。
【0026】
<<第1判定部11d>>
第1判定部11dは、太陽光発電設備200のパネル上の積雪が、その発電に影響を及ぼさない積雪深(以下、「第1積雪深」と称する。)と、太陽光発電設備200のパネル上の積雪により太陽光発電設備200が発電できない積雪深(以下、「第2積雪深」と称する。)と、に対して、予測時点の積雪深(以下、「予測積雪深」と称する。)が大きいか小さいかを判定する機能を有する。
【0027】
より具体的に説明すると、第1判定部11dは、予測積雪深が第1積雪深よりも小さい(以下、「第1積雪状況」と称する。)か、予測積雪深が第1積雪深以上で第2積雪深以下である(以下、「第2積雪状況」と称する。)か、予測積雪深が第2積雪深よりも大きい(以下、「第3積雪状況」と称する。)か、を判定する。これにより、発電出力予測装置10は、積雪が太陽光発電設備200の発電に影響を及ぼす状態か否かを判定できるため、その状態に応じて正確に発電出力を予測できる。第1積雪状況、第2積雪状況および第3積雪状況の夫々について、後述する積雪係数算出部11gは、積雪係数を算出する。積雪係数の算出手法については、詳細に後述する。
【0028】
なお、上記における“発電に影響を及ぼさない”とは、パネル上の積雪により、パネルに到達する太陽光が実質的に遮られないことをいう。つまり、この状況において、太陽光はパネル上の積雪により僅かに遮られることはあるものの、積雪は実質的に太陽光発電設備200の発電に影響を及ぼさない。また、上記における“発電できない”とは、パネル上の積雪により太陽光がパネル表面に到達できないことをいう。つまり、この状況において、太陽光はパネル上の積雪により遮られるため、太陽光発電設備200は発電できない。
【0029】
<<第2判定部11e>>
第2判定部11eは、第1判定部11dにおいて第2積雪状況であると判定された場合、降雪状態であるか、経過日数が所定の経過日数であるか否かを判定する機能を有する。ここで、所定の経過日数とは、例えば、第1経過日数、第1経過日数よりも多い第2経過日数、第2経過日数よりも多い第3経過日数である。
【0030】
より具体的に説明すると、例えば、第1経過日数は降雪状態から非降雪状態に移行した日を示す経過日数“0日”であり、第2経過日数は非降雪状態に移行した日から一日経過した日を示す経過日数“1日”であり、第3経過日数は非降雪状態に移行した日から二日以上経過した日を示す経過日数“2日以上”である。また、降雪状態は、第1経過日数と同様に扱われる。これにより、発電出力予測装置10は、経過日数に応じて変化するパネル上の積雪が太陽光発電設備200の発電に影響を及ぼす状態か否かを判定するように、その状態に応じて後述する積雪係数算出部にて積雪係数を算出できるため、正確に発電出力が予測される。なお、上記の第1〜第3経過日数は一例を示すものであり、第1〜第3経過日数は、作業者が任意に設定できることとする。
【0031】
<<第3判定部11f>>
第3判定部11fは、第2判定部11eにおいて第2経過日数であると判定された場合、予測積雪深が所定の積雪深(以下、「第3積雪深」と称する。)よりも大きいか小さいかを判定する機能を有する。第3積雪深とは、第1積雪深と第2積雪深との間の積雪深である。
【0032】
より具体的に説明すると、第2経過日数においては、経験的に、予測積雪深が第3積雪深よりも小さい場合、パネル上の積雪が太陽光発電設備200の発電に影響を及ぼさないことが推定でき、予測積雪深が第3積雪深以上である場合、積雪が幾許か発電に影響を及ぼすことが推定できるため、第3判定部11fでは、これらを考慮して積雪係数を決定するための判定を行う。これにより、第1判定部11dの判定結果を用いることのみで発電出力を予測する手法と比較して、より正確に発電出力を予測することができる。
【0033】
<<積雪係数算出部11g>>
