特許第6852633号(P6852633)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6852633
(24)【登録日】2021年3月15日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】燃料タンク用逆止弁
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/04 20060101AFI20210322BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   B60K15/04 C
   F02M37/00 301M
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-184344(P2017-184344)
(22)【出願日】2017年9月26日
(65)【公開番号】特開2019-59300(P2019-59300A)
(43)【公開日】2019年4月18日
【審査請求日】2019年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯野 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 宏明
【審査官】 結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−153693(JP,A)
【文献】 特開2005−98229(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102013100873(DE,A1)
【文献】 特開2005−82012(JP,A)
【文献】 特開2004−17678(JP,A)
【文献】 特開2005−221043(JP,A)
【文献】 特開2008−68812(JP,A)
【文献】 米国特許第4148338(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/04,
F16K 1/32,15/06,
F02M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンク用逆止弁であって、
燃料タンクに形成されたタンク開口を囲んで前記燃料タンクと固定されるとともに、燃料供給管と接続される筒状の継手部と、
自身の少なくとも一部が前記燃料タンクの内部に配置され、自身の一端に前記継手部が接続され、自身の他端に燃料を流出させる流出口が形成された筒状の通路形成部と、
前記流出口を開閉する弁部であって、
前記流出口を封止可能なシール部と、前記シール部と連なり前記通路形成部の軸線に沿った軸部とを有し、前記軸線に沿って移動可能に構成された弁体と、
前記軸部の端部であって前記流出口側とは反対側の端部に配置されたばね受け部と、
前記継手部と前記通路形成部とのうちの少なくとも一方と連なり、前記ばね受け部よりも前記流出口側に配置され、前記軸部の少なくとも一部を囲んで保持する保持部と、
自身の軸方向の両端部が、前記保持部と前記ばね受け部とにそれぞれ固定された圧縮コイルばねと、
を有する弁部と、
を備え、
前記継手部の内径は、前記通路形成部の前記流出口側の端部の内径よりも小さく、
前記継手部の内側と前記通路形成部の内側とは、互いに連通して燃料流路を形成し、
前記燃料流路のうち、前記通路形成部の前記継手部側の端部に対応する部分には、前記燃料供給管側から前記流出口側に向かって内径が次第に拡大する拡径部が形成されており、
前記継手部の前記通路形成部側の端部の内径は、前記燃料供給管側から前記流出口側に向かって次第に拡大し、
前記継手部の前記通路形成部側の端部は、前記通路形成部の内側に挿入され、前記拡径部を形成する、
燃料タンク用逆止弁。
【請求項2】
燃料タンク用逆止弁であって、
燃料タンクに形成されたタンク開口を囲んで前記燃料タンクと固定されるとともに、燃料供給管と接続される筒状の継手部と、
自身の少なくとも一部が前記燃料タンクの内部に配置され、自身の一端に前記継手部が接続され、自身の他端に燃料を流出させる流出口が形成された筒状の通路形成部と、
前記流出口を開閉する弁部であって、
前記流出口を封止可能なシール部と、前記シール部と連なり前記通路形成部の軸線に沿った軸部とを有し、前記軸線に沿って移動可能に構成された弁体と、
前記軸部の端部であって前記流出口側とは反対側の端部に配置されたばね受け部と、
前記継手部と前記通路形成部とのうちの少なくとも一方と連なり、前記ばね受け部よりも前記流出口側に配置され、前記軸部の少なくとも一部を囲んで保持する保持部と、
自身の軸方向の両端部が、前記保持部と前記ばね受け部とにそれぞれ固定された圧縮コイルばねと、
を有する弁部と、
を備え、
前記継手部の内径は、前記通路形成部の前記流出口側の端部の内径よりも小さく、
前記継手部の内側と前記通路形成部の内側とは、互いに連通して燃料流路を形成し、
前記燃料流路のうち、前記通路形成部の前記継手部側の端部に対応する部分には、前記燃料供給管側から前記流出口側に向かって内径が次第に拡大する拡径部が形成されており、
前記通路形成部の前記継手部側の端部の内径は、前記燃料供給管側から前記流出口側に向かって次第に拡大し、
前記通路形成部の前記継手部側の端部は、前記拡径部を形成する、
燃料タンク用逆止弁。
【請求項3】
請求項に記載の燃料タンク用逆止弁であって、
前記保持部は、前記通路形成部の前記継手部側の端部において、前記通路形成部と一体に形成されている、
燃料タンク用逆止弁。
【請求項4】
請求項に記載の燃料タンク用逆止弁であって、
前記通路形成部は、前記拡径部を含む第1部材と、前記第1部材よりも前記流出口側に位置する第2部材と、を有し、
前記保持部は、前記第2部材と一体に形成されている、
