特許第6852649号(P6852649)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6852649
(24)【登録日】2021年3月15日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】回路構成体及び回路構成体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20210322BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20210322BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   H01L23/36 D
   H05K1/02 F
   H05K7/20 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-204959(P2017-204959)
(22)【出願日】2017年10月24日
(65)【公開番号】特開2019-79903(P2019-79903A)
(43)【公開日】2019年5月23日
【審査請求日】2020年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 幸貴
(72)【発明者】
【氏名】北 幸功
【審査官】 正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−021348(JP,A)
【文献】 特開2005−057108(JP,A)
【文献】 特開2015−123846(JP,A)
【文献】 特開2010−129759(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0189794(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第104754918(CN,A)
【文献】 特開2002−083915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/36
H05K 1/02
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部品と、
導電路を有し、前記発熱部品が実装される回路基板と、
前記回路基板に対向して配される放熱部材と、
前記回路基板と前記放熱部材との間における前記発熱部品が重なる領域に配される絶縁フィルムと、
前記回路基板と前記絶縁フィルムとの間に配されて前記回路基板及び前記絶縁フィルムに密着する粘着性又は接着性を有する第1伝熱部と、
前記絶縁フィルムと前記放熱部材との間に配されて前記絶縁フィルム及び前記放熱部材に密着する粘着性又は接着性を有する第2伝熱部と、
前記回路基板と前記放熱部材とを固定する固定手段と、を備え、
前記回路基板と前記放熱部材との間における前記絶縁フィルムが配されない領域には空気層が形成されており、
前記絶縁フィルムは、前記第1伝熱部及び前記第2伝熱部に接触する接触部と、前記第1伝熱部及び前記第2伝熱部の外側に延出された延出部とを有する、回路構成体。
【請求項2】
前記発熱部品は、低発熱部品と、前記低発熱部品よりも発熱の大きい高発熱部品とを有し、
前記高発熱部品が重なる領域に前記絶縁フィルムが配され、前記低発熱部品が重なる領域に前記空気層が配される請求項1に記載の回路構成体。
【請求項3】
前記放熱部材における前記回路基板側の面の前記絶縁フィルムが配されない領域には凹部が形成されている請求項1又は請求項2に記載の回路構成体。
【請求項4】
前記第1伝熱部及び前記第2伝熱部の少なくとも一方は、放熱グリスからなる請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の回路構成体。
【請求項5】
導電路を有する回路基板における発熱部品が重なる領域に粘着性又は接着性を有する第1伝熱部を塗布する第1塗布工程と、
前記回路基板に対向して配される放熱部材に粘着性又は接着性を有する第2伝熱部を塗布する第2塗布工程と、
前記第1伝熱部又は前記第2伝熱部に、前記第1伝熱部及び前記第2伝熱部に接触する接触部と、前記第1伝熱部及び前記第2伝熱部の外側に延出される延出部とを有する絶縁フィルムを貼り付ける貼付工程と、
前記回路基板と前記放熱部材とを重ねて前記回路基板、前記絶縁フィルム及び前記放熱部材を積層し、前記回路基板と前記放熱部材との間における少なくとも前記絶縁フィルムが配されない領域に空気層を形成する積層工程と、