積雪係数算出部11gは、第1判定部11d、第2判定部11eまたは第3判定部11fにおける判定結果に基づいて積雪係数を算出する機能を有する。
【0034】
より具体的に説明すると、積雪係数算出部11gは、第1〜第3判定部11d〜11fにおいて、積雪が“発電に影響を及ぼさない”と判定された場合、例えば積雪係数を“1”に設定する。これにより、発電出力を算出するときに、積雪の影響を除外できる。また、第1〜第3判定部11d〜11fにおいて、積雪により“発電できない”と判定された場合、例えば積雪係数を“0”に設定する。これにより、算出される発電出力は、積雪の影響により“0kW”として算出される。
【0035】
言い換えると、太陽光発電設備200のパネル上に積雪があったとしても、所定の予測積雪深では発電に影響を及ぼさず、又、所定の経過日数を経過すると、積雪がパネル上からズリ落ちるため、発電に影響を及ぼさなくなる、という傾向を発電出力の計算に反映できる。また、所定の積雪深を超えると、発電できなくなるという傾向についても同様に反映できる。
【0036】
さらに、積雪係数算出部11gは、“発電に影響を及ぼさない”状態や“発電できない”状態には至らず、パネル上の積雪が発電出力に幾許かでも影響を及ぼすような場合には、例えば、所定の関数(以下、「積雪係数算出関数」と称する。)に基づいて積雪係数を算出してもよく、又、予め定められた定数を積雪係数としてもよい。ここで、積雪係数算出関数とは、例えば、
図4に示すような、縦軸に“積雪係数”を示し、横軸に“積雪深”を示す座標上で、所定の予測積雪深(“L”および“H”)の間において、予測積雪深が大きくなるにしたがって積雪係数が小さくなる一次関数である。ここで言う所定の積雪深とは、任意に設定されるものである。所定の積雪深について、一例を示すと、小さい方(L)を第1積雪深と等しい値に設定し、大きい方(H)を第2積雪深と等しい値に設定する。これにより、予測積雪深と発電出力との関係を正確に対応付けることができる。
【0037】
なお、積雪係数算出関数は、一次関数として説明したが、これに限定されない。例えば予測積雪深が大きくなるにしたがって積雪係数が小さくなる関数であればよく、さらに言うと、実績に基づいて決定される関数であればよい。
【0038】
<<日射量情報取得部11h>>
日射量情報取得部11hは、入力部13を介して、気象観測装置110から予測時点の日射量情報を取得する機能を有する。日射量情報取得部11hは、取得した日射量情報を記憶部12に格納する。なお、気象観測装置110から日射量情報を取得することに限定されず、他の装置から日射量情報を取得するように構成されていてもよい。
【0039】
<<発電出力算出部11i>>
発電出力算出部11iは、積雪係数算出部11gで算出された積雪係数に基づいて、現在又は将来の発電出力を算出する機能を有する。
【0040】
具体的には、発電出力算出部11i、式(1)に、現在又は将来の時点における日射量および積雪係数を入力する。なお、設備係数および発電容量は、予め記憶部12に記憶されている情報である。これにより、現在又は将来の時点における発電出力を予測できる。
【0041】
【数1】
(但し、Wは発電出力、Rは設備係数、Vは発電容量、Sは日射量、Qは積雪係数を表す。)
==記憶部12==
図5を参照しつつ、記憶部12について、以下のとおり詳細に説明する。
図5は、本実施形態に係る予測情報テーブル12aの一例を示す図である。
【0042】
記憶部12は、演算処理部11が処理を実行するための各種情報を格納する機能を有する。記憶部12は、
図5に示すように、少なくとも予測情報テーブル12aを格納している。
【0043】