燃料タンク用逆止弁。
【請求項5】
請求項に記載の燃料タンク用逆止弁であって、
前記保持部は、前記継手部と一体に形成されている、
燃料タンク用逆止弁。
【請求項6】
請求項に記載の燃料タンク用逆止弁であって、
前記保持部は、前記継手部および前記通路形成部と別体に形成されている、
燃料タンク用逆止弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンク用逆止弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、燃料供給装置の燃料タンクに、逆止弁が配置されることがある。逆止弁は、給油時に開弁することにより給油管から供給される燃料を燃料タンクへと導き、非給油時に閉弁することにより燃料タンクから給油管への燃料の逆流を抑制する。特許文献1に記載の逆止弁は、給油管が接続されるとともに燃料タンクに溶着される接続本体と、燃料タンクの内部に位置する通路形成部材本体とを備え、給油される燃料の圧力によって弁体が押されて開弁する。かかる弁体は、通路形成部材本体と連なる保持部に保持されて、軸方向に移動可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−153693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の逆止弁では、給油性を向上させるために、接続本体の内径に対して通路形成部材本体の内径が大きく構成されている。このため、接続本体と通路形成部材本体との内径差に起因する大きな段差によって燃料の乱流が発生し、かかる乱流により給油時に圧力損失が生じるという問題があった。それゆえ、燃料タンク用逆止弁において、給油時の圧力損失を抑制できる技術が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
[形態1]燃料タンク用逆止弁であって、燃料タンクに形成されたタンク開口を囲んで前記燃料タンクと固定されるとともに、燃料供給管と接続される筒状の継手部と、自身の少なくとも一部が前記燃料タンクの内部に配置され、自身の一端に前記継手部が接続され、自身の他端に燃料を流出させる流出口が形成された筒状の通路形成部と、前記流出口を開閉する弁部であって、前記流出口を封止可能なシール部と、前記シール部と連なり前記通路形成部の軸線に沿った軸部とを有し、前記軸線に沿って移動可能に構成された弁体と、前記軸部の端部であって前記流出口側とは反対側の端部に配置されたばね受け部と、前記継手部と前記通路形成部とのうちの少なくとも一方と連なり、前記ばね受け部よりも前記流出口側に配置され、前記軸部の少なくとも一部を囲んで保持する保持部と、自身の軸方向の両端部が、前記保持部と前記ばね受け部とにそれぞれ固定された圧縮コイルばねと、を有する弁部と、備え、前記継手部の内径は、前記通路形成部の前記流出口側の端部の内径よりも小さく、前記継手部の内側と前記通路形成部の内側とは、互いに連通して燃料流路を形成し、前記燃料流路のうち、前記通路形成部の前記継手部側の端部に対応する部分には、前記燃料供給管側から前記流出口側に向かって内径が次第に拡大する拡径部が形成されており、前記継手部の前記通路形成部側の端部の内径は、前記燃料供給管側から前記流出口側に向かって次第に拡大し、前記継手部の前記通路形成部側の端部は、前記通路形成部の内側に挿入され、前記拡径部を形成する、燃料タンク用逆止弁。
[形態2]燃料タンク用逆止弁であって、燃料タンクに形成されたタンク開口を囲んで前記燃料タンクと固定されるとともに、燃料供給管と接続される筒状の継手部と、自身の少なくとも一部が前記燃料タンクの内部に配置され、自身の一端に前記継手部が接続され、自身の他端に燃料を流出させる流出口が形成された筒状の通路形成部と、前記流出口を開閉する弁部であって、前記流出口を封止可能なシール部と、前記シール部と連なり前記通路形成部の軸線に沿った軸部とを有し、前記軸線に沿って移動可能に構成された弁体と、前記軸部の端部であって前記流出口側とは反対側の端部に配置されたばね受け部と、前記継手部と前記通路形成部とのうちの少なくとも一方と連なり、前記ばね受け部よりも前記流出口側に配置され、前記軸部の少なくとも一部を囲んで保持する保持部と、自身の軸方向の両端部が、前記保持部と前記ばね受け部とにそれぞれ固定された圧縮コイルばねと、を有する弁部と、備え、前記継手部の内径は、前記通路形成部の前記流出口側の端部の内径よりも小さく、前記継手部の内側と前記通路形成部の内側とは、互いに連通して燃料流路を形成し、前記燃料流路のうち、前記通路形成部の前記継手部側の端部に対応する部分には、前記燃料供給管側から前記流出口側に向かって内径が次第に拡大する拡径部が形成されており、前記通路形成部の前記継手部側の端部の内径は、前記燃料供給管側から前記流出口側に向かって次第に拡大し、前記通路形成部の前記継手部側の端部は、前記拡径部を形成する、燃料タンク用逆止弁。
【0006】
(1)本発明の一形態によれば、燃料タンク用逆止弁が提供される。この燃料タンク用逆止弁は、燃料タンクに形成されたタンク開口を囲んで前記燃料タンクと固定されるとともに、燃料供給管と接続される筒状の継手部と;自身の少なくとも一部が前記燃料タンクの内部に配置され、自身の一端に前記継手部が接続され、自身の他端に燃料を流出させる流出口が形成された筒状の通路形成部と;前記流出口を開閉する弁部であって;前記流出口を封止可能なシール部と、前記シール部と連なり前記通路形成部の軸線に沿った軸部とを有し、前記軸線に沿って移動可能に構成された弁体と;前記軸部の端部であって前記流出口側とは反対側の端部に配置されたばね受け部と;前記継手部と前記通路形成部とのうちの少なくとも一方と連なり、前記ばね受け部よりも前記流出口側に配置され、前記軸部の少なくとも一部を囲んで保持する保持部と;自身の軸方向の両端部が、前記保持部と前記ばね受け部とにそれぞれ固定された圧縮コイルばねと;を有する弁部と;を備え、前記継手部の内径は、前記通路形成部の前記流出口側の端部の内径よりも小さく;前記継手部の内側と前記通路形成部の内側とは、互いに連通して燃料流路を形成し;前記燃料流路のうち、前記通路形成部の前記継手部側の端部に対応する部分には、前記燃料供給管側から前記流出口側に向かって内径が次第に拡大する拡径部が形成されている。この形態の燃料タンク用逆止弁によれば、燃料流路のうち、通路形成部の継手部側の端部に対応する部分には、燃料供給管側から流出口側に向かって内径が次第に拡大する拡径部が形成されているので、継手部と通路形成部との内径差に起因して継手部と通路形成部との接続箇所に大きな段差が生じることを抑制できる。このため、かかる段差において燃料の乱流が発生することを抑制でき、給油時の圧力損失を抑制できる。