前記回路基板と前記放熱部材とを固定手段により固定する固定工程と、を備える回路構成体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、回路構成体に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、回路基板と放熱部材とが絶縁層を介して重ねられた技術が知られている。特許文献1の配線基板は、ポリイミド層の一方の面に接着層を介して電気接続用配線及び熱拡散用配線を形成し、ポリイミド層の他方の面に接着層を介して放熱板が重ねられている。ポリイミド層と一方の接着層と に形成された貫通孔には、熱拡散用配線に接続された貫通配線が形成されている。電気接続用配線及び熱拡散用配線は、選択的に露出した状態で絶縁層により覆われている。これにより、電気接続用配線と放熱板との間は、接着層及びポリイミド層により絶縁性及び熱伝導性を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−156463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の構成では、電気接続用配線及び熱拡散用配線の全体の領域、及び、放熱板の全体の領域に対して接着層により接着されているため、接着層から部品を剥がして部品交換等を行う作業(リワーク)が容易ではないという問題があった。
【0005】
本明細書に記載された技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、
回路基板と放熱部材との間の絶縁性及び放熱性を確保しつつ、リワークを容易に行うことが可能な回路構成体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載された回路構成体は、発熱部品と、導電路を有し、前記発熱部品が実装される回路基板と、前記回路基板に対向して配される放熱部材と、前記回路基板と前記放熱部材との間における前記発熱部品が重なる領域に配される絶縁フィルムと、前記回路基板と前記絶縁フィルムとの間に配されて前記回路基板及び前記絶縁フィルムに密着する粘着性又は接着性を有する第1伝熱部と、前記絶縁フィルムと前記放熱部材との間に配されて前記絶縁フィルム及び前記放熱部材に密着する粘着性又は接着性を有する第2伝熱部と、前記回路基板と前記放熱部材とを固定する固定手段と、を備え、前記回路基板と前記放熱部材との間における前記絶縁フィルムが配されない領域には空気層が形成されている。
【0007】
本明細書に記載された回路構成体の製造方法は、導電路を有する回路基板における発熱部品が重なる領域に粘着性又は接着性を有する第1伝熱部を塗布する第1塗布工程と、前記回路基板に対向して配される放熱部材に粘着性又は接着性を有する第2伝熱部を塗布する第2塗布工程と、前記第1伝熱部又は前記第2伝熱部に絶縁フィルムを貼り付ける貼付工程と、前記回路基板と前記放熱部材とを重ねて前記回路基板、前記絶縁フィルム及び前記放熱部材を積層し、前記回路基板と前記放熱部材との間における少なくとも前記絶縁フィルムが配されない領域に空気層を形成する積層工程と、前記回路基板と前記放熱部材とを固定手段により固定する固定工程と、を備える。
【0008】
上記構成によれば、発熱部品の熱は、回路基板、第1伝熱部、絶縁フィルム、第2伝熱部を介して放熱部材から放熱することができる。また、回路基板と放熱部材との間は、絶縁フィルムが配される領域と空気層が配される領域とにより、回路基板と放熱部材との間の絶縁性を確保することができる。更に、回路基板と放熱部材との間に空気層を形成することにより、伝熱部の領域を少なくすることが可能になるため、リワークを容易に行うことが可能となる。ここで、回路基板と放熱部材との間に空気層を形成することによる固着力の低下については、固定手段により回路基板と放熱部材との間を確実に固定することができる。これにより、回路基板と放熱部材との間の絶縁性及び放熱性を確保しつつ、リワークを容易に行うことが可能となる。また、回路基板と放熱部材との間に空気層を形成することにより、第1伝熱部や第2伝熱部の伝熱材の使用量を減らすことが可能になるため、製造コストを低減することができる。
【0009】
本明細書に記載された技術の実施態様としては以下の態様が好ましい。
前記発熱部品は、低発熱部品と、前記低発熱部品よりも発熱の大きい高発熱部品とを有し、前記高発熱部品が重なる領域に前記絶縁フィルムが配され、前記低発熱部品が重なる領域に前記空気層が配される。
このようにすれば、簡素な構成で回路基板と放熱部材との間の絶縁性を確保することができる。
【0010】