予測情報テーブル12aは、積雪係数を予測するために必要な各種情報を格納するテーブルである。予測情報テーブル12aには、少なくとも、発電出力の予測時点の日時が入力される“予測時点”項目と、発電出力が予測される太陽光発電設備200の地点が入力される“予測地点”項目と、降雪が終了した時点から予測時点までに経過した日数が入力される“経過日数”項目と、予測時点における積雪深が入力される“積雪深”項目と、積雪係数算出部11gで算出される積雪係数が入力される“積雪係数”項目と、予測時点における日射量が入力される“日射量”項目と、発電出力算出部11iで該積雪係数を考慮した予測時点における発電出力が入力される“発電出力”項目と、を対応付けて格納する。
【0044】
==処理フロー==
図6A、
図6Bを参照しつつ、発電量予測装置10の処理フローについて、以下のとおり詳細に説明する。
図6A、
図6Bは、本実施形態に係る発電出力予測装置10の処理フローの一例を示す図である。
【0045】
先ず、観測地点特定部11aは、予測地域Kにおける積雪観測装置100を特定するとともに、該積雪観測装置100と太陽光発電設備200とを対応付ける(S10)。これにより、予測地域Kの積雪深と太陽光発電設備200の発電容量が把握できる。次に、積雪情報取得部11bは、積雪観測装置100から予測地域Kにおける予測時点の積雪深情報を取得するとともに、積雪深情報を記憶部12に格納する(S11)。次に、経過日数特定部11cは、気象観測装置110から気象情報を取得するとともに、該気象情報に基づいて、降雪状態であるか否かを判定し、そして、降雪状態でない場合は降雪が終了してから予測時点までの経過日数を特定する(S12)。特定手法については、上述したとおりである。
【0046】
次に、第1判定部11dは、予測積雪深(D)と第1積雪深(D1)および第2積雪深(D2)とを比較して、予測積雪深と第1積雪深および第2積雪深との大小関係を判定する(S13)。このとき、一例を示すと、第1積雪深には“3cm”が設定され、第2積雪深には“50cm”が設定される。ただし、第1積雪深および第2積雪深は、太陽光発電設備200の仕様等によって設定すべき数値が異なるため、それが限定されるものではなく、任意に設定できることとする。
【0047】
第1判定部11dにおいて、予測積雪深(D)が第1積雪深(D1)よりも小さいと判定された場合(S13:D<D1)、積雪係数算出部11gは、例えば積雪係数を“1”に設定する(S14)。本判定により、積雪が太陽光発電設備200の発電に影響を与えないように、積雪係数を設定することができる。
【0048】
第1判定部11dにおいて、予測積雪深(D)が第2積雪深(D2)よりも大きいと判定された場合(S13:D2<D)、積雪係数算出部11gは、例えば積雪係数を“0”に設定する(S15)。本判定により、積雪により太陽光発電設備200が発電できない状況であるとして、積雪係数を設定することができる。
【0049】
第1判定部11dにおいて、予測積雪深(D)が第1積雪深(D1)と第2積雪深(D2)との間の値を示す場合(S13:D1≦D≦D2)、第1判定部11dは、処理を第2判定部11eに移行する。
【0050】
第2判定部11eは、予測時点の経過日数に応じて処理を移行するための判定を行う(S16)。具体的に説明すると、第2判定部11eは、例えば、予測時点が降雪状態であるか、予測時点の経過日数(N)が第1〜第3経過日数の何れと等しいかを判定する。一例を示すと、降雪状態である場合には“*”が設定され、第1経過日数には“0日”が設定され、第2経過日数には“1日”が設定され、第3経過日数には“2日以上”が設定される。ただし、第1〜第3経過日数に“0日”“1日”“2日以上”が設定されることに限定されず、設定される第1〜第3経過日数は、太陽光発電設備200の仕様等によって設定すべき数値が異なるため、任意に設定できることとする。
【0051】
第2判定部11eにおいて、予測時点で降雪状態(*)であるか、又は、予測時点の経過日数(N)が第1経過日数(0)と等しい、と判定された場合(S16:N=0,*)、積雪係数算出部11gは、例えば積雪係数を積雪係数算出関数により算出する(S17)。積雪係数算出関数については、上述したとおりである(