【0007】
(2)上記形態の燃料タンク用逆止弁において、前記継手部および前記通路形成部と別体に形成され、前記通路形成部の内側面に沿って配置された筒状の拡径部材をさらに備え;前記拡径部材の内径は、前記燃料供給管側から前記流出口側に向かって次第に拡大し;前記拡径部材は、前記拡径部を形成してもよい。この形態の燃料タンク用逆止弁によれば、継手部および通路形成部と別体に形成された筒状の拡径部材が拡径部を形成するので、簡易な方法により拡径部を実現できる。また、拡径部と保持部とが通路形成部と一体に形成される構成と比較して、射出成形の際に拡径部または保持部がアンダーカットとなって通路形成部が離型できなくなることを抑制できる。
【0008】
(3)上記形態の燃料タンク用逆止弁において、前記継手部の前記通路形成部側の端部の内径は、前記燃料供給管側から前記流出口側に向かって次第に拡大し;前記継手部の前記通路形成部側の端部は、前記通路形成部の内側に挿入され、前記拡径部を形成してもよい。この形態の燃料タンク用逆止弁によれば、継手部の通路形成部側の端部が拡径部を形成するので、部品点数の増加を抑制できる。また、拡径部と保持部とが通路形成部と一体に形成される構成と比較して、射出成形の際に拡径部または保持部がアンダーカットとなって通路形成部が離型できなくなることを抑制できる。
【0009】
(4)上記形態の燃料タンク用逆止弁において、前記通路形成部の前記継手部側の端部の内径は、前記燃料供給管側から前記流出口側に向かって次第に拡大し;前記通路形成部の前記継手部側の端部は、前記拡径部を形成してもよい。この形態の燃料タンク用逆止弁によれば、通路形成部の継手部側の端部が拡径部を形成するので、部品点数の増加を抑制できる。
【0010】
(5)上記形態の燃料タンク用逆止弁において、前記保持部は、前記通路形成部の前記継手部側の端部において、前記通路形成部と一体に形成されていてもよい。この形態の燃料タンク用逆止弁によれば、保持部が通路形成部の継手部側の端部において通路形成部と一体に形成されているので、射出成形の際に拡径部または保持部がアンダーカットとなって通路形成部が離型できなくなることを抑制できる。
【0011】
(6)上記形態の燃料タンク用逆止弁において、前記通路形成部は、前記拡径部を含む第1部材と、前記第1部材よりも前記流出口側に位置する第2部材と、を有し;前記保持部は、前記第2部材と一体に形成されていてもよい。この形態の燃料タンク用逆止弁によれば、通路形成部が、拡径部を含む第1部材と保持部が一体に形成された第2部材とを有するので、射出成形の際に拡径部または保持部がアンダーカットとなって通路形成部が離型できなくなることを抑制できる。
【0012】
(7)上記形態の燃料タンク用逆止弁において、前記保持部は、前記継手部と一体に形成されていてもよい。この形態の燃料タンク用逆止弁によれば、保持部が継手部と一体に形成されているので、部品点数の増加を抑制できる。また、拡径部と保持部とが通路形成部と一体に形成される構成と比較して、射出成形の際に拡径部または保持部がアンダーカットとなって通路形成部が離型できなくなることを抑制できる。
【0013】
(8)上記形態の燃料タンク用逆止弁において、前記保持部は、前記継手部および前記通路形成部と別体に形成されていてもよい。この形態の燃料タンク用逆止弁によれば、保持部が継手部および通路形成部と別体に形成されているので、拡径部と保持部とが通路形成部と一体に形成される構成と比較して、射出成形の際に拡径部または保持部がアンダーカットとなって通路形成部が離型できなくなることを抑制できる。
【0014】
本発明は、燃料タンク用逆止弁以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、燃料タンク用逆止弁の製造方法、燃料タンク用逆止弁を備える燃料供給装置、燃料タンク用逆止弁を備える車両等の形態で実現することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、燃料流路のうち、通路形成部の継手部側の端部に対応する部分には、燃料供給管側から流出口側に向かって内径が次第に拡大する拡径部が形成されているので、継手部と通路形成部との内径差に起因して継手部と通路形成部との接続箇所に大きな段差が生じることを抑制できる。このため、かかる段差において燃料の乱流が発生することを抑制でき、給油時の圧力損失を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態としての逆止弁を適用した燃料供給装置の概略図である。
図2】逆止弁の概略構成を示す断面図である。
図3】拡径部材の概略構成を示す斜視図である。
図4】第2実施形態の逆止弁の概略構成を示す断面図である。
図5】第3実施形態の逆止弁の概略構成を示す断面図である。
図6】第4実施形態の逆止弁の概略構成を示す断面図である。
図7】第5実施形態の逆止弁の概略構成を示す断面図である。
図8】第6実施形態の逆止弁の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