前記放熱部材における前記回路基板側の面の前記絶縁フィルムが配されない領域には凹部が形成されている。
このようにすれば、放熱部材の凹部により、回路基板と放熱部材との間の空気層の厚み寸法を大きくすることができるため、絶縁性を高めることができる。
【0011】
前記第1伝熱部及び前記第2伝熱部の少なくとも一方は、放熱グリスからなる。
このようにすれば、第1伝熱部及び第2伝熱部に接着剤を用いる場合と比較して、回路基板や放熱部材等の取り外し作業を容易に行うことができる。
【0012】
前記絶縁フィルムは、前記第1伝熱部及び前記第2伝熱部に接触する接触部と、前記第1伝熱部及び前記第2伝熱部の外側に延出された延出部とを有する。
このようにすれば、絶縁フィルムの延出部により、回路基板と放熱部材との間の絶縁性を高めることができる。
【発明の効果】
【0013】
本明細書に記載された技術によれば、回路基板と放熱部材との間の絶縁性及び放熱性を確保しつつ、リワークを容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態の回路構成体を示す平面図
図2図1のA−A断面図
図3】回路基板の裏面図
図4】放熱部材を示す平面図
図5】回路基板の裏面に伝熱材を塗布した状態を示す図
図6】放熱部材の上面に伝熱材を塗布して絶縁フィルムを重ねた状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態>
実施形態の回路構成体10は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等の車両に搭載され、例えばバッテリ等の電源からモータ等の負荷に至る電力供給経路に配される。この回路構成体10は任意の向きで車両等に搭載することができるが、以下では、説明上、図1図2のX方向を前方、Y方向を左方、Z方向を上方として説明する。
【0016】
回路構成体10は、図2に示すように、発熱部品11と、発熱部品11が実装される回路基板20と、回路基板20に対して間隔を空けて対向して配される放熱部材30と、回路基板20と放熱部材30との間に配される絶縁フィルム40と、絶縁フィルム40の両面のそれぞれに重ねられた伝熱部41,42と、回路基板20と放熱部材30とを固定するネジ45(「固定手段」の一例)とを備える。
【0017】
発熱部品11は、通電により発熱する電子部品からなり、図3に示すように、低発熱部品11Aと、低発熱部品11Aよりも発熱の大きい高発熱部品11Bとからなる。低発熱部品11Aは、コンデンサ等とすることができる。高発熱部品11Bは、本実施形態では、表面実装型のFET(Field effect transistor)とされている。高発熱部品11Bは、箱型のパッケージを有する本体12と複数のリード端子13とを備える。複数のリード端子13は、例えば本体12の底面と側面とに設けられている。
【0018】
回路基板20は、略長方形の板状をなし、絶縁性材料からなる絶縁板の上下の両面に銅箔等の導電性材料からなる導電路21A,21Bがプリント配線技術により形成されている。導電路21A,21Bは、絶縁板を貫通するスルーホール(図示しない)を介して電気的に接続されている。絶縁基板の周縁部側には、ネジ45の軸部を挿通可能な複数の挿通孔22が貫通形成されている。
【0019】
放熱部材30は、熱伝導性の高いアルミニウム、アルミニウム合金等の熱伝導性が高い金属類製であって、図2に示すように、下面側には、櫛刃状に並んで配された複数の放熱フィン35を有する。放熱部材30の上面には、図2図4に示すように、上面が平坦で厚み寸法が大きい平坦部31と、平坦部31に対して窪んだ面を有する凹部32とが形成されている。平坦部31は、回路基板20に実装された高発熱部品11Bが重なるL字状の領域に設けられ、凹部32は、回路基板20に実装された低発熱部品11Aが重なる領域に設けられている。放熱部材30の上面には、回路基板20が載置される台座となるボス部33が上方に突出している。ボス部33は、放熱部材30の上面における周縁部寄りに設けられており、回路基板20の外周縁部が載置されて回路基板20を支持することにより、回路基板20の下面と放熱部材30の上面4との間の所定の間隔を保持する。ボス部33には、上方からネジ留め可能なネジ孔34が形成されている。
【0020】