図4参照)。これにより、積雪深が小さいほど発電出力に与える影響が小さい、という傾向を考慮することができる。ただし、積雪係数算出関数に基づいて算出することに限定されず、例えば積雪係数となる定数(“0”以上“1”以下)を予め設定していてもよい。
【0052】
第2判定部11eにおいて、予測時点の経過日数(N)が第3経過日数(2以上)と等しいと判定された場合(S16:N≧2)、積雪係数算出部11gは、例えば積雪係数を“1”として算出する(S18)。これにより、第3経過日数以上の経過日数では、積雪がパネル上からズリ落ちる傾向が高いため、発電出力の計算において、積雪の影響を排除できる。
【0053】
第2判定部11eにおいて予測時点の経過日数(N)が第2経過日数(1)と等しいと判定された場合(S16:N=1)、第2判定部11eは、処理を第3判定部11fに移行する。
【0054】
第3判定部11fは、予測積雪深(D)と第3積雪深(D3)とを比較して、予測積雪深と第3積雪深との大小関係を判定する(S19)。第3判定部11fにおいて、第3積雪深には、第1積雪深よりも大きく第2積雪深よりも小さい値が設定され、例えば“5cm”である。
【0055】
第3判定部11fにおいて、予測積雪深(D)が第3積雪深(D3)よりも小さいと判定された場合(S19:D<D3)、積雪係数算出部11gは、例えば積雪係数を“1”に設定する(S18)。これにより、積雪が太陽光発電設備200の発電に影響を与えないように、積雪係数を設定することができる。
【0056】
第3判定部11fにおいて、予測積雪深(D)が第3積雪深(D3)以上であると判定された場合(S19:D≧D3)、積雪係数算出部11gは、例えば積雪係数を“0.5”に設定する(S20)。ただし、本判定において設定される積雪係数は、任意に設定される値である。さらに、S17で説明したような積雪係数算出関数を用いて積雪係数を算出してもよい。
【0057】
次に、積雪係数が決定した後に、積雪係数が記憶部12に格納される(S21)。次に、日射量情報取得部11hは、気象観測装置110から予測地域Kにおける予測時点の日射量情報を取得するとともに、日射量情報を記憶部12に格納する(S22)。次に、発電出力算出部11iは、式(1)を用いて予測時点の発電出力を算出する(S23)。S1〜S23の処理を、予測地域分繰り返す(S24)。
【0058】
===まとめ===
以上説明したように、本実施形態に係る発電出力予測装置10は、積雪深を観測する積雪観測装置100から予測地域における予測時点の予測積雪深を示す積雪深情報を取得する積雪情報取得部11bと、気象観測装置110から気象状況を示す気象情報を取得するとともに、気象情報に基づいて、降雪が終了してから予測時点までの経過日数を特定する経過日数特定部11cと、積雪が太陽光発電設備200の発電に影響を及ぼさない積雪深を示す第1積雪深と、第1積雪深よりも値が大きく、積雪により太陽光発電設備200が発電できない積雪深を示す第2積雪深と、に対する、所定の地点における積雪深の大小関係を判定する第1判定部11dと、第1判定部11dにおいて所定の地点における積雪深が第1積雪深と第2積雪深との間の値であると判定された場合、経過日数に基づいて、太陽光発電設備200の発電に対して積雪が及ぼす影響度合を示す積雪係数を算出する積雪係数算出部11gと、気象観測装置110から予測時点の日射量を示す日射量情報を取得する日射量情報取得部11hと、積雪係数と、日射量情報と、に基づいて太陽光発電設備200の発電出力を算出する発電出力算出部11iと、を備える。本実施形態によれば、降雪が終了した日から予測時点までの経過日数を考慮して、パネル上の積雪が太陽光発電設備200の発電出力に影響する度合いを予測することができるため、積雪時における発電出力を正確に予測できる。
【0059】