A.第1実施形態:
A−1.燃料供給装置の全体構成:
図1は、本発明の一実施形態としての逆止弁10を適用した燃料供給装置FSの概略構成を示す概略図である。燃料供給装置FSは、車両に搭載され、図示しない給油ガンからフィラーネックFNへと供給される燃料を燃料タンクFTへと送る。以降の説明では、燃料供給装置FSのフィラーネックFN側を上流側とも呼び、燃料タンクFT側を下流側とも呼ぶ。図1では、燃料供給装置FSのうち、上流側の一部を外観図で示し、下流側の一部を断面図で示している。
【0018】
燃料供給装置FSは、燃料を貯留する燃料タンクFTと接続されている。燃料タンクFTは、耐燃料透過性に優れたエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)で形成されたバリア層と、ポリエチレンで形成された外層とを含む複数の樹脂層により形成されている。燃料タンクFTには、円形のタンク開口FTaが形成されている。
【0019】
燃料供給装置FSは、フィラーネックFNと、インレットパイプIPと、インレットホースHと、逆止弁10とを備える。
【0020】
フィラーネックFNは、燃料キャップFCにより開閉される注入口を有する。フィラーネックFNは、図示しないブリーザパイプにより燃料タンクFTと接続されている。インレットパイプIPは、フィラーネックFNの一端に接続され、燃料を流通させる。インレットホースHは、インレットパイプIPと逆止弁10とを接続する。インレットホースHの上流側の端部は、インレットパイプIPの下流側の端部に接続されている。インレットホースHの下流側の端部には、逆止弁10の上流側の端部が圧入され、かかる圧入部分がクランプCPにより締結されている。本実施形態において、インレットホースHは、ゴム材料により形成されている。
【0021】
A−2.逆止弁の構成:
図2は、逆止弁10の概略構成を示す断面図である。逆止弁10は、給油時に開弁して供給される燃料を燃料タンクFTへと導き、非給油時に閉弁して燃料タンクFTから燃料が逆流することを抑制する。なお、図2では、閉弁状態の逆止弁10を示し、逆止弁10の軸線CXを一点鎖線で示している。
【0022】
逆止弁10は、継手部20と、通路形成部40と、弁部100と、拡径部材90とを備える。
【0023】
図1に示すように、継手部20は、燃料タンクFTの外側に配置されてインレットホースHと燃料タンクFTとを接続する。図2に示すように、継手部20は、下流側の端部がフランジ状に形成された略円筒状の外観形状を有する。継手部20は、第1樹脂層21と第2樹脂層31とを有する。第1樹脂層21と第2樹脂層31とは、2色成形の射出成形により一体に形成されている。
【0024】
第1樹脂層21は、第2樹脂層31よりも径方向内側に位置し、内筒部22と、フランジ部24と、抜止部25と、継手接続部26とを有する。内筒部22は、円筒状の外観形状を有し、インレットホースHに圧入される。内筒部22の内側は、燃料流路Pを形成する。内筒部22の外側面には、径方向外側に突出する突出部23が形成されている。突出部23は、インレットホースHが圧入された際の位置決めとして機能する。フランジ部24は、内筒部22の下流側の端部から径方向外側に向かって形成されている。抜止部25は、インレットホースHが抜けて外れることを抑制する。継手接続部26は、フランジ部24において下流側に突出して形成され、通路形成部40の通路接続部46と溶着されている。本実施形態において、第1樹脂層21は、ポリアミドにより形成されている。なお、ポリアミドに代えて、ポリアセタール等の耐燃料透過性に優れる他の任意の樹脂材料により形成されてもよい。
【0025】
第2樹脂層31は、第1樹脂層21よりも径方向外側に位置し、外筒部32と、円環部34と、タンク溶着部36とを有する。外筒部32は、内筒部22よりも短い円筒状の外観形状を有し、内筒部22の下流側の端部の外側面に接して配置されている。円環部34は、外筒部32の下流側の端部から径方向外側に向かって形成されている。タンク溶着部36は、円環部34の径方向外側の端部から下流側に向かって形成されている。タンク溶着部36は、燃料タンクFTのタンク開口FTaを囲んで燃料タンクFTと溶着されて固定されている。本実施形態において、第2樹脂層31は、変性ポリエチレンにより形成されている。変性ポリエチレンは、ポリエチレンに極性官能基、例えばマレイン酸変性された官能基を付加した樹脂材料であり、ポリアミドと射出成形時の熱により反応接着する。
【0026】
継手部20(内筒部22)の内径D1は、内筒部22をインレットホースHに圧入できる程度の大きさに形成されている。すなわち、継手部20の内径D1は、インレットホースHの内径に依存して形成されている。継手部20の内径D1は、後述する通路形成部40の流出口42側の端部の内径D2よりも小さい。
【0027】
通路形成部40は、略円筒状の外観形状を有し、継手部20の下流側の端部に接続されている。通路形成部40の下流側の端部は、供給される燃料を燃料タンクFTに流出させる流出口42として形成されている。通路形成部40は、円筒部44と、通路接続部46と、弁座48とを有する。
【0028】
円筒部44は、円筒状の外観形状を有する。円筒部44の内側は、燃料流路Pを形成する。通路接続部46は、円筒部44の上流側の端部において、円筒部44の外側面から径方向外側に突出して配置されている。通路接続部46は、燃料タンクFTの外側に位置し、継手接続部26と溶着されている。通路形成部40のうち、通路接続部46側の端部を除く他の部分は、燃料タンクFTの内部に配置されている。弁座48は、流出口42を囲んで下流側に突出して形成されている。弁座48には、弁体60が着座する。
【0029】