絶縁フィルム40は、可撓性をする厚みの薄い部材であって、例えば、ポリイミド系絶縁樹脂フィルムとすることができる。絶縁フィルム40は、回路基板20に実装された高発熱部品11Bが重なる領域(投影領域)に配され、伝熱部41,42の双方に接触する接触部40Aと、伝熱部41,42の外方に延出されて伝熱部41,42に接触しない延出部40Bとを有し、本実施形態では、L字形の領域を覆う形状とされている。ここで、回路基板20と放熱部材30との間のうち、絶縁フィルム40が配されない領域には、図2に示すように、空気層ALが形成されている。空気層ALは、回路基板20と放熱部材30との間のうち、絶縁フィルム40が配されない領域の全域(絶縁フィルム40の端縁からボス部33に至る領域)に設けられている。回路基板20の裏面に実装された高さ寸法の大きい低発熱部品11Aは、放熱部材30の凹部32上の空気層ALのスペースに配されている。
【0021】
伝熱部41,42は、熱伝導性が高い伝熱材からなり、例えばシリコーングリスなどの放熱グリスや、放熱グリスに添加物を付加して粘着性を強くした粘着放熱グリスや、エポキシ系の接着剤等の絶縁性を有する粘着剤や接着剤を用いることができる。伝熱材は、常温で硬化するものでも加熱により硬化するものでもよい。伝熱部41,42は、図3図4に示すように、回路基板20に実装された高発熱部品11Bが重なる領域に配されており、第1伝熱部41は、回路基板20の下面と絶縁フィルム40の上面とに密着し、第2伝熱部42は、絶縁フィルム40の下面と放熱部材30の上面とに密着する。
【0022】
ネジ45は、図2に示すように、頭部と軸部とを有し、回路基板20と放熱部材30とを締結して固定する。これにより、回路基板20と放熱部材30との間の全体の領域に伝熱部41,42を配する構成と比較して空気層ALを配することで回路基板20と放熱部材30との間の伝熱部41,42による固着力が低下したとしてもネジ45により回路基板20と放熱部材30との間を確実に固定することができる。
【0023】
電気接続箱の製造工程について説明する。
回路基板20に対してリフロー半田付け等により発熱部品11を実装する。次に、図5に示すように、回路基板20の裏面における発熱部品11が配される領域を通るように放熱グリス等の伝熱材41Aを塗布する(第1塗布工程)。また、図6に示すように、放熱部材30の上面における発熱部品11が配される領域を通るように放熱グリス等の伝熱材42Aを塗布する(第2塗布工程)。
【0024】
次に、放熱部材30の上面における伝熱材42Aが塗布された領域に絶縁フィルム40を重ねて貼り付ける(貼付工程)。なお、絶縁フィルム40は、回路基板20の裏面における伝熱材41Aが塗布された領域に貼り付けてもよい。
【0025】
そして、回路基板20と放熱部材30とを対向させて、回路基板20、第1伝熱部41、絶縁フィルム40、第2伝熱部42及び放熱部材30が積層された状態とする(積層工程)。次に、回路基板20と放熱部材30とをネジ45でネジ留めして固定する(図2参照。固定工程)。これにより、伝熱材41A,42Aが押し潰されて高発熱部品11Bが重なる領域の全体を含む領域に広がった伝熱部41,42となり、回路構成体10が形成される。回路構成体10にカバーCを被せてネジ等でカバーCを回路構成体10に固定すると電気接続箱が形成され、電気接続箱の状態で車両に搭載される。
【0026】
上記実施形態によれば以下の作用、効果を奏する。
回路構成体10は、発熱部品11と、導電路21A,21Bを有し、発熱部品11が実装される回路基板20と、回路基板20に対向して配される放熱部材30と、回路基板20と放熱部材30との間における発熱部品11が重なる領域に配される絶縁フィルム40と、回路基板20と絶縁フィルム40との間に配されて回路基板20及び絶縁フィルム40に密着する粘着性又は接着性を有する第1伝熱部41と、絶縁フィルム40と放熱部材30との間に配されて絶縁フィルム40及び放熱部材30に密着する粘着性又は接着性を有する第2伝熱部42と、回路基板20と放熱部材30とを固定するネジ45(固定手段)と、を備え、回路基板20と放熱部材30との間における絶縁フィルム40が配されない領域には空気層ALが形成されている。
【0027】
例えば、回路基板20と放熱部材30との間の絶縁放熱材料について、組付け時に固形のテープ、シートのみを用いる場合には、部品ばらつきにより、回路基板20と放熱部材30との間のクリアランスが変動し、回路基板20の半田付けした箇所にストレスが掛かることが懸念される。一方、組付け時に液状の接着剤、放熱グリスのみを用いる場合には、部品ばらつきを吸収でき、回路基板20へのストレスが低減できるとともに、回路基板20への密着性を有するため、熱抵抗が低減して放熱性が向上するという利点があるが、ボイドや異物かみ込み、ばらつきによるクリアランス不足により絶縁性が担保されないことが懸念される。