又、本実施形態に係る発電出力予測装置10において、経過日数特定部11cは、気象情報に基づいて、予測時点において降雪状態か否かを判定するとともに、降雪状態ではないと判定した場合、降雪が終了してから予測時点までの経過日数を特定し、積雪係数算出部11gは、第1判定部11dにおいて所定の地点における積雪深が第1積雪深と第2積雪深との間の値であると判定された場合、降雪状態であるという判定結果または経過日数に基づいて、太陽光発電設備200の発電に対して積雪が及ぼす影響度合を示す積雪係数を算出する。本実施形態によれば、降雪が継続している状態においても、積雪が太陽光発電設備200の発電出力に影響する度合いを予測することができるため、積雪時における発電出力を正確に予測できる。
【0060】
又、本実施形態に係る発電出力予測装置10において、第1判定部11dにおいて予測地域における予測積雪深が第1積雪深と第2積雪深との間の値であると判定された場合、降雪が終了してから予測時点までの経過日数が所定の経過日数か否かを判定する第2判定部11eをさらに備え、積雪係数算出部11gは、第2判定部11eにおいて予測時点の経過日数が第1経過日数であると判定された場合、予測地域における予測積雪深が大きくなるにしたがって積雪係数が小さくなる積雪係数算出関数に基づいて、積雪係数を算出する。本実施形態によれば、積雪の影響により発電出力が変動しやすい状況において予測積雪深に応じて積雪係数を変動させることにより、より正確に発電出力を予測することができる。
【0061】
又、本実施形態に係る発電出力予測装置10において、第2判定部11eにおいて予測時点の経過日数が第1経過日数よりも多い第2経過日数であると判定された場合、予測時点の積雪深が、第1積雪深と第2積雪深との間の値を示す第3積雪深以上か否かを判定する第3判定部11fをさらに備え、積雪係数算出部11gは、第3判定部11fの判定結果に基づいて、積雪係数を算出する。本実施形態によれば、第1判定部11dの判定結果を用いることのみで発電出力を予測する手法と比較して、より正確に発電出力を予測することができる。
【0062】
又、本実施形態に係る発電出力予測装置10において、積雪係数算出部11gは、第2判定部11eにおいて予測時点の経過日数が第2経過日数よりも多い第3経過日数であると判定された場合、積雪係数を、積雪が太陽光発電設備200の発電出力に影響を及ぼさない値に設定する。本実施形態によれば、第1判定部11dの判定結果を用いることのみで発電出力を予測する手法と比較して、より正確に発電出力を予測することができる。
【0063】
又、本実施形態に係る発電出力予測装置10において、積雪係数算出部11gは、第1判定部11dにおいて予測時点の予測積雪深が第1積雪深よりも値が小さいと判定された場合、積雪係数を、積雪が太陽光発電設備200の発電出力に影響を及ぼさない値に設定する。本実施形態によれば、経験的に明らかな、積雪が太陽光発電設備200の発電出力に影響を及ぼさない条件を定めることができるため、計算の簡略化を図ることができる。
【0064】
又、本実施形態に係る発電出力予測装置10において、積雪係数算出部11gは、第1判定部11dにおいて予測時点の積雪深が第2積雪深よりも値が大きいと判定された場合、積雪係数を、積雪により太陽光発電設備200が発電できない値に設定する。本実施形態によれば、経験的に明らかな、積雪により太陽光発電設備200が発電できない条件を定めることができるため、計算の簡略化を図ることができる。
【0065】
又、本実施形態に係る発電出力予測装置10において、太陽光発電設備200に対応する予測地域の積雪を観測する積雪観測装置100を特定する観測地点特定部11aをさらに備える。本実施形態によれば、予測対象の太陽光発電設備200と積雪観測装置100とを自動的に対応付けることができるため、作業効率の向上が図れる。
【0066】
尚、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。