通路形成部40(円筒部44)の流出口42側の端部の内径D2は、燃料流路Pおよび流出口42を通る燃料の流量を確保するために、継手部20の内径D1よりも大きく形成されている。また、本実施形態において、通路形成部40は、第1樹脂層21と同様にポリアミドにより形成されている。なお、ポリアミドに代えて、ポリアセタール等、第1樹脂層21と同じ任意の樹脂材料により形成されてもよい。また、通路形成部40は、射出成形により成形されている。このため、円筒部44と通路接続部46と弁座48と後述する保持部50とは、一体に形成されている。
【0030】
弁部100は、流出口42を開閉する。弁部100は、弁体60と、保持部50と、ばね受け部70と、圧縮コイルばね80とを備える。
【0031】
弁体60は、ラッパ状の外観形状を有し、軸線CXに沿って移動可能に構成されている。弁体60は、シール部62と、軸部64とを有する。シール部62は、略円錐状の外観形状を有し、下流側の端部が弁座48と対向するように配置され、流出口42を封止可能に構成されている。シール部62のうち弁座48と対向する箇所には、図示しないゴムが配置されている。このため、シール部62と弁座48とは、密着する。軸部64は、軸線CXに沿った棒状の外観形状を有し、シール部62の上流側に連なって形成されている。軸部64は、保持部50の筒部54の内部に挿入されて保持されている。本実施形態において、弁体60は、ポリアセタールにより形成されているが、ポリアミド等の耐燃料透過性に優れる他の任意の樹脂材料により形成されてもよい。
【0032】
保持部50は、通路形成部40の円筒部44と連なって一体に形成され、弁体60の軸部64の一部を囲んで保持する。なお、保持部50は、軸部64の一部を保持するように、円筒部44の内側面から軸部64に向かって突出している。保持部50は、3つの板状部52と、筒部54とを有する。3つの板状部52は、円筒部44の内側面に連なり、周方向に互いに120度の角度を設けて等間隔に並んで配置されている。図2では、3つの板状部52のうちの1つの板状部52を通る断面を示している。なお、板状部52の数は、3つに限らず、2つや4つ等の他の任意の数であってもよい。筒部54は、円筒状の外観形状を有し、各板状部52の径方向内側の端部と連なって形成されている。筒部54の内部には、弁体60の軸部64が挿入されている。
【0033】
ばね受け部70は、略円環状の外観形状を有し、弁体60の軸部64の上流側(流出口42側とは反対側)の端部に溶着されている。このため、ばね受け部70は、保持部50よりも上流側に配置されている。ばね受け部70の下流側の端面には、圧縮コイルばね80の一端が固定されている。本実施形態において、ばね受け部70は、ポリアミドにより形成されている。なお、ポリアミドに代えて、ポリアセタール等の耐燃料透過性に優れる他の任意の樹脂材料により形成されてもよい。
【0034】
圧縮コイルばね80は、略円筒状の外観形状を有し、軸線CXに沿って伸縮する。圧縮コイルばね80の軸方向の両端部は、保持部50の筒部54の上流側の端面とばね受け部70の下流側の端面とにそれぞれ固定されている。圧縮コイルばね80は、所定の長さに縮められた状態で組み付けられている。
【0035】
図3は、拡径部材90の概略構成を示す斜視図である。拡径部材90は、略円筒状の外観形状を有する。拡径部材90の内側は、燃料流路Pを形成する。図2に示すように、拡径部材90は、通路形成部40の円筒部44における継手部20側の内側面に沿って配置されている。このため、継手部20の内側と拡径部材90の内側と通路形成部40の内側とは、互いに連通して燃料流路Pを形成している。燃料流路Pのうち、通路形成部40の継手部20側の端部に対応する部分には、上流側(インレットホースHおよびインレットパイプIP側)から下流側(流出口42側)に向かって内径が次第に拡大する拡径部92が形成されている。本実施形態において、拡径部材90は、拡径部92を形成している。
【0036】
拡径部材90(拡径部92)の内径は、上流側から下流側に向かって次第に拡大し、上流側の端部において継手部20(内筒部22)の内径D1と等しく、下流側の端部において通路形成部40(円筒部44)の流出口42側の端部の内径D2とほぼ等しい。本実施形態において、拡径部材90の内側面(拡径部92)は、軸方向において一定の勾配を有するように軸線CXに対して傾斜して形成され、下流側に向かって内径が単調に拡大している。このため、拡径部材90は、上流側に向かうにつれて厚肉に形成され、下流側に向かうにつれて薄肉に形成されている。拡径部材90の下流側の端部は、薄肉に形成されることにより円筒部44の内側面と滑らかに接続している。本実施形態において、拡径部材90の上流側の端部には、径方向外側に突起した爪部94が形成されている。爪部94は、第1樹脂層21と円筒部44との間に配置され、拡径部材90の軸方向の位置がずれることを抑制する。
【0037】
本実施形態において、拡径部材90は、ポリアミドにより形成されている。なお、ポリアミドに代えて、ポリアセタール等の耐燃料透過性に優れる他の任意の樹脂材料により形成されてもよい。
【0038】
本実施形態において、逆止弁10は、課題を解決するための手段における燃料タンク用逆止弁の下位概念に相当し、インレットホースHおよびインレットパイプIPは、課題を解決するための手段における燃料供給管の下位概念に相当する。
【0039】
A−3.逆止弁の製造方法および燃料タンクへの組み付け方法:
逆止弁10の製造および燃料タンクFTへの組み付けは、例えば、以下のように行なわれてもよい。まず、圧縮コイルばね80を除く逆止弁10の各部材を、射出成形により成形する工程を経て用意する。次に、弁体60の軸部64を保持部50の筒部54の内部に挿入し、圧縮コイルばね80を介装してばね受け部70を軸部64に溶着する。次に、通路形成部40の円筒部44の内側面に沿って拡径部材90を配置し、通路形成部40の通路接続部46と継手部20の継手接続部26とを溶着し、逆止弁10が完成する。次に、継手部20のタンク溶着部36と、燃料タンクFTのタンク開口FTaの周縁部とを熱板等により溶融し、タンク溶着部36をタンク開口FTaの周縁部に押圧する。燃料タンクFTの外層は、ポリエチレンにより形成されているので、変性ポリエチレンにより形成されたタンク溶着部36と熱溶着する。以上により、逆止弁10が燃料タンクFTへと組み付けられる。