これに対して、本実施形態によれば、発熱部品11の熱は、回路基板20、第1伝熱部41、絶縁フィルム40、第2伝熱部42を介して放熱部材30から放熱することができるとともに、組付時に液状の伝熱部41,42と組付時に固形の絶縁フィルム40との双方を用いることが可能になるため、絶縁性を確保しつつ、回路基板20へのストレスを低減することができる。
【0028】
また、回路基板20と放熱部材30との間は、絶縁フィルム40が配される領域と空気層ALが配される領域とにより、回路基板20と放熱部材30との間の絶縁性を確保することができる。更に、回路基板20と放熱部材30との間に空気層ALを形成することにより、伝熱部41,42の領域を少なくできるため、リワークを容易に行うことが可能となる。ここで、回路基板20と放熱部材30との間に空気層ALを形成することによる固着力の低下については、ネジ45により回路基板20と放熱部材30との間を確実に固定することができる。これにより、回路基板20と放熱部材30との間の絶縁性及び放熱性を確保しつつ、リワークを容易に行うことが可能となる。また、回路基板20と放熱部材30との間に空気層ALを形成することにより、伝熱材の使用量を減らすことが容易になるため、製造コストを低減することができる。
【0029】
また、発熱部品11は、低発熱部品11Aと、低発熱部品11Aよりも発熱の大きい高発熱部品11Bとを有し、高発熱部品11Bが重なる領域に絶縁フィルム40が配され、低発熱部品11Aが重なる領域に空気層ALが配される。
このようにすれば、簡素な構成で回路基板20と放熱部材30との間の絶縁性を確保することができる。
【0030】
また、放熱部材30における回路基板20側の面の絶縁フィルム40が配されない領域には凹部32が形成されている。
このようにすれば、放熱部材30の凹部32により、回路基板20と放熱部材30との間の空気層ALの厚み寸法を大きくすることができるため、絶縁性を高めることができる。
【0031】
また、第1伝熱部41及び第2伝熱部42の少なくとも一方は、放熱グリスからなる。
このようにすれば、第1伝熱部41及び第2伝熱部42に接着剤を用いる場合と比較して、回路基板20や放熱部材30等の取り外し作業を容易に行うことができる。
【0032】
また、絶縁フィルム40は、第1伝熱部41及び第2伝熱部42に接触する接触部40Aと、第1伝熱部41及び第2伝熱部42の外側に延出された延出部40Bとを有する。
このようにすれば、絶縁フィルム40の延出部40Bにより、回路基板20と放熱部材30との間の絶縁性を高めることができる。
【0033】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
(1)絶縁フィルム40は、添加物が含まれていてもよく、例えば、伝熱フィラー入りのポリイミド系絶縁樹脂フィルムを用いて伝熱性を高めるようにしてもよい。
【0034】
(2)高発熱部品11Bは、FETとしたが、これに限られない。例えば、機械式リレー、抵抗、コイル等としてもよい。また、低発熱部品11Aは、コンデンサに限られず、他の電子部品としてもよい。
【0035】
(3)回路基板20は、絶縁基板の両面に導電路21A,21Bが形成される構成としたが、片面に導電路が形成される構成としてもよく、複数の導電路が積層された多層基板を用いてもよい。また、回路基板は、導電路が形成された絶縁基板にバスバ―が積層される構成としてもよい。このバスバ―は、例えば銅又は銅合金等の金属板材をプレス機により導電路の形状に打ち抜いて形成され、同一平面上の異なる領域に互いに隙間を空けて配置されるようにすることができる。
【0036】
(4)回路基板20と放熱部材30との間は、固定手段としてのネジ45で固定する構成としたが、これに限られない。例えば、固定手段としての係止爪により互いに係止したり、クリップ等の弾性力で)回路基板20と放熱部材30とを挟持する構成としてもよい。
【0037】
(5)伝熱部41,42は、絶縁性を有する伝熱材に限られない。
(6)発熱部品11は、回路基板20と放熱部材30とを組み付ける前に回路基板20に実装することとしたが、これに限られず、回路基板20と放熱部材30とを組み付けた後に発熱部品11を回路基板20に実装するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
10: 回路構成体
11A(11): 低発熱部品
11B(11): 高発熱部品
20: 回路基板
21A,21B: 導電路
22: 挿通孔
30: 放熱部材
31: 平坦部
32: 凹部
33: ボス部
40: 絶縁フィルム
40A: 接触部
40B: 延出部
41: 第1伝熱部
42: 第2伝熱部
45: ネジ(固定手段)
AL: 空気層
図1
図2
図3
図4
図5
図6