【0040】
A−4.逆止弁の動作:
図1に示す燃料供給装置FSでは、給油時に燃料キャップFCが外され、図示しない給油ガンから燃料がフィラーネックFNに注入されると、燃料は、インレットパイプIP、インレットホースHを流れ、逆止弁10を通って燃料タンクFT内に供給される。
【0041】
図2に示す継手部20の内側に流入した燃料は、燃料流路Pを流れる。拡径部材90の内側が燃料流路Pの一部を形成しているので、燃料は、拡径部材90の内側を通ることとなる。拡径部92の内径は、上流側の端部において継手部20の内径と等しく、下流側に向かって次第に拡大している。このため、継手部20と通路形成部40との内径差に起因して継手部20と通路形成部40との接続箇所に段差が生じることが抑制される。拡径部92によって燃料流路Pが上流側から下流側に向かって次第に拡大するので、燃料は、スムーズに流出口42側へと導かれる。
【0042】
流出口42側へと流れた燃料は、弁体60のシール部62を下流側へ向かって押す。これにより、圧縮コイルばね80が圧縮され、シール部62が弁座48から離れて逆止弁10が開弁する。逆止弁10の開弁により、燃料が燃料タンクFTに供給される。
【0043】
給油が完了すると、圧縮コイルばね80の付勢力によって弁体60が上流側へと戻されて、シール部62が弁座48に着座して流出口42が封止され、逆止弁10が閉弁する。逆止弁10の閉弁により、燃料の逆流が抑制される。すなわち、給油により燃料タンクFTの内圧が上昇して燃料タンクFTから逆止弁10側へと燃料が押し戻されることが抑制される。
【0044】
以上説明した第1実施形態の逆止弁10によれば、上流側から下流側に向かって内径が次第に拡大する拡径部92を形成する拡径部材90が、通路形成部40の上流側の端部の内側に配置されている。このため、継手部20と通路形成部40との内径差に起因して継手部20と通路形成部40との接続箇所に大きな段差が生じることを抑制でき、かかる段差において燃料の乱流が発生することを抑制できる。したがって、給油時の圧力損失を抑制でき、給油性の低下を抑制できる。
【0045】
また、拡径部92の上流側の端部の内径が継手部20の内径と等しいので、拡径部材90と継手部20との当接箇所において燃料流路Pに段差が生じることを抑制でき、給油時の圧力損失をより抑制できる。また、拡径部92が軸方向において一定の勾配を有するように形成されているので、下流側に向かって拡径部92の内径が単調に拡大し、拡径部92において燃料の乱流が発生することを抑制でき、給油時の圧力損失をより抑制できる。また、拡径部材90の下流側の端部が薄肉に形成されることにより、拡径部92の下流側の端部と円筒部44の内側面とを滑らかに接続できる。このため、拡径部92の下流側の端部と円筒部44との当接箇所において燃料流路Pに大きな段差が生じることを抑制でき、給油時の圧力損失をより抑制できる。
【0046】
また、拡径部92を備えることにより、通路形成部40の円筒部44の内径を継手部20の内径D1より大きく構成しても、継手部20と通路形成部40との接続箇所に大きな段差が生じることを抑制できるので、円筒部44の内径および流出口42を大きく構成でき、給油性の低下を抑制できる。
【0047】
また、拡径部92を形成する拡径部材90が継手部20および通路形成部40と別体に形成されているので、簡易な方法により拡径部92を実現できる。すなわち、拡径部92と保持部50とが通路形成部40と一体に形成される構成と比較して、射出成形の際に拡径部92または保持部50がアンダーカットとなって通路形成部40が離型できなくなることを抑制できる。このため、射出成形により通路形成部40を容易に形成でき、生産性の低下を抑制できる。また、拡径部92を形成する拡径部材90が継手部20および通路形成部40と別体に形成されているので、拡径部92のために専用の通路形成部40および継手部20を用いなくてもよく、逆止弁10の製造コストの上昇を抑制できる。
【0048】
また、拡径部材90の上流側の端部に、第1樹脂層21と円筒部44との間に配置される爪部94が形成されているので、爪部94が省略された構成と比較して、燃料の膨潤による各部材の寸法変化に起因して拡径部材90の軸方向の位置がずれることを抑制できる。
【0049】
また、保持部50が円筒部44と連なって形成されているので、保持部50が上流側に形成される構成と比較して、弁体60の軸部64の長さを短くできる。このため、軸部64の直線性が低下することを抑制でき、軸部64の軸線CXが逆止弁10の軸線CXとずれてシール部62と弁座48とのシール性が低下することを抑制できる。
【0050】
B.第2実施形態:
図4は、第2実施形態の逆止弁10aの概略構成を示す断面図である。第2実施形態の逆止弁10aは、通路形成部40に代えて通路形成部40aを備える点と、拡径部材90が省略されて通路形成部40aにより拡径部92aが形成されている点と、抜止部25が省略されて図示しないコネクタと突出部23とが締結している点とにおいて、第1実施形態の逆止弁10と異なる。その他の構成は第1実施形態の逆止弁10と同じであるので、同一の構成には同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
【0051】
第2実施形態の通路形成部40aは、第1実施形態の通路形成部40と比べて、継手部20側の端部の内径が上流側から下流側に向かって次第に拡大している。このため、通路形成部40aの継手部20側の端部により、燃料流路Pの拡径部92aが形成されている。また、第2実施形態の通路形成部40aは、第1実施形態の通路形成部40と比べて、保持部50aが別体に形成されて円筒部44aの内側面と溶着されている。かかる溶着は、例えば、レーザー溶着により行なわれてもよい。第2実施形態の突出部23は、いわゆるクイックコネクタ用のバルジ部として機能する。このため、逆止弁10aは、コネクタを介してインレットホースHと接続される。
【0052】
第2実施形態の逆止弁10aは、第1実施形態の逆止弁10と同様な効果を有する。加えて、保持部50aが通路形成部40aと別体に形成されているので、拡径部92aと保持部50aとが通路形成部40aと一体に形成される構成と比較して、射出成形の際に拡径部92aまたは保持部50aがアンダーカットとなって通路形成部40aが離型できなくなることを抑制できる。
【0053】
C.第3実施形態:
図5は、第3実施形態の逆止弁10bの概略構成を示す断面図である。第3実施形態の逆止弁10bは、通路形成部40aに代えて通路形成部40bを備える点において、第2実施形態の逆止弁10aと異なる。その他の構成は第2実施形態の逆止弁10aと同じであるので、同一の構成には同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
【0054】
第3実施形態の通路形成部40bは、上流側の第1部材41bと、第1部材41bよりも下流側(流出口42側)に位置する第2部材43bとを有する。かかる2つの部材41b、43bは、それぞれ射出成形により別体に形成されて互いに溶着されている。第1部材41bには、拡径部92aが形成されている。第2部材43bには、保持部50bが一体に形成されている。
【0055】
第3実施形態の逆止弁10bは、第2実施形態の逆止弁10aと同様な効果を有する。加えて、通路形成部40bが第1部材41bと第2部材43bとに分割されて形成されているので、第1部材41bと第2部材43bとが一体に形成される構成と比較して、射出成形の際に拡径部92aまたは保持部50bがアンダーカットとなって通路形成部40bが離型できなくなることを抑制できる。
【0056】
D.第4実施形態:
図6は、第4実施形態の逆止弁10cの概略構成を示す断面図である。第4実施形態の逆止弁10cは、継手部20に代えて継手部20cを備える点と、拡径部材90が省略されて継手部20cに拡径部92cが形成されている点と、インレットホースHがファーツリー部27cと締結している点とにおいて、第1実施形態の逆止弁10と異なる。その他の構成は第1実施形態の逆止弁10と同じであるので、同一の構成には同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
【0057】
第4実施形態の継手部20cは、第1実施形態の継手部20と比べて、通路形成部40側の端部が通路形成部40の内側に挿入されている。また、継手部20cの通路形成部40側の端部の内径は、上流側から下流側に向かって次第に拡大している。したがって、継手部20cの通路形成部40側の端部により、燃料流路Pの拡径部92cが形成されている。なお、継手部20cの通路形成部40側の端部は、第1樹脂層21cと一体に形成されている。また、継手部20cは、上流側の端部にファーツリー部27cを備える。ファーツリー部27cは、径方向外側に突出する複数の突起により構成され、インレットホースHが抜けて外れることを抑制する。
【0058】
第4実施形態の逆止弁10cは、第1実施形態の逆止弁10と同様な効果を有する。加えて、継手部20cにより拡径部92cが形成されているので、拡径部92cと保持部50とが通路形成部40と一体に形成される構成と比較して、射出成形の際に拡径部92cまたは保持部50がアンダーカットとなって通路形成部40が離型できなくなることを抑制できる。また、拡径部92cが継手部20cにおいてアンダーカットとならないので、継手部20cを射出成形により容易に形成できる。また、継手部20cにより拡径部92cが形成されているので、部品点数の増加を抑制でき、製造工程の増加を抑制でき、逆止弁10cの製造コストの上昇を抑制できる。また、専用の通路形成部40を用いなくてもよく、逆止弁10cの製造コストの上昇を抑制できる。
【0059】
E.第5実施形態:
図7は、第5実施形態の逆止弁10dの概略構成を示す断面図である。第5実施形態の逆止弁10dは、通路形成部40aに代えて通路形成部40dを備える点と、弁体60に代えて弁体60dを備える点とにおいて、第2実施形態の逆止弁10aと異なる。その他の構成は第2実施形態の逆止弁10aと同じであるので、同一の構成には同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
【0060】
第5実施形態の通路形成部40dは、第2実施形態の通路形成部40aと比べて、保持部50dが通路形成部40dの上流側の端部おいて一体に形成されている。第5実施形態の弁体60dは、第2実施形態の弁体60と比べて、軸部64dの長さが長い。
【0061】
第5実施形態の逆止弁10dは、第2実施形態の逆止弁10aと同様な効果を有する。加えて、保持部50dが通路形成部40dの上流側の端部に形成されているので、射出成形の際に拡径部92aまたは保持部50dがアンダーカットとなって通路形成部40dが離型できなくなることを抑制できる。このため、拡径部92aと保持部50dとを含む通路形成部40dを射出成形により容易に形成できる。また、保持部50dが一体に形成された通路形成部40dにより拡径部92aが形成されているので、部品点数の増加を抑制でき、製造工程の増加を抑制でき、逆止弁10dの製造コストの上昇を抑制できる。また、専用の継手部20を用いなくてもよく、逆止弁10dの製造コストの上昇を抑制できる。
【0062】
F.第6実施形態:
図8は、第6実施形態の逆止弁10eの概略構成を示す断面図である。第6実施形態の逆止弁10eは、継手部20に代えて継手部20eを備える点と、通路形成部40aに代えて通路形成部40eを備える点と、弁体60に代えて弁体60eを備える点とにおいて、第2実施形態の逆止弁10aと異なる。その他の構成は第2実施形態の逆止弁10aと同じであるので、同一の構成には同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
【0063】
第6実施形態の継手部20eは、第2実施形態の継手部20と比べて、保持部50eが継手部20eの下流側の端部において第1樹脂層21eと一体に形成されている。なお、保持部50eは、第2実施形態の保持部50aと同様に別体に形成されて、第1樹脂層21eの内側面と溶着されてもよい。第6実施形態の通路形成部40eは、第2実施形態の通路形成部40aと比べて、保持部50aが省略されている。第6実施形態の弁体60eは、第2実施形態の弁体60と比べて、軸部64eの長さが長い。
【0064】
第6実施形態の逆止弁10eは、第2実施形態の逆止弁10aと同様な効果を有する。加えて、保持部50eが継手部20eと一体に形成されているので、部品点数の増加を抑制でき、製造工程の増加を抑制でき、逆止弁10eの製造コストの上昇を抑制できる。また、保持部50eが継手部20eにおいてアンダーカットとならないので、継手部20eを射出成形により容易に形成できる。
【0065】
G.他の実施形態:
G−1.他の実施形態1:
上記実施形態の拡径部92、92a、92cは、軸方向において一定の勾配を有するように下流側に向かって内径が単調に拡大していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、複数の異なる勾配が組み合わされて拡径部92、92a、92cが形成されてもよい。すなわち一般には、拡径部92、92a、92cは、インレットホースHおよびインレットパイプIP側から流出口42側に向かって内径が次第に拡大する任意の構成を有していてもよい。かかる構成によっても、各実施形態の逆止弁10、10a〜10eと同様な効果を奏する。
【0066】
G−2.他の実施形態2:
上記実施形態の拡径部92、92a、92cの上流側の内径は、継手部20、20c、20eの内径D1と等しかったが、所望の効果が得られる範囲内において、継手部20、20c、20eの内径D1よりもわずかに大きく形成されてもよく、わずかに小さく形成されてもよい。かかる構成によっても、各実施形態の逆止弁10、10a〜10eと同様な効果を奏する。
【0067】
G−3.他の実施形態3:
第1実施形態の拡径部材90は、上流側の端部に爪部94が形成されていたが、爪部94が省略された態様であってもよい。かかる態様においては、例えば、拡径部材90の下流側の端部が板状部52と当接することにより拡径部材90の位置ずれが抑制されてもよく、円筒部44の離型のためのテーパを利用して拡径部材90の位置ずれが抑制されてもよい。また、例えば、拡径部材90と通路形成部40または継手部20とが、溶着により固定されてもよい。このような構成によっても、第1実施形態の逆止弁10と同様な効果を奏する。
【0068】
G−4.他の実施形態4:
第2〜6実施形態における逆止弁10a〜10eの構成は、あくまで一例であり、種々変更可能である。例えば、拡径部92a、90cが軸方向に二分割されて、その下流側が通路形成部40a、40b、40d、40eと、その上流側が継手部20、20c、20eと、それぞれ一体に形成されてもよい。すなわち一般には、燃料流路Pのうち、通路形成部40a、40b、40d、40eの継手部20、20c、20e側の端部に対応する部分には、インレットホースHおよびインレットパイプIP側から流出口42側に向かって内径が次第に拡大する拡径部92a、92cが形成されていてもよい。また、例えば、第4実施形態の継手部20cが、保持部50をさらに有して一体に形成されていてもよい。すなわち一般には、保持部50、50a、50b、50d、50eは、継手部20、20c、20eと通路形成部40a、40b、40d、40eとのうちの少なくとも一方と連なり、ばね受け部70よりも流出口42側に配置され、軸部64、64d、64eの少なくとも一部を囲んで保持する任意の構成を有していてもよい。このような構成によっても、上記実施形態の逆止弁10a〜10eと同様な効果を奏する。また、逆止弁10、10a〜10eとインレットホースHとの接続方式は、上述の実施形態におけるクランプ式、クイックコネクタ式、ファーツリー圧入式等の任意の方式を採用してもよい。
【0069】
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
10、10a、10b、10c、10d、10e…逆止弁
20、20c、20e…継手部
21、21c、21e…第1樹脂層
22…内筒部
23…突出部
24…フランジ部
25…抜止部
26…継手接続部
27c…ファーツリー部
31…第2樹脂層
32…外筒部
34…円環部
36…タンク溶着部
40、40a、40b、40d、40e…通路形成部
41b…第1部材
42…流出口
43b…第2部材
44、44a…円筒部
46…通路接続部
48…弁座
50、50a、50b、50d、50e…保持部
52…板状部
54…筒部
60、60d、60e…弁体
62…シール部
64、64d、64e…軸部
70…ばね受け部
80…圧縮コイルばね
90…拡径部材
92、92a、92c…拡径部
94…爪部
100…弁部
CP…クランプ
CX…軸線
D1…内径
D2…内径
FC…燃料キャップ
FN…フィラーネック
FS…燃料供給装置
FT…燃料タンク
FTa…タンク開口
H…インレットホース
IP…インレットパイプ
P…燃料流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8